用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラム
【課題】機密用紙と非機密用紙とを簡便かつ高精度に識別する、用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】挿入口22Aに挿入された用紙Pが通過する案内通路22Bの上流側で案内通路22Bが内周側空間に含まれるように案内通路22Bに沿って巻き回されて形成された励磁コイル24に交流電流が流された状態で、磁性体Mが設けられた用紙Pが内周側空間の案内通路22Bを通過しているときに磁性体Mの磁化反転による磁場の変化を検出し、用紙Pが案内通路22Bの下流側の予め定められた領域を通過したことを磁性体Mに依らず用紙P自体が有する特性から検出する。
【解決手段】挿入口22Aに挿入された用紙Pが通過する案内通路22Bの上流側で案内通路22Bが内周側空間に含まれるように案内通路22Bに沿って巻き回されて形成された励磁コイル24に交流電流が流された状態で、磁性体Mが設けられた用紙Pが内周側空間の案内通路22Bを通過しているときに磁性体Mの磁化反転による磁場の変化を検出し、用紙Pが案内通路22Bの下流側の予め定められた領域を通過したことを磁性体Mに依らず用紙P自体が有する特性から検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検知領域に交番磁界を発生する励磁手段と、交番磁界と被検知物体との位置関係を変化させるために被検知物体を所持する所持者の位置を検知領域内で強制的に移動させる移動手段と、交番磁界の印加により被検知物体に付与された磁性体から発生される信号に基づき被検知物体を検知する検知手段と、を備える物体検知装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、励磁・検知コイルを含んで構成されたパネル型アンテナを2枚組み合わせて検知空間を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46904号公報
【特許文献2】米国特許4994939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、機密用紙と非機密用紙とを簡便かつ高精度に識別する、用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の用紙識別装置を、挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルと、前記励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段と、用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段と、を含んで構成した。
【0007】
請求項1に記載の用紙識別装置を、請求項2に記載の発明のように、前記第1出力手段による検出対象領域と前記第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上としたものとした。
【0008】
請求項3に記載の用紙識別装置を、請求項1又は請求項2に記載の発明のように、前記通路を、用紙が自重で該通路の終端部に向けて滑り落ちるように前記第1出力手段による検出対象領域から前記第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成したものとした。
【0009】
請求項4に記載の画像読取システムを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙が有する画像を読み取る画像読取装置と、を含んで構成した。
【0010】
請求項5に記載の用紙寸断システムを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙を寸断する用紙寸断装置と、を含んで構成した。
【0011】
請求項6に記載のプログラムを、挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段、及び用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項4、請求項5及び請求項6に係る発明によれば、磁性体が設けられた用紙が通路の励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された励磁コイルによる磁性体の磁化の変化を検出し、磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力し、用紙が通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、用紙が予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する構成を有しない場合に比べ、機密用紙と非機密用紙とが簡便かつ高精度に識別される、という効果が得られる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、第1出力手段による検出対象領域と第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上としない場合に比べ、機密用紙と非機密用紙とがより一層高精度に識別される、という効果が得られる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、通路を、用紙が自重で通路の終端部に向けて滑り落ちるように第1出力手段による検出対象領域から第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成した構成を有しない場合に比べ、装置が小型化される、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理システム及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像処理システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理システムの電気系の要部構成の一例を示す構成図である。
【図4】大バルクハウゼン効果の説明に供する波形図である。
【図5】第1の実施形態に係る用紙識別処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る用紙識別装置のUIパネルに表示された画像処理機能指定画面の一例を示す模式図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像処理システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図8】第3の実施形態に係る用紙寸断システム及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。
【図9】第3の実施形態に係る用紙寸断システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図10】第3の実施形態に係る画像処理システムの電気系の要部構成の一例を示す構成図である。
【図11】第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る寸断実行処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態に係る用紙寸断装置の変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例を説明する。なお、本明細書において「用紙」とは、植物性の繊維を主材料として製された紙は勿論のこと、画像が記録されるOHP(overhead projector)シートやフィルムなどの被記録媒体も意味する。
【0017】
[第1の実施形態]
【0018】
図1は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像処理システム10は、予め定められた読み取り位置に置かれた用紙から画像を読み取り、読み取った画像を示す画像情報を取得するスキャン機能、電子写真方式で用紙に画像を記録する画像記録機能、及びファクシミリ電文の送受信を行うファクリミリ(以下、「FAX」と言う。)機能と、を備えている。なお、以下、スキャン機能、画像記録機能及びFAX機能を区別せずに用いる場合、「画像処理機能」と称する。
【0019】
また、画像処理システム10は、特定の利用者に対して画像処理機能によるサービスを提供するために利用者の認証を行う認証機能も備えている。この認証機能を実現するために、画像処理システム10にはカードリーダ12が通信ケーブル(図示省略)を介して電気的に接続されている。カードリーダ12は、画像処理システム10の正規の利用者として予め登録されている利用者を示す利用者識別情報が予め記憶されたICカード14から利用者識別情報を読み取るためのものである。なお、本第1の実施形態では、カードリーダ12としてICカードリーダを用いているが、これに限らず、ICカード14でなく磁気カードが使用されるときには、磁気カードリーダが用いられ、ICカード14としてRFID(Radio Frequency Identification System;電波方式認識システム)タグが埋め込まれたカードが使用されるときにはそのRFIDタグと無線で通信を行うRFIDリーダが用いられる。
【0020】
図2は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10の要部構成の一例を示す構成図である。図2に示すように、画像処理システム10は、用紙識別装置16及び画像処理装置18を含んで構成されている。用紙識別装置16は、機密文書が記録された用紙Pであるか否かを識別する装置である。また、用紙識別装置16は、機密文書が記録された用紙P(以下、「機密用紙P」と言う。)と機密文書が記録されていない用紙P(以下、「非機密用紙P」と言う。)とを識別して、非機密用紙Pを画像処理装置18に送り出し、機密用紙Pを排紙容器17に排出する仕分け機能を有している。なお、ここで言う「機密文書」とは、例えば会社外に漏洩してはいけないものとして会社内で定められた文書であって、他の文書に比べて秘匿性が高い文書のことを意味する。
【0021】
画像処理装置18は、画像処理機能を備えており、スキャン機能によって得た画像情報に基づいて画像記録機能及びFAX機能を働かせる。このスキャン機能を実現するために画像処理装置18は、画像読取部20と、画像読取部20による画像の読取対象となる用紙Pが読取面20Aに面するように予め定められた読み取り位置に配置される読取領域18Aと、を備えている。画像読取部20は、撮像素子を備えた読取面20Aを有しており、予め定められた読み取り位置に配置された用紙Pに対して光を照射して用紙Pで反射した反射光を読取面20Aの撮像素子により光電変換して電気信号を得ることによって用紙P上の画像を読み取る。
【0022】
この読取領域18Aには、用紙識別装置16から非機密用紙Pが送り込まれる。用紙識別装置16から読取領域18Aに送り込まれた非機密用紙Pは読取領域18Aを通過し、読取領域18Aを通過する間に非機密用紙Pの画像が画像読取部20によって読み取られる。
【0023】
用紙識別装置16は、外部から用紙Pを取り込んで画像処理装置18に送り出す用紙取込送出部22を備えている。用紙取込送出部22は、外部から用紙Pが挿入される挿入口22Aと、挿入口22Aに連通しており、挿入口22Aに挿入された用紙Pを画像処理装置18に案内する案内通路22Bと、案内通路22B及び画像処理装置18の読取領域18Aに連通しており、案内通路22Bによって案内された用紙Pを読取領域18Aに排出する排出口22Cと、を含んで構成されている。また、案内通路22Bは、挿入口22Aを起点にして、案内通路22Bの終端部としての排出口22Cにかけて下り傾斜している。従って、挿入口22Aに挿入された用紙Pは自重で案内通路22Bを排出口22Cに向かって滑り落ち、排出口22Cから読取領域18Aに排出され、読取領域18Aを予め定められた速度で通過する。
【0024】
本第1の実施形態に係る画像処理システム10では、機密用紙Pとして、大バルクハウゼン効果を有する磁性体Mが刷り込まれた用紙を用いており、この機密用紙Pに含まれる磁性体Mを検出するために、交番磁界を発生する励磁コイル24及び外部からの磁界によって誘導されて電流が流れる検出コイルユニット26を備えている。
【0025】
励磁コイル24は、案内通路22Bの外周面に取り付けられており、案内通路22Bの挿入口22Aよりも下流側であって案内通路22Bの中央部よりも上流側の外周面に金属線が巻き回されることによってコイルの内周側空間に案内通路22Bが位置するように構成されている。
【0026】
また、案内通路22Bには、透過型のフォトセンサ28が設けられており、このフォトセンサ28は、機密用紙P及び非機密用紙Pを区別することなく案内通路22Bを通過する物体(例えば用紙P)を検出する。フォトセンサ28は、励磁コイル24よりも下流側かつ排出口22Cよりも上流側であって、励磁コイル24による磁性体Mの検出対象領域の終端とフォトセンサ28による検出対象領域の始端との距離が予め定められたサイズの用紙Pの長手方向(例えばA2用紙の長手方向)の長さ以上となる位置に配置されている。従って、磁性体Mが機密用紙Pの如何なる位置に存在していても磁性体Mが検出されないうちにフォトセンサ28によって機密用紙Pが検出されるということがなくなる。但し、この場合、用紙識別装置16の識別対象となる有効なサイズの用紙Pが挿入口22Aに挿入されたという前提が存在する。つまり、有効なサイズとして予め定められたサイズ以外のサイズ(想定外のサイズ)の用紙Pを対象としていない。
【0027】
用紙識別装置16は、非機密用紙Pを画像処理装置18に送り出し、機密用紙Pを排紙容器17に排出する用紙仕分け装置30を備えており、この用紙仕分け装置30によって前述の仕分け機能が実現される。用紙仕分け装置30は、プレート30A、ヒンジ30B、モータ30C及びモータドライバ30Dを含んで構成されている。プレート30Aは、案内通路22Bの底板の一部を構成しており、フォトセンサ28よりも下流側に配置されている。なお、プレート30Aの幅方向(案内通路22B内の用紙Pの流れる方向に対して略垂直な水平方向)の長さは、用紙Pを識別するのに有効なサイズとして予め定められたサイズの用紙Pの幅方向の長さを超える長さとされている。
【0028】
ヒンジ30Bは、プレート30Aのフォトセンサ28側の一端部に設けられ、プレート30Aを案内通路22Bにおける用紙Pの流路を外部に開放する位置(開放位置)と案内通路22Bにおける用紙Pの流路を外部から遮蔽する位置(遮蔽位置)とで開閉自在とされるように回転する。モータ30Cは、ヒンジ20Bの回転軸に連結されており、この回転軸に回転駆動力を伝達することによってプレート30Aを開放位置と遮蔽位置とで回転させる駆動源である。モータドライバ30Dは、モータ30Cの駆動を制御する駆動制御回路である。
【0029】
また、用紙識別装置16は、用紙識別装置16全体の動作を制御する制御部32を備えている。制御部32は、第1出力手段及び第2出力手段として機能するものであり、検出コイルユニット26、フォトセンサ28及びモータドライバ30に接続されている。従って、制御部32は、検出コイルユニット26での検出結果の把握と、フォトセンサ28の検出結果の把握と、モータドライバ30Dを介したモータ30Cの駆動の制御と、を各々行う。
【0030】
更に、用紙識別装置16は、プレート30Aが開放位置に配置されたときのプレート30Aの先端(ヒンジ30Bが設けられた固定端側とは反対側の自由端側)の先には、案内通路22Aから用紙仕分け装置30によって機密用紙Pとして仕分けられた用紙Pを収容する排紙容器17が配置されている。従って、プレート30Aが開放位置に配置されているときに案内通路22Aの上流側から滑り落ちてきた用紙Pは、プレート30Aを介して案内通路22Aから脱落すると、排紙容器17に収容される。
