説明

画像信号処理装置、画像信号処理方法及び画像表示装置

【課題】
入力画像信号を好適に高解像度化する。
【解決手段】
複数の画像フレームが入力される入力部と、入力された複数の画像フレームを合成することにより、画像フレームを構成する画素数を増加して出力画像フレームを得るための解像度変換部とを備え、解像度変換部は、基準となる入力画像フレーム上の画像データと他の入力画像フレーム上の対応する各画像データを用いてサンプリング位相差を推定し、サンプリング位相差を変換し、変換後のサンプリング位相差を出力し、変換後のサンプリング位相差の情報を用いて各入力画像フレームの画像データを動き補償するとともに画素数を増加し、画素数が増加された各画像フレームの画像データを所定量位相シフトし、位相シフトの前後の各画像データに、サンプリング位相差の情報を用いて決定した係数を乗じて加算することにより、折返し成分を除去して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号を高解像度化するための技術に関し、特に複数の画像フレームを合成することにより、画像フレームを構成する画素数を増やすとともに不要な折返し成分を除去して高解像度化を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のテレビ受像機は大画面化が進んでおり、放送や通信、蓄積媒体などから入力された画像信号をそのまま表示するのではなく、デジタル信号処理によって水平・垂直方向の画素数を増やして表示することが一般的に行われている。この際、一般的に知られているsinc関数を用いた補間ローパスフィルタやスプライン関数等によって画素数を増やすだけでは解像度を上げることはできない。
【0003】
そこで、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されているように、入力された複数の画像フレーム(以下、フレームと略記)を合成して1枚のフレームとすることにより、高解像度化しながら画素数を増やす技術(以下、従来技術)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−336046号
【特許文献2】特開平9−69755号
【非特許文献1】青木伸 “複数のデジタル画像データによる超解像処理”, Ricoh Technical Report pp.19-25, No.24, NOVEMBER, 1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの従来技術では、(1)位置推定、(2)広帯域補間、(3)加重和、の3つの処理により高解像度化を行う。ここで、(1)位置推定は、入力された複数の画像フレームの各画像データを用いて、各画像データのサンプリング位相(標本化位置)の差を推定するものである。(2)広帯域補間は、各画像データを折返し成分も含め、原信号の高周波成分をすべて透過する帯域の広いローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やし、画像データを高密度化するものである。(3)加重和は、各高密度化データのサンプリング位相に応じた重み係数により加重和をとることによって、画素サンプリングの際に生じた折返し成分を打ち消して除去するとともに、同時に原信号の高周波成分を復元するものである。
【0006】
図2に、これらの高解像度化技術の概要を示す。同図(a)に示すように、異なる時間軸上のフレーム#1(201)、フレーム#2(202)、フレーム#3(203)が入力され、これらを合成して出力フレーム(206)を得ることを想定する。簡単のため、まず被写体が水平方向に移動(204)した場合を考え、水平線(205)の上の1次元の信号処理によって高解像度化することを考える。このとき、同図(b)と同図(d)に示すように、フレーム#2(202)とフレーム#1(201)では、被写体の移動(204)の量に応じて信号波形の位置ずれが生じる。上記(1)位置推定によってこの位置ずれ量を求め、同図(c)に示すように、位置ずれが無くなるようにフレーム#2(202)を動き補償(207)するとともに、各フレームの画素(208)のサンプリング位相(209)(210)の間の位相差θ(211)を求める。この位相差θ(211)に基づき、上記(2)広帯域補間および(3)加重和を行うことにより、同図(e)に示すように、元の画素(208)のちょうど中間(位相差θ=π)の位置に新規画素(212)を生成することにより、高解像度化を実現する。 (3)加重和については後述する。
【0007】
なお、実際には被写体の動きが平行移動だけでなく、回転や拡大・縮小などの動きを伴うことも考えられるが、フレーム間の時間間隔が微小な場合や被写体の動きが遅い場合には、これらの動きも局所的な平行移動に近似して考えることができる。
【0008】
特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載の従来技術によって1次元方向の2倍の高解像度化を行う場合、上記(3)の加重和を行う際に、図3に示すように、少なくとも3枚のフレーム画像の信号を用いる必要があった。ここで、図3は、1次元の周波数領域で、各成分の周波数スペクトルを示した図である。同図において、周波数軸からの距離が信号強度を表し、周波数軸を中心とした回転角が位相を表す。上記(3)の加重和について、以下に詳しく説明する。
【0009】
