生物活性化合物の粒子サイズの低減
本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の平均サイズを、この生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%低減させるためにその中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有するこの流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させるステップによって低減させる方法を提供する。本方法は、生物活性化合物調製剤を製造するための工程に組み込むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液を磁場に通して誘導することにより水性懸濁液中の固形薬物粒子のサイズを低減させる方法に関し、それによりこの粒子サイズはマイクロメートル〜ナノメートル範囲に低減される。さらに、本発明は、入手されたナノ粒子の安定化を可能にする方法、ならびにこの安定化されたナノ粒子を含有する調製物に関する。本発明のこの調製物は、難溶性薬物粒子を経口送達するために特に重要である。
【0002】
より一般的には、本発明は、極めて小さなサイズの生物活性化合物の粒子の製造分野に含まれる。より詳細には、本発明は、生物活性化合物の粒子の懸濁液の磁気処理に関する。本発明は、結果として生じた粒子の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を調節する方法にさらに関する。最後に、本発明は、そのような小さなサイズの生物活性化合物粒子を組み込んでいる医薬製剤、植物医薬製剤および獣医学製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
新規の化学物質の分子構造はより複雑になってきており、依然として好ましい薬物投与経路である経口投与後に低水溶性および溶解速度限定性吸収を備える薬物となる。新しく合成された多数の分子が水性環境において難溶性であるという事実を考察すると、これらの化合物を有用な治療薬へ転換するステップは今もなお難易度が高い。水難溶性薬物の溶解およびバイオアベイラビリティを向上させるために一般に使用されてきた技術には、一般に微粉化、界面活性剤の使用、および固体分散体の形成が含まれる。
【0004】
固体状態の分散体内での6つのタイプの薬物−担体相互作用は、既に文献において説明されている:単純な共融混合物、固溶体、ガラス溶液、ガラス懸濁液、結晶性担体中の無定形沈殿物および化合物もしくは複合体形成。湿潤性の上昇、拡散層での担体による薬物の可溶化、ならびに凝集および凝集体形成の減少もしくは不在などの他の要素もまた溶解上昇の一因となることがある。
【0005】
溶解限定性経口吸収を有する薬物は、周知のNoyes−Whitney関係の変形である下記の方程式:
【0006】
【数1】
【0007】
(式中、dM/dtは溶解速度、Aは薬物粒子の比表面積、Dは拡散係数、hは拡散層の厚さ、Csは飽和溶解度、およびCtは時間tでの薬物濃度である)に指摘されているように、粒子サイズの低減から利益を得る可能性がある。表面積は粒子サイズが低減するにつれて増大するので、薬物物質の粒子サイズの低減によってより高度の溶解速度を達成し得る。この作用は、規則的に粉末化された形状とは対照的な所定の水難溶性薬物の微粉化後の優れた溶解速度によって明らかにされてきた。しかし、粒子サイズの低減は、溶解速度における予想された向上を必ずしも生じさせるわけではない。この作用は、表面エネルギーの上昇およびこれに伴うより強力な非極性分子間のファン・デル・ワールス引力に起因する極めて微細な粒子の凝集体形成および凝集に起因する有効表面積の減少の結果として発生する。このため、粒子の表面は、凝集体形成から保護される必要がある。
【0008】
米国特許第5,145,684号は、10mg/mL未満の水溶性を有する基本的に99.9〜10重量%の結晶性薬物物質から構成される粒子であって、この薬物物質が0.1〜90重量%の量でその表面に吸収された、約400nm未満の平均有効粒子サイズを維持するために十分な非架橋表面改質剤を有している粒子について開示している。詳細には、この特許は、約68〜520nmの範囲内の粒子サイズ分布および204nmの数平均粒子サイズを備える、5%ステロイドAを含む改質ステロイドA水性分散体を開示している。
【0009】
米国特許第5,503,723号は、ナノ粒子分散体を2つの電極間に配置してこの電極間に電場を印加するステップによってナノ粒子分散体精製することを開示しており、このときこの分散体は基本的に難溶性結晶性治療薬もしくは診断薬の粒子から構成され、この粒子の99%は400nm未満の粒子サイズを有しており、このナノ粒子を安定化できる表面改質剤と結び付いている。詳細には、この特許は粒子の10%のサイズが180nmへ低減されたダナゾール分散体について記載している。
【0010】
米国特許第5,858,410号は、ジェット流原理を用いて、Tween 80およびマンニトールなどの界面活性剤を用いて調製された、水、水性媒体および/または有機溶媒中に不溶性、難溶性もしくは中等度に可溶性の治療剤の粒子を含む薬物担体であって、このときこの治療剤が1,000nm未満の平均径を有し、総集団中の粒子サイズ5μmを超える粒子の比率が0.1%未満である薬物担体を開示している。詳細には、この特許は、2〜15%の置換プテリジンおよび少なくとも0.1%のTween 80を含む水性ナノ懸濁液であって、このとき平均粒径が200〜800nmの範囲内にある水性ナノ懸濁液について記載している。この特許は、低い(1%)薬物濃度を備える特別なテトラカイン組成物については、平均粒子サイズ91nmを備えるナノ懸濁液を入手できることも教示している。
【0011】
米国特許第5,922,355号は、(例えば、超音波処理、均質化、粉末化、微細流動化および沈殿、または再結晶化および抗溶媒沈殿法によって)粒子サイズを低減させる前もしくは低減させる間に、懸濁液もしくは固体形にあるリン脂質および表面改質剤の濃度が0.1〜50%の範囲内になるように、この粒子を(a)リン脂質、および(b)少なくとも1種の界面活性剤と混合すること、およびその後にこの混合物へエネルギーを印加することによって非水溶性もしくは水難溶性化合物の微粒子を調製することを開示している。この特許は、詳細には薬物濃度が2〜5%である薬物調製物を開示しているが、このとき平均粒子サイズは35〜98nmであり、この調製物を4℃で1週間以上保管した後に平均粒子サイズにおける実質的変動は生じない。
【0012】
米国特許第6,221,400号は、平均粒子サイズが400nm未満であるHIVプロテアーゼ阻害剤のナノ結晶性調製物を開示している。この特許は、詳細にはナノ粒子の平均サイズが127〜267nmであるインジナビルのナノ粒子組成物を記載している。
【0013】
PCT国際特許出願第02/055059号は、有機化合物のサブミクロンサイズの粒子を調製するための第1水混和性溶媒および第2水性溶媒の両方を含んでいる方法を開示している。これらの方法を用いると、平均粒径が180〜700nmの範囲内にある懸濁液調製物が得られる。
【0014】
したがって、先行技術出版物に共通する特徴は、平均粒子サイズがナノメートル範囲内にある、好ましくは500nm未満である薬物懸濁液を入手するのが極めて困難であることにある。これはおそらく、懸濁液中の薬物濃度が例えば5重量%未満のように低いことを前提にすると、極めて特殊な薬物でしか達成されなかった。
【0015】
イトラコナゾールは水難溶性の、通常は結晶性の有効成分であるので、イトラコナゾールに対してはそのバイオアベイラビリティを向上させるための多数の試みが実施されてきた。例えば、米国特許第6,346,533号は、向上したバイオアベイラビリティを示し、0.5〜10μmの粒径を有する無定形にあるイトラコナゾールを入手するための方法を開示している。米国特許第6,497,905号は、モノステアリン酸グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、もしくはワックスなどの通常は疎水性のビヒクルの固溶体として結晶性イトラコナゾールを無定形へ転換させることを開示している。この固溶体は、イトラコナゾールが乾量で約5〜60%で存在する顆粒状粒子の成分として使用できる。顆粒状粒子の粒子サイズは規定されていない。
【0016】
PCT国際特許出願第2004/043580号は、2種以上の不混和性液体を含むプレミックスを、このプレミックスを乳化するための条件下で1つ以上の磁場に通して流動させる、誘導する、もしくは循環させるステップを含む乳化方法であって、このプレミックスが好ましくは少なくとも1種の親水性液体および少なくとも1種の親油性液体を含む方法を開示している。この方法によって調製されたエマルジョンを獣医学組成物もしくは医薬組成物中に含めることはできるが、この文書自体は難溶性薬物の可溶化について言及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
当技術分野においては、様々な治療薬群の多数の生物活性化合物に対して、これらの化合物の水溶性が余りに低いために、動物およびヒトにおけるバイオアベイラビリティを改善するための必要が高まっている。
【0018】
本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物の粒子の実質的部分は、その中に懸濁させた生物活性化合物を有するこの流体を1回以上にわたり1つ以上の磁場に通して流動させることによってサイズを有意に低減させることができるという予想外の発見に基づいている。本発明のまた別の発見は、この方法で処理される多数の生物活性化合物、特には難溶性薬物が、インビトロおよびインビボの両方において、動物およびヒトにおける向上したバイオアベイラビリティを示すことにある。
【0019】
(定義)
本明細書で使用する用語「生物活性化合物」は、ヒト、動物もしくは植物の生体機能に作用する、もしくは影響を及ぼす化学物質であって、この化学物質が金属イオンおよび1つ以上の原子または例えばイオン結合および/またはイオン錯体の形態をとっている原子のグループを含んでいない限りにおける化学物質、好ましくは有機物質を意味する。
【0020】
本明細書で使用する用語「粒子」は、たとえば、限定されないが生物活性化合物の結晶、および通常は約1ナノメーター(nm)〜約10μm、好ましくは0.45μm〜約5μmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部分であるなどの個別の個々の単位を意味する。0.45μmの最小平均粒子サイズは、E. Weiner、Applications of Environmental Chemistry(2000), page 67に説明されているように水中に存在する全懸濁固形分(TSS)を濾過するために使用されるフィルターの公称孔径を意味する。
【0021】
本明細書で使用する用語「凝集体」は、通常は約10μm〜約100μmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部である粒子の集合を意味する。
【0022】
本明細書で使用する用語「ナノ粒子」は、約0.45μm(450nm)未満、好まし
くは1nm〜約450nmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部である粒子を意味する。
【0023】
本明細書で使用する用語「固体分散体」は、流体薬物−担体の組み合わせを固体状態へ転換させるステップによって形成された生成物を意味する。例えばCorrigan, Drug Dev. Ind. Pharm. 11(1985)697−724を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
第1の実施形態では、本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有するこの流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させることによって、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約80%低減させる方法および装置に関する。本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを低減させるための装置であって、この装置が、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体源と、1つ以上の磁場を発生させるための手段と、およびその中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有するこの流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させるための手段と,を含む装置をさらに提供する。工程制御のために必要であれば、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を備える流体の濁度を測定するための手段をこの装置内に含むことができる。さらにまた別の工程制御のために必要であれば、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の粒子サイズを測定するための手段をこの装置内に用意することもできる。
【0025】
本発明の方法によると、粒子もしくは凝集体の平均サイズに本方法が及ぼす作用は、磁場の強さがより高い場合、および/またはこの磁場を通過する流動回数がより多い場合は、有意により重要であることが理解されなければならない。市販されている各磁石の強さは通常は約10,000ガウスに限定されるので、有効磁場を増加させるための手段は、(特には処理所要時間を限定するために)直列に配列された多数の磁場装置に通して懸濁液を流動させる、および/または同一磁場に通して懸濁液を数回再循環させることである。好ましくは、本発明の方法を実施するために使用されるこの磁場の各々の強さは、少なくとも約2,000ガウスである。
【0026】
本発明によって磁気処理されるべき粒子もしくは凝集体中に存在する生物活性化合物は、極めて広範囲の種から選択されてよい。一般に、医薬製剤、獣医学製剤または植物医薬製剤として使用される化合物は有機物質である。このため、好ましい実施形態では、本発明は有機生物活性化合物の磁気処理に関する。本発明の方法は、生物活性化合物、特別には低溶解度および/または低溶解速度を有する生物活性化合物を、それを必要とする動物もしくはヒトへ経口投与するために適合する薬物送達調製物の調製において特に有用である。典型的には、溶解限定性経口吸収を有する薬物は、生物薬剤分類系(Biopharmaceutical Classification System、以下、BCSと呼ぶ)においてクラスIIもしくはクラスIV化合物であると分類されている。Pharm. Res.(1995)12:413−420におけるG. AmidonらによるBCSは、2つのクラスの難溶性薬物、すなわちクラスIIおよびクラスIV、ならびに2つのクラスの高溶解性薬物、すなわちクラスIおよびクラスIIIを規定している。M. Martinezら、Applying the Biopharmaceutical Classification System to Veterinary Pharmaceutical Products(Part I: Biopharmaceutics and Formulation Consideration), Advanced Drug Delivery Reviews(2002)54:805−824によると、薬物物質は最高用量強度が1〜7.5のpH範囲にわたり多くと
も250mLの水性媒体中で溶解性である場合は高度に可溶性であると分類すべきである。特に、本発明の方法を用いてこの化合物を調製することによってそのバイオアベイラビリティを向上させることのできる生物活性化合物には次のものが含まれる:アセチルサリチル酸、アンプレナビル、アニパミル、ベンタゾン、ベンゾカイン、ベンザフィブレート、ベキサロテン、ビペリデン、ブタゾリジン、カプトプリル、カルバマゼピン、クロラムフェニコール、クロファジミン、クロモグリク酸、クロトリマゾール、カフェイン、シクロスポリン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジリアゾン、ジルチアゼム、ジメトリダゾール、ジフェンヒドラミン、5,5−ジフェニルヒダントイン、ドロナビノール、デュタステライド、エトポシド、ステアリン酸エリスロマイシン、エスプロン、フェノフィブレート、フレカイニド、フロセミド、フルコナゾール、ガロパミル、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ヒドロクロロチアジド、イブプロフェン、インドメタシン、(イソ)トレチノイン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ロペラミド、ロピナビル、メルペロン、メタザクロル、ナリキシジン酸、ナフチドロフリル、ネキソパミル、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ニトロフラントイン、オキシブチニン、パラセタモール、ペントキシフィリン、パロキセチン、プラゾシン、プロパフェノン、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ラニチジン、リボフラビン、リスペリドン、リトナビル、サキナビル、シロリムス、セレギリン、スルファメタジン、スルファメトキサゾール、スルファチアゾール、スピリノラクトン、タクロリムス、テオフィリン、トルブタミド、トリアムテレン、トリメトプリム、バルプロ酸およびゾテピン。本発明によって処理し得る薬物もしくは生物活性化合物は、好ましくは約2.5mg/mL未満、0.1〜1mg/mL(すなわち、米国薬局方に規定されているように「極めて溶けにくい」)と同等の、さらに0.1mg/mL(すなわち、米国薬局方において規定されているように「ほとんど溶けない」)未満と同等の、さらにいっそう約5μg/mL未満と同等のの水溶性を有していてよく、さらに室温および生理的pHで約0.2μg/mLと同等という低い水溶性を有していてよい。そのような薬物の非限定的例には、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ニモジピン、フルフェナム酸、フロセミド、メフェナム酸、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸、ニトレンジピン、イトラコナゾール、サペルコナゾール、トログリタゾン、プラゾシン、アトバコン、ダナゾール、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ケトコナゾール、カルバマゼピン、スルファジアジン、フロルフェニコール、アセトヘキサミド、アジャマリン、ベンズブロマロン、安息香酸ベンジル、ベタメタゾン、クロラムフェニコール、クロルプロパミド、クロルサリドン、クロフィブレート、ジアゼパム、ジクマロール、ジギトキシン、エトトイン、グルテチミド、ヒドロコルチゾン、ヒドロフルメチアジド、ヒドロキニン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケリン、ニトラゼパム、ニトロフラントイン、ノバルギン、オキサゼパム、パパベリン、フェニルブタゾン、フェニントイン、プレドニゾロン、プレドニゾン、レセルピン、スピロノラクトン、スルファベンズアミド、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメトキシピリダジン、スクシニルスルファチアゾール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール(トリメトプリムとの混合物中でも)、スルファフェナゾール、スルファチアゾール、スルフィソキサゾール、スルピリド、テストステロンおよびジアミノピリミジン類が含まれる。ジアミノピリミジン類の適切な例には、制限なく、2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(トリメトプリムとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4−ジメトキシベンジル)ピリミジン(ジアベリジンとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4,6−トリメトキシベンジル)ピリミジン、2,4−ジアミノ−5−(2−メチル−4,5−ジメトキシベンジル)ピリミジン(オルメトプリムとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4−ジメトキシ−5−ブロモベンジル)ピリミジン、および2,4−ジアミノ−5−(4−クロロ−フェニル)−6−エチルピリミジン(ピリメタミンとして知られる)が含まれる。当業者には理解されるように、これらの薬物は、利尿薬、降圧薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬などの様々な治療薬クラスに属しており、ヒトまたは獣医学的使用のみには限定されない。生物活性
