説明

生物材料から脂溶性含有成分を抽出および検出する方法

本発明は、生物材料、特に、食品および飼料から脂溶性含有成分、特に、脂溶性着色料を分析する方法に関し、本方法は、適した希釈溶液を使用することにより容易になった生物材料からの脂溶性含有成分の抽出、適切な有機溶媒又は有機溶媒混合物を使用する抽出、並びに、濃縮および分離法、並びに、その後の、デジタル評価および文書化を含む。生物材料は、まず、脂溶性含有成分を複雑な生物マトリクスから抽出し易くする希釈媒体で処理され、その後、含有成分を抽出する少なくとも1種類の有機溶媒で処理され;有機上澄み液中に抽出された物質は、その後、クロマトグラフィーで濃縮および分離された後、肉眼で評価および/又は測定されることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、含有成分の濃縮およびその後の分析を有する、生物材料、特に、食品から脂溶性含有成分、特に、着色料を分析する方法に関する。本方法は、特に、抽出工程と分離工程の組み合わせ、および後の分析工程を含む。本発明は、更に、本方法を実施するための分析キットおよび分析装置に関する。
【0002】
本発明の方法は、複数の工程から構成される。不可欠であり、本発明を特徴付ける2つの工程は、
・脂溶性含有成分の抽出性(extractability)を促進する溶媒に生物材料のサンプルを入れる工程(サンプル調製工程)。
・同時に非脂溶性成分を除去し、また天然の含有成分と検査される脂溶性含有成分の抽出関係を最適化して、有機溶媒又は溶媒混合物で抽出混合物中に脂溶性含有成分を抽出する工程(抽出工程)
である。
【0003】
分析される物質に応じて、抽出された含有成分を、分析する前に更に分離することができる。
【0004】
本発明の中心になっているものは、脂溶性含有成分と生物マトリクスの間の複雑な化合物の溶解、分析キットの提供、並びに、以下で食品および飼料中の含有成分とも称される物質を測定する方法の使用である。
【0005】
本発明の検出方法に関して考慮に入る脂溶性含有成分は、脂質およびリポイドである。この物質群は、水又は水溶液に対する溶解性の欠如と、有機溶媒に対する良好な溶解度によって特徴付けられる。これは、親油性として知られている。これらの物質としては、トリグリセリド、リン脂質およびコレステロールなどの必須脂肪の他に、複数の物質が挙げられ、その一部は極少量見出され、化学構造が非常に様々である。これらには、レチノイド、ビタミンE、ビタミンDおよびビタミンKなどの脂溶性ビタミンが挙げられる。他の物質は、ステロイド、例えば、ホルモン、フェロホルモン(pherohormones)およびマイコトキシンである。検出方法に関して考慮に入る他の物質は、天然又は合成由来の親油性着色料である。これは、特に、多数の植物若しくは動物製品の構成成分であるカロチノイドの群(β−カロチン、α−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、リコペン)、又はアゾ基を有する合成(人工)着色料(スーダンG、スーダンブラウン、スーダンR、シトラスレッド2、スーダンイエローGRN、スーダンII、オイルレッドO、キノリンイエローSS、アリザリンバイオレット3B、ソルベントブルー35、キニザリングリーンSS)に関する。
【0006】
天然および合成の着色料は、様々な用途の製品を着色するのに使用される。それらはある一定の光学的特徴を付与するのに役立つ。着色され得る生物材料は、卵黄および卵製品、スパイス、スパイス混合物、および、凝集したペースト状(solid pasty)又は液体の形態のスパイス調製物、肉および肉製品、魚および魚製品、果実および野菜のジュースおよび/又は調製物、並びに、バター又は他の乳製品である。ヒトが摂取するのに使用される生物材料の着色は、飼料を介して又は加工中に導入され得る。
【0007】
着色された製品は、食品および飼料だけでなく、工業製品、例えば、化粧品にも関する。
【0008】
脂質およびリポイドは、生物膜中で結合しているか、又は、特異的若しくは非特異的タンパク質に結合している。一例は、細胞膜中でのビタミンE又はリン脂質などの脂質又はリポイドの濃縮であり、動物およびヒトの細胞に関して記載される。このような結合、および親油性のため、特別な抽出を必要とする。また、動物又は植物の生物マトリクス中の細胞膜又は他の細胞構造中に組み込まれるため、抽出上問題がある。
【0009】
生物材料の最近の分析方法は、生物材料の構成成分および含有成分の分離工程、抽出工程、単離工程、および/又は濃縮工程を含むことが多い。このような方法工程は、妨害する又は結果を不正確にする(falsify)物質を分離除去するために、定性分析と定量分析の両方で不可欠である。
【0010】
既知の検出方法は、更に、とりわけ極少量の含有成分を検出しなければならない場合、時間がかかり、装置に関して費用がかかる。他方、既知の方法をかなり単純化すると、一般に、非常に大きい濃度しか検出できなくなる。
【0011】
とりわけ貿易において、食品および飼料の安全性、並びに毒性物質又は偽和(falsifying)物質の検出に対する高い要求により、好ましくは製品のできるだけ近くで、迅速で、感度と信頼性の高い分析が必要とされている。従って、できるだけ少ない作業工程からなるおよび/又は技術的な複雑さがほとんどない方法が必要とされている。この場合、使い捨ての分析キットに基づいて適用できる方法を使用することが望ましい。
【0012】
この文脈では、例えば、スーダンレッドを用いた食品および飼料の色の偽和(color falsification)の検出又は同様に毒性のあるマイコトキシンの検出を記載する。
【0013】
従って、本発明の目的は、内因性又は外因性の脂溶性物質の抽出方法を提供することであり、本方法は、生物材料、例えば、複雑な固体マトリクスから、比較的複雑さがなく、物質を溶解させるのに十分な選択性があり、必要に応じて、使い捨て分析キットで簡単且つ迅速に適用することができる。同時に、例えば、本方法が天然又は合成由来の脂質および親油性物質の濃度の検出に使用されるように、希釈緩衝剤を使用して、できるだけ多くの様々な抽出上の問題を解決できなければならない。
【0014】
この目的は、請求項1に記載の方法、請求項23に記載の使用、請求項27に記載の分析キット、および請求項30に記載の光学分析機器で達成される。
【0015】
好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。全ての請求項の字句内容は、これによって参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】鮭筋肉からのアスタキサンチンの抽出性に対する様々な緩衝剤、溶媒および尿素の効果を示すグラフである。
【図1b】鮭筋肉からのアスタキサンチンの抽出性に対する様々な緩衝剤、溶媒および尿素の効果を示すグラフである。
【図2】安定化されたマトリクス中のβ−カロチンの抽出効率に対する様々な希釈溶液の効果をインキュベーション時間に応じて示すグラフである。
【図3】卵黄からn−ヘキサン有機上澄み液中へのスーダンレッドの抽出に対する異なる調製緩衝剤の効果を示すグラフである。
【図4】抽出装置、捕集装置および小型クロマトグラフィーカラムからなる使い捨て分析キットの構造を示す図である。
【図5】図3の有機抽出相を移動相として用いた直接溶離後のカロチノイド(矢印A)およびスーダンレッド(矢印B)による固定相の着色を示す図である。
