説明

画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡

本発明は、カプセル型内視鏡に関する。本発明は、体内に挿入されたカプセル型内視鏡の位置及び移動に関する情報を確認し、前記情報に基づいてカプセル型内視鏡が位置する消化器官によってフレームレートを制御することにより、1つのカプセル型内視鏡を用いて体内の全ての消化器官を撮影できる。また、各消化器官における移動速度によってフレームレートを制御することにより、不要な電力消費を減らして限られたバッテリ容量を有するカプセル型内視鏡の動作時間を短縮する。さらに、各消化器官における移動速度による効果的な画像取得により、撮影される画像の量を減らすことができ、医者の検診時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、特に、画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
人体内の医療情報を収集するための様々な方法が開発されている。
【0003】
一般に、人体内の医療情報の1つである画像情報を収集するために採用される方法には内視鏡が用いられる。前記内視鏡は、体内の画像を撮影した後、前記撮影された画像を導線及び光ファイバなどの通信ケーブルを介して外部装置に伝送する。しかしながら、このようなケーブルが内視鏡に用いられる場合、前記内視鏡が体内に挿入された後も、前記ケーブルが口の中(口腔)にそのまま残っているため、患者に激しい痛みを与えていた。さらに、撮影部位を調整するために前記ケーブルを操作するが、これにより、体内の臓器を損傷するなどの様々な副作用が発生する。
【0004】
最近、このような問題を解決するためにイスラエルに拠点を置くギブン・イメージング(Given Imaging)社では、「PillCam」という商品名のカプセル型内視鏡を開発した。このカプセル型内視鏡は、錠剤のように患者が飲み込むだけで、内視鏡のカメラで撮影された人体内の消化器官の画像データを外部の受信装置に送信し、この画像データをモニタで再現することができる。
【0005】
しかしながら、前記ギブン・イメージング社が開発した前記カプセル型内視鏡は、一定のフレームレートで画像を撮影する。体内の摂取物の移動速度は、体内の各消化器官の特性に依存する。従って、全ての消化器官を1つのカプセル型内視鏡のみで撮影することはできなかった。
【0006】
すなわち、摂取物の移動速度が速く、摂取物の動きが多い食道のような消化器官においては、画像情報を逃さず取得するために、高速のフレームレートが必要であり、摂取物の移動速度が遅く、摂取物の動きが少ない小腸のような消化器官においては、効率的に画像情報を取得するために、低速のフレームレートが必要である。
【0007】
しかしながら、前記ギブン・イメージング社が開発した前記カプセル型内視鏡はフレームレートが一定であったため、それぞれの消化器官に適したフレームレートを提供する専用カプセル型内視鏡が開発された。従って、消費者にとって全ての消化器官を検査するためには多くのコストがかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、カプセル型内視鏡のフレームレートを制御することにある。
【0009】
具体的には、本発明の目的は、体内に挿入されたカプセル型内視鏡の位置又はカプセル型内視鏡の移動情報を把握することにより、カプセル型内視鏡のフレームレートを制御することにある。
【0010】
ここで、体内における前記カプセル型内視鏡の位置は、前記カプセル型内視鏡の移動速度/角速度を検出することにより把握される。すなわち、一般に、摂取物は、食道では速く移動するが、小腸ではゆっくり移動するので、前記カプセル型内視鏡の移動速度/角速度を確認すれば前記カプセル型内視鏡の位置を把握することができる。
【0011】
又は、体内における前記カプセル型内視鏡の位置は、撮影された複数の画像間の類似度を計算することにより把握される。すなわち、低い類似度は、前記カプセル型内視鏡の移動速度が速いことを示し、高い類似度は、前記カプセル型内視鏡の移動速度が遅いことを示す。従って、前記カプセル型内視鏡がどの消化器官に位置するかを把握することができる。
【0012】
又は、前記体内における前記カプセル型内視鏡の位置は、受信された信号のエネルギーレベルを利用して把握される。また、実験により明らかになった平均結果値により、所定時間経過後の前記カプセル型内視鏡の臓器内の位置を予測することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様において、画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡は、人間を含む動物の体内の画像を撮影するためのレンズと、前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記体内のカプセル型内視鏡の位置に応じてフレームレートを制御する処理装置と、前記処理装置から受信した前記信号を送信する送信部とを含む。
【0014】
好ましくは、前記処理装置は、前記フレームレートを自ら制御するか、又は、外部制御信号によって制御する。
【0015】
