画像レーダ装置
【課題】従来、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データや観測目標種類が不明の場合、クロスレンジ軸ベクトルの推定ができず、また、クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まらず複数種類得られてしまう。
【解決手段】受信高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理して生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像における夫々の軸の傾きを全軸傾斜計測手段で算出し、画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを全軸方向推定手段で得て、レンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、レーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きからクロスレンジ軸ベクトルを推定する。
【解決手段】受信高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理して生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像における夫々の軸の傾きを全軸傾斜計測手段で算出し、画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを全軸方向推定手段で得て、レンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、レーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きからクロスレンジ軸ベクトルを推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はレーダで観測対象の電波画像を取得する画像レーダ装置に関し、特にレーダ画像の表示やクロスレンジスケーリング及びレーダ画像を用いた目標の大きさの計測並びにレーダ画像を用いた目標の認識・識別などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像レーダ装置は、送信機で発生された高周波信号が送受切換器、送受信アンテナを介して目標に照射され、目標により散乱された高周波信号を、送受信アンテナ、送受切換器を介して受信機で受信した後にレンジ方向の分解能を向上させるレンジ圧縮、レンジに直交するクロスレンジ方向の分解能を向上させるクロスレンジ圧縮を行ってレーダ画像(例えば、逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Radar: ISAR)画像)を生成する。
【0003】
さらに、目標上の前後方向の軸である主軸の3次元空間内での向きを目標の追尾により推定する。また、レーダ画像上での主軸のレンジ方向に対する傾きを得る。
そして、上記3次元空間内での主軸の前後方向と上記レーダ画像上での主軸のレンジ方向に対する傾きの関係から、レーダ画像のクロスレンジを決定するクロスレンジ軸ベクトルに制約を加える。さらに、レーダ画像から目標のドップラー周波数幅を得る。
【0004】
また、予め格納された各候補目標の形状データに基づいて、各候補目標について様々な方向に設定したクロスレンジ方向の実寸法であるクロスレンジ長についての特性(クロスレンジ長特性)を得る。
【0005】
そして、上記レーダ画像上の目標のドップラー幅と、クロスレンジ軸に関する制約条件と、候補目標のクロスレンジ長特性から、候補目標ごとにクロスレンジ軸ベクトルひいてはレーダ画像の投影面の候補を決定していた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3668928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される従来の画像レーダ装置は、クロスレンジ軸ベクトルの推定に候補目標の形状を必要とするため、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合や、観測目標の種類が分からない場合には、クロスレンジ軸ベクトルの推定ができない問題があった。
【0008】
また、クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まらず、各候補目標ごとに得られてしまうという問題があった。さらに、各候補目標ごとでも、場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られてしまうことがあるという問題があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、クロスレンジ軸ベクトルの推定を行う際に、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要とせず、かつ、クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まること、また、こうして得られたクロスレンジ軸ベクトルに基づいてレーダ画像のクロスレンジスケーリングや、長さの計測、目標の認識・識別を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る画像レーダ装置は、レンジ圧縮によりレンジ方向の分解能を向上させ、さらに目標の回転あるいは移動により生じるドップラー効果を利用したクロスレンジ圧縮によりクロスレンジ方向の分解能を向上させることにより目標の画像を得る画像レーダ装置であって、
送信機で生成されて、目標に照射され目標で反射された高周波信号を受信し、増幅・検波する受信機と、
受信機で増幅・検波された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理してレーダ画像を生成するレーダ画像生成手段と、
レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像上の目標像における夫々の軸の傾きを算出する全軸傾斜計測手段と、
受信機からの高周波信号を基に画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを得る全軸方向推定手段と、
全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きを入力しクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段を具備する。
を具備する。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る画像レーダ装置によれば、受信された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理して生成されたレーダ画像上の目標像における主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像における夫々の軸の傾きを全軸傾斜計測手段で算出し、 画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを全軸方向推定手段で得て、全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きからクロスレンジ軸ベクトルを推定するので、クロスレンジ軸ベクトルの推定の際に観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要とせず、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合や、観測目標の種類が分からない場合でもクロスレンジ軸ベクトルの推定ができる利点がある。
また、クロスレンジ軸は一意に定まるので、各候補目標ごとに得られてしまうことも回避でき、さらに各候補目標ごとでも場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られる問題をも回避できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による画像レーダ装置の構成図である。
【図2】実施の形態1における全軸方向推定手段の構成図である。
【図3】この発明における3次元空間内での観測のジオメトリを示す図である。
【図4】この発明におけるレーダ画像の一例を示す図である。
【図5】実施の形態2における全軸方向推定手段の構成図である。
【図6】実施の形態3による画像レーダ装置の構成図である。
【図7】クロスレンジスケーリングの処理内容説明用の図である。
【図8】実施の形態4の画像レーダ装置の構成を示す図である。
【図9】実施の形態4の画像レーダ装置の処理内容説明用の図である。
【図10】実施の形態5の画像レーダ装置の構成図である。
【図11】実施の形態6の画像レーダ装置の構成図である。
【図12】実施の形態6の処理内容説明用の図である。
【図13】実施の形態7の画像レーダ装置の構成図である。
【図14】実施の形態8の画像レーダ装置の構成図である。
【図15】実施の形態9の画像レーダ装置の構成図である。
【図16】実施の形態10の画像レーダ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による画像レーダ装置の構成を示す図である。図1において、
1は高周波信号を発生する送信機、2は送信時と受信時で信号の流れる方向を切り換える送受切換器、3は目標に向けて電波を照射し、また、目標からの散乱電波を受ける送受信アンテナ、4は受信信号を増幅・検波する受信機、5は受信機4の受信信号から、目標上の反射強度分布に関するレンジ、およびクロスレンジ方向共に高分解能化されたレーダ画像(ISAR画像等)を生成するレーダ画像生成手段、6はレーダ画像生成手段5からのレーダ画像を入力し、主軸と高さ方向の軸(以下高さ軸)や横方向の軸(以下横軸)、またはその他指定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸のレーダ画像上の目標像における傾きを推定する全軸傾斜計測手段、7は受信機4の受信信号から主軸と高さ軸という、目標の形状・姿勢を特徴づける軸の3次元空間内での向きを推定する全軸方向推定手段、8は、全軸傾斜計測手段6で推定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸のレーダ画像上の目標像における傾きと、全軸方向推定手段7で推定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸の3次元空間内での向きとから、レーダ画像のクロスレンジ軸の方向と大きさ(実際の長さとドップラー周波数差の間の関係を表す)の情報を含むクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段である。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1における前述の全軸方向推定手段7の構成を示す図である。図2において、10は目標の進行方向、位置、速度、加速度等の運動特性を推定する目標追尾手段、11は目標の形状・姿勢を特徴づける主軸の3次元空間内での向きを推定する主軸方向推定手段、12は目標の形状・姿勢を特徴づける高さ軸の3次元空間内での向きを推定する高さ軸方向推定手段である。
【0015】
図3は、この発明における3次元空間内での観測のジオメトリを示す図である。図3において、1001は観測対象である目標、1002はこの発明における画像レーダ装置、1003は目標の回転軸、1004は目標上の任意の軸G、1005は目標の主軸、1006は目標の高さ軸、1007は目標の横軸である。
【0016】
図4は、この発明におけるレーダ画像の一例を示す図である。図4において、1001はレーダ画像上の目標像、1005はレーダ画像上の目標の主軸、1006はレーダ画像上の目標の高さ軸、1004はレーダ画像上の目標上の任意の軸G、1007はレーダ画像上の目標の横軸である。
【0017】
次に、図1、図2、図3、図4を用いて本実施の形態の動作を説明する。
画像レーダ装置1002内の送信機1で発生した高周波信号は、送受切換器2を経て送受信アンテナ3から目標1001に向け放射される。目標1001に照射された高周波信号の一部が画像レーダ装置1002の方向に反射し送受信アンテナ3、送受切換器2を経て受信機4で増幅・検波される。
【0018】
次に、レーダ画像生成手段5では、受信機4で増幅・検波された受信信号に対してパルス圧縮等の処理を適用してレンジ方向の信号の圧縮、言い換えると、レンジ分解能を向上させる処理を、各受信信号ごとに繰り返す。
こうしてレンジ分解能を向上させる処理が施され、蓄積された受信信号は、目標1001と画像レーダ装置1002の間の相対運動の影響による受信信号の歪みを必要に応じて補償(動き補償)された後に、各レンジセルごとにフーリエ変換される。
【0019】
これにより、各レンジセルごとに、受信信号のドップラー周波数分布が得られる。このようにして得られた受信信号のドップラー周波数分布では、画像レーダ装置1002と、目標1001上の各点の間の相対運動が異なる反射点を異なるドップラー周波数に分離して得ることができる。
結果として、レンジに直交するクロスレンジ方向の分解能を向上させることができることから、この処理をクロスレンジ圧縮と呼ぶ。
以上のようにレンジ、および、クロスレンジ方向に分解能が向上された受信信号の2次元分布を、ここではレーダ画像という。レーダ画像を得る一般的なレーダ装置としては、合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar: SAR)や逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Radar: ISAR)が挙げられる。
【0020】
全軸傾斜計測手段6では、従来技術同様にレーダ画像にエッジ抽出、周波数成分の分析、オペレータによる目視等を適用してレーダ画像上の主軸1005と高さ軸1006の像を抽出する。そして、後述するそれぞれの軸の傾きを得る。ここで、主軸の傾きをax、高さ軸の傾きをazと表す。
ここでレーダ画像上の軸の傾きは、図4中の任意の軸G1004にagとして示すように、レンジ正方向に1m進む間にドップラー周波数正方向に進む周波数量[Hz]として定義する。単位は[Hz/m]である。
【0021】
全軸方向推定手段7では、内部に含まれる目標追尾手段10において目標1001の追尾を行い、目標1001の位置ベクトルと速度ベクトルを推定する。この結果に基づいて、目標1001を基準とした、画像レーダ装置1002から目標1001に向かう方向の単位ベクトル(以下ではレンジ軸ベクトル)iir、目標の速度ベクトル方向の単位ベクトル(以下では主軸方向単位ベクトル)iixを得る。なお、この発明では、以下、ベクトルを全て列ベクトルとして取り扱う。
【0022】
次に、主軸方向推定手段11では、目標の主軸方向の単位ベクトルを得る。具体的には、前述の主軸方向単位ベクトルiixと一致するとみなす。
【0023】
次に、高さ軸方向推定手段12では、目標の高さ軸方向の単位ベクトルを得る。具体的には、鉛直上方向の単位ベクトルiizと一致するとみなす。
全軸方向推定手段7では、これらレンジ軸ベクトルiir、主軸方向単位ベクトルiix, 鉛直上方向単位ベクトルiizを出力する。
【0024】
次に、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8は、クロスレンジ軸ベクトルを推定する。クロスレンジ軸ベクトルをUUと表す。
クロスレンジ軸ベクトルUUは、レンジ軸ベクトルiirおよび図3に示す目標の回転運動を表す回転角速度ベクトルuu、および送信高周波信号の波長λを用いて次式(1)のように表せる。
【0025】
【数1】
【0026】
式(1)に基づくと、次式(2)が一般的に成立する。
【0027】
【数2】
【0028】
次に、目標上の一般的な任意の軸G1004に着目する。
図3に示す軸G1004の3次元空間内の方向ベクトルを示す単位ベクトルをiigで表すと、一般的に次式(3)が成立する。
【0029】
【数3】
【0030】
2つ以上の軸について式(3)の関係を得ることができれば、式(2)と合わせてクロスレンジ軸ベクトルUUを推定できる。
本実施の形態では、2つ以上の軸として主軸と高さ軸についての情報を利用する。
全軸傾斜計測手段6では、レーダ画像上での主軸の傾きax、および高さ軸の傾きazを得、全軸方向推定手段7では、主軸方向の単位ベクトルiix, および、高さ軸方向の単位ベクトルiizを得た。これらを用いて、次式(4)の関係式が得られる。
【0031】
【数4】
【0032】
ただし、Aは3行3列の行列であり、次式(5)で与えられる。また、BBは3行1列の列ベクトルであり、後記の式(6)で与えられる。
【0033】
【数5】
【0034】
ここで右肩のTは転置を表す。
【0035】
【数6】
【0036】
よって、クロスレンジ軸ベクトルUUは次式(7)のように求められる。
【0037】
【数7】
【0038】
ここにAの右肩の-1はAの逆行列を計算することを表す。
また、Aが正方行列ではない場合への拡張を考慮して、次式(8)で求めるように構成しても構わない。
【0039】
【数8】
【0040】
以上によりクロスレンジ軸ベクトルUUが得られる。
