説明

生理活性組成物

4−O−メチルダビジゲニン、4’−O−メチルダビジゲニン、ダビジゲニン、エレマイシン、イソエレマイシン、ヘルニアリン、デメトキシカピラリシン、特に6−デメトキシ−カピラリシン及び/又は6−デメトキシ−3’−メトキシカピラリシン、ヒスピルジン及び9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイン酸、及びまたそれらのグリコシド。特に4−O−メチルダビジゲニン及び/又は4’−O−メチルダビジゲニンのグルコシド及び/又はラムノグルコシド、並びにその塩及び誘導体、からなる群から選択される、少なくとも一つの化合物の有効量を含む生理活性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化合物を有効量含む生理活性組成物、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
天然抽出物又は主要な活性化合物をその中に含む組成物は、代謝障害の自己治療のため、消費者によってますます多用されている。すなわち、例えば自然療法として公知であり、また外国の文化圏における効果の立証に基づく、特に植物を主成分とする抽出物に対して信頼が存在する。
【0003】
世界中の人々が罹る典型的疾患として、心血管疾患や、特に糖尿病及びその前症のような代謝性疾患、更には栄養の偏り又は運動不足による病理学的に変動した血液値(特に高コレステロール値又は高脂血値と言われる)が挙げられる。
【0004】
特に、代謝性疾患との関連において、多数の製剤が市場において処方なしで利用でき、糖尿病(特に2型糖尿病)の予防及び治療に対して関心が広がりつつある。
【0005】
従来から、天然抽出物又は植物成分を用いた糖尿病の治療に関する多くの文献が公知となっている。
【0006】
例えば、特許文献1は、バイオフラボノイドの調製組成物、又は植物抽出液の形態でのそれを、哺乳類の血中グルコース濃度の低下のために使用する技術を記載している。言及されている典型的なバイオフラボノイドは、ヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンギン、ナリンゲニン、ディオスミン、ルチン及びケルセチンである。
【0007】
特許文献2は、同様に、とりわけナリンゲニン及びナリンギンを、血液中のグルコース又は脂肪のレベルを低下させるための、あるいは糖尿病及び高脂血症の予防のための適切なフラバノンとして開示している。また、この文献においては、フラバノンが植物抽出液(例えば柑橘類の果物)から得られることが開示されている。
【0008】
非特許文献1によると、例えば特定のバウヒニア種の様々な組織に存在するフラボノイドは、血液中のグルコースのレベルに影響を与え得る。この文献において、特にケルシトロシド(quercitrosides)及びカンプフェロール−3−ガラクトシド、またカンプフェロール−3−ラムノグルコシドに関して言及され、また5,7−ジメトキシフラバノンあるいは4−O−L−ラムノピラノシル−β−D−グリコシラノシドに関しても言及されている。
【0009】
最後に、特許文献3においては、血液中のグルコース濃度、グルカゴン様ペプチド1(GLPI)の活性、インスリン依存性のグルコースの取り込みに影響を及ぼすための各種方法、その他、中度の極性を有するアルテミシアに属する種(特にアルテミシア・ドラクンクラス(dracunculus))由来の抽出物の有効量の使用を必要とする2型糖尿病の治療方法が特許請求されている。
【0010】
糖尿病とは一般的に、代謝における複合的な症状又は疾患を意味し、ほとんどの場合血糖値の増加により特徴づけられ、また、炭水化物、脂肪及びタンパク質の代謝への深刻な影響を伴う。この疾患症状は、例えば、不十分なインスリン濃度(絶対的なインスリン欠乏)又は不十分なインスリン活性(相対的なインスリン欠乏)が原因で、血糖値を制御できないことから生じる。増加したグルコース濃度は第二の健康障害を生じさせ、更に追加的な治療を必要とさせる。糖尿病に関連すると考えられている主な危険因子として、動脈硬化、糖尿病性網膜症、白内障、ネフロパシ、感染症の増加、高血圧、神経障害、更に痴呆が挙げられる。
【0011】
総括的に、主な糖尿病のタイプは、多くの相違点により二つに区別される。1型糖尿病は、一般に乳児又は若年齢者において発症し、体内でのインスリン生産の不能(絶対的なインスリン欠乏)に起因する。2型糖尿病は、1型よりも大幅に頻度が多く、インスリン分泌の減少又はインスリン耐性(こちらの方が頻繁に生じる)(相対的なインスリン欠乏)のいずれかに起因するものである。従来の治療方法は、細胞への非選択的なグルコース取り込みを促進することにより血糖値を下げるというものであった。しかしながら、グルコース取り込みがほとんど制御されていないため、脂肪細胞にも影響を及ぼし、その結果としての体重増加の問題が生じ易くなる。すなわち、これらの場合では、治療方法及びその変更の厳密な制御を確実に行うことが重要である。最も一般的に行われる従来の治療方法(すなわちインスリンの投与)は大変な経済的負担となり、また患者にとって未だに不便さや副作用(例えば過剰投与による低血糖症リスク、アレルギー反応、更には注射部位の局所リポジストロフィーの発現)を伴うものである。