【0017】
本発明に記載の方法は、固体生物材料から脂溶性含有成分、即ち、脂質および/又はリポイド、好ましくは、カロチノイド、ビタミン、ホルモン、着色料又はマイコトキシンなどの天然および合成の親油性含有成分を分析する方法である。特に、本方法は、親油性含有成分の抽出に役立つ。生物材料は、本発明に従って、まず、親油性物質が水性環境中でその結合形態から容易に分離されるように、前処理される。次に、それらを有機溶媒で処理することができる。この時、含有成分は、抽出媒体中に移行し、抽出される。
【0018】
前処理、抽出、および、場合によっては、その後の分離は、極少量の物質を検出できるように、本発明に従って組み合わせられる。現在までHPLCでのみ達成されてきた限界値を、このようにして非常に簡単な分離方法と抽出方法を組み合わせることによって達成することができる。
【0019】
前処理として、特殊な希釈工程(塩溶液又は緩衝液による)が用いられ、これは、適切な場合には、即ち、とりわけ固体生物材料の場合、更に破砕工程と組み合わせられる。破砕として、ホモジナイザーを用いた処理が考慮に入る。ホモジナイザーとしては、例えば、カッター(cutter)、ウルトラターラックス(Ultraturrax)装置、ミルなどを挙げることができる。生物材料は、これによって粉砕され、表面積が増加する。粉砕によって抽出効率が増加する。更に、低温処理、特に液体窒素で処理することも考慮に入る。破砕は、生物材料から含有成分を放出し、それによってそれらを抽出できるようにする役割をする。また、前処理として、生物材料は、不純物および/又は阻害物質から分離されてもよく、特に、例えば、緩衝液を用いた洗浄プロセスを経てもよい。
【0020】
驚いたことに、例えば、緩衝液又は塩溶液などの様々な溶液を使用することにより、純水と比較して、有機溶媒中への脂質および親油性物質の抽出効率が著しく改善されることが分かった。これは、とりわけ、生物材料の複雑なマトリクスのより効率的な溶解による。
【0021】
本発明は、従って、脂溶性含有成分を後でより効率的に抽出するためのサンプル調製の文脈で、複雑なマトリクス構造を溶解させるために様々な緩衝液又は塩溶液を使用することによって根底にある技術的問題を解決する。前述の方法は、とりわけ、様々な生物材料、好ましくは、ヒトおよび動物の食物に使用される生物材料からの脂溶性含有成分の抽出効率を改善する。
【0022】
本発明の文脈で、「生物材料」とは、植物、動物、又は微生物から得られる材料、特に内因性材料、好ましくは内因性材料のサンプルを意味するものと理解される。
【0023】
内因性材料は、好ましくは、生きている生物から採取された材料であるが、本発明では死後の採取も可能である。好ましい実施形態では、内因性材料は、体液、組織および/又は器官である。ここで、体液は、血液、血漿、血清、尿、羊水、乳汁、子宮液、卵胞液、髄液、関節滑液、涙液、すい臓分泌物、胆汁、および/又は唾液、並びに、生理学的又は病理学的性質を有する他の全ての体液であってもよい。体液は、穿刺によって、および/又は確立された採集方法で生きている生物又は死後の生物から得ることができる。この場合、血液は、例えば、血管を穿刺すること(静脈穿刺)によって得ることができる。確立された方法で、採血をすることができ、また血漿および血清並びに他の体液を得ることもできる。それらは、血管の穿刺、血液成分の分離、好ましくは遠心分離による分離、および、貯蔵、好ましくは−80℃での貯蔵を含む。直接分析の場合、サンプルは、好ましくは、分析されるまで4℃で貯蔵されなければならない。組織および器官は、確立された生体組織検査法で、又は死後に採取され、対応する確立された方法で貯蔵される。分析する前に、器官および組織を、まず、例えば、対応する緩衝液中で確立された方法によってホモジナイズしなければならない。適した緩衝液は、例えば、tris−HCl(pH7.8)である。組織ホモジネートの作製方法は、当業者に既知である。
【0024】
本発明の文脈では、「微生物」は、例えば、藻類などの真核生物、原核生物、および/又は、酵母などの真菌類の他に、ウイルスを包含するものとする。特に、「生物材料」は、培養から得られる生物および培養上澄み液も含む。
【0025】
本発明によれば、抽出に供せられる全ての生物材料を使用することができる。
【0026】
本方法の特に好ましい実施形態では、生物材料として、動物および/又は植物由来の食品および飼料、特に食品のホモジネートが使用される。
【0027】
好ましくは、本発明による方法では、ヒトの栄養に不可欠の含有成分、好ましくは親油性含有成分を含む食品が考慮に入る。
【0028】
本発明の文脈では、動物又は植物に由来する製品とは、例えば、卵黄および卵製品、スパイス、スパイス混合物、および、固体、ペースト又は液体の形態のスパイス調製物、肉および肉製品、魚および魚製品、果実および野菜のジュースおよび/又は調製物、並びにバター又は他の乳製品である。
【0029】
好ましくは、診断および/又は治療の追跡ために医療分野で使用されるこのような生物材料も使用される。
【0030】
本方法の別の好ましい実施形態では、使用される体液は、血液、血漿、血清、尿、羊水、子宮液、卵胞液、関節滑液、精子、肺液(pulmonary fluid)および/又は分泌物である。
【0031】
好ましくは、分泌物は、乳汁、汗、涙液、唾液および/又は胃腸管分泌物、特に、胆汁および/又はすい臓分泌物である。本発明によれば、使用される体液は、血液、好ましくは全血であってもよい。好ましくは、本発明の方法で使用される生物材料は、血液である。血液は、前処理として、好ましくは、抗凝固剤、特にポリアニオン性多糖類で、好ましくはヘパリンおよび/又はヘパリン類似物質で処理される。更に、抗凝固剤として、アンチトロンビンIIIを、特にヘパリン−アンチトロンビン複合体の形態で使用してもよい。更に、身体にとって異物である抗凝固剤も使用することができる。身体にとって異物である抗凝固剤として、特に、ビタミンK拮抗体又はカルシウム錯生成剤が考慮に入る。ビタミンK拮抗体として、特に、クマリン挙げることができ、カルシウム錯生成剤として、特にクエン酸塩、シュウ酸塩、好ましくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を挙げることができる。
【0032】
有利には、本発明による方法で、血液、特に血液細胞の溶血が回避される。本発明による血液の凝固により、血液細胞は、ゲル状の環境中に埋め込まれ、それによって溶血から保護される。
【0033】
別の実施形態では、生物材料は、植物、動物、ヒト、および/又は微生物の材料、特に細胞培養に由来するものを含む。
【0034】
本方法の別の好ましい実施形態では、生物材料は、使用される前に、機械的破砕および精製プロセスを経る。
【0035】
生物材料を提供するために、本発明の方法では、生物材料のサンプル、好ましくはヒト又は動物から採取したサンプルが使用される。好都合には、放出又は分泌される生物材料も使用することができる。更に、本発明の方法に生物材料を使用する前に、生物材料を、特に、ヒト又は動物の体外で培養することも可能である。
【0036】
振盪、特に、溶血を回避する注意深い振盪により、手動で抽出を行うことが更に有利である。溶媒で血液を抽出するために、補助手段、特に、振盪台、旋回揺動機(pivoting rocker)、オーバーヘッド振盪器、マグネチックスターラー、および他の攪拌技術を使用することもできる。手動混合には、電源又は電気機器に依存することなく、抽出を行うことができるという利点がある。
