説明

生体識別装置

本発明は、個人の指1を識別する生体識別装置に関する。イントラスキンイメージISIが取得される。かかるイメージISIは、指の内側表面2からの距離Dで指の内側に位置され、汗の穴P1,P2,P3を含んでいる。かかる汗の穴は、イントラスキンイメージISIで孤立したスポットとして位置される。穴の位置CP1〜CPNは、基準のイントラスキンイメージRIの規準の穴の位置RP1〜RPMと更に整合され、穴の整合スコアPMSを生成する。穴の整合スコアPMSは、指1の穴に基づいた識別が有効であるか否かを判定するため、予め決定された穴の閾値と比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体識別装置に関する。また、本発明は、かかる装置により実現される方法に関する。
本発明は、特に、生物統計学に基づいたアクセス制御の領域に関する。
【背景技術】
【0002】
指の内側の皮膚は、図1に示されるように、隆線及び谷のパターンでカバーされている。既に以前から、これらのパターンが個人について異なることが研究されており、確かに各自が固有の指紋を有すると考えられる。このことは、それらのオーナの識別の認証に指紋を適するものとしている。大部分の認識システムは、隆線のパターンにおける特定の特徴を使用している。これらの特徴は、指紋パターンにおける隆線が連続なラインではないが、終端するか、フォークに分裂するか、又はアイランドを形成するラインであるという事実からの結果である。これらの特別のポイントは、詳細又はマクロ特性(macro-features)と呼ばれている。一般に、指紋は、約数百の詳細を含んでいるが、センサにより走査される指紋領域は、約30〜40の詳細を通常含んでいる。
【0003】
生体認証が行われるとき、人の指紋のスキャンが行われ、参照の指紋の記録された特性と比較される。指紋の基本に基づいて生体識別を使用するときの第一の問題は、現在入手可能な指紋スキャナのいずれも、指と良好に形成されたダミーとの間を区別することができないことである。第二の問題は、かかる生体識別システムは、ノンゼロフォルスアクセプト及びフォルスリジェクトレートを有することである。
【0004】
汗の穴は、指紋の隆線に存在し、生体識別について更なるパターンを提供する皮膚の物理的な特徴を自然に生じる。WO99/06942で公開された特許出願は、指の汗の穴とマクロ特性との関連から個人を識別する方法及び装置を開示している。この方法は、少なくとも1つのレジストレーションの穴と少なくとも1つのレジストレーションのマクロ特性とを有する指紋画像を、レジストレーションプロセスの間に個人から取得するステップを含んでいる。レジストレーションの穴データは、レジストレーションの穴から導出され、レジストレーションのマクロ特性データは、レジストレーションのマクロ特性から導出される。ビッドステップでは、少なくとも1つのビッドの穴と少なくとも1つのビッドのマクロ特性とを有する指紋画像が得られる。ビッドの穴データは、ビッドの穴から導出され、ビッドのマクロ特性データは、ビッドのマクロ特性から導出される。ビッドの関連データは、ビッドの穴データをビッドのマクロ特性データに関連付けし、レジストレーションの穴データをレジストレーションのマクロ特性データに関連付けすることから導出されるレジストレーションの関連データを構成することから構築される。ビッドの関連データは、相関スコアを生成するためにレジストレーションの関連データに比較され、成功又は失敗した識別結果は、相関スコアの予め決定された閾値への比較に基づいて生成される。かかる方法は、マクロ特性と汗の穴とを関連付けすることで、フォルスアクセプト及びフォルスリジェクトレートの実質的な低減を可能にする。さらに、この方法は、汗の穴の情報が詐欺の指紋を保持することが困難であるため、改善された不正と戦う機能を有する。協力による指紋の複製は強制的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法の第一の問題点は、指の表面の汚れ又は油の存在が汗の穴の検出を乱すことである。したがって、取得された汗の穴のデータは、非常に信頼できるものではなく、固有な識別データのソースとして利用することができない。第二の問題点は、不正がより困難になされるが、なお可能であることである。
【0006】