【0012】
それ以外の従来の治療方法としては、市販薬(OTC薬)、特に植物由来の、上述の天然物による治療である。従来の天然物療法において使用される多数の植物の中の一つは、アルテミシア科の植物であり、400以上の種が含まれる。非特許文献2は、アルテミシア・ドラクンクラス(dracunculus)に関し、その中に含まれるアルコールベースの抽出物がラットにおいて高脂血症抑制効果を及ぼしうることを報告している。あるいは、上記特許文献3に広範囲に記載されているように、脂肪又は糖のアンバランスに対する有益な効果が、他のアルテミシアに属する種(例えばA.ヘルバ−アルバ(herba−alba)又はA.ジュダイカ(judaica))に関して報告されている。
【0013】
天然物抽出物に伴う一般的な問題点は、その標準化であり、その実施には常に困難が伴う。それは、特に栽培及び収穫時の条件、更には貯蔵条件、並びに処理方法が、出発原料、更には得られる抽出物における構成成分及びそれらの各フラクションに重大な影響を及ぼすことによる。原産地及び特にそれに関連する気象要因、並びに土壌の質が顕著に植物の構成成分の品質及び量に影響を及ぼすことが知られている。しかしながら、既に集められた材料に対する貯蔵温度、空気との反応及び水分による効果もまた、例えば酸化的な効果という形で影響を及ぼす。更に、処理の方法、並びに、特に使用する溶媒の種類及び品質が明らかに重要である。なぜなら、同一の植物種の場合さえ、植物抽出物の組成において顕著な相違が観察されうるからである。
【0014】
これは特に、代表的なタラゴンである上記アルテミシア科の場合に顕著である。「ドイツ産」又は「フランス産」タラゴンと呼ばれるものは、最も芳香性のある植物体であって、最高3%の精油を含み、その芳香は主にメチルカビコール(エストラゴール)及び−オイゲノールによるものである。更に、p−メトキシ桂皮酸、フェランドレン、α−及びβ−ピネン、カンフェン、オシメン及びリモネンもまた含まれる。他の品種(すなわち「ロシア産」タラゴン)は精油の含量が顕著に少なく、エストラゴールを全く含まず、その結果、この品種はフランスのタラゴンのような非常に良い感じの甘い芳香を外部に発散しない。その代わりに含まれるフラボノイドのケルセチン及びパツレチン(patuletin)は、苦々しく収斂性のある味覚が特徴的である。それにより、ロシア産タラゴンは典型的な料理用ハーブとは通常言われず、むしろ始原的な野生タラゴンとして分類される。しかしながら、ロシアのタラゴンは比較的寒冷な気候において比較的早期に栽培され得る。アルテミシアの品種、及び特にアルテミシア ドラクンクラスの潜在的構成成分は、Agricultural Research Services (”Phytochemical and Ethnobotanical Databases”)(http://sun/ars−grin.gov:8080/npgspub/xsql/duke/plantdisp.xsql?taxon=123)を調査することにより見出すことができる。
【0015】
既に繰り返し言及した特許文献3において、アルテミシア抽出物に存在しうる、典型的な代表的構成成分がリスト化されている。例えば、例示としてキャピラリシン、テトラヒドロキシメトキシフラバノン、ウンベリフェロン、サクラニン、トリヒドロキシメトキシフラバノン及びトリヒドロキシフラバノンがリスト化されている。この文献はまた、新鮮な、また冷凍されたアルテミシア抽出物の様々なクロマトグラムを開示しており、実施例においてエストラゴール及びメチルオイゲノールがアルテミシア・ドラクンクラス抽出物の典型的構成成分であると言及してはいるものの、そこでは各ケースにて得られるピークから、存在しうる特定の化合物についての結論を導き出すには至っていない。完全に成長した植物においてはバイオマス比率が葉から茎に移動する、という同様の記載により、この文献に従って研究された抽出物は主に分離された茎及び葉について行われた。その好適な抽出物の分析表が、アルテミシアの葉の処理物を基礎として作成されているが、その抽出物の比較評価のみが、更に詳細に調べられただけであった。例を挙げると、例えば、冷凍された植物材料から得られたアルテミシア・ドラクンクラスの抽出物の方が、新鮮な植物材料よりも高い活性を示したことを述べている。質量スペクトルのワイリーレジストリーとの一つの比較のみに基づき、メインピークが同定され、それは明らかに上述した化合物と潜在的構成成分とを結びつけるものである。しかしながら、なかでも、併せて特許請求された、異常な血糖値への有益な作用に関与しうる更なる構成成分については、上記の弱い極性を有するエタノール抽出物中からは同定されなかった。
