説明

産業スクラップを区別して回収するための小型の機械

電気ケーブルを区別して回収することを目的とした小型の機械(1)は、ケーブルを粉砕するためのグラインダ(2)と、このグラインダ(2)によって形成された金属およびプラスチック破片を分離する終端セパレータ(3)と、空気圧を利用して金属およびプラスチック破片をグラインダ(2)から終端セパレータ(3)まで運ぶ一連の通風機(4、40、400)と、グラインダ(2)からカスケード式に配置された中間グループ(7)であって、空気圧により所定の制限重量より軽い金属破片を通行させ、これより重い重量の金属破片を収集することができることにより、例えば最初に金属破片を分離することができる中間グループ(7)と、第1の中間グループ(7)からカスケード式に配置された平板グラインダ(6)であって、グラインダ(2)によって形成された金属破片を遠心分離し丸みを帯びた幾何学的形状を有する金属破片を放出することができる平板グラインダ(6)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業スクラップを区別して回収することを目的とした機械に関連する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
このような機械は一般的な観点から、例えば銅/プラスチックまたは銅/アルミニウム/プラスチックなど互いにそれぞれ異なる固有の重量を持つ2つ以上の材料を分離することが可能である。
【0003】
しかしながら最も大きな関心は、製造過程で残った物、スクラップ、解体品などから出ている電気ケーブルを区別して回収することに関連し、特にプラスチック絶縁体を被覆した銅の分離について言及する。
【0004】
このような目的の既知のタイプの小型の機械は回転羽根式のグラインダA1を備えており、そこにセパレータのグループA2がカスケード式に直接接続されている(図1を参照)。
【0005】
グラインダA1とセパレータA2は共通の載置ベースの上に置かれ、分離段階で形成された粉体が環境に広がらないように収集するように決められた固有のフィルタ(図示せず)と協働することが多い。
【0006】
回転羽根式グラインダA1は基本的に、手を使ってあるいは上流に位置する細分機によって供給される装填ベルトを利用して装填口に挿入された電気ケーブルの長さを粉砕することができる。
【0007】
いずれの場合もケーブルの長さはまず所定の工作物のサイズを呈するように準備される。
【0008】
回転羽根式グラインダA1を出た製品の粒度分布は回転羽根の回転数とグリル穴のサイズの特定の関数であり、この生成物の均質性が向上することはセパレータA2の性能が優れており故にリサイクルされた製品も向上することは明らかである。
【0009】
重要なのはグラインダA1内の回転羽根の回転速度が極端に速くなると作用中の温度が上がる恐れがあり、これは実際プラスチックを被覆した外装がない場合は軟化の危険性があり、このような不測の事態により銅とプラスチックが一緒になった塊が形成され、これは短時間でグラインダA1の格子の穴を詰まらせる恐れがある。
【0010】
しかしながら一般に回転羽根式グラインダA1を出た生成物は、針のような幾何学的形状の銅を呈示しており、これはプラスチックを分離する段階を促進したり簡素化するものではない。
【0011】
回転羽根式グラインダA1を出た生成物は空気圧を利用してセパレータグループA2まで運ばれ、ここでこの生成物は傾斜した分離テーブルへと誘導され、逆回転する振動器手段によって生成される急激に揺さぶる動作によって活性化される。
【0012】
分離テーブルの上側の面は極めて微細な接点を有する隆起した網を呈しており、この網は作業工程において所定の流速の空気流によって下から付与されている。
【0013】
空気流と振動を組み合わせた作用をテーブルが受けることで銅を浮かび上がらせ(重量が重い方)プラスチックを銅の上で浮遊させる(重量が軽い方)。銅は隆起した網の上に上がる傾向にあり、プラスチックは反対方向に誘導され銅の上で浮遊する。
【0014】
小型の機械に関するこの種の既知の工程の最も大きな欠点は基本的に、セパレータグループA2への入り口において望ましくない針のような幾何学的形状であることによって表されている。
【0015】
このような幾何学的形状によってセパレータテーブルの上に材料の塊が形成され、これが分離性能を脅かし特定のケースでは隆起した網を深刻なまでに塞いでしまう。
【0016】
このような欠点を未然に防ぐ目的で特に細い針形状のケーブルに関してグラインダ内で小さい穴の格子が使用されるが、これは生産性を低下させることになる。
【0017】
グラインダA1からの出口において銅が針形状であることによって局所的に材料の塊が形成され易くなり、この塊は経時的に成長しテーブル上の銅の上昇経路を失速させ、これにより全体の分離工程も失速させる。また銅からプラスチックが取り出されないため最終製品の品質にもかなりの影響を及ぼす。
【0018】
