生体検査装置
【課題】生体組織の深部にある吸収体の境界から発生する光音響信号を、高いコントラストの信号で検出することにより、吸収体の位置と大きさを高精度に測定することが可能となる生体検査装置を提供する。
【解決手段】パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されている構成とする。
【解決手段】パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されている構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織内部の分光特性を計測するための生体検査装置に関し、特に光音響効果を利用した測定装置に適応するものである。
【背景技術】
【0002】
生体組織内部の分光特性を計測する生体検査装置は、血液中に含まれるヘモグロビンなどの特定物質の光吸収特性から、腫瘍の成長に伴う新生血管の形成やヘモグロビンの酸素代謝などを判定し、診断に利用するものである。
このような装置では、生体組織に対する透過特性が良い波長600−1500nm程度の近赤外光を用いている。
生体組織内の分光特性を計測する方法として、光音響効果を用いるものがある。この装置では、生体組織内にパルス光を照射し、光エネルギーに基づいて発生する光音響信号から局所的な領域の分光特性を計測することができる。
生体組織内に照射した光の強度は生体組織内を伝播する過程の吸収や散乱によって減衰するため、組織の深部に到達する光が僅かになる。
【0003】
従来において、これらに対処するため、被検体に対して対向する位置に2つの照明光学系を設けて、両側から照明することにより深部に到達する光を増すようにする装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
また、生体組織に光を照射する光ファイバーと光音響信号を検出する圧電素子を交互に配置する、或いは照射する光が透過可能な透明な圧電素子を用いることにより、照明光学系と同じ側に光音響信号の検出器を設ける装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、生体組織に光を照射する光ファイバーと同じ側に光音響信号を検出するトランスデューサを設け、これらを被検体の表面に沿って走査駆動する装置が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)。
さらに、乳房などの被検体を圧迫して板形状にし、板形状の被検体に対して光を照射する面を切替える装置が提案されている。(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0127783号明細書
【特許文献2】特開2005−21380号公報
【特許文献3】米国特許第5840023号明細書
【非特許文献1】The Twente Photoacoustic Mammoscope:system overview and performance Phys.Med.Biol.50(2005)2543.2557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の生体組織内部の分光特性を計測する生体検査装置は、次のような課題を有している。生体組織内部を伝播する光は、異方性パラメータgの影響を受ける。生体ではg=0.9程度であり前方散乱が主となる。
この時、生体組織内部の吸収体で吸収される光エネルギーは、前方散乱の影響により光入射側ほど大きくなる。
このように吸収された光エネルギーの分布に偏りが生じた吸収体から発生する光音響信号は、吸収された光エネルギーが大きい光入射方向の境界から発生する信号が最大の強度となる。
【0005】
特許文献1に記載のものでは、光音響信号を検出するトランスデューサが、2つの照明光学系とは異なる面に設けられている。すなわち、光の入射方向にトランスデューサが設けられていない。
以上のような構成で球状の吸収体から発生する光音響信号を検出する場合、トランスデューサに一番近い位置の境界から発生する信号を最初に受信し、最後に球状吸収体の一番遠い位置の境界から発生する信号を受信する。
このような信号プロファイルから球状吸収体を伝播した時間と生体内の音速を読み取り、吸収体の位置と大きさを算出することになる。
しかし、トランスデューサに一番近い位置と一番遠い位置は、光の入射方向と異なる位置にあるので、上述したような最大の強度の信号で伝播時間を検出することができない。
【0006】
また、特許文献2及び特許文献3は、照明光学系と光音響信号を検出するトランスデューサが同じ面に設けられているが、照明光学系が一面にしか設けられていない。
このような構成の場合、吸収体で吸収される光エネルギーが光入射側で大きく、対向側で小さくなる。
このためトランスデューサに一番近い位置の境界から発生する信号は最大の強度で検出できるが、一番遠い位置の境界から発生する信号は最大の強度で検出することができない。
さらに、非特許文献1は、圧迫した被検体を片面毎に両面を照明するのもであるが、照明方向を切替えるので時間的な遅れが生じる。
このような構成では、両側から入射した光エネルギーが重ね合わされることはなく、組織の深部に到達する光を増すことができない。
従って、組織の深部にある吸収体から発生する光音響信号の強度が小さくなる。このように従来例として示したいずれの技術を用いても、生体組織の深部にある吸収体の位置と大きさを、高精度且つ高コントラストに検出する上で課題を有している。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、生体組織の深部にある吸収体の境界から発生する光音響信号を、高いコントラストの信号で検出することにより、吸収体の位置と大きさを高精度に測定することが可能となる生体検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、つぎのように構成した生体検査装置を提供するものである。
本発明の生体検査装置は、パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
生体組織の深部にある吸収体の境界から発生する光音響信号を、高いコントラストの信号で検出することにより、吸収体の位置と大きさを高精度に測定することが可能となる生体検査装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の生体検査装置は、パルス光を発する光源手段と、光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える。
また、この前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段とにより構成されている。
そして、前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記音響信号検出手段が配置されている側の照明光学手段と、前記音響信号検出手段とが、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記音響信号検出手段が音響信号を検出する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記第一の照明光学手段と前記第二の照明光学手段とが、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記第二の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記第一及び第二の照明光学手段と前記音響信号検出手段の相互の位置関係を保ち、前記被検体に対して走査駆動する走査駆動手段を有する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記第一と第二の照明光学手段の間隔を変更する間隔変更手段を有する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記被検体と音響信号検出手段との間に、前記光源手段による光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されたスペーサが配置されている構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバーによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバー、レンズによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバー、レンズ、音響光ビームスプリッターによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、ミラー、ビームスプリッター、レンズによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記被検体を両側から保持する第一のプレート及び第二のプレートと、
前記第一のプレート及び第二のプレートとによる前記被検体の圧迫を制御するプレート駆動機構と、を有する構成とすることができる。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用した生体検査装置の構成例について説明する。
図1は、本実施例における生体検査装置の概略構成を説明する図である。
本実施例の生体検査装置は、パルス光発生器100(光源手段)、第一照明光学系200(第一の照明光学手段)、第二照明光学系300(第二の照明光学手段)を備えている。
また、超音波検出器400(音響信号検出手段)、信号解析装置500、制御装置600、メモリー700、ディスプレイ800を備えている。
被検体Eは、例えば、乳房などの生体組織である。吸収体αは周囲の組織よりも吸収が大きく、形状としては例えば球状のものが挙げられる。
【0012】
このような構成の生体検査装置で被検体Eを測定する概略の工程を説明する。
パルス光発生器100からナノ秒オーダーのパルス光が発光され、第一照明光学系200及び第二照明光学系300によって被検体Eの表面にパルス光が導かれる。
被検体Eの表面から入射したパルス光は組織内部を伝播し吸収体αに到達する。吸収体αに到達した光エネルギーは吸収されて熱エネルギーに変換され、吸収体αに瞬間的な温度上昇が生じ、やがて上昇した温度は緩和される。
この時、温度上昇と緩和により吸収体αを含む組織では、膨張と収縮が生じ、これにより光音響信号Sとなる弾性波が発生する。吸収体αから発生した光音響信号Sは、被検体Eの組織内を伝播して、超音波検出器400で検出される。
【0013】
図2に、被検体Eから発生する光音響信号Sのプロファイルを示す。
超音波検出器400が接する被検体Eの表面と吸収体αの境界から発生する波形のピーク間隔から弾性波である光音響信号Sの伝播時間txが分かる。
また、吸収体αの境界から発生するピーク間隔から、吸収体αを伝播する光音響信号Sの伝播時間tαが分かる。生体組織中の音速をvsとすると、被検体Eの表面と吸収体αの間の距離及び吸収体αの大きさを算出することができる。即ち被検体E内の吸収体αの空間的な位置情報を得ることができる。
【0014】
また、吸収体αから発生したスパイク形状の波形の振幅ΔPは、吸収体αで発生した弾性波の強度Pαを現している。
吸収体αで発生する光音響効果による弾性波の強度Pαは、吸収体αの吸収係数をμa、吸収体αに入射する光エネルギーフルエンスをIα、生体組織に応じて決まるグリュナイゼンパラメーターをΓとすると、
Pα=1/2μa・Γ・Iα
で算出することができる。
生体組織のような吸収散乱媒質内を伝播する光エネルギーフルエンスは光拡散方程式や輸送方程式を用いることによって算出することができるので、Iαを算出することができる。
超音波検出器400で測定したΔPは、吸収体αで発生した弾性波が生体組織内部を伝播することによる減衰の影響を含むので、計算により減衰の影響を差し引くことでPαを算出することができる。
以上から被検体E内の吸収体αの吸収係数μaを算出することができる。
【0015】
信号解析装置500は、検出した光音響信号の時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
さらに、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成することにより、被検体E内の吸収特性の画像を生成する。
制御装置600は、算出した位置と吸収係数μaをメモリー700に保存すると共に、吸収係数μaの空間分布画像をディスプレイ800に表示する。
【0016】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
パルス光発生器100は、被検体Eに照射する特定波長のナノ秒オーダーのパルス光を発する光源手段であり、レーザー光源1、レーザードライバー2から構成されている。
レーザー光源1が発する光の波長は、生体組織を構成する水、脂肪、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、などの吸収スペクトルに応じた波長を選定する。
一例としては、生体内部組織の主成分である水の吸収が小さいため光が良く透過し、脂肪、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンのスペクトルに特徴がある600−1500nm範囲が適当である。
また、生体組織では癌などの腫瘍が成長する際には新生血管の形成や酸素の消費量が増大することが知られている。
このような新生血管の形成や酸素消費量の増大を評価する方法として、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸収スペクトルの特徴を利用することができる。
図3は、波長600−1000nm範囲におけるHbO2とHbの吸収スペクトルである。
【0017】
生体検査装置では複数波長のHbO2とHbの吸収スペクトルから、生体組織内の血液中に含まれるHbとHbO2の濃度を測定する。
