説明

男性機能障害の治療

本発明は、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療のためにバソプレッシンV1a受容体のアンタゴニストを使用することに関する。また、本発明は、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療方法に関する。また、本発明は、V1a受容体アンタゴニストである化合物をスクリーニングすることによる、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療に有用な化合物をスクリーニングするための試験法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療のためにバソプレッシンV1a受容体のアンタゴニストを使用することに関する。
また、本発明は、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療方法に関する。
また、本発明は、男性機能障害、とりわけ早漏又は早期射精のような射精障害の治療に有用な化合物をスクリーニングするための試験法に関する。
【背景技術】
【0002】
性機能障害(SD)は、男性と女性の両者ともに影響を与える重大な臨床的問題である。SDの原因は、器官的と精神的の双方である。SDの器官的な面は、典型的に、高血圧症や糖尿病に伴うような内在的な血管疾患、処方薬、及び/又はうつ病のような精神病によって引き起こされる。生理学的因子には、恐怖、能力不安、及び対人間葛藤が挙げられる。SDは、性的能力を減じ、自尊心を傷つけ、人間関係を駄目にし、それにより、人的苦悩を引き起こさせる。臨床においては、SD疾患は、女性機能障害(FSD)疾患と男性機能障害(MSD)疾患に区分されている(Melman et al 1999 J. Urology 161, 5-11)。FSDは、性的表現において女性が満足を見出すことの困難又は無能として最も適切に定義される。男性機能障害(MSD)は、一般に、男性勃起不能(MED)としても知られる勃起不全、及び/又は早漏又は早期射精のような射精障害、無オルガスム症(オルガスムを得ることができない)、あるいは性欲低下障害(セックスに関心がない)のような欲求障害に関係する。
【0003】
早漏(PE)又は早期射精は、男性において比較的よくある性機能障害である。これは、いくつかの異なる仕方で定義されているが、最も広く受け入れられているのは「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder IV」であり、次のように記載している。
【0004】
「PEは、患者がそれを望む前であって生まれつきの又は慢性の、挿入時又はその直後の僅かな性的刺激による射精である。医者は、興奮状態の持続時間に影響を及ぼす因子、例えば、年齢、セックス相手又は刺激の新しさ、及び性的行為の頻度を考慮に入れなければならない。この障害は、個人間の問題に際立った苦悩を引き起こす。」
【0005】
「International Classification of Diseases 10 definition」は次のように記載している。
「次のいずれかの徴候により、性交を十分に楽しめるために射精を遅らすことができない:(1)性交の開始前又はその極めて直後に射精が起きること(タイムリミットが求められるならば、性交の開始前又はその15秒以内);(2)性交を可能にするのに十分な勃起がないままに射精が起きる。その問題が、性的行為から長期間の禁欲にあったためではない。」
【0006】
この他の使用した定義は、次の基準に基づく分類を含んでいる。
・相手のオルガスムとの関係
・挿入から射精までの時間
・スラスト回数と意思による抑制能力
【0007】
早漏/早期射精は、いろいろな下位グループに分類することができる。先天的(lifelong)又は後天的であり得、絶対的もしくは一般的(即ち、相手や状況と無関係)又は即応的(相手や状況と関連)等であり得る(「Jannini, E.A. et al (2002) J. Endocrinol. Invest. 25, 1006-1019」参照)。バソプレッシンV1Aアンタゴニストは、早漏/早期射精のすべての下位グループで作用するものと期待される。
【0008】
心理的因子がPEに関与することがあり、結びつきの問題、不安、憂うつ、以前の性的失敗がいずれもある役割を演じる。
【0009】
PEの推定有病率は、男性人口の約22〜38%である。男性の勃起不全(MED)と異なり、PEは年齢とのはっきりした関係はない。30%の平均有病率とすると、米国において推定で2400万人の患者がいることになる(1995年で18〜65歳の男性は8000万人)。厳密には有病率についてのデータは殆どない。PEの使われている定義によれば、男性の5〜10%に及ぶと推定されるが、治療を受けているのは0.2%未満である。経口で有効な治療の利用性は、この状況を変える可能性が大いにある。
【0010】
射精は、交感神経系と副交感神経系によって決まる。交感神経系を介した輸精管と副睾丸への遠心性衝動とがスムーズな筋肉収縮を生じさせ、精子を後部尿道の中に移動させる。精嚢、前立腺、及び尿道球腺の同様な収縮が、精液の体積と流体含有量を高める。精液の放出は、脊髄のOnuf核に由来する遠心性衝動によって媒介され、この衝動は、副交感神経系を経て、球海綿体筋、坐骨海綿体筋、及び骨盤底筋の律動的収縮を引き起こす。射精の大脳皮質制御は、人類にとって未だ論議の中である。ラットにおいては、視床下部の内側視策前野と傍室核が、射精に関与すると思われる。
【0011】
今のところ、PEの治療に役立つ認可された薬剤は存在しない。最も一般的な認可外の処方薬剤は、抗うつ剤(例、クロミプラミン)と選択的セロトニン再摂取阻害剤(例、パロキセチン、セルトラリン)である。これらの薬剤は、抗うつ剤と見なされているため、多くは、患者にとって十分には受け入れられていない。これらは「認可外」として使用され、必要により使用されるときに(即ち「臨機に」)有効であったとしても、時間がかかる薬学動態Tmax(薬剤の経口投与から血漿中の最大薬剤濃度までの時間)のため、作用の開始が遅くなりがちである。慢性的に使用すると、この種の薬剤に一般的な副作用が見られることがある。行動的治療が、別な管理手段であったが、非常に有効ということではなく、落伍と再発の割合が高い。現在、より有効な治療が求められている。
【0012】
このように、男性機能障害、とりわけ早漏(PE)のような射精障害を治療する新しい仕方を見出すことが望まれている。
【0013】
性行動におけるバソプレッシンの役割
射精は、二つの別な要素である放出と射精を含む。放出は、遠位副睾丸、輸精管、精嚢、及び前立腺から尿道前立腺部への精液と精子の析出である。この析出の後は、精液内容物の尿道からの強制的な吐出である。射精は、純粋に脳系事象であるオルガスムとは相違する。この二つのプロセスは一緒にされることが多い。
【0014】
抹消血清中のオキシトシンのパルスは、哺乳類に射精を惹起する。男性において、バソプレッシンではなくオキシトシンの血漿中濃度は、射精時又はその前後でかなり増加する。オキシトシンは射精そのものを誘起するのではなく、このプロセスは、脊髄の腰部から発するα1−アドレナリン受容体/交感神経を経て、100%の神経コントロール下にある。オキシトシンの全身性パルスは、抹消の射精感応に直接的役割を有することができる。これは、男性生殖管の全体を通して管と腺小葉の収縮を調節するのに役立つことができ、したがって、例えばいろいろな射精成分等の流体体積に影響することができる。主として脳に放出されたオキシトシンは、性行為、性的興奮(オルガスム)の主観的評価、及びその後の射精までの待ち時間に影響を及ぼすことができる。男性における射精の発生は、外性器の触感刺激に大きく依存する。
【0015】
循環オキシトシンのレベルは、性的刺激と性的興奮の間に高まり、男性と女性の双方においてオルガスムの間にピークに達することが、文献によく記載されている。Murphyらは、性的興奮と射精の間の男性における血漿中のオキシトシンとアルギニンバソプレッシン(AVP)の濃度を測定し、血漿中のオキシトシンではなくAVPが性的興奮の間に大きく増加することを見出した(Acta. Anat. Basel (1987) 128: 76-79)。しかしながら、射精時において、平均の血漿中のオキシトシンは約5倍増加し、30分間以内に低下して基本濃度に戻り、一方、AVPは、射精時には基本レベルまで既に戻り、その後は、安定を維持した。男性における性的興奮の間のオルガスムに対する神経内分泌反応の特異性を調べるより詳細な最近の研究は、性的興奮又はオルガスム/射精の間に血漿中のバソプレッシンのレベルに変化がないことを示している(Kruger TH et al (2003) J Endocrinol. 177(1):57-64)。
【0016】
このことは、バソプレッシンがそもそも男性の性的興奮/オルガスムプロセスに関与しているか否かについて疑問を起こさせる。Stonehamらは、ラットとウサギのオキシトシンのレベルに変化を見出したが、バソプレッシンの血漿中のレベルにはやはり影響がなく、交尾行為におけるバソプレッシンの役割にさらに疑問を与える(J Endocrinology (1985); 107(1))。自由に動くラットにおいて、性行為の間のオキシトシンとバソプレッシンの効果を調べる動物データは、バソプレッシンではなくオキシトシンの濃度が、性交の間に増加することを実証している(Hughes et al (1987) Brain Res, 414(1):133-137)。
【0017】
バソプレッシン受容体は、射精に伴う泌尿生殖器において特定されている。バソプレッシンは、副睾丸からの精子輸送を調節する、あるいは、精細管、輸精管、及び前立腺収縮性に作用することによる役割を有することが示唆されている。しかしながら、バソプレッシンとバソプレッシン受容体の射精における役割は明らかではない。
【0018】
免疫反応性アルギニンバソプレッシン(AVP)と、ヒト輸精管に及ぼすAVPの効果は、Anderssonによって研究されている(J Urol. (1988) 140(5): 1054-7)。
その研究は、循環AVPがヒト輸精管によって採取・蓄積されること及び/又はAVPが局所的に合成されることを示唆している。ヒト輸精管に及ぼすバソプレッシンの収縮効果は、Medinaらによって実証されており(Eur J Pharmacol. (1998): 355: 41-49)、これらはV1バソプレッシン受容体によって媒介されるように見える。また、Medinaらは、バソプレッシンがアドレナリン刺激によって誘発されるヒト輸精管の収縮を強く増強することを実証した。バソプレッシンの直接と間接の双方の効果は、バソプレッシンV1受容体の刺激によって媒介されるように見える。ヒト輸精管において生じるAVPの生理的役割は、確立されるべきものとして残っている。
【0019】
アルギニンバソプレッシンは、前立腺の緊張度を高め、哺乳類の前立腺組織の収縮を誘発することが実証されている。バソプレッシンの作用強度は、オキシトシンに見られるものよりもかなり低い。Bodanszkyらは、前立腺のスムーズな筋肉収縮における、また場合により、男性生殖機能の別な面におけるアルギニンバソトシン、オキシトシン、及びアルギニンバソプレッシンの生理的役割を示唆している((1992) Eur. J. Pharmacol. 216, 311-313)。
【0020】
ブタ精嚢の上皮細胞の中に高密度のバソプレッシン受容体が存在する。著者等は、ヒト精嚢の中に、V1サブタイプのバソプレッシン受容体に類似の薬理特性を有し、非常に高い親和性(0.2nM)と低い容量(14fmoles/mgタンパク質)の分類のバソプレッシン受容体が存在することを実証した。ヒト精嚢に存在するバソプレッシン受容体の密度は、患者の年齢と逆の相関があり、彼らは、副生殖腺活性の制御におけるバソプレッシンの生理的役割とつじつまが合うと結論している(Maggi et al (1989) J Androl. 10 (5): 393-400)。
【0021】
射精に及ぼすバソプレッシンの効果に着目した生体内のみの研究がヒツジとウサギについて行われている。Nicholsonらは、ヒツジの精巣上体尾からの精液の輸送に及ぼすオキシトシンとバソプレッシンの効果を調べている(J Reprod Fertil. (1999) 117(2): 299-305)。彼らは、バソプレッシンが流体中の精子の数又は濃度を増加させないことを見出し、流体の生成を減少させるようにみえるとした。射精までの時間に関する報告された効果は存在しない。ウサギにおいて、Agmoは、バソプレッシンは射精された精液中の精子の数を増加させると報告した(J Reproduction and Fertility 45(2); 243-248)。ウサギがオルガスムを得るまでにかかる時間、即ち、射精の待ち時間に、変化はなかった。
【0022】
オキシトシン受容体への選択性は、治療関連の男性勃起不全(MED)の可能性を低下させることができる。
【0023】
「Gimpl and Fahrenholz; Physiological Reviews (2001), 81(2) 629-683」に詳述されているように、オキシトシンは、ラット、ウサギ、及びサルにペニス勃起を引き起こす最も有力な薬剤の一つとして見出された。また、オキシトシンの中枢投与は、射精を得るまでの待ち時間を短縮し、射精後の間隔を短くすると主張している。同様に、Mestonらは、オスの動物において、オキシトシンは、脳の特定領域(即ち、視床下部の脳室周囲核)に注入されたとき、ペニス勃起を促進し、中枢又は抹消のいずれかに注入すると、射精の待ち時間と射精後の間隔を短くすると述べている(Arch. Gen Psychiatry (2000) Vol 57)。
【0024】
オキシトシン受容体アンタゴニスト、バソトシンの投与は、非接触のペニス勃起をかなり減少させると、当該分野において文献によく記載されている(例えば、Meilsらの「Neuroscience Letters 265 (1999) 171-174」参照)。また、オキシトシンアンタゴニストバソトシンの脳室内(ICV)注入は、受け入れるメスの存在下で経験済みのオスのラットに性的能力を減退させ、射精を起こさせないことが(恐らく、減少した挿入頻度によって引き起こされる)、Argiolasらによって示された(European Journal of Pharmacology 149 (1988) 389-392)。オキシトシンアンタゴニストはペニス勃起を抑制することが見出されたため、挿入頻度の減少がペニス勃起を得るための動物の能力衰退を反映すると考えられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
したがって、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストが射精を遅らすことができ、このため早漏又は早期射精のような射精障害の治療に有用なことを見出したことが非常に予想外である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の独創性のある発見は、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストを投与することにより、射精までの待ち時間の延長が達成され得るという予想外の結果である。即ち、本発明者は、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストが、射精障害、とりわけ早漏又は早期射精の治療に使用可能であることを実証した。このことは、射精までの待ち時間を長くすることによって、好ましくは正常レベルの付近まで射精までの待ち時間を回復させることによって達成することができる。
【0027】
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストを用いた射精障害、とりわけ早漏又は早期射精の治療は、患者の性的衝動を維持しながらその治療を可能にする。本願における用語「性的衝動」は、リビドー又は性欲を意味する。
【0028】
即ち、本発明による化合物は、好ましくは、公知の非選択性バソプレッシン/オキシトシンアンタゴニスト(より勃起不全を引き起こす可能性がある)に比較して、勃起メカニズム、とりわけペニス勃起及び/又は性的衝動を維持する予想外の長所を有し、いくつかの望ましくない睡眠障害のようなSSRIのCNS効果を伴うことがない。
【0029】
したがって、本発明は、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精の治療に用いるバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストに関する。また、本発明は、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精の治療用の薬剤を製造するためのバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストの使用に関する。また、本発明は、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストを用いて、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精を治療する方法に関する。したがって、本発明の一つの局面は、このような治療を必要とする患者に、有効量のバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストを投与することを含む、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精の治療方法である。用語「射精障害」は、早漏や早期射精を包含する。用語「治療」は、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精、並びに、射精障害、好ましくは早漏又は早期射精から生じる合併症の一時的、治癒的、及び予防的治療を包含する。
【0030】
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、好ましくは、リガンド結合試験において、100nM未満のIC50、より好ましくは、10nM未満のIC50、より一層好ましくは、5nM未満のIC50を有する。IC50は、例えば、実施例2に記載のようなリガンド結合試験において、あるいは、例えば、細胞内カルシウムの一時的増加を測定する機能的試験(例えば、実施例3参照)において、測定することができる。
【0031】
好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、オキシトシン受容体に対する少なくとも10倍の選択性、より好ましくは、オキシトシン受容体に対する少なくとも100倍の選択性である。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、バソプレッシンV2受容体に対する少なくとも10倍の選択性、より好ましくは、バソプレッシンV2受容体に対する少なくとも100倍の選択性である。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、バソプレッシンV1b受容体に対する少なくとも10倍の選択性、より好ましくは、バソプレッシンV1b受容体に対する少なくとも100倍の選択性である。
【0032】
本発明のもう一つの局面は、早漏を治療するための薬剤の製造における式(Ia):
【化1】