このことはテーブルを清掃するためのメンテナンス体制が頻繁であることを意味しており、その結果生産に関係のない休止状態や機械の設定の変更などが伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、具体的には金属/プラスチックでできた産業スクラップを区別して回収することを目的としており、高い分離効率を保証し最大限の品質の最終製品を回収することができる小型の機械を提供することである。
【0020】
別の目的は、メンテナンスの段階を有意に制限し、これに対応する機械の休止時間も有意に制限することで全体の生産性の全ての利益につながる小型の機械を提供することである。
【0021】
上記に示した目的は特許請求の範囲の内容によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の特徴は以下に出てくるが、そこではいくつかの好ましい、但し排他的でない実施形態を添付の図中の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】分解組立構成の従来技術による小型機械の概略図である。
【図2】本発明の小型機械の分解組立構成での同様の図である。
【図3】図2に表される小型機械の機能を表す図である。
【図4】図2に示される機械の特に重量な構成要素の一部の断面図の拡大図である。
【図5】この機械の別の重要な構成要素の垂直面における断面図の拡大した詳細の図である。
【図6A】特定の形態の組立体での本発明の機械の斜視図である。
【図6B】特定の形態の組立体での本発明の機械の平面図である。
【図6C】特定の形態の組立体での本発明の機械の前面図である。
【図6D】特定の形態の組立体での本発明の機械の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記の図面の一覧を参照すると、1を用いて産業スクラップを区別して回収するための小型の機械の全体が表されており、特に金属要素(銅および/またはアルミニウム)とプラスチック絶縁要素によって構成された電気ケーブルを区別して回収することを目的として提案されている。
【0025】
既知の方法では、本発明の小型の機械1は入り口グループ2を備えており、これは一般には回転羽根式グラインダであり、手を使ってまたは細分機(図示せず)によって供給されるベルトを使用して予め準備され装填口20に挿入される電気ケーブルの長さを粉砕し、終端グループ3と協働して回転羽根式グラインダ2によって形成された金属およびプラスチック材料の破片を最終的に分離することを目的とする。
【0026】
金属材料は回転羽根式グラインダ2によって実質的に針の形の幾何学的形状の破片の形態で放出される。
【0027】
また電気通風機(4、40、400)も備わっており、これは空気圧を利用して金属およびプラスチック破片を回転羽根式グラインダ2から終端セパレータ3まで運ぶことを目的としている。
【0028】
好ましい一実施形態では、本発明の機械1が回転羽根式グラインダ2にカスケード式に配置された第1の中間グループ7を備える点が革新的である。
【0029】
第1の中間グループ7は複雑に入り組んだ迷路状の経路71によって構成されており、その内部を空気圧により通行させることが可能であり、すなわち所定の制限重量より軽い金属破片を通行させ、それより重い重量の金属破片を収集することができることによって例えば金属破片を最初に分離することができる。
【0030】
入り口の領域を過ぎると迷路状の経路71は二叉を有しており、そこからメインチャネル72と二次チャネル73の2つのチャネルにつながっている(図5)。
【0031】
重量の軽い金属破片はメインチャネル72を通過し、このような破片は制限重量より重量が軽い。重量の重い破片は二次チャネル73を通過し、実質的にこのような破片は制限重量より重量が重い。
【0032】
この場合プラスチック破片は、重量の軽い破片と一緒に迷路状の経路71のメインチャネル72に沿って通行する。
【0033】
上記の分離の関数を考慮し、かつより重量の重い金属破片を選択することは考慮しないとすると、メイン導管72を通って流れるいかなる重量の重い破片も決して機械1の機能を損なわないことが理解される。
【0034】
どのタイプでどのような特徴の電気ケーブルが処理されるかを演繹的に推測することははできないが、仮に剛性の長さのケーブルがグラインダ2に供給された場合、第1の中間グループ7は即座にそれらを区別することができそれらを迷路状の経路71の二次チャネル73に送り込むが、これはこのワイヤがもとからにプラスチック被覆されていないためである。
【0035】
第1の中間グループ7は有利には制限重量値を調整するための手段70を備えており、これらは金属破片を選択して迷路状の経路のメインチャネル72または二次チャネル73に向けて送るために正しく見分ける。
【0036】
調整手段70は好ましくは、迷路状の経路71の二叉の近傍に配置された可動式の分離壁によって構成される。
【0037】
