生命を脅かす重大な出血を制御するための創傷包帯および方法
本発明は、先進的出血制御創傷包帯、およびこれの使用および製造方法に関する。該創傷包帯は、重大な出血の制御のための非哺乳動物材料から構成されている。重大な出血の制御のためのこの創傷包帯は、キトサン、親水性ポリマー、ポリアクリル性ポリマー、またはこれらの組合わせを含んでいる生物材料から形成されている。本発明によって考察されている、生死に係わる重大な出血の種類は、典型的には、従来のガーゼ創傷包帯が該創傷に対して従来の圧力とともに当てられた時、止血されえない型のものである。この創傷包帯は、創傷部位に接着し、創傷をシールし、創傷部位において血塊形成を加速させ、創傷部位において血塊形成を強化し、創傷部位からの出血を防止し、創傷部位からの血流を実質的に制止することによって、この創傷からの生死に係わる重大な出血流を実質的に止めることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、出血制御創傷包帯、およびこのような包帯の使用および製造方法を目的とする。該創傷包帯は、重大な出血の制御のために、非哺乳動物材料から構成される。この創傷包帯は、重大な出血の制御のために、キトサンおよび/またはほかの親水性ポリマーを含んでいる生物材料から形成される。この材料はあるいはまた、ポリアクリル酸、またはポリアクリル酸とほかのポリマーとの組合わせを含んでいてもよい。本発明によって考察されている、生死に係わる重大な出血の種類は、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに当てられた時、止血されえない型のものである。この創傷包帯は、創傷部位に接着させ、創傷をシールし、創傷部位において血塊の形成を加速し、創傷部位において血塊の形成を強化し、創傷部位からの出血を防止し、創傷部位からの出血流を実質的に制止することによって、この創傷からの生死に係わる重大な血流を実質的に止めることが可能である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
先進的出血制御包帯およびその適用方法は、有効な止血方法を実質的に増強させるであろう。今日まで、ガーゼ包帯を用いた連続加圧が、依然として、血流、特に激しく出血している創傷からの流れをせき止めるために用いられている好ましい一次介入技術のままである。しかしながらこの処置は、重大な血流を効果的にも安全にも止血しない。このことは、創傷からの生死に係わる重大な出血の場合、これまでも主要な生存に係わる問題であったし、そうであり続ける。
【0003】
さらには重大な出血は、戦場での創傷による主要な死因であり、このような死の約50%を占めることが広く認められている。これらの死の1/3は、出血制御方法および器具の向上で防ぐことができるであろうと推定される。このような向上した出血制御はまた、非軍事的場面、例えば病院および動物病院においても非常に有用であることが証明されるであろう。ここでは出血は、外傷後の第二の死因である。
【0004】
現在入手しうる止血包帯、例えばコラーゲン創傷包帯またはドライフィブリントロンビン創傷包帯は、外科用途への使用に限定されており、高い血流中の溶解に対して十分に抵抗性があるわけではない。これらはまた、重大な血流の止血においてあらゆる実際的な目的に役立つのに十分な接着特性を有するわけでもない。これらの現在入手しうる外科用止血包帯はまた、繊細でもあり、したがってこれらが圧力での曲げまたは負荷によって損傷を受けるならば、破損しやすい。これらはまた、出血流中の溶解も受けやすい。これらの包帯のこのような溶解および圧潰は、破滅的になることがあるが、その理由は、これが、創傷への接着の喪失を生じ、出血を和らげずに続行させうるからである。
【0005】
キトサンおよびキトサン包帯に関する先行技術がある。例えばMaletteらに発行された特許文献1は、マイクログラム/mLの量の血液を凝集させるために、液体または粉末形態のキトサンを使用している。同様に、Maletteらに発行された特許文献2は、キトサンを血管中に直接注射することによって血管を治療的に閉塞させる方法を目的とする。Maletteらに発行された特許文献3はさらに、キトサン溶液または水溶性キトサンを組織創傷と接触させることによる、止血、線維増殖の阻害、および組織再生の促進に関する。キトサンは凝塊を形成し、これが出血を防ぐ。
【0006】
Vournakisらに発行された特許文献4は、珪藻由来生物医学グレードの高純度キチンおよびキチン誘導体(これは、この特許における分析によって証明されていないにしても、いわゆるタンパク質フリーである)の製造方法に関する。いわゆるタンパク質フリーのキチン/キトサン材料の提案された利点は、これらが現在のエビおよびカニ由来キチン材料よりも有意に抗原性でないであろうということである。
【0007】
非特許文献1は、転相方法によって生成された非対称キトサン膜の製造および創傷治癒機能について記載している。
【0008】
非特許文献2は、ブタ脾臓カプセルストリッピングテスト(swine spleen capsular stripping test)に典型的な中程度の血流およびジクジクした傷口下のキチン/キトサン止血パッチのテストについて記載している。
【0009】
非特許文献3は、ブタ脾臓カプセルストリッピングテストにおける止血剤テストについて記載している。
【0010】
Sandford,Steinnes A.,“Biomedical Applications of High Purity Chitosan” in Water Soluble Polymers,Synthesis,Solution Properties and Applications,ACS Series 467、(W.S.Shalaby et al.,Eds.ACS,Washington,DC 1991,Ch28,431−445)。これは、キトサンスポンジに関連したキトサンの使用について記載している一般的な評論文である。
【0011】
Malette,W.G.et al.,“Chitosan:A New Hemostat,” Annals of Thoracic Surgery 36(1):55−58,(1983)。上記Maletteの特許に関する評論参照。
【0012】
Olsen,R.,et al.,In Chitin and Chitosan,Sources,Chemistry,Biochemistry,Physical Properties and Applications,Elsevier Applied Science,London and New York,1989、813−828。この論文は、キトサンの凝集率に関する。
【0013】
特許文献5は、改良された粘着性を有するキトサン医療用バンドについて取り上げている。特許文献6は、外部止血用途のため、または創傷の保護のための水不溶性および2%酢酸不溶性キトサンスポンジについて記載している。
【0014】
特許文献7は、創傷包帯および/またはインプラント用途のためのコラーゲンベースの構造的に不均質なスポンジであって、少なくとも1つの薬物および少なくとも1つの下部構造を用いる凍結乾燥技術によって形成されたスポンジについて記載している。
【0015】
特許文献8は、血流またはほかの流体の停止において非常に効果的であり、かつ一定の時間後に体内で吸収される凍結乾燥スポンジ構造に関する。この特許は、コラーゲンスポンジ調製物について記載している。
【0016】
特許文献9は、キトサンとアルギネートとのブレンドまたは混合物から形成された創傷包帯を含んでいる。
【0017】
このようにして、重大な血流を止血することができ、かつ曲げまたは圧力をともなう荷重の時に破損されない、改良された止血包帯へのニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第4,394,373号明細書
【特許文献2】米国特許第4,452,785号明細書
【特許文献3】米国特許第4,532,134号明細書
【特許文献4】米国特許第5,858,350号明細書
【特許文献5】特許第60142927号
【特許文献6】特開昭63−090507号公報
【特許文献7】米国特許第5,700,476号明細書
【特許文献8】米国特許第2,610,625号明細書
【特許文献9】米国特許第5,836,970号明細書
【非特許文献1】Mi、F.L.ら,“Fabrication and Characterization of a Sponge−Like Assymetric Chitosan Membrane as a Wound Dressing”,Biomaterials,2001年、22(2):p.165−173
【非特許文献2】Chan,M.W..ら.“Comparison of Poly−N−acetyl Glucosamine(P−GlcNAc) with Absorbable Collagen(Actiform),and Fibrin Sealant(Bolheal) for Achieving Hemostasis in a Swine Model of Splenic Hemorrhage”,J.Trauma,Injury,Infection,and Critical Care,2000年、48(3):p.454−458
【非特許文献3】Cole,D.J.ら,“A Pilot Study Evaluating the Efficacy of a Fully Acetylated poly−N−acetyl glucosamine Membrane Formulation as a Topical Hemostatic Agent”、Surgery 1999年、126(3):p.510−517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の開示)
本発明は、生命に係わる重大な出血の制御のための救急/一次的介入創傷包帯を目的とする。現在のところ、生命に係わる重大な出血の制御に適した低費用の創傷包帯はない。特に戦場では、この型の包帯へのニーズが存在する。戦場では、典型的にはすべての死の50%が、重大な出血を直ちに制御することが不可能なことと関連している。本発明の創傷包帯は、創傷部位へ接着させ、創傷をシールし、創傷部位において血塊形成を加速させ、創傷部位における血塊形成を強化し、創傷部位からの出血を防ぎ、創傷部位からの血流を実質的に制止することによって、創傷からの生命に係わる出血流を実質的に止めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1つの実施形態において、親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有するものが提供される。この親水性ポリマーは、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、およびこれらの組合わせであってもよい。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせであってもよい。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。好ましくはこのキトサンは、少なくとも約100kDaの重量平均分子量を有する。より好ましくはこのキトサンは、少なくとも約150kDaの重量平均分子量を有する。最も好ましくはこのキトサンは、少なくとも約300kDaの重量平均分子量を有する。
【0020】
好ましくはこのキトサンは、約100センチポアズ〜約2,000センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。より好ましくはこのキトサンは、約125センチポアズ〜約1,000センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。最も好ましくはこのキトサンは、約150センチポアズ〜約500センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。
【0021】
この圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、およびこれらの組合わせである。
【0022】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスまたは湿潤性ポリマーマトリックスを、このスポンジの内部および/またはスポンジ表面に含んでいるスポンジが提供される。この親水性ポリマーは、アルギネート、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせを包含しうる。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの両方の組合わせであってもよい。
【0023】
この湿潤性ポリマーは、不織布マット、織布マット、成形ポリマーメッシュ、および低密度スポンジを包含しうる。この湿潤性ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせである。好ましくはこの親水性ポリマーはキトサンである。
【0024】
好ましくはこのキトサンは、少なくとも約100kDaの重量平均分子量を有する。より好ましくはこのキトサンは、少なくとも約150kDaの重量平均分子量を有する。最も好ましくはこのキトサンは、少なくとも約300kDaの重量平均分子量を有する。好ましくはこのキトサンは、約100センチポアズ〜約2,000センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。より好ましくはこのキトサンは、約125センチポアズ〜約1,000センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。最も好ましくはこのキトサンは、約150センチポアズ〜約500センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。
【0025】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。このテキスタイル糸は、親水性ポリマーを含浸されている。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。この親水性ポリマーはまた、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの両方の組合わせを包含しうる。
【0026】
湿潤性メッシュは、不織布メッシュであってもよい。好ましくはこのスポンジは、細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する。最も好ましくはこのスポンジは、細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する。好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約100cm2〜1cm2につき約1,000cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、1cm2につき約200cm2〜1cm2につき約800cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。最も好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.02g/cm2〜約1.0g/cm2である。より好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.04g/cm2〜約0.5g/cm2である。最も好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.06g/cm2〜約0.1g/cm2である。
【0027】
この圧縮複合スポンジはさらに、裏打ち支持層を含んでいてもよい。この裏打ち支持層は、ポリマー材料の層であってもよい。このポリマー材料は、合成非生物分解性材料であってもよく、または天然生物分解性ポリマーであってもよい。この合成生物分解性材料は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、前記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせを包含しうる。この天然のポリマーは、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせを包含しうる。合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせを包含しうる。
【0028】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約40kPa〜約500kPaの、創傷部位への接着度を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約60kPa〜約250kPaの、創傷部位への接着度を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約100kPa〜約200kPaの、創傷部位への接着度を有する。
【0029】
この圧縮複合スポンジは、創傷包帯−血液界面において、前記創傷から流れている血液と組合わせて接着性材料を形成しうる。好ましくはこの接着性材料は、キトサン接着性材料である。好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約6.3以下のpHを有する。より好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約4.5以下のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約4.0以下のpHを有する。
【0030】
この接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択された酸を含んでいてもよい。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する。
【0031】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約5%の極限伸びを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約10%の極限伸びを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約15%の極限伸びを有する。
【0032】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製工程;および(b)1分あたり約10mmの好ましい率および80℃の好ましい制御温度で、この低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。
【0033】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製以外の方法による低密度スポンジの調製工程;および(b)1分あたり約10mmの率および約80℃の好ましい制御温度で、その後の低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。好ましくはこの低密度スポンジは、約0.01g/cm3〜約0.035g/cm3の密度を有する。好ましくはこの圧縮スポンジは、約0.1g/cm3〜約0.15g/cm3の密度を有する。
【0034】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジの調製方法であって、(a)キトサン生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、キトサン生物材料溶液を脱ガスする工程;(b)このキトサン生物材料溶液を凍結する工程;(c)凍結されたキトサン生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結されたキトサン生物材料の中から水を除去し、したがってキトサン生物材料中の水が、固相から気相へ移る工程;(d)1分あたり約10mmの好ましい率でキトサン生物材料を圧縮し、これによって約0.1g/cm3〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程;および(e)この圧縮キトサンスポンジを、80℃で30分間ベーキングする工程を含む方法。好ましくは温度を、工程(b)のキトサン生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって徐々に低下させる。
【0035】
好ましくは工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である。より好ましくは工程(b)の方法は、約−35℃以下の最終凍結温度を包含する。最も好ましくは工程(b)の温度は、約−45℃以下の最終凍結温度である。水の除去は、凍結したキトサン生物材料を凍結乾燥することによって実施されてもよい。この方法はさらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムを、脱ガスされたキトサン溶液中に、凍結前に添加して戻す工程を含んでいてもよい。
【0036】
この圧縮スポンジは、滅菌されてもよい。好ましくはこの圧縮スポンジは、γ線照射によって滅菌される。
【0037】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防ぐ方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施すことを含む方法が提供される。好ましくは被験体は、哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジが、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、解放し、パックし、ラップする前の3〜5分間その位置に保持される。
【0038】
もう1つの実施形態において、圧縮スポンジまたは複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース(Ace)包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キットが提供される。
【0039】
もう1つの実施形態において、圧縮または複合圧縮スポンジの機械的結合およびかみ合わせ方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の(macrotextured)表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。この大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含しうる。
【0040】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの機械的牽引の改良方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。好ましくはこの大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術よって調製された表面からなる群から選択される。
【0041】
もう1つの実施形態において、この複合または圧縮複合スポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させる方法であって、スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上がったプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含む方法が提供される。
【0042】
もう1つの実施形態において、低密度スポンジは、約0.05g/cm3未満の当初密度を有するスポンジを、このスポンジが約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮することによって形成される。このスポンジは、凍結または凍結乾燥以外の方法によって形成することができる。好ましくはこのスポンジは、転相方法、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合によって調製されたスポンジ、および発泡技術からなる群から選択された方法を用いて形成される。
【0043】
もう1つの実施形態において、この圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジはさらに、少なくとも1つの追加の親水性ポリマーを含んでいてもよい。この追加の親水性ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。
【0044】
提供されるもう1つの実施形態は、親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有し、この親水性ポリマーが、ポリアクリル酸であってもよい圧縮スポンジである。好ましくはこの圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものを包含するが、これらに限定されるわけではない。カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、およびクロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである。
【0045】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスまたは湿潤性ポリマーマトリックスを、このスポンジの内部および/またはスポンジ表面に含み、この親水性ポリマーがポリアクリル酸であるスポンジが提供される。この湿潤性ポリマーマトリックスは、不織布マット、織布マット、成形ポリマーメッシュ、および低密度スポンジを包含しうる。この湿潤性ポリマーマトリックスは、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせを包含しうる。
【0046】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。好ましくはこのテキスタイル糸は、親水性ポリマーを含浸され、この場合、この疎水性ポリマーはポリアクリル酸である。好ましくはこの湿潤性ポリマーマトリックスは、不織布メッシュである。
【0047】
好ましくはこのスポンジは、細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する。最も好ましくはこのスポンジは、細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する。好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約100cm2〜1cm2につき1,000cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。より好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約200cm2〜1cm2につき800cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。最も好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。
【0048】
この圧縮複合スポンジはさらに、裏打ち支持層を含んでいてもよい。好ましくはこの裏打ち支持層は、ポリマー材料の層であってもよい。好ましくはこのポリマー材料は、合成非生物分解性材料、または天然の生物分解性ポリマーである。この合成生物分解性材料は、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、前記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせである。この天然のポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせである。合成ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせである。
【0049】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約40kPa〜500kPaの、創傷部位への接着度を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約60kPa〜250kPaの、創傷部位への接着度を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約100kPa〜200kPaの、創傷部位への接着度を有する。
【0050】
この圧縮複合スポンジは、創傷包帯−血液界面において、前記創傷から流れている血液と組合わせて接着性材料を形成しうるものであってもよい。好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約5.5以上のpHを有する。より好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約6.5以下のpHを有する。最も好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約7.5以下のpHを有する。好ましくはこの接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択された酸を含んでいる。
【0051】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する。
【0052】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約5%の極限伸びを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約10%の極限伸びを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約15%の極限伸びを有する。
【0053】
もう1つの実施形態において、出血制御のための請求項1に記載の圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製工程;および(b)1分あたり10mmの好ましい率および80℃の好ましい制御温度で、低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。
【0054】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製以外の方法による低密度スポンジの調製工程;および(b)1分あたり10mmの率および80℃の好ましい制御温度で、その後の低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。好ましくはこの低密度スポンジは、約0.01g/cm3〜約0.035g/cm3の密度を有する。好ましくはこの圧縮スポンジは、約0.1g/cm3〜約0.15g/cm3の密度を有する。
【0055】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジの調製方法であって、(a)生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、生物材料溶液を脱ガスする工程;(b)この生物材料溶液を凍結する工程;(c)凍結された生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結された生物材料の中から水を除去し、したがって生物材料中の水が、固相から気相へ移る工程;(d)1分あたり約10mmの好ましい率で生物材料を圧縮し、これによって約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程;および(e)この圧縮スポンジを、80℃で30分間ベーキングする工程を含む方法が提供される。好ましくは温度を、工程(b)の生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって徐々に低下させる。好ましくは工程(b)の温度は、約−5℃以下の最終凍結温度である。より好ましくは工程(b)の温度は、約−35℃以下の最終凍結温度である。最も好ましくは工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である。好ましくは水の除去は、凍結された生物材料を凍結乾燥することによって実施される。この方法はさらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムを、脱ガスされたキトサン溶液中に、凍結前に添加して戻す工程を含んでいてもよい。このスポンジは、滅菌された圧縮スポンジであってもよい。好ましくはこの圧縮スポンジは、γ線照射によって滅菌される。
【0056】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防止する方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法が提供される。好ましくは被験体は哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される。
【0057】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防止するための方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法が提供される。好ましくは被験体は哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される。
【0058】
もう1つの実施形態において、圧縮スポンジまたは複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キットが提供される。
【0059】
もう1つの実施形態において、圧縮または複合圧縮スポンジの機械的結合およびかみ合わせ方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。この大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含しうる。
【0060】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの機械的牽引の改良方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。好ましくはこの大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチングよって調製された表面からなる群から選択される。
【0061】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させる方法であって、スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上がったプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含む方法が提供される。
【0062】
もう1つの実施形態において、低密度スポンジであって、約0.05g/cm3未満の密度を有するスポンジを、約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮することによって形成され、凍結または凍結乾燥以外の方法によって形成されるスポンジが提供される。好ましくはこのスポンジは、転相方法、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合によって調製されたスポンジ、および発泡技術からなる群から選択された方法を用いて形成される。
【0063】
もう1つの実施形態において、ポリアクリル酸と組合わせてさらに親水性ポリマーも含んでいる圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジが提供される。この親水性ポリマーは、次のものを含んでいてもよいが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせを包含しうる。好ましくはこの親水性ポリマーはキトサンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(A.圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ)
本発明は、生死に係わる重大な出血の制御のための救急/一次的介入創傷包帯を目的とする。このような出血は、弾道損傷および重大な動脈裂傷において致命的になりうる。特に戦場において、この型の包帯への緊急のニーズがある。戦場では、典型的にはすべての死の50%が、直ちに重大な出血を制御することが不可能であることと関連している。
【0065】
生死に係わる重大な出血のための先進的な創傷包帯は、好ましくは次の特性を有すべきである:
i)パッケージから取り出した後、容易かつ迅速に一工程で適用される;
ii)急速かつ強力な凝血;
iii)急速かつ強力な組織接着;
iv)強力な内部凝集特性;
v)急速かつ強力な創傷シール;
vi)強い血流下の溶解への抵抗性;
vii)損傷との良好なたわみ性;
viii)組織と接触する表面テキスチャーを制御することによって、滑りを停止するための、組織への包帯の当初の良好な機械的な取り付け;および
ix)有効性を譲歩することなく、大雑把に処理できること。
【0066】
この目的のために、本発明は、先進的出血制御創傷包帯、およびこのような創傷包帯の使用および製造方法を目的とする。本発明によって考察されている、生死に係わる重大な出血の種類は典型的には、従来のガーゼ創傷包帯が該創傷に対して従来の圧力とともに適用された時、止血されえない型のものである。あるいはまた、この生死に係わる重大な出血の性質は、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに適用された時にこれが止血されず、そしてほかの手段によって制御されないならば、その人が低血圧状態に陥る結果になるであろうようなものである。ほかの言い方をすれば、この生死に係わる重大な出血は一般に、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに適用された時、止血されえず、その人の最大血圧が、約90mmHg未満のレベルに落ちる結果になるであろう。
【0067】
この生死に係わる重大な出血はまた、1分あたりの失血約90mL超の安定した高い血液流として記載することができ、したがって出血の約20分後、70kgのヒト男性から総血液の約40%超の容量が失われるであろうし、この血液容量損失は、ヒトの生存の可能性を実質的に減少させるであろう。この型の出血が、5〜10分以内に停止されないならば、負傷者は低血圧状態に陥ることがあり、したがって動脈圧は、60mmHg未満に落ちる。多くの場合重大な出血は、弾道発射損傷、または鋭い穿孔損傷、または鈍的外傷損傷によって引起こされる。ほかの場合、重大な出血は、凝固障害、体内外傷または外科的外傷、自動車外傷、農業事故などによって引起こされる。
【0068】
本発明の創傷包帯は、少なくとも約90mL/分の血流流量を有するかなり大きい動脈創傷またはかなり大きい静脈創傷によって引起こされた前記重大な出血を止血することができ、かつ約5分以下の時間の間創傷包帯へ直接圧力を加えることによって、創傷部位へ接着しうる。この創傷包帯はまた、迅速に作用して創傷をシールし、創傷部位からの重大な出血の実質的な凝血および凝集を容易にし、創傷包帯へ直接圧力を一時的に加えることによって重大な出血を止める。この創傷包帯は、高い血流中の溶解への高い抵抗性を有し、良好な体内凝集特性を有する。これは損傷に適合するのに十分な柔軟性、および大雑把な処理に抵抗するための靭性を有する。