そして、複数の位置においてHbとHbO2の濃度を測定し、濃度分布の画像を作成することにより生体組織内で新生血管が形成されている領域を判別することができる。
また、HbとHbO2の濃度から酸素飽和度を算出し、酸素飽和度から酸素の消費量が増大している領域を判別することができる。
このように生体検査装置で測定したHbとHbO2の分光情報を診断に利用することができる。
【0018】
本実施例では、図3に示すようにHbとHbO2の吸収特性が入れ替わる800nmの前後の波長として、λ1=700nmとλ2=850nmの2つの波長を用いるものとする。
具体的な光源の例としては、異なる波長を発生する半導体レーザー、波長可変レーザーなどで構成すると良い。
第一照明光学系200及び第二照明光学系300は、パルス光発生器100から発したパルス光を被検体Eに導く照明光学手段である。
レーザー光源1から発したパルス光は、光ファイバー3によって第一ビームスプリッター4に導かれる。第一ビームスプリッター4に入射したパルス光は2つに分岐されて、夫々第一照明光学系200及び第二照明光学系300に導かれる。
【0019】
第一照明光学系200は、光ファイバー5、第二ビームスプリッター6、光ファイバー7及び8、レンズ9及び10から構成されている。
光ファイバー5に入射したパルス光は第二ビームスプリッター6で2つに分岐されて、夫々光ファイバー7及び8に導かれる。
光ファイバー7に入射したパルス光は、超音波検出器400に対して角度θ傾斜して設けられたレンズ9で拡大されて、超音波検出器400の片脇から被検体Eの表面を照明する。
同様に、光ファイバー8に入射したパルス光は、超音波検出器400に対してレンズ9と反対方向に角度θ傾斜して設けられたレンズ10で拡大されて、超音波検出器400の片脇から被検体Eの表面を照明する。
【0020】
第二照明光学系300は、被検体を挟んで第一照明光学系200に対向して配置され、さらに第一照明光学系200と第二照明光学系300が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように設けられている。
このような構成にすると、双方の照明光学系から同時に照射された光エネルギーは被検体Eの内部で重畳されるので、深部に到達する光エネルギーフルエンスを増やすことができる。
第二照明光学系300は、光ファイバー11、レンズ12から構成されている。光ファイバー11に入射したパルス光はレンズ12で拡大されて、被検体Eの表面に導かれる。
【0021】
本実施例においては、1台の光源とビームスプリッターを用いて第一と第二照明光学系にパルス光を導くようにしているが、夫々の照明光学系に個別に光源を設けても良い。
この場合、光エネルギーフルエンスを重畳させるために2つの光源を同期して同時に駆動することが好ましい。
この時、2つの光源を完全に同時に駆動することが好ましいが、パルス光のパルス幅以内、或は被検体Eの熱緩和時間以内に2つの光源を駆動すれば光エネルギーフルエンスが重畳する効果が得られる。
このため本発明における「同時」の意味としては、被検体Eの熱緩和時間以内、好ましくはパルス光のパルス幅以内の間に2つの光源を駆動することを「同時」であるという意味で用いることとする。
【0022】
また、夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致していることが好ましいが、各照明光強度分布の半値全幅の一部が重なっていれば、光エネルギーフルエンスが重畳する効果が得られる。
このため本発明における軸対象の中心軸が「一致」の意味としては、2つの照明領域の軸対象の照明光強度分布の半値全幅の一部が重なっている場合を「一致」しているという意味で用いることとする。
【0023】
超音波検出器400は、被検体Eの内部に発生した光音響信号Sを検出する音響信号検出手段である。第一照明光学系200と同じ面に設けられている。つまり、第一照明光学系200における被検体と向き合っている面(被検体と接触している面である場合もある。)に対向するように超音波検出器400が設けられる。ここで、「対向」とは、超音波検出器400のうち被検体にもっとも近接する面(検出面)が、上記した第一照明光学系200における被検体と向き合っている面と一致している場合も含む。
超音波検出器400は円形をしており、図1は円形の中心軸を含む面での断面図である。凹面形状の超音波振動子13がバッキング材14上に設けられ、超音波振動子13の被検体E側には音響整合層15が設けられている。
超音波振動子13にはリード線16が接続されている。
超音波振動子13は、受信した光音響信号Sによる圧力変化を電圧に変換する圧電効果を有する圧電素子で構成される。
圧電素子としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。
また、超音波振動子13の凹面の中心は吸収体αの位置に設定されており、これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
【0024】
バッキング材14は、超音波振動子13の不必要な振動を抑制するためのものである。
バッキング材14を構成する材料の例としては、ウレタン樹脂やシリコーンゴムなどがある。
音響整合層15は、光音響信号Sを効率よく伝達するために設けられている。
一般に圧電素子材料と生体では音響インピーダンスが大きく異なるため、圧電素子材料と生体が直接接した場合は、界面での反射が大きくなり光音響信号を効率よく伝達することができない。
このため、圧電素子材料と生体の間に中間的な音響インピーダンスを有する物質で構成した音響整合層15を挿入して、界面での反射を小さくすることにより光音響信号Sを効率よく伝達している。
音響整合層15を構成する材料の例としては、エポキシ樹脂や石英ガラスなどがある。
リード線16は、超音波振動子13が受信して電気信号に変換した光音響信号Sを信号解析装置500に伝えるものである。
【0025】
本実施例においては、凹面の超音波振動子を用いているが、平面の超音波振動子と音響レンズを用いても良い。また、超音波エコー装置や非破壊検査に用いられている複数個の超音波振動子をアレイ状に配列した超音波探触子を用いても良い。
上述したように、第一照明光学系200と第二照明光学系300が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器400が第一照明光学系200と同じ面に設けられている。
このような構成にすると、前述した従来例に比べて、高いコントラストで光音響信号Sを検出することができる。
また、図1の構成では、第一照明光学系200の軸対象の中心軸と超音波検出器400の中心軸を一致させている。
【0026】
図4に、超音波検出器400が受信する球状吸収体αにおける光音響信号Sを説明する図を示す。
被検体Eに照射されたパルス光は、生体組織による吸収と散乱の影響により減衰しながら深部へと伝搬する。
図のL1は第一照明光学系200から照射され被検体E内を伝播した光エネルギーフルエンスを示し、L2は第二照明光学系300から照射されたものを示している。
一般に生体組織における散乱は前方散乱が強いため、照射された光エネルギーは主に光入射軸方向に散乱して伝搬する。
このため、被検体E内の吸収体αにおける光エネルギーの吸収は、光が入射する側での吸収が大きくなる。図示の吸収体αにおける位置a及びeで光エネルギーの吸収が最も大きく、位置cとgではこれよりも小さくなる。
また、吸収体αの表層付近で光エネルギーの吸収が大きくなるので、吸収体の深部に到達して吸収される光エネルギーは小さくなる。
このような光エネルギーの吸収分布を持つ吸収体αから発生する光音響信号の圧力強度は、光エネルギーの吸収が大きい場合に高くなり、小さい場合は低くなる。
【0027】
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器400で受信すると、超音波検出器400に対する距離が近い位置a、b、h付近から発生する高い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器400から等距離にある位置c及びg付近から発生する低い圧力の信号が検出され、最後に位置d、e、f付近から発生する高い圧力の信号が検出される。
400Sは超音波検出器400が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
光音響信号Sの最初のピークは光音響における圧縮フェーズで発生するものである。一方、二番目のピークは膨張フェーズで発生するものであり、吸収体αとその周辺組織の音響インピーダンスの差により圧縮フェーズで発生した波の位相が反転した反射波である。
【0028】
図5に、超音波検出器401を第一照明光学系200と異なる面に設ける一例として、第一照明光学系200が設けられる面と直交する面に設けた従来例(特許文献1と類似)の構成を示す。
吸収体αには図4で説明したものと同様の光エネルギーの吸収分布が生じる。
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器401で受信すると、超音波検出器401に対する距離が近い位置b、c、d付近から発生する低い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器401から等距離にある位置a及びe付近から発生する高い圧力の信号が検出され、最後に位置f、g、h付近から発生する低い圧力の信号が検出される。
401Sは超音波検出器401が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
【0029】
図6に、図4の構成から第二照明光学系300を除いた従来例(特許文献2と類似)の構成を示す。
図示の吸収体αにおける光が入射する側の位置aで光エネルギーの吸収が最も大きく、次いで、位置b及びh、位置c及びg、位置d及びf、位置eの順に吸収体の深部になるほど吸収される光エネルギーは小さくなる。
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器402で受信すると、超音波検出器402に対する距離が近い位置a、b、h付近から発生する高い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器400から等距離にある位置c及びg付近から発生する低い圧力の信号が検出され、最後に位置d、e、f付近から発生するさらに低い圧力の信号が検出される。
402Sは超音波検出器402が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
【0030】
図7に、本実施例の図4の超音波検出器400の検出信号プロファイル400Sと、従来例である、図5の超音波検出器401の検出信号プロファイル401Sと図6の超音波検出器402の検出信号プロファイル402Sを比較した図を示す。
図示のように吸収体αの境界付近から発生した光音響信号Sの圧力は400Sのものが最も大きくなる。
吸収体αの位置と大きさは、吸収体αの境界から発生する光音響信号のピークから読み取った時間を用いて算出される。
【0031】
本発明は従来例と比べて高いコントラストの信号を用いて時間を読み取ることができるので、吸収体αの位置と大きさを高精度に算出することができる。
信号解析装置500は、計算処理部17と画像生成部18から構成されている。
計算処理部17は、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
画像生成部18は、算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaを基にして、被検体E内の吸収係数μaの分布画像を生成する。
制御装置600は、パルス光発生器100のレーザードライバー2に接続されており、パルス光の発光するタイミング及び光強度などを制御するものである。
【0032】
また、制御装置600は、信号解析装置500、メモリー700、ディスプレイ800にも接続されている。
制御装置600は、信号解析装置500で算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaと吸収係数μaの分布画像をメモリー700に保存し、ディスプレイ800に被検体E内の吸収係数μaの分布画像を表示するように制御するものである。
【0033】
メモリー700としては、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリー、ハードディスク、などのデータ記録装置を用いることができる。
ディスプレイ800としては、液晶ディスプレイ、CRT、有機ELディスプレイ、などの表示デバイスを用いることができる。
【0034】
つぎに、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップについて説明する。
まず、第1のステップにおいて、被検体Eの表面に第一照明光学系200、第二照明光学系300、超音波検出器400を接触させる。不図示の測定開始スイッチを動作させると、パルス光発生器100が駆動され波長λ1=700nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第2のステップにおいて、第一照明光学系200と第二照明光学系300によって被検体Eにパルス光が照射される。
次に、第3のステップにおいて、被検体E内で発生した光音響信号Sが、超音波検出器400によって検出される。
次に、第4のステップにおいて、信号解析装置500は、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置と大きさを算出し、強度特性から吸収係数μaを算出し、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成した画像を生成する。