本発明の目的は、より信頼性が高く、より不正に抵抗力がある、個人を識別するためのソリューションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は生体識別装置により達成され、この生体識別装置は、汗の穴(スウェットポア:sweat pores)を含む皮膚内の画像(イントラスキンイメージ:intra-skin image)であって、指の内側表面からの距離で指の内側に位置されている皮膚内の画像を取得する取得手段、皮膚内の画像における孤立したスポットとして候補となる汗の穴を位置決めする位置決め手段、かかる候補となる汗の穴を参照の皮膚内の画像の参照の穴の位置と整合し、穴の整合スコアを生成する整合手段、及び穴の整合スコアを予め決定されたポアの閾値と比較することで、成功又は失敗した穴に基づいた識別の判定を行う判定手段を有することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る取得手段は、個々の指の皮膚内の画像を提供する。かかる画像は、指の表面の所定の距離で個々の指の内側に位置される。かかる皮膚内画像を取得する利点は、汚れ又は油のような外部要素により皮膚の物理的な特徴の汚染を除くことである。画質及び物理的な特徴の可視性が大幅に改善される。
【0009】
かかる皮膚内画像は、従来の指紋の隆線及び谷の分類上のパターンを示すだけでなく、エンハンスされた可視性により汗の穴をも示す。穴を位置決めする手段は、暗いバックグランドの孤立した明るいスポットとして、明るいバックグランドの孤立した暗いスポットのいずれかとして、候補となる汗の穴を位置決めするため、このエンハンスされた可視性を利用する。候補となる汗の穴の位置は、穴の整合スコアを生成するため、参照の汗の穴の位置と整合される。かかる穴の整合スコアが予め決定された穴の閾値よりも大きい場合、個々の指は、実際のものとして考えられる。さもなければ、詐欺として考えられる。
【0010】
汗の穴は、永続的なものであって、変更不可能であって、個々の特徴であるとして当業者に知られている。拡張された可視性をもつ汗の穴を示す非常にきれいな皮膚内画像を取得することで、本発明に係る生体識別装置は、かかる汗の穴にのみ基づいた個々の指の非常に信頼できる識別を提供する。
【0011】
さらに、本発明に係る生体識別装置により不正が非常に困難にされる。これは、個人の指の内側の所定の距離に位置される皮膚内画像を取得することは、指の外面の画像を取得するよりも実現するのに簡単ではないことによる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、添付図面を参照して更に記載される。
図2を参照して、個人の指1の内側表面2は、取得手段4のプレート3に押される。かかる取得手段4は、指1のイメージプレーンIPのイントラスキンイメージISIを取得することが意図されており、かかるイメージプレーンIPは、内側表面2から距離Dで指1の内側に位置されている。指の内側表面2からのかかる距離Dは、0.1mmよりも長く、0.5mmよりも短く選択されることが好ましい。
【0013】
図3に提供されている取得手段4は、たとえばレーザビームのような、放射線ビームを生成するための放射線減41を有する。取得手段4は、たとえば対物レンズといった、指1の内側のイメージプレーンIPに放射線ビーム42を焦点合わせする焦点合わせ手段43を更に有している。取得手段4は、反射された放射線ビームを検出するための検出手段44を更に有し、かかる反射ビーム45は、イメージプレーンIPから反射される。
【0014】
好ましくは、取得手段4は、放出されたレーザ光から画像を形成する共焦点顕微鏡を有するが、当業者にとって、本発明は、たとえば医療X線システムといったイメージプレーンIPのかかるイメージISIを生成可能な等価なシステムに関することは明らかであろう。
【0015】
図4は、共焦点顕微鏡が使用されるとき、イントラスキンイメージISIが取得手段によってどのように形成されるかを示している。かかる共焦点顕微鏡は、励起光11を供給するレーザソース10、所定の波長よりも短い光を反射し、その波長よりも長い光を通過させるダイクリックミラー12、モータに搭載されるスキャニングミラー13及び14、レーザ光線を平行にするコリメータレンズ15、指1の皮膚へのイメージプレーンIPに位置される焦点Fを有する対物レンズ16(対物レンズ16はイメージプレーンIPに同一のフォーカルプレーンを有する)、その平面が対物レンズ16のフォーカルプレーンに共役である共焦点ピンホール17、検出器18、コンピュータ19を含んでいる。