【0037】
サンプル調製中に希釈溶液を添加する目的は、サンプルの希釈だけではなく、とりわけ、複雑なマトリクスの溶解又は可溶化による抽出のための準備である。最適には、希釈溶液は、含有成分をより容易に、標的指向化して、より完全に抽出することができるように、サンプルを変性させる。このプロセスでは、例えば、タンパク質と希釈溶液の含有成分との相互作用が重要な役割を果たす。この作用は、純水と比較したイオン濃度の全般的上昇、又は、マトリクスの成分と反応する特定の含有成分の導入に基づく。これは、ジスルフィド結合の切断、高吸湿性分子によるタンパク質の変性、又はリン酸基との相互作用に関する。本発明の工程の文脈では、酵素による複雑な化学構造の分解も可能である。
【0038】
驚いたことに、ある一定の塩溶液又は緩衝液を用いて、特に様々な濃度の尿素溶液を用いて前処理すると、生物マトリクスの複雑な構造が著しく改善され、それによって抽出の効率が向上することが分かった。
【0039】
塩溶液および緩衝液又は有機化合物の溶液は、本発明の文脈では、1種類の成分のみからなっても、又は少なくとも2種類の異なる成分の混合物からなってもよい。
【0040】
水溶性有機成分、洗剤、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤又は乳化剤の添加も抽出効率を促進することができる。添加剤として、例えば、DMSO又はDTTが考慮に入る。
【0041】
また、例えば、リパーゼの場合のように、マトリクスの複雑さを減少させるために、又は例えば、リパーゼによる場合のように、随伴する阻害成分を除去するために、例えば、プロテアーゼ又はリパーゼなどの酵素の添加も考えられる。
【0042】
卵、魚筋肉又はレバーなどの生物材料の場合、0.1〜8M、好ましくは1〜8M、とりわけ2〜4Mの濃度範囲で尿素を使用するとき、簡単な振盪だけで、又はミルクフォーマーの回転速度と力の発生を有するハンドミキサーの使用で十分である。そのため、複雑な抽出方法を著しく改善し、容易にすることができる。
【0043】
脂溶性成分の物理化学的特性が異なり、生物サンプルのマトリクスの差が大きいため、サンプルマトリクスを溶解させるための溶媒の各組成は、後の抽出に非常に重要である。
【0044】
サンプル調製および/又はサンプル希釈のための他の溶媒は、使用される生物材料に応じて、以下のように記載および/又は定義することができる。
【0045】
本発明の文脈では、緩衝剤とは、緩衝液および/又は緩衝系、即ち、酸又は塩基を添加した時、pH(水素イオン濃度)の変化が非緩衝系の場合より著しく小さい物質の混合物を含む。このような緩衝液は、弱酸およびその共役塩基(又は、それぞれの塩)の混合物を含有する。
【0046】
両性電解質および二官能性分子も緩衝剤の役割をすることができる。pHを決定する要因は、緩衝剤の対の比又はプロトリシス平衡である。
【0047】
緩衝液の例としては:酢酸/酢酸塩緩衝液、リン酸緩衝液KHPO+NaHPO;Michaelisの酢酸ベロナール緩衝液、アンモニア緩衝液NH+HO+NHCl;HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)PBS緩衝液;MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)がある。
【0048】
塩溶液は、カチオンと称される正電荷を帯びたイオンと、アニオンと称される負電荷を帯びたイオンからなる塩の溶液である。塩は、有機であっても又は無機であってもよい。最も狭い意味では、塩とは、塩化ナトリウム(NaCl、食塩)を意味するものと理解される。広い意味では、NaClのようにアニオンとカチオンからなる全ての化合物が塩と称される。
【0049】
独立した(安定な)イオンが分子と相互作用して存在する塩は、錯塩と称される。
【0050】
1種類のカチオンを有する塩の他に、2種類の異なるカチオンを有する塩も知られている。これらの塩は、複塩と称され、一般組成MIII(SOを有する明礬などがある。一例としては、硫酸カリウムアルミニウム12水和物(KAl(SO・12HO)がある。
【0051】
前述の無機塩の他に、有機化合物の塩もある。これらの塩のアニオンは、有機酸に由来する。本明細書で重要なものは、例えば、酢酸などのカルボン酸の塩であり、その多くの塩のうち、いわゆる酢酸塩(CHCOO)が既知である。例としては、クエン酸ナトリウム塩およびクエン酸カルシウム塩がある。
【0052】
本発明の文脈の「複雑なマトリクスを溶解させる有機化合物」としては、例えば、尿素が挙げられる。尿素は、人および動物のタンパク質およびアミノ酸代謝に由来する。尿素は、水と結合する能力が高いため、複雑なマトリクスを溶解させる角質溶解剤として使用される。それは、食品に安定剤として使用される。EUでは、E927bの名称を有する食品添加物として、もっぱら糖無添加のチューインガム用に認可されている。
【0053】
抽出、および、必要に応じて、その後の分析のための有機溶媒として、極性プロトン性溶媒、特にアルコールが使用される。
【0054】
本方法の別の好ましい実施形態では、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される極性プロトン性溶媒が使用される。好ましくは、エタノールと2−プロパノール(イソプロパノール)の混合物が使用される。
【0055】
本方法の別の好ましい実施形態では、有機溶媒として、少なくとも1種類の極性非プロトン性溶媒が使用され、特にエステル、好ましくは酢酸エチルが使用される。
【0056】
有利には、本発明の方法では、好ましい極性プロトン性溶媒の他に、極性非プロトン性溶媒を使用してもよい。
【0057】
本方法の別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒として、ニトリル、好ましくはアセトニトリルが使用される。
【0058】
本方法の別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒として、ケトン、好ましくはアセトンが使用される。
【0059】
本方法の別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒として、ジメチルスルホキシドおよび/又はN,N−ジメチルホルムアミドが使用される。
【0060】
本方法の別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒として、エーテル、特にジエチルエーテルが使用される。
【0061】
好ましくは、極性溶媒は、生物材料に応じて、混合物の形態で使用される。
【0062】
抽出工程の別の好ましい実施形態では、溶媒として、少なくとも1種類の非極性溶媒、特にアルカン、好ましくはC5〜C12アルカンが使用される。
【0063】
抽出工程の別の好ましい実施形態では、非極性溶媒として、ヘキサン、ヘプタンおよび/又はオクタン、特に、イソオクタンが使用される。
【0064】
抽出工程の別の実施形態では、非極性溶媒として、芳香族化合物、特に、トルエンおよび/又はベンゼンが使用される。
【0065】
前記非極性溶媒は、本発明の方法で、含有成分の、特に、親油性含有成分の抽出媒体の役割をする。
【0066】
本発明によれば、有機溶媒分子の誘導体を使用することが好都合な可能性がある。溶媒は、無水、含水、分岐鎖、非分岐鎖、環状、非環状、ハロゲン化又は非ハロゲン化溶媒であってよい。