上記(2)の広帯域補間にて、ナイキスト周波数の2倍の帯域(周波数0〜サンプリング周波数fsまでの帯域)を透過する広帯域ローパスフィルタによって画素補間すると、原信号と同じ成分(以下、原成分)と、サンプリング位相に応じた折返し成分の和が得られる。このとき、3枚のフレーム画像の信号に対して上記(2)広帯域補間の処理を行うと、図3(a)に示すように、各フレームの原成分(301)(302)(303)の位相はすべて一致し、折返し成分(304)(305)(306)の位相は各フレームのサンプリング位相の差に応じて回転することがよく知られている。それぞれの位相関係をわかりやすくするために、各フレームの原成分の位相関係を同図(b)に示し、各フレームの折返し成分の位相関係を同図(c)に示す。
【0010】
ここで、3枚のフレーム画像の信号に対して、乗算する係数を適切に選択して上記(3)加重和を行うことにより、各フレームの折返し成分(304)(305)(306)を互いに打ち消して除去することができ、原成分だけを抽出できる。このとき、各フレームの折返し成分(304)(305)(306)のベクトル和を0にする、すなわち、Re軸(実軸)の成分とIm軸(虚軸)の成分を両方ともに0とするためには、少なくとも3つの折返し成分が必要となる。従って、2倍の高解像度化を実現するために、すなわち1個の折返し成分を除去するために、少なくとも3枚のフレーム画像の信号を用いる必要があった。
【0011】
同様に、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されているように、水平・垂直の2次元の入力信号に対して高解像度化する場合、折返しが縦横2方向から来るので、原信号の帯域が縦横共に2倍に広がると、3つの折返し成分が重なり、それらを打ち消すためには2M+1=7個のデジタルデータ(=7枚のフレーム画像の信号)を必要としていた。
【0012】
従って従来技術は、フレームメモリや信号処理回路の規模が大きくなって経済的でない。また、時間的に離れた数多くのフレーム画像の位置推定を正確に行う必要があるため構成が複雑となる。すなわち、従来技術は、例えばテレビジョン放送信号等の動画像のフレームを高解像度化することが困難である。
【0013】
また、現在のテレビジョン放送信号ではインタレース走査を用いるのが主流であるが、特許文献1、特許文献2、非特許文献1には、インタレース走査信号そのものの高解像度化や、インタレース・プログレッシブ走査変換(I-P変換)について、開示も示唆もなされていない。
【0014】
また、地上波や衛星(BS、CS)を用いた現在のデジタルテレビ放送では、従来のSD(Standard Definition)の画像信号に加え、HD(High Definition)の画像信号にて番組が放送されている。しかし、全番組がHDカメラで撮影された画像信号に置き換わっているわけではなく、SDカメラで撮影された画像信号を、SD→HD変換器によって、HDと同じ画素数を持つ信号に変換(アップコン)し、番組ごとに、あるいはシーンごとに切り替えて放送されているがよく知られている。
【0015】
従来の受信機では、受信した信号がHDカメラで撮影された画像信号の場合は解像度の高い画像が再生され、SD→HD変換(アップコン)後の画像信号の場合は解像度が低い画像が再生されるため、番組ごとに、あるいはシーンごとに、解像度が頻繁に切り替わって見苦しいという問題があった。
【0016】
また、上記従来技術では、サンプリング位相(標本化位置)の差を用いて高解像度化処理を行っているため、サンプリング位相に差が生じない信号、すなわち、被写体が静止している領域や、被写体の動きがちょうど画素間隔の整数倍になる領域では、高解像度化の効果が得られないという問題があった。
【0017】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて為されたものであって、その目的は、好適に画
像信号を高解像度化するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の態様は、例えば、特許請求の範囲に記載されるように構成すればよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より好適に画像信号を高解像度化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0021】
また、各図面において、同一の符号が付されている構成要素は同一の機能を有すること
とする。
【0022】
また、本明細書の各記載及び各図面における「位相」という表現は、2次元画像空間において用いた場合は、2次元画像上の「位置」という意味も含む。当該位置は、小数画素精度の位置を意味する。
【0023】
また、本明細書の各記載及び各図面における「アップレート」という表現は、「アップレート処理」という意味も含む。また、本明細書の各記載及び各図面における「アップコン」という表現は、「アップコンバート処理」を示す。両者はいずれも画像の画素数を多くする変換処理(画素数増加処理)または画像を拡大する変換処理(画像拡大変換処理)を意味する。
【0024】
また、本明細書の各記載及び各図面における「ダウンレート」という表現は、「ダウンレート処理」という意味も含む。また、本明細書の各記載及び各図面における「ダウンコン」という表現は、「ダウンコンバート処理」を示す。両者はいずれも画像の画素数を少なくする変換処理(画素数低減処理)または画像を縮小する変換処理(画像縮小変換処理)を意味する。
【0025】
また、本明細書の各記載及び各図面における「動き補償」という表現は、位相差もしくはサンプリング位相差、すなわち空間的な位置の差を算出して位置合わせを行う意味を含む。
【0026】
