説明

生体試料の分析装置とその方法

【課題】本発明の目的は、生体試料の成分濃度の分析を行う自動分析装置に投入する検体の前処理を実施する装置において、遠心分離の良否,分析試料の量等自動的に判断してマニュアル作業の低減を図り、処理能力の向上と、処置の迅速化を達成することができる生体試料の分析装置を提供することにある。
【解決手段】容器に収納された2つ以上の種類から構成される層のうち、少なくとも1つの層に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記容器に収納され前記層を構成する生体試料の分析を行う分析装置であって、容器に光を照射する照射手段と、前記照射手段による光の照射により、前記容器を透過する透過光を検出する撮像手段を備え、前記容器は、側面の全部または一部がラベルで覆われ、前記撮像手段により検出された信号強度に基づき、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析する解析手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の中に採取した血液などの生体試料を分析する生体試料の分析装置に関し、成分の分離状態、および特に測定に使用する部分(要素)の容量の自動把握を行い、多数の項目と多数の試料の組み合わせからなる分析工程を管理する処理フローの最適化に貢献する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から生体試料を用いて成分の濃度を分析する自動分析装置が提供されてきた。そして、生体試料を自動分析装置に投入する前に行う処理(以下、前処理)や、自動分析装置への検体の搬送を自動で行う前処理システムが市場投入されている。当システムは進歩を続けており、現在までに、前処理工程の多くの部分が自動化されてきた。
【0003】
その一つが、検体のチェックに係る技術である。中でも、検体量の測定に関する技術として、例えば、特開平11−37845号公報(特許文献1),特開2001−165752号公報(特許文献2)などに記載のような、撮像手段の設置による検体量の自動検出に関する技術が発明された。
【0004】
上記の技術によると、自動分析装置に搬送される以前の段階である前処理の過程において、検体量の測定が可能となる。測定可能な項目数を事前に把握でき、処理フローが改善されるとともに、自動分析装置における詰まりエラーの防止、などの付随的な効果も得られた。また、ユーザー(検査技師)による目視チェックを不要とするなど、作業量低減にも貢献してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−46837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生体試料の一つ、血液の採取には専用の採血管を用いる。採血管にはいくつかの種類があり、用途によって使い分けがなされている。例えば、血球検査など全血を測定対象とする項目や、凝固検査など血漿を測定対象とする項目には、分離剤が含まれていない採血管を使用する。一方、生化学分析,免疫分析など血清を測定対象とする分野には、分離剤を含む採血管を使用する。この分離剤にもいくつかの種類があり、典型例としては、形状の異なるジェル状とビーズ状のものが存在している。
【0007】
これらの検体に前処理の一環である遠心分離処理を施すと、外見的な違いが顕著となる。具体的には、遠心分離後、分離剤を含まない採血管は2層構造が形成されるのに対し、分離剤を含む方は3層構造となる。また、ジェル状の分離剤は各層を比較的明確に分離するのに対し、ビーズ状の分離剤は分離した層の境界に縺れて双方に混じりこむことがある。
【0008】
そして、検体搬送自動化システムには、上記の多種類の検体が混在して投入される。扱う採血管の種類によって外見的な特徴に違いが生じ、光学的な特性も異なってくるため、流れてくる全ての検体に適用可能な測定方法がなく、検体量の判定には困難を強いられていた。
【0009】
特許文献1には、遠心分離に失敗した検体容器について、開栓処理を省略する検体搬送装置が記載されている。しかし、遠心分離に失敗したか否かを判断する手法については、開示されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、生体試料の成分濃度の分析を行う自動分析装置に投入する検体の前処理を実施する装置において、遠心分離の良否,分析試料の量等自動的に判断してマニュアル作業の低減を図り、処理能力の向上と、処置の迅速化を達成することができる生体試料の分析装置を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、次の通りである。
【0013】
すなわち、代表的なものの概要は、容器に収納された2つ以上の種類から構成される層のうち、少なくとも1つの層に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記容器に収納され前記層を構成する生体試料の分析を行う分析装置であって、容器に光を照射する照射手段と、前記照射手段による光の照射により、前記容器を透過する透過光を検出する撮像手段を備え、前記容器は、側面の全部または一部がラベルで覆われ、前記撮像手段により検出された信号強度に基づき、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析する解析手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、別の代表的なものの概要は、容器に収納された生体試料の分析を行う生体試料の分析装置であって、前記容器は、側面の全部または一部がラベルで覆われ、