【0031】
図3は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10の電気的な要部構成の一例を示す構成図である。図3に示すように、用紙識別装置16は、励磁コイル24に磁界を発生させるための励磁電流を供給する励磁電流供給部40と、検出コイルユニット26に誘導されたアナログの電気信号をデジタル情報に変換する信号処理部42と、システムバスBUS1を介して信号処理部42に接続されており、信号処理部42によって得られたデジタル情報に基づいて磁性体Mの通過を検出するコントローラ44と、を備えている。なお、前述の制御部32は、信号処理部42及びコントローラ44を含んで構成されている。
【0032】
検出コイルユニット26は、検出コイル26A,26Bを含んで構成されており、励磁コイル24に近接して配置される。検出コイル26A,26Bは、平面上で隣り合い、かつ巻線方向が逆になるように配置されている。そして、検出コイル26Aの一端部は信号処理部42に接続され、検出コイル26Aの他端部は検出コイル26Bの一端部に接続されている。また、検出コイル26Bの他端部は信号処理部42に接続されている。
【0033】
一方、コントローラ44は、マイクロコンピュータによって構成され、CPU(中央処理装置)44A、ROM(Read Only Memory)44B、RAM(Random Access Memory)44C、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の二次記憶部44Dを備えており、用紙識別装置16全体の動作を制御する。また、コントローラ44は、励磁電流供給部40に接続されており、励磁コイル24に対して交流の励磁電流の供給を行う。
【0034】
励磁コイル24は、励磁電流供給部40から励磁電流が供給されることにより励磁され、正弦波のように磁界が変化する交番磁界を発生する。そして、検出コイル26A,26Bでは、励磁コイル24で発生された交番磁界によって交流電流が誘導されると共に、大バルクハウゼン効果を有する磁性体を含んだタグが上記交番磁界内に存在する場合は、磁化反転によってパルス電流が生じる。
【0035】
図4(A),(B)は、大バルクハウゼン効果を説明するための図である。
【0036】
大バルクハウゼン効果は、図4(A)に示すB−H特性、つまり、ヒステリシスループがほぼ長方形で、保磁力(Hc)が比較的小さな材料、例えば、Co−Fe−Ni−B−Siからなるアモルファス磁性材料を交番磁界中においた際に、急峻な磁化反転が起きる現象である。大バルクハウゼン効果を有する磁性体は、正負それぞれ予め定められた強度よりも大きな強度の磁界が作用した際に磁化反転する。このため、励磁コイル24に励磁電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界中に磁性体を置くと、磁化反転時に、磁性体の近傍に配置された検出コイル26A,26Bにパルス状の電流が流れる。
【0037】
例えば、励磁コイル24により図4(B)の上段に示す交番磁界が発生した場合、検出コイル26A,26Bには、一例として図4(B)の下段に示すパルス電流が流れる。ただし、検出コイル26A,26Bの電流には、このパルス電流だけでなく、交番磁界によって誘導される交流電流も含まれている。そこで、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16では、この検出コイル26A,26Bに誘導される交流電流を相殺するために、検出コイル26A,26Bを巻線方向が逆になるように接続している。
【0038】
磁性体Mの材料(磁性材料)としては、一般には永久磁石、例えば希土類系のネオジュウム(Nd)−鉄(Fe)−ボロン(B)を主成分としたもの、サマリウム(Sm)−コバルト(Co)を主成分としたもの、アルニコ系のアルミ(Al)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)を主成分としたもの、フェライト系のバリュウム(Ba)またはストロンチウム(Sr)と酸化鉄(Fe2O3)を主成分としたものや、その他に軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料等がある。上記大バルクハウゼン効果を起こす磁性材料としては、基本組成がFe−Co−SiやCo−FeNi系であるアモルファス磁性材料を用いることが好ましい。
【0039】
磁性材料の形状は、大バルクハウゼン効果を起こすのに適した形状であれば特に限定されない。ただし、大バルクハウゼン効果を起こすには、断面積に対応する長さが必要となることから、線状(ワイヤ状)や帯状であることが好ましく、ワイヤ状であることがより好ましい。
【0040】
磁性材料がワイヤ状である場合には、大バルクハウゼン効果を起こすために必要な最小直径として10μm以上であることが好ましい。また、最大直径としては特に限定はされないが、例えば、記録媒体(用紙)に磁性材料を漉き込んで一体とする場合、記録媒体の表面に磁性材料が露出することを抑制するために、その直径は記録媒体の厚みに依存し、例えば90μm前後の厚さの記録媒体の場合には、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0041】
磁性材料の長さとしては、大バルクハウゼン効果を起こすために必要な最小長さとして5mm以上が好ましい。アモルファス磁性材料の最大長については、内部に含有されたときに、記録媒体から露出されない程度の長さであればよく、特に限定はされないが、430mm以下であることが好ましい。
【0042】
一方、図3に示すように、信号処理部42は、両端子間の電圧(検出コイル26Aの一端部および検出コイル26Bの他端部からそれぞれ出力された信号電圧)の差動を増幅して出力する差動増幅器42Aと、差動増幅器42Aから出力された信号を予め定められた増幅率で増幅する主増幅器42Bと、主増幅器42Bから出力された信号の波形を整形する波形整形回路42Cと、波形整形回路42Cで波形整形された信号をデジタル情報に変換するアナログ/デジタルコンバータ(以下、「ADC」という。)42Dと、を備えている。なお、信号処理部42は、波形整形回路42CとADC42Dとの間に、波形整形回路42Cによって得られた信号から磁性体の磁化反転によって生じるパルス電流に対応する予め定められた帯域の信号を抽出して出力するバンドパスフィルタを更に備えるようにしても良い。また、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16では、主増幅器42Bとして反転増幅器を適用しているが、これに限らず、非反転増幅器等の他の増幅器を適用しても良い。
【0043】
また、用紙識別装置16は、UI(ユーザ・インタフェース)パネル46及び外部インタフェース48を含んで構成されている。UIパネル46は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルを触れることによって各種情報や指示を受け付ける。また、外部インタフェース48は、通信ケーブルなどの通信手段を介して画像処理装置18に接続され、画像処理装置18から各種情報を受信すると共に、画像処理装置18に各種情報を送信することによって画像処理装置18との通信を制御する。
【0044】
カードリーダ12、フォトセンサ28、モータドライバ30D、UIパネル46及び外部インタフェース48は、システムバスBUS1を介して相互に接続されている。従って、コントローラ44は、カードリーダ12によるICカード14の読み取り制御と、フォトセンサ28の作動の制御と、フォトセンサ28の検出結果の取得(出力される信号レベルの変化の把握)と、モータドライバ30Dを介したモータ30Cの作動の制御と、UIパネル46への各種情報の表示と、UIパネル46に対するユーザの操作指示内容の把握と、画像処理装置18からの外部インタフェース48を介した各種情報の受信と、画像処理装置18への外部インタフェース48を介した各種情報の送信と、を各々行う。
【0045】
一方、画像処理装置18は、CPU50、ROM52、RAM54、二次記憶部56、UIパネル58、外部インタフェース60、画像記録部62、FAX64及び報知部66を含んで構成されている。CPU50は、画像処理装置18全体の作動を制御するものである。ROM52は、画像処理装置18の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM54は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。二次記憶部56は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するもの(一例としてハードディスク装置)である。UIパネル58は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより各種情報や指示を受け付ける。外部インタフェース60は、前述の通信ケーブルなどの通信手段を介して用紙識別装置16に接続され、用紙識別装置16から各種情報を受信すると共に、用紙識別装置16に各種情報を送信することによって用紙識別装置16との通信を制御する。
【0046】
画像記録部62は、画像情報に応じた画像を用紙Pに記録するものであり、所謂プリンタに相当するものである。また、FAXは、画像情報に応じた画像を送信すると共に画像情報を受信するものである。従って、前述の画像記録機能は、画像記録部26が作動することによって実現され、前述のFAX機能は、FAXが作動することによって実現される。
【0047】
また、報知部66は、用紙識別装置16の案内通路22Bにて非機密用紙Pの通過が検出された場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に非機密用紙Pの通過を報知する。
【0048】
画像読取部20、CPU50、ROM52、RAM54、二次記憶部56、外部インタフェース、画像記録部62、FAX64及び報知部66はシステムバスBUS2を介して相互に接続されている。従って、CPU50は、ROM58、RAM60、二次記憶部56へのアクセスと、UIパネル58への各種情報の表示と、UIパネル58に対するユーザの操作指示内容の把握と、用紙識別装置16からの外部インタフェース60を介した各種情報の受信と、用紙識別装置16への外部インタフェース60を介した各種情報の送信と、画像読取部20によって取得された画像情報の取得と、画像読取部20の作動の制御と、画像記録部62の作動の制御と、画像記録部62の動作状況の把握と、FAX64の作動の制御と、FAX64によって受信された画像情報の取得と、報知部66の作動の制御と、を各々行う。
【0049】
以上のように構成された画像処理システム10では、画像処理機能を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0050】
以下では、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16のCPU44Aが上記プログラムを実行することにより用紙識別処理を実現する場合について説明する。この場合、上記プログラムをROM44Bに予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0051】
図5は、用紙識別処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、UIパネル46によって用紙識別処理の実行開始の指示が受け付けられた、との条件)を満足した際に用紙識別装置16のCPU44Aによって実行される用紙識別処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置16のプレート30Aが遮蔽位置に配置されている場合について説明する。
【0052】
図5のステップ100では、カードリーダ12による利用者識別情報の読み取り(受信)待ちを行った後、ステップ102に移行し、上記ステップ100の処理によって受信された利用者識別情報が予め登録された利用者識別情報であるか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ104に移行してエラー処理を実行した後、ステップ100に戻る。上記ステップ104の「エラー処理」の一例としては、予め登録された利用者識別情報でないことを示すメッセージ(一例として「あなたは本システムの利用者として登録されていません。」とのメッセージ)を予め定められた時間(例えば5秒間)UIパネル46に表示する、との処理が挙げられるが、これに限らず、例えば特定色のランプを点灯するとの処理や音声による報知を行うとの処理が挙げられる。
【0053】
一方、ステップ102において肯定判定となった場合にはステップ106に移行し、画像処理装置18によって実現される画像処理機能の何れを利用するかを指定する画像処理機能指定画面をUIパネル46に表示した後、ステップ108に移行し、何れかの画像処理機能を指定したか否かを判定する。
【0054】
図6には、UIパネル46のディスプレイに表示された画像処理機能指定画面の一例が示されている。図6の示すように、画像処理機能指定画面内の上部には“利用したい機能を指定して下さい。”との画像処理機能の指定を利用者に促すメッセージが表示される。また、このメッセージの下には、画像記録機能を表す“コピー”との名称、FAX機能を表す“FAX”との名称、及び画像読取機能を表す“スキャン”との名称称が表示されると共に、画像処理機能毎にラジオ・ボタンが表示される。利用者は、例えばUIパネル46のタッチパネルに触れて何れかの項目をポインティング指定すると、ラジオ・ボタンにチェック印が付与され、チェック印が付与されたラジオ・ボタンに対応する画像処理機能が正規に指定される。図6に示す例では、“コピー”に対応するラジオ・ボタンにチェック印が付与されているので、画像読取機能が指定されている。また、画像処理機能指定画面には、“クリア”ボタンが表示されており、例えば“クリア”ボタンが利用者によってUIパネル46のタッチパネルを介してポインティング指定されると、現時点で画像処理機能が指定されている場合にその指定が解除されると共に、ラジオ・ボタンのチェック印が画面から消去される。更に、画像処理機能指定画面には、“確定”ボタンが表示されており、例えば“確定”ボタンが利用者によってUIパネル46のタッチパネルを介してポインティング指定されると、現時点で画像処理機能が指定されている場合には画像処理機能の指定が確定され、現時点で画像処理機能が指定されていない場合には予め定められた画像処理機能(デフォルト画像処理機能)の指定が確定される。画像処理機能指定画面の“確定”ボタンが例えばポインティング指定されて画像処理機能の指定が確定するとステップ108は肯定判定となってステップ110に移行する一方、画像処理機能の指定が確定しないとステップ112に移行し、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ106の処理の実行が終了してから予め定められた時間(例えば60秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ108に戻る一方、肯定判定となった場合には本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0055】
ステップ110では、上記ステップ108の処理によって指定された画像処理機能を示す機能指定情報を画像処理装置18に送信した後、ステップ113に移行する。画像処理装置18では、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報を受信すると、受信した機能指定情報により示される画像処理機能を働かせるために必要な部位を作動させる。例えば、機能指定情報がスキャン機能を示している場合には画像読取部20を作動させ、機能指定情報が画像記録機能を示している場合には画像読取部20及び画像記録部62を作動させ、機能指定情報がFAX機能を示している場合には画像読取部20及びFAX64を作動させる。
