説明

甲状腺レセプタ用置換アニリドリガンド

本発明は、下記一般式Iで示される新規な甲状腺レセプタ・リガンドである化合物を提供する。
【化1】


[式中、X,R,R,R,R,R,R,R,R,R,R10,R11,R12およびR13は、明細書の記載と同意義である]
さらに本発明は、代謝機能不全に付随する、またはT調節遺伝子の発現に依存する疾患または障害を予防、抑制または処置する方法を提供し、該方法は、上記一般式Iの化合物を治療上有効量で投与することから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甲状腺レセプタリガンドである新規化合物、該化合物の製造法、および該化合物をたとえば代謝調節で使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの代謝調節における甲状腺ホルモンの広大な役割は十分に認められているが、甲状腺機能亢進および甲状腺機能低下の処置を改善するための新しい特異的な薬物の発見や開発は遅れている。またこのことは、他の重要な臨床上の適応症、たとえば高コレステロール血症、肥満症および不整脈の処置のための甲状腺アゴニストおよびアンタゴニストの開発をも制限する。
甲状腺ホルモンは、体の実質上あらゆる細胞の代謝に影響を及ぼす。これらのホルモンは、体重、代謝速度、体温および体調を正常なレベルに維持し、かつ血清低比重リポたん白(LDL)の血中濃度を左右する。すなわち、甲状腺機能低下では、体重増、LDLコレステロールの高濃度、およびうつ病が生じる。甲状腺機能亢進において、これらのホルモンは体重減、代謝亢進、血清LDL量の低下、不整脈、心不全、筋肉虚弱、閉経後女性の骨量減に導く。
【0003】
甲状腺ホルモンは目下、主として甲状腺機能低下の患者のための補充療法(replacement therapy)として用いられている。L−サイロキシンによる療法は、代謝機能を正常に戻し、かつ甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイロキシン(3,5,3’,5’−テトラヨード−L−サイロニン、またはT)およびトリヨードサイロニン(3,5,3’−トリヨード−L−サイロニン、またはT)の濃度の日常の血清測定により容易に監視することができる。しかしながら、補充療法は特に年をとった個人では、甲状腺ホルモンからの一定の有害な影響によって制限されるかも知れない。
加えて、甲状腺ホルモンの多少の効果は、悪影響を最小限にあるいは排除できれば、非甲状腺障害において治療上有用となるかも知れない。これらの潜在的に有用な影響としては、体重減、血清LDL量の低下、うつ病の回復および骨形成の刺激が挙げられる。これらの障害を薬理学的に処置するのに甲状腺ホルモンを利用する従来の試みは、甲状腺機能亢進の発現、特に心血管毒性によって制限される。
【0004】
さらに、有用な甲状腺アゴニスト薬物は、局所的に誘発される甲状腺機能低下、すなわち、一定の組織または器官における甲状腺ホルモン活性の普通より下のレベルによる望ましくない結果への可能性を最小限にすべきである。これは以下の理由から起こりうる。それは、循環する甲状腺ホルモン・アゴニスト濃度の増加によって下垂体が甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑止し、これによって甲状腺による甲状腺ホルモン合成を縮小するからである(ネガティブフィードバック・コントロール)。内因性甲状腺ホルモン量が減少するので、投与した甲状腺アゴニスト薬物が特定組織の内因性ホルモン量の減少を補償できなかった場合には必らず、限局性の甲状腺機能低下が生じうる。たとえば、甲状腺アゴニスト薬物が血液脳関門に浸透しなければ、TSH抑止の効果はCNS甲状腺機能低下および付随の危険、たとえばうつ病に導く結果となる。
【0005】
特異的かつ選択的な甲状腺ホルモン・レセプタリガンド、特に甲状腺ホルモン・レセプタのアゴニストの開発は、これらよくある障害の特殊な療法に導くことができ、同時に自然甲状腺ホルモンの心血管および他の毒性を回避することができるだろう。組織−選択的甲状腺ホルモン・アゴニストは、選択的組織摂取または排出、局所もしくは限局デリバリーによって得ることができ、該アゴニストに結合する他のリガンドおよび標的レセプタ亜類型を介して細胞への標的となるだろう。また組織選択性は、甲状腺ホルモン反応性遺伝子の選択的調節によっても、組織特異的な方法で得ることができる。
【0006】
従って、甲状腺ホルモン・レセプタリガンド、特に甲状腺ホルモン・レセプタの選択的アゴニストである化合物の発見は、甲状腺ホルモン活性に付随する疾患または障害、たとえば(1)心血管合併症の危険にある、甲状腺機能低下を持つ年配の被検者における補充療法;(2)心血管合併症の危険にある、潜在性甲状腺機能低下症を持つ年配の被検者における補充療法;(3)肥満症;(4)血漿LDL量の上昇に基づく高コレステロール血症;(5)うつ病;および(6)骨吸収インヒビターとの組合せの骨粗しょう症の処置または予防に対する有用性を立証すると思われる。
【発明の開示】
【0007】
(発明の概要)
本発明によれば、下記一般式Iで示される、甲状腺ホルモン・レセプタリガンドである化合物が提供される。
【化1】

【0008】
式I中、Xは酸素(−O−)、セレン(−Se−)、硫黄(−S−)、スルフィニル(SO)、スルホニル(SO)、カルボニル(−CO−)、メチレン(−CH−)および−NH−から選ばれ;
は水素、ハロゲン、CFおよびC〜Cアルキルから選ばれ;
はハロゲン、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、COR14、CR14(OR10)R15、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、N(R14)COR15、CO(NR1415)、N(R14)SO16、SO(NR1415)、SR16、SOR16、SO16およびCHNR1415から選ばれ;
【0009】
は水素、アルキル、ベンジル、アロイルおよびアルカノイルから選ばれ;
はハロゲンまたはアルキル;
は水素、ハロゲンまたはアルキル;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ(−OH)、シアノ、CFおよびアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
但し、R,R,RおよびRのわずか1つのみが水素であり;
【0010】
10は水素またはアルキル;
11はCO14
12およびR13はそれぞれ独立して、水素、ハロゲンおよびアルキルから選ばれ;
存在する場合のR14およびR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれ;および
存在する場合のR16はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれる]
【0011】
上記式Iの定義は、式Iのプロドラッグ−エステル、立体異性体および医薬的に許容しうる塩の全てを包含する。
式Iの化合物は、甲状腺ホルモン・レセプタリガンドであって、かつたとえば甲状腺レセプタの選択的アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アンタゴニストである化合物を包含する。好ましくは、式Iの化合物は、甲状腺レセプタのアゴニストとしての活性を有し、かつ甲状腺レセプタ活性に関連する疾患または障害の処置に使用しうる。
【0012】
特に、式Iの化合物は、代謝機能不全に付随する、またはT調節遺伝子の発現に依存する疾患または障害、たとえば肥満症、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、不整脈、うつ病、骨粗しょう症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺癌、緑内障、皮膚障害もしくは皮膚疾患およびうっ血性心不全の処置に使用しうる。
【0013】
本発明は、式Iの化合物、該化合物を用いる医薬組成物、および該化合物の使用方法を提供する。特に本発明は、治療上有効量の式Iの化合物の単独、またはこれと医薬的に許容しうる担体の組合せから成る医薬組成物を提供する。
【0014】
さらに、本発明によれば、甲状腺レセプタに関連する疾患または障害、たとえば上記および以下に記載の疾患または障害の進行もしくは開始を予防、抑制または処置する方法が提供され、該方法において、かかる処置を必要とする哺乳類、すなわち、ヒト患者に対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与する。
【0015】
本発明化合物は、それ単独でまたは本発明の他の化合物と組合せて、もしくは本明細書記載の治療領域に活性な他の作用物質(治療剤)の1種以上と組合せて使用できる。
加えて、上記および以下に記載の疾患を予防、抑制または処置する方法が提供され、該方法において、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の、式Iの化合物と別の本発明化合物および/または別種の治療剤との組合せを投与する。
【0016】
(発明の詳細)
[1]すなわち、第1の具体例において、本発明は、下記式Iで示される化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【化2】

【0017】
式中、Xは酸素(−O−)、セレン(−Se−)、硫黄(−S−)、スルフィニル(SO)、スルホニル(SO)、カルボニル(−CO−)、メチレン(−CH−)および−NH−から選ばれ;
は水素、ハロゲン、CFおよびC〜Cアルキルから選ばれ;
はハロゲン、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、COR14、CR14(OR10)R15、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、N(R14)COR15、CO(NR1415)、N(R14)SO16、SO(NR1415)、SR16、SOR16、SO16およびCHNR1415から選ばれ;
【0018】
は水素、アルキル、ベンジル、アロイルおよびアルカノイルから選ばれ;
はハロゲンまたはアルキル;
は水素、ハロゲンまたはアルキル;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ(−OH)、シアノ、CFおよびアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
但し、R,R,RおよびRのわずか1つのみが水素であり;
【0019】
10は水素またはアルキル;
11はCO14
12およびR13はそれぞれ独立して、水素、ハロゲンおよびアルキルから選ばれ;
存在する場合のR14およびR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれ;および
存在する場合のR16はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれる。
【0020】
[2]好ましい具体例において、本発明は、Xが酸素である式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0021】
[3]別の好ましい具体例において、本発明は、Rが水素;RがC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル;Rが水素;RがハロゲンまたはC〜Cアルキル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモ、クロロまたはメチル;RがハロゲンまたはC〜Cアルキル;Rが水素またはハロゲン;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0022】
[4]別の好ましい具体例において、本発明は、Rがイソプロピルである式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0023】
[5]別の好ましい具体例において、本発明は、Rが水素;Rがイソプロピル;Rが水素;RがC〜Cアルキル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモ、クロロまたはメチル;Rがハロゲンまたはメチル;Rが水素またはクロロ;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0024】
[6]別の好ましい具体例において、本発明は、Rが水素;Rがイソプロピル;Rが水素;Rがメチル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモまたはクロロ;Rがクロロまたはメチル;Rが水素;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0025】
[7]より好ましい具体例において、本発明は、式:
【化3】

で示される式Iの化合物またはそのアルキルエステル(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0026】
[8]別のより好ましい具体例において、本発明は、式:
【化4】

で示される式Iの化合物またはそのアルキルエステル(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0027】
[9]別の好ましい具体例において、本発明は、式:
【化5】

で示される式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0028】
[10]別の好ましい具体例において、本発明は、式:
【化6】