前記容器の存在を検知しIDを識別する識別手段と、前記容器の側面に、前記ラベルによる減光を受けやすい性質を持つ光を照射する第一照射手段と、前記容器の側面に、前記ラベルを透過させる性質を持つ光を照射する第二照射手段と、前記第一及び第二の照射手段から放出された光が、前記容器を透過する透過光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像した画像を処理する解析手段を備え、前記撮像手段により検出された信号強度に基づき、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析する解析手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に記載すると以下の通りである。
【0016】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、従来の方法と異なり、容量の計測を行う部分を直接測定対象とするのではなく、不確定な要素を含む領域をあえて除外し、ラベルの有無にそもそも影響のない部分を選択して解析することによって、測定精度を向上することができる。また、血液の比率を外部パラメータとして用いることで、より、正確な測定値を提供することが可能となる。そして、システムが扱う全検体に対して一貫した処理手順が存在し、これを採用することで処理の簡便化をはかることができる。
【0017】
また、採血管内に存在する血清の容量に関する情報が得られることで、測定項目の優先順位付けが可能となる。また、成分の分離状態の検知結果から、遠心分離の実施の有無を自動判定することにより、従来必要だった遠心処理に関する情報をマニュアル入力する作業を減らすことができる。これらの結果、検体処理フローをより効率的なものに改善できる。
【0018】
また、ラベルが被覆されていない隙間を探すために検体を回転させる動作が不要となることや、試験管ごとに適切な方法を切り替える等の対応が不要となり、扱う試験管や試料の分離状態によらず一貫した処理を施すことができ、結果報告までの時間短縮が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の投入モジュール近辺または遠心分離モジュール近隣に設置されたユニットの構成を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るユニットの構成を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の容器と生体試料を説明するための説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置で取得した生体試料に対する光の透過量のプロファイルを説明するための説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の撮像機構と処理を含む全体処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の撮像機構と処理を含む処理の一部を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の投入モジュールに配置されたユニットを示す構成図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置で取得した生体試料に対する光の透過量のプロファイルを説明するための説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の投入モジュールに配置されたユニット22における全体処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
図1〜図3により、本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の全構成を示す構成図であり、患者から採取した生体試料(血液)を前処理して、自動分析装置で分析する構成を示している。図2は本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の遠心モジュールと配置されたユニットを示す構成図、図3は本発明の一実施の形態に係るユニットの構成を示す構成図である。
【0022】
図1において、生体試料の分析装置は、搬送ライン2,投入モジュール3,遠心分離モジュール4,開栓モジュール5,バーコード103など識別子を貼付するラベラ6,分注モジュール7,閉栓モジュール8,分類モジュール9,収納モジュール10、を基本要素とする複数のモジュールからなる前処理システム1と、取得する各種データを解析する解析手段80および前処理システム1全体を制御する制御手段90と、その先に接続された生体試料の成分を分析する自動分析装置11とから構成されている。そして、本実施の形態の特徴となるユニット21は遠心分離モジュール4に設置されている。
【0023】
各モジュールの役割を簡潔に記載する。まず、投入モジュール3は、検体110を生体試料の分析装置内に投入する部分である。遠心モジュールは、投入された検体に対して遠心分離を行う。開栓モジュールは、遠心分離された検体の開栓を行い、分注モジュールでは自動分析装置に検体を分配するための小分けの分注を行う。ラベラ6はその小分け用の容器に識別子(例、バーコード103)を貼付する。閉栓モジュール8は検体の開栓を行い、収納モジュール10は検体容器の分類を行う。
【0024】
図2において、遠心分離モジュール4を構成する主な要素は、搬送ライン2,遠心機30,アダプタ40,チャック50,グリッパ51である。ここで、アダプタ40は遠心機30に投入する検体を一時的に貯蓄する機構、チャック50はラインを移動してくる検体をアダプタに移載するための機構、グリッパ51はアダプタ40を遠心機30に移載するための機構である。また、搬送ライン2には、検体を載せたホルダを主に搬送する上流2aと、主に検体を載せていないホルダを主に搬送する下流2bがあり、それぞれ図の矢印(60〜67)の方向に稼動する。
【0025】
そして、本発明の一実施の形態に係るユニット21は、図2に示す位置に設置されている。搬送経路2の一部はユニット21の内部を通過する。途中に2つの分岐点(71,72)が存在し、それぞれ生体試料の分析を行う位置となる。分析結果は、以後の検体の処理フロー・行き先を決定する判断材料として用いられる。また、分岐点にはホルダを識別するRFIDの読書き手段が埋め込まれており、分析結果は即座にホルダのRFIDに情報として記録される。