【0056】
ステップ113では、検出コイルユニット26による検出動作を開始させるべく信号処理部42の稼動を開始するように制御すると共に、励磁コイル24への励磁電流の供給を開始するように励磁電流供給部40を制御する。次のステップ114では、検出コイルユニット26にパルス電流が流れたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ116に移行し、機密用紙P(磁性体M)が検出されたことを示す第1検出信号を画像処理装置18に送信すると共にモータドライバ30Dに送信した後、ステップ126に移行する。モータドライバ30Dは、上記ステップ116の処理によって送信された第1検出信号を受信すると、プレート30Aが遮蔽位置から開放位置に回転してから再度遮蔽位置に逆回転して遮蔽位置で停止するようにモータ30Cを予め定められた時間(一例として3秒間)駆動させる。これによってプレート30Aが開放位置に配置されると、案内通路22Bのプレート30Aよりも上流側から滑り落ちてくる機密用紙Pが案内通路22BからプレートAを介して脱落し、排紙容器17に収容され、プレート30Aが開放位置から遮蔽位置に変位すると、案内通路22Bが用紙Pを画像処理装置18に案内する元の状態に復帰する。
【0057】
一方、ステップ114において否定判定となった場合にはステップ120に移行し、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが変化したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ122に移行し、非機密用紙Pが検出されたことを示す第2検出信号を画像処理装置18に送信した後、ステップ124に移行する。画像処理装置18は、上記ステップ122の処理によって送信された第2検出信号を受信すると、画像読取部20による画像の読み取りを開始させると共に、非機密用紙Pの通過が検出されたことを利用者に報知すべく報知部66を作動させる。
【0058】
ステップ124では、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが元のレベル(変化する前のレベル)に戻ったか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ122に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ126に移行する。また、上記ステップ124において肯定判定となった場合には、画像読取部20による画像の読み取りを停止すると共に報知部66による報知動作を停止する。なお、画像読取部20によって読み取られた画像を示す画像情報は、上記ステップ110の処理に応じて作動された画像処理機能で活用される。すなわち、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報がスキャン機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報は二次記憶部56の予め定められた記憶領域に記憶され、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報が画像記録機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報が画像記録部62に送られて、画像情報により示される画像が画像記録部62によって被記録媒体(例えば記録用紙)に記録され、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報がFAX機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報がFAX64に送られて、画像情報を含むFAX電文がFAX64によって指定の送信先に送信される。
【0059】
ステップ126では、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ116の処理の実行が終了してから又は上記ステップ124において肯定判定となってから予め定められた時間(例えば30秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ114に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ128に移行し、上記ステップ113の処理によって開始した信号処理部42の稼動及び励磁コイル24への励磁電流の供給を停止するように制御し、その後に本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0060】
上記第1の実施形態では、利用者識別情報を利用者の認証ために用いる例を挙げて説明したが、これに限らず、機密文書Pを用紙識別装置16に投入した利用者が誰であるのかを後で把握するために、認証のために取得した利用者識別情報を例えばログ(履歴情報)として二次記憶部36に記憶しておく形態例や、そのログを必要に応じて利用者識別情報を外部装置(例えば特定の利用者が使用する端末装置)に送信するようにしても良い。
【0061】
[第2の実施形態]
【0062】
上記第1の実施形態では、用紙識別装置16の側方から用紙Pを用紙識別装置16に挿入する場合の形態例を挙げて説明したが、本第2の実施形態では、用紙識別装置16の上方から用紙Pを例えば自重で垂らした状態で用紙識別装置16に挿入する場合について説明する。なお、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と相違しない構成については相違しない符号を付してその説明を省略し、上記第1の実施形態の構成と相違する構成を説明する。
【0063】
図7は、本第2の実施形態に係る画像処理システム10Bの要部構成の一例を示す構成図である。図7に示すように、本第2の実施形態に係る画像処理システム10Bは、上記第1の実施形態に係る画像処理システム10と比べ、用紙識別装置16に代えて用紙識別装置160を適用した点が相違している。用紙識別装置160は、上記第1の実施形態に係る用紙識別装置16と比べ、用紙取込送出部22に代えて用紙取込送出部162を適用している点が相違している。用紙取込送出部162は、外部から用紙Pが挿入される挿入口162Aと、挿入口162Aに連通しており、挿入口162Aに挿入された用紙Pを画像処理装置18に案内する案内通路162Bと、案内通路162B及び画像処理装置18の読取領域18Aに連通しており、案内通路162Bによって案内された用紙Pを読取領域18Aに排出する排出口162Cと、を含んで構成されている。
【0064】
本第2の実施形態に係る案内通路162Bは、上記第1の実施形態に係る案内通路22Bと比べ、案内通路22Bが励磁コイル24による検出対象領域からフォトセンサ28による検出対象領域にかけて直線状に形成されているのに対し、励磁コイル24による検出対象領域からフォトセンサ28による検出対象領域にかけて蛇行して形成されている点が相違している。つまり、本第2の実施形態に係る案内通路162Bは、励磁コイル24による検出対象領域が含まれる上流側領域とフォトセンサ28による検出対象領域が含まれる下流側領域とに大別され、上流側領域は上記第1の実施形態に係る案内通路22Bにおいて対応する上流側領域と比べて上方に起立した状態に形成されており、下流側領域は上流側領域から滑り落ちてくる用紙Pを画像処理装置18に受け流すように、上流側領域との変曲領域から排出口162Cにかけて下り傾斜している。
【0065】
このように構成された用紙識別装置160では、用紙識別装置160の上方から挿入口162Aに用紙Pが挿入されることになるが、案内通路が挿入口から排出口にかけて略鉛直方向に直線状に形成されている場合と比べ、用紙識別装置160の鉛直方向の長さ(高さ)が低く設定されるので装置全体の小型化に寄与する。また、下流側領域を通過する用紙Pは上流側領域の通過速度よりも遅くなるので、案内通路が挿入口から排出口にかけて略鉛直方向に直線状に形成されている場合と比べ、フォトセンサ28による誤検出の発生も抑制される。更に、案内通路162Bの上流側領域は上記第1の実施形態に係る案内通路22Bの上流側領域と比べ、急傾斜した構成とされているため、挿入口162Aに挿入された用紙Pは上記第1の実施形態に係る場合に比べて自重の影響を大きく受けることになる。よって、用紙Pは上記第1の実施形態に係る場合よりも勢い良く案内通路162B内を滑落していくので、流路の途中で止まってしまうという事態の発生が抑制される。
【0066】
[第3の実施形態]
【0067】
上記第1及び第2の実施形態では、画像処理システム10(10B)を例に挙げて説明したが、本第3の実施形態では、用紙寸断システム200を例に挙げて説明する。なお、本第3の実施形態では、上記第1及び第2の実施形態と相違しない構成については相違しない符号を付してその説明を省略し、上記第1及び第2の実施形態の構成と相違する構成を説明する。
【0068】
図8は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。図8に示す用紙寸断システム200は、用紙Pを寸断する所謂シュレッダ機能を備えている。また、用紙寸断システム200は、機密用紙Pの誤寸断(誤廃棄)を防止するために、用紙寸断システム200に近付いてきた者を感知する人感機能も備えている。この人感機能を実現するために、用紙寸断システム200には人感センサ202が電気的に接続されている。人感センサ202は用紙寸断システム200に近付いてきた者を感知すると感知信号を出力する。なお、本第3の実施形態では、人感センサ202として、用紙寸断システム200の例えば半径1m以内の床面に敷かれている圧電マット(単数又は複数の圧電センサが埋め込まれたマット)を適用しているが、これに限らず、例えば、用紙寸断システム200に近付いた者を検出するフォトセンサであっても良い。また、用紙寸断システム200によって用紙Pの寸断を開始する際の操作行為を行うときに利用者の身体が必ず通過することが予想される位置にフォトセンサを設けるという形態例も挙げられる。このように人感センサ202は機密用紙Pの誤寸断を未然に防止するための制御を行うのに供する検出が時間的に間に合う位置に利用者の行動パターンなどを考慮して配置されていれば良い。
【0069】
図9は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200の要部構成の一例を示す構成図である。図9に示すように、用紙寸断システム200は、用紙識別装置204及び用紙寸断装置205を含んで構成されている。用紙識別装置204は、上記第2の実施形態に係る用紙識別装置160と比べ、用紙取込送出部162に代えて用紙取込送出部206を適用した点が相違している。用紙取込送出部206は、上記第2の実施形態に係る用紙取込送出部162と比べ、用紙仕分け装置30が設けられていない点及び蓋206Dが新たに設けられている点が相違しており、挿入口206A、案内通路206B及び排出口206Dの各構成は上記第2の実施形態に係る用紙取込送出部162の構成と相違しない。蓋206Dは、案内通路206Bの下流側領域の排出口206Dを形成している案内通路206Bの上壁の一部を構成しており、ヒンジHを介して案内通路206Bの上壁に回転自在に取り付けられている。また、蓋206Dの上面には取っ手Tが取り付けられており、例えば利用者はこの取っ手Tを把持して蓋206Dを上方に引き上げることによって蓋206を開放する。例えば、用紙寸断装置205に進入せずに案内通路206Bの下流側領域に用紙Pが留まっている場合、蓋206は、案内通路206Bから外部に取り出す際に手動で開放され、これによって案内通路206Bの流路が外部に露呈されて案内通路206Bの流路から用紙Pが取り出される。
【0070】
案内流路206Bは、排出口206Cが用紙寸断装置205の用紙取込口205Aに面するように配置されて用紙寸断装置205の用紙取込部(図示省略)に連通されている。用紙取込部には、案内流路206Bと用紙Pの寸断を実際に行う用紙寸断装置本体との境界部に、用紙識別装置204から滑り落ちてきた用紙Pの用紙寸断装置本体への進入を阻止するシャッタ(図示省略)が設けられている。
【0071】
用紙寸断装置205の上面にはスタートスイッチ205Bが設けられており、スタートスイッチ205Bが押圧操作されると寸断の開始を指示する寸断開始指示信号が出力される。スタートスイッチ205Bが予め定められた条件を満足した上で押圧操作されると、用紙取込部のシャッタが開放されると共にシュレッダ機能が働かされる。
【0072】
人感センサ202は、用紙寸断装置205の周辺の予め定められた領域(用紙寸断装置205を利用する上で利用者が通ることが予想される領域として予め定められた領域)に配置されており、その領域内に侵入してきた人物を検出する。また、人感センサ202は、後述の外部インタフェース212を介して制御部32に電気的に接続されているので、人感センサ202による検出結果は制御部32によって把握される。
【0073】
図10は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200の電気的な要部構成の一例を示す構成図である。図10に示すように、用紙識別装置204は、上記第1の実施形態と比べ、報知部210及び外部インタフェース212が新たに設けられている点が相違している。報知部210は、用紙識別装置16の案内通路22Bにて機密用紙Pの通過が検出された場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に機密用紙Pの通過を報知する。外部インタフェース60は、前述の通信ケーブルなどの通信手段を介して人感センサ202に接続され、人感センサ202による検知結果を示す情報を受信し、受信した情報をコントローラ44に取得させるためのものである。
【0074】
用紙寸断装置205は、CPU205C、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205F、UIパネル205G、外部インタフェース205H、寸断実行部205I及び報知部205Jを含んで構成されている。CPU205Cは、用紙寸断装置205全体の作動を制御するものである。ROM205Dは、用紙寸断装置205の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM205Eは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。二次記憶部205Fは、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するもの(一例としてハードディスク装置)である。UIパネル205Gは、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより各種情報や指示を受け付ける。外部インタフェース205Hは、通信ケーブルなどの通信手段を介して用紙識別装置204に接続され、用紙識別装置204から各種情報を受信すると共に、用紙識別装置204に各種情報を送信することによって用紙識別装置204との通信を制御する。
【0075】
寸断実行部205Iは、前述の用紙取込部から取り込まれた用紙Pに対して複数枚のカッタを高速動作させることにより寸断を実行する。従って、用紙寸断システムのシュレッダ機能は、寸断実行部205Iが作動することによって実現される。
【0076】
また、報知部205Jは、機密用紙Pが用紙取込送出部206に滞留している場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に機密用紙Pが用紙取込送出部206に滞留していることを報知する。
【0077】