【0016】
レーザソース10は、ダイクリックミラー12から反射する励起光11を生成する。そこから、励起光11は、2つのスキャニングミラー13及び14に衝突し、これらのミラーは、指1に渡って励起光11を走査する。指1は、スキャニングミラー14及び13によりスキャニングされない再放出された光20を再放出し、ダイクリックミラー12を通して通過させ、共焦点ピンホール17に焦点合わせされる。対物レンズ16のフォーカルプレーンは、ピンホールプレーンに対であるので、焦点で指により反射された光のみがピンホールを通過する。共焦点ピンホール17を通過する反射光20は、たとえばフォトマルチプライヤチューブといった検出器18により測定される。焦点ではないがフォーカルプレーンにより反射された光は、ピンホールによりブロックされる。結果的に、所与の瞬間で、指1のイメージプレーンの1つのポイントが観察される。検出器18は、一度に1画素でイントラスキンイメージISIを構築するコンピュータに接続される。
【0017】
かかる共焦点顕微鏡の利点は、焦点で反射された光を阻止することである。実際の効果は、指の薄いセクションが画像形成されることである。言い換えれば、共焦点顕微鏡はフィールドの小さな深さを有する。指1を通して多くの薄いセクションをスキャニングすることで、非常にきれいな3次元のイントラスキンイメージ又は指1の画像系列ISIを構築することができる。
【0018】
なお、CDドライブのピックアップユニットは、共焦点の顕微鏡として使用することができる。かかるソリューションの利点は、特に従来のCCDカメラを使用したシステムと比較して非常に安価なことである。
【0019】
図1bは、本発明に係る装置により生成されるイントラスキンイメージISIのエリアのズームを示している。かかるズームエリアは、明るい隆線BRと暗い谷DVを含んでおり、これらは図1aのそれらに類似しているように見えるが、反転されたコントラストをもつ。図1aのインクベースの指紋とは異なり、図1bの明るい隆線は、指の表面の溝に対応し、図1bの暗い谷は、指の表面の隆線に対応している。かかるイントラスキンイメージISIは、図1aの古典的なインクベースの指紋に加えて、汗の穴に対応する複数の孤立した明るいスポットBS1、BS2、BS3を含んでいる。図1bのズームエリアでは、かかる汗の穴は、暗い谷の内側に位置される。
【0020】
なお、取得手段は、反転されたコントラスト、すなわち明るいバックグランドに孤立した暗いスポットをもつイントラスキンイメージを提供する。
なお、イントラスキンイメージISIは、おおよそ10個の穴を1mm2当たり含んでいる。
【0021】
図2を参照して、本発明に係る装置は、イントラスキンイメージISIにおける前記孤立した明るいスポットを位置合わせするための位置合わせ手段5を更に有している。
【0022】
本発明の第一の実施の形態では、かかる位置合わせ手段5は、たとえば指紋のマクロ特性のような指紋の他の特性とは独立に候補となる汗の穴を位置合わせすることが意図される。位置合わせ手段5は、たとえば、より暗いバックグランドから候補となる汗の穴を抽出するため、スレショールディング技術を実現する。かかるスレショールディング技術は、予め決定されたコントラストの閾値よりも大きい画像ISIの画素を保持し、かかる予め決定されたコントラスト閾値よりもその値が小さい画素をゼロに強制する。かかる技術は、当業者にとって知られており、2値化処理につながる。2進画像が生成される。かかるコントラストの閾値の適切な値は、経験的に固定されており、実際の汗の穴に対応する明るいスポットの大部分が保持され、誤ったアラームに対応する明るいスポットの大部分が阻止される。なお、スレッショールディングの使用は、孤立した明るいスポットが暗いバックグランドで良好に引き立つことから可能にされる。しかし、本発明は、かかるスレッショールド技術に限定されるものではない。位置合わせ手段5は、たとえばサーキュラーフィルタに基づいたフィルタリングサブ手段を有する場合があり、このサブ手段は、予め決定された値のレンジに含まれるコントラスト値及び直径を有する明るい円形の形状を検出する。
【0023】