なお、以下の各実施例の記載において、上述した(1)位置推定には、参考文献1や参考文献2に記載されているような方法を用いればよい。また上述した(2)広帯域補間については、非特許文献1に記載されているようなナイキスト周波数の2倍の通過帯域を持つ一般的なローパスフィルタを用いればよい。
[参考文献1] 安藤繁 “画像の時空間微分算法を用いた速度ベクトル分布計測システム”,計測自動制御学会論文集,pp.1330-1336, Vol.22, No.12,1986
[参考文献2] 小林弘幸ほか “DCT変換に基づく画像の位相限定相関法”, 信学技法 IEICE Technical Report ITS2005-92,IE2005-299(2006-02), pp.73-78
また、以下の実施例で「SR信号」との表記は「Super Resolution信号(超解像信号)」の略である。
【0027】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0028】
図1に、本発明の実施例1に係る画像信号処理装置を示し、その特徴について述べる。本実施例に係る画像信号処理装置は、例えばテレビジョン受像機等の画像表示装置に適用される。以下の本実施例の説明においては、画像信号処理装置として画像表示装置を例にして説明する。
【0029】
図1において、本実施例に係る画像信号処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの動画像のフレーム列が入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを高解像度化するための解像度変換部(2)と、更にこの解像度変換部(2)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)とを備えている。この表示部(3)として、例えばプラズマディスプレイパネル、液晶表示パネル、もしくは電子/電解放出型ディスプレイパネルが用いられる。以下、解像度変換部(2)の詳細について説明する。
【0030】
図1において、まず位置推定部(101)により、入力部(1)に入力されたフレーム#1上の処理対象の画素のサンプリング位相(標本化位置)を基準として、フレーム#2上の対応する画素の位置を推定し、画素ごとにサンプリング位相差θ(102)を求める。
【0031】
次に、動き補償・アップレート部(115)のアップレート器(103)(104)により、位相差θ(102)の情報を用いてフレーム#2を動き補償してフレーム#1と位置を合わせるとともに、フレーム#1とフレーム#2の画素数をそれぞれ2倍に増して高密度化する。位相シフト部(116)では、この高密度化したデータの位相を一定量だけシフトする。ここで、データの位相を一定量だけシフトする手段として、π/2位相シフト器(106)(108)を用いることができる。また、π/2位相シフト器(106)(108)で生じる遅延を補償するために、遅延器(105)(107)により高密度化したフレーム#1とフレーム#2の信号を遅延させる。
【0032】
折返し成分除去部(117)では、遅延器(105)(107)とヒルベルト変換器(106)(108)の各出力信号に対して、係数決定器(109)にて位相差θ(102)をもとに生成した係数C0,C2,C1,C3を乗算器(110)(112)(111)(113)にてそれぞれ乗算し、加算器(114)にてこれらの信号を加算して出力を得る。この出力は、表示部3に供給される。なお、位置推定部(101)は、上記従来技術をそのまま用いて実現することができる。アップレート器(103)(104)、π/2位相シフト器(106)(108)、折返し成分除去部(117)の各詳細については後述する。
【0033】
図4に、本発明の実施例1の動作を示す。同図は、図1に示した遅延器(105)(107)とπ/2位相シフト器(106)(108)の各出力を1次元の周波数領域で示したものである。同図(a)において、遅延器(105)(107)から出力されたアップレート後のフレーム#1とフレーム#2の信号はそれぞれ、原成分(401)(402)と、元のサンプリング周波数(fs)から折り返された折返し成分(405)(406)を加えた信号となる。このとき、折返し成分(406)は上述の位相差θ(102)だけ位相が回転している。
【0034】
一方、π/2位相シフト器(106)(108) から出力されたアップレート後のフレーム#1とフレーム#2の信号はそれぞれ、π/2位相シフト後の原成分(403)(404)と、π/2位相シフト後の折返し成分(407)(408)を加えた信号となる。同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した各成分の位相関係をわかりやすくするために、原成分と折返し成分をそれぞれ抜き出して示したものである。
【0035】
ここで、同図(b)に示す4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸の成分を1とし、Im軸の成分を0とするとともに、同図(c)に示す4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸とIm軸の両方の成分を0とするように、各成分に乗算する係数を決定して加重和をとれば、折返し成分を打ち消してキャンセルし、原成分だけを抽出することができる。すなわち、2枚のフレーム画像だけを用いて、1次元方向の2倍の高解像度化行う画像信号処理装置を実現できる。この係数決定方法の詳細については後述する。
【0036】