スタートスイッチ205B、CPU205C、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205F、UIパネル205G、外部インタフェース205H、寸断実行部205I及び報知部205JはシステムバスBUS3を介して相互に接続されている。従って、CPU205Cは、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205Fへのアクセスと、UIパネル205Gへの各種情報の表示と、スタートスイッチ205B及びUIパネル205Gに対するユーザの操作指示内容の把握と、用紙識別装置204からの外部インタフェース205Hを介した各種情報の受信と、用紙識別装置204への外部インタフェース205Hを介した各種情報の送信と、寸断実行部205Iの作動の制御と、報知部205Jの作動の制御と、を各々行う。
【0078】
以上のように構成された用紙寸断システム200では、シュレッダ機能を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0079】
以下では、本第3の実施形態に係る用紙識別装置204のCPU44Aが上記プログラムを実行することにより用紙識別処理を実現する場合及び本第3の実施形態に係る用紙寸断装置205のCPU205Cが上記プログラムを実行することにより寸断実行処理を実現する場合について説明する。この場合、用紙識別処理に係る上記プログラムをROM44Bに予め記憶させておく形態及び寸断実行処理に係る上記プログラムをROM205Eに予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0080】
図11は、本第3の実施形態に係る用紙識別処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、UIパネル46によって用紙識別処理の実行開始の指示が受け付けられた、との条件)を満足した際に用紙識別装置204のCPU44Aによって実行される用紙識別処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置204の蓋206Dが閉じられている場合について説明する。
【0081】
図5のステップ300では、人感センサ202から出力された人感信号の受信待ちを行った後、ステップ302に移行し、用紙寸断装置205のスタートスイッチ205Bに対する操作を無効化することを指示する無効化指示情報を用紙寸断装置205に送信する。次のステップ304では、機密用紙Pが含まれていないか確認することを利用者に促すメッセージ(一例として「シュレッド対象の用紙の中に機密用紙は含まれていませんか?」とのメッセージ)をUIパネル46に表示することによって機密用紙Pの寸断が回避されるように警告を行う。
【0082】
次のステップ306では、検出コイルユニット26による検出動作を開始させるべく信号処理部42の稼動を開始するように制御すると共に、励磁コイル24への励磁電流の供給を開始するように励磁電流供給部40を制御する。次のステップ308では、検出コイルユニット26にパルス電流が流れたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ310に移行し、機密用紙P(磁性体M)が検出されたことを示す第1検出信号を用紙寸断装置205に送信すると共に、機密用紙Pの通過が検出されたことを利用者に報知すべく報知部210を作動させた後、ステップ318に移行する。なお、ここでは、報知部210は、予め定められた時間(一例として5秒間)報知を行う。
【0083】
一方、ステップ308において否定判定となった場合にはステップ312に移行し、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが変化したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ308に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ314に移行し、非機密用紙Pが検出されたことを示す第2検出信号を用紙寸断装置205に送信した後、ステップ316に移行する。
【0084】
ステップ316では、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが元のレベル(変化する前のレベル)に戻ったか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ314に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ318に移行する。
【0085】
ステップ318では、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ310の処理の実行が終了してから又は上記ステップ316において肯定判定となってから予め定められた時間(例えば30秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ308に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ320に移行し、上記ステップ306の処理によって開始した信号処理部42の稼動及び励磁コイル24への励磁電流の供給を停止するように制御し、その後に本用紙識別処理プログラムを終了する。本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0086】
図12は、本第3の実施形態に係る寸断実行処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、用紙寸断装置205の主電源が投入された、との条件)を満足した際に用紙寸断装置205のCPU205Cによって実行される寸断実行処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置204の蓋206Dが閉じられている場合について説明する。
【0087】
図12のステップ350では、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ302の処理によって送信された無効化指示情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ352に移行する。ステップ352では、上記ステップ350の処理によって受信された無効化指示情報を二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に記憶した後、ステップ354に移行する。
【0088】
ステップ354では、スタートスイッチ205Bから出力される寸断開始指示信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ356に移行し、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に無効化指示情報が記憶されていないか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ358に移行する。
【0089】
ステップ358では、寸断実行部205による用紙Pの寸断を開始させるべく寸断実行部205の稼動を開始するように制御し、その後にステップ360に移行し、用紙Pの寸断を終了するタイミングが到来するまで待機した後、次のステップ362にて、上記ステップ358の処理によって開始した寸断実行部205の稼動を停止するように制御し、その後に本寸断実行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ360で用いられる「用紙Pの寸断を終了するタイミング」とは、例えば、用紙Pの寸断を終了する指示がUIパネル205Gによって受け付けられたというタイミングや上記ステップ358の処理の実行が終了しかつ用紙Pが用紙取込部に取り込まれていなくなってから予め定められた時間(例えば30秒)経過したというタイミングが挙げられる。
【0090】
一方、ステップ350の処理において否定判定となった場合にはステップ354に移行し、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ310の処理によって送信された第1検出信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ366に移行し、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ314の処理によって送信された第2検出信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ368に移行する。ステップ368では、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に無効化指示情報が記憶されているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ354に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ370に移行する。
【0091】
ステップ370では、機密用紙Pが用紙取込送出部206の案内通路206Bに滞留していることを利用者に報知すべく報知部205Jを作動させた後、ステップ372に移行する。ステップ372では、無効化指示情報が二次記憶部205Fから消去するための条件として予め定められた条件を満足するまで待機した後、ステップ374に移行し、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域から無効化指示情報を消去し、その後にステップ354に移行する。なお、上記ステップ372の処理で用いられる「予め定められた条件」とは、例えば、蓋206Dを開放して案内通路206Bから機密用紙Pを取り出したことを示す情報がUIパネル205Gによって受け付けられたとの条件が挙げられる。また、蓋206Dが開放されて再度閉められるという一連の操作が行われたか否かを示す情報を受信したとの条件であっても良い。但し、この場合、例えば蓋206Dの開閉動作を検出するセンサを設ける必要がある。
【0092】
一方、ステップ364の処理において肯定判定となった場合にはステップ370に移行する。また、ステップ366の処理において否定判定となった場合にはステップ376に移行し、エラー処理を実行する条件として予め定められた条件(本寸断実行処理プログラムを開始してから予め定められた時間が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ354に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ378に移行し、エラー処理を実行し、その後に本寸断実行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ378で実行される「エラー処理」とは、例えば、非機密用紙Pを用紙識別装置204に投入することを促すメッセージをUIパネル205Gに表示するとの処理や、予め定められた時間(一例として10秒間)表示するとの処理、現時点で用紙取込送出部206の案内通路206Bに用紙Pが存在していないことを通知するメッセージをUIパネル205Gに予め定められた時間(一例として10秒間)表示するとの処理が挙げられる。
【0093】
なお、上記第3の実施形態では、人感センサ202を用紙寸断装置205の周囲に配置した場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば上記第1の実施形態で説明した画像処理装置18の周囲に配置して用いても良い。この場合、人感センサ202によって利用者が検出された場合に画像処理機能の実行指示を無効化すべく無効化情報を二次記憶部56の予め定められた記憶領域に記憶し、無効化情報を二次記憶部56の予め定められた記憶領域から消去する条件として予め定められた条件(例えば第2検出信号を受信したとの条件)を満足した場合に限り、二次記憶部56の予め定められた記憶領域から無効化情報を消去して画像処理機能の実行指示の無効化が解除するように画像処理システム10を構成すれば良い。
【0094】
また、上記第3の実施形態では、機密用紙Pが案内通路206Bに滞留している場合にスタートスイッチ205Bを無効化することにより機密用紙Pの誤寸断を防止する場合の形態例を挙げて説明したが、機密用紙Pの誤寸断をより一層確実に防止する一例として、例えば図13に示すようにスタートスイッチ205Bの四方を取り囲む囲い部207を設けると共に、スタートスイッチ205Bを外部に露出する開放位置とスタートスイッチ205Bを囲い部207に閉じ込める遮蔽位置とでスライド移動自在なシャッタ209を設けるようにしても良い。この場合、無効化指示情報が二次記憶部205Fに記憶されている場合にシャッタ209を遮蔽位置に位置させ、無効化指示情報が二次記憶部205Fから消去された場合にシャッタ209を遮蔽位置に戻す条件として予め定められた条件が満足されるまで開放位置に位置させてスタートスイッチ205Bを囲い部207から外部に露呈させるという形態例が挙げられる。
【0095】
また、上記第3の実施形態では、認証機能を適用しない場合の形態例を挙げて説明したが、認証機能を適用しても良いことは言うまでもない。また、認証機能で用いられる利用者識別情報をログとして二次記憶部205Fに記憶しておき、誰が機密用紙Pを寸断しようとしたかが後に特定されるようにしても良い。
【0096】
また、上記第3の実施形態では、機密用紙Pと非機密用紙Pとの送り出し先を変える構成としなかったが、上記第1及び第2の実施形態で説明したように用紙仕分け装置30を用紙寸断システム200の用紙識別装置204に適用しても良い。この場合、用紙仕分け装置30を適用しない場合に比べ、機密用紙Pがシュレッド対象から容易に除外される。
【0097】
上記各実施形態では、フォトセンサ28を用いた例を挙げて説明したが、これに限らず、磁性体Mの検出に頼らずに用紙Pそのものが有する特性を利用して用紙Pを検出する検出手段であれば良い。用紙Pそのものが有する特性としては、例えば水分や塩分、糖分、静電気量、電気的な絶縁性能などが挙げられ、この場合、これらの物理量を検出するセンサを用いれば良い。
【符号の説明】
【0098】
10 画像処理システム
16 用紙識別装置
20 読取部
22A,206A 挿入口
22B,206B 案内通路
24 励磁コイル
26 検出コイルユニット
32 制御部
200 用紙寸断システム
205 用紙寸断装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検知領域に交番磁界を発生する励磁手段と、交番磁界と被検知物体との位置関係を変化させるために被検知物体を所持する所持者の位置を検知領域内で強制的に移動させる移動手段と、交番磁界の印加により被検知物体に付与された磁性体から発生される信号に基づき被検知物体を検知する検知手段と、を備える物体検知装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、励磁・検知コイルを含んで構成されたパネル型アンテナを2枚組み合わせて検知空間を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46904号公報
【特許文献2】米国特許4994939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、機密用紙と非機密用紙とを簡便かつ高精度に識別する、用紙識別装置、画像読取システム、用紙寸断システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の用紙識別装置を、挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルと、前記励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段と、用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段と、を含んで構成した。