【0069】
該包帯は、重大な出血を制御するための生物材料から形成されている。好ましくはこの生物材料は、非哺乳動物材料を含んでいる。好ましくはこの非哺乳動物材料は、ポリ[β−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコピラノース]であり、これはより一般的にはキトサンと呼ばれる。
【0070】
この創傷包帯は、中間構造または形状生成工程の使用を介して、スポンジ様または織布形状に成形される。この生物材料は、相互連結開放多孔質構造、および/または延伸開放ラメラ構造、および/または開放管状構造、および/または開放ハネカム構造、および/またはフィラメント構造を含む。この創傷包帯は、約15ミクロン〜約300ミクロン;約30ミクロン〜約250ミクロン;約100ミクロン〜約225ミクロン;約125ミクロン〜約200ミクロン;最も好ましくは約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する、相互連結自由空間領域または細孔を有する。この創傷包帯は、好ましくは1cm2につき少なくとも約100cm2、より好ましくは1cm2につき少なくとも約200cm2、最も好ましくは1cm2につき少なくとも約300cm2の、前記創傷包帯のベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、好ましくは約0.02g/cm2〜約1.0g/cm2であり;より好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.04g/cm2〜約0.5g/cm2であり;最も好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.06g/cm2〜約0.1g/cm2である。
【0071】
「ベース表面あたり」とは、例えば一般に血液と接触しているベース表面の1cm×1cmを考えるならば、その場合には、開放スポンジ構造によって、血液が少なくとも100cm2のキトサン表面積を見込むことが予想されるであろうという意味である。
【0072】
スポンジは、次の方法によって調製されるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、転相方法、凍結、凍結乾燥、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合、および発泡技術である。
【0073】
さらにはこの創傷包帯は、前記創傷部位へ接着した時、約37℃の温度において、好ましくは1cm2につき1分あたり約0.008グラム以下、より好ましくは1cm2につき1分あたり約0.005グラム以下、最も好ましくは1cm2につき1分あたり約0.002グラム以下の、前記創傷包帯のベース表面積あたりの平均溶解率を有する。
【0074】
該創傷包帯は好ましくは、少なくとも約0.05g/cm3、より好ましくは少なくとも約0.07g/cm3、最も好ましくは少なくとも約0.11g/cm3の密度を有する。これは、少なくとも約0.05g/cm3、より好ましくは少なくとも約0.07g/cm3、最も好ましくは少なくとも約0.095g/cm3、好ましくは約0.2g/cm3以下の、圧縮密度に対する圧縮荷重を好ましくは有しうる。
【0075】
本発明の創傷包帯は典型的には、少なくとも約50kDa、好ましくは少なくとも約75kDa、より好ましくは少なくとも約100kDa、最も好ましくは少なくとも約150kDaの数平均分子量(pH5.5、0.01M酢酸ナトリウムにおけるポリエチレングリコール標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定された分子量)を有するキトサンを含有する。好ましくはキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約6.3以下のpHを有する。より好ましくは、このキトサン接着性材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約4.5以下のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約4.0以下のpHを有する。
【0076】
親水性ポリマーがポリアクリル酸である包帯に関して、好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、約5.5以上のpHを有する。より好ましくはこの接着性材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約6.5以上のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約7.5以上のpHを有する。
【0077】
キトサンはまた好ましくは、少なくとも約100kDa、より好ましくは少なくとも約150kDa、最も好ましくは少なくとも約300kDaの重量平均分子量(pH5.5、0.01M酢酸ナトリウムにおけるポリエチレングリコール標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定された分子量)を有する。この創傷包帯中のキトサンはまた、好ましくは約100センチポアズ〜約2,000センチポアズ、より好ましくは約125センチポアズ〜約1,000センチポアズ、最も好ましくは約150センチポアズ〜約500センチポアズである、約30rpmでのスピンドルを用いた、酢酸(AA)の1%溶液中で25℃におけるブルックフィールドLV DV−II+粘度も有する。このスピンドルは好ましくは、スピンドルLV1、LV2、LV3、またはLV4である。上で言及されている分子量および粘度は、実質的に純粋なキトサン創傷包帯、およびキトサンの吸着された表面層をともなって形成された創傷包帯に関するものである。キトサンの共有結合表面層を含有する創傷包帯であるならば、その場合にはキトサンのより低い粘度および分子量が好ましいことがある。
【0078】
本発明の創傷包帯は、組織接着および組織シールを促進するための、カチオン性キトサン塩を含んでいてもよい。好ましくはこれらのカチオン性キトサン塩は、キトサンホルメート、キトサンアセテート、キトサンラクテート、キトサンクロライド、キトサンアスコルベート、およびキトサンシトレートを包含するが、これらに限定されるわけではない。このキトサンは、典型的には少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約85%である、脱アセチル化度を有する。
【0079】
中密度スポンジ(0.1g/cm3>密度>0.5g/cm3容積固体)、または既に好ましい密度にある中密度スポンジを、0.15g/cm3に近いその最適な密度に圧縮するよりもむしろ、低密度スポンジ(密度<0.03/cm3固体)を圧縮することが好ましい。これは、低密度スポンジにおけるスポンジ形成方法の結果として、中密度およびより高い密度のスポンジ中の壁の厚さと比較して、スポンジ細孔間の有意により薄い壁の厚さを生じるからである。同様に、これらのより高い密度のスポンジは、多くの場合、スポンジ剛性を増し、かつ亀裂への抵抗性を減少させる、より相互連結された構造も有する。低密度スポンジ中の薄い多重壁は、より高い密度に圧縮された時、より相互連結された構造、ならびにより厚く、したがってより剛性あるセル壁をともなって製造された中密度およびより高い密度のスポンジよりも、より柔軟性があって、より剛性のスポンジを可能にする。
【0080】
スポンジの緻密化は、固定温度において、制御された圧縮率の一方向または二方向のどちらかの適用によって達成されてもよい。好ましいスポンジの緻密化は、80℃における一方向圧縮によって、および約2%〜5%w/wのスポンジ湿分含量を用いて達成される。一軸圧縮の一例として、10.0cm(x方向)×10.0cm(y方向)×1.70cm(z方向)が、Geo Knight 394−TSシャトルプレスにおいて40psiで、平らな水平延伸(xy平面)の63.5cm×50.8cmアルミニウムプラテン間のz方向に、10mm/分で圧縮された。圧縮率は、圧力設定およびParker SPF200Bニードルバルブの使用によって制御された。
【0081】
0.55cmの最終スポンジ厚さは、少なくとも2つのスペーサーバー50cm×2cm×0.55cmの使用によって制御された。このスポンジの当初密度は、0.033g/cm3であった。プレス後のスポンジの密度は、0.10g/cm3であった。ほかのスペーサー対照、例えば0.15cm、0.35cm、および0.45cm高さを用いて、それぞれ0.375g/cm3、0.16g/cm3、および0.125g/cm3のスポンジが得られた。二方向圧縮(zおよびxまたはy方向におけるプラテン圧縮)は、5cm×5cm×1.7cmスポンジを2.5cm×2.5cm×0.55cmスポンジに縮小するために実施することができる。複合形状は、真空バギング技術を用いて圧縮されうる。この場合、閉鎖されたプラスチックフィルムが、スポンジの表面を覆ってラップされ、空気は、真空を加えることによって、スポンジおよびプラスチックフィルムジャケット内から、制御されたレベルまで除去される。加熱されたローラープレスもまた、スポンジリボンおよびほかのスポンジプロフィールを圧縮するために用いられうる。このようなスポンジリボンおよびプロフィールは、これらがローラープレスを用いてプレスされるならば、内部複合メッシュを用いて強化されるのが好ましい。連続複合スポンジフィラメントの圧縮の好ましい実施形態は、このフィラメントが、完全圧縮において2.5mm近い直径から0.67mm直径へ、入口において制御されたテーパーを有するテフロン(登録商標)コーティングされた加熱ロッドダイ(80℃)を通して延伸される実施形態である。
【0082】
制御された湿分、加熱、および圧縮率の条件は、スポンジの脆性圧潰を最小限にしつつ、延性圧密を最適化するために選択される。スポンジの脆性圧潰の結果、亀裂によるスポンジの機械的一体性の喪失を生じる。細かい相互連結帯域への最適なスポンジ圧密は、均一な相互連結球様細孔(例えば12面体)を有するスポンジにおいて最適に達成される。非圧縮スポンジ細孔サイズは、30〜120ミクロンが最適であり、ポリマー壁の厚さは1〜20ミクロンである。ラメラまたはハネカム様構造を有するスポンジの場合、この構造は、一軸圧縮の垂直方向から30〜40°近くのところに均一に延伸されることが最良である。熱勾配の方向に垂直なせん断応力を加えることによって、凍結の間このような均一構造を得ることが可能である。このようなせん断は、凍結の方向に均一な荷重を加え、熱損失に対して垂直方向に減少した荷重をかけて達成される。
【0083】
ほぼ垂直な構造は、脆性破断およびランダムチャネル形成をともなわずには、それほど容易に圧縮されない。実際、開放金型における凍結の間、上部表面氷核生成に由来するコース(course)垂直構造は、スポンジ中の垂直クラスト層につながり、これは容易に圧縮されず、スポンジ中に剛性を引起こし、血液または水溶液と接触した時に、急速に溶解する。同様に水平構造は望ましくないが、その理由は、これらがバルク体に弾性的に圧縮され、表面における細孔相互連結性の喪失をともなうからである。
【0084】
ラメラ型またはハネカム様スポンジにおいても同様に、壁構造が小円鋸歯状または繊毛表面を有することが望まれる。ラメラまたはハネカム壁のこのような表面は、特異的条件下、氷と親水性ポリマーとの凍結制御された相分離の間に得られる。通常、小円鋸歯または繊毛は、3〜10ミクロンの薄い壁、「歯」、「櫛」、または柱として表面から突出し、小円鋸歯の場合長さ3〜10ミクロン、または繊毛の場合直径2〜3ミクロンであり、ラメラまたはハネカム表面に直交している。これらは、ラメラまたはハネカム壁上で、多くの場合迷路様の規則性をともなって分布している。すなわち、1つの壁が別の壁に隣接して、5〜10ミクロン分離されているが、常に離れている。小円鋸歯の限度は、ポリマーの分子量、その分子量分布、相分離の前またはその間の細長いロッド様溶液特性の限度、および冷却領域によって制御されているように見える。緻密化の時、これらの小円鋸歯は、ラメラが互いに対して圧縮されるにつれて、ラメラの所望の制御された間隔あけを少なくとも約5〜10ミクロンに補強することによって、細孔連結を維持する作用をする。
【0085】
表面絨毛および小円鋸歯はまた、機械的固定および表面の結合の補助によって、接着において重要な役割も果たす。したがって小円鋸歯状/絨毛状構造の表面テキスチャーは、緻密化の間最もよく保持される。これは、プラスのスポンジ表面をマイナスのベース表面に圧縮することによって達成することができる。理想的にはこのベース表面のテキスチャーは、小円鋸歯/絨毛表面のマイナスの解放である。このようにして、最小限の荷重を加えることによって、第一表面は、第二表面中に正確に鍵を掛け(key)、これら2つの表面間に最大の表面積接触を生じるであろう。同様に、第一表面を第二表面から取り出す時、有意な表面損傷または損失をともなわずに、必然的に表面の良好な剥離があるであろう。プレスの間の表面のこのマイクロ鍵掛けと同様、スポンジが圧縮工程の間にプレスされる指定されたテンプレート表面の適用によって、スポンジ表面中にマクロパターン化を作り出すことも可能である。このようなパターン化は、組織損傷への一次的止血包帯の適用を補助するような滑り止めパターンを包含しうる。
【0086】
長方形、円筒形、球形、複雑な形態、および複合形態は、出血の制御のために最適な密度に圧縮されうる。スポンジは、複合形態をともなって調製することができる。典型的な長方形複合形態は、不溶性であるが湿潤性の不織布または織布メッシュをスポンジ中に含めることができるであろう。このことは典型的には、前スポンジ溶液中に存在するメッシュを用いた、スポンジ形成相分離方法を実施することによって行なわれるであろう。不織布メッシュ材料が好ましいが、その理由は、この材料が、スポンジ圧縮方法とより適合性があり、緻密化の間、スポンジ中に裂けを引起こす可能性がより少ないからである。もう1つの実施形態は、0.25%〜1%キトサン溶液からの低密度キトサンスポンジが、凍結/凍結乾燥によってキトサンスポンジに成形されている場合である。このスポンジはついで、室温で99%無水酢酸中に少なくとも24時間浸漬することによって、キチンスポンジ形態へ再アセチル化される。この再アセチル化されたスポンジはついで、キトサン金型溶液(1%〜2%)上に、またはその中に加えることができ、このキトサン溶液は、凍結/凍結乾燥によってスポンジに成形される。キチンスポンジによって強化されたこの複合キトサンスポンジはついで、その後最適な密度にプレスされる。複合形態のもう1つの実施形態は、キトサンスポンジが、最も好ましくは凍結/凍結乾燥手順によって成形されている実施形態である。このキトサンスポンジはついで、0.1M NaOH溶液中での洗浄によって中和され、ついで水中にリンスされ、残留ナトリウム塩および水酸化ナトリウムが除去される。この中和キトサンスポンジ(今や水および血液不溶性である)は、今や適切な金型中の親水性ポリマー塩溶液(pH≧7)の水溶液の上またはその中に入れられる。この金型は、凍結/凍結乾燥機の中に入れられ、中和キトサンスポンジで強化された親水性スポンジを生成する。その後の複合スポンジはついで、適切な厚さにプレスされる。
【0087】
非常に好ましい円筒形スポンジ複合形態は、このスポンジが湿潤糸またはテキスタイルの中に形成された形態である。スポンジおよび糸の直径は、典型的には1〜2mmであろう。その軸に垂直なこの糸の圧縮の結果として、直径0.2〜0.5mmの柔軟性キトサン含浸糸を生じ、これは、体内出血損傷、および上を覆う必要がある損傷へ施すための、および出血を制御するために多重裂傷位置の操作のための、強力なたわみ性のある医療用包帯テープとして製織することができる。このようなテープは、出血性の創傷を包含する様々な重症度の創傷へ層化するのに非常に便利であろう。このテープ中の含浸ポリマーは、局部的凝血を加速させ、ならびに組織にしっかりと接着するであろう。この型のキトサン含浸糸は、妥協的に正常な(compromised normal)血小板凝血を有する個人、例えば血友病患者およびショック状態にある人において、加速された凝血を与えるであろう。
【0088】
本発明のスポンジは、機械的手段を用いて結合(matted)およびかみ合わせされうる。具体的には、使用した時にこれらの被験体の創傷および組織と接触するスポンジの側は、大きい織目の表面に対して押し付けられうる。この大きい織目の表面は、機械的切断によって調製された表面およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含するが、これらに限定されるわけではない。このスポンジの機械的牽引はまた、使用の時、被験体の創傷および組織と接触するスポンジの表面を、大きい織目の表面に対して押し付けることによって改良されうる。大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術によって調製された表面を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。
【0089】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。この糸は、親水性ポリマーを吸収しうる、合成または天然のあらゆる材料であってもよい。例えばこの糸は、植物ベースの材料であってもよい。好ましくはこの糸は、マルチフィラメントである。
【0090】
このスポンジ創傷包帯は、裏打ち支持層がこれに付着されていてもよい。これは、改良された取扱いおよび機械的特性を与え、これを促進する。この裏打ち層は、キトサンの上部層との直接接着によって包帯に付着または接着させることができる。または接着剤、例えば3M9942アクリレート皮膚接着剤、またはフィブリングルーもしくはシアノアクリレートグルーを用いることができる。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に血液不溶性である。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に血液不浸透性である。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に生物分解性である。この裏打ち支持層は好ましくは、適用の間に包帯のしっかりした取扱いを可能にし、包帯がひとたび適用されたら、手には非粘着性である材料である。
【0091】
好ましくは裏打ち支持体を形成する材料は、ポリマー材料層である。好ましい裏打ち材料の例には、低モジュラスメッシュ、および/またはフィルム、および/または合成および天然ポリマーの織布が含まれる。合成生物分解性材料には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、上記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせである。天然の生物分解性ポリマーには、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、およびアルブミンである。一時的外部創傷用途のための非生物分解性ポリマーには、次のものが含まれる。すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせである。
【0092】
本発明の創傷包帯は、少なくとも約40kPa、より好ましくは少なくとも約60kPa、最も好ましくは少なくとも約100kPaの、創傷部位への接着度を有する。同様にこの創傷包帯は、好ましくは約3.0mm以上、より好ましくは約3.5mm以上、最も好ましくは約4.0mm以上、好ましくは約8.0mm以下、より好ましくは約7.0mm以下、最も好ましくは約6.5mm以下の厚さを有する。
【0093】
本発明の創傷包帯(2.5cm幅)は好ましくは、1kg以上、より好ましくは少なくとも1.5kg、最も好ましくは少なくとも2.25kgの極限引張り破壊荷重を有する。この同じ包帯は好ましくは、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%の極限伸びを有する。この包帯のヤング率は好ましくは10Mpa未満、より好ましくは3Mpa未満、最も好ましくは1Mpa未満である。
【0094】
この創傷包帯は好ましくは、有意量の表面血液を含んでいる創傷部位への創傷包帯の適用に特に有用な補足的牽引表面を含んでいる。この補足的牽引表面は、使用中、典型的には創傷部位から離れた方向への創傷包帯の滑りを避けるためにこの創傷部位を掴む、少なくとも1つの外側表面を含みうる。この補足的牽引表面は、好ましくはトレッドの設計の形態にある。
【0095】
該創傷包帯は、創傷包帯−血液界面において前記創傷から流れる血液と組合わせて接着性材料を形成しうる。この場合、キトサン接着剤材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約5.5以下、より好ましくは約4.5以下、最も好ましくは約4以下のpHを有する。キトサン創傷包帯のpHを調節する目的で用いられる典型的な酸は、次のとおりである:酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸。pHを上記のレベルに調節するための、キトサンカチオン/アニオンペアにおける酸アニオン対グルコサミン官能基のモル比は、好ましくは約0.90、より好ましくは約0.75、最も好ましくは約0.60である。
【0096】
この創傷包帯は、創傷と係合的に接触するため、および生死に係わる重大な出血流の止血を容易にするために、この創傷の形状に適合させることができる。より詳しくはこの創傷包帯は、この創傷の隙間の中に導入される。より好ましくはこの創傷包帯は、管状形状に適合させることができる。ついで形状が変更されたこの創傷包帯は、創傷の中に挿入される。
【0097】
本発明はまた、人の創傷部位において、創傷からの生死に係わる重大な出血の制御方法についても考察する。この方法は、キトサンを含んでいる生物材料から形成された創傷包帯の供給工程、創傷部位への前記創傷包帯の接着工程、および前記創傷からの生死に係わる重大な前記出血流を実質的に止血する工程を含む。好ましくはこの創傷がシールされ、前記創傷部位からの出血が防止される。同様に、出血、および前記創傷部位の中へおよび/またはそこからのほかの流体の流れが、好ましくは防止される。本発明の包帯は、赤血球を凝集することによって出血部位に強力な血塊を急速に生じるために作用する。これはまた、正常な血小板凝結経路を加速することによって、凝血を促進しうる。
【0098】
あるいくつかの用途において、該創傷包帯の溶解速度は、凝集速度と比べて比較的遅かった。このバランスは良好な結果を生じるが、それはこの高速での凝集が溶解を停止させるからである。このことは、この創傷包帯の内部の表面構造の均一性の重要性を証明している。この創傷包帯中に、かなり大きい欠陥、例えば粒界または小さい亀裂によって引起こされた通路が存在するならば、その場合には有意な血流が、この欠陥に沿って通路を形成し、非常に望ましくない血液浸透状態を生じ、これは、これらが形成するにつれて、比較的小さいあまり粘性でない凝集区域を洗い流すことがある。同様に、ウエハー表面全体上への加圧下の有意な血流は、先行技術の創傷包帯の創傷接着に悪影響を与えるように見えるが、本発明の創傷包帯の創傷接着には悪影響を与えない。
【0099】
本発明の創傷包帯の重要な好ましい属性は、キトサンと血液とを組合わせる一方で、結果として生じた「血塊」の機械的一体性、および損傷部のすぐ隣の表面への血塊の結合が得られる手段である。該創傷包帯は、創傷部位における血塊形成を加速し、創傷部位における血塊形成を強化し、創傷部位からの出血を防止する。これはまた、創傷部位中へ、および/またはそれからの血液およびほかの流体の流れも実質的に防止する。
【0100】
本発明の創傷包帯は、凝血および創傷部位への接着というその二重の能力を維持する一方で、極端な環境中での高いレベルの復元力も示す。この創傷包帯の顕著な復元力は、この包帯の驚くべき物理的特性によって例示される。該創傷包帯は、以前に記載された先行技術の製品とは異なり、構造的復元力を維持しつつ、創傷形状へ適合する顕著な能力も有する。この構造的復元力によって、この創傷包帯が、機械的性質の実質的な喪失をともなわずに、変形後に好ましい形状を取ることが可能になる。
【0101】
好ましくは本発明の出血制御包帯は、使用中にこの包帯の滑りを実質的に避けるために創傷区域を掴む表面を含んでいる。典型的にはこの包帯のこの滑り止め表面は、牽引表面を含んでいる。該出血制御包帯は、効果的な滑り止め表面、例えば牽引表面を有することから利点を得ることができる。該出血制御包帯は、滑らかな側と粗い側を有しうる。この粗い方の側は好ましくは、この側もまたより良好な接着特性を示すのであれば、組織または出血表面側である。
【0102】
牽引表面は、十分に潤滑された表面(例えば重大な出血の場合に存在する表面)に表面接触の増加した安定性(よりよい牽引)を備えることによって、急速な動脈出血を制御する包帯能力を改良しうる。このような牽引表面は、接着動力学に悪影響を与えず、一方で、包帯適用の決定的な時間中、より制御された安定な組織接触を可能にしつつ、血液の通路を作るのを助ける。例えばこの包帯の組織側は、トレッド設計の形態にある牽引表面を有してもよい。このトレッドは、創傷への適用を受けている時に、包帯が、この創傷から離れた方向において牽引損失を受けるのを防ぐことができるであろう。
【0103】
出血制御包帯の滑り止め表面は、互いに連結せず、覆い隠されたリッジをともなって生成されてもよい。このようにして今度は、これらのリッジ間に形成された通路は、完全にまたは一部、互いに対して覆い隠され、このようにして、創傷区域の中へ、またはそこからの制御された血流の戻りを与えるような、制御された連結を与えるであろう。包帯適用の区域における制御された血流は、出血制御包帯におけるリッジまたは特殊な型の応答性ゲートによって維持されうる。出血制御包帯の製造用金型の底部にあるリッジは、牽引制御、例えばリッジなどの形態で、該包帯中の滑り止め表面を可能にする型の凹部を含んでいてもよい。
【0104】
このようにして、少なくとも1つのすべり止め表面、例えば牽引表面を有する出血制御包帯を製造することができる。同様に、このような包帯の製造方法が提供されるであろう。最後に、出血制御包帯を製造するための金型を製造することができる。
【0105】
接着性ベースおよび上部表面が有利であるような場合、重大な出血を処置するために、両面で接着および凝血が必要とされる時に、容易に剥がし取られるように支持裏打ちを設計することが可能である。
【0106】
広い範囲の可能な型の出血創傷に取り組むために、包帯の数多くの出血制御形状が存在する。負傷者が、最初の応答者によって、または潜在的には負傷者自身によって処置されうるように、様々な形状のいくつかの包帯を(例えば戦場の状況において)携帯する必要があることがある。本発明の包帯は、非常に多くの物理的酷使を許容し、それでもなお活性な出血制御基盤に留まりうる。
【0107】
この包帯は、局所性血管出血、ならびに小さい局所創傷の処置に理想的である。これはまた、出血部位を容易に圧縮することができない複雑な刺入れ創傷へのパックにもよく適する。
【0108】
ひとたび出血制御が本発明を用いて達成されると、末端部創傷を安定させ、創傷縁部を接合し、汚染を防ぎ、決定的な修復のために負傷者の避難を可能にする耐久性包帯を作製することが、一般市民および戦場の出血制御包帯についての主な必要条件である。出血制御包帯の1つの想定された形状は、末端部の周りにきっちりと付着させることができ、かつロックタブ、例えば永久接着性グルーを用いて、剥がし取り表面を介してそれ自体に固定することができる柔軟性のある弾性裏打ちを有する、10”×18”包帯である。この形状は、創傷表面を接合し、血流を遠位末端部へ譲歩して追いやることなく、出血制御表面をつけ加えるであろう。これは第一応答者によって、ある場合には負傷兵士によって適用されてもよく、移動下、または輸送中の極端な動きの下でも安定であろう。この包帯は、創傷または皮膚への不都合な接着をともなわずに、これを切り離すことによって除去されるであろうと想定される。
【0109】
(B.圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジの製造方法)
人間の創傷部位における創傷からの生死に係わる重大な出血を制御しうる創傷包帯の製造方法が提供される。このような方法は、上記のようなキトサン生物材料の供給工程を含む。
【0110】
構造または形態生成工程は典型的には、溶液から実施され、例えば(相分離を引起こすための)凍結、(フィラメントを生成するための)非溶媒ダイ押出し、(フィラメントを生成するための)電気紡糸、転相、および(典型的には透析およびフィルター膜を生成するために用いられているような)非溶媒での沈殿、または予め形成されたスポンジ様または織布製品上への溶液コーティングなどの技術を用いて達成することができる。2つまたはそれ以上の異なる相が、凍結(典型的には、別個の固相へのキトサン生物材料の分化を用いた水の氷への凍結)によって形成される凍結の場合、凍結溶媒(典型的には氷)を除去するために、したがって凍結された構造を乱すことなく創傷包帯を製造するために、もう1つの工程が必要とされる。これは、凍結乾燥および/または凍結置換工程によって実施されうる。フィラメントは、不織布紡糸方法によって、不織布スポンジ様メッシュに形成することができる。あるいはまたフィラメントは、従来の紡糸および製織方法によって、フェルト化された織布として生成されうる。前記生物材料スポンジ様製品を製造するために用いることができるほかの方法には、固体キトサンマトリックスからの添加ポロゲンの溶解、または前記マトリックスからの材料の穿孔が含まれる。
【0111】
好ましくはキトサン生物材料から、一般的な大気ガスが脱ガスされる。典型的には脱ガスは、キトサン生物材料から十分な残留ガスを除去し、したがってその後の凍結操作を受けた時、このガスは洩れず、該創傷包帯製品中に、望まれない大きい空隙または大きな閉じ込められたフォームを形成する。この脱ガス工程は、典型的には溶液形態にあるキトサン生物材料を加熱し、ついでこれに真空を加えることによって実施されてもよい。例えば脱ガスは、この溶液を攪拌しつつ、約500mトルで約5分間真空を加える直前に、キトサン溶液を約60℃に加熱することによって実施することができる。
【0112】
親水性ポリマー生物材料スポンジ溶液処理の1つの実施形態は、当初の脱ガス後に、あるいくつかのガスを溶液中に加えて戻すことである。このようなガスには、アルゴン、窒素、およびヘリウムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。この工程の1つの利点は、これらのガスの分圧を含有する溶液が、凍結した時に微小空隙を形成するということである。この微小空隙はついで、氷前線が前進するにつれてこのスポンジを通って運ばれる。これは、十分に画定され、かつ制御された通路を残し、これは、スポンジ細孔の相互連結性を補助する。
【0113】
次に、典型的には溶液形態にあるキトサン生物材料が、凍結工程に付される。凍結は好ましくは、キトサン生物材料溶液を冷却し、この溶液温度を室温から凍結点以下の最終温度まで低下させることによって実施される。このようにして、創傷包帯製品の好ましい構造が調製されうる。この最終凍結温度は好ましくは約−10℃以下であり、より好ましくは約−20℃以下であり、より好ましくは約−30℃以下である。好ましくはこの温度は、予め決定された時間にわたって徐々に低下される。例えばキトサン生物材料溶液の凍結温度は、約90分〜約160分の間、約−0.4℃/分〜約−0.8℃/分の一定温度冷却勾配を適用することによって、室温から−45℃に低下させることができる。
【0114】
凍結されたキトサン生物材料はついで、凍結材料の隙間内からの水の除去を受けてもよい。この水の除去工程は、凍結されたキトサン生物材料の構造的一体性を損なうことなく実施されうる。これは、究極的な創傷包帯の構造的配列を破壊することがある実質的な液相を生成することなく達成されうる。このようにしてキトサン生物材料は、中間液相の実質的な形成をともなわずに、固体凍結相から気相に変わる。
【0115】
水の除去の好ましい方法は、凍結乾燥工程を用いることによる。凍結キトサン生物材料の凍結乾燥は、この凍結キトサン生物材料をさらに凍結することによって実施することができる。典型的には、ついで真空が適用される。次に、排出された凍結キトサン材料が加熱されてもよい。ついでそこで、加熱され、排出され、凍結されたキトサン材料は、好ましくは乾燥される。
【0116】
より具体的には、この凍結キトサン生物材料は、好ましくは約−15℃、より好ましくは約−25℃、最も好ましくは約−45℃で、少なくとも約1時間、より好ましくは少なくとも約2時間、最も好ましくは少なくとも約3時間の好ましい時間、その後の凍結に付されてもよい。この工程の後、約−45℃未満、より好ましくは約−60℃未満、最も好ましくは約−85℃未満の温度への凝縮器の冷却を行なうことができる。次に、好ましくは大きくてもせいぜい約150mトル、より好ましくはせいぜい約100mトル、最も好ましくは少なくとも約50mトルの量の真空を加えることができる。ついで、排出された凍結キトサン材料は、好ましくは約−25℃、より好ましくは約−15℃、最も好ましくは約−10℃で、少なくとも約1時間、より好ましくは少なくとも約5時間、最も好ましくは少なくとも約10時間の好ましい時間、加熱されうる。最後に、乾燥は、好ましくは約20℃、より好ましくは約15℃、最も好ましくは約10℃で、少なくとも約36時間、より好ましくは少なくとも約42時間、最も好ましくは少なくとも約48時間の好ましい時間、実施することができる。
【0117】
その後、キトサン生物材料は、厚みを減少させるため、および前記創傷包帯の密度を増すために、例えば加熱プラテンを使用することによって圧縮させることができる。圧縮温度は好ましくは、約60℃以上であり、より好ましくはこれは約75℃以上であり、約85℃以上である。ついでプレスされたキトサン生物材料は、好ましくは約75℃までの温度、より好ましくは約80℃の温度、最も好ましくは約85℃までの温度へこれを加熱することによって、好ましくはプレコンディショニングされる。プレコンディショニングは典型的には、約0.25時間まで、好ましくは約0.35時間まで、より好ましくは約0.45時間まで、最も好ましくは約0.50時間までの時間実施され、これによって、既に上に記載されているように、前記創傷包帯の接着強さおよび溶解抵抗を増す。
【0118】
この加工処理された創傷包帯はついで、滅菌工程に付されてもよい。この包帯は、いくつかの方法によって滅菌することができる。例えば好ましい方法は、照射、例えばγ線照射による。これは、創傷包帯の血液溶解抵抗、引張り特性、および接着特性をさらに向上させることができる。この照射は、少なくとも約5kGy、より好ましくは少なくとも約10kGy、最も好ましくは少なくとも約15kGyのレベルで実施することができる。この滅菌された創傷包帯はその後、不活性ガス、例えばアルゴンまたは窒素ガスのどちらかでパージされたヒートシールパウチに、保存のためにパックすることができる。
【0119】
創傷包帯は、キトサン生物材料から製造される。これは、創傷包帯を創傷部位へ接着させることによって、創傷からの生死に係わる重大な出血流を実質的に止血しうる。この創傷包帯は好ましくは、前記創傷へシールされ、重大な出血の凝結および凝集を用いて、前記創傷部位へ前記創傷包帯を接着させることによって前記創傷部位からの出血を防止する。この創傷包帯は好ましくは、この創傷の周りからの赤血球を凝結および凝集しつつ、創傷部位へ強力に接着する。したがって圧力は、好ましくは最初の5分の適用の時に用いる必要があるだけである。本発明の1つの形態において、この器具は、専門的な医療的介入が可能になるまで、負傷者を生存させておくために、熟練していない実行者によってさえ適用される一時的包帯になるように設計されている。
【0120】
(C.圧縮スポンジにおいて使用される活性剤)
この圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものであってもよいが、これらに限定されるわけではない。すなわち、創傷の性質もしくは患者の病状に応じて、ヒト血清アルブミン、カルシウム、ウシトロンビン、ヒトトロンビン(hトロンビン)、rhトロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、第XIII組換え因子(第XIII r因子)、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、およびクロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである。例えば軍事的環境で受けた創傷は、抗生物質、抗菌剤、および凝血因子を含んでいてもよい。外科手術における癌患者は、活性剤の異なる組合わせを受けてもよい。
【実施例】
【0121】
(実施例1:出血制御テスト)
表1は、出血制御テストのために入手された主要キトサン材料のリストを提供する。ゲルフォーム(商標)+トロンビン、およびブタの脾臓実験のためのサージセル(商標)対照、およびブタの大動脈穿孔への使用のためのジョンソン・エンド・ジョンソンの4”×4”ガーゼ対照を除いて、本明細書に記載された包帯材料はすべて、キトサンベースであった。
【0122】
【表1】
*鉛、水銀、ビスマス、アンチモン、錫、カドミウム、銀、銅、およびモリブデンの許容限度以下。NA=入手できない
水溶液(2.00%w/w)を、アメテック製の清潔な滅菌1リットルパイレックス(登録商標)フラスコにおいて、限外濾過(UF)水および乾燥キトサンから調製した。カルボマー、プリメックス、およびジェニスのキトサン材料の場合、氷酢酸(オルドリッチ、99.99%)1.0%または2.0%w/wを、水性混合物に添加した。40℃で12〜48時間、フラスコの振とうによって溶解が得られた。溶液を、凍結の直前に500mトルで、室温において真空を加えることによって脱ガスした。
【0123】
創傷包帯を、キトサンの2%水溶液から調製した。これを、テフロン(登録商標)コーティングされたアルミニウムまたはポリスチレン金型中に、少なくとも1.5cmの深さまで注ぎ込み、−80℃レブコフリーザーにおいて、−45℃で3時間凍結した。あるいはまた凍結は、Virtis Genesis35EL凍結乾燥機内のたなで実施した。創傷包帯において、多くともせいぜい10%の収縮しかなく、最終凍結乾燥創傷包帯密度は、0.033g/cm3近くであった。2つの型の成形創傷包帯の横断面図を、図1および2に示す(異なる凍結率)。観察された構造(図3)は、バルク溶液中の冷却率によって、異なる表面において影響を受けた。その後、これらの創傷包帯における構造を、配合、金型(サイズおよび形状)、および凍結条件によって制御した。最適な創傷包帯構造は、直径50ミクロンに近い均一な相互連結細孔、または冷却平面に垂直なラメラおよび六角形構造からなる開放気孔の構造であった。これらの構造は、非常に効率的かつ急速な血液凝固のために、大きい比表面積の、降伏柔軟性であるが強力な制御された創傷包帯になるであろう。典型的には、このような構造に対して有効な比表面積は、500cm2/g超であった。図5における走査電子顕微鏡写真は、創傷包帯のベース表面における典型的な開放気泡構造を示している。これらの創傷包帯は、対流式オブンにおいて、構造、および酢酸濃度の分布を最適化するために、1時間半、80±1℃で加熱した。この工程は、出血部分における創傷包帯の接着特性(典型的には真皮への接着>40kPa)を最適化するために不可欠であることが発見された。
【0124】
これらの創傷包帯は、50kPaに近い荷重下、80±5℃で、17mm厚さから5.5±0.5mmへ(およその密度0.03±0.005g/cm3から0.12±0.02g/cm3へ)直ちに圧縮された。図4は、加熱および圧縮後、出血制御のための典型的な好ましいキトサン創傷包帯のベースの外見を示している。
