説明

画像を補間しかつ鮮鋭化するための方法

色成分の効果が異なる方向で計算され、計算された値の最高値および/または最低値が最大変化および/または最小変化をそれぞれ表すように選択され、最高値と最低値との間の比率が予め定められた限定値以内であれば、その後に色成分が鮮鋭化されるような手法で第1色成分Gが補間され(1)鮮鋭化される(2)ような、画像の色を鮮鋭化するための方法、システム、装置、記憶装置、およびコンピュータ・ソフトウェア製品が開示されている。上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて第2色成分が鮮鋭化される(3)。鮮鋭化の後、上記第2色成分が補間され(4)、その結果として、鮮鋭化され補間された三色画像が生成される(5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを含む画像において色を鮮鋭化(sharpening)するための方法(特許請求の範囲の請求項1の序文に記載された画像を鮮鋭化するための方法)に関する。さらに、本発明は、少なくとも一つの色成分を含む画像でディジタル信号を処理するための方法(特許請求の範囲の請求項20の序文に記載された画像のディジタル信号を処理するための方法)に関する。さらに、本発明は、少なくとも一つの色成分を含む画像でディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタ(特許請求の範囲の請求項32の序文に記載された画像のディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタ)に関する。さらに、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのシステム(特許請求の範囲の請求項33の序文に記載されたシステム)に関する。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像において色を鮮鋭化するための手段を含む、画像を形成するための装置(特許請求の範囲の請求項38の序文に記載された装置)と、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置(特許請求の範囲の請求項44の序文に記載された記憶装置)と、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含むコンピュータ・ソフトウェア製品(特許請求の範囲の請求項46の序文に記載されたコンピュータ・ソフトウェア製品)とに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、ディジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、またはその他の、単一の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)もしくは単一の電荷結合素子(CCD)を具備するカメラ等のような、ディジタル画像を記憶する装置によって撮影された画像は、各々の画素に対して全ての色成分の値を備えているわけではない。装置の価格および寸法に関してイメージセンサの数が決め手となるため、画像を形成するのにベイヤー・マトリックス等のいわゆるカラーフィルタアレイ(CFA)を必要とするような、より小さい装置(カメラ装置)においては、イメージセンサを一つのみ使用する(状況によっては2つ以上のイメージセンサを使用することもできる)ことが目標となることは明白である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベイヤー・マトリックスは一般的なカラーフィルタアレイであるが、このベイヤー・マトリックスでは各画素に1色のみ標本化されるため、各画素から表色系の他の色が欠けていることになる。例えばRGB表色系(赤、緑および青)においては、ベイヤー・マトリックスにある画素の半分が緑の色成分を形成し、当該画素の他の半分が青および赤の色成分を形成するので、各画素から他の色調の値が欠落していることになる。このことにより、画像をその完全なフォーマットで保存することができるように、不足した色サンプルを補間する必要性が生じる。
【0005】
本願明細書において色に言及する際に、赤(R)、緑(G)および青(B)間の関係に基づいて色を定義するような公知のRGB表色系が用いられる。また一方で、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の値によって色が形成されるCMY表色系(シアン・マゼンタ・イエロー)によっても色成分を説明できるということが明らかであろう。ここで、表色系は対応する他の任意の系であってもよい。
【0006】
ベイヤー・マトリックス・フォーマットの画像のRGB画像への変換には、各画素で不足した色の値の補間が必要となる。補間システムは、最も近隣の画素を利用する補間システムによって例証することができる(最近隣法(nearest neighbour method)。この最近隣法のシステムでは、例えば不足した青および赤の色が同一色の最近隣の画素によって補間されるが、これは緑の補間が他の色成分によって制御されるように改良された線形補間法によるものと同様である。次に、一例として上記の最近隣法による方法を記載する。下記の数式(1)において、ベイヤー・マトリックスにおける色成分の位置の考えられる4つの状態を表す。
【数1】

【0007】
数式(1)の項目(a)および(b)にあるような緑の画素Gについて、不足しているRおよびBの値が計算されると、同一色の2つの近隣についての平均値が計算される。例えば項目(a)では、緑の中央画素での青の成分Bの値は、緑の画素Gの上下にある青の画素の平均値である(B(G)=(B1+B2)/2)。同様の方法によって、緑の中央画素での赤の成分Rの値は、緑の画素G付近にある赤の画素Rの平均値である(R(G)=(R1+R2)/2)。
【0008】
項目(c)における場合は、赤の画素Rについて青が補間されている場合である。この場合、赤の画素Rの隅に位置する至近の4つの青の画素Bから平均値がとられる(B(R)=(B1+B2+B3+B4)/4)。同様に、項目(d)では、青の画素Bにある赤の成分Rの値は、隅に位置する赤の画素Rの平均値を計算することによって得られる(R(B)=(R1+R2+R3+R4)/4)。
【0009】
緑の成分Gは、最近隣の対を用いることによって補間することができる。下記の数式(2)では、緑の成分Gを補間するための2つの場合を表す。
【数2】

【0010】
数式(2)の項目(a)では、赤の画素Rについて、緑の成分Gの値が補間されており、緑の成分Gの値は以下のようになる。
G(R)=(G1+G3)/2((R1−R3)の絶対値が(R2−R4)の絶対値よりも小さい場合(abs(R1−R3)<abs(R2−R4))、
G(R)=(G2+G4)/2((R1−R3)の絶対値が(R2−R4)の絶対値よりも大きい場合(abs(R1−R3)>abs(R2−R4)の場合)、または
G(R)=(G1+G2+G3+G4)/4((R1−R3)の絶対値が(R2−R4)の絶対値に等しい場合(abs(R1−R3)=abs(R2−R4))により求められる。
【0011】
換言すれば、補間には赤の成分Rの効果が考慮される。R1とR3との差がR2とR4との差よりも小さいならば、赤Rは垂直方向でより強くなり、この垂直方向では、垂直方向の近隣G1およびG3の平均値が補間での望ましい値を計算するのに用いられるということがわかる。また一方で、水平方向の効果の方が大きければそれぞれ隣り合う近隣の値が用いられる。赤の比率が完全に同一であれば4つの近隣が全て用いられる。項目(b)では、青の色成分Bと組み合わせて同様な計算が行われる。
【0012】
米国特許第6,549,233号(B1)は、ベイヤー・マトリックスによる色補間のための一つの方法を開示している。この米国特許の刊行物の方法は、画像の色の強さの勾配を計算するステップを含み、この画像の最高勾配値および最低勾配値が決定される。上記の勾配は、マトリックスの中央画素に位置する第1の色の位置とそこから離間している同様の色との間で計算される。計算された勾配は閾値と比較され、勾配がその色の上記閾値(色の強さの平均に基づいて形成される値)を超えていれば、中央画素の色の強さの値が中央画素から離間した画素に対して用いられる。
【0013】
米国特許第5,247,352号が開示しているのは、カラー画像を鮮鋭化するための方法である。この方法では、カラー画像の鮮鋭化は、例えばマンセルカラーチャート(Munsell color chart)等の三次元色空間に基づいている。この米国特許の刊行物は、色差信号と少なくとも2つの鮮鋭化信号との和を規定するための幾つかの切換状態を呈示している。この切換状態は色座標系によって設定される。この色座標系は、画素の色の値に基づいて画素位置を決定する。切換状態による切換の位置は位置データに基づいている。この刊行物による装置は、切換によって送られる情報に基づいて、所望の鮮鋭化信号と色差信号とを結合することができる。この刊行物では、上記のようにして画像を鮮鋭化することができる。画像を鮮鋭化したものが極力高画質となるように、少なくとも2つの鮮明な信号、例えば赤と緑とが必要になる。換言すれば、この特許による方法では、第2色成分および第3色成分のフィルタリング(filtering)は、色空間から得られる値に基づいて調整される。
【0014】
色成分は補間後全て鮮鋭化されねばならず、このことにより画像処理のための作業量が三倍になるため、処理システムが高い処理能力を有することが必要となる。本発明は、単一の色成分のフィルタリングの結果を利用して他の色成分をフィルタリングすることにより従来の技術を改良している。従来の技術のシステムにおいては、異なる成分のフィルタリングは様々な影響を引き起こすことがあり、画像の色に歪みが生じ得る。また一方で、公知の鮮鋭化関数では、雑音の増加や、特にエッジ付近での過度のエッジ鮮鋭化といったような、望ましくない上記2種類の現象が起こることがある。このことにより、例えば白線と結合した黒線として表示されるようなリンギングが現れる。
【0015】