で示される式Iの化合物(その全てのプロドラッグ、立体異性体および医薬的に許容しうる塩も包含)を提供する。
【0029】
[11]第2の具体例において、本発明は、上記式Iの化合物およびその医薬的に許容しうる担体から成る医薬組成物を提供する。
【0030】
[12]好ましい具体例において、本発明は、さらに、式Iの他の化合物、抗糖尿病剤、抗骨粗しょう症剤、抗肥満剤、成長促進剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗高血圧剤、強心配糖体、コレステロール/脂質低下剤、欲求抑止剤、骨吸収インヒビター、甲状腺凝似薬(thyroid mimetics)、同化作用剤、抗腫瘍剤およびレチノイドから選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を含有する上記医薬組成物を提供する。
【0031】
[13]別の好ましい具体例において、本発明は、上記追加治療剤が、ビグアニド、グルコシダーゼ・インヒビター、メグリチニド(meglitinide)、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、PPAR−アルファ・アゴニスト、PPAR−ガンマ・アゴニスト、PPARアルファ/ガンマ二元アゴニスト、SGLT2インヒビター、グリコゲンホスホリラーゼ・インヒビター、aP2インヒビター、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターおよびインスリンから選ばれる抗糖尿病剤である上記医薬組成物を提供する。
【0032】
[14]別の好ましい具体例において、本発明は、上記追加治療剤が、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド(glimepiride)、グリピリド(glipyride)、グリピジド(glipizide)、クロルプロパミド、グリクラジド(gliclazide)、アカーボース(acarbose)、ミグリトール(miglitol)、トログリタゾン(troglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、エングリタゾン(englitazone)、ダルグリタゾン(darglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびインスリンから選ばれる抗糖尿病剤である上記医薬組成物を提供する。
【0033】
[15]別の好ましい具体例において、本発明は、上記追加治療剤が、aP2インヒビター、PPARガンマ・アンタゴニスト、PPARデルタ・アゴニスト、ベータ3アドレナリン作用性アゴニスト、リパーゼ・インヒビター、セロトニン再摂取インヒビター、カンナビノイド−1レセプタ・アンタゴニストおよび食欲抑制薬から選ばれる抗肥満剤である上記医薬組成物を提供する。
【0034】
[16]別の好ましい具体例において、本発明は、上記追加治療剤が、チアゾリジンジオン、MTPインヒビター、スクアレンシンセターゼ・インヒビター、HMG CoAレダクターゼ・インヒビター、フィブリン酸誘導体、ACATインヒビター、コレステロール吸収インヒビター、回腸Na/胆汁酸共輸送インヒビター、胆汁酸金属イオン封鎖剤およびニコチン酸またはその誘導体から選ばれる脂質血症低下剤である上記医薬組成物を提供する。
【0035】
[17]第三の具体例において、本発明は、代謝機能不全に付随する、またはT調節遺伝子の発現に依存する疾患を予防、抑制または処置する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与することから成る方法を提供する。
【0036】
[18]好ましい具体例において、本発明は、肥満症、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、うつ病、骨粗しょう症、甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能亢進症、非毒性甲状腺腫、骨量,骨密度または骨成長の減少、食事障害、認識機能減少、甲状腺癌、緑内障、不整脈、うっ血性心不全または皮膚障害もしくは皮膚疾患を処置しまたはこれらの進行もしくは開始を遅らせる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与することから成る方法を提供する。
【0037】
[19]別の好ましい具体例において、本発明は、上記皮膚障害もしくは皮膚疾患が、皮膚萎縮、レーザー再表面仕上げ(resurfacing)によって起こる術後挫傷、ケロイド、皮膚線条、脂肪性浮腫、ざらざら皮膚、化学線皮膚損傷、苔蘇平面、魚鱗癬、アクネ、乾癬、ダーニエル(Dernier)病、湿疹、アトピー性皮膚炎、塩素ざ瘡、ひこう疹または皮膚瘢痕である上記方法を提供する。
【0038】
[20]別の好ましい具体例において、本発明は、さらに、治療上有効量の、式Iの他の化合物、抗糖尿病剤、抗骨粗しょう症剤、抗肥満剤、成長促進剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗高血圧剤、強心配糖体、コレステロール/脂質低下剤、欲求抑止剤、骨吸収インヒビター、甲状腺凝似薬、同化作用剤、抗腫瘍剤およびレチノイドから選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を同時にまたは連続して投与する上記方法を提供する。
【0039】
[21]別の好ましい具体例において、本発明は、皮膚障害もしくは皮膚疾患を処置しまたはこれらの進行もしくは開始を遅らせる方法であって、哺乳類患者に対し、治療上有効量の式Iの化合物をレチノイドまたはビタミンD類縁体と組合せて投与することから成る方法を提供する。
【0040】
[22]別の好ましい具体例において、本発明は、肥満症を処置しまたはその進行もしくは開始を遅らせる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の式Iの化合物を投与することから成る方法を提供する。
【0041】
[23]別の好ましい具体例において、本発明は、さらに、治療上有効量の、抗肥満剤および欲求抑止剤から選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を同時にまたは連続して投与する上記方法を提供する。
【0042】
[24]別の好ましい具体例において、本発明は、上記抗肥満剤が、aP2インヒビター、PPARガンマ・アンタゴニスト、PPARデルタ・アゴニスト、ベータ3アドレナリン作用性アゴニスト、リパーゼ・インヒビター、セロトニン(およびドパミン)再摂取インヒビター、カンナビノイド−1レセプタ・アンタゴニスト、他の甲状腺レセプタ剤および食欲抑制薬から選ばれる上記方法を提供する。
【0043】
[25]第4の具体例において、本発明は、式Iの化合物を含有し、甲状腺ホルモン・レセプタの選択的アゴニストとして機能する医薬組成物を提供する。
【0044】
本明細書において、以下に示す略語を用いる。
Ph=フェニル
Bn=ベンジル
t−Bu=t−ブチル
Me=メチル
Et=エチル
THF=テトラヒドロフラン
EtO=ジエチルエーテル
EtOAc=酢酸エチル
DMF=ジメチルホルムアミド
MeOH=メタノール
EtOH=エタノール
i−PrOH=イソプロパノール
HOAcまたはAcOH=酢酸
【0045】
TFA=トリフルオロ酢酸
i−PrNEt=ジイソプロピルエチルアミン
EtN=トリエチルアミン
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
NaBH=ホウ水素化ナトリウム
KOH=水酸化カリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
LiOH=水酸化リチウム
CO=炭酸カリウム
NaHCO=重炭酸ナトリウム
PhP=トリフェニルホスフィン
Ar=アルゴン
=窒素
min=分
hまたはhr=時間
【0046】
L=リットル
mL=ミリリットル
μL=ミクロリットル
g=グラム
mg=ミリグラム
mol=モル
mmol=ミリモル
meq=ミリ当量
RT=室温
satまたはsat’d=飽和
aq.=水性
NMR=核磁気共鳴
TfO=トリフルオロメタン−無水スルホン酸
CHCl=クロロホルム
MeCN=アセトニトリル
【0047】
EDC(もしくはEDC・HCl)またはEDCI(もしくはEDCI・HCl)またはEDAC=3−エチル−3’−(ジメチルアミノ)プロピル−カルボジイミド塩酸塩(もしくは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)
HOBTもしくはHOBT・HO=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HOAT=1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
TLC=薄層クロマトグラフィー
HPLC=高性能液体クロマトグラフィー
LC/MS=高性能液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー
MSまたはMass Spec=マススペクトロメトリー
【0048】
以下に示す定義は、他に特別な場合での限定がない限り、本明細書を通じて用いられる語句に適用される。
本明細書で用いる語句“甲状腺レセプタリガンド”とは、甲状腺レセプタに結合するいずれの成分(moiety)をも包含することが意図される。リガンドは、アゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニストまたは部分アンタゴニストとして作用しうる。“甲状腺レセプタリガンド”に代わる別の語句は、“甲状腺擬似薬(thyromimetic)”である。
【0049】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アルキル”とは、他に特別な指示がない限り、ノルマル鎖の炭素数(アルキルまたはalkの場合)1〜12、好ましくは1〜4の直鎖および分枝鎖炭化水素の両方を包含し、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルが挙げられる。
【0050】
本発明で規定およびクレーム化される、語句“アルキル”とは、必要に応じて1〜4個の置換基で置換される上記アルキル基を包含し、かかる置換基としては、ハロ、たとえばF、Br、ClもしくはIまたはCF、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール(アリール)もしくはジアリール、アリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、必要に応じて置換されるアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アシル、オキソ、アルカノイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、シクロヘテロアルキル、アリールヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルコキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ニトロ、シアノ、チオール、ハロアルキル、トリハロアルキル、アルキルチオまたはカルボキシル(もしくはそのアルキルエステル)が挙げられる。
【0051】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“シクロアルキル”とは、他に特別な指示がない限り、1つの環を含有しかつ該環を形成する全炭素数3〜8、好ましくは3〜6の、飽和環式炭化水素基または部分不飽和(1または2の二重結合含有)環式炭化水素基を包含する。本発明で規定およびクレーム化される、語句“シクロアルキル”とは、必要に応じて1個以上の置換基(たとえば上記アルキルの場合に記載したもの)で置換される上記シクロアルキル基を包含する。
【0052】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アリール”または“Ar”とは、環部の炭素数6〜10のモノ環式およびジ環式芳香族基(たとえばフェニルまたは1−ナフチルや2−ナフチルを含むナフチル)を指称する。本発明で規定およびクレーム化される、語句“アリール”とは、必要に応じていずれかの有効炭素原子を介して1個以上の置換基で置換される上記アリール基を包含し、かかる置換基としては、たとえばハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシル(またはそのアルキルエステル)または上記アルキルの場合に記載した他の置換基のいずれかが挙げられる。
【0053】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“ヘテロアリール”または“ヘテロ芳香族”とは、他に特別な指示がない限り、1、2、3または4個のヘテロ原子、たとえば窒素、酸素または硫黄を含有する5または6員芳香族環、およびかかる芳香族環がアリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはシクロヘテロアルキル環に縮合したもの(たとえばベンゾチオフェニル、インドール)を指称し、かつ可能性のあるN−オキシド体も包含する。“置換ヘテロアリール”基としては、1個以上の置換基、たとえば上述のアルキルまたはアリール置換基のいずれかで置換されたヘテロアリールが包含される。本発明で規定およびクレーム化される、語句“ヘテロアリール”とは、必要に応じていずれかの有効炭素原子を介して1個以上の置換基、たとえば上記アルキルまたはアリールの場合に記載した置換基のいずれかで置換される上記ヘテロアリール基を包含する。
【0054】
本明細書でそれ自体または別の基の一部として用いる語句“アルケニル”とは、他に特別な指示がない限り、ノルマル鎖の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8の、ノルマル鎖に1つ以上の二重結合を有する直鎖または分枝鎖基を指称し、たとえばビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、3−オクテニル、3−ノネニル、4−デセニル、3−ウンデセニル、4−ドデセニル、4,8,12−テトラデカトリエニル等が挙げられる。本発明で規定およびクレーム化される、語句“アルケニル”とは、必要に応じていずれかの有効炭素原子を介して1個以上の置換基、たとえば上記アルキルまたはアリールの場合に記載した置換基のいずれかで置換される上記アルケニル基を包含する。
【0055】
本明細書でそれ自体または別の基の一部として用いる語句“アルキニル”とは、他に特別な指示がない限り、ノルマル鎖の炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8の、ノルマル鎖に1つ以上の三重結合を有する直鎖または分子鎖基を指称し、たとえば2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、4−ヘプチニル、3−オクチニル、3−ノニニル、4−デシニル、3−ウンデシニル、4−ドデシニル等が挙げられる。本発明で規定およびクレーム化される、語句“アルキニル”とは、必要に応じていずれかの有効炭素原子を介して1個以上の置換基、たとえば上記アルキルまたはアリールの場合に記載した置換基のいずれかで置換される上記アルキニル基を包含する。
【0056】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“シクロアルケニル”とは、3〜12個、好ましくは5〜10個の炭素および1または2つの二重結合を有する環式炭化水素を指称する。シクロアルケニル基の具体例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、およびシクロヘプタジエニルが挙げられ、必要に応じて上記シクロアルキルの場合の記載に準じて置換されてよい。本発明で規定およびクレーム化される、語句“シクロアルケニル”とは、必要に応じていずれかの有効炭素原子を介して1個以上の置換基、たとえば上記アルキルまたはアリールの場合に記載した置換基のいずかで置換される上記シクロアルケニル基を包含する。
【0057】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“ハロゲン”または“ハロ”とは、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素並びにCFを指称し、塩素または臭素が好ましい。
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アルカノイル”は、アルキルがカルボニル基に結合したものである。
【0058】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アロイル”は、アリールがカルボニル基に結合したものである。
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アルコキシ”、“アリールオキシ”または“ヘテロアリールオキシ”とは、他に特別な指示がない限り、上記アルキル、アリールまたはヘテロアリール基が酸素原子に結合したものを包含する。
本明細書で用いる語句“シアノ”とは、−CN基を指称する。
【0059】
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アリールアルキル”および“ヘテロアリールアルキル”とは、アリールまたはヘテロアリール置換基を有する上記アルキル基を指称する。アリールアルキルの代表的具体例としては、これらに限定されるものでないが、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピルが挙げられる。
本明細書でそれ単独または別の基の一部として用いる語句“アリールアルコキシ”および“シクロアルコキシ”とは、アリールアルキルまたはシクロアルキルが酸素原子に結合したものを包含する。
【0060】
本明細書で用いる語句“カルボン酸”または“カルボキシル”とは、−COO基を指称する。
本明細書で用いる語句“ベンジル”とは、−CHを指称し、必要に応じて上記アルキルの場合の記載に準じて置換されてもよい。
【0061】
式Iの化合物は、塩、特に医薬的に許容しうる塩として存在することができる。少なくとも1個の酸基(たとえばCOOH)を有する式Iの化合物は、塩基による塩を形成しうる。塩基による適当な塩は、たとえば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩(たとえばナトリウム、カリウムもしくはマグネシウム塩)などの金属塩、またはアンモニアあるいはモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ,ジもしくはトリ−低級アルキルアミン(たとえばエチル,t−ブチル,ジエチル,ジイソプロピル,トリエチル,トリブチルもしくはジメチル−プロピルアミン)もしくはモノ,ジもしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン(たとえばモノ,ジもしくはトリエタノールアミン)などの有機アミンによる塩である。さらに、対応する内部塩も形成されてよい。医薬用途には適しないが、たとえば遊離の化合物Iまたはその医薬的に許容しうる塩の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0062】
酸基を有する式Iの化合物の好ましい塩としては、ナトリウム、カリウムおよびマグネシウム塩、および医薬的に許容しうる有機アミン塩が挙げられる。
また式Iの化合物は、プロドラッグ形態を有していてもよい。インビボで変換して生物活性な作用物質(すなわち、式Iの化合物)を付与する化合物はいずれも、本発明の技術的範囲および精神に属するプロドラッグである。
【0063】
各種形態のプロドラッグが、当該分野で周知である。
プロドラッグおよびプロドラッグ誘導体の包括的な説明は、下記の文献に記載されている:
a)The Practice of Medicinal Chemistry,Camille G.Wermuthら,Ch31,(Academic Press,1996);
b)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985);および
c)A Textbook of Drug Design and Development,P.Krogsgaard−Larson and H.Bundgaard,eds.Ch5,pgs113−91(Harwood Academic Publishers,1991)。
好ましいプロドラッグとしては、エチルエステルなどのアルキルエステル、またはピバロイルオキシメチル(POM)などのアシルオキシアルキルエステルが挙げられる。
【0064】
本発明化合物の立体異性体の全ては、混合物または純粋もしくは実質上純粋の形状が予期される。本発明化合物は、R置換基のいずれか1つを有する炭素原子のいずれかに、不斉中心を有することができる。従って、式Iの化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形状もしくはこれらの混合物で存在しうる。製造方法において、出発物質としてラセミ化合物、エナンチオマーまたはジアステレオマーを利用することができる。ジアステレオマーまたはエナンチオマー生成物を製造するとき、これらは、通常の方法、たとえばクロマトグラフィーまたは分別結晶法で分離することができる。
【0065】
本発明治療剤の投与としては、治療上有効量の本発明治療剤の投与が含まれる。本明細書で用いる語句“治療上有効量”とは、本発明の組成物の投与によって処置できる病状を、処置または予防する治療剤の量を指称する。かかる量は、認めることのできる治療または予防もしくは改善効果を示すのに十分な量である。
【0066】
上記効果としては、たとえば本明細書で列挙する病状の処置または予防が含まれる。被検者にとって正確な有効量は、被検者の背格好および健康状態、処置される病状の性質および程度、処置する医師の忠告、および投与のために選定した療法もしくはその組合せに左右されるだろう。すなわち、前もって厳格な有効量を特定することは、有用ではない。
【0067】
式Iの化合物は、以下の反応式に記載の例示的な方法、並びに当業者が採用している関連刊行物記載の手順によって製造することができる。これらの反応のための試薬や手順の具体例については、以下の説明および実施例で明らかである。下記の反応式における保護および脱保護は、当該分野で概して公知の手順によって実施されてよい(たとえば、T.W.Greene & P.G.M.Wuts.“Protecting Groups in Qrganic Synthesis”,3版,Wiley,1999参照)。
【0068】
反応式1:
【化7】

【0069】
反応式1は、X=Oの式Iの化合物への一般合成アプローチを示し、適当に置換したヨードニウム塩1を適当なフェノール化合物2にカップリング反応させて、中間体3を得る方法を利用する。下記の他の反応式で含まれる化合物Iや他の全ての適用できる化合物において、PGとは表示官能基(この場合、フェノール性酸素)に適切な保護基を指称する。それぞれ個々の中間体の特定の保護基は、当業者によって十分に理解されている(これも上記引用の文献,“Protecting Groups in Organic Synthesis”参照)。
【0070】
次に保護基および官能基の処理操作で、所望の式Iの化合物を得る。たとえば、中間体2はニトロフェノール化合物(R’およびR”は酸素)であってよく、得られるカップリング反応生成物は、対応するジアリールエーテルニトロ化合物(ここで、R’=R”=O)となる。このニトロ中間体は、対応するアリールアミンに容易に還元することができる(下記の説明参照)。次いで、得られるアリールアミンをアシル化して、所望の式I(X=O)の化合物を容易に得ることができる。また中間体2は、保護されたアミノ官能基(たとえばR’=RおよびR”=PG)であってもよい。
【0071】
保護基(PG)は、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)などのカルバメートであってよく、後に標準条件下アシドリシスおよび/または水添分解で脱離しうる。得られるアリールアミンを、これも当業者に周知の手段でアシル化して、所望の式Iの化合物を得る。加えて、ニトロベンゼンカップリング反応生成物の還元によって得られるアリールアミン(R’=R”=Hの中間体3)を、還元アミノ化反応においてアルデヒドと反応させて、アルデヒド成分からのR基を付与することができる。たとえば、シアノホウ水素化ナトリウムまたはトリアセトキシホウ水素化ナトリウムの使用による、還元アミノ化手順は、当業者にとって周知である。次に得られる生成物を、標準手順でアシル化して、式Iの化合物を得ることができる。
【0072】
反応式1で示されるヨードニウム塩方法体系は、甲状腺ホルモン類縁体の合成に関する文献(“Novel Thyroid Receptor Ligands and Methods”,Y.L.Li,Y.Liu,A.Hedfors,J.Malm,C.Mellin,M.Zhang,PCT Int.App.WO9900353 A1 990107;D.M.B.Hickeyら,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,3103−3111,1988;N.Yokoyamaら,J.Med.Chem.,38,695−707,1995)、および一般にジアリールエーテルへの文献(E.A.Couladouros,V.I.Moutsos,Tetrahedron Lett.,40,7023−7026,1999)に詳細に記載されている。
【0073】
反応式2:
【化8】

【0074】
反応式2は、X=Oの場合の式Iの化合物への別の一般合成アプローチを示し、ここで、適当に置換したニトロベンゼン中間体5を、適当に置換したフェノール4と縮合させて、ニトロ中間体6を得る。中間体6のニトロ基は、当該分野で周知の方法により、たとえば、氷酢酸またはエタノールなどの極性溶媒中、ラネーニッケルまたはパラジウム/活性炭触媒の存在下接触水素添加を用いて、アミノ基に還元することができる。別法として、還元は水性氷酢酸中周囲温度で、鉄粉を用いて行なうことができる。次に保護基および官能基の処理操作で、所望の式Iの化合物を得る。
【0075】
反応式3:
【化9】