【0041】
以上で述べた通り、本実施の形態1では、クロスレンジ軸ベクトルの推定の際に観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要としない。従って、特許文献1の「観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合、または、観測目標の種類が分からない場合には、クロスレンジ軸ベクトルの推定ができない」という問題は回避できる利点がある。
【0042】
また、以上で述べた通り、クロスレンジ軸は一意に定まるので、特許文献1の「クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まらず、各候補目標ごとに得られてしまう」という問題は回避できる利点がある。
【0043】
さらに、以上で述べた通り、クロスレンジ軸は一意に定まるので、特許文献1の「各候補目標ごとでも、場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られてしまうことがある」という問題は回避できる利点がある。
【0044】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2における全軸方向推定手段7の構成図である。図において、
13は、目標の形状・姿勢を特徴づける横軸の3次元空間内での向きを推定する横軸方向推定手段である。
これ以外の構成要素は図2と同様であり、説明を省く。
【0045】
次に、図1、図3、図4、図5を用いて、本実施の形態の動作を説明する。
本実施の画像レーダ装置1002の構成図は、図1における全軸方向推定手段7の構成が、図2に示す実施の形態1と比較し、図5に示す構成に変わっている。
また、後述するように、上記全軸方向推定手段7の構成の変更に対応して、全軸傾斜計測手段6とクロスレンジ軸ベクトル推定手段8の動作が変わっている。
これら以外の構成要素の動作は実施の形態1と同様である。
【0046】
全軸方向推定手段7では、目標追尾手段10で目標追尾を行い、主軸方向推定手段11で主軸方向単位ベクトルiixを推定し、高さ軸方向推定手段12で高さ軸方向単位ベクトルiizを推定した後に、横軸方向推定手段13で目標の横軸方向の単位ベクトルiiyを推定する。具体的には、次式(9)により横軸方向単位ベクトルiiyを得る。
【0047】
【数9】
【0048】
これに対応して、全軸傾斜計測手段6では、従来技術同様にレーダ画像にエッジ抽出、周波数成分の分析、オペレータによる目視等を適用してレーダ画像上の主軸1005と高さ軸1006と横軸1007の像を抽出する。そして、それぞれの軸の傾きを得る。ここで、主軸の傾きをax、高さ軸の傾きをaz、横軸の傾きをayと表す。
【0049】
クロスレンジ軸ベクトル推定手段8では、次式(10)の4行3列の行列Aを得る。
【0050】
【数10】
【0051】
また、次式(11)の4行1列の列ベクトルBBを得る。
【0052】
【数11】
【0053】
そして、Aが正方行列ではないことを踏まえ、式(10)および式(11)の結果を用い、式(8)によりクロスレンジ軸ベクトルUUを得る。
【0054】
本実施の形態の構成をとることにより、実施の形態1の効果に加えて、新たに横軸についての情報を用いるので、クロスレンジ軸ベクトルの推定に用いる情報量が増えた効果で推定精度が向上することが期待される。
なお、実施の形態1では、主軸と高さ軸、実施の形態2では、主軸と高さ軸と横軸の情報を用いてクロスレンジ軸ベクトルを推定したが、これ以外の軸を用いても、軸が2本以上あれば同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0055】
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3による画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、20はレーダ画像のドップラー周波数軸をクロスレンジ軸に変換するクロスレンジスケーリング手段である。
これ以外の構成要素は図1と同様である。
【0056】
図7は、クロスレンジスケーリングの処理内容を説明する図であり、(a)はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像を示す画面であり、(b)はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像を示す画面である。図において、1020はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像、1021はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像、1022はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像、1023はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像である。
【0057】
次に、本実施の形態の処理内容について説明する。
本実施の形態におけるクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1、または、実施の形態2と同様である。
【0058】
クロスレンジスケーリング手段20では、レーダ画像のドップラー周波数軸をクロスレンジ軸に変換する。
具体的には、例えば、クロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像1022上のある点と他のある点のドップラー周波数差がΔF[Hz]だったとすると、これをクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023上では、クロスレンジ差が、ΔF/||UU|| [m]になるようにドップラー周波数軸のスケーリングを変換する。
また、別の言い方で言うと、元のレーダ画像のドップラー周波数方向の1画素分のドップラー周波数がdf[Hz]であった場合に、これをdf/||UU|| [m]とみなす。
【0059】
これにより、レンジとクロスレンジのスケールを合わせて表示できるようになり、
図7(a)のクロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像1022のように歪んでいた目標像は、同図(b)のクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023のように歪まないように表示できる。
【0060】
以上により、実施の形態1、2と同様の効果を得れる他、レーダ画像の歪みがとれて視認性が高まると共に、レーダ画像上の各反射点間のドップラー周波数差をクロスレンジ方向の物理的な長さに変換できるという新たな効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、30は、所望のクロスレンジ軸ベクトルの方向を外から与えるための所望クロスレンジ軸角度入力手段、31は、所望クロスレンジ軸角度入力手段30と目標追尾手段10の出力から所望のクロスレンジ軸ベクトルの方向を表す単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段、32は、クロスレンジ軸ベクトルの方向についての所望値と、実際の方向との間の類似の度合いに対する閾値を設定する所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段、33は、クロスレンジ軸ベクトルの方向についての所望値と、所望クロスレンジ軸方向算出手段31で算出された実際の方向の間の類似の度合いが、所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段32で設定された閾値以上なら合格、閾値未満なら不合格と判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段、34は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33の結果が合格ならレーダ画像生成手段5から入力された画像を採用して後段のクロスレンジスケーリング手段20に送り、クロスレンジ軸方向合否判定手段33の結果が不合格ならレーダ画像生成手段5から入力された画像を採用せずに後段のクロスレンジスケーリング手段20に送らないという処理を行う画像採用決定手段である。その他のブロックは図1または図6と同様である。
【0062】
図9は、実施の形態4の画像レーダ装置の処理内容を説明するための図である。
【0063】
次に、図8、図9を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1や実施の形態2と同様である。
【0064】
図9において、iirはレンジ軸方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルである。クロスレンジ軸方向は、このレンジ軸ベクトルiirに直交する方向である。
ここで、所望のクロスレンジ軸方向を定義するために、レンジ軸ベクトルiirに直交し、かつ、互いに直交する2種類の単位ベクトルiisとiitを導入する。
まず、一方の単位ベクトルiisを次式(12)で表す。
【0065】
【数12】
【0066】
ここに、iizは鉛直上方向の単位ベクトルである。
つぎに、他方の単位ベクトルiitを次式(13)のように得る。
【0067】
【数13】
【0068】
クロスレンジ軸ベクトルUUについての所望の方向を表す単位ベクトルiiokを、2種類の単位ベクトルiis,iitを含む平面内で、一方の単位ベクトルiis方向から他方の単位ベクトルiit方向に向かって計った角度η[rad]を用いて次式(14)で表す。
【0069】
【数14】
【0070】
所望クロスレンジ軸角度入力手段30では、オペレータや他の装置の出力等により、上記角度ηを設定する。例えば、水平面内にクロスレンジ軸を配置したい場合には、η=0[rad]とし、レーダ画像の投影面と鉛直方向の軸iizを平行に配置したい場合には、η=π/2 [rad]とする。
【0071】
次に、所望クロスレンジ軸方向算出手段31では、目標追尾手段10の結果に基づいてレンジ軸ベクトルiirを算出し、式(12)(13)に基づいて導入する2種類の単位ベクトルiisとiitを算出する。さらに、所望クロスレンジ軸角度入力手段30で設定された角度ηに基づいて式(14)により、クロスレンジ軸ベクトルについての所望の方向を表す単位ベクトルiiokを計算する。
【0072】
所望クロスレンジ軸判定閾値入力手段32では、オペレータや他の装置の出力などにより、クロスレンジ軸ベクトルの所望方向表示単位ベクトルiiokとクロスレンジ軸ベクトルUUの間の方向の類似の度合いについての閾値Thuを設定する。この閾値の値は0≦Thud≦1の値で設定すればよく、この値を1に近くすればする程所望方向表示単位ベクトルiiokとクロスレンジ軸ベクトルUUの方向を類似と判定する範囲が狭くなる。
【0073】
この閾値Thuにより、次のクロスレンジ軸方向合否判定手段33では、クロスレンジ軸ベクトルUUの方向が、前述所望方向表示単位ベクトルiiok方向と類似するかどうかを判定する。具体的には、クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似しているかどうかを次式(15)で判定する。
【0074】
【数15】
【0075】
クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似すると判定された場合は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33はクロスレンジ軸ベクトルUUが所望の方向を向いていると判断し、その結果を画像採用決定手段34に送る。
その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用するものとし、後段の処理に送る。例えば図8の構成では、レーダ画像をクロスレンジスケーリング手段20に送り、 クロスレンジスケーリング手段20では、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8から送られたクロスレンジ軸ベクトルを用いて、実施の形態3で説明した処理によりレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う。
【0076】
クロスレンジ軸方向合否判定手段33で、クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似しないと判定された場合は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33はクロスレンジ軸ベクトルUUが所望の方向を向いていないと判断し、その結果を画像採用決定手段34に送る。その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用しないものとする。
【0077】
以上の処理は、画像が得られるたびに繰り返されるが、所望の投影面(レンジとクロスレンジ軸を含む面)のレーダ画像が得られた場合には終了される。
【0078】
以上で述べた構成をとることで、実施の形態1、2、3と同様の効果が得れる他、目標について所望の投影面のレーダ画像が得られる可能性を高めることができる効果がある。
【0079】
なお、以上の構成においては、クロスレンジスケーリング手段20を含んだ例を示したが、この手段が含まれないような構成も考えられる。
例えば、画像採用決定手段34で画像が採用された場合には、その画像を図8には図示しない画像表示手段で表示したり、同じく同図には図示しないデータベースに蓄積したりするような構成にしても所望の投影面のレーダ画像を表示(または蓄積)できる可能性が高くなるという効果が得られる。
【0080】
実施の形態5.
図10は実施の形態5の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
40は、レーダ画像のクロスレンジ分解能の所望値を与える所望クロスレンジ分解能入力手段、41は、レーダ画像のクロスレンジ分解能を算出するクロスレンジ分解能判定手段である。
これ以外のブロックは、図1、図6および図8に示したものと同様である。
【0081】
次に、図10を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1や実施の形態2と同様である。
【0082】
所望クロスレンジ分解能入力手段40では、クロスレンジ方向の所望の分解能Tdc[m]をオペレータや別の装置の出力等により設定する。クロスレンジ分解能判定手段41では、ドップラー周波数の分解能をdf[Hz]として、次式(16)によりクロスレンジ軸ベクトル推定手段8で得られたクロスレンジ軸ベクトルUUのクロスレンジ分解能dc[m]を算出する。
【0083】
【数16】
【0084】
そして、次式(17)によりクロスレンジ分解能が所望クロスレンジ分解能入力手段40で設定された所望の値を満足するかどうか判定する。
【0085】
【数17】
【0086】
クロスレンジ分解能判定手段41は、この結果を画像採用決定手段34に送る。
【0087】
クロスレンジ分解能が所望の値を満足した場合には、その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用するものとし、後段の処理に送る。例えば図10の構成では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像をクロスレンジスケーリング20に送り、クロスレンジスケーリング手段20では、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8から送られたクロスレンジ軸ベクトルを用いて、実施の形態3で説明した処理によりレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う。
【0088】
クロスレンジ分解能が所望の値を満足しない場合には、その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用しないものとする。
【0089】
以上の処理は、画像が得られるたびに繰り返されるが、所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像が得られた場合に終了される。
【0090】
以上で述べた構成をとることで、実施の形態1、2、3と同様の効果が得れる他、目標について所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像が得られる可能性を高めることができる利点がある。
【0091】
なお、以上の構成においては、クロスレンジスケーリング手段20を含んだ例を示したが、この手段が含まれないような構成も考えられる。
例えば、画像採用決定手段34でレーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像が採用された場合には、その画像を図10に図示しない画像表示手段で表示したり、同じく同図に図示しないデータベースに蓄積したりするような構成にしても所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像を表示(または蓄積)できる可能性が高くなるという効果が得られる。
【0092】
実施の形態6.