本発明の目的は、第1色成分の鮮鋭化フィルタリングの効果を利用して次の色成分の鮮鋭化を制御するような方法で、補間と鮮鋭化とを組み合わせることにより、画像処理の際に起こる上記の問題を軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明による画像を鮮鋭化するための方法では、一つの色成分をまず補間し、このようにして補間された色成分が鮮鋭化される。その後、鮮鋭化された画像の各画素から、鮮鋭化されていない画像の対応する画素を推定することにより、補間された画像での鮮鋭化の効果が検討される。もし、第1成分での鮮鋭化の効果が所定の画素において著しく高いのであれば、第2または第3色成分について鮮鋭化を行う(問題となっている点に第2または第3色成分がある場合)。上記効果が低いのであれば、第2または第3色成分の予想される画素はそのままの状態で変化しない。こうして第2および第3色成分の原画素は、これらの色成分の補間前に、必要な部分について前もって鮮鋭化される。フィルタリングでは、従来の技術の任意のフィルタリング・マスクを使用することが可能である。しかしながら、最も好ましい最終結果は、真のエッジ画素である画素のみを処理するような適応可能な鮮鋭化フィルタを使用することにより得られる。この鮮鋭化フィルタでは、鮮鋭化の制御を行う際にエッジ強度を用いることが可能である。
【0017】
より正確に表現するならば、本発明による画像を鮮鋭化するための方法は、主として特許請求の範囲の請求項1の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを含む画像において色を鮮鋭化するための方法であって、上記第1色成分の情報を含む画素が、上記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、上記第1色成分および上記第2色成分が補間され、かつ、少なくとも上記第1色成分が鮮鋭化される方法において、上記第2色成分の鮮鋭化が上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて制御されることを特徴とする方法を提供する。
【0018】
また一方で、本発明による画像におけるディジタル信号を処理するための方法は、主として特許請求の範囲の請求項20の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも一つの色成分を含む画像内でディジタル信号を処理するための方法であって、色成分を処理するために、少なくとも2つの元の変化値を得るために、上記色成分の変化が少なくとも2つの異なる方向で計算され、少なくとも2つの変化値を得るために、計算された上記の元の変化値から最大値および最小値が選択され、上記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率が決定されることを特徴とする方法を提供する。
【0019】
また一方で、本発明による画像におけるディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタは、主として特許請求の範囲の請求項32の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも一つの色成分を含む画像でディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタであって、請求項20から請求項31までのいずれか一項に記載の方法を実施するために上記ディジタルフィルタが設けられることを特徴とするディジタルフィルタを提供する。
【0020】
また一方で、本発明による色を鮮鋭化するためのシステムは、主として独立形式の請求項33の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのシステムであって、上記第1色成分についての情報を含む画素が、上記第2色成分についての情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、上記システムが、上記第1色成分および上記第2色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、上記システムは、上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて上記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含むことを特徴とするシステムを提供する。
【0021】
また一方で、本発明による装置は、主として独立形式の請求項38の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像において色を鮮鋭化するための手段を含む、画像を形成するための装置であって、上記第1色成分についての情報を含む画素が、上記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、上記装置が、上記第1色成分および上記第2色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、上記装置は、上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて上記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含むことを特徴とする装置を提供する。
【0022】
また一方で、本発明による記憶装置は、主として独立形式の請求項44の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置であって、上記第1色成分についての情報を含む画素が、上記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、上記コンピュータ・ソフトウェア製品が、上記第1色成分および上記第2色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、上記コンピュータ・ソフトウェア製品は、上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて上記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含むことを特徴とする記憶装置を提供する。
【0023】
また一方で、本発明によるコンピュータ・ソフトウェア製品は、主として独立形式の請求項46の特徴部分に記載されている内容を特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含むコンピュータ・ソフトウェア製品であって、上記第1色成分についての情報を含む画素が、上記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、上記コンピュータ・ソフトウェア製品が、上記第1色成分および上記第2色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、上記コンピュータ・ソフトウェア製品は、上記第1色成分の鮮鋭化に基づいて上記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含むことを特徴とするコンピュータ・ソフトウェア製品を提供する。
【0024】
補間と鮮鋭化とを交互に配した本発明による方法によって、計算により生じる影響を、画質に影響を与えることなく低減させることが可能になる。本発明による方法によって、補間後にまず画像の全体的鮮鋭化が行われる従来の方法よりも良い画質を達成することがさらに可能になる。
【0025】
これに加えて、本発明において使用される鮮鋭化の方法は自発的に適応可能(self-adaptive)であり、上記の方法は、均一な画像領域を鮮鋭化することには使用されずに画像の雑音量を低減させる。さらに、本発明の方法によれば、鮮鋭化の効力ははっきりしたエッジ付近に限定され、過剰な鮮鋭化によって生じるリンギングが防止される。このことにより、目にする画像はより感じの良いものになる。
【0026】
さらに、本発明で用いられる鮮鋭化フィルタ・ウィンドウ(3×3)の寸法は、メモリの負荷に対して有利な効果を有する。なぜならば、従来の技術の方法におけると同様に、マトリックスの行のほとんど全ては装置内に保存される必要がないからである。これに加えて、主として選択を行うという方法に基づいて本発明の方法が実行されるので、上記のフィルタ・ウィンドウの寸法は、処理で要求される計算の量を低減させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を、添付の図面を参照してより詳細に記載する。
【0028】
図1は、ベイヤー・マトリックス画像の補間および鮮鋭化のための本発明による動作の順序を示すブロック図である。
図1において、ブロック1は、公知の方法による最大解像度での第1色成分Gに関する画像の補間を示す。第1色成分Gは、ベイヤー・マトリックスにおける青および赤の画素数に対する緑の画素数の理由から(G:B:Rは2:1:1)、緑であるのが好ましい。画素数がここで記載されているものと異なっていたならば、第1の色は、最大数である画素、またはその変化が輝度に対して最大効果を有する色成分となるように選択されるべきである。画像の補間が完了した後は、ブロック2で示すように、第1色成分Gに関して画像が相応に鮮鋭化される。
【0029】
ブロック3では、画像に関して第2色成分Rおよび第3色成分Bの鮮鋭化が行われる。まず最初に、第1色成分Gに関して鮮鋭化された効果が、補間された色成分Gと比較される。もし、上記の効果([鮮鋭化済み−非鮮鋭化]の絶対値(abs[Sharpened-Unsharpened]))が顕著であれば、第1色成分の鮮鋭化によって生じる変化をそのようなものとして利用し、あるいは、近隣の画素値の変化に比例して第1色成分の鮮鋭化によって生じる変化を利用することによって、対応する点の第2および第3色成分が鮮鋭化される。もし上記の効果が低ければ、鮮鋭化は行われない。
【0030】
ブロック4では、第2および第3色成分が補間される。既に記述した方法により、補間され鮮鋭化された三色画像が生成される(ブロック5)。
【0031】
ここで、鮮鋭化の工程(図1のブロック2および3)をより詳細に記述する。前述したように、第1色成分の鮮鋭化は、当該第1色成分の補間直後に開始される。その後、本発明により、第2および第3色成分が必要に応じて鮮鋭化される。
【0032】
図2は鮮鋭化アルゴリズムの基本原理を示すブロック図である。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号を付して表すこととする。