【0076】
X=Oの式Iの化合物の合成への別の一般アプローチが、反応式3に示される。このアプローチにおいて、適当に置換したヨードニウム塩1を、適当に置換した4−ヒドロキシ安息香酸中間体7にカップリング反応させる。次いで得られるカップリング反応生成物8のカルボキシル保護基(PG’)を脱離する。次いで8に対応する生成遊離カルボン酸中間体を、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などの公知の転位用試薬を用いる、カーチウス(Curtius)転位に付す。カーチウス転位中間体を、t−ブタノールまたはベンジルアルコールで捕捉して、生成物9,それぞれt−ブチルオキシカルボニル(BOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)保護アニリンを得る。
【0077】
これらの保護基を、当該分野で周知の方法で脱離して、対応する遊離アミン基を得ることができる。次にアミンを、かなり多数の十分確立された手順の1つで、たとえばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(EDCI)などのカップリング試薬を用いて、遊離カルボン酸によるアシル化でアシル化して、X=Oの式Iの化合物を得ることができる。別法として、当量の第三有機アミン、たとえばトリエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下、カルボン酸クロリド誘導体を用いて遊離アミンをアシル化することができる。
【0078】
上記の合成に関し、甲状腺擬似薬のためのジアリールエーテルの一般合成の先例が、文献で十分に示されている(P.D.Lesson,J.C.Emmett,J.Chem.Perkin Trans.I,3085−3096,1988;N.Yokoyamaら,J.Med.Chem.,38,695−707,1995)。
X=OおよびRおよびRがそれぞれ独立して、水素、ハロゲンおよびアルキルに変化する式Iの化合物の合成に適用できる方法が、“Novel Thyroid Receptor Ligands and Methods”,Y.L.Li,Y.Liu,A.Hedfors,J.Malm.,C.Mellin,M.Zhang,PCT Int.App.WO9900353 A1 990107に記載されている。
【0079】
X=O,NH,S,COまたはCHの式Iの化合物を合成するさらなる手段が、広く文献に記載されている(X=Oの場合:D.M.B.Hickeyら,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,3097−3102,1988;Z.W.Guoら,J.Org.Chem.,62,6700−6701,1997;D.M.T.Chanら,Tetrahedron Lett.,39,2933−2936,1998;D.A.Evansら,Tetrahedron Lett.,39,2937−2940,1998;G.M.Salamonczykら,Tetrahedron Lett.,38,6965−6968,1997;J.F.Marcoux,J.Am.Chem.Soc.,119,10539−10540,1997;A.V.Kalininら,J.Org.Chem.,64,2986−2987,1999;X=NHの場合:D.M.T.Chanら,Tetrahedron Lett.,39,2933−2936,1998;J.P.Wolfeら,J.Am.Chem.Soc.,118,7215,1996;M.S.Driver,J.F.Hartwig,J.Am.Chem.Soc.,118,7217,1996;C.G.Frost,P.Mendonca,J.Chem.Soc.Perkin I,2615−2623,1998の論評の参考文献;X=Sの場合:C.R.Harrington,Biochem.J.,43,434−437,1948;A.Dibboら,J.Chem.Soc.,2890−2902,1961;N.Yokoyamaら,米国特許No.5401772,1995;X=COまたはCHの場合:L.Horner,H.H.G.Medem,Chem.Ber.85,520−530,1952;G.Chielliniら,Chemistry & Biology,5,299−306,1998)。
【0080】
反応式4:
【化10】

【0081】
XがS、SOまたはSOである式Iの化合物は、反応式4の概略に準じて製造することができる。適当なフェノール系エーテル9から開始し、CHClなどの溶媒中クロロスルホン酸でクロロスルホン化した後、aq.HSOまたはAcOH中Znなどの金属で還元して、アリールチオール10を生成する。チオール10を化合物5のアリールハライドとカップリング反応させ、次いで還元し、アシル化し、脱保護して、XがSである式Iの化合物を生成する。XがSOまたはSOである式Iの化合物は、脱保護の前に、m−クロロ過安息香酸を用い硫黄を適切な酸化状態に酸化しておく以外は、同様にして製造することができる。フェノール系エーテル9は、商業上入手しうるか、あるいはRがiPrの場合、R.M.Jonesら,J.Org.Chem.,2001,66,3435−3441に記載の手順に従って、すなわち、適当に置換したサリチルアルデヒドをBOC無水物および過剰のアルキルリチウムで連続処理することによって容易に製造される。
【0082】
反応式5:
【化11】

【0083】
同様な仕方(反応式5)において、XがNHである式Iの化合物は、化合物9のニトロ化、アニリン化合物11への還元、次いで化合物5とカップリング反応させて、所望のジアリールアミン12を生成することによって製造することができる。12で示されるアニリン化合物は、還元、アシル化および脱保護によって、XがNHである式Iの化合物に変換することができる。
【0084】
反応式6:
【化12】

