用紙分離装置、並びにこれを備えた画像読取装置及び画像形成装置
【課題】部品点数を削減して製造コストの低廉化を可能にした用紙分離装置を実現する。
【解決手段】押圧部材の端部と接触する支持部材24と、支持部材24の嵌め込みが可能な凹部42を有するガイド部材26とを備え、支持部材24は、押圧部材を上面に載置させるための載置部34と、載置部34の高さ位置を調整すべく載置部34を基準として押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部33とを有すると共に、これらが一体的に形成されており、支持部材24の回転によりガイド部材26に接触する高さ調整部33の位置が変化することで載置部34の高さ位置が変化する。
【解決手段】押圧部材の端部と接触する支持部材24と、支持部材24の嵌め込みが可能な凹部42を有するガイド部材26とを備え、支持部材24は、押圧部材を上面に載置させるための載置部34と、載置部34の高さ位置を調整すべく載置部34を基準として押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部33とを有すると共に、これらが一体的に形成されており、支持部材24の回転によりガイド部材26に接触する高さ調整部33の位置が変化することで載置部34の高さ位置が変化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を分離するための用紙分離装置、並びに、これを備えた画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を自動的に搬送するための原稿搬送装置(ADF)には、複数枚の用紙が積層された状態で搬送(重送)されるのを防止するために、用紙分離装置が備えられるのが一般的である。この種の用紙分離装置の中には、互いに対向する分離ローラ(分離回転部材)と分離パッド(分離部材)との間を原稿が通過する際に、重送される原稿を分離して、1枚ずつ原稿を搬送できるようになっているものがある。
【0003】
図9A及び図9Bは、第1の従来例に係る原稿搬送装置100の内部構成の一例を示した模式図である(特許文献1参照)。図9Aは断面図であり、図9Bは一部分を強調的に図示した斜視図である。
【0004】
原稿搬送装置100は、原稿を分離するために回転可能な分離ローラ101と、分離ローラ101の外周面に対向する分離パッド103とを設け、分離ローラ101と分離パッド103との間には、原稿を搬送するための原稿搬送路105が形成されている。
【0005】
分離パッド103は、回転軸(図示せず)を中心に回転可能に設けられた回転部材107により支持されている。回転部材107の裏面(分離パッド103側とは反対側の面)には、圧縮ばね113が取り付けられている。当該圧縮ばね113により回転部材107が分離ローラ101側に押圧され、当該回転部材107を介して分離パッド103が分離ローラ101側に押圧される。
【0006】
圧縮ばね113における回転部材107側とは反対側の端部は、調整ねじ111により支持されている。より具体的には、調整ねじ111に設けられたフランジ部109上に、圧縮ばね113の端面が接触するようになっている。調整ねじ111は、圧縮ばね113の軸線方向に締め付け可能となっており、当該調整ねじ111の締め付け量を調整することにより、フランジ部109の高さを調整することができる。これにより、フランジ部109の高さに応じて圧縮ばね113の圧縮量が変化し、分離ローラ101側への分離パッド103の押圧力が変化するようになっている。
【0007】
調整ねじ111の回転部材107側とは反対側の端部は、板金115内にねじ込み可能に構成されている。すなわち、板金115内にはねじ切りが設けられており、調整ねじ111の端部が進入できるよう、一定の厚みを有する構造となっている。
【0008】
また、別の従来例としては、利用者が回転ダイヤルを回転させることで、これと連動して第1の押圧部材が弾性部材に対する方向に進入したり後退したりすることが可能な用紙供給装置が開示されている(特許文献2参照)。回転ダイヤルが回転されることで、弾性部材に対して第1の押圧部材と反対側に設けられた第2の押圧部材とそれに対向して配置された押圧ローラとの間の押圧が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−67784号公報
【特許文献2】特開平11−139603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図9に示す従来例においては、調整ねじ111,フランジ部109,及び板金115の3つの部品を必要とする。板金115は、調整ねじ111の先端が内部に進入できるよう、ねじ切りを施す必要がある上、一定程度の厚みが要求される。また、調整ねじ111、フランジ部109においては、上端をフラットな形状に特殊に加工する必要がある。以上のような理由により、製造コストを押し上げる要因となっていた。
【0011】
また、特許文献2に記載の従来例においては、押圧を調整するために回転させるためのダイヤル(回転体)の軸と、実際に分離ローラに対する押圧を直接的に調整するための弾性部材の軸が異なっている。このため、特許文献1の構成よりも更に部品点数が増加しており、製造コストを押し上げる要因となっていた。更に、回転体の軸と弾性部材の軸が異なっているため、部品を搭載するための必要なスペースが増大するという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、部品点数を削減して製造コストの低廉化を可能にした用紙分離装置を実現することを目的とする。また、本発明は、このような用紙分離装置を備える画像読取装置及び画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明に係る用紙分離装置は、
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な、螺旋形状の凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記高さ調整部は、螺旋形状を有する前記支持部材の一部分である螺旋部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、支持部材を回転させることにより、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。
【0015】
そして、本構成によれば、ガイド部材の凹部に支持部材の螺旋部を嵌め込むことで分離圧の調整を行うため、従来のように板金にねじ切り加工を施す必要はない。更にはばねを載置させるためのフランジ部と、フランジ部の高さ位置を調整するための調整ねじを別部品で構成していた従来構成と比較して、部品点数を削減することができ、製造コストの低廉化が図られる。
【0016】
更には、支持部材に突出部を設けたことで、前記押圧部材を、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置することができ、押圧部材を水平方向に安定して設置することができる。
【0017】
また、本発明に係る用紙分離装置は、
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記ガイド部材の前記凹部は、前記支持部材の嵌め込み方向に進むほど深くなるように形成された螺旋階段形状を有しており、
前記高さ調整部は、前記螺旋階段の一の段の上面に接触可能な脚部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを別の特徴とする。
【0018】
かかる構成とした場合においても、支持部材を回転させることにより、載置部の高さ位置が変化して、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。
【0019】
特に、支持部材を樹脂によって形成することで、載置部及び高さ調整部を有する構造を樹脂成形により一体的に形成できる。これにより、金属製であった従来構成よりも製造コストを大きく低廉化できる。
【0020】
なお、押圧部材は例えばばねで構成される。
【0021】
また、支持部材とガイド部材の何れか一方に、位置決め用の突出部を設け、他方に位置決め用の凹部を設ける構成とするのも好適である。このように構成することで、支持部材を回転させ、位置決め用突出部と位置決め用凹部が噛み合う位置において支持部材の回転が妨げられる。そして、更に回転させようとする場合には、この噛み合いを意図的に外す必要がある。つまり、位置決め用凹部に噛み合わせる位置決め用突出部を変化させることで、載置部の高さ位置を調整することが可能となる。
【0022】
更にこのとき、位置決め用の突出部を多数設けることで、載置部の高さ位置を多段階に調整することが可能となる。
【0023】
また、支持部材に貫通孔を設け、ガイド部材には前記支持部材の貫通孔を貫通する棒形状の安定部材を更に有する構成とするのも好適である。かかる構成とすることで、載置部の高さ位置がガイド部材から離れる方向に移動しても、支持部材の安定性の低下を防ぐことができる。
【0024】
なお、上記各構成において、ガイド部材を原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)と一体形成するのも好適である。また安定部材を有する構成においては、搬送ガイド、ガイド部材、及び安定部材を全て一体形成するのも好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る用紙分離装置の構成によれば、支持部材をガイド部材の凹部に嵌め込んで回転させることで、載置部の高さ位置を変えることができる。これにより、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。また、従来のように板金にねじ切り加工を施す必要はない。更には、押圧部材を上面に載置させるための載置部、載置部の高さ位置を調整するための高さ調整部を有する支持部材が一体的に形成される。これにより、ばねを載置させるためのフランジ部と、フランジ部の高さ位置を調整するための調整ねじを別部品で構成していた従来構成と比較して、部品点数を削減することができ、製造コストの低廉化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】原稿搬送装置の内部構成の一例を概念的に示す断面斜視図である。