まず最初に、第1色成分Gについて2次勾配(ラプラシアン)が計算され、色成分の変化およびその変化の強さが監視できるようになる。このことによって、真のエッジ画素が検出される。ここで、計算は、3×3画素のサンプルにおいて異なる四方向で勾配を計算することにより、有利に実行することができる(図3a〜図3d参照)。これらの方向とは、画素Oからの水平方向(図3a参照)、垂直方向(図3b参照)、対角線方向(NWSE=北西と南東との間の対角線方向(Northwest−Southeast)(図3c参照)、NESW==南西と北東との間の対角線方向(Southwest−Northeast)(図3d参照))である。勾配の計算において、2つの最も外側の画素値(DとE、BとG、AとH、CとF)は所定の方向で最初に計算され、その後、この計算の合計が原画素値O(既に2倍されたもの)から減算される。このような処理が各方向で実行され、これによって各方向で次のような勾配が得られる。
GradHor(水平方向の勾配)=2×O−(D+E)(すなわち、GradHor=2×O−D−E)
GradVer(垂直方向の勾配)=2×O−(B+G)(すなわち、GradVer=2×O−B−G)
GradNWSE(北西と南東との間の対角線方向の勾配)=0.75×(2×0−(A+H))
(すなわち、GradNWSE=0.75×(2×O−A−H))
GradNESW(南西と北東との間の対角線方向の勾配)=0.75×(2×O−(C+F))
(すなわち、GradNESW=0.75×(2×O−C−F))
【0033】
人間の目で観察すると、上記の変化は通常、水平方向および垂直方向の方が顕著である。したがって、上記の変化に数字1より小さい定数を掛けることにより、対角線の勾配が減衰する。さらに、対角線方向では、近隣の画素間の距離が水平方向および垂直方向における距離よりも長いということを考慮すべきである。距離間の比率は、厳密には1/√2=0.71である。
【0034】
前述の理由から、GradNWSEおよびGradNESWの計算には、0.71よりも計算上有利である係数0.75が用いられる。この値は、好ましくは数字1より小さい他の値とすることも可能であり、その場合は、水平方向または垂直方向のいずれかを選択することが好ましい。
【0035】
計算された勾配は元の変化の値を表し、最小値および最大値がそこから探索される。これらの最大値および最小値は、鮮鋭化の際に使用されて変化の値を得るのに用いられる。第1の変化値T1は、最小絶対値および最大絶対値のうちの小さい方の絶対値である。第2の変化値T2は、最小絶対値および最大絶対値のうちの大きい方の絶対値である。換言すれば、第1の変化値T1は、(探索される)最小値および最大値の絶対値のうちの小さい方に相当する値(絶対値)であり、第2の(他方の)変化値T2は、(探索される)最小値および最大値の絶対値のうちの大きい方に相当する値(絶対値)である。第1色成分の鮮鋭化関数はこれらの変化値間の比率に基づいている。変化値T2および変化値T1は、それぞれ、最大変化および最小変化を示す。これらの数字間の比率は、変化が生じたことがいかに重要であるかを示す。さらに、第2の変化値(T2)の勾配の正負記号(sign)についての情報が保存される。
【0036】
勾配の検討において、鮮鋭化を制御するための5つの好適な例を見出すことができる。これらの例を図4a〜図4eに示す。ここで、図示されている丸印は元の変化値(勾配)の順序を示し、これらの元の変化値からT1およびT2が選択される。
【0037】
図4a:全ての勾配値が負である。最小の勾配値は最大変化に相応する。換言すれば、最小の勾配値が最大の絶対値を有する。
【0038】
図4b:勾配が、最大の絶対値を有する勾配が負側にあるようにO軸の両側に分布している。この結果として、最小の勾配値が最大変化を示す。
【0039】
図4c:勾配は、最大の絶対値の勾配が正側にあるようにO軸の両側に分布している。ここでは、最大の勾配値が最大変化を示す。
【0040】
図4d:全ての勾配値が正側にある。最大の勾配値が最大変化を示す。
【0041】
図4e:全ての勾配値が0であり、画像領域が一定であるので、鮮鋭化する必要がない。
【0042】
画像領域がはっきりしたエッジを含まない場合、色成分の鮮鋭化は変化に基づいて制御されるので、第1の変化値(T2)が十分に大きくなければ(色成分に8ビット表示形式が用いられる場合、好ましくはT2≦2)、鮮鋭化は不要である。その他の場合では、変化値間の比率が計算される(ratio=T1/T2)。この比率を抑えるために、一定値(const1、const2)を各々の変化値T1、T2に加えることも可能である。ここで、下記の式が成り立つ。
ratio=[T1(+const1)]/[T2(+const2)]
【0043】
この等式に用いられる定数は、互いに等しくてもよく、等しくなくてもよい。画像処理方法または画像の特性に関連する他の要因のために、互いに等しくない定数を用いることが必要な場合があるが、通常はこれらの定数は等しくなっている。画像の所定の領域においてのみ値を一定にすること、換言すれば、異なる画像領域で異なる一定値を用いることも可能である。
【0044】
一定値(const1、const2)は小さく、例えば3、あるいは1〜10の間の他の値とするのが好ましい。計算された比率は、予め定められた2つの限定値であるSlim1、Slim2と比較される。これらの変数の値は、好ましくは、Slim2=0.8、かつ、Slim1=0.3である。これらの値は他の数字であってもよく(例えば、Slim1=0.1〜0.5、かつ、Slim2=0.5〜1.0)、これにより、できる限り簡単な方法で可能な限り良質の出力画像が得られる。上記の比率の値が限定値間で少ないほど、画素値を速く計算することができる。速度に関しては、Slim2が極力小さいことが有利である。
【0045】
もし、変化の比率が第2の限定値(Slim2)よりも大きいか、または等しければ(ratio≧Slim2)、鮮鋭化は不要となる。したがって、変化値T1、T2が同一の正負記号を有し、ほぼ等しい場合、画像位置に雑音が生じる場合がある。他の選択肢として、変化値T1、T2が逆の正負記号を有するが、ほぼ等しい絶対値を有し、鮮鋭化の方向が予測できない場合がある。いずれの場合においても、鮮鋭化を実行しないことに価値がある。
【0046】
もし、変化の比率が第1の限定値(Slim1)よりも小さいか、または等しければ(ratio≦Slim1)、上記画素が、最大鮮鋭化が用いられた真のエッジ画素であるということが推測可能である。鮮鋭化(sharp)は、値が予め定められているゲイン(gain)を変化値T2に掛けることにより実行され、好ましくはgain=0.6である。ゲインは別の値であってもよい。このゲインの目的は、はっきりしたエッジをさらに強調することである。鮮鋭化関数(sharp)は、こうして下記のフォーマットにより表される。
sharp=O+sign×T2×gain
【0047】
変化の比率を限定値間に設定すると(Slim2>ratio>Slim1)、鮮鋭化関数が重み係数(weight)で調節される。この重み係数は、第2の限定値(Slim2)と勾配の比率(ratio)との差に、限定値に依存した係数(coeff)を掛けることによって次のように計算される。
coeff=1/(Slim2−Sliml)、かつ
weight=coeff×(Slim2−ratio)
【0048】
比率が増加するにつれて、重み係数(weight)は限定値(Slim1、Slim2)間で1から0まで直線的に減少する。このため、coeff=2のとき限定値がSlim2=0.8、かつSlim1=0.3であれば、重み係数の計算が極力簡単になる。鮮鋭化効果が過度に低減しないようにするために、または誤った画素の鮮鋭化を防止するために、限定値はこれらの値に非常に接近していなければならない。したがって、重みづけがなされた鮮鋭化関数は以下のようになる。
sharp=O+sign×(weight×T2)×gain
【0049】
鮮鋭化関数の値(sharp)が平均の原画素値(O)と異なるならば、最終的な検討が行われる。鮮鋭化関数における変化案(abs(sharp−O))が、許容される所定の鮮鋭化リミタ(over)よりも大きければ、出力値を制限することができる。換言すれば、過度の鮮鋭化が防止される。鮮鋭化リミタ(over)の値は、(8ビットシステムにおいて)好ましくは40であるが、見る人の選択により他の値もまた可能である。正負記号が負であれば、出力(sharp)は、選択された鮮鋭化方向での最小の画素値(Min(x,O,y):ここで、xおよびyは、フィルタリング・ウィンドウでの中央画素Oの環境における最も外側の画素を表す)を有する出力よりも小さくなり得ない(この値からは鮮鋭化リミタ(over)の値が減算済みである)。また一方で、正負記号が正であれば、出力は、選択された鮮鋭化方向での最大の画素値(Max(x,O,y):ここで、xおよびyは前述のとおりである)を有する出力よりも大きくなり得ない(この値には鮮鋭化リミタ(over)の値が加算済みである)。下記の表1は、制御値と、選択された鮮鋭化方向が検討された後の最終的鮮鋭化出力(final:表1では最終出力と記す)との関係を示すものである。
【表1】

【0050】
この表1から、最終的鮮鋭化出力(final)は、制御値(CW)または鮮鋭化関数(sharp)の値のいずれかであるということがわかる。Max(sharp,CW)とは、最終出力が制御値(CW)または鮮鋭化関数(sharp)の値のいずれかであり、それらのうちの大きい方に依存しているということを意味する。同様にして、Min(sharp,CW)とは、最終出力が制御値(CW)または鮮鋭化関数(sharp)の値のいずれかであり、それらのうちの小さい方に依存しているということを意味する。
【0051】
表色系の値の範囲が、例えば8ビットから16ビットまで変化する場合、上記で示した限定値Slim1、Slim2は変化しない。しかしながら、鮮鋭化リミタ(over)の値は、ビット数に従って、例えば表色系の値の範囲が8ビットから10ビットまで変化する場合、次のような手法で乗算される。
over(10)=over(8)×2(10-8)
【0052】
鮮鋭化された第1色の画素に第2色または第3色の値がある場合、第2色または第3色の画素も同様に鮮鋭化される。第1色成分の鮮鋭化によって引き起こされる、画素値における最終的な変化(final−0)は、第1色の鮮鋭化前の画素値Oと、鮮鋭化後の画素値finalとの差が小さいならば((final−O)の絶対値が2以下である(abs(final−O)≦2),(8ビット))、色成分に直接加算されて鮮鋭化される(rb)。このような手順は次の式により表される。