【特許文献1】国際公開第00/15174号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0902870号明細書
【特許文献3】国際公開第03/020026号パンフレット
【非特許文献1】Herba Hungarica 1987,Tom.26,No.1
【非特許文献2】Biomedical Letters 59(1999),137−141頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の課題は、従来技術で生じているこれらの問題点を克服することができ、特に特定の化合物又は一連の化合物からなり、上記の症候群及び症状に対しても有効量で適用することができる、生理活性組成物を提供することである。この組成物は、可能な限り、入手が容易な植物材料を含み、標準化された形式にて簡便に生産可能であるべきである。更に、この組成物は、従来から公知の化合物以外の構成成分をも含み、またそれらとの相互作用において、更には(可能であれば)お互いが、個々に選択された使用の分野に関して相乗効果を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題は本発明において、4−O−メチルダビジゲニン、4’−O−メチルダビジゲニン、ダビジゲニン、エレマイシン、イソエレマイシン、ヘルニアリン、デメトキシカピラリシン、特に6−デメトキシ−カピラリシン及び/又は6−デメトキシ−3’−メトキシカピラリシン、ヒスピルジン及び9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイン酸、及びまたそれらのグリコシド、特に4−O−メチル−ダビジゲニン及び/又は4’−O−メチルダビジゲニンのグルコシド及び/又はラムノグルコシド、から選択される、少なくとも一つの化合物の有効量を含む対応する組成物により解決される。更に、それらの各々についての適切な塩及び誘導体もまた含めることができ、また全ての化合物はアルテミシア抽出物においてHPLC分析により検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
驚くべきことに、特許請求された化合物は実際に植物抽出液において検出されうることがわかっており、それらは代謝障害を治療する薬品の製造の基礎として用いられる。既に周知の刊行物とは対照的に、これらの化合物は好ましくはアルテミシア抽出物において見出すことができ、予想に反し各々の濃度は既に周知の分析からは導き出せないものであった。更なる利点として、特に特許請求された組成物が純粋な物質の組み合わせにより入手可能であるのみならず、適切な植物抽出物の選択による単純な方法によっても容易に入手可能であり、これらの植物抽出物の製造自身が、周知の植物材料の処理法を経て行われることを必要としないことが挙げられる。
【0019】
特許請求された組成物はまた、他の好ましい実施形態では、追加的にクロロゲン酸、ナリンゲニン、フラボノイド、フラバノイド、テルペン、テルペノイド及び/又はそれの誘導体(特に、グリコシド及び/又はアグリコンを意味する)から選択される化合物の少なくとも一つを含むという点で、区別される。これらの化合物は個々の物質としては新規ではないが、本発明によって含まれる構成成分が組み合わされることにより相乗効果(好ましくは付加効果)を奏する。本発明によれば、純粋品及び/又は混合物としての上記化合物を含む組成物が好ましく、その混合物は好ましくは天然抽出物として存在する。それらの生理化学的な特性にとっては、本発明の組成物が含まれる化合物は、特にそれらの調製形態としてアルコールによる抽出物が適切であり、特に好ましくはアルコール/水抽出物が適切であり、本明細書では特にそれらのエーテル画分が適切である。
【0020】
アルコール類(極性を有するとして公知の液体、特にメタノール、エタノールおよびイソプロパノール)は、この場合における特徴として、変異源性を失わないか又は他に有害な毒素を含まない抽出物を得ることに非常に適している。
【0021】
そのような抽出物の製造は、決して制限されないが、植物の出発原料を誘導質と呼ばれる成分と最初に接触させることが望ましく、特定の多糖類(特にキトサン)、また酢酸、サリチル酸メチル、ジャスモン酸メチル、あるいは微生物が特に適切である。その後、このように消化される出発原料は、溶出液(例えばアルコール/水溶液)で処理される。アルコール含量は、40〜75%であるべきであり、好ましくはアルコール含量(特にエタノール含量)は、50〜60%の間が非常に適切であることが明らかとなっている。