【0125】
(実施例2:創傷包帯の調製および評価)
止血創傷包帯を、次のようにして調製した:
a)85%以上の脱アセチル化度、26ppm未満の金属成分、および90%超の乾燥固体含量を有する乾燥キトサン粉末またはフレークを、40℃で2%水溶液(w/w)中で、約2または1%酢酸(w/w)を用いて作製した。
【0126】
b)上のa)からのキトサン溶液を、減圧下、約500mトルまでで、攪拌下少なくとも5分間脱ガスし、金型の中に1.7cmの深さまで注ぎ入れた。あるいくつかの低密度のフォーム構造は、出血部分における即時溶解による問題を示した。これらの問題は一般に、この溶液の完全脱ガスによって回避された。
【0127】
c)この脱ガスキトサン溶液を含有する金型を、室温から−45℃へ冷却することによって凍結した。直線的冷却勾配を90分間にわたって用い、温度を少なくともさらに1時間−45℃に維持した。
【0128】
d)凍結されたキトサンを、ついで−70℃以下の温度、約100mトルの真空にある凝縮器を用いて凍結乾燥した。たなの温度は、−45℃〜−15℃の勾配を付け、10時間そのレベルに保持した。ついでさらなる36〜48時間の10℃における凍結乾燥を実施した。凍結乾燥は、もとの凍結プラーク質量の約2.8%近くに達するまで実施した。
【0129】
e)もとの質量の2.8%においてこのプロセスを停止し、凍結乾燥された創傷包帯を、金型から取り出した。
【0130】
f)形成された製品は、そのもとの凍結容積から10%収縮している、酸緩衝水溶性高比表面積創傷包帯であった。この創傷包帯構造は一般に、50〜80ミクロン直径の相互連結細孔を有する均一開放多孔質構造であった。超冷却が影響されない、わずかに異なる冷却領域を用いて、ラメラ/六角形構造(シート間に50ミクロンに近い分離を有する、5ミクロン厚さに近い均一に薄いキトサンシートを有するもの)が得られた。
【0131】
g)ついでこの創傷包帯を、60±20kPa圧力の加圧下、80±2℃に加熱された平滑で平らなプラテン間で(1.7cmから約0.5cmの厚さへ)圧縮した。
【0132】
h)次にこの包帯を、対流式オブンにおいて、80±5℃で30分間加熱することによって状態調節した。
【0133】
i)ついで各創傷包帯を、標識されたカパック530ヒートシールパウチに保存した。
【0134】
j)その結果生じた、プレスされた創傷包帯は、強靭で、柔軟性、止血性であり、湿潤組織に接着性があり、かつ流れている血液による溶解へ抵抗性があった。
【0135】
k)改良された溶解特性、改良された接着強さ、および滅菌は、窒素雰囲気下、15kGyγ線照射へのこの創傷包帯の暴露によって得られた。
【0136】
様々な組成および構造の出血制御包帯の候補の止血の生体内評価は、ますます誘発的になって行く動物出血モデルにおいてスクリーニングした。単一の再生産可能なモデルにおいて非常に多数の候補包帯をスクリーニングすることができるように、およびこれらを従来の材料と比較することができるように、脾臓裂傷モデルを利用した。これは最も誘発的でない出血モデル(約2〜5mL/分の軽度のじくじくした出血)ではあるが、最も初期の創傷包帯配合物は、このテストに合格しなかった。同様に、すべてのキトサンゲル、粉末は、このテストに合格せず、一方で、フィルムは性能が劣った。
【0137】
重大な出血モデルのテストに先立ち、ブタを全身的静脈内ヘパリンで抗凝固し、より良好な材料を、カプセル化脾臓ストリッピングモデル(約10〜20mL/分の強いじくじくした出血)においてテストした。このテストに合格したいくつかの材料をついで、抗凝固されたブタにおける頚動脈裂傷モデル(約50mL/分)において評価した。このテスに合格した候補材料の創傷包帯配合物をついで、胸または腹部大動脈に4mm直径の穿孔が作られたブタ大動脈切開モデルに対してテストした。重大な血管出血(100mL/分以上の出血率)のこれらの誘発的モデルが合格した材料は、肝臓損傷の重症(グレードV)モデルにおいてもテストした。
【0138】
このテストは、以前に処置を受けており、かつ評価のために犠牲にされるよう計画されている健康な動物に対して実施した。すべての実験は、1996 National Research Council,“Guide for the Care and Use of Laboratory Animal”および適用しうる合衆国の規制にしたがって実施された。この動物の同定後、筋肉内(i.m.)テラゾール4〜9mg/kgで麻酔を導入した。マスクによってイソフルランを与え、動物に挿管した。
【0139】
裂傷およびカプセルストリッピング実験のためのキトサンパッチは、37mm直径創傷包帯からカットされた同サイズの1/4片か、またはより大きい創傷包帯からカットされた1.5cm×1.5cmの創傷包帯片のどちらかであった。
【0140】
ゲルフォーム(商標)+トロンビンまたはサージセル(商標)の対照材料を、1.5cm×1.5cm片から調製した。ゲルフォーム(商標)サイズ100、吸収性ゼラチン創傷包帯は、Pharmaciaによって供給された。酸化セルロースであるサージセル(商標)は、Ethiconから供給された。局所トロンビン(ウシ起源)10,000U.S.単位は、Jones Pharmaによって供給された。ゲルフォーム(商標)+トロンビンは、使用前に、1.5cm×1.5cm×0.8cm創傷包帯を、トロンビンに30分間浸漬することによって調製した。
【0141】
正中腹側開腹(midline ventral laporatomy)を実施した。脾臓の上半分を、(手術創を布鉗子と並置して)体外に出した。表面を、湿潤ラップパッドからの滅菌生理食塩水溶液を加えることによって湿らせたままにした。
【0142】
抗凝固のために、右大腿動脈を外科的に単離し、6Fシースでカニューレ挿入し、血液サンプルの採取を可能にした。活性化凝固時間(ACT)を、静脈内に5,000単位のヘパリン投与前、ヘパリン投与の10分後、およびその後20分毎に測定した。ACTレベルが200秒未満であるならば、2,000単位のヘパリンを投与し、ACTを10分後に再測定した。動物が確かに抗凝固されるように、ACT>200秒まで、これを繰返した。
【0143】
脾臓テストの範囲の境界を定め、布鉗子および湿潤パッドを使用し、最も接近した非テスト表面のみを暴露することによって、これを湿潤させたままにした。次のようにして、テストパッチの適用前に、単一の損傷を作った:
(i)裂傷モデルにおいて、4mmのブレードが突き出るように直角ピンセット中に配置された#11外科ブレードを用いて、損傷(8mm長さ×4mm深さ)を作った。
【0144】
(ii)カプセルストリッピングモデルにおいて、クランプされた#11ブレードおよび外科バサミを用いて、損傷(5mm×5mm×4mm深さ)を作った。
【0145】
損傷を作った後、30秒間出血させておいた。表面血をガーゼで除去し、その後、30秒間一定の均一圧力を用いて、テストパッチをこの損傷に指で適用した。ついで指の圧力を取り除き、パッチを2分間観察した。この段階で、試行数を記録した。観察しうる再出血が発生するならば、再出血までの時間を記録し、次の試行(30秒出血、ガーゼでの血液の拭き取り、30秒の指の圧力、ついで2分間の観察)を開始した。1つのテストパッチについての試行は、2分間の観察時間後に再出血が発生しない時、または6回試行で再出血が観察される場合に完了した。創傷が6回試行時間の間再出血を続けるならば、その場合にはこの不合格のパッチを取り除き、ゲルフォーム+トロンビンパッチを適用した。新たな損傷を作り、別のパッチをテストした。
【0146】
頚動脈裂傷モデルの場合、キトサンパッチ(37mm×25mm)を、37mm直径の圧縮創傷包帯、またはより大きい創傷包帯からカットした。適用しやすくするために、これらの創傷包帯のいくつかは、3M9942皮膚接着剤でキトサンへ接着された3M9781フォーム医療テープの上部層を有していた。対照として、ゲルフォーム(商標)+トロンビンを用いた。
【0147】
垂直切開を行なって、10cm長さの頚動脈を暴露した。筋膜を引っ込め、動脈が組織の平らなベース上に支持されるまで、周りの軟組織を切り裂いた。結紮縫合を、暴露された動脈の近位および遠位に配置した。これらをクランプし、1.5cm切開を、動脈中に長手方向に行なった。
【0148】
抗凝固のために、右大腿動脈を外科的に単離し、6Fシースでカニューレ挿入し、血液サンプルの採取を可能にした。活性化凝血時間(ACT)を、静脈内に5,000単位のヘパリン投与前、ヘパリン投与の10分後、およびその後20分毎に測定した。ACTレベルが200秒未満であるならば、2,000単位のヘパリンを投与し、ACTを10分後に再測定した。動物が確かに抗凝固されるように、ACT>200秒まで、これを繰返した。
【0149】
切開を行なった後、動脈を2秒間出血させておき、ついで1分間圧迫した。圧迫を取り除き、タイを再びクランプした。この区域を生理食塩水で洗い流した。パッチの適用2秒前にタイのクランプを外した。圧力を、3秒間、パッチ全体に均一に加えた。出血が加圧の30分以内に観察されるならば、その場合にはさらに3分間の圧力を再び加えた。パッチが接着しないならば、その場合にはこれを新しいパッチと取り替えた。各々の再加圧、または同じ型のパッチの取り替えは、そのパッチ型についての試行期間として取扱った。特定の創傷包帯についての試行は、30分後に周りから、またはパッチを通して出血が観察されないならば完了したと考えられた。30分の止血(創傷から観察しうる出血がない)を得るのに要した試行数に関して、材料をランク付けした。
【0150】
ブタ大動脈の穿孔の場合、2.5cm直径片にカットされた圧縮キトサン創傷包帯のサンプルパッチ、または4”×4”外科用ガーゼの対照を用いた。
【0151】
腹部および胸大動脈のどちらかまたは両方を、前者の場合正中腹側開腹により、後者の場合胸骨切開によって暴露した。筋膜および胸骨をクランプし、タイを切開部位の近位および遠位に配置した。結紮クランプを適用している間、#11外科用メスブレードを用いて、大動脈の壁を通して3mmの切開を行ない、4mm直径のメドトロニック(商標)血管パンチを、この切開を通して挿入し、大動脈中に4mm直径の孔を作った。このパンチを取り除き、タイオフクランプを、この孔へ加えられた指の圧力を用いて解放した。
【0152】
パッチは、中指で大動脈中の孔に圧力を加えながら、親指と人差し指との間に保持した。この中指からの圧力は、出血部位への創傷包帯の適用の1秒前に解放した。創傷包帯は、大動脈孔を覆うパッチへ人差し指を通して加えられたしっかりした圧力によって定位置に保持された。パッチの適用の間に創傷から漏れた血溜まりを、吸引して取った。3分の指の圧力の後、指を取り除き、パッチを、連続した出血および接着の悪さの兆候について観察した。
【0153】
連続した出血または再出血が、パッチ適用後の最初の30分後に観察されたならば、その場合にはさらに3分の圧力を加えた。止血が依然として完了しないならば、その場合には同じ創傷包帯のもう1枚のパッチを準備し、古いパッチを除去し、新たな試行を開始した。試行は、30分の時間後に周りから、またはパッチを通して出血が観察されなかったならば完了と考えられた。30分の止血(創傷から観察しうる出血がない)を得るのに要した試行数に関して、材料をランク付けした。対照ガーゼサンプルを、1つの試行の間にキトサン創傷包帯と同じ方法で適用した。
【0154】
すべての動物は、耳介静脈を介したバルビツレート(Euthasol、1mL/10 lb)の注射での麻酔下にある間に安楽死させた。動物は、実験処置の終了時、またはこの動物が有害な作用を受けた場合は終了前に、安楽死させた。
【0155】
テストは、出血制御が得られる前に必要な試行数、および再出血までの時間(脾臓試行の場合のみ)にしたがって、0.0〜6.0にランク付けした。1回のみの試行しか必要でなく、再出血がないテストは、0.0とランク付けした。2回目の試行を必要とし、かつ最初の試行の再出血までの時間が90秒であったテストは、次のようにランク付けした:
【0156】
【数1】
(脾臓の場合)またはほかのモデルにおいては1.0。
【0157】
止血を得るのに4回の試行を必要とし、かつ3回目の試行において脾臓再出血までの時間が30秒だったテストは、次のようにランク付けした:
【0158】
【数2】
(脾臓の場合)またはほかのモデルにおいては3.0。
【0159】
急速な溶解、接着の欠如、または制御されない出血によって完全に不合格だったサンプルは、6.0+とランク付けした。
【0160】
要するに、止血が悪ければ悪いほど、次の式によって規定されるように、ランクが高くなった:
R=Γ+Λ
ここで、Γ=出血を止めるまでの試行数−1
【0161】
【数3】
A=試行時間
脾臓調査の結果を、表2、3、および4に要約する。
【0162】
表2は、組成および構造に関して最適化されていないキトサンテストサンプルの挙動を例証している。これらの非最適化材料は、サージセル(商標)の負の対照(表4)に対して、劣るから、匹敵しうる、および部分的にのみ、より良好にまでわたっていた。リン酸塩緩衝液の存在は、サージセル(商標)よりもわずかにより効果的であるだけの、接着性が悪く、遅い止血性のパッチを生じた。キトサンフィルムは、中程度に接着性であり、出血に対して適当なシールを与えたが、その透明な表面の下の血液のゆっくりとした噴出によって証明されているように、非常に遅い止血性しかなかった。さらに初期の試行は一般に、成形された創傷包帯の上部表面に低密度フォームの兆候を示した。この低密度フォームは、創傷包帯の上部表面が、出血部位に適用されたならば、溶解および圧潰を受けやすいことが分かった。このフォーム作用は、凍結前の溶液の脱ガスによって避けることができるであろうことがその後発見された。低分子量キトサン創傷包帯(1%溶液粘度<50cpsに対して)は、出血部位中への溶解を非常に受けやすく、これらをパッチ用途には適さないものをすることが分かった。グルタメート対アニオンは、よりソフトな創傷包帯を生じたが、重大な出血部位において容易に溶解された創傷包帯を生じるという犠牲をともなった。アセテート対イオンを有する低密度創傷包帯(0.05g/cm3未満のもの)もまた、溶解および圧潰によって危うくされやすいことも分かった。
【0163】
表3は、好ましい組成および構造の最適化されたキトサン創傷包帯のランク付け結果を示している。これらの創傷包帯は、より高い分子量(100cps超の1%溶液粘度に対して)を有するキトサンから構成され、0.12g/cm3に近い創傷包帯密度を有していた。中程度に出血している脾臓テストにおいて、最適化された創傷包帯についての結果は、Wilcoxonの順位和検定を用いて、ゲルフォーム(商標)+トロンビンの正の対照から識別不可能であることが発見された(Z=−0.527、p=0.598)。同じ統計方法を用いて、これらの創傷包帯は、性能の低いサージセル(商標)対照とは有意に異なることが証明された(Z=−3.96、p=.0001)。
【0164】
図6は、脾臓表面への最適化キトサン創傷包帯のぴったりした接着、ならびに損傷のすぐ近くにおける赤血球の凝集を(H&E染色組織切片を介して)示している。
【0165】
頚動脈損傷モデルについてのランク付けを、表5に要約する。このモデルにおいて、最適化キトサンパッチは、試行3、5、および6において非常に良好な性能であった。第一試行1および2よりも優れた性能の改良は、この創傷包帯のすぐ上部の表面への支持裏打ち(3M9781フォーム包帯)の適用によるものであった。この裏打ちによって、創傷包帯全体へより均一な圧力を加えることが可能になり、この包帯を適用している人が、指を粘着させずに、パッチ表面から容易に指を取り除くこと、および創傷からのパッチの剥離を生じさせることができた。頚動脈モデルを用いて、脾臓損傷モデルにおいて可能であるよりも重大な動脈出血状態を調査した。ゲルフォーム(商標)+トロンビンを、可能な正の対照として調査したが、非常に出血している部位において溶解することが分かった。
【0166】
表6は、大動脈損傷モデルの結果を要約している。ガーゼ包帯(4”×4”)を、対照包帯として用いた。この対照は、すべての試行期間において重大な出血を止めることができないが、一方で、最適化キトサン大動脈パッチは、パッチのわずか1回または2回の適用後、この創傷において観察された非常に高いレベルの出血を迅速に停止し、その後凝血させることができることが分かった。正確な有意性(両側 p=0.002)は、サンプルと対照のランク付け間に差異がない確率について決定された。平均して、パッチ適用後の失血は、この創傷が最初の試行の時に止血されるならば最少であった(<50mL)。2回目の試行が必要とされるならば、パッチ適用後の失血は、100mL超であるが、300mL未満であった。平均して、キトサン創傷包帯の場合、パッチ適用後、150mL未満の血液が失われ、一方で、3つのガーゼ対照調査の場合、各動物について1リットル超の血液が失われた。キトサン創傷包帯調査の場合、生存率は100%であったが、一方で、ガーゼ調査の場合、これらの動物のどれも(0%)生存しなかった。キトサンパッチは、30分の試行期間にわたって、および動物が犠牲にされるまで(これは一般に1〜2時間後であった)、連続した止血有効性を示した。図7は、重大な胸創傷をシールする典型的なキトサンパッチを示している。図7においてパッチによってシールされた切除大動脈の内腔側(損傷を示している)が、図8に示されている。図9は、図7および8の損傷を通して撮られた染色組織切片の顕微鏡写真を示している。損傷部位における強い凝血の証拠は、動物を犠牲にした時の大動脈の除去および検査の時(図9)、および生きている動物におけるパッチの除去後(30分超の適用後)にその後の再出血がなかった試行番号16の場合に見られた。
【0167】
【表2】
緻密型=緻密創傷包帯(約0.12g/cm3)
PBS処理=リン酸緩衝生理食塩水中に浸漬することによって中和された創傷包帯
LD型=低密度創傷包帯(約0.03/cm3)
FF型=高速凍結創傷包帯
フィルム型=溶媒キャストフィルム(500ミクロン)。
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【0170】
【表5】
緻密型=緻密スポンジ創傷包帯(約0.12g/cm3)。
【0171】
【表6−1】
【0172】
【表6−2】
【0173】
【表6−3】
緻密型=緻密スポンジ創傷包帯(約0.12g/cm3)。
【0174】
(実施例3:ブタの肝臓モデルにおける肝臓出血の制御)
米軍科学技術目標A、出血制御(US Army Science and Technology Objective(STO)A,Hemorrhage Control)は、戦場での出血制御のニーズを前進させるために、2000年に設立された。STOの一般的な戦略目標は、戦場の犠牲者の出血による死者数を減少させる製品および方法の開発として要約することができる。出血制御製品および方法の必要条件は、次のように記載された:
これらは、次の者の一人またはそれ以上による使用のために実行可能なものでなければならない。すなわち、自分自身(負傷した戦闘員)、戦友(負傷した兵士を助ける仲間の非医療兵)、戦闘救助員、衛生兵、医師助手、および大隊軍医である。これらは、荒涼とした土地、限られた視野、および極限環境を包含する遠い前線の戦場条件における使用のために実行可能なものでなければならない。製品および方法は、外部電源を必要とするものであってはならない。すべての器具は、携帯型であり、かつ耐久性のあるものでなければならない。遠い前線で使用可能な製品および方法はまた、より高い看護レベルでも用いられると予想される。STOの特異的戦略目標は、遠い前線の戦場条件下、圧縮性の出血へ使用するための新しいまたは改良された止血剤の開発である。圧縮性および非圧縮性部位への使用のための単一製品が望まれる。
【0175】
STOの一部として、ブタの肝臓モデルにおける肝臓出血制御の調査が、本発明の出血制御包帯を用いて、テキサス州サン・アントニオ、フォート・サム・ヒューストンの米軍外科研究所(US−Army Institute of Surgical Research)(ISR)で実施された。この調査は、失血に対するキトサン出血制御包帯の効果、およびブタにおける重大な静脈出血および肝臓損傷の標準化モデルの生存率を決定するために実施された。このモデルは、米軍ISRにおける多くのほかの止血包帯を調査するために用いられてきた。
【0176】
交雑育種された商用ブタを、この調査に用いた。動物は、実験室動物取扱いの評価および認定国際協会(Association for the Assessment and Accreditaion of Laboratory Animal Care,International)によって認定された施設において管理された。この調査は、テキサス州フォート・サム・ヒューストンの米軍外科研究所の施設による動物実験委員会によって承認された。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(National Institutes of Health publication 86−23、revised 1996)にしたがって人間の世話を受けた。
【0177】
動物は、キトサン包帯またはガーゼスポンジのどちらかを受けるように無作為に割り当てられた(表7参照)。外科的準備は、次のものからなっていた:動物を、外科処置の36〜48時間前、断食させ、水は無制限に許した。グリコピロレート、およびチレタミンHClとゾラゼパムHClとの組合わせ(テラゾール(登録商標)、Fort Dodge Laboratories,Fort Dodge,IA)での前投薬後に、5%イソフルランを用いたマスクによって麻酔を導入した。ブタに挿管し、ベンチレータを装着し、イソフルランを用いて維持した。頚動脈および頚静脈カテーテルを、外科的に配置した。開腹術を実施し、脾臓摘出術および膀胱カテーテル設置を完了した。さらなる実験処置に先立って、37.0℃〜39.0℃の直腸温度、および15分の安定平均動脈圧(MAP)が必要とされた。血圧および心拍数は、連続データ収集システム(Micro−Med(登録商標),Louisville, KY)を用いて、調査期間全体を通して10秒間隔で記録した。各動物が、正常な血小板数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、および血漿フィブリノゲン濃度を示すことを確認するために、ベースライン動脈血サンプルを収集した。
【0178】
肝臓損傷を誘発した。この方法は、次のものを含んでいた。適切な暴露を可能にするために、左右の中葉を手で持ち上げることによって、肝臓を引っ込めた。次に、「X」形状に構成された2つの4.5cmの鋭い歯を有する特別設計のクランプを、肝臓の隔膜表面上で、その中心を左右の中葉の交差点の約2〜3cm背後になるように配置した。この器具のベースプレートを、内蔵表面の方形葉の下に配置した。損傷は、この器具の歯がこの器具のベースプレート中の対応溝の中に収容されるように、柔組織、およびこれら2つの中葉の下にある血管を通してこれらの歯をクランプすることによって誘発した。肝臓の最初の貫通後、この器具を開いて、これらの歯を引き出し、第二適用が第一適用と50パーセントだけ重なるように、動物の左側に再配置した。この再配置に続いて、肝臓を二度目に貫通した。肝臓損傷の書類作成は、実験期間の終わりに肝臓の切除および検査によって完成した。損傷は、中心に組織の小さい島のある大きい星状創傷として現れ、約10×8×4cmであった。損傷は、何度も何度も突き刺されて、左の中葉静脈、右の中葉静脈、および門脈肝臓静脈が裂傷を受けた。
【0179】
損傷の30秒後、すべての動物において、温かい(38℃)乳酸塩化リンゲル液を用いて蘇生が開始された。再生の目標は、ベースラインMAPに戻すことであった。流体は260mL/分で投与された。この蘇生方式は、目標に達するまで続行され、60分の調査時間の間、MAPが減少した場合再開された。蘇生の開始と同時に(損傷後30秒)、処理は次のように適用された:1枚の包帯を、貫通損傷を覆うように方形葉の表面に適用し、2つのほかの包帯を、横隔膜方向から損傷の中に詰め込んだ。背−腹方向に60秒間圧迫を加えた。60秒後、止血が得られたかどうかを決定するために、損傷を調べた。次に、適用者の手を再配置し、側面−内側方向に圧力を60秒間加え、止血についての観察を行なった。この手順を、全部で4回の60秒間の圧迫の間繰り返した。いずれかの圧迫後に止血が完了したら、それ以上の圧迫は実施しなかった。止血は、損傷部位から視覚的に検知しうる出血の不存在として定義された。
【0180】
処理適用の完了後、腹部を閉じ、動物を、損傷後60分間、または死ぬまで、どちらが先になったにせよ、監視した。60分前の死は、心拍数0として規定された。60分の時点で、生存している動物は、ペントバルビタールの過剰投与によって安楽死させた。
【0181】
損傷の誘発直後、処理適用の開始まで、血液を腹腔から連続的に吸引した。容量を決定し、処理前失血として表わした。調査期間の終了時、各々の腹部を開き、液体、および凝血した腹腔内血液を吸引し、測定した。これは、処理後失血として表わされた。さらには、総蘇生流体使用を記録した。損傷前の動物血液容量を、以前に記録されているように評価した(Pusateri et al.,Mil.Med.166,217−222,(2001))。
【0182】
体重、推定血液容量、裂傷を受けた血管数、ベースラインMAP、生存時間、損傷前MAP、処理前失血、および包帯接着評点が、SASのGLM手順を用いた分散分析によって分析された。データは、最小2乗平均±最小2乗平均の標準誤差として報告されている。データは、変数および非正常の異質性について調べられた。これらの条件は、処理後失血および流体使用データについて検出された。したがって失血および流体使用データは、分析前にlog変換された。これらの変換されたデータは、分散分析によって分析された。これらのデータは、逆変換された平均および95%信頼区間(95%CI)として表示される。メスおよびオスの分布、止血、および生存データは、SASのFREQ手順を用いて、フィッシャーの精密検定によって分析された。データは、比例およびパーセンテージとして報告される。すべての比較のために、両側検定が用いられた。
【0183】
動物の体重、推定血液容量、動物の性の分布、ベースラインMAP、損傷前MAP、肝臓損傷の中で裂傷を受けた主要血管の数、または処理前失血において、処理グループ間に差はなかった(表8および9参照)。
【0184】
処理後失血は、ガーゼ創傷包帯対照と比較して、キトサングループにおいて減少されていた(p=0.01)。流体使用における有意差は観察されなかった。生存率は、キトサングループにおいて増加していた(p=0.04)。止血は、損傷後3分および4分の時点で、キトサングループにおいて、より頻繁に発生した(p=0.03)。生存時間は、キトサングループにおける高い生存レベルのために、統計的に比較することができなかった(表10参照)。
【0185】
【表7】
【0186】
【表8】
【0187】
【表9】
【0188】
【表10】
この米軍ISR調査(Pusateri et al.J.Trauma,54,177−182,(2003))は、独立した調査において、標準的4”×4”ガーゼよりも優れたキトサン創傷包帯の有意に改良された性能を証明している。米軍ISRは、本発明の特許請求の範囲の包帯の場合、および赤十字社によって開発されつつある乾燥フィブリントロンビン創傷包帯の場合、重大な血流の止血における4”×4”ガーゼよりも有意に改良された性能を証明するにすぎなかった。赤十字社の包帯は値段が高く、また繊細で壊れやすい。
【0189】
(実施例4:包帯の照射)
3M9781多孔質フォーム裏打ちを有する高分子量4”×4”キトサン出血制御包帯を、アイスランドのエビ源(ジェニスロット#SO1115−1)から調製した。これらは、キトサン包帯の大きい滅菌ロット(ロット#OMLC 2SM114)を調製するために、商用凍結乾燥会社を利用して、2%酢酸および2%キトサン溶液を用いて調製した。これらの包帯を、窒素下、15kGyで照射した。これらをその後、一軸引っ張り強さ、破裂強さ、血液吸着、水吸着、ならびに滅菌性についてテストした。腹部および胸部損傷において、ブタ大動脈穿孔を、非γ線照射サンプルに対して実施した。7つのパッチを用いた。平均して、パッチ適用後の失血は、<50mLであった。すべてのパッチは、最初の適用の時に、接着性であり、創傷シール性であり、止血性であった(7×0ランク)。すべての動物が生き残った。
【0190】
γ線照射および非照射包帯の両方(ロット#OMLC 2SM114)を、オレゴン州ポートランドのオレゴン・メディカル・レーザー・センターで開発された試験管内破裂圧力テストを用いてテストした。破裂テストを実施するために、包帯の25mm直径円形テスト片を、クエン酸塩化全血中に10秒間浸漬する。ついでテスト片を、その上の真ん中に置き、3分間50mm直径PVCパイプの側の4mm直径穿孔上に、指の圧力を用いてしっかりと保持する。この最初の付着後、パイプの中の流体圧力を、4.5±0.5kPa.s−1で勾配を付け、圧力および時間を、0.1秒間隔で記録する。破裂圧力は、破損前に記録された最大圧力として記録する。接着性破損ランクは、テスト部位への包帯の相対的接着性を評価するために与える。このランク付けシステムは、3つの異なる破損モードに分けられる。ランク1は、キトサンが接着されたままになっていない、PVC表面から容易に分離されるテスト片に与えられる。ランク2は、テスト片がそれほど容易に剥離されず、キトサンのいくらかが、テスト部位に付着されたままである時に与えられる。ランク3は、テスト片が、PVC表面へしっかりと固定されたままのベース構造からのバルク創傷包帯の凝集性分離によって除去されうるだけである時に与えられる。
【0191】
湿潤媒質として血液を用いて、PVC基質に対するγ線照射および非照射キトサン包帯の平均破裂圧力(平均±SD、n=6)は、それぞれ122±1.9kPaおよび86±20kPaであった。これらの結果を、Tテストを用いて統計的に分析した(p=0.007)。湿潤媒質として血液を用いて、PVC基質に対するγ線照射および非照射キトサンα包帯の平均接着破損ランク(平均±SD、n=6)は、どちらも3±0であった。図10は、凝集性破損がキトサン構造中に発生した場合の、高ランク破損の画像を示している。
【0192】
これらの包帯(ロット#OMLC 2SM114)の血液および水吸着特性は、血液または水中に3.0秒間小さいテスト片(約0.02g)を浸漬することによって決定した。浸漬の前後の質量差を記録した。創傷包帯1グラムあたり3秒後に吸着された媒質の平均質量は、湿潤媒質として血液または水を用いて、γ線照射および非照射キトサンサンプル(n=4)について決定した(図11参照)。これらの結果は、テューキーのHSDテストでの一元ANOVAを用いて統計的に分析した。p=0.001。γ線照射は、非照射材料の場合、水の過剰吸着を有意に減少させた。このような過剰な水吸着は、その後の接着性および構造破損をともなう創傷包帯圧潰(ゲルになる)を引起こすであろう。
【0193】
キトサン包帯(ロット#OMLC 2SM114)の引っ張りテスト片は、5kgロードセルを備えた一軸Chatillon Materials Testing VitrodyneV1000を用いて評価した。サンプルを、犬の骨形片(15±1mm×6.5±0.5mm×5±0.5mmゲージ×厚さ×幅)にカットし、2つのクランプ間に保持した。クロスヘッド速度は10mm.s−1であった。荷重および置換は、0.1秒間隔で記録した。
【0194】
包帯全体の引っ張り結果を、表11に示す。応力および歪の両方に関して、γ線照射と非照射サンプルとの間に有意差はなかった。15kGyでの照射では、ヤング率に少し増加があった。
【0195】
【表11】
*2.5cm幅の包帯について計算された。
【0196】
52個の4”×4”キトサン創傷包帯(ロット#OMLC 2SM114)を、清潔に調製した。これらの4”×4” 創傷包帯のうち、46個を二重パック包装材料中にパックし、14〜15kGyの認定された線量でのγ放射線での照射のために、カリフォルニア州オンタリオのIsoMedix施設へ送った。これらのサンプルとともに、創傷包帯2SM114#1からカットされた、8Staphylococus aureus(ATCC29213)がドープされたキトサン創傷包帯バー(1”×0.21” ×0.21”)の1セットを箱詰めした。各々のバーに、0.5MacFarlane接種材料100マイクロリットルを接種した。Staphylococus aureusを、明らかに活性な対照培養物から拭き取った。Staphylococusを含まない4本のバーの対照セットも含めた。γ線処理のない対照サンプルを、室温および暗室で、ヒートシールされた包装材料中の小さい滅菌容器に保持した(対照の要約については表12参照)。
【0197】
【表12】
46個の照射された創傷包帯パッケージを、滅菌条件下、滅菌操作で開き、エチレンオキシド滅菌接着剤コーティングされたフォーム裏打ち(3M9781テープ)を付着させ、各創傷包帯および裏打ちの切り取られた小片(約1.2”×0.2×0.12”)を、個々の創傷包帯滅菌テストのために取り出し、これらの創傷包帯を、ヒートシールによってもとの内部パックの中に再パックした。これらの創傷包帯のうちの40個を、ロット番号および創傷包帯番号で標識し、評価のために発送した。切り取られた対照片を、滅菌テストのためにSt VincentのPHSの微生物施設へ送った。
【0198】
切り取られた対照片を、濃縮チオグリコレート成長培地を含有する標識サンプル容器(0.6”直径×5”)に無菌で入れ、35℃で好気的にインキュベートした。培養培地を、成長の兆候について7日、14日、および21日目に調べた。これらのサンプルを、5%ヒツジ血で、トリプティックソイ寒天培地(TSA)中に継代培養し、35℃でインキュベートし、48時間後に成長について調べた。
【0199】
個々の培養物を、濁度テストおよび継代培養スワビングによって分析した。7日、14日、および21日目におけるすべての培養物およびすべての継代培養物中の成長の不存在が証明された。非照射であり、かつStaphylococcus aureusが投与された培養物でさえそうであった。特定の培養物のグラム陽性染色が、これらの発見事項を確認した。
【0200】
(実施例5:スポンジの調製)
表13は、テストのために得られた親水性ポリマーを列挙している。追加の親水性ポリマーには、ポリリシン、コンドロイタンスルフェート、デンプン、およびヒアルロナンが含まれる。限外濾過(アメテック)水および親水性粉末の水溶液(2.00%および8.00%w/w)を、清潔な1リットルビン(ナルジーン)中で調製した。不織布キトサンマット(PolyMed,Inc.)を、室温で48時間にわたって無水酢酸(オルドリッチ99%)への暴露によって、キチン不織布マットに転換した。残留無水酢酸を、限外濾過水の多重洗浄を用いて、このマットから洗浄した。室温で6時間、NaOH(0.5M)へのアセチル化マットの暴露によって、炭素−2位におけるアセチルアミドの加水分解をまったくともなわずに、3および5グルコピラノース炭素のところでアセチルエステルを加水分解した(FTIR分析によって検証された)。捩れた(1/cm)超微細(直径4ミクロン)マルチフィラメント(>50)ポリエステル糸(20N荷重下200ミクロン)が得られた(Multicraft Plastics,Portland,OR)。
【0201】
【表13】
氷酢酸(オルドリッチ99.99%)を、それぞれ2%および4%w/wの水で2%および8%キトサン水溶液へ添加した。親水性ポリマー溶液の溶解は、回転床攪拌機で、24時間までの間、室温でのこれらのビンの遅い軸回転によって得られた。2%溶液はすべて容易に溶液になり、最高粘度は、25℃でのLVTブルックフィールド粘度計および2000cps未満でのナンバー2およびナンバー3スピンドルによって測定された。キトサン、アルギン酸、およびアクリル酸の8%溶液は、ブルックフィールド粘度計による測定には高すぎる粘度を有した。これらの例における非常に高い粘度の流体溶液は、これらの溶液が注がれるのを妨げた。その代わりこれらの溶液は、それらのプラスチックボトルから絞られ、引っ張られ、すくい上げられて金型に装填された。これらの後者の非常に高い粘度の流体は、製造環境において容易に加工処理することはできないであろう。
【0202】
スポンジは、水溶液を、アルミニウム金型中のテフロン(登録商標)コーティングされた10.8cm×10.8cm×2.0cmウエルの中に、2%水溶液の場合は1.7cmの深さまで、または8%溶液の場合は0.45〜0.70cmの深さまで、注ぎ込むこと/入れることによって形成された。当初は室温にある溶液を、実験室(0.65m2)のVirtisまたは(3.72m2または16.63m2)Hull凍結乾燥機において、−25℃〜−45℃の温度で3時間、冷却たな上へのアルミニウム金型の配置によってプラークに凍結した。親水性ポリマースポンジを生成するためのこれらのプラークからの水の昇華は、たな温度を48〜60時間にわたって−45℃から18℃へゆっくりと傾斜させて、−80℃で200mトル未満の圧力の凝縮器での凍結乾燥によって達成された。
【0203】
2%キトサン溶液のサンプルの場合、凍結の間の2%キトサン溶液中の望まれないクラスト(上部表面の氷の核生成)の形成を止めるために、4つの戦略をテストした。1つの方法は、薄いポリマーフィルムを、金型の上部表面を覆って配置し、凍結用の冷たいたなへの配置の前に、ポリマー溶液の表面との均質湿潤接触に置くことであった。溶液が凍結されたプラークになった後(約1〜2時間)、薄い保護ポリマーフィルムを除去する。ポリ塩化ビニリデンフィルム(例えばサラン(商標)ラップ)が特に有用であるが、その理由は、そのガラス転移温度が−45℃以下であるからである。この薄膜は、フリーザー/凍結乾燥機内の冷たい表面上に形成された樹木状の氷が、超冷却された親水性ポリマー溶液表面上に沈積し、凍結された表面クラストに核生成するのを停止するような作用を行なう。このクラスト層を防止するための第二方法は、金型のすぐ上に配置された、(250mm×6mm×5mmスペーサーバーを用いて)盛り上がった薄い(例えば3mm)アクリルプレートの使用であった。これは、薄膜方法よりも優れた利点を有していたが、その理由は、接触している薄い保護ポリマーフィルムを除去するために、凍結/凍結乾燥機サイクルを中断する必要がなかったからである。実施例7に詳細に記載された第三方法では、注ぎ込まれた成型溶液の上部表面上に永久浸透性キチン不織布マット裏打ち貼り付けを用いた。実施例11に詳細に記載された第四方法は、凍結の間の溶液の封じ込めとして親水性溶液で満たされた、ヒートシールされてホイルで裏張りされたパウチの使用であった。
【0204】
凍結乾燥が完了した時(>48時間)、スポンジを乾燥機から取り出し、重さを測り、ヒートシールされてホイルで裏張りされたパウチに保存した。これらのスポンジは、1.7cmの深さまで注がれた溶液の場合、10cm×10cm×1.7cmであり、0.45〜0.7cmの深さまで注がれたスポンジの場合、10cm×10cm×0.43cmであった。Arizona Instruments Vapor Pro湿分分析器を用いた湿分分析は、スポンジ質量の1〜4%の残留湿分%を示した。キトサンスポンジ中の残留酢酸は、MettlerDL53自動滴定装置、およびスポンジ質量の27〜22%における0.010M NaOHを用いて決定された。2%および8%溶液キトサンスポンジについての平均スポンジ密度は、それぞれ0.031±002g/cm3および0.103±0.014g/cm3であった。ほかの親水性スポンジについての平均スポンジ密度は、2%スポンジの場合0.0248±0.0036g/cm3、および8%スポンジの場合0.0727±0.0023g/cm3であった。キトサンスポンジとほかの親水性スポンジとの間の平均29%密度差は、キトサンスポンジ中の酢酸、および非キトサンスポンジの重さを測る時に考慮されなかった揮発性成分の小さいフラクションによって優勢的に引起こされる。
【0205】