図5に、本発明の実施例1に用いるアップレート器(103)(104)の動作を示す。同図において、横軸は周波数を、縦軸は利得(入力信号振幅に対する出力信号振幅の比の値)を表し、アップレート器(103)(104)の「周波数-利得」特性を示している。ここで、アップレート器(103)(104)では、もとの信号のサンプリング周波数(fs)に対して2倍の周波数(2fs)を新しいサンプリング周波数とし、もとの画素間隔のちょうど中間の位置に新しい画素のサンリング点(=ゼロ点)を挿入することによって画素数を2倍にして高密度化するとともに、-fs〜+fsの間の周波数をすべて利得2.0の通過帯域とするフィルタをかける。このとき、同図に示すように、デジタル信号の対称性により、2fsの整数倍の周波数ごとに繰り返す特性となる。
【0037】
図6に、本発明の実施例1に用いるアップレート器(103)(104)の具体例を示す。同図は、図5に示した周波数特性を逆フーリエ変換して得られるフィルタのタップ係数を示している。このとき、各タップ係数Ck(ただし、kは整数)は一般的に知られているsinc関数となり、画素ごとのサンプリングの位相差θ(102)を補償するために(-θ)だけシフトし、Ck=2sin(πk+θ)/(πk+θ)とすればよい。なお、アップレート器(103)では、位相差θ(102)を0とおき、Ck=2sin(πk)/(πk)とすればよい。また、位相差θ(102)を、整数画素単位(2π)の位相差+小数画素単位の位相差で表すことにより、整数画素単位の位相差の補償については単純な画素シフトにより実現し、小数画素単位の位相差の補償については上記アップレート器(103)(104)のフィルタを用いてもよい。
【0038】
図7に、本発明の実施例1に用いるπ/2位相シフト器(106)(108)の動作例を示す。π/2位相シフト器(106)(108)として、一般に知られているヒルベルト変換器を用いることができる。
【0039】
同図(a)において、横軸は周波数を、縦軸は利得(入力信号振幅に対する出力信号振幅の比の値)を表し、ヒルベルト変換器の「周波数-利得」特性を示している。ここで、ヒルベルト変換器では、もとの信号のサンプリング周波数(fs)に対して2倍の周波数(2fs)を新しいサンプリング周波数として、-fs〜+fsの間の0を除く周波数成分をすべて利得1.0の通過帯域とする。
【0040】
また、同図(b)において、横軸は周波数を、縦軸は位相差(入力信号位相に対する出力信号位相の差)を表し、ヒルベルト変換器の「周波数-位相差」特性を示している。ここで、0〜fsの間の周波数成分についてはπ/2だけ位相を遅らせ、0〜-fsの間の周波数成分についてはπ/2だけ位相を進ませる。このとき、同図に示すように、デジタル信号の対称性により、2fsの整数倍の周波数ごとに繰り返す特性となる。
【0041】
図8に、本発明の実施例1に用いるπ/2位相シフト器(106)(108)をヒルベルト変換器で構成した例を示す。同図は、図7に示した周波数特性を逆フーリエ変換して得られるフィルタのタップ係数を示している。このとき、各タップ係数Ckは、k=2m(ただしmは整数)のときはCk=0とし、k=2m+1のときはCk=-2/(πk)とすればよい。
【0042】
なお、本発明の実施例1に用いるπ/2位相シフト器(106)(108)は、微分器を用いることも可能である。この場合、正弦波を表す一般式cos(ωt+α)をtで微分して1/ωを乗じると、d(cos(ωt+α))/dt*(1/ω)=-sin(ωt+α)=cos(ωt+α+π/2)となり、π/2位相シフトの機能を実現できる。すなわち、対象とする画素の値と隣接画素の値との差分を取ったのちに、1/ωの「周波数-振幅」特性を持ったフィルタを掛けることによってπ/2位相シフトの機能を実現してもよい。
【0043】
図9に、本発明の実施例1に用いる係数決定器(109)の動作と具体例を示す。同図(a)に示すように、図4(b)に示した4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸の成分を1とし、Im軸の成分を0とするとともに、図4(c)に示した4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸とIm軸の両方の成分を0とするように、各成分に乗算する係数を決定すれば、2枚のフレーム画像だけを用いて、1次元方向の2倍の高解像度化行う画像信号処理装置を実現できる。
【0044】
ここで、図1に示すように、遅延器(105)の出力(アップレート後のフレーム#1の原成分と折返し成分の和)に対する係数をC0、π/2位相シフト器(106)の出力(アップレート後のフレーム#1の原成分と折返し成分のそれぞれのπ/2位相シフト結果の和)に対する係数をC1、遅延器(107)の出力(アップレート後のフレーム#2の原成分と折返し成分の和)に対する係数をC2、ヒルベルト変換器(106)の出力(アップレート後のフレーム#2の原成分と折返し成分のそれぞれのπ/2位相シフト結果の和)に対する係数をC3とする。
【0045】
このとき、図9(a)の条件を満たすようにすると、図4(b)および図4(c)に示した各成分の位相関係から、図9(b)に示す連立方程式を得ることができ、これを解くと図9(c)に示す結果を導くことができる。
【0046】
本実施例に係る係数決定器(109)は、図9(a)、図9(b)、図9(c)のいずれかを満たす係数C0、C1、C2、C3を出力する。
【0047】
一例として、位相差θ(102)をπ/8ごとに0〜2πまで変化させたときの係数C0、C1、C2、C3の値を、図9(d)に示す。これは、もとのフレーム#2の信号を、1/16画素の精度で位置推定し、フレーム#1に対して動き補償した場合に相当する。位相差θ(102)の値が0未満、あるいは2π以上の場合には、sin関数やcos関数の周期性を利用し、位相差θ(102)の値に2πの整数倍の値を、加算あるいは減算することにより、位相差θ(102)が0〜2πの範囲に収まるようにすればよい。