の化合物、又はその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用であり、
ここで、R1は、C1〜C6アルキル、−(CH2c−[C3〜C8シクロアルキル]−、−(CH2c−W、又は−(CH2c−Z−(CH2d−Wを表し;
2は、フェニル基を表し、場合により、5員環もしくは6員環のアリール基又は複素環式基(N、O、又はSから選択された一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでよい)に縮合し、そのフェニル基とその随意の縮合基は、場合により、下記に掲げたものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
環Aは、少なくとも一つのNを含む4員、5員、又は6員の飽和複素環式基を表し;
環Bは、フェニル基又はhet1を表し、各基は、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
【0033】
het1は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、又は6員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい);
7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、OR3、−(CH2e−R3、又は−(CH2f−O−(CH2e−R3を表し;
Wは、フェニル基、NR45、又はhet2を表し、フェニル基は、場合により、ハロゲン、CF3、OCF3、R3、OR3、CO23、CONR45、CN、SO2NR45、及びNR3SO2Meから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
【0034】
het2は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、6員、若しくは7員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい)、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
Zは、O又はS(O)gを表し;
gは、0、1、又は2を表し;
het3は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、6員、若しくは7員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい)、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
【0035】
各々の場合において、R3とR6は、独立して、H、C1〜C6アルキル(場合により、Y、−(CH2g−[C3〜C8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルによって置換される)を表し;
Yは、独立して、フェニル基、NR45、又はhet3を表し、フェニル基は、場合により、ハロゲン、CF3、OCF3、R4、OR4、CO24、CONR45、CN、SO2NR45、NR4SO2Me、及び−NR45から独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
各々の場合において、R4とR5は、独立して、H、C1〜C6アルキル、−(CH2g−[C3〜C8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、若しくはピリミジルを表し;あるいは、R4とR5は、それらが結合しているN原子と一緒になって3〜8原子の複素環式基を表し;
【0036】
2、環B、het1、het2、及びhet3の置換基は、次に掲げるものから独立して選択され:ハロゲン、CF3、OCF3、R3、−(CH2e−OR3、−(CH2e−CO23、−(CH2e−CONR45、−(CH2e−CN、−(CH2e−SO2NR45、−(CH2e−NR3SO2Me、−(CH2e−COR3、−(CH2e−OCOR3、−(CH2e−NHCOR3、−(CH2e−NR3COR6、及び−(CH2eNR45
aとbは、独立して、0又は1を表し;
c、d、e、及びgは、独立して、0、1、2、3、又は4を表し;
fは、独立して、1、2、3、又は4を表し;
a+bは0になり得ないことを条件とし;
1が−(CH2c−Z−(CH2d−Wを表し、Wが、NR45又は何らかのN結合の複素環式基を表すときは、dは0又は1であってはならないことを条件とし;そして
【0037】
2が、式−(CH2eOR3、−(CH2e−CO23、又は−(CH2eOCOR3の基によって置換されたフェニル基を表すとき;又は
het1及び/又はhet2が、式−(CH2eOR3、−(CH2e−CO23、又は−(CH2eOCOR3の基によって置換されたとき;又は
7が、−OR3又は−(CH2f−O−(CH2e−R3を表して、かつeが0のとき;又は
Wが、−OR3又は−CO23で置換されたフェニル基を表すとき;
そして、R3がYで置換されたアルキル基を表し、且つ、YがNR45又はN結合het3を表すとき;
3は、Yで置換されたC2〜C6アルキルを表さなければならない。
【0038】
本発明において使用する化合物の好ましい基は次の通りである:
(1)R1は、C3〜C6シクロアルキル又はC1〜C4アルキル、より好ましくは、メチル、i−プロピル、又はn−ブチルであり;
(2)R1は、−(CH2c−W、又は−(CH2c−Z−(CH2d−Wであり;
(3)R2は、場合によりハロゲン又は−(CH2e−OR3から選択された一つ又はそれ以上の基で置換されたフェニル基であり;
(4)環Aは、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、又はピロリジニルから選択され、より好ましくは、ピペリジニル又はピペラジニルであり;
(5)環Bは、ハロゲン、CF3、OCF3、R3、−(CH2e−OR3、及びCNから選択された一つ又はそれ以上の基によって置換されたフェニル基であり;
(6)環Bは非置換フェニル基であり;
(7)環Bはhet1であり;
(8)R7は、C1〜C4アルキル、より好ましくは、C1〜C4直鎖アルキル、最も好ましくは、メチル又はエチルであり;
(9)R7はCH2OHであり;
(10)Wは、ハロゲン置換のフェニル基であり;
【0039】
(11)WはNR45であり、好ましくは、NHMe、NMe2、NEt2、N(iPr)2、又はN(nPr)2から選択され;
(12)WはC1〜C6アルキル、好ましくは、メチル又はエチルであり;
(13)WはCO2[C1〜C6アルキル]、好ましくは、CO2t−Buであり;
(14)Wはhet2又はhet3であり;
(15)WはOMeであり;
(16)WはCONR45であり;
(17)Wはハロゲン、好ましくは、クロロ又はフルオロであり、
(18)ZはOであり;
(19)R3とR6は、独立して、C1-4アルキル、より好ましくは、非置換C1-4アルキル、より一層好ましくは、メチル又はtert−ブチルであり;
(20)R3とR6は、独立して、H又はベンジルであり;
【0040】
(21)R4とR5は、独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、又はi−プロピルから選択され;
(22)R4とR5は、それらが結合して窒素と一緒になって、好ましくは、ピペリジニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ピペラジニル、アゼチジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、モルホリニル、及びピロリジニルから選択された複素環を形成し;
(23)R4とR5は、独立して、SO2Me又はベンジルから選択され;
(24)R4とR5は、独立して、CH2CO2−[C1〜C6アルキル]、好ましくは、CH2CO2 t−Buであり;
(25)R4とR5は、独立して、C1〜C6アルキルオキシによって置換されたC1〜C6アルキル、好ましくは、メトキシによって置換されたC2〜C3アルキルであり;
(25)het1は、場合により置換されたピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、モルホリニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1.]ヘプタニル、又はピロリジニルから選択され、より好ましくは、場合によりR3の任意の一つで置換されたピリジニル、ピラジニル、又はピリミジニルから選択され;
【0041】
(26)het2は、置換又は非置換のピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、アゼチジニル、モルホリニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、又はピロリジニルから選択され、より好ましくは、イミダゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、アゼチジニル、モルホリニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、又はピロリジニルから選択され、より一層好ましくは、ピリジニルであり;
(27)het3は、置換又は非置換のテトラヒドロ−フラニル又はテトラヒドロ−ピラニルから選択され;
(28)R2、環B、het1、het2、het3、及びhet4の置換基は、独立して、CF3、R3、−(CH2e−OR3、−(CH2e−CO23、−(CH23−CN、−(CH2e−SO2Me、−(CH2e−COR3であり;
(29)ZはO又はSであり;
【0042】
(30)aは1であり;
(31)bは0であり;
(32)cは0、1、又は2から選択され、より好ましくは、0又は1から選択され;
(33)eは0、1、又は2から選択され、より好ましくは、0又は1から選択され、より一層好ましくは、0であり;
(34)dは0、1、2、又は3から選択され、より好ましくは、0〜2から選択され;
(35)fは1又は2から選択され、好ましくは、1であり;
(36)gは0である。
【0043】
本発明による好ましい化合物は次の通りである:
(S)−4−[5−ブチル−4−(1−フェニル−エチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
2−[4−(4−ベンジル−5−イソブチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
(S)−4−[5−メチル−4−(1−フェニル−エチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−ブチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
2−[4−(4−ベンジル−5−イソプロピル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
2−[4−(4−ベンジル−5−シクロプロピル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
(S)−2−{4−[5−メチル−4−(1−フェニル−プロピル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−[4−(4−ベンジル−5−プロピル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
2−{4−[4−ベンジル−5−(2−クロロ−フェノキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−[4−(4−ベンジル−5−ブチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
(S)−2−{4−[5−メチル−4−(1−フェニル−エチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[4−ベンジル−5−(4−フルオロ−フェノキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[5−メチル−4−(3−メチル−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
(S)−2−{4−[5−メチル−4−(1−フェニル−エチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[4−(3−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−ベンジルオキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
(R)−2−[3−メチル−5−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−[1,2,4]トリアゾール−4−イル]−2−フェニル−エタノール;
2−[4−(4−ベンジル−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−4−メチル−ピリミジン;
2−[4−(4−ベンジル−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン;
4−(4−ベンジル−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−1−フェニル−ピペリジン;
2−[4−(4−ベンジル−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピラジン;
4−(4−ベンジル−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
(S)−4−[4−(1−フェニル−エチル)−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
(S)−4−[5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−(1−フェニル-エチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;
4−[4−ベンジル−5−(2−モルホリン−4−イル−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−((3R)−3−メトキシ−ピロリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル-5−((3S)−3−メトキシ−ピロリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
1−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−ピロリジン−3−オール;
【0044】
4−(4−ベンジル−5−ピロリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−フルオロ−ベンジル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(3−メトキシ−ベンジル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[5−メチル−4−(3−メチル−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(3−クロロ−ベンジル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
N−ベンジル−2−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−アセトアミド;
2−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−エチルアミン;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−エチル−アミン;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−(2−メトキシ−エチル)−アミン;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−(3−メトキシ−プロピル)−アミン;
1−{4−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
4−[4−ベンジル−5−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[
1,2]ビピリジニル;
N−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−メタンスルホンアミド;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミン;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−(3−メトキシ−プロピル)−メチル−アミン;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3’−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−3’−カルボニトリル;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−3’−カルボン酸アミド;
(S)−4−[4−(1−フェニル−エチル)−5−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−モルホリントリハイドロクロライド;
(S)−4−[4−(1−フェニル−エチル)−5−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−モルホリントリハイドロクロライド;
1−[4−ベンジル−5−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−ピペリジン−3−オール;
(R)−2−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピロリジン−1−カルボン酸−tert−ブチルエステル;
(R)−4−[4−ベンジル−5−(テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
(S)−4−[4−ベンジル−5−(テトラヒドロ−フラン−3−イルオキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
{[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメチル]−メチル-アミノ}−酢酸−tert−ブチルエステル;
4−[4−ベンジル−5−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−エトキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(2−メトキシ−エトキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−酢酸−tert−ブチルエステル;
N−ベンジル−2−[4−ベンジル−5−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルメトキシ]−アセトアミド;
4−(4−ベンジル−5−メチルスルファニルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−ピラゾール−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−[1,2,3]トリアゾール−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(ピリジン−4−イルオキシメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル、
又は、これらの医薬的に許容される誘導体、とりわけこれらの医薬的に許容される塩である。
【0045】
特に重要なのは次の化合物:
4−[4−ベンジル−5−ブチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−ベンジルオキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−ベンジル−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
(S)−4−[4−(1−フェニル−エチル)−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル、
であり、又は、これらの医薬的に許容される誘導体、とりわけこれらの医薬的に許容される塩である。
【0046】
これらの化合物は、WO04/037809に開示され、それらの合成が記載されている。
【0047】
本発明のさらにもう一つの局面は、早漏の治療用の薬剤の製造のための、式(I):
【化2】