図11は実施の形態6の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
51は、レーダ画像上で、所望の位置間の長さを測る所望長計測手段である。その他のブロックは図8と同様である。
【0093】
図12は実施の形態6の処理内容を説明するための図であり、1021はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像、1023はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像で図7(b)と同様である。
【0094】
次に、図11、図12を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジスケーリング手段20でクロスレンジスケーリングするまでの処理は実施の形態4と同様である。
【0095】
実施の形態4と同様の処理を行うことで、クロスレンジ軸ベクトルUUは、所望クロスレンジ軸角度入力手段30で設定された方向を向いている。言い換えると、目標上の電波の反射強度分布はレンジ軸と所望のクロスレンジ軸で定まる投影面に投影されている。かつ、クロスレンジスケーリング手段20の効果によりレーダ画像のドップラー周波数軸もクロスレンジ軸に変更されている。したがって、オペレータはレーダ画像上で任意の位置の間の距離を測定できる。
【0096】
例えば、図12は、投影面と鉛直方向の軸が平行になる場合のレーダ画像の例である。これは、式(14)において、η=π/2 [rad]と設定した場合に相当する。
【0097】
投影面と鉛直方向の軸が平行になるので、この図のクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023から、観測目標の高さを図に示すように計測することができる。
図中の矢印の両端の座標を(レンジ,クロスレンジ)=(r1,c1), と (r2,c2)とすると(単位はm)、クロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023の高さDは次式(18)で得られる。
【0098】
【数18】
【0099】
ここでは、高さを計測する例を説明したが、クロスレンジ軸ベクトルUUの方向を適切に設定することで、他の方向、例えば幅や長さ、ある構成物間の長さ等様々な長さを計測することが可能である。
所望長計測手段51では、以上のように、観測目標の所望の長さを計測する。
【0100】
本実施の形態の構成をとることにより、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4と同様の効果を得れる他、レーダ画像上で観測目標についての所望の位置間の長さを計測できるという効果がある。
【0101】
実施の形態7.
図13は、実施の形態7の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、60はクロスレンジ軸に平行なドップラー周波数軸と、レンジ軸を含む投影面を決定する投影面決定手段、61は様々な目標についての3次元形状データを蓄積する候補目標形状データベース、62は上記候補目標形状データベース61からの3次元形状データを上記投影面に投影する候補目標形状データ投影手段、63はレーダ画像生成手段5で得られた観測目標についてのレーダ画像と上記候補目標形状データ投影手段62で生成された各候補目標について入力された複数の画像を重ねたり並べたりして比較しやすいように表示する画像比較表示手段である。
【0102】
次に、図13を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0103】
投影面決定手段60では、レンジ軸ベクトルiirとクロスレンジ軸ベクトルUUを含む平面として、投影面を決定する。そして、これを候補目標形状データ投影手段62に送る。
なお、ここでは、投影面の一軸はレンジ、もう一軸はドップラー周波数として説明する。
【0104】
候補目標形状データベース61では様々な目標についての3次元形状データを蓄積している。 候補目標形状データ投影手段62では候補目標形状データベース61に蓄積された一つ以上の候補目標の形状データを上記投影面決定手段60から送信された投影面に投影する。
【0105】
想定した候補目標の形状データが点の集合で表される場合を例に内容を説明する。
目標形状を構成する第j点の位置ベクトルをRRjとすると、その点の上記投影面上の座標(レンジpj、ドップラー周波数qj)を次式(19)および式(20)で計算する。
【0106】
【数19】
【0107】
【数20】
【0108】
各jにつき上記式(19)(20)で投影面上の座標を決めてやれば、その位置に点を投影することができる。これを、各候補目標について繰り返すことで、各候補目標についての投影像を得ることができる。
【0109】
なお、形状が点と、点の間を結ぶ線で定義された場合や、点と線と、線で囲まれた面で定義されている場合でも、点を投影した後に、投影面上で、上記の間を結ぶ線を描いてやったり、この線で囲まれた面を塗りつぶしたりすることで、形状を投影面に投影することができることは言うまでもない。
【0110】
そして、画像比較表示手段63では、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標についてのレーダ画像と上記候補目標形状データ投影手段62で生成された各候補目標についての投影像を比較しやすいように、並べたり、重ねたり、その他比較しやすいように表示する。
【0111】
オペレータにとっては、画像比較表示手段63の表示結果により、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になる。
【0112】
以上の構成をとることにより、実施の形態1〜6の効果が得られる他、上記のように、オペレータが観測目標と、どの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になるという効果がある。
【0113】
なお、実施の形態4では、クロスレンジ軸ベクトルが所望の方向に合致する場合のみにレーダ画像を出力する処理について述べた。
また、実施の形態5では、クロスレンジ分解能がある所望の値を満足する場合のみにレーダ画像を出力する処理について述べた。
【0114】
本実施の形態において、画像比較手段63で表示した画像に基づいてオペレータが、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断する際に、クロスレンジ軸ベクトルがどの方向に向いている場合に上記判断がしやすくなるか、または、クロスレンジ分解能がどの程度あれば上記判断がしやすいかという事前の知識がある場合には、このような条件のもとでのみ画像比較表示手段63で画像を比較するようにすれば効率が良い。本実施の形態では特に図示しないが、この効果を得ようと思えば、実施の形態4や実施の形態5を参考にして構成を変更すれば良い。
【0115】
具体的には、所望クロスレンジ軸角度入力手段30、所望クロスレンジ軸方向算出手段31、所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段32、クロスレンジ軸方向合否判定手段33、所望クロスレンジ分解能入力手段40、クロスレンジ分解能判定手段41等のブロックを適切な位置に挿入すればよい。
【0116】
実施の形態8.
図14は、実施の形態8の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、66は目標についての3次元形状データを、クロスレンジスケーリングされた投影面に投影する候補目標形状データクロスレンジ投影手段、67は入力されたクロスレンジスケーリング後の複数の画像を重ねて表示したり並べて表示したりする、スケーリング画像比較表示手段である。
【0117】
次に、図14を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
本実施の形態では、実施の形態7と処理内容や目的が類似するが、クロスレンジスケーリング後のレーダ画像を用いる部分が異なる。
【0118】
送信機1で高周波信号を発生させてから投影面決定手段60で投影面を決定するまでの処理は、実施の形態7と同様である。
また、クロスレンジスケーリング手段20で、レーダ画像のクロスレンジスケーリングを行うのは実施の形態3と同様である。
【0119】
ここでは、投影面の一軸はレンジ、もう一軸はクロスレンジとして説明する。
候補目標形状データベース61では、実施の形態7同様、様々な目標についての3次元形状データを蓄積している。
【0120】
候補目標形状データクロスレンジ投影手段66では、候補目標形状データベース61から3次元形状データを取り込み、一つ以上の候補目標の形状データを上記投影面決定手段60から送られる投影面に投影する。
【0121】
想定した候補目標の形状データが点の集合で表される場合を例に内容を説明する。
目標形状を構成する第j点の位置ベクトルをRRjとすると、その点の上記投影面上の座標(レンジpj、クロスレンジcj)を次に述べる方法で計算する。
まず、pjは、前記式(19)により算出する。
次にcjは、次式(21)により算出する。
【0122】
【数21】
【0123】
各jにつき式(19)(21)で投影面上の座標を決めてやれば、その位置に点を投影することができる。これを、各候補目標について繰り返すことで、各候補目標についての投影像を得ることができる。
【0124】
なお、形状が点と、点の間を結ぶ線で定義された場合や、点と線と、線で囲まれた面で定義されている場合でも、点を投影した後に、投影面上で、上記の間を結ぶ線を描いてやったり、この線で囲まれた面を塗りつぶしたりすることで、形状を投影面に投影することができることは言うまでもない。
【0125】
そして、スケーリング画像比較表示手段67では、レーダ画像生成手段5で生成され、クロスレンジスケーリング手段20でクロスレンジスケーリングされたレーダ画像と、上記候補目標形状データクロスレンジ投影手段66で生成された各候補目標についての投影像を比較しやすいように、並べたり、重ねたり、その他比較しやすいように表示する。
オペレータにとっては、スケーリング画像比較表示手段67の表示結果により、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になる。
【0126】
以上の構成をとることにより、実施の形態7の効果が得られる他、スケーリング画像比較表示手段67でクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と投影像を表示するので、オペレータの視認性が高まり、どの候補目標が類似しているか等を判断する精度が向上するという効果がある。
【0127】
実施の形態9.
図15は、実施の形態9の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
70は、目標の3次元形状データ、目標とレーダの位置と姿勢の関係、レーダ緒元に基づいて、電磁界理論計算を行い、目標上の反射強度分布を推定する電磁界理論手段、71は、電磁界理論手段70で候補目標について計算した、目標上の反射強度分布を投影面に投影する候補目標反射強度分布投影手段である。
【0128】
次に、図15を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてから投影面決定手段60で投影面を決定するまでの処理は、実施の形態7と同様である。
【0129】
電磁界理論手段70は、特許文献1記載のRCS算出手段510と同等の機能を有する手段であり、候補目標形状データベース61に蓄積された候補目標の3次元形状データと目標追尾手段10で得られた目標を基準とした画像レーダ装置の方向、また、送信波長等のレーダ緒元に基づいて、候補目標が仮に観測目標位置に存在した場合の、候補目標上の電波の反射強度分布を得る(特許文献1ではRCS(Radar Cross Section)という表現をされているが、類似の概念である。)。
【0130】
電磁界理論計算の具体的な方法としては、色々なものが考えられるが、例えば、特許文献1に記載の通り幾何光学回折理論(GTD: Geometrical Theory of Diffraction)などが一般的である。
これにより、電磁界理論手段70では、各候補目標の3次元形状上の反射強度分布を得る。
【0131】
候補目標反射強度分布投影手段71では、電磁界理論手段70で得られた候補目標上の反射強度分布、言い換えると目標上の各反射点を投影面、すなわちレンジとドップラー周波数を軸とする平面に強度込みで投影する。
ここで、各反射点の投影位置は、式(19)(20)に示した通りである。
【0132】
画像比較表示手段63では、候補目標反射強度分布投影手段71で得られた各候補目標についての反射強度分布の投影像を、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標のレーダ画像と比較しやすいように表示する。
【0133】
レーダ画像は目標上の反射強度分布を画像化したものであり、目標の形状等はある程度分かるものの、一般的には、目で見た感じとは大きく異なっていることが多い。従って、実施の形態7などで実施したような、3次元形状のそのままの投影像とは、例え観測目標と候補目標の種類が一致していてもあまり似ていないことも有り得る。
【0134】
これに対して、本実施の形態の候補目標反射強度分布投影手段71で得られた各候補目標についての反射強度分布の投影像は、目標上の電波の反射強度分布が候補目標の投影像に反映されていることから、よりレーダ画像に近い画像になっていると期待される。従って、オペレータが画像比較表示手段63に表示された観測目標のレーダ画像と候補目標の投影像を見比べた場合も、実施の形態7や8の場合に比べてさらに、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断する精度が向上することが期待される。
【0135】
以上で述べた本実施の形態の処理をすることにより、実施の形態1〜7で得られる効果が得られるのみならず、候補目標の投影像として、観測目標のレーダ画像と同様に、候補目標上の電波の反射強度分布を反映させたものを用いるので、オペレータが、観測目標とどの候補目標が類似しているかを判断する際の精度が向上すると期待される。
【0136】
なお、本実施の形態では、投影面として、レンジとドップラー周波数を軸とするものを想定して、その処理内容を説明したが、実施の形態7に対する実施の形態8の関係のように、レンジとクロスレンジを軸とする投影面(言い換えると、観測目標のレーダ画像はクロスレンジスケーリングされている)を考えても同様の効果が得られることは言うまでもない。したがって、上記に加えて、実施の形態8と同様の効果を得ることもできる。
【0137】
実施の形態10.