【0026】
図3において、ユニット21を構成する主な要素は、2つの照射手段(201,202),1つの撮像手段211,撮像手段211で取得した画像を解析する解析手段80,2つの照射手段(201,202)および撮像手段211を制御する制御手段90である。
【0027】
本実施の形態では、照射手段(201,202)には白色光源を用いる。光量が強いと効果が大きいため、光源にレーザを採用するのも有効である。
【0028】
また、撮像手段211にはCMOSを用いる。またはCCDでもよい。撮像手段211は回転軸212に設置され、図の矢印213の方向に回転できる構造となっており、1つの撮像手段で2つのポジション(71,72)の撮像が可能とする。また、採血管の全体が写るように、距離・絞り・焦点がそれぞれ調整されている。
【0029】
また、搬送ライン2と接続する部分には、外光が入りこまぬよう、黒地の膜220が設置されている。
【0030】
そして、撮像手段211の先には、画像データの取得と解析を行う解析手段80が接続されている。照射手段(201,202),撮像手段211は、制御手段90からの電気的信号による指令により制御されている。
【実施例1】
【0031】
次に、本発明の一実施の形態に係る分析装置のユニット21による測定の詳細について説明する。
【0032】
まず、図4により、扱う検体110について説明する。
【0033】
図4は、本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の容器とホルダおよび生体試料を説明するための説明図である。生体試料の採取は、専用の採血管102を用いて行う(図4(g))。また、システム内では、採血管102は専用のホルダ101に架設して搬送される(図4(h))。
【0034】
検体110にはいくつかの種類があり、外見上の違いに着目すると、6つに分類することができる。
【0035】
図4(a)はジェル状の分離剤131を含み、遠心分離処理がされていない検体111、図4(b)はビーズ状の分離剤132を含み、遠心分離処理がされていない検体112、図4(c)は分離剤を含まず、遠心分離処理がされていない検体113である。
【0036】
上記3種の検体はともに、採取時の全血121の状態である。
【0037】
図4(d)はジェル状の分離剤131を含み、遠心分離処理が既にされている検体114、図4(e)はビーズ状の分離剤132を含み、遠心分離処理が既にされている検体115である。
【0038】
図4(d),(e)ともに、遠心分離により、血清122からなる層と血餅123からなる層に分離されている。
【0039】
図4(f)は、分離剤を含まず、遠心分離処理が既にされている検体116である。
【0040】
この検体は、血漿124からなる層と血球125からなる層に分離されている。
【0041】
次に運用について説明する。
【0042】
採血管102には、ラベル(バーコード)103が貼付されている。このラベル103には、患者のID・測定項目・診断項目・個人情報・パラメータ情報などが印字されている。また、実際の運用では、採血管102の径とラベル103の大きさの関係によっては、採血管102側面全体がラベルで覆われてしまうことがある。また、場合によっては出荷時に貼付しているラベルの上に重貼りすることもある。そのため内部は通常、容易には目視することのできない状態にある。本発明の特徴は、これらの特殊事情において、検体ごとに手法を変えることなく、一貫した処理手順で、生体試料の容量を正確に測定する方法を提案することにある。
【0043】
そのために、プロファイルの形状から、内部の状態を把握し、図4のいずれの状態にあるかどうかを判断する。以下の処理フローにより説明する。
【0044】
時系列に沿って検体の処理手順(処理フロー)を説明する。
【0045】
まず、採取した検体は採血管102ごとホルダ101に架設され、投入モジュール3を介してシステム内に投入される。分析装置に投入された検体110は、先述のように、投入モジュール3を経て、遠心分離モジュール4に搬送されてくる。
【0046】
遠心分離モジュール4に入ると、検体110は矢印60の方向に進み、初めの計測点である分岐点71に到達する。
【0047】
分岐点71では、検体110は、制御手段90の指令により、遠心分離モジュール4に立ち寄る方向(矢印62)または、遠心分離モジュール4に入らず通過する方向(矢印61)のどちらかに進む。なお、この分岐点71の底には、ホルダ101に設置するRFIDの読書き機能(図示せず)が備わっている。
【0048】
分岐点71で検体110aは一時停止する。一時停止すると、RFID読み取り機能を介して、検体が存在しているという情報が制御手段90に伝わる。この情報を合図に、測定が開始する。制御手段90は、撮像手段211が検体110aの方向を向くよう指令し、それまで任意の方向を向いていた撮像手段211が検体110aの方向を向く。次に、制御手段90は照射手段201と撮像手段に指令を出し、照射手段201が照射しそれと同時に撮像手段211による撮像が行われる。
【0049】
撮像で取得するデータは、解析手段80に送信される。解析手段80は、データの解析を行う。解析結果は制御手段90に送信され、解析結果の情報を基に、検体の行き先を指令する。
【0050】
解析について以下説明する。
【0051】
図5,図6により、本発明の一実施の形態に係る分析装置のユニット21により撮像した画像データの特徴と解析方法(処理フロー)について説明する。
【0052】
図5は本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置で取得した生体試料に対する光の透過量のプロファイルを説明するための説明図であり、図6は本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の撮像機構と処理を含む全体処理を示すフローチャートである。