【図3A】実施例1における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図3B】実施例1における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図3C】実施例1における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図4A】実施例2における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図4B】実施例2における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5A】実施例3における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5B】実施例3における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5C】実施例3における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図6A】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6B】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6C】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6D】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図7A】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7B】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7C】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7D】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図8】原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)の構成を示す模式図である。
【図9A】従来例における原稿搬送装置の内部構成の一例を示す模式的断面図である。
【図9B】従来例における原稿搬送装置の内部構成のうち、一部を強調的に図示した模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙分離装置2cを備えた画像形成装置1の内部構成を示す概略断面図である。
【0028】
本実施形態における画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置(ADF)2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取部3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筐体1a内に、上記画像読取部3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筐体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。
【0029】
原稿搬送装置2は、原稿をセットするための原稿トレイ2aを備えており、ピックアップローラ2b及び用紙分離装置2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。用紙分離装置2cは、例えば分離ローラ20及び分離パッド21を備えている。送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ2d,2e,2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中でガラス板3c上を通過する際に、画像読取部3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0030】
画像読取部3には、例えばCCD(Charge Coupled Devices)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの受光部が設けられている。画像読取部3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に発光部を移動させながらガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光を受光部で受光することによって、原稿の画像を読み取ることができる。また、画像読取部3は、静止した状態でガラス板3cに向かって光を照射し、原稿搬送装置2によりガラス板3c上を搬送される原稿からの反射光を受光部で受光することによって、原稿の画像を読み取ることもできる。
【0031】
ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、受光部で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、発光部が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。一方、原稿搬送装置2により1枚ずつガラス板3c上に搬送される原稿を読み取る場合には、受光部で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、ガラス板3c上を原稿が搬送されることにより副走査が行われる。
【0032】
ガラス板3c及びガラス板3dは、筐体1aの上面に形成されており、原稿搬送装置2は、筐体1aの上面に対して上下に開閉可能に取り付けられている。従って、ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取部3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2とガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。すなわち、原稿搬送装置2は、ガラス板3d上のセット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバー10を構成している。ただし、開閉カバー10は、原稿搬送装置2により構成されるものに限らず、開閉可能な他のあらゆるカバーを採用することができる。
【0033】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取部3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0034】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0035】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための給紙カセット6を備えており、この給紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その第1端部における軸線9aを中心に回転可能となっており、第1端部とは反対側の第2端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ7に対して押圧される。給紙ローラ7に対向する位置には、例えば分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ7が回転駆動されることにより給紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0036】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の記録紙搬送ローラ13が設けられている。給紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、記録紙搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0037】
〔用紙分離装置の構成〕
図2は、原稿搬送装置2の内部構成の一例を概念的に示した断面斜視図であり、用紙分離装置2cの近傍を斜め上方から見た図を示している。
【0038】
本実施形態における原稿搬送装置2に備えられた用紙分離装置2cは、複数枚の原稿が積層された状態で、原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)29を介して搬送(重送)されている場合に、分離ローラ20及び分離パッド21によって、当該複数枚の原稿のうち少なくとも1枚を分離する。
【0039】
分離ローラ20は、原稿を分離するために回転可能な分離回転部材であり、例えば原稿を搬送する方向(図1における時計回り)に回転可能となっている。ただし、分離回転部材は、分離ローラ20に限らず、ベルトなどにより構成されるものであってもよい。分離パッド21は、分離ローラ20の外周面に対向して設けられた分離部材であり、分離ローラ20との間に原稿搬送路2gを形成している。分離ローラ20は、原稿の搬送方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、当該分離ローラ20における長手方向の中央部に対向する位置に、分離パッド21が設けられている。分離パッド21は、摩擦力が比較的大きい材料で形成されていることが好ましく、例えばゴム、コルク又はスポンジなどにより形成することができる。
【0040】
分離パッド21は、回転軸(図示せず)を中心に回転可能な回転部材22により支持されている。回転部材22の回転軸は、例えば分離ローラ20の回転軸線に対して平行方向(原稿の搬送方向に対して直交方向)に延びている。したがって、回転軸を中心に回転部材22を分離ローラ20側へ回転させることにより、分離ローラ20と分離パッド21との間を通過しようとする原稿に対して分離パッド21を押圧することができる。これにより、複数枚の原稿が重送されている場合には、分離ローラ20側に押圧される分離パッド21によって、当該分離パッド21側の原稿が分離され、分離ローラ20に接触している1枚の原稿だけが下流側に搬送される。
【0041】