【0048】
なお、アップレート器(103)(104)およびπ/2位相シフト器(106)(107)は、理想的な特性を得るためには無限大のタップ数を必要とするが、タップ数を有限個で打ち切って簡略化しても実用上問題ない。このとき、一般的な窓関数(例えばハニング窓関数やハミング窓関数など)を用いてもよい。簡略化したヒルベルト変換器の各タップの係数を、C0を中心として左右点対象の値、すなわちC(-k)=-Ck(kは整数)とすれば、位相を一定量だけシフトすることができる。
【0049】
次に、図17を用いて、実施例1に係る画像信号処理装置と上記従来技術の動作の違いを説明する。同図(a)において、フレーム#1(1701)からフレーム#5(1705)の間に、被写体が右方向に移動するような入力画像を用意する。この際、同図(b)に示すように、各フレームにおけるサンプリング位相を見ると、フレーム#1(1701)とフレーム#2(1702)の間では対応画素の位置が1/4画素(=π/2)ずれており、フレーム#1(1701)とフレーム#3(1703)の間では対応画素の位置が1画素(=2π)ずれており、フレーム#1(1701)とフレーム#4(1704)の間では対応画素の位置が5/4画素(=5π/2)ずれており、フレーム#1(1701)とフレーム#5(1705)の間では対応画素の位置が2画素(=4π)ずれているように、意図的に被写体を移動させる。このとき、各フレーム上の信号に含まれるそれぞれの折返し成分の位相は、フレーム#1(1701)上の信号に含まれる折返し成分の位相を基準にして、同図(c)のように表すことができる。この入力画像(a)に対して2倍の高解像度化を行う場合、上記従来技術では、フレーム#1(1701)からフレーム#5(1705)の中のどの3フレームを用いても折返し成分のベクトル和を0にすることができないため、高解像度化は実現できない。一方、本実施例を用いれば、例えば、隣接する2フレーム(例:フレーム#1(1701)とフレーム#2(1702))を用いて折返し成分のベクトル和を0にできるため、高解像度化を実現できる。すなわち、同図(a)の入力画像をテストパターンとして用いることにより、本実施例の動作状況を確認することができる。
【0050】
以上の実施例1の説明においては、水平方向の高解像度化を例に挙げて説明したが、本発明の各実施の態様は、これに限定されるわけではなく、垂直方向や斜め方向の高解像度化に適用することが可能である。
【0051】
以上説明した実施例1に係る画像信号処理装置によれば、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームの各画像信号に対して位相シフトを行い、各画像信号からそれぞれ2つの信号を生成する。これにより、2枚の入力画像フレームの画像信号から4つの信号を生成することができる。ここで、2枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該4つの信号の各信号について、当該4つの信号の折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成する画像のそれぞれの画素について、上記4つの信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。これを生成画像の各画素について行うことにより、新たな高解像度画像を生成することができる。
【0052】
これにより、実施例1に係る画像信号処理装置は、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームを用いて、折り返し成分が少なく、入力画像より高解像度な画像を生成することができる。
【0053】
また、実施例1に係る画像信号処理装置は、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量を従来例より低減できる。これにより、折り返し成分が少なく、入力画像より高解像度な画像を生成する画像信号処理装置を、従来例よりも低コストに実現することが可能である。
【実施例2】
【0054】
次に、図18及び図14を用いて、本発明の実施例2について説明する。
【0055】
実施例2は、実施例1に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。
【0056】
まず、図18を用いて本実施例に係る画像信号処理方法を実現するための画像処理装置について説明する。図18に示す画像信号処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの画像信号が入力される入力部(1)と、入力部(1)から入力された信号を処理するためのソフトウェアを記憶する記憶部(11)と、記憶部(11)に記憶されるソフトウェアと協働して入力部(1)から入力された信号について画像信号処理を行う制御部(10)と、制御部(10)が当該画像信号処理においてデータのバッファに用いるフレームバッファ#1(21)、フレームバッファ#2(22)と、制御部(10)から出力部(3)に出力される画像信号処理後の信号を、フレームバッファするためのバッファ#3(23)とを備える。
【0057】
ここで、図18に示す画像信号処理装置が備える入力部(1)の数は、画像処理に用いるフレーム数である2と同じとしたが、入力部(1)を一つだけ備えて、2つフレームを連続して入力しても構わない。
【0058】
