説明

画像と位置情報を結合させた防災管理システム

【課題】
災害時が発生しそうな場所または災害や事故の起こった現場で即座に、全体像と細部にわたる詳細情報を写真や映像などを含めて公開することができる防災管理システムを提供すること。
【解決手段】
カメラ付き携帯端末に災害時が発生しそうな場所または災害地や事故地の詳細地図を取り込んだり、状況俯瞰などの全体像を撮影して、それを基礎画像として、その基礎画像の上に撮影ポイントを設定して、詳細撮影物を貼り付け各種情報を付加させた情報を、インターネットなどの通信網を通じて迅速に公開することができ、防災または事後処理業務の手順を自動化するプログラムと連動することにより防災または事後処理活動も迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像と位置情報を結合させた防災管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害や事故が発生したとき、カメラ付き携帯電話で災害や事故状況を撮影して、公共団体や各種団体などの組織に通報するシステムは存在していた。また各種団体・業者などが提供する地図情報上に撮影ポイントを設定し詳細写真を撮影し、それをインターネットなどで開示するものは周知となっている。
【0003】
しかしながら、公共団体や各種管理団体から提供される地図画像は縮尺が小さいため場所特定の誤差を生じやすい。住宅地図程度の縮尺地図、周辺写真、空中写真などに災害・事故の発生した箇所を表示することができれば場所を特定化しやすくなる。
【0004】
しかし、その場で周辺写真、空中写真などを取り込んで撮影ポイントを設定することができないため、公共団体や各種管理団体から提供される小縮尺の地図画像を利用する以外に方法がなかった。
【0005】
このようなインターネットを利用した事故などの画像情報を収集するシステムは、例えば、特開2004−185585公報で公開されている(特許文献1参照)。また、土砂災害情報をインターネットにて通報するシステムは、例えば、特開2002−217591公報で公開されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−185585公報
【特許文献2】特開2002−217591公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みて、カメラ付き携帯端末に災害事故の発生しそうな箇所または災害地や事故地の詳細地図を取り込んだり、災害事故の発生しそうな箇所または災害地や事故地の俯瞰などの全体を撮影して、それを基礎画像として、その基礎画像の上に撮影ポイントを設定して、詳細災害・事故の発生しそうな箇所の撮影物を貼り付け各種情報を付加させた情報を、インターネットなどの通信網を通じて公開することができる画像と位置情報を結合させた防災管理システムを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、カメラ付き携帯端末にて撮影物を含む各種情報をインターネットなどの通信網を通じて公開するだけでなく、災害・事故の発生しそうな箇所または災害・事故発生後の処理業務の手順を自動化するプログラムに取り込むことも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、カメラ付き携帯端末により災害の発生しそうな場所の地図や災害の発生しそうな状況の俯瞰撮影物などの画像を取り込んで表示させる過程と、前記表示させた画像の上に災害の発生しそうな箇所の撮影ポイントを指定する過程と、全地球測位システムを利用して前記画像上の撮影ポイントの位置情報を特定する過程と、前記画像上の撮影ポイントに災害の発生しそうな詳細状況撮影物をカメラ付き携帯端末により撮影する過程と、前記撮影物をカメラ付き携帯端末内の電子情報蓄積部に格納する過程と、前記撮影物をインターネットなどの各種通信網を介して電子情報蓄積機に格納する過程と、前記電子情報蓄積機に格納された撮影物をコンピュータ端末のプログラムに取り込む過程及び表示させる過程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、撮影者が自ら任意の詳細地図や自作地図などの画像を取り込んでその上に撮影ポイントを配置して撮影したり、または全体像を撮影し撮影した全景などの撮影物画像の上に撮影ポイントを指定し、撮影ポイントに対応させた詳細の撮影物を連結させることができる。
【0011】
また、撮影ポイント情報は全地球測位システムによる緯度経度などの平面的位置情報だけでなく、高度、撮影日時、撮影場所間の距離、単発写真・連続写真・映像などの種別、撮影者、撮影時注記など様々な情報を付加した、または情報の付加の可否を選択することができる。