化合物は、さらにまた化粧品、診断薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤もしくは殺菌剤であってもよい。特により近年に開発された薬物、タンパク質およびペプチドは重要な部分を表している。これらの化合物は、インビボにおける迅速な薬物代謝および不都合な薬物動態とともに、難透過性、難溶性であり、生理的流体中で不安定であることが多い。このため、本発明の方法は、タンパク質およびペプチド薬を投与するための送達形を調製するために有用であることも実証することができる。
【0027】
本発明の方法が(上記に定義したような)生物活性化合物凝集体上で実施される場合は、この生物活性化合物凝集体の実質的部分の平均サイズは、約0.45μm〜5μmの範囲内へ低減させることができる、および/または低減したサイズを備える凝集体のこの実質的部分は、懸濁させた凝集体の少なくとも約50重量%である。本発明の方法が(上記に定義したような)生物活性化合物粒子上で実施される場合は、この生物活性化合物粒子の平均粒子サイズは約0.5nm〜約500nm、好ましくは1〜300nm、より好ましくは5〜200nm、最も好ましくは5〜100nmの範囲へ低減させることができる、および/または低減したサイズを備える粒子のこの実質的部分は、懸濁させた粒子の少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも20重量%である。当業者は、生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズが低減させる程度は、磁場の強さおよびそのような粒子もしくは凝集体を含む懸濁液の処理時間にだけではなく、例えば限定されないが生物活性化合物の性質(特には、イオン結合の性質および双極子強度)、生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁させられている流体の流量、この流体中のそのような粒子もしくは凝集体の濃度、処理中の物理的および化学的条件(pHを含む)、粒子の結晶形もしくは幾何学的形状、この粒子もしくは凝集体中、またはこの粒子もしくは凝集体と一緒の任意の他の成分の存在などにも依存する。以下ではすべてのそのようなパラメータをさらに詳細に考察するが、当業者であれば下記の教示を読むことで不要な実験的負担を伴わずに目標を達成するために、各パラメータおよびパラメータの所定の組み合わせに所定の変更を加えられることは理解されるであろう。
【0028】
好ましくは、生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体は、本発明の磁気処理中に優勢である温度および圧力条件下では液体である。より好ましくは、この流体は水であるが、この流体はまた、例えばアルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミド、もしくはそれらの混合物、または1種以上のそのような有機溶媒と水との組み合わせからなる群から選択される有機溶媒であってよい。当該の特定流体の選択について特別な制限はなく、これは関係する生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを有意に低減させる必要がある用途において優勢である通常の条件に適応させることができる。重要であるのは、この生物活性化合物粒子もしくは凝集体がこの流体中に実質的に懸濁されるのであって溶解されるのではないこと、すなわち好ましくはスラリーの形状で懸濁されることであるが、このときこの流体中のこの生物活性化合物粒子もしくは凝集体の濃度は、このスラリーを磁場に通して流動させる間に優勢である物理的(温度、圧力)および化学的(pH)条件下でこの流体中のこの生物活性化合物の溶解限度の少なくとも1.05倍、好ましくは少なくとも2倍である。所定の流体中の所定の生物活性化合物の溶解限度は、文献において容易に入手できる、または当技術分野において周知の技術を使用することによって当業者によって容易に決定することのできるパラメータである。溶解限度は温度およびpHに重度に依存する可能性があることは周知であるので、このためまず最初に、文献が特定の温度およびpH条件についての値について何も記載していない場合は注意深く決定しなければならない。明らかな実際的な理由から、流体中の生物活性化合物粒子もしくは凝集体の上方濃度は、流体が液体である場合は、この流体を1つ以上の磁場に通して有効線形流量で流動させるための必要性によって決定される、すなわち流体懸濁液の粘度によって決定される。
【0029】
所定の特別な用途のためには、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁され
る流体は、ガスもしくは超臨界流体(例、二酸化炭素)であってもよい。このガスもしくは臨界流体の性質は、この生物活性化合物の化学組成および反応性に広範に依存する可能性がある。
【0030】
流体が何であろうと、この流体を1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくはこの1つ以上の磁場を生成させるために使用された磁場材料のキュリー温度の半分未満の温度で、例えばAl−Ni−Co型の磁気機器に対しては約400℃未満で実行される(当業者には周知のように、キュリー温度は合金の正確な組成に左右される)。その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体が液体である場合は、この液体をこの1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくはこの流体をこの1つ以上の磁場に通して流動させる間に優勢である圧力下でこの流体の凝固点と沸点との間の温度で実施される。例えば、この流体が周囲圧力下で水である場合は、この液体をこの1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくは約2℃〜95℃の温度で実施される。
【0031】
本発明のサイズ低減処理を受けた生物活性化合物粒子は、例えば球形粒子、プリズム状粒子、ならびに立方晶形、正方晶形、六方晶形および八面形構造を含むがそれらに限定されないあらゆる幾何学的形状もしくは結晶形であってもよい。
【0032】
所定の用途にとっては、本発明の方法を、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される液体がサイズ低減された粒子もしくは凝集体の再凝集体形成もしくは再凝集を防止するための1種以上の安定剤を含んでいるような方法で実施するのが有益なことがある。そのような安定剤は、界面活性剤、ポリマー、親水性物質、ケイ酸塩またはそれらの組み合わせのいずれかであってよい。少なくとも微量のこの安定剤は最終医学的もしくは獣医学的送達形で存在したままである可能性はあるため、安定剤は、好ましくは医薬上許容される賦形剤であるべきである。このために適合する親水性物質は、特にグルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、マンニトールおよびデンプンなどの非限定的な化合物リストから選択することができる。この目的に適合するポリマーは、セルロース誘導体(例、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはカルシウム、ヒドロキシエチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース)、アルブミン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、シクロデキストリンおよびその誘導体、トラガカント、アカシアガム、ゼラチン、ペクチン、グアールガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート、ポリエチレングリコール、酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコールなどの非限定的リストから選択することができる。適切な界面活性剤は、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セトリミド、ドキュセートナトリウム、モノグリセリド、ジグリセリド、レシチン、タウロコール酸塩、ポリオキシエチレナルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリルアルコールなど、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
好ましくは、本発明による方法は、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁された流体を1つ以上の磁場に通して(例えば、閉鎖回路内で)2回以上再循環させるステップを含んでいる。再循環回数は、所定の用途に含まれる特定生物活性化合物を標的とする特定平均サイズへ容易に適合させることができる。その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体が、磁場処理が有意な程度までのサイズ低減を効果的に実施するのを可能にする速度で1つ以上の磁場に通して流動もしくは循環させることが重要で
ある。好ましくは、各この磁場を通るこの流体の線形流量は約0.25〜25m/秒である。磁場の長さを考慮に入れると、各この磁場を通過するこの流体の滞留時間は、回数もしくは再循環時間に依存して、約60マイクロ秒間〜10秒間であると計算することができる。
【0034】
本発明の磁場処理の通常の結果としてこの生物活性化合物粒子の懸濁液の濁度は変化する。サイズ低減およびそのようなサイズ低減が発生する程度によってより影響される粒子もしくは凝集体の集団に依存して(大きいサイズであるか中等度のサイズであるか)、当技術分野において周知の濁度計によって推定もしくは測定できるように、濁度は低減もしくは増加させることができる。このため濁度は、本発明の以下の他の実施形態に記載するように、結果として生じた粒子懸濁液を特性付けるための追加の特性として使用できる。
【0035】
また別の実施形態では、本発明は、さらに生物活性化合物粒子もしくは凝集体の使用を含み、この生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%減少させるステップを含み、このときこのステップが本発明の第1の実施形態に関して記載した方法を含む工程を提供する。そのような工程は、サイズ低減ステップ後に実施される1つ以上の後処理ステップをさらに含んでいてよい。
【0036】
この後処理ステップは、加熱ステップであってよい。また別の実施例では、この後処理ステップは、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が粒径減少ステップ中に懸濁させられている流体を実質的に除去するための乾燥させるステップであってよい。いずれかの知られている乾燥技術によって実施できるそのような乾燥ステップは、この工程のその後のステップへ乾燥させたより小さな粒子を提供するために必要になることがある。好ましい実施形態では、この工程は凍結乾燥ステップを含んでいる。第3実施形態のこの変形の特定実施例は、(i)生物活性化合物の粒子および/または凝集体および1種以上の安定剤を含む懸濁液を調製するステップと、(ii)この懸濁液を1つ以上の磁場に通して流動させるステップと、(iii)この混合物を即時に凍結するステップと、および(iv)固体分散体を入手するためにこの調製物を凍結乾燥するステップと、を含む生物活性化合物の固体分散体を調製するための工程である。また別の好ましい実施形態では、この工程は噴霧乾燥ステップを含んでいる。第3実施形態のこの変形の特定実施例は、(i)生物活性化合物の粒子および/または凝集体および1種以上の安定剤を含む懸濁液を調製するステップと、(ii)この懸濁液を1つ以上の磁場に通して流動させるステップと、(iii)固体分散体を入手するためにこの調製物を噴霧乾燥させるステップと、を含む生物活性化合物の固体分散体を調製するための工程である。あるいは、磁気処理後には、懸濁液を医薬ペレット剤(例えば、不活性糖スフェア)上でスプレーコーティングすることができ、これらのコーティングされたペレット剤はその後にカプセル剤または錠剤などの他の固形製剤に調製することができる。
【0037】
本発明のこの実施形態のまた別の変形では、後処理ステップは、1種以上のアジュバントもしくは添加物を低減したサイズを備える任意で乾燥させた粒子もしくは凝集体と一緒に混合するステップであってよい。そのような種類のアジュバントもしくは添加物を混合するステップは、ボールミリング法または当業者には周知の他の混合技術によって実施されてよい。
【0038】
本発明のこの実施形態のさらにまた別の変形では、後処理ステップはこの懸濁液内への流体の添加を通して低減したサイズを備える生物活性化合物粒子もしくは凝集体の懸濁液を希釈するステップであってよい。例えば、この希釈するステップにおいて使用される流体は、サイズ低減ステップにおいて存在する流体と混和性(例えば同一)であってよい。
【0039】
品質管理のために、本発明のこの実施形態の工程は、磁気処理法中もしくは磁気処理法後に生成される生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを調節する1つ以上のステップ、すなわち本発明の第1の実施形態を構成する方法をさらに含んでいてよい。含まれる粒子サイズの大きさのオーダーを考慮に入れると、このサイズを調節するステップは、好ましくは動的光散乱分析法によって実施される。この工程がサイズ低減ステップの後に実施される後処理ステップを含む場合は、それはこの後処理ステップ中もしくは後に生成される生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを調節する1つ以上のステップをさらに含んでいてよいが、この場合には、この後処理ステップ後のこのサイズを調節するステップは動的光散乱分析法によって実施されてよい。このサイズを調節するステップは、この工程の様々なステップ中に生成される粒子の平均サイズおよび/またはサイズ分布を測定できるような方法で実施されてよい。本発明の第3実施形態のまた別の変形では、後処理ステップは超超音波処理ステップであってよい。
【0040】
品質管理のためには、本発明のこの実施形態による工程は、この工程に含まれる生物活性化合物粒子もしくは凝集体の懸濁液の濁度を調節する1つ以上のステップをさらにまた含んでいてよい。この濁度を調節するステップは、適切には当業者であれば入手できるあらゆるタイプもしくは濁度計によって実施することができる。
【0041】
本発明はさらに、約1nm〜約40nm、好ましくは約2nm〜約20nm、より好ましくは約3nm〜約15nmの平均粒子サイズを備える、および/または狭い粒子サイズ分布(例えば、約1.1〜約4.0、好ましくは約1.2〜約3.0、より好ましくは約1.3〜約2.0の多分散性)を備えるたとえば上述したような所定の生物活性化合物の集団に関する。つまりそのように小さい粒子サイズおよび/または狭い粒子サイズ分布で製造することが決して可能ではなかった生物活性化合物に関する。そのような生物活性化合物粒子集団は、この磁気処理後に、超遠心分離、限外濾過もしくは例えば透過性膜を用いるナノ濾過などの当技術分野において周知の技術による分離ステップを実施することによって本発明の磁気処理から入手できる粒子から単離することができる。
【0042】
生物活性化合物は、それ自体として、またはさらに例えば乳化剤もしくは界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤もしくはその他の添加物などの1種以上の生理学的(例、医学的)に許容される賦形剤をさらに含むこの生物活性成分(例、薬物)の調製物として処理することができるが、このとき有効成分(例、薬物)の装填量、すなわち調製物中の有効成分(例、薬物)の比率もしくは含量は、広範囲にわたり変動してよい。例えば、この有効成分含量は、少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%であってよい。さらに、この有効成分含量は、多くとも約99重量%、好ましくは多くとも95重量%、より好ましくは多くとも50重量%であってよい。
【0043】