【0007】
請求項1に記載の用紙識別装置を、請求項2に記載の発明のように、前記第1出力手段による検出対象領域と前記第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上としたものとした。
【0008】
請求項3に記載の用紙識別装置を、請求項1又は請求項2に記載の発明のように、前記通路を、用紙が自重で該通路の終端部に向けて滑り落ちるように前記第1出力手段による検出対象領域から前記第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成したものとした。
【0009】
請求項4に記載の画像読取システムを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙が有する画像を読み取る画像読取装置と、を含んで構成した。
【0010】
請求項5に記載の用紙寸断システムを、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙を寸断する用紙寸断装置と、を含んで構成した。
【0011】
請求項6に記載のプログラムを、挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段、及び用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項4、請求項5及び請求項6に係る発明によれば、磁性体が設けられた用紙が通路の励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された励磁コイルによる磁性体の磁化の変化を検出し、磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力し、用紙が通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、用紙が予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する構成を有しない場合に比べ、機密用紙と非機密用紙とが簡便かつ高精度に識別される、という効果が得られる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、第1出力手段による検出対象領域と第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上としない場合に比べ、機密用紙と非機密用紙とがより一層高精度に識別される、という効果が得られる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、通路を、用紙が自重で通路の終端部に向けて滑り落ちるように第1出力手段による検出対象領域から第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成した構成を有しない場合に比べ、装置が小型化される、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理システム及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像処理システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理システムの電気系の要部構成の一例を示す構成図である。
【図4】大バルクハウゼン効果の説明に供する波形図である。
【図5】第1の実施形態に係る用紙識別処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る用紙識別装置のUIパネルに表示された画像処理機能指定画面の一例を示す模式図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像処理システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図8】第3の実施形態に係る用紙寸断システム及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。
【図9】第3の実施形態に係る用紙寸断システムの要部構成の一例を示す構成図である。
【図10】第3の実施形態に係る画像処理システムの電気系の要部構成の一例を示す構成図である。
【図11】第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る寸断実行処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態に係る用紙寸断装置の変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例を説明する。なお、本明細書において「用紙」とは、植物性の繊維を主材料として製された紙は勿論のこと、画像が記録されるOHP(overhead projector)シートやフィルムなどの被記録媒体も意味する。
【0017】
[第1の実施形態]
【0018】
図1は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像処理システム10は、予め定められた読み取り位置に置かれた用紙から画像を読み取り、読み取った画像を示す画像情報を取得するスキャン機能、電子写真方式で用紙に画像を記録する画像記録機能、及びファクシミリ電文の送受信を行うファクリミリ(以下、「FAX」と言う。)機能と、を備えている。なお、以下、スキャン機能、画像記録機能及びFAX機能を区別せずに用いる場合、「画像処理機能」と称する。
【0019】
また、画像処理システム10は、特定の利用者に対して画像処理機能によるサービスを提供するために利用者の認証を行う認証機能も備えている。この認証機能を実現するために、画像処理システム10にはカードリーダ12が通信ケーブル(図示省略)を介して電気的に接続されている。カードリーダ12は、画像処理システム10の正規の利用者として予め登録されている利用者を示す利用者識別情報が予め記憶されたICカード14から利用者識別情報を読み取るためのものである。なお、本第1の実施形態では、カードリーダ12としてICカードリーダを用いているが、これに限らず、ICカード14でなく磁気カードが使用されるときには、磁気カードリーダが用いられ、ICカード14としてRFID(Radio Frequency Identification System;電波方式認識システム)タグが埋め込まれたカードが使用されるときにはそのRFIDタグと無線で通信を行うRFIDリーダが用いられる。
【0020】
図2は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10の要部構成の一例を示す構成図である。図2に示すように、画像処理システム10は、用紙識別装置16及び画像処理装置18を含んで構成されている。用紙識別装置16は、機密文書が記録された用紙Pであるか否かを識別する装置である。また、用紙識別装置16は、機密文書が記録された用紙P(以下、「機密用紙P」と言う。)と機密文書が記録されていない用紙P(以下、「非機密用紙P」と言う。)とを識別して、非機密用紙Pを画像処理装置18に送り出し、機密用紙Pを排紙容器17に排出する仕分け機能を有している。なお、ここで言う「機密文書」とは、例えば会社外に漏洩してはいけないものとして会社内で定められた文書であって、他の文書に比べて秘匿性が高い文書のことを意味する。
【0021】
画像処理装置18は、画像処理機能を備えており、スキャン機能によって得た画像情報に基づいて画像記録機能及びFAX機能を働かせる。このスキャン機能を実現するために画像処理装置18は、画像読取部20と、画像読取部20による画像の読取対象となる用紙Pが読取面20Aに面するように予め定められた読み取り位置に配置される読取領域18Aと、を備えている。画像読取部20は、撮像素子を備えた読取面20Aを有しており、予め定められた読み取り位置に配置された用紙Pに対して光を照射して用紙Pで反射した反射光を読取面20Aの撮像素子により光電変換して電気信号を得ることによって用紙P上の画像を読み取る。
【0022】
この読取領域18Aには、用紙識別装置16から非機密用紙Pが送り込まれる。用紙識別装置16から読取領域18Aに送り込まれた非機密用紙Pは読取領域18Aを通過し、読取領域18Aを通過する間に非機密用紙Pの画像が画像読取部20によって読み取られる。
【0023】
用紙識別装置16は、外部から用紙Pを取り込んで画像処理装置18に送り出す用紙取込送出部22を備えている。用紙取込送出部22は、外部から用紙Pが挿入される挿入口22Aと、挿入口22Aに連通しており、挿入口22Aに挿入された用紙Pを画像処理装置18に案内する案内通路22Bと、案内通路22B及び画像処理装置18の読取領域18Aに連通しており、案内通路22Bによって案内された用紙Pを読取領域18Aに排出する排出口22Cと、を含んで構成されている。また、案内通路22Bは、挿入口22Aを起点にして、案内通路22Bの終端部としての排出口22Cにかけて下り傾斜している。従って、挿入口22Aに挿入された用紙Pは自重で案内通路22Bを排出口22Cに向かって滑り落ち、排出口22Cから読取領域18Aに排出され、読取領域18Aを予め定められた速度で通過する。
【0024】
本第1の実施形態に係る画像処理システム10では、機密用紙Pとして、大バルクハウゼン効果を有する磁性体Mが刷り込まれた用紙を用いており、この機密用紙Pに含まれる磁性体Mを検出するために、交番磁界を発生する励磁コイル24及び外部からの磁界によって誘導されて電流が流れる検出コイルユニット26を備えている。
【0025】
励磁コイル24は、案内通路22Bの外周面に取り付けられており、案内通路22Bの挿入口22Aよりも下流側であって案内通路22Bの中央部よりも上流側の外周面に金属線が巻き回されることによってコイルの内周側空間に案内通路22Bが位置するように構成されている。
【0026】
また、案内通路22Bには、透過型のフォトセンサ28が設けられており、このフォトセンサ28は、機密用紙P及び非機密用紙Pを区別することなく案内通路22Bを通過する物体(例えば用紙P)を検出する。フォトセンサ28は、励磁コイル24よりも下流側かつ排出口22Cよりも上流側であって、励磁コイル24による磁性体Mの検出対象領域の終端とフォトセンサ28による検出対象領域の始端との距離が予め定められたサイズの用紙Pの長手方向(例えばA2用紙の長手方向)の長さ以上となる位置に配置されている。従って、磁性体Mが機密用紙Pの如何なる位置に存在していても磁性体Mが検出されないうちにフォトセンサ28によって機密用紙Pが検出されるということがなくなる。但し、この場合、用紙識別装置16の識別対象となる有効なサイズの用紙Pが挿入口22Aに挿入されたという前提が存在する。つまり、有効なサイズとして予め定められたサイズ以外のサイズ(想定外のサイズ)の用紙Pを対象としていない。
【0027】
用紙識別装置16は、非機密用紙Pを画像処理装置18に送り出し、機密用紙Pを排紙容器17に排出する用紙仕分け装置30を備えており、この用紙仕分け装置30によって前述の仕分け機能が実現される。用紙仕分け装置30は、プレート30A、ヒンジ30B、モータ30C及びモータドライバ30Dを含んで構成されている。プレート30Aは、案内通路22Bの底板の一部を構成しており、フォトセンサ28よりも下流側に配置されている。なお、プレート30Aの幅方向(案内通路22B内の用紙Pの流れる方向に対して略垂直な水平方向)の長さは、用紙Pを識別するのに有効なサイズとして予め定められたサイズの用紙Pの幅方向の長さを超える長さとされている。
【0028】
ヒンジ30Bは、プレート30Aのフォトセンサ28側の一端部に設けられ、プレート30Aを案内通路22Bにおける用紙Pの流路を外部に開放する位置(開放位置)と案内通路22Bにおける用紙Pの流路を外部から遮蔽する位置(遮蔽位置)とで開閉自在とされるように回転する。モータ30Cは、ヒンジ20Bの回転軸に連結されており、この回転軸に回転駆動力を伝達することによってプレート30Aを開放位置と遮蔽位置とで回転させる駆動源である。モータドライバ30Dは、モータ30Cの駆動を制御する駆動制御回路である。
【0029】
また、用紙識別装置16は、用紙識別装置16全体の動作を制御する制御部32を備えている。制御部32は、第1出力手段及び第2出力手段として機能するものであり、検出コイルユニット26、フォトセンサ28及びモータドライバ30に接続されている。従って、制御部32は、検出コイルユニット26での検出結果の把握と、フォトセンサ28の検出結果の把握と、モータドライバ30Dを介したモータ30Cの駆動の制御と、を各々行う。
【0030】
更に、用紙識別装置16は、プレート30Aが開放位置に配置されたときのプレート30Aの先端(ヒンジ30Bが設けられた固定端側とは反対側の自由端側)の先には、案内通路22Aから用紙仕分け装置30によって機密用紙Pとして仕分けられた用紙Pを収容する排紙容器17が配置されている。従って、プレート30Aが開放位置に配置されているときに案内通路22Aの上流側から滑り落ちてきた用紙Pは、プレート30Aを介して案内通路22Aから脱落すると、排紙容器17に収容される。
【0031】
図3は、本第1の実施形態に係る画像処理システム10の電気的な要部構成の一例を示す構成図である。図3に示すように、用紙識別装置16は、励磁コイル24に磁界を発生させるための励磁電流を供給する励磁電流供給部40と、検出コイルユニット26に誘導されたアナログの電気信号をデジタル情報に変換する信号処理部42と、システムバスBUS1を介して信号処理部42に接続されており、信号処理部42によって得られたデジタル情報に基づいて磁性体Mの通過を検出するコントローラ44と、を備えている。なお、前述の制御部32は、信号処理部42及びコントローラ44を含んで構成されている。
【0032】
検出コイルユニット26は、検出コイル26A,26Bを含んで構成されており、励磁コイル24に近接して配置される。検出コイル26A,26Bは、平面上で隣り合い、かつ巻線方向が逆になるように配置されている。そして、検出コイル26Aの一端部は信号処理部42に接続され、検出コイル26Aの他端部は検出コイル26Bの一端部に接続されている。また、検出コイル26Bの他端部は信号処理部42に接続されている。
【0033】
一方、コントローラ44は、マイクロコンピュータによって構成され、CPU(中央処理装置)44A、ROM(Read Only Memory)44B、RAM(Random Access Memory)44C、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の二次記憶部44Dを備えており、用紙識別装置16全体の動作を制御する。また、コントローラ44は、励磁電流供給部40に接続されており、励磁コイル24に対して交流の励磁電流の供給を行う。
【0034】
励磁コイル24は、励磁電流供給部40から励磁電流が供給されることにより励磁され、正弦波のように磁界が変化する交番磁界を発生する。そして、検出コイル26A,26Bでは、励磁コイル24で発生された交番磁界によって交流電流が誘導されると共に、大バルクハウゼン効果を有する磁性体を含んだタグが上記交番磁界内に存在する場合は、磁化反転によってパルス電流が生じる。
【0035】
図4(A),(B)は、大バルクハウゼン効果を説明するための図である。
【0036】
大バルクハウゼン効果は、図4(A)に示すB−H特性、つまり、ヒステリシスループがほぼ長方形で、保磁力(Hc)が比較的小さな材料、例えば、Co−Fe−Ni−B−Siからなるアモルファス磁性材料を交番磁界中においた際に、急峻な磁化反転が起きる現象である。大バルクハウゼン効果を有する磁性体は、正負それぞれ予め定められた強度よりも大きな強度の磁界が作用した際に磁化反転する。このため、励磁コイル24に励磁電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界中に磁性体を置くと、磁化反転時に、磁性体の近傍に配置された検出コイル26A,26Bにパルス状の電流が流れる。