回転部材22の裏面側(分離パッド21側とは反対側)には、当該回転部材22を分離ローラ20側に押圧する押圧部材としての圧縮ばね23が設けられている。図2では、圧縮ばね23の側方における断面を示している。当該圧縮ばね23により回転部材22が分離ローラ20側に押圧され、当該回転部材22を介して分離パッド21が分離ローラ20側に押圧されるようになっている。ただし、押圧部材は、圧縮ばね23に限らず、例えばゴムなどの弾性部材に例示されるような他の部材であってもよい。
【0042】
なお、この圧縮ばね23は、後述するように一方の端部が支持部材24の上面に接触するように設置されており、支持部材24の上面位置がガイド部材26の方向に向けて移動したり、その反対方向に向けて移動したりするのに連れて、伸び縮みする構成となっている。この圧縮ばね23の付勢力の変化により、分離パッド21と分離ローラ20の間の分離圧が調整される。なお、図2に示す棒形状の安定部材28についての説明は後述する。
【0043】
〔支持部材及びガイド部材〕
以下、用紙分離装置2cが備える支持部材及びガイド部材の詳細な構成について説明する。
【0044】
(実施例1)
図3A,図3B,及び図3Cは、実施例1における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図3A及び図3Bは、支持部材24のみを角度を変えて図示した模式的斜視図であり、図3Cは支持部材24とガイド部材26の両者を併せて図示した模式的斜視図である。
【0045】
図3A〜図3Cに示すように、本実施例1において、支持部材24は、高さ位置を決定するための位置決め用突出部32、圧縮ばね23を上面に載置するためのばね載置部34を備える。また、支持部材24は、ばね載置部34の面から上方に突出したばねガイド用の突出部31を有する。圧縮ばね23を、突出部31の外側面、及びばね載置部34の上面に接するように設置することで、水平方向の安定性が担保される。
【0046】
支持部材24は例えば樹脂で形成されており、樹脂成形によって、ばねガイド用の突出部31、位置決め用突出部32、ばね載置部34、ばね載置部34の高さ位置を調整するための高さ調整部としての螺旋部33が一体形成されている。
【0047】
突出部31を上側に位置するように支持部材24をセットした状態で、支持部材24を所定の方向(例えば時計回り)に回転させると、螺旋部33が下方に進行する。これにより、ばね載置部34の高さ位置が下方に移動する。
【0048】
ガイド部材26は、例えば樹脂で形成された板状の構造であるが、支持部材24の螺旋部33を嵌め込むための凹部42が形成されている。この凹部42についても樹脂成形によって構成されるものとしても構わない。
【0049】
凹部42は、突出部31を上側にした支持部材24を上方から嵌め込むことができるような形状を有している。そして、支持部材24を回転させることで、螺旋部33を下方に進行させることのできるよう、凹部42の下方位置においては螺旋形状を有する構造となっている。また、凹部42には、支持部材24の位置決め用突出部32の嵌め込みを可能にするための位置決め用凹部41が複数の箇所に設けられている。
【0050】
支持部材24をガイド部材26の凹部42内にセットし、支持部材24を回転させると、支持部材24に設けられている位置決め用突出部32が、ガイド部材26に設けられている一の位置決め用凹部41内に嵌め込まれ、支持部材24の回転を妨げる。このとき、支持部材24のばね載置部34の高さ位置が固定されることになる。そして、更に高さ位置を低くするためには、位置決め用突出部32を位置決め用凹部41から外すように支持部材24を凹部42の中心方向に少し移動させた後、支持部材24の回転を再び開始する。例えば支持部材24を再び時計回りに回転させることで、螺旋部33が更に下方に進行するため、ばね載置部34の高さ位置が更に低くなる。
【0051】
ばね載置部34の高さ位置が低くなるということは、その上面に載置された圧縮ばね23の下端の高さ位置も低くなるということを意味する。圧縮ばね23の上端は支持又は規制されているため、ばね載置部34の高さ位置を低くすることで、圧縮ばね23の圧縮量が低下し、分離ローラ20の押圧力を低下させることができる。逆に、支持部材24を逆方向に回転させることでばね載置部31の高さ位置が高くなるため、圧縮ばね23の圧縮量が上昇し、分離ローラ20の押圧力を高めることができる。
【0052】
このように、支持部材24を回転させて、位置決め用突出部32の嵌め込み先となる位置決め用凹部41を変更することで、ばね載置部34の高さ位置が調整され、これにより圧縮ばね23の圧縮量を調整することができる。
【0053】
なお、実際には回転部材22は取り外しが可能に構成されており、分離圧調整に際しては、回転部材22をいったん取り外した後、支持部材24を持ち上げ、再びガイド部材26に嵌め込むことによって行われる。このとき、支持部材24とガイド部材26の嵌め込み深さを調整することで、圧縮ばね23の圧縮量が調整されて、分離圧が調整される。
【0054】
実施例1のような構成とした場合、圧縮ばね23の一方端の高さ位置を調整するための螺旋部33と、圧縮ばね23を安定的に載置するための突出部31及びばね載置部34とを一体構造にすることができる。よって、図9Bに示したような、圧縮ばね113を載置するためのフランジ部109と、フランジ部109の高さ位置を調整するための調整ねじ111が別部品で構成される従来構成と比較して、部品点数を削減することができる。
【0055】
また、支持部材24及びガイド部材26を樹脂成形にて形成することができるため、ねじ切りを施した板金115を使用していた図9Bの構成よりも、加工費を大幅に低廉化できる。
【0056】
支持部材24において、突出部31のほぼ中心部から螺旋部33の中心部へと貫く貫通孔を設け、更に、ガイド部材26にも、凹部42のほぼ中心部を鉛直方向に貫く貫通孔を設け、これらの貫通孔内に棒形状の安定部材28(図2参照)を貫通させる構成とするのが好適である。この安定部材28は、上方及び下方が用紙分離装置2c内の所定の部品と接触し、固定されているものとする。なお、この安定部材28は、ガイド部材26とは別部品として形成しても構わないし、ガイド部材26と一体に形成しても構わない。
【0057】
つまり、棒形状の安定部材28が、支持部材24のばね載置部34上に載置された圧縮ばね23、支持部材24、及びガイド部材26を一体的に貫通する構成である。例えば支持部材24の高さ位置を上方(ガイド部材26から離れる方向)に移動させると、ガイド部材26の凹部42内に位置する螺旋部33の割合が次第に低下する。このとき、凹部42の内側面と螺旋部33の外側面の接触面積が次第に減少し、支持部材24の安定性が低下してしまうおそれがある。支持部材24及びガイド部材26を一体的に貫通する安定部材を設けることで、ばね載置部34の高さ位置がガイド部材26から離れる方向に移動しても、支持部材24の安定性の低下を防ぐことができる。
【0058】
なお、本実施例では、位置決め用突出部32及び位置決め用凹部41を備えることで、ばね載置部34の高さ位置を多段階に安定的に変更することが可能な構成である。しかし、これらの位置決め用突出部32及び位置決め用凹部41を備えない構成として、無段階にばね載置部34の高さ位置を調整可能な構成としても構わない。後述する実施例2においても同様とする。
【0059】
(実施例2)
図4A及び図4Bは、実施例2における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図4Aは、支持部材24とガイド部材26の両者を併せて図示したものであり、図4Bは支持部材24のみを図示したものである。なお、図4Bは、図4Aに図示した支持部材24の上下を反転させて図示したものである。なお、実施例1と同様に、支持部材24及びガイド部材26共に樹脂成形により形成されたものとしてよい。
【0060】
実施例1と同様に、本実施例においてもガイド部材26にほぼ螺旋状の凹部42が形成されている。しかし、実施例1とは異なり、この凹部42の底部は階段形状を示しており、これにより、ガイド部材26には螺旋階段43が形成されている。
【0061】
支持部材24は、実施例1と同様に、ばねガイド用の突出部31及びばね載置部34が形成されている。また、突出部31と反対側の位置において、支持部材24は螺旋部33を有する。ただし、実施例1とは異なり、突出部31と反対側の位置における最も低い位置において、ガイド部材26の螺旋階段43の一段と安定接触可能な脚部45が形成されている。また、少なくとも一の脚部45には位置決め用凹部46が形成されている。
【0062】
そして、ガイド部材26には、この位置決め用凹部46内に嵌め込み可能に形成された位置決め用突出部44が複数の箇所に設けられている。
【0063】
実施例1と同様に、本実施例においても、支持部材24をガイド部材26の凹部42内にセットし、所定の方向に回転させると、螺旋部33がガイド部材26の方向へと進行し、脚部45の底面と接触する螺旋階段43の段が一段ずつ降りていく。これにより、ばね載置部34の高さ位置を低くすることができる。また、支持部材24を逆方向に回転させると、螺旋部33がガイド部材26から離れる方向へと進行し、これにより、ばね載置部34の高さ位置を高くすることができる。
【0064】
支持部材24の回転により、位置決め用凹部46がガイド部材26に設けられている一の位置決め用突出部44内に嵌め込まれ、支持部材24の回転を妨げる。このとき、支持部材24のばね載置部34の高さ位置が固定されることになる。そして、更に高さ位置を低くするためには、位置決め用凹部46を位置決め用突出部44から外すように支持部材24を凹部42の中心方向に少し移動させた後、支持部材24の回転を再び開始すればよい。
【0065】
なお、実施例2では、支持部材24に設けられている位置決め手段を凹部とし、ガイド部材26に設けられている位置決め手段を突出部としたが、これらを逆転させても構わない。実施例1においても同様である。
【0066】
(実施例3)
図5A,図5B,及び図5Cは、実施例3における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図5A及び図5Bは、支持部材24のみを角度を変えて図示した模式的斜視図であり、図5Cはガイド部材26のみを図示した模式的斜視図である。
【0067】
図5Aに示すように、本実施例3において、支持部材24は、圧縮ばね23のガイド用の突出部51,圧縮ばね23を上面に載置するためのばね載置部53、及び脚部54を有する。
【0068】
また、図5Bに示すように、脚部54を上に向けた場合、すなわち、図5Aの状態から上下反転させた場合、ばね載置部53の裏面側に位置するばね載置部53’、及びこのばね載置部53’上において、突出部51の反対側の位置には、ばねガイド用の突出部51と同様の突出部51’が形成されている。