好ましくは、かかる位置合わせ手段5は、1つの画素の幅の候補となる汗の穴を得るための薄化(thinning)サブ手段を更に有する。薄化サブ手段により使用される薄化技術は、当業者に知られている。結果的に、リファレンシャル(O,x,y)を考え、位置合わせ手段5は、候補となる汗の穴の位置CP1(x1,y1),CP2(x2,y2),...,CPN(xn,yn)のセットを出力する。ここでnは整数である。
【0024】
次いで、整合手段6は、かかる候補となる汗の穴の位置CP1〜CPNを基準となるイントラスキンイメージRIの基準となる穴の位置RP1〜RPMと整合する。ここでMは整数である。
【0025】
図5は、候補となる汗の穴の位置CP1〜CPNを基準となる穴の位置RP1〜RPMと整合するための可能な技術を概念的なやり方を示している。かかる整合技術は、イントラスキンイメージISIの候補となる穴CPの位置(xi,yi)に集中されるサーチエリアSAで基準画像RIの基準の穴RPをサーチすることからなる。かかる動作は、イントラスキンイメージISIのそれぞれ候補となる穴について繰り返される。穴の整合スコアPMSは、以下のやり方で生成される。かかる穴の整合スコアPMSは、ゼロに初期化される。基準の穴RPがサーチエリアSAで発見された場合、穴の整合スコアPAは1だけインクリメントされる。
【0026】
なお、基準の穴の位置RP1〜RPMのリストは、本発明に係る生体識別装置のメモリに記憶することができ、必ずしも全体の基準の画像RIではない。
【0027】
判定手段7は、イントラスキンイメージISIに基づいた識別が有効であるか否かを判定するように、穴の整合スコアPMSを予め決定された穴の閾値と更に比較する。かかる予め決定された穴の閾値は、真実の指ではなく詐欺の指を除くため、経験的に選択される値を有する。
【0028】
なお、イントラスキンイメージISI及び基準画像RIは、図5に示されるように、たとえば個人の指の異なる向きといった異なる設定で取得されている。このケースでは、候補となるイントラスキンイメージISIと基準画像RIとの間の整合を容易にするため、変換、スケーリング又はローテーションからなる座標変換8が必要とされる。
【0029】
本発明の第一の実施の形態の利点は、イントラスキンイメージに含まれる候補となる汗の穴のみを分析することから個人の指を識別するためのソリューションを提案することである。かかるイントラスキンイメージを取得する利点は、皮膚表面の汚れ、油及びいずれかの品質低下による乱れを除くことである。結果的に、得られたイントラスキンイメージは、良好な品質であり、良好に引き出された汗の穴を与える。別の利点は、イントラスキンパターンのトレースがカップ又はテーブルで発見されないことである。汗の穴を位置合わせして整合するために含まれる画像処理技術は、実現が簡単であるという利点をも有する。
【0030】
先に既に記載されたように、イントラスキンイメージISIは、汗の穴を含むだけでなく、指紋の隆線及び谷をも含む。かかる指紋の隆線は、当該技術分野で公知であるマクロ特性により通常特徴付けされる。図1aの指紋に示されるように、マクロ特性は、たとえば指紋の隆線の分岐BF及び終点EPである。
【0031】
図6は、本発明の第二の実施の形態に係る生体識別装置を機能的なやり方で示している。かかる装置は、かかる指紋の隆線のマクロ特性を位置合わせするためのマクロ特性の位置合わせ手段を更に有している。かかるマクロ特性の位置合わせ手段は、たとえば、イントラスキンイメージISIを2進化するためのスレッショールドサブ手段を有する。2進のイントラスキンイメージBISIが得られる。支援スレッショールディングサブ手段は、穴の位置合わせ手段5により使用されるのと同じ種類の技術を含む。結果的に、スレッショールディングサブ手段は、イントラスキンイメージISIに有効に適用することができ、同じ2進画像BISIは、穴の位置合わせ手段5及びマクロ特性の位置合わせ手段30の両者により使用される。このケースでは、2進のイントラスキンイメージBISIは、穴の位置合わせ手段5に送出される。
【0032】
なお、隆線及び谷のコントラストの不規則なことは、イントラスキンイメージをスレッショールディングするときにエラーを引き起こす場合がある。結果的に、指紋の隆線の位置は、イントラスキンイメージでの延長された形状をエンハンスするためにスレッショールドの前に非等方性のフィルタリングサブ手段を使用することで、エラーに対して更にロバストにすることができる。かかる非等方性のフィルタリングサブ手段は、たとえば、当業者にとって公知である形態学的な技術を含む。
【0033】