rb’=rb+(final−O)
【0053】
もし、画素の第1色の鮮鋭化前であるOと鮮鋭化後であるfinalとの差が十分大きいならば((final−O)の絶対値が2より大きい(abs(final−O)>2),(8−bit))、鮮鋭化は近隣の画素値の最大値と最小値との差に比例する。
【0054】
このように比例した鮮鋭化では、以下のステップがとられる。ここで、既存の画素位置の全てを含むような以下の数式(3)のマスクを仮定することにする。
【数3】

【0055】
mは、第1色について鮮鋭化が実行されてしまっており、第2色または第3色の存在する、検討中の画素位置であると仮定することにする。位置mの周囲の同一色(第2色または第3色)である至近の画素位置を水平方向および垂直方向に制御することにする。こうして、点c、x、kおよびoが得られる。これらの認められる位置c、x、kおよびoのうち、最小の画素値minCおよび最大の画素値maxCが探索される。これに対応する位置において、(鮮鋭化前の)第1色成分の補間後の画素値も調べられ、これらのうち、最小の画素値min1および最大の画素値max1も探索される。元の画像の第2色成分または第3色成分(rb)の画素値間の差(maxC−minC)が、補間された画像の第1色成分の対応する画素値間の差(max1−min1)よりも小さければ[(maxC−minC)<(max1−min1)]、鮮鋭化には次の式が用いられる。
rb’=rb+(final−O)*(maxC−minC+add1)/(max1−min1+add2)
ここで、add1、add2は比率の緩和係数であり、好ましくは、8ビットのシステムにおいて3である。add1、add2は相互に不等であってもよいということに留意すべきである。その他の点では、前述の式が次のように適用される。
rb’=rb+(final−O)
【0056】
望ましい色成分を鮮鋭化することにより必要な画素位置が走査された後、第2色成分および第3色成分が補間される。
【0057】
例えば米国特許第5,506,619号に記載されているように、異なる位置(第2または第3色成分(R/B)が元々存在しない場所)にある第2色成分(R)および第3色成分(B)の画素は、ラプラシアン2の演算に基づいた補間が用いられる場合、最後の補間と組み合わせて自動的に鮮鋭化される。上記の参考文献による方法においては、補間された第1色成分Gに関しては、2次ラプラシアンの補正値Dの計算が行われる。この2次ラプラシアンの補正値Dは、第2色成分、すなわち赤R、または第3色成分、すなわち青Bの画素から減算されるか、またはこれに加算される。したがって、上記の第2または第3色成分は別々に鮮鋭化される必要がない。
【0058】
前述したような本発明の画像を処理するための方法は、以下の疑似コードにより表すことができる。
第1色成分の鮮鋭化
GradHor=2×O−(D+E);
GradVer=2×O−(B+G);
GradNWSE=0,75×(2×O−(A+H));
GradNESW=0,75×(2×O−(C+F));
MinGrad=Min(GradHor,GradVer,GradNWSE,GrandNESW);
MaxGrad=Max(GradHor,GradVer,GradNWSE,GrandNESW);
(abs(MinGrad)>abs(MaxGrad))ならば、
T2=abs(MinGrad);
T1=abs(MaxGrad);
Sign=MinGrad/abs(MinGrad);
もしそうでなければ、
T2=abs(MaxGrad);
T1=abs(MinGrad);
Sign=MaxGrad/abs(MaxGrad);
(T2>2)ならば、
ratio=(T1+const1)/(T2+const2);
(ratio>Slim2)ならば、
sharp=O;
また一方で、(ratio<Slim1)ならば、
sharp=O+sign×T2×gain;
もしそうでなければ、
weight=coeff×(Slim2−ratio);
sharp=O+sign×(weight×T2)×gain;
ここで、const1,const2=3
Slim2=0.8;
Slim1=0.3;
gain=0.6;
coeff=2(1/(Slim2−Slim1))
(abs(sharp−0))>overならば、
(sign<0)ならば、
CW=Min(x,O,y)−over
final=Max(sharp,CW)
もしそうでなければ、
CW=Max(x,O,y)+over
final=Min(sharp,CW)
ここで、画素x、yはフィルタリング・ウィンドウの中心点Oの周囲の選択された方向に従って決まる
もしそうでなければ、
final=sharp;
もしそうでなければ、
final=O;
第2または第3色成分の原画素の鮮鋭化
鮮鋭化された第1色成分の点Oの位置に第2または第3色成分の画素があるならば、
rb=鮮鋭化された第1色成分の点Oの位置における第2または第3色成分の値;
(abs(final−O))≦2ならば、
rb’=rb+(final−O);
もしそうでなければ、//比例した鮮鋭化
((maxC−minC)<(max1−min1))ならば、
rb’=c+(final−O)×((maxC−minC+add1)/(max1−min1+add2))
ここで、add1,add2=3
minC=Min(OriNeigboursC(rb))
maxC=Max(OriNeigboursC(rb))
min1=Min(IntNeigbours1(rb))
max1=Min(IntNeigbours1(rb)
OriNeigboursC=第2または第3色成分の至近(c,x,k,o)の原画素値
IntNeigbours1=第1色成分の至近(c,x,k,o)の補間された画素値
もしそうでなければ、
rb’=rb+(final−O)
【0059】
前述の画像鮮鋭化方法は、変化値T2の代わりに他の変化値T3を用いて実行することもできる。変化値T3は、選択された最小値および最大値のうち、元の変化値の順で、小さい方の絶対値を有する値よりも大きい方の絶対値を有する値により近い方の元の勾配値の絶対値である。換言すれば、T3は、元の変化値の順で、T1で表される勾配値に向かって、T2で表される勾配値の次にある元の勾配値の絶対値である。例えば、順に−8、−1、2、5の勾配値、すなわち元の変化値があるとする。上記の元の変化値から、最小値(−8)および最大値(5)が選択される。これらのうち大きい方の絶対値をT2と表記し、小さい方の絶対値をT1と表記する(ここで、T2=8、かつT1=5)。前述のように、値T3は、T2より後の勾配値に近い勾配値の絶対値であるので、ここで求められる勾配は−1であり、T3の絶対値は1である。(呈示される例のように)二番目に大きい絶対値はT1であるため(これは既に最小変化を示すのに使用されている)、T3は必ずしも二番目に大きい絶対値を有する値ではないということに留意すべきである。また一方で、勾配2は勾配−1よりも大きい絶対値を有するが、勾配2は順番ではT1に近いので、この勾配2をT3として選択することはできない。
【0060】
図6a〜6dはT1、T2およびT3に関して好適な4つの例を示す。図示された丸印は元の変化値(勾配)の順序を表し、ここからT1、T2およびT3が選択される。
【0061】
図6aでは、全ての勾配値が負である。変化値T3の正負記号が負である。
【0062】
図6bでは、変化値T3が負側にあって負の正負記号を有するように、勾配がO軸の両側に分布している。
【0063】
図6cでは、変化値T3が正側にあって正の正負記号を有するように、勾配がO軸の両側に分布している。
【0064】
図6dでは、全ての勾配値が正側にある。変化値T3の正負記号も正である。
【0065】
変化値T3が用いられる場合、T2と同様に、絶対値間の比率が計算される(ratio=T1/T3)。比率T1/T3>1のとき、変化値T3が変化値T1よりも小さい場合の可能性があるということに留意すべきである。この場合には、鮮鋭化は行われない。そうでない場合は、以下に示すような式が成り立つ。
ratio=[T1(+const1)]/[T3(+const2)]
【0066】
既に記述した場合と同様に、形成された比率および変化値T3が用いられるのみのアルゴリズムが進められる。変化値T2の代わりに変化値T3を用いることにより、鮮鋭化フィルタの性能が向上する。変化値T2は時々雑音に影響される場合があるので、実際の最大変化を表すのには変化値T3の方がより信頼できる。
【0067】
雑音の出現の一例を図7a、図7bに示す。図7a、図7bは、雑音のある一つの画素Nを含む均一な領域を示す。雑音のある画素が鮮鋭化ウィンドウの中央画素である場合(図7a)、本発明により鮮鋭化されない。しかしながら、これが中央にない場合(図7b)、鮮鋭化の影響を受ける。雑音のある画素NがT2として選択され、このことにより、フィルタリングがなされた画像において雑音のある元の単一の画素が、変化した画素値によって取り囲まれる。このようなことが、雑音のある画素の視認性を際立たせる。このような状態を図8a〜図8cに簡略化して示す。ここでは、図8aは原画素を示しており、この原画素に対してT2によりフィルタリングがなされ(図8b)、さらに、T3によりフィルタリングがなされる(図8c)。ここからわかるように、値T2の使用によりフィルタリング領域内の雑音が強調される。
【0068】
前述の画像鮮鋭化方法はハイパスマスクで実行されるが、これは必須ではない。なぜならば、バンドパスマスクを単独で使用することも、あるいはハイパスフィルタリングと組み合わせて使用することも可能であるからである。バンドパスマスクは、より大きい領域からサンプルをとり、それゆえに、ハイパスマスクでは見えない低勾配エッジを増進することが可能である。図9a〜図9cでは、ハイパスマスク(図9a)、これに対応するバンドパスマスク(図9b)、およびハイパスマスクおよびバンドパスマスクの組み合わせ(図9c)をいかにして作成できるかという点に関して幾つかの例を示す。ハイパスマスクおよびバンドパスマスクの組み合わせ(HP+BP)は、ハイパスフィルタ(HP)のように動作するが、図10a、図10bからもわかるように、これは低周波数でも動作する。ハイパスフィルタ(HP)の−6dBの点(ゲイン=2)は周波数0.5であり、組み合わせたフィルタ(HP+BP)についてはさらに低い周波数0.25である。図10aは線形で表したゲインを示し、図10bは対数のスケールで表したゲインを示す。
【0069】