【0069】
図5Cに示すように、ガイド部材26には凹部61が設けられている。この凹部61は、支持部材24の形に合うように形成されており、支持部材24の嵌め込みが可能に構成されている。より具体的には、凹部61としてはほぼ十字型の形状を有しており、底面の深さ位置が、底部71と底部72において異なっている。すなわち、離間して対抗している二つの底部71の深さ位置は、その間に位置する底部72の深さ位置よりも少し浅くなっている。
【0070】
なお、実施例1において上述したのと同様の理由により、棒形状の安定部材を通すために、支持部材24及びガイド部材26に貫通孔を形成するのが好適である。
【0071】
図6A〜図6D及び図7A〜図7Dは、本実施例3において、ばね載置部53の高さ位置が変化する様子を図示したものである。各図共に、ガイド部材26の凹部61内に支持部材24をはめ込んだときの状態を図示している。図6A〜図6Dは全体の斜視図であり、図7A〜図7Dは一部断面斜視図である。
【0072】
図6A及び図7Aは、図5Bに示すように脚部54及びばね載置部53’を上方に向けた状態で、支持部材24のばね載置部53の面を、ガイド部材26の底部72に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。この状態において、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は最も低い位置となっている。
【0073】
図6B及び図7Bは、図6A及び図7Aの状態から、支持部材24をほぼ90°回転させて、支持部材24のばね載置部53の面を、ガイド部材26の底部71に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。底部71は底部72よりも深さ位置が浅くなっているため、この状態にすることで、図6A及び図7Aの状態よりも、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は高くなる。
【0074】
図6C及び図7Cは、図6A及び図7Aの状態から、支持部材24を上下反転させて、ガイド部材26の底部72に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。このとき、底部72には、ばね載置部(53,53’)の面ではなく脚部54が接触する構成となる。これにより、ばね載置部(53,53’)を構成する面の高さと、脚部54の高さの差(この差をd1とする)に相当する分だけ、図6A及び図7Aの状態からばね載置部(53,53’)の高さ位置は高くなる。底部71と底部72の深さ位置の差をd2とし、d2<d1となるように設計することで、図6C及び図7Cの状態におけるばね載置部(53,53’)の高さ位置が、図6B及び図7Bの状態よりも高くなる。
【0075】
図6D及び図7Dは、図6C及び図7Cの状態から、支持部材24をほぼ90°回転させて、脚部54をガイド部材26の底部71に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。底部71は底部72よりも深さ位置が浅くなっているため、この状態にすることで、図6C及び図7Cの状態よりも、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は更に高くなる。
【0076】
本実施例3のような支持部材24の構造とした場合においても、突出部51,ばね載置部53,及び脚部54とを一体構造にすることができる。よって、従来構成と比較して、部品点数を削減することができる。また、支持部材24及びガイド部材26共に樹脂成形にて形成できるため、板金にねじ切りを施す必要のあった従来構成よりも製造コストを大幅に低廉化できる。
【0077】
なお、上記実施形態では、「ばね」という名称を用いて説明した箇所は、ばねを初めとする弾性部材を含む趣旨である。
【0078】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態につき説明する。
【0079】
〈1〉 上記実施形態では、ばね載置部34の上面に圧縮ばね23を載置し、支持部材24を回転させることでばね載置部34の高さ位置を調整して圧縮ばねの弾性力を変化させて分離ローラ20に対する押圧力を調整する構成として説明した。しかし、圧縮ばね23の設置方向は厳密な鉛直方向である必要はなく、鉛直面に対して傾斜を有する状態で設置されていてもよいことは言うまでもない。この場合、圧縮ばね23の付勢方向に平行な方向を「高さ方向」と捉えるものとしてよい。
【0080】
〈2〉 上記実施形態では、原稿トレイ2a又はガラス板3dに置かれた原稿の読み取り時に原稿搬送装置2が当該原稿を搬送する場合につき説明したが、画像記録時に給紙カセット6に収容された記録紙を原稿搬送装置2が搬送する場合についても同様の説明が可能である。なお、「用紙」とは原稿及び記録紙を含む概念である。
【0081】
〈3〉 上記実施形態では、ガイド部材26があたかも搬送ガイド29とは別の構成部材であるかのように記載したが、搬送ガイド29とガイド部材26が一体的に形成されており、ガイド部材26は搬送ガイド29の一部分に対応するものとしても構わない。図8は、搬送ガイド29のみを取り出して図示した模式図である。図8に示すように、搬送ガイド29の所定箇所に凹部42を設けることで搬送ガイド29の一部をガイド部材26として機能させることができる。このようにすることで、樹脂成形によって搬送ガイド29を形成する際にガイド部材26も併せて形成できるため、新たにガイド部材26という別の構成部材を準備する必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。
【0082】
更には、搬送ガイド29と、ガイド部材26及び安定部材28を一体に形成することも可能である。
【0083】
なお、図8では、実施例1を想定して図示しているが、実施例2,3においても同様に、搬送ガイド29の一部をガイド部材26として機能させることが可能である。
【0084】
〈4〉 上記実施形態では、支持部材24の突出部31の外側面に接するように圧縮ばね23を設置するものとして説明したが、突出部31を筒状に形成し、その内側面に接するように設置しても構わない。
【符号の説明】
【0085】
1: 画像形成装置
1a: 筐体
2: 原稿搬送装置(ADF)
2a: 原稿トレイ
2c: 用紙分離装置
2d: 原稿搬送ローラ
2e: 原稿搬送ローラ
2f: 原稿搬送ローラ
2g: 原稿搬送路
2h: 排出ローラ
2i: 原稿排出トレイ
3: 画像読取部
3c: ガラス板
3d: ガラス板
4: 画像形成部
4a: 感光体ドラム
4b: 帯電器
4c: 光書き込みユニット
4d: 現像器
4e: 転写器
4f: 定着器
4g: 排出ローラ
4h: 排出トレイ
5: 給紙部
6: 給紙カセット
7: 給紙ローラ
9: 支持板
9a: 軸線
9b: 圧縮ばね
10: 開閉カバー
12: 記録紙搬送路
13: 記録紙搬送ローラ
14: レジストローラ
20: 分離ローラ
21: 分離パッド
22: 回転部材
23: 圧縮ばね
24: 支持部材
26: ガイド部材
28: 安定部材
29: 原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)
31: 突出部
32: 位置決め用突出部
33: 螺旋部
34: ばね載置部
41: 位置決め用凹部
42: 凹部
43: 螺旋階段
44: 位置決め用突出部
45: 脚部
46: 位置決め用凹部
51: 突出部
51’: 突出部
53: ばね載置部
53’: ばね載置部
54: 脚部
61: 凹部
71: 底部
72: 底部
100: 従来の原稿搬送装置
101: 分離ローラ
103: 分離パッド
105: 原稿搬送路
107: 回転部材
109: フランジ部
111: 調整ねじ
113: 圧縮ばね
115: 板金
P: 記録紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を分離するための用紙分離装置、並びに、これを備えた画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を自動的に搬送するための原稿搬送装置(ADF)には、複数枚の用紙が積層された状態で搬送(重送)されるのを防止するために、用紙分離装置が備えられるのが一般的である。この種の用紙分離装置の中には、互いに対向する分離ローラ(分離回転部材)と分離パッド(分離部材)との間を原稿が通過する際に、重送される原稿を分離して、1枚ずつ原稿を搬送できるようになっているものがある。
【0003】
図9A及び図9Bは、第1の従来例に係る原稿搬送装置100の内部構成の一例を示した模式図である(特許文献1参照)。図9Aは断面図であり、図9Bは一部分を強調的に図示した斜視図である。
【0004】
原稿搬送装置100は、原稿を分離するために回転可能な分離ローラ101と、分離ローラ101の外周面に対向する分離パッド103とを設け、分離ローラ101と分離パッド103との間には、原稿を搬送するための原稿搬送路105が形成されている。
【0005】
分離パッド103は、回転軸(図示せず)を中心に回転可能に設けられた回転部材107により支持されている。回転部材107の裏面(分離パッド103側とは反対側の面)には、圧縮ばね113が取り付けられている。当該圧縮ばね113により回転部材107が分離ローラ101側に押圧され、当該回転部材107を介して分離パッド103が分離ローラ101側に押圧される。
【0006】
圧縮ばね113における回転部材107側とは反対側の端部は、調整ねじ111により支持されている。より具体的には、調整ねじ111に設けられたフランジ部109上に、圧縮ばね113の端面が接触するようになっている。調整ねじ111は、圧縮ばね113の軸線方向に締め付け可能となっており、当該調整ねじ111の締め付け量を調整することにより、フランジ部109の高さを調整することができる。これにより、フランジ部109の高さに応じて圧縮ばね113の圧縮量が変化し、分離ローラ101側への分離パッド103の押圧力が変化するようになっている。
【0007】
調整ねじ111の回転部材107側とは反対側の端部は、板金115内にねじ込み可能に構成されている。すなわち、板金115内にはねじ切りが設けられており、調整ねじ111の端部が進入できるよう、一定の厚みを有する構造となっている。
【0008】