の化合物、又は、これらの医薬的に許容される塩又は溶媒和物の使用であり、
ここで、Wは、O、S、又はNR1であり;
1は、H、C1-6アルキル、−(CH2a−[C3-8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジル、−COR2、−CO22、−CO−(CH2a−NR23、−SO22、−(CH2b−OR2、−(CH2b−NR23、又はO、N、及びSから選択された一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む3〜8原子の飽和複素環を表し;
XとYは、独立して、H、ハロゲン、OH、CF3、OCF3、R4、−(CH2d−CONR45、−(CH2d−CN、−(CH2d−SO2NR45、−(CH2d−NR4SO2Me、−(CH2d−COR4、−(CH2d−OCOR4、−(CH2d−NHCOR4、−(CH2d−NR4COR5、−(CH2d−OR6、又は−(CH2d−CO26を表し;
環Aは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、又はアゼチジニル基を表し;
環Bは、フェニル、ピリジニル、又はピリミジニル基を表し(場合により、ハロゲン、CN、CONH2、CF3、OCF3、R7、及び−(CH2f−OR8から独立して選択された一つ又はそれ以上の基で置換される);
【0048】
2、R3、R4、R5、及びR7は、独立して、H、直鎖若しくは分枝鎖のC1-6アルキル、−(CH2c−[C3-8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルを表し;
又は、R2とR3、若しくはR4とR5は、独立して、それらが結合している窒素原子と一緒になって3〜8原子の複素環を表し;
6とR8は、独立して、H、直鎖若しくは分枝鎖のC1-6アルキル、−(CH2c−[C3-8シクロアルキル]、−(CH2e−NR45、−(CH2e−OR4、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルを表し;
n=0、1、又は2であり;
a、c、d、及びfは、それぞれ独立して、0、1、2、及び3から選択され;
bとeは、それぞれ独立して、2と3から選択される。
【0049】
上記の定義において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。必要な数の炭素原子を有するアルキル基は、明記がなければ、分枝鎖なし又は分枝鎖ありであることができる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、及びt−ブチルが挙げられる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0050】
「複素環」の定義に含まれる複素環は、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イソインドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、キナゾリニル、フタラジニル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニル、及びこれらの部分的又は完全飽和物、並びに、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、及びモルホリニルである。
【0051】
化合物の好ましい基は次の通りである:
(1)WはNR1であり;
(2)WはOであり;
(3)Rは、C1〜C6アルキル、より好ましくは、メチル、i−プロピル、又はn−ブチルであり;
(4)R1はHであり;
(5)R1は−COR2であり;
(6)R1は−SO22であり;
(7)R1は−CO−(CH2a−NR23であり;
(8)R2はC1〜C6アルキル、より好ましくは、メチル、i−プロピル、又はt−ブチルであり;
(9)R2は−(CH2c−[C3〜C8シクロアルキル]、好ましくは、シクロプロピルであり;
(10)R3はC1〜C6アルキル、より好ましくは、メチル、i−プロピル、又はn−ブチルであり;
【0052】
(11)XはHであり;
(12)Yは、それが結合する芳香環の4位置にあり;
(13)Yはハロゲン、好ましくは、塩素であり;
(14)環Aは、窒素原子を介して環Bに結合し;
(15)環Aはピペリジニルであり;
(16)環Aはピペラジニルであり;
(17)環Bはピリジニル、好ましくは、2−ピリジニルであり;
(18)環Bはピリミジニル、好ましくは、2−ピリミジニルであり;
(19)環Bはフェニルであり;
(20)環Bは非置換であり;
(21)nは1であり;
(22)nは2である。
【0053】
本発明による好ましい化合物は次の通りである:
1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
5−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
1−[1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル)−エタノン;
8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−クロロ−5−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレントリハイドロクロライド;
8−クロロ−5−イソプロピル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレントリハイドロクロライド;
8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ-ベンゾ[e]アズレン;
1−[8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−エタノンジハイドロクロライド;
[8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−シクロプロピル−メタノンジハイドロクロライド;
1−[8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−2,2−ジメチル−プロパン−1−オンジハイドロクロライド;
8−クロロ−5−メタンスルホニル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−クロロ−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−クロロ−5−メチル−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−クロロ−5−イソプロピル−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−クロロ−5−メタンスルホニル−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン;
[8−クロロ−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−シクロプロピ
ル−メタノン;
1−[8−クロロ−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−2,2−ジメチル−プロパン−1−オン;
1−[8−クロロ−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−エタノン;
8−クロロ−1−(6’−トリフルオロメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
4−(8−クロロ−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−6’−カルボニトリル;
4−(8−クロロ−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン−1−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−6’−カルボン酸アミド;
13−クロロ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−2,4,5,8−テトラアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエン;
1−[13−クロロ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−2,4,5,8−テトラアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエン−8−イル]−エタノン;
13−クロロ−8−メチル−3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−2,4,5,8−テトラアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*
]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエン;
3−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−8−オキサ−2,4,5−トリアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエン;
8−クロロ−1−(1−ピリミジン−2−イル−ピペリジン−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
13−クロロ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−8−オキサ−2,4,5−トリアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエン;
3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−8−オキサ−2,4,5−トリアザ−トリシクロ[9.4.0.0*2,6*]ペンタデカ−1(11),3,5,12,14−ペンタエンジハイドロクロライド;
8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
7−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレンジハイドロクロライド;
1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−メトキシ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレンジハイドロクロライド;
8−フルオロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン

8,9−ジフルオロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレンジハイドロクロライド;
9−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレンジハイドロクロライド;
1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−8−トリフルオロメトキシ−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
8−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−5−オキサ−2,3,10b−トリアザ−ベンゾ[e]アズレン;
及び
1−[8−クロロ−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−4H,6H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−5−イル]−2−ジメチルアミノ−エタノン;
又は、これらの医薬的に許容される誘導体である。
【0054】
式(I)の化合物の製造方法は次の通りである:
a)式(II)
【化3】

(ここで、環A及びB、基W、X及びY、並びにnは、上記に説明した通りである)の化合物に酸触媒を反応させる。
【0055】
b)式(III)
【化4】

の化合物に、式(IV)
【化5】

の化合物を反応させる。
ここで、環A及びB、基W、X及びY、並びにnは、上記に説明した通りであり、Zは、ハロゲンのような脱離基を表す。
【0056】
c)化合物(I)のWがNR1を表すとき、式(V)
【化6】

の化合物に、式(VI)
【化7】

の化合物を反応させる。
ここで、環A及びB、基R1、X及びY、並びにnは、上記に説明した通りであり、Z’は、ハロゲンのような脱離基を表す。
【0057】
d)化合物(I)のWがNR1を表すとき、式(V)
【化8】

の化合物に、式(VII)
【化9】

の化合物を反応させる。
ここで、環A及びB、基R1、X及びY、並びにnは、上記に説明した通りである。
【0058】
特段の明記がない限り、略号は次のように対応する:
WSCDIは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライドを意味し;
DCCは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを意味し;
HOATは、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールを意味し;
HOBTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味し;
PyBOP(登録商標)は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し;
PyBrOP(登録商標)は、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し;
HBTUは、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し;
ムカイヤマ試薬は、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージドを意味し;
KHMDSは、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドを意味し;
Huenig塩基は、N−エチルジイソプロピルアミンを意味し;
Et3Nは、トリエチルアミンを意味し;
NMMは、N−メチルモルホリンを意味し;
HMDSは、ヘキサメチルジシラザンを意味し;
BINAPは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを意味し;
Dbaは、ジベンジリデンアセトンを意味し;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルを意味し;
CBzは、ベンジルオキシカルボニルを意味し;
p−TSAは、p−トルエンスルホン酸を意味し;
TBAFは、テトラ−ブチルアンモニウムフルオライドを意味し;
MeOHは、メタノールを意味し;
EtOHは、エタノールを意味し;
EtOAcは、酢酸エチルを意味し;
THFは、テトラヒドロフランを意味し;
DMSOは、ジメチルスルホキシドを意味し;
DCMは、ジクロロメタンを意味し;
DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドを意味し;
NMPは、N−メチル−2−ピロリジノンを意味し;
AcOHは、酢酸を意味し、TFAは、トリフルオロ酢酸を意味する。
【0059】
以下のスキームは、式(I)の化合物の製造を説明し、これらの全体を通して、特段の記載がない限り、環A及びB、基W、X及びY、並びにnは、上記に示した通りである。(I')は、WがNR1のとき(I)を表す。
【0060】
【化10】

【0061】
工程(a):オキサジアゾール(II)に酸触媒を反応させ、式(V)の化合物を得る。典型的に、この反応は、出発物質を、例えば、p−TSAのような適切な酸触媒又は塩化マグネシウムのようなルイス酸触媒を用い、場合により、キシレンのような高沸点溶媒を用い、高められた温度、例えば100〜150℃で1〜48時間加熱することにより行われる。
好ましい条件:
アミン(II)と触媒p−TSA、キシレン中の140℃で48時間。
【0062】
W=NR1の場合:
【化11】

Z’はOH又はハロゲンであり、典型的にClである。
化合物(VI)として使用するのに適切な化合物は、市販されている、又は文献に公知である。
【0063】
工程(b):アミン(V)と化合物(VI)との反応は、標準的方法によって行うことができる。
1=COR2、CO22、CO−(CH2b−NR34、SO22のとき、典型的に、カップリングは以下を使用して行われる:
(1)適切な溶媒中におけるアシル/スルホニル/クロライド(VI)+過剰の酸アクセプタを含むアミン(V);
(2)適切な溶媒中に過剰の酸アクセプタを含み、場合により、触媒の存在下の通常のカップリング剤を含む酸(VI)+アミン(V);及び
(3)適切な溶媒中に過剰の酸アクセプタを含み、場合により、触媒の存在下のR1がアリール基を表すとき、アリールハライド(VI)+アミン(V)。
【0064】
典型的に、条件は次の通りである:
アシル化/スルホニル化、Z=Cl
(1)過剰のアシル/スルホニルクロライド(VI)(その場で生成)、1当量(eq.)のアミン(V)、場合により、Et3N、Huenig塩基、又はNMMのような過剰の第三級(3°)アミンを含む、DCM又はTHF中、加熱なしで1〜24時間。
好ましい条件:
アミン(V)、1.5当量の酸/スルホニルクロライド(VI)、1.5当量のNMM、DCM中の室温(rt.)で16時間。
【0065】
アミド結合の生成、Z=OH
(2)過剰の酸(VI)、WSCDI/DCCとHOBT/HOAT、1当量のアミン(V)、及びTHF、DCM、又はEtOAc中の過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基、室温で4〜48時間;又は
過剰の酸(VI)、PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/ムカイヤマ試薬、1当量のアミン(V)、及びTHF、DCM、又はEtOAc中の過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基、室温で4〜24時間。
【0066】
アリール化(R1=アリール、ヘテロアリール)、Z=ハロゲン
(3)化合物(V)のアリール化は、パラジウム触媒のクロスカップリング反応によって行うことができ、適切な塩基(t−BuONa)、触媒量の2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルのような適切な添加剤、及びトルエン中の適切なパラジウム触媒を用い、不活性雰囲気下の高められた温度で1〜24時間の反応により、化合物(I’)が得られる。あるいは、化合物(I’)は、アミン(I)と化合物(VI)をDMF、NMP、又は1,4−ジオキサンのような適切な溶媒中で、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、又はHuenig塩基のような塩基とともに、50℃〜140℃のような高められ温度に1〜48時間にわたって加熱することによって製造することができる。
【0067】
好ましい条件:
1〜2.5当量のハライド(VI)、1〜2当量の炭酸カリウム、N,N−ジメチルホルムアミド中の50℃で4〜18時間;又は
1〜2.5当量のハライド(VI)、2〜3当量のHuenig塩基、1,4−ジオキサン又はNMP中の18〜48時間の還流;又は
1当量のハライド(VI)、3.5当量のNaOt−Bu、0.08当量のBINAP、0.4当量のPd(dba)2、トルエン中の70℃で8時間。
【0068】
あるいは、化合物(I’)は、下記のスキーム1.3に示すルートにより製造することもできる。
【化12】

化合物(VII)として使用するのに適切な化合物は、市販されている、又は文献において公知である。
【0069】
工程(c):アミン(V)を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下で過剰のアルデヒド/ケトン(VII)と反応させ、式(I’)の化合物を得る。この反応は、次のようにして行うことができる:
出発物質を、ジクロロメタンのような適切な溶媒中で、例えば、20℃〜80℃の温度で1〜48時間にわたって撹拌する、又は
ジクロロエタン又はエタノールのような適切な溶媒中で、アミン(V)と過剰な化合物(VII)を、四塩化チタン又はテトライソプロポキシチタンのような適切なルイス酸触媒とともに、例えば、50℃〜100℃の温度に1〜18時間にわたって加熱し、次いで、水素化ホウ素ナトリウムのような適切な還元剤を用いた中間体イミン/イミニウム種の還元により、又は白金酸化物や炭素上のパラジウムのような適切な触媒の上での水素添加分解による。
好ましい条件:
アミン(V)、1.5当量のアルデヒド/ケトン(VII)、2.0当量のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、ジクロロメタン中の室温で2時間。
【0070】
環Bが、N原子を介して環Aに結合し、WがO又はSを表すとき:
【化13】

【0071】
Protは、窒素にとって適切な保護基を表し、例えば、Boc、CBz、又はアリルカルバメートである。窒素保護基について、書籍(例、「“Protecting Groups in Organic Synthesis”by T.W. Greene and P. Wutz」)に見られるような標準的方法が用いられる。Zはハロゲンのような脱離基を表す。
化合物(IV)として使用するのに適切な化合物は、市販されている、又は文献において公知である。
化合物(III)のアリール化は、上記の工程(b)に記載のようにして行うことができる。
好ましい条件:
1〜2.5当量のハライド(IV)、1〜2当量の炭酸カリウム、N,N−ジメチルホルムアミド中の50℃で4〜18時間;又は
1〜2.5当量のハライド(IV)、2〜3当量のHuenig塩基、1,4−ジオキサン又はNMP中の18〜48時間の還流;又は
1当量のハライド(IV)、3.5当量のNaOt−Bu、0.08当量のBINAP、0.4当量のPd(dba)2、トルエン中の70℃で8時間。
【0072】
工程(d):化合物(IX)の脱保護は、「“Protecting Groups in Organic Synthesis” by T.W. Greene and P. Wutz"」に記載のような標準的仕方を用いて行われる。
ProtがBocのとき、好ましい方法は、
1,4−ジオキサンのような適切な溶媒中の塩化水素、室温で1〜16時間;又は、
ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸溶液、1〜2時間。
ProtがCBzのとき、好ましい方法は、エタノールのような溶媒中の適切なパラジウム触媒を用いた水素添加分解である。
Protがアリルカルバメートのとき、好ましい条件は、テトラヒドロフラン中で、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンのような適切なホスフィン添加物を含むPd2(Dba)3のような適切なパラジウム触媒とチオ安息香酸に20分間である。
【0073】
環Bが、N原子を介して環Aに結合し、WがNR1を表すとき:
【化14】