次に、第5のステップにおいて、制御装置600は、算出した波長λ1の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第6のステップにおいて、制御装置600は、パルス光発生器100の発光する光の波長をλ2=850nmに設定する。パルス光発生器100が駆動され波長λ2=850nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
【0035】
以下、第2のステップ、第3のステップ、第4のステップと同様の工程を経て、第7のステップにおいて、制御装置600は、算出した波長λ2の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第8のステップにおいて、制御装置600は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像を重ね合わせてディスプレイ800に表示する。
最後に、第9のステップにおいて、測定を終了する。
【0036】
図8から図13は、第一照明光学系と超音波検出器に関する他の構成例を示す図である。
図1と同じ符号を付した部材は図1で説明したものと同じ機能を持つものである。
図8の第一照明光学系201は、図1で説明した第一照明光学系200における角度θをφに変更し、被検体と超音波検出器(音響信号検出手段)との間にスペーサ19を配置したものである。
スペーサ19はパルス光発生器100が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されている。
スペーサ19を構成する材料の例としては、ポリメチルペンテンポリマー、ポリカーボネート、アクリル、などがある。レンズ9及び10から角度φで出射した光はスペーサ19を介することにより被検体Eの表面で重畳することができる。
また、図8の構成では、図1の場合と同様に、第一照明光学系201の軸対象の中心軸と超音波検出器400の中心軸を一致させることができる。
【0037】
図9の第一照明光学系202は、光ファイバー5、レンズ20、音響光ビームスプリッター21から構成されている。
音響光ビームスプリッター21は、パルス光発生器100が発する光を反射し、光音響信号Sなどの音響波を透過するものである。
音響光ビームスプリッター21は、照射する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する前述のような材料に、照射する光に対して高反射特性を有するアルミ、銀、などの薄膜層22を設けたものである。
前述したような樹脂材料と薄膜層に用いる金属材料の音響インピーダンスの差が大きいが、金属材料の薄膜層は厚さ数μm程度であり音響波の波長に対しては十分に小さいので殆ど影響しない。
【0038】
超音波検出器403は円形の2Dアレイ探触子であり、音響光ビームスプリッター21に接して設けられている。
図9は円形の中心軸を含む面での断面図である。小さな角柱形の超音波振動子13がバッキング材14上に複数個配列されている。
超音波振動子13の被検体E側には音響整合層15が設けられている。
図1の超音波検出器400では、円形凹面超音波振動子を用いたが、超音波検出器403では複数の超音波振動子13が受信する光音響信号からSum And Delay Beamforming法を用いて所望の位置の信号を取得するようにしている。
【0039】
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ20で拡大された後に音響光ビームスプリッター21に導かれ、薄膜層22で反射されて被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体E及び音響光ビームスプリッター21の内部を伝播して、超音波検出器403で検出される。
このように図9の構成では、音響光ビームスプリッター21を用いることにより、第一照明光学系202の中心軸と超音波検出器403の中心軸を一致させることができる。
【0040】
図10の第一照明光学系203は、光ファイバー23から構成されている。
光ファイバー23の被検体E側では光ファイバーが複数に分岐されている。
超音波検出器404は、図9で説明したものと同様の2Dアレイ探触子である。複数個配列された超音波振動子13には隙間が設けられ、分岐された光ファイバー23がこの隙間に配置されている。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー23を通って被検体Eの表面に導かれる。被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器404で検出される。
このように図10の構成では、アレイ探触子の隙間から被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系203の中心軸と超音波検出器404の中心軸を一致させることができる。
【0041】
図11の第一照明光学系204は、光ファイバー5とレンズ24から構成されている。
超音波検出器405は中心部に円形開口を設けた円環形状をしており、図11は円形の中心軸を含む面での断面図である。超音波振動子13は凹面形状をしており、凹面の中心は吸収体αの位置に設定されている。
これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ24で拡大された後に、超音波検出器405の円形開口部を通して被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器405で検出される。
このように図11の構成では、超音波検出器405の円形開口部を通して被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系204の中心軸と超音波検出器405の中心軸を一致させることができる。
【0042】
図12の第一照明光学系204は、図11で説明したものと同じである。
超音波検出器406は、超音波振動子25、バッキング材26、音響整合層27から構成されている。
これらの構成部材は、パルス光発生器100が発する光に対して高透過特性と低減衰特性を有している。
超音波振動子25を構成する材料の例としては、PZNT(亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛)などを用いることができる。
バッキング材26と音響整合層27を構成する材料の例としては、図1で説明したものと同様の材料を用いることができる。
また、超音波振動子25は凹面形状をしており、凹面の中心は吸収体αの位置に設定されている。これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ24で拡大された後に、超音波検出器406を透過して被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器406で検出される。
このように図12の構成では、超音波検出器406を透過して被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系204の中心軸と超音波検出器406の中心軸を一致させることができる。
【0043】
このように図1及び図8から図12の構成では、超音波検出器400を第一照明光学系200側に配置した。このように、被検体に対して複数の照明光学系から両面照射を行い、そのうちの一つの照明光学系が被検体と向き合う面に対向して検出器を配置した。さらに、対向して配置されている第一照明光学系と第二照明光学系の夫々の照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、さらに第一照明光学系と同じ面に設けられている超音波検出器の中心軸を一致させている。このため高いコントラストで信号を検出することができる。
また、照明領域の軸対象の中心軸と超音波検出器の中心軸が一致していることが好ましいが、照明光強度分布の半値全幅と超音波検出領域の半値全幅の一部が重なっていれば、高いコントラストの信号を検出する効果が得られる。
このため、本発明における夫々の中心軸が「一致」の意味としては、照明領域の軸対象の照明光強度分布の半値全幅と超音波検出領域の半値全幅の一部が重なっている場合を「一致」しているという意味で用いることとする。
【0044】
図13のように第一照明光学系204と同じ面の光路と干渉しない位置で、且つ光路の近傍に超音波検出器407を設けるようにしても、従来例と比べて高いコントラストの信号を検出することができる。このような場合でも、第一照明光学系200が被検体と向き合う面に対向しているといえる。
さらに、本実施例では、波長600−1500nmを利用する一例として、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収スペクトルの特徴を利用する分光分析方法を示したが、この例に限定されるものではない。
例えば、生体組織の主要な構成物質である水、脂肪、タンパク質(コラーゲン)、等を分光分析の対象とすることも可能である。
【0045】
以上説明したように、実施例1における生体検査装置では、第一照明光学系200と第二照明光学系300が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器400が第一照明光学系200と同じ面に設けられている。
このような構成にすることにより、生体組織の深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。もちろん上記の実施形態において、第一照明光学系200側ではなく、第二照明光学系300側に超音波検出器400を配置しても構わない。
【0046】
[実施例2]
実施例2では、実施例1と異なる形態の生体検査装置の構成例について説明する。図14に、本実施例における生体検査装置の概略構成を説明する図を示す。
本実施例における基本的な生体検査装置の構成は、実施例1に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例1で説明したものと同じ機能を有するものである。
本実施例では、第一駆動機構901と第二駆動機構902を新たに設けている。第一駆動機構901は被検体Eに対する第一照明光学系205と超音波検出器403の位置を変更し、第二駆動機構902は被検体Eに対する第二照明光学系301の位置を変更するものである。
これらの駆動機構を制御して各構成部材を被検体Eに対して走査駆動することにより、被検体Eの全体の測定を可能にするものである。
【0047】
被検体Eは第一プレート25と第二プレート26の間に保持されている。第一プレート25はパルス光発生器101が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する平板である。
第一プレート25を構成する材料は、実施例1のスペーサ19と同様の材料を用いることができる。
第二プレート26はパルス光発生器102が発する光に対して高透過特性と低減衰特性を有する平板である。第二プレート26を構成する材料は、スペーサ19と同様の材料及びガラスなど用いることができる。
【0048】
第一照明光学系205は、ミラー27、29、31、32、ビームスプリッター28、レンズ30及び33から構成されている。
パルス光発生器101が発したパルス光はミラー27で反射された後にビームスプリッター28で2つに分岐される。
分岐された光の一方はミラー29で反射された後に、超音波検出器403に対して角度φ傾斜して設けられたレンズ30で拡大されて、超音波検出器403の片脇から被検体Eの表面を照明する。
分岐された他方の光はミラー31と32で反射された後に、超音波検出器403に対してレンズ30と反対方向に角度φ傾斜して設けられたレンズ33で拡大されて、超音波検出器403の片脇から被検体Eの表面を照明する。
【0049】
第一駆動機構901は、第一スライダー34、第一スライドガイド35と第一モーター36で構成されている。
第一スライダー34及び第一スライドガイド35を構成する部材の例としては、ボールネジ、リニアガイド、などを用いることができる。
第一スライダー34の中には、第一照明光学系205のミラー29、31、32、ビームスプリッター28、レンズ30及び33と超音波検出器403の一式が収められている。
第一スライダー34と第一スライダー34の中に収められた部材一式は、第一スライドガイド35と第一モーター36によって、図示の矢印の方向に駆動することができる。
【0050】
実施例1と同様に、第二照明光学系301は、第一照明光学系205に対向して配置されている。
第二照明光学系301は、ミラー37、38、レンズ39から構成されている。パルス光発生器102が発したパルス光は、ミラー37と38で反射された後にレンズ39で拡大されて被検体Eの表面に導かれる。
【0051】
第二駆動機構902は、第二スライダー40、第二スライドガイド41と第二モーター42で構成され、第一駆動機構901と同様の部材を用いることができる。
第二スライダー40の中には、第二照明光学系301のミラー38とレンズ39の一式が収められている。第二スライダー40と第二スライダー40の中に収められた部材一式は、第二スライドガイド41と第二モーター42によって、図示の矢印の方向に駆動することができる。
【0052】
制御装置601は、パルス光発生器101及び102、第一駆動機構901及び第二駆動機構902に接続されている。
実施例1の制御装置600で説明した機能の他に、第一駆動機構901及び第二駆動機構902を駆動する位置及びタイミングなどを制御するものである。
第一照明光学系205と第二照明光学系301が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように位置を駆動制御するとともに、パルス光発生器101及び102から同時にパルス光が発光されるように制御している
。このような構成で照射された光エネルギーは被検体Eの内部で重畳されるので、深部に到達する光エネルギーフルエンスを増やすことができる。
【0053】
つぎに、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップについて説明する。