【0067】
工業技術では様々な点から、極性溶媒又は非極性溶媒に分類することができる。例えば、化学で既知の極性又は溶媒挙動の定義を使用することができる。
【0068】
更に、溶媒又は溶媒混合物を分類するために、Snyder又はKellerによる極性指数が実際に使用されている(Synder,Principles of absorption chromatography,Decker,New York,1968;Keller,Analytical chemistry,Weinheim,1998,page 195)。これによれば、極性溶媒又は溶媒混合物とは、Snyderによる極性指数が4〜8、特に5〜7、好ましくは5.5〜6.5である溶媒又は溶媒混合物を意味するものと理解される。極性溶媒は、例えば、水、特に、水溶液である。極性非プロトン性溶媒は、例えば、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルホルムアミドである。極性プロトン性溶媒は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルコール、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、ブタノール、ペンタノール、又はヘキサノールである。
【0069】
非極性溶媒又は非極性溶媒混合物とは、標準溶媒又は標準溶媒混合物と比較して、0.3以上小さい極性指数を有する溶媒又は溶媒混合物を意味するものと理解される。0.5小さい極性指数、特に、1小さい極性指数、好ましくは2以上小さい極性指数が好ましい。従って、非極性溶媒又は溶媒混合物のSnyderによる極性指数は、5〜1、特に4〜2、好ましくは3.5〜2.5の値を有する。メタノール60%/ジクロロメタン40%の溶媒混合物は、例えば、Snyderによる極性指数が3.1である。従って、非極性溶媒として、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン又は四塩化炭素などのハロゲン化溶媒が考慮に入る。更に、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はシクロヘキサンなどの脂肪族溶媒を挙げることができる。更に、非極性溶媒としては、トルエン又はベンゼンなどの芳香族溶媒を挙げることができる。更に、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテルが考慮に入る。
【0070】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、抽出工程の溶媒は、溶媒混合物の形態で、特に、極性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物の形態で使用される。
【0071】
好ましくは、極性溶媒と非極性溶媒は、1:1の比、特に1:2の比、好ましくは1:10(極性:非極性)の比で使用される。
【0072】
この手段は、生物材料の性質に応じて適合する溶媒混合物を作製できるという利点を有する。このようにして、多数の分離の問題に対処することができる。
【0073】
抽出に続く、必要な濃縮および分離工程(例えば、小型クロマトグラフィー法による)で、例えば、アルコールと有機溶媒の混合が起こらないように、および/又は完全な分離が起こるように、抽出溶媒の組成を選択することが好都合な可能性がある。ここで、適した溶媒は、好ましくは、非プロトン性二極性溶媒であるDMSO(ジメチルスルホキシド)およびn−ヘキサン又はイソオクタンである。この場合、処理緩衝剤に非極性溶媒を添加することもできる。そのため、抽出溶媒を同様に、その後のクロマトグラフィーによる濃縮および分離のための移動溶媒として使用することもできる。
【0074】
抽出工程の別の好ましい実施形態では、更に、界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤が使用される。
【0075】
抽出工程の別の好ましい実施形態では、界面活性剤として、共重合体、特に、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体が使用される。
【0076】
好ましくは、溶媒混合物中に可溶であり、毒性を有しておらず、および/又は上澄み液中に含まれている含有成分の分析に影響を及ぼさない界面活性剤が使用される。含有成分の吸収および/又は蛍光が、低下することなく依然として測定可能であることが好ましい。
【0077】
好ましくは、界面活性剤は、血液の溶血が起こらない濃度で使用される。有利には、界面活性剤として、共重合体、特に、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体が使用される。共重合体界面活性剤の例として、市販のプルロニック(Pluronic)界面活性剤、好ましくはプルロニック(Pluronic)101が考慮に入る。
【0078】
別の好ましい実施形態では、生物材料は、1:50の比、特に1:10の比、好ましくは1:3の比の有機溶媒で処理される。
【0079】
生物材料の性質と有機溶媒の抽出能力に応じて、比較的大きい又は比較的小さい生物材料対有機溶媒の比を選択することが好都合な可能性があり、特に、これは、後の分析に依存する。
【0080】
好ましくは、比は、含有成分の分析の検出限界又は測定限界が考慮されるように選択される。
【0081】
別の実施形態では、本方法は、5℃〜60℃の範囲、特に10℃〜40℃の範囲の温度で実施される。
【0082】
別の実施形態では、本方法は、0.5bar〜5bar、特に0.8bar〜2barの圧力で実施される。
【0083】
理論では、本方法は、ゲル生成が期待される温度範囲および/又は圧力範囲で実施され得る。更に、溶媒特性、特に、融点、沸点、引火点を考慮しなければならない。本発明によれば、本方法は室温および大気圧で実施される。
【0084】
本方法の別の好ましい実施形態では、生物材料は、含有成分を抽出するために10秒間〜10分間、特に10秒間〜5分間、好ましくは10秒間〜3分間処理される。
【0085】
好ましくは、サンプルは、抽出前に希釈緩衝剤で前処理される。希釈比は、1:9(緩衝液:サンプル)〜100:1、特に1:1〜50:1、好ましくは10:1である。
【0086】
好ましくは、生物材料は、有機溶媒で処理する前に、耐溶媒性環境に移される。
【0087】
別の好ましい実施形態では、耐溶媒性環境として、疎水性表面を有する容器、特に、シラン処理によって疎水化された表面を有する容器が使用される。
【0088】
別の実施形態では、疎水性表面を有する容器、特にプラスチック容器、好ましくはポリプロピレン製の容器が使用される。
【0089】
有利には、本発明の方法では、疎水性表面を有する容器を使用することができる。ガラス容器の場合、疎水性表面は、ガラス表面をシラン処理することによって、又はフッ化水素でエッチングすることによって作り出すことができる。更に、本発明の方法では、プラスチック容器、好ましくはポリプロピレン製の容器を使用することもできる。容器、特にプラスチックコーティングされた容器に複合材料を使用することも可能である。好ましくは、分光法による検査に適しているような性質を有する容器を使用する。
【0090】