また、別の従来例としては、利用者が回転ダイヤルを回転させることで、これと連動して第1の押圧部材が弾性部材に対する方向に進入したり後退したりすることが可能な用紙供給装置が開示されている(特許文献2参照)。回転ダイヤルが回転されることで、弾性部材に対して第1の押圧部材と反対側に設けられた第2の押圧部材とそれに対向して配置された押圧ローラとの間の押圧が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−67784号公報
【特許文献2】特開平11−139603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図9に示す従来例においては、調整ねじ111,フランジ部109,及び板金115の3つの部品を必要とする。板金115は、調整ねじ111の先端が内部に進入できるよう、ねじ切りを施す必要がある上、一定程度の厚みが要求される。また、調整ねじ111、フランジ部109においては、上端をフラットな形状に特殊に加工する必要がある。以上のような理由により、製造コストを押し上げる要因となっていた。
【0011】
また、特許文献2に記載の従来例においては、押圧を調整するために回転させるためのダイヤル(回転体)の軸と、実際に分離ローラに対する押圧を直接的に調整するための弾性部材の軸が異なっている。このため、特許文献1の構成よりも更に部品点数が増加しており、製造コストを押し上げる要因となっていた。更に、回転体の軸と弾性部材の軸が異なっているため、部品を搭載するための必要なスペースが増大するという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、部品点数を削減して製造コストの低廉化を可能にした用紙分離装置を実現することを目的とする。また、本発明は、このような用紙分離装置を備える画像読取装置及び画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、本発明に係る用紙分離装置は、
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な、螺旋形状の凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記高さ調整部は、螺旋形状を有する前記支持部材の一部分である螺旋部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、支持部材を回転させることにより、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。
【0015】
そして、本構成によれば、ガイド部材の凹部に支持部材の螺旋部を嵌め込むことで分離圧の調整を行うため、従来のように板金にねじ切り加工を施す必要はない。更にはばねを載置させるためのフランジ部と、フランジ部の高さ位置を調整するための調整ねじを別部品で構成していた従来構成と比較して、部品点数を削減することができ、製造コストの低廉化が図られる。
【0016】
更には、支持部材に突出部を設けたことで、前記押圧部材を、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置することができ、押圧部材を水平方向に安定して設置することができる。
【0017】
また、本発明に係る用紙分離装置は、
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記ガイド部材の前記凹部は、前記支持部材の嵌め込み方向に進むほど深くなるように形成された螺旋階段形状を有しており、
前記高さ調整部は、前記螺旋階段の一の段の上面に接触可能な脚部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを別の特徴とする。
【0018】
かかる構成とした場合においても、支持部材を回転させることにより、載置部の高さ位置が変化して、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。
【0019】
特に、支持部材を樹脂によって形成することで、載置部及び高さ調整部を有する構造を樹脂成形により一体的に形成できる。これにより、金属製であった従来構成よりも製造コストを大きく低廉化できる。
【0020】
なお、押圧部材は例えばばねで構成される。
【0021】
また、支持部材とガイド部材の何れか一方に、位置決め用の突出部を設け、他方に位置決め用の凹部を設ける構成とするのも好適である。このように構成することで、支持部材を回転させ、位置決め用突出部と位置決め用凹部が噛み合う位置において支持部材の回転が妨げられる。そして、更に回転させようとする場合には、この噛み合いを意図的に外す必要がある。つまり、位置決め用凹部に噛み合わせる位置決め用突出部を変化させることで、載置部の高さ位置を調整することが可能となる。
【0022】
更にこのとき、位置決め用の突出部を多数設けることで、載置部の高さ位置を多段階に調整することが可能となる。
【0023】
また、支持部材に貫通孔を設け、ガイド部材には前記支持部材の貫通孔を貫通する棒形状の安定部材を更に有する構成とするのも好適である。かかる構成とすることで、載置部の高さ位置がガイド部材から離れる方向に移動しても、支持部材の安定性の低下を防ぐことができる。
【0024】
なお、上記各構成において、ガイド部材を原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)と一体形成するのも好適である。また安定部材を有する構成においては、搬送ガイド、ガイド部材、及び安定部材を全て一体形成するのも好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る用紙分離装置の構成によれば、支持部材をガイド部材の凹部に嵌め込んで回転させることで、載置部の高さ位置を変えることができる。これにより、載置部の上面に載置された押圧部材の付勢力を変化させることができ、用紙の分離圧の調整が容易に行える。また、従来のように板金にねじ切り加工を施す必要はない。更には、押圧部材を上面に載置させるための載置部、載置部の高さ位置を調整するための高さ調整部を有する支持部材が一体的に形成される。これにより、ばねを載置させるためのフランジ部と、フランジ部の高さ位置を調整するための調整ねじを別部品で構成していた従来構成と比較して、部品点数を削減することができ、製造コストの低廉化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】原稿搬送装置の内部構成の一例を概念的に示す断面斜視図である。
【図3A】実施例1における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図3B】実施例1における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図3C】実施例1における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図4A】実施例2における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図4B】実施例2における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5A】実施例3における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5B】実施例3における支持部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図5C】実施例3における支持部材及びガイド部材の構造を示す模式的斜視図である。
【図6A】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6B】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6C】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図6D】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的斜視図である。
【図7A】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7B】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7C】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図7D】実施例3において、ばね載置部の高さ位置が変化する様子を示す模式的断面斜視図である。
【図8】原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)の構成を示す模式図である。
【図9A】従来例における原稿搬送装置の内部構成の一例を示す模式的断面図である。
【図9B】従来例における原稿搬送装置の内部構成のうち、一部を強調的に図示した模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る用紙分離装置2cを備えた画像形成装置1の内部構成を示す概略断面図である。
【0028】
本実施形態における画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置(ADF)2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取部3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筐体1a内に、上記画像読取部3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筐体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。
【0029】
原稿搬送装置2は、原稿をセットするための原稿トレイ2aを備えており、ピックアップローラ2b及び用紙分離装置2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。用紙分離装置2cは、例えば分離ローラ20及び分離パッド21を備えている。送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ2d,2e,2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中でガラス板3c上を通過する際に、画像読取部3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0030】