自らフレームレートを制御する場合、前記処理装置は、タイマーを駆動してカプセル型内視鏡が体の内部に位置してからの時間経過を確認することにより、前記カプセル型内視鏡の位置を予測し、それにより、前記フレームレートを制御することができる。
【0016】
前記外部制御信号によってフレームレートを制御する場合、前記処理装置は、前記カプセル型内視鏡の移動速度を画像情報と共に符号化して出力することにより、体外で前記移動速度に基づいて前記カプセル型内視鏡の位置を把握し、それにより、体外で前記フレームレートを制御することができる。
【0017】
本発明の他の態様において、画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡は、人間を含む動物の消化器官の内部の画像を撮影するためのレンズと、前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記カプセル型内視鏡が前記動物の内部に位置してからの経過時間を確認することにより前記カプセル型内視鏡が前記動物の内部のどの消化器官に位置するかを把握するためにタイマーを駆動し、前記把握された位置又は外部制御信号に応じて前記フレームレートを制御する処理装置と、前記処理装置から受信された画像信号を送信する送信部と、前記外部制御信号を受信する受信部とを含む。
【0018】
本発明のさらに他の態様において、フレームレートを制御できるカプセル型内視鏡は、人間を含む動物の体内の画像を撮影するためのレンズと、前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記フレームレートを制御する処理装置と、前記処理装置から受信された信号を送信する送信部とを含む。ここで、前記処理装置は、前記カプセル型内視鏡の移動量に応じて前記フレームレートを制御してもよい。前記移動量は、前記カプセル型内視鏡の速度、角速度、及び移動距離の少なくとも1つに該当する。前記移動量を測定するために、前記カプセル型内視鏡は、前記カプセル型内視鏡の移動量を測定する少なくとも1つのセンサをさらに含んでもよい。また、前記カプセル型内視鏡は、前記フレームレートを制御するための制御信号を外部から受信し、前記フレームレートを前記処理装置に提供する受信部をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明のさらに他の態様において、診断システムは、人間を含む動物の消化器官に位置し、前記消化器官の蠕動と共に移動しながら異なるフレームレートで前記消化器官の画像を撮影し、前記撮影された画像情報を符号化して信号を出力するカプセル型内視鏡と、前記カプセル型内視鏡からの前記画像情報の信号を受信する受信装置と、前記受信装置から前記画像情報の信号を受信し、前記動物の消化器官の内部における前記カプセル型内視鏡の位置を把握し、前記カプセル型内視鏡のフレームレートを制御するための信号を出力する信号処理部と、前記信号処理部から前記制御信号を受信し、前記制御信号を前記カプセル型内視鏡に送信する送信装置とを含む。
【0020】
本発明の一態様において、カプセル型内視鏡のフレームレート制御方法は、前記カプセル型内視鏡が人間を含む動物の体内に位置してからの経過時間を確認する段階と、前記確認された時間が予め設定されている時間に該当する場合、フレームレートを制御して撮影を行う段階と、フレームレートを制御するための外部制御信号が受信された場合、前記外部制御信号によって前記フレームレートを制御して撮影を行う段階とを含む。
【0021】
本発明の他の態様において、カプセル型内視鏡のフレームレート制御方法は、人間を含む動物の体内に位置するカプセル型内視鏡から信号を受信する段階と、前記動物の体内における前記カプセル型内視鏡の位置を把握する段階と、前記把握された位置に応じて前記カプセル型内視鏡のフレームレートを制御する段階とを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、カプセル型内視鏡の体内における位置を把握し、前記把握された位置に応じて画像のフレームレートを制御することにより、1つのカプセル型内視鏡のみを利用して前記体内の全ての臓器を撮影できる。また、前記フレームレートを制御することにより、バッテリの消耗を防止し、前記撮影された画像の量を調節して、この画像を読み取るユーザの時間を節約できるようにする。さらに、画像のフレームレートを制御することにより、疾病の発生が疑われる部分ではより精密な撮影を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるカプセル型内視鏡を含むシステムを示す構成図である。
【図2】図1のカプセル型内視鏡の詳細図である。
【図3】図2のカプセル型内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の信号処理部の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるカプセル型内視鏡で撮影された画像の1フレーム単位を示す図である。
【図7】本発明によるカプセル型内視鏡で撮影された画像の複数のフレームを示す図である。
【図8】撮影された画像間の類似度を示す図である。