図16は、実施の形態10の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、80は2枚の画像の類似の度合いを調べて数値化するパターンマッチング手段である。
【0138】
次に、図16を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
実施の形態9の構成を示す図15と本実施の形態の構成を示す図16を比較すると、画像比較表示手段63がパターンマッチング手段80に変わっている部分のみが異なっている。よって、本実施の形態の処理内容のうちのパターンマッチング手段80以外の処理は、実施の形態9における、画像比較表示手段63を除いた処理と同様である。
【0139】
パターンマッチング手段80では、2枚の画像の類似の度合いを調べる一般的なパターンマッチング処理により、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標のレーダ画像と、各候補目標の反射強度分布についての投影像の類似の度合いを計算する。
そして、その計算結果を出力する。また、類似の度合いが一番高かった候補目標の種類を、観測目標の識別結果として出力しても構わない。
【0140】
以上の処理を行うことにより実施の形態1〜9の効果が得られるのみならず、パターンマッチング処理により計算された類似の度合や識別結果を参考にできるのでオペレータが観測目標と一致する候補目標を判断する精度が向上したり、オペレータを介さない自動的な識別が実現できるという効果がある。
【0141】
なお、本実施の形態では、投影面として、レンジとドップラー周波数を軸とするものを想定して、その処理内容を説明したが、実施の形態7に対する実施の形態8の関係のように、レンジとクロスレンジを軸とする投影面(言い換えると、観測目標のレーダ画像はクロスレンジスケーリングされている)を考えても同様の効果が得られることは言うまでもない。したがって、上記に加えて、実施の形態8と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
この発明はレーダ画像により観測対象の目標を認識・識別し、さらには観測対象の目標の任意の点の長さを計測する画像レーダ装置に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0143】
1;高周波信号を発生する送信機、2;送受切換器、3;送受信アンテナ、4;受信機、5;レーダ画像生成手段、6;全軸傾斜計測手段、7;全軸方向推定手段、8;クロスレンジ軸ベクトル推定手段、10;目標追尾手段、11;主軸方向推定手段、12;高さ軸方向推定手段、13;横軸方向推定手段、20;クロスレンジスケーリング手段、30;所望クロスレンジ軸角度入力手段、31;所望クロスレンジ軸方向算出手段、32;所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段、33;クロスレンジ軸方向合否判定手段、34;画像採用決定手段、40;所望クロスレンジ分解能入力手段、41;クロスレンジ分解能判定手段、51;所望長計測手段、60;投影面決定手段、61;候補目標形状データベース、62;候補目標形状データ投影手段、63;画像比較表示手段、66;候補目標形状データクロスレンジ投影手段、67;スケーリング画像比較表示手段、70;電磁界理論手段、71;候補目標反射強度分布投影手段、80;パターンマッチング手段。
【技術分野】
【0001】
この発明はレーダで観測対象の電波画像を取得する画像レーダ装置に関し、特にレーダ画像の表示やクロスレンジスケーリング及びレーダ画像を用いた目標の大きさの計測並びにレーダ画像を用いた目標の認識・識別などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像レーダ装置は、送信機で発生された高周波信号が送受切換器、送受信アンテナを介して目標に照射され、目標により散乱された高周波信号を、送受信アンテナ、送受切換器を介して受信機で受信した後にレンジ方向の分解能を向上させるレンジ圧縮、レンジに直交するクロスレンジ方向の分解能を向上させるクロスレンジ圧縮を行ってレーダ画像(例えば、逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Radar: ISAR)画像)を生成する。
【0003】
さらに、目標上の前後方向の軸である主軸の3次元空間内での向きを目標の追尾により推定する。また、レーダ画像上での主軸のレンジ方向に対する傾きを得る。
そして、上記3次元空間内での主軸の前後方向と上記レーダ画像上での主軸のレンジ方向に対する傾きの関係から、レーダ画像のクロスレンジを決定するクロスレンジ軸ベクトルに制約を加える。さらに、レーダ画像から目標のドップラー周波数幅を得る。
【0004】
また、予め格納された各候補目標の形状データに基づいて、各候補目標について様々な方向に設定したクロスレンジ方向の実寸法であるクロスレンジ長についての特性(クロスレンジ長特性)を得る。
【0005】
そして、上記レーダ画像上の目標のドップラー幅と、クロスレンジ軸に関する制約条件と、候補目標のクロスレンジ長特性から、候補目標ごとにクロスレンジ軸ベクトルひいてはレーダ画像の投影面の候補を決定していた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3668928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される従来の画像レーダ装置は、クロスレンジ軸ベクトルの推定に候補目標の形状を必要とするため、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合や、観測目標の種類が分からない場合には、クロスレンジ軸ベクトルの推定ができない問題があった。
【0008】
また、クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まらず、各候補目標ごとに得られてしまうという問題があった。さらに、各候補目標ごとでも、場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られてしまうことがあるという問題があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、クロスレンジ軸ベクトルの推定を行う際に、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要とせず、かつ、クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まること、また、こうして得られたクロスレンジ軸ベクトルに基づいてレーダ画像のクロスレンジスケーリングや、長さの計測、目標の認識・識別を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る画像レーダ装置は、レンジ圧縮によりレンジ方向の分解能を向上させ、さらに目標の回転あるいは移動により生じるドップラー効果を利用したクロスレンジ圧縮によりクロスレンジ方向の分解能を向上させることにより目標の画像を得る画像レーダ装置であって、
送信機で生成されて、目標に照射され目標で反射された高周波信号を受信し、増幅・検波する受信機と、
受信機で増幅・検波された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理してレーダ画像を生成するレーダ画像生成手段と、
レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像上の目標像における夫々の軸の傾きを算出する全軸傾斜計測手段と、
受信機からの高周波信号を基に画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを得る全軸方向推定手段と、
全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きを入力しクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段を具備する。
を具備する。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る画像レーダ装置によれば、受信された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理して生成されたレーダ画像上の目標像における主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像における夫々の軸の傾きを全軸傾斜計測手段で算出し、 画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを全軸方向推定手段で得て、全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きからクロスレンジ軸ベクトルを推定するので、クロスレンジ軸ベクトルの推定の際に観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要とせず、観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合や、観測目標の種類が分からない場合でもクロスレンジ軸ベクトルの推定ができる利点がある。
また、クロスレンジ軸は一意に定まるので、各候補目標ごとに得られてしまうことも回避でき、さらに各候補目標ごとでも場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られる問題をも回避できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による画像レーダ装置の構成図である。
【図2】実施の形態1における全軸方向推定手段の構成図である。
【図3】この発明における3次元空間内での観測のジオメトリを示す図である。
【図4】この発明におけるレーダ画像の一例を示す図である。
【図5】実施の形態2における全軸方向推定手段の構成図である。
【図6】実施の形態3による画像レーダ装置の構成図である。
【図7】クロスレンジスケーリングの処理内容説明用の図である。
【図8】実施の形態4の画像レーダ装置の構成を示す図である。
【図9】実施の形態4の画像レーダ装置の処理内容説明用の図である。
【図10】実施の形態5の画像レーダ装置の構成図である。
【図11】実施の形態6の画像レーダ装置の構成図である。
【図12】実施の形態6の処理内容説明用の図である。
【図13】実施の形態7の画像レーダ装置の構成図である。
【図14】実施の形態8の画像レーダ装置の構成図である。
【図15】実施の形態9の画像レーダ装置の構成図である。
【図16】実施の形態10の画像レーダ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による画像レーダ装置の構成を示す図である。図1において、
1は高周波信号を発生する送信機、2は送信時と受信時で信号の流れる方向を切り換える送受切換器、3は目標に向けて電波を照射し、また、目標からの散乱電波を受ける送受信アンテナ、4は受信信号を増幅・検波する受信機、5は受信機4の受信信号から、目標上の反射強度分布に関するレンジ、およびクロスレンジ方向共に高分解能化されたレーダ画像(ISAR画像等)を生成するレーダ画像生成手段、6はレーダ画像生成手段5からのレーダ画像を入力し、主軸と高さ方向の軸(以下高さ軸)や横方向の軸(以下横軸)、またはその他指定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸のレーダ画像上の目標像における傾きを推定する全軸傾斜計測手段、7は受信機4の受信信号から主軸と高さ軸という、目標の形状・姿勢を特徴づける軸の3次元空間内での向きを推定する全軸方向推定手段、8は、全軸傾斜計測手段6で推定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸のレーダ画像上の目標像における傾きと、全軸方向推定手段7で推定された目標の形状・姿勢を特徴づける軸の3次元空間内での向きとから、レーダ画像のクロスレンジ軸の方向と大きさ(実際の長さとドップラー周波数差の間の関係を表す)の情報を含むクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段である。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1における前述の全軸方向推定手段7の構成を示す図である。図2において、10は目標の進行方向、位置、速度、加速度等の運動特性を推定する目標追尾手段、11は目標の形状・姿勢を特徴づける主軸の3次元空間内での向きを推定する主軸方向推定手段、12は目標の形状・姿勢を特徴づける高さ軸の3次元空間内での向きを推定する高さ軸方向推定手段である。
【0015】
図3は、この発明における3次元空間内での観測のジオメトリを示す図である。図3において、1001は観測対象である目標、1002はこの発明における画像レーダ装置、1003は目標の回転軸、1004は目標上の任意の軸G、1005は目標の主軸、1006は目標の高さ軸、1007は目標の横軸である。
【0016】
図4は、この発明におけるレーダ画像の一例を示す図である。図4において、1001はレーダ画像上の目標像、1005はレーダ画像上の目標の主軸、1006はレーダ画像上の目標の高さ軸、1004はレーダ画像上の目標上の任意の軸G、1007はレーダ画像上の目標の横軸である。
【0017】
次に、図1、図2、図3、図4を用いて本実施の形態の動作を説明する。
画像レーダ装置1002内の送信機1で発生した高周波信号は、送受切換器2を経て送受信アンテナ3から目標1001に向け放射される。目標1001に照射された高周波信号の一部が画像レーダ装置1002の方向に反射し送受信アンテナ3、送受切換器2を経て受信機4で増幅・検波される。
【0018】
次に、レーダ画像生成手段5では、受信機4で増幅・検波された受信信号に対してパルス圧縮等の処理を適用してレンジ方向の信号の圧縮、言い換えると、レンジ分解能を向上させる処理を、各受信信号ごとに繰り返す。
こうしてレンジ分解能を向上させる処理が施され、蓄積された受信信号は、目標1001と画像レーダ装置1002の間の相対運動の影響による受信信号の歪みを必要に応じて補償(動き補償)された後に、各レンジセルごとにフーリエ変換される。
【0019】
これにより、各レンジセルごとに、受信信号のドップラー周波数分布が得られる。このようにして得られた受信信号のドップラー周波数分布では、画像レーダ装置1002と、目標1001上の各点の間の相対運動が異なる反射点を異なるドップラー周波数に分離して得ることができる。
結果として、レンジに直交するクロスレンジ方向の分解能を向上させることができることから、この処理をクロスレンジ圧縮と呼ぶ。
以上のようにレンジ、および、クロスレンジ方向に分解能が向上された受信信号の2次元分布を、ここではレーダ画像という。レーダ画像を得る一般的なレーダ装置としては、合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar: SAR)や逆合成開口レーダ(Inverse Synthetic Aperture Radar: ISAR)が挙げられる。
【0020】
全軸傾斜計測手段6では、従来技術同様にレーダ画像にエッジ抽出、周波数成分の分析、オペレータによる目視等を適用してレーダ画像上の主軸1005と高さ軸1006の像を抽出する。そして、後述するそれぞれの軸の傾きを得る。ここで、主軸の傾きをax、高さ軸の傾きをazと表す。
ここでレーダ画像上の軸の傾きは、図4中の任意の軸G1004にagとして示すように、レンジ正方向に1m進む間にドップラー周波数正方向に進む周波数量[Hz]として定義する。単位は[Hz/m]である。
【0021】
全軸方向推定手段7では、内部に含まれる目標追尾手段10において目標1001の追尾を行い、目標1001の位置ベクトルと速度ベクトルを推定する。この結果に基づいて、目標1001を基準とした、画像レーダ装置1002から目標1001に向かう方向の単位ベクトル(以下ではレンジ軸ベクトル)iir、目標の速度ベクトル方向の単位ベクトル(以下では主軸方向単位ベクトル)iixを得る。なお、この発明では、以下、ベクトルを全て列ベクトルとして取り扱う。