鮮鋭化に使用される前述のアルゴリズムを色成分の鮮鋭化に利用することも可能である。このような例を図11に示す。この例では、色信号R、GおよびBがまず補間され(ブロック1)、次に鮮鋭化フィルタにより鮮鋭化される(ブロック5)。補間は通常(しかしながら常にではない)、数段階に分けて行われる。色信号Gがまず補間され、次に色信号R、Bが補間される。さらに、ある状況において信号R、GおよびBを信号Y、UおよびVに変換する場合があり(ブロック6)、ここで、少なくとも輝度Yが鮮鋭化される(ブロック7)。このことにより、3つの色成分の全てを有する、補間され鮮鋭化された画像が作成される(ブロック8)。
【0070】
本説明で論じているアルゴリズムを、ここで表すように鮮鋭化に適用することが可能であるが、例えばディジタルフィルタによって、例えば雑音低減のために色信号が処理されるような他の信号処理方法においても上記アルゴリズムを適用することができるということにも留意すべきである。
【0071】
前述したような本発明による画像鮮鋭化方法を、図5に示す画像処理システムで実施することが可能である。ここでは、撮像素子C(カメラ、または同様のもの)が、画像処理システム用にベイヤー・マトリックス画像Iを作製する。このベイヤー・マトリックス画像Iは、色分解装置Sにおいて、信号R、GおよびBにより表される3つの色成分に分けられる。例えば、信号Gは緑の色成分を表しており、この色成分は補間装置1へ導かれて処理され、信号G1が生成される。補間された信号G1は鮮鋭化装置2で鮮鋭化され、この結果として生じる信号G2が、補間された信号G1と比較される。差動ユニットDにより生成される信号G2−G1からの偏差G3が、色信号R、Bと共に他の鮮鋭化装置3へと導かれる。色信号R、Bは赤および青の色成分であるのが好ましい。もし必要ならば、上記の色信号R、Bは、偏差G3の効果により第2の鮮鋭化装置(他の鮮鋭化装置)で鮮鋭化される。次に、生成された鮮鋭化信号R1、B1が第2の補間装置4へ導かれて処理され、補間された信号R2、B2がここで生成される。
【0072】
上記第2の補間装置4では、補間されるべき色の画素(そこから緑の色成分Gが欠落している)が自動的に鮮鋭化される。画像処理システムからの出力として、三色画像が得られ、そこでは各色成分が鮮鋭化されている。
【0073】
前述した本発明を、ベイヤー・マトリックスが適用されるシステム以外の他のシステムにも適用できるということは、いかなる当業者にも明らかであろう。本発明による方法は、全ての色成分が全ての画素に集められるわけではないシステムにおいて有利である。一例として、各画素の強さの値を記録するが、色値として画素のうちの数点のみ記録するような装置が存在する。本発明の応用例および基本動作を考慮すれば、どのような方法で幾つかの画素から色成分が欠落しているのかということは重要ではない。本発明に関連して言及すべき一例として、本発明を適用することにより容易に実施可能な六角形の表色系がある。
【0074】
上記で議論したことに加えて、色成分は、緑G、赤Rおよび青B以外のものであってもよいということが明らかであろう。本発明は、例えば太陽光、赤外線もしくは紫外線等の2つの異なる波長を有する任意の電磁放射線、または、ガンマ放射線もしくはX線放射線等の短波長の放射線、または、マイクロ波放射線等の長波長の放射線を様々な分解能で記録する素子において適用されることが可能である。さらに、本発明は、鮮鋭化すべき成分が前述した成分の組み合わせとして得られる場合において適用されることが可能である。したがって、色成分は、好ましくはRGB、CMY、CMYK、HSI、またはYUVのグループから選択された表色系に属してもよい。
【0075】
本発明による画像処理システムを、電子装置の一部として、例えばカメラのディジタル信号処理装置または同類のものにおいて実施することが可能である。このようなシステムはまた、ディジタル信号を補間するための手段、および上記ディジタル信号を鮮鋭化するための手段、例えばディジタルフィルタを有する。通常、電子装置もまた、他の機能、例えば画像情報を使用者に表示するための手段、および電子装置を制御するためのプロセッサを有する。本発明による画像処理システムを有するディジタルカメラは、個別のユニットとして、または装置と一体化されたユニットとして、携帯機器(この携帯機器は移動通信手段も含む)と組み合わせて実施されることが好ましい。さらに、本発明による画像処理システムを有するディジタルカメラは、ウェブカメラ(Web Cam)のように、通信網(例えばインターネット)に接続されることが可能である。
【0076】
本発明は、これまで説明したような実施例のみに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で変更可能であるということが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ベイヤー・マトリックス画像の補間および鮮鋭化のための本発明による処理命令を示す図である。
【図2】本発明による鮮鋭化方法の基本原理を示す図である。
【図3a】3×3画素の寸法であるサンプルの水平方向を示す図である。
【図3b】3×3画素の寸法であるサンプルの垂直方向を示す図である。
【図3c】3×3画素の寸法であるサンプルの一つの対角線方向を示す図である。
【図3d】3×3画素の寸法であるサンプルの他の対角線方向を示す図である。
【図4a】本発明による勾配計算で起こる好適な例を示す図である。
【図4b】本発明による勾配計算で起こる好適な例を示す図である。
【図4c】本発明による勾配計算で起こる好適な例を示す図である。
【図4d】本発明による勾配計算で起こる好適な例を示す図である。
【図4e】本発明による勾配計算で起こる好適な例を示す図である。
【図5】本発明による画像処理システムの好ましい実施態様を示す図である。
【図6a】二番目に高い勾配を使用した勾配計算で起こる好適な第1の例を示す図である。
【図6b】二番目に高い勾配を使用した勾配計算で起こる好適な第2の例を示す図である。
【図6c】二番目に高い勾配を使用した勾配計算で起こる好適な第3の例を示す図である。
【図6d】二番目に高い勾配を使用した勾配計算で起こる好適な第4の例を示す図である。
【図7a】雑音のある画素を含む鮮鋭化ウィンドウを示す図である。
【図7b】雑音のある画素を含む鮮鋭化ウィンドウを示す図である。
【図8a】本発明によるフィルタリングを行った後の雑音のある画素の視認性を示す図である。
【図8b】本発明によるフィルタリングを行った後の雑音のある画素の視認性を示す図である。
【図8c】本発明によるフィルタリングを行った後の雑音のある画素の視認性を示す図である。
【図9a】フィルタリング・マスクの第1の例を示す図である。
【図9b】フィルタリング・マスクの第2の例を示す図である。
【図9c】フィルタリング・マスクの第3の例を示す図である。
【図10a】フィルタリング・マスクの周波数応答を示す図である。
【図10b】フィルタリング・マスクの周波数応答を示す図である。
【図11】ベイヤー・マトリックス画像の補間および鮮鋭化のための処理命令の具体例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを含む画像において色を鮮鋭化するための方法であって、前記第1色成分の情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記第1色成分および前記第2色成分が補間され、かつ、少なくとも前記第1色成分が鮮鋭化される方法において、前記第2色成分の鮮鋭化が前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて制御されることを特徴とする、色を鮮鋭化するための方法。
【請求項2】
前記第1色成分を鮮鋭化する際に、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、第1色成分の変化が少なくとも2つの異なる方向で計算され、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最大値および最小値が選択され、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率が決定されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変化値に基づいて、第1変化値(T1)と他の変化値との間で計算すべき比率が決定されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1変化値(T1)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの小さい方であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記他の変化値(T2)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの大きい方であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記他の変化値(T3)が、選択された前記最小値および最大値のうち、元の変化値の順で、小さい方の絶対値を有する値よりも大きい方の絶対値を有する値により近い方の元の変化値の絶対値であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項7】
決定された前記比率が、第1色成分の鮮鋭度を制御するために使用されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項8】
制御のために、
少なくとも一つの限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が少なくとも一つの限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するために使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
決定された前記比率が前記限定値(Slim2)よりも小さい場合に、前記第1色成分が鮮鋭化されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
制御のために、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するために使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項11】