終端グループ3は一例として既知のタイプのA2であってよく、すなわちそれは急激に揺さぶる動作によって作動する傾斜したセパレータテーブルを備えており、その上側の面は極めて微細な接点を有する隆起した網として成形され一定の空気流を受ける。
【0038】
空気流と振動を合わせた作用をテーブルが受けることで丸みを帯びた幾何学的形状の金属破片(重量が重い方)が浮かび上がり、プラスチック破片(重量が軽い方)は浮遊することができる。
【0039】
別の一実施形態において新規の方法では機械1はさらに第2の中間グループ6を備えており、これは第1の中間グループ7と終端グループ3の間に挿入され、グラインダ2によって形成された金属生成物を遠心分離し、それらを実質的に丸みを帯びた幾何学的形状で放出することができる。
【0040】
第2の中間グループ6は好ましくは平板グラインダによって構成され、その内部で羽根車61の回転羽根60によって金属破片を独自に成形された周辺プレート62(図4)に激しく衝突させる。
【0041】
金属破片が遠心分離作用の間に連続する衝撃を受けることによってそれは針形状から丸みを帯びた幾何学的形態に改良されるが、プラスチック破片は実質的に変わらないままである。
【0042】
平板グラインダ6の回転羽根60と周辺プレート62を適切な大きさにし成形することによって、丸みを帯びたドーナツ形の幾何学的形状の金属破片が終端グループ3から放出される点が有利である。
【0043】
第2の中間グループ6は好ましくは終端グループ3と第1の中間グループ7の間に挿入されるが(図2および図3)、代替としてそれは第1の中間グループ7と回転羽根式グラインダ2の間に挿入することもできる点で有利である。
【0044】
機械1を確実に最大限に小型化するために、回転羽根式グラインダ2、第1の中間グループ7、平板グラインダ6および終端セパレータ3は同一の載置プラットフォーム5(図6A)によって支持される。
【0045】
一例として第1電気通風機4が終端セパレータ3に結合されることで平板グラインダ6から出てくる破片を運ぶことができ、その一方で第2電気通風機40と第3電気通風機400が第1の中間グループ7に結合されることで回転羽根式グラインダ2から出てくる破片を迷路状の経路71およびメインチャネル72に向けて運ぶことができる。
【0046】
提案される機械1が有利には電気通風機(4、40、400)に接続されたフィルタと回収手段8を装備することができることにより、例えば機械1の種々のグループ(2、3、6、7)内に形成されたプラスチックと金属の粉塵を収集することができる。
【0047】
仕様に従って冷蔵手段(図示せず)を回転羽根式グラインダ2に結合させて設け、グラインダ2内のプラスチックおよび金属破片の生成物の温度を調節することができる。
【0048】
上記の記載は一例として電気ケーブルを区別して回収する特定のケースに関連しているが、本発明の概念は十分に相互に異なった固有の重量を有する材料で構成されるいずれの種類の産業スクラップにも拡大させることができる。
【0049】
上記から特に金属とプラスチックでできた産業スクラップを区別して回収することを目的とした提案される小型の機械は、高い分離効率を保証し最高品質の最終製品を回収することが可能である。
【0050】
グラインダが及ぼす作用により金属破片を終端セパレータに送ることが可能になり、この金属破片はもはや既知のタイプの機械のように針形状ではなく丸みを帯びており、好ましくは丸みのあるドーナツ形状である。
【0051】
金属破片がドーナツ形状であることにより、例えば分離テーブルの上に金属/プラスチックの塊が形成するのを阻止する、テーブルの上に金属が浮かび上がるのを改善することができる、プラスチック破片からの金属破片の分離が改善されるなどの著しい利益を得ることができる。
【0052】
これにより高品質レベルの最終的な回収後の製品が提供されるだけではなく、分離テーブルのメンテナンスおよび清掃段階を大きく減らし、これにより機械の休止時間が短縮することになりこれらは全て全体の生産性の利益につながる。
【0053】
大きな穴を有する格子をグラインダに使用することにより生産性を大きく増大させることができ、そこには特別な問題はない。
【0054】
高品質の最終製品を得るという目的によって、回転羽根式グラインダが冷蔵手段を装備することで中に形成されるプラスチックおよび金属破片によって想定される温度を調節することで、例えば高いレベルの均質性を持つ放出後の製品が可能になり、終端セパレータグループの性能をさらに高めることができる。
【0055】
冷蔵作用によってプラスチック破片を軟化および/または溶融させずに回転羽根式グラインダの回転形態を許容できるレベルに保つことが可能になり、そうでなければこのプラスチック破片は直ぐに関連する格子を塞いでしまうであろう。
【0056】
本発明を添付の図面の図の助けを借りて純粋に非制限的な例として明確に記載してきたが、故に以下の特許請求の範囲で定義される範囲を放棄せずに本発明に全ての修正形態および変形形態をもたらすことができることは明らかである。