本方法の別の好ましい実施形態では、含有成分を、抽出前に、親油性の形態に変化させるおよび/又は親油性になるように変性させる。
【0091】
本発明は、更に、抽出された含有成分の分析方法に関する。含有成分の分析に関して、既知のあらゆる分析方法又は現在まで知られていない分析方法が考慮に入る。例えば、クロマトグラフィー法による、特に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による含有成分の分析は、更なる分析のために必要であることが分かる。好都合には、上澄み液は、含有成分を分光測定法で検査する分析法に供せられる。分光測定法として、電磁放射線との相互作用により含有成分を検査する方法、特に、NMR、IR、UV−VIS、レーザーラマン分光法が考慮に入る。更に、既知のあらゆる質量分析法を使用することができる。
【0092】
分析の好ましい実施形態は、分光光度計で行われる。迅速で信頼性のある測光測定を行うことができる扱い易く可搬性の機器が特に好ましい。
【0093】
本発明は、更に、有機溶媒又は溶媒混合物が入っている分析装置、および抽出された物質を直接分析するためのその使用に関する。
【0094】
特に好ましい分析装置は、2つの別々の分析キット、即ち、前処理キットと抽出キットからなり、それを用いて本発明の方法を2工程で実施することができる。例えば、生物材料は、前処理キット内で破砕および希釈される。その後、液体サンプルは、前処理キットから抽出キットに移され、次いで、その中で抽出され、有機相に移行し、分光光度計で直接測定される。
【0095】
この場合、2つのキットは、例えば、それぞれ1つのプラスチック製又はガラス製の容器によって形成され、容器には、生物材料および分析される物質に応じた緩衝媒体(buffer medium)および/又は溶媒が入っている。
【0096】
含有成分の性質に応じて、分析する前に、例えば、分離材が充填された小型キャピラリーで濃縮および/又は分離することによって、後者を更に処理してもよい。
【0097】
本分析方法の別の好ましい実施形態では、有機溶媒中に溶解した含有成分は、直接濃縮され、同時に分離される。分離は、HPLC若しくはガスクロマトグラフィーなどの複雑なクロマトグラフィー法を使用して、又は標準的な若しくは小型のカラムクロマトグラフィー若しくは薄層クロマトグラフィーで行ってもよい。好ましい実施形態では、含有成分は、小型クロマトグラフィーカラムにかかる圧力で抽出装置から直接濃縮され、妨害物質から分離される。濃縮および分離は、吸収法である。この場合、妨害物質は、Van der Waals力、双極子−双極子相互作用又は水素結合により固定相に保持される。
【0098】
好ましい実施形態では、濃縮および分離は、固定相で、抽出に使用したのと同じ溶媒又は溶媒混合物を用いて行われる。しかし、また、異なる溶媒又は溶媒混合物を使用した段階的濃縮および分離も可能である。
【0099】
好ましい実施形態では、分離および検査される親油性成分は、抽出工程の後、既に移動相中にある。
【0100】
濃縮および/又は分離は、固定相で行われる。固定相として、シリカゲル、セルロース、シクロデキストリン、酸化アルミニウム、フロリジル、および、物理化学的特性に基づいて各含有成分に適している他の物質が考慮に入る。移動相と固定相の選択は、分離の問題に依存する。更に、標的指向化して化学的改質を行うことにより、材料の表面特性を改質してもよい。脂質のクロマトグラフィーの例として、銀イオンを用いたシリカゲルの表面処理が挙げられる。しかし、他の方法も適している可能性がある。
【0101】
均一な固定相を使用することの他に、固定相を組み合わせることもできる。この組み合わせは、複数の異なる相を混合することによって、又はカラムを層状構造に充填することによって行うことができる。層状構造によって、様々な分離および濃縮効果を達成することができる。
【0102】
移動相を流動させるための圧力増加は、重力によって、又は、低い圧力で移動相の移動を引き起こす他の方法で生じさせることができる。
【0103】
好ましい実施形態では、移動相の流動は、固定相が充填された小型カラムの1つの開口部を閉鎖した抽出装置に入れることによって起こる。これは、ゴムセプタム又は別の種類のセプタムを穿通することによって行われる。カラムのスペーサによって、カラムが抽出管に入る深さが決まる。そのため、一定のサンプル体積および一定の溶媒体積の時、カラムの開口部が有機抽出媒体の中にあり、所定量の溶媒だけが使用されることを確実にすることができる。
【0104】
シリンジを使用して針でクロマトグラフィー管の横を穿刺し、シリンジで空気約10mlを圧入することによって、溶媒を流動させるための圧力を増加させる。この体積は、抽出管のサイズおよび溶媒の体積に依存する。生じる過剰圧力によって移動相の流動が起こる。
【0105】
好ましい実施形態では、反対側に別の空の抽出管が配置され、その抽出管の中に移動相が捕集される。そのため、作業場所の汚染が起こらない。同様に存在するゴムセプタムは、クロマトグラフィーカラムを取り除いた後、閉鎖し、検査者が化学物質に接触することなく、2つの装置を廃棄することができる。
【0106】
濃縮および/又は分離された脂溶性含有成分の同定は、特有の固有色を有する物質に関する場合、肉眼で直接又は分光法により行われ;又は、物質が特有の励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する場合、蛍光で行われる。
【0107】
特有の固有色を有する脂溶性含有成分の例は、例えば、天然および合成(人工)の着色料の群に見出すことができる。これらには、カロチノイドおよびアゾ色素が挙げられる。特有の固有蛍光を有する脂溶性物質は、例えば、ビタミンA化合物、ビタミンE化合物およびマイコトキシンである。
【0108】
別の工程では、物質に特有の反応により後で検出できるように、物質を変性させてもよい。これらの変性は、前述の検出方法の様々な箇所で、即ち、有機抽出の前に生物材料に直接、又は、希釈緩衝剤に入れた後若しくは入れる時に材料に、有機抽出物に、又はクロマトグラフィーカラムで分離中に若しくは分離後に行うことができる。
【0109】
本発明の他の詳細および特徴は、以下の本発明の方法の実施の説明から、および、従属項と組み合わせた好ましい実施形態から得られる。この場合、各特徴をそれぞれ単独で実施してもよく、又は、複数を互いに組み合わせて実施してもよい。
【0110】
[実施例1:卵黄中のカロチノイドおよびビタミンの測定]
卵黄は、大部分、脂質からなる。着色含有成分はカロチノイドである。卵中に、互いに異なる関係で、カロチノイド、ルテイン、ゼアキサンチン、β−カロチンおよびカンタキサンチンが見出される。それらは、飼料を介して卵黄に達する。以下の実施例は、卵からのカロチノイドの抽出性に対する希釈溶液の組成の効果を示す。
【0111】
前処理工程の文脈で、いずれの場合も卵黄200mgを、10倍の体積になるように緩衝液若しくは塩溶液(NaCl溶液、尿素溶液、リン酸緩衝液)、又は蒸留水と混合し、その後、1工程で、2種類の異なる溶媒からなる単相溶媒混合物中に単離する。カロチノイドは、HPLC又は分光法により有機抽出物中で測定した。ビタミンAおよびEは、HPLCで測定した。
a)卵黄200mgを、希釈溶液、即ち、蒸留水又は緩衝液又は塩溶液(NaCl、PBS又は尿素)各1.8gと混合する。手動で又は機械で激しく混合する(前処理工程)。