【0022】
次に、主軸方向推定手段11では、目標の主軸方向の単位ベクトルを得る。具体的には、前述の主軸方向単位ベクトルiixと一致するとみなす。
【0023】
次に、高さ軸方向推定手段12では、目標の高さ軸方向の単位ベクトルを得る。具体的には、鉛直上方向の単位ベクトルiizと一致するとみなす。
全軸方向推定手段7では、これらレンジ軸ベクトルiir、主軸方向単位ベクトルiix, 鉛直上方向単位ベクトルiizを出力する。
【0024】
次に、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8は、クロスレンジ軸ベクトルを推定する。クロスレンジ軸ベクトルをUUと表す。
クロスレンジ軸ベクトルUUは、レンジ軸ベクトルiirおよび図3に示す目標の回転運動を表す回転角速度ベクトルuu、および送信高周波信号の波長λを用いて次式(1)のように表せる。
【0025】
【数1】
【0026】
式(1)に基づくと、次式(2)が一般的に成立する。
【0027】
【数2】
【0028】
次に、目標上の一般的な任意の軸G1004に着目する。
図3に示す軸G1004の3次元空間内の方向ベクトルを示す単位ベクトルをiigで表すと、一般的に次式(3)が成立する。
【0029】
【数3】
【0030】
2つ以上の軸について式(3)の関係を得ることができれば、式(2)と合わせてクロスレンジ軸ベクトルUUを推定できる。
本実施の形態では、2つ以上の軸として主軸と高さ軸についての情報を利用する。
全軸傾斜計測手段6では、レーダ画像上での主軸の傾きax、および高さ軸の傾きazを得、全軸方向推定手段7では、主軸方向の単位ベクトルiix, および、高さ軸方向の単位ベクトルiizを得た。これらを用いて、次式(4)の関係式が得られる。
【0031】
【数4】
【0032】
ただし、Aは3行3列の行列であり、次式(5)で与えられる。また、BBは3行1列の列ベクトルであり、後記の式(6)で与えられる。
【0033】
【数5】
【0034】
ここで右肩のTは転置を表す。
【0035】
【数6】
【0036】
よって、クロスレンジ軸ベクトルUUは次式(7)のように求められる。
【0037】
【数7】
【0038】
ここにAの右肩の-1はAの逆行列を計算することを表す。
また、Aが正方行列ではない場合への拡張を考慮して、次式(8)で求めるように構成しても構わない。
【0039】
【数8】
【0040】
以上によりクロスレンジ軸ベクトルUUが得られる。
【0041】
以上で述べた通り、本実施の形態1では、クロスレンジ軸ベクトルの推定の際に観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを必要としない。従って、特許文献1の「観測目標と一致する候補目標の3次元形状データを予め用意できない場合、または、観測目標の種類が分からない場合には、クロスレンジ軸ベクトルの推定ができない」という問題は回避できる利点がある。
【0042】
また、以上で述べた通り、クロスレンジ軸は一意に定まるので、特許文献1の「クロスレンジ軸ベクトルが一意に定まらず、各候補目標ごとに得られてしまう」という問題は回避できる利点がある。
【0043】
さらに、以上で述べた通り、クロスレンジ軸は一意に定まるので、特許文献1の「各候補目標ごとでも、場合によっては、2種類以上のクロスレンジ軸ベクトルが得られてしまうことがある」という問題は回避できる利点がある。
【0044】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2における全軸方向推定手段7の構成図である。図において、
13は、目標の形状・姿勢を特徴づける横軸の3次元空間内での向きを推定する横軸方向推定手段である。
これ以外の構成要素は図2と同様であり、説明を省く。
【0045】
次に、図1、図3、図4、図5を用いて、本実施の形態の動作を説明する。
本実施の画像レーダ装置1002の構成図は、図1における全軸方向推定手段7の構成が、図2に示す実施の形態1と比較し、図5に示す構成に変わっている。
また、後述するように、上記全軸方向推定手段7の構成の変更に対応して、全軸傾斜計測手段6とクロスレンジ軸ベクトル推定手段8の動作が変わっている。
これら以外の構成要素の動作は実施の形態1と同様である。
【0046】
全軸方向推定手段7では、目標追尾手段10で目標追尾を行い、主軸方向推定手段11で主軸方向単位ベクトルiixを推定し、高さ軸方向推定手段12で高さ軸方向単位ベクトルiizを推定した後に、横軸方向推定手段13で目標の横軸方向の単位ベクトルiiyを推定する。具体的には、次式(9)により横軸方向単位ベクトルiiyを得る。
【0047】
【数9】
【0048】
これに対応して、全軸傾斜計測手段6では、従来技術同様にレーダ画像にエッジ抽出、周波数成分の分析、オペレータによる目視等を適用してレーダ画像上の主軸1005と高さ軸1006と横軸1007の像を抽出する。そして、それぞれの軸の傾きを得る。ここで、主軸の傾きをax、高さ軸の傾きをaz、横軸の傾きをayと表す。
【0049】
クロスレンジ軸ベクトル推定手段8では、次式(10)の4行3列の行列Aを得る。
【0050】
【数10】
【0051】
また、次式(11)の4行1列の列ベクトルBBを得る。
【0052】
【数11】
【0053】
そして、Aが正方行列ではないことを踏まえ、式(10)および式(11)の結果を用い、式(8)によりクロスレンジ軸ベクトルUUを得る。
【0054】
本実施の形態の構成をとることにより、実施の形態1の効果に加えて、新たに横軸についての情報を用いるので、クロスレンジ軸ベクトルの推定に用いる情報量が増えた効果で推定精度が向上することが期待される。
なお、実施の形態1では、主軸と高さ軸、実施の形態2では、主軸と高さ軸と横軸の情報を用いてクロスレンジ軸ベクトルを推定したが、これ以外の軸を用いても、軸が2本以上あれば同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0055】
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3による画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、20はレーダ画像のドップラー周波数軸をクロスレンジ軸に変換するクロスレンジスケーリング手段である。
これ以外の構成要素は図1と同様である。
【0056】
図7は、クロスレンジスケーリングの処理内容を説明する図であり、(a)はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像を示す画面であり、(b)はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像を示す画面である。図において、1020はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像、1021はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像、1022はクロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像、1023はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像である。
【0057】
次に、本実施の形態の処理内容について説明する。
本実施の形態におけるクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1、または、実施の形態2と同様である。
【0058】
クロスレンジスケーリング手段20では、レーダ画像のドップラー周波数軸をクロスレンジ軸に変換する。
具体的には、例えば、クロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像1022上のある点と他のある点のドップラー周波数差がΔF[Hz]だったとすると、これをクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023上では、クロスレンジ差が、ΔF/||UU|| [m]になるようにドップラー周波数軸のスケーリングを変換する。
また、別の言い方で言うと、元のレーダ画像のドップラー周波数方向の1画素分のドップラー周波数がdf[Hz]であった場合に、これをdf/||UU|| [m]とみなす。
【0059】
これにより、レンジとクロスレンジのスケールを合わせて表示できるようになり、
図7(a)のクロスレンジスケーリング前のレーダ画像1020上の目標像1022のように歪んでいた目標像は、同図(b)のクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023のように歪まないように表示できる。
【0060】
以上により、実施の形態1、2と同様の効果を得れる他、レーダ画像の歪みがとれて視認性が高まると共に、レーダ画像上の各反射点間のドップラー周波数差をクロスレンジ方向の物理的な長さに変換できるという新たな効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、30は、所望のクロスレンジ軸ベクトルの方向を外から与えるための所望クロスレンジ軸角度入力手段、31は、所望クロスレンジ軸角度入力手段30と目標追尾手段10の出力から所望のクロスレンジ軸ベクトルの方向を表す単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段、32は、クロスレンジ軸ベクトルの方向についての所望値と、実際の方向との間の類似の度合いに対する閾値を設定する所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段、33は、クロスレンジ軸ベクトルの方向についての所望値と、所望クロスレンジ軸方向算出手段31で算出された実際の方向の間の類似の度合いが、所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段32で設定された閾値以上なら合格、閾値未満なら不合格と判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段、34は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33の結果が合格ならレーダ画像生成手段5から入力された画像を採用して後段のクロスレンジスケーリング手段20に送り、クロスレンジ軸方向合否判定手段33の結果が不合格ならレーダ画像生成手段5から入力された画像を採用せずに後段のクロスレンジスケーリング手段20に送らないという処理を行う画像採用決定手段である。その他のブロックは図1または図6と同様である。
【0062】
図9は、実施の形態4の画像レーダ装置の処理内容を説明するための図である。
【0063】
次に、図8、図9を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1や実施の形態2と同様である。
【0064】
図9において、iirはレンジ軸方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルである。クロスレンジ軸方向は、このレンジ軸ベクトルiirに直交する方向である。
ここで、所望のクロスレンジ軸方向を定義するために、レンジ軸ベクトルiirに直交し、かつ、互いに直交する2種類の単位ベクトルiisとiitを導入する。
まず、一方の単位ベクトルiisを次式(12)で表す。
【0065】
【数12】
【0066】
ここに、iizは鉛直上方向の単位ベクトルである。
つぎに、他方の単位ベクトルiitを次式(13)のように得る。
【0067】
【数13】
【0068】
クロスレンジ軸ベクトルUUについての所望の方向を表す単位ベクトルiiokを、2種類の単位ベクトルiis,iitを含む平面内で、一方の単位ベクトルiis方向から他方の単位ベクトルiit方向に向かって計った角度η[rad]を用いて次式(14)で表す。
【0069】
【数14】
【0070】
所望クロスレンジ軸角度入力手段30では、オペレータや他の装置の出力等により、上記角度ηを設定する。例えば、水平面内にクロスレンジ軸を配置したい場合には、η=0[rad]とし、レーダ画像の投影面と鉛直方向の軸iizを平行に配置したい場合には、η=π/2 [rad]とする。
【0071】
次に、所望クロスレンジ軸方向算出手段31では、目標追尾手段10の結果に基づいてレンジ軸ベクトルiirを算出し、式(12)(13)に基づいて導入する2種類の単位ベクトルiisとiitを算出する。さらに、所望クロスレンジ軸角度入力手段30で設定された角度ηに基づいて式(14)により、クロスレンジ軸ベクトルについての所望の方向を表す単位ベクトルiiokを計算する。
【0072】
所望クロスレンジ軸判定閾値入力手段32では、オペレータや他の装置の出力などにより、クロスレンジ軸ベクトルの所望方向表示単位ベクトルiiokとクロスレンジ軸ベクトルUUの間の方向の類似の度合いについての閾値Thuを設定する。この閾値の値は0≦Thud≦1の値で設定すればよく、この値を1に近くすればする程所望方向表示単位ベクトルiiokとクロスレンジ軸ベクトルUUの方向を類似と判定する範囲が狭くなる。
【0073】
この閾値Thuにより、次のクロスレンジ軸方向合否判定手段33では、クロスレンジ軸ベクトルUUの方向が、前述所望方向表示単位ベクトルiiok方向と類似するかどうかを判定する。具体的には、クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似しているかどうかを次式(15)で判定する。
【0074】
【数15】
【0075】
クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似すると判定された場合は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33はクロスレンジ軸ベクトルUUが所望の方向を向いていると判断し、その結果を画像採用決定手段34に送る。
その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用するものとし、後段の処理に送る。例えば図8の構成では、レーダ画像をクロスレンジスケーリング手段20に送り、 クロスレンジスケーリング手段20では、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8から送られたクロスレンジ軸ベクトルを用いて、実施の形態3で説明した処理によりレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う。
【0076】
クロスレンジ軸方向合否判定手段33で、クロスレンジ軸ベクトルUUと所望方向表示単位ベクトルiiokの方向が類似しないと判定された場合は、クロスレンジ軸方向合否判定手段33はクロスレンジ軸ベクトルUUが所望の方向を向いていないと判断し、その結果を画像採用決定手段34に送る。その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用しないものとする。
【0077】
以上の処理は、画像が得られるたびに繰り返されるが、所望の投影面(レンジとクロスレンジ軸を含む面)のレーダ画像が得られた場合には終了される。
【0078】
以上で述べた構成をとることで、実施の形態1、2、3と同様の効果が得れる他、目標について所望の投影面のレーダ画像が得られる可能性を高めることができる効果がある。
【0079】
なお、以上の構成においては、クロスレンジスケーリング手段20を含んだ例を示したが、この手段が含まれないような構成も考えられる。
例えば、画像採用決定手段34で画像が採用された場合には、その画像を図8には図示しない画像表示手段で表示したり、同じく同図には図示しないデータベースに蓄積したりするような構成にしても所望の投影面のレーダ画像を表示(または蓄積)できる可能性が高くなるという効果が得られる。
【0080】
実施の形態5.