治療的に有効な調製物もしくは洗剤組成物にとって適合する乳化剤もしくは界面活性剤には、水溶性天然石鹸および水溶性合成界面活性剤が含まれる。適切な石鹸には、高級、好ましくは飽和の、脂肪酸(C10−C22)の、またはココヤシ油、パーム油もしくは獣脂油から入手できる天然脂肪酸混合物の、アルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換もしくは置換アンモニウム塩、例えばオレイン酸もしくはステアリン酸のナトリウムもしくはカリウム塩が含まれる。合成界面活性剤には、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤、例えばポリアクリル酸のナトリウムもしくはカルシウム塩;好ましくは8〜22個の炭素原子を含有するスルホン化ベンズイミダゾール誘導体;アルキルアリールスルホネート;および通常はアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換アンモニウム塩または8〜22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシルラジカルで置換されたアンモニウム塩の形態である、脂肪スルホン酸塩もしくは硫酸塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩または天然脂肪酸、脂肪アルコール/酸化エチレン付加物の硫酸もしくはスルホン酸エステル(ラウリル硫
酸ナトリウムなど)のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩から入手された脂肪アルコール硫酸塩の混合物が含まれる。アルキルアリールスルホネートの例は、ドデシルベンゼンスルホン酸もしくはジブチル−ナフタレンスルホン酸またはナフタレンースルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物のナトリウム、カルシウム、もしくはアルカノールアミン塩である。同様に適合するのはこれに対応するリン酸塩であり、例えばリン酸エステルの塩およびp−ノニルフェノールの酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの付加物などである。
【0044】
適切な乳化剤には、さらに脂肪酸(例、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸もしくはオレイン酸)の部分エステルまたは市販されているポリソルベートなどのソルビトール由来のヘキシトール無水物(例、ヘキシタンおよびヘキシド)が含まれる。使用できるその他の乳化剤には、商標名TweenとしてICI Americas社から市販されている界面活性剤;および商標名PluronicとしてBASF社によって市販されているポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)材料などの、上記の部分エステルの非エステル化ヒドロキシル基を備えるポリオキシエチレン鎖の付加物(1〜40モルの酸化エチレン)が含まれるが、それらに限定されない。
【0045】
本発明の生物活性調製物のための適切な構造形成剤、増粘剤もしくはゲル形成剤には、商標名Aerosilとして市販されている生成物などの高分散性ケイ酸塩;ベントナイト;モンモリロナイトのテトラアルキルアンモニウム塩(例、商標名Bentoneとして市販されている生成物)、このとき各アルキル基は1〜20個の炭素原子を含有していてよい;セトステアリルアルコールおよび改質ひまし油生成物(例、商標名Antisettleとして市販されている生成物)が含まれる。
【0046】
本発明の生物活性成分調製物に含めることのできるゲル化剤には、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアールガムなどの天然ガム;ゼラチン;二酸化ケイ素;カルボマーなどの合成ポリマー、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。ゼラチンおよび改質セルロースは、好ましいクラスのゲル化剤を表している。
【0047】
親水性セルロース誘導体は、本発明による治療上有効な成分の調製物のための医薬上許容される賦形剤としても同様に使用できる。本明細書で使用する用語「親水性」は、生理的に重要なpHで、水素結合、特に水分子と結合することのできる1つ以上の基、好ましくは非イオン化基を有するセルロース誘導体もしくはポリマーを意味する。本発明において使用できる親水性セルロースポリマーの適切な例には、エーテル結合置換基を有するポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシ−アルキルアルキルセルロース(このとき、アルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する)が含まれる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロース2−ヒドロキシプロピルメチルエーテル(以下、、HPMCと呼ぶ)である。これは、温水中には不溶性であるが、冷水中には緩徐に溶解するメチルセルロースの非イオン性水溶性エーテルである。医薬錠剤賦形剤として広範囲に使用されているHPMCは、様々な商標名を付けて市販されている。適切な等級のHPMCには、Dow Chemical社からのMethocel K100などの低粘性等級、Methocel K100Mなどの高粘性等級、およびShinetsu社からのMetolose 90SHシリーズなどの他のタイプが含まれる。
【0048】
両親媒性物質は、本発明による治療上有効な成分の調製物のための医薬上許容される賦形剤としても同様に使用できる。本明細書で使用する用語「両親媒性」は、例えば脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を含む疎水性部分、および親水性部分を有する物質を意味する。そのような両親媒性物質の適切な例には、グリセリド由来の部分とポリエチレングリコ
ールエステル由来の部分の両方を有する物質が含まれる。例えば、本発明における両親媒性物質賦形剤としてポリグリコシル化グリセリドを使用することが適合する。本明細書で使用する表現「ポリグリコシル化グリセリド」は、モノ−、ジ−およびトリグリセリドと好ましくは約200〜約600の分子量を備えるC8−C18脂肪酸のポリエチレングリコール(PEG)モノエステルおよびジエステルとの混合物を意味しており、任意でさらにグリセロールおよび/または遊離PEGを含む。ここで、PEGの親水性−親油性バランス(HLB)価はPEGの鎖長によって調節され、PEGの融点は脂肪酸の鎖長、PEGの鎖長および脂肪酸、したがって出発油の飽和度によって調節される。同様に、本明細書で使用する表現「C8−C18脂肪酸」は、様々な比率のこれらの酸が飽和している場合はカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸およびこれらの対応する不飽和酸の混合物を意味する。当業者には既知のように、これらの脂肪酸の比率は、出発油の関数として変動する可能性がある。後者の例には、商標名LabrasolとしてGattefosse Corporationによって販売されているPEG−8カプリル酸塩−カプリン酸グリセリドエステルなどの飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド;商標名Softigen 767としてHuls Aktiengesellschaftによって販売されているPEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド;商標名Crovol M−70としてCroda社によって販売されているPEG−60コーングリセリド;商標名Eumulgin B2としてHenkel Corporation社によって販売されているCeteareth−20;商標名TranscutolとしてGattefosse Corporationによって販売されているジエチレングリコールモノエチルエーテル;たとえば商標名Gelucire 48/09、Gelucire 44/14およびGelucire 42/12としてGattefosse Corporation社によって販売されているような約42〜48℃の範囲内の融点および約8〜16の範囲内のHLBを有するC8−C18飽和ポリグリコシル化グリセリドの混合物;および様々な比率にあるそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0049】
本発明による生物活性成分調製物中に存在していてよい他の任意の賦形剤には、酸化マグネシウム;アゾ染料;有機顔料および二酸化チタンなどの無機顔料;UV吸収剤;安定剤;臭気マスキング剤;増粘剤;例えばアスコルビン酸パルミテート、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、およびそれらの混合物;例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、没食子酸プロピル、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの保存料;エチレンジアミン四酢酸などの金属イオン遮蔽剤;天然バニリンなどのフレーバー剤;クエン酸もしくは酢酸などの緩衝剤;ケイ酸塩、珪藻土、酸化マグネシウムもしくは酸化アルミニウムなどの増量剤もしくは充填剤;マグネシウム塩などの緻密化剤;およびそれらの混合物などの添加物が含まれる。
【0050】
生物活性調製物が発泡性顆粒を作製することを企図している場合は、それは二酸化炭素遊離促進物質として作用する重炭酸ナトリウムおよびクエン酸もしくは酒石酸などの1種以上の弱酸を含んでいなければならない。そのような発泡性顆粒は、例えば義歯を洗浄するための発泡錠のために作製することができる。
【0051】
本発明の生物活性調製物中の最適な賦形剤およびそれらの比率は、当業者に周知の方法で、例えば限定されないが、調製される特定生物活性成分、エンドユーザーの必要条件、生物活性成分の装填量(すなわち、重量比率)および必要な生物活性成分(例、薬物)遊離特性(特に、動態)に依存する。
【0052】
本発明は、先行技術の方法に比して多数の長所を示す。第1に、このサイズ低減は、いずれかのタイプの安価で容易に入手できる磁気装置によって達成されるが、これは標的と
するサイズ低減の程度を微調整するための多数の方法と結び付けることができる。第2に、これは極めて多数の生物活性化合物、特に双極子を含む生物活性化合物の粒子および凝集体の実質的なサイズ低減を達成する。
【0053】
以下の実施例は、例示する目的でのみ提供するものであり、決して本発明の範囲を限定するものであると解釈すべきではない。
【実施例1】
【0054】
48mgのTween 80(英国ロンドンに所在するImperial Chemical Industries plc社から市販されている)を20mLの二重蒸留水と混合し、マグネチックバースターラーを用いて100rpmで数分間攪拌した。Tweenミセルは、ALV社(ドイツ国)から市販されているHe−Ne高性能粒度分析装置(2.5mW)を用いて動的光散乱法(以下、DLSと呼ぶ)によって粒度を分析した。図1は、Tween 80が水中で約10nmの平均粒径を備えるミセルへと組織化することを示している。
【実施例2】
【0055】
50mgのジアゼパム(ベルギー国のZwevegemに所在するAlpha Pharma NV社から市販されている)および48mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)を乳鉢内で粉砕した。150mLの二重蒸留水を添加し、この懸濁液を20分間にわたり超音波処理した。超音波処理後、この懸濁液をその後に使用するまで600rpmに設定したマグネチックスターラーを用いて持続的に攪拌した。
【0056】
磁気処理は、総容量が100mLであり、(1)チュービング(米国イリノイ州に所在するCole−Parmer Instrument Company社製のMasterflex Tygon lab l/P 70)、(2)Al−Ni−Coタイプの内部磁石(ベルギーのBorgerhoutに所在するCEPI−CO社製のW, SAN
R1/4D)、(3)三方向水平ボール弁(スイス国Schaffhausenに所在するGeorg Fischer Rohrleitungssysteme AG製の343 DN10/15型)、および(4)ポンプ(米国イリノイ州に所在するCole−Parmer Instrument Company製のMasterflexI/P)から構成される図2に示した閉鎖システム内で実施した。ポンプは、11m/秒の磁場通過速度に等しい4.7L/分の流量および装置の通過1回に付き136μsの磁場滞留時間で作動させた。一部のジアゼパム懸濁液を閉鎖システム内に導入し、磁場に通して再循環させた。
【0057】
磁場に通しての各々1,410および2,820回の再循環(通過)に相当する30および60分間の処理後に、サンプルを採取した。サンプル採取の直後に、DLS測定を実施した。これらのサンプルを粒度分析装置内に配置する前に振とうした。図3は、磁気処理の前後のジアゼパム分散剤の粒子サイズ分布を比較している。図3は、両方の磁気処理サンプルが有意な量の1μmより小さい粒子を有しており、主要集団が約11〜13nmの範囲と約200〜250nm範囲に中央を有することを示している。未処理参照サンプルは、1μm未満粒子は極めて少数しか含有しておらず、主要集団の発生は2.5μmで見られ得る。約10nmのサイズを備える粒子は、(実施例1の教示に基づくと)Tweenミセルの存在と高度に関連していると思われる。
【0058】
3,760回の再循環(通過)に対応する80分間の処理後に、第3サンプルを採取した。このサンプルを、1μmの孔径を有するポリスルホン膜(英国のメードストーンに所在するWhatman International LTDから市販されている)を備えるPuradisc 25 ASディスポーザブルフィルタに通して濾過した。その後
、結果として生じた濾液についてDLS測定を実施し、図4において未処理分散体の濾液と粒子サイズ分布を比較した。磁気処理懸濁液の粒子サイズ分布は、濾過を実施した場合(図4)および濾過を実施していない場合(図3)と類似であった。未処理懸濁液の濾液は、Tweenミセル(ピークは11nm)および200nmのジアゼパム粒子を含有している(図4)。これらの観察は、それらの存在が1μmより大きな粒子が富裕であることによって遮蔽されたために、未濾過、未処理懸濁液を分析したときには明らかにならなかった(図3)。そこで、未処理分散体中のマイクロメーターサイズの粒子は、本発明の磁気処理によってナノメーターサイズの粒子に破砕されたと結論することができる。
【実施例3】
【0059】
2g/Lのジアゼパム(ベルギー国のZwevegemに所在するAlpha Pharma NV社から市販されている)および2g/LのTween 80(実施例1に記載したものと同一)を乳鉢内で二重蒸留水と混合した。結果として生じた懸濁液をビーカーに注ぎ入れ、20分間にわたり超音波処理し、その後に使用するまでマグネチックスターラーを使用して600rpmで持続的に攪拌し続けた。
【0060】
この懸濁液の一部を、実施例2で使用したものに類似するが、総用量が150mLである閉鎖システム(図2A)内で磁気処理にかけた。磁場を通しての2,820回の再循環に相当する4.7L/分での処理の90分後に、濾過するために磁気処理サンプルを収集した。この懸濁液の第2部分は、内蔵磁気装置を備えていない150mLの閉鎖システム(図2B)内で処理した。磁場を通しての2,820回の再循環に相当する4.7L/分での処理の90分後に、濾過するために空再循環サンプルを収集した。最初の懸濁液の第3の部分は、1時間にわたり600rpmでマグネチックスターラーを使用して持続的に攪拌した(未処理参照サンプル)。
【0061】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと呼ぶ)を備え、孔径が0.45μmであるProFillシリンジフィルタ(米国イリノイ州に所在するAlltech Associates Inc.から市販されている)を二重蒸留水で洗浄し、70℃で12時間かけて乾燥させた。PTFEを備えて孔径が0.2μmであるProFillシリンジフィルタ(米国イリノイ州に所在するAlltech Associates Inc.から市販されている)は洗浄も乾燥もしなかった。40mLの懸濁液を濾過し、濾液をペトリ皿へ注ぎ入れ、フィルタとペトリ皿の両方を70℃で48時間にわたり乾燥させた。この実験は、両方のタイプのフィルタを使用して、磁気処理、空再循環および未処理の懸濁液を用いて実施した。乾燥させた後、ペトリ皿中およびフィルタ上に存在する固形物質の量を各実験について定量した。以下の表1は、総乾質量の百分率としてのフィルタによって保持された物質の量を表している。
【0062】
【表1】
【0063】
濾過中に界面活性剤(Tween 80)が全く保持されなかったと想定すると、ほぼ全部のジアゼパム(94〜96%)は、未処理参照サンプル中には450nmおよび200nm両方のフィルタによって保持されると結論することができる。空再循環サンプル中では、ジアゼパムの32%は450nmより大きく、42%は200nmより大きい。他方磁気処理サンプル中では、450nmより大きいジアゼパムは10%に過ぎず、200nmより大きいのは16%である。これは、粒子の寸法に磁気処理が及ぼす有益な作用を例示している。空再循環サンプル中には未処理サンプル中に比較してフィルタ上により少ないジアゼパムが保持されていたという事実は、上昇した溶解度(例、ポンプによって生成された熱に起因するために)、閉鎖システムと接触している粒子の摩耗などを含む多数の要素によって説明し得る。
【実施例4】
【0064】
4種の相違するサンプルについての2θ=0.7〜2θ=40のX線回折図は、0.02/4秒のステップでSiemens D5000 matic X線回折計を用いて測定した。第1のサンプルは、結晶性イトラコナゾール(ベルギー国Beerseに所在するJanssen Pharmaceutica社から入手できる;表2では「itra」と略記されている)であった(X線回折パターンは図5に示されている)。第2のサンプルは、250mgのこの結晶性イトラコナゾールを、120mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)界面活性剤を含む80mLの二重蒸留水中に懸濁させることによって調製した。この懸濁液は磁気装置を備えていない80mL閉鎖システム(図2B)内で、4.7L/分で1時間にわたり空再循環させたが、これは3,525回の再循環に相当する。空再循環の直後に、分散体を液体窒素中で保持した予冷ボール内で凝固させた。一晩にわたる凍結乾燥で水を1mbar未満で昇華させ、粉末サンプルを入手した(図6に示したX線回折パターン)。第3サンプルは、450mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ベルギー国Turnhoutに所在するSanico社から、商標名HPMC 2910として市販で入手できる。HPMC2910は、セルロース上のヒドロキシプロピル置換基の10重量%およびメチル置換基の29重量%を示している)、300mgの結晶性イトラコナゾールおよび120mgのTween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによって調製した。結果として生じた懸濁液を、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環(通過)に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(X線回折パターンは図7に示した)。第4サンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールおよび100mgのTween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによ
って調製した。この懸濁液を、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環(通過)に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(X線回折パターンは図8に示した)。
【0065】
4種のサンプルについて、2つの回折図ピークの幅の比較を実施した(表2)。XRD回折図における幅広がりのピークの発生は、当業者によってナノサイズの粒子が存在することを明確に示していると見なされる。ピークの幅広がりを引き起こす臨界サイズもまた推定できる。(1)イトラコナゾール分子のサイズが約1.5nmであること、そして(2)ピークの幅広がりを引き起こす反復単位の推定最高量は約50であると推定すると、75nm未満の粒子だけがピークの幅広がりの原因であると計算できる。
【0066】
【表2】
【0067】
磁気処理サンプルについて観察されたピーク幅は、未処理もしくは空再循環サンプルのものより明らかに高かったが、これは磁気処理サンプルがナノサイズのイトラコナゾール粒子をより多く含むことを示している。
【実施例5】
【0068】
結晶性イトラコナゾールを含有する2種のサンプル(実施例4と同一)を、商標名XL30 ESEM FEGとしてFEI Company(米国オレゴン州)から入手できる環境走査型電子顕微鏡(ESEM)を用いて分析した。第1のサンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールを、120mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)界面活性剤を含む80mLの二重蒸留水中に懸濁させることによって調製した。この懸濁液は磁気装置を備えていない80mL閉鎖システム(図2B)内で4.7L/分で1時間にわたり空再循環させたが、これは3,525回の再循環に相当する。空再循環の直後に、分散体、液体窒素中で保持した予冷ボール内で凝固させた。一晩にわたる凍結乾燥で水を1mbar未満で昇華させ、粉末サンプルを入手した(図9に示したSEM写真)。第2のサンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールおよび100mgの界面活性剤Tween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによって調製した。この懸濁液は、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(SEM写真は図10に示した)。
【0069】
空再循環サンプルのESEM写真(図9)は、自形結晶形態を備える主として大きな粒子を示している。写真の中心には、長さおよそ80μmおよび幅およそ20μmを備える大きなニードル形粒子が観察される。この粒子は、数マイクロメーターから数十マイクロメーターの少なくとも1つの寸法を備える極めて多数の大きな粒子に取り囲まれている。これらの粒子の多くの量は1つの寸法が他の寸法より明らかに長い結晶サイドを有するニードル形であるが、他の一部の大きな粒子は相違する形状を有する。しかしいずれにせよ
、大きな粒子の結晶面は明確な形状である。これらの大きな粒子の上には、サイズ約1μmの少量の粒子が散乱している。これらの小さな粒子は、大きな粒子の極めて平滑な結晶面上の凹凸として観察される。
【0070】
磁気処理サンプルのESEM写真(図10)の中央は、長さおよそ60μmおよびおよそ幅30μmを備える粒子を示している。上側の結晶面は、中央では平滑であるが、両側の近くでは不規則である。この結晶面はさらに、2つの大きな亀裂も示している(1つは長さが20μm、もう1つは長さが10μm)。この大きな粒子の結晶形態は、空再循環サンプルの大きな粒子よりはるかに形状が明確ではないことが明らかである。記載した粒子は、図10において示した大きな粒子だけである。無作為の形状のより小さな断片の多量の凝集体が大きな粒子の周囲に散乱している(図10)。これらの凝集体の個々の断片はおよそ1μmの寸法を有する。
【0071】
磁気処理サンプル(図10)と参照サンプル(図9)の間の明確なサイズおよび形状の相違は、磁気処理による有意な粒子サイズ低減の発生を確証した。
【実施例6】
【0072】
ロペラミド(ベルギー国Beerseに所在するJanssen Pharmaceutica社から市販されている)を含有する4種のサンプルを調製し、それらの溶解プロファイルを測定した。1g/Lのロペラミドおよび10g/LのAerosil 380(ドイツ国デュッセルドルフに所在するDegussaa社から市販されているケイ酸塩)を乳鉢中で二重蒸留水と混合した。未処理サンプルは、液体窒素中に維持した予冷ボール中でのこの懸濁液の一部の迅速な凝固およびその後の凍結乾燥によって調製した。懸濁液のまた別の部分は、図2Cのセットアップに従った、そして(1)ガラス製漏斗、(2)チュービング(Masterflex Tygonlab I/P 70、Cole−Parmer Instrument Company社、米国イリノイ州)、(3)ポンプ(Masterflex I/P、Cole−Parmer Instrument
Company社、米国イリノイ州)、(4)Al−Ni−Coタイプの内蔵磁石(商標名W SAN R1/4Dとしてベルギー国Borgerhoutに所在するCEPI−CO社から市販されている)、および(5)液体窒素中に維持した予冷ボールから構成される一連の9個の連結磁気装置を通してポンプで送出した。磁場を通る11m/秒の速度に相当する4.7L/minの流速および磁場内での9×136μsの滞留時間を使用した。システムの出口では、この懸濁液は液体窒素中に維持した予冷ボール中で凝固させ、その後に凍結乾燥を実施した。これらの未処理および磁気処理サンプルの溶解プロファイルは図11に示されている。
【0073】
1g/Lのロペラミドおよび25mg/Lの界面活性剤Tween 80を乳鉢中で二重蒸留水と混合した。未処理サンプルは、液体窒素中に維持した予冷ボール中でのこの懸濁液の一部の迅速な凝固およびその後の凍結乾燥によって調製した。この懸濁液のまた別の部分は、本明細書に記載した同一条件を用いて図2Cに記載の構成に従って一連の9個の連続磁気装置に通してポンプで送出した。この磁気システムの出口では、この懸濁液は液体窒素中に維持した予冷ボール中で凝固させ、その後に凍結乾燥を実施した。これらの未処理および磁気処理サンプルの溶解プロファイルは図12に示されている。
【0074】
溶解実験は、USP 24法(パドル法、100rpm)を使用しながら、SR8 PLUS Hanson溶解試験ステーション(米国Chatsworth社から市販されている)において実施した。サンプル(16.7mgのロペラミドに相当する)を水中の0.005M フタル酸水素カリウム(ベルギー国Geelに所在するAcros Organics社から市販されている)および0.00192N NaOHの溶液である500mLの溶解媒体へ添加し、溶解媒体の温度は37±0.1℃に維持した。2mLのサ
ンプルを採取し、直ちに10、20、30、45、60および120分後に各々新鮮溶解媒体と取り替え、その後0.45μmのPVDFフィルタ(米国ニューヨーク州に所在するPall Corporationから市販されている)を用いてHPLCバイアル(1.5mL、ドイツ国ダルムシュタットに所在するMerck社から市販されている)内へ濾過した。対応する濃度は、HPLCを用いた検量線から決定した。
【0075】
この決定のために使用したHPLCシステムは、全部がMerck−Hitachi社(ドイツ国ダルムシュタット)から市販されているLiChroGraphs(登録商標)L−7100 HPLCポンプ、100μLループを装備したL−7200型オートサンプラ、220nmに設定したL−7400型UV検出器、およびInterface D−7000から構成した。UVシグナルを検出し、D−7000 HSMソフトウエアを用いてピークを積分した。全部のクロマトグラフィー分離は室温で実施した。使用したカラムは、Hypersil BDS C18(ドイツ国ダルムシュタットに所在するMerck社から市販されている)であった。移動相は0.001Mのアセトニトリル/テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート混合物(容量で30:70)から構成され、使用前に超音波処理によって脱気させた。流量は、総計1mL/分であった。これらの条件でのロペラミドの保持時間は7分であった。
【0076】
ケイ酸塩(Aerosil)の存在下および界面活性剤(Tween 80)の存在下のどちらにおいても、図11および1は、ロペラミドの溶解速度が、対応する未処理サンプルと比較して本発明の磁気処理によって有意に上昇することを示している。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】動的光散乱法によって測定された、水中のTween 80界面活性剤のミセルサイズ分布を示した図である。
【図2】本発明の方法の1つの実施形態を実施するための装置の3つの概略構成図である。
【図3】未処理参照サンプルと比較した、2種の磁気処理ジアゼパムサンプルの粒子サイズ分布を示した図である。
【図4】濾過後の未処理参照サンプルと比較した、磁気処理ジアゼパムサンプルの粒子サイズ分布を示した図である。
【図5】未処理結晶性イトラコナゾールのX線回折パターンを示した図である。
【図6】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図7】イトラコナゾール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図8】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図9】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の混合物の環境走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示した図である。
【図10】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物の環境SEM写真を示した図である。
【図11】未処理混合物と比較した、ロペラミドおよびケイ酸塩の磁気処理混合物の溶解プロファイルを示した図である。
【図12】未処理混合物と比較した、ロペラミドおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物の溶解プロファイルを示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液を磁場に通して誘導することにより水性懸濁液中の固形薬物粒子のサイズを低減させる方法に関し、それによりこの粒子サイズはマイクロメートル〜ナノメートル範囲に低減される。さらに、本発明は、入手されたナノ粒子の安定化を可能にする方法、ならびにこの安定化されたナノ粒子を含有する調製物に関する。本発明のこの調製物は、難溶性薬物粒子を経口送達するために特に重要である。
【0002】
より一般的には、本発明は、極めて小さなサイズの生物活性化合物の粒子の製造分野に含まれる。より詳細には、本発明は、生物活性化合物の粒子の懸濁液の磁気処理に関する。本発明は、結果として生じた粒子の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を調節する方法にさらに関する。最後に、本発明は、そのような小さなサイズの生物活性化合物粒子を組み込んでいる医薬製剤、植物医薬製剤および獣医学製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
新規の化学物質の分子構造はより複雑になってきており、依然として好ましい薬物投与経路である経口投与後に低水溶性および溶解速度限定性吸収を備える薬物となる。新しく合成された多数の分子が水性環境において難溶性であるという事実を考察すると、これらの化合物を有用な治療薬へ転換するステップは今もなお難易度が高い。水難溶性薬物の溶解およびバイオアベイラビリティを向上させるために一般に使用されてきた技術には、一般に微粉化、界面活性剤の使用、および固体分散体の形成が含まれる。
【0004】
固体状態の分散体内での6つのタイプの薬物−担体相互作用は、既に文献において説明されている:単純な共融混合物、固溶体、ガラス溶液、ガラス懸濁液、結晶性担体中の無定形沈殿物および化合物もしくは複合体形成。湿潤性の上昇、拡散層での担体による薬物の可溶化、ならびに凝集および凝集体形成の減少もしくは不在などの他の要素もまた溶解上昇の一因となることがある。
【0005】
溶解限定性経口吸収を有する薬物は、周知のNoyes−Whitney関係の変形である下記の方程式:
【0006】
【数1】
【0007】
(式中、dM/dtは溶解速度、Aは薬物粒子の比表面積、Dは拡散係数、hは拡散層の厚さ、Csは飽和溶解度、およびCtは時間tでの薬物濃度である)に指摘されているように、粒子サイズの低減から利益を得る可能性がある。表面積は粒子サイズが低減するにつれて増大するので、薬物物質の粒子サイズの低減によってより高度の溶解速度を達成し得る。この作用は、規則的に粉末化された形状とは対照的な所定の水難溶性薬物の微粉化後の優れた溶解速度によって明らかにされてきた。しかし、粒子サイズの低減は、溶解速度における予想された向上を必ずしも生じさせるわけではない。この作用は、表面エネルギーの上昇およびこれに伴うより強力な非極性分子間のファン・デル・ワールス引力に起因する極めて微細な粒子の凝集体形成および凝集に起因する有効表面積の減少の結果として発生する。このため、粒子の表面は、凝集体形成から保護される必要がある。
【0008】
米国特許第5,145,684号は、10mg/mL未満の水溶性を有する基本的に99.9〜10重量%の結晶性薬物物質から構成される粒子であって、この薬物物質が0.1〜90重量%の量でその表面に吸収された、約400nm未満の平均有効粒子サイズを維持するために十分な非架橋表面改質剤を有している粒子について開示している。詳細には、この特許は、約68〜520nmの範囲内の粒子サイズ分布および204nmの数平均粒子サイズを備える、5%ステロイドAを含む改質ステロイドA水性分散体を開示している。
【0009】
米国特許第5,503,723号は、ナノ粒子分散体を2つの電極間に配置してこの電極間に電場を印加するステップによってナノ粒子分散体精製することを開示しており、このときこの分散体は基本的に難溶性結晶性治療薬もしくは診断薬の粒子から構成され、この粒子の99%は400nm未満の粒子サイズを有しており、このナノ粒子を安定化できる表面改質剤と結び付いている。詳細には、この特許は粒子の10%のサイズが180nmへ低減されたダナゾール分散体について記載している。
【0010】
米国特許第5,858,410号は、ジェット流原理を用いて、Tween 80およびマンニトールなどの界面活性剤を用いて調製された、水、水性媒体および/または有機溶媒中に不溶性、難溶性もしくは中等度に可溶性の治療剤の粒子を含む薬物担体であって、このときこの治療剤が1,000nm未満の平均径を有し、総集団中の粒子サイズ5μmを超える粒子の比率が0.1%未満である薬物担体を開示している。詳細には、この特許は、2〜15%の置換プテリジンおよび少なくとも0.1%のTween 80を含む水性ナノ懸濁液であって、このとき平均粒径が200〜800nmの範囲内にある水性ナノ懸濁液について記載している。この特許は、低い(1%)薬物濃度を備える特別なテトラカイン組成物については、平均粒子サイズ91nmを備えるナノ懸濁液を入手できることも教示している。
【0011】
米国特許第5,922,355号は、(例えば、超音波処理、均質化、粉末化、微細流動化および沈殿、または再結晶化および抗溶媒沈殿法によって)粒子サイズを低減させる前もしくは低減させる間に、懸濁液もしくは固体形にあるリン脂質および表面改質剤の濃度が0.1〜50%の範囲内になるように、この粒子を(a)リン脂質、および(b)少なくとも1種の界面活性剤と混合すること、およびその後にこの混合物へエネルギーを印加することによって非水溶性もしくは水難溶性化合物の微粒子を調製することを開示している。この特許は、詳細には薬物濃度が2〜5%である薬物調製物を開示しているが、このとき平均粒子サイズは35〜98nmであり、この調製物を4℃で1週間以上保管した後に平均粒子サイズにおける実質的変動は生じない。
【0012】
米国特許第6,221,400号は、平均粒子サイズが400nm未満であるHIVプロテアーゼ阻害剤のナノ結晶性調製物を開示している。この特許は、詳細にはナノ粒子の平均サイズが127〜267nmであるインジナビルのナノ粒子組成物を記載している。
【0013】
PCT国際特許出願第02/055059号は、有機化合物のサブミクロンサイズの粒子を調製するための第1水混和性溶媒および第2水性溶媒の両方を含んでいる方法を開示している。これらの方法を用いると、平均粒径が180〜700nmの範囲内にある懸濁液調製物が得られる。
【0014】
したがって、先行技術出版物に共通する特徴は、平均粒子サイズがナノメートル範囲内にある、好ましくは500nm未満である薬物懸濁液を入手するのが極めて困難であることにある。これはおそらく、懸濁液中の薬物濃度が例えば5重量%未満のように低いことを前提にすると、極めて特殊な薬物でしか達成されなかった。
【0015】
イトラコナゾールは水難溶性の、通常は結晶性の有効成分であるので、イトラコナゾールに対してはそのバイオアベイラビリティを向上させるための多数の試みが実施されてきた。例えば、米国特許第6,346,533号は、向上したバイオアベイラビリティを示し、0.5〜10μmの粒径を有する無定形にあるイトラコナゾールを入手するための方法を開示している。米国特許第6,497,905号は、モノステアリン酸グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、もしくはワックスなどの通常は疎水性のビヒクルの固溶体として結晶性イトラコナゾールを無定形へ転換させることを開示している。この固溶体は、イトラコナゾールが乾量で約5〜60%で存在する顆粒状粒子の成分として使用できる。顆粒状粒子の粒子サイズは規定されていない。