まず、第1のステップにおいて、
被検体Eを第一プレート25と第二プレート26の間に保持する。不図示の測定開始スイッチを動作させる。
次に、第2のステップにおいて、パルス光発生器101及び102が駆動され波長λ1=700nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第3のステップにおいて、第一照明光学系205と第二照明光学系301によって被検体Eにパルス光が照射される。
次に、第4のステップにおいて、被検体E内で発生した光音響信号Sが、超音波検出器403によって検出される。
次に、第5のステップにおいて、信号解析装置500により、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置と大きさ、吸収係数μaを算出する。吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成した画像を生成する。
次に、第6のステップにおいて、制御装置601は、算出した波長λ1の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第7のステップにおいて、制御装置601は、パルス光発生器101及び102の発光する光の波長をλ2=850nmに設定し、波長λ2=850nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第8のステップにおいて、上記第3、第4、第5のステップと同様の工程を行なう。制御装置601は、算出した波長λ2の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第9のステップにおいて、制御装置601は、第一駆動機構901及び第二駆動機構902を駆動し、被検体Eに対して第一スライダー34と第二スライダー40の位置を次の測定位置へ変更する。
次に、第10のステップにおいて、全ての測定位置の測定が終了するまで上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9のステップと同様の工程を行なう。
次に、第11のステップにおいて、全ての測定位置の測定が終了したら制御装置601は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像を重ね合わせてディスプレイ800に表示する。
最後に、第12のステップにおいて、測定を終了する。
【0054】
図15、図16は実施例2の他の実施例における生体検査装置の概略構成図である。図15は側面図、図16は上面図である。
図1から図14と同じ符号を付した部材は、上述したものと同じ機能を持つものである。
本実施例では、円筒形状の被検体Eに対して回転駆動機構903を設けている。回転駆動機構903は、被検体Eに対する第一照明光学系206、超音波検出器405、第二照明光学系302の位置を変更するものである。
回転駆動機構903を制御して各構成部材を被検体Eに対して回転走査駆動することにより、円筒形状の被検体Eの測定を可能にするものである。
【0055】
被検体Eは円筒形状のハウジング43の中に保持されている。被検体Eとハウジング43の隙間はマッチング剤44が充填されている。
ハウジング43とマッチング剤44はパルス光発生器100が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有するものである。
ハウジング43を構成する材料は、実施例1のスペーサ19と同様の材料を用いることができる。マッチング剤44を構成する材料は、水、ひまし油、超音波検査用ジェル、など用いることができる。
第一照明光学系206は、ミラー46、47、レンズ48から構成されている。パルス光発生器100が発したパルス光はビームスプリッター45で2つに分岐され、一方は第一照明光学系206に導かれ、ミラー46と47で反射されレンズ48で拡大される。
その後、超音波検出器405の円形開口部を通って、ハウジング43とマッチング剤44を介して被検体Eの表面を照明する。超音波検出器405は図11で説明したものと同様のものである。
【0056】
実施例1と同様に、第二照明光学系302は、第一照明光学系206に対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。超音波検出器405はハウジング43の第一照明光学系206と同じ面に設けられている。
第二照明光学系302は、ミラー49、50、レンズ51から構成されている。ビームスプリッター45で2つに分岐されたパルス光の他方は、第二照明光学系302に導かれ、ミラー49と50で反射された後にレンズ51で拡大され、ハウジング43とマッチング剤44を介して被検体Eの表面を照明する。
【0057】
回転駆動機構903は、回転ステージ52と回転ステージ52を駆動するモーター53で構成されている。回転ステージ52の中には、ビームスプリッター45、第一照明光学系206、超音波検出器405、第二照明光学系302の一式が収められている。
回転ステージ52と回転ステージ52の中に収められた部材一式は、モーター53によって、図示の矢印の方向に回転駆動することができる。
制御装置602は、上述の制御装置601で説明した機能の他に、回転駆動機構903を駆動する位置及びタイミングなどを制御するものであり、回転駆動機構903に接続されている。
【0058】
以上説明したように、実施例2における生体検査装置では、第一照明光学系と第二照明光学系が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器が第一照明光学系と同じ面に設けられている。
このような位置関係を保って各構成部材を被検体Eに対して走査駆動することにより、被検体Eの全体において、深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。
【0059】
[実施例3]
図17は本発明を適用できる実施例3における生体検査装置の概略構成図である。
基本的な生体検査装置の構成は実施例2の図14に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例2で説明したものと同じ機能を有するものである。
本実施例では、プレート駆動機構904を新たに設けている。
プレート駆動機構904は、スライドガイド54とモーター55で構成されている。
スライドガイド54の一端は被検体Eに接している第二プレート26に結合されており、第二プレート26の位置を図示の矢印の方向に駆動することができる。スライドガイド55を構成する部材の例としては、ボールネジ、リニアガイド、などを用いることができる。
被検体Eに照射された光エネルギー強度は、生体組織内の吸収と散乱の影響を受けて著しく減衰するため深部の測定が困難となる。
このため、乳房などの被検体では、圧迫することにより被検体の内部に到達する光エネルギーを増やすことが考えられる。
【0060】
本実施例では、プレート駆動機構904を制御して、第一プレート25と第二プレート26の間に保持されている被検体Eを圧迫する機能を設けている。
第二照明光学系301は第一照明光学系205に対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。
超音波検出器403は第一プレート25上の第一照明光学系205と同じ面に設けられている。
制御装置603は、実施例2の制御装置601で説明した機能の他に、プレート駆動機構904を駆動する位置などを制御するものである。
このような装置で被検体Eを圧迫すると、内部にある球状の吸収体αは、圧迫方向に扁平になるような変形が生じる。
このように変形した吸収体αから発生する光音響信号Sの強度は異方性を持ち、扁平な領域からより強く放射される。
このため、超音波検出器403はより強く放射された光音響信号Sを検出するために、被検体Eを圧迫している第一プレート25の第一照明光学系205と同じ面に設けている。
【0061】
以上説明したように、実施例3における生体検査装置では、被検体を圧迫して照明する第一照明光学系と第二照明光学系が対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。
また、超音波検出器が被検体の圧迫方向となる第一照明光学系と同じ面に設けられている。このような構成にすることにより、生体組織の深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例1における被検体Eから発生する光音響信号Sのプロファイルを示す図。
【図3】本発明の実施例1における波長600−1000nm範囲におけるHbO2とHbの吸収スペクトルを示す図。
【図4】本発明の実施例1における超音波検出器が受信する球状吸収体における光音響信号Sを説明する図。
【図5】超音波検出器を第一照明光学系と異なる面に設ける一例として、第一照明光学系と直交する面に設けた従来例(特許文献1と類似)の構成を示す図。
【図6】図4の構成から第二照明光学系を除いた従来例(特許文献2と類似)の構成を示す図。
【図7】本発明の実施例1における図4の超音波検出器の検出信号プロファイルと、従来例の図5及び図6の超音波検出器の検出信号プロファイルを比較した図。
【図8】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図9】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図10】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図12】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図13】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図14】本発明の実施例2における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【図15】本発明の実施例2における他の構成例を示す図。
【図16】本発明の実施例2における他の構成例を示す図。
【図17】本発明の実施例3における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【符号の説明】
【0063】
1:レーザー光源
2:レーザードライバー
3、5、7、8、11、23:光ファイバー
4:第一ビームスブリッター
6:第二ビームスブリッター
9、10、12:レンズ
13、25:超音波振動子
14、26:バッティング材
15、27:音響整合層
16:リード線
17:計算処理部
18:画像生成部
19:スペーサ
25:第一プレート
26:第二プレート
100、101、102:パルス光発生器
200、201、202、203、204、205、206:第一照明光学系
300、301、302:第二照明光学系
400、401、402、403、404、405、406、407:超音波検出器
500:信号解析装置
600、601、602、603:制御装置
700:メモリー
800:ディスプレイ
901:第一駆動機構
902:第二駆動機構
903:回転駆動機構
904:プレート駆動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織内部の分光特性を計測するための生体検査装置に関し、特に光音響効果を利用した測定装置に適応するものである。
【背景技術】
【0002】
生体組織内部の分光特性を計測する生体検査装置は、血液中に含まれるヘモグロビンなどの特定物質の光吸収特性から、腫瘍の成長に伴う新生血管の形成やヘモグロビンの酸素代謝などを判定し、診断に利用するものである。
このような装置では、生体組織に対する透過特性が良い波長600−1500nm程度の近赤外光を用いている。
生体組織内の分光特性を計測する方法として、光音響効果を用いるものがある。この装置では、生体組織内にパルス光を照射し、光エネルギーに基づいて発生する光音響信号から局所的な領域の分光特性を計測することができる。
生体組織内に照射した光の強度は生体組織内を伝播する過程の吸収や散乱によって減衰するため、組織の深部に到達する光が僅かになる。
【0003】
従来において、これらに対処するため、被検体に対して対向する位置に2つの照明光学系を設けて、両側から照明することにより深部に到達する光を増すようにする装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
また、生体組織に光を照射する光ファイバーと光音響信号を検出する圧電素子を交互に配置する、或いは照射する光が透過可能な透明な圧電素子を用いることにより、照明光学系と同じ側に光音響信号の検出器を設ける装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、生体組織に光を照射する光ファイバーと同じ側に光音響信号を検出するトランスデューサを設け、これらを被検体の表面に沿って走査駆動する装置が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)。
さらに、乳房などの被検体を圧迫して板形状にし、板形状の被検体に対して光を照射する面を切替える装置が提案されている。(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0127783号明細書
【特許文献2】特開2005−21380号公報
【特許文献3】米国特許第5840023号明細書
【非特許文献1】The Twente Photoacoustic Mammoscope:system overview and performance Phys.Med.Biol.50(2005)2543.2557
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の生体組織内部の分光特性を計測する生体検査装置は、次のような課題を有している。生体組織内部を伝播する光は、異方性パラメータgの影響を受ける。生体ではg=0.9程度であり前方散乱が主となる。