図10は実施の形態5の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
40は、レーダ画像のクロスレンジ分解能の所望値を与える所望クロスレンジ分解能入力手段、41は、レーダ画像のクロスレンジ分解能を算出するクロスレンジ分解能判定手段である。
これ以外のブロックは、図1、図6および図8に示したものと同様である。
【0081】
次に、図10を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1や実施の形態2と同様である。
【0082】
所望クロスレンジ分解能入力手段40では、クロスレンジ方向の所望の分解能Tdc[m]をオペレータや別の装置の出力等により設定する。クロスレンジ分解能判定手段41では、ドップラー周波数の分解能をdf[Hz]として、次式(16)によりクロスレンジ軸ベクトル推定手段8で得られたクロスレンジ軸ベクトルUUのクロスレンジ分解能dc[m]を算出する。
【0083】
【数16】
【0084】
そして、次式(17)によりクロスレンジ分解能が所望クロスレンジ分解能入力手段40で設定された所望の値を満足するかどうか判定する。
【0085】
【数17】
【0086】
クロスレンジ分解能判定手段41は、この結果を画像採用決定手段34に送る。
【0087】
クロスレンジ分解能が所望の値を満足した場合には、その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用するものとし、後段の処理に送る。例えば図10の構成では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像をクロスレンジスケーリング20に送り、クロスレンジスケーリング手段20では、クロスレンジ軸ベクトル推定手段8から送られたクロスレンジ軸ベクトルを用いて、実施の形態3で説明した処理によりレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う。
【0088】
クロスレンジ分解能が所望の値を満足しない場合には、その後、画像採用決定手段34では、レーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像を採用しないものとする。
【0089】
以上の処理は、画像が得られるたびに繰り返されるが、所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像が得られた場合に終了される。
【0090】
以上で述べた構成をとることで、実施の形態1、2、3と同様の効果が得れる他、目標について所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像が得られる可能性を高めることができる利点がある。
【0091】
なお、以上の構成においては、クロスレンジスケーリング手段20を含んだ例を示したが、この手段が含まれないような構成も考えられる。
例えば、画像採用決定手段34でレーダ画像生成手段5で生成されたレーダ画像が採用された場合には、その画像を図10に図示しない画像表示手段で表示したり、同じく同図に図示しないデータベースに蓄積したりするような構成にしても所望のクロスレンジ分解能のレーダ画像を表示(または蓄積)できる可能性が高くなるという効果が得られる。
【0092】
実施の形態6.
図11は実施の形態6の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
51は、レーダ画像上で、所望の位置間の長さを測る所望長計測手段である。その他のブロックは図8と同様である。
【0093】
図12は実施の形態6の処理内容を説明するための図であり、1021はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像、1023はクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像で図7(b)と同様である。
【0094】
次に、図11、図12を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジスケーリング手段20でクロスレンジスケーリングするまでの処理は実施の形態4と同様である。
【0095】
実施の形態4と同様の処理を行うことで、クロスレンジ軸ベクトルUUは、所望クロスレンジ軸角度入力手段30で設定された方向を向いている。言い換えると、目標上の電波の反射強度分布はレンジ軸と所望のクロスレンジ軸で定まる投影面に投影されている。かつ、クロスレンジスケーリング手段20の効果によりレーダ画像のドップラー周波数軸もクロスレンジ軸に変更されている。したがって、オペレータはレーダ画像上で任意の位置の間の距離を測定できる。
【0096】
例えば、図12は、投影面と鉛直方向の軸が平行になる場合のレーダ画像の例である。これは、式(14)において、η=π/2 [rad]と設定した場合に相当する。
【0097】
投影面と鉛直方向の軸が平行になるので、この図のクロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023から、観測目標の高さを図に示すように計測することができる。
図中の矢印の両端の座標を(レンジ,クロスレンジ)=(r1,c1), と (r2,c2)とすると(単位はm)、クロスレンジスケーリング後のレーダ画像1021上の目標像1023の高さDは次式(18)で得られる。
【0098】
【数18】
【0099】
ここでは、高さを計測する例を説明したが、クロスレンジ軸ベクトルUUの方向を適切に設定することで、他の方向、例えば幅や長さ、ある構成物間の長さ等様々な長さを計測することが可能である。
所望長計測手段51では、以上のように、観測目標の所望の長さを計測する。
【0100】
本実施の形態の構成をとることにより、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4と同様の効果を得れる他、レーダ画像上で観測目標についての所望の位置間の長さを計測できるという効果がある。
【0101】
実施の形態7.
図13は、実施の形態7の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、60はクロスレンジ軸に平行なドップラー周波数軸と、レンジ軸を含む投影面を決定する投影面決定手段、61は様々な目標についての3次元形状データを蓄積する候補目標形状データベース、62は上記候補目標形状データベース61からの3次元形状データを上記投影面に投影する候補目標形状データ投影手段、63はレーダ画像生成手段5で得られた観測目標についてのレーダ画像と上記候補目標形状データ投影手段62で生成された各候補目標について入力された複数の画像を重ねたり並べたりして比較しやすいように表示する画像比較表示手段である。
【0102】
次に、図13を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてからクロスレンジ軸ベクトル推定手段8でクロスレンジ軸ベクトルUUを得るまでの処理は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0103】
投影面決定手段60では、レンジ軸ベクトルiirとクロスレンジ軸ベクトルUUを含む平面として、投影面を決定する。そして、これを候補目標形状データ投影手段62に送る。
なお、ここでは、投影面の一軸はレンジ、もう一軸はドップラー周波数として説明する。
【0104】
候補目標形状データベース61では様々な目標についての3次元形状データを蓄積している。 候補目標形状データ投影手段62では候補目標形状データベース61に蓄積された一つ以上の候補目標の形状データを上記投影面決定手段60から送信された投影面に投影する。
【0105】
想定した候補目標の形状データが点の集合で表される場合を例に内容を説明する。
目標形状を構成する第j点の位置ベクトルをRRjとすると、その点の上記投影面上の座標(レンジpj、ドップラー周波数qj)を次式(19)および式(20)で計算する。
【0106】
【数19】
【0107】
【数20】
【0108】
各jにつき上記式(19)(20)で投影面上の座標を決めてやれば、その位置に点を投影することができる。これを、各候補目標について繰り返すことで、各候補目標についての投影像を得ることができる。
【0109】
なお、形状が点と、点の間を結ぶ線で定義された場合や、点と線と、線で囲まれた面で定義されている場合でも、点を投影した後に、投影面上で、上記の間を結ぶ線を描いてやったり、この線で囲まれた面を塗りつぶしたりすることで、形状を投影面に投影することができることは言うまでもない。
【0110】
そして、画像比較表示手段63では、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標についてのレーダ画像と上記候補目標形状データ投影手段62で生成された各候補目標についての投影像を比較しやすいように、並べたり、重ねたり、その他比較しやすいように表示する。
【0111】
オペレータにとっては、画像比較表示手段63の表示結果により、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になる。
【0112】
以上の構成をとることにより、実施の形態1〜6の効果が得られる他、上記のように、オペレータが観測目標と、どの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になるという効果がある。
【0113】
なお、実施の形態4では、クロスレンジ軸ベクトルが所望の方向に合致する場合のみにレーダ画像を出力する処理について述べた。
また、実施の形態5では、クロスレンジ分解能がある所望の値を満足する場合のみにレーダ画像を出力する処理について述べた。
【0114】
本実施の形態において、画像比較手段63で表示した画像に基づいてオペレータが、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断する際に、クロスレンジ軸ベクトルがどの方向に向いている場合に上記判断がしやすくなるか、または、クロスレンジ分解能がどの程度あれば上記判断がしやすいかという事前の知識がある場合には、このような条件のもとでのみ画像比較表示手段63で画像を比較するようにすれば効率が良い。本実施の形態では特に図示しないが、この効果を得ようと思えば、実施の形態4や実施の形態5を参考にして構成を変更すれば良い。
【0115】
具体的には、所望クロスレンジ軸角度入力手段30、所望クロスレンジ軸方向算出手段31、所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段32、クロスレンジ軸方向合否判定手段33、所望クロスレンジ分解能入力手段40、クロスレンジ分解能判定手段41等のブロックを適切な位置に挿入すればよい。
【0116】
実施の形態8.
図14は、実施の形態8の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、66は目標についての3次元形状データを、クロスレンジスケーリングされた投影面に投影する候補目標形状データクロスレンジ投影手段、67は入力されたクロスレンジスケーリング後の複数の画像を重ねて表示したり並べて表示したりする、スケーリング画像比較表示手段である。
【0117】
次に、図14を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
本実施の形態では、実施の形態7と処理内容や目的が類似するが、クロスレンジスケーリング後のレーダ画像を用いる部分が異なる。
【0118】
送信機1で高周波信号を発生させてから投影面決定手段60で投影面を決定するまでの処理は、実施の形態7と同様である。
また、クロスレンジスケーリング手段20で、レーダ画像のクロスレンジスケーリングを行うのは実施の形態3と同様である。
【0119】
ここでは、投影面の一軸はレンジ、もう一軸はクロスレンジとして説明する。
候補目標形状データベース61では、実施の形態7同様、様々な目標についての3次元形状データを蓄積している。
【0120】
候補目標形状データクロスレンジ投影手段66では、候補目標形状データベース61から3次元形状データを取り込み、一つ以上の候補目標の形状データを上記投影面決定手段60から送られる投影面に投影する。
【0121】
想定した候補目標の形状データが点の集合で表される場合を例に内容を説明する。
目標形状を構成する第j点の位置ベクトルをRRjとすると、その点の上記投影面上の座標(レンジpj、クロスレンジcj)を次に述べる方法で計算する。
まず、pjは、前記式(19)により算出する。
次にcjは、次式(21)により算出する。
【0122】
【数21】
【0123】
各jにつき式(19)(21)で投影面上の座標を決めてやれば、その位置に点を投影することができる。これを、各候補目標について繰り返すことで、各候補目標についての投影像を得ることができる。
【0124】
なお、形状が点と、点の間を結ぶ線で定義された場合や、点と線と、線で囲まれた面で定義されている場合でも、点を投影した後に、投影面上で、上記の間を結ぶ線を描いてやったり、この線で囲まれた面を塗りつぶしたりすることで、形状を投影面に投影することができることは言うまでもない。
【0125】
そして、スケーリング画像比較表示手段67では、レーダ画像生成手段5で生成され、クロスレンジスケーリング手段20でクロスレンジスケーリングされたレーダ画像と、上記候補目標形状データクロスレンジ投影手段66で生成された各候補目標についての投影像を比較しやすいように、並べたり、重ねたり、その他比較しやすいように表示する。
オペレータにとっては、スケーリング画像比較表示手段67の表示結果により、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断するのが容易になる。
【0126】
以上の構成をとることにより、実施の形態7の効果が得られる他、スケーリング画像比較表示手段67でクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と投影像を表示するので、オペレータの視認性が高まり、どの候補目標が類似しているか等を判断する精度が向上するという効果がある。
【0127】
実施の形態9.
図15は、実施の形態9の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、
70は、目標の3次元形状データ、目標とレーダの位置と姿勢の関係、レーダ緒元に基づいて、電磁界理論計算を行い、目標上の反射強度分布を推定する電磁界理論手段、71は、電磁界理論手段70で候補目標について計算した、目標上の反射強度分布を投影面に投影する候補目標反射強度分布投影手段である。
【0128】
次に、図15を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。
送信機1で高周波信号を発生させてから投影面決定手段60で投影面を決定するまでの処理は、実施の形態7と同様である。
【0129】
電磁界理論手段70は、特許文献1記載のRCS算出手段510と同等の機能を有する手段であり、候補目標形状データベース61に蓄積された候補目標の3次元形状データと目標追尾手段10で得られた目標を基準とした画像レーダ装置の方向、また、送信波長等のレーダ緒元に基づいて、候補目標が仮に観測目標位置に存在した場合の、候補目標上の電波の反射強度分布を得る(特許文献1ではRCS(Radar Cross Section)という表現をされているが、類似の概念である。)。
【0130】
電磁界理論計算の具体的な方法としては、色々なものが考えられるが、例えば、特許文献1に記載の通り幾何光学回折理論(GTD: Geometrical Theory of Diffraction)などが一般的である。
これにより、電磁界理論手段70では、各候補目標の3次元形状上の反射強度分布を得る。
【0131】
候補目標反射強度分布投影手段71では、電磁界理論手段70で得られた候補目標上の反射強度分布、言い換えると目標上の各反射点を投影面、すなわちレンジとドップラー周波数を軸とする平面に強度込みで投影する。
ここで、各反射点の投影位置は、式(19)(20)に示した通りである。
【0132】
画像比較表示手段63では、候補目標反射強度分布投影手段71で得られた各候補目標についての反射強度分布の投影像を、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標のレーダ画像と比較しやすいように表示する。
【0133】
レーダ画像は目標上の反射強度分布を画像化したものであり、目標の形状等はある程度分かるものの、一般的には、目で見た感じとは大きく異なっていることが多い。従って、実施の形態7などで実施したような、3次元形状のそのままの投影像とは、例え観測目標と候補目標の種類が一致していてもあまり似ていないことも有り得る。
【0134】
これに対して、本実施の形態の候補目標反射強度分布投影手段71で得られた各候補目標についての反射強度分布の投影像は、目標上の電波の反射強度分布が候補目標の投影像に反映されていることから、よりレーダ画像に近い画像になっていると期待される。従って、オペレータが画像比較表示手段63に表示された観測目標のレーダ画像と候補目標の投影像を見比べた場合も、実施の形態7や8の場合に比べてさらに、観測目標とどの候補目標が類似しているか等を判断する精度が向上することが期待される。
【0135】
以上で述べた本実施の形態の処理をすることにより、実施の形態1〜7で得られる効果が得られるのみならず、候補目標の投影像として、観測目標のレーダ画像と同様に、候補目標上の電波の反射強度分布を反映させたものを用いるので、オペレータが、観測目標とどの候補目標が類似しているかを判断する際の精度が向上すると期待される。
【0136】
なお、本実施の形態では、投影面として、レンジとドップラー周波数を軸とするものを想定して、その処理内容を説明したが、実施の形態7に対する実施の形態8の関係のように、レンジとクロスレンジを軸とする投影面(言い換えると、観測目標のレーダ画像はクロスレンジスケーリングされている)を考えても同様の効果が得られることは言うまでもない。したがって、上記に加えて、実施の形態8と同様の効果を得ることもできる。
【0137】
実施の形態10.