【0022】
更に、選択された出発材料によっては、機械により前処理するか、又は抽出過程の間に追加的に調製することができ、特に、細胞壁及び膜構造を破壊することにより、上記の構成成分が放出され、溶媒と作用できるようになる。特に、慣習的な破砕方法をこの使用のために選択するべきである。しかしながら、それは新鮮な、又は凍結−融解された出発原料を高い温度で乾燥させることによっても行うことが可能で、このような方法に従うことにより、構成成分であるメチルオイゲノール(発癌物質と認識されており、特に特定のAsteraceaeの種類のタラゴンに含まれる)の濃度を減少させることができる。本発明は、好ましくは、ある特定の組成物であり、すなわちそれがアルテミシア抽出物である態様を含む。この場合における特に適切な抽出物は、アルテミシア・ドラクンクラス(dracunculus)、アルテミシア・ヘルバ−アルバ(herba−alba)、アルテミシア・ジュダイカ(judaica)、アルテミシア・ブルガリス(vulgaris)、アルテミシア・アビシニカ(abysinica)、アルテミシア・アビシンチカム(absynthicum)、アルテミシア・アフラ(afra)、アルテミシア・カナリエンシス(cannariensis)、アルテミシア・パレンス(pallens)、アルテミシア・アヌア(annua)、アルテミシア・アブロタナム(abrotanum)、アルテミシア・ルドビシアナ(ludoviciana)、アルテミシア・カピラリス(capillaris)及びアルテミシア・スコパリア(scoparia)の抽出物である。
【0023】
これらの抽出物に存在する構成要素の分析において、特にアルテミシア・ドラクンクラスの適切な亜種として、特に有用であると判明したものは、特にロシア産又はフランス産のタラゴンであり、その理由は、これらが本発明の本質となる化合物を充分な量、安定した濃度において含んでいることである。
【0024】
本明細書において、本発明による組成物は、好ましくは有効量の各化合物又は混合物又は抽出物を含み、それは1〜1,000,000ppmの濃度であることを特徴とする。その最大値がすなわち純粋な物質であることを意味する。しかしながら、望ましくは、有効量は10〜20,000ppm、特に好ましくは100〜5,000ppmである。これらの量は、特にそれぞれの化合物が、一部は互いと異なるが、補足的に、異なった量で反応を示し、その量は、すでに述べたように、ほぼ同毒療法から純粋な物質までの範囲に至ることができるという事実を反映する。
【0025】
記載されている組成物に加え、本発明はまた、(前)糖尿病及びそれに関連する症状(付随疾患及び/又は二次疾患)の予防及び/又は治療のための添加剤を生産するためのその使用を含み、11分野での応用が好ましいと考えられる。主に、添加剤を得るための組成物に関する、特許請求された使用は、好ましくはa)哺乳類の血糖値、b)インスリン耐性、c)肝臓でのグルコース放出、d)GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、e)GLP−1及び関連するレセプタとの結合能、f)グルコースからグリコーゲンへの変換、g)IRS−2(インスリンレセプター基質2)ポリペプチドの発現、h)インスリンによって制御されるグルコース取り込み、及び/又はi)食後のグルコース濃度、が影響されるような添加剤を含む。しかしながら、添加剤はまた、j)2型及び/又は1型糖尿病の治療又は予防、k)糖尿病前症の治療又は予防、l)体重の目標管理及び/又はm)体の肉体的な運動能力の増強に使用できるのが適切である。
【0026】
代謝過程に影響を与える上記の可能性は、a)血糖値、b)インスリン耐性、c)肝臓のグルコース放出及び/又は、i)食後のグルコース濃度に影響を与える場合には減少させるのに役立ち、d)GLP−1活性、e)GLP−1及びそのレセプタ間の結合挙動、f)グルコースのグリコーゲンへの転換、g)IRS−2ポリペプチドの発現、更にはh)インスリンに制御されたグルコース取り込み、の場合には増加させるのが望ましい。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、その添加剤を栄養補助食品、飲物、(ダイエット)食品及び/又は機能性食品として非治療的に使用することを含む。しかしながら、本明細書におけるその臨床栄養及び/又はスポーツ食品としての使用もまた可能であり、いずれの場合においてもその非治療的な分野での使用が前面に立つ。特許請求された組成物によって得られる添加剤はすなわち、特にOTC製品及びそれによる自己治療の使用にも適している。
【0028】
