説明

用紙束積載装置及びそれを備えた用紙後処理装置

【課題】排出時に用紙束の姿勢が乱れても用紙束の積載姿勢を整えることができ、排紙トレイ上に用紙束を瓦積み状に整然と積載できる用紙束積載装置を提供する。
【解決手段】折り処理された用紙束P1を積載する排紙トレイ11と、排紙トレイ11に排出された用紙束P1を搬送する搬送ベルト121と、排紙トレイ11の用紙束排出方向上流側に設けられた整合部材13とを備える。そして、排紙トレイ11に排出された用紙束P1を、搬送ベルト121によって用紙束排出方向上流側に搬送して、用紙束P1の用紙束排出方向後端を整合部材13に当接させて用紙束P1の積載姿勢を整えた後、用紙束P1を用紙束排出方向下流側に搬送し、用紙束P1の先端と後端との間に、次に排出される用紙束P2の先端が位置するようにして用紙束を瓦積み状に積載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り処理された用紙束を排紙トレイ上に瓦積み状に積載する用紙束積載装置及びそれを備えた用紙後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の下流側に配置され、画像形成された用紙束に対して折り処理や綴じ処理する用紙後処理装置が知られている。折り処理された用紙束は、その復元力によって膨らんだ状態になるため、折り処理された用紙束を排紙トレイ上に単に排出し積載する方法では排紙トレイ上に用紙束を効率的に積載できない。また、用紙束の積載状態が乱雑になる。
【0003】
そこで、排紙トレイ上に用紙束を効率的に積載する方法として、用紙束を搬送する搬送手段を排紙トレイに設けたり、排出される用紙束の勢いを利用して、用紙束を瓦積み状に積載する用紙束積載装置が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-184311号公報
【特許文献2】特開平11-193162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記提案の用紙束積載装置では、排紙トレイに排出された用紙束を整える手段がなく、例えば図6に示すように、排紙トレイ11上に排出された用紙束P1の姿勢が乱れると、排紙トレイ11上に続いて排出される用紙束P2〜P5も積載姿勢が乱れることになる。
【0006】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排出時に用紙束の姿勢が乱れても用紙束の姿勢を整えることができ、排紙トレイ上に用紙束を瓦積み状に整然と積載できる用紙束積載装置及び用紙後処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、折り処理された用紙束を積載する排紙トレイと、排紙トレイに排出された用紙束を用紙束排出方向上流側及び下流側に搬送する搬送手段と、排紙トレイの用紙束排出方向上流側に設けられた、排出された用紙束の積載姿勢を整える整合部材とを有し、排紙トレイに排出された用紙束を、前記搬送手段によって用紙束排出方向上流側に搬送して、用紙束の用紙束排出方向後端を前記整合部材に当接させて用紙束の積載姿勢を整えた後、用紙束を用紙束排出方向下流側に搬送し、用紙束の用紙束排出方向先端と用紙束排出方向後端との間に、次に排出された用紙束の用紙束排出方向先端が位置するようにして用紙束を瓦積み状に積載することを特徴とする用紙束積載装置が提供される。
【0008】
ここで、用紙束をより確実に揃える観点からは、排出される用紙束の種類によって、排出された用紙束を用紙束排出方向上流側に搬送する距離を変化させるのが好ましい。
【0009】
前記整合部材としては、用紙束排出方向及び排紙トレイの積載面に対して垂直な当接面を有するものが好ましい。
【0010】
また本発明によれば、用紙束を折り処理する折り手段と、折り処理された用紙束を積載する用紙束積載手段とを備えた用紙後処理装置であって、前記用紙束積載手段として、前記請求項1〜3のいずれかに記載の用紙束積載装置を用いたことを特徴とする用紙後処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る用紙束積載装置及び用紙後処理装置によれば、排出時に用紙束の姿勢が乱れても、排紙トレイ上に用紙束が瓦積み状に整然と積載される。これにより、排紙トレイの用紙束の効率的に積載できる。また、使用者が排紙トレイ上の用紙束を取り去り易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る用紙後処理装置及び用紙束積載装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】用紙束を中折りする場合の工程図である。
【図3】用紙束積載装置の垂直断面図である。
【図4】用紙束積載装置の斜視図である。
【図5】排紙トレイ11に用紙束Pが連続して排出され積載される工程図である。
【図6】従来の用紙束積載装置における用紙束の積載状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る用紙束積載装置及び用紙後処理装置について図に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