マクロ特性の位置合わせ手段30は、1画素幅の指紋構造を生成するため、薄化サブ手段を更に有する。当業者にとって公知であるように、隆線のスケルトングラフ又は谷のスケルトングラフのいずれかを出力することができる。両者は、マクロ特性を位置合わせするために使用することができるが、汗の穴が谷に位置されるために、汗の穴が隆線のスケルトングラフから容易に抽出されることがわかる。したがって、隆線のスケルトングラフが出力される。マクロ特性の位置合わせ手段30は、それがマクロ特性(分岐又はエンドポイント)であるかを判定するため、隆線のそれぞれの頂点を分析することからなる分析サブ手段を更に有している。かかる分析は、サーチエリアで実行され、特にレングスの基準に基づいている。たとえば、余りに短い隆線が阻止される。
【0034】
マクロ特性の位置合わせサブ手段は、抽出されたマクロ特性MF1〜MFLの位置を最終的に出力する。ここでLは整数である。
【0035】
図7aは、2進のイントラスキンイメージBISIの概観図である。かかる2進のイントラスキンイメージBISIは、マクロ特性の位置MF1〜MFLを含んでいる。
【0036】
本発明の第二の実施の形態に係る装置は、マクロ特性の整合スコアMFMSを生成するため、かかる微量特性の位置MF1〜MFLを基準となるマクロ特性の位置RMF1〜RMFKと整合させるためのマクロ特性の整合手段31を更に有している。ここでKは整数である。基準のマクロ特性の位置RMF1〜RMFKは、基準の画像RIから到来し、本発明に係る生体識別装置のメモリに記憶される。かかるマクロ特性の整合スコアMFMSは、マクロ特性に基づいた判定MFDを出力するマクロ特性の判定手段32により、予め決定されたマクロ特性の閾値MFTと比較される。マクロ特性の整合スコアMFMSが予め決定されたマクロ特性の閾値MFTよりも大きい場合、マクロ特性に基づいた判定MFDは、マクロ特性に基づいた個人の指の識別を有効とし、さもなければ、判定は失敗したとして考慮する。
【0037】
マクロ特性の位置MF1〜MFLは、以下のやり方で穴の位置合わせ手段5により利用されることが好ましい。むしろ時間を消費する場合がある、全体のイントラスキンイメージISIにおける穴についてサーチする代わりに、サーチエリアSAは、マクロ特性の位置MF1〜MFLの前後に境界が設定される。言い換えれば、かかるマクロ特性の位置MF1〜MFLは、汗の穴を位置合わせするための開始点として使用される。
【0038】
図7bは、イントラスキンイメージISIに汗の穴を位置合わせするためにマクロ特性の位置MF1の周りに集中されるサーチエリアSAの概観図である。汗の穴SP1は、マクロ特性の位置MF1からの距離ρ1に位置合わせされる。かかる汗の穴SP1は、極座標(ρ1,Θ1)を使用してマクロ特性の位置MF1に関して有効にロードすることができる。
【0039】
同様に、マクロ特性に基づいた判定MFDは、穴に基づいた判定PDを採用するため、穴の判定手段7により利用されることが好ましい。幾つかの代替が可能である。マクロ特性は、几帳面な汗の穴よりも確かに識別するため、より特化及び容易であるため、たとえば、失敗したマクロ特性の識別は、有効な穴の識別を通して普及していると考えられる。対照的に、有効なマクロ特性の識別は、より確かな判定を得るために有効な穴の識別により完了することが必要である。
【0040】
本発明の第二の実施の形態の利点は、汗の穴の位置をエラーに対してロバストにするため、指紋のマクロ特性が検出に容易であることを利用することである。マクロ特性の位置は、イントラスキンイメージISIの基準画像RIとのマッピングを容易にすることである。
【0041】
第三の実施の形態では、本発明に係る生体識別装置は、イントラスキンイメージの系列を生成する。かかるイントラスキンイメージの系列は、3次元のイントラスキンイメージを形成し、それぞれのイントラスキンイメージは、指の皮膚での特定の深さに対応する。位置合わせ手段5及び整合手段6は、好ましくは順次に、それぞれのイントラスキンイメージの系列に適用され、現在のイントラスキンイメージで汗の穴をサーチするために前の画像の穴の位置を考慮する。判定手段7は、連続するイントラスキンイメージの系列から到来する汗の穴の位置を収集する。おそらく、かかる判定手段は、系列に沿って全ての汗の穴の存在の連続性に依存して、信頼性の高い測定値を汗の穴の位置に割り当て、かかる信頼性の高い測定値に基づいて最後の穴に基づいた判定を採用する。本発明の第三の実施の形態の利点は、汗の穴の更にロバストな位置を供給し、結果的に個人の指の更に確かな識別を可能にすることである。