【0074】
Protは、窒素にとって適切な保護基を表し、例えば、Boc、CBz、又はアリルカルバメートである。窒素保護基について、書籍(例、「“Protecting Groups in Organic Synthesis”by T.W. Greene and P. Wutz」)に見られるような標準的方法が用いられる。
Zはハロゲンを表す(典型的にCl)。Z’は脱離基を表す(典型的にCl又はOH)。
【0075】
化合物(IV)として使用するのに適切な化合物は、市販されている、又は文献において公知である。
化合物(IX”)は、典型的に、上記の工程(b)と工程(c)に記載の方法を用いて、化合物(IX’)から製造することができる。
化合物(III’)は、典型的に、上記の工程(d)に記載の方法を用いて、化合物(IX”)から製造することができる。
化合物(I’)は、典型的に、上記の工程(b)に記載の方法を用いて、化合物(III’)のアリール化によって製造することができる。
化合物(II)と(VIII)として使用するのに適切な化合物は、文献において公知であり、又は下記のスキーム3.1と3.2に示すようにして製造することができる。
【0076】
【化15】

【0077】
環Aと環Bが、N原子を介して結合するとき:
【化16】

【0078】
化合物(XI)として使用するのに適切な化合物は、文献において公知であり、又は標準的な方法を用いて製造することができ、例えば、安息香酸の還元(下記の製造7を参照)又はベンゾニトリルの還元(下記の製造10を参照)が挙げられる。
【0079】
WがNR1を表すとき:
工程(e):化合物(X)/(XII)を過剰の化合物(XI)と反応させて、それぞれ化合物(II)/(VIII)を生成させ、場合により、プロトンアクセプタとしてトリエチルアミン、Huenig塩基、又は炭酸カリウムのような塩基を過剰に存在させ、THF、トルエン、又はDMFのような適切な高沸点溶媒中で50℃〜100℃の1〜48時間反応させる。
好ましい条件:
2.5当量の化合物(XI)、THF中、50℃で48時間。
【0080】
WがO又はSを表すとき:
工程(e):化合物(X)/(XII)を、THF、トルエン、又はNMPのような適切な溶媒中で、水素化ナトリウム、カリウムヘキサメチルジシラジド、n−ブチルリチウム、又はイソプロピルマグネシウムクロライドのような塩基の存在下で、0℃〜50℃の温度で1〜24時間にわたって過剰の化合物(XI)と反応させ、それぞれ化合物(II)/(VIII)を生成させる。
好ましい条件:
3当量の化合物(XI)と2.5当量のNaH、THF中、20℃で2時間。
【0081】
化合物(X)と(XII)として使用するのに適切な化合物は、文献において公知であり、又はスキーム4.1と4.2に示すようにして製造することができる。
【化17】

X’は、OH又はハロゲンを表し、好ましくは、Clを表す。LGは脱離基、典型的にハロゲンを表し、好ましくは、塩素又は臭素である。
【0082】
環Aと環Bが窒素原子を介して結合しているとき:
【化18】

X’は、OH又はハロゲンを表し、好ましくは、Clを表す。LGは脱離基、典型的にハロゲンであり、好ましくは、塩素又は臭素である。
化合物(XIV)は、市販されている又は文献公知のいずれかである。
【0083】
工程(f):ヒドラジド(XIII/XIII’)と化合物(XIV)との反応は、標準的方法によって行うことができる。
カップリングは、次のいずれかにより行うことができる:
(1)塩化アシル(XIV)+ヒドラジド(XIII/XIII’)、適切な溶媒中で過剰の酸アクセプタを含む;又は
(2)通常のカップリング剤を含む酸(XIV)+ヒドラジド(XIII/XIII’)、場合により、触媒が存在し、適切な溶媒中で過剰の酸アクセプタを含む。
【0084】
典型的に、条件は次の通りである:
(1)酸塩化物(XIV)(その場で発生)、過剰のヒドラジド(XIII/XIII’)、場合により、Et3N、Huenig塩基、又はNMMのような過剰の第三級アミンを含む、DCM又はTHF中、加熱なしで1〜24時間;又は
(2)酸(XIV)、WSCDI/DCCとHOBT/HOAT、過剰のヒドラジド(XIII/XIII’)、THF、DCM、又はEtOAc中の過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基、室温で4〜48時間;又は
(3)酸(XIV)、PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/ムカイヤマ試薬、過剰のヒドラジド(XIII/XIII’)、THF、DCM、又はEtOAc中の過剰のNMM、Et3N、Huenig塩基、室温で4〜24時間。
好ましい条件:
ヒドラジド(XIII/XIII’)、1.5当量のクロロアセチルクロライド(XIV)、1.5当量のNMM、DCM中の室温で16時間。
【0085】
工程(g):化合物(XV/XV’)の環化を、適切な脱水条件下で、高められた温度において18時間以内に行う。
典型的に、ポリリン酸、オキシ塩化リン、トリフリック酸無水物のような脱水剤を20〜120℃の温度で5分間〜12時間にわたって使用する。場合により、反応を、ピリジンのような塩基とジクロロメタンやアセトニトリルのような適切な溶媒の存在下で行うことができる。あるいは、「Rigo et. al. Synth. Commun. 16(13), 1665, 1986」の方法にしたがって、オキサジアゾール(XII/X)を製造することもできる。
好ましい条件:
100℃の8時間においてオキシ塩化リン、あるいは、2.5当量のトリフリック酸無水物、5当量のピリジン、ジクロロメタン中の20℃で3時間。
【0086】
化合物(XIII/XIII’)として使用するのに適切な化合物は、文献において公知であり、又はスキーム5.1と5.2に示すようにして製造することができる。
【化19】

【0087】
環Aと環Bが、N原子を介して結合しているとき:
【化20】

化合物(XVI)/(XVI’)と保護ヒドラジンは、市販されているか、又は対応するエステルの加水分解のような標準的方法において公知である。
【0088】
カルボン酸(XVI)/(XVI’)と保護ヒドラジン(prot*は典型的にBoc)は、(XV)/(XV’)を製造するための上記の条件を用い、カップリングしてそれぞれ化合物(XVII)/(XVII’)を生成することができ、次いで、上記の工程(d)に記載の標準的方法を用いてprot*を除去し、(XIII)/(XIII’)を生成させる。
【0089】
下記のスキーム6.1と6.2に、化合物(XIII)/(XIII’)への別なルートを示す。
【化21】

【0090】
環Aと環Bが、N原子を介して結合しているとき:
【化22】

【0091】
工程(h):エステル(XVIII/XVIII’)を、メタノールのような適切な溶媒の中の高められた温度でヒドラジンと反応させ、ヒドラジド(XVII/XVII’)を生成させることができる。
好ましい条件:
3当量のヒドラジン、メタノール中、還流18時間
【0092】
当業者には、式(I)の化合物を合成する際に、不安定な官能基が保護・脱保護される必要があることが明らかであろう。このことは、例えば、「“Protective Groups in Organic Synthesis”by T W Greene and P G M Wuts, John Wiley and Sons Inc, 1991」に記載のような通常の技術によって達成できる。
【0093】
本発明にしたがうと、さらに、
式(II)の中間体:
【化23】