【0085】
XがCOまたはCHである式Iの化合物(反応式6)は、化合物9をCSまたはCHClなどの溶媒中、AlClなどのルイス酸触媒の存在下、13などの酸クロリドでアシル化して、前もって必要なケトン14を生成することによって製造することができる。14で示されるケトンは、NO基のFe仲介還元、アシル化および脱保護によって、XがCOである式Iの化合物に変換することができる。次にケトンカルボニルをEtSiH/BF・EtOで還元して、XがCHである式Iの化合物を生成する。
【0086】
有用性および組合せ使用
A.有用性
本発明化合物は、甲状腺レセプタリガンドであって、たとえば甲状腺レセプタの選択的アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アンタゴニストである化合物を包含する。好ましくは本発明化合物は、甲状腺レセプタのアゴニストとしての活性を有し、かつ甲状腺レセプタ活性に関連する疾患または障害の処置に使用しうる。特に、本発明化合物は、代謝機能不全に付随する、またはT調節遺伝子の発現に依存する疾患または障害の処置に使用しうる。
【0087】
従って、本発明化合物は種々の病状や障害の処置のため、哺乳類、好ましくはヒトに対して投与することができる。かかる病状や障害の処置としては、これらに限定されるものでないが、甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能亢進症、非毒性甲状腺腫、アテローム性硬化症、甲状腺ホルモン補充療法(たとえば年配者において)、悪性腫瘍細胞含有の甲状腺レセプタ、乳頭または小胞癌の処置;筋力および機能のメインテナンス(たとえば年配者において);年配者における薄志弱行または年令−関連機能減退(“ARFD”)(たとえば筋肉不足)の逆転または予防;
【0088】
グルココルチコイドの異化副作用の処置;骨質量、骨密度または骨成長の減少(たとえば骨粗しょう症およびオステオペニア)の予防および/または処置;慢性疲労症候群(CFS)の処置;複雑骨折、たとえば伸延骨形成の加速治癒;関節補充;食事障害(たとえば食欲不振)の処置;肥満症および肥満症に付随する成長遅滞の処置;うつ病、神経質、短気およびストレスの処置;精神エネルギー減および低自尊心の処置(たとえばモチベーション/アサーティブネス);
【0089】
認知機能の改善(たとえばアルツハイマー病や短期記憶喪失を含む痴呆の処置);肺機能不全や換気依存症に関係する異化作用の処置;心機能不全の処置(たとえば弁疾患、心筋梗塞、心肥大またはうっ血性心不全に関連);血圧の低下;心室機能不全に対する保護または再灌流発生の予防;高インスリン血症の処置;骨芽細胞、骨再造形および軟骨成長の刺激;
【0090】
食物摂取の調節;哺乳類(たとえばヒト)のNIDDMを含む、インスリン抵抗性の処置;心臓のインスリン抵抗性の処置;うっ血性心不全の処置;筋骨格欠陥(たとえば年配者)の処置;全肺機能の改善;局所グルココルチコイドによって誘発する皮膚萎縮の修復、および局所グルココルチコイドによって誘発する皮膚萎縮の予防(たとえば局所グルココルチコイドまたはグルココルチコイドと本発明化合物の両方を含む薬理学的産物による同時処置)を含む、グルココルチコイド誘発皮膚萎縮などの皮膚障害または疾患の処置;
【0091】
グルココルチコイドによる全身処置によって誘発する皮膚萎縮の修復/予防;グルココルチコイドによる局所処置によって誘発する呼吸系における萎縮、UV−誘発皮膚萎縮、加齢によって誘発する皮膚萎縮(しわ等)、創傷癒合、ケロイド、皮膚線条、脂肪性浮腫、ざらざら皮膚、化学線皮膚損傷、苔蘚平面、魚鱗癬、アクネ、乾癬、ダーニエル(Dernier)病、湿疹、アトピー性皮膚炎、塩素ざ瘡、ひこう疹および皮膚瘢痕の修復/予防
が挙げられる。
【0092】
語句“処置”とは、予防処置をも含むことが意図される。
加えて、集合的に“X症候群”または代謝症候群と称せられ、Johannsson J.Clin.Endocrinol.Metab.,82,727−34(1997)に詳述されている病状、疾患および疾病も、本発明化合物を使用して処置されてよい。
【0093】
B.組合せ使用
本発明は、その技術的範囲に、活性成分として治療上有効量の式Iの化合物の少なくとも1種単独、またはこれと医薬用担体または希釈剤との組合せから成る医薬組成物を包含する。必要に応じて、本発明化合物はそれ単独で、または他の本発明化合物と組合せて、または他の治療剤、たとえば抗糖尿病剤もしくは他の医薬的に活性な物質の1種以上と組合せて使用することができる。
【0094】
本発明化合物は、甲状腺レセプタの他のモジュレータおよび/またはリガンドあるいは上述の障害の処置に有用な他の適当な治療剤と組合せて使用でき、該他の治療剤としては、抗糖尿病剤;抗骨粗しょう症剤;抗肥満剤;成長促進剤(成長ホルモン分泌促進薬を含む);抗炎症剤;抗不安剤;抗うつ剤;抗高血圧剤;強心配糖体;コレステロール/脂質低下剤;欲求抑止剤;骨吸収インヒビター;甲状腺擬似薬(他の甲状腺レセプタアゴニストを含む);同化作用剤;および抗腫瘍剤が挙げられる。
【0095】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗糖尿病剤の具体例としては、ビグアニド(たとえばメトホルミンまたはフェンホルミン)、グルコシダーゼ・インヒビター(たとえばアカーボース(acarbose)またはミグリトール(miglitol))、インスリン(インスリン分泌促進薬またはインスリン感作物質を含む)、メグリチニド(meglitinides)(たとえばレパグリニド(repaglinide))、スルホニル尿素(たとえばグリメピリド、グリブリド、グリクラジド、クロルプロパミドおよびグリピジド)、ビグアニド/グリブリド組合せ(たとえばGlucovance(登録商標))、チアゾリジンジオン(たとえばトログリタゾン(troglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)およびピオグリタゾン(pioglitazone))、PPAR−アルファ・アゴニスト、PPAR−ガンマ・アゴニスト、PPARアルファ/ガンマ二元アゴニスト、SGLTインヒビター、グリコゲンホスホリラーゼ・インヒビター、脂肪酸結合たん白(aP2)のインヒビター、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびジペプチジルペプチダーゼIV(DP4)インヒビターが挙げられる。
【0096】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗骨粗しょう症剤の具体例としては、アレンドロネート(alendronate)、ライズドロネート(risedronate)、PTH、PTHフラグメント、ラロキシフェン(raloxifene)、カルシトニン、RANKリガンド・アンタゴニスト、カルシウム感覚レセプタ・アンタゴニスト、TRAPインヒビター、選択的エストロゲンレセプタ・モジュレータ(SERM)およびAP−1インヒビターが挙げられる。
【0097】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗肥満剤の具体例としては、aP2インヒビター、PPARガンマ・アンタゴニスト、PPARデルタ・アゴニスト、ベータ3アドレナリン作用性アゴニスト、たとえばAJ9677(武田/大日本)、L750355(メルク)もしくはCP331648(Pfizer)またはU.S.特許No.5541204、5770615、5491134、5776983および5488064に開示の他の公知のベータ3アゴニスト、リパーゼ・インヒビター、たとえばオルリスタット(orlistat)またはATL−962(Alizyme)、セロトニン(およびドパミン)再摂取インヒビター、たとえばシブトラミン(sibutramine)、トピラメート(topiramate)(ジョンソン・アンド・ジョンソン)またはアクソキン(axokine)(Regeneron)、他の甲状腺レセプタ・ベータ薬物、たとえばWO97/21993(U.Cal SF)、WO99/00353(KaroBio)およびGB98/284425(KaroBio)に開示の甲状腺レセプタリガンド、カンナビノイド−1−レセプタ・アンタゴニスト、たとえばSR−141716(サノフィ)および/または食欲抑制薬、たとえばデキサンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミンまたはマチンドールが挙げられる。
【0098】
本発明化合物は、成長促進剤、たとえばこれらに限定されるものでないが、TRH、ジエチルスチルベステロール、テオフィリン、エンケファリン、Eシリーズプロスタグランジン、U.S.特許No.3239345に開示の化合物(たとえばゼラノール(zeranol))、およびU.S.特許No.4036979に開示の化合物(たとえばスルベノックス(sulbenox)またはU.S.特許No.4411890に開示のペプチド)と組合せることができる。
【0099】
また本発明化合物は、成長ホルモン分泌促進薬、たとえばGHRP−6、GHRP−1(U.S.特許No.4411890やWO89/07110およびWO89/07111公開に開示)、GHRP−2(WO93/04081に記載)、NN703(Novo Nordisk)、LY444711(リリー)、MK−677(メルク)、CP424391(Pfizer)およびB−HT920と、または成長ホルモン放出因子およびその類縁体または成長ホルモンおよびその類縁体またはIGF−1やIGF−2を含むソマトメジンと、またはアルファーアドレナリン作用性アゴニスト、たとえばクロニジンまたはセロトニン5−HTアゴニスト、たとえばスマトリプタン(sumatriptan)、またはソマトスタチンもしくはその放出を抑制する作用物質、たとえばフィゾスチグミンおよびピリドスチグミンと組合せても使用しうる。
【0100】
さらに本発明化合物の他の使用は、甲状腺傍ホルモン、PTH(1−34)またはビスホスホネート、たとえばMK−217(アレンドロネート)との組合せである。
さらに本発明化合物の他の使用は、エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲンレセプタ・モジュレータ、たとえばタモキシフェンまたはラロキシフェン(raloxifene)、または他のアンドロゲンレセプタ・モジュレータ、たとえばEdwards J.P.ら,Bio.Med.Chem.Let.,9,1003−1008(1999)およびHamann L.G.ら,J.Med.Chem.,42,210−212(1999)に開示のものとの組合せである。
さらに本発明化合物の他の使用は、ステロイドまたは非ステロイドのプロゲステロンレセプタ・アゴニスト(“PRA”)、たとえばレボノルゲストレル(levonorgestrel)、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)との組合せである。
【0101】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗炎症剤の具体例としては、プレドニゾン、デキサメタゾン、Enbrel(登録商標)、シクロオキシゲナーゼ・インヒビター(すなわち、COX−1および/またはCOX−2インヒビター、たとえばNSAIDs、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ピロキシカム、Naproxen(登録商標)、Celebrex(登録商標)、Vioxx(登録商標))、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト、CD40リガンド・アンタゴニスト、IMPDHインヒビター、たとえばミコフェノレート(mycophenolate)(CellCept(登録商標))、インテグリン(integrin)・アンタゴニスト、細胞癒合インヒビター、インターフェロンガンマ・アンタゴニスト、ICAM−1、腫瘍壊死因子(TNF)・アンタゴニスト(たとえばインフリキシマブ(infliximab)、OR1384)、プロスタグランジン合成インヒビター、ブデゾニド(budesonide)、クロファジミン、CNI−1493、CD4アンタゴニスト(たとえばプリリキシマブ(priliximab))、p38ミトゲン−活性化たん白キナーゼ・インヒビター、たん白チロシンキナーゼ(PTK)・インヒビター、IKKインヒビター、および過敏腸管症候群(たとえばU.S.特許No.6184231 B1に開示のような、Zelmac(登録商標)およびMaxi−K(登録商標)が挙げられる。
【0102】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗不安剤の具体例としては、ジアゼパム、ロラゼパム、ブスピロン、オキサゼパムおよびヒドロキシジンパモエートが挙げられる。
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗うつ剤の具体例としては、シタロプラム(citalopram)、フルオキセチン(fluoxetine)、ネファゾドン(nefazodone)、セルトラリン(sertraline)およびパロキセチン(paroxetine)が挙げられる。
上記皮膚障害または疾患の処置のため、本発明化合物をそれ単独、または必要に応じてレチノイド、たとえばトレチノイン、またはビタミンD類縁体と組合せて使用しうる。
【0103】
本発明化合物との組合せに用いる適当な抗高血圧剤の具体例としては、ベータアドレナリン作用性ブロッカー、カルシウムチャネル・ブロッカー(L型およびT型;たとえばジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン(amlodipine)およびマイベフラジル(mybefradil))、利尿薬(たとえばクロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸、トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムトレネン、アミロリド、スピロノラクトン)、レニン・インヒビター、ACEインヒビター(たとえばカプトプリル、ゾフェノプリル、ホシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラゾプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル)、AT−1レセプタ・アンタゴニスト(たとえばロサータン(losartan)、アーベサータン(irbesartan)、バルサータン(valsartan))、ETレセプタ・アンタゴニスト(たとえばシタックスセンタン(sitaxsentan)、アトルセンタン(atrsentan)およびU.S.特許No.5612359および6043265に開示の化合物)、二元ET/AIIアンタゴニスト(たとえばWO00/01389に開示の化合物)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)・インヒビター、バソペプジラーゼ・インヒビター(二元NEP−ACEインヒビター)(たとえばオマパトリラット(omapatrilat)およびゲモパトリラット(gemopatrilat))、およびニトレートが挙げられる。
【0104】
本発明化合物との組合せに用いる適当な強心配糖体の具体例としては、ジギタリスおよびウアバインが挙げられる。
本発明化合物との組合せに用いる適当なコレステロール/脂質低下剤の具体例としては、HMG−CoAレダクターゼ・インヒビター、スクアレンシンセターゼ・インヒビター、フィブレート、胆汁酸金属イオン封鎖剤、ACATインヒビター、MTPインヒビター、リポオキシゲナーゼ・インヒビター、回腸Na/胆汁酸共輸送インヒビター、コレステロール吸収インヒビター、およびコレステロールエステル転移たん白インヒビター(たとえばCP−529414)が挙げられる。
【0105】
本発明で、式Iの化合物の1種以上と組合せて使用しうるMTPインヒビターとしては、U.S.特許No.5595872、5739135、5712279、5760246、5827875、5885983および5962440に開示のMTPインヒビターが挙げられる。
【0106】
式Iの化合物の1種以上と組合せて使用しうるHMG CoAレダクターゼ・インヒビターとしては、メバスタチンおよびU.S.特許No.3983140に開示の関連化合物、ロバスタチン(メビノリン)およびU.S.特許No.4231938に開示の関連化合物、プラバスタチンおよびU.S.特許No.4346227に開示の関連化合物、シンバスタチンおよびU.S.特許No.4448784および4450171に開示の関連化合物が挙げられる。
【0107】
さらに本発明で使用しうるHMG CoAレダクターゼ・インヒビターとしては、U.S.特許No.5354772に開示のフルバスタチン、U.S.特許No.5006530および5177080に開示のセリバスタチン、U.S.特許No.4681893、5273995、5385929および5686104に開示のアトルバスタチン、U.S.特許No.4613610に開示のメバロノラクトン誘導体のピラゾール類縁体、PCT出願WO86/03488に開示のメバロノラクトン誘導体のインデン類縁体、U.S.特許No.4647576に開示の6−[2−(置換−ピロール−1−イル)アルキル)ピラン−2−オンおよびその誘導体、SearleのSC−45355(3−置換ペンタンジ酸誘導体)、ジクロロアセテート、PCT出願WO86/07054に開示のメバロノラクトンのイミダゾール類縁体、
【0108】
フランス特許No.2596393に開示の3−カルボキシ−2−ヒドロキシ−プロパン−ホスホン酸誘導体、ヨーロッパ特許出願No.0221025に開示の2,3−ジ置換ピロール、フランおよびチオフェン誘導体、U.S.特許No.4686237に開示のメバロノラクトンのナフチル類縁体、U.S.特許No.4499289に開示のオクタヒドロナフタレン化合物、ヨーロッパ特許出願No.0142146A2に開示のメビノリン(ロバスタチン)のケト類縁体、並びに他の公知のHMG CoAレダクターゼ・インヒビターが挙げられる。
【0109】
本発明化合物との組合せに使用しうるスクアレンシンセターゼ・インヒビターとしては、これらに限定されるものでないが、U.S.特許No.5712396に開示のα−ホスホノスルホネート化合物、Billerら,J.Med.Chem.,1988,Vol.31,No.10,pp1869−1871に開示のもの(イソプレノイドを含む)、(ホスフィニルメチル)ホスホネート化合物、P.Ortiz de Montellanoら,J.Med.Chem.,1977,20,243−249に開示のテルペノイド・ピロホスフェート化合物、CoreyおよびVolante,J.Am.Chem.Soc.,1976,98,1291−1293に開示のファルネシル・ジホスフェート類縁体Aおよびプレスクアレン・ピロホスフェート(PSQ−PP)類縁体、
【0110】
McClard R.W.ら,J.A.C.S.,1987,109,5544に記載のホスフィニルホスホネート化合物、およびCapson T.L.,Ph D論文,June,1987,Dept.Med.Chem.ユタ大学、Abstract,Table of Contents,pp16,17,40−43,48−51に記載のシクロプロパン化合物、並びにU.S.特許No.4871721および4924024およびBiller S.A.,Neuenschwander K.,Ponpipom M.M.およびPoulter C.D.,Current Pharmaceutical Design,2,1−40(1996)に開示の他のスクアレンシンセターゼ・インヒビターが挙げられる。
【0111】
本発明化合物との組合せに使用しうる胆汁酸金属イオン封鎖剤としては、コレスチラミン、コレスチポールおよびDEAE−セファデックス(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))、並びにリポスタビル(Rhone−Poulenc)、エーザイE−5050(N−置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(imanixil)(HOE−402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、味の素AJ−814(アズレン誘導体)、メリナミド(住友)、Sandoz58−035、American Cyanamid CL−277082およびCL−283546(ジ置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス、アシフラン、ネオマイシン、p−アミノサリチル酸、アスピリン、U.S.特許No.4759923に開示のポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、U.S.特許No.4027009に開示の第4級アミン・ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)およびイオネン化合物(ionenes)、および他の公知の血清コレステロール低下剤が挙げられる。
【0112】
本発明化合物との組合せ使用に好適なACATインヒビターとしては、Drugs of the Future 24,9−15(1999),(Avasimibe):“The ACAT inhibitor,Cl−1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”;Nicolosiら,Atherosclerosis(Shannon Irel).(1998),137(1),77−85:“The Pharmacological profile of FCE 27677:a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of Apo B100−containing lipoprotein”;Ghiselli Giancarlo,Cardiovasc.Drug Rev.(1998),16(1),16−30:“RP73163:a bioavailable alkylsulfinyl−diphenylimidazole ACAT inhibitor”;
【0113】
Smith C.ら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(1996),6(1),47−50:“ACAT inhibitors:physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti−atherosclerotic activities in experimental animals”;Krauseら,Editor(s):Ruffolo Robert R.,Jr.;Hollinger Mannfred A.,Inflammation:Mediators Pathways(1995),173−98,Publisher:CRC,Boca Raton Fla.:“ACAT inhibitors:potential anti−atherosclerotic agents”;Sliskovicら,Curr.Med.Chem.(1994),1(3),204−25:“Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol O−acyl transferase(ACAT)as hypocholesterolemic agents.6.The first water−soluble ACAT inhibitor with lipid−regulating activity.Inhibitors of acyl−CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT).7.Development of a series of substituted N−phenyl−N’−[(1−phenylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”;Stoutら,Chemtracts:Org.Chem.(1995),8(6),359−62に記載のACATインヒビターが挙げられる。
【0114】
本発明化合物との組合せに用いる適当なコレステロール吸収インヒビターの具体例としては、SCH48461(Schering−Plough)、並びにAtherosclerosis 115,45−63(1995)およびJ.Med.Chem.41,973(1998)に開示のものが挙げられる。
本発明化合物との組合せに用いる適当な回腸Na/胆汁酸共輸送インヒビターの具体例としては、Drugs of the Future,24,425−430(1999)に開示の化合物が挙げられる。
【0115】
本発明化合物との組合せに用いる適当な甲状腺擬似薬の具体例としては、甲状腺刺激ホルモン、ポリサイロイド(多甲状腺製剤、polythyroid)、KB−130015、およびドロネダロン(dronedarone)が挙げられる。
本発明化合物との組合せに用いる適当な同化作用剤の具体例としては、テストステロン、TRHジエチルスチルベステロール、エストロゲン、β−アゴニスト、テオフィリン、同化作用ステロイド、デヒドロエピアンドロステロン、エンケファリン、E−シリーズプロスタグランジン、レチン酸および下記U.S.特許に開示の化合物:U.S.特許No.3239345(たとえばZeranol(登録商標)、U.S.特許No.4036979(たとえばSulbenox(登録商標))、またはU.S.特許No.4411890に開示のペプチドが挙げられる。
【0116】
上記他の治療剤は、本発明化合物と組合せて使用するとき、たとえばザ・フィジシャンズ・デスク・リファレンス(the Physician's Desk Reference)(PDR)に示される量で、または当業者によって決定される量で使用されてよい。
本発明化合物を他の治療剤の1種以上と組合せて、同時にまたは連続して用いる場合、以下に示す組合せ比および用量範囲が好ましい。
【0117】
式Iの化合物は、低脂血症剤、抗うつ剤、骨吸収インヒビターおよび/または欲求抑止剤と組合せるとき、式Iの化合物と追加治療剤の重量比が約500:1〜0.005:1、好ましくは約300:1〜0.01:1の範囲内となるように使用されてよい。
抗糖尿病剤がビグアニドである場合、式Iの化合物とビグアニドの重量比が約0.01:1〜100:1、好ましくは約0.5:1〜2:1の範囲内となるように使用されてよい。
【0118】
式Iの化合物は、グルコシダーゼ・インヒビターとの重量比が約0.01:1〜100:1、好ましくは約0.5:1〜50:1の範囲内となるように使用されてよい。
式Iの化合物は、スルホニル尿素との重量比が約0.01:1〜100:1、好ましくは約0.2:1〜10:1の範囲内となるように使用されてよい。
【0119】
式Iの化合物は、チアゾリジンジオンとの重量比が約0.01:1〜100:1、好ましくは約0.5:1〜5:1の範囲内となるように使用されてよい。
チアゾリジンジオンは、約0.01〜2000mg/日範囲の量で使用されてよく、必要に応じて1日当り、1回用量または2〜4回の分割用量で投与しうる。
【0120】
さらに、スルホニル尿素およびチアゾリジンジオンが約150mg以下の量で経口投与すべき場合、これらの追加治療剤は、治療上有効量の式Iの化合物と共に、混合単一錠剤に混和されてよい。
メトホルミンまたはその塩は、約500〜2000mg/日範囲の量で、式Iの化合物と共に使用されてよく、1日当り1回用量または2〜4回の分割用量で投与しうる。
【0121】
式Iの化合物は、PPAR−アルファ・アゴニスト、PPAR−ガンマ・アゴニスト、PPAR−アルファ/ガンマ二元アゴニスト、SGLT2インヒビターおよび/またはaP2インヒビターとの重量比が約0.01:1〜100:1、好ましくは約0.5:1〜5:1の範囲内となるように使用されてよい。
MTPインヒビターは、約0.01〜100mg/kg、好ましくは約0.1〜75mg/kg範囲の量で1日当り1〜4回用量にて、式Iの化合物と共に経口投与しうる。
【0122】
好ましい経口投与剤形、たとえば錠剤またはカプセル剤は、約1〜500mg、好ましくは約2〜400mg、より好ましくは約5〜250mgの量のMTPインヒビターを含有することができ、1日当り1〜4回の生活規制で投与される。
非経口投与の場合、MTPインヒビターは、約0.005〜10mg/kg、好ましくは約0.005〜8mg/kg範囲の量で使用でき、1日当り1〜4回の生活規制で投与される。
【0123】
HMG CoAレダクターゼ・インヒビターは、約1〜2000mg、好ましくは約4〜200mg範囲内で、式Iの化合物と共に経口投与されてよい。
好ましい経口投与剤形、たとえば錠剤またはカプセル剤は、約0.1〜100mg、好ましくは約5〜80mg、より好ましくは約10〜40mgの量のHMG CoAレダクターゼ・インヒビターを含有するだろう。
スクアレンシンセターゼ・インヒビターは、約10〜2000mg、好ましくは約25〜200mg範囲内で、式Iの化合物と共に経口投与されてよい。
【0124】
好ましい経口投与剤形、たとえば錠剤またはカプセル剤は、約10〜500mg、好ましくは約25〜200mgの量のスクアレンシンセターゼ・インヒビターを含有するだろう。
式Iの本発明化合物は、上述の疾病にかかり易いことが知られている各種の哺乳類種、たとえばヒトに対し、約0.01〜1000μg/kg、好ましくは約0.1〜100μg/kg、より好ましくは約0.2〜50μg/kg(または約0.5〜2500mg、好ましくは約1〜2000mg)の用量範囲内の有効量で、かつ1日当り1回用量または2〜4回の分割用量の生活規制にて、経口投与または非経口投与、たとえば皮下もしくは静脈内に投与、並びに鼻腔、直腸もしくは舌下に投与することができる。
【0125】
式Iの化合物は、本明細書記載の用途のいずれの場合でも、適当ないずれかの手段により、たとえば、非毒性の医薬的に許容しうるビヒクルまたは希釈剤を含有する単位投与製剤にて、経口投与(たとえば錠剤、カプセル剤、顆粒剤または粉剤の剤形で);舌下投与;バッカル投与;非経口投与(たとえば皮下、静脈内、筋肉内または胸骨内の注射もしくは注入技法により)(たとえば、無菌注射用の水性または非水性溶液または懸濁液で);鼻腔内投与(たとえば吸入噴霧による鼻腔膜への投与を含む);局所投与(たとえばクリームまた軟膏の形状で);または直腸投与(たとえば坐剤の形状で)することができる。
【0126】
本発明化合物はたとえば、即座放出または長期放出に適した剤形で投与することができる。即座放出または長期放出は、本発明化合物を含有する適当な医薬組成物の使用によって、あるいは特に長期放出の場合は、皮下インプラントまたは浸透ポンプなどの器具の使用によって達成しうる。また本発明化合物は、リポソームでも投与することができる。
【0127】
経口投与用組成物の具体例としては、たとえば嵩を付与する微結晶セルロース、沈殿防止剤としてのアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当該分野で知られているような甘味剤もしくはフレーバーを含有しうる懸濁液;およびたとえば微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、スターチ、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはラクトースおよび/または当該分野で知られているような他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および潤滑剤を含有しうる即座放出用錠剤が挙げられる。
【0128】
また式Iの化合物は、舌下および/またはバッカル投与で、口腔を介してデリバリーすることもできる。成形錠剤、圧縮錠剤または凍結乾燥錠剤が、使用しうる例示的な剤形である。組成物の具体例としては、本発明化合物を速溶解希釈剤、たとえばマンニトール、ラクトース、スクロースおよび/またはシクロデキストリンと配合したものが挙げられる。またかかる配合物に、高分子量賦形剤、たとえばセルロース(アビセル(avicel))またはポリエチレングリコール(PEG)を含ませてもよい。
【0129】
またかかる配合物は、粘膜付着を助成する賦形剤、たとえばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウム・カルボキメチルセルロース(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(たとえばGantrez)、および放出をコントロールする物質、たとえばポリアクリル酸コポリマー(たとえばCarbopol934)も含有しうる。また二次加工や使用を容易にするため、潤滑剤、滑剤、フレーバー、着色剤および安定化剤を加えてもよい。
【0130】
鼻腔エアゾールまたは吸入投与用組成物の具体例としては、たとえばベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、生物学的利用能を高める吸収促進剤、および/または当該分野で知られているような他の可溶化または分散剤を含有しうる食塩水の溶液が挙げられる。
非経口投与用組成物の具体例としては、たとえば適当な非毒性の非経口投与に許容しうる希釈剤または溶剤、たとえばマンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液、または他の適当な分散または湿潤および沈殿防止剤(合成モノもしくはジグリセリド、およびオレイン酸もしくはCremaphorを含む脂肪酸を包含)を含有しうる注射用の溶液または懸濁液が挙げられる。
【0131】
直腸投与用組成物の具体例としては、たとえば適当な非刺激性賦形剤、たとえば常温で固体であるが、直腸腔内で液化および/または溶解して薬物を放出する、カカオ脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールを含有しうる坐剤が挙げられる。
局所投与用組成物の具体例としては、局所担体、たとえばPlastibase(鉱油をポリエチレンでゲル化したもの)が挙げられる。
【0132】
個々の被検者に対する特定の用量レベルや投与回数は、適宜に変化させることができ、かつ使用する特定化合物の活性、該化合物の代謝安定性や作用長さ、被検者の種、年令、体重、通常の健康状態、性別およびダイエット、投与のモードや時間、排泄速度、薬物組合せ、および個々の病状の厳しさを含む種々の要因に左右されることが理解されよう。
【実施例】
【0133】
次に挙げる実施例は、本発明の好ましい具体例を良好に説明するのに役立つが、これらの具体例を限定するものではない。
実施例1
【化13】