【0042】
図8を参照して、本発明の第四の実施の形態に係る生体識別装置は、指1の内側表面2の外見上の(superficial)指紋画像SIを取得する第二の取得手段50を有している。かかる第二の取得手段50は、たとえば、CCDカメラを有する。外見上の画像SIは、指紋の隆線及び谷及び穴を含む。先に既に記載されたように、イントラスキンイメージISIによる主な違いは、外見上の画像SIは雑音が多いことであり、指の表面に油及び汚れの存在による。本発明の第四の実施の形態に係る生体装置は、外見上の画像SIの指紋の隆線に位置されるマクロ特性を位置合わせするための第二のマクロ特性の位置合わせ手段51を更に有している。第二のマクロ特性の位置RMF’1〜RMF’Lが出力される。ここでLは整数である。本発明の第四の実施の形態に係る生体装置は、かかる第二のマクロ特性の位置を、基準の外見上の画像RSIの第二の基準のマクロ特性の位置RMF’1〜RMF’Kと整合するための第二のマクロ特性の整合手段52を更に有しており、外見上のマクロ特性の整合スコア(SMFMS)を生成する。ここでKは整数である。含まれる画像処理技術は、マクロ特性の位置合わせ手段30及びマクロ特性の整合手段31に含まれる技術に非常に類似しており、当業者には公知である。
【0043】
本発明の第四の実施の形態に係る生体装置は、第二のマクロ特性の位置MF’1〜MF’Lに関して、かかる外見上の画像(SI)における孤立した明るいスポットとして汗の穴を位置合わせするための第二の穴の位置合わせ手段53を更に有している。たとえば、汗の穴は、第二のマクロ特性の位置の周りに集中されるサーチエリアでサーチされる。第二の汗の穴の位置CP’1〜CP’Nが生成される。ここでNは整数である。本発明の第四実施の形態に係る生体装置は、かかる穴の位置CP’1〜CP’Nを、かかる基準の外見上の画像(RSI)の第二の基準の穴の位置RP’1〜RP’Mと整合するために第二の穴の整合手段54を更に有しており、外見上の穴の整合スコア(SPMS)を生成する。ここでMは整数である。第二の穴の位置合わせ手段53及び第二の穴の整合手段54に含まれる技術は、エンハンスメント技術、スレッショールディング技術、薄化技術及び整合技術である。しかし、雑音の存在は、マクロ特性及び穴の検出を更に困難にする。この問題を回避するため、当業者にとって知られている雑音除去(de-noising)技術が好ましくは使用される場合がある。外見上の穴の整合スコアSPMSが出力される。
【0044】
外見上のマクロ特性の整合スコアSMFMS及び外見上の穴の整合スコアSPMSは、第二のマクロ特性判定手段55及び第二の穴の判定手段56のそれぞれにより利用される。マクロ特性判定手段32及び穴の判定手段7について先に記載されたのと同じやり方で、かかる第二のマクロ特性の判定手段55及び第二の穴の判定手段56は、外見上のマクロ特性の整合スコアSMFMS及び外見上の穴の整合スコアSPMSを、予め決定されたマクロ特性及び穴の閾値のそれぞれと比較する。外見上のマクロ特性に基づいた判定SMFBDと外見上の穴に基づいた判定SPBDが取られる。
【0045】
本発明の第四の実施の形態に係る生体識別装置は、個人の指1の識別IDが有効であるか否かを判定するために全体的な判定手段57を有している。かかる全体的な判定は、マクロ特性の整合スコアMFMS、穴の整合スコアPMS、外見上のマクロ特性の整合スコアSMFMS及び外見上の穴の整合スコアPMSを使用して行われる。
【0046】
本発明の第四の実施の形態に係るシステムの第一の利点は、指紋の2つの異なる画像取得モードから得られる更に正確な識別を提供することである。第二の利点は、不正を更に困難にすることである。
【0047】
本発明に係る生体識別システムは、ビルディングのエントランスでのアクセス制御に特に有効である。しかし、かかるシステムは、たとえば警察によるモバイルアイデンティティ制御について使用することもできる。このケースでは、イントラスキンイメージISIは、生体識別システムから分離される携帯用装置により生成される場合がある。したがって、本発明に係る個人の指1のイントラスキンイメージISIを生成する装置は、取得手段の前で、個人の指1の内側表面2を配置するための配置手段を有する。かかる取得手段は、指の内側表面2からの距離Dで指の内側に位置されるイントラスキンイメージを更に取得する。イントラスキンイメージISIは、ストレージ手段によりメモリに最終的に記憶される。次いで、イントラスキンイメージISIは、たとえばネットワークコネクションを介して、本発明に係る生体識別装置の位置合わせ手段、整合手段及び判定手段に転送される場合がある。なお、転送が暗号化される場合がある。