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)よりも小さい場合に、鮮鋭化が最小限に収まるようにし、
決定された前記比率が、前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)により規定された値の範囲内である場合に、前記最大値よりも小さい鮮鋭化が使用されるようにし、
また一方で、その他の場合に、前記第1色成分が鮮鋭化されずにそのまま残るようにし、
鮮鋭化の強さを決定するために前記比較が使用されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2色成分の鮮鋭化が、前記第1色成分で前記第1色成分の鮮鋭化によって起こる変化の程度に基づいていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
基準値が決定され、さらに、前記第1色成分での鮮鋭化によって起こる変化の程度が、決定された前記基準値よりも小さいかまたは前記基準値に等しい場合、前記第2色成分を鮮鋭化するために、前記第1色成分の鮮鋭化の値が前記第2色成分に加算されることを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
基準値が決定され、さらに、前記第1色成分での鮮鋭化によって起こる変化の程度が、決定された前記基準値よりも大きい場合、前記第2色成分の鮮鋭化が前記第2色成分の近隣の画素に比例することを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの他の色成分を鮮鋭化するための方法が使用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1色成分が、最大数の画素および/または画像の輝度への最大の効果を備えた色成分であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
エッジを有する画素において鮮鋭化が増幅されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
鮮鋭化によって起こる変化が、決定された変化よりも大きい場合、鮮鋭化が限定されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
色成分が、RGB、CMY、CMYK、HSI、またはYUVのグループから選択された表色系に属することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つの色成分を含む画像内でディジタル信号を処理するための方法であって、色成分を処理する際に、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記色成分の変化が少なくとも2つの異なる方向で計算され、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最大値および最小値が選択され、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率が決定されることを特徴とする、ディジタル信号を処理するための方法。
【請求項21】
第1変化値(T1)と他の変化値との間で計算すべき比率が決定されることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第1変化値(T1)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの小さい方であることを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記他の変化値(T2)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの大きい方であることを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記他の変化値(T3)が、選択された前記最小値および最大値のうち、元の変化値の順で、小さい方の絶対値を有する値よりも大きい方の絶対値を有する値により近い方の元の変化値の絶対値であることを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項25】
決定された前記比率が、前記第1色成分の処理の度合いを制御するために使用されることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項26】
制御のために、
少なくとも一つの限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が少なくとも一つの限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の処理を制御するために使用されることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
決定された前記比率が前記限定値(Slim2)よりも小さい場合に、前記第1色成分が処理されることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
制御のために、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の処理を制御するために使用されることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項29】
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)よりも小さい場合に、処理が最小限に収まるようにし、
決定された前記比率が、前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)により規定された値の範囲内である場合に、前記最大値よりも小さい処理が使用されるようにし、
また一方で、その他の場合に、前記第1色成分が処理されずにそのまま残るようにし、
鮮鋭化の強さを決定するために前記比較が使用されることを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
色成分が、RGB、CMY、CMYK、HSI、またはYUVのグループから選択された表色系に属することを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項31】
前記ディジタル信号の処理が鮮鋭化であることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの色成分を含む画像でディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタであって、請求項20から31のいずれか一項に記載の方法を実施するために前記ディジタルフィルタが設けられることを特徴とするディジタルフィルタ。
【請求項33】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのシステムであって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分についての情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記システムが、前記第1色成分および前記第2色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、前記システムは、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含むことを特徴とする、色を鮮鋭化するためのシステム。
【請求項34】
前記システムが、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するための手段と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最小値および最大値を選択するための手段と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するための手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
第1変化値(T1)と他の変化値との間の比率を計算することによって、前記比率を決定するための手段が設けられることを特徴とする、請求項33記載のシステム。
【請求項36】
計算された前記比率を色成分の鮮鋭度の制御に使用するために、前記システムが設けられることを特徴とする、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
前記システムが、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)を選択するための手段と、
決定された前記比率を前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較するための手段とをさらに含み、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するのに使用するために、比較の結果が用意されることを特徴とする、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像において色を鮮鋭化するための手段を含む、画像を形成するための装置であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記装置が、前記第1色成分および前記第2色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、前記装置は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含むことを特徴とする、画像を形成するための装置。
【請求項39】
前記装置が、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するための手段と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最小値および最大値を選択するための手段と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するための手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項38記載の装置。