式(XV)の中間体:
【化24】

式(X)の中間体:
【化25】

が提供され、ここで、X、Y、W、環A、環B、LG及びnは、上記の通りである。
【0094】
適切なバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、例えば、化合物1:(4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル)であり、これは、WO04/037809の例26である。
【0095】
本発明で使用するバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストのさらなる例は、WO04/037809とPCT/IB2004/000432に記載されている。とりわけ、8−クロロ−5−メチル−1−(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアゾ−ベンゾ[e]アズレン、又はその医薬的に許容される塩又は溶媒和物が好ましい。本発明で使用する他の好ましいV1aアンタゴニストは、8−クロロ−5−メチル−1−(1−ピリミジン―2−イル−ピペリジン−4−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−2,3,5,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン、又はその医薬的に許容される塩又は溶媒和物である。
【0096】
適切なバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストのさらなる例は、米国特許第6090818号、EP0873309、WO98/25901、WO02/083685、特開2000−63363、及びWO02/32864に記載されている。
本発明で使用するバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストの例は、SR49049(Relcovaptan)、アトシバン(Tractocile)(登録商標)、コニバプタン(YM−087)、及びOPC21268である。また、WO01/58880に記載のV1a受容体アンタゴニストも本発明に使用するのに適切である。
【0097】
本発明のさらにもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するために有用な化合物のスクリーニング方法であり、バソプレッシンV1a受容体に対するアンタゴニスト活性について化合物をスクリーニングし、100nM未満のIC50、好ましくは10nM未満のIC50、より一層好ましくは5nM未満のIC50を有する化合物を選択することを含む。
好ましくは、このスクリーニング方法は、さらに、オキシトシン受容体及び/又はバソプレッシンV2受容体及び/又はバソプレッシンV1b受容体に対するアンタゴニスト活性について化合物をテストし、V1a受容体について望ましい選択性を有する化合物を選択することを含む。
【0098】
本発明のもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏を治療するための薬剤を提供する方法であり、以下の工程を含む:
(a)バソプレッシンV1a受容体に対するリガンド結合試験において化合物をテストし;
(b)100nM未満のIC50を有する化合物を選択し;
(c)工程(b)で選択したのと同じ構造を有する化合物、又はその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに製剤し;
また、この方法は、次の付加的な工程を含むことができる:
(d)工程(c)の薬剤を包装し;及び
(e)工程(d)の包装を、男性機能障害、好ましくは、早漏又は早期射精を患う患者に利用できるものにする。
好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、10nM未満のIC50を有し、より一層好ましくは、5nM未満のIC50を有する。
【0099】
本発明のもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏を治療するための薬剤を提供する方法であり、以下の工程を含む:
(a)バソプレッシンV1a受容体に対する、及びオキシトシン受容体及び/又はバソプレッシンV2受容体に対する、及び/又はバソプレッシンV1b受容体に対するリガンド結合試験において、化合物をテストし;
(b)V1a受容体に対する100nM未満のIC50と、オキシトシン受容体及び/又はバソプレッシンV2受容体及び/又はバソプレッシンV1b受容体の10倍を超える選択性を有する化合物を選択し;
(c)工程(b)で選択したのと同じ構造を有する化合物、又はその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに製剤し;
また、この方法は、次の付加的な工程を含むことができる:
(d)工程(c)の製剤を包装し;及び
(e)工程(d)の包装を、男性機能障害、好ましくは、早漏又は早期射精を患う患者に利用できるものにする。
【0100】
好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、V1a受容体に対して、10nM未満のIC50を有し、より一層好ましくは、5nM未満のIC50を有する。好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、オキシトシン受容体の少なくとも100倍の選択性、及び/又はバソプレッシンV2受容体の少なくとも100倍の選択性、及び/又はV1b受容体の少なくとも100倍の選択性を有する。より一層好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、バソプレッシンV1a受容体に対する10nM未満のIC50と、オキシトシン受容体とバソプレッシンV2受容体とバソプレッシンV1b受容体の少なくとも100倍の選択性を有する。
【0101】
本発明のさらにもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するための薬剤を提供する方法であり、以下の工程を含む:
(a)アッセイにおいて化合物をテストし、バソプレッシンV1a受容体のアゴニスト刺激の第2メッセンジャー反応の阻害を測定し;
(b)100nM未満のIC50を有する化合物を選択し;
(c)工程(b)で選択したのと同じ構造を有する化合物、又は医薬的に許容される担体又は賦形剤を製剤し;
また、この方法は、次の付加的な工程を含むことができる:
(d)工程(c)の製剤を包装し;及び
(e)工程(d)の包装を、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を患う患者に利用できるものにする。
【0102】
好ましくは、工程(a)におけるアッセイは、バソプレッシンのようなバソプレッシンV1a受容体アゴニストに応答したバソプレッシンV1a受容体発現細胞における細胞内カルシウムの一時的増加を測定し、より好ましくは、細胞内カルシウムの一時的増加は、Fluo−3のようなカルシウム感受性蛍光色素を用い、蛍光法によって測定する。もう一つの好ましい技法は、子宮筋条片、好ましくは、ヒトの子宮筋条片を用いた組織に基づく機能試験である。好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、10nM未満のIC50を有し、より一層好ましくは、5nM未満のIC50を有する。
【0103】
好ましくは、この方法は、オキシトシン受容体及び/又はバソプレッシンV2受容体及び/又はバソプレッシンV1b受容体に対するアンタゴニスト活性について化合物をテストする工程をさらに含み(任意の方法による)、工程(b)で選択される化合物は、好ましくは、オキシトシン受容体の少なくとも100倍の選択性、及び/又はバソプレッシンV2受容体の少なくとも100倍の選択性、及び/又はV1b受容体の少なくとも100倍の選択性を有する。より一層好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、バソプレッシンV1a受容体に対する10nM未満のIC50と、オキシトシン受容体とバソプレッシンV2受容体とバソプレッシンV1b受容体の少なくとも100倍の選択性を有する。
【0104】
本発明のもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するための薬剤を製造する方法であり、(a)バソプレッシンV1a受容体に対するリガンド結合試験において化合物をテストし、又はアッセイにおいて化合物をテストし、バソプレッシンV1a受容体のアゴニスト刺激の第2メッセンジャー反応の阻害を測定し;(b)100nM未満のIC50を有するバソプレッシンV1a受容体に拮抗することができる一つ又はそれ以上の化合物を特定し;及び(c)それらの一つ又はそれ以上の特定した化合物を多量に製造する、各工程を含む。好ましくは、工程(b)で選択される化合物は、10nM未満のIC50を有し、より一層好ましくは、5nM未満のIC50を有する。
【0105】
本発明のもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するための組成物を製造する方法であり、この方法は、(a)テスト化合物の存在下又は不在下で、V1a受容体を発現する細胞又はそのような細胞から生成した膜を、放射能標識のバソプレッシンV1a受容体リガンドに接触させ、その細胞又は膜に結合した放射能を測定し、テスト化合物の存在下と不在下でその細胞又は膜に結合した放射能を比較し、それにより、結合した放射能に減少を生じさせる化合物をバソプレッシンV1a受容体に明確に結合する化合物であるとする方法によって、バソプレッシンV1a受容体に明確に結合する化合物を特定し、そして、(b)その化合物に担体を混合する、ことを含む。
【0106】
本発明のさらにもう一つの局面は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するための組成物を製造する方法であり、この方法は、(a)バソプレッシンV1a受容体を表面上に発現し、バソプレッシンV1a受容体アゴニスト(例、バソプレッシン)に応答して第2メッセンジャー反応を生成する細胞、又はそのような細胞の膜標本を、バソプレッシンV1a受容体の活性化に適切な条件下で、その化合物とバソプレッシンV1a受容体のアゴニストの両方に、及びアゴニストのみに、別々に接触させ、バソプレッシンV1a受容体のアゴニストのみの存在下、及びそのアゴニストとその化合物の存在下で、第2メッセンジャー反応を測定し、アゴニストのみの存在下よりもアゴニストと化合物の両方の存在下での第2メッセンジャー反応の小さい変化が、その化合物がバソプレッシンV1a受容体の活性化を阻害することを示すことを含む方法によって、V1a受容体に明確に結合してその活性化を阻害する化合物を特定し、そして、(b)その化合物に担体を混合する、ことを含む。
【0107】
本発明は、射精障害、好ましくは、早漏又は早期射精を治療するために、バソプレッシンV1aアンタゴニストを、単独で、又は一つ又はそれ以上の次のような物質と組み合わせて使用することに関する:
・選択的なセロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、とりわけ迅速な開始と短い作用期間を有するSSRI。本発明に用いるのに適切なSSRIには、セルトラリン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、ダポキセチン、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例28、WO0172687)、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例12、WO0218333)、N−メチル−N−({3−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]−4−ピリジニル}メチル)アミン(例38、WO02/083643)が挙げられる。好ましいSSRIは、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例28、WO0172687)、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例12、WO0218333)、N−メチル−N−({3−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]−4−ピリジニル}メチル)アミン(例38、WO02/083643)、パロキセチン、及びダポキセチンである。より好ましくは、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例28、WO0172687)、3−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(例12、WO0218333)、N−メチル−N−({3−[3−メチル−4−(メチルスルファニル)フェノキシ]−4−ピリジニル}メチル)アミン(実施例38、WO02/083643)である;
【0108】
・PDE阻害剤、より具体的には、PDE5阻害剤であり(下記参照)、この阻害剤は、好ましくは、100nM未満の各酵素に対してあるIC50を有する;
・セロトニン受容体アンタゴニスト又は修飾物質であり、より具体的には、NAD−299(ロバルゾタン)やWAY−100635などの5HT1A用のアンタゴニスト又は修飾物質、及び/又は、より具体的には、バタノプリド、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピストロン、及びMDL−73147EFなどの5HT3受容体用のアンタゴニスト又は修飾物質である;
【0109】
・セロトニン受容体アゴニスト又は修飾物質であり、より具体的には、エレトリプタン(WO92/06973)、ナラトリプタン(GB2208646)、リザトリプタン(EP497512)、アルモトリプタン(WO94/02460)、アビトリプタン、スマトリプタン(GB2162522)、フロバトリプタン、アルニジタン、ゾルミトリプタン(WO91/18897)、LY334370、LY306258、BMS−180048、BMS−181885などの5HT2C、5HT1B、及び/又は5HT1D受容体用のアゴニスト又は修飾物質であり;
【0110】
・α−アドレナリン受容体アンタゴニスト(α−アドレナリン遮断薬、α−遮断薬、又はα−受容体遮断薬としても知られる)であり、適切なα1−アドレナリン受容体アンタゴニストには、フェントラミン、プラゾシン、フェントラミンメシラート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン、フェノキシベンズアミン、ラウオルフィアアルカロイド、Recordati15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL89.0591、ドキサゾシン、テラゾシン、
及びアバノキルが挙げられ、適切なα2−アドレナリン受容体アンタゴニストには、ジベナルニン、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサン、クロニジン、及びジベナルニンが挙げられ、適切な非選択性α−アドレナリン受容体アンタゴニストにはダピプラゾールが挙げられ、また、α−アドレナリン受容体アンタゴニストは、WO99/30697、米国特許第4188390号、同4026894号、同3511836号、同4315007号、同3527761号、同3997666号、同2503059号、同4703063号、同3381009号、同4252721号、及び同2599000に記載されており、これらはいずれも本願に参照により取り入れられ;
・オキシトシン受容体アンタゴニスト、例えば、L−368899である(L−368899の合成は「Williams et al (1994) J. Med. Chem. 37, 565-571」に教示されている)。
【0111】
・PDE阻害剤
本発明によるバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストと組み合わせて使用するのに適切なcGMP PDE阻害剤、好ましくはPDE5阻害剤には次のものがある:国際特許出願WO03/000691、WO02/64590、WO02/28865、WO02/28859、WO02/38563、WO02/36593、WO02/28858、WO02/00657、WO02/00656、WO02/10166、WO02/00658、WO01/94347、WO01/94345、WO00/15639、及びWO00/15228、並びに、米国特許第6143746号、同6143747号、及び同6043252号に記載のPDE5阻害剤;EP−A−0463756に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0526004に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開された国際特許出願WO93/06104に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開された国際特許出願WO93/07149に開示の異性体のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、公開された国際特許出願WO93/12095に開示のキナゾリン−4−オン、公開された国際特許出願WO94/05661に開示のピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン、公開された国際特許出願WO94/00453に開示のプリン−6−オン、公開された国際特許出願WO98/49166に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開された国際特許出願WO99/54333に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995751に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開された国際特許出願WO00/24745に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995750に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開された国際出願WO95/19978に開示のヘキサヒドロピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン、WO00/27848に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、EP−A−1092719と公開された国際出願WO99/24433に開示のイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−オン、公開された国際出願WO93/07124に開示の二環式化合物、公開された国際出願WO01/27112に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開された国際出願WO01/27113に開示のピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−1092718に開示の化合物とEP−A−1092719に開示の化合物、EP−A−1241170に開示の三環式化合物、公開された国際出願WO02/074774に開示のアルキルスルホン化合物、公開された国際出願WO02/072586に開示の化合物、公開された国際出願WO02/079203に開示の化合物、WO02/074312に開示の化合物。
公開された特許出願と雑誌の論文の内容、とりわけ、それらのクレイムと例示化合物の治療的に活性な化合物の一般式は、そのまま本願に参照により取り入れられる。
【0112】
本発明で使用するのに好ましい5型ホスホジエステラーゼ阻害剤(PDE5阻害剤)は、次のものが挙げられる:
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル、例えば、Viagra(登録商標)として販売)、また、1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン(EP−A−0463756参照)としても知られる;
5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004参照);
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166参照);
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照);
(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、また、3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照)としても知られる;
【0113】
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、また、1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られる(WO01/27113の例8参照);
5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113の実施例15参照);
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113の実施例66参照);
5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112の実施例124参照);
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112の実施例132参照);
【0114】
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、Cialis(登録商標))、即ち、公開された国際出願WO95/19978の実施例78と95の化合物、及び実施例1、3、7、及び8の化合物;
2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル、LEVITRA(登録商標)、また、1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られる、即ち、公開された国際出願WO99/24433の実施例20、19、337、及び336の化合物;
公開された国際出願WO93/07124の実施例11の化合物(EISAI);
「Rotella D P, J. Med. Chem., 2000, 43, 1257」の化合物3と14;
4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン;
N−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−1−メチル−2−ピロリジンプロパンアミド[“DA−8159”(WO00/27848の実施例68)];及び
7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリンと1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド。
【0115】
本発明との関係で有用であり得るさらに別のタイプのcGMP PDE5阻害剤には、4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸、モノナトリウム塩;(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペンタ−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン;フルアゾシリン(furazlocillin);シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アルニノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸、モノナトリウム塩;ファーマプロジェクトNo.4516(Glaxo Wellcome);ファーマプロジェクトNo.5051(Bayer);ファーマプロジェクトNo.5064(協和発酵;WO96/26940参照);ファーマプロジェクトNo.5069(Schering Plough);GF−196960(Glaxo Wellcome);E−8010とE−4010(エイザイ);Bay−38−3045 & 38−9456(Bayer);FR229934とFR226807(フジサワ);及びSch−51866が挙げられる。
【0116】
より好ましくは、PDE5阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、DA−8159、及び5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選択される。
最も好ましくは、PDE5阻害剤は、シルデナフィルとその医薬的に許容される塩である。クエン酸シルデナフィルが好ましい塩である。
【0117】
好ましくは、cGMP PDE5阻害剤は、100ナノモル未満、より好ましくは、50ナノモル未満、より一層好ましくは、10ナノモル未満のIC50を有する。
任意の特定のcGMP PDE5阻害剤の適合性は、文献的方法を用いてその作用強度と選択性を評価した後、標準的な薬剤上の実務にしたがって、その毒性、吸収、代謝、薬物動態等を評価することにより、容易に測定することができる。好ましくは、薬剤の組み合わせにおいて使用されるPDE5阻害剤は、PDE5酵素について選択的である。好ましくは、それらは、PDE3選択性よりも100を超える、より好ましくは、300を超えるPDE5選択性を有する。より好ましくは、PDE5阻害剤は、PDE3とPDE4の双方よりも100を超える、より好ましくは、300を超える選択性を有する。選択性の比は、当業者によって容易に測定することができる。PDE3酵素とPDE4酵素のIC50値は、確立された文献的方法を用いて測定することができる(「S.A. Ballard et al, J. Urology (1998) 159, 2164-2171」参照)。アッセイは、「W.J. Thompson et al.(Biochem. (1979) 18, 5228)」の「バッチ」方法の改良を用いて、あるいは、製品コードTRKQ7090/7100としてAmersham plcによって記載のプロトコルの改良を用いるAMP/GMPの直接検出のためのシンチレーション近接アッセイを用いて、行うことができる。それらの機能的活性は、ニトロプルシドナトリウムを高める本発明のPDE5の能力、又は予め収縮させたウサギ海綿体組織片の電場刺激誘発の弛緩を測定することによって(「S.A. Ballard et al. (1998) J. Urology 159, 2164-2171」に記載)、インビトロで評価することができる。
【0118】
本発明のもう一つの局面は、早漏又は早期射精の治療をする薬剤の製造のために、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストとPDE V阻害剤の組み合わせを使用することである。
本発明のさらにもう一つの局面は、早漏又は早期射精の治療をする薬剤の製造のために、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストと選択的セロトロン再摂取阻害剤(SSRI)の組み合わせを使用することである。
本発明のさらなる局面は、早漏又は早期射精の治療において同時に、別個に、又は逐次に使用する併用調剤としての、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストとPDE V阻害剤を含む製品である。