【0037】
例えば、励磁コイル24により図4(B)の上段に示す交番磁界が発生した場合、検出コイル26A,26Bには、一例として図4(B)の下段に示すパルス電流が流れる。ただし、検出コイル26A,26Bの電流には、このパルス電流だけでなく、交番磁界によって誘導される交流電流も含まれている。そこで、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16では、この検出コイル26A,26Bに誘導される交流電流を相殺するために、検出コイル26A,26Bを巻線方向が逆になるように接続している。
【0038】
磁性体Mの材料(磁性材料)としては、一般には永久磁石、例えば希土類系のネオジュウム(Nd)−鉄(Fe)−ボロン(B)を主成分としたもの、サマリウム(Sm)−コバルト(Co)を主成分としたもの、アルニコ系のアルミ(Al)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)を主成分としたもの、フェライト系のバリュウム(Ba)またはストロンチウム(Sr)と酸化鉄(Fe2O3)を主成分としたものや、その他に軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料等がある。上記大バルクハウゼン効果を起こす磁性材料としては、基本組成がFe−Co−SiやCo−FeNi系であるアモルファス磁性材料を用いることが好ましい。
【0039】
磁性材料の形状は、大バルクハウゼン効果を起こすのに適した形状であれば特に限定されない。ただし、大バルクハウゼン効果を起こすには、断面積に対応する長さが必要となることから、線状(ワイヤ状)や帯状であることが好ましく、ワイヤ状であることがより好ましい。
【0040】
磁性材料がワイヤ状である場合には、大バルクハウゼン効果を起こすために必要な最小直径として10μm以上であることが好ましい。また、最大直径としては特に限定はされないが、例えば、記録媒体(用紙)に磁性材料を漉き込んで一体とする場合、記録媒体の表面に磁性材料が露出することを抑制するために、その直径は記録媒体の厚みに依存し、例えば90μm前後の厚さの記録媒体の場合には、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0041】
磁性材料の長さとしては、大バルクハウゼン効果を起こすために必要な最小長さとして5mm以上が好ましい。アモルファス磁性材料の最大長については、内部に含有されたときに、記録媒体から露出されない程度の長さであればよく、特に限定はされないが、430mm以下であることが好ましい。
【0042】
一方、図3に示すように、信号処理部42は、両端子間の電圧(検出コイル26Aの一端部および検出コイル26Bの他端部からそれぞれ出力された信号電圧)の差動を増幅して出力する差動増幅器42Aと、差動増幅器42Aから出力された信号を予め定められた増幅率で増幅する主増幅器42Bと、主増幅器42Bから出力された信号の波形を整形する波形整形回路42Cと、波形整形回路42Cで波形整形された信号をデジタル情報に変換するアナログ/デジタルコンバータ(以下、「ADC」という。)42Dと、を備えている。なお、信号処理部42は、波形整形回路42CとADC42Dとの間に、波形整形回路42Cによって得られた信号から磁性体の磁化反転によって生じるパルス電流に対応する予め定められた帯域の信号を抽出して出力するバンドパスフィルタを更に備えるようにしても良い。また、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16では、主増幅器42Bとして反転増幅器を適用しているが、これに限らず、非反転増幅器等の他の増幅器を適用しても良い。
【0043】
また、用紙識別装置16は、UI(ユーザ・インタフェース)パネル46及び外部インタフェース48を含んで構成されている。UIパネル46は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルを触れることによって各種情報や指示を受け付ける。また、外部インタフェース48は、通信ケーブルなどの通信手段を介して画像処理装置18に接続され、画像処理装置18から各種情報を受信すると共に、画像処理装置18に各種情報を送信することによって画像処理装置18との通信を制御する。
【0044】
カードリーダ12、フォトセンサ28、モータドライバ30D、UIパネル46及び外部インタフェース48は、システムバスBUS1を介して相互に接続されている。従って、コントローラ44は、カードリーダ12によるICカード14の読み取り制御と、フォトセンサ28の作動の制御と、フォトセンサ28の検出結果の取得(出力される信号レベルの変化の把握)と、モータドライバ30Dを介したモータ30Cの作動の制御と、UIパネル46への各種情報の表示と、UIパネル46に対するユーザの操作指示内容の把握と、画像処理装置18からの外部インタフェース48を介した各種情報の受信と、画像処理装置18への外部インタフェース48を介した各種情報の送信と、を各々行う。
【0045】
一方、画像処理装置18は、CPU50、ROM52、RAM54、二次記憶部56、UIパネル58、外部インタフェース60、画像記録部62、FAX64及び報知部66を含んで構成されている。CPU50は、画像処理装置18全体の作動を制御するものである。ROM52は、画像処理装置18の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM54は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。二次記憶部56は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するもの(一例としてハードディスク装置)である。UIパネル58は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより各種情報や指示を受け付ける。外部インタフェース60は、前述の通信ケーブルなどの通信手段を介して用紙識別装置16に接続され、用紙識別装置16から各種情報を受信すると共に、用紙識別装置16に各種情報を送信することによって用紙識別装置16との通信を制御する。
【0046】
画像記録部62は、画像情報に応じた画像を用紙Pに記録するものであり、所謂プリンタに相当するものである。また、FAXは、画像情報に応じた画像を送信すると共に画像情報を受信するものである。従って、前述の画像記録機能は、画像記録部26が作動することによって実現され、前述のFAX機能は、FAXが作動することによって実現される。
【0047】
また、報知部66は、用紙識別装置16の案内通路22Bにて非機密用紙Pの通過が検出された場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に非機密用紙Pの通過を報知する。
【0048】
画像読取部20、CPU50、ROM52、RAM54、二次記憶部56、外部インタフェース、画像記録部62、FAX64及び報知部66はシステムバスBUS2を介して相互に接続されている。従って、CPU50は、ROM58、RAM60、二次記憶部56へのアクセスと、UIパネル58への各種情報の表示と、UIパネル58に対するユーザの操作指示内容の把握と、用紙識別装置16からの外部インタフェース60を介した各種情報の受信と、用紙識別装置16への外部インタフェース60を介した各種情報の送信と、画像読取部20によって取得された画像情報の取得と、画像読取部20の作動の制御と、画像記録部62の作動の制御と、画像記録部62の動作状況の把握と、FAX64の作動の制御と、FAX64によって受信された画像情報の取得と、報知部66の作動の制御と、を各々行う。
【0049】
以上のように構成された画像処理システム10では、画像処理機能を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0050】
以下では、本第1の実施形態に係る用紙識別装置16のCPU44Aが上記プログラムを実行することにより用紙識別処理を実現する場合について説明する。この場合、上記プログラムをROM44Bに予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0051】
図5は、用紙識別処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、UIパネル46によって用紙識別処理の実行開始の指示が受け付けられた、との条件)を満足した際に用紙識別装置16のCPU44Aによって実行される用紙識別処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置16のプレート30Aが遮蔽位置に配置されている場合について説明する。
【0052】
図5のステップ100では、カードリーダ12による利用者識別情報の読み取り(受信)待ちを行った後、ステップ102に移行し、上記ステップ100の処理によって受信された利用者識別情報が予め登録された利用者識別情報であるか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ104に移行してエラー処理を実行した後、ステップ100に戻る。上記ステップ104の「エラー処理」の一例としては、予め登録された利用者識別情報でないことを示すメッセージ(一例として「あなたは本システムの利用者として登録されていません。」とのメッセージ)を予め定められた時間(例えば5秒間)UIパネル46に表示する、との処理が挙げられるが、これに限らず、例えば特定色のランプを点灯するとの処理や音声による報知を行うとの処理が挙げられる。
【0053】
一方、ステップ102において肯定判定となった場合にはステップ106に移行し、画像処理装置18によって実現される画像処理機能の何れを利用するかを指定する画像処理機能指定画面をUIパネル46に表示した後、ステップ108に移行し、何れかの画像処理機能を指定したか否かを判定する。
【0054】
図6には、UIパネル46のディスプレイに表示された画像処理機能指定画面の一例が示されている。図6の示すように、画像処理機能指定画面内の上部には“利用したい機能を指定して下さい。”との画像処理機能の指定を利用者に促すメッセージが表示される。また、このメッセージの下には、画像記録機能を表す“コピー”との名称、FAX機能を表す“FAX”との名称、及び画像読取機能を表す“スキャン”との名称称が表示されると共に、画像処理機能毎にラジオ・ボタンが表示される。利用者は、例えばUIパネル46のタッチパネルに触れて何れかの項目をポインティング指定すると、ラジオ・ボタンにチェック印が付与され、チェック印が付与されたラジオ・ボタンに対応する画像処理機能が正規に指定される。図6に示す例では、“コピー”に対応するラジオ・ボタンにチェック印が付与されているので、画像読取機能が指定されている。また、画像処理機能指定画面には、“クリア”ボタンが表示されており、例えば“クリア”ボタンが利用者によってUIパネル46のタッチパネルを介してポインティング指定されると、現時点で画像処理機能が指定されている場合にその指定が解除されると共に、ラジオ・ボタンのチェック印が画面から消去される。更に、画像処理機能指定画面には、“確定”ボタンが表示されており、例えば“確定”ボタンが利用者によってUIパネル46のタッチパネルを介してポインティング指定されると、現時点で画像処理機能が指定されている場合には画像処理機能の指定が確定され、現時点で画像処理機能が指定されていない場合には予め定められた画像処理機能(デフォルト画像処理機能)の指定が確定される。画像処理機能指定画面の“確定”ボタンが例えばポインティング指定されて画像処理機能の指定が確定するとステップ108は肯定判定となってステップ110に移行する一方、画像処理機能の指定が確定しないとステップ112に移行し、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ106の処理の実行が終了してから予め定められた時間(例えば60秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ108に戻る一方、肯定判定となった場合には本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0055】
ステップ110では、上記ステップ108の処理によって指定された画像処理機能を示す機能指定情報を画像処理装置18に送信した後、ステップ113に移行する。画像処理装置18では、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報を受信すると、受信した機能指定情報により示される画像処理機能を働かせるために必要な部位を作動させる。例えば、機能指定情報がスキャン機能を示している場合には画像読取部20を作動させ、機能指定情報が画像記録機能を示している場合には画像読取部20及び画像記録部62を作動させ、機能指定情報がFAX機能を示している場合には画像読取部20及びFAX64を作動させる。
【0056】
ステップ113では、検出コイルユニット26による検出動作を開始させるべく信号処理部42の稼動を開始するように制御すると共に、励磁コイル24への励磁電流の供給を開始するように励磁電流供給部40を制御する。次のステップ114では、検出コイルユニット26にパルス電流が流れたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ116に移行し、機密用紙P(磁性体M)が検出されたことを示す第1検出信号を画像処理装置18に送信すると共にモータドライバ30Dに送信した後、ステップ126に移行する。モータドライバ30Dは、上記ステップ116の処理によって送信された第1検出信号を受信すると、プレート30Aが遮蔽位置から開放位置に回転してから再度遮蔽位置に逆回転して遮蔽位置で停止するようにモータ30Cを予め定められた時間(一例として3秒間)駆動させる。これによってプレート30Aが開放位置に配置されると、案内通路22Bのプレート30Aよりも上流側から滑り落ちてくる機密用紙Pが案内通路22BからプレートAを介して脱落し、排紙容器17に収容され、プレート30Aが開放位置から遮蔽位置に変位すると、案内通路22Bが用紙Pを画像処理装置18に案内する元の状態に復帰する。
【0057】
一方、ステップ114において否定判定となった場合にはステップ120に移行し、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが変化したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ114に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ122に移行し、非機密用紙Pが検出されたことを示す第2検出信号を画像処理装置18に送信した後、ステップ124に移行する。画像処理装置18は、上記ステップ122の処理によって送信された第2検出信号を受信すると、画像読取部20による画像の読み取りを開始させると共に、非機密用紙Pの通過が検出されたことを利用者に報知すべく報知部66を作動させる。
【0058】