また、データのバッファに用いるフレームバッファ#1(21)、フレームバッファ#2(22)、およびソフトウェアを記憶する記憶部(11)は、それぞれが個別のメモリチップを用いて構成してもよいし、1個あるいは複数個のメモリチップを用い、各データアドレスを分割して使用する構成にしてもよい。
【0059】
本実施例において、入力部(1)から入力される画像信号について、制御部(10)が記憶部(11)に記憶されるソフトウェアと協働して画像信号処理を行い、表示部(3)に出力する。当該画像信号処理の詳細は図14を用いて説明する。
【0060】
図14に、本実施例に係る画像信号処理方法のフローチャートの一例を示す。図14のフローチャートは、ステップ(1401)から開始し、ステップ(1418)にて各フレームの画像データを2倍にアップレートする。すなわち、ステップ(1402)にてフレーム#1の画像データをアップレートしてフレームバッファ#1に書込み、ステップ(1403)にてフレーム#2の画像データをアップレートしてフレームバッファ#2に書き込む。ここで、アップレートとは、各フレームバッファの値を一旦0でクリアしたのちに、1画素おきにデータを書き込むことにより実現できる。
【0061】
次に、ステップ(1404)にて、フレームバッファ#1の最初の画素(例えば左上の画素)を処理対象に設定して、以下、フレームバッファ#1に対するすべての画素データの処理が終わるまで、処理をループする。
【0062】
ステップ(1405)では、フレームバッファ#1の対象画素を基準にしてフレームバッファ#2の中の対応する画素の位置を推定し、位相差θを出力する。このとき、対応する画素の位置を推定する方法として、上記の従来技術をそのまま用いることができる。
【0063】
ステップ(1406)では、ステップ(1405)で求めた位相差θをもとに、フレームバッファ#2の中の対応する画素の近傍の画素を動き補償する。このとき、近傍の画素として、ステップ(1408)のπ/2位相シフトの処理で用いる画素データ、すなわち有限のタップ数が作用する範囲の画素データだけを動き補償すればよい。この動き補償の動作は、図5および図6を用いて説明した動作と同一である。
【0064】
続いて、ステップ(1419)にて、フレームバッファ#1と動き補償したフレームバッファ#2に対して、位相を一定量だけシフトする。すなわち、ステップ(1407)(1408)により、各フレームバッファの中の画素データをπ/2位相シフトする。
【0065】
続いて、ステップ(1420)にて、位相差θに基づいて図9(a)(b)(c)の条件を満たすように設定した係数C0、C1、C2、C3を用いて、ステップ(1419)の出力データそれぞれに乗算し、これらを加算をすることにより、フレームバッファ#1、#2の画素データから折返し成分を除去し、フレームバッファ#3に出力する。すなわち、ステップ(1409)にて、位相差θをもとに係数C0、C1、C2、C3を決定し、ステップ(1410)(1411)(1412)(1413)にて各係数とフレームバッファ#1、#2の画素データおよびπ/2位相シフト後のデータとそれぞれ乗算したのち、ステップ(1414)にてすべてを加算して、フレームバッファ#3に出力する。この折返し成分除去の動作は、図9を用いて説明した動作と同一である。
【0066】
続いて、ステップ(1415)にて、フレームバッファ#1の全画素の処理が完了したかどうかを判定し、完了していなければ、ステップ(1416)で次の画素(例えば右隣の画素)を処理の対象に設定してステップ(1405)以降に戻り、完了していればステップ(1417)にて処理を終了する。
【0067】
図14に示すフローチャートの画像信号処理後に、図18に示すフレームバッファ#3にバッファされた信号は、フレーム単位若しくは画素単位にて表示部(3)に出力することができる。
【0068】
以上のような処理を行うことにより、フレームバッファ#1とフレームバッファ#2の画素データを用いて、フレームバッファ#3に高解像度化した信号を出力することができる。動画に応用する場合は、ステップ(1401)からステップ(1417)に至る処理を、フレームごとに繰り返せばよい。
【0069】
なお、実施例2に係る画像信号処理方法についても、図17の説明と同様に、上記従来技術の動作の相違を確認することができるが、その結果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
以上説明した実施例2に係る画像信号処理方法によれば、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームの各画像信号に対して位相シフトを行い、各画像信号からそれぞれ2つの信号を生成する。これにより、2枚の入力画像フレームの画像信号から4つの信号を生成することができる。ここで、2枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該4つの信号の各信号について、当該4つの信号の折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成する画像のそれぞれの画素について、上記4つの信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。これを生成画像の各画素について行うことにより、新たな高解像度画像を生成することができる。
【0071】
これにより、実施例2に係る画像信号処理方法は、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームを用いて、折り返し成分が少なく、入力画像より高解像度な画像を生成することができる。
【0072】
また、実施例2に係る画像信号処理方法は、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量を従来例より低減できるという効果がある。