それぞれの目的での使用、またそれと関連する応用の形態とは独立して、本発明は、上記の添加剤の使用を提供し、そこにおいて、上記組成物の有効量は一日当たり0.1〜500mg/kg体重、好ましいと考えられる量として1.5〜150mg/kg体重、及び特に好ましいと考えられる量として15mg/kg体重である。
【0029】
本発明の化合物及びさらに一覧に示す化合物に加え、上記の添加剤はまた、ギムネマ・シルベスタ、コロハ、ニガウリ、α−リポ酸(塩)、コロソリン酸、ウルソリン酸、D−ピニトール、アロエベラ、ピコリン酸クロム、バナバ、ヤコウ(Yacou)、モモルディカ・カランティア、オリーブ、プテロカルプス・マルスピウム、サラシア・レティキュラータ、ニンニク、サンザシ、リン脂質及び特にホスファチジルセリン、ω−3脂肪酸及び澱粉、から選ばれる少なくとも一つの活性化合物及び/又は一つの活性抽出物を更に含むことができる。このように構成される添加剤は、本明細書において、特に糖尿病(前症)の予防及び治療のために用いることができる。
【0030】
しかしながら、本発明また、上記の生理活性組成物に加えて、ピルビン酸、L−カルニチン、ヒドロキシクエン酸、エフェドリン、カフェイン、共役リノール酸、アセチルサルチル酸、α−リポ酸及び/又はその塩及び誘導体から選択される少なくとも一つの活性化合物を含む添加剤の使用を共に含む。この添加剤は、特に体重の制御、とりわけ体重の減少に適することが示されている。
【0031】
しかしながら、本明細書において、生理活性組成物に加えて、以下から選択される少なくとも一つの活性化合物を含む添加剤を使用することもまた可能である:グアニジン化合物(特にクレアチン、クレアチン一水和物、グアニド酢酸、クレアチノール、クレアチン−クエン酸化合物、クレアチン−ピルビン酸塩、クレアチンリン酸)、またカフェイン、α−リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン、加水分解コラーゲン、メチルスルホニルメタン、ホエイタンパク質、L−グルタミン、リン脂質(特にホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン)、及びコリン、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸塩、ピルビン酸、L−カルニチン、D−リボース、アミノ酸、S−アデノシルメチオニン、タウリン、共役リノール酸、グリセロール、シナモン及び/又はその塩及び誘導体。上記添加剤のこの変形例はとりわけ、非脂肪細胞の細胞エネルギーを上昇させるために用いられる。
【0032】
更に、本発明においては医薬が特許請求されており、それは本発明の組成物を、単独で、又は上述した活性化合物及び/又は抽出物のうちの少なくとも一つと組み合わせて使用するものである。
【0033】
総括すると、特許請求された組成物及び付随する応用のケースを使用することにより、上記課題を完全に解決することができるのみならず、特に、代謝過程に対して有益な効果を与える特定の化合物(それらの化合物は純粋品としてのみならず、抽出物、特に植物抽出物の形においてもそれらの所望の効果を呈する)を組み合わせて使用することもできる。これらの化合物の有効性は、部分的には互いとの、あるいは化合物の他の種類との組み合わせにより超加算的に増加させることができ、それは特に、非医療分野の自己治療と関連して、最終消費者のために重要な効果をもたらすものである。
【0034】
以下の実施例は、本発明の上述の効果を例示するものである。
【実施例1】
【0035】
タラゴン抽出物の製造
500gの乾燥したロシア産タラゴン(アルテミシア・ドラクンクラス)の地上部分を粉砕(粒径<10mm)し、8Lの80容量%エタノールを用い、16時間、45℃にて抽出した。その後、抽出物を濾過し、濾過液をロータリーエバポレーターを用い200mlまで濃縮し、50gの微結晶性セルロースと混合し、凍結乾燥した。緑がかった粉末175gを得た。
【0036】
抽出物のHPLC分析の結果、以下の組成であった。
ヘルニアリン 360ppm
ダビジゲニン 990ppm
6−デメトキシカピラリシン 1450ppm
6−デメトキシ−3’−メトキシカピラリシン 15ppm
エレマイシン 195ppm
イソエレマイシン 420ppm
ヒスピルジン 65ppm
9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイン酸 25ppm
4’−O−メチルダビジゲニン 465ppm
4−O−メチルダビジゲニン 35ppm
4−O−メチルダビジゲニン−4’−グルコシド 585ppm
4−O−メチルダビジゲニン−4’−ラムノグルコシド 675ppm
【実施例2】
【0037】
2型糖尿病の動物モデルにおける食後血糖値に対する、アルコールによるタラゴン抽出液の急激な効果