ステップ124では、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが元のレベル(変化する前のレベル)に戻ったか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ122に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ126に移行する。また、上記ステップ124において肯定判定となった場合には、画像読取部20による画像の読み取りを停止すると共に報知部66による報知動作を停止する。なお、画像読取部20によって読み取られた画像を示す画像情報は、上記ステップ110の処理に応じて作動された画像処理機能で活用される。すなわち、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報がスキャン機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報は二次記憶部56の予め定められた記憶領域に記憶され、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報が画像記録機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報が画像記録部62に送られて、画像情報により示される画像が画像記録部62によって被記録媒体(例えば記録用紙)に記録され、上記ステップ110の処理によって送信された機能指定情報がFAX機能を示している場合には画像読取部20によって画像が読み取られて得られた画像情報がFAX64に送られて、画像情報を含むFAX電文がFAX64によって指定の送信先に送信される。
【0059】
ステップ126では、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ116の処理の実行が終了してから又は上記ステップ124において肯定判定となってから予め定められた時間(例えば30秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ114に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ128に移行し、上記ステップ113の処理によって開始した信号処理部42の稼動及び励磁コイル24への励磁電流の供給を停止するように制御し、その後に本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0060】
上記第1の実施形態では、利用者識別情報を利用者の認証ために用いる例を挙げて説明したが、これに限らず、機密文書Pを用紙識別装置16に投入した利用者が誰であるのかを後で把握するために、認証のために取得した利用者識別情報を例えばログ(履歴情報)として二次記憶部36に記憶しておく形態例や、そのログを必要に応じて利用者識別情報を外部装置(例えば特定の利用者が使用する端末装置)に送信するようにしても良い。
【0061】
[第2の実施形態]
【0062】
上記第1の実施形態では、用紙識別装置16の側方から用紙Pを用紙識別装置16に挿入する場合の形態例を挙げて説明したが、本第2の実施形態では、用紙識別装置16の上方から用紙Pを例えば自重で垂らした状態で用紙識別装置16に挿入する場合について説明する。なお、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と相違しない構成については相違しない符号を付してその説明を省略し、上記第1の実施形態の構成と相違する構成を説明する。
【0063】
図7は、本第2の実施形態に係る画像処理システム10Bの要部構成の一例を示す構成図である。図7に示すように、本第2の実施形態に係る画像処理システム10Bは、上記第1の実施形態に係る画像処理システム10と比べ、用紙識別装置16に代えて用紙識別装置160を適用した点が相違している。用紙識別装置160は、上記第1の実施形態に係る用紙識別装置16と比べ、用紙取込送出部22に代えて用紙取込送出部162を適用している点が相違している。用紙取込送出部162は、外部から用紙Pが挿入される挿入口162Aと、挿入口162Aに連通しており、挿入口162Aに挿入された用紙Pを画像処理装置18に案内する案内通路162Bと、案内通路162B及び画像処理装置18の読取領域18Aに連通しており、案内通路162Bによって案内された用紙Pを読取領域18Aに排出する排出口162Cと、を含んで構成されている。
【0064】
本第2の実施形態に係る案内通路162Bは、上記第1の実施形態に係る案内通路22Bと比べ、案内通路22Bが励磁コイル24による検出対象領域からフォトセンサ28による検出対象領域にかけて直線状に形成されているのに対し、励磁コイル24による検出対象領域からフォトセンサ28による検出対象領域にかけて蛇行して形成されている点が相違している。つまり、本第2の実施形態に係る案内通路162Bは、励磁コイル24による検出対象領域が含まれる上流側領域とフォトセンサ28による検出対象領域が含まれる下流側領域とに大別され、上流側領域は上記第1の実施形態に係る案内通路22Bにおいて対応する上流側領域と比べて上方に起立した状態に形成されており、下流側領域は上流側領域から滑り落ちてくる用紙Pを画像処理装置18に受け流すように、上流側領域との変曲領域から排出口162Cにかけて下り傾斜している。
【0065】
このように構成された用紙識別装置160では、用紙識別装置160の上方から挿入口162Aに用紙Pが挿入されることになるが、案内通路が挿入口から排出口にかけて略鉛直方向に直線状に形成されている場合と比べ、用紙識別装置160の鉛直方向の長さ(高さ)が低く設定されるので装置全体の小型化に寄与する。また、下流側領域を通過する用紙Pは上流側領域の通過速度よりも遅くなるので、案内通路が挿入口から排出口にかけて略鉛直方向に直線状に形成されている場合と比べ、フォトセンサ28による誤検出の発生も抑制される。更に、案内通路162Bの上流側領域は上記第1の実施形態に係る案内通路22Bの上流側領域と比べ、急傾斜した構成とされているため、挿入口162Aに挿入された用紙Pは上記第1の実施形態に係る場合に比べて自重の影響を大きく受けることになる。よって、用紙Pは上記第1の実施形態に係る場合よりも勢い良く案内通路162B内を滑落していくので、流路の途中で止まってしまうという事態の発生が抑制される。
【0066】
[第3の実施形態]
【0067】
上記第1及び第2の実施形態では、画像処理システム10(10B)を例に挙げて説明したが、本第3の実施形態では、用紙寸断システム200を例に挙げて説明する。なお、本第3の実施形態では、上記第1及び第2の実施形態と相違しない構成については相違しない符号を付してその説明を省略し、上記第1及び第2の実施形態の構成と相違する構成を説明する。
【0068】
図8は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200及びその周辺の構成の一例を示す概略構成図である。図8に示す用紙寸断システム200は、用紙Pを寸断する所謂シュレッダ機能を備えている。また、用紙寸断システム200は、機密用紙Pの誤寸断(誤廃棄)を防止するために、用紙寸断システム200に近付いてきた者を感知する人感機能も備えている。この人感機能を実現するために、用紙寸断システム200には人感センサ202が電気的に接続されている。人感センサ202は用紙寸断システム200に近付いてきた者を感知すると感知信号を出力する。なお、本第3の実施形態では、人感センサ202として、用紙寸断システム200の例えば半径1m以内の床面に敷かれている圧電マット(単数又は複数の圧電センサが埋め込まれたマット)を適用しているが、これに限らず、例えば、用紙寸断システム200に近付いた者を検出するフォトセンサであっても良い。また、用紙寸断システム200によって用紙Pの寸断を開始する際の操作行為を行うときに利用者の身体が必ず通過することが予想される位置にフォトセンサを設けるという形態例も挙げられる。このように人感センサ202は機密用紙Pの誤寸断を未然に防止するための制御を行うのに供する検出が時間的に間に合う位置に利用者の行動パターンなどを考慮して配置されていれば良い。
【0069】
図9は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200の要部構成の一例を示す構成図である。図9に示すように、用紙寸断システム200は、用紙識別装置204及び用紙寸断装置205を含んで構成されている。用紙識別装置204は、上記第2の実施形態に係る用紙識別装置160と比べ、用紙取込送出部162に代えて用紙取込送出部206を適用した点が相違している。用紙取込送出部206は、上記第2の実施形態に係る用紙取込送出部162と比べ、用紙仕分け装置30が設けられていない点及び蓋206Dが新たに設けられている点が相違しており、挿入口206A、案内通路206B及び排出口206Dの各構成は上記第2の実施形態に係る用紙取込送出部162の構成と相違しない。蓋206Dは、案内通路206Bの下流側領域の排出口206Dを形成している案内通路206Bの上壁の一部を構成しており、ヒンジHを介して案内通路206Bの上壁に回転自在に取り付けられている。また、蓋206Dの上面には取っ手Tが取り付けられており、例えば利用者はこの取っ手Tを把持して蓋206Dを上方に引き上げることによって蓋206を開放する。例えば、用紙寸断装置205に進入せずに案内通路206Bの下流側領域に用紙Pが留まっている場合、蓋206は、案内通路206Bから外部に取り出す際に手動で開放され、これによって案内通路206Bの流路が外部に露呈されて案内通路206Bの流路から用紙Pが取り出される。
【0070】
案内流路206Bは、排出口206Cが用紙寸断装置205の用紙取込口205Aに面するように配置されて用紙寸断装置205の用紙取込部(図示省略)に連通されている。用紙取込部には、案内流路206Bと用紙Pの寸断を実際に行う用紙寸断装置本体との境界部に、用紙識別装置204から滑り落ちてきた用紙Pの用紙寸断装置本体への進入を阻止するシャッタ(図示省略)が設けられている。
【0071】
用紙寸断装置205の上面にはスタートスイッチ205Bが設けられており、スタートスイッチ205Bが押圧操作されると寸断の開始を指示する寸断開始指示信号が出力される。スタートスイッチ205Bが予め定められた条件を満足した上で押圧操作されると、用紙取込部のシャッタが開放されると共にシュレッダ機能が働かされる。
【0072】
人感センサ202は、用紙寸断装置205の周辺の予め定められた領域(用紙寸断装置205を利用する上で利用者が通ることが予想される領域として予め定められた領域)に配置されており、その領域内に侵入してきた人物を検出する。また、人感センサ202は、後述の外部インタフェース212を介して制御部32に電気的に接続されているので、人感センサ202による検出結果は制御部32によって把握される。
【0073】
図10は、本第3の実施形態に係る用紙寸断システム200の電気的な要部構成の一例を示す構成図である。図10に示すように、用紙識別装置204は、上記第1の実施形態と比べ、報知部210及び外部インタフェース212が新たに設けられている点が相違している。報知部210は、用紙識別装置16の案内通路22Bにて機密用紙Pの通過が検出された場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に機密用紙Pの通過を報知する。外部インタフェース60は、前述の通信ケーブルなどの通信手段を介して人感センサ202に接続され、人感センサ202による検知結果を示す情報を受信し、受信した情報をコントローラ44に取得させるためのものである。
【0074】
用紙寸断装置205は、CPU205C、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205F、UIパネル205G、外部インタフェース205H、寸断実行部205I及び報知部205Jを含んで構成されている。CPU205Cは、用紙寸断装置205全体の作動を制御するものである。ROM205Dは、用紙寸断装置205の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等を予め記憶する記憶手段として機能するものである。RAM205Eは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。二次記憶部205Fは、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するもの(一例としてハードディスク装置)である。UIパネル205Gは、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより各種情報や指示を受け付ける。外部インタフェース205Hは、通信ケーブルなどの通信手段を介して用紙識別装置204に接続され、用紙識別装置204から各種情報を受信すると共に、用紙識別装置204に各種情報を送信することによって用紙識別装置204との通信を制御する。
【0075】
寸断実行部205Iは、前述の用紙取込部から取り込まれた用紙Pに対して複数枚のカッタを高速動作させることにより寸断を実行する。従って、用紙寸断システムのシュレッダ機能は、寸断実行部205Iが作動することによって実現される。
【0076】
また、報知部205Jは、機密用紙Pが用紙取込送出部206に滞留している場合にその旨を利用者に報知するためのものであり、例えば特定の色の警告灯を点灯することにより利用者に機密用紙Pが用紙取込送出部206に滞留していることを報知する。
【0077】
スタートスイッチ205B、CPU205C、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205F、UIパネル205G、外部インタフェース205H、寸断実行部205I及び報知部205JはシステムバスBUS3を介して相互に接続されている。従って、CPU205Cは、ROM205D、RAM205E、二次記憶部205Fへのアクセスと、UIパネル205Gへの各種情報の表示と、スタートスイッチ205B及びUIパネル205Gに対するユーザの操作指示内容の把握と、用紙識別装置204からの外部インタフェース205Hを介した各種情報の受信と、用紙識別装置204への外部インタフェース205Hを介した各種情報の送信と、寸断実行部205Iの作動の制御と、報知部205Jの作動の制御と、を各々行う。
【0078】
以上のように構成された用紙寸断システム200では、シュレッダ機能を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
【0079】
以下では、本第3の実施形態に係る用紙識別装置204のCPU44Aが上記プログラムを実行することにより用紙識別処理を実現する場合及び本第3の実施形態に係る用紙寸断装置205のCPU205Cが上記プログラムを実行することにより寸断実行処理を実現する場合について説明する。この場合、用紙識別処理に係る上記プログラムをROM44Bに予め記憶させておく形態及び寸断実行処理に係る上記プログラムをROM205Eに予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
【0080】
図11は、本第3の実施形態に係る用紙識別処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、UIパネル46によって用紙識別処理の実行開始の指示が受け付けられた、との条件)を満足した際に用紙識別装置204のCPU44Aによって実行される用紙識別処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置204の蓋206Dが閉じられている場合について説明する。
【0081】
図5のステップ300では、人感センサ202から出力された人感信号の受信待ちを行った後、ステップ302に移行し、用紙寸断装置205のスタートスイッチ205Bに対する操作を無効化することを指示する無効化指示情報を用紙寸断装置205に送信する。次のステップ304では、機密用紙Pが含まれていないか確認することを利用者に促すメッセージ(一例として「シュレッド対象の用紙の中に機密用紙は含まれていませんか?」とのメッセージ)をUIパネル46に表示することによって機密用紙Pの寸断が回避されるように警告を行う。
【0082】