【0053】
最初の分岐点71で得るべき情報は、流れてきた検体110aに対する遠心分離の実施の有無である。この情報は、検体110aに対する次の行き先の判断、すなわち検体を遠心分離モジュール4に立ち寄らせるか通過させるかを判断するために使用される。
【0054】
この点、遠心分離の実施の有無は、分離剤の位置または境界数により判定することが可能である。すなわち、分離剤に着目すると、遠心分離が実施されていない検体(111,112)では、分離剤は採血管の底に存在する[図4(a),(b)]。一方で、遠心分離が実施されている検体(114,115)では、分離剤は採血管の中央部分に存在する[図4(d),(e)]。また、分離剤の無い場合については、遠心分離が未実施の検体113は1つの層であるのに対し[図4(c)]、実施済みの検体116は2つの層から構成される[図4(f)]。これらの特徴は、次に説明するように、検体110に対する光の透過量の違いとして表れる。光の透過量のプロファイルに見られる特徴を利用して、遠心分離の実施の有無を見分けることとする。
【0055】
なお、光の透過性について、分離剤(131,132)は光をよく通過させるのに対し、全血121・血餅123・血球125の層は光をあまりよく透過させない。また血清122・血漿124は、やや透過する程度であることが知られている。本発明は、この自然現象に着目し、性質を利用したものである。
【0056】
本発明の一実施の形態に係る分析装置のユニット21で、検体110aを照射したときに得られる透過量を図5に示す。横軸は、採血管に対する位置で、原点側が採血管の上面側(栓104に近い側)にあたる。なお、横軸の座標は採血管102の側面上の位置を示すため、対応をわかりやすくするために採血管の図を並べて示した。縦軸は、光の透過量で、最も透過する部分(通常はラベル・含有物が存在しない部分)の透過量を基準として規格化している。
【0057】
次に、透過量の特徴について、分離剤の状態ごとに説明する。
【0058】
(i)ジェル状の分離剤131を含み、遠心分離が実施されていない検体111。
【0059】
図5(a)に透過量のプロファイル141を示す。採血管のみの部分を通過した光の量(141a)が最も多く、ラベルの影響で透過量は減少する(141b)。全血121の部分は光を通さないため透過量は0に近い値となる(141c)。なお、全血121の部分は、ラベル103の有無に関わらず透過率は0に近い値まで減少するため、この領域はラベル103の影響を受けにくい領域となる。分離剤131の部分では透過量が増え(141d)、ラベルがない部分ではさらに透過量が増加する(141e)。なお、ラベル103の上面の位置が全血121の上面より低い位置にある場合は、ラベル103の影響による光量の減少(141b)の段階は踏まず、採血管102の透過量(141a)から一気に0に近い値(141c)に落ち込む。
【0060】
(ii)ビーズ状の分離剤132を含み、遠心分離が実施されていない検体112。
【0061】
図5(b)に透過量のプロファイル142を示す。特徴は、前記ケース(i)(141,図5(a))とほぼ同様である。ただし、分離剤132の部分について、ビーズの形状であるため、層全体から透過してくるジェル状の分離剤131の透過量と比較してやや遮光されている(142a,142b)。
【0062】
(iii)分離剤を含まず、遠心分離が実施されていない検体113。
【0063】
図5(c)に透過量のプロファイル143を示す。全血121により遮光される部分が多くの領域を占める(143a)。原点(143b)近くでは、採血管102のみを通過してきた光とラベルによる遮光の影響がみられる(143c,143d)。また、採血管102の底部の局面がレンズ効果となり、検出する光量が局所的に上昇する(141e)。
【0064】
(iv)ジェル状の分離剤131を含み、遠心分離が実施されている検体114。
【0065】
図5(d)に透過量のプロファイル144を示す。ケース(i)と同様、採血管102の上の部分では、採血管のみの部分を通過した光の量(144a)が最も多く、ラベルの影響で一旦透過量は減少する(144b)。さらに、血清122の遮光で透過量が減少する(144c)。その後、分離剤131の影響で透過量が上昇し(144d)、血餅123の部分で再び減少し0に近い値(144e)となる。なお、血餅123の部分は、ラベル103の有無に関わらず透過率は0に近い値まで減少するため、この領域はラベル103の影響が無い領域となる。また、採血管102の底部の局面におけるレンズ効果で、検出される光量が局所的に上昇する点が存在する(144f)。
【0066】
(v)ビーズ状の分離剤132を含み、遠心分離が実施されている検体115。
【0067】
図5(e)に透過量のプロファイル145を示す。特徴は、前記ケース(iv)(144),図5(d))とほぼ同様である。ただし、分離剤132の部分について、層全体から透過してくるジェル状の分離剤131の透過量と比較してやや遮光されている(145a)。
【0068】
(vi)分離剤を含まず、遠心分離が実施されている検体116。
【0069】
図5(f)に透過量のプロファイル146を示す。分離剤(131,132)による透過量の上昇が無い以外は、上記ケース(iv),(v)とほぼ同等である。
【0070】
上記の特徴を利用し、一貫した手順で遠心分離の有無を見極める。そこで、次のフローにしたがって処理することとする。
【0071】
図6にフローチャートを示す。照射手段を照射し(S101)、透過量のデータを取得し(S102)、その後、解析の工程に入る。
【0072】
まず、分離剤が含まれ、遠心分離が未実施の検体(111,112)を特定する。前記(i)〜(vi)に共通する特徴として、分離剤が底に有るケースでは、幅をもつ透過量が大きい部分(フラット部分)が存在する[図5(a)の141d,141e、図5(b)の142a,142b]。一方、分離剤が底に無いケースでは、透過量の大きな領域は存在しない。この特徴は、ラベルの有無や、貼り付けた位置などの条件によらず抽出できる内容である。前述のデータのうち、採血管102の底部の透過量を測定する(S103)。測定した部分に透過量の多い領域が幅広く存在する場合は、分離剤を含んでいて遠心処理が未実施の検体(111,112)とみなす(S104)。