【請求項40】
第1変化値(T1)と他の変化値との間の比率を計算することによって、前記比率を決定するための手段が設けられることを特徴とする、請求項39記載の装置。
【請求項41】
計算された前記比率を色成分の鮮鋭度の制御に使用するために、前記装置が設けられることを特徴とする、請求項39記載の装置。
【請求項42】
前記装置が、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)を選択するための手段と、
決定された前記比率を前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較するための手段とをさらに含み、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するのに使用するために、比較の結果が用意されることを特徴とする、請求項41記載の装置。
【請求項43】
前記装置が移動通信手段を含むことを特徴とする、請求項38から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、前記第1色成分および前記第2色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、前記コンピュータ・ソフトウェア製品は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含むことを特徴とする、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置。
【請求項45】
前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するためのコンピュータ命令と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された元の変化値から最小値および最大値を選択するためのコンピュータ命令と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するためのコンピュータ命令とをさらに含むことを特徴とする、請求項44記載の記憶装置。
【請求項46】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含むコンピュータ・ソフトウェア製品であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、前記第1色成分および前記第2色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、前記コンピュータ・ソフトウェア製品は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含むことを特徴とするコンピュータ・ソフトウェア製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを含む画像において色を鮮鋭化するための方法であって、前記第1色成分の情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記第1色成分が補間され、かつ、少なくとも前記第1色成分が鮮鋭化される方法において、前記第2色成分の鮮鋭化が前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて制御され、その後、前記第2色成分が補間されることを特徴とする、色を鮮鋭化するための方法。
【請求項2】
前記第1色成分を鮮鋭化する際に、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、第1色成分の変化が少なくとも2つの異なる方向で計算され、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最大値および最小値が選択され、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率が決定されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記変化値に基づいて、第1変化値(T1)と他の変化値との間で計算すべき比率が決定されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1変化値(T1)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの小さい方であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記他の変化値(T2)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの大きい方であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記他の変化値(T3)が、選択された前記最小値および最大値のうち、元の変化値の順で、小さい方の絶対値を有する値よりも大きい方の絶対値を有する値により近い方の元の変化値の絶対値であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項7】
決定された前記比率が、第1色成分の鮮鋭度を制御するために使用されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項8】
制御のために、
少なくとも一つの限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が少なくとも一つの限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するために使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
決定された前記比率が前記限定値(Slim2)よりも小さい場合に、前記第1色成分が鮮鋭化されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
制御のために、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するために使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項11】
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)よりも小さい場合に、鮮鋭化が最小限に収まるようにし、
決定された前記比率が、前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)により規定された値の範囲内である場合に、前記最大値よりも小さい鮮鋭化が使用されるようにし、
また一方で、その他の場合に、前記第1色成分が鮮鋭化されずにそのまま残るようにし、
鮮鋭化の強さを決定するために前記比較が使用されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2色成分の鮮鋭化が、前記第1色成分で前記第1色成分の鮮鋭化によって起こる変化の程度に基づいていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
基準値が決定され、さらに、前記第1色成分での鮮鋭化によって起こる変化の程度が、決定された前記基準値よりも小さいかまたは前記基準値に等しい場合、前記第2色成分を鮮鋭化するために、前記第1色成分の鮮鋭化の値が前記第2色成分に加算されることを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
基準値が決定され、さらに、前記第1色成分での鮮鋭化によって起こる変化の程度が、決定された前記基準値よりも大きい場合、前記第2色成分の鮮鋭化が前記第2色成分の近隣の画素に比例することを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの他の色成分を鮮鋭化するための方法が使用されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1色成分が、最大数の画素および/または画像の輝度への最大の効果を備えた色成分であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
エッジを有する画素において鮮鋭化が増幅されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
鮮鋭化によって起こる変化が、決定された変化よりも大きい場合、鮮鋭化が限定されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
色成分が、RGB、CMY、CMYK、HSI、またはYUVのグループから選択された表色系に属することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも一つの色成分を含む画像内でディジタル信号を処理するための方法であって、色成分を処理する際に、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記色成分の変化が少なくとも2つの異なる方向で計算され、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最大値および最小値が選択され、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率が決定されることを特徴とする、ディジタル信号を処理するための方法。
【請求項21】
