説明

用紙搬送装置および画像形成装置

【課題】簡単な機構で、かつ容易にジャム処理が行える用紙搬送装置およびこの用紙搬送装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の用紙搬送装置200は、ガイド部231,232、第1の搬送手段211,212、第2の搬送手段221,222および検出手段241,242を備える。ガイド部231,232は、搬送路を選択的に開放する。第1の搬送手段211,212は、用紙搬送方向においてガイド部231,232に対して上流側に配置される。第2の搬送手段221,222は、用紙搬送方向においてガイド部231,232に対して下流側に配置される。検出手段241,242は、第1の搬送手段211,212および第2の搬送手段221,222を通過中の用紙の搬送異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙部から排紙部まで用紙を搬送する用紙搬送装置およびこの用紙搬送装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙搬送装置において、ジャムが発生した場合、ジャムを処理するために所定の手順に従って用紙搬送装置を操作する必要があり、手間がかかり煩雑であった。
【0003】
そこで、ジャムが発生した場合に、搬送路開放手段としての扉を開いて搬送路を開放し、ジャムを起こした用紙を用紙搬送装置から取り除くことがユーザによって行われ、さらに扉を閉じた段階で搬送路内にまだ用紙が残留していると、用紙を強制的に自動排出するパージ処理技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−158566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、ジャム処理のためだけに複雑な機構を必要とし、不都合があった。
【0005】
本発明の目的は、簡単な機構で、かつ容易にジャム処理が行える用紙搬送装置およびこの用紙搬送装置を備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の用紙搬送装置は、ガイド部、第1の搬送手段、第2の搬送手段および検出手段を備える。ガイド部は、搬送路を選択的に開放する。第1の搬送手段は、用紙搬送方向においてガイド部に対して上流側に配置される。第2の搬送手段は、用紙搬送方向においてガイド部に対して下流側に配置される。検出手段は、第1の搬送手段および第2の搬送手段を通過中の用紙の搬送異常を検出する。制御手段は、検出手段が用紙の搬送異常を検出すると、第1の搬送手段および第2の搬送手段を用いて用紙に撓みを発生させる。
【0007】
ガイド部は、撓んだ用紙による押圧によって搬送路を開放するように構成される。
【0008】
この構成では、複雑な機構を必要としないでジャムした用紙が自動的に搬送路の外に出る。
【0009】
この構成において、第1の搬送手段は、前送りまたは停止が可能であり、第2の搬送手段は、前送り、停止または後送りが可能であると好ましい。搬送異常の状況に応じて制御手段が前送り、停止および後送りをさせることにより、容易にジャム処理が行える。
【0010】
本発明の用紙搬送装置は、画像形成装置に備えられると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明における用紙搬送装置は、簡単な機構で、かつ容易にジャム処理が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施形態に係る用紙搬送装置およびこの用紙搬送装置を備える画像形成装置を、図面を参照にしつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、CPU110、RAM120、ROM130、HDD140、用紙搬送装置150、画像形成部160、操作パネルコントローラ170、操作パネル175、読取部180および検出センサ241,242を備えている。検出センサ241,242は、本発明の検出部に相当する。
【0014】
CPU110は、RAM120、ROM130、HDD140、用紙搬送装置150、画像形成部160、操作パネルコントローラ170、読取部180および検出センサ241,242を総括的に制御する。
【0015】
RAM120は、CPU110のワーキングエリアとして使用する。
【0016】
ROM130は、CPU110に実行させるためのプログラムを格納している。
【0017】
HDD140は、印刷データのスプールや解析後の印刷データを格納する。
【0018】
用紙搬送装置150は、給紙部から排紙部まで用紙を搬送する。
【0019】
画像形成部160は、搬送されてきた用紙に画像を形成する。
【0020】
操作パネルコントローラ170は、操作パネル175の表示を制御する。
【0021】
読取部180は、読取部180に載置された用紙の画像情報を読み取る。
【0022】
検出センサ241,242は、用紙の搬送異常を検出するために設けられている。
【0023】
以下、用紙搬送装置150の詳細について説明する。
【0024】
図2および図3は、用紙搬送装置の構成を示す図である。用紙搬送装置200は、搬送ローラ211,212,221,222、ペーパーガイド230、開閉式ペーパーガイド231,232、検出センサ241,242を備えている。搬送ローラ211,212は、本発明の第1の搬送手段に相当する。搬送ローラ221,222は、本発明の第2の搬送手段に相当する。開閉式ペーパーガイド231,232は、本発明のガイド部に相当する。
【0025】
搬送ローラ211,212,221,222は、用紙250を画像形成部160へ搬送する。
【0026】
ペーパーガイド230は、搬送路を構成する部材である。ペーパーガイド230のうち、一部に開閉式ペーパーガイド231,232が設けられている。
【0027】
開閉式ペーパーガイド231,232は、搬送路を選択的に開放する。開閉式ペーパーガイド231,232は、それぞれバネ261,262によって浮動支持されている。バネ261,262は、開閉式ペーパーガイド231,232に用紙250の撓みによる押圧がかかると、その力に負ける程度の弾性力である。
【0028】
検出センサ241,242は、用紙250の搬送異常を検出するために設けられている。
【0029】