【0073】
一方、透過量の多い領域がない場合は、検体110aの状態は、図5(c)〜図5(f)に示す4つの種類のいずれかに該当する。この4つの中で遠心分離が実施されていない検体は図5(c)のみであり、この検体113はプロファイルに見られる境界数に着目して特定することができる。
【0074】
境界数を数える方法を説明する。まず、図5(c)〜図5(f)に共通する特徴としては、採血管102の底の部分で、局所的に光量が大きくなっている点が挙げられる。採血管102の局面がレンズとして働くためである。まず、この局所的に光量が上がる点(143e[図5(c)],144f[図5(d)],145b[図5(e)],146a[図5(f)])を見つける。この点を起点に、検体110のa上部の方向に透過量を走査する。走査中に透過量が急激に上昇する点または急激に減少する点を数える。この数を境界数Nとする。例えば、図5(c)では、局所的に透過量の多い点(143e)から採血管113の上面の方向に向かって透過量を走査すると、1回目の上昇点(143f)と、2回目の上昇点(143g)があり、Nは2となる。また、図5(d)では、3つの上昇点(144g,144i,144j)と1つの減少点(144h)があり、Nは4となる。同様に、図5(e)ではNが4、図5(f)ではNが3となる。なお、ラベル103の上面と、生体試料の上面が重なるような場面では、ラベル103による遮光の減少がなくなるため、Nは上記の値からそれぞれ1小さい値となる。
【0075】
以上のように境界数をカウントし(S105)、境界数が1の場合は、遠心分離が未実施の検体(113)とみなす(S104)。一方、境界数が3以上のものは、遠心分離が実施済みの検体(114,115,116)とみなす(S106)。なお、境界数2の場合については、(i)分離剤を含まず遠心分離が実施されている検体(116)で血漿124の上面とラベル103の上面が重なっている状態と、(ii)分離剤を含まず遠心分離が実施されていない検体(113)の状態、の2つの可能性がある。これを識別する方法として、1回目に透過量が急激に上昇する点の位置(143f,146b)を求め(S107)、この位置が採血管の中心位置より上部に近い位置にあれば、後者(ii)と判断する。
【0076】
上述の処理フローに従い、遠心分離の実施の有無を判定する。遠心分離が未実施の検体は遠心モジュールに投入する必要がある(S108)。制御手段90は、分岐点71において、検体を矢印62の方向に移動するよう指令する。一方、遠心分離が既に実施されている検体は、遠心分離モジュール4を通過させてよい(S109)。制御手段90は、分岐点71において、検体を矢印61の方向に移動するよう指令する。
【0077】
なお、解析手段80は、上記フローについてアルゴリズム化したプログラムを備える。
【0078】
次に分岐点72における測定について説明する。
【0079】
分岐点72には、遠心分離が終了した検体が矢印65から搬送されてくる。この他、分岐点71で遠心分離モジュール4に投入されなかった検体が搬送される。分岐点72においても、測定のため検体は一時停止する。
【0080】
分岐点72でも、分岐点71と同様に、制御手段90の制御を受け、撮像手段211が検体110bの方向を向き、検体に向けて照射手段202が照射され、同時に撮像手段211が撮像を行う。撮像で取得するデータは、解析手段80に送信され、解析に付される。解析結果は制御手段90に送信され、解析結果の情報を基に、検体の行き先を指令する。
【0081】
分岐点72における検体は、全て遠心分離が実施された検体であり、得られる透過率のデータは、図5(d)〜(f)の3種類に絞られる。ここでは、自動分析装置の測定対象となる血清122または血漿124の上面の位置を測定する。その方法を以下に説明する。
【0082】
検体量の測定は、分離剤(131,132)を含む検体(114,115)と、含まない検体(116)に分けて行う。分離剤は光を透過させる性質を持つため、分離剤(131,132)を含む場面では、透過量が大きくなる部分が存在する(144d,145a)。両者の分類は、この特徴を利用して行う。
【0083】
図7により、実際の手順を説明する。図7は、本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の撮像機構と処理を含む処理の一部を示すフローチャートである。光源を照射し(S201)、透過量のデータを取得し(S202)、その後解析を行う。まず、採血管の底面の位置に相当する局所的に光量が上がる点L1(144f[図5(d)],145b[図5(e)],146a[図5(f)])を見つける(S203)。この点を起点に、検体110の上部の方向に透過量を走査する。走査中に透過量が急激に上昇する点L2(144g[図5(d)],145c[図5(e)],146b[図5(f)])を特定し(S204)、記録する。L2とL1の距離(L2−L1)は血餅123または血球125の層の厚みを表す。なお、先述したように、この血餅123または血球125の領域はラベル103の有無に関わらず透過量が0に近い値となる部分である。ラベル103の影響を受けない領域に着目して位置を検出することで、検出精度が高くなる。
【0084】
さらに、透過量の走査を続け、透過量が急激に減少する点L3(144h[図5(d)],145d[図5(e)])の存在を調べる(S205)。急激に減少する点が見つかる場合は分離剤(131,132)を含む検体であり、見つからない場合は分離剤を含まない検体である。前者の場面については、L3とL2の距離(L3−L2)が分離剤(131,132)の層の厚みを表す。
【0085】