【図9】図8の前記撮影された画像間の類似度を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明によるカプセル型内視鏡を含むシステムを示す構成図であり、図2は、図1のカプセル型内視鏡の構成図であり、図3は、図2のカプセル型内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【0026】
図1に示すように、本発明によるシステムは、体10の内部に位置するカプセル型内視鏡100と、体10の表面に取り付けられてカプセル型内視鏡100から信号を受信して送信する受信装置200と、受信装置200から送信される信号を処理し、制御信号を出力する信号処理部300と、信号処理部300からの前記制御信号をカプセル型内視鏡100に送信する送信装置400とを含む。
【0027】
まず、図1を参照して本発明について簡単に説明する。
【0028】
人間又は動物の体10の内部、例えば、消化器官に位置するカプセル型内視鏡100は、画像情報又は各種情報(例えば、内部の画像、pH(potential of hydrogen )、温度又は電気的インピーダンスなど)を収集し、体10を介して体10表面に位置する受信装置200に送信する。ここで、カプセル型内視鏡100は、体10の内部のどこに位置するか、すなわち、食道、胃、小腸、及び大腸のうちどこに位置するかにより、画像のフレームレートを自ら制御するか、又は、信号処理部300からの制御信号によって制御することができる。従って、食道のようにカプセル型内視鏡100が速く移動する所では、逃さず画像情報を取得するためには、高速で撮影する必要がある。これに対して、小腸のようにカプセル型内視鏡100がゆっくり移動する所では、速い動作がほとんどないため、低速で撮影することが有利である。
【0029】
受信装置200は、前記受信した情報を信号処理部300に送信する。ここで、受信装置200は、前記信号を所定時間保存することができる。すなわち、受信装置200は、図1に示すように人間又は動物の体に取り付けられてカプセル型内視鏡100から受信される信号を所定時間保存する。これにより、前記人間又は動物は、病院に行かなくても、数時間普段通りに活動しながら内視鏡検査及び内分泌検査を行うことができる。
【0030】
信号処理部300は、前記情報を処理して出力する。信号処理部300は、カプセル型内視鏡100の現在のフレームレートを確認し、カプセル型内視鏡100が体10の内部のどこに位置するか、すなわち、食道、胃、小腸、及び大腸のうちカプセル型内視鏡100がどこに位置するかを確認する。信号処理部300は、前記確認によってカプセル型内視鏡100のフレームレートを制御する制御命令を送信装置400を介してカプセル型内視鏡100に伝送する。
【0031】
以下、図2を参照してカプセル型内視鏡100について詳細に説明する。カプセル型内視鏡100は、レンズ110と、撮影のための光を照射する照明120と、レンズ110により撮影された画像を処理し、画像のフレームレートを制御する処理装置130と、体10の内部におけるカプセル型内視鏡100の位置を検出するか、体10の内部に関する各種情報を収集する1つ以上のセンサ140と、送信部150と、受信部160と、送信電極171、172と、受信アンテナ173とを含む。ここで、1つ以上のセンサ140は、選択的に含まれてもよく、含まれなくてもよい。
【0032】
レンズ110は、処理装置130内のCMOS画像センサ131が人間又は動物の体10の内部、例えば、消化器官の内部にある対象物の画像(静止画像又は動画像)を撮影できるようにする。
【0033】
照明120は、処理装置130に接続され、処理装置130の制御により、レンズ110が体10の内部の画像を撮影するときに光を照射する。照明120は、1つ以上のLED(Light Emiitting Diode )として実現される。
【0034】
処理装置130は、レンズ110を介して対象物の画像を撮影するとき、適切な放射強度の光が照射できるように照明120を制御する。また、処理装置130は、レンズ110を介して撮影された前記画像を符号化して送信部150に出力する。また、処理装置130は、体10の内部におけるカプセル型内視鏡100の位置に応じて体10の内部に対する画像のフレームレートを制御することができる。このようなフレームレートの制御は、処理装置130自身により行われるか、又は、外部制御信号により行われる。
【0035】
自らフレームレートを制御する場合、処理装置130は、内部のタイマーを駆動してカプセル型内視鏡100が体10の内部に位置してからの時間経過をカウントする。その後、処理装置130は、予め設定されている時間経過後には体10の内部におけるカプセル型内視鏡100の位置を予測し、それにより、画像のフレームレートを制御することができる。ここで、前記タイマーの時間は、様々な実験による平均結果値によって設定されてもよい。
【0036】
又は、自らフレームレートを制御する場合、処理装置130は、1つ以上のセンサ140から移動速度/角速度を取得し、前記取得された移動速度/角速度に対応する臓器を確認することにより、フレームレートを制御することができる。
【0037】