この時、生体組織内部の吸収体で吸収される光エネルギーは、前方散乱の影響により光入射側ほど大きくなる。
このように吸収された光エネルギーの分布に偏りが生じた吸収体から発生する光音響信号は、吸収された光エネルギーが大きい光入射方向の境界から発生する信号が最大の強度となる。
【0005】
特許文献1に記載のものでは、光音響信号を検出するトランスデューサが、2つの照明光学系とは異なる面に設けられている。すなわち、光の入射方向にトランスデューサが設けられていない。
以上のような構成で球状の吸収体から発生する光音響信号を検出する場合、トランスデューサに一番近い位置の境界から発生する信号を最初に受信し、最後に球状吸収体の一番遠い位置の境界から発生する信号を受信する。
このような信号プロファイルから球状吸収体を伝播した時間と生体内の音速を読み取り、吸収体の位置と大きさを算出することになる。
しかし、トランスデューサに一番近い位置と一番遠い位置は、光の入射方向と異なる位置にあるので、上述したような最大の強度の信号で伝播時間を検出することができない。
【0006】
また、特許文献2及び特許文献3は、照明光学系と光音響信号を検出するトランスデューサが同じ面に設けられているが、照明光学系が一面にしか設けられていない。
このような構成の場合、吸収体で吸収される光エネルギーが光入射側で大きく、対向側で小さくなる。
このためトランスデューサに一番近い位置の境界から発生する信号は最大の強度で検出できるが、一番遠い位置の境界から発生する信号は最大の強度で検出することができない。
さらに、非特許文献1は、圧迫した被検体を片面毎に両面を照明するのもであるが、照明方向を切替えるので時間的な遅れが生じる。
このような構成では、両側から入射した光エネルギーが重ね合わされることはなく、組織の深部に到達する光を増すことができない。
従って、組織の深部にある吸収体から発生する光音響信号の強度が小さくなる。このように従来例として示したいずれの技術を用いても、生体組織の深部にある吸収体の位置と大きさを、高精度且つ高コントラストに検出する上で課題を有している。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、生体組織の深部にある吸収体の境界から発生する光音響信号を、高いコントラストの信号で検出することにより、吸収体の位置と大きさを高精度に測定することが可能となる生体検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、つぎのように構成した生体検査装置を提供するものである。
本発明の生体検査装置は、パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
生体組織の深部にある吸収体の境界から発生する光音響信号を、高いコントラストの信号で検出することにより、吸収体の位置と大きさを高精度に測定することが可能となる生体検査装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の生体検査装置は、パルス光を発する光源手段と、光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える。
また、この前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段とにより構成されている。
そして、前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記音響信号検出手段が配置されている側の照明光学手段と、前記音響信号検出手段とが、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記音響信号検出手段が音響信号を検出する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記第一の照明光学手段と前記第二の照明光学手段とが、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記第二の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されている。
また、本発明の実施形態においては、前記第一及び第二の照明光学手段と前記音響信号検出手段の相互の位置関係を保ち、前記被検体に対して走査駆動する走査駆動手段を有する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記第一と第二の照明光学手段の間隔を変更する間隔変更手段を有する構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記被検体と音響信号検出手段との間に、前記光源手段による光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されたスペーサが配置されている構成とすることができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバーによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバー、レンズによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、光ファイバー、レンズ、音響光ビームスプリッターによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記照明光学手段を、ミラー、ビームスプリッター、レンズによって構成することができる。
また、本発明の実施形態においては、前記被検体を両側から保持する第一のプレート及び第二のプレートと、
前記第一のプレート及び第二のプレートとによる前記被検体の圧迫を制御するプレート駆動機構と、を有する構成とすることができる。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用した生体検査装置の構成例について説明する。
図1は、本実施例における生体検査装置の概略構成を説明する図である。
本実施例の生体検査装置は、パルス光発生器100(光源手段)、第一照明光学系200(第一の照明光学手段)、第二照明光学系300(第二の照明光学手段)を備えている。
また、超音波検出器400(音響信号検出手段)、信号解析装置500、制御装置600、メモリー700、ディスプレイ800を備えている。
被検体Eは、例えば、乳房などの生体組織である。吸収体αは周囲の組織よりも吸収が大きく、形状としては例えば球状のものが挙げられる。
【0012】
このような構成の生体検査装置で被検体Eを測定する概略の工程を説明する。
パルス光発生器100からナノ秒オーダーのパルス光が発光され、第一照明光学系200及び第二照明光学系300によって被検体Eの表面にパルス光が導かれる。
被検体Eの表面から入射したパルス光は組織内部を伝播し吸収体αに到達する。吸収体αに到達した光エネルギーは吸収されて熱エネルギーに変換され、吸収体αに瞬間的な温度上昇が生じ、やがて上昇した温度は緩和される。
この時、温度上昇と緩和により吸収体αを含む組織では、膨張と収縮が生じ、これにより光音響信号Sとなる弾性波が発生する。吸収体αから発生した光音響信号Sは、被検体Eの組織内を伝播して、超音波検出器400で検出される。
【0013】
図2に、被検体Eから発生する光音響信号Sのプロファイルを示す。
超音波検出器400が接する被検体Eの表面と吸収体αの境界から発生する波形のピーク間隔から弾性波である光音響信号Sの伝播時間txが分かる。
また、吸収体αの境界から発生するピーク間隔から、吸収体αを伝播する光音響信号Sの伝播時間tαが分かる。生体組織中の音速をvsとすると、被検体Eの表面と吸収体αの間の距離及び吸収体αの大きさを算出することができる。即ち被検体E内の吸収体αの空間的な位置情報を得ることができる。
【0014】
また、吸収体αから発生したスパイク形状の波形の振幅ΔPは、吸収体αで発生した弾性波の強度Pαを現している。
吸収体αで発生する光音響効果による弾性波の強度Pαは、吸収体αの吸収係数をμa、吸収体αに入射する光エネルギーフルエンスをIα、生体組織に応じて決まるグリュナイゼンパラメーターをΓとすると、
Pα=1/2μa・Γ・Iα
で算出することができる。
生体組織のような吸収散乱媒質内を伝播する光エネルギーフルエンスは光拡散方程式や輸送方程式を用いることによって算出することができるので、Iαを算出することができる。
超音波検出器400で測定したΔPは、吸収体αで発生した弾性波が生体組織内部を伝播することによる減衰の影響を含むので、計算により減衰の影響を差し引くことでPαを算出することができる。
以上から被検体E内の吸収体αの吸収係数μaを算出することができる。
【0015】
信号解析装置500は、検出した光音響信号の時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
さらに、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成することにより、被検体E内の吸収特性の画像を生成する。
制御装置600は、算出した位置と吸収係数μaをメモリー700に保存すると共に、吸収係数μaの空間分布画像をディスプレイ800に表示する。
【0016】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
パルス光発生器100は、被検体Eに照射する特定波長のナノ秒オーダーのパルス光を発する光源手段であり、レーザー光源1、レーザードライバー2から構成されている。
レーザー光源1が発する光の波長は、生体組織を構成する水、脂肪、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、などの吸収スペクトルに応じた波長を選定する。
一例としては、生体内部組織の主成分である水の吸収が小さいため光が良く透過し、脂肪、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンのスペクトルに特徴がある600−1500nm範囲が適当である。
また、生体組織では癌などの腫瘍が成長する際には新生血管の形成や酸素の消費量が増大することが知られている。
このような新生血管の形成や酸素消費量の増大を評価する方法として、酸化ヘモグロビン(HbO2)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸収スペクトルの特徴を利用することができる。
図3は、波長600−1000nm範囲におけるHbO2とHbの吸収スペクトルである。
【0017】
生体検査装置では複数波長のHbO2とHbの吸収スペクトルから、生体組織内の血液中に含まれるHbとHbO2の濃度を測定する。
そして、複数の位置においてHbとHbO2の濃度を測定し、濃度分布の画像を作成することにより生体組織内で新生血管が形成されている領域を判別することができる。
また、HbとHbO2の濃度から酸素飽和度を算出し、酸素飽和度から酸素の消費量が増大している領域を判別することができる。
このように生体検査装置で測定したHbとHbO2の分光情報を診断に利用することができる。
【0018】
本実施例では、図3に示すようにHbとHbO2の吸収特性が入れ替わる800nmの前後の波長として、λ1=700nmとλ2=850nmの2つの波長を用いるものとする。
具体的な光源の例としては、異なる波長を発生する半導体レーザー、波長可変レーザーなどで構成すると良い。
第一照明光学系200及び第二照明光学系300は、パルス光発生器100から発したパルス光を被検体Eに導く照明光学手段である。
レーザー光源1から発したパルス光は、光ファイバー3によって第一ビームスプリッター4に導かれる。第一ビームスプリッター4に入射したパルス光は2つに分岐されて、夫々第一照明光学系200及び第二照明光学系300に導かれる。
【0019】
第一照明光学系200は、光ファイバー5、第二ビームスプリッター6、光ファイバー7及び8、レンズ9及び10から構成されている。
光ファイバー5に入射したパルス光は第二ビームスプリッター6で2つに分岐されて、夫々光ファイバー7及び8に導かれる。
光ファイバー7に入射したパルス光は、超音波検出器400に対して角度θ傾斜して設けられたレンズ9で拡大されて、超音波検出器400の片脇から被検体Eの表面を照明する。
同様に、光ファイバー8に入射したパルス光は、超音波検出器400に対してレンズ9と反対方向に角度θ傾斜して設けられたレンズ10で拡大されて、超音波検出器400の片脇から被検体Eの表面を照明する。
【0020】
第二照明光学系300は、被検体を挟んで第一照明光学系200に対向して配置され、さらに第一照明光学系200と第二照明光学系300が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように設けられている。
このような構成にすると、双方の照明光学系から同時に照射された光エネルギーは被検体Eの内部で重畳されるので、深部に到達する光エネルギーフルエンスを増やすことができる。
第二照明光学系300は、光ファイバー11、レンズ12から構成されている。光ファイバー11に入射したパルス光はレンズ12で拡大されて、被検体Eの表面に導かれる。
【0021】
本実施例においては、1台の光源とビームスプリッターを用いて第一と第二照明光学系にパルス光を導くようにしているが、夫々の照明光学系に個別に光源を設けても良い。
この場合、光エネルギーフルエンスを重畳させるために2つの光源を同期して同時に駆動することが好ましい。
この時、2つの光源を完全に同時に駆動することが好ましいが、パルス光のパルス幅以内、或は被検体Eの熱緩和時間以内に2つの光源を駆動すれば光エネルギーフルエンスが重畳する効果が得られる。
このため本発明における「同時」の意味としては、被検体Eの熱緩和時間以内、好ましくはパルス光のパルス幅以内の間に2つの光源を駆動することを「同時」であるという意味で用いることとする。