本発明のさらにもう一つの局面は、早漏又は早期射精の治療をする薬剤の製造のための、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストと選択的セロトロン再摂取阻害剤(SSRI)を含む製品である。
【0119】
アンタゴニスト、アゴニスト、又は阻害剤についての言及は、常に、その遊離形態(例、遊離型及び/又は塩基型)などのこうした物質の全ての活性形態、さらに医薬的に許容される塩、多形体、水和物、ケイ酸塩、立体異性体(例、ジアステレオ異性体と鏡像異性体)を含むものと理解すべきである。これらの全ての化合物の活性代謝体もまた、いかなる形態であっても包含される。
経口投与又は局所適用(クリーム、ゲル)のいずれも、化合物の特定の製剤は本発明に包含される。
【0120】
抗利尿ホルモンのバソプレッシンは、体液の浸透圧濃度、血液容量、血圧、及び血管緊張のコントロールに関連する環状ノナペプチドである。これは、Gタンパク質共役型の膜受容体に結合することによって作用する。この受容体系の一員が、バソプレッシンV1a受容体であり、これは、細胞の収縮と増殖、血小板凝集、凝固因子の放出、グリコーゲン分解を仲介する。バソプレッシンV1a受容体を介したバソプレッシン(AVP)の作用は、ホスホリパーゼCを活性化することによって仲介され、これは今度は、ホスファチジルノシトールの代謝回転を刺激し、細胞内のカルシウムイオンを増加させる。バソプレッシンV1a受容体は、最初に、肝臓cDNAよりラットからクローンを作られ(Morel, A. et al (1992) Nature 356, 523-526)、その配列は、登録番号Z11690としてGenbankに寄託されている。ヒトのバソプレッシンV1a受容体は、Thibonnierらによってクローンを作られて関数的に表現され((1994) J. Biol.Chem. 269, 3304-3310)、その配列は、登録番号L25615としてGenbankに寄託されている。ヒトのバソプレッシンV1a受容体のタンパク質配列もまたSwissProt登録P37288で利用可能である。
【0121】
本願における用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。ある場合には、用語「アミノ酸配列」は、用語「ペプチド」と同義である。ある場合には、用語「アミノ酸配列」は、用語「タンパク質」と同義である。
本願で言及する特定のアミノ酸配列に加え、本発明は、それらの変異体、相同体、及び誘導体の使用もまた包含する。
【0122】
現状において、相同的配列は、Thibonnier,M.らに示されたヒトV1a受容体のアミノ酸配列((1994) J. Biol. Chem. 269, 3304-3310)と少なくとも75、80、85、又は90%同じ、好ましくは、95又は98%同じアミノ酸配列を含んで得られる。とりわけ、相同性は、活性にとって本質的であると知られる配列の領域に関して典型的に考慮されるべきである。相同性は、類似性の点から考慮することもできるが(即ち、類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残渣)、本発明の脈絡においては、相同性を配列の同一性に関して表すことが好ましい。こうした配列の相同性/同一性は、公に入手可能な又は市販の生物情報ソフトウェアによって容易に算定することができ、例えば、Blast2(Altschul, S.F. et al (1997) Nucl. Acids Res. 25, 3389-3402)、又はGCGソフトウェアパッケージ(Devereux et al (1984) Nucl. Acids Res. 12, 387; Wisconsin Package Version 10, Genetics Computer Group (GCG, Madison, Wisconsin), such as Bestfit or Gap)が挙げられる。殆どの場合、Gap Penalties等のためのソフトウェア、例えば、Bestfit or Gapによって提供される初期パラメータが、この算定に適切である。
【0123】
本願における用語「作用強度」は、化合物が有効な濃度の尺度である。化合物の作用強度は、実施例2に記載のように、結合試験で測定することができ、本願における作用強度は、化合物のIC50、即ち、標識化合物の50%を受容体に結合するのを阻害する濃度を指称するものとする。化合物の作用強度は、実施例1に記載のように、麻酔されたラットにおける射精の遅れのような機能試験において測定することもできる。この場合の作用強度は、化合物のIC50、即ち、アゴニストの適用によって見られる機能的反応の50%を阻害する濃度を指称する。
【0124】
本願における用語「選択性」は、同じ内在性リガンドに対する二つの受容体サブタイプ間における薬物の相対的作用強度の尺度である。これは、実施例2に記載のように結合試験において、又は実施例3に記載のように機能試験において測定することができる。
【0125】
疑問を回避するため、用語「化合物」は、化学的物質又は生物的物質を指称し、例えば、抗体、抗体フラグメント、別なタンパク質、ペプチド、糖、任意の有機分子、又は無機分子が挙げられる。スクリーニングに使用することができる化合物には、限定されるものではないが、例えば、ランダムなペプチドライブラリの構成員などの可溶性ペプチド(例えば、「Lam et al. (1991) Nature 354, 82-84; Houghten et al. (1991) Nature 354, 84-86」参照)、D型及び/又はL型アミノ酸からなる組み合わせの化学由来分子ライブラリのようなペプチド、リンペプチド(限定されるものではないが、ランダム又は部分的変性の有向リンペプチドライブラリの構成員など、例えば、「Songyang et al. (1993) Cell 72, 767-778」参照)、抗体(限定されるものではないが、多クローン性、単クローン性、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、又は単鎖の抗体、並びに、Fab、F(ab’)2、及びFab表現のライブラリフラグメント、及びこれらのエピトープ結合フラグメント)、並びに小さい有機又は無機分子が挙げられる。
【0126】
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストの適合性は、本願に開示のような方法を用いて作用強度と選択性を評価し、次いで標準的な薬剤実務にしたがって、毒性、薬物動態(吸収、代謝、分配、及び排出)等を評価することによって、容易に測定することができる。適切な化合物は、効き目があって選択的であり、治療量で有意な毒性作用がなく、好ましくは、経口投与の後に生体利用され得る。
【0127】
経口生体利用率とは、体循環に到達する経口投与された薬物の割合を言う。薬物の経口生体利用率を決める因子は、溶解性、膜浸透性、及び肝クリアランスである。典型的に、経口生体利用率を求めるため、最初に生体外でスクリーニングカスケードが、次に生体内技術が用いられる。
【0128】
消化管(GIT)の水分による薬物の溶解又は可溶化は、GITを模倣する適当なpHで行われる生体外の溶解性実験から予想することができる。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、少なくとも50μg/mlの溶解性を有する。溶解性は、「Lipinski CA et al.; Adv. Drug Deliv. Rev. 23(1-3), 3-25, 1997」に記載のような当該技術で公知の標準的手法によって測定することができる。
【0129】
膜浸透性は、消化管の細胞を通り抜ける化合物の通過を言う。親油性は、これを予測する重要な特性であり、有機溶媒とバッファを用い、生体外でのLogD7.4の測定によって求められる。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、−2〜+4、より好ましくは、−1〜+3のLogD7.4を有する。LogDは、「Stopher, D and McClean, S; J. Pharm. Pharmacol. 42(2), 144, 1990」に記載のような当該技術で公知の標準的手法によって測定することができる。
【0130】
Caco2のような細胞単層アッセイは、P−糖タンパク質、いわゆるCaco2フラックスのような流出トランスポータの存在下で、良好な膜浸透性の予想に実質的に加担する。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、2×10-6cm(s-1を上回る、より好ましくは、5×10-6cm(s-1を上回るCaco2フラックスを有する。Caco2フラックスの値は、「Artursson, P and Magnusson, C; J. Pharm. Sci, 79(7), 595600, 1990」に記載のような当該技術で公知の標準的手法によって測定することができる。
【0131】
代謝安定性は、消化管が吸収プロセスの間に化合物を新陳代謝する能力、又は肝臓が吸収後に迅速に新陳代謝する能力、即ち、第1通過効果に対応する。ミクロソーム、肝細胞等のようなアッセイ系は、代謝不安定性を予測する。好ましくは、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストは、0.5未満の肝臓抽出と釣り合うアッセイ系において代謝安定性を示す。アッセイ系とデータ操作の例は、「Obach, RS; Curr. Opin. Drug Disc. Devel. 4(1), 36-44, 2001」、及び「Shibata, Y et al.; Drug Met. Disp. 28(12), 1518-1523, 2000」に記載されている。
【0132】
上記プロセスの相互作用のため、薬物がヒトにおいて経口により生物的に利用できるというさらなる裏づけを、動物の生体内実験で得ることができる。絶対的な生体利用効率は、その化合物を別個に又は混合して経口ルートによって投与することによるこれらの検討において求められる。絶対的測定(経口による生体利用%)のため、静脈ルートもまた採用される。動物における経口の生体利用効率の評価例は、「Ward, KW et al.; Drug Met. Disp. 29(1), 82-87, 2001」、「Berman, J et al.; J. Med. Chem. 40(6), 827-829, 1997」、及び「Han KS and Lee, MG; Drug Met. Disp. 27(2), 221-226, 1999」に見ることができる。
【0133】
本発明の化合物は、単独で投与することもできるが、一般に、意図する投与ルートと標準的な製薬上の実務の観点から選択された、適切な薬剤用の賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して投与される。
例えば、本発明の化合物は、錠剤、カプセル、多数粒子、ゲル、フィルム、胚珠、エリキシル、溶液、又はサスペンジョンの形態で、香料や着色剤を含むことができて、即効の、遅効の、修飾された、持続の、パルスの、又はコントロールされた放出用途に、経口で、頬側に、又は舌下に投与することができる。また、本発明の化合物は、迅速分散性もしくは迅速溶解性の投与形態、又は高エネルギー分散もしくはコーティングされた粒子の形態で投与することもできる。適切な製剤は、所望により、コーティングされた又はコーティングされていない形態であることができる。
【0134】
このような固体の薬剤組成物、例えば、錠剤は、微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシン、及びスターチ(好ましくは、コーン、ポテト、又はタピオカのスターチ)のような賦形剤、ナトリウムスターチグリコレート、クロスカルメロースナトリウム、及び特定の複合シリケートのような崩壊剤、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン、及びアカシアのような造粒バインダーを含むことができる。また、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクのような滑沢剤を含めることもできる。
【0135】
下記の製剤例は、説明のために過ぎなく、本発明の範囲を限定するものではない。活性成分は、本発明の化合物を意味する。
【0136】
製剤1:
次の成分を用いて錠剤を製造する:
活性成分(50mg)に、セルロース(微晶質)、二酸化ケイ素、ステアリン酸(ヒュームド)を配合し、その混合物を圧縮して錠剤を作成する。
製剤2:
活性成分(100mg)に等張食塩水(1000ml)を混合して、静脈内の製剤を作成する。
【0137】
錠剤を、標準的方法、例えば、直接圧縮又は湿式もしくは乾式造粒法によって製造する。錠剤のコアを、適当なオーバーコートでコートしてよい。
同様なタイプの固体組成物を、ゼラチン又はHPMCカプセルの中のフィラーとして採用することもできる。この観点における好ましい賦形剤には、ラクトース、スターチ、セルロース、乳糖、又は高分子量のポリエチレングリコールが挙げられる。水系サスペンジョン及び/又はエリキシル剤に関し、V1a受容体アンタゴニストに、種々の甘味料や香料、着色物質や着色剤、乳化剤及び/又は懸濁剤、水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリンのような希釈剤、並びにこれらの組み合わせを混合することができる。
【0138】
調節された放出製剤やパルス放出製剤は、例えば、迅速放出の剤形について具体的な賦形剤とともに、放出速度調節剤として作用する付加的な賦形剤を含むことができ、これらは、そのデバイス体の上にコートされ及び/又はその中に含められる。放出速度調節剤には、限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、ポリエチレンオキサイド、キサンタンガム、カルボマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、水素化ヒマシ油、カルナバワックス、パラフィンワックス、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。調節された放出製剤やパルス放出製剤は、放出速度調節用の賦形剤の一つ又は組み合わせを含むことができる。放出速度調節用の賦形剤は、剤形の中、即ち、マトリックスの中、及び/又は剤形の上、即ち、表面又はコーティングの上に存在することができる。
【0139】
迅速な分散性又は溶解性の剤形(FDDF)は、次の成分を含むことができる:アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、エチルアクリレート、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メチルメタクリレート、ミント香料、ポリエチレングリコール、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、グリコール酸デンプンナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ソルビトール、キシリトール。FDDFを説明するための本願における用語「分散性又は溶解性」は、使用される製剤原料の溶解性に依存し、即ち、製剤原料が不溶性の場合、迅速分散性の剤形を製造することができ、製剤原料が可溶性の場合、迅速溶解性の剤形を製造することができる。
【0140】
また、本発明の化合物は、非経口で、例えば、陰茎海綿体内に、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、硬腔内に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内に、又は皮下に投与することもでき、あるいは、注入又は無針注射法によって投与することもできる。こうした非経口投与のためには、殺菌した水溶液の形態で最も適切に使用され、この水溶液は、別な物質、例えば、その溶液を血液と等浸透圧にするのに十分な塩又はグルコースを含むことができる。この水溶液は、必要により、適切に緩衝されるべきである(好ましくは、3〜9のpH)。無菌条件下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に行われる。
【0141】
下記の用量レベルと本願におけるその他の用量レベルは、約65〜70kgの体重を有する平均的なヒトを対象とするものである。体重がこの範囲にない、例えば、子供や高齢者を対象とする場合に必要な用量レベルは、当業者は容易に決めることができよう。
【0142】
こうした製剤の本発明における組み合わせの用量は、その作用強度によって決まるが、1日あたり3回までの投与として、1〜500mgの範囲のバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストであると予想することができる。好ましい用量は、10〜100mgの範囲(例、10、25、50、及び100mg)のバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストであり、これを1日に1回、2回、又は3回投与することができる(好ましくは、1回)。ここで、正確な用量は、処方する医者が決めることであり、被験者の年齢と体重、及び症状の重さによって決まるであろう。
【0143】
ヒト患者に対する経口と非経口の投与に関し、本発明の化合物の一日の用量レベルは、通常、5〜500mg/kgであろう(1回又は分割の服用において)。
【0144】
したがって、錠剤又はカプセルは、適切には、一度に1個又は2個又はそれ以上を投与するため、5mg〜250mg(例、10〜100mg)の本発明の化合物を含むことができる。医者は、いずれにしても、個々の患者にとって最も適切であって、特定の患者の年齢、体重、及び反応によって相違する実際の用量を決めるであろう。上記の用量は、平均的な場合の例示である。もちろん、より多い又はより少ない用量の範囲の方が効果的な個々の場合が存在することがあり、これらも本発明の範囲に含まれる。当業者は、本発明の化合物が、必要により又は所望により(即ち、臨機に)、1回の服用で摂取され得ることを認識するであろう。本願における治療に対する全ての言及は、急性的治療(必要により施される)と慢性的治療(長期の継続的治療)を含むと認識すべきである。
【0145】
また、本発明の化合物は、鼻腔内に又は吸入によって投与することもでき、加圧容器、ポンプ、スプレー、霧化器、又は噴霧器からの乾燥粉末吸入器又はエアロゾル噴霧器(presentation)の形態で好都合に供給され、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134A(商標))若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA(商標))のようなヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又はこの他の適切なガスが、使用されることがあり又は使用されないこともある。加圧エアロゾルの場合、一定の量を供給するバルブを用意することにより、用量単位を定めることができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、霧化器、又は噴霧器は、活性化合物の溶液又はサスペンジョンを含むことができ、例えば、エタノールと溶媒としての噴霧剤との混合物を用い、それらは、ソルビタントリオレエートのような滑沢剤をさらに含むことができる。吸入器や吸引器に使用されるカプセルやカートリッジ(例、ゼラチンから作成)は、本発明の化合物と適切な粉末基剤の例えば乳糖やスターチの粉末混合物を含んで製剤することができる。
【0146】
エアロゾル又はドライ粉末の製剤は、好ましくは、各々の計量された一回分又は「パフ」が、1μg〜50mgの本発明の化合物を含んで患者に供給されるように調製される。エアロゾルによる全体的な1日量は、1μg〜50mgの範囲であり、これは、一回の服用で、又はより一般的には、1日の全体の中で分割した服用として投与することができる。
【0147】
あるいは、本発明の化合物は、坐薬又はペッサリーの形態で投与することもでき、又はゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布剤の形態で局所的に適用することもできる。また、本発明の化合物は、例えば、皮膚用パッチ剤、デポ剤(depot)、又は皮下注射を用いて、皮膚に又は経皮的に投与することもできる。また、これらは、肺又は直腸のルートによって投与することもできる。
【0148】
皮膚に対する局所的な適用のため、本発明の化合物は、例えば、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水の一つ又はそれ以上との混合物の中に懸濁又は溶解した活性化合物を含む適切な軟膏として製剤することができる。あるいは、これらは、例えば、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水の一つ又はそれ以上の混合物の中に懸濁又は溶解した適切なローション又はクリームとして製剤することもできる。
【0149】
また、本発明の化合物は、シクロデキストリンと組み合わせて使用することもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と一緒に包接錯体又は非包接錯体を形成することが知られている。薬物−シクロデキストリン錯体の生成は、薬物分子の溶解性、溶解速度、生体利用効率、及び/又は安定性を調節することができる。薬物−シクロデキストリン錯体は、一般に、殆どの剤形と投与ルートで有用である。薬物との直接的な錯化の代わりに、シクロデキストリンを補助的添加剤、例えば、担体、希釈剤、又は可溶化剤として用いることもできる。α−、β−、及びγ−シクロデキストリンが最も一般に使用され、適切な例が、公開された国際特許出願WO91/11172、WO94/02518、及びWO98/55148に記載されている。
【0150】
本発明の化合物の経口投与は好ましいルートであり、最も便利である。服用者が、経口投与の後、嚥下障害又は薬物吸収の問題を患う場合、その薬物を非経口で、舌下で、又は頬側に投与することもできる。
【実施例】
【0151】
以下の実施例は、当業者に周知で日常的に使用される標準的な技術を用いて行ったものであり、この実施例は、説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0152】
図1:化合物1の(4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ
−2H−[1,2’]ビピリジニル)は、麻酔された齧歯類射精モデルにおいて射精を遅らせる。
【0153】
実施例1:麻酔されたラットにおけるバソプレッシンV1aアンタゴニストの射精遅延
ペニス勃起と射精を研究するために用いた方法は、「Yonezawa et al (2000) Life Sciences 67, 3031-3039」に教示の方法に基づいた。参照を容易にするため、この方法を下記に示す:
体重350〜450gのオスのSprague Dawleyラットを用いた。実験の
前に、その動物を、コントロールされた12時間の明暗サイクル(7時に照明オン)、一定の温度(23±1℃)と湿度(55±5%)の下で、グループで(一つのカゴに2匹のラット)飼育した。標準的な食物ペレットと水に自由にアクセスさせた。
ペントバルビタールナトリウムを用いてラットに麻酔をかけ(50mg/kg、腹腔内)、あおむけに配置した。ペニスをその鞘から露出させ、ペニスの基部に位置する木製アプリケータで優しく保持した。静脈内注射によってテスト化合物を投与し、鞘に引込める直前にp−クロロアンフェタミン(PCA)を腹腔内に投与し(5〜10mg/kg)、ペニスの勃起、ペニス体の赤化(redding)と拡張、陰茎亀頭の勃起、陰茎亀頭とカップ(cup)の怒張(engorgement)と僅かな口広げ(flaring)、陰茎亀頭の強い口広げを伴う陰茎亀頭の勃起などのペニスの反応を記録した。PCA投与から最初のペニス反応と射精までの待ち時間もまた秒単位で測定した。
【0154】
p−クロロアンフェタミン(PCA)誘発の射精に及ぼすテスト化合物の効果は、30分間にわたって蓄積した射精精液を秤量することによっても評価した。知覚反応のあるラットを用いる適切な方法は、「Renyi (1985) Neuropharmacology, Vol. 24. No. 8, pp 697-704」に記載されている。
また、陰茎海綿体内圧を、ペントバルビタールナトリウムで麻酔した(50mg/kg、腹腔内)ラットについて測定した。さらに、僅かな付加的量(5mg)を、必要により、実験期間を通して注入し得た。ペニスをその鞘から露出させ、一つの海綿体の中にステンレス鋼の針(23ゲージ)を挿入することによって、海綿体内圧(ICP)を測定した。ヘパリン添加生理食塩水(10U/ml)を満たしたテフロンチューブにその針を取り付け、圧力変換器(NEC−San−Ei7500)に接続した。
【0155】
全ての性的挙動テストのため、オスのラットを観察アリーナ(直径50〜60cm)の中に配置し、最初の5時間は暗サイクルに入れ、そして赤い照明の下で観察した。アリーナにオスを入れて3〜4分間後、受け入れのメス(卵巣摘出、挙動調査の48時間前にエストラジオールベンゾエート/プロゲステロンを注射)をアリーナに導入し、次のパラメータを記録した。
(1)射精の待ち時間(EJL;受け入れのメスをアリーナに加えてから射精までにかかる時間);
(2)交尾効率(CE;射精の待ち時間/射精までの挿入回数、即ち、挿入間の秒数);
(3)挿入頻度(IF;射精までの挿入回数);
(4)高まり頻度(MF;射精までの高まり回数);
(5)射精後の間隔(PEI;射精から交尾行為の開始までにかかる時間)。
【0156】
次の実施例で使用した化合物は以下の通りである:
化合物1(WO04/037809の例26:4−[4−ベンジル-5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル);この化合物は、オキシトシン受容体に比較すると、バソプレッシンV1a受容体に対して、60倍を上回る選択性がある[50nMV1a vs 3μMOT]。
【0157】
選択的なバソプレッシン受容体アンタゴニストL−371257。この化合物に関するさらなる詳細は、「Williams PD et al (1995) J Med Chem; 38: 4634-4636」から得られる。L−371257は、バソプレッシンV1a受容体に比較すると、オキシトシン受容体に対して、5倍を上回る選択性がある[3.7nM V1a vs 19nMOT:]。
【0158】
実施例1a.選択的なバソプレッシンV1a受容体アンタゴニスト(化合物1)の存在下における射精の遅延
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストの化合物1は、麻酔されたラット(9〜31nMの血漿中濃度)において、バソプレッシンの選択的用量で、p−クロロアンフェタミン(PCA)誘発の射精を有意に遅延させた。射精は、遊離の血漿中濃度30.9nM(0.6×Ki V1a、図1参照)で100%遅延し(ほぼ最大の効果)、このことは、化合物が射精を遅延させる血漿中濃度では、化合物1が、オキシトシン受容体に、あるとしても最少限の活性を呈することから(<0.01Kj OT)、これらの用量において、バソプレッシンV1a受容体の拮抗作用から何らかの活性が生じると考えられた。
【0159】
勃起のメカニズム(erectogenic mechanism)は、バソプレッシンV1a受容体の遮断によっては、概して影響されず、即ち、ラットが勃起を得るのにかかった時間もペニス勃起の質も、化合物1によっては有意に影響されず、ペニスのカップとフレアの回数は、対照とバソプレッシンV1aアンタゴニスト検討とで同等であった(下記の表1参照)。化合物1の血漿中濃度30.9nM(射精を有意に遅延させる用量)で、ビヒクル対照グループの82%に比較して、PCA誘発勃起の84%がペニスフレアに帰着し、ビヒクル対照グループの32%に比較して、PCA誘発勃起の57%がペニスカップに帰着した。
【0160】
【表1】