すべての異なる親水性テストポリマーからの2%スポンジは、すべて良好に形成され、たわみ性があり、同様な外見および構造を有していた。すべてが、幅および長さにおいて8%近くまで収縮した。アルギネートおよびキトサンスポンジは、非常に良好な凝集特性を有し、操作にともなう裂けおよび亀裂に抵抗した。デキストラン、カルボキシメチルセルロース、およびポリアクリル酸スポンジは、凝集性が低く、操作にともなって容易に亀裂し、裂けた。−30℃近くで凍結した2%スポンジの典型的な外見は、図12に示されている。縁部は滑らかな外見であり、規則的なモザイク構造パターンで装飾されていた。このスポンジの上側は、その中心部がわずかにドーム状であった。唯一の明らかな特徴は、規則的な0.5mm直径×0.5mm深さの表面のポック形成(pocking)であった。ベース表面(すなわち、テフロン(登録商標)金型ベースと接触している表面)は、粒界によって分離された表面テキスチャー、および明白な「大きな単一結晶」領域を示した。片面の安全かみそり刃を用いてカットされた横断面図(図13)は、内部構造を示している。ベース表面における粒界は、様々な方向に延伸された細かいラメラの領域の境界を定め、かつ金型表面において異なる異質核生成事象に由来する可能性のある境界として見ることができる。スポンジの内部構造は、スポンジの中まで伸びて、スポンジの厚さの60%近くを包含する細かいラメラのベース層(各々2〜5ミクロンの厚さ)によって説明することができる。ベースラメラのすぐ上に、ベースの細かい層を上部のコース層から分離する薄い界面(<10ミクロン)がある。このコース層は、上部溶液温度が0℃以下に下がる時に上部表面溶液と接触する異物の樹木状氷に由来する。この層のラメラは、10ミクロン超の厚さであり、一般に上部表面に垂直に延伸されている。このコース垂直ラメラは、スポンジの平面に対して垂直な圧縮に抵抗する。樹木状氷で核生成から上部表面を保護することによって形成されたキトサンスポンジは、上部のクラスト構造を有していなかった。これらのスポンジは、亀裂への抵抗性の点で改良された機械的性能、および上部表面保護をともなわずに形成されたスポンジと比較して改良されたたわみ性(柔軟性)を有していた。
【0206】
2%スポンジのすべての表面は、血液または水を容易に吸着した。すべての非圧縮スポンジは、短時間(すなわち5秒またはそれ以上)、過剰水または血液と接触させられた場合、ゲルとして非常に圧潰しやすかった。
【0207】
8%スポンジは、2%スポンジよりもかなり剛性であった。細かい構造は、スポンジベース中に容易に観察することができなかった。これらは、閉鎖されて平滑であるように見えた。これらのスポンジは、圧縮された2%スポンジと同じ程度に容易には血液および水を吸着しなかった。これらのスポンジの横断面をカットした時、内部構造が2%スポンジ中の構造のようでないことが観察された。コース上部垂直構造は、2%スポンジと同じ相対深さの近く(すなわち30〜40%)に存在し、ベース層は、垂線から30°近く延伸され、かつ細かい粒界によって境界が定められたラメラの非常にコンパクトな帯域から構成されていた。
【0208】
2%溶液からのスポンジは典型的には、テフロン(登録商標)コーティングされた平行プレートプラテンを80℃に加熱し、1200mm/分〜5mm/分の一定率で、これらのプラテンをともに一定のスペーサー距離(典型的には0.55cm)にすることによってプレスされた。0.45cmにプレスされた1.70cm厚さのスポンジのスポンジ密度は、約0.10g/cm3であった。80℃未満および/または20mm/分超の圧縮率でプレスされたスポンジは、粒界のところでの亀裂および脆性破損によって、機械的破損を受けやすかった。これは、60mm/分超でプレスされた2%、1.7cm厚さのキトサンスポンジの場合に見られた。864個のスポンジのうち、260個超のスポンジが、脆性圧潰および破損のために廃棄された。圧縮率を20mm/分に調節した時、864個のスポンジからわずか43個の廃棄しかなかった。圧縮率を10mm/分に調節した時、9個未満の廃棄しかなかった。
【0209】
遅い速度(<12mm/分)でプレスした時のスポンジ構造の変化を、図13に示す。垂直線に対して20°〜40°に延伸された細かいベースラメラは、均一ベース層へ容易に緻密化(75%圧縮)されるが、一方で、垂直なコース上部層は、一部しか緻密化されない(約55%圧縮)ことが分かる。遅い圧縮率において、粒界領域は、依然として均質接触にとどまる。より高い圧縮率において(>20mm/分)、粒界領域は、さらに分離しやすい。
【0210】
(親水性スポンジに対する観察)圧縮スポンジは、水および血液によってそれほど容易には湿潤されず、これらは両方の媒質中溶解に対して、より抵抗性があった。圧縮された2%スポンジは、血液によって十分に湿潤されたが、溶解しなかった。湿潤された圧縮スポンジの接着強さは、PAA>キトサン>CMC>アルギン酸として評価された。
【0211】
有効なスポンジの非常に重要な決定因は、ラメラの表面に対して正規直交のミクロンサイズの小円鋸歯(図14)の存在である。これらの小円鋸歯は、小さい「歯」としてラメラ表面から3〜10ミクロン突出する。理想的には、これらはラメラの少なくとも1つの表面上に規則的に分配されるべきである。これらの構造は、ラメラが垂直線に対して30°超のラメラ成長の延伸において形成しつつある時、制御条件下に最も一般的である。同様にこれらは、−25℃での当初の30〜60分の凍結時間後、この凍結プラークを−45℃未満に急速に冷却する能力によって制御されているように見える。プレス後、テストキトサンスポンジを、80℃で30分間、一定温度の対流式オブンでベーキングし、残留応力をアニールし、遊離酢酸残渣を除去した。
【0212】
(実施例6:2%キトサンスポンジの調製)
A.2%キトサンスポンジの2つのサンプル(N=3):1つのサンプルを、20mm/分で1.7cmから0.55cmへプレスし、一方、他方はプレスしなかった。両方のサンプルを80℃で30分間ベーキングした。正方形のテスト片(5cm×5cm)を、各スポンジからカットした。テスト片を、室温において血液中へ10秒間沈めて、クエン酸塩化ブタ全血で湿潤した。これを、3分間指の圧力(200〜300mmHg)によって、12mm厚さの透明なPVCの10cm×10cm表面(400グリット湿潤および乾燥紙を用いて粗面化したもの)中の4mm直径の穿孔を覆って中心に付着させた。この穿孔の下の貯蔵部における室温でのブタ全血に、圧力の傾斜を付けた(ほぼ50mmHg/s)。破損時の最大圧力を測定するために、圧力トランスデューサーを貯蔵部に付着させた。
【0213】
プレスされたスポンジテスト片(N=3)は、圧力を500mmHg超に保持した。これらのスポンジにおける破損は、PVCへの接着性結合の喪失によるものであった。プレスされていないスポンジテスト片(N=3)は、500mmHg未満で破損し、破損はスポンジの圧潰および血液中の溶解によるものであった。
【0214】
B.2%溶液キトサンスポンジ(N=5)を、10mm/分で1.7cmから0.55cmへプレスし、80℃で30分間ベーキングし、フォームPVCテープで裏打ちし、γ線照射(15kGy)で滅菌した。テスト片(5cm×5cm)を、室温で10秒間ブタの全血中に沈めた。ついでこのテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径穿孔を覆って中心に付着させ、荷重圧力(ほぼ600mmHg)で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血に、3分間(ほぼ50mmHg/sの)圧力から300mmHgへ傾斜を付け、ついで再び、付着されたテスト片が破損するまで、同じ率で傾斜を付けた。テスト片の破損は、血圧が1800mmHg超である時に発生した。破損は、凝集性破壊、上部クラスト層の溶解、またはPVCへの結合の接着性喪失のいずれかによるものであった。
【0215】
C.8%溶液から調製されたキトサンスポンジテスト片(4cm×4cm×0.5cm)は、4mm直径急性ブタ大動脈穿孔における出血の停止において効果的であることが分かった(平均動脈血圧70mmHg;30分超の包帯テスト片止血)。しかしながら8%キトサン溶液からのスポンジは柔軟性がなく、創傷へ容易に適合させることができなかった。他方、2%溶液キトサン溶液から形成されたが、1.7cmから0.45cmへプレスされた同じ密度のスポンジは、この大動脈穿孔損傷における出血の停止において効果的であるのみならず、容易にたわみ性になり、出血創傷に対して配置された時、経時的によりたわみ性のあるものになる。
【0216】
D.クラストを含まないスポンジから形成された、ゆっくりと圧縮された(1.70cmから0.45mm)当初2%溶液キトサン包帯からの1インチ直径テスト片(N=12)を、12匹の麻酔されたブタの穿孔(4mm直径)大動脈へ付着させた(当初自由に流れていた出血への3分間の指の圧力、70mmHgにおける平均動脈圧力)。すべてのテスト片は、最初の適用の時に出血を止め、少なくとも30分間にわたって止血性であった。これと比較して、クラスト層を有する包帯から形成されたキトサン包帯(N>100)は、同じ時間にわたって出血を止めるためには、平均で0.5〜1.5の再加圧を要した。
【0217】
E.硬くプレスされた(>50mm/分)2%キトサンスポンジの卵形(3.8cm×3.2cm)テスト片を、室温で10秒間ブタ全血中に沈めた。ついでこれらのテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径穿孔を覆って中心に付着させ、500mmHgの指の圧力で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血を、3分間300mmHg/sへ加圧し(ほぼ50mmHg/sで)、ついで再び、テスト片が破損するまで傾斜を付けた(約50mmHg/sで)。破損は、得られた最大圧力、テスト取り付け具への最終接着、および破損後のバルクスポンジ凝集の点からランク付けされた。この結果を、ゆっくりとプレスされた(圧縮率<15mm/分)2%キトサンスポンジの20個のテスト片の同様なテスト結果と比較した。最終破裂および接着ランキングは同様であった;しかしながら硬くプレスされたスポンジの60%は、大きいクラスト溶解およびゲル化によって、可能なかぎりで最も低い凝集ランクを有するが、一方で、ゆっくりとプレスされた包帯の20個すべてが、最高の凝集ランクを有した。
【0218】
F.2%キトサンスポンジを2セット調製した。1セットは、実質的なラメラ表面小円鋸歯を有し、もう1セットは、ラメラ表面に小円鋸歯を有していなかった。どちらのセットのスポンジも、0.10g/cm3の密度近くまで遅いプレス率でプレスした。スポンジを、80℃で30分間ベーキングし、PVCフォームフィルムで裏打ちした。ブタ大動脈穿孔実験において、小円鋸歯状ラメラを有するスポンジのセットは、すべての場合に(N=12)重大な動脈出血の止血において効果的であった。小円鋸歯状ラメラを有していないスポンジ(N=6)において、テスト片は出血の停止において効果的でなかった。
【0219】
(実施例7:キチンメッシュ強化を有するキトサンスポンジの調製)
水中に浸漬されたキチン不織布メッシュを、不織布キチンマット中の水の量を減少させるために、吸収性拭取り紙(キムワイプ(商標))に対して配置した。マットを、10cm×10cm正方形にカットした。ついでこれを、10.8cm×10.cm×2cm深さのアルミニウム金型ウエル中に注ぎ込まれた2%キトサン溶液の表面上に置いた。マットはキトサン表面において縣濁されたままであり、表面的にマット中にキトサンのいくらかの吸着があることが観察された。キトサン溶液およびマットを、実験室(Virtis)凍結乾燥機の中に入れた。溶液は凍結され、水が昇華して、織布マットがその表面においてしっかりと付着されたスポンジが現われた。キチンマットを有するスポンジは、キチンマットを有していないスポンジと同じ速度で乾燥した。キチンの裏打ちされたスポンジの切片を横断区分化すると、1.5mm近くの深さまで、このマット中へのキトサンの部分的浸潤を明らかにした。しかしながらこの切片はまた、マット表面の上部1mmが、キトサンを含まないことも明らかにした。キチンマット複合材料表面を有するスポンジを、80±2℃で加熱された平行プレートプラテン間で20mm/分で、1.8cmから0.45cmの厚さへプレスした。プレス後、スポンジを通した横断区分化は、キチンマットとキトサンスポンジとの間の界面が、プレスによって損傷を受けず、マットとスポンジとの両方が、互いにしっかりと固定されていることを証明した。同様に、キチンマットの存在は、スポンジのたわみ性、および溶解へのスポンジの抵抗性に影響を与えることがあるスポンジクラスト(上部表面から下へのコース氷核生成)の形成を停止していた。このスポンジを、急性ブタ4mm直径大動脈穿孔モデルにおいてテストした。この損傷における出血は、通常のキトサン包帯片によって停止されず、キチンマット裏打ちテスト片を、3分間指の圧力を保持することによって適用した。2.5cm直径のテスト片を適用した外科医は、このテスト片は特にたわみ性があり、キチン裏打ちへ指を粘着させることなく指を取り除くことができることに注目した。このテスト片は、このプロトコルの必要とされる30分のテスト時間よりも長く損傷部位をシールした。これは、損傷部位によく接着されたままであり、これが、この包帯とともに通常適用される保護的不浸透性裏打ちを有していないにもかかわらず、溶解の兆候を示さなかった。同様に、この包帯の曲げを通してパルスを観察することが可能であるので、この包帯は、損傷上でたわみ性があることも観察された。
【0220】
(実施例8:キトサン含浸糸)
2%キトサン溶液中に沈められた0.5mm直径のポリエステルマルチフィラメントを、直径約2mmに膨張させた。ついで室温でのキトサン浸漬糸を、この膨張された糸から溶液をまったく引き出すことなく、平らな疎水性テフロン(登録商標)コーティングされたアルミニウムトレー上に静かに載せた。ついでこのトレーを、−25℃でVirtis凍結乾燥機のたなに載せ、凍結させておいた。氷を凍結乾燥によってこの糸から除去し、0.033g/cm3でキトサンスポンジを含浸された2mm直径の膨張糸が残された。この膨張糸への10N近くの引っ張り力、およびテーパー付きニトリルゴム非粘着挟みダイを通しての、糸表面へ垂直な約500mmHgの圧力を加えて、糸直径を2mmから約0.7mmへ圧縮した。この糸は、良好なたわみ性を示し、ガーゼ様包帯としての製織のために調製された。この糸の一部分を、80℃で10分間ベーキングした。ついでこれを、10秒間血液中に沈め、きれいなテストPVC表面に対して3分間しっかりと保持した。これは良好な接着を示した。
【0221】
(実施例9:圧縮低密度スポンジと非プレス高密度スポンジとの間の比較曲げ)
ここに示された緻密化方法は、厚さ、幅、および/または半径の制御された減少によって、高度にたわみ性の低密度相互連結スポンジを、容積において減少させる。好ましくは、親水性ポリマーのたわみ性は、可塑剤、例えばグルタミン酸またはグリセロールで変性されない。その理由は、この変性が重大な出血下、これらのスポンジを、溶解およびスポンジ圧潰をより受けやすいものにするからである。この実施例は、低密度スポンジのより高い密度のスポンジへの圧縮は、化学的に同一なより高い密度のスポンジが、緻密化をともなわずに形成された場合よりも低い弾性率のスポンジを、結果として生じることを証明している。
【0222】
弾性率(E)を決定するために、水平線からの偏りは、単一のカンチレバービーム実験において決定した。長方形ビームを、プレスされた2%スポンジおよび非プレス8%スポンジからカットした。これらのビームは、9cm長さ、2.54cm幅であった。これらは、このビームの6.7cmのみが、平らな水平表面の縁部から延びるようにしっかりと固定された。20gまたは30gのおもりを、固定点から6.5cmのところで、ビームの先端に乗せた。水平性から垂直なビームの6.5cm点の偏りを、荷重の3秒後に測定した。弾性率(E)は、次の方程式から決定した:
E=P.L3/(3y.I)
(ここで、I=w.h3/12である)
P=荷重(N);L=自由ビーム長さ(m);y=水平線からのビームの偏り(m);w=ビーム幅(m);h=垂直平面におけるビーム高さ(m);I=慣性のモーメント(m4)。
【0223】
ビームの厚さは、デジタルキャリパーを用いて決定した。ビームの偏りの決定後、ビームを、2.54cm×2.54cm正方形にカットし、重さを測り、密度を決定した。テスト結果を表2に示す。8%サンプルはすべて、2%サンプルよりも曲げに対して、より抵抗性があることが分かる。圧縮2%スポンジについての平均弾性率(MPa)は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ6.43±3.3、1.75、3.5、および2.9±0.4である。8%スポンジについての平均弾性率(MPa)は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ10.6±3.3、12.4、4.54、および5.7±2.1である。プレスされた2%スポンジ対8%スポンジの平均弾性率の比は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ0.61、0.14、0.77、および0.51である。
【0224】
【表14】
PAA=ポリアクリル酸、CMC=カルボキシメチルセルロース、AA=アルギン酸
(実施例10)
プレスされた2%溶液複合ポリアクリル酸スポンジ(N=2)テスト片(5cm×5cm)を、室温で10秒間ブタ全血中に沈めた。ついでテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径の穿孔を覆って中央に付着させ、荷重圧力(750mmHg)で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血を、3分間(ほぼ50mmHg/sの)圧力から300mmHgへ傾斜を付け、ついで再び、付着されたテスト片が破損するまで同じ率で傾斜を付けた。テスト片の破損は、血圧が2300mmHg超である時に発生した。破損は、スポンジ凝集性破壊によるものであった。
【0225】
(実施例11)
凍結たなとの非常に良好な熱接触を得るため、凍結の間のコースクラスト形成を停止するため、および成長しつつある垂直ラメラに垂直なせん断の制御されたレベルを加えるための方法を記載する。ヒートシールされ、ホイルで裏打ちされたパウチ(15cm×23cm)に、2%キトサン溶液200gを満たした。すべての空気を、最終シールに先立ってパウチから除去した。これらのパウチを、少なくとも180分間凍結するために、−25℃で実験室Virtis凍結乾燥機の中の平行プレートたな間に入れた。このVirtis乾燥機は、「ストッパー」設備を有していた。これは、上部たながより低いたなの上に下げられ、したがってこのより低いたなにあるスペーサー間に配置された、キトサン充填のホイルパウチとしっかりと接触して、これに荷重を加えることを可能にした。これらのパウチには、上部たなが底部たなの上に下げられた時、上部たなが溶液充填パウチの上部表面にしっかりと載るようなレベルまで充填された。パウチへの圧力の程度は、一番上のたなの自由重量(free weight)によって、および2つのたな間にあるパウチの数によって制御することができるであろう。この実施例において、1.7cmスペーサーバーが用いられ、2つだけのパウチがたな間に置かれ、パウチへの荷重は10kg近かった。凍結乾燥前、ストッパーが付けられたたなを上昇させた。凍結されたプラークを、これらのパウチから取り出し、冷たい凍結乾燥機のたなに載せた。凍結した時のパウチ内部の膨張は、ヒートシールの部分的な内部の引き裂きによって適応させた。これらのプラークは、その後スポンジに凍結乾燥した。スポンジを通る横断区分化は、上部および底部表面から成長してスポンジの真ん中で出会う均一なラメラ構造を示した。上部構造は、底部構造の鏡像であった。ラメラは、スポンジの中心から縁部へ離れる方向へ、垂直線に対して20°〜30°ですべて均一に延伸されていた。これらのスポンジは、粒界の不存在を示した。これらのスポンジを、1.7cm厚さから0.55cmにプレスした。これらは、引っ張り強さ、たわみ性、および強く曲げた時の裂けまたは破断に対する抵抗の点で、優れた機械的性質を有していた。これらのスポンジをベーキングし、PVCフォーム裏打ちで裏打ちし、15kGyでγ線照射した。
【0226】
単一の卵形テスト片を、急性ブタモデルにおける大動脈穿孔に適用した。これは、30分のテスト時間にわたって動脈出血の止血において効果的であった。外科医は、このサンプルが、非常に良好なたわみ性を有することに注目した。
【0227】
(実施例12)
単純なプラスのテキスチャーの表面を、10cm×10cm×1.7cmのキトサンスポンジ上に作り出した。これは、マイナスのパターン化された10cm×10cm×0.25cmアルミニウムカードを用いて得られた。このパターンは、平らなアルミニウム表面の上全体に400グリット湿潤および乾燥紙を流すことによって作製された。この表面を、非永久赤色染料でコーティングした。これの大部分は、乾燥布で拭取ることによって表面の上部から除去された。この表面に対して圧縮されたキトサンスポンジは、アルミニウムカード中の赤色染料によって明らかにされたもののように、プラスの表面パターン化を示した。
【0228】
上で考察されたすべての参考文献は、あらゆる目的のためにこれらの全体が参照して本明細書に組み込まれる。本発明は、これの好ましい実施形態を参照して特に示され、記載されてはいるが、形態および詳細における様々な変更が、添付クレームによって規定されているような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明においてなされうることが、当業者によって理解されるであろう。
【0229】
対応PCT出願、2002年6月14日に出願された国際出願番号第PCT/US02/18757号は、あらゆる目的のために、その全体が、本明細書に参照して組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】初期の非圧縮創傷包帯の横断面図のデジタル写真画像。
【図2】非圧縮創傷包帯における延伸されたラメラ構造の横断面図のデジタル写真画像。
【図3】ベースに対して垂直に切断された、相互連結多孔質キトサン創傷包帯構造の光顕微鏡写真。
【図4】加熱および圧縮後のキトサン生物材料創傷包帯の写真。
【図5】圧縮キトサン創傷包帯の典型的なベース表面の走査電子顕微鏡写真。より高倍率のものがはめ込まれている(横棒=100ミクロン)。
【図6】キトサン/脾臓損傷部位および隣接脾臓表面の染色された組織断面。パッチと脾臓との間のフィブリン/血小板リッチな血塊の混合物(B)での凝集した血塊の応答(A)。これらの図面は、脾臓とキトサンとの間の非常に良好な接着を示している。
【図7】キトサンパッチでシールされた胸大動脈損傷の写真。
【図8】穿孔損傷を示す、固定された胸大動脈。
【図9】胸大動脈損傷の染色された組織断面。
【図10】強力な接着性の包帯における試験管内破裂圧力破損の写真。
【図11】γ線照射および非照射(すなわち非滅菌)サンプルについての水および血液吸着結果のヒストグラム。
【図12】典型的なキトサンスポンジの外見の詳細な図面。
【図13】17mm〜5mm厚さに圧縮された、切断された典型的な2%溶液スポンジにおいて観察された、スポンジ内部構造に対する圧縮の効果。
【図14】表面小円鋸歯を示す単一ラメラの詳細な図面。
【図15】ラメラ表面の詳細な図面。
【図16】ラメラの上部表面へ突出している小円鋸歯構造の走査電子顕微鏡写真(SEM)画像。
【図17】マイクロピンセットを用いてキトサンスポンジのベース近くから除去された単一ラメラの側面照明での光顕微鏡画像。細かい小円鋸歯構造が、ラメラの上部表面に垂直に突出しているのを見ることができる。
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、出血制御創傷包帯、およびこのような包帯の使用および製造方法を目的とする。該創傷包帯は、重大な出血の制御のために、非哺乳動物材料から構成される。この創傷包帯は、重大な出血の制御のために、キトサンおよび/またはほかの親水性ポリマーを含んでいる生物材料から形成される。この材料はあるいはまた、ポリアクリル酸、またはポリアクリル酸とほかのポリマーとの組合わせを含んでいてもよい。本発明によって考察されている、生死に係わる重大な出血の種類は、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに当てられた時、止血されえない型のものである。この創傷包帯は、創傷部位に接着させ、創傷をシールし、創傷部位において血塊の形成を加速し、創傷部位において血塊の形成を強化し、創傷部位からの出血を防止し、創傷部位からの出血流を実質的に制止することによって、この創傷からの生死に係わる重大な血流を実質的に止めることが可能である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
先進的出血制御包帯およびその適用方法は、有効な止血方法を実質的に増強させるであろう。今日まで、ガーゼ包帯を用いた連続加圧が、依然として、血流、特に激しく出血している創傷からの流れをせき止めるために用いられている好ましい一次介入技術のままである。しかしながらこの処置は、重大な血流を効果的にも安全にも止血しない。このことは、創傷からの生死に係わる重大な出血の場合、これまでも主要な生存に係わる問題であったし、そうであり続ける。
【0003】
さらには重大な出血は、戦場での創傷による主要な死因であり、このような死の約50%を占めることが広く認められている。これらの死の1/3は、出血制御方法および器具の向上で防ぐことができるであろうと推定される。このような向上した出血制御はまた、非軍事的場面、例えば病院および動物病院においても非常に有用であることが証明されるであろう。ここでは出血は、外傷後の第二の死因である。
【0004】
現在入手しうる止血包帯、例えばコラーゲン創傷包帯またはドライフィブリントロンビン創傷包帯は、外科用途への使用に限定されており、高い血流中の溶解に対して十分に抵抗性があるわけではない。これらはまた、重大な血流の止血においてあらゆる実際的な目的に役立つのに十分な接着特性を有するわけでもない。これらの現在入手しうる外科用止血包帯はまた、繊細でもあり、したがってこれらが圧力での曲げまたは負荷によって損傷を受けるならば、破損しやすい。これらはまた、出血流中の溶解も受けやすい。これらの包帯のこのような溶解および圧潰は、破滅的になることがあるが、その理由は、これが、創傷への接着の喪失を生じ、出血を和らげずに続行させうるからである。
【0005】
キトサンおよびキトサン包帯に関する先行技術がある。例えばMaletteらに発行された特許文献1は、マイクログラム/mLの量の血液を凝集させるために、液体または粉末形態のキトサンを使用している。同様に、Maletteらに発行された特許文献2は、キトサンを血管中に直接注射することによって血管を治療的に閉塞させる方法を目的とする。Maletteらに発行された特許文献3はさらに、キトサン溶液または水溶性キトサンを組織創傷と接触させることによる、止血、線維増殖の阻害、および組織再生の促進に関する。キトサンは凝塊を形成し、これが出血を防ぐ。
【0006】
Vournakisらに発行された特許文献4は、珪藻由来生物医学グレードの高純度キチンおよびキチン誘導体(これは、この特許における分析によって証明されていないにしても、いわゆるタンパク質フリーである)の製造方法に関する。いわゆるタンパク質フリーのキチン/キトサン材料の提案された利点は、これらが現在のエビおよびカニ由来キチン材料よりも有意に抗原性でないであろうということである。
【0007】
非特許文献1は、転相方法によって生成された非対称キトサン膜の製造および創傷治癒機能について記載している。
【0008】
非特許文献2は、ブタ脾臓カプセルストリッピングテスト(swine spleen capsular stripping test)に典型的な中程度の血流およびジクジクした傷口下のキチン/キトサン止血パッチのテストについて記載している。
【0009】
非特許文献3は、ブタ脾臓カプセルストリッピングテストにおける止血剤テストについて記載している。
【0010】
Sandford,Steinnes A.,“Biomedical Applications of High Purity Chitosan” in Water Soluble Polymers,Synthesis,Solution Properties and Applications,ACS Series 467、(W.S.Shalaby et al.,Eds.ACS,Washington,DC 1991,Ch28,431−445)。これは、キトサンスポンジに関連したキトサンの使用について記載している一般的な評論文である。
【0011】
Malette,W.G.et al.,“Chitosan:A New Hemostat,” Annals of Thoracic Surgery 36(1):55−58,(1983)。上記Maletteの特許に関する評論参照。
【0012】
Olsen,R.,et al.,In Chitin and Chitosan,Sources,Chemistry,Biochemistry,Physical Properties and Applications,Elsevier Applied Science,London and New York,1989、813−828。この論文は、キトサンの凝集率に関する。
【0013】
特許文献5は、改良された粘着性を有するキトサン医療用バンドについて取り上げている。特許文献6は、外部止血用途のため、または創傷の保護のための水不溶性および2%酢酸不溶性キトサンスポンジについて記載している。
【0014】
特許文献7は、創傷包帯および/またはインプラント用途のためのコラーゲンベースの構造的に不均質なスポンジであって、少なくとも1つの薬物および少なくとも1つの下部構造を用いる凍結乾燥技術によって形成されたスポンジについて記載している。
【0015】
特許文献8は、血流またはほかの流体の停止において非常に効果的であり、かつ一定の時間後に体内で吸収される凍結乾燥スポンジ構造に関する。この特許は、コラーゲンスポンジ調製物について記載している。
【0016】
特許文献9は、キトサンとアルギネートとのブレンドまたは混合物から形成された創傷包帯を含んでいる。
【0017】
このようにして、重大な血流を止血することができ、かつ曲げまたは圧力をともなう荷重の時に破損されない、改良された止血包帯へのニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第4,394,373号明細書
【特許文献2】米国特許第4,452,785号明細書
【特許文献3】米国特許第4,532,134号明細書
【特許文献4】米国特許第5,858,350号明細書
【特許文献5】特許第60142927号
【特許文献6】特開昭63−090507号公報
【特許文献7】米国特許第5,700,476号明細書
【特許文献8】米国特許第2,610,625号明細書
【特許文献9】米国特許第5,836,970号明細書
【非特許文献1】Mi、F.L.ら,“Fabrication and Characterization of a Sponge−Like Assymetric Chitosan Membrane as a Wound Dressing”,Biomaterials,2001年、22(2):p.165−173
【非特許文献2】Chan,M.W..ら.“Comparison of Poly−N−acetyl Glucosamine(P−GlcNAc) with Absorbable Collagen(Actiform),and Fibrin Sealant(Bolheal) for Achieving Hemostasis in a Swine Model of Splenic Hemorrhage”,J.Trauma,Injury,Infection,and Critical Care,2000年、48(3):p.454−458
【非特許文献3】Cole,D.J.ら,“A Pilot Study Evaluating the Efficacy of a Fully Acetylated poly−N−acetyl glucosamine Membrane Formulation as a Topical Hemostatic Agent”、Surgery 1999年、126(3):p.510−517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の開示)
本発明は、生命に係わる重大な出血の制御のための救急/一次的介入創傷包帯を目的とする。現在のところ、生命に係わる重大な出血の制御に適した低費用の創傷包帯はない。特に戦場では、この型の包帯へのニーズが存在する。戦場では、典型的にはすべての死の50%が、重大な出血を直ちに制御することが不可能なことと関連している。本発明の創傷包帯は、創傷部位へ接着させ、創傷をシールし、創傷部位において血塊形成を加速させ、創傷部位における血塊形成を強化し、創傷部位からの出血を防ぎ、創傷部位からの血流を実質的に制止することによって、創傷からの生命に係わる出血流を実質的に止めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
1つの実施形態において、親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有するものが提供される。この親水性ポリマーは、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、およびこれらの組合わせであってもよい。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせであってもよい。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。好ましくはこのキトサンは、少なくとも約100kDaの重量平均分子量を有する。より好ましくはこのキトサンは、少なくとも約150kDaの重量平均分子量を有する。最も好ましくはこのキトサンは、少なくとも約300kDaの重量平均分子量を有する。
【0020】
好ましくはこのキトサンは、約100センチポアズ〜約2,000センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。より好ましくはこのキトサンは、約125センチポアズ〜約1,000センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。最も好ましくはこのキトサンは、約150センチポアズ〜約500センチポアズである、30rpmでのスピンドルLV1を用いた、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。
【0021】
この圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、およびこれらの組合わせである。
【0022】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスまたは湿潤性ポリマーマトリックスを、このスポンジの内部および/またはスポンジ表面に含んでいるスポンジが提供される。この親水性ポリマーは、アルギネート、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせを包含しうる。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの両方の組合わせであってもよい。
【0023】
この湿潤性ポリマーは、不織布マット、織布マット、成形ポリマーメッシュ、および低密度スポンジを包含しうる。この湿潤性ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせである。好ましくはこの親水性ポリマーはキトサンである。
【0024】
好ましくはこのキトサンは、少なくとも約100kDaの重量平均分子量を有する。より好ましくはこのキトサンは、少なくとも約150kDaの重量平均分子量を有する。最も好ましくはこのキトサンは、少なくとも約300kDaの重量平均分子量を有する。好ましくはこのキトサンは、約100センチポアズ〜約2,000センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。より好ましくはこのキトサンは、約125センチポアズ〜約1,000センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。最も好ましくはこのキトサンは、約150センチポアズ〜約500センチポアズである、酢酸(AA)の1%溶液中の25℃における粘度を有する。
【0025】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。このテキスタイル糸は、親水性ポリマーを含浸されている。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。この親水性ポリマーはまた、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの両方の組合わせを包含しうる。
【0026】
湿潤性メッシュは、不織布メッシュであってもよい。好ましくはこのスポンジは、細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する。最も好ましくはこのスポンジは、細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する。好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約100cm2〜1cm2につき約1,000cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、1cm2につき約200cm2〜1cm2につき約800cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。最も好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.02g/cm2〜約1.0g/cm2である。より好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.04g/cm2〜約0.5g/cm2である。最も好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.06g/cm2〜約0.1g/cm2である。
【0027】
この圧縮複合スポンジはさらに、裏打ち支持層を含んでいてもよい。この裏打ち支持層は、ポリマー材料の層であってもよい。このポリマー材料は、合成非生物分解性材料であってもよく、または天然生物分解性ポリマーであってもよい。この合成生物分解性材料は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、前記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせを包含しうる。この天然のポリマーは、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせを包含しうる。合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせを包含しうる。
【0028】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約40kPa〜約500kPaの、創傷部位への接着度を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約60kPa〜約250kPaの、創傷部位への接着度を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約100kPa〜約200kPaの、創傷部位への接着度を有する。
【0029】