3−[N−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−メチル)フェノキシ]−2−メチルフェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
【0134】
1A.
【化14】

N.Jacobsen,J.C.S.Perkin Trans.1979,2,569の手順に従って、TFA/THF(2.5:1)中の3−イソプロピル−5−メチルフェノール(1g、6.6ミリモル)の撹拌溶液に、30%aq.H(2.6mL、23.3ミリモル)を20℃に維持する速度で加える。18hr後、褐色オレンジ色溶液をEtOで希釈し、NaHCO固体を加えて反応を抑える。バイオレット色の有機層を、バイオレット色がもはや残存しなくなるまで、5%KCOで繰返し洗った後、溶液をNaSO上で乾燥する。揮発分の除去後、0.48gの黄色油状物を得る。この粗2−イソプロピル−6−メチルキノンは直ちに使用するが、それは分解して2つ以上の極性化合物を形成する傾向にあるからである。
【0135】
1B.
【化15】

2−イソプロピル−6−メチルキノリン(68mg、0.4ミリモル)/75% aq.EtOH(4mL)の撹拌溶液に、Na(72mg、0.4ミリモル)を加える。60℃で1hrの加熱で〜50%変換をもたらし、次いで追加当量のNaを加え、2回目の1hr加熱で残りのキノンを生成物に変換する。aq.NHClで希釈後、反応液をEtOAcで3回抽出する。コンバインしたEtOAc層を塩水で洗ってから、NaSO上で乾燥する。揮発分の減圧除去後、残渣をシリカゲルにて、15%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、45mgの所望2−イソプロピル−6−メチルヒドロキノンを白色固体で溶離する。
【0136】
1C.
【化16】

2−イソプロピル−6−メチルヒドロキノン(50mg、0.3ミリモル)およびDMAP(4mg、0.1ミリモル)/ピリジン(1mL)の撹拌溶液に、AcCl(55μL、2.5ミリモル)を加える。ゆっくり20℃に加温後、反応液を4hr撹拌してから、1N−HClで反応を抑え、EtOAcで3回抽出する。
【0137】
コンバインしたEtOAc層をNaSO上で乾燥し、濃縮した後に得られる残渣を、シリカゲルにて20%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、69mgの所望ビスアセチル化ヒドロキノンを溶離する。このビスアセテート(0.28ミリモル)/EtOH(1mL)に、HO(0.1mL)中のNaOH(12mg、0.29ミリモル)およびNa(13mg、0.75ミリモル)の溶液をゆっくり加えることにより、所望のモノ4−アセテートが生成する。30分後、1N−HClを加えて反応を抑えた後、EtOHを減圧除去する。残渣をEtOAcに溶解後、NHCl、次いで塩水で洗ってから、NaSO上で乾燥する。揮発分の除去後は、シリカゲルにて15%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーで、45mgの所望3−イソプロピル−5−メチル−4−アセトキシフェノールを溶離する。
【0138】
1D.
【化17】

3−メチル−4−ニトロフェノール(1g、6.5ミリモル)をMeOH/CHCl(1:1)溶液に0℃で溶解し、これにBnNMeBr(2.55g、6.5ミリモル)およびCaCO(0.65g、6.5ミリモル)を加える。40分後HPLC分析により、反応は完了していると思われ、これに1N−HCl(30mL)を加えて反応を抑える。MeOHおよびCHClを減圧除去後、固体を濾取し、HOで洗って2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノールを白色固体で得る(2g、99%)。
【0139】
1E.
【化18】

CHCl(20mL)中の2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノール(2g、6.43ミリモル)の撹拌溶液に0℃にて、EtN(1.34mL、9.5ミリモル)を加えた後、TfO(1.2mL、7ミリモル)を滴下する。20℃に加温および2hr撹拌後、HOで反応を抑える。有機層をHOおよび塩水で1回洗ってから、MgSO上で乾燥する。
【0140】
さらなる精製をせずに、揮発分の減圧除去後に得られる黒色油状物をNaI(2g、13ミリモル)と共に、DMF(15mL)中100℃で16hr加熱する。冷却し、反応液をEtOで希釈し、HOで2回および塩水で1回洗う。MgSO上で乾燥後、揮発分の減圧除去後に得られる残渣を、シリカゲルにて溶離剤として2〜5%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、1.38gの3,5−ジブロモ−4−ヨード−2−メチルニトロベンゼン(50%)をオフホワイト固体で得る。
【0141】
1F.
【化19】

DMF(33mL)中のKCO(242mg、1.75ミリモル)、上記1Bで製造した3−イソプロピル−5−メチル−4−アセトキシフェノール(670mg、1.59ミリモル)および上記1Eで製造した3,5−ジブロモ−4−ヨード−2−メチルニトロベンゼン(670mg、1.59ミリモル)の撹拌混合物を、70℃で18hr加熱すると、HPLC分析により、両成分が消費されているのが認められる。EtOおよび飽和aq.NHClで希釈後、混合物をEtOで2回抽出する。コンバインした層をNHCl、次いで塩水で洗ってから、MgSO上で乾燥する。揮発分の除去後、シリカゲルにて10〜25%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーで、370mgの所望ジアリールエーテルを黄色固体で溶離する。
【0142】
1G.
【化20】

O/AcOH(1:9、14.6mL)中の上記1Fで製造したニトロジアリールエーテル(369mg、0.74ミリモル)の撹拌溶液に、Fe粉末(206mg、3.69ミリモル)を加える。20℃で3hr撹拌後、HPLC分析により、出発物質の消費が認められる。いったんAcOHを減圧除去すれば、残渣をEtOAc(75mL)およびHO(50mL)で希釈し、EtOAcで2回抽出する。コンバインしたEtOAc層を、塩水で洗いおよびNaSO上で乾燥してから、濃縮して352mgの生成物をオフホワイト泡状物で得、これをさらなる精製せずに用いる。
【0143】
1H.
【化21】

上記1Gの4−アミノジアリールエーテル(353mg、0.748ミリモル)/THF(15mL)の撹拌溶液に、エチルマロニルクロリド(169mg、1.12ミリモル)およびEtN(189mg、1.87ミリモル)を加える。20℃で20hr後、飽和aq.NHClを加えて反応を抑え、THFを減圧除去する。
【0144】
残渣をEtOAcに溶解後、溶液をaq.NHClで2回連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。揮発分を除去して、438mgの黄色泡状物を得、これを、LiOH・HO(157mg、3.74ミリモル)含有のTHF/HO(4:1、25mL)中40℃で、19hr撹拌することにより、最終生成物に変換せしめる。THFの減圧除去後、1N−HClで反応液のpHを1に調整してから、EtOAc抽出を2回行なう。コンバインした層をaq.NHClで洗い、MgSO上で乾燥し、濃縮する。得られるオレンジ色残渣(385mg)をMeCNに溶解してから、溶離剤として0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる分取HPLCで精製して、225mgの所望最終生成物を白色泡状物で得る。
【0145】
1H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ 9.35 (s, 1H), 8.027 (s, 1H), 6.47 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 6.22 (d, J = 3 Hz, 1H), 3.49 (s, 2H), 3.22 (septet, J = 7 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 1.05 (d, J = 7.0 Hz, 6H).
HPLC:LUNA4.6×50mm、4分にわたる0〜100%B、8mL/分、3分ホールド(hold)時間、A=10%メタノール/水+0.2%HPO、B=90%メタノール/水+0.2%HPO、保持時間=7.43分
LCMS実測値,511.8、513.7、515.7(M−H)
【0146】
実施例2
【化22】

3−[N−3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−クロロ)−フェノキシ]−2−メチルフェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
【0147】
2A.
【化23】

O(5.6L)中のKOH(1154g、4.75ミリモル)、Bu HSO(140g、0.41モル)からなる撹拌20℃溶液に、商業上入手しうる2−イソプロピルフェノール(590g、4.33モル)/CHCl(5.6L)を加える。30分後、MeI(741g、5.22モル)を加えてから、反応液を一夜撹拌する。各層の分離後、CHCl画分にEtN(185mL、1.3モル)を加えて、残留MeIを消失させる。15分後、CHClを減圧除去し、塩をシクロヘキサン(4L)に懸濁してから、濾過する。シクロヘキサン濾液を2N−HCl、次いで塩水で2回連続的に洗う。減圧濃縮して2−イソプロピルアニソール(612g、94%)を明黄色油状物で得る。
【0148】
2−イソプロピルアニソール(859g、5.85モル)およびPOCl(2690g、17.5モル)の撹拌溶液にN下80℃にて、DMF(1584mL、20.46モル)を温度が80〜90℃に維持されるような速度でゆっくりと加える。85℃で16hr撹拌後、暗色溶液を7kgの氷上に用心深く注ぐ。(激しい発熱のため、反応抑制に1.5hrを要する)。混合物をEtOAcで2回(トータル用量16L)抽出する。コンバインしたEtOAc層をaq.NaHCOで1回、次いで塩水で洗う。濃縮すると、881gの4−ホルミル−2−イソプロピルアニソールが得られる。
【0149】
THF(4.56L)およびシクロヘキサン(3.74L)中の4−ホルミル−2−イソプロピルアニソール(880g、4.94モル)の溶液に20℃にて、NaHSO(1.31kg、12.56モル)/HO(4.36L)の溶液を加える。一夜撹拌後、結晶を濾取し、シクロヘキサン/THF(3:1)で洗ってから、減圧乾燥して1.3kgの重亜硫酸塩アダクトを得る。p−TosOH・HO(908g、4.77モル)含有のHO/MeOH(1:4、13L)中の上記乾燥アダクトの撹拌溶液に、30%H(1.625L、16.1モル)を温度が0〜5℃に維持されるような速度で1.75hrにわたりゆっくりと加える。
【0150】
20℃で一夜撹拌後、反応をHPLCで監視する。出発物質が残存していれば、追加のHを加える。反応が完了すると、反応液を4℃に冷却した後、6.5LのHO中のNaSO(1.86kg、10.68モル)の溶液を、温度が34℃を越えないような速度で加える。1hr撹拌後、固体を濾別し、EtOAcで洗う。水性層をEtOAcで抽出する。コンバインしたEtOAc画分を、aq.NaHCOおよび塩水で連続的に洗う。濃縮すると、3−イソプロピル−4−メトキシフェノール(510g、67%変換)が純度93%で得られる。
【0151】
2B.
【化24】

DMF(10mL)中のKCO(224mg、1.6ミリモル)、上記2Aで製造した3−イソプロピル−4−メトキシフェノール(224mg、1.34ミリモル)および実施例1/Eで製造した3,5−ジブロモ−4−ヨード−2−メチルニトロベンゼン(567mg、1.34ミリモル)の撹拌混合物を、75℃で48hr加熱した後、HPLC分析により反応の完了が認められる。EtOおよび飽和aq.NHClで希釈後、混合物をEtOで2回抽出する。コンバインした層をNHClで3回、次いで塩水で洗ってから、MgSO上で乾燥する。揮発分の除去後、シリカゲルにて2〜5%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーで、320mgの所望ジアリールエーテルを黄色固体で溶離する。
【0152】
2C.
【化25】

上記2Bで製造したメトキシジアリールエーテル(320mg、0.7ミリモル)を含有する撹拌0℃CHCl溶液(7mL)に、BBr(72μL、0.77ミリモル)を加える。0℃で16hr撹拌後、TLC分析により完了している反応を、HOで抑える。CHClの除去の後、残渣をEtOAcに溶解する。EtOAc層を、飽和aq.NHClで2回洗った後、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮後に得られる残渣を、シリカゲルにて15〜30%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、264mgのフェノール性ジアリールエーテルを溶離する。
【0153】
2D.
【化26】

上記2Cのフェノール性ジアリールエーテル(264mg、0.59ミリモル)を含有する撹拌20℃HOAc溶液(5mL)に、BnNMeICl(250mg、0.59ミリモル)を加える。1hr後、固体を濾別した後、濾液にHO(1mL)およびFe粒子(165mg、3ミリモル)を加える。反応液を40℃で16hr撹拌する。HOAcの減圧除去後、反応液をEtOAc(50mL)およびaq.NaHCO(50mL)で希釈する。次いでスラリーを濾過してから、EtOAc抽出を2回行なう。コンバインしたEtOAc画分をaq.NaHCOで2回、塩水で1回連続的に洗った後、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルにて、溶離剤として10〜20%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、210mgの所望ジアリールエーテルを得る。
【0154】
2E.
【化27】

THF/HO(10:1、5.5mL)中の上記2Dの4−アミノジアリールエーテル(210mg、0.47ミリモル)の撹拌0℃溶液に、NaHCO(194mg、2.35ミリモル)、次いでエチルマロニルクロリド(66μL、0.52ミリモル)を加える。1hrにわたり20℃に加温およびさらに1時間撹拌後、飽和aq.NHClの添加で反応を抑える。
【0155】
THFの減圧除去に続き、残渣をEtOAcに溶解後、aq.NHClで2回連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。粗生成物をシリカゲルにて、20%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して精製し、所望の半エステル半アミドを溶離し、これを、LiOH・HO(60mg、1.5ミリモル)含有のTHF/HO(4:1、5mL)中で20℃にて4hr撹拌することにより、最終生成物に変換せしめる。THFの減圧除去後、反応液のpHを1N−HClで2に調整する。得られる白色固体を濾取し、風乾して160mgの所望最終生成物を得る。
【0156】
1H NMR (400 MHz, d6-アセトン) δ 9.50 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 6.77 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 6.49 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 3.58 (s, 2H), 3.33 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 1.17 (d, J = 7.0 Hz, 6H).