図1に、本発明に係る用紙後処理装置5及び用紙束積載装置1の一例を示す概略構成図を示す。用紙後処理装置5は画像形成装置4に接続されていて、画像形成装置4から排出される画像形成済みの用紙に対して、孔開け処理やステープルによる綴じ処理、折り処理などを行う。孔開け処理部8は搬送路51に設けられており、綴じ処理部7及び折り処理部6は搬送路51から分岐して下方に向かう搬送路54に設けられている。
【0015】
画像形成装置4から排出された用紙は、用紙後処理装置5の搬送路51に搬入され、綴じ処理や折り処理を行わない場合には、搬送路52を通って第1排紙トレイ53に排出される。一方、綴じ処理や折り処理を行う場合には、搬送路51から搬送路54へ搬送される。いずれの場合にも、必要により、孔開け処理部8によって用紙に孔が開けられる。
【0016】
搬送路54に搬送された用紙は集積トレイ62に集積される。集積トレイ62の下端には、集積された用紙束の下端位置を位置決めすると共に用紙束を挟持し集積トレイ62内を移動させる先端位置決め具63が配置されている。
【0017】
集積トレイ62の上部には、ステープルによって用紙束を綴じる綴じ処理部7が配置されている。用紙束の綴じ位置は使用者によって指定され、先端位置決め具63によって用紙束が集積トレイ62内を上下移動することによって調整される。
【0018】
集積トレイ62の上下方向略中央部の一方の側面近傍には、用紙を折り処理するための一対の折りローラ対66が配置され、集積トレイ62を挟んで折りローラ対66と向かい合う位置には折りナイフ65が配置されている。
【0019】
図2に、用紙束Pの中央部をステープルで綴じた後、当該中央部で折り処理する場合の工程図を示す。まず、図2(a)に示すように、集積トレイ62に一揃えの用紙束Pが集積されると、用紙束Pの下端が先端位置決め具63によって挟持され、用紙束Pの中央部が綴じ処理部7に位置するように用紙束Pは上方へ移動される。そして、用紙束Pの中央部が綴じ処理部7によって綴じられる。
【0020】
次いで同図(b)に示すように、先端位置決め具63によって用紙束Pの綴じられた中央部が折りナイフ65と対向する位置に移動される。そして、折りナイフ65が集積トレイ62内に突出するとともに、折りローラ対66が回転開始し、用紙束Pの中央部が折りローラ対66に挟み込まれる。折りナイフ65は用紙束Pが折りローラ対66に挟み込まれたところで元の位置に戻る。用紙束Pは、折りローラ対66によって挟持加圧されることによって中折り状態となる。用紙束Pの先端が排紙検知センサS2によって検知されると、排紙ローラ対67が回転を開始し、同図(c)のように、排紙ローラ対67によって用紙束Pは用紙束積載装置1(図1に図示)に排出される。この一連の動作が、用紙束Pが、使用者が入力した部数となるまで繰り返し行われる。
【0021】
なお、以上説明した折り処理は、用紙束Pの中央部をステープルで綴じた後、当該中央部で折り処理する中折り処理であったが、本発明における折り処理は、これに限定されるものではなく、三つ折り処理や四つ折り処理などであってももちろん構わない。ただし、三つ折りや四つ折りなどの折り処理をする場合には、折りローラ対を増設する必要がある。
【0022】
次に、図3及び図4を用いて用紙束積載装置1について以下説明する。図3は、用紙束積載装置1の垂直断面図であり、図4は、用紙束積載装置の斜視図である。用紙束積載装置1は、折り処理された用紙束Pを積載する排紙トレイ11と、排紙トレイ11上に排出された用紙束Pを略水平方向に搬送する搬送手段12と、排紙トレイ11の、用紙束排出方向上流側に設けられた、排出された用紙束Sの積載姿勢を整える整合部材13と、排紙トレイ11上の積載された用紙束Sを押圧する押さえ部材14とを有する。
【0023】
排紙トレイ11には、排出ローラ対67から排出された用紙束Sが着地する部分に用紙束Sがあるかどうかを検知するセンサーS1が設けられている。このセンサーS1から出力される信号に基づいて用紙束積載装置1の動作が制御される。動作制御内容は後述する。
【0024】
搬送手段12は、排紙トレイ11に内設されており、ローラー122aと、ローラー122bと、これらのローラー間に張架され回転自在の搬送ベルト121と、ローラー122aを回転させるモーターMとを有する。搬送ベルト121は用紙束排出方向に対して垂直方向(以下、「幅方向」と記すことがある)に所定間隔隔てて2つ設けられている。排出ローラ対67から排出された用紙束Pは、搬送ベルト121によって排紙トレイ11上を用紙束排出方向上流側及び下流側に搬送される。
【0025】
整合部材13は、断面L字の棒状部材からなり、用紙束排出方向及び排紙トレイ11の積載面に対して垂直な当接面131を有している。整合部材13は、幅方向に所定間隔隔てて2つ設けられている。もちろ幅方向全体にわたる長さの整合部材13を1つ設けても構わない。また、用紙束の幅方向両端を整える整合部材をさらに設けても構わない。
【0026】
押さえ手段14は、長手部141aと短手部141bとが「L」字状に一体成形された棒状部材141と、棒状部材141の屈曲部に回転自在に設けられたコロ142とを有し、幅方向に所定間隔を隔てて2つ設けられている。棒状部材141の長手部の端部が用紙後処理装置5の本体に揺動自在に軸支され、押さえ手段14の自重によってコロ142が搬送ベルト121に当接している。コロ142は、搬送ベルト121の回転によって従動回転する。
【0027】