【0048】
本発明に係る生体識別装置は、個人の指を識別するための方法を実現する。かかる方法は、少なくとも個人の指のイントラスキンイメージ(ISI)を取得するステップを含んでおり、かかるイントラスキンイメージは、指の内側の距離に位置され、汗の穴を含んでいる。本発明に係る方法は、かかる皮膚内部で焦点合わせされた画像ISIに孤立した明るいスポットとして汗の穴を位置合わせするステップ、穴の位置CP1〜CPNを、基準の皮膚内部で焦点合わせされた画像の基準の穴の位置RP1〜RPMに整合し、穴の整合スコアPMSを生成するステップ、最後に、穴の相関スコアPCSの第一の予め決定された閾値との比較により成功又は失敗の穴に基づいた識別(PI)を判定するステップを更に含んでいる。
【0049】
なお、先に記載された実施の形態は、本発明を制限するのではなく例示するものであり、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなしに多くの代替的な実施の形態を設計するであろう。この観点で以下の結びの記載がなされる。ハードウェア、ソフトウェア又はその両者のアイテムにより機能を実現する様々なやり方が存在する。この観点で、図面は非常に図解的であって、それぞれの図は、本発明の1つの可能な実施の形態を表すのみである。したがって、図面は異なるブロックとして異なる機能を示しているが、このことは、1つのアイテムのハードウェア又はソフトウェアが幾つかの機能を実行することを排除するものではなく、また、1つの機能が、ハードウェア、ソフトウェア又はその両者のアセンブリにより実行されるのを排除するものではない。請求項では、括弧の間に配置される参照符号は、請求項を限定するとして解釈されるべきではない。単語「有する“comprising”」は、請求項で列挙された以外のエレメント又はステップの存在を排除するものではない。エレメントに先行する単語“a”又は“an”は、複数のかかるエレメントの存在を排除しない。所定の手段が相互に異なる従属の請求項で引用されることは、これらの手段の組み合わせが使用することができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1aは従来の指紋を示す図であり、図1bは本発明に係る皮膚内画像のズームを示す図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る生体識別装置を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る取得手段を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係る生体識別装置を示す図である。
【図5】図5aは隆線、指紋のマクロ特性及び汗の穴を含む皮膚内画像を示す図である。図5bは皮膚内画像でのマクロ特性の位置前後の汗の穴のサーチエリアを示す図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態に係る生体識別装置を示す図である。
【図7】図7a及び図7bは本発明の第二の実施の形態に係る汗の穴をサーチするための指紋の隆線のマクロ特性に集中されるサーチエリアを示す図である。
【図8】本発明の第四の実施の形態に係る生体識別装置を示す図である。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の表面を有する個人の指を識別する生体識別装置であって、
当該装置は、
汗の穴を含むイントラスキンイメージであって、指の内側表面からのある距離での指の内側に位置されるイントラスキンイメージを取得する手段と、
前記イントラスキンイメージにおける孤立したスポットとして前記汗の穴を位置合わせする位置合わせ手段と、
前記穴の位置を、規準のイントラスキンイメージの規準の穴の位置と整合させ、穴の相関スコアを生成する整合手段と、
前記穴の整合スコアの予め決定された穴の閾値との比較により、成功又は失敗した穴に基づいた識別を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記イントラスキンイメージは指紋の隆線を含み、