画像読取部3には、例えばCCD(Charge Coupled Devices)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの受光部が設けられている。画像読取部3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に発光部を移動させながらガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光を受光部で受光することによって、原稿の画像を読み取ることができる。また、画像読取部3は、静止した状態でガラス板3cに向かって光を照射し、原稿搬送装置2によりガラス板3c上を搬送される原稿からの反射光を受光部で受光することによって、原稿の画像を読み取ることもできる。
【0031】
ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、受光部で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、発光部が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。一方、原稿搬送装置2により1枚ずつガラス板3c上に搬送される原稿を読み取る場合には、受光部で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、ガラス板3c上を原稿が搬送されることにより副走査が行われる。
【0032】
ガラス板3c及びガラス板3dは、筐体1aの上面に形成されており、原稿搬送装置2は、筐体1aの上面に対して上下に開閉可能に取り付けられている。従って、ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取部3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2とガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。すなわち、原稿搬送装置2は、ガラス板3d上のセット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバー10を構成している。ただし、開閉カバー10は、原稿搬送装置2により構成されるものに限らず、開閉可能な他のあらゆるカバーを採用することができる。
【0033】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取部3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0034】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0035】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための給紙カセット6を備えており、この給紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その第1端部における軸線9aを中心に回転可能となっており、第1端部とは反対側の第2端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ7に対して押圧される。給紙ローラ7に対向する位置には、例えば分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ7が回転駆動されることにより給紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0036】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の記録紙搬送ローラ13が設けられている。給紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、記録紙搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0037】
〔用紙分離装置の構成〕
図2は、原稿搬送装置2の内部構成の一例を概念的に示した断面斜視図であり、用紙分離装置2cの近傍を斜め上方から見た図を示している。
【0038】
本実施形態における原稿搬送装置2に備えられた用紙分離装置2cは、複数枚の原稿が積層された状態で、原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)29を介して搬送(重送)されている場合に、分離ローラ20及び分離パッド21によって、当該複数枚の原稿のうち少なくとも1枚を分離する。
【0039】
分離ローラ20は、原稿を分離するために回転可能な分離回転部材であり、例えば原稿を搬送する方向(図1における時計回り)に回転可能となっている。ただし、分離回転部材は、分離ローラ20に限らず、ベルトなどにより構成されるものであってもよい。分離パッド21は、分離ローラ20の外周面に対向して設けられた分離部材であり、分離ローラ20との間に原稿搬送路2gを形成している。分離ローラ20は、原稿の搬送方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、当該分離ローラ20における長手方向の中央部に対向する位置に、分離パッド21が設けられている。分離パッド21は、摩擦力が比較的大きい材料で形成されていることが好ましく、例えばゴム、コルク又はスポンジなどにより形成することができる。
【0040】
分離パッド21は、回転軸(図示せず)を中心に回転可能な回転部材22により支持されている。回転部材22の回転軸は、例えば分離ローラ20の回転軸線に対して平行方向(原稿の搬送方向に対して直交方向)に延びている。したがって、回転軸を中心に回転部材22を分離ローラ20側へ回転させることにより、分離ローラ20と分離パッド21との間を通過しようとする原稿に対して分離パッド21を押圧することができる。これにより、複数枚の原稿が重送されている場合には、分離ローラ20側に押圧される分離パッド21によって、当該分離パッド21側の原稿が分離され、分離ローラ20に接触している1枚の原稿だけが下流側に搬送される。
【0041】
回転部材22の裏面側(分離パッド21側とは反対側)には、当該回転部材22を分離ローラ20側に押圧する押圧部材としての圧縮ばね23が設けられている。図2では、圧縮ばね23の側方における断面を示している。当該圧縮ばね23により回転部材22が分離ローラ20側に押圧され、当該回転部材22を介して分離パッド21が分離ローラ20側に押圧されるようになっている。ただし、押圧部材は、圧縮ばね23に限らず、例えばゴムなどの弾性部材に例示されるような他の部材であってもよい。
【0042】
なお、この圧縮ばね23は、後述するように一方の端部が支持部材24の上面に接触するように設置されており、支持部材24の上面位置がガイド部材26の方向に向けて移動したり、その反対方向に向けて移動したりするのに連れて、伸び縮みする構成となっている。この圧縮ばね23の付勢力の変化により、分離パッド21と分離ローラ20の間の分離圧が調整される。なお、図2に示す棒形状の安定部材28についての説明は後述する。
【0043】
〔支持部材及びガイド部材〕
以下、用紙分離装置2cが備える支持部材及びガイド部材の詳細な構成について説明する。
【0044】
(実施例1)
図3A,図3B,及び図3Cは、実施例1における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図3A及び図3Bは、支持部材24のみを角度を変えて図示した模式的斜視図であり、図3Cは支持部材24とガイド部材26の両者を併せて図示した模式的斜視図である。
【0045】
図3A〜図3Cに示すように、本実施例1において、支持部材24は、高さ位置を決定するための位置決め用突出部32、圧縮ばね23を上面に載置するためのばね載置部34を備える。また、支持部材24は、ばね載置部34の面から上方に突出したばねガイド用の突出部31を有する。圧縮ばね23を、突出部31の外側面、及びばね載置部34の上面に接するように設置することで、水平方向の安定性が担保される。
【0046】
支持部材24は例えば樹脂で形成されており、樹脂成形によって、ばねガイド用の突出部31、位置決め用突出部32、ばね載置部34、ばね載置部34の高さ位置を調整するための高さ調整部としての螺旋部33が一体形成されている。
【0047】
突出部31を上側に位置するように支持部材24をセットした状態で、支持部材24を所定の方向(例えば時計回り)に回転させると、螺旋部33が下方に進行する。これにより、ばね載置部34の高さ位置が下方に移動する。
【0048】
ガイド部材26は、例えば樹脂で形成された板状の構造であるが、支持部材24の螺旋部33を嵌め込むための凹部42が形成されている。この凹部42についても樹脂成形によって構成されるものとしても構わない。
【0049】
凹部42は、突出部31を上側にした支持部材24を上方から嵌め込むことができるような形状を有している。そして、支持部材24を回転させることで、螺旋部33を下方に進行させることのできるよう、凹部42の下方位置においては螺旋形状を有する構造となっている。また、凹部42には、支持部材24の位置決め用突出部32の嵌め込みを可能にするための位置決め用凹部41が複数の箇所に設けられている。
【0050】
支持部材24をガイド部材26の凹部42内にセットし、支持部材24を回転させると、支持部材24に設けられている位置決め用突出部32が、ガイド部材26に設けられている一の位置決め用凹部41内に嵌め込まれ、支持部材24の回転を妨げる。このとき、支持部材24のばね載置部34の高さ位置が固定されることになる。そして、更に高さ位置を低くするためには、位置決め用突出部32を位置決め用凹部41から外すように支持部材24を凹部42の中心方向に少し移動させた後、支持部材24の回転を再び開始する。例えば支持部材24を再び時計回りに回転させることで、螺旋部33が更に下方に進行するため、ばね載置部34の高さ位置が更に低くなる。
【0051】
ばね載置部34の高さ位置が低くなるということは、その上面に載置された圧縮ばね23の下端の高さ位置も低くなるということを意味する。圧縮ばね23の上端は支持又は規制されているため、ばね載置部34の高さ位置を低くすることで、圧縮ばね23の圧縮量が低下し、分離ローラ20の押圧力を低下させることができる。逆に、支持部材24を逆方向に回転させることでばね載置部31の高さ位置が高くなるため、圧縮ばね23の圧縮量が上昇し、分離ローラ20の押圧力を高めることができる。