b)混合物(一般に400μl)をシリンジに取り、ゴムセプタムを介して特殊なキュベットに注入する。特殊なキュベットには単相溶媒混合物が入っている。
c)激しく振盪することによって、脂溶性成分を溶媒混合物中に抽出する。
d)3分間沈殿させることによって相を分離する。
e)上澄み液を直接、分光光度計(例えば、可搬式iCheck光度計)で測定する。
或いは、溶媒上澄み液を取り、HPLC又は分光光度法で含有成分を測定する。
【0112】
[実施例2:魚肉中のカロチノイド(アスタキサンチン)の測定]
魚筋肉は、種類に応じて、大部分、様々な化学構造の脂肪からなる。鮭およびブラウントラウトの場合、魚筋肉中の着色成分はカロチノイドである。最も重要なカロチノイドは、アスタキサンチンである。それらは、飼料を介して筋肉中に入る。赤い色調は、消費者にとってきわめて重要な特徴である。以下の実施例は、鮭筋肉からのカロチノイドの抽出性に対する希釈液(緩衝剤、塩溶液、尿素溶液)の組成の効果を示す。
【0113】
[工程]
a)前処理工程の文脈では、第一の工程で、まず、いずれの場合も魚筋肉組織約3gを圧搾器(改良されたにんにく絞り器)で粉砕する。他の可能な粉砕方法も考えられる。
b)その後、いずれの場合も、粉砕された組織200mgを取って、蒸留水、又は、例えば、NaCl溶液、尿素溶液又はリン酸緩衝液からなる緩衝液(希釈溶液)2mlに入れ、例えば、改良されたミルクフォーマーを使用して、激しく混合することによって、更に粉砕し、破砕し、その後の抽出のための準備がなされる(前処理工程)。
c)実質的に均質な混合物(800μl)を、体積1mlのシリンジに取り、ゴムセプタムを介して特殊なキュベットに注入する。特殊なキュベットには、一般に2種類の異なる有機溶媒からなる単相溶媒混合物が入っている。
d)激しく振盪することによって、脂溶性成分を溶媒混合物中に抽出する。
e)3分間沈殿させることによって、相を分離する。
f)上澄み液を直接、分光光度計(例えば、可搬式iCheck光度計)で測定する。
g)或いは、溶媒上澄み液を取り、HPLC又は分光光度法で含有成分を測定する。ビタミンAおよびEは、HPLCで測定した。
【0114】
図1は、鮭筋肉からのアスタキサンチンの抽出性に対する様々な緩衝剤、溶媒および尿素の効果を示す。図1aと図1bの比較は、出発サンプルの脂肪濃度の効果を示す。結果をmg/g・魚筋肉として報告する。比較可能な希釈溶液で、脂肪濃度に応じて異なる結果が得られる。2つのマトリクスで最も均一であったのは、2〜4Mの尿素溶液であった。
使用した略称:尿素=尿素溶液;NaCl=塩化ナトリウム溶液;PBS=1倍〜10倍の濃度のリン酸緩衝液
【0115】
[実施例3:安定化されたカロチノイド調製物:]
敏感なカロチノイドの貯蔵性および加工性を改善するために、これらは安定化マトリクス中に充填される。
以下の実施例は、カロチノイドの抽出性に対する蒸留水および異なる緩衝剤の効果をインキュベーション時間に応じて示す。
【0116】
抽出の準備のために、β−カロチン調製物(いずれの場合も100mg)を、異なる濃度の様々な緩衝剤、塩溶液および尿素溶液、並びに蒸留水(いずれの場合も10ml)と一緒に、合計5時間にわたってインキュベートした(前処理工程)。
a)室温で30分間、1、2、3、4および5時間インキュベートする。
b)不溶成分を分離するために、サンプルを遠心分離する。
c)上澄み液を取る。
d)出発溶媒で1:100の希釈を行う。
f)混合物(400μl)をシリンジ(体積1ml)に取り、ゴムセプタムを介して特殊なキュベットに注入する。特殊なキュベットには、単相溶媒混合物が入っている。
g)激しく振盪することによって、脂溶性成分を溶媒混合物中に抽出する。
h)3分間沈殿させることによって、相を分離する。
i)上澄み液を直接、分光光度計(例えば、可搬式の光度計)で測定する。
j)或いは、溶媒上澄み液を取り、HPLC又は分光光度法で含有成分を測定する。
【0117】
図2は、安定化されたマトリクス中のβ−カロチンの抽出効率に対する、塩、緩衝剤又は尿素、および水からなる様々な希釈溶液の効果を、インキュベーション時間に応じて示す。異なる濃度(例えば、2又は4M)で、尿素の著しい効果が見られる。結果を、達成された最大濃度と実際の濃度のパーセントとして示す。
【0118】
使用した略称:尿素=尿素溶液;NaCl=塩化ナトリウム溶液;PBS=1倍〜10倍の濃度のリン酸緩衝液
【0119】
[実施例4:卵黄からのスーダンレッドおよびカロチノイドの抽出および測定]
黄色の色調を改善するため、および色の安定性を改善するため、様々な天然の黄色又は赤色の食品に着色料が添加される。天然又は天然と同一のカロチノイドは安全であるが、アゾ化合物が添加される場合、健康上のリスクが高い。このため、それらの添加は禁止されており、これらの人工着色料を含有する製品は市場から取り除かれなければならない。このために、迅速で信頼性と感度の高い検出が必要である。
【0120】
このような方法の実施例を、以下で卵黄に関して記載する。
【0121】
卵黄は大部分が脂質からなる。着色含有成分はカロチノイドである。卵中に、互いに異なる関係で、カロチノイド、ルテイン、ゼアキサンチン、β−カロチンおよびカンタキサンチンが見出される。それらは、飼料を介して卵黄に入る。色調を強めるため、アゾ化合物の群の合成着色料の給餌が行われる。重要な代表例はスーダンIII(赤)である。
【0122】
以下の実施例は、卵黄からのスーダンレッドの抽出工程および検出工程を示す。
【0123】
いずれの場合も、卵黄200mgを10倍の体積の緩衝液又は蒸留水と混合した後、1工程で、単相溶媒混合物中に単離した。カロチノイドは、有機抽出物中でHPLC又は分光法により測定した。ビタミンAおよびEは、HPLCで測定した。
a)卵黄200mgを、いずれの場合も、希釈剤、即ち、蒸留水又は緩衝液1.8gと混合する。手動又は機械で激しく混合する。
b)混合物(一般に400μl)をシリンジに取り、ゴムセプタムを介して特殊な抽出装置に注入する。抽出装置には溶媒又は単相溶媒混合物が入っている。
c)激しく振盪することによって、脂溶性成分を有機抽出媒体中に抽出する。
d)3分間重力により相を分離させる。
e)高濃度の塩溶液又は緩衝液を好ましくは500μlの体積で添加することによって、相分離を最適化する。
f)上澄み液を直接、分光光度計で測定する。
g)或いは、溶媒上澄み液を取り、含有成分をHPLC又は分光光度法で測定する。ビタミンAおよびEは、HPLCで測定した。
h)濃縮および分離のため、抽出後、カラムクロマトグラフィーで分離する。このために、シリカゲル(固定相)を充填した小型クロマトグラフィーカラムを抽出管に入れる。このために、抽出装置のゴムセプタムを穿通し、導入されたカラムの下端を、それが水相のすぐ上にくるように配置する。カラムの反対側に捕集装置を取り付ける。
i)5〜10mlの体積のシリンジで針を介して、空気を、セプタムを介して抽出装置に約10分間圧入する。過剰圧力が形成され、それによって有機抽出媒体が抽出装置から流出し、クロマトグラフィーカラム(固定相シリカゲル)を通って、捕集装置に流入する。このプロセスで、カロチノイドおよびスーダンレッドの濃縮および分離が起こる。
j)サンプルを含有するカラムを、既知の濃度のスーダンレッドを有するカラムと比較することによって、濃度の半定量的推定を行う。
k)肉眼により、又は光学信号のデジタル増幅により検出を行う。カロチノイドおよびスーダンレッドは、別々のバンドにある。
【0124】
[実施例5:マイコトキシンの検出]