【0022】
また、夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致していることが好ましいが、各照明光強度分布の半値全幅の一部が重なっていれば、光エネルギーフルエンスが重畳する効果が得られる。
このため本発明における軸対象の中心軸が「一致」の意味としては、2つの照明領域の軸対象の照明光強度分布の半値全幅の一部が重なっている場合を「一致」しているという意味で用いることとする。
【0023】
超音波検出器400は、被検体Eの内部に発生した光音響信号Sを検出する音響信号検出手段である。第一照明光学系200と同じ面に設けられている。つまり、第一照明光学系200における被検体と向き合っている面(被検体と接触している面である場合もある。)に対向するように超音波検出器400が設けられる。ここで、「対向」とは、超音波検出器400のうち被検体にもっとも近接する面(検出面)が、上記した第一照明光学系200における被検体と向き合っている面と一致している場合も含む。
超音波検出器400は円形をしており、図1は円形の中心軸を含む面での断面図である。凹面形状の超音波振動子13がバッキング材14上に設けられ、超音波振動子13の被検体E側には音響整合層15が設けられている。
超音波振動子13にはリード線16が接続されている。
超音波振動子13は、受信した光音響信号Sによる圧力変化を電圧に変換する圧電効果を有する圧電素子で構成される。
圧電素子としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。
また、超音波振動子13の凹面の中心は吸収体αの位置に設定されており、これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
【0024】
バッキング材14は、超音波振動子13の不必要な振動を抑制するためのものである。
バッキング材14を構成する材料の例としては、ウレタン樹脂やシリコーンゴムなどがある。
音響整合層15は、光音響信号Sを効率よく伝達するために設けられている。
一般に圧電素子材料と生体では音響インピーダンスが大きく異なるため、圧電素子材料と生体が直接接した場合は、界面での反射が大きくなり光音響信号を効率よく伝達することができない。
このため、圧電素子材料と生体の間に中間的な音響インピーダンスを有する物質で構成した音響整合層15を挿入して、界面での反射を小さくすることにより光音響信号Sを効率よく伝達している。
音響整合層15を構成する材料の例としては、エポキシ樹脂や石英ガラスなどがある。
リード線16は、超音波振動子13が受信して電気信号に変換した光音響信号Sを信号解析装置500に伝えるものである。
【0025】
本実施例においては、凹面の超音波振動子を用いているが、平面の超音波振動子と音響レンズを用いても良い。また、超音波エコー装置や非破壊検査に用いられている複数個の超音波振動子をアレイ状に配列した超音波探触子を用いても良い。
上述したように、第一照明光学系200と第二照明光学系300が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器400が第一照明光学系200と同じ面に設けられている。
このような構成にすると、前述した従来例に比べて、高いコントラストで光音響信号Sを検出することができる。
また、図1の構成では、第一照明光学系200の軸対象の中心軸と超音波検出器400の中心軸を一致させている。
【0026】
図4に、超音波検出器400が受信する球状吸収体αにおける光音響信号Sを説明する図を示す。
被検体Eに照射されたパルス光は、生体組織による吸収と散乱の影響により減衰しながら深部へと伝搬する。
図のL1は第一照明光学系200から照射され被検体E内を伝播した光エネルギーフルエンスを示し、L2は第二照明光学系300から照射されたものを示している。
一般に生体組織における散乱は前方散乱が強いため、照射された光エネルギーは主に光入射軸方向に散乱して伝搬する。
このため、被検体E内の吸収体αにおける光エネルギーの吸収は、光が入射する側での吸収が大きくなる。図示の吸収体αにおける位置a及びeで光エネルギーの吸収が最も大きく、位置cとgではこれよりも小さくなる。
また、吸収体αの表層付近で光エネルギーの吸収が大きくなるので、吸収体の深部に到達して吸収される光エネルギーは小さくなる。
このような光エネルギーの吸収分布を持つ吸収体αから発生する光音響信号の圧力強度は、光エネルギーの吸収が大きい場合に高くなり、小さい場合は低くなる。
【0027】
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器400で受信すると、超音波検出器400に対する距離が近い位置a、b、h付近から発生する高い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器400から等距離にある位置c及びg付近から発生する低い圧力の信号が検出され、最後に位置d、e、f付近から発生する高い圧力の信号が検出される。
400Sは超音波検出器400が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
光音響信号Sの最初のピークは光音響における圧縮フェーズで発生するものである。一方、二番目のピークは膨張フェーズで発生するものであり、吸収体αとその周辺組織の音響インピーダンスの差により圧縮フェーズで発生した波の位相が反転した反射波である。
【0028】
図5に、超音波検出器401を第一照明光学系200と異なる面に設ける一例として、第一照明光学系200が設けられる面と直交する面に設けた従来例(特許文献1と類似)の構成を示す。
吸収体αには図4で説明したものと同様の光エネルギーの吸収分布が生じる。
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器401で受信すると、超音波検出器401に対する距離が近い位置b、c、d付近から発生する低い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器401から等距離にある位置a及びe付近から発生する高い圧力の信号が検出され、最後に位置f、g、h付近から発生する低い圧力の信号が検出される。
401Sは超音波検出器401が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
【0029】
図6に、図4の構成から第二照明光学系300を除いた従来例(特許文献2と類似)の構成を示す。
図示の吸収体αにおける光が入射する側の位置aで光エネルギーの吸収が最も大きく、次いで、位置b及びh、位置c及びg、位置d及びf、位置eの順に吸収体の深部になるほど吸収される光エネルギーは小さくなる。
このような吸収体αから発生する光音響信号Sを超音波検出器402で受信すると、超音波検出器402に対する距離が近い位置a、b、h付近から発生する高い圧力の信号が最初に検出される。
次いで、超音波検出器400から等距離にある位置c及びg付近から発生する低い圧力の信号が検出され、最後に位置d、e、f付近から発生するさらに低い圧力の信号が検出される。
402Sは超音波検出器402が受信した吸収体αから発生する光音響信号Sのプロファイルである。
【0030】
図7に、本実施例の図4の超音波検出器400の検出信号プロファイル400Sと、従来例である、図5の超音波検出器401の検出信号プロファイル401Sと図6の超音波検出器402の検出信号プロファイル402Sを比較した図を示す。
図示のように吸収体αの境界付近から発生した光音響信号Sの圧力は400Sのものが最も大きくなる。
吸収体αの位置と大きさは、吸収体αの境界から発生する光音響信号のピークから読み取った時間を用いて算出される。
【0031】
本発明は従来例と比べて高いコントラストの信号を用いて時間を読み取ることができるので、吸収体αの位置と大きさを高精度に算出することができる。
信号解析装置500は、計算処理部17と画像生成部18から構成されている。
計算処理部17は、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置を算出し、強度特性から吸収係数μaを算出する。
画像生成部18は、算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaを基にして、被検体E内の吸収係数μaの分布画像を生成する。
制御装置600は、パルス光発生器100のレーザードライバー2に接続されており、パルス光の発光するタイミング及び光強度などを制御するものである。
【0032】
また、制御装置600は、信号解析装置500、メモリー700、ディスプレイ800にも接続されている。
制御装置600は、信号解析装置500で算出した被検体E内の吸収体αの空間的な位置と吸収係数μaと吸収係数μaの分布画像をメモリー700に保存し、ディスプレイ800に被検体E内の吸収係数μaの分布画像を表示するように制御するものである。
【0033】
メモリー700としては、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリー、ハードディスク、などのデータ記録装置を用いることができる。
ディスプレイ800としては、液晶ディスプレイ、CRT、有機ELディスプレイ、などの表示デバイスを用いることができる。
【0034】
つぎに、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップについて説明する。
まず、第1のステップにおいて、被検体Eの表面に第一照明光学系200、第二照明光学系300、超音波検出器400を接触させる。不図示の測定開始スイッチを動作させると、パルス光発生器100が駆動され波長λ1=700nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第2のステップにおいて、第一照明光学系200と第二照明光学系300によって被検体Eにパルス光が照射される。
次に、第3のステップにおいて、被検体E内で発生した光音響信号Sが、超音波検出器400によって検出される。
次に、第4のステップにおいて、信号解析装置500は、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置と大きさを算出し、強度特性から吸収係数μaを算出し、吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成した画像を生成する。
次に、第5のステップにおいて、制御装置600は、算出した波長λ1の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第6のステップにおいて、制御装置600は、パルス光発生器100の発光する光の波長をλ2=850nmに設定する。パルス光発生器100が駆動され波長λ2=850nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
【0035】
以下、第2のステップ、第3のステップ、第4のステップと同様の工程を経て、第7のステップにおいて、制御装置600は、算出した波長λ2の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第8のステップにおいて、制御装置600は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像を重ね合わせてディスプレイ800に表示する。
最後に、第9のステップにおいて、測定を終了する。
【0036】
図8から図13は、第一照明光学系と超音波検出器に関する他の構成例を示す図である。
図1と同じ符号を付した部材は図1で説明したものと同じ機能を持つものである。
図8の第一照明光学系201は、図1で説明した第一照明光学系200における角度θをφに変更し、被検体と超音波検出器(音響信号検出手段)との間にスペーサ19を配置したものである。
スペーサ19はパルス光発生器100が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されている。
スペーサ19を構成する材料の例としては、ポリメチルペンテンポリマー、ポリカーボネート、アクリル、などがある。レンズ9及び10から角度φで出射した光はスペーサ19を介することにより被検体Eの表面で重畳することができる。
また、図8の構成では、図1の場合と同様に、第一照明光学系201の軸対象の中心軸と超音波検出器400の中心軸を一致させることができる。
【0037】
図9の第一照明光学系202は、光ファイバー5、レンズ20、音響光ビームスプリッター21から構成されている。
音響光ビームスプリッター21は、パルス光発生器100が発する光を反射し、光音響信号Sなどの音響波を透過するものである。
音響光ビームスプリッター21は、照射する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する前述のような材料に、照射する光に対して高反射特性を有するアルミ、銀、などの薄膜層22を設けたものである。
前述したような樹脂材料と薄膜層に用いる金属材料の音響インピーダンスの差が大きいが、金属材料の薄膜層は厚さ数μm程度であり音響波の波長に対しては十分に小さいので殆ど影響しない。
【0038】
超音波検出器403は円形の2Dアレイ探触子であり、音響光ビームスプリッター21に接して設けられている。
図9は円形の中心軸を含む面での断面図である。小さな角柱形の超音波振動子13がバッキング材14上に複数個配列されている。
超音波振動子13の被検体E側には音響整合層15が設けられている。
図1の超音波検出器400では、円形凹面超音波振動子を用いたが、超音波検出器403では複数の超音波振動子13が受信する光音響信号からSum And Delay Beamforming法を用いて所望の位置の信号を取得するようにしている。
【0039】