以下に、動物実験の結果を列挙する。そこにおいて、食後血糖値に対する、アルコールによるタラゴン抽出液の急激な効果が、肥満と同時に高い空腹時血糖値(2型糖尿病)を有する動物において解析された。実施例1に従って得られた粉末を含むグルコース溶液を用いた。
【0038】
解析時間は各々の場合において最大5時間であり、そこにおいて経口のグルコース負荷試験が、さまざまな量の抽出物又はプラセボについて、全ての動物について行われた。高い血糖値を有する合計30匹のラット、又はob/obマウス(ob遺伝子(肥満(obese)由来)のホモ型である肥満マウス)を、一処理群あたり10匹の動物として解析に供した。14時間の絶食の後、各動物について空腹時血糖値を測定した。このとき、グルコース濃度は平均138.8mg/dL(マウス)又は136.0mg/dL(ラット)であって、群の間で有意な差はなかった。次に、特定の量のグルコースを溶解させた溶液(3.33ml溶液/kg体重(ラット)、又は10ml/kg体重(マウス))を、胃管によって動物に与えた。その溶液は500mg/kg体重又は1000mg/kg体重にて上記の抽出溶液を含み、又は対照としてグルコース溶液のみ(60%強度(ラット)又は20%強度(マウス)+可溶化剤として2% Tween80)を含むものを使用した。グルコース溶液の投与の後、血液中のグルコース及びインスリンの濃度を決定するために、15分間隔で180分間にわたって採血した。食後のグルコース濃度の値を表1及び2に示す。
【0039】
全ての動物は、いかなる不適合の徴候もなく、処置に対する許容を示した。
【0040】
500mg/kg体重又は1000mg/kg体重で抽出物を含むグルコース溶液、又は対照となるグルコース溶液で処理された糖尿病マウスにおける、食後の血糖値(mg/dL)。
【表1】

【0041】
500mg/kg体重又は1000mg/kg体重で抽出物を含むグルコース溶液、又は対照となるグルコース溶液で処理された糖尿病ラットにおける、食後の血糖値(mg/dL)。
【表2】

【実施例3】
【0042】
グルコース不耐性又は2型糖尿病を有するヒトの、食後の血中グルコース濃度に対する、タラゴン抽出液の急激な効果
一心的(monocentric)、二重盲検無作為プラセボ対照交差試験により、グルコース不耐性又は2型糖尿病を有するヒトの食後の血糖値に対する、タラゴン抽出液の急激な活性を解析した。上記の調製物の活性を、食事耐性試験(MTT)によって決定した。
【0043】
高い空腹時血糖値を有する8人の男性又は女性患者(食事療法のみ)を検査の対象とした。上記の検査には、スクリーニングテスト(V0)(候補被験者が検査に参加するための適合性に関する検査)に加え、2日の通院検査日(通院1(V1)+通院2(V2)、2〜3週間のウオッシュアウト期間をはさむ)、更にはV2の後の最終的な解析を含めた。
【0044】
被験者の適合性を検査した後、被験者はランダムに治療計画に割り当てられて、二重盲検交差法にて、検査期間中、抽出物及びプラセボ(微結晶性セルロース)両方の治療を受けた。それぞれの検査日において、各々の場合における患者は、標準朝食の前に、単回の経口投与にて抽出物又はプラセボ1000mgを摂取し、その後、食後の血糖値に及ぼすその処理による活性を、5時間にわたる血糖値及びそれに続く血清インスリン濃度の定時の測定により解析した。訪問2(最終的な検査が行われた)の終了により、被験者への検査は終了した。
【0045】
対象者が臨床検査に参加するための前提条件として、対象者による参加への書面による同意を受け、その後、対象者は口頭及び書面により、臨床検査の性質、重要性及び結果について説明を受けた。検査者は、自身により日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)におけるヘルシンキ宣言(エジンバラ会議、2000年10月)(医薬品の臨床試験実施に関する基準(GCP)の原理)、並びに国家条例及びガイドラインに忠実に従い、検査を行った。
【0046】
被験者は、検査、更にはデータ保護に関する全ての側面に関し、情報リーフレットにより説明を受けた。患者への通知は、患者の同意宣言に加え、検査を担当した医師の署名入りの文書により行われた。
【0047】
被験者の取り込み基準に準拠し、5人の男性及び3人の女性の被験者(年齢35〜70歳、BMI 29kg/m超40kg/m未満、125〜220mg/dLの空腹時血糖値、HbAlc値>6.1%、錠剤又はインスリンによる抗糖尿病治療を受けておらず、書面による合意の宣言を行った)について検査を行った。これらの患者は、調査を行った医師の評価によると、予備検査では、実験室での数値にいかなる臨床的に有意な偏差も表れなかった(特に:血清クレアチニン及び血清ヘモグロビン、更にはグルタミン酸塩オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)及びグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)の活性(急性又は慢性の疾患/障害の指標となる))。