用紙250の搬送異常が検出されないときは、搬送ローラ211,212,221,222は、それぞれ正転している。
【0030】
図2(A)は、用紙250が搬送異常を起こし、それが検出センサ242に検出された状態である。用紙250の搬送異常が検出されると、搬送ローラ211,212,221,222は、それぞれ停止する。
【0031】
次に図2(B)の状態に移行する。搬送ローラ211,212は正転し、搬送ローラ221,222は逆転し、用紙250を撓ませる。
【0032】
次に図2(C)の状態に移行する。搬送ローラ211,212,221,222の回転によって撓んだ用紙250の押圧がペーパーガイド231,232にかかり、ペーパーガイド231,232は、搬送路を開放する。
【0033】
次に図3(A)の状態に移行する。用紙250の先端が搬送ローラ211,212を通過した状態となると、搬送ローラ211,212の回転は停止する。用紙250の先端が搬送ローラ211,212を通過した状態となったことを検出する手段は、検出センサ241を用いてもよいし、CPU110が搬送ローラ211,212のトルクの変化を読み取り、回転を制御してもよい。
【0034】
次に図3(B)の状態に移行する。用紙250の撓みによる押圧がなくなったペーパーガイド231は、バネ261の弾性によって搬送路を閉鎖する。
【0035】
次に図3(C)の状態に移行する。用紙250の先端が搬送ローラ221,222を通過した状態となると、搬送ローラ221,222の回転は停止する。用紙250の先端が搬送ローラ221,222を通過した状態となったことを検出する手段は、検出センサ242を用いてもよいし、CPU110が搬送ローラ221,222のトルクの変化を読み取り、回転を制御してもよい。また、用紙250の撓みによる押圧がなくなったペーパーガイド232は、バネ262の弾性によって搬送路を閉鎖する。ここで、用紙250は、搬送路から露出した状態となる。よって、ユーザは、搬送異常を起こした用紙250を容易に取り除くことができる。
【0036】
本実施形態では、搬送ローラ211,212を正転させ、搬送ローラ221,222を逆転させて用紙250を撓ませているが、他に、搬送ローラ211,212を正転させ、搬送ローラ221,222を停止させて用紙250を撓ませてもよいし、また、搬送ローラ211,212を停止させ、搬送ローラ221,222を逆転させて用紙250を撓ませてもよい。用紙250の搬送異常が起こった位置によって回転の制御を変えることにより、効率的に用紙250を搬送路から露出させることができる。
【0037】
本実施形態では、開閉式ペーパーガイドを2つに分割して考えているが、1つであってもよいし、3つ以上に分割していてもよい。搬送路を開放できる構造であればよいからである。
【0038】
本実施形態では、第1の搬送手段、第2の搬送手段を搬送ローラとして例示しているが、それ以外のもの、たとえばベルト式の搬送手段やエアー式の搬送手段であってもよい。用紙搬送装置200の用途、形態に応じて使い分けが可能である。
【0039】
本実施形態の検出センサ241,242は、光学式のセンサでもよいし、接触式のセンサでもよい。用紙の搬送異常が検出できれば、形態に限定はない。
【0040】
本実施形態の用紙搬送装置200は、画像形成装置100のあらゆる場所に適用できる。用紙の搬送異常が起こりやすい場所、例えば搬送路がカーブしている場所に適用すると効果的である。
【0041】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る用紙搬送装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る用紙搬送装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
200−用紙搬送装置
211,212−搬送ローラ(第1の搬送手段)
221,222−搬送ローラ(第2の搬送手段)
231,232−開閉式ペーパーガイド(ガイド部)
241,242−検出センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を選択的に開放する開閉式のガイド部と、
前記搬送路において前記ガイド部に対して上流側に配置される第1の搬送手段と、
前記搬送路において前記ガイド部に対して下流側に配置される第2の搬送手段と、
前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段を通過中の用紙の搬送異常を検出する検出手段と、
前記検出手段が用紙の搬送異常を検出すると、前記第1の搬送手段および前記第2の搬送手段を用いて用紙に撓みを発生させる制御手段と、
を備え、
前記ガイド部は、撓んだ用紙による押圧によって搬送路を開放するように構成される用紙搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送手段は、前送りまたは停止が可能であり、
前記第2の搬送手段は、前送り、停止または後送りが可能である請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記検出手段が用紙の搬送異常を検出すると、前記第1の搬送手段を前送りさせ、前記第2の搬送手段を後送りさせて用紙に撓みを発生させる請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記検出手段が用紙の搬送異常を検出すると、前記第1の搬送手段を前送りさせ、前記第2の搬送手段を停止させて用紙に撓みを発生させる請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記検出手段が用紙の搬送異常を検出すると、前記第1の搬送手段を停止させ、前記第2の搬送手段を後送りさせて用紙に撓みを発生させる請求項1または2に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の用紙搬送装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−18923(P2009−18923A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184068(P2007−184068)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】