【0016】
PCT国際特許出願第2004/043580号は、2種以上の不混和性液体を含むプレミックスを、このプレミックスを乳化するための条件下で1つ以上の磁場に通して流動させる、誘導する、もしくは循環させるステップを含む乳化方法であって、このプレミックスが好ましくは少なくとも1種の親水性液体および少なくとも1種の親油性液体を含む方法を開示している。この方法によって調製されたエマルジョンを獣医学組成物もしくは医薬組成物中に含めることはできるが、この文書自体は難溶性薬物の可溶化について言及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
当技術分野においては、様々な治療薬群の多数の生物活性化合物に対して、これらの化合物の水溶性が余りに低いために、動物およびヒトにおけるバイオアベイラビリティを改善するための必要が高まっている。
【0018】
本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物の粒子の実質的部分は、その中に懸濁させた生物活性化合物を有するこの流体を1回以上にわたり1つ以上の磁場に通して流動させることによってサイズを有意に低減させることができるという予想外の発見に基づいている。本発明のまた別の発見は、この方法で処理される多数の生物活性化合物、特には難溶性薬物が、インビトロおよびインビボの両方において、動物およびヒトにおける向上したバイオアベイラビリティを示すことにある。
【0019】
(定義)
本明細書で使用する用語「生物活性化合物」は、ヒト、動物もしくは植物の生体機能に作用する、もしくは影響を及ぼす化学物質であって、この化学物質が金属イオンおよび1つ以上の原子または例えばイオン結合および/またはイオン錯体の形態をとっている原子のグループを含んでいない限りにおける化学物質、好ましくは有機物質を意味する。
【0020】
本明細書で使用する用語「粒子」は、たとえば、限定されないが生物活性化合物の結晶、および通常は約1ナノメーター(nm)〜約10μm、好ましくは0.45μm〜約5μmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部分であるなどの個別の個々の単位を意味する。0.45μmの最小平均粒子サイズは、E. Weiner、Applications of Environmental Chemistry(2000), page 67に説明されているように水中に存在する全懸濁固形分(TSS)を濾過するために使用されるフィルターの公称孔径を意味する。
【0021】
本明細書で使用する用語「凝集体」は、通常は約10μm〜約100μmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部である粒子の集合を意味する。
【0022】
本明細書で使用する用語「ナノ粒子」は、約0.45μm(450nm)未満、好まし
くは1nm〜約450nmの範囲内の平均サイズを有する集団の一部である粒子を意味する。
【0023】
本明細書で使用する用語「固体分散体」は、流体薬物−担体の組み合わせを固体状態へ転換させるステップによって形成された生成物を意味する。例えばCorrigan, Drug Dev. Ind. Pharm. 11(1985)697−724を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
第1の実施形態では、本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有するこの流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させることによって、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約80%低減させる方法および装置に関する。本発明は、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを低減させるための装置であって、この装置が、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体源と、1つ以上の磁場を発生させるための手段と、およびその中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有するこの流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させるための手段と,を含む装置をさらに提供する。工程制御のために必要であれば、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を備える流体の濁度を測定するための手段をこの装置内に含むことができる。さらにまた別の工程制御のために必要であれば、流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の粒子サイズを測定するための手段をこの装置内に用意することもできる。
【0025】
本発明の方法によると、粒子もしくは凝集体の平均サイズに本方法が及ぼす作用は、磁場の強さがより高い場合、および/またはこの磁場を通過する流動回数がより多い場合は、有意により重要であることが理解されなければならない。市販されている各磁石の強さは通常は約10,000ガウスに限定されるので、有効磁場を増加させるための手段は、(特には処理所要時間を限定するために)直列に配列された多数の磁場装置に通して懸濁液を流動させる、および/または同一磁場に通して懸濁液を数回再循環させることである。好ましくは、本発明の方法を実施するために使用されるこの磁場の各々の強さは、少なくとも約2,000ガウスである。
【0026】
本発明によって磁気処理されるべき粒子もしくは凝集体中に存在する生物活性化合物は、極めて広範囲の種から選択されてよい。一般に、医薬製剤、獣医学製剤または植物医薬製剤として使用される化合物は有機物質である。このため、好ましい実施形態では、本発明は有機生物活性化合物の磁気処理に関する。本発明の方法は、生物活性化合物、特別には低溶解度および/または低溶解速度を有する生物活性化合物を、それを必要とする動物もしくはヒトへ経口投与するために適合する薬物送達調製物の調製において特に有用である。典型的には、溶解限定性経口吸収を有する薬物は、生物薬剤分類系(Biopharmaceutical Classification System、以下、BCSと呼ぶ)においてクラスIIもしくはクラスIV化合物であると分類されている。Pharm. Res.(1995)12:413−420におけるG. AmidonらによるBCSは、2つのクラスの難溶性薬物、すなわちクラスIIおよびクラスIV、ならびに2つのクラスの高溶解性薬物、すなわちクラスIおよびクラスIIIを規定している。M. Martinezら、Applying the Biopharmaceutical Classification System to Veterinary Pharmaceutical Products(Part I: Biopharmaceutics and Formulation Consideration), Advanced Drug Delivery Reviews(2002)54:805−824によると、薬物物質は最高用量強度が1〜7.5のpH範囲にわたり多くと
も250mLの水性媒体中で溶解性である場合は高度に可溶性であると分類すべきである。特に、本発明の方法を用いてこの化合物を調製することによってそのバイオアベイラビリティを向上させることのできる生物活性化合物には次のものが含まれる:アセチルサリチル酸、アンプレナビル、アニパミル、ベンタゾン、ベンゾカイン、ベンザフィブレート、ベキサロテン、ビペリデン、ブタゾリジン、カプトプリル、カルバマゼピン、クロラムフェニコール、クロファジミン、クロモグリク酸、クロトリマゾール、カフェイン、シクロスポリン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジリアゾン、ジルチアゼム、ジメトリダゾール、ジフェンヒドラミン、5,5−ジフェニルヒダントイン、ドロナビノール、デュタステライド、エトポシド、ステアリン酸エリスロマイシン、エスプロン、フェノフィブレート、フレカイニド、フロセミド、フルコナゾール、ガロパミル、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ヒドロクロロチアジド、イブプロフェン、インドメタシン、(イソ)トレチノイン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ロペラミド、ロピナビル、メルペロン、メタザクロル、ナリキシジン酸、ナフチドロフリル、ネキソパミル、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ニトロフラントイン、オキシブチニン、パラセタモール、ペントキシフィリン、パロキセチン、プラゾシン、プロパフェノン、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ラニチジン、リボフラビン、リスペリドン、リトナビル、サキナビル、シロリムス、セレギリン、スルファメタジン、スルファメトキサゾール、スルファチアゾール、スピリノラクトン、タクロリムス、テオフィリン、トルブタミド、トリアムテレン、トリメトプリム、バルプロ酸およびゾテピン。本発明によって処理し得る薬物もしくは生物活性化合物は、好ましくは約2.5mg/mL未満、0.1〜1mg/mL(すなわち、米国薬局方に規定されているように「極めて溶けにくい」)と同等の、さらに0.1mg/mL(すなわち、米国薬局方において規定されているように「ほとんど溶けない」)未満と同等の、さらにいっそう約5μg/mL未満と同等のの水溶性を有していてよく、さらに室温および生理的pHで約0.2μg/mLと同等という低い水溶性を有していてよい。そのような薬物の非限定的例には、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ニモジピン、フルフェナム酸、フロセミド、メフェナム酸、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸、ニトレンジピン、イトラコナゾール、サペルコナゾール、トログリタゾン、プラゾシン、アトバコン、ダナゾール、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ケトコナゾール、カルバマゼピン、スルファジアジン、フロルフェニコール、アセトヘキサミド、アジャマリン、ベンズブロマロン、安息香酸ベンジル、ベタメタゾン、クロラムフェニコール、クロルプロパミド、クロルサリドン、クロフィブレート、ジアゼパム、ジクマロール、ジギトキシン、エトトイン、グルテチミド、ヒドロコルチゾン、ヒドロフルメチアジド、ヒドロキニン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ケリン、ニトラゼパム、ニトロフラントイン、ノバルギン、オキサゼパム、パパベリン、フェニルブタゾン、フェニントイン、プレドニゾロン、プレドニゾン、レセルピン、スピロノラクトン、スルファベンズアミド、スルファジメトキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメトキシピリダジン、スクシニルスルファチアゾール、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール(トリメトプリムとの混合物中でも)、スルファフェナゾール、スルファチアゾール、スルフィソキサゾール、スルピリド、テストステロンおよびジアミノピリミジン類が含まれる。ジアミノピリミジン類の適切な例には、制限なく、2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(トリメトプリムとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4−ジメトキシベンジル)ピリミジン(ジアベリジンとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4,6−トリメトキシベンジル)ピリミジン、2,4−ジアミノ−5−(2−メチル−4,5−ジメトキシベンジル)ピリミジン(オルメトプリムとして知られる)、2,4−ジアミノ−5−(3,4−ジメトキシ−5−ブロモベンジル)ピリミジン、および2,4−ジアミノ−5−(4−クロロ−フェニル)−6−エチルピリミジン(ピリメタミンとして知られる)が含まれる。当業者には理解されるように、これらの薬物は、利尿薬、降圧薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬などの様々な治療薬クラスに属しており、ヒトまたは獣医学的使用のみには限定されない。生物活性
化合物は、さらにまた化粧品、診断薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤もしくは殺菌剤であってもよい。特により近年に開発された薬物、タンパク質およびペプチドは重要な部分を表している。これらの化合物は、インビボにおける迅速な薬物代謝および不都合な薬物動態とともに、難透過性、難溶性であり、生理的流体中で不安定であることが多い。このため、本発明の方法は、タンパク質およびペプチド薬を投与するための送達形を調製するために有用であることも実証することができる。
【0027】
本発明の方法が(上記に定義したような)生物活性化合物凝集体上で実施される場合は、この生物活性化合物凝集体の実質的部分の平均サイズは、約0.45μm〜5μmの範囲内へ低減させることができる、および/または低減したサイズを備える凝集体のこの実質的部分は、懸濁させた凝集体の少なくとも約50重量%である。本発明の方法が(上記に定義したような)生物活性化合物粒子上で実施される場合は、この生物活性化合物粒子の平均粒子サイズは約0.5nm〜約500nm、好ましくは1〜300nm、より好ましくは5〜200nm、最も好ましくは5〜100nmの範囲へ低減させることができる、および/または低減したサイズを備える粒子のこの実質的部分は、懸濁させた粒子の少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも20重量%である。当業者は、生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズが低減させる程度は、磁場の強さおよびそのような粒子もしくは凝集体を含む懸濁液の処理時間にだけではなく、例えば限定されないが生物活性化合物の性質(特には、イオン結合の性質および双極子強度)、生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁させられている流体の流量、この流体中のそのような粒子もしくは凝集体の濃度、処理中の物理的および化学的条件(pHを含む)、粒子の結晶形もしくは幾何学的形状、この粒子もしくは凝集体中、またはこの粒子もしくは凝集体と一緒の任意の他の成分の存在などにも依存する。以下ではすべてのそのようなパラメータをさらに詳細に考察するが、当業者であれば下記の教示を読むことで不要な実験的負担を伴わずに目標を達成するために、各パラメータおよびパラメータの所定の組み合わせに所定の変更を加えられることは理解されるであろう。
【0028】
好ましくは、生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体は、本発明の磁気処理中に優勢である温度および圧力条件下では液体である。より好ましくは、この流体は水であるが、この流体はまた、例えばアルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミド、もしくはそれらの混合物、または1種以上のそのような有機溶媒と水との組み合わせからなる群から選択される有機溶媒であってよい。当該の特定流体の選択について特別な制限はなく、これは関係する生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを有意に低減させる必要がある用途において優勢である通常の条件に適応させることができる。重要であるのは、この生物活性化合物粒子もしくは凝集体がこの流体中に実質的に懸濁されるのであって溶解されるのではないこと、すなわち好ましくはスラリーの形状で懸濁されることであるが、このときこの流体中のこの生物活性化合物粒子もしくは凝集体の濃度は、このスラリーを磁場に通して流動させる間に優勢である物理的(温度、圧力)および化学的(pH)条件下でこの流体中のこの生物活性化合物の溶解限度の少なくとも1.05倍、好ましくは少なくとも2倍である。所定の流体中の所定の生物活性化合物の溶解限度は、文献において容易に入手できる、または当技術分野において周知の技術を使用することによって当業者によって容易に決定することのできるパラメータである。溶解限度は温度およびpHに重度に依存する可能性があることは周知であるので、このためまず最初に、文献が特定の温度およびpH条件についての値について何も記載していない場合は注意深く決定しなければならない。明らかな実際的な理由から、流体中の生物活性化合物粒子もしくは凝集体の上方濃度は、流体が液体である場合は、この流体を1つ以上の磁場に通して有効線形流量で流動させるための必要性によって決定される、すなわち流体懸濁液の粘度によって決定される。
【0029】
所定の特別な用途のためには、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁され
る流体は、ガスもしくは超臨界流体(例、二酸化炭素)であってもよい。このガスもしくは臨界流体の性質は、この生物活性化合物の化学組成および反応性に広範に依存する可能性がある。
【0030】
流体が何であろうと、この流体を1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくはこの1つ以上の磁場を生成させるために使用された磁場材料のキュリー温度の半分未満の温度で、例えばAl−Ni−Co型の磁気機器に対しては約400℃未満で実行される(当業者には周知のように、キュリー温度は合金の正確な組成に左右される)。その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体が液体である場合は、この液体をこの1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくはこの流体をこの1つ以上の磁場に通して流動させる間に優勢である圧力下でこの流体の凝固点と沸点との間の温度で実施される。例えば、この流体が周囲圧力下で水である場合は、この液体をこの1つ以上の磁場に通して流動させるステップは、好ましくは約2℃〜95℃の温度で実施される。