次に、L1,L2,L3を用いて、血清122または血漿124の層の高さを見積もる。血液成分はほぼ一定の比率組成され、血清122と血餅123あるいは血漿124と血球125の体積比はおよそ55:45であることが知られている。この性質を利用すると、分離剤を含む検体(114,115)における血清122の上面の位置は(L2−L1)+(L3−L2)+(L2−L1)*55/45、すなわち、(−100L1+55L2+45L3)/45、分離剤を含まない検体116における血漿124の上面の位置は(L2−L1)+(L2−L1)*55/45、すなわち、(−100L1+100L2)/45、でそれぞれ求めることができる(S206〜S208)。最後に、容量を算出する。具体的には、血清層の幅((L2−L1)*55/45)*π*3.14*(採血管の内径/2)2、で導出される。
【0086】
採血管102にラベル103を貼り付ける作業はユーザーの手作業で行われるものであるため、ラベルの位置には検体ごとに個体差が生じる。また、採血量も検体ごとに個性差がある。しかしながら、ラベルの位置と血清122・血餅123の上面との相対的な位置関係に関わらず、透過量のプロファイルは類似のパターンとなるため、このプロファイルのパターンを利用することで、ラベルがあったとしても、容易に採血管102の中の層状態を把握することができる。
【0087】
以上のようにして求めた血清122,血餅123の上面の位置情報は、制御手段90に伝わり、後に行う検体の吸引のパラメータや測定項目の優先順位付け等に使用される。測定が終了した検体110bは、矢印66の方向に搬送される。
【0088】
なお、解析手段80は、上記フローについてアルゴリズム化したプログラムを備える。
【0089】
また、分岐点72において、検体量の測定を行っているが、すでに遠心分離がされているものについては、分岐点71においても同じ原理で測定可能である。
【0090】
この方法は、光の透過率について、バーコードラベル103の被覆による影響を受けない部分のデータから解析を行う計測方法であり、ラベル103が貼付されている位置に関わらず適用することができることに最大の利点がある。また、システムが扱う全種類の検体に適用できるフローチャートを構築したことにより、検体の種類ごとに切替えが不要な画一処理を可能とする。これにより、従来の処理方法で必須機能であった、印字部分の有無に応じた光量調整や、ラベルの有無を確認するための試験的撮影が不要となり、この結果撮像回数低減による処理時間短縮が図れる。また、バーコード103が印字されていない面や、ラベルが貼付されていない面を探すための容器回転動作が不要となる。
【0091】
以上の実施の形態を実現することにより、遠心分離の実施の自動判定により、得遠心処理が検体を遠心分離モジュール4に立ち寄らせずに通過させることができ、処理時間の短縮と処理効率の向上、およびスムーズな運用が可能となる。また、遠心分離の必要性を個別に装置に入力するユーザーの作業手間も省略できる。また、採血管内に存在する血清の容量に関する情報が得られることで、測定項目の優先順位付けが可能となり、この結果、検体処理フローの改善が期待できる。
【実施例2】
【0092】
上記の生体試料の分析装置を投入モジュール3の近辺に設置(22)する場合。
【0093】
図8により、本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の構成について説明する。図8は本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の投入モジュールに配置されたユニットを示す構成図である。
【0094】
図8において、本発明に係るユニット22を構成する主な要素は、2つの照射手段(203,204),撮像手段221、これらを制御する制御手段90、データの解析を行う解析手段80である。ここで、照射手段(203,204)について、1つは可視領域の波長をもつ光を照射する第一の照射手段203、もうひとつは、ラベルに対し透過性がある長波長の光(例えば、赤外光,ミリ波など)を照射する第二の照射手段204を採用する。
【0095】
当ユニット22は、検体について、遠心分離処理の実施の有無と、自動分析装置で測定対象となる部分の容量ならびに上面の位置を測定することを目的とする。
【0096】
当ユニット22が扱う検体は、前実施例と同じく、図4(a)〜(f)に示す6種類の検体である(111〜116)。
【0097】
各種類の検体に対する可視光の透過率は、図5(a)〜(f)に示す通りである。
【0098】
一方、ラベラに透過性のある光の透過率について。分離剤の部分は、可視光と同様、よく透過する。また、血餅123,血球125の部分はほとんど透過しない。しかし、可視光と異なり、血清122と血漿124に対し不透明である。図9にその概略を示す。
【0099】
図9(a)はジェル状の分離剤を含み遠心分離済みの検体114に対する第二光源の透過量のプロファイルである。
【0100】
図9(b)はジェル状の分離剤を含み遠心分離が未実施の検体111に対する第二光源の透過量のプロファイルである。
【0101】
図9(c)は分離剤を含まず遠心分離済みの検体116に対する第二光源の透過量のプロファイルである。
【0102】
図9(d)は分離剤を含まず遠心分離が未実施の検体113に対する第二光源の透過量のプロファイルである。
【0103】
なお、ビーズ状の分離剤には透過性がないため、長波長による検体の同定は困難であることから、当ケースについての図面は用意しない。
【0104】
そこで、全ての種類を画一的に扱うために、専用のフローチャートを構築する。図10により、時系列に沿って検体の処理手順を説明する。図10は、本発明の一実施の形態に係る生体試料の分析装置の投入モジュールに配置されたユニット22における全体処理を示すフローチャートである。
【0105】
採血された検体110はホルダ101に設置され、投入モジュール3に投入される。その後、図8に示すユニット22に搬送される。ユニット22内の適切な測定位置73で検体は一時停止する。停止位置の下部にはRFIDの読取機能が付いており、搬送されてきた検体を認識する。
【0106】