マイコトキシンは、様々な真菌類に感染している穀物、穀物製品、又は、例えば、ナッツおよびコーヒーの汚染物質である。それらは、ヒトおよび動物に対する健康上のリスクが大きい。
a)汚染された穀物(1g)を緩衝液(1モルの尿素)1mlと混合し、10分間インキュベートし、10秒間、5回、規則的な間隔で手動で激しく振盪した。
b)水性上澄み液をシリンジ(1ml)で取り、800mlを抽出装置に注入する。抽出装置には、有機溶媒の単相混合物が入っていた。極性溶媒と非極性溶媒の混合物(エタノール/イソプロパノール/イソオクタン;1:4:10)を使用した。直ぐに相分離が起こる。混合物を10秒間、手動で注意深く振盪する。その後、5分間沈殿することによって、相分離が起こる。2〜3分後、混合物を再び振盪し、放置する。
k)上澄み液を直接、蛍光光度計で測定する。
l)或いは、溶媒上澄み液を取り、HPLC又は蛍光光度法で含有成分を測定する。
m)濃縮および分離のため、抽出後、カラムクロマトグラフィーで分離する。このために、フロリジル(固定相)を充填した小型クロマトグラフィーカラムを抽出管に導入する。このために、抽出装置のゴムセプタムを穿通し、導入されたカラムの下端を、それが水相のすぐ上にくるように配置する。カラムの反対側に捕集装置を取り付ける。
n)5〜10mlの体積のシリンジで、針を介して、空気約10mlを、セプタムを介して抽出装置に圧入する。過剰圧力が形成され、それによって有機抽出媒体が抽出装置から流出し、クロマトグラフィーカラム(固定相フロリジル)を通って、捕集装置に流入する。このプロセスでは、マイコトキシンの濃縮および分離が起こる。
o)サンプルを含有するカラムを、既知の濃度のマイコトキシンを有するカラムと比較することによって、濃度の半定量的推定を行う。
p)UV励起で、肉眼により又は光学信号のデジタル増幅により、マイコトキシンの青色蛍光の検出を行う。
【0125】
[実施例6:HPLCと比較したiCheck法によるニジマス肉中のアスタキサンチン含有量の測定]
[材料および方法]
着色試験CP078の対照処理では、トリプリケート(triplicate)で水槽(A1、A2、およびA3)内のニジマスに、CAROPHYLL Pink 10%−CWSとして50ppmのアスタキサンチンを有する栄養補助剤含有押出物を給餌した。最終的なサンプリングは、実験給餌の12週間後に行った。着色試験における通常のサンプリング方法に従って、1水槽当たり8匹の魚をサンプルとして抜き取り、殺し、血抜きをして、3枚におろした。切り身の皮を剥がし、標準的方法によるHPLCアスタキサンチン測定のために15gの肉サンプルをNQCのレベルで取り、冷凍し、NRD/CMに提供した。更にアスタキサンチンをiCheckで測定するために、別の比較的小さい肉サンプル約5gを同じNQCレベルで取り、冷凍した。これらの試験では、アスタキサンチン測定のためのiCheck−魚用モデル(fish prototypes)が、BioAnalytによって提供された。iCheck分析は、BioAnalytによって確立されたプロトコルに従ってCRNAで行ったが、そのプロトコルは、第1段階で緩衝剤1.5gに混入される肉ホモジネート0.5gのサンプルサイズを規定している(付録文書1に詳述)。方法の再現性を評価するため、サンプルはデュプリケート(duplicates)で分析した。
【0126】
その後、サンプルサイズを増大し、これによってアスタキサンチン測定の精度を改善することができるかをどうか見るために、方法を少し変更した。この場合、サンプルサイズを肉ホモジネート0.87gまで増加し、それを緩衝剤2.61gと混合して同じサンプル希釈率を維持し、分光光度計のデータ入力の上限に達するようにした。
【0127】
[結果]
表1および表2は、それぞれ、iCheckおよびHPLCによるマス肉サンプル0.5g中のアスタキサンチンの測定結果を示す。
【0128】
表3は、各複製群の魚6〜8からのサンプルでサンプルのサイズを0.5g〜0.87gに増加したとき、得られたアスタキサンチン測定の結果を表す。
【0129】
表4は、その2つのサンプルサイズに関する、%で表されたHPLC測定とiCheck測定の個々の差および平均の差を示す。デュプリケートの測定間のばらつきは、ほとんどの場合、比較的小さい。
【0130】
アスタキサンチンの測定結果は、0.5gのサンプルでは、一般に、HPLC(表2)で行ったものの方が、iCheck法(表1)で行ったものより高い。iCheck法で記載した条件では、5分の時間間隔で3回繰り返して振盪した後、iCheck瓶内で幾つかの肉ホモジネート粒子がまだ着色していたため、カロチノイドの抽出は完全ではなかったことが観察された。iCheck抽出法からのアスタキサンチン回収は、ほとんどの場合、完全ではなかった。
【0131】
表3は、肉サンプル0.87gでのiCheck測定の結果を示す。これは、複製群当たり3匹の魚(魚6〜8)でのみ行った。幾らかばらつきがあるにもかかわらず、サンプルサイズが増加するとカロチノイド回収が改善するという明らかな傾向がある。iCheck測定とHPLC測定の差%は、サンプルのサイズが0.5g(表4)のとき、20〜30%の範囲であり、0.87gのサンプルのとき、それは減少する傾向があり、複製群間の平均値が7%〜18%に達した。0.87gの肉サンプルでは、分析するサンプルの数が少ないため、ばらつきが比較的大きい。
【0132】
アスタキサンチンの迅速な分析のために開発された方法は十分機能するが、常にHPLCとの差%が10%未満になるように、iCheck法によるカロチノイドの回収に関して改善が必要である。
【0133】
【表1】



【0134】
【表2】



【0135】
【表3】



【0136】
【表4】



【0137】
[他の図、説明]
図3は、卵黄からn−ヘキサン有機上澄み液中へのスーダンレッドの抽出に対する異なる調製緩衝剤の効果を示す。以下が適用される:
1=水(希釈溶液);n−ヘキサン(抽出溶媒)
2=10%DMSO+1M尿素(希釈溶液);n−ヘキサン(抽出溶媒)
3=25%DMSO+1M尿素(希釈溶液);n−ヘキサン(抽出溶媒)
4=50%DMSO+1M尿素(希釈溶液);n−ヘキサン(抽出溶媒)
5=75%DMSO+1M尿素(希釈溶液);n−ヘキサン(抽出溶媒)
6=1M尿素(希釈溶液);エタノール:イソプロパノール:n−ヘキサン(体積分率1:2:6)(抽出溶媒)
【0138】
図4は、抽出装置、捕集装置および小型クロマトグラフィーカラムからなる、脂溶性含有成分を抽出し、その後濃縮および分離することより、濃縮するための使い捨て分析キットの構造を示す。
【0139】
図5は、図3の有機抽出相(n−ヘキサン)を移動相として用いた直接溶離後のカロチノイド(矢印A)およびスーダンレッド(矢印B)による固定相の視認可能な着色を示す。図4aと図4bの比較は、デジタル化による信号増幅の可能性を示す。図4bでは、光学的信号のデジタル増幅を行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物材料から含有成分、特に、脂質およびリポイド物質を抽出する方法であって、含有成分をより容易に抽出できるようにする役割をする前処理工程、および、その後の、単相溶媒混合物からなる有機溶媒中への抽出を含み、前記有機溶媒が、水性サンプルの添加により2相に分離し、有機溶媒相中に含有成分が検出され得る方法。
【請求項2】