【0048】
1000mgの抽出物又はプラセボによる処置を受けた糖尿病性患者の、標準朝食後の血中グルコース濃度(mg/dL)。
【表3】

【0049】
1000mgの抽出物又はプラセボによる処置を受けた糖尿病性患者の、標準朝食後の血中インスリン濃度(μg/dL)。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−O−メチルダビジゲニン、4’−O−メチルダビジゲニン、ダビジゲニン、エレマイシン、イソエレマイシン、ヘルニアリン、デメトキシカピラリシン、特に6−デメトキシ−カピラリシン及び/又は6−デメトキシ−3’−メトキシカピラリシン、ヒスピルジン及び9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイン酸、及びそれらのグリコシドから選択される少なくとも一つの化合物の有効量を含む生理活性組成物の、糖尿病(前症)及びこれに関連する付随疾患及び/又は二次疾患の予防及び/又は治療のための添加剤の製造への使用。
【請求項2】
前記グリコシドが、4−O−メチルダビジゲニン及び/又は4’−O−メチル−ダビジゲニンのグルコシド及び/又はラムノグルコシド、それらの塩及び誘導体、並びにHPLC分析によってアルテミシア抽出物中に検出可能な化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
更にクロロゲン酸、ナリンゲニン、フラボノイド、フラバノイド、テルペン、テルペノイド及び/又はそれらの誘導体から選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
グリコシド及び/又はアグリコンの形で少なくとも一つの化合物を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
純粋品及び/又は混合物として前記化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
天然の抽出物の形で前記混合物を含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
アルコール及び/又はアルコール/水抽出物を含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
アルコール/水抽出物のエーテル画分を含む、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
アルテミシア抽出物である、請求項6から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記アルテミシア抽出物が、アルテミシア・ドラクンクラス(dracunculus)、アルテミシア・ヘルバ−アルバ(herba−alba)、アルテミシア・ジュダイカ(judaica)、アルテミシア・ブルガリス(vulgaris)、アルテミシア・アビシニカ(abysinica)、アルテミシア・アビシンチカム(absynthicum)、アルテミシア・アフラ(afra)、アルテミシア・カナリエンシス(cannariensis)、アルテミシア・パレンス(pallens)、アルテミシア・アヌア(annua)、アルテミシア・アブロタナム(abrotanum)、アルテミシア・ルドビシアナ(ludoviciana)、アルテミシア・カピラリス(capillaris)及びアルテミシア・スコパリア(scoparia)の抽出物である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記抽出物が、アルテミシア・ドラクンクラスの亜種の由来である、請求項6から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記亜種がロシア産又はフランス産のタラゴンである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記有効量が、1〜1,000,000ppmである請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