外部制御信号によってフレームレートを制御する場合、処理装置130は、受信部160を介して信号処理部300から制御信号を受信し、前記制御信号によって画像のフレームレートを制御する。ここで、カプセル型内視鏡100の体10の内部における位置を信号処理部300に認知させるために、処理装置130は、1つ以上のセンサ140により検出された情報、例えば、移動速度/角速度を前記撮影された画像と共に符号化し、この符号化した画像を送信部150に出力する。ここで、1つ以上のセンサ140により検出された情報は、図6に示すように、フレームヘッダに含まれる。
【0038】
このような処理装置130は、具体的には、CMOS画像センサ131と、制御装置132と、クロック発生器135とから構成される。
【0039】
CMOS画像センサ131は、レンズ110により撮影された画像を符号化して信号を出力し、この信号を送信部150に出力する。ここで、CMOS画像センサ131は、1つ以上のセンサ140により検出された情報、例えば、移動速度/角速度を前記画像と共に符号化する。1つ以上のセンサ140により検出された情報は、図6に示すフレームヘッダに含まれて符号化されてもよい。CMOS画像センサ131は、1つ以上のセンサ140からの情報だけでなく、現在のフレームレート関連情報を図6に示すフレームヘッダに含めて共に符号化する。
【0040】
制御装置132は、クロック発生器135からのクロックによって時間をカウントするタイマー133と、タイマー133のカウントによって撮影周期信号を発生するタイミング発生器134とを含む。タイミング発生器134は、前述したように、タイマー133のカウントによって所定時間経過後に体10の内部におけるカプセル型内視鏡100の位置を予測できるようにし、それにより、適切なフレームレートで撮影するための制御信号を発生する。
【0041】
一方、送信部150は、CMOS画像センサ131による前記符号化した信号を電気信号に変換し、出力線を介して2つの送信電極171、172に印加する。
【0042】
送信電極171、172は、体10の内部に接触し、送信しようとするデータによって2つの送信電極171、172間に電位差を発生させることにより、体10を介して伝導電流が流れるようにする。高電位の送信電極からの前記電流は、体10の内部の任意の経路を介して低電位の送信電極に流れる。ここで、体10を介して流れる前記電流の一部は体10の表面に到達するため、前記表面に取り付けられる受信装置200の受信電極(図示せず)は、前記表面に到達した電流から電圧を発生させることができる。
【0043】
受信部160は、受信アンテナ173を介して送信装置400から受信される制御信号を処理装置130に伝送する。ここで、受信アンテナ173は、コイルのような多様な手段で実現される。ここで、前記制御信号は、FINT信号、Clk Sel信号、及び外部制御信号のOn/Off信号でもよい。前記制御信号によるフレームレートは、表1の通りである。
【0044】
【表1】

【0045】
以上、カプセル型内視鏡100の構成について説明した。以下、カプセル型内視鏡100の動作について説明する。
【0046】
図3に示すように、カプセル型内視鏡100は、タイマー133のカウントによって所定時間が経過すると(S101)、体10の内部の特定地点に位置することを認識し、フレームレートを制御する(S102)。
【0047】
その後、カプセル型内視鏡100は、受信部160を介して信号処理部300から制御信号が受信されているか否かを判断する(S103)。制御信号が受信されていないと判断される場合、カプセル型内視鏡100は、ステップS101に戻る。
【0048】
前記制御信号が受信されていると判断される場合、カプセル型内視鏡100は、前記制御信号によってフレームレートを制御する(S104)。
【0049】
前述したように、本発明によるカプセル型内視鏡100は、タイマー133のカウントによってフレームレートを制御することができる。また、信号処理部300から制御信号が受信されると、前記制御信号によってフレームレートを制御することができる。
【0050】
図4は、図1の信号処理部300の動作を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、受信装置200を介してカプセル型内視鏡100からデータが受信されると(S201)、本発明による処理装置300は、カプセル型内視鏡100の位置を把握する(S202)。
【0052】
その後、信号処理部300は、カプセル型内視鏡100の現在のフレームレートを確認する(S203)。
【0053】
信号処理部300は、カプセル型内視鏡100のフレームレートを制御する必要があるか否かを判断する(S204)。
【0054】
前記フレームレートの制御が必要である場合、信号処理部300は、フレームレートを計算し(S205)、制御信号を送信装置400を介して出力することにより、カプセル型内視鏡100に前記制御信号を伝送する(S206)。
【0055】
図5は、図1の信号処理部300の詳細な動作を示すフローチャートであり、図6は、本発明によりカプセル型内視鏡で撮影された画像の1フレーム単位を示す図であり、図7は、本発明によりカプセル型内視鏡で撮影された画像の複数のフレームを示す図であり、図8は、撮影された画像間の類似度を示す図であり、図9は、図8の撮影された画像間の類似度を示すグラフである。
【0056】
図5に示すように、カプセル型内視鏡100の位置を確認する(すなわち、S202)ためには以下の3つの方式のいずれか1つが採用される。