前記脂質、リポイド、又は脂溶性物質の種類が、脂溶性ビタミン、脂溶性ホルモン、フェロホルモン、又はマイコトキシンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親油性物質が、モノガラクトシルジアシルグリセリド、カルジオリピン、ジガラクトシルジアシルグリセリド、ホスファチジン酸(phosphatic acid)、ホスファチジルコリン、ホシファチジルエタノールアミン、ホスファチジル−D−L−グリセロール、ホスファチジルイノシトール、又はホスファチジル−L−セリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記親油性物質が、天然又は合成(人工)の脂溶性着色料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記着色料が、例えば、アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−カロチン、又はアポエステル(apo−esters)などのカロチノイドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記合成着色料がアゾ化合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
使用される生物材料が、動物および/又は植物由来の食品又は飼料、特に、食物又は飼料のホモジネートである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記内因性材料が、体液、組織および器官である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記体液が、血液、血漿、血清、卵胞液、関節滑液、尿、乳汁、汗、精子、肺液、唾液、胃腸管およびその付属腺の分泌物、涙液、髄液、および/又は、分泌産物(secretion products)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
特殊な希釈工程が前処理の役割をし、前記特殊な希釈工程が、適切な場合には、即ち、とりわけ固体生物材料の場合、更に破砕工程と組み合わせられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
異なる濃度の、ある一定の塩溶液又は緩衝液、特に、尿素溶液を用いた前処理を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記緩衝液に、水溶性有機成分、洗剤、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤又は乳化剤、DMSO又はDTT又は酵素が添加されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出のために、有機溶媒として極性プロトン性溶媒、特にアルコールが使用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記極性プロトン性溶媒が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出のために、溶媒として、少なくとも1種類の非極性溶媒、特に、アルカン、好ましくはC5〜C12アルカンが使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
非極性溶媒として、ヘキサン、ヘプタンおよび/又はオクタン、特に、イソオクタン、好ましくはこれらの混合物が使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒が、溶媒混合物の形態で、特に、極性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物の形態で使用される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抽出された含有成分が分光測定法により分析され、分光測定法として、電磁放射線との相互作用により前記含有成分を検査する方法、特にNMR、IR、UV−VIS、レーザーラマン分光法が考慮に入る、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記脂溶性含有成分が、直接、分光測定法で、特に比色分析法、好ましくは蛍光分析法で検査される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記脂溶性含有成分が、直接、分光光度法で検査される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
分析前に、前記抽出された含有成分が、クロマトグラフィー法によって濃縮され、適切な場合には、分析を妨害する随伴物質から分離される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記脂溶性含有成分が、反応によって変性された後、直接、分光測定法で、特に、比色分析法、好ましくは蛍光分析法で検査される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
分析が、食品および飼料中の着色料の検出に使用される、生物材料の含有成分を分析するための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項24】
前記分析が、食品および飼料中の色の偽和の追跡に使用される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
魚中のカロチノイドを分析するための、請求項23又は24に記載の使用。
【請求項26】
卵又は卵含有製品中の着色料を分析するための、請求項23又は24に記載の使用。
【請求項27】
前処理キットおよび抽出キットからなり、前記2つのキットに、それぞれ、生物材料と分析される物質に応じた前述の種類の溶媒又は溶媒混合物が入っている、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を実施するための分析装置。
【請求項28】
食品および飼料中の着色料を検出するための、請求項27に記載の分析装置。
【請求項29】
食品、特に、卵および魚中のカロチノイドを分光光度法で検出するための、請求項28に記載の分析装置。
【請求項30】
測定で容器の上半分が記録されるように光度計のビーム経路が調整される、請求項27に記載の抽出キットを形成する透明な容器中で生物材料の含有成分を測定するための、分光光度計、特に、携帯型光度計。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515667(P2011−515667A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500130(P2011−500130)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050664
【国際公開番号】WO2009/115352
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(509073682)
【氏名又は名称原語表記】SCHWEIGERT, Florian
【住所又は居所原語表記】Ringstrasse 62,12205 Berlin(DE)
【Fターム(参考)】