【0031】
本発明のサイズ低減処理を受けた生物活性化合物粒子は、例えば球形粒子、プリズム状粒子、ならびに立方晶形、正方晶形、六方晶形および八面形構造を含むがそれらに限定されないあらゆる幾何学的形状もしくは結晶形であってもよい。
【0032】
所定の用途にとっては、本発明の方法を、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される液体がサイズ低減された粒子もしくは凝集体の再凝集体形成もしくは再凝集を防止するための1種以上の安定剤を含んでいるような方法で実施するのが有益なことがある。そのような安定剤は、界面活性剤、ポリマー、親水性物質、ケイ酸塩またはそれらの組み合わせのいずれかであってよい。少なくとも微量のこの安定剤は最終医学的もしくは獣医学的送達形で存在したままである可能性はあるため、安定剤は、好ましくは医薬上許容される賦形剤であるべきである。このために適合する親水性物質は、特にグルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、キシリトール、マンニトールおよびデンプンなどの非限定的な化合物リストから選択することができる。この目的に適合するポリマーは、セルロース誘導体(例、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムもしくはカルシウム、ヒドロキシエチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース)、アルブミン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、シクロデキストリンおよびその誘導体、トラガカント、アカシアガム、ゼラチン、ペクチン、グアールガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート、ポリエチレングリコール、酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコールなどの非限定的リストから選択することができる。適切な界面活性剤は、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セトリミド、ドキュセートナトリウム、モノグリセリド、ジグリセリド、レシチン、タウロコール酸塩、ポリオキシエチレナルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリルアルコールなど、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
好ましくは、本発明による方法は、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁された流体を1つ以上の磁場に通して(例えば、閉鎖回路内で)2回以上再循環させるステップを含んでいる。再循環回数は、所定の用途に含まれる特定生物活性化合物を標的とする特定平均サイズへ容易に適合させることができる。その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁される流体が、磁場処理が有意な程度までのサイズ低減を効果的に実施するのを可能にする速度で1つ以上の磁場に通して流動もしくは循環させることが重要で
ある。好ましくは、各この磁場を通るこの流体の線形流量は約0.25〜25m/秒である。磁場の長さを考慮に入れると、各この磁場を通過するこの流体の滞留時間は、回数もしくは再循環時間に依存して、約60マイクロ秒間〜10秒間であると計算することができる。
【0034】
本発明の磁場処理の通常の結果としてこの生物活性化合物粒子の懸濁液の濁度は変化する。サイズ低減およびそのようなサイズ低減が発生する程度によってより影響される粒子もしくは凝集体の集団に依存して(大きいサイズであるか中等度のサイズであるか)、当技術分野において周知の濁度計によって推定もしくは測定できるように、濁度は低減もしくは増加させることができる。このため濁度は、本発明の以下の他の実施形態に記載するように、結果として生じた粒子懸濁液を特性付けるための追加の特性として使用できる。
【0035】
また別の実施形態では、本発明は、さらに生物活性化合物粒子もしくは凝集体の使用を含み、この生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%減少させるステップを含み、このときこのステップが本発明の第1の実施形態に関して記載した方法を含む工程を提供する。そのような工程は、サイズ低減ステップ後に実施される1つ以上の後処理ステップをさらに含んでいてよい。
【0036】
この後処理ステップは、加熱ステップであってよい。また別の実施例では、この後処理ステップは、その中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が粒径減少ステップ中に懸濁させられている流体を実質的に除去するための乾燥させるステップであってよい。いずれかの知られている乾燥技術によって実施できるそのような乾燥ステップは、この工程のその後のステップへ乾燥させたより小さな粒子を提供するために必要になることがある。好ましい実施形態では、この工程は凍結乾燥ステップを含んでいる。第3実施形態のこの変形の特定実施例は、(i)生物活性化合物の粒子および/または凝集体および1種以上の安定剤を含む懸濁液を調製するステップと、(ii)この懸濁液を1つ以上の磁場に通して流動させるステップと、(iii)この混合物を即時に凍結するステップと、および(iv)固体分散体を入手するためにこの調製物を凍結乾燥するステップと、を含む生物活性化合物の固体分散体を調製するための工程である。また別の好ましい実施形態では、この工程は噴霧乾燥ステップを含んでいる。第3実施形態のこの変形の特定実施例は、(i)生物活性化合物の粒子および/または凝集体および1種以上の安定剤を含む懸濁液を調製するステップと、(ii)この懸濁液を1つ以上の磁場に通して流動させるステップと、(iii)固体分散体を入手するためにこの調製物を噴霧乾燥させるステップと、を含む生物活性化合物の固体分散体を調製するための工程である。あるいは、磁気処理後には、懸濁液を医薬ペレット剤(例えば、不活性糖スフェア)上でスプレーコーティングすることができ、これらのコーティングされたペレット剤はその後にカプセル剤または錠剤などの他の固形製剤に調製することができる。
【0037】
本発明のこの実施形態のまた別の変形では、後処理ステップは、1種以上のアジュバントもしくは添加物を低減したサイズを備える任意で乾燥させた粒子もしくは凝集体と一緒に混合するステップであってよい。そのような種類のアジュバントもしくは添加物を混合するステップは、ボールミリング法または当業者には周知の他の混合技術によって実施されてよい。
【0038】
本発明のこの実施形態のさらにまた別の変形では、後処理ステップはこの懸濁液内への流体の添加を通して低減したサイズを備える生物活性化合物粒子もしくは凝集体の懸濁液を希釈するステップであってよい。例えば、この希釈するステップにおいて使用される流体は、サイズ低減ステップにおいて存在する流体と混和性(例えば同一)であってよい。
【0039】
品質管理のために、本発明のこの実施形態の工程は、磁気処理法中もしくは磁気処理法後に生成される生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを調節する1つ以上のステップ、すなわち本発明の第1の実施形態を構成する方法をさらに含んでいてよい。含まれる粒子サイズの大きさのオーダーを考慮に入れると、このサイズを調節するステップは、好ましくは動的光散乱分析法によって実施される。この工程がサイズ低減ステップの後に実施される後処理ステップを含む場合は、それはこの後処理ステップ中もしくは後に生成される生物活性化合物粒子もしくは凝集体のサイズを調節する1つ以上のステップをさらに含んでいてよいが、この場合には、この後処理ステップ後のこのサイズを調節するステップは動的光散乱分析法によって実施されてよい。このサイズを調節するステップは、この工程の様々なステップ中に生成される粒子の平均サイズおよび/またはサイズ分布を測定できるような方法で実施されてよい。本発明の第3実施形態のまた別の変形では、後処理ステップは超超音波処理ステップであってよい。
【0040】
品質管理のためには、本発明のこの実施形態による工程は、この工程に含まれる生物活性化合物粒子もしくは凝集体の懸濁液の濁度を調節する1つ以上のステップをさらにまた含んでいてよい。この濁度を調節するステップは、適切には当業者であれば入手できるあらゆるタイプもしくは濁度計によって実施することができる。
【0041】
本発明はさらに、約1nm〜約40nm、好ましくは約2nm〜約20nm、より好ましくは約3nm〜約15nmの平均粒子サイズを備える、および/または狭い粒子サイズ分布(例えば、約1.1〜約4.0、好ましくは約1.2〜約3.0、より好ましくは約1.3〜約2.0の多分散性)を備えるたとえば上述したような所定の生物活性化合物の集団に関する。つまりそのように小さい粒子サイズおよび/または狭い粒子サイズ分布で製造することが決して可能ではなかった生物活性化合物に関する。そのような生物活性化合物粒子集団は、この磁気処理後に、超遠心分離、限外濾過もしくは例えば透過性膜を用いるナノ濾過などの当技術分野において周知の技術による分離ステップを実施することによって本発明の磁気処理から入手できる粒子から単離することができる。
【0042】
生物活性化合物は、それ自体として、またはさらに例えば乳化剤もしくは界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤もしくはその他の添加物などの1種以上の生理学的(例、医学的)に許容される賦形剤をさらに含むこの生物活性成分(例、薬物)の調製物として処理することができるが、このとき有効成分(例、薬物)の装填量、すなわち調製物中の有効成分(例、薬物)の比率もしくは含量は、広範囲にわたり変動してよい。例えば、この有効成分含量は、少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%であってよい。さらに、この有効成分含量は、多くとも約99重量%、好ましくは多くとも95重量%、より好ましくは多くとも50重量%であってよい。
【0043】
治療的に有効な調製物もしくは洗剤組成物にとって適合する乳化剤もしくは界面活性剤には、水溶性天然石鹸および水溶性合成界面活性剤が含まれる。適切な石鹸には、高級、好ましくは飽和の、脂肪酸(C10−C22)の、またはココヤシ油、パーム油もしくは獣脂油から入手できる天然脂肪酸混合物の、アルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換もしくは置換アンモニウム塩、例えばオレイン酸もしくはステアリン酸のナトリウムもしくはカリウム塩が含まれる。合成界面活性剤には、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤、例えばポリアクリル酸のナトリウムもしくはカルシウム塩;好ましくは8〜22個の炭素原子を含有するスルホン化ベンズイミダゾール誘導体;アルキルアリールスルホネート;および通常はアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、未置換アンモニウム塩または8〜22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシルラジカルで置換されたアンモニウム塩の形態である、脂肪スルホン酸塩もしくは硫酸塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩または天然脂肪酸、脂肪アルコール/酸化エチレン付加物の硫酸もしくはスルホン酸エステル(ラウリル硫
酸ナトリウムなど)のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩から入手された脂肪アルコール硫酸塩の混合物が含まれる。アルキルアリールスルホネートの例は、ドデシルベンゼンスルホン酸もしくはジブチル−ナフタレンスルホン酸またはナフタレンースルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物のナトリウム、カルシウム、もしくはアルカノールアミン塩である。同様に適合するのはこれに対応するリン酸塩であり、例えばリン酸エステルの塩およびp−ノニルフェノールの酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの付加物などである。
【0044】
適切な乳化剤には、さらに脂肪酸(例、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸もしくはオレイン酸)の部分エステルまたは市販されているポリソルベートなどのソルビトール由来のヘキシトール無水物(例、ヘキシタンおよびヘキシド)が含まれる。使用できるその他の乳化剤には、商標名TweenとしてICI Americas社から市販されている界面活性剤;および商標名PluronicとしてBASF社によって市販されているポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)材料などの、上記の部分エステルの非エステル化ヒドロキシル基を備えるポリオキシエチレン鎖の付加物(1〜40モルの酸化エチレン)が含まれるが、それらに限定されない。
【0045】
本発明の生物活性調製物のための適切な構造形成剤、増粘剤もしくはゲル形成剤には、商標名Aerosilとして市販されている生成物などの高分散性ケイ酸塩;ベントナイト;モンモリロナイトのテトラアルキルアンモニウム塩(例、商標名Bentoneとして市販されている生成物)、このとき各アルキル基は1〜20個の炭素原子を含有していてよい;セトステアリルアルコールおよび改質ひまし油生成物(例、商標名Antisettleとして市販されている生成物)が含まれる。
【0046】
本発明の生物活性成分調製物に含めることのできるゲル化剤には、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;アラビアガム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアールガムなどの天然ガム;ゼラチン;二酸化ケイ素;カルボマーなどの合成ポリマー、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。ゼラチンおよび改質セルロースは、好ましいクラスのゲル化剤を表している。
【0047】
親水性セルロース誘導体は、本発明による治療上有効な成分の調製物のための医薬上許容される賦形剤としても同様に使用できる。本明細書で使用する用語「親水性」は、生理的に重要なpHで、水素結合、特に水分子と結合することのできる1つ以上の基、好ましくは非イオン化基を有するセルロース誘導体もしくはポリマーを意味する。本発明において使用できる親水性セルロースポリマーの適切な例には、エーテル結合置換基を有するポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシ−アルキルアルキルセルロース(このとき、アルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する)が含まれる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロース2−ヒドロキシプロピルメチルエーテル(以下、、HPMCと呼ぶ)である。これは、温水中には不溶性であるが、冷水中には緩徐に溶解するメチルセルロースの非イオン性水溶性エーテルである。医薬錠剤賦形剤として広範囲に使用されているHPMCは、様々な商標名を付けて市販されている。適切な等級のHPMCには、Dow Chemical社からのMethocel K100などの低粘性等級、Methocel K100Mなどの高粘性等級、およびShinetsu社からのMetolose 90SHシリーズなどの他のタイプが含まれる。
【0048】
両親媒性物質は、本発明による治療上有効な成分の調製物のための医薬上許容される賦形剤としても同様に使用できる。本明細書で使用する用語「両親媒性」は、例えば脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を含む疎水性部分、および親水性部分を有する物質を意味する。そのような両親媒性物質の適切な例には、グリセリド由来の部分とポリエチレングリコ
ールエステル由来の部分の両方を有する物質が含まれる。例えば、本発明における両親媒性物質賦形剤としてポリグリコシル化グリセリドを使用することが適合する。本明細書で使用する表現「ポリグリコシル化グリセリド」は、モノ−、ジ−およびトリグリセリドと好ましくは約200〜約600の分子量を備えるC8−C18脂肪酸のポリエチレングリコール(PEG)モノエステルおよびジエステルとの混合物を意味しており、任意でさらにグリセロールおよび/または遊離PEGを含む。ここで、PEGの親水性−親油性バランス(HLB)価はPEGの鎖長によって調節され、PEGの融点は脂肪酸の鎖長、PEGの鎖長および脂肪酸、したがって出発油の飽和度によって調節される。同様に、本明細書で使用する表現「C8−C18脂肪酸」は、様々な比率のこれらの酸が飽和している場合はカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸およびこれらの対応する不飽和酸の混合物を意味する。当業者には既知のように、これらの脂肪酸の比率は、出発油の関数として変動する可能性がある。後者の例には、商標名LabrasolとしてGattefosse Corporationによって販売されているPEG−8カプリル酸塩−カプリン酸グリセリドエステルなどの飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド;商標名Softigen 767としてHuls Aktiengesellschaftによって販売されているPEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド;商標名Crovol M−70としてCroda社によって販売されているPEG−60コーングリセリド;商標名Eumulgin B2としてHenkel Corporation社によって販売されているCeteareth−20;商標名TranscutolとしてGattefosse Corporationによって販売されているジエチレングリコールモノエチルエーテル;たとえば商標名Gelucire 48/09、Gelucire 44/14およびGelucire 42/12としてGattefosse Corporation社によって販売されているような約42〜48℃の範囲内の融点および約8〜16の範囲内のHLBを有するC8−C18飽和ポリグリコシル化グリセリドの混合物;および様々な比率にあるそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0049】