【0057】
第1の方式として、カプセル型内視鏡100の位置の把握(S202)は、図6に示すようにフレーム単位のデータから画像情報とフレームヘッダを分離した後、前記フレームヘッダから前述した1つ以上のセンサ100により検出された情報(例えば、カプセル型内視鏡100の移動速度/角速度に関する情報)を抽出することにより行われる。すなわち、前述したように、カプセル型内視鏡100は、体10の内部に対応する画像のフレームヘッダに1つ以上のセンサ140により検出された情報(例えば、カプセル型内視鏡100の移動速度/角速度に関する情報)を含め、この情報と共に前記フレームヘッダを符号化して出力するので、前記フレームヘッダから1つ以上のセンサ140により検出された情報を抽出すると、カプセル型内視鏡100の移動速度が検出できる。一般に、摂取物の移動速度は各臓器(例えば、食道、胃腸、小腸、大腸など)毎に異なる。従って、カプセル型内視鏡100の移動速度を知っていると、カプセル型内視鏡100がどの臓器に位置しているかを認知できる。
【0058】
第2の方式として、カプセル型内視鏡100の位置の把握(S202)は、図6に示すようにフレーム単位のデータから画像情報及びフレームヘッダを分離した後、以前の画像(例えば、図8Aに対応する)と現在の画像(例えば、図8Bに対応する)間の類似度を確認することにより、移動速度を検出してカプセル型内視鏡100の位置を検出することができる。
【0059】
ここで、前記類似度は、前記以前の画像と前記現在の画像の類似の程度を定量的に示す。前記以前の画像と前記現在の画像間の類似度が高い場合、カプセル型内視鏡100の移動速度が速いことを示し、前記以前の画像と前記現在の画像間の類似度が低い場合、カプセル型内視鏡100の移動速度が遅いことを示す。このような類似度は、n番目のフレームをNと、n+1番目のフレームをMと仮定すると、下記の式で表現される。
【0060】
【数1】

【0061】
ここで、xは横軸の座標を示し、yは縦軸の座標を示す。
【0062】
このような計算は、フレーム毎に行われるので、計算の高速化のために10個のフレームを平均して10フレーム毎に計算を行うことができる。
【0063】
【数2】

【0064】
一方、エラーを防止するために、多様なフィルタ、例えば、Average、Medianフィルタなどを適用してもよい。
【0065】
このように計算された類似度は、図9に示すようにグラフで示すことができる。
【0066】
第3の方式として、カプセル型内視鏡100の位置の把握(S202)は、受信装置200を介して受信される信号のエネルギーレベルを利用して行われる。例えば、受信装置200の受信電極が複数の対で存在し、前記複数の対の電極が体10の表面の様々な部分に分けられて取り付けられる場合、前記複数の対の電極を介して受信される信号により各位置に対して予め保存されているデータベースを検索及び比較してカプセル型内視鏡100の位置を把握することができる。
【0067】
前述した方式以外にも、前記カプセル型内視鏡の位置を把握する他の方式が存在するが、これは、当業者にとって明らかなものである。従って、本発明の要点が曖昧になることを防ぐために、その説明は省略する。しかしながら、前記カプセル型内視鏡の位置を把握する他の方式が説明されていなくても、当業者にとって明らかなものは本発明の権利範囲に含まれる。
【0068】
一方、前記現在のフレームレートの確認(すなわち、S203)は、カプセル型内視鏡100が画像を符号化するときに前記フレームヘッダに前記現在のフレームレートを含めた場合、図6に示す前記フレームヘッダから抽出することにより行われる。また、前記現在のフレームレートの確認(S203)は、図7に示すフレーム間隔(Interval)に対応する時間を計算することにより、又は、1つのフレームに対応する時間を計算することにより実現できる。例えば、フレームレートが5fpsである場合、表1に示すようにフレーム間隔は1msである。フレームレートが4fpsである場合、フレーム間隔は50msである。従って、前記フレーム間隔を測定すれば前記フレームレートを把握できる。
【0069】
本発明の特性から外れない限り多様な形態で本発明を実現することができ、前述した実施形態は前述した詳細な記載内容によって限定されるのではなく、添付された請求の範囲に定義された本発明の精神や範囲内で広く解釈されるべきであり、本発明の請求の範囲内で行われるあらゆる変更及び変形、並びに請求の範囲の均等物は本発明の請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡であって、
人間を含む動物の体内の画像を撮影するためのレンズと、
前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記体内のカプセル型内視鏡の位置に応じてフレームレートを制御する処理装置と、
前記処理装置から受信した前記信号を送信する送信部と、
を含むことを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記レンズにより撮影された画像を符号化して前記信号を出力する画像センサと、
クロック発生器と、