図16は、実施の形態10の画像レーダ装置の構成を示す図である。図において、80は2枚の画像の類似の度合いを調べて数値化するパターンマッチング手段である。
【0138】
次に、図16を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。
実施の形態9の構成を示す図15と本実施の形態の構成を示す図16を比較すると、画像比較表示手段63がパターンマッチング手段80に変わっている部分のみが異なっている。よって、本実施の形態の処理内容のうちのパターンマッチング手段80以外の処理は、実施の形態9における、画像比較表示手段63を除いた処理と同様である。
【0139】
パターンマッチング手段80では、2枚の画像の類似の度合いを調べる一般的なパターンマッチング処理により、レーダ画像生成手段5で得られた観測目標のレーダ画像と、各候補目標の反射強度分布についての投影像の類似の度合いを計算する。
そして、その計算結果を出力する。また、類似の度合いが一番高かった候補目標の種類を、観測目標の識別結果として出力しても構わない。
【0140】
以上の処理を行うことにより実施の形態1〜9の効果が得られるのみならず、パターンマッチング処理により計算された類似の度合や識別結果を参考にできるのでオペレータが観測目標と一致する候補目標を判断する精度が向上したり、オペレータを介さない自動的な識別が実現できるという効果がある。
【0141】
なお、本実施の形態では、投影面として、レンジとドップラー周波数を軸とするものを想定して、その処理内容を説明したが、実施の形態7に対する実施の形態8の関係のように、レンジとクロスレンジを軸とする投影面(言い換えると、観測目標のレーダ画像はクロスレンジスケーリングされている)を考えても同様の効果が得られることは言うまでもない。したがって、上記に加えて、実施の形態8と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
この発明はレーダ画像により観測対象の目標を認識・識別し、さらには観測対象の目標の任意の点の長さを計測する画像レーダ装置に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0143】
1;高周波信号を発生する送信機、2;送受切換器、3;送受信アンテナ、4;受信機、5;レーダ画像生成手段、6;全軸傾斜計測手段、7;全軸方向推定手段、8;クロスレンジ軸ベクトル推定手段、10;目標追尾手段、11;主軸方向推定手段、12;高さ軸方向推定手段、13;横軸方向推定手段、20;クロスレンジスケーリング手段、30;所望クロスレンジ軸角度入力手段、31;所望クロスレンジ軸方向算出手段、32;所望クロスレンジ幅判定閾値入力手段、33;クロスレンジ軸方向合否判定手段、34;画像採用決定手段、40;所望クロスレンジ分解能入力手段、41;クロスレンジ分解能判定手段、51;所望長計測手段、60;投影面決定手段、61;候補目標形状データベース、62;候補目標形状データ投影手段、63;画像比較表示手段、66;候補目標形状データクロスレンジ投影手段、67;スケーリング画像比較表示手段、70;電磁界理論手段、71;候補目標反射強度分布投影手段、80;パターンマッチング手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジ圧縮によりレンジ方向の分解能を向上させ、さらに目標の回転あるいは移動により生じるドップラー効果を利用したクロスレンジ圧縮によりクロスレンジ方向の分解能を向上させることにより目標の画像を得る画像レーダ装置であって、
送信機で生成されて、目標に照射され目標で反射された高周波信号を受信し、増幅・検波する受信機と、
受信機で増幅・検波された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理してレーダ画像を生成するレーダ画像生成手段と、
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像上の目標像における夫々の軸の傾きを算出する全軸傾斜計測手段と、
前記受信機からの高周波信号を基に画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを得る全軸方向推定手段と、
前記全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、前記全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きを入力しクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段を具備することを特徴とする画像レーダ装置。
【請求項2】
前記全軸方向推定手段は、
目標を追尾し、少なくとも目標の進行方向、位置、速度の運動特性を推定する目標追尾手段と、
目標の形状・姿勢を特徴づける主軸の3次元空間内での向きを推定する主軸方向推定手段と、
目標の形状・姿勢を特徴づける高さ軸の3次元空間内での向きを推定する高さ軸方向推定手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
【請求項3】
前記全軸方向推定手段は、
さらに、目標の形状・姿勢を特徴づける横軸の3次元空間内での向きを推定する横軸方向推定手段を具備することを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
【請求項4】
前記主軸方向推定手段は、
目標追尾手段で得られる目標の進行方向を主軸の3次元空間内での向きとする構成にされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項5】
前記高さ軸方向推定手段は、鉛直上方を高さ軸方向として推定する構成にされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項6】
前記横軸方向推定手段は、主軸方向推定手段で得られた主軸方向に平行なベクトルと、高さ軸方向推定手段で得られた高さ軸方向に平行なベクトルの両者ベクトルに垂直な方向のベクトルに平行な方向を横軸方向とする構成にされたことを特徴とする請求項3〜請求項5の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項7】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルが直交する関係、及び、目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、レンジ軸ベクトル間の関係から得られる目標上の2軸以上の軸に関する各々の関係に基づき、クロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
【請求項8】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルとの直交関係、並びに目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その任意軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、及び、その任意軸のレーダ画像上での軌跡の向きとレンジ軸ベクトルの間の関連に基づき、目標上の主軸と高さ軸の関係を得、この目標上の主軸と高さ軸の関連からクロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
【請求項9】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルが直交する関係、及び、目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、レンジ軸ベクトルの間の関係に基づき、目標上の主軸、高さ軸、横軸の関係を得て、クロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項10】
前記レーダ画像生成手段で生成された一軸がレンジ、他の軸がドップラー周波数の2次元レーダ画像における、ドップラー周波数軸の一画素の周波数幅を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算し、ドップラー周波数を物理的長さであるクロスレンジに換算するレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行うクロスレンジスケーリング手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項11】
クロスレンジ軸の所望の方向を、前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる情報に基づいて算出されるレンジ軸に直交する平面上で互いに直交する軸を定義した上で、これらの軸を基準とした角度の方向として設定し、その方向の単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段と、
クロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルを算出して、この単位ベクトルと、前記所望クロスレンジ軸方向算出手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの方向としての所望値である単位ベクトルの内積の絶対値を算出し、その値が事前に設定した類似の度合いに関する閾値以上であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定し、前記閾値未満であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段と、
前記クロスレンジ軸方向合否判定手段でクロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用して後段の処理に送り、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用せず後段の処理に送らない画像採用決定手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項10の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項12】
クロスレンジ分解能の所望値を設定する所望クロスレンジ分解能入力手段と、
レーダ緒元より定まるレーダ画像のドップラー分解能を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算してクロスレンジ分解能を算出し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能の所望値以下であれば、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していると判定し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能の所望値より大きければ、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していないと判定するクロスレンジ分解能判定手段と、
前記クロスレンジ分解能判定手段でクロスレンジ分解能が所望の値を満足していると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ分解能が所望の値を満足していない場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段とを具備することを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項13】
前記画像採用決定手段からレーダ画像が送られた場合に、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさに基づいてレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う前記クロスレンジスケーリング手段は前記画像採用決定手段の後段に配置・具備されたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像レーダ装置。
【請求項14】
前記クロスレンジスケーリング手段で得られたクロスレンジスケーリング後の画像上で、任意の点の間の長さをレンジの差の二乗とクロスレンジの差の二乗の和の平方根として求める所望長計測手段を具備することを特徴とする請求項10〜請求項13の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項15】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記候補目標形状データベースに蓄積された目標の3次元形状上の各点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積でその点のレンジ位置を算出し、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積でその点のドップラー周波数位置を算出して前記投影面に各候補目標の3次元形状を投影する候補目標形状データ投影手段と、
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項14の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項16】
所望のクロスレンジ軸の方向を、前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる情報に基づいて算出されるレンジ軸に直交する平面上で互いに直交する軸を定義した上で、これらの軸を基準とした角度の方向として設定し、その方向の単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段と、
クロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルを算出して、この単位ベクトルと、前記所望クロスレンジ軸方向算出手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの方向としての所望値である単位ベクトルの内積の絶対値を算出し、その値が事前に設定した類似の度合いに関する閾値以上であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定し、前記閾値未満の値であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段と、
前記クロスレンジ軸方向合否判定手段でクロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段を備え、
前記画像比較表示手段は前記画像採用決定手段から出力されたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する構成にされたとことを特徴とする請求項15記載の画像レーダ装置。
【請求項17】
クロスレンジ分解能に関する所望値を設定する所望クロスレンジ分解能入力手段と、
レーダ緒元より定まるレーダ画像のドップラー分解能を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算してクロスレンジ分解能を算出し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能に関する所望値以下であれば、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していると判定し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能に関する所望値より大きければ、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していないと判定するクロスレンジ分解能判定手段と、
前記クロスレンジ分解能判定手段でクロスレンジ分解能が所望の値を満足していると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ分解能が所望の値を満足していない場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段を備え、
前記画像比較表示手段は、前記画像採用決定手段から出力されたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する構成にされたことを請求項15記載の画像レーダ装置。
【請求項18】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がクロスレンジ軸である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記候補目標形状データベースに蓄積された目標の3次元形状上の各点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積でその点のレンジ位置を算出し、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルの内積でその点のクロスレンジ位置を算出して前記投影面に各候補目標の3次元形状を投影する候補目標形状データクロスレンジ投影手段と、
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項14の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項19】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記目標追尾手段により得られる目標を基準としたレーダの方向、レーダ緒元及び候補目標形状データベースに蓄積された1種類以上の候補目標の3次元形状に電磁界理論を適用して、前記候補目標形状上の電波の反射強度分布を計算する電磁界理論手段と、
前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の電波の反射強度分布に基づいて、各反射点の反射強度値をその反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積で定まるレンジ位置及び、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積で定まるドップラー周波数位置に投影して、反射強度分布についての投影像を生成する候補目標反射強度分布投影手段と
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段で得られた各候補目標の反射強度分布の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項15の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項20】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記目標追尾手段により得られる目標を基準としたレーダの方向、レーダ緒元及び候補目標形状データベースに蓄積された1種類以上の候補目標の3次元形状に電磁界理論を適用して、前記候補目標形状上の電波の反射強度分布を計算する電磁界理論手段と、
前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の電波の反射強度分布に基づいて、各反射点の反射強度値をその反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積で定まるレンジ位置及び、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積で定まるドップラー周波数位置に投影して、反射強度分布についての投影像を生成する候補目標反射強度分布投影手段と、
入力された2枚の画像間の類似の度合いをパターンマッチング処理により算出して数値化するパターンマッチング手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項15の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項21】
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像を、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさを用いてクロスレンジスケーリングするクロスレンジスケーリング手段を備え、
前記候補目標反射強度分布投影手段は、前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の反射強度分布について、各反射点の反射強度を、反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積により定まるレンジ及び前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルとの内積により定まり、クロスレンジスケーリング手段によりドップラー周波数がクロスレンジスケーリングされたクロスレンジ位置に投影してクロスレンジスケーリングされた各候補目標の反射強度分布の投影像を生成する構成にされ、
前記画像比較表示手段は、前記クロスレンジスケーリング手段の出力であるクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段の出力であるクロスレンジスケーリング後の候補目標の電波の反射強度分布の投影像を比較してスケーリング表示する構成にされたことを特徴とする請求項19記載の画像レーダ装置。
【請求項22】
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像を、クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさを用いてクロスレンジスケーリングするクロスレンジスケーリング手段を備え、