【0161】
ヒトの射精生理を反映する射精の齧歯類モデルを用い、本発明者らは、射精メカニズムにバソプレッシンV1a受容体が関わることを実証した。さらに、本研究は、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストが、射精を遅延させることにより早漏の治療に有用であろうことを実証する。
【0162】
実施例1b:ラットの交尾行為に及ぼすバソプレッシンV1a受容体アンタゴニスト(L−371257)の効果
齧歯類の交尾行為は、一連の高まりによって特徴づけられ、膣挿入はあったりなかったりし(高まりの50〜80%が挿入(膣への侵入)に帰着)、6〜12回の挿入の後に射精が生じる。各々の挿入は、およそ数秒間持続し、挿入の長さ、即ち、膣内の待ち時間を定量することは出来ない。L−371257の効果を、いくつかの交尾パラメータ(上記参照)で評価した。本発明者らは、射精を得るまでにかかる時間の臨床的生物マーカーとして、射精の待ち時間に注目した。
L−371257のV1aアンタゴニストは、知覚反応のあるラットにおいて、射精待ち時間を67%延長し(P<0.05)、即ち、L−371257処理の動物は、ビヒクル処理の動物における160秒間に対し、射精までに266秒間を要した(下記の表2参照)。交尾行為に及ぼすこの他の有意な効果は存在しなかった。試験した用量において、L−371257は、バソプレッシンV1a受容体に対して選択的と思われる(実施例1a参照)。
【0163】
【表2】

【0164】
ヒトの射精生理を反映する射精待ち時間を評価するために性行為に知覚のある齧歯類モデルを用い、本発明者らは、バソプレッシンV1a受容体が射精メカニズムに関与することを実証した。さらに、本研究は、バソプレッシンV1aアンタゴニストが、射精を遅延させることにより早漏の治療に有用であろうことを実証する。
【0165】
実施例2:リガンド結合試験
ヒトのV1A受容体(CHO−hV1A)を安定して表すCHO細胞から用意した細胞膜で、受容体結合試験を行った。CHO−hV1Aの細胞株は、Marc Thibonnier(Dept. of Medicine, Case Western Reserve University School of Medicine, Cleveland, Ohio)より、ライセンス契約の下で、懇意に提供された。CHO−hV1A細胞は、通常のように、10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、15mMのHEPES、及び400μg/mlのG418でサプリメントされたDMEM/Hams F12栄養混合物中の、5%のCO2を含む加湿雰囲気中で、37℃に維持した。細胞ペレットの量産のため、付着性のCHO−hV1A細胞を、10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、15mMのHEPESでサプリメントされたDMEM/Hams F12 Nutrient Mixの培地を含む850cm2のローラーボトルの中で90〜100%の密集度まで成長させた。集密的なCHO−hV1A細胞を、ホスフェート緩衝の生理食塩水(PBS)で洗浄し、氷冷のPBSに収集し、1000rpmで遠心分離した。細胞ペレットを使用まで−80℃に保管した。細胞ペレットを、氷上で解かし、50mMのTris−HCl(pH7.4)と5mMのMgCl2からなる膜生成緩衝剤の中で均質化し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)でサプリメントした。細胞ホモジネートを1000rpm、10分間、4℃にて遠心分離し、上清を除去し、氷上に保存した。残りのペレットを均質化し、先と同様にして遠心分離した。上清を蓄積し、25000×g、30分間、4℃で遠心分離した。50mMのTris−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl2、及び20%のグリセロールからなる冷凍緩衝剤の中にペレットを再度懸濁させ、使用まで−80℃の小さなアリコートに保管した。Bradford試薬と標準としてのBSAを用いて、タンパク質濃度を測定した。
【0166】
タンパク質の直線性とその後の飽和結合の検討を、膜の各々の新しいバッチについて行った。曲線の直線部上に特定の結合を与える膜濃度を選択した。次いで、種々の濃度の[3H]−アルギニンバソプレッシン、[3H]−AVP(0.05nM〜100nM)を用いて飽和結合の検討を行い、KdとBmaxを求めた。
【0167】
CHO−hV1A膜に結合する[3H]−AVPに及ぼす効果について化合物を試験した(3H−AVP、特定活性65.5Ci/ミリモル、NEN Life Sciences)。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし(solubilised)、50mMのTris−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl2、及び0.05%のBSAを含むアッセイ緩衝剤を用いて、10%DMSOの作用濃度まで希釈した。25μlの化合物と25μlの[3H]−AVP(最終濃度は膜バッチについて求めたKd以下、典型的に0.5nM〜0.6nM)を、96ウェルの丸底ポリプロピレンプレートに添加した。200μlの膜を添加することによって結合反応を開始させ、室温で60分間にわたってそのプレートを穏やかに振動させた。ペプチドの固着を防ぐために0.5%のポリエチレンイミンに予め浸しておいた、96ウェルのGF/Bユニフィルタプレートを通すフィルタメートセルハーベスター(パッカードインスツールメンツ)を用い、急速濾過によって反応を停止させた。50mMのTris−HCl(pH7.4)と5mMのMgCl2を含む1mlの氷冷の洗浄緩衝剤でフィルタを3回洗浄した。プレートを乾燥し、各ウェルに50μlのMicroscint−0(パッカードインスツールメンツ)を添加した。プレートをシールし、トップカウントミクロプレートシンチレーションカウンター(パッカードインスツールメンツ)でカウントした。1μMの非標識のd(CH2)5Tyr(Me)AVP([β−メルカプト−β,β−シクロペンタメチレン−プロピオニル,0−Me−Tyr2,Arg8]−バソプレッシン)(βMCPVP)(シグマ)を用い、不特定の結合(NSB)を測定した。最小値を強制的に0%にする4つのパラメータの論理式を用い、放射性リガンド結合データを解析した。傾斜を自由にフィットさせ、妥当な曲線について、−0.75〜−1.25の間に収めた。平均の全cpmから平均のNSBcpmを差し引くことによって特定の結合を計算した。テスト化合物について、受容体に結合したリガンドの量は、結合%=(サンプルcpm−平均NSBcpm)/特定結合cpm×100として表した。結合%はテスト化合物の濃度に対してプロットし、S字状曲線を適合させた。Cheng−Prusoffの式:Ki=IC50/(1+[L]/Kd)を用いて阻害解離定数(Ki=)を計算し、ここで、[L]は、ウェル中に存在するリガンドの濃度であり、Kdは、Scatchardプロット解析から得られる放射性リガンドの解離定数である。
【0168】
実施例3:機能上のアッセイ:FLIPR(蛍光画像化プレートリーダー)(Molecular Devices)によるAVP/V1A−R仲介のCa2+動態化の阻害
受容体活性化に続くカルシウムの迅速検出を可能にするFLIPRを用い、細胞内のカルシウム放出をCHO−hV1A細胞で測定した。CHO−hV1A細胞株は、先の実施例2に記載したようにして維持した。その前日の午後、アッセイ細胞を、1ウェルあたり20000細胞の密度で、各ウェルの底から細胞検査と蛍光測定を可能にするような透明な底を有して黒い殺菌した96ウェルのプレートに植えた。Dulbeccoのホスフェート緩衝の生理食塩水(DPBS)及び2.5mMのプロベネシド、並びに4μMのFluo−3−AM(DMSOとプルロン酸(pluronic acid)に溶解、Molecular Probes)及び2.5mMのプロベネシドからなるローディングダイを含む洗浄緩衝剤を、アッセイの日に新たに用意した。化合物をDMSOに溶かし、1%のDMSOを含有するDPBS、0.1%のBSA、及び2.5mMのプロベネシドからなるアッセイ緩衝剤の中に希釈した。5%のCO2を含む加湿雰囲気の37℃で1時間にわたり、1ウェルあたり100μlのローディングダイを用いて、細胞をインキュベートした。ダイローディングの後、Denleyプレート洗浄器を用い、細胞を100μlの洗浄緩衝剤で3回洗浄した。各ウェルに、100μlの洗浄緩衝剤を残した。FLIPRを用いて細胞内の蛍光を測定した。30秒後に添加した50μlのテスト化合物について、2秒間隔で蛍光の測定値を得た。何らかの化合物のアゴニスト活性を検出するため、2秒間隔で追加の155の測定結果を得た。次いで、最終的なアッセイ体積が200μlとなるように、50μlのアルギニンバソプレッシン(AVP)を添加した。1秒間隔で120秒間にわたり、さらなる蛍光測定値を収集した。ピークの蛍光強度(FI)で応答を測定した。薬理的キャラクタリゼーションのため、各々の蛍光応答からベースFIを差し引いた。AVP用量の応答曲線について、その列におけるAVPの最高濃度に対する応答の百分率として各応答を表した。IC50の測定のため、各応答をAVPに対する応答の百分率として表した。IC50値を、アゴニスト濃度[A]、アゴニストEC50、及び傾斜:Kb=IC50/(2+[A]/A50n1/n−1を考慮したCheng−Prusoffの式を用いて修正Kbに換算し、ここで、[A]はAVP濃度、A50は用量反応曲線からのAVPのEC50、nはAVP用量反応曲線の傾斜である。
【0169】
実施例4:オキシトシン受容体の結合試験
選択性試験の例として、オキシトシン受容体の結合試験を以下に記載する。
ヒトのオキシトシン受容体を表すように設計されたCHO細胞を維持し、標準的な技術(例えば、実施例2参照)にしたがって、その細胞から膜の標本を作成した。それらを、アッセイ緩衝剤(50mMのTris−HCl(pH7.8)、10mMのMgCl2、及び0.25%のBSA)の中で1mg/mlのプロテイン濃度に希釈した。SPAビーズをアッセイ緩衝剤の中で50mg/mlに再懸濁させた。これらの濃度から、1mgのビーズあたり30μgのタンパク質を、トップツーテイルシェーカの上で4℃にて2時間にわたって培養することで、ビーズに膜を予め結合させた。次いで、ビーズ/膜を2000rpmで10分間にわたって遠心分離し、ペレットを3mg/mlで再懸濁させた。
【0170】
125I−OVT(NEN,NEX254)の全操作は、SigmaCoteを用いてシラン処理しておいたチップを用いて行った。全てのボトルとチューブもまたシラン処理した。125I−OVTは、50μCiの凍結乾燥リガンドあたり1mlのアッセイ緩衝剤で希釈した。次いで、5μlのサンプルを、液体シンチレーション計数(ウォーレスカウンターでプロトコル61)を用いて重複測定し、リガンド濃度を計算した。これは、粘性による何らかのリガンド損失を克服する。測定濃度を用い、125I−OVTをアッセイ緩衝剤で0.3nMまで希釈した。
テスト化合物の所望の希釈物をウェルに添加した後、マルチドロップを用いて、20μlのビーズ/膜の標本を、用意したOptiplatesに添加した。ビーズ/膜の標本は、撹拌フラスコを用いてサスペンジョンに保持した。次いで、マルチドロップを用い、Optiplatesの各ウェルに、20μlの125I−OVTを添加した。室温で4時間の培養の後、1ウェルあたり30秒間にわたって、トップカウントNXTを用いてプレートをカウントした。
【0171】
当業者は、上記のリガンド結合試験及び実施例3の感応試験を、オキシトシン受容体、V2バソプレッシン受容体、及びバソプレッシンV1b受容体のような別の受容体に適用可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】バソプレッシンV1a受容体のアンタゴニストである化合物1の(4−[4−ベンジル−5−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル)は、麻酔された齧歯類モデルにおいて射精を遅らせることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
早漏を治療するための薬剤の製造における、式(Ia):
【化1】