前記画像センサ及び前記クロック発生器に接続され、前記クロック発生器からのクロックによって前記フレームレートを制御する制御装置と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項3】
前記処理装置は、前記フレームレートを自ら制御するか、又は、外部制御信号によって制御することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項4】
前記処理装置は、前記カプセル型内視鏡が前記体内に位置してからの経過時間をカウントするタイマーを含み、
前記処理装置は、前記タイマーを用いて前記体内における前記カプセル型内視鏡の位置を予測することにより前記フレームレートを制御することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項5】
前記体内に関する情報を検出する1つ以上のセンサをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサは、前記体内における前記カプセル型内視鏡の速度又は角速度を検出し、
前記処理装置は、前記1つ以上のセンサから前記速度又は角速度を受信し、前記体内における前記カプセル型内視鏡の位置を把握することにより、前記フレームレートを制御することを特徴とする請求項5に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項7】
前記1つ以上のセンサは、前記体内における前記カプセル型内視鏡の前記速度又は角速度を検出し、
前記処理装置は、前記検出された速度又は角速度を前記画像と共に符号化して信号を出力することを特徴とする請求項5に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項8】
前記処理装置は、前記検出された速度又は角速度を前記画像のフレームデータ単位のフレームヘッダに含めて符号化することを特徴とする請求項7に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項9】
前記フレームレートを制御するための制御信号を受信する受信部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項10】
前記送信部は、2つの送信電極間の電位差を利用して前記体内に前記信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項11】
画像のフレームレートを制御できるカプセル型内視鏡であって、
人間を含む動物の消化器官の内部の画像を撮影するためのレンズと、
前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記カプセル型内視鏡が前記動物の内部に位置してからの経過時間を確認することにより前記カプセル型内視鏡が前記動物の内部のどの消化器官に位置するかを把握するためにタイマーを駆動し、前記把握された位置又は外部制御信号に応じて前記フレームレートを制御する処理装置と、
前記処理装置から受信された画像信号を送信する送信部と、
前記外部制御信号を受信する受信部と、
を含むことを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項12】
体内に関する情報を検出する1つ以上のセンサをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項13】
前記1つ以上のセンサは、前記体内における前記カプセル型内視鏡の速度又は角速度を検出し、
前記処理装置は、前記検出された速度又は角速度を前記画像と共に符号化して信号を出力することを特徴とする請求項12に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項14】
前記処理装置は、前記検出された速度又は角速度を前記画像のフレームデータ単位のフレームヘッダに含めて符号化することを特徴とする請求項13に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項15】
前記送信部は、2つの送信電極間の電位差を利用して前記信号を前記体内に送信することを特徴とする請求項11に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項16】
フレームレートを制御できるカプセル型内視鏡であって、
人間を含む動物の体内の画像を撮影するためのレンズと、
前記レンズにより撮影された画像を符号化して信号を出力し、前記画像を撮影するフレームレートを制御する処理装置と、
前記処理装置から受信された信号を送信する送信部と、
を含むことを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項17】
前記処理装置は、前記カプセル型内視鏡の移動量に応じて前記フレームレートを制御することを特徴とする請求項16に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項18】
前記カプセル型内視鏡の移動量を検出する1つ以上のセンサをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項19】