本発明による生物活性成分調製物中に存在していてよい他の任意の賦形剤には、酸化マグネシウム;アゾ染料;有機顔料および二酸化チタンなどの無機顔料;UV吸収剤;安定剤;臭気マスキング剤;増粘剤;例えばアスコルビン酸パルミテート、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、およびそれらの混合物;例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、没食子酸プロピル、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベンなどの保存料;エチレンジアミン四酢酸などの金属イオン遮蔽剤;天然バニリンなどのフレーバー剤;クエン酸もしくは酢酸などの緩衝剤;ケイ酸塩、珪藻土、酸化マグネシウムもしくは酸化アルミニウムなどの増量剤もしくは充填剤;マグネシウム塩などの緻密化剤;およびそれらの混合物などの添加物が含まれる。
【0050】
生物活性調製物が発泡性顆粒を作製することを企図している場合は、それは二酸化炭素遊離促進物質として作用する重炭酸ナトリウムおよびクエン酸もしくは酒石酸などの1種以上の弱酸を含んでいなければならない。そのような発泡性顆粒は、例えば義歯を洗浄するための発泡錠のために作製することができる。
【0051】
本発明の生物活性調製物中の最適な賦形剤およびそれらの比率は、当業者に周知の方法で、例えば限定されないが、調製される特定生物活性成分、エンドユーザーの必要条件、生物活性成分の装填量(すなわち、重量比率)および必要な生物活性成分(例、薬物)遊離特性(特に、動態)に依存する。
【0052】
本発明は、先行技術の方法に比して多数の長所を示す。第1に、このサイズ低減は、いずれかのタイプの安価で容易に入手できる磁気装置によって達成されるが、これは標的と
するサイズ低減の程度を微調整するための多数の方法と結び付けることができる。第2に、これは極めて多数の生物活性化合物、特に双極子を含む生物活性化合物の粒子および凝集体の実質的なサイズ低減を達成する。
【0053】
以下の実施例は、例示する目的でのみ提供するものであり、決して本発明の範囲を限定するものであると解釈すべきではない。
【実施例1】
【0054】
48mgのTween 80(英国ロンドンに所在するImperial Chemical Industries plc社から市販されている)を20mLの二重蒸留水と混合し、マグネチックバースターラーを用いて100rpmで数分間攪拌した。Tweenミセルは、ALV社(ドイツ国)から市販されているHe−Ne高性能粒度分析装置(2.5mW)を用いて動的光散乱法(以下、DLSと呼ぶ)によって粒度を分析した。図1は、Tween 80が水中で約10nmの平均粒径を備えるミセルへと組織化することを示している。
【実施例2】
【0055】
50mgのジアゼパム(ベルギー国のZwevegemに所在するAlpha Pharma NV社から市販されている)および48mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)を乳鉢内で粉砕した。150mLの二重蒸留水を添加し、この懸濁液を20分間にわたり超音波処理した。超音波処理後、この懸濁液をその後に使用するまで600rpmに設定したマグネチックスターラーを用いて持続的に攪拌した。
【0056】
磁気処理は、総容量が100mLであり、(1)チュービング(米国イリノイ州に所在するCole−Parmer Instrument Company社製のMasterflex Tygon lab l/P 70)、(2)Al−Ni−Coタイプの内部磁石(ベルギーのBorgerhoutに所在するCEPI−CO社製のW, SAN
R1/4D)、(3)三方向水平ボール弁(スイス国Schaffhausenに所在するGeorg Fischer Rohrleitungssysteme AG製の343 DN10/15型)、および(4)ポンプ(米国イリノイ州に所在するCole−Parmer Instrument Company製のMasterflexI/P)から構成される図2に示した閉鎖システム内で実施した。ポンプは、11m/秒の磁場通過速度に等しい4.7L/分の流量および装置の通過1回に付き136μsの磁場滞留時間で作動させた。一部のジアゼパム懸濁液を閉鎖システム内に導入し、磁場に通して再循環させた。
【0057】
磁場に通しての各々1,410および2,820回の再循環(通過)に相当する30および60分間の処理後に、サンプルを採取した。サンプル採取の直後に、DLS測定を実施した。これらのサンプルを粒度分析装置内に配置する前に振とうした。図3は、磁気処理の前後のジアゼパム分散剤の粒子サイズ分布を比較している。図3は、両方の磁気処理サンプルが有意な量の1μmより小さい粒子を有しており、主要集団が約11〜13nmの範囲と約200〜250nm範囲に中央を有することを示している。未処理参照サンプルは、1μm未満粒子は極めて少数しか含有しておらず、主要集団の発生は2.5μmで見られ得る。約10nmのサイズを備える粒子は、(実施例1の教示に基づくと)Tweenミセルの存在と高度に関連していると思われる。
【0058】
3,760回の再循環(通過)に対応する80分間の処理後に、第3サンプルを採取した。このサンプルを、1μmの孔径を有するポリスルホン膜(英国のメードストーンに所在するWhatman International LTDから市販されている)を備えるPuradisc 25 ASディスポーザブルフィルタに通して濾過した。その後
、結果として生じた濾液についてDLS測定を実施し、図4において未処理分散体の濾液と粒子サイズ分布を比較した。磁気処理懸濁液の粒子サイズ分布は、濾過を実施した場合(図4)および濾過を実施していない場合(図3)と類似であった。未処理懸濁液の濾液は、Tweenミセル(ピークは11nm)および200nmのジアゼパム粒子を含有している(図4)。これらの観察は、それらの存在が1μmより大きな粒子が富裕であることによって遮蔽されたために、未濾過、未処理懸濁液を分析したときには明らかにならなかった(図3)。そこで、未処理分散体中のマイクロメーターサイズの粒子は、本発明の磁気処理によってナノメーターサイズの粒子に破砕されたと結論することができる。
【実施例3】
【0059】
2g/Lのジアゼパム(ベルギー国のZwevegemに所在するAlpha Pharma NV社から市販されている)および2g/LのTween 80(実施例1に記載したものと同一)を乳鉢内で二重蒸留水と混合した。結果として生じた懸濁液をビーカーに注ぎ入れ、20分間にわたり超音波処理し、その後に使用するまでマグネチックスターラーを使用して600rpmで持続的に攪拌し続けた。
【0060】
この懸濁液の一部を、実施例2で使用したものに類似するが、総用量が150mLである閉鎖システム(図2A)内で磁気処理にかけた。磁場を通しての2,820回の再循環に相当する4.7L/分での処理の90分後に、濾過するために磁気処理サンプルを収集した。この懸濁液の第2部分は、内蔵磁気装置を備えていない150mLの閉鎖システム(図2B)内で処理した。磁場を通しての2,820回の再循環に相当する4.7L/分での処理の90分後に、濾過するために空再循環サンプルを収集した。最初の懸濁液の第3の部分は、1時間にわたり600rpmでマグネチックスターラーを使用して持続的に攪拌した(未処理参照サンプル)。
【0061】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと呼ぶ)を備え、孔径が0.45μmであるProFillシリンジフィルタ(米国イリノイ州に所在するAlltech Associates Inc.から市販されている)を二重蒸留水で洗浄し、70℃で12時間かけて乾燥させた。PTFEを備えて孔径が0.2μmであるProFillシリンジフィルタ(米国イリノイ州に所在するAlltech Associates Inc.から市販されている)は洗浄も乾燥もしなかった。40mLの懸濁液を濾過し、濾液をペトリ皿へ注ぎ入れ、フィルタとペトリ皿の両方を70℃で48時間にわたり乾燥させた。この実験は、両方のタイプのフィルタを使用して、磁気処理、空再循環および未処理の懸濁液を用いて実施した。乾燥させた後、ペトリ皿中およびフィルタ上に存在する固形物質の量を各実験について定量した。以下の表1は、総乾質量の百分率としてのフィルタによって保持された物質の量を表している。
【0062】
【表1】
【0063】
濾過中に界面活性剤(Tween 80)が全く保持されなかったと想定すると、ほぼ全部のジアゼパム(94〜96%)は、未処理参照サンプル中には450nmおよび200nm両方のフィルタによって保持されると結論することができる。空再循環サンプル中では、ジアゼパムの32%は450nmより大きく、42%は200nmより大きい。他方磁気処理サンプル中では、450nmより大きいジアゼパムは10%に過ぎず、200nmより大きいのは16%である。これは、粒子の寸法に磁気処理が及ぼす有益な作用を例示している。空再循環サンプル中には未処理サンプル中に比較してフィルタ上により少ないジアゼパムが保持されていたという事実は、上昇した溶解度(例、ポンプによって生成された熱に起因するために)、閉鎖システムと接触している粒子の摩耗などを含む多数の要素によって説明し得る。
【実施例4】
【0064】
4種の相違するサンプルについての2θ=0.7〜2θ=40のX線回折図は、0.02/4秒のステップでSiemens D5000 matic X線回折計を用いて測定した。第1のサンプルは、結晶性イトラコナゾール(ベルギー国Beerseに所在するJanssen Pharmaceutica社から入手できる;表2では「itra」と略記されている)であった(X線回折パターンは図5に示されている)。第2のサンプルは、250mgのこの結晶性イトラコナゾールを、120mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)界面活性剤を含む80mLの二重蒸留水中に懸濁させることによって調製した。この懸濁液は磁気装置を備えていない80mL閉鎖システム(図2B)内で、4.7L/分で1時間にわたり空再循環させたが、これは3,525回の再循環に相当する。空再循環の直後に、分散体を液体窒素中で保持した予冷ボール内で凝固させた。一晩にわたる凍結乾燥で水を1mbar未満で昇華させ、粉末サンプルを入手した(図6に示したX線回折パターン)。第3サンプルは、450mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース(ベルギー国Turnhoutに所在するSanico社から、商標名HPMC 2910として市販で入手できる。HPMC2910は、セルロース上のヒドロキシプロピル置換基の10重量%およびメチル置換基の29重量%を示している)、300mgの結晶性イトラコナゾールおよび120mgのTween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによって調製した。結果として生じた懸濁液を、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環(通過)に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(X線回折パターンは図7に示した)。第4サンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールおよび100mgのTween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによ
って調製した。この懸濁液を、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環(通過)に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(X線回折パターンは図8に示した)。
【0065】
4種のサンプルについて、2つの回折図ピークの幅の比較を実施した(表2)。XRD回折図における幅広がりのピークの発生は、当業者によってナノサイズの粒子が存在することを明確に示していると見なされる。ピークの幅広がりを引き起こす臨界サイズもまた推定できる。(1)イトラコナゾール分子のサイズが約1.5nmであること、そして(2)ピークの幅広がりを引き起こす反復単位の推定最高量は約50であると推定すると、75nm未満の粒子だけがピークの幅広がりの原因であると計算できる。
【0066】
【表2】
【0067】
磁気処理サンプルについて観察されたピーク幅は、未処理もしくは空再循環サンプルのものより明らかに高かったが、これは磁気処理サンプルがナノサイズのイトラコナゾール粒子をより多く含むことを示している。
【実施例5】
【0068】
結晶性イトラコナゾールを含有する2種のサンプル(実施例4と同一)を、商標名XL30 ESEM FEGとしてFEI Company(米国オレゴン州)から入手できる環境走査型電子顕微鏡(ESEM)を用いて分析した。第1のサンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールを、120mgのTween 80(実施例1に記載したものと同一)界面活性剤を含む80mLの二重蒸留水中に懸濁させることによって調製した。この懸濁液は磁気装置を備えていない80mL閉鎖システム(図2B)内で4.7L/分で1時間にわたり空再循環させたが、これは3,525回の再循環に相当する。空再循環の直後に、分散体、液体窒素中で保持した予冷ボール内で凝固させた。一晩にわたる凍結乾燥で水を1mbar未満で昇華させ、粉末サンプルを入手した(図9に示したSEM写真)。第2のサンプルは、250mgの結晶性イトラコナゾールおよび100mgの界面活性剤Tween 80を100mLの二重蒸留水中に添加することによって調製した。この懸濁液は、磁気装置を備えた100mLの閉鎖システム(図2A)内で4.7L/分で1時間にわたり磁気処理したが、これは11m/秒の速度で磁場に通過させる2,820回の再循環に相当する。粉末サンプルは、液体窒素中での即時の凝固および凍結乾燥後に入手した(SEM写真は図10に示した)。
【0069】
空再循環サンプルのESEM写真(図9)は、自形結晶形態を備える主として大きな粒子を示している。写真の中心には、長さおよそ80μmおよび幅およそ20μmを備える大きなニードル形粒子が観察される。この粒子は、数マイクロメーターから数十マイクロメーターの少なくとも1つの寸法を備える極めて多数の大きな粒子に取り囲まれている。これらの粒子の多くの量は1つの寸法が他の寸法より明らかに長い結晶サイドを有するニードル形であるが、他の一部の大きな粒子は相違する形状を有する。しかしいずれにせよ
、大きな粒子の結晶面は明確な形状である。これらの大きな粒子の上には、サイズ約1μmの少量の粒子が散乱している。これらの小さな粒子は、大きな粒子の極めて平滑な結晶面上の凹凸として観察される。
【0070】
磁気処理サンプルのESEM写真(図10)の中央は、長さおよそ60μmおよびおよそ幅30μmを備える粒子を示している。上側の結晶面は、中央では平滑であるが、両側の近くでは不規則である。この結晶面はさらに、2つの大きな亀裂も示している(1つは長さが20μm、もう1つは長さが10μm)。この大きな粒子の結晶形態は、空再循環サンプルの大きな粒子よりはるかに形状が明確ではないことが明らかである。記載した粒子は、図10において示した大きな粒子だけである。無作為の形状のより小さな断片の多量の凝集体が大きな粒子の周囲に散乱している(図10)。これらの凝集体の個々の断片はおよそ1μmの寸法を有する。
【0071】
磁気処理サンプル(図10)と参照サンプル(図9)の間の明確なサイズおよび形状の相違は、磁気処理による有意な粒子サイズ低減の発生を確証した。
【実施例6】
【0072】
ロペラミド(ベルギー国Beerseに所在するJanssen Pharmaceutica社から市販されている)を含有する4種のサンプルを調製し、それらの溶解プロファイルを測定した。1g/Lのロペラミドおよび10g/LのAerosil 380(ドイツ国デュッセルドルフに所在するDegussaa社から市販されているケイ酸塩)を乳鉢中で二重蒸留水と混合した。未処理サンプルは、液体窒素中に維持した予冷ボール中でのこの懸濁液の一部の迅速な凝固およびその後の凍結乾燥によって調製した。懸濁液のまた別の部分は、図2Cのセットアップに従った、そして(1)ガラス製漏斗、(2)チュービング(Masterflex Tygonlab I/P 70、Cole−Parmer Instrument Company社、米国イリノイ州)、(3)ポンプ(Masterflex I/P、Cole−Parmer Instrument
Company社、米国イリノイ州)、(4)Al−Ni−Coタイプの内蔵磁石(商標名W SAN R1/4Dとしてベルギー国Borgerhoutに所在するCEPI−CO社から市販されている)、および(5)液体窒素中に維持した予冷ボールから構成される一連の9個の連結磁気装置を通してポンプで送出した。磁場を通る11m/秒の速度に相当する4.7L/minの流速および磁場内での9×136μsの滞留時間を使用した。システムの出口では、この懸濁液は液体窒素中に維持した予冷ボール中で凝固させ、その後に凍結乾燥を実施した。これらの未処理および磁気処理サンプルの溶解プロファイルは図11に示されている。
【0073】
1g/Lのロペラミドおよび25mg/Lの界面活性剤Tween 80を乳鉢中で二重蒸留水と混合した。未処理サンプルは、液体窒素中に維持した予冷ボール中でのこの懸濁液の一部の迅速な凝固およびその後の凍結乾燥によって調製した。この懸濁液のまた別の部分は、本明細書に記載した同一条件を用いて図2Cに記載の構成に従って一連の9個の連続磁気装置に通してポンプで送出した。この磁気システムの出口では、この懸濁液は液体窒素中に維持した予冷ボール中で凝固させ、その後に凍結乾燥を実施した。これらの未処理および磁気処理サンプルの溶解プロファイルは図12に示されている。
【0074】
溶解実験は、USP 24法(パドル法、100rpm)を使用しながら、SR8 PLUS Hanson溶解試験ステーション(米国Chatsworth社から市販されている)において実施した。サンプル(16.7mgのロペラミドに相当する)を水中の0.005M フタル酸水素カリウム(ベルギー国Geelに所在するAcros Organics社から市販されている)および0.00192N NaOHの溶液である500mLの溶解媒体へ添加し、溶解媒体の温度は37±0.1℃に維持した。2mLのサ
ンプルを採取し、直ちに10、20、30、45、60および120分後に各々新鮮溶解媒体と取り替え、その後0.45μmのPVDFフィルタ(米国ニューヨーク州に所在するPall Corporationから市販されている)を用いてHPLCバイアル(1.5mL、ドイツ国ダルムシュタットに所在するMerck社から市販されている)内へ濾過した。対応する濃度は、HPLCを用いた検量線から決定した。