当該装置は、
前記指紋の隆線に位置されるマクロ特性を位置合わせするマクロ特性の位置合わせ手段と、
前記マクロ特性の位置を規準のマクロ特性の位置と整合させ、マクロ特性の整合スコアを生成するマクロ特性の整合手段と、
前記前記マクロ特性の整合手段の予め決定されたマクロ特性の閾値との比較により、成功又は失敗したマクロ特性に基づいた識別を判定するマクロ特性の手段と、
を更に有する請求項1記載の生体識別装置。
【請求項3】
前記穴の位置合わせ手段は、マクロ特性に関する汗の穴を位置合わせすることが意図される、
請求項2記載の生体識別装置。
【請求項4】
前記取得手段は、
放射線ビームを生成するための放射線源と、
指の内側表面からの距離で前記放射線ビームを焦点合わせする焦点合わせ手段と、
指により反射された反射された放射線ビームを検出する検出手段と、
請求項1記載の生体識別装置。
【請求項5】
指の内側表面からの焦点距離は、0.1mmよりも長く、0.5mmよりも短い、
請求項4記載の生体識別装置。
【請求項6】
前記取得手段は共焦点顕微鏡を含む、
請求項4記載の生体識別装置。
【請求項7】
第一のイントラスキンイメージに対応する第一の穴の位置は、第二のイントラスキンフォーカスイメージの穴を位置合わせするための初期化として使用される、
請求項1記載の生体識別装置。
【請求項8】
指の内側表面の外見上の画像を取得する第二の取得手段と、
前記指紋の隆線に位置されるマクロ特性を位置合わせする第二のマクロ特性の位置合わせ手段と、
前記第二のマクロ特性の位置を外見上の規準のマクロ特性の位置と整合させ、外見上のマクロ特性の整合スコアを生成する第二のマクロ特性の整合手段と、
前記外見上のマクロ特性の整合スコアの第二の予め決定されたマクロ特性の閾値との比較により、成功又は失敗した外見上のマクロ特性に基づいた識別を判定する第二のマクロ特性の判定手段と、
前記外見上の画像において孤立したスポットとして前記汗の穴を位置合わせする第二の穴の位置合わせ手段と、
前記第二の穴の位置を、規準の外見上の画像の外見上の規準の穴の位置と整合させ、外見上の穴の整合スコアを生成する第二の穴の整合手段と、
前記外見上の穴の整合スコアの第二の予め決定された穴の閾値との比較により、成功又は失敗した外見上の穴に基づいた識別を判定する第二の穴の判定手段と、
前記マクロ特性に基づいた識別、前記穴に基づいた識別、前記外見上のマクロ特性に基づいた識別及び外見上の穴に基づいた識別を使用して、成功又は失敗した指の識別を判定する全体の判定手段と、
を有する請求項2記載の生体識別装置。
【請求項9】
個人の指のイントラスキンイメージを生成する装置であって、
前記イントラスキンイメージは、個人の指の生体識別での使用のための汗の穴を含んでおり、
当該装置は、
個人の指の内側表面を取得手段の前に配置する配置手段と、
指の内側表面からのある距離で指の内側に位置されるイントラスキンイメージを取得する取得手段と、
前記イントラスキンイメージをメモリに記憶する記憶手段と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
共焦点顕微鏡を有する請求項9記載の装置。
【請求項11】
指の内側のある距離に位置され、穴を含む個人の指のイントラスキンイメージを少なくとも取得するステップと、
前記イントラスキンフォーカスイメージにおける孤立したスポットとして前記穴を位置合わせするステップと、
前記穴の位置を、規準のイントラスキンフォーカスイメージの規準の穴の位置と整合させ、相関スコアを生成するステップと、
前記穴の整合スコアの予め決定された穴の閾値との比較により、成功又は失敗した穴に基づいた識別を判定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−504524(P2007−504524A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524453(P2006−524453)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002740
【国際公開番号】WO2005/022446
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】