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ20で拡大された後に音響光ビームスプリッター21に導かれ、薄膜層22で反射されて被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体E及び音響光ビームスプリッター21の内部を伝播して、超音波検出器403で検出される。
このように図9の構成では、音響光ビームスプリッター21を用いることにより、第一照明光学系202の中心軸と超音波検出器403の中心軸を一致させることができる。
【0040】
図10の第一照明光学系203は、光ファイバー23から構成されている。
光ファイバー23の被検体E側では光ファイバーが複数に分岐されている。
超音波検出器404は、図9で説明したものと同様の2Dアレイ探触子である。複数個配列された超音波振動子13には隙間が設けられ、分岐された光ファイバー23がこの隙間に配置されている。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー23を通って被検体Eの表面に導かれる。被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器404で検出される。
このように図10の構成では、アレイ探触子の隙間から被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系203の中心軸と超音波検出器404の中心軸を一致させることができる。
【0041】
図11の第一照明光学系204は、光ファイバー5とレンズ24から構成されている。
超音波検出器405は中心部に円形開口を設けた円環形状をしており、図11は円形の中心軸を含む面での断面図である。超音波振動子13は凹面形状をしており、凹面の中心は吸収体αの位置に設定されている。
これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ24で拡大された後に、超音波検出器405の円形開口部を通して被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器405で検出される。
このように図11の構成では、超音波検出器405の円形開口部を通して被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系204の中心軸と超音波検出器405の中心軸を一致させることができる。
【0042】
図12の第一照明光学系204は、図11で説明したものと同じである。
超音波検出器406は、超音波振動子25、バッキング材26、音響整合層27から構成されている。
これらの構成部材は、パルス光発生器100が発する光に対して高透過特性と低減衰特性を有している。
超音波振動子25を構成する材料の例としては、PZNT(亜鉛ニオブ酸鉛チタン酸鉛)などを用いることができる。
バッキング材26と音響整合層27を構成する材料の例としては、図1で説明したものと同様の材料を用いることができる。
また、超音波振動子25は凹面形状をしており、凹面の中心は吸収体αの位置に設定されている。これにより吸収体αの近傍から発生する光音響信号Sを選択的に受信することができる。
パルス光発生器100から発したパルス光は、光ファイバー5を通ってレンズ24で拡大された後に、超音波検出器406を透過して被検体Eの表面に導かれる。
被検体Eの吸収体αで発生した光音響信号Sは、被検体Eの内部を伝播して、超音波検出器406で検出される。
このように図12の構成では、超音波検出器406を透過して被検体Eに光を導くことにより、第一照明光学系204の中心軸と超音波検出器406の中心軸を一致させることができる。
【0043】
このように図1及び図8から図12の構成では、超音波検出器400を第一照明光学系200側に配置した。このように、被検体に対して複数の照明光学系から両面照射を行い、そのうちの一つの照明光学系が被検体と向き合う面に対向して検出器を配置した。さらに、対向して配置されている第一照明光学系と第二照明光学系の夫々の照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、さらに第一照明光学系と同じ面に設けられている超音波検出器の中心軸を一致させている。このため高いコントラストで信号を検出することができる。
また、照明領域の軸対象の中心軸と超音波検出器の中心軸が一致していることが好ましいが、照明光強度分布の半値全幅と超音波検出領域の半値全幅の一部が重なっていれば、高いコントラストの信号を検出する効果が得られる。
このため、本発明における夫々の中心軸が「一致」の意味としては、照明領域の軸対象の照明光強度分布の半値全幅と超音波検出領域の半値全幅の一部が重なっている場合を「一致」しているという意味で用いることとする。
【0044】
図13のように第一照明光学系204と同じ面の光路と干渉しない位置で、且つ光路の近傍に超音波検出器407を設けるようにしても、従来例と比べて高いコントラストの信号を検出することができる。このような場合でも、第一照明光学系200が被検体と向き合う面に対向しているといえる。
さらに、本実施例では、波長600−1500nmを利用する一例として、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収スペクトルの特徴を利用する分光分析方法を示したが、この例に限定されるものではない。
例えば、生体組織の主要な構成物質である水、脂肪、タンパク質(コラーゲン)、等を分光分析の対象とすることも可能である。
【0045】
以上説明したように、実施例1における生体検査装置では、第一照明光学系200と第二照明光学系300が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器400が第一照明光学系200と同じ面に設けられている。
このような構成にすることにより、生体組織の深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。もちろん上記の実施形態において、第一照明光学系200側ではなく、第二照明光学系300側に超音波検出器400を配置しても構わない。
【0046】
[実施例2]
実施例2では、実施例1と異なる形態の生体検査装置の構成例について説明する。図14に、本実施例における生体検査装置の概略構成を説明する図を示す。
本実施例における基本的な生体検査装置の構成は、実施例1に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例1で説明したものと同じ機能を有するものである。
本実施例では、第一駆動機構901と第二駆動機構902を新たに設けている。第一駆動機構901は被検体Eに対する第一照明光学系205と超音波検出器403の位置を変更し、第二駆動機構902は被検体Eに対する第二照明光学系301の位置を変更するものである。
これらの駆動機構を制御して各構成部材を被検体Eに対して走査駆動することにより、被検体Eの全体の測定を可能にするものである。
【0047】
被検体Eは第一プレート25と第二プレート26の間に保持されている。第一プレート25はパルス光発生器101が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する平板である。
第一プレート25を構成する材料は、実施例1のスペーサ19と同様の材料を用いることができる。
第二プレート26はパルス光発生器102が発する光に対して高透過特性と低減衰特性を有する平板である。第二プレート26を構成する材料は、スペーサ19と同様の材料及びガラスなど用いることができる。
【0048】
第一照明光学系205は、ミラー27、29、31、32、ビームスプリッター28、レンズ30及び33から構成されている。
パルス光発生器101が発したパルス光はミラー27で反射された後にビームスプリッター28で2つに分岐される。
分岐された光の一方はミラー29で反射された後に、超音波検出器403に対して角度φ傾斜して設けられたレンズ30で拡大されて、超音波検出器403の片脇から被検体Eの表面を照明する。
分岐された他方の光はミラー31と32で反射された後に、超音波検出器403に対してレンズ30と反対方向に角度φ傾斜して設けられたレンズ33で拡大されて、超音波検出器403の片脇から被検体Eの表面を照明する。
【0049】
第一駆動機構901は、第一スライダー34、第一スライドガイド35と第一モーター36で構成されている。
第一スライダー34及び第一スライドガイド35を構成する部材の例としては、ボールネジ、リニアガイド、などを用いることができる。
第一スライダー34の中には、第一照明光学系205のミラー29、31、32、ビームスプリッター28、レンズ30及び33と超音波検出器403の一式が収められている。
第一スライダー34と第一スライダー34の中に収められた部材一式は、第一スライドガイド35と第一モーター36によって、図示の矢印の方向に駆動することができる。
【0050】
実施例1と同様に、第二照明光学系301は、第一照明光学系205に対向して配置されている。
第二照明光学系301は、ミラー37、38、レンズ39から構成されている。パルス光発生器102が発したパルス光は、ミラー37と38で反射された後にレンズ39で拡大されて被検体Eの表面に導かれる。
【0051】
第二駆動機構902は、第二スライダー40、第二スライドガイド41と第二モーター42で構成され、第一駆動機構901と同様の部材を用いることができる。
第二スライダー40の中には、第二照明光学系301のミラー38とレンズ39の一式が収められている。第二スライダー40と第二スライダー40の中に収められた部材一式は、第二スライドガイド41と第二モーター42によって、図示の矢印の方向に駆動することができる。
【0052】
制御装置601は、パルス光発生器101及び102、第一駆動機構901及び第二駆動機構902に接続されている。
実施例1の制御装置600で説明した機能の他に、第一駆動機構901及び第二駆動機構902を駆動する位置及びタイミングなどを制御するものである。
第一照明光学系205と第二照明光学系301が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように位置を駆動制御するとともに、パルス光発生器101及び102から同時にパルス光が発光されるように制御している
。このような構成で照射された光エネルギーは被検体Eの内部で重畳されるので、深部に到達する光エネルギーフルエンスを増やすことができる。
【0053】
つぎに、本実施例における生体検査装置で被検体Eの組織内部の分光特性画像を取得するステップについて説明する。
まず、第1のステップにおいて、
被検体Eを第一プレート25と第二プレート26の間に保持する。不図示の測定開始スイッチを動作させる。
次に、第2のステップにおいて、パルス光発生器101及び102が駆動され波長λ1=700nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第3のステップにおいて、第一照明光学系205と第二照明光学系301によって被検体Eにパルス光が照射される。
次に、第4のステップにおいて、被検体E内で発生した光音響信号Sが、超音波検出器403によって検出される。
次に、第5のステップにおいて、信号解析装置500により、検出した光音響信号Sの時間特性から吸収体αの位置と大きさ、吸収係数μaを算出する。吸収体αとその周囲の吸収係数μaの空間分布を再構成した画像を生成する。
次に、第6のステップにおいて、制御装置601は、算出した波長λ1の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第7のステップにおいて、制御装置601は、パルス光発生器101及び102の発光する光の波長をλ2=850nmに設定し、波長λ2=850nmのナノ秒オーダーのパルス光が発光する。
次に、第8のステップにおいて、上記第3、第4、第5のステップと同様の工程を行なう。制御装置601は、算出した波長λ2の吸収係数μaの位置情報と画像をメモリー700に保存する。
次に、第9のステップにおいて、制御装置601は、第一駆動機構901及び第二駆動機構902を駆動し、被検体Eに対して第一スライダー34と第二スライダー40の位置を次の測定位置へ変更する。
次に、第10のステップにおいて、全ての測定位置の測定が終了するまで上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9のステップと同様の工程を行なう。
次に、第11のステップにおいて、全ての測定位置の測定が終了したら制御装置601は、波長λ1及びλ2の吸収係数μaの分布画像を重ね合わせてディスプレイ800に表示する。
最後に、第12のステップにおいて、測定を終了する。
【0054】
図15、図16は実施例2の他の実施例における生体検査装置の概略構成図である。図15は側面図、図16は上面図である。
図1から図14と同じ符号を付した部材は、上述したものと同じ機能を持つものである。
本実施例では、円筒形状の被検体Eに対して回転駆動機構903を設けている。回転駆動機構903は、被検体Eに対する第一照明光学系206、超音波検出器405、第二照明光学系302の位置を変更するものである。
回転駆動機構903を制御して各構成部材を被検体Eに対して回転走査駆動することにより、円筒形状の被検体Eの測定を可能にするものである。
【0055】
被検体Eは円筒形状のハウジング43の中に保持されている。被検体Eとハウジング43の隙間はマッチング剤44が充填されている。
ハウジング43とマッチング剤44はパルス光発生器100が発する光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有するものである。
ハウジング43を構成する材料は、実施例1のスペーサ19と同様の材料を用いることができる。マッチング剤44を構成する材料は、水、ひまし油、超音波検査用ジェル、など用いることができる。
第一照明光学系206は、ミラー46、47、レンズ48から構成されている。パルス光発生器100が発したパルス光はビームスプリッター45で2つに分岐され、一方は第一照明光学系206に導かれ、ミラー46と47で反射されレンズ48で拡大される。