13C NMR (400 MHz, d6-アセトン) δ 170.08, 165.20, 150.84, 147.00, 145.40, 139.37, 136.07, 133.50, 128.53, 122.00, 121.38, 115.00, 113.46, 112.98, 42.42, 28.20, 22.59, 18.50.
HPLC:LUNA4.6×50mm、4分にわたり0〜100%B、4mL/分、1分ホールド時間、A=10%メタノール/水+10mmNHOAc、B=90%メタノール/水+10mmNHOAc、保持時間=3.40分
LCMS実測値534.00(M+H)。HRMS実測値533.9330(Cl19BrClNO、(M+H))。CHN分析実測値C41.00%、H3.50%、N2.47%。
【0157】
実施例3
【化28】

3−[N−[2,3,5−トリクロロ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−メチル)−フェノキシ]フェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
【0158】
3A.
【化29】

DMF(3.8mL)中の2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼン(400mg、1.53ミリモル)、実施例1/Cで製造した3−イソプロピル−5−メチル−4−アセトキシフェノール(319mg、1.53ミリモル)およびKCO(254mg、1.84ミリモル)の混合物を、20℃で23hr激しく撹拌する。反応液をEtOAc(200mL)で希釈してから、有機層をトータル500mLの1N−HClで3回、塩水で1回洗い、次いでMgSO上で乾燥する。減圧濃縮して黄色油状物を得、これをシリカゲルにて、溶離剤としてヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、448mgの所望ジアリールエーテルを得る。
【0159】
3B.
【化30】

HOAc(5mL)中の上記3Aのニトロジアリールエーテル(435mg、1ミリモル)およびFe粉末(112mg、2ミリモル)の混合物を、HPLC分析により反応完了まで20℃で48hr撹拌する。反応液をEtOAcおよびHO(各100mL)で希釈する。相分離し、有機層を100mL部のHOで1回およびaq.NaHCOで2回洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮して黄色油状物を得、これをシリカゲルにて溶離としてヘキサン〜5%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、355mgの所望ジアリールエーテルを得る。
【0160】
3C.
【化31】

CHCl(4.4mL)中の上記3Bの4−アミノジアリールエーテル(355mg、0.88ミリモル)の撹拌溶液に、エチルマロニルクロリド(146mg、0.97ミリモル)、ピリジン(214μL、2.6ミリモル)およびDMAP(10mg、0.09ミリモル)を加える。20℃で20hr後、反応液を0℃に冷却してから、3mLの1N−HClを加える。10分撹拌後、追加30mLのCHClおよび1N−HClを加える。相分離し、有機層を1N−HClで洗う。減圧濃縮に続き、溶離剤としてヘキサン〜5%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーで、115mgの所望アシル化ジアリールエーテルを黄色泡状物で得る。
【0161】
3D.
【化32】

O/THF/MeCN(1:2:3、1.1mL)中の上記3Cのエチルエステル(115mg、0.22ミリモル)およびLiOH・HO(19mg、0.45ミリモル)の溶液を、一夜撹拌する。1mLの1N−HClの添加後、混合物を、溶離剤として0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる逆相分取HPLCで精製して、16mgの所望最終生成物を白色泡状物で得る。
【0162】
1H NMR (CD3CN, 400 MHz) δ 9.47 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 6.56 (d, 1H, J=3.1 Hz), 6.32 (d, 1H, J=3.1 Hz), 3.51 (s, 2H), 3.17 (septet, 1H, J=6.8 Hz), 1.10 (d, 6H, J=6.9 Hz)

13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ 169.22, 164.89, 149.92, 146.83, 136.46, 133.34, 128.84, 127.50, 125.54, 121.29, 113.16, 110.04, 40.83, 26.65, 21.63, 15.64.
HPLC:2.59分、HI96.4%、カラム:YMS S−5 C18 4.6×50mm、勾配:4分にわたり0〜100%B、溶剤A=10%CHCN/HO+0.1%TFA、溶剤B=90%CHCN/HO+0.1%TFA、流速:4mL/分、220nmで単色検出。
低Res.MS分析(C1918ClNOとして):計算値445、実測値m/z445
高Res.MS分析(C1918ClNOとして):計算値445.02506、実測値m/z444.0175[M−H]
【0163】
実施例4
【化33】

3−[N−[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−クロロ)−フェノキシ]フェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
4A.
【化34】

DMF(15mL)中の2,3,4,5,6−ペンタクロロニトロベンゼン(897mg、3.0ミリモル)、実施例2/Aで製造した3−イソプロピル−4−メトキシフェノール(505mg、3.0ミリモル)およびKCO(503mg、1.6ミリモル)の混合物を、20℃で23hr激しく撹拌する。反応液をEtOAc(150mL)で希釈してから、有機層をトータル150mLの1N−HClで3回、塩水で1回洗い、次いでMgSO上で乾燥する。減圧濃縮して1.3gの赤色油状物を得、これをシリカゲルにて溶離剤として15%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、644mgの所望ジアリールエーテルを黄色油状物で得る。
【0164】
4B.
【化35】

上記4Aで製造したメトキシジアリールエーテル(644mg、1.5ミリモル)を含有する撹拌−78℃ CHCl溶液に、1M−BBr/CHCl(15mL、15ミリモル)を加える。反応液を、20℃にゆっくり加温した後、18hr撹拌してから、これを用心深く氷冷HO(100mL)に加えて、反応を抑える。混合物をCHClで2回抽出後、コンバインしたCHCl層を塩水で洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮後に得られる残渣を、シリカゲルにて15〜40%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、415mgのフェノール性ジアリールエーテルを黄色油状物で溶離する。
【0165】
4D.
【化36】

上記4Cのフェノール性ジアリールエーテル(660mg、1.61ミリモル)を含有する撹拌20℃ HOAc溶液(8mL)に、BnNMeICl(675mg、1.61ミリモル)を加える。1hr後、固体を濾別した後、濾液にFe粒子(450mg、8ミリモル)を加える。反応液を20℃で3日間撹拌する。HOAcの減圧除去後、反応液をHO(50mL)で希釈してから、EtOAcで3回抽出する。コンバインした有機層をaq.NaHCOおよび塩水で連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルにて溶離剤として10〜25%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、540mgの所望ジアリールエーテルを得る。
【0166】
4E.
【化37】

CHCl(4mL)中の上記4Dの4−アミノジアリールエーテル(350mg、0.84ミリモル)の撹拌0℃溶液に、エチルマロニルクロリド(126mg、0.84ミリモル)およびピリジン(200μL、2.5ミリモル)を加える。0℃で1.5hr後、3mLの1N−HClを加えて反応を抑える。10分撹拌後、追加30mLのCHClおよび1N−HClを加える。相分離し、有機層を1N−HClで洗う。減圧濃縮に続き、シリカゲルにて溶離剤として15〜30%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーで、120mgの所望アシル化ジアリールエーテルを得る。
【0167】
4F.
【化38】

O/THF/MeCN(1:2:3、1mL)中の上記4Eのエチルエステル(115mg、0.22ミリモル)およびLiOH・HO(28mg、0.66ミリモル)の溶液を、一夜撹拌する。1mLの1N−HClの添加後、混合物を、溶離剤として0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる逆相分取HPLCで精製して、53mgの所望最終生成物を白色泡状物で得る。
【0168】
1H NMR (CD3CN, 400 MHz) δ 8.96 (s, 1H), 6.91 (d, 1H, J=3.0 Hz), 6.73 (d, 1H, J=3.0 Hz), 6.61 (br s, 1H), 3.65 (s, 2H), 3.37 (septet, 1H, J=6.8 Hz), 1.28 (d, 6H, J=6.9 Hz)
HPLC:2.6分、HI96.4%、カラム:YMS S−5 C18 4.6×50mm、勾配:4分にわたり0〜100%B、溶剤A=10%CHCN/HO+0.1%TFA、溶剤B=90% CHCN/HO+0.1%TFA、流速:4mL/分、220nmで単色検出。
LC−MS:[M+H]499.88、501.87、503.88、505.88
低Res.MS分析(C1814ClNOとして):計算値498、実測値m/z499[M+H]
高Res.MS分析(C1814ClNOとして):計算値498.93146、実測値m/z499.9391[M+H]
【0169】
実施例5
【化39】

3−[N−[2,3,5−トリクロロ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−クロロ)−フェノキシ]フェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
5A.
【化40】

DMF(9mL)中の2,3,4,5−テトラクロロニトロベンゼン(707mg、2.7ミリモル)、実施例2/Aで製造した3−イソプロピル−4−メトキシフェノール(450mg、2.7ミリモル)およびKCO(449mg、3.25ミリモル)の混合物を、20℃で60hr激しく撹拌する。反応液をEtOAc(150mL)で希釈してから、有機層をトータル150mLの1N−HClで2回、HO次いで塩水で1回洗い、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮して1.73gの赤色油状物を得、これをシリカゲルにて、溶離剤として5%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、810mgの所望ジアリールエーテルを得る。
【0170】
5B.
【化41】

HOAc(20mL)中の上記5Aのニトロジアリールエーテル(800mg、2.05ミリモル)の溶液に、Fe粒子(343mg、6.15ミリモル)を加える。20℃で20hr撹拌後、HOAcを減圧除去する。残渣をHO(30mL)で希釈してから、EtOAcで3回抽出する。コンバインした有機層をaq.NaHCOおよび塩水で連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルにて、溶離剤としてヘキサン〜25%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、540mgの所望ジアリールエーテルを白色固体で得る。
【0171】
5C.
【化42】

THF(30mL)中の上記5Bの4−アミノジアリールエーテル(540mg、1.5ミリモル)の撹拌溶液に、エチルマロニルクロリド(339mg、2.25ミリモル)、EtN(379mg、3.7ミリモル)を加える。20℃で1hr後、飽和aq.NHClで反応を抑える。THFの減圧除去後、残渣をEtOAcと飽和aq.NHCl間に分配する。EtOAc層を飽和aq.NHClおよび塩水で連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮に続き、残渣をシリカゲルにて10〜30%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、550mgの所望アシル化ジアリールエーテルを溶離する。
【0172】
5D.
【化43】

CHCl(12mL)中の上記5Cの4−メトキシジアリールエーテル(550mg、1.6ミリモル)の−78℃溶液に、BBr(2.9g、11.6ミリモル)を加える。反応液を20℃で一夜撹拌した後、HO(20mL)で反応を抑える。混合物をEtOAcで3回抽出した後、コンバインしたEtOAc画分を塩水で洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮に続き、残渣をLiOH・HO(122mg、2.9ミリモル)と共にTHF/HO(2:1、18mL)に溶解する。得られる溶液を16hr撹拌し、次いで減圧濃縮し、EtOAcおよびHOで希釈する。
【0173】
1N−HClでpH1〜2に調整してから、EtOAcで3回抽出する。コンバインしたEtOAc画分を塩水で洗い、MgSO上で乾燥してから、減圧濃縮して513mgの生成物を得る。この粗生成物の一部(200mg、<0.46ミリモル)を含有する−25℃MeCN溶液(20mL)に、t−BuOCl(50mg、0.46ミリモル)を加える。
【0174】
−20℃で1hr後に、HPLC分析により反応の不完全が認められ、このとき第2部のt−BuOCl(26mg、0.24ミリモル)を加える。3hr後温度が−5℃に上昇すると、副生成物が生じ始める。反応液を−10℃に冷却し、aq.NaHSOで反応を抑え、濃縮する。aq.NHClで希釈した後、混合物をEtOAcで3回抽出する。コンバインしたEtOAc画分を塩水で洗い、MgSO上で乾燥してから、減圧濃縮する。粗生成物を、0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる逆相分取クロマトグラフィーで精製して、6.5mgの所望最終生成物を溶離する。
【0175】
1H NMR (CD3CN, 400 MHz) δ 9.56 (s, 1H) 8.45 (s, 1H), 6.74 (d, 1H, J=3.1 Hz), 6.59 (d, 1H, J=3.0 Hz), 6.43 (br s, 1H), 3.52 (s, 2H), 3.24 (septet, 1H, J=6.9 Hz), 1.14 (d, 6H, J=6.9 Hz)
HPLC:2.78分、HI99.1%、カラム:YMS S−5 C18 4.6×50mm、勾配:4分にわたり0〜100%B、溶剤A=10%CHCN/HO+0.1%TFA、溶剤B=90% CHCN/HO+0.1%TFA、流速:4mL/分、220nmで単色検出。
LC−MS:466.09、468.09、470.09[M−H]464.02、466.02
低Res.MS分析(C1815ClNOとして):計算値464.97、実測値m/z465[M+H]
高Res.MS分析(C1815ClNOとして):計算値m/z464.97043、実測値m/z463.9639[M−H]
【0176】
実施例6
【化44】

3−[N−[3,5−ジクロロ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−メチル)−フェノキシ]−2−メチルフェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
6A.
【化45】

AcOH(235mL)中の3−メチル−4−ニトロフェノール(1.74g、11.36ミリモル)およびBnNMeICl(9.52g、22.7ミリモル)の溶液を、撹拌下70℃で18hr加熱する。冷却後、新たに析出したオレンジ色固体を濾去し、濾過ケークをAcOHで洗う。コンバインした濾液を減圧濃縮した後、残渣をEtOAc/HO間に分配する。相の分離後、EtOAc層を塩水で洗い、MgSO上で乾燥し、濃縮して3.06gの褐色固体を得る。シリカゲルにてヘキサン〜5%EtOAc/ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーに付し、1.71g(70%)の2,6−ジクロロ−3−メチル−4−ニトロフェノールを黄色オレンジ色固体で得る。
【0177】
6B.
【化46】

CHCl(10mL)中の2,6−ジクロロ−3−メチル−4−ニトロフェノール(1.71g、7.7ミリモル)の撹拌溶液に−10℃にて、EtN(1.09g、10.8ミリモル)を加えた後、TfO(2.39g、8.4ミリモル)を滴下する。
【0178】
20℃に加温および3日間撹拌後、HOで反応を抑える。2つのCHCl抽出物のコンバインした画分を、1N−HCl、aq.NaHCOおよび塩水で連続的に1回洗ってから、MgSO上で乾燥する。さらなる精製せず、揮発分の減圧除去後に得られる赤褐色油状物(2.5g)を、NaI(4.24g、28ミリモル)と共にDMF(8mL)中、100℃で18hr撹拌しながら加熱する。冷却し、反応液を氷/HOに注ぎ、0℃で2hr撹拌してから濾過する。濾過ケークをHOで洗ってから、減圧乾燥して1.64gの3,5−ジクロロ−4−ヨード−2−メチルニトロベンゼン(70%)をオフホワイト固体で得る。
【0179】
6C.
【化47】

DMF(47mL)中のKCO(344mg、2.5ミリモル)、実施例1/Cで製造した3−イソプロピル−5−メチル−4−アセトキシフェノール(471mg、2.26ミリモル)および3,5−ジクロロ−4−ヨード−2−メチルニトロベンゼン(750mg、2.26ミリモル)の撹拌混合物を、70℃で19hr加熱すると、HPLC分析により両出発成分が消費しているのが認められる。EtAc(75mL)および飽和aq.NHCl(95mL)で希釈後、混合物をEtOAcで2回抽出する。コンバインした層をNHClで2回洗ってから、MgSO上で乾燥する。
【0180】
揮発分の除去後、残留褐色油状物(1.08g)をHO/HOAc(1:8、52mL)に溶解する。Fe粉末(730mg、13ミリモル)の添加に続き、反応液を20℃で1.5hr撹拌すると、HPLCにより残存する出発ニトロジアリールはなかった。HOAcの減圧除去に続き、残渣をEtOAc(130mL)とHO(170mL)間に分配する。得られる懸濁液をセライドで濾過後、ケークをEtOAcで洗う。濾液の相を分離し、水性層を再度EtOAcで抽出する。コンバインしたEtOAc画分を飽和aq.NaHCOおよび塩水で連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮して褐色固体(0.9g)を得、これをシリカゲルにて20〜30%EtOAc/ヘキサンを用いるクロマトグラフィーに付して、544mgの所望ジアリールエーテルをオレンジ色泡状物で溶離する。
【0181】
6D.
【化48】