【0052】
このように、支持部材24を回転させて、位置決め用突出部32の嵌め込み先となる位置決め用凹部41を変更することで、ばね載置部34の高さ位置が調整され、これにより圧縮ばね23の圧縮量を調整することができる。
【0053】
なお、実際には回転部材22は取り外しが可能に構成されており、分離圧調整に際しては、回転部材22をいったん取り外した後、支持部材24を持ち上げ、再びガイド部材26に嵌め込むことによって行われる。このとき、支持部材24とガイド部材26の嵌め込み深さを調整することで、圧縮ばね23の圧縮量が調整されて、分離圧が調整される。
【0054】
実施例1のような構成とした場合、圧縮ばね23の一方端の高さ位置を調整するための螺旋部33と、圧縮ばね23を安定的に載置するための突出部31及びばね載置部34とを一体構造にすることができる。よって、図9Bに示したような、圧縮ばね113を載置するためのフランジ部109と、フランジ部109の高さ位置を調整するための調整ねじ111が別部品で構成される従来構成と比較して、部品点数を削減することができる。
【0055】
また、支持部材24及びガイド部材26を樹脂成形にて形成することができるため、ねじ切りを施した板金115を使用していた図9Bの構成よりも、加工費を大幅に低廉化できる。
【0056】
支持部材24において、突出部31のほぼ中心部から螺旋部33の中心部へと貫く貫通孔を設け、更に、ガイド部材26にも、凹部42のほぼ中心部を鉛直方向に貫く貫通孔を設け、これらの貫通孔内に棒形状の安定部材28(図2参照)を貫通させる構成とするのが好適である。この安定部材28は、上方及び下方が用紙分離装置2c内の所定の部品と接触し、固定されているものとする。なお、この安定部材28は、ガイド部材26とは別部品として形成しても構わないし、ガイド部材26と一体に形成しても構わない。
【0057】
つまり、棒形状の安定部材28が、支持部材24のばね載置部34上に載置された圧縮ばね23、支持部材24、及びガイド部材26を一体的に貫通する構成である。例えば支持部材24の高さ位置を上方(ガイド部材26から離れる方向)に移動させると、ガイド部材26の凹部42内に位置する螺旋部33の割合が次第に低下する。このとき、凹部42の内側面と螺旋部33の外側面の接触面積が次第に減少し、支持部材24の安定性が低下してしまうおそれがある。支持部材24及びガイド部材26を一体的に貫通する安定部材を設けることで、ばね載置部34の高さ位置がガイド部材26から離れる方向に移動しても、支持部材24の安定性の低下を防ぐことができる。
【0058】
なお、本実施例では、位置決め用突出部32及び位置決め用凹部41を備えることで、ばね載置部34の高さ位置を多段階に安定的に変更することが可能な構成である。しかし、これらの位置決め用突出部32及び位置決め用凹部41を備えない構成として、無段階にばね載置部34の高さ位置を調整可能な構成としても構わない。後述する実施例2においても同様とする。
【0059】
(実施例2)
図4A及び図4Bは、実施例2における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図4Aは、支持部材24とガイド部材26の両者を併せて図示したものであり、図4Bは支持部材24のみを図示したものである。なお、図4Bは、図4Aに図示した支持部材24の上下を反転させて図示したものである。なお、実施例1と同様に、支持部材24及びガイド部材26共に樹脂成形により形成されたものとしてよい。
【0060】
実施例1と同様に、本実施例においてもガイド部材26にほぼ螺旋状の凹部42が形成されている。しかし、実施例1とは異なり、この凹部42の底部は階段形状を示しており、これにより、ガイド部材26には螺旋階段43が形成されている。
【0061】
支持部材24は、実施例1と同様に、ばねガイド用の突出部31及びばね載置部34が形成されている。また、突出部31と反対側の位置において、支持部材24は螺旋部33を有する。ただし、実施例1とは異なり、突出部31と反対側の位置における最も低い位置において、ガイド部材26の螺旋階段43の一段と安定接触可能な脚部45が形成されている。また、少なくとも一の脚部45には位置決め用凹部46が形成されている。
【0062】
そして、ガイド部材26には、この位置決め用凹部46内に嵌め込み可能に形成された位置決め用突出部44が複数の箇所に設けられている。
【0063】
実施例1と同様に、本実施例においても、支持部材24をガイド部材26の凹部42内にセットし、所定の方向に回転させると、螺旋部33がガイド部材26の方向へと進行し、脚部45の底面と接触する螺旋階段43の段が一段ずつ降りていく。これにより、ばね載置部34の高さ位置を低くすることができる。また、支持部材24を逆方向に回転させると、螺旋部33がガイド部材26から離れる方向へと進行し、これにより、ばね載置部34の高さ位置を高くすることができる。
【0064】
支持部材24の回転により、位置決め用凹部46がガイド部材26に設けられている一の位置決め用突出部44内に嵌め込まれ、支持部材24の回転を妨げる。このとき、支持部材24のばね載置部34の高さ位置が固定されることになる。そして、更に高さ位置を低くするためには、位置決め用凹部46を位置決め用突出部44から外すように支持部材24を凹部42の中心方向に少し移動させた後、支持部材24の回転を再び開始すればよい。
【0065】
なお、実施例2では、支持部材24に設けられている位置決め手段を凹部とし、ガイド部材26に設けられている位置決め手段を突出部としたが、これらを逆転させても構わない。実施例1においても同様である。
【0066】
(実施例3)
図5A,図5B,及び図5Cは、実施例3における支持部材24及びガイド部材26の構造を示す模式的斜視図である。図5A及び図5Bは、支持部材24のみを角度を変えて図示した模式的斜視図であり、図5Cはガイド部材26のみを図示した模式的斜視図である。
【0067】
図5Aに示すように、本実施例3において、支持部材24は、圧縮ばね23のガイド用の突出部51,圧縮ばね23を上面に載置するためのばね載置部53、及び脚部54を有する。
【0068】
また、図5Bに示すように、脚部54を上に向けた場合、すなわち、図5Aの状態から上下反転させた場合、ばね載置部53の裏面側に位置するばね載置部53’、及びこのばね載置部53’上において、突出部51の反対側の位置には、ばねガイド用の突出部51と同様の突出部51’が形成されている。
【0069】
図5Cに示すように、ガイド部材26には凹部61が設けられている。この凹部61は、支持部材24の形に合うように形成されており、支持部材24の嵌め込みが可能に構成されている。より具体的には、凹部61としてはほぼ十字型の形状を有しており、底面の深さ位置が、底部71と底部72において異なっている。すなわち、離間して対抗している二つの底部71の深さ位置は、その間に位置する底部72の深さ位置よりも少し浅くなっている。
【0070】
なお、実施例1において上述したのと同様の理由により、棒形状の安定部材を通すために、支持部材24及びガイド部材26に貫通孔を形成するのが好適である。
【0071】
図6A〜図6D及び図7A〜図7Dは、本実施例3において、ばね載置部53の高さ位置が変化する様子を図示したものである。各図共に、ガイド部材26の凹部61内に支持部材24をはめ込んだときの状態を図示している。図6A〜図6Dは全体の斜視図であり、図7A〜図7Dは一部断面斜視図である。
【0072】
図6A及び図7Aは、図5Bに示すように脚部54及びばね載置部53’を上方に向けた状態で、支持部材24のばね載置部53の面を、ガイド部材26の底部72に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。この状態において、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は最も低い位置となっている。
【0073】
図6B及び図7Bは、図6A及び図7Aの状態から、支持部材24をほぼ90°回転させて、支持部材24のばね載置部53の面を、ガイド部材26の底部71に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。底部71は底部72よりも深さ位置が浅くなっているため、この状態にすることで、図6A及び図7Aの状態よりも、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は高くなる。
【0074】
図6C及び図7Cは、図6A及び図7Aの状態から、支持部材24を上下反転させて、ガイド部材26の底部72に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。このとき、底部72には、ばね載置部(53,53’)の面ではなく脚部54が接触する構成となる。これにより、ばね載置部(53,53’)を構成する面の高さと、脚部54の高さの差(この差をd1とする)に相当する分だけ、図6A及び図7Aの状態からばね載置部(53,53’)の高さ位置は高くなる。底部71と底部72の深さ位置の差をd2とし、d2<d1となるように設計することで、図6C及び図7Cの状態におけるばね載置部(53,53’)の高さ位置が、図6B及び図7Bの状態よりも高くなる。
【0075】
図6D及び図7Dは、図6C及び図7Cの状態から、支持部材24をほぼ90°回転させて、脚部54をガイド部材26の底部71に接触させて嵌め込んだ状態が図示されている。底部71は底部72よりも深さ位置が浅くなっているため、この状態にすることで、図6C及び図7Cの状態よりも、ばね載置部(53,53’)の高さ位置は更に高くなる。
【0076】
本実施例3のような支持部材24の構造とした場合においても、突出部51,ばね載置部53,及び脚部54とを一体構造にすることができる。よって、従来構成と比較して、部品点数を削減することができる。また、支持部材24及びガイド部材26共に樹脂成形にて形成できるため、板金にねじ切りを施す必要のあった従来構成よりも製造コストを大幅に低廉化できる。
【0077】
なお、上記実施形態では、「ばね」という名称を用いて説明した箇所は、ばねを初めとする弾性部材を含む趣旨である。
【0078】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態につき説明する。
【0079】