【0012】
さらに、従来、カメラ付き携帯端末にて撮影物を含む各種情報をインターネットで公開して閲覧することしかできなかったが、災害事故の発生しそうな箇所または災害及び事故の事後処理業務を自動化するプログラムに取り込んで、事後処理を円滑に行うこともできる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明の画像と位置情報を結合させた防災管理システムによれば、災害事故の発生しそうな箇所などの正確な全体像や撮影物を含む詳細情報をその場で発信することができ、災害事故の発生しそうな箇所などの把握の迅速化を促進させることができ、災害・事故予防のための具体的かつ詳細な情報提供を行うことができる。
また、災害・事故発生時においては、地震などで電線・回線などが分断された状態で、どこで何がどのような状態になっているかを把握し、かつ次の行動に移るのに時間がかかっている。災害処理組織やマスコミなどが航空機などで現地上空から撮影してもそれは映像として公開されているだけである。
本発明を利用する効果は、空中写真を撮影してから災害の起こりそうな箇所または各災害場所のポイントを設定してそのポイントに詳細の画像を含む情報を登録し、携帯電話やデータ通信などのつながる場所に移動してから災害情報を送信することで、全体情報と詳細情報とを同時に公開することができることである。かつ、事後処理業務の手順を自動化するプログラム(特願2004−227847参照)により、情報を送信した時点から災害予防や災害復旧の業務手順を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1において、101は災害が発生しそうな場所等の俯瞰被写体(または空中からの全体実像など)、102はカメラ付き携帯端末、103は災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物(または空中写真など)、104は全地球測位衛星、105は災害が発生しそうな場所のポイントの表示画面、106a〜106cは災害が発生しそうな場所、107a〜107cは各災害が発生しそうな場所の撮影物、108は電子情報蓄積機、109はインターネットなどの各種通信網、110はコンピュータ端末、111は災害が発生しそうな場所のポイント(コンピュータ端末)の表示画面である。
【0016】
災害が発生しそうな場所等の俯瞰被写体(または空中からの全体実像など)101をカメラ付き携帯端末102にて撮影し、災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物(または空中写真など)103を取り込む。
【0017】
次に、災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物(または空中写真など)103を基礎画像として、全地球測位衛星104から位置情報を取得して、災害が発生しそうな場所のポイントの表示画面105に、各災害が発生しそうな場所106a〜106cの各災害が発生しそうな場所の撮影物107a〜107cを貼り付け、カメラ付き携帯端末102に、災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物・位置情報・各撮影物が格納される。
【0018】
災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物・位置情報・各撮影物は、カメラ付き携帯端末102から、インターネットなどの各種通信網109を通じて電子情報蓄積機108に格納される。
【0019】
インターネットなどの各種通信網109を介して、コンピュータ端末110ではコンピュータ端末における災害が発生しそうな場所のポイントの表示画面111に、位置情報・各災害が発生しそうな場所撮影物107a〜107cなどが公開される。
【実施例】
【0020】
図2は本発明における実施形態の詳細説明図である。本発明の実施を行うには、災害が起こる前に、災害が発生した際に緊急に修復作業を行う各災害箇所の復旧業務を行う業者204a〜204cをあらかじめ決定しておき、かつ事後処理業務の手順自動化プログラム205をインターネット上で利用できるようにしておく。
【0021】
インターネットなどの各種通信網109を通じて電子情報蓄積機108に格納された、カメラ付き携帯端末における災害が発生しそうな場所のポイントの表示画面105・位置情報・各撮影物107a〜107cは、事後処理業務の手順自動化プログラム205において、災害が発生しそうな場所のポイントを記載した電子報告書201に自動的に取り込まれる。
【0022】