本発明に係る用紙束積載装置1の大きな特徴は、排紙トレイ11に排出された用紙束Pを、搬送ベルト121によって用紙束排出方向上流側に移動させて整合部材13に当接させて用紙束Pの積載姿勢を整えることにある。
【0028】
図5に、排紙トレイ11に用紙束Pが連続して排出され積載される工程図を示す。折り処理された用紙束P1が排紙トレイ11に排出されると、センサーS1によって用紙束P1の排出が検知される(図5(a))。すると、モーターMが起動して搬送ベルト121が時計回りに回転し、用紙束P1は用紙束排出方向上流側に搬送される。そして、用紙束P1の用紙排出方向後端が整合部材13の当接面131に当接する(同図(b))。これにより、用紙束P1の積載姿勢が整えられる。
【0029】
ここで、用紙束P1を用紙束排出方向上流側に搬送する距離は、用紙束P1の種類によって変化させるのが好ましい。すなわち、用紙束P1を構成する用紙の斤量やサイズが大きいほど、また用紙束P1を構成する用紙枚数が多いほど、用紙束はP1排紙トレイ11上の排出ローラ対67から近い位置に着地し、用紙束P1の用紙束排出方向後端と整合部材13との距離L1は短くなるので、用紙束P1を用紙束排出方向上流側に搬送する距離は短くてもよい。ただし、整合部材13に用紙束P1を当接させる必要があるので、用紙束P1の搬送距離は距離L1より長くなければならない。用紙束P1の搬送距離の具体例を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
整合部材13によって用紙束P1の積載姿勢が整えられると、搬送ベルト121が反時計回りに回転し、用紙束P1の用紙束排出方向先端と用紙束排出方向後端との間に、次に排出される用紙束P2の用紙束排出方向先端が位置するように、用紙束P1は用紙束搬送方向下流側に搬送される(図5(c))。次いで、排出ローラ対67から次の用紙束P2が排紙トレイ11に排出される。用紙束P2は、その用紙束排出方向先端が用紙束P1の用紙束排出方向先端から距離L2上流側にずれた位置に積載される(図5(d))。なお、用紙束P2の排紙トレイ11への排出は、用紙束P1の前記位置への搬送後であってもよいし、用紙束P1の前記位置への搬送と同時であってもよい。後者の場合、用紙束P2の排紙トレイ11への着地は、センサーS2の出力信号に基づいて行えばよい。用紙束P1と用紙束P2とのずれ距離L2に特に限定はない。排紙トレイ11の用紙束Pの積載量を多くするためには短くするのが好ましく、積載された用紙束Pを個々に分けやすくするためには長くするのが好ましい。通常、距離L2は10mm〜20mmの範囲が好ましい。
【0032】
そして、用紙束P2に対しても、図5(a)〜(c)に示した動作が行われ、用紙束P2は積載姿勢が整えられた後、次の用紙束の受け入れ位置に搬送される。このような動作が、所定部数の用紙束が排出されるまで繰り返され、一連の用紙束は排紙トレイ11上に瓦積み状に整然と積載される
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る用紙束積載装置及び用紙後処理装置は、排出時に用紙束の積載姿勢が乱れても、排紙トレイ上に用紙束を瓦積み状に整然と積載でき有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 用紙束積載装置
5 用紙後処理装置
P 用紙束
P1,P2 用紙束
11 排紙トレイ
12 搬送手段
13 整合部材
14 押さえ手段
121 搬送ベルト
131 当接面
141 棒状部材
142 コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り処理された用紙束を積載する排紙トレイと、排紙トレイに排出された用紙束を用紙束排出方向上流側及び下流側に搬送する搬送手段と、排紙トレイの用紙束排出方向上流側に設けられた、排出された用紙束の積載姿勢を整える整合部材とを有し、
排紙トレイに排出された用紙束を、前記搬送手段によって用紙束排出方向上流側に搬送して、用紙束の用紙束排出方向後端を前記整合部材に当接させて用紙束の積載姿勢を整えた後、用紙束を用紙束排出方向下流側に搬送し、用紙束の用紙束排出方向先端と用紙束排出方向後端との間に、次に排出された用紙束の用紙束排出方向先端が位置するようにして用紙束を瓦積み状に積載することを特徴とする用紙束積載装置。
【請求項2】
排出される用紙束の種類によって、排紙トレイに排出された用紙束を用紙束排出方向上流側に搬送する距離を変化させる請求項1記載の用紙束積載装置。
【請求項3】
前記整合部材が、用紙束排出方向及び排紙トレイの積載面に対して垂直な当接面を有するものである請求項1又は2記載の用紙束積載装置。
【請求項4】
用紙束を折り処理する折り手段と、折り処理された用紙束を積載する用紙束積載手段とを備えた用紙後処理装置であって、
前記用紙束積載手段として、前記請求項1〜3のいずれかに記載の用紙束積載装置を用いたことを特徴とする用紙後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−75736(P2013−75736A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215825(P2011−215825)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】