この圧縮複合スポンジは、創傷包帯−血液界面において、前記創傷から流れている血液と組合わせて接着性材料を形成しうる。好ましくはこの接着性材料は、キトサン接着性材料である。好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約6.3以下のpHを有する。より好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約4.5以下のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約4.0以下のpHを有する。
【0030】
この接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択された酸を含んでいてもよい。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する。
【0031】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約5%の極限伸びを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約10%の極限伸びを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約15%の極限伸びを有する。
【0032】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製工程;および(b)1分あたり約10mmの好ましい率および80℃の好ましい制御温度で、この低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。
【0033】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製以外の方法による低密度スポンジの調製工程;および(b)1分あたり約10mmの率および約80℃の好ましい制御温度で、その後の低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。好ましくはこの低密度スポンジは、約0.01g/cm3〜約0.035g/cm3の密度を有する。好ましくはこの圧縮スポンジは、約0.1g/cm3〜約0.15g/cm3の密度を有する。
【0034】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジの調製方法であって、(a)キトサン生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、キトサン生物材料溶液を脱ガスする工程;(b)このキトサン生物材料溶液を凍結する工程;(c)凍結されたキトサン生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結されたキトサン生物材料の中から水を除去し、したがってキトサン生物材料中の水が、固相から気相へ移る工程;(d)1分あたり約10mmの好ましい率でキトサン生物材料を圧縮し、これによって約0.1g/cm3〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程;および(e)この圧縮キトサンスポンジを、80℃で30分間ベーキングする工程を含む方法。好ましくは温度を、工程(b)のキトサン生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって徐々に低下させる。
【0035】
好ましくは工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である。より好ましくは工程(b)の方法は、約−35℃以下の最終凍結温度を包含する。最も好ましくは工程(b)の温度は、約−45℃以下の最終凍結温度である。水の除去は、凍結したキトサン生物材料を凍結乾燥することによって実施されてもよい。この方法はさらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムを、脱ガスされたキトサン溶液中に、凍結前に添加して戻す工程を含んでいてもよい。
【0036】
この圧縮スポンジは、滅菌されてもよい。好ましくはこの圧縮スポンジは、γ線照射によって滅菌される。
【0037】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防ぐ方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施すことを含む方法が提供される。好ましくは被験体は、哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジが、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、解放し、パックし、ラップする前の3〜5分間その位置に保持される。
【0038】
もう1つの実施形態において、圧縮スポンジまたは複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース(Ace)包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キットが提供される。
【0039】
もう1つの実施形態において、圧縮または複合圧縮スポンジの機械的結合およびかみ合わせ方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の(macrotextured)表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。この大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含しうる。
【0040】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの機械的牽引の改良方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。好ましくはこの大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術よって調製された表面からなる群から選択される。
【0041】
もう1つの実施形態において、この複合または圧縮複合スポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させる方法であって、スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上がったプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含む方法が提供される。
【0042】
もう1つの実施形態において、低密度スポンジは、約0.05g/cm3未満の当初密度を有するスポンジを、このスポンジが約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮することによって形成される。このスポンジは、凍結または凍結乾燥以外の方法によって形成することができる。好ましくはこのスポンジは、転相方法、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合によって調製されたスポンジ、および発泡技術からなる群から選択された方法を用いて形成される。
【0043】
もう1つの実施形態において、この圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジはさらに、少なくとも1つの追加の親水性ポリマーを含んでいてもよい。この追加の親水性ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。好ましくはこの親水性ポリマーは、キトサンである。
【0044】
提供されるもう1つの実施形態は、親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有し、この親水性ポリマーが、ポリアクリル酸であってもよい圧縮スポンジである。好ましくはこの圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものを包含するが、これらに限定されるわけではない。カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、およびクロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである。
【0045】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスまたは湿潤性ポリマーマトリックスを、このスポンジの内部および/またはスポンジ表面に含み、この親水性ポリマーがポリアクリル酸であるスポンジが提供される。この湿潤性ポリマーマトリックスは、不織布マット、織布マット、成形ポリマーメッシュ、および低密度スポンジを包含しうる。この湿潤性ポリマーマトリックスは、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせを包含しうる。
【0046】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。好ましくはこのテキスタイル糸は、親水性ポリマーを含浸され、この場合、この疎水性ポリマーはポリアクリル酸である。好ましくはこの湿潤性ポリマーマトリックスは、不織布メッシュである。
【0047】
好ましくはこのスポンジは、細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する。より好ましくはこのスポンジは、細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する。最も好ましくはこのスポンジは、細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する。好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約100cm2〜1cm2につき1,000cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。より好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約200cm2〜1cm2につき800cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。最も好ましくはこのスポンジは、1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジのベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。
【0048】
この圧縮複合スポンジはさらに、裏打ち支持層を含んでいてもよい。好ましくはこの裏打ち支持層は、ポリマー材料の層であってもよい。好ましくはこのポリマー材料は、合成非生物分解性材料、または天然の生物分解性ポリマーである。この合成生物分解性材料は、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、前記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせである。この天然のポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせである。合成ポリマーは、次のものを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせである。
【0049】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約40kPa〜500kPaの、創傷部位への接着度を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約60kPa〜250kPaの、創傷部位への接着度を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約100kPa〜200kPaの、創傷部位への接着度を有する。
【0050】
この圧縮複合スポンジは、創傷包帯−血液界面において、前記創傷から流れている血液と組合わせて接着性材料を形成しうるものであってもよい。好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約5.5以上のpHを有する。より好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約6.5以下のpHを有する。最も好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、好ましくは約7.5以下のpHを有する。好ましくはこの接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択された酸を含んでいる。
【0051】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する。好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する。
【0052】
好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約5%の極限伸びを有する。より好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約10%の極限伸びを有する。最も好ましくはこの圧縮複合スポンジは、約15%の極限伸びを有する。
【0053】
もう1つの実施形態において、出血制御のための請求項1に記載の圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製工程;および(b)1分あたり10mmの好ましい率および80℃の好ましい制御温度で、低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。
【0054】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮スポンジの調製方法であって、(a)低密度スポンジの凍結/凍結乾燥調製以外の方法による低密度スポンジの調製工程;および(b)1分あたり10mmの率および80℃の好ましい制御温度で、その後の低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含む方法が提供される。好ましくはこの低密度スポンジは、約0.01g/cm3〜約0.035g/cm3の密度を有する。好ましくはこの圧縮スポンジは、約0.1g/cm3〜約0.15g/cm3の密度を有する。
【0055】
もう1つの実施形態において、出血制御用圧縮複合スポンジの調製方法であって、(a)生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、生物材料溶液を脱ガスする工程;(b)この生物材料溶液を凍結する工程;(c)凍結された生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結された生物材料の中から水を除去し、したがって生物材料中の水が、固相から気相へ移る工程;(d)1分あたり約10mmの好ましい率で生物材料を圧縮し、これによって約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程;および(e)この圧縮スポンジを、80℃で30分間ベーキングする工程を含む方法が提供される。好ましくは温度を、工程(b)の生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって徐々に低下させる。好ましくは工程(b)の温度は、約−5℃以下の最終凍結温度である。より好ましくは工程(b)の温度は、約−35℃以下の最終凍結温度である。最も好ましくは工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である。好ましくは水の除去は、凍結された生物材料を凍結乾燥することによって実施される。この方法はさらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムを、脱ガスされたキトサン溶液中に、凍結前に添加して戻す工程を含んでいてもよい。このスポンジは、滅菌された圧縮スポンジであってもよい。好ましくはこの圧縮スポンジは、γ線照射によって滅菌される。
【0056】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防止する方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法が提供される。好ましくは被験体は哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される。
【0057】
もう1つの実施形態において、被験体における重大な出血を防止するための方法であって、圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法が提供される。好ましくは被験体は哺乳動物である。より好ましくは、この哺乳動物はヒトである。好ましくは被験体は、出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総血液容量損失が結果として生じるであろうような重大な出血に苦しんでいる。好ましくはこの圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している損傷を覆って直接、約60〜80kPaの圧力とともに適用され、創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される。
【0058】
もう1つの実施形態において、圧縮スポンジまたは複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キットが提供される。
【0059】
もう1つの実施形態において、圧縮または複合圧縮スポンジの機械的結合およびかみ合わせ方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。この大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含しうる。
【0060】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの機械的牽引の改良方法であって、このスポンジの組織と接触する側を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含む方法が提供される。好ましくはこの大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチングよって調製された表面からなる群から選択される。
【0061】
もう1つの実施形態において、圧縮または圧縮複合スポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させる方法であって、スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上がったプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含む方法が提供される。
【0062】
もう1つの実施形態において、低密度スポンジであって、約0.05g/cm3未満の密度を有するスポンジを、約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮することによって形成され、凍結または凍結乾燥以外の方法によって形成されるスポンジが提供される。好ましくはこのスポンジは、転相方法、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合によって調製されたスポンジ、および発泡技術からなる群から選択された方法を用いて形成される。
【0063】
もう1つの実施形態において、ポリアクリル酸と組合わせてさらに親水性ポリマーも含んでいる圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジが提供される。この親水性ポリマーは、次のものを含んでいてもよいが、これらに限定されるわけではない。すなわち、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、またはこれらの組合わせである。デンプンは、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせを包含しうる。好ましくはこの親水性ポリマーはキトサンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(A.圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ)
本発明は、生死に係わる重大な出血の制御のための救急/一次的介入創傷包帯を目的とする。このような出血は、弾道損傷および重大な動脈裂傷において致命的になりうる。特に戦場において、この型の包帯への緊急のニーズがある。戦場では、典型的にはすべての死の50%が、直ちに重大な出血を制御することが不可能であることと関連している。
【0065】
生死に係わる重大な出血のための先進的な創傷包帯は、好ましくは次の特性を有すべきである:
i)パッケージから取り出した後、容易かつ迅速に一工程で適用される;
ii)急速かつ強力な凝血;
iii)急速かつ強力な組織接着;
iv)強力な内部凝集特性;
v)急速かつ強力な創傷シール;
vi)強い血流下の溶解への抵抗性;
vii)損傷との良好なたわみ性;
viii)組織と接触する表面テキスチャーを制御することによって、滑りを停止するための、組織への包帯の当初の良好な機械的な取り付け;および
ix)有効性を譲歩することなく、大雑把に処理できること。
【0066】
この目的のために、本発明は、先進的出血制御創傷包帯、およびこのような創傷包帯の使用および製造方法を目的とする。本発明によって考察されている、生死に係わる重大な出血の種類は典型的には、従来のガーゼ創傷包帯が該創傷に対して従来の圧力とともに適用された時、止血されえない型のものである。あるいはまた、この生死に係わる重大な出血の性質は、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに適用された時にこれが止血されず、そしてほかの手段によって制御されないならば、その人が低血圧状態に陥る結果になるであろうようなものである。ほかの言い方をすれば、この生死に係わる重大な出血は一般に、従来のガーゼ創傷包帯が創傷に対して従来の圧力とともに適用された時、止血されえず、その人の最大血圧が、約90mmHg未満のレベルに落ちる結果になるであろう。
【0067】
この生死に係わる重大な出血はまた、1分あたりの失血約90mL超の安定した高い血液流として記載することができ、したがって出血の約20分後、70kgのヒト男性から総血液の約40%超の容量が失われるであろうし、この血液容量損失は、ヒトの生存の可能性を実質的に減少させるであろう。この型の出血が、5〜10分以内に停止されないならば、負傷者は低血圧状態に陥ることがあり、したがって動脈圧は、60mmHg未満に落ちる。多くの場合重大な出血は、弾道発射損傷、または鋭い穿孔損傷、または鈍的外傷損傷によって引起こされる。ほかの場合、重大な出血は、凝固障害、体内外傷または外科的外傷、自動車外傷、農業事故などによって引起こされる。
【0068】
本発明の創傷包帯は、少なくとも約90mL/分の血流流量を有するかなり大きい動脈創傷またはかなり大きい静脈創傷によって引起こされた前記重大な出血を止血することができ、かつ約5分以下の時間の間創傷包帯へ直接圧力を加えることによって、創傷部位へ接着しうる。この創傷包帯はまた、迅速に作用して創傷をシールし、創傷部位からの重大な出血の実質的な凝血および凝集を容易にし、創傷包帯へ直接圧力を一時的に加えることによって重大な出血を止める。この創傷包帯は、高い血流中の溶解への高い抵抗性を有し、良好な体内凝集特性を有する。これは損傷に適合するのに十分な柔軟性、および大雑把な処理に抵抗するための靭性を有する。
【0069】
該包帯は、重大な出血を制御するための生物材料から形成されている。好ましくはこの生物材料は、非哺乳動物材料を含んでいる。好ましくはこの非哺乳動物材料は、ポリ[β−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコピラノース]であり、これはより一般的にはキトサンと呼ばれる。
【0070】
この創傷包帯は、中間構造または形状生成工程の使用を介して、スポンジ様または織布形状に成形される。この生物材料は、相互連結開放多孔質構造、および/または延伸開放ラメラ構造、および/または開放管状構造、および/または開放ハネカム構造、および/またはフィラメント構造を含む。この創傷包帯は、約15ミクロン〜約300ミクロン;約30ミクロン〜約250ミクロン;約100ミクロン〜約225ミクロン;約125ミクロン〜約200ミクロン;最も好ましくは約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する、相互連結自由空間領域または細孔を有する。この創傷包帯は、好ましくは1cm2につき少なくとも約100cm2、より好ましくは1cm2につき少なくとも約200cm2、最も好ましくは1cm2につき少なくとも約300cm2の、前記創傷包帯のベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する。創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、好ましくは約0.02g/cm2〜約1.0g/cm2であり;より好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.04g/cm2〜約0.5g/cm2であり;最も好ましくは創傷表面積あたりのキトサン生物材料の有効質量は、約0.06g/cm2〜約0.1g/cm2である。
【0071】
「ベース表面あたり」とは、例えば一般に血液と接触しているベース表面の1cm×1cmを考えるならば、その場合には、開放スポンジ構造によって、血液が少なくとも100cm2のキトサン表面積を見込むことが予想されるであろうという意味である。
【0072】
スポンジは、次の方法によって調製されるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、転相方法、凍結、凍結乾燥、予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合、および発泡技術である。
【0073】
さらにはこの創傷包帯は、前記創傷部位へ接着した時、約37℃の温度において、好ましくは1cm2につき1分あたり約0.008グラム以下、より好ましくは1cm2につき1分あたり約0.005グラム以下、最も好ましくは1cm2につき1分あたり約0.002グラム以下の、前記創傷包帯のベース表面積あたりの平均溶解率を有する。
【0074】
該創傷包帯は好ましくは、少なくとも約0.05g/cm3、より好ましくは少なくとも約0.07g/cm3、最も好ましくは少なくとも約0.11g/cm3の密度を有する。これは、少なくとも約0.05g/cm3、より好ましくは少なくとも約0.07g/cm3、最も好ましくは少なくとも約0.095g/cm3、好ましくは約0.2g/cm3以下の、圧縮密度に対する圧縮荷重を好ましくは有しうる。
【0075】
本発明の創傷包帯は典型的には、少なくとも約50kDa、好ましくは少なくとも約75kDa、より好ましくは少なくとも約100kDa、最も好ましくは少なくとも約150kDaの数平均分子量(pH5.5、0.01M酢酸ナトリウムにおけるポリエチレングリコール標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定された分子量)を有するキトサンを含有する。好ましくはキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約6.3以下のpHを有する。より好ましくは、このキトサン接着性材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約4.5以下のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約4.0以下のpHを有する。
【0076】
親水性ポリマーがポリアクリル酸である包帯に関して、好ましくはこの接着性材料は、創傷がシールされた時、約5.5以上のpHを有する。より好ましくはこの接着性材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約6.5以上のpHを有する。最も好ましくはこのキトサン接着性材料は、創傷がシールされた時、約7.5以上のpHを有する。
【0077】
キトサンはまた好ましくは、少なくとも約100kDa、より好ましくは少なくとも約150kDa、最も好ましくは少なくとも約300kDaの重量平均分子量(pH5.5、0.01M酢酸ナトリウムにおけるポリエチレングリコール標準に対して、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定された分子量)を有する。この創傷包帯中のキトサンはまた、好ましくは約100センチポアズ〜約2,000センチポアズ、より好ましくは約125センチポアズ〜約1,000センチポアズ、最も好ましくは約150センチポアズ〜約500センチポアズである、約30rpmでのスピンドルを用いた、酢酸(AA)の1%溶液中で25℃におけるブルックフィールドLV DV−II+粘度も有する。このスピンドルは好ましくは、スピンドルLV1、LV2、LV3、またはLV4である。上で言及されている分子量および粘度は、実質的に純粋なキトサン創傷包帯、およびキトサンの吸着された表面層をともなって形成された創傷包帯に関するものである。キトサンの共有結合表面層を含有する創傷包帯であるならば、その場合にはキトサンのより低い粘度および分子量が好ましいことがある。
【0078】
本発明の創傷包帯は、組織接着および組織シールを促進するための、カチオン性キトサン塩を含んでいてもよい。好ましくはこれらのカチオン性キトサン塩は、キトサンホルメート、キトサンアセテート、キトサンラクテート、キトサンクロライド、キトサンアスコルベート、およびキトサンシトレートを包含するが、これらに限定されるわけではない。このキトサンは、典型的には少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約85%である、脱アセチル化度を有する。
【0079】
中密度スポンジ(0.1g/cm3>密度>0.5g/cm3容積固体)、または既に好ましい密度にある中密度スポンジを、0.15g/cm3に近いその最適な密度に圧縮するよりもむしろ、低密度スポンジ(密度<0.03/cm3固体)を圧縮することが好ましい。これは、低密度スポンジにおけるスポンジ形成方法の結果として、中密度およびより高い密度のスポンジ中の壁の厚さと比較して、スポンジ細孔間の有意により薄い壁の厚さを生じるからである。同様に、これらのより高い密度のスポンジは、多くの場合、スポンジ剛性を増し、かつ亀裂への抵抗性を減少させる、より相互連結された構造も有する。低密度スポンジ中の薄い多重壁は、より高い密度に圧縮された時、より相互連結された構造、ならびにより厚く、したがってより剛性あるセル壁をともなって製造された中密度およびより高い密度のスポンジよりも、より柔軟性があって、より剛性のスポンジを可能にする。
【0080】
スポンジの緻密化は、固定温度において、制御された圧縮率の一方向または二方向のどちらかの適用によって達成されてもよい。好ましいスポンジの緻密化は、80℃における一方向圧縮によって、および約2%〜5%w/wのスポンジ湿分含量を用いて達成される。一軸圧縮の一例として、10.0cm(x方向)×10.0cm(y方向)×1.70cm(z方向)が、Geo Knight 394−TSシャトルプレスにおいて40psiで、平らな水平延伸(xy平面)の63.5cm×50.8cmアルミニウムプラテン間のz方向に、10mm/分で圧縮された。圧縮率は、圧力設定およびParker SPF200Bニードルバルブの使用によって制御された。
【0081】
0.55cmの最終スポンジ厚さは、少なくとも2つのスペーサーバー50cm×2cm×0.55cmの使用によって制御された。このスポンジの当初密度は、0.033g/cm3であった。プレス後のスポンジの密度は、0.10g/cm3であった。ほかのスペーサー対照、例えば0.15cm、0.35cm、および0.45cm高さを用いて、それぞれ0.375g/cm3、0.16g/cm3、および0.125g/cm3のスポンジが得られた。二方向圧縮(zおよびxまたはy方向におけるプラテン圧縮)は、5cm×5cm×1.7cmスポンジを2.5cm×2.5cm×0.55cmスポンジに縮小するために実施することができる。複合形状は、真空バギング技術を用いて圧縮されうる。この場合、閉鎖されたプラスチックフィルムが、スポンジの表面を覆ってラップされ、空気は、真空を加えることによって、スポンジおよびプラスチックフィルムジャケット内から、制御されたレベルまで除去される。加熱されたローラープレスもまた、スポンジリボンおよびほかのスポンジプロフィールを圧縮するために用いられうる。このようなスポンジリボンおよびプロフィールは、これらがローラープレスを用いてプレスされるならば、内部複合メッシュを用いて強化されるのが好ましい。連続複合スポンジフィラメントの圧縮の好ましい実施形態は、このフィラメントが、完全圧縮において2.5mm近い直径から0.67mm直径へ、入口において制御されたテーパーを有するテフロン(登録商標)コーティングされた加熱ロッドダイ(80℃)を通して延伸される実施形態である。
【0082】
制御された湿分、加熱、および圧縮率の条件は、スポンジの脆性圧潰を最小限にしつつ、延性圧密を最適化するために選択される。スポンジの脆性圧潰の結果、亀裂によるスポンジの機械的一体性の喪失を生じる。細かい相互連結帯域への最適なスポンジ圧密は、均一な相互連結球様細孔(例えば12面体)を有するスポンジにおいて最適に達成される。非圧縮スポンジ細孔サイズは、30〜120ミクロンが最適であり、ポリマー壁の厚さは1〜20ミクロンである。ラメラまたはハネカム様構造を有するスポンジの場合、この構造は、一軸圧縮の垂直方向から30〜40°近くのところに均一に延伸されることが最良である。熱勾配の方向に垂直なせん断応力を加えることによって、凍結の間このような均一構造を得ることが可能である。このようなせん断は、凍結の方向に均一な荷重を加え、熱損失に対して垂直方向に減少した荷重をかけて達成される。
【0083】
ほぼ垂直な構造は、脆性破断およびランダムチャネル形成をともなわずには、それほど容易に圧縮されない。実際、開放金型における凍結の間、上部表面氷核生成に由来するコース(course)垂直構造は、スポンジ中の垂直クラスト層につながり、これは容易に圧縮されず、スポンジ中に剛性を引起こし、血液または水溶液と接触した時に、急速に溶解する。同様に水平構造は望ましくないが、その理由は、これらがバルク体に弾性的に圧縮され、表面における細孔相互連結性の喪失をともなうからである。
【0084】
ラメラ型またはハネカム様スポンジにおいても同様に、壁構造が小円鋸歯状または繊毛表面を有することが望まれる。ラメラまたはハネカム壁のこのような表面は、特異的条件下、氷と親水性ポリマーとの凍結制御された相分離の間に得られる。通常、小円鋸歯または繊毛は、3〜10ミクロンの薄い壁、「歯」、「櫛」、または柱として表面から突出し、小円鋸歯の場合長さ3〜10ミクロン、または繊毛の場合直径2〜3ミクロンであり、ラメラまたはハネカム表面に直交している。これらは、ラメラまたはハネカム壁上で、多くの場合迷路様の規則性をともなって分布している。すなわち、1つの壁が別の壁に隣接して、5〜10ミクロン分離されているが、常に離れている。小円鋸歯の限度は、ポリマーの分子量、その分子量分布、相分離の前またはその間の細長いロッド様溶液特性の限度、および冷却領域によって制御されているように見える。緻密化の時、これらの小円鋸歯は、ラメラが互いに対して圧縮されるにつれて、ラメラの所望の制御された間隔あけを少なくとも約5〜10ミクロンに補強することによって、細孔連結を維持する作用をする。
【0085】
表面絨毛および小円鋸歯はまた、機械的固定および表面の結合の補助によって、接着において重要な役割も果たす。したがって小円鋸歯状/絨毛状構造の表面テキスチャーは、緻密化の間最もよく保持される。これは、プラスのスポンジ表面をマイナスのベース表面に圧縮することによって達成することができる。理想的にはこのベース表面のテキスチャーは、小円鋸歯/絨毛表面のマイナスの解放である。このようにして、最小限の荷重を加えることによって、第一表面は、第二表面中に正確に鍵を掛け(key)、これら2つの表面間に最大の表面積接触を生じるであろう。同様に、第一表面を第二表面から取り出す時、有意な表面損傷または損失をともなわずに、必然的に表面の良好な剥離があるであろう。プレスの間の表面のこのマイクロ鍵掛けと同様、スポンジが圧縮工程の間にプレスされる指定されたテンプレート表面の適用によって、スポンジ表面中にマクロパターン化を作り出すことも可能である。このようなパターン化は、組織損傷への一次的止血包帯の適用を補助するような滑り止めパターンを包含しうる。
【0086】
長方形、円筒形、球形、複雑な形態、および複合形態は、出血の制御のために最適な密度に圧縮されうる。スポンジは、複合形態をともなって調製することができる。典型的な長方形複合形態は、不溶性であるが湿潤性の不織布または織布メッシュをスポンジ中に含めることができるであろう。このことは典型的には、前スポンジ溶液中に存在するメッシュを用いた、スポンジ形成相分離方法を実施することによって行なわれるであろう。不織布メッシュ材料が好ましいが、その理由は、この材料が、スポンジ圧縮方法とより適合性があり、緻密化の間、スポンジ中に裂けを引起こす可能性がより少ないからである。もう1つの実施形態は、0.25%〜1%キトサン溶液からの低密度キトサンスポンジが、凍結/凍結乾燥によってキトサンスポンジに成形されている場合である。このスポンジはついで、室温で99%無水酢酸中に少なくとも24時間浸漬することによって、キチンスポンジ形態へ再アセチル化される。この再アセチル化されたスポンジはついで、キトサン金型溶液(1%〜2%)上に、またはその中に加えることができ、このキトサン溶液は、凍結/凍結乾燥によってスポンジに成形される。キチンスポンジによって強化されたこの複合キトサンスポンジはついで、その後最適な密度にプレスされる。複合形態のもう1つの実施形態は、キトサンスポンジが、最も好ましくは凍結/凍結乾燥手順によって成形されている実施形態である。このキトサンスポンジはついで、0.1M NaOH溶液中での洗浄によって中和され、ついで水中にリンスされ、残留ナトリウム塩および水酸化ナトリウムが除去される。この中和キトサンスポンジ(今や水および血液不溶性である)は、今や適切な金型中の親水性ポリマー塩溶液(pH≧7)の水溶液の上またはその中に入れられる。この金型は、凍結/凍結乾燥機の中に入れられ、中和キトサンスポンジで強化された親水性スポンジを生成する。その後の複合スポンジはついで、適切な厚さにプレスされる。
【0087】
非常に好ましい円筒形スポンジ複合形態は、このスポンジが湿潤糸またはテキスタイルの中に形成された形態である。スポンジおよび糸の直径は、典型的には1〜2mmであろう。その軸に垂直なこの糸の圧縮の結果として、直径0.2〜0.5mmの柔軟性キトサン含浸糸を生じ、これは、体内出血損傷、および上を覆う必要がある損傷へ施すための、および出血を制御するために多重裂傷位置の操作のための、強力なたわみ性のある医療用包帯テープとして製織することができる。このようなテープは、出血性の創傷を包含する様々な重症度の創傷へ層化するのに非常に便利であろう。このテープ中の含浸ポリマーは、局部的凝血を加速させ、ならびに組織にしっかりと接着するであろう。この型のキトサン含浸糸は、妥協的に正常な(compromised normal)血小板凝血を有する個人、例えば血友病患者およびショック状態にある人において、加速された凝血を与えるであろう。