事後処理業務の手順自動化プログラム205では、災害が発生しそうな場所のポイントを記載した電子報告書201が出されると、自動的に各災害が発生しそうな場所の修復業務を行う業者204a宛に業務依頼が行き、修復業務を行い各災害箇所の修復後撮影物203aを撮影して、各修復箇所の電子業務報告書202aを提出する。
【0023】
204aの業者の業務が終了すると、自動的に災害が発生しそうな場所の修復業務を行う業者204bに業務依頼が行き、電子業務報告書202bを提出する。以下同様である。
【0024】
このように、カメラ付き携帯電話で全体画像を撮影して基礎画像とし、その上に撮影ポイントを配置して詳細写真及び位置情報、特記情報などを登録しておき、携帯電話内の電子情報蓄積部分に格納し、後にインターネットでサーバー(電子情報蓄積機)に格納したりすることで情報を公開することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の画像と位置情報を結合させた防災管理システムによれば、災害事故が発生しそうな箇所が発見された場合や災害や事故発生時にはすばやい修復業務推進が要求されるが、現場において迅速に全体像と詳細情報を取得し、カメラ付き携帯端末などから撮影画像を含む発生しそうな箇所や災害や事故状況の全体像とその細部の詳細情報を登録することで迅速に災害の発生しそうな箇所の情報や災害・事故情報をインターネットなどで公開することができる。
もし災害が起こったときでも、災害地では一時的に電波がつながりにくくなるが、本発明によれば、カメラ付き携帯端末の電子情報蓄積部に一時的に格納し、移動して電波のつながる地点でインターネットにて送信することにより、災害・事故情報を公開できるようになる。
また、災害・事故事後処理業務の手順を自動的に行うプログラムによって、迅速な災害復旧、事故処理を行うことが可能になる。
道路、鉄道などの事故・保守業務、多方面の防災業務において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における実施形態の全体構成図。
【図2】本発明における実施形態の詳細説明図。
【符号の説明】
【0027】
101 災害が発生しそうな場所等の俯瞰被写体(または空中からの全体実像など)
102 カメラ付き携帯端末
103 災害が発生しそうな場所等の俯瞰撮影物(または空中写真など)
104 全地球測位衛星
105 災害が発生しそうな場所のポイントの表示画面
106a〜106c 災害が発生しそうな場所
107a〜107c 各災害が発生しそうな場所の撮影物
108 電子情報蓄積機
109 インターネットなどの各種通信網
110 コンピュータ端末
111 災害が発生しそうな場所のポイント(コンピュータ端末)

201 災害が発生しそうな場所のポイントを記載した電子報告書
202a〜202c 各修復箇所の電子業務報告書
203a〜203c 各災害箇所の修復後撮影物
204a〜204c 修復業務を行う業者
205 事後処理業務の手順自動化プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ付き携帯端末により災害の発生しそうな場所の地図や災害の発生しそうな状況の俯瞰撮影物などの画像を取り込んで表示させる過程と、
前記表示させた画像の上に災害の発生しそうな箇所の撮影ポイントを指定する過程と、
全地球測位システムを利用して前記画像上の撮影ポイントの位置情報を特定する過程と、
前記画像上の撮影ポイントに災害の発生しそうな詳細状況撮影物をカメラ付き携帯端末により撮影する過程と、
前記撮影物をカメラ付き携帯端末内の電子情報蓄積部に格納する過程と、
前記撮影物をインターネットなどの各種通信網を介して電子情報蓄積機に格納する過程と、
前記電子情報蓄積機に格納された撮影物をコンピュータ端末のプログラムに取り込む過程及び表示させる過程とを含むことを特徴とする画像と位置情報を結合させた防災管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像と位置情報を結合させた防災管理システムにおいて、
災害時または事故時を含むことを特徴とする画像と位置情報を結合させた防災管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−178562(P2006−178562A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368712(P2004−368712)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(399043853)株式会社 日本システムインテグレイト (5)
【Fターム(参考)】