検体を認識すると、制御手段90は、第一の照射手段203を照射する(S301)。2つの照射手段(203,204)は初め最下部に存在するものとし、駆動モータ205を通して、照射手段203を上方向に移動し、適正な位置で停止させる。光源の照射と同時に撮像手段221が撮像を行い、透過量データを取得する(S302)。当データを解析手段80に転送し解析する。
【0107】
初めに、ビーズ状の分離剤(132)の存在を探知する(S303)。最初に取得する画像は、可視光で撮像した画像であるため、画像のエッジ検出処理による含有物の形状確認が可能であり、そこからビーズ状の形状があるか確認する。ビーズ状の形状があれば、その瞬間、ビーズ状の分離剤(132)が含まれるものと判断する。次に、採血管102の底部の透過量を確認する(S304)。底部に、透過量が大きい部分が幅を持って存在する場合、図5(b)の状態に相当するとして遠心分離が未実施の検体112と特定する(S305)。一方、底部に、透過量が大きい部分が見つからない場合は、図5(e)の状態に相当するとして遠心分離が実施済みの検体115と特定する(S306)。前者の検体112については、採血管の底の部分から上部に向かって透過率の走査を行い、透過率が0に近い値になる点L4を特定し(S307)、さらに走査を行い透過率が急激に上昇する点L5を特定し(S308)、L5を検体の上面とする(S309)。また、遠心分離後に得られる血清の層の厚みを、(L5−L4)*0.55で算出する。なお、血清の容量はおおよそ全血の容量の55%であるという情報を用いている。一方、後者の検体115については、前の実施例における図5(e)に用いた解析方法と同様の方法で、血清122の上面の位置と血清量を見積もる(S310〜S313)。
【0108】
ビーズ状の形状が無い場合は、ビーズ状の分離剤(132)は含まれていない。この場合、次の手段として、第二の照射手段204を照射する。第二照射手段204からの光はラベル透過性がある。この照射手段204も最初は最下部の位置に存在し、制御手段90の指令により上方向に移動し、適切な照射位置で停止する。この移動の間、別の照射手段203は上方向に移動し、最上部で停止する。第二照射手段204が照射し(S314)、撮像手段221が撮像を行う。データを取得し(S315)、解析手段80において解析される。以後の解析は、図9のデータを用いて行う。なお、この照射手段204から発する光は波長が長く、ラベル103とは干渉しないため、ラベル103の有無に係らず同様のデータが得られるのが特徴である。
【0109】
次に、採血管102の底から透過量を走査し、急激に変化する点の数をカウントする(S316)。
【0110】
透過量が急変する点の数が2個以上の場合は、分離剤131が含まれる検体(111,114)[図9(a)または(b)]。次に、遠心分離の実施の有無を判定するため、分離剤131の位置の特定を試みる。先術した通り、分離剤131の部分は透過率が大きいため、採血管102の底部の透過量を確認し(S317)、底部の透過量が大きい場合は分離遠心分離が未実施の検体111(S318)、底部の透過率が小さい場合は遠心分離が実施済みの検体114(S319)、と判定する。前者の検体111については、採血管の底の部分から上部に向かって透過率の走査を行い、透過率が0に近い値になる点L6と、透過率が急激に上昇する点L7を特定し(S320)、L7を検体の上面とする(S321)。そして再び、血清と血餅の体積比率が55:45であることを利用し、遠心分離後に得られる血清の層の厚みを、(L7−L6)*0.55で算出する。後者の検体114については、前の実施例における図5(e)における解析方法と同様の方法を図9(a)に適用し、血清122の上面の位置と血清量を見積もる(S322〜S324)。
【0111】
一方で透過量が急変する点の数が1個の場合は、分離剤が含まれない検体(113,116)のいずれかである[図9(c)または(d)]。ここで、図9(c)と図9(d)における透過量のプロファイルは類似の形をしているため、このデータのみから遠心分離の実施の有無を見分けるのは困難である。しかし、第一の照射手段203で照射した光で撮影したデータと比較することで見分けることが可能となる(S325)。まず、第二の照射手段204で照射した光による透過量のデータから、急激に変化する点(153a,156a)を見つける。この点を起点に、可視光による透過量のデータを採血管102の底方向に向かって走査する。走査中に、透過量が急激に減少する現象(146b)があれば遠心分離が実施済みの検体116[図5(f)](S326)、当該現象が無ければ遠心分離が未実施の検体113[図5(c)](S327)と、判定する。前者の検体116については、血漿量の算出については、前の実施例における図5(f)に用いた解析方法により、血漿124の上面の位置と血清量を見積もる(S328〜S329)。一方、後者の検体113については、採血管の底の部分L8から上部に向かって透過率の走査を行い、透過率が急激に上昇する点L9を特定し(S330)、検体の上面とする(S331)。そして再び、血漿と全血の体積比率が55:100であることを利用し、遠心分離後に得られる血漿124の層の厚みを、(L9−L8)*0.55で算出する。
【0112】
厚みのデータにより容量も算出される。以上で得られる情報を制御手段90に送信する。制御手段90は、検体110bに遠心分離モジュール4に立ち寄るかどうかの指示を行う(S332,S333)。また、血清量のデータは、検体の吸引のパラメータや測定項目の優先順位付け等に使用される。
【0113】
なお、解析手段80は、上記フローについてアルゴリズム化したプログラムを備える。
【0114】
以上、本発明によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種主変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0115】
1 検体前処理システム
2 搬送ライン
3 投入モジュール
4 遠心分離モジュール
5 開栓モジュール
6 ラベラ
7 分注モジュール
8 閉栓モジュール
9 分類モジュール
10 収納モジュール
11 自動分析装置