その後、超音波検出器405の円形開口部を通って、ハウジング43とマッチング剤44を介して被検体Eの表面を照明する。超音波検出器405は図11で説明したものと同様のものである。
【0056】
実施例1と同様に、第二照明光学系302は、第一照明光学系206に対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。超音波検出器405はハウジング43の第一照明光学系206と同じ面に設けられている。
第二照明光学系302は、ミラー49、50、レンズ51から構成されている。ビームスプリッター45で2つに分岐されたパルス光の他方は、第二照明光学系302に導かれ、ミラー49と50で反射された後にレンズ51で拡大され、ハウジング43とマッチング剤44を介して被検体Eの表面を照明する。
【0057】
回転駆動機構903は、回転ステージ52と回転ステージ52を駆動するモーター53で構成されている。回転ステージ52の中には、ビームスプリッター45、第一照明光学系206、超音波検出器405、第二照明光学系302の一式が収められている。
回転ステージ52と回転ステージ52の中に収められた部材一式は、モーター53によって、図示の矢印の方向に回転駆動することができる。
制御装置602は、上述の制御装置601で説明した機能の他に、回転駆動機構903を駆動する位置及びタイミングなどを制御するものであり、回転駆動機構903に接続されている。
【0058】
以上説明したように、実施例2における生体検査装置では、第一照明光学系と第二照明光学系が対向して配置され、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致し、超音波検出器が第一照明光学系と同じ面に設けられている。
このような位置関係を保って各構成部材を被検体Eに対して走査駆動することにより、被検体Eの全体において、深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。
【0059】
[実施例3]
図17は本発明を適用できる実施例3における生体検査装置の概略構成図である。
基本的な生体検査装置の構成は実施例2の図14に示したものと同様の構成であり、同じ番号を付した構成部材は実施例2で説明したものと同じ機能を有するものである。
本実施例では、プレート駆動機構904を新たに設けている。
プレート駆動機構904は、スライドガイド54とモーター55で構成されている。
スライドガイド54の一端は被検体Eに接している第二プレート26に結合されており、第二プレート26の位置を図示の矢印の方向に駆動することができる。スライドガイド55を構成する部材の例としては、ボールネジ、リニアガイド、などを用いることができる。
被検体Eに照射された光エネルギー強度は、生体組織内の吸収と散乱の影響を受けて著しく減衰するため深部の測定が困難となる。
このため、乳房などの被検体では、圧迫することにより被検体の内部に到達する光エネルギーを増やすことが考えられる。
【0060】
本実施例では、プレート駆動機構904を制御して、第一プレート25と第二プレート26の間に保持されている被検体Eを圧迫する機能を設けている。
第二照明光学系301は第一照明光学系205に対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。
超音波検出器403は第一プレート25上の第一照明光学系205と同じ面に設けられている。
制御装置603は、実施例2の制御装置601で説明した機能の他に、プレート駆動機構904を駆動する位置などを制御するものである。
このような装置で被検体Eを圧迫すると、内部にある球状の吸収体αは、圧迫方向に扁平になるような変形が生じる。
このように変形した吸収体αから発生する光音響信号Sの強度は異方性を持ち、扁平な領域からより強く放射される。
このため、超音波検出器403はより強く放射された光音響信号Sを検出するために、被検体Eを圧迫している第一プレート25の第一照明光学系205と同じ面に設けている。
【0061】
以上説明したように、実施例3における生体検査装置では、被検体を圧迫して照明する第一照明光学系と第二照明光学系が対向し、さらに夫々が照明する領域の軸対象の中心軸が一致するように配置されている。
また、超音波検出器が被検体の圧迫方向となる第一照明光学系と同じ面に設けられている。このような構成にすることにより、生体組織の深部にある吸収体αの境界から発生する光音響信号を高いコントラストの信号で検出することが可能となる。
従って、吸収体αの位置と大きさを高精度に測定する生体検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【図2】本発明の実施例1における被検体Eから発生する光音響信号Sのプロファイルを示す図。
【図3】本発明の実施例1における波長600−1000nm範囲におけるHbO2とHbの吸収スペクトルを示す図。
【図4】本発明の実施例1における超音波検出器が受信する球状吸収体における光音響信号Sを説明する図。
【図5】超音波検出器を第一照明光学系と異なる面に設ける一例として、第一照明光学系と直交する面に設けた従来例(特許文献1と類似)の構成を示す図。
【図6】図4の構成から第二照明光学系を除いた従来例(特許文献2と類似)の構成を示す図。
【図7】本発明の実施例1における図4の超音波検出器の検出信号プロファイルと、従来例の図5及び図6の超音波検出器の検出信号プロファイルを比較した図。
【図8】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図9】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図10】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図11】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図12】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図13】本発明の実施例1における第一照明光学系と超音波検出器の他の構成例を示す図。
【図14】本発明の実施例2における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【図15】本発明の実施例2における他の構成例を示す図。
【図16】本発明の実施例2における他の構成例を示す図。
【図17】本発明の実施例3における生体検査装置の概略構成を説明する図。
【符号の説明】
【0063】
1:レーザー光源
2:レーザードライバー
3、5、7、8、11、23:光ファイバー
4:第一ビームスブリッター
6:第二ビームスブリッター
9、10、12:レンズ
13、25:超音波振動子
14、26:バッティング材
15、27:音響整合層
16:リード線
17:計算処理部
18:画像生成部
19:スペーサ
25:第一プレート
26:第二プレート
100、101、102:パルス光発生器
200、201、202、203、204、205、206:第一照明光学系
300、301、302:第二照明光学系
400、401、402、403、404、405、406、407:超音波検出器
500:信号解析装置
600、601、602、603:制御装置
700:メモリー
800:ディスプレイ
901:第一駆動機構
902:第二駆動機構
903:回転駆動機構
904:プレート駆動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されていることを特徴とする生体検査装置。
【請求項2】
前記音響信号検出手段が配置されている側の照明光学手段と、前記音響信号検出手段とは、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記音響信号検出手段が音響信号を検出する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生体検査装置。
【請求項3】
前記第一の照明光学手段と前記第二の照明光学手段とは、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記第二の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体検査装置。
【請求項4】
前記第一及び第二の照明光学手段と前記音響信号検出手段の相互の位置関係を保ち、前記被検体に対して走査駆動する走査駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項5】
前記第一と第二の照明光学手段の間隔を変更する間隔変更手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項6】
前記被検体と音響信号検出手段との間に、前記光源手段による光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されたスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項7】
前記照明光学手段が、光ファイバーによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項8】
前記照明光学手段が、光ファイバー、レンズによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項9】
前記照明光学手段が、光ファイバー、レンズ、音響光ビームスプリッターによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項10】
前記照明光学手段が、ミラー、ビームスプリッター、レンズによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項11】
前記被検体を両側から保持する第一のプレート及び第二のプレートと、
前記第一のプレート及び第二のプレートとによる前記被検体の圧迫を制御するプレート駆動機構を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項1】
パルス光を発する光源手段と、前記光源手段によるパルス光を被検体内に導く照明光学手段と、前記被検体内に導かれたパルス光によって発生した光音響信号を検出する音響信号検出手段と、を備える生体検査装置であって、
前記照明光学手段は、前記被検体の両側に対向して配置された第一の照明光学手段と第二の照明光学手段を備え、
前記音響信号検出手段が、前記第一及び第二の照明光学手段における前記被検体と向き合っている面のうち、いずれか一方と同じ面に対向して配置されていることを特徴とする生体検査装置。
【請求項2】
前記音響信号検出手段が配置されている側の照明光学手段と、前記音響信号検出手段とは、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記音響信号検出手段が音響信号を検出する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生体検査装置。
【請求項3】
前記第一の照明光学手段と前記第二の照明光学手段とは、
前記第一の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
前記第二の照明光学手段が被検体を照明する領域の軸対称の中心軸と、
を一致させて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体検査装置。
【請求項4】
前記第一及び第二の照明光学手段と前記音響信号検出手段の相互の位置関係を保ち、前記被検体に対して走査駆動する走査駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項5】
前記第一と第二の照明光学手段の間隔を変更する間隔変更手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項6】
前記被検体と音響信号検出手段との間に、前記光源手段による光と音響波に対して高透過特性と低減衰特性を有する部材で構成されたスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項7】
前記照明光学手段が、光ファイバーによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項8】
前記照明光学手段が、光ファイバー、レンズによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項9】
前記照明光学手段が、光ファイバー、レンズ、音響光ビームスプリッターによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項10】
前記照明光学手段が、ミラー、ビームスプリッター、レンズによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【請求項11】
前記被検体を両側から保持する第一のプレート及び第二のプレートと、
前記第一のプレート及び第二のプレートとによる前記被検体の圧迫を制御するプレート駆動機構を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の生体検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−17426(P2010−17426A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182060(P2008−182060)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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