前記候補目標反射強度分布投影手段は、前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の反射強度分布について、各反射点の反射強度を反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積により定まるレンジ及び前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルとの内積により定まり、前記クロスレンジスケーリング手段によりドップラー周波数がクロスレンジスケーリングされたクロスレンジ位置に投影してクロスレンジスケーリングされた各候補目標の反射強度分布の投影像を生成する構成にされ、
前記パターンマッチング手段は、前記クロスレンジスケーリング手段の出力であるクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段の出力であるクロスレンジスケーリング後の候補目標の電波の反射強度分布の投影像が入力されたとき、その2枚の画像間の類似の度合いパターンマッチング処理により数値化して算出する構成にされたことを特徴とする請求項20記載の画像レーダ装置。
【請求項1】
レンジ圧縮によりレンジ方向の分解能を向上させ、さらに目標の回転あるいは移動により生じるドップラー効果を利用したクロスレンジ圧縮によりクロスレンジ方向の分解能を向上させることにより目標の画像を得る画像レーダ装置であって、
送信機で生成されて、目標に照射され目標で反射された高周波信号を受信し、増幅・検波する受信機と、
受信機で増幅・検波された高周波信号の目標上の反射強度分布に関するレンジ方向と、クロスレンジ方向を共に高分解能化処理してレーダ画像を生成するレーダ画像生成手段と、
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸のレーダ画像上の目標像における夫々の軸の傾きを算出する全軸傾斜計測手段と、
前記受信機からの高周波信号を基に画像レーダ装置から目標に向かう方向のレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルを得る全軸方向推定手段と、
前記全軸方向推定手段からのレンジ軸単位ベクトルと主軸方向単位ベクトルと目標の高さ軸方向又は/及び目標の横軸方向の単位ベクトルと、前記全軸傾斜計測手段からのレーダ画像上の主軸と高さ軸又は/及び横軸の傾きを入力しクロスレンジ軸ベクトルを推定するクロスレンジ軸ベクトル推定手段を具備することを特徴とする画像レーダ装置。
【請求項2】
前記全軸方向推定手段は、
目標を追尾し、少なくとも目標の進行方向、位置、速度の運動特性を推定する目標追尾手段と、
目標の形状・姿勢を特徴づける主軸の3次元空間内での向きを推定する主軸方向推定手段と、
目標の形状・姿勢を特徴づける高さ軸の3次元空間内での向きを推定する高さ軸方向推定手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
【請求項3】
前記全軸方向推定手段は、
さらに、目標の形状・姿勢を特徴づける横軸の3次元空間内での向きを推定する横軸方向推定手段を具備することを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
【請求項4】
前記主軸方向推定手段は、
目標追尾手段で得られる目標の進行方向を主軸の3次元空間内での向きとする構成にされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項5】
前記高さ軸方向推定手段は、鉛直上方を高さ軸方向として推定する構成にされたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項6】
前記横軸方向推定手段は、主軸方向推定手段で得られた主軸方向に平行なベクトルと、高さ軸方向推定手段で得られた高さ軸方向に平行なベクトルの両者ベクトルに垂直な方向のベクトルに平行な方向を横軸方向とする構成にされたことを特徴とする請求項3〜請求項5の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項7】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルが直交する関係、及び、目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、レンジ軸ベクトル間の関係から得られる目標上の2軸以上の軸に関する各々の関係に基づき、クロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項1記載の画像レーダ装置。
【請求項8】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルとの直交関係、並びに目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その任意軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、及び、その任意軸のレーダ画像上での軌跡の向きとレンジ軸ベクトルの間の関連に基づき、目標上の主軸と高さ軸の関係を得、この目標上の主軸と高さ軸の関連からクロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項2記載の画像レーダ装置。
【請求項9】
前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段は、
画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルが直交する関係、及び、目標上の任意の軸の3次元空間内での方向と、その軸のレーダ画像上での軌跡の向きとクロスレンジ軸ベクトル、レンジ軸ベクトルの間の関係に基づき、目標上の主軸、高さ軸、横軸の関係を得て、クロスレンジ軸ベクトルを推定することを特徴とする請求項3記載の画像レーダ装置。
【請求項10】
前記レーダ画像生成手段で生成された一軸がレンジ、他の軸がドップラー周波数の2次元レーダ画像における、ドップラー周波数軸の一画素の周波数幅を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算し、ドップラー周波数を物理的長さであるクロスレンジに換算するレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行うクロスレンジスケーリング手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項11】
クロスレンジ軸の所望の方向を、前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる情報に基づいて算出されるレンジ軸に直交する平面上で互いに直交する軸を定義した上で、これらの軸を基準とした角度の方向として設定し、その方向の単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段と、
クロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルを算出して、この単位ベクトルと、前記所望クロスレンジ軸方向算出手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの方向としての所望値である単位ベクトルの内積の絶対値を算出し、その値が事前に設定した類似の度合いに関する閾値以上であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定し、前記閾値未満であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段と、
前記クロスレンジ軸方向合否判定手段でクロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用して後段の処理に送り、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用せず後段の処理に送らない画像採用決定手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項10の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項12】
クロスレンジ分解能の所望値を設定する所望クロスレンジ分解能入力手段と、
レーダ緒元より定まるレーダ画像のドップラー分解能を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算してクロスレンジ分解能を算出し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能の所望値以下であれば、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していると判定し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能の所望値より大きければ、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していないと判定するクロスレンジ分解能判定手段と、
前記クロスレンジ分解能判定手段でクロスレンジ分解能が所望の値を満足していると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ分解能が所望の値を満足していない場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段とを具備することを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項13】
前記画像採用決定手段からレーダ画像が送られた場合に、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさに基づいてレーダ画像のクロスレンジスケーリングを行う前記クロスレンジスケーリング手段は前記画像採用決定手段の後段に配置・具備されたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像レーダ装置。
【請求項14】
前記クロスレンジスケーリング手段で得られたクロスレンジスケーリング後の画像上で、任意の点の間の長さをレンジの差の二乗とクロスレンジの差の二乗の和の平方根として求める所望長計測手段を具備することを特徴とする請求項10〜請求項13の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項15】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記候補目標形状データベースに蓄積された目標の3次元形状上の各点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積でその点のレンジ位置を算出し、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積でその点のドップラー周波数位置を算出して前記投影面に各候補目標の3次元形状を投影する候補目標形状データ投影手段と、
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項14の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項16】
所望のクロスレンジ軸の方向を、前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる情報に基づいて算出されるレンジ軸に直交する平面上で互いに直交する軸を定義した上で、これらの軸を基準とした角度の方向として設定し、その方向の単位ベクトルを算出する所望クロスレンジ軸方向算出手段と、
クロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルを算出して、この単位ベクトルと、前記所望クロスレンジ軸方向算出手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの方向としての所望値である単位ベクトルの内積の絶対値を算出し、その値が事前に設定した類似の度合いに関する閾値以上であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定し、前記閾値未満の値であれば、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定するクロスレンジ軸方向合否判定手段と、
前記クロスレンジ軸方向合否判定手段でクロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ軸ベクトルの方向が所望の方向を向いていないと判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段を備え、
前記画像比較表示手段は前記画像採用決定手段から出力されたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する構成にされたとことを特徴とする請求項15記載の画像レーダ装置。
【請求項17】
クロスレンジ分解能に関する所望値を設定する所望クロスレンジ分解能入力手段と、
レーダ緒元より定まるレーダ画像のドップラー分解能を前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさで除算してクロスレンジ分解能を算出し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能に関する所望値以下であれば、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していると判定し、算出されたクロスレンジ分解能が、前記所望クロスレンジ分解能入力手段で設定されたクロスレンジ分解能に関する所望値より大きければ、クロスレンジ分解能は所望の値を満足していないと判定するクロスレンジ分解能判定手段と、
前記クロスレンジ分解能判定手段でクロスレンジ分解能が所望の値を満足していると判定された場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用するとして後段の処理に送り、クロスレンジ分解能が所望の値を満足していない場合には、前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像を採用しないとして後段の処理に送らない処理を行う画像採用決定手段を備え、
前記画像比較表示手段は、前記画像採用決定手段から出力されたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する構成にされたことを請求項15記載の画像レーダ装置。
【請求項18】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がクロスレンジ軸である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記候補目標形状データベースに蓄積された目標の3次元形状上の各点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積でその点のレンジ位置を算出し、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルの内積でその点のクロスレンジ位置を算出して前記投影面に各候補目標の3次元形状を投影する候補目標形状データクロスレンジ投影手段と、
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、前記候補目標形状データ投影手段で得られた各候補目標の3次元形状の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項14の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項19】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記目標追尾手段により得られる目標を基準としたレーダの方向、レーダ緒元及び候補目標形状データベースに蓄積された1種類以上の候補目標の3次元形状に電磁界理論を適用して、前記候補目標形状上の電波の反射強度分布を計算する電磁界理論手段と、
前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の電波の反射強度分布に基づいて、各反射点の反射強度値をその反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積で定まるレンジ位置及び、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積で定まるドップラー周波数位置に投影して、反射強度分布についての投影像を生成する候補目標反射強度分布投影手段と
前記レーダ画像生成手段で得られたレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段で得られた各候補目標の反射強度分布の投影像を比較して表示する画像比較表示手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項15の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項20】
前記全軸方向推定手段に具備された目標追尾手段で得られる画像レーダ装置から目標に向かう方向の単位ベクトルであるレンジ軸ベクトルと、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段の出力であるクロスレンジ軸ベクトルの両者を含む一軸がレンジで、他の一軸がドップラー周波数である投影面を決定する投影面決定手段と、
多数の目標についての3次元形状を蓄積する候補目標形状データベースと、
前記目標追尾手段により得られる目標を基準としたレーダの方向、レーダ緒元及び候補目標形状データベースに蓄積された1種類以上の候補目標の3次元形状に電磁界理論を適用して、前記候補目標形状上の電波の反射強度分布を計算する電磁界理論手段と、
前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の電波の反射強度分布に基づいて、各反射点の反射強度値をその反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積で定まるレンジ位置及び、前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトルの内積で定まるドップラー周波数位置に投影して、反射強度分布についての投影像を生成する候補目標反射強度分布投影手段と、
入力された2枚の画像間の類似の度合いをパターンマッチング処理により算出して数値化するパターンマッチング手段とを具備することを特徴とする請求項2〜請求項15の何れかに記載の画像レーダ装置。
【請求項21】
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像を、前記クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさを用いてクロスレンジスケーリングするクロスレンジスケーリング手段を備え、
前記候補目標反射強度分布投影手段は、前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の反射強度分布について、各反射点の反射強度を、反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積により定まるレンジ及び前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルとの内積により定まり、クロスレンジスケーリング手段によりドップラー周波数がクロスレンジスケーリングされたクロスレンジ位置に投影してクロスレンジスケーリングされた各候補目標の反射強度分布の投影像を生成する構成にされ、
前記画像比較表示手段は、前記クロスレンジスケーリング手段の出力であるクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段の出力であるクロスレンジスケーリング後の候補目標の電波の反射強度分布の投影像を比較してスケーリング表示する構成にされたことを特徴とする請求項19記載の画像レーダ装置。
【請求項22】
前記レーダ画像生成手段で生成されたレーダ画像を、クロスレンジ軸ベクトル推定手段で得られたクロスレンジ軸ベクトルの大きさを用いてクロスレンジスケーリングするクロスレンジスケーリング手段を備え、
前記候補目標反射強度分布投影手段は、前記電磁界理論手段で得られた各候補目標形状上の反射強度分布について、各反射点の反射強度を反射点の位置ベクトルとレンジ軸ベクトルの内積により定まるレンジ及び前記位置ベクトルとクロスレンジ軸ベクトル方向の単位ベクトルとの内積により定まり、前記クロスレンジスケーリング手段によりドップラー周波数がクロスレンジスケーリングされたクロスレンジ位置に投影してクロスレンジスケーリングされた各候補目標の反射強度分布の投影像を生成する構成にされ、
前記パターンマッチング手段は、前記クロスレンジスケーリング手段の出力であるクロスレンジスケーリング後のレーダ画像と、前記候補目標反射強度分布投影手段の出力であるクロスレンジスケーリング後の候補目標の電波の反射強度分布の投影像が入力されたとき、その2枚の画像間の類似の度合いパターンマッチング処理により数値化して算出する構成にされたことを特徴とする請求項20記載の画像レーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−196872(P2011−196872A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65142(P2010−65142)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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