THF(28.5mL)中の上記6Cの4−アミノジアリールエーテル(544mg、1.42ミリモル)の撹拌溶液に、エチルマロニルクロリド(322mg、2.14ミリモル)およびEtN(360mg、3.56ミリモル)を加える。20℃で60hr後、飽和aq.NHClを添加して反応を抑え、THFを減圧除去する。
【0182】
残渣をEtOAcに溶解後、aq.NHClで2回連続的に洗ってから、MgSO上で乾燥する。揮発分を除去して、749mgのオレンジ色泡状物を得、これを、LiOH・HO(317mg、7.54ミリモル)含有のTHF/HO(4:1、50mL)中、40℃で19hr撹拌することにより、最終生成物に変換せしめる。THFの減圧除去後、1N−HClでpH1に調整してから、EtOAc抽出を2回行なう。コンバインしたEtOAc層をaq.NHClで洗い、MgSO上で乾燥し、濃縮する。得られるオレンジ色残渣(656mg)をMeCNに溶解してから、溶離剤として0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる逆相分取HPLCで精製して、356mgの所望最終生成物を白色泡状物で得る。
【0183】
1H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ 9.49 (s, 1H), 8.0 (s, 1H), 6.634 (d, J = 3 Hz, 1H), 6.37 (d, J = 3 Hz, 1H), 3.62 (s, 2H), 3.35 (septet, J = 7 Hz, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.2 (s, 3H), 1.18 (d, J = 7.0 Hz, 6H).
HPLC:LUNA4.6×50mm、4分にわたり0〜100%B、4mL/分、1分ホールド時間、A=10%メタノール/水+0.2% HPO、B=90%メタノール/水+0.2% HPO、保持時間=7.66分。
LRMS実測値423.9、425.8、427.7(M−H)
【0184】
実施例7
【化49】

3−[N−[2,3,5,6−テトラクロロ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル−5−クロロ)−フェノキシ]フェニル]アミノ]−3−オキソプロパン酸
【0185】
7A.
【化50】

DMF(8mL)中の2,3,4,5,6−ペンタクロロニトロベンゼン(920mg、3.3ミリモル)、実施例1/Cで製造した3−イソプロピル−5−メチル−4−アセトキシフェノール(520mg、2.35ミリモル)およびKCO(576mg、4.2ミリモル)の混合物を、20℃で72hr激しく撹拌する。
【0186】
反応液をEtOAc(150mL)で希釈してから、有機層をトータル150mLの1N−HClで2回、塩水で1回洗い、MgSO上で乾燥する。減圧濃縮して暗色油状物を得、該油状物はLC/MSにより、2つの異性体ニトロ化ジアリールエーテルの〜2:1混合物を含有する。シリカゲルにて溶離剤としCHCl/ヘキサン(1:1)を用いるクロマトグラフィーにより、部分濃縮を行なう。トータル収量800mg。主要異性体(パラニトロ)が最初に溶離する。
【0187】
7B.
【化51】

上記7Aのアセチル化フェノール性ジアリールエーテル混合物(800mg、1.71ミリモル)を含有する撹拌20℃のHOAc/HO(9:1、10mL)溶液に、Fe粒子(350mg、6.25ミリモル)を加える。
【0188】
反応液を20℃で18hr撹拌し、次いで50℃に3hr加熱して、出発物質を完全に消費させる。揮発分の減圧除去後、反応液をHO/EtOAcで希釈し、セライトで濾過する。濾液をEtOAcで3回抽出する。コンバインした有機層をaq.NaHCOおよび塩水で連続的に洗ってから、NaSO上で乾燥する。減圧濃縮後、異性体アニリン化合物を、溶離剤としてMeOH/HOを用いる分取HPLC逆相クロマトグラフィーで分離して、320mgの所望パラジアリールエーテルと150mgのオルト異性体を得る。
【0189】
7C.
【化52】

CHCl(1.5mL)中の上記7Bの4−アミノジアリールエーテル(130mg、0.3ミリモル)の撹拌0℃溶液に、メチルマロニルクロリド(44mg、0.33ミリモル)、DMAP(2mg)およびピリジン(50μL、0.6ミリモル)を加える。0℃で4hr後、5mLの1N−HClを加えて反応を抑える。
【0190】
10分撹拌後、追加30mLのEtOAcおよびHOを加えてから、EtOAcで3回抽出する。コンバインした有機層をHOおよび塩水で洗ってから、NaSO上で乾燥する。減圧濃縮に続き、粗残渣(160mg)を15mLのDMFに溶解する。100mgのKOH含有の5mLのHOの添加後、反応液を18hr撹拌する。揮発分を50℃で減圧除去した後、残渣を1Naq.HClで酸性化し、EtOAcで3回抽出する。コンバインした有機層をHOで2回および塩水で1回洗ってから、NaSO上で乾燥する。減圧濃縮に続き、粗残渣(160mg)を、溶離剤として0.1%TFA含有のaq.MeCNを用いる逆相分取HPLCで精製して、56mgの所望最終生成物を白色泡状物で得る。
【0191】
1H NMR (400 MHz, d6-アセトン) δ 9.63 (s, 1H), 6.70 (d, 1H, J=3.1 Hz), 6.40 (d, 1H, J=3.0 Hz), 3.61 (s, 2H), 3.33 (septet, 1H, J=6.8 Hz), 2.17 (s, 3H), 1.16 (d, 6H, J=6.9 Hz)
HPLC:LUNA4.6×50mm、4分にわたり0〜100%B、4mL/分、1分ホールド時間、A=10%メタノール/水+0.2%HPO、B=90%メタノール/水+0.2%HPO、保持時間=4.2分。
LC−MS:481.9[M+H]、479.9(M−H)
【0192】
実施例8
【化53】

N−[3,5−ジブロモ−4−[3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸
【0193】
8A.
【化54】

3−メチル−4−ニトロフェノール(1.50g、9.75ミリモル)を、CHCl(30mL)とメタノール(30mL)の混合物に溶解し、4℃に冷却する。
【0194】
撹拌しながら、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド(7.6g、19.5ミリモル)およびCaCO(1.95g、19.5ミリモル)を加え、反応液を室温まで加温せしめる。30分後、1N−HCl(45mL)を加え、反応混合物を4℃で16時間放置する。有機相を減圧除去し、得られる沈殿物を濾取し、水洗する。湿気のある固体をトルエンおよびEtOと共蒸発して、2.8g(93%)の2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノールを白色固体で得る。
【0195】
8B.
【化55】

上記8Aのビス−(3−イソプロピル−4−メトキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート(1.50g、2.93ミリモル)および銅粉末(0.286g、4.50ミリモル)を、CHCl(10mL)中で混合し、得られる懸濁液を0℃に冷却する。
【0196】
撹拌しながら、2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノール(0.7g、2.25ミリモル)、EtN(0.63mL、4.5ミリモル)およびCHCl(5mL)の溶液を加え、フラスコをアルミニウムホイルでカバーする。暗所にて室温で2日撹拌後、粗反応混合物を1N−HCl(15mL)で洗い、相セパレーター(IST)を用いて、二相を分離する。水性相をCHClで抽出し、集めた有機相を減圧濃縮する。粗残渣をカラムにて精製し(MPLC、シリカゲル、溶離勾配:n−ヘプタン/EtOAc=1:0〜95:5)、561mg(54%)の4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−イソプロピルアニソールを明黄色固体で得る。
【0197】
8C.
【化56】

上記8Bの4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−イソプロピルアニソール(560mg、1.22ミリモル)を、CHCl(10mL)に溶解し、0℃に冷却する。氷冷BF−SMe(5mL、47.5ミリモル)を加え、温度を室温まで上げる。
【0198】
室温で16時間撹拌後、反応混合物に氷水を加えて反応を抑え、30分間撹拌する。相セパレーター(IST)を用いて、二相を分離し、水性相をCHClで抽出する。集めた有機相を塩水で洗い、減圧濃縮する。残渣をカラムにて精製し(MPLC、シリカゲル、溶離勾配:n−ヘプタン/EtOAc=1:0〜9:1)、250mg(46%)の4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−イソプロピルフェノールを明黄色シロップで得る。
【0199】
8D.
【化57】

上記8Cの4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−イソプロピルフェノール(250mg、0.56ミリモル)およびTFA(5mL)の溶液に、ヘキサメチレンテトラミン(197mg、1.4ミリモル)を加える。
【0200】
得られる反応混合物を、95℃で16時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、1N−HCl(10mL)を加える。さらに1時間の撹拌後、反応混合物をEtOAc(30mL×3)で抽出し、コンバインした有機相を1N−HCl(15mL)、HO(20mL)および塩水(20mL)で洗う。NaSO上で乾燥後、濃縮およびシリカパッドで濾過し、210mg(79%)の5−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒドを明黄色固体で得る。
【0201】
8E.
【化58】

上記8Dの5−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(100mg、0.21ミリモル)、Na(553mg、3.2ミリモル)、NaHCO(飽和水溶液0.2mL)およびエタノール(1.8mL)を、マイクロ波安全反応バイアル中で混合する。
【0202】
バイアルを密封し、140℃で5分間光照射する。反応混合物にNaHCO(飽和水溶液5mL)を加え、有機相を減圧除去する。得られる懸濁液をCHClで抽出し、二相を相セパレーター(IST)で分離する。有機相を濃縮し、シリカパッドで濾過して、25mg(27%)の5−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒドを白色泡状物で得る。
【0203】
8F.
【化59】

THF(0.5mL)中のエチルマロニルクロリド(7.2μL、0.056ミリモル)および上記8Eの5−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(25mg、0.056ミリモル)の撹拌溶液に、4℃でEtN(15.7μL、0.112ミリモル)を加える。
【0204】
室温で30分撹拌後、反応混合物をNHCl(飽和水溶液)で洗い、有機相を減圧除去する。水相をCHClで抽出し、二相を相セパレーター(IST)で分離する。有機相を濃縮し、得られる残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、溶離勾配:n−ヘプタン/EtOAc=1:0〜7:3)、15mg(48%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]−マロンアミド酸エチルエステルを明黄色残渣で得る。
【0205】
8G.
【化60】

上記8FのN−[3,5−ジブロモ−4−[3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチル−フェニル]−マロンアミド酸エチルエステル(15mg、0.027ミリモル)およびTHF(0.5mL)の撹拌溶液に、LiOH(0.25mL、1N)を加える。1時間の撹拌後、反応液のpHを1N−HClで1に調整し、有機相を減圧除去する。
【0206】
残渣をEtOAc(3mL×3)で抽出し、コンバインした有機相をNaSO上で乾燥してから、濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、溶離勾配:CHCl/MeOH/AcOH=1:0:0〜90:10:1)、6mg(42%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステルを白色固体で得る。
HPLC:YMC Pro C−8逆相(2.1×50mm)、5分にわたり5〜100%溶剤B、1mL/分、3分ホールド時間、溶剤A=0.05%ギ酸/水、溶剤B=MeCN、保持時間=4.38分。
LCMS実測値526.2、528.2、530(M−H)
【0207】
実施例9
【化61】

N−[3,5−ジブロモ−4−[3−エチル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]−マロンアミド酸
【0208】
9A.
【化62】

実施例8/Dの5−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(210mg、0.44ミリモル)を、CHCl(5mL)に溶解し、4℃に冷却する。
【0209】
混合物にトルエン中のMeAl(2N、0.355mL、0.67ミリモル)を加え、反応液を室温で16時間撹拌する。反応混合物に氷水を加えて反応を抑え、EtOAcで抽出する。有機相を水および塩水で洗い、NaSO上で乾燥し、減圧濃縮する。シリカパッドで濾過して、195mg(93%)の4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−(1−ヒドロキシエチル)−6−イソプロピルフェノールを明黄色固体で得る。
【0210】
9B.
【化63】

上記9Aの4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−(1−ヒドロキシエチル)−6−イソプロピルフェノール(195mg、0.399ミリモル)およびTFA(4mL)の溶液を、トリエチルシラン(0.255mL、1.59ミリモル)で処理し、室温で1時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、共蒸発して(トルエン、CHCl)、残渣を得、これをシリカパッドで濾過する。これによって、185mg(98%)の4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−エチル−6−イソプロピルフェノールを明黄色シロップで得る。
【0211】
9C.
【化64】

上記9Bの4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−エチル−6−イソプロピルフェノール(165mg、0.344ミリモル)、Na(910mg、5.23ミリモル)およびEtOH(3.2mL)を、マイクロ波安全反応バイアル中で混合する。
【0212】
バイアルを密封し、160℃で10分間光照射する。反応混合物にNaHCOの飽和水溶液(5mL)を加え、有機相を減圧濃縮する。水性相をEtOAcで抽出し、集めた有機相をNaSO上で乾燥する。減圧濃縮して残渣を得、これをシリカパッドで濾過する。これによって、120mg(79%)の4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−エチル−6−イソプロピルフェノールを白色泡状物で得る。
【0213】
9D.
【化65】

THF(3mL)中の上記9Cの4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−エチル−6−イソプロピルフェノール(120mg、0.27ミリモル)の溶液に、エチルマロニルクロリド(37μL、0.29ミリモル)およびEtN(93μL、0.67ミリモル)を加える。
【0214】
室温で16時間撹拌後、反応混合物にNHCl(飽和水溶液)を加えて反応を抑え、有機相を減圧除去する。水相をEtOAcで抽出し、有機相をNHCl(飽和水溶液、3mL×2)で洗う。有機相をNaSO上で乾燥し、濃縮し、シリカパッドで濾過する。これによって、130mg(86%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[3−エチル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステルを白色泡状物で得る。
【0215】
9E.
【化66】

上記9DのN−[3,5−ジブロモ−4−[3−エチル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステル(130mg、0.23ミリモル)を、THF(2mL)に溶解し、室温にてLiOH(1N、2mL)で1時間処理する。
【0216】
反応液を1N−HClで酸性化し、減圧濃縮する。残りの水相をEtOAc(5mL×3)で抽出し、コンバインした有機相をNaSO上で乾燥してから、減圧濃縮する。残渣をカラムにて精製し(MPLC、シリカゲル、溶離勾配:CHCl/MeOH/AcOH=1:0:0〜98:2:0.3)、50mg(41%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[3−エチル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]−マロンアミド酸を白色固体で得る。
【0217】
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.0 (s, 1H), 6.39 (d, 1H), 6.2 (d, 1H), 3.4 (s, 2H), 3.2 (septet, 1H), 2.46 (q, 2H), 2.07 (s, 3H), 1.05 (d, 6H), 1.02 (t, 3H).
HPLC:YMC Pro C−8逆相(2.1×50mm)、5分にわたり5〜100%溶剤B、1mL/分、3分ホールド時間、溶剤A=0.05%ギ酸/水、溶剤B=MeCN、保持時間=3.96分。
LCMS実測値526.3、528.2、530(M−H)
【0218】
実施例10
【化67】

N−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸
【0219】
10A.
【化68】

実施例8/Dの5−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(100mg、0.21ミリモル)およびNaBH(9.0mg、0.23ミリモル)を、EtOH/THF(2:1)混合物3mLに室温で溶解する。
【0220】
室温で1.5時間の撹拌後、反応混合物を濃縮し、残渣をCHClに懸濁する。懸濁液を1N−HClで洗い、二相を相セパレーター(IST)で分離してから、有機相を濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、溶離勾配:n−ヘプタン/EtOAc=1:0〜7:3)、85mg(85%)の4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシメチル−6−イソプロピルフェノールを明黄色泡状物で得る。
【0221】
10B.
【化69】