21,22 ユニット
30 遠心機
40 アダプタ
50 チャック
51 グリッパ
60〜67,213 矢印
71 分岐点(1回目)
72 分岐点(2回目)
73 測定位置
80 解析手段
90 制御手段
101 ホルダ
102 採血管
103 ラベル(バーコード)
104 栓
110 検体
111 検体(ジェル状分離剤を含み遠心分離処理が未実施)
112 検体(ビーズ状分離剤を含み遠心分離処理が未実施)
113 検体(分離剤含まず遠心分離処理が未実施)
114 検体(ジェル状の分離剤を含み遠心分離処理済み)
115 検体(ビーズ状の分離剤を含み遠心分離処理済み)
116 検体(分離剤を含まず遠心分離処理済み)
121 全血
122 血清
123 血餅
124 血漿
125 血球
131 分離剤(ジェル状)
132 分離剤(ビーズ状)
141 第一光源による透過量プロファイル(検体111に対応)
142 第一光源による透過量プロファイル(検体112に対応)
143 第一光源による透過量プロファイル(検体113に対応)
144 第一光源による透過量プロファイル(検体114に対応)
145 第一光源による透過量プロファイル(検体115に対応)
146 第一光源による透過量プロファイル(検体116に対応)
153 第二光源による透過量のプロファイル(分離剤含まず遠心分離が未実施)
156 第二光源による透過量のプロファイル(分離剤含まず遠心分離実施済み)
201,202,203,204 照射手段
205,206,207 駆動モータ
211 撮像手段
212 回転軸
220 黒地膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収納された2つ以上の種類から構成される層のうち、少なくとも1つの層に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記容器に収納され前記層を構成する生体試料の分析を行う分析装置であって、
容器に光を照射する照射手段と、
前記照射手段による光の照射により、前記容器を透過する透過光を検出する撮像手段を備え、
前記容器は、側面の全部または一部がラベルで覆われ、
前記撮像手段により検出された信号強度に基づき、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析する解析手段を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
請求項1の分析装置において、
前記解析手段は、前記撮像手段により検出された信号強度の変化する位置及び数に基づいて、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析することを特徴とする分析装置。
【請求項3】
請求項1の分析装置において、
前記容器に収納された前記層は分離剤を含み、
前記解析手段は、前記分離剤の位置を特定し、特定した位置の情報に基づいて、遠心処理の実施の有無を判定することを特徴とする分析装置。
【請求項4】
請求項1の分析装置において、
前記解析手段は、前記層の数を計数し、当該情報に基づいて遠心処理の実施の有無を判定することを特徴とする分析装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の生体試料の分析装置において、
遠心処理の有無の判定結果に基づいて、前記容器に対して移動先を指示する制御手段を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項6】
請求項1の分析装置において、
前記解析手段は、前記層の境界位置の情報に基づいて、前記層の容量を算出することを特徴とする生体試料の分析装置。
【請求項7】
請求項1の分析装置において、
容器に光を照射する第二の照射手段を備え、
前記撮像手段は、前記照射手段及び第二の照射手段から放出される光の交差する点に配置され、当該撮像手段を回転制御する制御手段を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項8】
容器に収納された生体試料の分析を行う生体試料の分析装置であって、
前記容器は、側面の全部または一部がラベルで覆われ、
前記容器の存在を検知しIDを識別する識別手段と、
前記容器の側面に、前記ラベルによる減光を受けやすい性質を持つ光を照射する第一照射手段と、
前記容器の側面に、前記ラベルを透過させる性質を持つ光を照射する第二照射手段と、
前記第一及び第二の照射手段から放出された光が、前記容器を透過する透過光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を処理する解析手段を備え、
前記撮像手段により検出された信号強度に基づき、前記容器内部の層の境界位置の情報を解析する解析手段を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項9】
請求項8の分析装置において、
前記容器に収納された前記層は分離剤を含み、
前記解析手段は、前記分離剤の位置を特定し、特定した位置の情報に基づいて、遠心処理の実施の有無を判定することを特徴とする9分析装置。
【請求項10】
請求項8の分析装置において、
前記解析手段は、異なる種類の光による透過量の違いに基づいて前記層の数をカウントし、当該情報に基づいて遠心処理の実施の有無を判定することを特徴とする分析装置。
【請求項11】
請求項9又は10の分析装置において、
遠心処理の有無の判定結果に基づいて、前記容器に対して移動先を指示する制御手段を備えることを特徴とする生体試料の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−159481(P2012−159481A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21286(P2011−21286)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】