【0088】
本発明のスポンジは、機械的手段を用いて結合(matted)およびかみ合わせされうる。具体的には、使用した時にこれらの被験体の創傷および組織と接触するスポンジの側は、大きい織目の表面に対して押し付けられうる。この大きい織目の表面は、機械的切断によって調製された表面およびレーザーアブレーションによって調製された表面を包含するが、これらに限定されるわけではない。このスポンジの機械的牽引はまた、使用の時、被験体の創傷および組織と接触するスポンジの表面を、大きい織目の表面に対して押し付けることによって改良されうる。大きい織目の表面は、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術によって調製された表面を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。
【0089】
このスポンジは、親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいてもよい。この糸は、親水性ポリマーを吸収しうる、合成または天然のあらゆる材料であってもよい。例えばこの糸は、植物ベースの材料であってもよい。好ましくはこの糸は、マルチフィラメントである。
【0090】
このスポンジ創傷包帯は、裏打ち支持層がこれに付着されていてもよい。これは、改良された取扱いおよび機械的特性を与え、これを促進する。この裏打ち層は、キトサンの上部層との直接接着によって包帯に付着または接着させることができる。または接着剤、例えば3M9942アクリレート皮膚接着剤、またはフィブリングルーもしくはシアノアクリレートグルーを用いることができる。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に血液不溶性である。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に血液不浸透性である。この裏打ち支持層はまた、好ましくは実質的に生物分解性である。この裏打ち支持層は好ましくは、適用の間に包帯のしっかりした取扱いを可能にし、包帯がひとたび適用されたら、手には非粘着性である材料である。
【0091】
好ましくは裏打ち支持体を形成する材料は、ポリマー材料層である。好ましい裏打ち材料の例には、低モジュラスメッシュ、および/またはフィルム、および/または合成および天然ポリマーの織布が含まれる。合成生物分解性材料には、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレンのコポリマー、ポリプロピレンのコポリマー、上記ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、またはこれらの組合わせである。天然の生物分解性ポリマーには、次のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない。すなわち、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、およびアルブミンである。一時的外部創傷用途のための非生物分解性ポリマーには、次のものが含まれる。すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、またはこれらの組合わせである。
【0092】
本発明の創傷包帯は、少なくとも約40kPa、より好ましくは少なくとも約60kPa、最も好ましくは少なくとも約100kPaの、創傷部位への接着度を有する。同様にこの創傷包帯は、好ましくは約3.0mm以上、より好ましくは約3.5mm以上、最も好ましくは約4.0mm以上、好ましくは約8.0mm以下、より好ましくは約7.0mm以下、最も好ましくは約6.5mm以下の厚さを有する。
【0093】
本発明の創傷包帯(2.5cm幅)は好ましくは、1kg以上、より好ましくは少なくとも1.5kg、最も好ましくは少なくとも2.25kgの極限引張り破壊荷重を有する。この同じ包帯は好ましくは、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%の極限伸びを有する。この包帯のヤング率は好ましくは10Mpa未満、より好ましくは3Mpa未満、最も好ましくは1Mpa未満である。
【0094】
この創傷包帯は好ましくは、有意量の表面血液を含んでいる創傷部位への創傷包帯の適用に特に有用な補足的牽引表面を含んでいる。この補足的牽引表面は、使用中、典型的には創傷部位から離れた方向への創傷包帯の滑りを避けるためにこの創傷部位を掴む、少なくとも1つの外側表面を含みうる。この補足的牽引表面は、好ましくはトレッドの設計の形態にある。
【0095】
該創傷包帯は、創傷包帯−血液界面において前記創傷から流れる血液と組合わせて接着性材料を形成しうる。この場合、キトサン接着剤材料は好ましくは、創傷がシールされた時、約5.5以下、より好ましくは約4.5以下、最も好ましくは約4以下のpHを有する。キトサン創傷包帯のpHを調節する目的で用いられる典型的な酸は、次のとおりである:酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸。pHを上記のレベルに調節するための、キトサンカチオン/アニオンペアにおける酸アニオン対グルコサミン官能基のモル比は、好ましくは約0.90、より好ましくは約0.75、最も好ましくは約0.60である。
【0096】
この創傷包帯は、創傷と係合的に接触するため、および生死に係わる重大な出血流の止血を容易にするために、この創傷の形状に適合させることができる。より詳しくはこの創傷包帯は、この創傷の隙間の中に導入される。より好ましくはこの創傷包帯は、管状形状に適合させることができる。ついで形状が変更されたこの創傷包帯は、創傷の中に挿入される。
【0097】
本発明はまた、人の創傷部位において、創傷からの生死に係わる重大な出血の制御方法についても考察する。この方法は、キトサンを含んでいる生物材料から形成された創傷包帯の供給工程、創傷部位への前記創傷包帯の接着工程、および前記創傷からの生死に係わる重大な前記出血流を実質的に止血する工程を含む。好ましくはこの創傷がシールされ、前記創傷部位からの出血が防止される。同様に、出血、および前記創傷部位の中へおよび/またはそこからのほかの流体の流れが、好ましくは防止される。本発明の包帯は、赤血球を凝集することによって出血部位に強力な血塊を急速に生じるために作用する。これはまた、正常な血小板凝結経路を加速することによって、凝血を促進しうる。
【0098】
あるいくつかの用途において、該創傷包帯の溶解速度は、凝集速度と比べて比較的遅かった。このバランスは良好な結果を生じるが、それはこの高速での凝集が溶解を停止させるからである。このことは、この創傷包帯の内部の表面構造の均一性の重要性を証明している。この創傷包帯中に、かなり大きい欠陥、例えば粒界または小さい亀裂によって引起こされた通路が存在するならば、その場合には有意な血流が、この欠陥に沿って通路を形成し、非常に望ましくない血液浸透状態を生じ、これは、これらが形成するにつれて、比較的小さいあまり粘性でない凝集区域を洗い流すことがある。同様に、ウエハー表面全体上への加圧下の有意な血流は、先行技術の創傷包帯の創傷接着に悪影響を与えるように見えるが、本発明の創傷包帯の創傷接着には悪影響を与えない。
【0099】
本発明の創傷包帯の重要な好ましい属性は、キトサンと血液とを組合わせる一方で、結果として生じた「血塊」の機械的一体性、および損傷部のすぐ隣の表面への血塊の結合が得られる手段である。該創傷包帯は、創傷部位における血塊形成を加速し、創傷部位における血塊形成を強化し、創傷部位からの出血を防止する。これはまた、創傷部位中へ、および/またはそれからの血液およびほかの流体の流れも実質的に防止する。
【0100】
本発明の創傷包帯は、凝血および創傷部位への接着というその二重の能力を維持する一方で、極端な環境中での高いレベルの復元力も示す。この創傷包帯の顕著な復元力は、この包帯の驚くべき物理的特性によって例示される。該創傷包帯は、以前に記載された先行技術の製品とは異なり、構造的復元力を維持しつつ、創傷形状へ適合する顕著な能力も有する。この構造的復元力によって、この創傷包帯が、機械的性質の実質的な喪失をともなわずに、変形後に好ましい形状を取ることが可能になる。
【0101】
好ましくは本発明の出血制御包帯は、使用中にこの包帯の滑りを実質的に避けるために創傷区域を掴む表面を含んでいる。典型的にはこの包帯のこの滑り止め表面は、牽引表面を含んでいる。該出血制御包帯は、効果的な滑り止め表面、例えば牽引表面を有することから利点を得ることができる。該出血制御包帯は、滑らかな側と粗い側を有しうる。この粗い方の側は好ましくは、この側もまたより良好な接着特性を示すのであれば、組織または出血表面側である。
【0102】
牽引表面は、十分に潤滑された表面(例えば重大な出血の場合に存在する表面)に表面接触の増加した安定性(よりよい牽引)を備えることによって、急速な動脈出血を制御する包帯能力を改良しうる。このような牽引表面は、接着動力学に悪影響を与えず、一方で、包帯適用の決定的な時間中、より制御された安定な組織接触を可能にしつつ、血液の通路を作るのを助ける。例えばこの包帯の組織側は、トレッド設計の形態にある牽引表面を有してもよい。このトレッドは、創傷への適用を受けている時に、包帯が、この創傷から離れた方向において牽引損失を受けるのを防ぐことができるであろう。
【0103】
出血制御包帯の滑り止め表面は、互いに連結せず、覆い隠されたリッジをともなって生成されてもよい。このようにして今度は、これらのリッジ間に形成された通路は、完全にまたは一部、互いに対して覆い隠され、このようにして、創傷区域の中へ、またはそこからの制御された血流の戻りを与えるような、制御された連結を与えるであろう。包帯適用の区域における制御された血流は、出血制御包帯におけるリッジまたは特殊な型の応答性ゲートによって維持されうる。出血制御包帯の製造用金型の底部にあるリッジは、牽引制御、例えばリッジなどの形態で、該包帯中の滑り止め表面を可能にする型の凹部を含んでいてもよい。
【0104】
このようにして、少なくとも1つのすべり止め表面、例えば牽引表面を有する出血制御包帯を製造することができる。同様に、このような包帯の製造方法が提供されるであろう。最後に、出血制御包帯を製造するための金型を製造することができる。
【0105】
接着性ベースおよび上部表面が有利であるような場合、重大な出血を処置するために、両面で接着および凝血が必要とされる時に、容易に剥がし取られるように支持裏打ちを設計することが可能である。
【0106】
広い範囲の可能な型の出血創傷に取り組むために、包帯の数多くの出血制御形状が存在する。負傷者が、最初の応答者によって、または潜在的には負傷者自身によって処置されうるように、様々な形状のいくつかの包帯を(例えば戦場の状況において)携帯する必要があることがある。本発明の包帯は、非常に多くの物理的酷使を許容し、それでもなお活性な出血制御基盤に留まりうる。
【0107】
この包帯は、局所性血管出血、ならびに小さい局所創傷の処置に理想的である。これはまた、出血部位を容易に圧縮することができない複雑な刺入れ創傷へのパックにもよく適する。
【0108】
ひとたび出血制御が本発明を用いて達成されると、末端部創傷を安定させ、創傷縁部を接合し、汚染を防ぎ、決定的な修復のために負傷者の避難を可能にする耐久性包帯を作製することが、一般市民および戦場の出血制御包帯についての主な必要条件である。出血制御包帯の1つの想定された形状は、末端部の周りにきっちりと付着させることができ、かつロックタブ、例えば永久接着性グルーを用いて、剥がし取り表面を介してそれ自体に固定することができる柔軟性のある弾性裏打ちを有する、10”×18”包帯である。この形状は、創傷表面を接合し、血流を遠位末端部へ譲歩して追いやることなく、出血制御表面をつけ加えるであろう。これは第一応答者によって、ある場合には負傷兵士によって適用されてもよく、移動下、または輸送中の極端な動きの下でも安定であろう。この包帯は、創傷または皮膚への不都合な接着をともなわずに、これを切り離すことによって除去されるであろうと想定される。
【0109】
(B.圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジの製造方法)
人間の創傷部位における創傷からの生死に係わる重大な出血を制御しうる創傷包帯の製造方法が提供される。このような方法は、上記のようなキトサン生物材料の供給工程を含む。
【0110】
構造または形態生成工程は典型的には、溶液から実施され、例えば(相分離を引起こすための)凍結、(フィラメントを生成するための)非溶媒ダイ押出し、(フィラメントを生成するための)電気紡糸、転相、および(典型的には透析およびフィルター膜を生成するために用いられているような)非溶媒での沈殿、または予め形成されたスポンジ様または織布製品上への溶液コーティングなどの技術を用いて達成することができる。2つまたはそれ以上の異なる相が、凍結(典型的には、別個の固相へのキトサン生物材料の分化を用いた水の氷への凍結)によって形成される凍結の場合、凍結溶媒(典型的には氷)を除去するために、したがって凍結された構造を乱すことなく創傷包帯を製造するために、もう1つの工程が必要とされる。これは、凍結乾燥および/または凍結置換工程によって実施されうる。フィラメントは、不織布紡糸方法によって、不織布スポンジ様メッシュに形成することができる。あるいはまたフィラメントは、従来の紡糸および製織方法によって、フェルト化された織布として生成されうる。前記生物材料スポンジ様製品を製造するために用いることができるほかの方法には、固体キトサンマトリックスからの添加ポロゲンの溶解、または前記マトリックスからの材料の穿孔が含まれる。
【0111】
好ましくはキトサン生物材料から、一般的な大気ガスが脱ガスされる。典型的には脱ガスは、キトサン生物材料から十分な残留ガスを除去し、したがってその後の凍結操作を受けた時、このガスは洩れず、該創傷包帯製品中に、望まれない大きい空隙または大きな閉じ込められたフォームを形成する。この脱ガス工程は、典型的には溶液形態にあるキトサン生物材料を加熱し、ついでこれに真空を加えることによって実施されてもよい。例えば脱ガスは、この溶液を攪拌しつつ、約500mトルで約5分間真空を加える直前に、キトサン溶液を約60℃に加熱することによって実施することができる。
【0112】
親水性ポリマー生物材料スポンジ溶液処理の1つの実施形態は、当初の脱ガス後に、あるいくつかのガスを溶液中に加えて戻すことである。このようなガスには、アルゴン、窒素、およびヘリウムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。この工程の1つの利点は、これらのガスの分圧を含有する溶液が、凍結した時に微小空隙を形成するということである。この微小空隙はついで、氷前線が前進するにつれてこのスポンジを通って運ばれる。これは、十分に画定され、かつ制御された通路を残し、これは、スポンジ細孔の相互連結性を補助する。
【0113】
次に、典型的には溶液形態にあるキトサン生物材料が、凍結工程に付される。凍結は好ましくは、キトサン生物材料溶液を冷却し、この溶液温度を室温から凍結点以下の最終温度まで低下させることによって実施される。このようにして、創傷包帯製品の好ましい構造が調製されうる。この最終凍結温度は好ましくは約−10℃以下であり、より好ましくは約−20℃以下であり、より好ましくは約−30℃以下である。好ましくはこの温度は、予め決定された時間にわたって徐々に低下される。例えばキトサン生物材料溶液の凍結温度は、約90分〜約160分の間、約−0.4℃/分〜約−0.8℃/分の一定温度冷却勾配を適用することによって、室温から−45℃に低下させることができる。
【0114】
凍結されたキトサン生物材料はついで、凍結材料の隙間内からの水の除去を受けてもよい。この水の除去工程は、凍結されたキトサン生物材料の構造的一体性を損なうことなく実施されうる。これは、究極的な創傷包帯の構造的配列を破壊することがある実質的な液相を生成することなく達成されうる。このようにしてキトサン生物材料は、中間液相の実質的な形成をともなわずに、固体凍結相から気相に変わる。
【0115】
水の除去の好ましい方法は、凍結乾燥工程を用いることによる。凍結キトサン生物材料の凍結乾燥は、この凍結キトサン生物材料をさらに凍結することによって実施することができる。典型的には、ついで真空が適用される。次に、排出された凍結キトサン材料が加熱されてもよい。ついでそこで、加熱され、排出され、凍結されたキトサン材料は、好ましくは乾燥される。
【0116】
より具体的には、この凍結キトサン生物材料は、好ましくは約−15℃、より好ましくは約−25℃、最も好ましくは約−45℃で、少なくとも約1時間、より好ましくは少なくとも約2時間、最も好ましくは少なくとも約3時間の好ましい時間、その後の凍結に付されてもよい。この工程の後、約−45℃未満、より好ましくは約−60℃未満、最も好ましくは約−85℃未満の温度への凝縮器の冷却を行なうことができる。次に、好ましくは大きくてもせいぜい約150mトル、より好ましくはせいぜい約100mトル、最も好ましくは少なくとも約50mトルの量の真空を加えることができる。ついで、排出された凍結キトサン材料は、好ましくは約−25℃、より好ましくは約−15℃、最も好ましくは約−10℃で、少なくとも約1時間、より好ましくは少なくとも約5時間、最も好ましくは少なくとも約10時間の好ましい時間、加熱されうる。最後に、乾燥は、好ましくは約20℃、より好ましくは約15℃、最も好ましくは約10℃で、少なくとも約36時間、より好ましくは少なくとも約42時間、最も好ましくは少なくとも約48時間の好ましい時間、実施することができる。
【0117】
その後、キトサン生物材料は、厚みを減少させるため、および前記創傷包帯の密度を増すために、例えば加熱プラテンを使用することによって圧縮させることができる。圧縮温度は好ましくは、約60℃以上であり、より好ましくはこれは約75℃以上であり、約85℃以上である。ついでプレスされたキトサン生物材料は、好ましくは約75℃までの温度、より好ましくは約80℃の温度、最も好ましくは約85℃までの温度へこれを加熱することによって、好ましくはプレコンディショニングされる。プレコンディショニングは典型的には、約0.25時間まで、好ましくは約0.35時間まで、より好ましくは約0.45時間まで、最も好ましくは約0.50時間までの時間実施され、これによって、既に上に記載されているように、前記創傷包帯の接着強さおよび溶解抵抗を増す。
【0118】
この加工処理された創傷包帯はついで、滅菌工程に付されてもよい。この包帯は、いくつかの方法によって滅菌することができる。例えば好ましい方法は、照射、例えばγ線照射による。これは、創傷包帯の血液溶解抵抗、引張り特性、および接着特性をさらに向上させることができる。この照射は、少なくとも約5kGy、より好ましくは少なくとも約10kGy、最も好ましくは少なくとも約15kGyのレベルで実施することができる。この滅菌された創傷包帯はその後、不活性ガス、例えばアルゴンまたは窒素ガスのどちらかでパージされたヒートシールパウチに、保存のためにパックすることができる。
【0119】
創傷包帯は、キトサン生物材料から製造される。これは、創傷包帯を創傷部位へ接着させることによって、創傷からの生死に係わる重大な出血流を実質的に止血しうる。この創傷包帯は好ましくは、前記創傷へシールされ、重大な出血の凝結および凝集を用いて、前記創傷部位へ前記創傷包帯を接着させることによって前記創傷部位からの出血を防止する。この創傷包帯は好ましくは、この創傷の周りからの赤血球を凝結および凝集しつつ、創傷部位へ強力に接着する。したがって圧力は、好ましくは最初の5分の適用の時に用いる必要があるだけである。本発明の1つの形態において、この器具は、専門的な医療的介入が可能になるまで、負傷者を生存させておくために、熟練していない実行者によってさえ適用される一時的包帯になるように設計されている。
【0120】
(C.圧縮スポンジにおいて使用される活性剤)
この圧縮スポンジはさらに、活性成分を含んでいてもよい。この活性成分は、次のものであってもよいが、これらに限定されるわけではない。すなわち、創傷の性質もしくは患者の病状に応じて、ヒト血清アルブミン、カルシウム、ウシトロンビン、ヒトトロンビン(hトロンビン)、rhトロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、第XIII組換え因子(第XIII r因子)、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、およびクロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである。例えば軍事的環境で受けた創傷は、抗生物質、抗菌剤、および凝血因子を含んでいてもよい。外科手術における癌患者は、活性剤の異なる組合わせを受けてもよい。
【実施例】
【0121】
(実施例1:出血制御テスト)
表1は、出血制御テストのために入手された主要キトサン材料のリストを提供する。ゲルフォーム(商標)+トロンビン、およびブタの脾臓実験のためのサージセル(商標)対照、およびブタの大動脈穿孔への使用のためのジョンソン・エンド・ジョンソンの4”×4”ガーゼ対照を除いて、本明細書に記載された包帯材料はすべて、キトサンベースであった。
【0122】
【表1】
*鉛、水銀、ビスマス、アンチモン、錫、カドミウム、銀、銅、およびモリブデンの許容限度以下。NA=入手できない
水溶液(2.00%w/w)を、アメテック製の清潔な滅菌1リットルパイレックス(登録商標)フラスコにおいて、限外濾過(UF)水および乾燥キトサンから調製した。カルボマー、プリメックス、およびジェニスのキトサン材料の場合、氷酢酸(オルドリッチ、99.99%)1.0%または2.0%w/wを、水性混合物に添加した。40℃で12〜48時間、フラスコの振とうによって溶解が得られた。溶液を、凍結の直前に500mトルで、室温において真空を加えることによって脱ガスした。
【0123】
創傷包帯を、キトサンの2%水溶液から調製した。これを、テフロン(登録商標)コーティングされたアルミニウムまたはポリスチレン金型中に、少なくとも1.5cmの深さまで注ぎ込み、−80℃レブコフリーザーにおいて、−45℃で3時間凍結した。あるいはまた凍結は、Virtis Genesis35EL凍結乾燥機内のたなで実施した。創傷包帯において、多くともせいぜい10%の収縮しかなく、最終凍結乾燥創傷包帯密度は、0.033g/cm3近くであった。2つの型の成形創傷包帯の横断面図を、図1および2に示す(異なる凍結率)。観察された構造(図3)は、バルク溶液中の冷却率によって、異なる表面において影響を受けた。その後、これらの創傷包帯における構造を、配合、金型(サイズおよび形状)、および凍結条件によって制御した。最適な創傷包帯構造は、直径50ミクロンに近い均一な相互連結細孔、または冷却平面に垂直なラメラおよび六角形構造からなる開放気孔の構造であった。これらの構造は、非常に効率的かつ急速な血液凝固のために、大きい比表面積の、降伏柔軟性であるが強力な制御された創傷包帯になるであろう。典型的には、このような構造に対して有効な比表面積は、500cm2/g超であった。図5における走査電子顕微鏡写真は、創傷包帯のベース表面における典型的な開放気泡構造を示している。これらの創傷包帯は、対流式オブンにおいて、構造、および酢酸濃度の分布を最適化するために、1時間半、80±1℃で加熱した。この工程は、出血部分における創傷包帯の接着特性(典型的には真皮への接着>40kPa)を最適化するために不可欠であることが発見された。
【0124】
これらの創傷包帯は、50kPaに近い荷重下、80±5℃で、17mm厚さから5.5±0.5mmへ(およその密度0.03±0.005g/cm3から0.12±0.02g/cm3へ)直ちに圧縮された。図4は、加熱および圧縮後、出血制御のための典型的な好ましいキトサン創傷包帯のベースの外見を示している。
【0125】
(実施例2:創傷包帯の調製および評価)
止血創傷包帯を、次のようにして調製した:
a)85%以上の脱アセチル化度、26ppm未満の金属成分、および90%超の乾燥固体含量を有する乾燥キトサン粉末またはフレークを、40℃で2%水溶液(w/w)中で、約2または1%酢酸(w/w)を用いて作製した。
【0126】
b)上のa)からのキトサン溶液を、減圧下、約500mトルまでで、攪拌下少なくとも5分間脱ガスし、金型の中に1.7cmの深さまで注ぎ入れた。あるいくつかの低密度のフォーム構造は、出血部分における即時溶解による問題を示した。これらの問題は一般に、この溶液の完全脱ガスによって回避された。
【0127】
c)この脱ガスキトサン溶液を含有する金型を、室温から−45℃へ冷却することによって凍結した。直線的冷却勾配を90分間にわたって用い、温度を少なくともさらに1時間−45℃に維持した。
【0128】
d)凍結されたキトサンを、ついで−70℃以下の温度、約100mトルの真空にある凝縮器を用いて凍結乾燥した。たなの温度は、−45℃〜−15℃の勾配を付け、10時間そのレベルに保持した。ついでさらなる36〜48時間の10℃における凍結乾燥を実施した。凍結乾燥は、もとの凍結プラーク質量の約2.8%近くに達するまで実施した。
【0129】
e)もとの質量の2.8%においてこのプロセスを停止し、凍結乾燥された創傷包帯を、金型から取り出した。
【0130】
f)形成された製品は、そのもとの凍結容積から10%収縮している、酸緩衝水溶性高比表面積創傷包帯であった。この創傷包帯構造は一般に、50〜80ミクロン直径の相互連結細孔を有する均一開放多孔質構造であった。超冷却が影響されない、わずかに異なる冷却領域を用いて、ラメラ/六角形構造(シート間に50ミクロンに近い分離を有する、5ミクロン厚さに近い均一に薄いキトサンシートを有するもの)が得られた。
【0131】
g)ついでこの創傷包帯を、60±20kPa圧力の加圧下、80±2℃に加熱された平滑で平らなプラテン間で(1.7cmから約0.5cmの厚さへ)圧縮した。
【0132】
h)次にこの包帯を、対流式オブンにおいて、80±5℃で30分間加熱することによって状態調節した。
【0133】
i)ついで各創傷包帯を、標識されたカパック530ヒートシールパウチに保存した。
【0134】
j)その結果生じた、プレスされた創傷包帯は、強靭で、柔軟性、止血性であり、湿潤組織に接着性があり、かつ流れている血液による溶解へ抵抗性があった。
【0135】
k)改良された溶解特性、改良された接着強さ、および滅菌は、窒素雰囲気下、15kGyγ線照射へのこの創傷包帯の暴露によって得られた。
【0136】
様々な組成および構造の出血制御包帯の候補の止血の生体内評価は、ますます誘発的になって行く動物出血モデルにおいてスクリーニングした。単一の再生産可能なモデルにおいて非常に多数の候補包帯をスクリーニングすることができるように、およびこれらを従来の材料と比較することができるように、脾臓裂傷モデルを利用した。これは最も誘発的でない出血モデル(約2〜5mL/分の軽度のじくじくした出血)ではあるが、最も初期の創傷包帯配合物は、このテストに合格しなかった。同様に、すべてのキトサンゲル、粉末は、このテストに合格せず、一方で、フィルムは性能が劣った。
【0137】
重大な出血モデルのテストに先立ち、ブタを全身的静脈内ヘパリンで抗凝固し、より良好な材料を、カプセル化脾臓ストリッピングモデル(約10〜20mL/分の強いじくじくした出血)においてテストした。このテストに合格したいくつかの材料をついで、抗凝固されたブタにおける頚動脈裂傷モデル(約50mL/分)において評価した。このテスに合格した候補材料の創傷包帯配合物をついで、胸または腹部大動脈に4mm直径の穿孔が作られたブタ大動脈切開モデルに対してテストした。重大な血管出血(100mL/分以上の出血率)のこれらの誘発的モデルが合格した材料は、肝臓損傷の重症(グレードV)モデルにおいてもテストした。
【0138】
このテストは、以前に処置を受けており、かつ評価のために犠牲にされるよう計画されている健康な動物に対して実施した。すべての実験は、1996 National Research Council,“Guide for the Care and Use of Laboratory Animal”および適用しうる合衆国の規制にしたがって実施された。この動物の同定後、筋肉内(i.m.)テラゾール4〜9mg/kgで麻酔を導入した。マスクによってイソフルランを与え、動物に挿管した。
【0139】
裂傷およびカプセルストリッピング実験のためのキトサンパッチは、37mm直径創傷包帯からカットされた同サイズの1/4片か、またはより大きい創傷包帯からカットされた1.5cm×1.5cmの創傷包帯片のどちらかであった。
【0140】
ゲルフォーム(商標)+トロンビンまたはサージセル(商標)の対照材料を、1.5cm×1.5cm片から調製した。ゲルフォーム(商標)サイズ100、吸収性ゼラチン創傷包帯は、Pharmaciaによって供給された。酸化セルロースであるサージセル(商標)は、Ethiconから供給された。局所トロンビン(ウシ起源)10,000U.S.単位は、Jones Pharmaによって供給された。ゲルフォーム(商標)+トロンビンは、使用前に、1.5cm×1.5cm×0.8cm創傷包帯を、トロンビンに30分間浸漬することによって調製した。
【0141】
正中腹側開腹(midline ventral laporatomy)を実施した。脾臓の上半分を、(手術創を布鉗子と並置して)体外に出した。表面を、湿潤ラップパッドからの滅菌生理食塩水溶液を加えることによって湿らせたままにした。
【0142】
抗凝固のために、右大腿動脈を外科的に単離し、6Fシースでカニューレ挿入し、血液サンプルの採取を可能にした。活性化凝固時間(ACT)を、静脈内に5,000単位のヘパリン投与前、ヘパリン投与の10分後、およびその後20分毎に測定した。ACTレベルが200秒未満であるならば、2,000単位のヘパリンを投与し、ACTを10分後に再測定した。動物が確かに抗凝固されるように、ACT>200秒まで、これを繰返した。
【0143】
脾臓テストの範囲の境界を定め、布鉗子および湿潤パッドを使用し、最も接近した非テスト表面のみを暴露することによって、これを湿潤させたままにした。次のようにして、テストパッチの適用前に、単一の損傷を作った:
(i)裂傷モデルにおいて、4mmのブレードが突き出るように直角ピンセット中に配置された#11外科ブレードを用いて、損傷(8mm長さ×4mm深さ)を作った。
【0144】
(ii)カプセルストリッピングモデルにおいて、クランプされた#11ブレードおよび外科バサミを用いて、損傷(5mm×5mm×4mm深さ)を作った。
【0145】
損傷を作った後、30秒間出血させておいた。表面血をガーゼで除去し、その後、30秒間一定の均一圧力を用いて、テストパッチをこの損傷に指で適用した。ついで指の圧力を取り除き、パッチを2分間観察した。この段階で、試行数を記録した。観察しうる再出血が発生するならば、再出血までの時間を記録し、次の試行(30秒出血、ガーゼでの血液の拭き取り、30秒の指の圧力、ついで2分間の観察)を開始した。1つのテストパッチについての試行は、2分間の観察時間後に再出血が発生しない時、または6回試行で再出血が観察される場合に完了した。創傷が6回試行時間の間再出血を続けるならば、その場合にはこの不合格のパッチを取り除き、ゲルフォーム+トロンビンパッチを適用した。新たな損傷を作り、別のパッチをテストした。
【0146】
頚動脈裂傷モデルの場合、キトサンパッチ(37mm×25mm)を、37mm直径の圧縮創傷包帯、またはより大きい創傷包帯からカットした。適用しやすくするために、これらの創傷包帯のいくつかは、3M9942皮膚接着剤でキトサンへ接着された3M9781フォーム医療テープの上部層を有していた。対照として、ゲルフォーム(商標)+トロンビンを用いた。
【0147】
垂直切開を行なって、10cm長さの頚動脈を暴露した。筋膜を引っ込め、動脈が組織の平らなベース上に支持されるまで、周りの軟組織を切り裂いた。結紮縫合を、暴露された動脈の近位および遠位に配置した。これらをクランプし、1.5cm切開を、動脈中に長手方向に行なった。
【0148】
抗凝固のために、右大腿動脈を外科的に単離し、6Fシースでカニューレ挿入し、血液サンプルの採取を可能にした。活性化凝血時間(ACT)を、静脈内に5,000単位のヘパリン投与前、ヘパリン投与の10分後、およびその後20分毎に測定した。ACTレベルが200秒未満であるならば、2,000単位のヘパリンを投与し、ACTを10分後に再測定した。動物が確かに抗凝固されるように、ACT>200秒まで、これを繰返した。
【0149】
切開を行なった後、動脈を2秒間出血させておき、ついで1分間圧迫した。圧迫を取り除き、タイを再びクランプした。この区域を生理食塩水で洗い流した。パッチの適用2秒前にタイのクランプを外した。圧力を、3秒間、パッチ全体に均一に加えた。出血が加圧の30分以内に観察されるならば、その場合にはさらに3分間の圧力を再び加えた。パッチが接着しないならば、その場合にはこれを新しいパッチと取り替えた。各々の再加圧、または同じ型のパッチの取り替えは、そのパッチ型についての試行期間として取扱った。特定の創傷包帯についての試行は、30分後に周りから、またはパッチを通して出血が観察されないならば完了したと考えられた。30分の止血(創傷から観察しうる出血がない)を得るのに要した試行数に関して、材料をランク付けした。
【0150】
ブタ大動脈の穿孔の場合、2.5cm直径片にカットされた圧縮キトサン創傷包帯のサンプルパッチ、または4”×4”外科用ガーゼの対照を用いた。
【0151】
腹部および胸大動脈のどちらかまたは両方を、前者の場合正中腹側開腹により、後者の場合胸骨切開によって暴露した。筋膜および胸骨をクランプし、タイを切開部位の近位および遠位に配置した。結紮クランプを適用している間、#11外科用メスブレードを用いて、大動脈の壁を通して3mmの切開を行ない、4mm直径のメドトロニック(商標)血管パンチを、この切開を通して挿入し、大動脈中に4mm直径の孔を作った。このパンチを取り除き、タイオフクランプを、この孔へ加えられた指の圧力を用いて解放した。
【0152】
パッチは、中指で大動脈中の孔に圧力を加えながら、親指と人差し指との間に保持した。この中指からの圧力は、出血部位への創傷包帯の適用の1秒前に解放した。創傷包帯は、大動脈孔を覆うパッチへ人差し指を通して加えられたしっかりした圧力によって定位置に保持された。パッチの適用の間に創傷から漏れた血溜まりを、吸引して取った。3分の指の圧力の後、指を取り除き、パッチを、連続した出血および接着の悪さの兆候について観察した。
【0153】
連続した出血または再出血が、パッチ適用後の最初の30分後に観察されたならば、その場合にはさらに3分の圧力を加えた。止血が依然として完了しないならば、その場合には同じ創傷包帯のもう1枚のパッチを準備し、古いパッチを除去し、新たな試行を開始した。試行は、30分の時間後に周りから、またはパッチを通して出血が観察されなかったならば完了と考えられた。30分の止血(創傷から観察しうる出血がない)を得るのに要した試行数に関して、材料をランク付けした。対照ガーゼサンプルを、1つの試行の間にキトサン創傷包帯と同じ方法で適用した。
【0154】
すべての動物は、耳介静脈を介したバルビツレート(Euthasol、1mL/10 lb)の注射での麻酔下にある間に安楽死させた。動物は、実験処置の終了時、またはこの動物が有害な作用を受けた場合は終了前に、安楽死させた。
【0155】
テストは、出血制御が得られる前に必要な試行数、および再出血までの時間(脾臓試行の場合のみ)にしたがって、0.0〜6.0にランク付けした。1回のみの試行しか必要でなく、再出血がないテストは、0.0とランク付けした。2回目の試行を必要とし、かつ最初の試行の再出血までの時間が90秒であったテストは、次のようにランク付けした:
【0156】
【数1】
(脾臓の場合)またはほかのモデルにおいては1.0。
【0157】
止血を得るのに4回の試行を必要とし、かつ3回目の試行において脾臓再出血までの時間が30秒だったテストは、次のようにランク付けした:
【0158】
【数2】
(脾臓の場合)またはほかのモデルにおいては3.0。
【0159】
急速な溶解、接着の欠如、または制御されない出血によって完全に不合格だったサンプルは、6.0+とランク付けした。
【0160】
要するに、止血が悪ければ悪いほど、次の式によって規定されるように、ランクが高くなった:
R=Γ+Λ
ここで、Γ=出血を止めるまでの試行数−1
【0161】
【数3】
A=試行時間
脾臓調査の結果を、表2、3、および4に要約する。
【0162】
表2は、組成および構造に関して最適化されていないキトサンテストサンプルの挙動を例証している。これらの非最適化材料は、サージセル(商標)の負の対照(表4)に対して、劣るから、匹敵しうる、および部分的にのみ、より良好にまでわたっていた。リン酸塩緩衝液の存在は、サージセル(商標)よりもわずかにより効果的であるだけの、接着性が悪く、遅い止血性のパッチを生じた。キトサンフィルムは、中程度に接着性であり、出血に対して適当なシールを与えたが、その透明な表面の下の血液のゆっくりとした噴出によって証明されているように、非常に遅い止血性しかなかった。さらに初期の試行は一般に、成形された創傷包帯の上部表面に低密度フォームの兆候を示した。この低密度フォームは、創傷包帯の上部表面が、出血部位に適用されたならば、溶解および圧潰を受けやすいことが分かった。このフォーム作用は、凍結前の溶液の脱ガスによって避けることができるであろうことがその後発見された。低分子量キトサン創傷包帯(1%溶液粘度<50cpsに対して)は、出血部位中への溶解を非常に受けやすく、これらをパッチ用途には適さないものをすることが分かった。グルタメート対アニオンは、よりソフトな創傷包帯を生じたが、重大な出血部位において容易に溶解された創傷包帯を生じるという犠牲をともなった。アセテート対イオンを有する低密度創傷包帯(0.05g/cm3未満のもの)もまた、溶解および圧潰によって危うくされやすいことも分かった。
【0163】
表3は、好ましい組成および構造の最適化されたキトサン創傷包帯のランク付け結果を示している。これらの創傷包帯は、より高い分子量(100cps超の1%溶液粘度に対して)を有するキトサンから構成され、0.12g/cm3に近い創傷包帯密度を有していた。中程度に出血している脾臓テストにおいて、最適化された創傷包帯についての結果は、Wilcoxonの順位和検定を用いて、ゲルフォーム(商標)+トロンビンの正の対照から識別不可能であることが発見された(Z=−0.527、p=0.598)。同じ統計方法を用いて、これらの創傷包帯は、性能の低いサージセル(商標)対照とは有意に異なることが証明された(Z=−3.96、p=.0001)。
【0164】
図6は、脾臓表面への最適化キトサン創傷包帯のぴったりした接着、ならびに損傷のすぐ近くにおける赤血球の凝集を(H&E染色組織切片を介して)示している。
【0165】
頚動脈損傷モデルについてのランク付けを、表5に要約する。このモデルにおいて、最適化キトサンパッチは、試行3、5、および6において非常に良好な性能であった。第一試行1および2よりも優れた性能の改良は、この創傷包帯のすぐ上部の表面への支持裏打ち(3M9781フォーム包帯)の適用によるものであった。この裏打ちによって、創傷包帯全体へより均一な圧力を加えることが可能になり、この包帯を適用している人が、指を粘着させずに、パッチ表面から容易に指を取り除くこと、および創傷からのパッチの剥離を生じさせることができた。頚動脈モデルを用いて、脾臓損傷モデルにおいて可能であるよりも重大な動脈出血状態を調査した。ゲルフォーム(商標)+トロンビンを、可能な正の対照として調査したが、非常に出血している部位において溶解することが分かった。
【0166】