前記移動量は、前記カプセル型内視鏡の速度、角速度、及び移動距離の少なくとも1つを示すことを特徴とする請求項17に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項20】
前記フレームレートを制御するための外部制御信号を受信して前記処理装置に提供する受信部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項21】
診断システムであって、
人間を含む動物の消化器官に位置し、前記消化器官の蠕動と共に移動しながら異なるフレームレートで前記消化器官の画像を撮影し、前記撮影された画像情報を符号化して信号を出力するカプセル型内視鏡と、
前記カプセル型内視鏡からの前記画像情報の信号を受信する受信装置と、
前記受信装置から前記画像情報の信号を受信し、前記動物の消化器官の内部における前記カプセル型内視鏡の位置を把握し、前記カプセル型内視鏡のフレームレートを制御するための信号を出力する信号処理部と、
前記信号処理部から前記制御信号を受信し、前記制御信号を前記カプセル型内視鏡に送信する送信装置と、
を含むことを特徴とする診断システム。
【請求項22】
前記信号処理部は、前記受信装置から受信される前記信号の大きさを測定して前記カプセル型内視鏡の位置を把握することを特徴とする請求項21に記載の診断システム。
【請求項23】
前記カプセル型内視鏡は、前記消化器官の内部における移動速度を測定し、前記測定された速度情報を前記画像と共に符号化して信号を出力し、
前記信号処理部は、前記信号から前記移動速度に関する情報を抽出し、前記移動速度に関する情報に基づいて前記カプセル型内視鏡の位置を把握することを特徴とする請求項21に記載の診断システム。
【請求項24】
前記移動速度に関する情報は、前記画像のフレームデータ単位のフレームヘッダ部分に含まれることを特徴とする請求項23に記載の診断システム。
【請求項25】
前記信号処理部は、前記画像と以前の画像との類似度を計算し、前記計算された類似度によって前記カプセル型内視鏡の移動速度を把握し、前記把握された移動速度によって前記カプセル型内視鏡の位置を検出することを特徴とする請求項21に記載の診断システム。
【請求項26】
カプセル型内視鏡のフレームレート制御方法であって、
前記カプセル型内視鏡が人間を含む動物の体内に位置してからの経過時間を確認する段階と、
前記確認された時間が予め設定されている時間に該当する場合、フレームレートを制御して撮影を行う段階と、
フレームレートを制御するための外部制御信号が受信された場合、前記外部制御信号によって前記フレームレートを制御して撮影を行う段階と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項27】
カプセル型内視鏡のフレームレート制御方法であって、
人間を含む動物の体内に位置する前記カプセル型内視鏡から信号を受信する段階と、
前記動物の体内における前記カプセル型内視鏡の位置を把握する段階と、
前記把握された位置に応じて前記カプセル型内視鏡のフレームレートを制御する段階と、
を含むことを特徴とするフレームレート制御方法。
【請求項28】
前記位置の把握は、前記カプセル型内視鏡から受信される前記信号の大きさを測定することにより行われることを特徴とする請求項27に記載のフレームレート制御方法。
【請求項29】
前記位置の把握は、前記信号に含まれる前記カプセル型内視鏡の速度関連情報によって前記カプセル型内視鏡の移動速度を検出することにより行われることを特徴とする請求項27に記載のフレームレート制御方法。
【請求項30】
前記位置の把握は、
前記信号から画像情報を抽出する段階と、
前記画像と以前の画像の類似度を計算する段階と、
前記類似度によって前記カプセル型内視鏡の移動速度を把握する段階と、
前記移動速度によって前記カプセル型内視鏡の位置を検出する段階と、
を含むことを特徴とする請求項27に記載のフレームレート制御方法。
【請求項31】
前記カプセル型内視鏡の現在のフレームレートを確認する段階と、
前記現在のフレームレートを制御する必要があるか否かを判断する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項27に記載のフレームレート制御方法。
【請求項32】
前記フレームレートの把握は、前記信号のフレーム間の間隔を測定するか、1つのフレームのサイズを測定することにより行われることを特徴とする請求項31に記載のフレームレート制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−524557(P2010−524557A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503987(P2010−503987)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004823
【国際公開番号】WO2009/031771
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(509135418)アイスリーシステム コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】i3system Corp.
【Fターム(参考)】