〈1〉 上記実施形態では、ばね載置部34の上面に圧縮ばね23を載置し、支持部材24を回転させることでばね載置部34の高さ位置を調整して圧縮ばねの弾性力を変化させて分離ローラ20に対する押圧力を調整する構成として説明した。しかし、圧縮ばね23の設置方向は厳密な鉛直方向である必要はなく、鉛直面に対して傾斜を有する状態で設置されていてもよいことは言うまでもない。この場合、圧縮ばね23の付勢方向に平行な方向を「高さ方向」と捉えるものとしてよい。
【0080】
〈2〉 上記実施形態では、原稿トレイ2a又はガラス板3dに置かれた原稿の読み取り時に原稿搬送装置2が当該原稿を搬送する場合につき説明したが、画像記録時に給紙カセット6に収容された記録紙を原稿搬送装置2が搬送する場合についても同様の説明が可能である。なお、「用紙」とは原稿及び記録紙を含む概念である。
【0081】
〈3〉 上記実施形態では、ガイド部材26があたかも搬送ガイド29とは別の構成部材であるかのように記載したが、搬送ガイド29とガイド部材26が一体的に形成されており、ガイド部材26は搬送ガイド29の一部分に対応するものとしても構わない。図8は、搬送ガイド29のみを取り出して図示した模式図である。図8に示すように、搬送ガイド29の所定箇所に凹部42を設けることで搬送ガイド29の一部をガイド部材26として機能させることができる。このようにすることで、樹脂成形によって搬送ガイド29を形成する際にガイド部材26も併せて形成できるため、新たにガイド部材26という別の構成部材を準備する必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。
【0082】
更には、搬送ガイド29と、ガイド部材26及び安定部材28を一体に形成することも可能である。
【0083】
なお、図8では、実施例1を想定して図示しているが、実施例2,3においても同様に、搬送ガイド29の一部をガイド部材26として機能させることが可能である。
【0084】
〈4〉 上記実施形態では、支持部材24の突出部31の外側面に接するように圧縮ばね23を設置するものとして説明したが、突出部31を筒状に形成し、その内側面に接するように設置しても構わない。
【符号の説明】
【0085】
1: 画像形成装置
1a: 筐体
2: 原稿搬送装置(ADF)
2a: 原稿トレイ
2c: 用紙分離装置
2d: 原稿搬送ローラ
2e: 原稿搬送ローラ
2f: 原稿搬送ローラ
2g: 原稿搬送路
2h: 排出ローラ
2i: 原稿排出トレイ
3: 画像読取部
3c: ガラス板
3d: ガラス板
4: 画像形成部
4a: 感光体ドラム
4b: 帯電器
4c: 光書き込みユニット
4d: 現像器
4e: 転写器
4f: 定着器
4g: 排出ローラ
4h: 排出トレイ
5: 給紙部
6: 給紙カセット
7: 給紙ローラ
9: 支持板
9a: 軸線
9b: 圧縮ばね
10: 開閉カバー
12: 記録紙搬送路
13: 記録紙搬送ローラ
14: レジストローラ
20: 分離ローラ
21: 分離パッド
22: 回転部材
23: 圧縮ばね
24: 支持部材
26: ガイド部材
28: 安定部材
29: 原稿搬送用のガイド(搬送ガイド)
31: 突出部
32: 位置決め用突出部
33: 螺旋部
34: ばね載置部
41: 位置決め用凹部
42: 凹部
43: 螺旋階段
44: 位置決め用突出部
45: 脚部
46: 位置決め用凹部
51: 突出部
51’: 突出部
53: ばね載置部
53’: ばね載置部
54: 脚部
61: 凹部
71: 底部
72: 底部
100: 従来の原稿搬送装置
101: 分離ローラ
103: 分離パッド
105: 原稿搬送路
107: 回転部材
109: フランジ部
111: 調整ねじ
113: 圧縮ばね
115: 板金
P: 記録紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な、螺旋形状の凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記高さ調整部は、螺旋形状を有する前記支持部材の一部分である螺旋部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【請求項2】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記ガイド部材の前記凹部は、前記支持部材の嵌め込み方向に進むほど深くなるように形成された螺旋階段形状を有しており、
前記高さ調整部は、前記螺旋階段の一の段の上面に接触可能な脚部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【請求項3】
前記支持部材と前記ガイド部材は、何れか一方が位置決め用突出部を、他方が位置決め用凹部を有し、
前記位置決め用突出部と前記位置決め用凹部が噛み合うと、前記支持部材の回転が妨げられることを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙分離装置。
【請求項4】
前記支持部材には貫通孔が設けられており、
前記ガイド部材には、前記支持部材の貫通孔を貫通する棒形状の安定部材を更に有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項5】
前記搬送路を構成する搬送ガイド、前記ガイド部材、及び前記安定部材が一体形成されていることを特徴とする請求項4に記載の用紙分離装置。
【請求項6】
前記支持部材が、樹脂成形によって一体形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項7】
前記ガイド部材が、樹脂成形によって一体形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の用紙分離装置と、
前記用紙としての原稿を搬送するための原稿搬送ローラと、
前記原稿の画像を読み取るための画像読取部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の用紙分離装置と、
前記用紙としての記録紙を搬送するための記録紙搬送ローラと、
前記記録紙に画像を形成するための画像形成部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部とを有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【請求項1】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な、螺旋形状の凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記高さ調整部は、螺旋形状を有する前記支持部材の一部分である螺旋部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【請求項2】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部と、前記載置部の面から前記分離部材の方に突出した突出部を有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記押圧部材は、前記突出部の側面及び前記載置部の面に接触して設置され、
前記ガイド部材の前記凹部は、前記支持部材の嵌め込み方向に進むほど深くなるように形成された螺旋階段形状を有しており、
前記高さ調整部は、前記螺旋階段の一の段の上面に接触可能な脚部によって構成され、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【請求項3】
前記支持部材と前記ガイド部材は、何れか一方が位置決め用突出部を、他方が位置決め用凹部を有し、
前記位置決め用突出部と前記位置決め用凹部が噛み合うと、前記支持部材の回転が妨げられることを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙分離装置。
【請求項4】
前記支持部材には貫通孔が設けられており、
前記ガイド部材には、前記支持部材の貫通孔を貫通する棒形状の安定部材を更に有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項5】
前記搬送路を構成する搬送ガイド、前記ガイド部材、及び前記安定部材が一体形成されていることを特徴とする請求項4に記載の用紙分離装置。
【請求項6】
前記支持部材が、樹脂成形によって一体形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項7】
前記ガイド部材が、樹脂成形によって一体形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の用紙分離装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の用紙分離装置と、
前記用紙としての原稿を搬送するための原稿搬送ローラと、
前記原稿の画像を読み取るための画像読取部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の用紙分離装置と、
前記用紙としての記録紙を搬送するための記録紙搬送ローラと、
前記記録紙に画像を形成するための画像形成部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
用紙を分離するために回転可能な分離回転部材と、
前記分離回転部材の外周面に対向して設けられ、用紙を搬送するための搬送路を前記分離回転部材との間に形成する分離部材と、
前記分離部材を前記分離回転部材側に押圧するための、弾性材料で形成された押圧部材と、
前記分離部材とは反対側の前記押圧部材の端部と接触する支持部材と、
前記支持部材の嵌め込みが可能な凹部を有するガイド部材とを備え、
前記支持部材は、前記押圧部材を上面に載置させるための載置部と、前記載置部の高さ位置を調整すべく前記載置部を基準として前記押圧部材とは反対側に形成された高さ調整部とを有すると共に、これらが一体的に形成されており、
前記支持部材の回転により前記ガイド部材に接触する前記高さ調整部の位置が変化することで前記載置部の高さ位置が変化することを特徴とする用紙分離装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2013−56761(P2013−56761A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197301(P2011−197301)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]