第1変化値(T1)と他の変化値との間で計算すべき比率が決定されることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第1変化値(T1)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの小さい方であることを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記他の変化値(T2)が、選択された前記最小値および最大値の絶対値のうちの大きい方であることを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記他の変化値(T3)が、選択された前記最小値および最大値のうち、元の変化値の順で、小さい方の絶対値を有する値よりも大きい方の絶対値を有する値により近い方の元の変化値の絶対値であることを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項25】
決定された前記比率が、前記第1色成分の処理の度合いを制御するために使用されることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項26】
制御のために、
少なくとも一つの限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が少なくとも一つの限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の処理を制御するために使用されることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
決定された前記比率が前記限定値(Slim2)よりも小さい場合に、前記第1色成分が処理されることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
制御のために、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)が選択され、
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較され、比較の結果が、前記第1色成分の処理を制御するために使用されることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項29】
決定された前記比率が前記第1限定値(Slim1)よりも小さい場合に、処理が最小限に収まるようにし、
決定された前記比率が、前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)により規定された値の範囲内である場合に、前記最大値よりも小さい処理が使用されるようにし、
また一方で、その他の場合に、前記第1色成分が処理されずにそのまま残るようにし、
鮮鋭化の強さを決定するために前記比較が使用されることを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
色成分が、RGB、CMY、CMYK、HSI、またはYUVのグループから選択された表色系に属することを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項31】
前記ディジタル信号の処理が鮮鋭化であることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの色成分を含む画像でディジタル信号を処理するためのディジタルフィルタであって、請求項20から31のいずれか一項に記載の方法を実施するために前記ディジタルフィルタが設けられることを特徴とするディジタルフィルタ。
【請求項33】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのシステムであって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分についての情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記システムが、前記第1色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、前記システムは、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含み、これによって、前記システムが前記第2色成分を補間するように構成されることを特徴とする、色を鮮鋭化するためのシステム。
【請求項34】
前記システムが、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するための手段と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最小値および最大値を選択するための手段と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するための手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
第1変化値(T1)と他の変化値との間の比率を計算することによって、前記比率を決定するための手段が設けられることを特徴とする、請求項33記載のシステム。
【請求項36】
計算された前記比率を色成分の鮮鋭度の制御に使用するために、前記システムが設けられることを特徴とする、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
前記システムが、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)を選択するための手段と、
決定された前記比率を前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較するための手段とをさらに含み、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するのに使用するために、比較の結果が用意されることを特徴とする、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像において色を鮮鋭化するための手段を含む、画像を形成するための装置であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記装置が、前記第1色成分を補間するための手段と鮮鋭化を実施するための手段とを含むものにおいて、前記装置は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するための手段をさらに含み、これによって、前記装置が前記第2色成分を補間するように構成されることを特徴とする、画像を形成するための装置。
【請求項39】
前記装置が、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、前記第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するための手段と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された前記の元の変化値から最小値および最大値を選択するための手段と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するための手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項38記載の装置。
【請求項40】
第1変化値(T1)と他の変化値との間の比率を計算することによって、前記比率を決定するための手段が設けられることを特徴とする、請求項39記載の装置。
【請求項41】
計算された前記比率を色成分の鮮鋭度の制御に使用するために、前記装置が設けられることを特徴とする、請求項39記載の装置。
【請求項42】
前記装置が、
少なくとも第1限定値(Slim1)および第2限定値(Slim2)を選択するための手段と、
決定された前記比率を前記第1限定値(Slim1)および前記第2限定値(Slim2)と比較するための手段とをさらに含み、前記第1色成分の鮮鋭化を制御するのに使用するために、比較の結果が用意されることを特徴とする、請求項41記載の装置。
【請求項43】
前記装置が移動通信手段を含むことを特徴とする、請求項38から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、前記第1色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、前記コンピュータ・ソフトウェア製品は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含み、これによって、前記コンピュータ命令が前記第2色成分を補間するように構成されることを特徴とする、コンピュータ・ソフトウェア製品を記憶するための記憶装置。
【請求項45】
前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、
少なくとも2つの元の変化値を得るために、第1色成分の変化を少なくとも2つの異なる方向で計算するためのコンピュータ命令と、
少なくとも2つの変化値を得るために、計算された元の変化値から最小値および最大値を選択するためのコンピュータ命令と、
前記の少なくとも2つの変化値に基づいて比率を決定するためのコンピュータ命令とをさらに含むことを特徴とする、請求項44記載の記憶装置。
【請求項46】
少なくとも第1色成分と第2色成分とを備えた画像で色を鮮鋭化するためのコンピュータ命令を含むコンピュータ・ソフトウェア製品であって、前記第1色成分についての情報を含む画素が、前記第2色成分の情報を含む画素とは少なくとも部分的に異なる位置に配置されており、前記コンピュータ・ソフトウェア製品が、前記第1色成分を補間するためのコンピュータ命令と鮮鋭化を実施するためのコンピュータ命令とを含むものにおいて、前記コンピュータ・ソフトウェア製品は、前記第1色成分の鮮鋭化に基づいて前記第2色成分の鮮鋭化を制御するためのコンピュータ命令をさらに含み、これによって、前記コンピュータ命令が前記第2色成分を補間するように構成されることを特徴とするコンピュータ・ソフトウェア製品。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−503359(P2006−503359A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544336(P2004−544336)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000759
【国際公開番号】WO2004/036499
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】