【実施例3】
【0073】
図10に、本発明の実施例3を示す。同図に示した構成は、図9(c)に示した係数C0、C1、C2、C3の関係を利用して、図1に示した構成を簡略化したものである。すなわち、C0=C2=1/2であり、C1=-C3=-(1+cosθ)/(2sinθ)であることから、アップレート後のフレーム#1と動き補償・アップレート後のフレーム#2の各信号から、加算器(1001)と減算器(1004)により和と差の信号を生成する。和信号については、fs遮断フィルタ(1002)を介したのちに、乗算器(1003)にてC0(=0.5)を掛けて加算器(1008)に入力する。ここで、fs遮断フィルタ(1002)は、アップレート前のサンプリング周波数(fs)の成分を零点として遮断するフィルタであり、例えば同図の(1011)に示すタップ係数を用いることにより実現できる。このfs遮断フィルタ(1002)は、図7(a)に示したようにヒルベルト変換器(1005)の「周波数-利得」特性にて周波数fsの利得が零点になるために折返し成分を除去できず、周波数fsの不要成分が残留してしまうことを防ぐのが目的である。従って、周波数fsの成分も含めてπ/2位相シフトできる手段をヒルベルト変換器(1005)の替わりに用いれば、このfs遮断フィルタ(1002)は不要になる。
【0074】
一方、差信号については、ヒルベルト変換器(1005)にて位相を一定量(=π/2)だけシフトしたのちに、係数決定器(1007)にて位相差(102)に基づいて決定した係数C1を乗算器(1006)で乗算し、加算器(1008)にて加算して出力を得る。ここで、遅延器(1002)とヒルベルト変換器(1005)から成る位相シフト部(1009)は、図1に示した位相シフト部(116)の半分の回路規模で実現できる。また、係数決定器(1007)は図9(c)に示した係数C1だけを出力すればよく、加算器(1001)、減算器(1004)、乗算器(1003)(1006)、加算器(1008)、係数決定器(1007)から成る折返し成分除去部(1010)は乗算器の個数を減らすことができるため、図1に示した折返し成分除去部(117)よりも小さい回路規模で実現できる。
【0075】
なお、実施例3に係る画像信号処理方法についても、図17の説明と同様に、上記従来技術の動作の相違を確認することができるが、その結果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
また、実施例3に係る画像信号処理装置及び画像信号処理方法についても、垂直方向や斜め方向の高解像度化に適用することが可能である。
【0077】
以上説明した実施例3に係る画像信号処理装置は、実施例1に係る画像信号処理装置の効果に加えて、実施例1に係る画像信号処理装置よりも小さい回路規模で実現でき、より低コストに実現することが可能である。
【実施例4】
【0078】
図15を用いて本発明の実施例4に係る画像信号処理方法について説明する。
【0079】
実施例4は、実施例3に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。本実施例の画像信号処理方法を行う画像処理装置は実施例2と同様の図18に示す画像処理装置であるので説明を省略する。
【0080】
図15に、本実施例の動作のフローチャートの一例を示す。図15のフローチャートは、ステップ(1501)から開始し、ステップ(1518)にて各フレームの画像データをアップレートする。すなわち、ステップ(1502)にてフレーム#1の画像データをアップレートしてフレームバッファ#1に書込み、ステップ(1503)にてフレーム#2の画像データをアップレートしてフレームバッファ#2に書き込む。ここで、アップレートとは、各フレームバッファの値を一旦0でクリアしたのちに、1画素おきにデータを書き込むことにより実現できる。
【0081】
次に、ステップ(1504)にて、フレームバッファ#1の最初の画素(例えば左上の画素)を処理対象に設定して、以下、フレームバッファ#1のすべての画素データの処理が終わるまで、処理をループする。
【0082】
ステップ(1505)では、フレームバッファ#1の対象画素を基準にしてフレームバッファ#2の中の対応する画素の位置を推定し、位相差θを出力する。このとき、対応する画素の位置を推定する方法として、上記の従来技術をそのまま用いることができる。
【0083】
ステップ(1506)では、ステップ(1505)で求めた位相差θをもとに、フレームバッファ#2の中の対応する画素の近傍の画素を動き補償する。このとき、「近傍の画素」として、ステップ(1510)のヒルベルト変換の処理で用いる画素データ、すなわち有限のタップ数が作用する範囲の画素データだけを動き補償すればよい。この動き補償の動作は、図5および図6を用いて説明した動作と同一である。
【0084】
続いて、ステップ(1520)にて、位相差θに基づいてフレームバッファ#1、#2の画素データから折返し成分を除去し、フレームバッファ#3に出力する。まず、ステップ(1507)にて、フレームバッファ#1の画素データの値と動き補償したフレームバッファ#2の画素データの値を加算し、ステップ(1509)にて周波数fsの成分を遮断する。このfs遮断フィルタ(1509)の動作は、図10に示した(1002)の動作と同一である。
【0085】
また、ステップ(1508)にて、フレームバッファ#1の画素データの値から動き補償したフレームバッファ#2の画素データの値を減算する。ここで、減算した結果に対して、ステップ(1519)にて位相を一定量だけシフトする。すなわち、同様に減算した近傍のデータも用いて、ステップ(1510)にてヒルベルト変換する。この位相シフトの動作は、図7および図8を用いて説明した動作と同一である。