糖尿病(前症)及び関連する付随疾患及び二次疾患の予防及び/又は治療において、a)哺乳類の血糖値、b)インスリン耐性、c)肝臓でのグルコース放出、d)GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)、e)GLP−1及び関連するレセプタとの結合能、f)グルコースからグリコーゲンへの変換、g)IRS−2(インスリンレセプター基質2)ポリペプチドの発現、h)インスリンによって制御されるグルコース取り込み、が低下する、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
2型及び/又は1型糖尿病の治療及び/又は予防、及び/又は体重の目標管理のための、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
体の肉体的な運動能力を増強するための、請求項1から13のいずれか一つにより定められる組成物の非治療的な使用。
【請求項17】
前記の添加剤が、臨床栄養及び/又はスポーツ食品の分野において、補助食品、飲物、食品、ダイエット用食品、機能性食品として用いられる、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記の添加剤が、前記の組成物の一日当たりの有効量に対応する量(請求項1から13のいずれか一つにより定められ、0.1〜500mg/kg体重である)において用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記の添加剤が、前記の生理活性組成物に加えて、a)ギムネマ・シルベスタ、コロハ、ニガウリ、α−リポ酸(塩)、コロソリン酸、ウルソリン酸、D−ピニトール、アロエベラ、ピコリン酸クロム、バナバ、ヤコウ(Yacou)、モモルディカ・カランティア、オリーブ、プテロカルプス・マルスピウム、サラシア・レティキュラータ、ニンニク、サンザシ、リン脂質及び特にホスファチジルセリン、ω−3脂肪酸及び澱粉から選択される少なくとも一つの活性化合物及び/又は一つの活性抽出物、b)ピルビン酸、L−カルニチン、ヒドロキシクエン酸、エフェドリン、カフェイン、共役リノール酸、アセチルサルチル酸、α−リポ酸及び/又はその塩及び誘導体から選択される少なくとも一つの活性化合物、及び/又は、c)グアニジン化合物(特にクレアチン、クレアチン一水和物、グアニド酢酸、クレアチノール、クレアチン−クエン酸化合物、クレアチン−ピルビン酸塩、クレアチンリン酸)、カフェイン、α−リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン、加水分解コラーゲン、メチルスルホニルメタン、ホエイタンパク質、L−グルタミン、リン脂質(特にホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン)及びコリン、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸塩、ピルビン酸、L−カルニチン、D−リボース、アミノ酸、S−アデノシルメチオニン、タウリン、共役リノール酸、グリセロール、シナモン及び/又はその塩及び誘導体から選択される少なくとも一つの活性化合物、を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
a)の場合にはリン脂質がホスファチジルセリンであり、c)の場合にはグアニジン化合物がクレアチン、クレアチン一水和物、酢酸グアニジン、クレアチノール、クレアチン−クエン酸化合物、クレアチンピルビン酸塩及び/又はクレアチンリン酸であり、前記リン脂質がホスファチジルセリン及び/又はホスファチジルコリンである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
a)の場合には添加剤が糖尿病(前症)の予防及び/又は治療に用いられ、b)の場合には媒介物が体重の制御、特に体重を減少させるために用いられ、c)の場合には前記媒介物が非脂肪細胞の細胞エネルギーを増加させるために用いられる、請求項19又は20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1から13のいずれか一項により定められる生理活性組成物を含む医薬。
【請求項23】
請求項19に記載の活性化合物及び/又は活性抽出物のうちの少なくとも一つを更に含む、請求項22に記載の医薬。

【公表番号】特表2008−507486(P2008−507486A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521905(P2007−521905)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007964
【国際公開番号】WO2006/010560
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505040062)カーギル,インコーポレイティド (23)
【Fターム(参考)】