表6は、大動脈損傷モデルの結果を要約している。ガーゼ包帯(4”×4”)を、対照包帯として用いた。この対照は、すべての試行期間において重大な出血を止めることができないが、一方で、最適化キトサン大動脈パッチは、パッチのわずか1回または2回の適用後、この創傷において観察された非常に高いレベルの出血を迅速に停止し、その後凝血させることができることが分かった。正確な有意性(両側 p=0.002)は、サンプルと対照のランク付け間に差異がない確率について決定された。平均して、パッチ適用後の失血は、この創傷が最初の試行の時に止血されるならば最少であった(<50mL)。2回目の試行が必要とされるならば、パッチ適用後の失血は、100mL超であるが、300mL未満であった。平均して、キトサン創傷包帯の場合、パッチ適用後、150mL未満の血液が失われ、一方で、3つのガーゼ対照調査の場合、各動物について1リットル超の血液が失われた。キトサン創傷包帯調査の場合、生存率は100%であったが、一方で、ガーゼ調査の場合、これらの動物のどれも(0%)生存しなかった。キトサンパッチは、30分の試行期間にわたって、および動物が犠牲にされるまで(これは一般に1〜2時間後であった)、連続した止血有効性を示した。図7は、重大な胸創傷をシールする典型的なキトサンパッチを示している。図7においてパッチによってシールされた切除大動脈の内腔側(損傷を示している)が、図8に示されている。図9は、図7および8の損傷を通して撮られた染色組織切片の顕微鏡写真を示している。損傷部位における強い凝血の証拠は、動物を犠牲にした時の大動脈の除去および検査の時(図9)、および生きている動物におけるパッチの除去後(30分超の適用後)にその後の再出血がなかった試行番号16の場合に見られた。
【0167】
【表2】
緻密型=緻密創傷包帯(約0.12g/cm3)
PBS処理=リン酸緩衝生理食塩水中に浸漬することによって中和された創傷包帯
LD型=低密度創傷包帯(約0.03/cm3)
FF型=高速凍結創傷包帯
フィルム型=溶媒キャストフィルム(500ミクロン)。
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【0170】
【表5】
緻密型=緻密スポンジ創傷包帯(約0.12g/cm3)。
【0171】
【表6−1】
【0172】
【表6−2】
【0173】
【表6−3】
緻密型=緻密スポンジ創傷包帯(約0.12g/cm3)。
【0174】
(実施例3:ブタの肝臓モデルにおける肝臓出血の制御)
米軍科学技術目標A、出血制御(US Army Science and Technology Objective(STO)A,Hemorrhage Control)は、戦場での出血制御のニーズを前進させるために、2000年に設立された。STOの一般的な戦略目標は、戦場の犠牲者の出血による死者数を減少させる製品および方法の開発として要約することができる。出血制御製品および方法の必要条件は、次のように記載された:
これらは、次の者の一人またはそれ以上による使用のために実行可能なものでなければならない。すなわち、自分自身(負傷した戦闘員)、戦友(負傷した兵士を助ける仲間の非医療兵)、戦闘救助員、衛生兵、医師助手、および大隊軍医である。これらは、荒涼とした土地、限られた視野、および極限環境を包含する遠い前線の戦場条件における使用のために実行可能なものでなければならない。製品および方法は、外部電源を必要とするものであってはならない。すべての器具は、携帯型であり、かつ耐久性のあるものでなければならない。遠い前線で使用可能な製品および方法はまた、より高い看護レベルでも用いられると予想される。STOの特異的戦略目標は、遠い前線の戦場条件下、圧縮性の出血へ使用するための新しいまたは改良された止血剤の開発である。圧縮性および非圧縮性部位への使用のための単一製品が望まれる。
【0175】
STOの一部として、ブタの肝臓モデルにおける肝臓出血制御の調査が、本発明の出血制御包帯を用いて、テキサス州サン・アントニオ、フォート・サム・ヒューストンの米軍外科研究所(US−Army Institute of Surgical Research)(ISR)で実施された。この調査は、失血に対するキトサン出血制御包帯の効果、およびブタにおける重大な静脈出血および肝臓損傷の標準化モデルの生存率を決定するために実施された。このモデルは、米軍ISRにおける多くのほかの止血包帯を調査するために用いられてきた。
【0176】
交雑育種された商用ブタを、この調査に用いた。動物は、実験室動物取扱いの評価および認定国際協会(Association for the Assessment and Accreditaion of Laboratory Animal Care,International)によって認定された施設において管理された。この調査は、テキサス州フォート・サム・ヒューストンの米軍外科研究所の施設による動物実験委員会によって承認された。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(National Institutes of Health publication 86−23、revised 1996)にしたがって人間の世話を受けた。
【0177】
動物は、キトサン包帯またはガーゼスポンジのどちらかを受けるように無作為に割り当てられた(表7参照)。外科的準備は、次のものからなっていた:動物を、外科処置の36〜48時間前、断食させ、水は無制限に許した。グリコピロレート、およびチレタミンHClとゾラゼパムHClとの組合わせ(テラゾール(登録商標)、Fort Dodge Laboratories,Fort Dodge,IA)での前投薬後に、5%イソフルランを用いたマスクによって麻酔を導入した。ブタに挿管し、ベンチレータを装着し、イソフルランを用いて維持した。頚動脈および頚静脈カテーテルを、外科的に配置した。開腹術を実施し、脾臓摘出術および膀胱カテーテル設置を完了した。さらなる実験処置に先立って、37.0℃〜39.0℃の直腸温度、および15分の安定平均動脈圧(MAP)が必要とされた。血圧および心拍数は、連続データ収集システム(Micro−Med(登録商標),Louisville, KY)を用いて、調査期間全体を通して10秒間隔で記録した。各動物が、正常な血小板数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、および血漿フィブリノゲン濃度を示すことを確認するために、ベースライン動脈血サンプルを収集した。
【0178】
肝臓損傷を誘発した。この方法は、次のものを含んでいた。適切な暴露を可能にするために、左右の中葉を手で持ち上げることによって、肝臓を引っ込めた。次に、「X」形状に構成された2つの4.5cmの鋭い歯を有する特別設計のクランプを、肝臓の隔膜表面上で、その中心を左右の中葉の交差点の約2〜3cm背後になるように配置した。この器具のベースプレートを、内蔵表面の方形葉の下に配置した。損傷は、この器具の歯がこの器具のベースプレート中の対応溝の中に収容されるように、柔組織、およびこれら2つの中葉の下にある血管を通してこれらの歯をクランプすることによって誘発した。肝臓の最初の貫通後、この器具を開いて、これらの歯を引き出し、第二適用が第一適用と50パーセントだけ重なるように、動物の左側に再配置した。この再配置に続いて、肝臓を二度目に貫通した。肝臓損傷の書類作成は、実験期間の終わりに肝臓の切除および検査によって完成した。損傷は、中心に組織の小さい島のある大きい星状創傷として現れ、約10×8×4cmであった。損傷は、何度も何度も突き刺されて、左の中葉静脈、右の中葉静脈、および門脈肝臓静脈が裂傷を受けた。
【0179】
損傷の30秒後、すべての動物において、温かい(38℃)乳酸塩化リンゲル液を用いて蘇生が開始された。再生の目標は、ベースラインMAPに戻すことであった。流体は260mL/分で投与された。この蘇生方式は、目標に達するまで続行され、60分の調査時間の間、MAPが減少した場合再開された。蘇生の開始と同時に(損傷後30秒)、処理は次のように適用された:1枚の包帯を、貫通損傷を覆うように方形葉の表面に適用し、2つのほかの包帯を、横隔膜方向から損傷の中に詰め込んだ。背−腹方向に60秒間圧迫を加えた。60秒後、止血が得られたかどうかを決定するために、損傷を調べた。次に、適用者の手を再配置し、側面−内側方向に圧力を60秒間加え、止血についての観察を行なった。この手順を、全部で4回の60秒間の圧迫の間繰り返した。いずれかの圧迫後に止血が完了したら、それ以上の圧迫は実施しなかった。止血は、損傷部位から視覚的に検知しうる出血の不存在として定義された。
【0180】
処理適用の完了後、腹部を閉じ、動物を、損傷後60分間、または死ぬまで、どちらが先になったにせよ、監視した。60分前の死は、心拍数0として規定された。60分の時点で、生存している動物は、ペントバルビタールの過剰投与によって安楽死させた。
【0181】
損傷の誘発直後、処理適用の開始まで、血液を腹腔から連続的に吸引した。容量を決定し、処理前失血として表わした。調査期間の終了時、各々の腹部を開き、液体、および凝血した腹腔内血液を吸引し、測定した。これは、処理後失血として表わされた。さらには、総蘇生流体使用を記録した。損傷前の動物血液容量を、以前に記録されているように評価した(Pusateri et al.,Mil.Med.166,217−222,(2001))。
【0182】
体重、推定血液容量、裂傷を受けた血管数、ベースラインMAP、生存時間、損傷前MAP、処理前失血、および包帯接着評点が、SASのGLM手順を用いた分散分析によって分析された。データは、最小2乗平均±最小2乗平均の標準誤差として報告されている。データは、変数および非正常の異質性について調べられた。これらの条件は、処理後失血および流体使用データについて検出された。したがって失血および流体使用データは、分析前にlog変換された。これらの変換されたデータは、分散分析によって分析された。これらのデータは、逆変換された平均および95%信頼区間(95%CI)として表示される。メスおよびオスの分布、止血、および生存データは、SASのFREQ手順を用いて、フィッシャーの精密検定によって分析された。データは、比例およびパーセンテージとして報告される。すべての比較のために、両側検定が用いられた。
【0183】
動物の体重、推定血液容量、動物の性の分布、ベースラインMAP、損傷前MAP、肝臓損傷の中で裂傷を受けた主要血管の数、または処理前失血において、処理グループ間に差はなかった(表8および9参照)。
【0184】
処理後失血は、ガーゼ創傷包帯対照と比較して、キトサングループにおいて減少されていた(p=0.01)。流体使用における有意差は観察されなかった。生存率は、キトサングループにおいて増加していた(p=0.04)。止血は、損傷後3分および4分の時点で、キトサングループにおいて、より頻繁に発生した(p=0.03)。生存時間は、キトサングループにおける高い生存レベルのために、統計的に比較することができなかった(表10参照)。
【0185】
【表7】
【0186】
【表8】
【0187】
【表9】
【0188】
【表10】
この米軍ISR調査(Pusateri et al.J.Trauma,54,177−182,(2003))は、独立した調査において、標準的4”×4”ガーゼよりも優れたキトサン創傷包帯の有意に改良された性能を証明している。米軍ISRは、本発明の特許請求の範囲の包帯の場合、および赤十字社によって開発されつつある乾燥フィブリントロンビン創傷包帯の場合、重大な血流の止血における4”×4”ガーゼよりも有意に改良された性能を証明するにすぎなかった。赤十字社の包帯は値段が高く、また繊細で壊れやすい。
【0189】
(実施例4:包帯の照射)
3M9781多孔質フォーム裏打ちを有する高分子量4”×4”キトサン出血制御包帯を、アイスランドのエビ源(ジェニスロット#SO1115−1)から調製した。これらは、キトサン包帯の大きい滅菌ロット(ロット#OMLC 2SM114)を調製するために、商用凍結乾燥会社を利用して、2%酢酸および2%キトサン溶液を用いて調製した。これらの包帯を、窒素下、15kGyで照射した。これらをその後、一軸引っ張り強さ、破裂強さ、血液吸着、水吸着、ならびに滅菌性についてテストした。腹部および胸部損傷において、ブタ大動脈穿孔を、非γ線照射サンプルに対して実施した。7つのパッチを用いた。平均して、パッチ適用後の失血は、<50mLであった。すべてのパッチは、最初の適用の時に、接着性であり、創傷シール性であり、止血性であった(7×0ランク)。すべての動物が生き残った。
【0190】
γ線照射および非照射包帯の両方(ロット#OMLC 2SM114)を、オレゴン州ポートランドのオレゴン・メディカル・レーザー・センターで開発された試験管内破裂圧力テストを用いてテストした。破裂テストを実施するために、包帯の25mm直径円形テスト片を、クエン酸塩化全血中に10秒間浸漬する。ついでテスト片を、その上の真ん中に置き、3分間50mm直径PVCパイプの側の4mm直径穿孔上に、指の圧力を用いてしっかりと保持する。この最初の付着後、パイプの中の流体圧力を、4.5±0.5kPa.s−1で勾配を付け、圧力および時間を、0.1秒間隔で記録する。破裂圧力は、破損前に記録された最大圧力として記録する。接着性破損ランクは、テスト部位への包帯の相対的接着性を評価するために与える。このランク付けシステムは、3つの異なる破損モードに分けられる。ランク1は、キトサンが接着されたままになっていない、PVC表面から容易に分離されるテスト片に与えられる。ランク2は、テスト片がそれほど容易に剥離されず、キトサンのいくらかが、テスト部位に付着されたままである時に与えられる。ランク3は、テスト片が、PVC表面へしっかりと固定されたままのベース構造からのバルク創傷包帯の凝集性分離によって除去されうるだけである時に与えられる。
【0191】
湿潤媒質として血液を用いて、PVC基質に対するγ線照射および非照射キトサン包帯の平均破裂圧力(平均±SD、n=6)は、それぞれ122±1.9kPaおよび86±20kPaであった。これらの結果を、Tテストを用いて統計的に分析した(p=0.007)。湿潤媒質として血液を用いて、PVC基質に対するγ線照射および非照射キトサンα包帯の平均接着破損ランク(平均±SD、n=6)は、どちらも3±0であった。図10は、凝集性破損がキトサン構造中に発生した場合の、高ランク破損の画像を示している。
【0192】
これらの包帯(ロット#OMLC 2SM114)の血液および水吸着特性は、血液または水中に3.0秒間小さいテスト片(約0.02g)を浸漬することによって決定した。浸漬の前後の質量差を記録した。創傷包帯1グラムあたり3秒後に吸着された媒質の平均質量は、湿潤媒質として血液または水を用いて、γ線照射および非照射キトサンサンプル(n=4)について決定した(図11参照)。これらの結果は、テューキーのHSDテストでの一元ANOVAを用いて統計的に分析した。p=0.001。γ線照射は、非照射材料の場合、水の過剰吸着を有意に減少させた。このような過剰な水吸着は、その後の接着性および構造破損をともなう創傷包帯圧潰(ゲルになる)を引起こすであろう。
【0193】
キトサン包帯(ロット#OMLC 2SM114)の引っ張りテスト片は、5kgロードセルを備えた一軸Chatillon Materials Testing VitrodyneV1000を用いて評価した。サンプルを、犬の骨形片(15±1mm×6.5±0.5mm×5±0.5mmゲージ×厚さ×幅)にカットし、2つのクランプ間に保持した。クロスヘッド速度は10mm.s−1であった。荷重および置換は、0.1秒間隔で記録した。
【0194】
包帯全体の引っ張り結果を、表11に示す。応力および歪の両方に関して、γ線照射と非照射サンプルとの間に有意差はなかった。15kGyでの照射では、ヤング率に少し増加があった。
【0195】
【表11】
*2.5cm幅の包帯について計算された。
【0196】
52個の4”×4”キトサン創傷包帯(ロット#OMLC 2SM114)を、清潔に調製した。これらの4”×4” 創傷包帯のうち、46個を二重パック包装材料中にパックし、14〜15kGyの認定された線量でのγ放射線での照射のために、カリフォルニア州オンタリオのIsoMedix施設へ送った。これらのサンプルとともに、創傷包帯2SM114#1からカットされた、8Staphylococus aureus(ATCC29213)がドープされたキトサン創傷包帯バー(1”×0.21” ×0.21”)の1セットを箱詰めした。各々のバーに、0.5MacFarlane接種材料100マイクロリットルを接種した。Staphylococus aureusを、明らかに活性な対照培養物から拭き取った。Staphylococusを含まない4本のバーの対照セットも含めた。γ線処理のない対照サンプルを、室温および暗室で、ヒートシールされた包装材料中の小さい滅菌容器に保持した(対照の要約については表12参照)。
【0197】
【表12】
46個の照射された創傷包帯パッケージを、滅菌条件下、滅菌操作で開き、エチレンオキシド滅菌接着剤コーティングされたフォーム裏打ち(3M9781テープ)を付着させ、各創傷包帯および裏打ちの切り取られた小片(約1.2”×0.2×0.12”)を、個々の創傷包帯滅菌テストのために取り出し、これらの創傷包帯を、ヒートシールによってもとの内部パックの中に再パックした。これらの創傷包帯のうちの40個を、ロット番号および創傷包帯番号で標識し、評価のために発送した。切り取られた対照片を、滅菌テストのためにSt VincentのPHSの微生物施設へ送った。
【0198】
切り取られた対照片を、濃縮チオグリコレート成長培地を含有する標識サンプル容器(0.6”直径×5”)に無菌で入れ、35℃で好気的にインキュベートした。培養培地を、成長の兆候について7日、14日、および21日目に調べた。これらのサンプルを、5%ヒツジ血で、トリプティックソイ寒天培地(TSA)中に継代培養し、35℃でインキュベートし、48時間後に成長について調べた。
【0199】
個々の培養物を、濁度テストおよび継代培養スワビングによって分析した。7日、14日、および21日目におけるすべての培養物およびすべての継代培養物中の成長の不存在が証明された。非照射であり、かつStaphylococcus aureusが投与された培養物でさえそうであった。特定の培養物のグラム陽性染色が、これらの発見事項を確認した。
【0200】
(実施例5:スポンジの調製)
表13は、テストのために得られた親水性ポリマーを列挙している。追加の親水性ポリマーには、ポリリシン、コンドロイタンスルフェート、デンプン、およびヒアルロナンが含まれる。限外濾過(アメテック)水および親水性粉末の水溶液(2.00%および8.00%w/w)を、清潔な1リットルビン(ナルジーン)中で調製した。不織布キトサンマット(PolyMed,Inc.)を、室温で48時間にわたって無水酢酸(オルドリッチ99%)への暴露によって、キチン不織布マットに転換した。残留無水酢酸を、限外濾過水の多重洗浄を用いて、このマットから洗浄した。室温で6時間、NaOH(0.5M)へのアセチル化マットの暴露によって、炭素−2位におけるアセチルアミドの加水分解をまったくともなわずに、3および5グルコピラノース炭素のところでアセチルエステルを加水分解した(FTIR分析によって検証された)。捩れた(1/cm)超微細(直径4ミクロン)マルチフィラメント(>50)ポリエステル糸(20N荷重下200ミクロン)が得られた(Multicraft Plastics,Portland,OR)。
【0201】
【表13】
氷酢酸(オルドリッチ99.99%)を、それぞれ2%および4%w/wの水で2%および8%キトサン水溶液へ添加した。親水性ポリマー溶液の溶解は、回転床攪拌機で、24時間までの間、室温でのこれらのビンの遅い軸回転によって得られた。2%溶液はすべて容易に溶液になり、最高粘度は、25℃でのLVTブルックフィールド粘度計および2000cps未満でのナンバー2およびナンバー3スピンドルによって測定された。キトサン、アルギン酸、およびアクリル酸の8%溶液は、ブルックフィールド粘度計による測定には高すぎる粘度を有した。これらの例における非常に高い粘度の流体溶液は、これらの溶液が注がれるのを妨げた。その代わりこれらの溶液は、それらのプラスチックボトルから絞られ、引っ張られ、すくい上げられて金型に装填された。これらの後者の非常に高い粘度の流体は、製造環境において容易に加工処理することはできないであろう。
【0202】
スポンジは、水溶液を、アルミニウム金型中のテフロン(登録商標)コーティングされた10.8cm×10.8cm×2.0cmウエルの中に、2%水溶液の場合は1.7cmの深さまで、または8%溶液の場合は0.45〜0.70cmの深さまで、注ぎ込むこと/入れることによって形成された。当初は室温にある溶液を、実験室(0.65m2)のVirtisまたは(3.72m2または16.63m2)Hull凍結乾燥機において、−25℃〜−45℃の温度で3時間、冷却たな上へのアルミニウム金型の配置によってプラークに凍結した。親水性ポリマースポンジを生成するためのこれらのプラークからの水の昇華は、たな温度を48〜60時間にわたって−45℃から18℃へゆっくりと傾斜させて、−80℃で200mトル未満の圧力の凝縮器での凍結乾燥によって達成された。
【0203】
2%キトサン溶液のサンプルの場合、凍結の間の2%キトサン溶液中の望まれないクラスト(上部表面の氷の核生成)の形成を止めるために、4つの戦略をテストした。1つの方法は、薄いポリマーフィルムを、金型の上部表面を覆って配置し、凍結用の冷たいたなへの配置の前に、ポリマー溶液の表面との均質湿潤接触に置くことであった。溶液が凍結されたプラークになった後(約1〜2時間)、薄い保護ポリマーフィルムを除去する。ポリ塩化ビニリデンフィルム(例えばサラン(商標)ラップ)が特に有用であるが、その理由は、そのガラス転移温度が−45℃以下であるからである。この薄膜は、フリーザー/凍結乾燥機内の冷たい表面上に形成された樹木状の氷が、超冷却された親水性ポリマー溶液表面上に沈積し、凍結された表面クラストに核生成するのを停止するような作用を行なう。このクラスト層を防止するための第二方法は、金型のすぐ上に配置された、(250mm×6mm×5mmスペーサーバーを用いて)盛り上がった薄い(例えば3mm)アクリルプレートの使用であった。これは、薄膜方法よりも優れた利点を有していたが、その理由は、接触している薄い保護ポリマーフィルムを除去するために、凍結/凍結乾燥機サイクルを中断する必要がなかったからである。実施例7に詳細に記載された第三方法では、注ぎ込まれた成型溶液の上部表面上に永久浸透性キチン不織布マット裏打ち貼り付けを用いた。実施例11に詳細に記載された第四方法は、凍結の間の溶液の封じ込めとして親水性溶液で満たされた、ヒートシールされてホイルで裏張りされたパウチの使用であった。
【0204】
凍結乾燥が完了した時(>48時間)、スポンジを乾燥機から取り出し、重さを測り、ヒートシールされてホイルで裏張りされたパウチに保存した。これらのスポンジは、1.7cmの深さまで注がれた溶液の場合、10cm×10cm×1.7cmであり、0.45〜0.7cmの深さまで注がれたスポンジの場合、10cm×10cm×0.43cmであった。Arizona Instruments Vapor Pro湿分分析器を用いた湿分分析は、スポンジ質量の1〜4%の残留湿分%を示した。キトサンスポンジ中の残留酢酸は、MettlerDL53自動滴定装置、およびスポンジ質量の27〜22%における0.010M NaOHを用いて決定された。2%および8%溶液キトサンスポンジについての平均スポンジ密度は、それぞれ0.031±002g/cm3および0.103±0.014g/cm3であった。ほかの親水性スポンジについての平均スポンジ密度は、2%スポンジの場合0.0248±0.0036g/cm3、および8%スポンジの場合0.0727±0.0023g/cm3であった。キトサンスポンジとほかの親水性スポンジとの間の平均29%密度差は、キトサンスポンジ中の酢酸、および非キトサンスポンジの重さを測る時に考慮されなかった揮発性成分の小さいフラクションによって優勢的に引起こされる。
【0205】
すべての異なる親水性テストポリマーからの2%スポンジは、すべて良好に形成され、たわみ性があり、同様な外見および構造を有していた。すべてが、幅および長さにおいて8%近くまで収縮した。アルギネートおよびキトサンスポンジは、非常に良好な凝集特性を有し、操作にともなう裂けおよび亀裂に抵抗した。デキストラン、カルボキシメチルセルロース、およびポリアクリル酸スポンジは、凝集性が低く、操作にともなって容易に亀裂し、裂けた。−30℃近くで凍結した2%スポンジの典型的な外見は、図12に示されている。縁部は滑らかな外見であり、規則的なモザイク構造パターンで装飾されていた。このスポンジの上側は、その中心部がわずかにドーム状であった。唯一の明らかな特徴は、規則的な0.5mm直径×0.5mm深さの表面のポック形成(pocking)であった。ベース表面(すなわち、テフロン(登録商標)金型ベースと接触している表面)は、粒界によって分離された表面テキスチャー、および明白な「大きな単一結晶」領域を示した。片面の安全かみそり刃を用いてカットされた横断面図(図13)は、内部構造を示している。ベース表面における粒界は、様々な方向に延伸された細かいラメラの領域の境界を定め、かつ金型表面において異なる異質核生成事象に由来する可能性のある境界として見ることができる。スポンジの内部構造は、スポンジの中まで伸びて、スポンジの厚さの60%近くを包含する細かいラメラのベース層(各々2〜5ミクロンの厚さ)によって説明することができる。ベースラメラのすぐ上に、ベースの細かい層を上部のコース層から分離する薄い界面(<10ミクロン)がある。このコース層は、上部溶液温度が0℃以下に下がる時に上部表面溶液と接触する異物の樹木状氷に由来する。この層のラメラは、10ミクロン超の厚さであり、一般に上部表面に垂直に延伸されている。このコース垂直ラメラは、スポンジの平面に対して垂直な圧縮に抵抗する。樹木状氷で核生成から上部表面を保護することによって形成されたキトサンスポンジは、上部のクラスト構造を有していなかった。これらのスポンジは、亀裂への抵抗性の点で改良された機械的性能、および上部表面保護をともなわずに形成されたスポンジと比較して改良されたたわみ性(柔軟性)を有していた。
【0206】
2%スポンジのすべての表面は、血液または水を容易に吸着した。すべての非圧縮スポンジは、短時間(すなわち5秒またはそれ以上)、過剰水または血液と接触させられた場合、ゲルとして非常に圧潰しやすかった。
【0207】
8%スポンジは、2%スポンジよりもかなり剛性であった。細かい構造は、スポンジベース中に容易に観察することができなかった。これらは、閉鎖されて平滑であるように見えた。これらのスポンジは、圧縮された2%スポンジと同じ程度に容易には血液および水を吸着しなかった。これらのスポンジの横断面をカットした時、内部構造が2%スポンジ中の構造のようでないことが観察された。コース上部垂直構造は、2%スポンジと同じ相対深さの近く(すなわち30〜40%)に存在し、ベース層は、垂線から30°近く延伸され、かつ細かい粒界によって境界が定められたラメラの非常にコンパクトな帯域から構成されていた。
【0208】
2%溶液からのスポンジは典型的には、テフロン(登録商標)コーティングされた平行プレートプラテンを80℃に加熱し、1200mm/分〜5mm/分の一定率で、これらのプラテンをともに一定のスペーサー距離(典型的には0.55cm)にすることによってプレスされた。0.45cmにプレスされた1.70cm厚さのスポンジのスポンジ密度は、約0.10g/cm3であった。80℃未満および/または20mm/分超の圧縮率でプレスされたスポンジは、粒界のところでの亀裂および脆性破損によって、機械的破損を受けやすかった。これは、60mm/分超でプレスされた2%、1.7cm厚さのキトサンスポンジの場合に見られた。864個のスポンジのうち、260個超のスポンジが、脆性圧潰および破損のために廃棄された。圧縮率を20mm/分に調節した時、864個のスポンジからわずか43個の廃棄しかなかった。圧縮率を10mm/分に調節した時、9個未満の廃棄しかなかった。
【0209】
遅い速度(<12mm/分)でプレスした時のスポンジ構造の変化を、図13に示す。垂直線に対して20°〜40°に延伸された細かいベースラメラは、均一ベース層へ容易に緻密化(75%圧縮)されるが、一方で、垂直なコース上部層は、一部しか緻密化されない(約55%圧縮)ことが分かる。遅い圧縮率において、粒界領域は、依然として均質接触にとどまる。より高い圧縮率において(>20mm/分)、粒界領域は、さらに分離しやすい。
【0210】
(親水性スポンジに対する観察)圧縮スポンジは、水および血液によってそれほど容易には湿潤されず、これらは両方の媒質中溶解に対して、より抵抗性があった。圧縮された2%スポンジは、血液によって十分に湿潤されたが、溶解しなかった。湿潤された圧縮スポンジの接着強さは、PAA>キトサン>CMC>アルギン酸として評価された。
【0211】
有効なスポンジの非常に重要な決定因は、ラメラの表面に対して正規直交のミクロンサイズの小円鋸歯(図14)の存在である。これらの小円鋸歯は、小さい「歯」としてラメラ表面から3〜10ミクロン突出する。理想的には、これらはラメラの少なくとも1つの表面上に規則的に分配されるべきである。これらの構造は、ラメラが垂直線に対して30°超のラメラ成長の延伸において形成しつつある時、制御条件下に最も一般的である。同様にこれらは、−25℃での当初の30〜60分の凍結時間後、この凍結プラークを−45℃未満に急速に冷却する能力によって制御されているように見える。プレス後、テストキトサンスポンジを、80℃で30分間、一定温度の対流式オブンでベーキングし、残留応力をアニールし、遊離酢酸残渣を除去した。
【0212】
(実施例6:2%キトサンスポンジの調製)
A.2%キトサンスポンジの2つのサンプル(N=3):1つのサンプルを、20mm/分で1.7cmから0.55cmへプレスし、一方、他方はプレスしなかった。両方のサンプルを80℃で30分間ベーキングした。正方形のテスト片(5cm×5cm)を、各スポンジからカットした。テスト片を、室温において血液中へ10秒間沈めて、クエン酸塩化ブタ全血で湿潤した。これを、3分間指の圧力(200〜300mmHg)によって、12mm厚さの透明なPVCの10cm×10cm表面(400グリット湿潤および乾燥紙を用いて粗面化したもの)中の4mm直径の穿孔を覆って中心に付着させた。この穿孔の下の貯蔵部における室温でのブタ全血に、圧力の傾斜を付けた(ほぼ50mmHg/s)。破損時の最大圧力を測定するために、圧力トランスデューサーを貯蔵部に付着させた。
【0213】
プレスされたスポンジテスト片(N=3)は、圧力を500mmHg超に保持した。これらのスポンジにおける破損は、PVCへの接着性結合の喪失によるものであった。プレスされていないスポンジテスト片(N=3)は、500mmHg未満で破損し、破損はスポンジの圧潰および血液中の溶解によるものであった。
【0214】
B.2%溶液キトサンスポンジ(N=5)を、10mm/分で1.7cmから0.55cmへプレスし、80℃で30分間ベーキングし、フォームPVCテープで裏打ちし、γ線照射(15kGy)で滅菌した。テスト片(5cm×5cm)を、室温で10秒間ブタの全血中に沈めた。ついでこのテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径穿孔を覆って中心に付着させ、荷重圧力(ほぼ600mmHg)で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血に、3分間(ほぼ50mmHg/sの)圧力から300mmHgへ傾斜を付け、ついで再び、付着されたテスト片が破損するまで、同じ率で傾斜を付けた。テスト片の破損は、血圧が1800mmHg超である時に発生した。破損は、凝集性破壊、上部クラスト層の溶解、またはPVCへの結合の接着性喪失のいずれかによるものであった。
【0215】
C.8%溶液から調製されたキトサンスポンジテスト片(4cm×4cm×0.5cm)は、4mm直径急性ブタ大動脈穿孔における出血の停止において効果的であることが分かった(平均動脈血圧70mmHg;30分超の包帯テスト片止血)。しかしながら8%キトサン溶液からのスポンジは柔軟性がなく、創傷へ容易に適合させることができなかった。他方、2%溶液キトサン溶液から形成されたが、1.7cmから0.45cmへプレスされた同じ密度のスポンジは、この大動脈穿孔損傷における出血の停止において効果的であるのみならず、容易にたわみ性になり、出血創傷に対して配置された時、経時的によりたわみ性のあるものになる。
【0216】
D.クラストを含まないスポンジから形成された、ゆっくりと圧縮された(1.70cmから0.45mm)当初2%溶液キトサン包帯からの1インチ直径テスト片(N=12)を、12匹の麻酔されたブタの穿孔(4mm直径)大動脈へ付着させた(当初自由に流れていた出血への3分間の指の圧力、70mmHgにおける平均動脈圧力)。すべてのテスト片は、最初の適用の時に出血を止め、少なくとも30分間にわたって止血性であった。これと比較して、クラスト層を有する包帯から形成されたキトサン包帯(N>100)は、同じ時間にわたって出血を止めるためには、平均で0.5〜1.5の再加圧を要した。
【0217】
E.硬くプレスされた(>50mm/分)2%キトサンスポンジの卵形(3.8cm×3.2cm)テスト片を、室温で10秒間ブタ全血中に沈めた。ついでこれらのテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径穿孔を覆って中心に付着させ、500mmHgの指の圧力で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血を、3分間300mmHg/sへ加圧し(ほぼ50mmHg/sで)、ついで再び、テスト片が破損するまで傾斜を付けた(約50mmHg/sで)。破損は、得られた最大圧力、テスト取り付け具への最終接着、および破損後のバルクスポンジ凝集の点からランク付けされた。この結果を、ゆっくりとプレスされた(圧縮率<15mm/分)2%キトサンスポンジの20個のテスト片の同様なテスト結果と比較した。最終破裂および接着ランキングは同様であった;しかしながら硬くプレスされたスポンジの60%は、大きいクラスト溶解およびゲル化によって、可能なかぎりで最も低い凝集ランクを有するが、一方で、ゆっくりとプレスされた包帯の20個すべてが、最高の凝集ランクを有した。
【0218】
F.2%キトサンスポンジを2セット調製した。1セットは、実質的なラメラ表面小円鋸歯を有し、もう1セットは、ラメラ表面に小円鋸歯を有していなかった。どちらのセットのスポンジも、0.10g/cm3の密度近くまで遅いプレス率でプレスした。スポンジを、80℃で30分間ベーキングし、PVCフォームフィルムで裏打ちした。ブタ大動脈穿孔実験において、小円鋸歯状ラメラを有するスポンジのセットは、すべての場合に(N=12)重大な動脈出血の止血において効果的であった。小円鋸歯状ラメラを有していないスポンジ(N=6)において、テスト片は出血の停止において効果的でなかった。
【0219】
(実施例7:キチンメッシュ強化を有するキトサンスポンジの調製)
水中に浸漬されたキチン不織布メッシュを、不織布キチンマット中の水の量を減少させるために、吸収性拭取り紙(キムワイプ(商標))に対して配置した。マットを、10cm×10cm正方形にカットした。ついでこれを、10.8cm×10.cm×2cm深さのアルミニウム金型ウエル中に注ぎ込まれた2%キトサン溶液の表面上に置いた。マットはキトサン表面において縣濁されたままであり、表面的にマット中にキトサンのいくらかの吸着があることが観察された。キトサン溶液およびマットを、実験室(Virtis)凍結乾燥機の中に入れた。溶液は凍結され、水が昇華して、織布マットがその表面においてしっかりと付着されたスポンジが現われた。キチンマットを有するスポンジは、キチンマットを有していないスポンジと同じ速度で乾燥した。キチンの裏打ちされたスポンジの切片を横断区分化すると、1.5mm近くの深さまで、このマット中へのキトサンの部分的浸潤を明らかにした。しかしながらこの切片はまた、マット表面の上部1mmが、キトサンを含まないことも明らかにした。キチンマット複合材料表面を有するスポンジを、80±2℃で加熱された平行プレートプラテン間で20mm/分で、1.8cmから0.45cmの厚さへプレスした。プレス後、スポンジを通した横断区分化は、キチンマットとキトサンスポンジとの間の界面が、プレスによって損傷を受けず、マットとスポンジとの両方が、互いにしっかりと固定されていることを証明した。同様に、キチンマットの存在は、スポンジのたわみ性、および溶解へのスポンジの抵抗性に影響を与えることがあるスポンジクラスト(上部表面から下へのコース氷核生成)の形成を停止していた。このスポンジを、急性ブタ4mm直径大動脈穿孔モデルにおいてテストした。この損傷における出血は、通常のキトサン包帯片によって停止されず、キチンマット裏打ちテスト片を、3分間指の圧力を保持することによって適用した。2.5cm直径のテスト片を適用した外科医は、このテスト片は特にたわみ性があり、キチン裏打ちへ指を粘着させることなく指を取り除くことができることに注目した。このテスト片は、このプロトコルの必要とされる30分のテスト時間よりも長く損傷部位をシールした。これは、損傷部位によく接着されたままであり、これが、この包帯とともに通常適用される保護的不浸透性裏打ちを有していないにもかかわらず、溶解の兆候を示さなかった。同様に、この包帯の曲げを通してパルスを観察することが可能であるので、この包帯は、損傷上でたわみ性があることも観察された。
【0220】
(実施例8:キトサン含浸糸)
2%キトサン溶液中に沈められた0.5mm直径のポリエステルマルチフィラメントを、直径約2mmに膨張させた。ついで室温でのキトサン浸漬糸を、この膨張された糸から溶液をまったく引き出すことなく、平らな疎水性テフロン(登録商標)コーティングされたアルミニウムトレー上に静かに載せた。ついでこのトレーを、−25℃でVirtis凍結乾燥機のたなに載せ、凍結させておいた。氷を凍結乾燥によってこの糸から除去し、0.033g/cm3でキトサンスポンジを含浸された2mm直径の膨張糸が残された。この膨張糸への10N近くの引っ張り力、およびテーパー付きニトリルゴム非粘着挟みダイを通しての、糸表面へ垂直な約500mmHgの圧力を加えて、糸直径を2mmから約0.7mmへ圧縮した。この糸は、良好なたわみ性を示し、ガーゼ様包帯としての製織のために調製された。この糸の一部分を、80℃で10分間ベーキングした。ついでこれを、10秒間血液中に沈め、きれいなテストPVC表面に対して3分間しっかりと保持した。これは良好な接着を示した。
【0221】
(実施例9:圧縮低密度スポンジと非プレス高密度スポンジとの間の比較曲げ)
ここに示された緻密化方法は、厚さ、幅、および/または半径の制御された減少によって、高度にたわみ性の低密度相互連結スポンジを、容積において減少させる。好ましくは、親水性ポリマーのたわみ性は、可塑剤、例えばグルタミン酸またはグリセロールで変性されない。その理由は、この変性が重大な出血下、これらのスポンジを、溶解およびスポンジ圧潰をより受けやすいものにするからである。この実施例は、低密度スポンジのより高い密度のスポンジへの圧縮は、化学的に同一なより高い密度のスポンジが、緻密化をともなわずに形成された場合よりも低い弾性率のスポンジを、結果として生じることを証明している。
【0222】
弾性率(E)を決定するために、水平線からの偏りは、単一のカンチレバービーム実験において決定した。長方形ビームを、プレスされた2%スポンジおよび非プレス8%スポンジからカットした。これらのビームは、9cm長さ、2.54cm幅であった。これらは、このビームの6.7cmのみが、平らな水平表面の縁部から延びるようにしっかりと固定された。20gまたは30gのおもりを、固定点から6.5cmのところで、ビームの先端に乗せた。水平性から垂直なビームの6.5cm点の偏りを、荷重の3秒後に測定した。弾性率(E)は、次の方程式から決定した:
E=P.L3/(3y.I)
(ここで、I=w.h3/12である)
P=荷重(N);L=自由ビーム長さ(m);y=水平線からのビームの偏り(m);w=ビーム幅(m);h=垂直平面におけるビーム高さ(m);I=慣性のモーメント(m4)。
【0223】