【0075】
この決定のために使用したHPLCシステムは、全部がMerck−Hitachi社(ドイツ国ダルムシュタット)から市販されているLiChroGraphs(登録商標)L−7100 HPLCポンプ、100μLループを装備したL−7200型オートサンプラ、220nmに設定したL−7400型UV検出器、およびInterface D−7000から構成した。UVシグナルを検出し、D−7000 HSMソフトウエアを用いてピークを積分した。全部のクロマトグラフィー分離は室温で実施した。使用したカラムは、Hypersil BDS C18(ドイツ国ダルムシュタットに所在するMerck社から市販されている)であった。移動相は0.001Mのアセトニトリル/テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート混合物(容量で30:70)から構成され、使用前に超音波処理によって脱気させた。流量は、総計1mL/分であった。これらの条件でのロペラミドの保持時間は7分であった。
【0076】
ケイ酸塩(Aerosil)の存在下および界面活性剤(Tween 80)の存在下のどちらにおいても、図11および1は、ロペラミドの溶解速度が、対応する未処理サンプルと比較して本発明の磁気処理によって有意に上昇することを示している。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】動的光散乱法によって測定された、水中のTween 80界面活性剤のミセルサイズ分布を示した図である。
【図2】本発明の方法の1つの実施形態を実施するための装置の3つの概略構成図である。
【図3】未処理参照サンプルと比較した、2種の磁気処理ジアゼパムサンプルの粒子サイズ分布を示した図である。
【図4】濾過後の未処理参照サンプルと比較した、磁気処理ジアゼパムサンプルの粒子サイズ分布を示した図である。
【図5】未処理結晶性イトラコナゾールのX線回折パターンを示した図である。
【図6】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図7】イトラコナゾール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図8】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物のX線回折パターンを示した図である。
【図9】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の混合物の環境走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示した図である。
【図10】イトラコナゾールおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物の環境SEM写真を示した図である。
【図11】未処理混合物と比較した、ロペラミドおよびケイ酸塩の磁気処理混合物の溶解プロファイルを示した図である。
【図12】未処理混合物と比較した、ロペラミドおよびTween 80界面活性剤の磁気処理混合物の溶解プロファイルを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の平均サイズを、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有する前記流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させることによって低減させるための方法であって、前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%低減させる方法。
【請求項2】
各前記磁場の強さが少なくとも約2,000ガウスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法を実施する前の前記生物活性化合物凝集体の平均サイズが約10μm〜約100μmの範囲内にある、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法を実施した後の前記生物活性化合物凝集体の実質的部分の平均サイズが約0.45μm〜5μmの範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的部分が前記懸濁させた凝集体の少なくとも50重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法を実施する前の前記生物活性化合物粒子の平均粒子サイズが約0.5μm〜約10μmの範囲内にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
実施後の前記生物活性化合物粒子の平均粒子サイズが約0.5nm〜約500nmの範囲まで低減される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流体が液体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体が水である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記流体が有機溶媒またはそれと水との組み合わせである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体がスラリーの形態で前記流体中に懸濁され、かつ前記流体中の前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の濃度が、前記スラリーを前記磁場に通して流動させる間に優勢である物理的(温度、圧力)および化学的(pH)条件下で前記流体中の前記生物活性化合物の溶解限度の少なくとも2倍である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記流体が液体であり、前記液体を前記磁場に通して流動させるステップが、前記流体を前記磁場に通して流動させる間に優勢である圧力下で前記流体の凝固点と沸点との間の温度で実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が水であり、前記液体を前記1つ以上の磁場に通して流動させるステップが大気圧下の約2℃〜95℃の温度で実施される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記流体がガスもしくは超臨界流体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記流体が1種以上の安定剤を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記安定剤が、界面活性剤、ポリマー、ケイ酸塩、親水性物質もしくはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記安定剤が、界面活性剤でキャップされたナノ粒子を生成できるような量で界面活性剤を含有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が前記1つ以上の磁場に通して2回以上再循環される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
各前記磁場を通る前記流体の線流速が0.25〜25m/秒である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
各前記磁場を通る5種の前記流体の滞留時間が60マイクロ秒間〜10秒間である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生物活性化合物が結晶形である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記生物活性化合物が無定形である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記生物活性化合物が生物薬剤分類系のクラスIIまたはクラスIVであると分類できる薬物である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生物活性化合物が約2mg/mL未満の水溶性を有する薬物である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記生物活性化合物が約5μg/mL未満の水溶性を有する薬物である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記生物活性化合物が、化粧品、診断薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤もしくは殺菌剤である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
生物活性化合物調製物を製造するための工程であって、前記工程が生物活性化合物粒子もしくは凝集体の使用を含み、前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%低減させるステップを含み、このとき前記ステップが請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法を含む工程。
【請求項28】
前記工程が、前記サイズを低減させるステップの後に実施される1つ以上の後処理ステップをさらに含む、請求項27に記載の工程。
【請求項29】
前記後処理ステップが、前記サイズを低減させるステップ中にその中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁されている流体を実質的に除去するための乾燥させるステップである、請求項27または28に記載の工程。
【請求項30】
前記乾燥させるステップが凍結乾燥法を含む、請求項29に記載の工程。
【請求項31】
前記乾燥させるステップが噴霧乾燥法を含む、請求項29に記載の工程。
【請求項32】
前記後処理ステップが、アジュバントを任意的に乾燥させた低減されたサイズを備える粒子もしくは凝集体と一緒に混合するステップである、請求項27〜31のいずれか一項
に記載の工程。
【請求項33】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法または請求項27〜32のいずれか一項に記載の工程によって入手される生物活性化合物粒子の集団。
【請求項1】
流体中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体の平均サイズを、その中に懸濁させた生物活性化合物粒子もしくは凝集体を有する前記流体を1つ以上の磁場に通して1回以上流動させることによって低減させるための方法であって、前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%低減させる方法。
【請求項2】
各前記磁場の強さが少なくとも約2,000ガウスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法を実施する前の前記生物活性化合物凝集体の平均サイズが約10μm〜約100μmの範囲内にある、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法を実施した後の前記生物活性化合物凝集体の実質的部分の平均サイズが約0.45μm〜5μmの範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的部分が前記懸濁させた凝集体の少なくとも50重量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法を実施する前の前記生物活性化合物粒子の平均粒子サイズが約0.5μm〜約10μmの範囲内にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
実施後の前記生物活性化合物粒子の平均粒子サイズが約0.5nm〜約500nmの範囲まで低減される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流体が液体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体が水である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記流体が有機溶媒またはそれと水との組み合わせである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体がスラリーの形態で前記流体中に懸濁され、かつ前記流体中の前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の濃度が、前記スラリーを前記磁場に通して流動させる間に優勢である物理的(温度、圧力)および化学的(pH)条件下で前記流体中の前記生物活性化合物の溶解限度の少なくとも2倍である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記流体が液体であり、前記液体を前記磁場に通して流動させるステップが、前記流体を前記磁場に通して流動させる間に優勢である圧力下で前記流体の凝固点と沸点との間の温度で実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が水であり、前記液体を前記1つ以上の磁場に通して流動させるステップが大気圧下の約2℃〜95℃の温度で実施される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記流体がガスもしくは超臨界流体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記流体が1種以上の安定剤を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記安定剤が、界面活性剤、ポリマー、ケイ酸塩、親水性物質もしくはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記安定剤が、界面活性剤でキャップされたナノ粒子を生成できるような量で界面活性剤を含有する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が前記1つ以上の磁場に通して2回以上再循環される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
各前記磁場を通る前記流体の線流速が0.25〜25m/秒である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
各前記磁場を通る5種の前記流体の滞留時間が60マイクロ秒間〜10秒間である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生物活性化合物が結晶形である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記生物活性化合物が無定形である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記生物活性化合物が生物薬剤分類系のクラスIIまたはクラスIVであると分類できる薬物である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生物活性化合物が約2mg/mL未満の水溶性を有する薬物である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記生物活性化合物が約5μg/mL未満の水溶性を有する薬物である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記生物活性化合物が、化粧品、診断薬、除草剤、殺虫剤、殺生物剤もしくは殺菌剤である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
生物活性化合物調製物を製造するための工程であって、前記工程が生物活性化合物粒子もしくは凝集体の使用を含み、前記生物活性化合物粒子もしくは凝集体の実質的部分の平均サイズを少なくとも25%低減させるステップを含み、このとき前記ステップが請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法を含む工程。
【請求項28】
前記工程が、前記サイズを低減させるステップの後に実施される1つ以上の後処理ステップをさらに含む、請求項27に記載の工程。
【請求項29】
前記後処理ステップが、前記サイズを低減させるステップ中にその中に生物活性化合物粒子もしくは凝集体が懸濁されている流体を実質的に除去するための乾燥させるステップである、請求項27または28に記載の工程。
【請求項30】
前記乾燥させるステップが凍結乾燥法を含む、請求項29に記載の工程。
【請求項31】
前記乾燥させるステップが噴霧乾燥法を含む、請求項29に記載の工程。
【請求項32】
前記後処理ステップが、アジュバントを任意的に乾燥させた低減されたサイズを備える粒子もしくは凝集体と一緒に混合するステップである、請求項27〜31のいずれか一項
に記載の工程。
【請求項33】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法または請求項27〜32のいずれか一項に記載の工程によって入手される生物活性化合物粒子の集団。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−503399(P2007−503399A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524181(P2006−524181)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000121
【国際公開番号】WO2005/018611
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U. Leuven Research & Development
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000121
【国際公開番号】WO2005/018611
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U. Leuven Research & Development
【Fターム(参考)】
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