上記10Aの4−(2,6−ジブロモ−3−メチル−4−ニトロフェノキシ)−2−ヒドロキシメチル−6−イソプロピルフェノール(85mg、0.18ミリモル)、Na(467mg、2.68ミリモル)およびEtOH(2mL)の混合物を、マイクロ波安全反応バイアル中で調製する。
【0222】
170℃で5分間の光照射後、反応混合物にNaHCOの飽和水溶液(5mL)を加える。有機相を減圧除去し、水性相をEtOAcで抽出し、有機相をNaSO上で乾燥する。減圧濃縮して残渣を得、これをカラムにて精製し(シリカゲル、溶離勾配:n−ヘプタン/EtOAc=1:0〜7:0)、18mg(22%)の4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシメチル−6−イソプロピルフェノールを明黄色泡状物で得る。
【0223】
10C.
【化70】

上記10Bの4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシメチル−6−イソプロピルフェノール(18mg、0.04ミリモル)、エチルマロニルクロリド(5.7μL、0.044ミリモル)およびTHF(0.5mL)の撹拌溶液に、EtN(11μL、0.08ミリモル)を加える。室温で2時間撹拌後、反応混合物にNHCl(飽和水溶液)を加えて反応を抑え、有機相を減圧除去する。水性相をCHClで抽出し、得られる二相を相セパレーター(IST)で分離する。濃縮して、22mg(98%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステルを黄色泡状物で得る。
【0224】
10D.
【化71】

上記10CのN−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステル(22mg、0.039ミリモル)およびTHF(0.5mL)の撹拌溶液に、LiOH(1N、0.5mL)を加える。室温で1時間撹拌後、pHが1になるまで1N−HClを加える。
【0225】
EtOAcで抽出し、NaSO上で乾燥し、濃縮して残渣を得、これを分取HPLC(C8、溶離勾配:MeCN/水/ギ酸=5:95:0.5〜70:30:0.2)で精製する。これによって、N−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−イソプロピルフェノキシ]−2−メチルフェニル]マロンアミド酸を白色固体で得る(4mg、19%)。
HPLC:YMC Pro C−8逆相(2.1×50mm)、5分にわたり5〜100%溶剤B、1mL/分、3分ホールド時間、溶剤A=0.05%ギ酸/水、溶剤B=MeCN、保持時間=3.62分。
LCMS実測値526、528.2、530.0(M−H)
【0226】
実施例11
【化72】

N−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−3−メチル−フェノキシ]−2−トリフルオロメチルフェニル]マロンアミド酸
【0227】
11A.
【化73】

2−ニトロ−5−ヒドロキシベンゾトリフルオライド(2.0g、9.7ミリモル)を、0℃でMeOH/CHCl(1:1)混合物80mLに溶解する。ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド(7.53g、19.3ミリモル)およびCaCO(2.0g、19.3ミリモル)を加える。反応混合物を3日間加熱還流する。反応はHPLCおよびLC/MS分析により完了しているように思われ、1N−HClを加えて反応を抑える。反応混合物を塩水で洗い、MgSOで乾燥し、カラムにて精製する(シリカゲル、CHCl/MeOHの溶離勾配)。これによって、550mg(16%)の2,6−ジブロモ−3−トリフルオロメチル−4−ニトロフェノールを得る。
【0228】
11B.
【化74】

ジクロロメタン中のビス(3−イソプロピル−4−メトキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート(1.2g、2.3ミリモル)および銅粉末(192mg、3.01ミリモル)の溶液を、室温で撹拌する。15分後、上記11Aの2,6−ジブロモ−3−トリフルオロメチル−4−ニトロフェノール(550mg、1.51ミリモル)およびEtN(304mg、3.01ミリモル)を加える。反応液を3日間加熱還流する。反応をTLC(n−ヘプタン/EtOAc=65:35)で監視し、反応の完了時に、反応混合物を濾過し、濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し(シリカゲル、n−ヘプタン/EtOAcの溶離勾配)、450mg(58%)の4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルアニソールを得る。
【0229】
11C.
【化75】

CHCl(50mL)中の上記11Bの4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルアニソール(390mg、0.80ミリモル)の溶液に、0℃でBF・MeS(2mL)を滴下する。反応混合物を室温で一夜撹拌する。反応進行をTLC(n−ヘプタン/EtOAc=65:35)で監視し、反応の完了時、反応混合物を水、塩水で洗い、有機層をMgSO上で乾燥し、濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、n−ヘプタン/EtOAcの溶離勾配)、224mg(56%)の4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルフェノールを得る。
【0230】
11D.
【化76】

上記11Cの4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルフェノール(220mg、0.44ミリモル)を、TFA(3mL)に溶解し、反応液にヘキサメチレンテトラミン(154mg、1.1ミリモル)を加える。反応混合物を98℃で12時間加熱し、冷却し、1N−HCl(4mL)を加える。反応混合物を室温で5時間撹拌し、EtOAcで抽出し、HO、NaHCOおよび塩水で洗う。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、n−ヘプタン/EtOAcの溶離勾配)、130mg(57%)の5−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒドを得る。
【0231】
11E.
【化77】

上記11Dの5−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド(130mg、0.25ミリモル)に、トリエチルシラン(115mg、0.99ミリモル)を加え、室温で2分間撹拌する。TFA(6mL)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、n−ヘプタン/EtOAcの溶離勾配)、133mg(99%)の4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチル−6−イソプロピルフェノールを得る。
【0232】
11F.
【化78】

上記11Eの4−(2,6−ジブロモ−4−ニトロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチル−6−イソプロピルフェノール(120mg、0.23ミリモル)を、EtOH(5mL)に溶解し、亜硫酸水素ナトリウム(204mg、1.2ミリモル)を加える。反応混合物を48時間加熱還流する。反応進行をTLC(n−ヘプタン/EtOAc=65:35)で監視し、反応完了時に、EtOAcで希釈する。有機相を水、塩水で洗い、MgSO上で乾燥し、濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、n−ヘプタン/EtOAcの溶離勾配)、90mg(81%)の4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチル−6−イソプロピルフェノールを得る。
【0233】
11G.
【化79】

ジエチルマロネート(0.50mL)および上記11Fの4−(4−アミノ−2,6−ジブロモ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチル−6−イソプロピルフェノール(20mg、0.04ミリモル)の溶液を、140℃で5分間加熱し、次いでマイクロオーブン(Emrys Optimizer、Personal Chemistry)中180℃で10分間加熱する。
【0234】
シリカパッドで濾過して、明黄色残渣を得、これをTHF(0.5mL)に溶解し、1N−LiOH(0.50mL)で1時間処理する。反応混合物を1N−HClで酸性化し、EtOAcで抽出する。コンバインした有機層をNaSO上で乾燥し、減圧濃縮する。残渣を分取HPLC(C8、溶離勾配:MeCN/HO/ギ酸=5:95:0.5〜70:30:0.2)で精製する。これによって、5mg(22%)のN−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−3−メチルフェノキシ]−2−トリフルオロメチルフェニル]マロンアミド酸エチルエステルを得る。LC−MS(ES−1):m/z566。
【0235】
11H.
【化80】

THF(0.5mL)中の上記11GのN−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−3−メチルフェノキシ]−2−トリフルオロメチル−フェニル]マロンアミド酸エチルエステル(15mg、0.027ミリモル)の撹拌溶液に、LiOH(0.25mL、1N)を加える。
【0236】
1時間撹拌後、反応液のpHを1N−HClで1に調整し、有機相を減圧除去する。得られる混合物をEtOAc(3mL×3)で抽出し、コンバインした有機相をNaSO上で乾燥してから、減圧濃縮する。残渣をカラムにて精製し(シリカゲル、溶離勾配:CHCl/MeOH/AcOH=1:0:0〜90:10:1)、N−[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−3−メチルフェノキシ]−2−トリフルオロメチルフェニル]マロンアミド酸を白色固体で得る(6mg、42%)。
【0237】
δ1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.15 (s, 1H), 6.5 (d, 1H), 6.3 (d, 1H), 3.4 (s, 2H), 3.2 (septet, 1H), 2.17 (s, 3H), 1.15 (d, 6H).
HPLC:YMC Pro C−8逆相(2.1×50mm)、5分にわたり5〜100%溶剤B、1mL/分、3分ホールド時間、溶剤A=0.05%ギ酸/水、溶剤B=MeCN、保持時間=3.94分。
LCMS実測値566.3、568.1、570(M−H)
【0238】
理解すべき点は、本明細書において前述した特定の具体例に関して本発明を詳細に説明したが、かかる具体例は本発明の総括的な原理の例示のためのものであって、本発明は必ずしもこれらの具体例に限定されるものではない。本発明の真なる精神および技術的範囲から逸脱しない、所定の物質(原料)、方法手段または化学式のいずれにもおける一定の改変および変更は、当業者にとって容易に理解できるものであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Xは酸素(−O−)、セレン(−Se−)、硫黄(−S−)、スルフィニル(SO)、スルホニル(SO)、カルボニル(−CO−)、メチレン(−CH−)および−NH−から選ばれ;
は水素、ハロゲン、CFおよびC〜Cアルキルから選ばれ;
はハロゲン、CF、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、COR14、CR14(OR10)R15、ヘテロアリールオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、N(R14)COR15、CO(NR1415)、N(R14)SO16、SO(NR1415)、SR16、SOR16、SO16およびCHNR1415から選ばれ;
は水素、アルキル、ベンジル、アロイルおよびアルカノイルから選ばれ;
はハロゲンまたはアルキル;
は水素、ハロゲンまたはアルキル;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
およびRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ(−OH)、シアノ、CFおよびアルキルから選ばれ、ここで、RとRの少なくとも1つは水素でなく;
但し、R,R,RおよびRのわずか1つのみが水素であり;
10は水素またはアルキル;
11はCO14
12およびR13はそれぞれ独立して、水素、ハロゲンおよびアルキルから選ばれ;
存在する場合のR14およびR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれ;および
存在する場合のR16はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選ばれる]
で示される化合物、またはそのプロドラッグ、立体異性体もしくは医薬的に許容しうる塩。
【請求項2】
Xが酸素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素;RがC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル;Rが水素;RがハロゲンまたはC〜Cアルキル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモ、クロロまたはメチル;RがハロゲンまたはC〜Cアルキル;Rが水素またはハロゲン;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がイソプロピルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素;Rがイソプロピル;Rが水素;RがC〜Cアルキル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモ、クロロまたはメチル;Rがハロゲンまたはメチル;Rが水素またはクロロ;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が水素;Rがイソプロピル;Rが水素;Rがメチル;Rが水素;RおよびRがそれぞれ独立して、ブロモまたはクロロ;Rがクロロまたはメチル;Rが水素;R10が水素;R11がカルボキシル;R12が水素;およびR13が水素である請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
式:
【化2】

で示される請求項1に記載の化合物またはそのアルキルエステル。
【請求項8】
式:
【化3】

で示される請求項1に記載の化合物またはそのアルキルエステル。
【請求項9】
式:
【化4】

で示される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化5】

で示される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物およびその医薬的に許容しうる担体から成る医薬組成物。
【請求項12】
さらに、式Iの他の化合物、抗糖尿病剤、抗骨粗しょう症剤、抗肥満剤、成長促進剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗高血圧剤、強心配糖体、コレステロール/脂質低下剤、欲求抑止剤、骨吸収インヒビター、甲状腺凝似薬、同化作用剤、抗腫瘍剤およびレチノイドから選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を含有する請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
追加治療剤が、ビグアニド、グルコシダーゼ・インヒビター、メグリチニド、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、PPAR−アルファ・アゴニスト、PPAR−ガンマ・アゴニスト、PPARアルファ/ガンマ二元アゴニスト、SGLT2インヒビター、グリコゲンホスホリラーゼ・インヒビター、aP2インヒビター、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターおよびインスリンから選ばれる抗糖尿病剤である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
追加治療剤が、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカーボース、ミグリトール、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、ロシグリタゾンおよびインスリンから選ばれる抗糖尿病剤である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
追加治療剤が、aP2インヒビター、PPARガンマ・アンタゴニスト、PPARデルタ・アゴニスト、ベータ3アドレナリン作用性アゴニスト、リパーゼ・インヒビター、セロトニン再摂取インヒビター、カンナビノイド−1レセプタ・アンタゴニストおよび食欲抑制薬から選ばれる抗肥満剤である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
追加治療剤が、チアゾリジンジオン、MTPインヒビター、スクアレンシンセターゼ・インヒビター、HMG CoAレダクターゼ・インヒビター、フィブリン酸誘導体、ACATインヒビター、コレステロール吸収インヒビター、回腸Na/胆汁酸共輸送インヒビター、胆汁酸金属イオン封鎖剤およびニコチン酸またはその誘導体から選ばれる脂質血症低下剤である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
代謝機能不全に付随する、またはT調節遺伝子の発現に依存する疾患を予防、抑制または処置する方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することから成る方法。
【請求項18】
肥満症、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、うつ病、骨粗しょう症、甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能亢進症、非毒性甲状腺腫、骨質量,骨密度または骨成長の減少、食事障害、認識機能減少、甲状腺癌、緑内障、不整脈、うっ血性心不全または皮膚障害もしくは皮膚疾患を処置しまたはこれらの進行もしくは開始を遅らせる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することから成る方法。
【請求項19】
皮膚障害もしくは皮膚疾患が、皮膚萎縮、レーザー再表面仕上げによって起こる術後挫傷、ケロイド、皮膚線条、脂肪性浮腫、ざらざら皮膚、化学線皮膚損傷、苔蘇平面、魚鱗癬、アクネ、乾癬、ダーニエル病、湿疹、アトピー性皮膚炎、塩素ざ瘡、ひこう疹または皮膚瘢痕である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、治療上有効量の、式Iの他の化合物、抗糖尿病剤、抗骨粗しょう症剤、抗肥満剤、成長促進剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗高血圧剤、強心配糖体、コレステロール/脂質低下剤、欲求抑止剤、骨吸収インヒビター、甲状腺凝似薬、同化作用剤、抗腫瘍剤およびレチノイドから選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を同時にまたは連続して投与する請求項18に記載の方法。
【請求項21】
皮膚障害もしくは皮膚疾患を処置しまたはこれらの進行もしくは開始を遅らせる方法であって、哺乳類患者に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物をレチノイドまたはビタミンD類縁体と組合せて投与することから成る方法。
【請求項22】
肥満症を処置しまたはその進行もしくは開始を遅らせる方法であって、かかる処置を必要とする哺乳類患者に対し、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与することから成る方法。
【請求項23】
さらに、治療上有効量の、抗肥満剤および欲求抑止剤から選ばれる追加治療剤の少なくとも1種を同時にまたは連続して投与する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗肥満剤が、aP2インヒビター、PPARガンマ・アンタゴニスト、PPARデルタ・アゴニスト、ベータ3アドレナリン作用性アゴニスト、リパーゼ・インヒビター、セロトニン(およびドパミン)再摂取インヒビター、カンナビノイド−1レセプタ・アンタゴニスト、他の甲状腺レセプタ剤および食欲抑制薬から選ばれる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物を含有し、甲状腺ホルモン・レセプタの選択的アゴニストとして機能する医薬組成物。

【公表番号】特表2006−516623(P2006−516623A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502986(P2006−502986)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/001985
【国際公開番号】WO2004/067482
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【出願人】(505280048)カロ・バイオ・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】KARO BIO AB
【Fターム(参考)】