【符号の説明】
【0057】
1 小型の機械
2 回転羽根式グラインダ
3 終端セパレータ
4、40、400 電気通風機(運搬手段)
5 載置プラットフォーム
6 第2の中間グループ
7 第1の中間グループ
8 回収手段
20 装填口
60 回転羽根
61 羽根車
62 周辺プレート
70 調整手段
71 迷路状の経路
72 メインチャネル
73 二次チャネル
A1 回転羽根式グラインダ
A2 セパレータグループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業スクラップを区別して回収することを目的とした小型の機械において、
少なくとも1つのプラスチック材料と金属材料でできた産業スクラップの長さを細分化することを目的とし該金属材料が実質的に針形状の破片形態のままにする入り口グループ(2)と、
前記入り口グループ(2)によって形成された金属およびプラスチック材料の破片を最終的に分離する終端グループ(3)と、
空気圧を利用して前記前記金属およびプラスチック破片を前記入り口グループ(2)から前記終端グループ(3)まで運ぶ手段(4、40、400)とを備えるタイプの小型の機械であって、
前記入り口グループ(2)の後にカスケード式に配置された第1の中間グループ(7)を備え、この第1の中間グループ(7)によって空気圧を利用して所定の制限重量より軽い金属材料を通行させこれより重い重量の金属破片を収集することが可能になることで、例えば前記金属破片を最初に分離することができ、前記プラスチック破片は前記より軽量の金属破片と一緒に自由に通過することを特徴とする機械。
【請求項2】
前記制限重量を調整し前記第1の中間グループ(7)に結合された手段(70)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記第1の中間グループ(7)が二叉を備えた迷路状の経路(71)を備え、そこから2つのチャネルが分かれており、この2つのチャネルは前記制限重量に対して軽い金属破片と重い金属破片をそれぞれ運ぶことを目的としたメインチャネル(72)と二次チャネル(73)であり、前記プラスチック破片は前記メインチャネル(72)に沿って通行することを特徴とする、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
好ましくは前記第1の第1の中間グループ(7)の後にカスケード式に配置された第2の中間グループ(6)を備え、これが前記入り口グループ(2)によって形成された前記金属破片を遠心分離することで放出する際の前記金属破片が実質的に丸みを帯びた幾何学的形状となり、その一方で前記プラスチック破片は実質的に変わらないままにすることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の機械。
【請求項5】
前記第2の中間グループ(6)がドーナツ形の丸みを帯びた幾何学的形状の金属破片を放出することを特徴とする、請求項4に記載の機械。
【請求項6】
前記第2の中間グループ(6)が、複数の回転羽根(60)を備えた羽根車(61)を備え、この回転はねが前記金属破片を妨害しそれらを該羽根車に面した周辺プレート(62)に向けて誘導することを特徴とする、請求項4または5に記載の機械。
【請求項7】
これらが前記手段(4、40、400)と協働して空気圧を利用して運ぶことを目的としたフィルタと回収手段(8)を備えており、前記グループ(2、3、6、7)内に形成されたプラスチックおよび金属の粉塵を収集するように決められていることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の機械。
【請求項8】
前記入り口グループ(2)と結合され中に形成された前記プラスチックおよび金属破片の温度を調節する冷蔵手段を備えることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の機械。
【請求項9】
少なくとも前記グループ(2、3、6、7)を支持するためのプラットフォーム(5)を備える、請求項1から8の一項に記載の機械。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−508125(P2013−508125A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533718(P2012−533718)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054489
【国際公開番号】WO2011/045707
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098131)エムジー リサイクリング エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】