次のステップ306では、検出コイルユニット26による検出動作を開始させるべく信号処理部42の稼動を開始するように制御すると共に、励磁コイル24への励磁電流の供給を開始するように励磁電流供給部40を制御する。次のステップ308では、検出コイルユニット26にパルス電流が流れたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ310に移行し、機密用紙P(磁性体M)が検出されたことを示す第1検出信号を用紙寸断装置205に送信すると共に、機密用紙Pの通過が検出されたことを利用者に報知すべく報知部210を作動させた後、ステップ318に移行する。なお、ここでは、報知部210は、予め定められた時間(一例として5秒間)報知を行う。
【0083】
一方、ステップ308において否定判定となった場合にはステップ312に移行し、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが変化したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ308に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ314に移行し、非機密用紙Pが検出されたことを示す第2検出信号を用紙寸断装置205に送信した後、ステップ316に移行する。
【0084】
ステップ316では、フォトセンサ28から出力される信号のレベルが元のレベル(変化する前のレベル)に戻ったか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ314に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ318に移行する。
【0085】
ステップ318では、本用紙識別処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、上記ステップ310の処理の実行が終了してから又は上記ステップ316において肯定判定となってから予め定められた時間(例えば30秒)が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ308に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ320に移行し、上記ステップ306の処理によって開始した信号処理部42の稼動及び励磁コイル24への励磁電流の供給を停止するように制御し、その後に本用紙識別処理プログラムを終了する。本用紙識別処理プログラムを終了する。
【0086】
図12は、本第3の実施形態に係る寸断実行処理の実行を開始する条件として予め定められた条件(例えば、用紙寸断装置205の主電源が投入された、との条件)を満足した際に用紙寸断装置205のCPU205Cによって実行される寸断実行処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、用紙識別装置204の蓋206Dが閉じられている場合について説明する。
【0087】
図12のステップ350では、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ302の処理によって送信された無効化指示情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ352に移行する。ステップ352では、上記ステップ350の処理によって受信された無効化指示情報を二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に記憶した後、ステップ354に移行する。
【0088】
ステップ354では、スタートスイッチ205Bから出力される寸断開始指示信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ356に移行し、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に無効化指示情報が記憶されていないか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ358に移行する。
【0089】
ステップ358では、寸断実行部205による用紙Pの寸断を開始させるべく寸断実行部205の稼動を開始するように制御し、その後にステップ360に移行し、用紙Pの寸断を終了するタイミングが到来するまで待機した後、次のステップ362にて、上記ステップ358の処理によって開始した寸断実行部205の稼動を停止するように制御し、その後に本寸断実行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ360で用いられる「用紙Pの寸断を終了するタイミング」とは、例えば、用紙Pの寸断を終了する指示がUIパネル205Gによって受け付けられたというタイミングや上記ステップ358の処理の実行が終了しかつ用紙Pが用紙取込部に取り込まれていなくなってから予め定められた時間(例えば30秒)経過したというタイミングが挙げられる。
【0090】
一方、ステップ350の処理において否定判定となった場合にはステップ354に移行し、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ310の処理によって送信された第1検出信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ366に移行し、本第3の実施形態に係る用紙識別処理プログラムのステップ314の処理によって送信された第2検出信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ368に移行する。ステップ368では、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域に無効化指示情報が記憶されているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ354に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ370に移行する。
【0091】
ステップ370では、機密用紙Pが用紙取込送出部206の案内通路206Bに滞留していることを利用者に報知すべく報知部205Jを作動させた後、ステップ372に移行する。ステップ372では、無効化指示情報が二次記憶部205Fから消去するための条件として予め定められた条件を満足するまで待機した後、ステップ374に移行し、二次記憶部205Fの予め定められた記憶領域から無効化指示情報を消去し、その後にステップ354に移行する。なお、上記ステップ372の処理で用いられる「予め定められた条件」とは、例えば、蓋206Dを開放して案内通路206Bから機密用紙Pを取り出したことを示す情報がUIパネル205Gによって受け付けられたとの条件が挙げられる。また、蓋206Dが開放されて再度閉められるという一連の操作が行われたか否かを示す情報を受信したとの条件であっても良い。但し、この場合、例えば蓋206Dの開閉動作を検出するセンサを設ける必要がある。
【0092】
一方、ステップ364の処理において肯定判定となった場合にはステップ370に移行する。また、ステップ366の処理において否定判定となった場合にはステップ376に移行し、エラー処理を実行する条件として予め定められた条件(本寸断実行処理プログラムを開始してから予め定められた時間が経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ354に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ378に移行し、エラー処理を実行し、その後に本寸断実行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ378で実行される「エラー処理」とは、例えば、非機密用紙Pを用紙識別装置204に投入することを促すメッセージをUIパネル205Gに表示するとの処理や、予め定められた時間(一例として10秒間)表示するとの処理、現時点で用紙取込送出部206の案内通路206Bに用紙Pが存在していないことを通知するメッセージをUIパネル205Gに予め定められた時間(一例として10秒間)表示するとの処理が挙げられる。
【0093】
なお、上記第3の実施形態では、人感センサ202を用紙寸断装置205の周囲に配置した場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば上記第1の実施形態で説明した画像処理装置18の周囲に配置して用いても良い。この場合、人感センサ202によって利用者が検出された場合に画像処理機能の実行指示を無効化すべく無効化情報を二次記憶部56の予め定められた記憶領域に記憶し、無効化情報を二次記憶部56の予め定められた記憶領域から消去する条件として予め定められた条件(例えば第2検出信号を受信したとの条件)を満足した場合に限り、二次記憶部56の予め定められた記憶領域から無効化情報を消去して画像処理機能の実行指示の無効化が解除するように画像処理システム10を構成すれば良い。
【0094】
また、上記第3の実施形態では、機密用紙Pが案内通路206Bに滞留している場合にスタートスイッチ205Bを無効化することにより機密用紙Pの誤寸断を防止する場合の形態例を挙げて説明したが、機密用紙Pの誤寸断をより一層確実に防止する一例として、例えば図13に示すようにスタートスイッチ205Bの四方を取り囲む囲い部207を設けると共に、スタートスイッチ205Bを外部に露出する開放位置とスタートスイッチ205Bを囲い部207に閉じ込める遮蔽位置とでスライド移動自在なシャッタ209を設けるようにしても良い。この場合、無効化指示情報が二次記憶部205Fに記憶されている場合にシャッタ209を遮蔽位置に位置させ、無効化指示情報が二次記憶部205Fから消去された場合にシャッタ209を遮蔽位置に戻す条件として予め定められた条件が満足されるまで開放位置に位置させてスタートスイッチ205Bを囲い部207から外部に露呈させるという形態例が挙げられる。
【0095】
また、上記第3の実施形態では、認証機能を適用しない場合の形態例を挙げて説明したが、認証機能を適用しても良いことは言うまでもない。また、認証機能で用いられる利用者識別情報をログとして二次記憶部205Fに記憶しておき、誰が機密用紙Pを寸断しようとしたかが後に特定されるようにしても良い。
【0096】
また、上記第3の実施形態では、機密用紙Pと非機密用紙Pとの送り出し先を変える構成としなかったが、上記第1及び第2の実施形態で説明したように用紙仕分け装置30を用紙寸断システム200の用紙識別装置204に適用しても良い。この場合、用紙仕分け装置30を適用しない場合に比べ、機密用紙Pがシュレッド対象から容易に除外される。
【0097】
上記各実施形態では、フォトセンサ28を用いた例を挙げて説明したが、これに限らず、磁性体Mの検出に頼らずに用紙Pそのものが有する特性を利用して用紙Pを検出する検出手段であれば良い。用紙Pそのものが有する特性としては、例えば水分や塩分、糖分、静電気量、電気的な絶縁性能などが挙げられ、この場合、これらの物理量を検出するセンサを用いれば良い。
【符号の説明】
【0098】
10 画像処理システム
16 用紙識別装置
20 読取部
22A,206A 挿入口
22B,206B 案内通路
24 励磁コイル
26 検出コイルユニット
32 制御部
200 用紙寸断システム
205 用紙寸断装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルと、
前記励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段と、
用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段と、
を含む用紙識別装置。
【請求項2】
前記第1出力手段による検出対象領域と前記第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上とした請求項1に記載の用紙識別装置。
【請求項3】
前記通路を、用紙が自重で該通路の終端部に向けて滑り落ちるように前記第1出力手段による検出対象領域から前記第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成した請求項1又は請求項2に記載の用紙識別装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、
前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙が有する画像を読み取る画像読取装置と、
を含む画像読取システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、
前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙を寸断する用紙寸断装置と、
を含む用紙寸断システム。
【請求項6】
コンピュータを、
挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段、及び
用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルと、
前記励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段と、
用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段と、
を含む用紙識別装置。
【請求項2】
前記第1出力手段による検出対象領域と前記第2出力手段による検出対象領域との用紙の通過方向の距離を、予め定められた用紙の長手方向として予め定められた方向の長さ以上とした請求項1に記載の用紙識別装置。
【請求項3】
前記通路を、用紙が自重で該通路の終端部に向けて滑り落ちるように前記第1出力手段による検出対象領域から前記第2出力手段による検出対象領域にかけて蛇行させて形成した請求項1又は請求項2に記載の用紙識別装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、
前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙が有する画像を読み取る画像読取装置と、
を含む画像読取システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙識別装置と、
前記用紙識別装置によって前記磁性体が含まれない用紙であると識別された用紙を取り込み、取り込んだ用紙を寸断する用紙寸断装置と、
を含む用紙寸断システム。
【請求項6】
コンピュータを、
挿入口に挿入された用紙が通過する通路の上流側に配置され、かつ該通路がコイル内周側空間に位置するように該通路の外周に巻き回されて形成された励磁コイルに交流電流が通電された状態で、磁性体が設けられた用紙が前記通路の前記励磁コイルが配置された領域を通過する際に、励磁された前記励磁コイルによる該磁性体の磁化の変化を検出し、該磁化の変化が検出された際に第1検出信号を出力する第1出力手段、及び
用紙が前記通路の下流側の予め定められた領域を通過したことを前記磁性体に依らず用紙自体が有する特性から検出し、該用紙が該予め定められた領域を通過したことが検出された際に第2検出信号を出力する第2出力手段として機能させるためのプログラム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図8】
【公開番号】特開2012−202967(P2012−202967A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70888(P2011−70888)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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