ビームの厚さは、デジタルキャリパーを用いて決定した。ビームの偏りの決定後、ビームを、2.54cm×2.54cm正方形にカットし、重さを測り、密度を決定した。テスト結果を表2に示す。8%サンプルはすべて、2%サンプルよりも曲げに対して、より抵抗性があることが分かる。圧縮2%スポンジについての平均弾性率(MPa)は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ6.43±3.3、1.75、3.5、および2.9±0.4である。8%スポンジについての平均弾性率(MPa)は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ10.6±3.3、12.4、4.54、および5.7±2.1である。プレスされた2%スポンジ対8%スポンジの平均弾性率の比は、キトサン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸について、それぞれ0.61、0.14、0.77、および0.51である。
【0224】
【表14】
PAA=ポリアクリル酸、CMC=カルボキシメチルセルロース、AA=アルギン酸
(実施例10)
プレスされた2%溶液複合ポリアクリル酸スポンジ(N=2)テスト片(5cm×5cm)を、室温で10秒間ブタ全血中に沈めた。ついでテスト片を、平らなPVC表面上の4mm直径の穿孔を覆って中央に付着させ、荷重圧力(750mmHg)で3分間保持した。この期間が終了した時、この穿孔の下の室温にあるブタ全血を、3分間(ほぼ50mmHg/sの)圧力から300mmHgへ傾斜を付け、ついで再び、付着されたテスト片が破損するまで同じ率で傾斜を付けた。テスト片の破損は、血圧が2300mmHg超である時に発生した。破損は、スポンジ凝集性破壊によるものであった。
【0225】
(実施例11)
凍結たなとの非常に良好な熱接触を得るため、凍結の間のコースクラスト形成を停止するため、および成長しつつある垂直ラメラに垂直なせん断の制御されたレベルを加えるための方法を記載する。ヒートシールされ、ホイルで裏打ちされたパウチ(15cm×23cm)に、2%キトサン溶液200gを満たした。すべての空気を、最終シールに先立ってパウチから除去した。これらのパウチを、少なくとも180分間凍結するために、−25℃で実験室Virtis凍結乾燥機の中の平行プレートたな間に入れた。このVirtis乾燥機は、「ストッパー」設備を有していた。これは、上部たながより低いたなの上に下げられ、したがってこのより低いたなにあるスペーサー間に配置された、キトサン充填のホイルパウチとしっかりと接触して、これに荷重を加えることを可能にした。これらのパウチには、上部たなが底部たなの上に下げられた時、上部たなが溶液充填パウチの上部表面にしっかりと載るようなレベルまで充填された。パウチへの圧力の程度は、一番上のたなの自由重量(free weight)によって、および2つのたな間にあるパウチの数によって制御することができるであろう。この実施例において、1.7cmスペーサーバーが用いられ、2つだけのパウチがたな間に置かれ、パウチへの荷重は10kg近かった。凍結乾燥前、ストッパーが付けられたたなを上昇させた。凍結されたプラークを、これらのパウチから取り出し、冷たい凍結乾燥機のたなに載せた。凍結した時のパウチ内部の膨張は、ヒートシールの部分的な内部の引き裂きによって適応させた。これらのプラークは、その後スポンジに凍結乾燥した。スポンジを通る横断区分化は、上部および底部表面から成長してスポンジの真ん中で出会う均一なラメラ構造を示した。上部構造は、底部構造の鏡像であった。ラメラは、スポンジの中心から縁部へ離れる方向へ、垂直線に対して20°〜30°ですべて均一に延伸されていた。これらのスポンジは、粒界の不存在を示した。これらのスポンジを、1.7cm厚さから0.55cmにプレスした。これらは、引っ張り強さ、たわみ性、および強く曲げた時の裂けまたは破断に対する抵抗の点で、優れた機械的性質を有していた。これらのスポンジをベーキングし、PVCフォーム裏打ちで裏打ちし、15kGyでγ線照射した。
【0226】
単一の卵形テスト片を、急性ブタモデルにおける大動脈穿孔に適用した。これは、30分のテスト時間にわたって動脈出血の止血において効果的であった。外科医は、このサンプルが、非常に良好なたわみ性を有することに注目した。
【0227】
(実施例12)
単純なプラスのテキスチャーの表面を、10cm×10cm×1.7cmのキトサンスポンジ上に作り出した。これは、マイナスのパターン化された10cm×10cm×0.25cmアルミニウムカードを用いて得られた。このパターンは、平らなアルミニウム表面の上全体に400グリット湿潤および乾燥紙を流すことによって作製された。この表面を、非永久赤色染料でコーティングした。これの大部分は、乾燥布で拭取ることによって表面の上部から除去された。この表面に対して圧縮されたキトサンスポンジは、アルミニウムカード中の赤色染料によって明らかにされたもののように、プラスの表面パターン化を示した。
【0228】
上で考察されたすべての参考文献は、あらゆる目的のためにこれらの全体が参照して本明細書に組み込まれる。本発明は、これの好ましい実施形態を参照して特に示され、記載されてはいるが、形態および詳細における様々な変更が、添付クレームによって規定されているような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明においてなされうることが、当業者によって理解されるであろう。
【0229】
対応PCT出願、2002年6月14日に出願された国際出願番号第PCT/US02/18757号は、あらゆる目的のために、その全体が、本明細書に参照して組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】初期の非圧縮創傷包帯の横断面図のデジタル写真画像。
【図2】非圧縮創傷包帯における延伸されたラメラ構造の横断面図のデジタル写真画像。
【図3】ベースに対して垂直に切断された、相互連結多孔質キトサン創傷包帯構造の光顕微鏡写真。
【図4】加熱および圧縮後のキトサン生物材料創傷包帯の写真。
【図5】圧縮キトサン創傷包帯の典型的なベース表面の走査電子顕微鏡写真。より高倍率のものがはめ込まれている(横棒=100ミクロン)。
【図6】キトサン/脾臓損傷部位および隣接脾臓表面の染色された組織断面。パッチと脾臓との間のフィブリン/血小板リッチな血塊の混合物(B)での凝集した血塊の応答(A)。これらの図面は、脾臓とキトサンとの間の非常に良好な接着を示している。
【図7】キトサンパッチでシールされた胸大動脈損傷の写真。
【図8】穿孔損傷を示す、固定された胸大動脈。
【図9】胸大動脈損傷の染色された組織断面。
【図10】強力な接着性の包帯における試験管内破裂圧力破損の写真。
【図11】γ線照射および非照射(すなわち非滅菌)サンプルについての水および血液吸着結果のヒストグラム。
【図12】典型的なキトサンスポンジの外見の詳細な図面。
【図13】17mm〜5mm厚さに圧縮された、切断された典型的な2%溶液スポンジにおいて観察された、スポンジ内部構造に対する圧縮の効果。
【図14】表面小円鋸歯を示す単一ラメラの詳細な図面。
【図15】ラメラ表面の詳細な図面。
【図16】ラメラの上部表面へ突出している小円鋸歯構造の走査電子顕微鏡写真(SEM)画像。
【図17】マイクロピンセットを用いてキトサンスポンジのベース近くから除去された単一ラメラの側面照明での光顕微鏡画像。細かい小円鋸歯構造が、ラメラの上部表面に垂直に突出しているのを見ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有し、
前記親水性ポリマーが、ポリアクリル酸である圧縮スポンジ。
【請求項2】
さらに活性成分も含んでいる、請求項1に記載の圧縮スポンジ。
【請求項3】
前記活性成分が、カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである、請求項2に記載の圧縮スポンジ。
【請求項4】
出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスを、該スポンジの内部および/またはスポンジ表面に含み、該親水性ポリマーがポリアクリル酸である圧縮複合スポンジ。
【請求項5】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、不織布マット、織布マット、成型ポリマーメッシュ、および低密度スポンジからなる群から選択される、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項6】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項7】
前記親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項8】
前記テキスタイル糸が、親水性ポリマーを含浸され、前記親水性ポリマーがポリアクリル酸である、請求項7に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項9】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、不織布メッシュである、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項10】
細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項11】
細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項12】
細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項13】
細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項14】
細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項15】
1cm2につき約100cm2〜1cm2につき約1000cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項16】
1cm2につき約200cm2〜1cm2につき約800cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項17】
1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項18】
さらに裏打ち支持層も含んでいる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項19】
前記裏打ち支持層がポリマー材料の層である、請求項18に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項20】
前記ポリマー材料が、合成生物分解性材料または天然の生物分解性ポリマーである、請求項19に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項21】
前記合成生物分解性材料が、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、該ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項22】
前記天然の生物分解性ポリマーが、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項23】
合成非生物分解性材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項24】
約40kPa〜500kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項25】
約60kPa〜250kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項26】
約100kPa〜200kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項27】
創傷包帯−血液界面において、創傷から流れる血液と組合わせて接着性材料を形成しうる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項28】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約5.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項29】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約6.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項30】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約7.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項31】
前記接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択される酸を含んでいる、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項32】
約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項33】
約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項34】
約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項35】
約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項36】
約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項37】
約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項38】
約5%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項39】
約10%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項40】
約15%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項41】
請求項1に記載の出血制御用圧縮スポンジの調製プロセスであって、
(a)低密度スポンジを凍結/凍結乾燥する工程;および
(b)1分あたり約10mmおよび約80℃で、該低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程
を包含するプロセス。
【請求項42】
請求項1に記載の出血制御用圧縮スポンジの調製プロセスであって、
(a)1分あたり約10mmの率および約80℃で、低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含み、前記低密度スポンジが、圧縮に先立って凍結も凍結乾燥もされないプロセス。
【請求項43】
前記低密度スポンジが、0.035g/cm3未満〜約0.01g/cm3の密度を有する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記圧縮スポンジが、約0.15g/cm3〜約0.1g/cm3の密度を有する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項45】
出血制御のための請求項4に記載の圧縮複合スポンジの調製プロセスであって、
(a)生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、該生物材料溶液を脱ガスする工程;
(b)該脱ガスされた生物材料溶液を凍結させる工程;
(c)該凍結生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結生物材料の中から水を除去し、したがって該生物材料中の水が、固相から気相になる工程;
(d)1分あたり約10mmの率で該生物材料を圧縮し、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程、および
(e)該圧縮スポンジを80℃で30分間ベーキングする工程
を含むプロセス。
【請求項46】
前記温度が、工程(b)の生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって次第に低下される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
工程(b)の温度は、約−5℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項48】
工程(b)の温度は、約−35℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項49】
工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項50】
前記水の除去が、前記凍結生物材料の凍結乾燥によって実施される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項51】
さらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムからなる群から選択されたガスを、前記凍結前に、前記脱ガスされたキトサン溶液中に加える工程も含む、請求項45に記載のプロセス。
【請求項52】
前記圧縮スポンジが滅菌される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項53】
前記圧縮スポンジが、γ線照射によって滅菌される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項54】
被験体における重大な出血を防止する方法であって、請求項1に記載の圧縮スポンジ、または請求項4に記載の圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法。
【請求項55】
前記被験体が哺乳動物である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記哺乳動物がヒトである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記被験体は、前記出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総失血が結果として生じるような重大な出血に苦しんでいる、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している創傷へ直接、約60〜80kPaの圧力で適用され、該出血している創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の圧縮スポンジまたは請求項4に記載の複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キット。
【請求項60】
請求項1および4に記載のスポンジの機械的結合およびかみ合わせプロセスであって、該スポンジの組織と接触する面を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含むプロセス。
【請求項61】
前記大きい織目の表面が、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面からなる群から選択される、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
請求項1および4に記載のスポンジの機械的牽引の改良プロセスであって、該スポンジの組織と接触する面を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含むプロセス。
【請求項63】
前記大きい織目の表面が、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術よって調製された表面からなる群から選択される、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
請求項1または4に記載のスポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させるプロセスであって、該スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上げられたプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含むプロセス。
【請求項65】
圧縮低密度スポンジであって、約0.05g/cm3未満の密度を有するスポンジは、該スポンジが約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮され、該圧縮低密度スポンジが、圧縮前に凍結も凍結乾燥もされない圧縮低密度スポンジ。
【請求項66】
前記スポンジが、該スポンジの圧縮前に、転相プロセス、発泡技術、または予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合に付される、請求項65に記載の低密度スポンジ。
【請求項67】
前記スポンジがさらに、親水性ポリマーを含んでいる、請求項1または4に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項68】
前記親水性ポリマーが、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項67に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項69】
前記デンプンが、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせからなる群から選択される、請求項68に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項70】
前記親水性ポリマーがキトサンである、請求項67に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項1】
親水性ポリマーを含んでいる出血制御用圧縮スポンジであって、約0.6〜0.15g/cm3の圧縮スポンジ密度を有し、
前記親水性ポリマーが、ポリアクリル酸である圧縮スポンジ。
【請求項2】
さらに活性成分も含んでいる、請求項1に記載の圧縮スポンジ。
【請求項3】
前記活性成分が、カルシウム、トロンビン、第VIIa因子、第XIII因子、トロンボキサンA2、プロスタグランジン−2a、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、フォンビルブラント因子、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、形質転換増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インシュリン様増殖因子、線維芽細胞増殖因子、ケラチン細胞増殖因子、神経成長因子、ペニシリン、アンピシリン、メチシリン、アモキシシリン、クラバモックス、クラブラン酸、アモキシシリン、アズトレオナム、イミペネム、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、アムホテリシン、ナイスタチン、リファムピシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、またはこれらの組合わせである、請求項2に記載の圧縮スポンジ。
【請求項4】
出血制御用圧縮複合スポンジであって、親水性ポリマースポンジおよび湿潤性ポリマーマトリックスを、該スポンジの内部および/またはスポンジ表面に含み、該親水性ポリマーがポリアクリル酸である圧縮複合スポンジ。
【請求項5】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、不織布マット、織布マット、成型ポリマーメッシュ、および低密度スポンジからなる群から選択される、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項6】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、キチン、アルギネート、中和キトサン、再アセチル化キトサン、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項7】
前記親水性ポリマーを含浸されたテキスタイル糸を含んでいる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項8】
前記テキスタイル糸が、親水性ポリマーを含浸され、前記親水性ポリマーがポリアクリル酸である、請求項7に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項9】
前記湿潤性ポリマーマトリックスが、不織布メッシュである、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項10】
細孔直径約15ミクロン〜約300ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項11】
細孔直径約30ミクロン〜約250ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項12】
細孔直径約100ミクロン〜約225ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項13】
細孔直径約125ミクロン〜約200ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項14】
細孔直径約150ミクロン〜約175ミクロンの細孔を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項15】
1cm2につき約100cm2〜1cm2につき約1000cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項16】
1cm2につき約200cm2〜1cm2につき約800cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項17】
1cm2につき約300cm2〜1cm2につき約500cm2の、スポンジの1ベース表面あたりの有効血液接触表面積を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項18】
さらに裏打ち支持層も含んでいる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項19】
前記裏打ち支持層がポリマー材料の層である、請求項18に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項20】
前記ポリマー材料が、合成生物分解性材料または天然の生物分解性ポリマーである、請求項19に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項21】
前記合成生物分解性材料が、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリホスファゼン、該ポリマーを合成するために用いられるモノマーのコポリマー、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項22】
前記天然の生物分解性ポリマーが、キチン、アルギン、デンプン、デキストラン、コラーゲン、アルブミン、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項23】
合成非生物分解性材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタロセンポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項24】
約40kPa〜500kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項25】
約60kPa〜250kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項26】
約100kPa〜200kPaの、創傷部位への接着度を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項27】
創傷包帯−血液界面において、創傷から流れる血液と組合わせて接着性材料を形成しうる、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項28】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約5.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項29】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約6.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項30】
前記接着性材料は、前記創傷がシールされると、好ましくは約7.5以上のpHを有する、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項31】
前記接着性材料は、酢酸、蟻酸、乳酸、アスコルビン酸、塩酸、およびクエン酸からなる群から選択される酸を含んでいる、請求項27に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項32】
約3.0mm以上であって約8mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項33】
約3.5mm以上であって約7mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項34】
約4.0mm以上であって約6mm以下の厚さを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項35】
約0.1MPa〜約10MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項36】
約0.15MPa〜約0.8MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項37】
約0.25MPa〜約0.5MPaの極限引張り応力を有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項38】
約5%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項39】
約10%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項40】
約15%の極限伸びを有する、請求項4に記載の圧縮複合スポンジ。
【請求項41】
請求項1に記載の出血制御用圧縮スポンジの調製プロセスであって、
(a)低密度スポンジを凍結/凍結乾燥する工程;および
(b)1分あたり約10mmおよび約80℃で、該低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程
を包含するプロセス。
【請求項42】
請求項1に記載の出血制御用圧縮スポンジの調製プロセスであって、
(a)1分あたり約10mmの率および約80℃で、低密度スポンジを圧縮し、これによって、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程を含み、前記低密度スポンジが、圧縮に先立って凍結も凍結乾燥もされないプロセス。
【請求項43】
前記低密度スポンジが、0.035g/cm3未満〜約0.01g/cm3の密度を有する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記圧縮スポンジが、約0.15g/cm3〜約0.1g/cm3の密度を有する、請求項42に記載のプロセス。
【請求項45】
出血制御のための請求項4に記載の圧縮複合スポンジの調製プロセスであって、
(a)生物材料溶液を加熱し、これに真空を加えることによって、該生物材料溶液を脱ガスする工程;
(b)該脱ガスされた生物材料溶液を凍結させる工程;
(c)該凍結生物材料の構造的一体性を損なうことなく、凍結生物材料の中から水を除去し、したがって該生物材料中の水が、固相から気相になる工程;
(d)1分あたり約10mmの率で該生物材料を圧縮し、約0.1〜約0.2g/cm3の密度を有する圧縮スポンジを得る工程、および
(e)該圧縮スポンジを80℃で30分間ベーキングする工程
を含むプロセス。
【請求項46】
前記温度が、工程(b)の生物材料の凍結の間、予め決定された時間にわたって次第に低下される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
工程(b)の温度は、約−5℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項48】
工程(b)の温度は、約−35℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項49】
工程(b)の温度は、約−25℃以下の最終凍結温度である、請求項45に記載のプロセス。
【請求項50】
前記水の除去が、前記凍結生物材料の凍結乾燥によって実施される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項51】
さらに、アルゴン、窒素、およびヘリウムからなる群から選択されたガスを、前記凍結前に、前記脱ガスされたキトサン溶液中に加える工程も含む、請求項45に記載のプロセス。
【請求項52】
前記圧縮スポンジが滅菌される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項53】
前記圧縮スポンジが、γ線照射によって滅菌される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項54】
被験体における重大な出血を防止する方法であって、請求項1に記載の圧縮スポンジ、または請求項4に記載の圧縮複合スポンジを施す工程を含む方法。
【請求項55】
前記被験体が哺乳動物である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記哺乳動物がヒトである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記被験体は、前記出血が制御されないままであるならば、20〜30分以内に約30〜40%の総失血が結果として生じるような重大な出血に苦しんでいる、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記圧縮スポンジまたは圧縮複合スポンジは、出血している創傷へ直接、約60〜80kPaの圧力で適用され、該出血している創傷を解放し、パックし、ラップする前に3〜5分間その位置に保持される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の圧縮スポンジまたは請求項4に記載の複合圧縮スポンジ、パックするためのガーゼロール、および創傷をラップするためのエース包帯を含んでいる、重大な出血の処置のための包帯キット。
【請求項60】
請求項1および4に記載のスポンジの機械的結合およびかみ合わせプロセスであって、該スポンジの組織と接触する面を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含むプロセス。
【請求項61】
前記大きい織目の表面が、化学エッチングによって調製された表面、イオンビーム表面アブレーションによって調製された表面、機械的切断によって調製された表面、およびレーザーアブレーションによって調製された表面からなる群から選択される、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
請求項1および4に記載のスポンジの機械的牽引の改良プロセスであって、該スポンジの組織と接触する面を、大きい織目の表面に対して押し付ける工程を含むプロセス。
【請求項63】
前記大きい織目の表面が、化学エッチングによって調製された表面、および粒子ブラスチング技術よって調製された表面からなる群から選択される、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
請求項1または4に記載のスポンジの表面上のざらざらしたクラストの形成を制限または停止させるプロセスであって、該スポンジの表面をポリマーフィルム、ポリマープレート、盛り上げられたプラスチックプレート、または湿分不浸透性通気性膜フィルムで覆う工程を含むプロセス。
【請求項65】
圧縮低密度スポンジであって、約0.05g/cm3未満の密度を有するスポンジは、該スポンジが約0.08g/cm3未満の密度に達するまで圧縮され、該圧縮低密度スポンジが、圧縮前に凍結も凍結乾燥もされない圧縮低密度スポンジ。
【請求項66】
前記スポンジが、該スポンジの圧縮前に、転相プロセス、発泡技術、または予め形成されたマトリックスへの活性成分の共有結合に付される、請求項65に記載の低密度スポンジ。
【請求項67】
前記スポンジがさらに、親水性ポリマーを含んでいる、請求項1または4に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項68】
前記親水性ポリマーが、アルギネート、キトサン、親水性ポリアミン、キトサン誘導体、ポリリシン、ポリエチレンイミン、キサンタン、カラゲーナン、第四アンモニウムポリマー、硫酸コンドロイチン、デンプン、変性セルロースポリマー、デキストラン、ヒアルロナン、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項67に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項69】
前記デンプンが、アミラーゼ、アミロペクチン、およびアミロペクチンとアミラーゼとの組合わせからなる群から選択される、請求項68に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【請求項70】
前記親水性ポリマーがキトサンである、請求項67に記載の圧縮スポンジおよび圧縮複合スポンジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17】
【公表番号】特表2007−516050(P2007−516050A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547312(P2006−547312)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043132
【国際公開番号】WO2005/062889
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506211517)ヘムコン, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043132
【国際公開番号】WO2005/062889
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506211517)ヘムコン, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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