の化合物、又はその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
式中、R1は、C1〜C6アルキル、−(CH2c−[C3〜C8シクロアルキル]−、−(CH2c−W、又は−(CH2c−Z−(CH2d−Wを表し;
2は、フェニル基を表し、場合により、5員環もしくは6員環のアリール基又は複素環式基(N、O、又はSから選択された一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでよい)に縮合し、そのフェニル基とその随意の縮合基は、場合により、下記に掲げたものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
環Aは、少なくとも一つのNを含む4員、5員、又は6員の飽和複素環式基を表し;
環Bは、フェニル基又はhet1を表し、各基は、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
het1は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、若しくは6員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい);
7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、OR3、−(CH2e−R3、又は−(CH2f−O−(CH2e−R3を表し;
Wは、フェニル基、NR45、又はhet2を表し、フェニル基は、場合により、ハロゲン、CF3、OCF3、R3、OR3、CO23、CONR45、CN、SO2NR45、及びNR3SO2Meから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
het2は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、6員、又は7員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい)、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
Zは、O又はS(O)gを表し;
gは、0、1、又は2を表し;
het3は、少なくとも一つのNを含む4員、5員、6員、又は7員の飽和又は不飽和の複素環式基を表し(但し、一つ又はそれ以上のO又はS原子をさらに含んでよい)、場合により、下記に掲げるものから独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
各々の場合において、R3とR6は、独立して、H、C1〜C6アルキル(場合により、Y、−(CH2g−[C3〜C8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルによって置換される)を表し;
Yは、独立して、フェニル基、NR45、又はhet3を表し、フェニル基は、場合により、ハロゲン、CF3、OCF3、R4、OR4、CO24、CONR45、CN、SO2NR45、NR4SO2Me、及び−NR45から独立して選択された一つ又はそれ以上の基によって置換され;
各々の場合において、R4とR5は、独立して、H、C1〜C6アルキル、−(CH2g−[C3〜C8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、若しくはピリミジルを表し;又は、R4とR5は、それらが結合しているN原子と一緒になって3〜8原子の複素環式基を表し;
2、環B、het1、het2、及びhet3の置換基は、次に掲げるものから独立して選択され:ハロゲン、CF3、OCF3、R3、−(CH2e−OR3、−(CH2e−CO23、−(CH2e−CONR45、−(CH2e−CN、−(CH2e−SO2NR45、−(CH2e−NR3SO2Me、−(CH2e−COR3、−(CH2e−OCOR3、−(CH2e−NHCOR3、−(CH2e−NR3COR6、及び−(CH2eNR45
aとbは、独立して、0又は1を表し;
c、d、e、及びgは、独立して、0、1、2、3、又は4を表し;
fは、独立して、1、2、3、又は4を表し;
a+bは0になり得ないことを条件とし;
1が−(CH2c−Z−(CH2d−Wを表し、Wが、NR45又は何らかのN結合の複素環式基を表すときは、dは0又は1であってはならないことを条件とし;
2が、式−(CH2eOR3、−(CH2e−CO23、又は−(CH2eOCOR3の基によって置換されたフェニル基を表すとき;又は
het1及び/又はhet2が、式−(CH2eOR3、−(CH2e−CO23、又は−(CH2eOCOR3の基によって置換されたとき;又は
7が、−OR3又は−(CH2f−O−(CH2e−R3を表して、かつeが0のとき;又は
Wが、−OR3又は−CO23で置換されたフェニル基を表すとき;
そして、R3がYで置換されたアルキル基を表し、且つ、YがNR45又はN結合het3を表すとき、
3は、Yで置換されたC2〜C6アルキルを表さなければならない。
【請求項2】
早漏又は早期射精の治療用の薬剤を製造するための、式(I):
【化2】

の化合物、又はその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
式中、Wは、O、S、又はNR1であり;
1は、H、C1-6アルキル、−(CH2a−[C3-8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジル、−COR2、−CO22、−CO−(CH2a−NR23、−SO22、−(CH2b−OR2、−(CH2b−NR23、又はO、N、及びSから選択された一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む3〜8原子の飽和複素環を表し;
XとYは、独立して、H、ハロゲン、OH、CF3、OCF3、R4、−(CH2d−CONR45、−(CH2d−CN、−(CH2d−SO2NR45、−(CH2d−NR4SO2Me、−(CH2d−COR4、−(CH2d−OCOR4、−(CH2d−NHCOR4、−(CH2d−NR4COR5、−(CH2d−OR6、又は−(CH2d−CO26を表し;
環Aは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、又はアゼチジニル基を表し;
環Bは、フェニル、ピリジニル、又はピリミジニル基を表し(場合により、ハロゲン、CN、CONH2、CF3、OCF3、R7、及び−(CH2f−OR8から独立して選択された一つ又はそれ以上の基で置換される);
2、R3、R4、R5、及びR7は、独立して、H、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル、−(CH2c−[C3-8シクロアルキル]、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルを表し;
又は、R2とR3、若しくはR4とR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって独立して、3〜8原子の複素環を表し;
6とR8は、独立して、H、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル、−(CH2c−[C3-8シクロアルキル]、−(CH2e−NR45、−(CH2e−OR4、フェニル、ベンジル、ピリジル、又はピリミジルを表し;
nは、0、1、又は2であり;
a、c、d、及びfは、それぞれ独立して、0、1、2、及び3から選択され;
bとeは、それぞれ独立して、2と3から選択される。
【請求項3】
早漏又は早期射精の治療をするための薬剤の製造におけるバソプレッシンV1a受容体アンタゴニストの使用。
【請求項4】
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストのIC50が100nM未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストがバソプレッシンV1a受容体に対して選択的である請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
バソプレッシンV1a受容体に対してアンタゴニスト活性の化合物をスクリーニングし、100nM未満のIC50を有する化合物を選択することを含む、早漏又は早期射精の治療に有用な化合物のスクリーニング方法。
【請求項7】
化合物が請求項6に記載の方法によって特定される、早漏又は早期射精の治療をするための薬剤の製造における化合物の使用。
【請求項8】
(a)バソプレッシンV1a受容体に対するリガンド結合試験において化合物をテストし、
(b)100nM未満のIC50を有する化合物を選択し、
(c)工程(b)で選択したのと同じ構造を有する化合物、又はその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに製剤する、
各工程を含む、早漏又は早期射精の治療をするための薬剤の製造方法。
【請求項9】
(a)アッセイにおいて化合物をテストし、バソプレッシンV1a受容体を発現する細胞におけるアゴニスト刺激の第2メッセンジャー反応の阻害を測定し、
(b)100nM未満のIC50を有する化合物を選択し、
(c)工程(b)で選択したのと同じ構造を有する化合物、又はその医薬的に許容される塩を、医薬的に許容される担体又は賦形剤とともに製剤する、
各工程を含む、早漏又は早期射精の治療をするための薬剤の製造方法。
【請求項10】
次の工程:
(d)工程(c)の製剤を包装し、
(e)工程(d)の包装を、早漏又は早期射精を患う患者に利用できるものにする、
ことをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
(a)バソプレッシンV1a受容体に対するリガンド結合試験において化合物をテストし、又はアッセイにおいて化合物をテストし、バソプレッシンV1a受容体のアゴニスト刺激の第2メッセンジャー反応の阻害を測定し、(b)100nM未満のIC50を有するバソプレッシンV1a受容体に拮抗することができる一つ又はそれ以上の化合物を特定し、そして、(c)それらの一つ又はそれ以上の特定した化合物を多量に製造する、各工程を含む、早漏又は早期射精の治療をするための薬剤の製造方法。
【請求項12】
(a)テスト化合物の存在下又は不在下で、バソプレッシンV1a受容体を発現する細胞又はそのような細胞から生成した膜を、放射能標識のバソプレッシンV1a受容体リガンドに接触させ、テスト化合物の存在下と不在下で、その細胞又は膜に結合した放射能を測定し、それにより、結合した放射能に減少を生じさせる化合物がバソプレッシンV1a受容体に明確に結合する化合物であることを含む方法によって、バソプレッシンV1a受容体に明確に結合する化合物を特定し、そして、
(b)その化合物に担体を混合する、
ことを含む、早漏又は早期射精の治療をするための組成物の製造方法。
【請求項13】
(a)V1a受容体を表面上に発現し、バソプレッシンV1a受容体アゴニストに応答して第2メッセンジャー反応を生成する細胞、又はそのような細胞の膜標本を、バソプレッシンV1a受容体の活性化に適切な条件下で、その化合物とバソプレッシンV1a受容体アゴニストの両方に、及びそのアゴニストのみに、別々に接触させ、バソプレッシンV1a受容体アゴニストのみの存在下、及びそのアゴニストとその化合物の存在下で、第2メッセンジャー反応を測定し、アゴニストのみの存在下よりもアゴニストと化合物の両方の存在下での第2メッセンジャー反応の小さい変化が、その化合物がバソプレッシンV1a受容体の活性化を阻害することを示すことを含む方法によって、バソプレッシンV1a受容体に明確に結合してその活性化を阻害する化合物を特定し、そして、
(b)その化合物に担体を混合する、
ことを含む、早漏又は早期射精の治療をするための組成物の製造方法。
【請求項14】
早漏又は早期射精の治療用の薬剤を製造するための、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストとPDE V阻害剤の組み合わせの使用。
【請求項15】
早漏又は早期射精の治療用の薬剤を製造するための、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストと選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)の組み合わせの使用。
【請求項16】
早漏又は早期射精の治療において、同時に、別個に、又は逐次に使用する組み合わせ調剤としての、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストとPDE V阻害剤を含む製品。
【請求項17】
早漏又は早期射精の治療用の薬剤を製造するための、バソプレッシンV1a受容体アンタゴニストと選択的セロトロン再摂取阻害剤(SSRI)を含む製品。

【図1】
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【公表番号】特表2006−528171(P2006−528171A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520920(P2006−520920)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002300
【国際公開番号】WO2005/006899
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503053011)ファイザー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】