【0086】
続いて、ステップ(1511)にて上記加算後のデータに係数C0(=0.5)を乗算するとともに、ステップ(1512)にて位相差θをもとに係数C1を決定し、ステップ(1513)にて係数C1とヒルベルト変換後のデータを乗算したのち、ステップ(1514)にて両者のデータを加算して、フレームバッファ#3に出力する。この折返し成分除去の動作は、図10を用いて説明した動作と同一である。
【0087】
続いて、ステップ(1515)にて、フレームバッファ#1の全画素の処理が完了したかどうかを判定し、完了していなければ、ステップ(1516)で次の画素(例えば右隣の画素)を処理の対象に設定してステップ(1505)以降に戻り、完了していればステップ(1517)にて処理を終了する。
【0088】
図15に示すフローチャートの画像信号処理後に、図18に示すフレームバッファ#3にバッファされた信号は、フレーム単位若しくは画素単位にて表示部(3)に出力することができる。
【0089】
以上のような処理を行うことにより、フレームバッファ#1とフレームバッファ#2の画素データを用いて、フレームバッファ#3に高解像度化した信号を出力することができる。動画に応用する場合は、ステップ(1501)からステップ(1517)に至る処理を、フレームごとに繰り返せばよい。
【0090】
なお、実施例4に係る画像信号処理方法についても、図17を用いて、上記従来技術の動作の相違を確認することができるが、その結果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
また、実施例4に係る画像信号処理方法についても、垂直方向や斜め方向の高解像度化に適用することが可能である。
【0092】
以上説明した実施例4に係る画像信号処理方法は、実施例2に係る画像信号処理方法と同様の画像信号高解像度化の効果を有する。さらに実施例4に係る画像信号処理方法は、実施例2に係る画像信号処理方法に比べて一部の処理ステップの内容を共通化することにより、実施例2に係る画像信号処理方法よりも少ない処理量(演算数)で同様の信号処理を実現することが可能であるという効果を有する。
【実施例5】
【0093】
図11に、本発明の実施例5を示す。同図に示す構成は、図9(d)に示したように位相差θが0のときに係数C1、C3が不定になることや、位相差θが0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になることを防ぐために、図10に示した構成をベースとして、位相差θが0近傍になったときに補助的画素補間部(1105)からの出力に切り替えるように構成したものである。すなわち、一般的な補間ローパスフィルタ(1101)をバイパス経路として用意し、係数決定器(1103)にて上述した係数C0、C1のほかに新たにC4を生成して、乗算器(1102)にて補間ローパスフィルタ(1101)の出力と係数C4を乗算し、加算器(1104)で高解像度化した信号に加えて出力する。
【0094】
補間ローパスフィルタ(1101)、乗算器(1102)、係数決定器(1103)、加算器(1104)、補助的画素補間部(1105)以外の構成は、図10に示した実施例3の構成と同一であるため説明を省略する。
【0095】
図12に、本発明の実施例5に用いる補間ローパスフィルタ(1101)の具体例を示す。同図は、もとのサンプリング周波数fsの1/2をカットオフ周波数とする周波数特性を逆フーリエ変換して得られるフィルタのタップ係数を示している。このとき、各タップ係数Ck(ただし、kは整数)は一般的なsinc関数となり、Ck=sin(πk/2)/(πk/2)とすればよい。
【0096】
図13に、本発明の実施例5に用いる係数決定器(1103)の具体例を示す。同図は、図9(d)に示した係数C0、C1をベースとし、通常は新たな係数C4を0としているが、位相差θが0近傍になったときに、係数C1の値を強制的に0にするとともに、係数C4の値を1.0とする動作を示している。この動作により、図11に示す構成において、位相差θ(102)が0あるいは0近傍になったときに、加算器(1104)の出力を自動的に補間ローパスフィルタ(1101)の出力に切替えることができるようになる。なお、位相差θが0に近づくとともに、図12に示した係数から図13に示した係数に連続的に徐々に近づけるようにしてもよい。また、図1における位置推定部(101)にて、フレーム#1上の処理対象の画素に対応した画素がフレーム#2上にないと判定された場合も、位相差θ(102)が0近傍になったときと同様に各係数を制御して、加算器(1104)の出力を自動的に補間ローパスフィルタ(1101)の出力に切替えてもよい。
【0097】
なお、実施例5に係る画像信号処理装置についても、図17を用いて、上記従来技術の動作の相違を確認することができるが、その結果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0098】
また、実施例5に係る画像信号処理装置についても、垂直方向や斜め方向の高解像度化に適用することが可能である。
【0099】
以上説明した実施例5に係る画像信号処理装置は、実施例3に係る画像信号処理装置の効果に加えて、実施例3に係る画像信号処理装置よりも、位相差θ(102)が0あるいは0近傍になったとき(すなわち静止、あるいはほぼ静止)やフレーム#1上の処理対象の画素に対応した画素がフレーム#2上にないと判定された場合にも処理結果が不定になることなく、安定した出力画像を得ることが可能であるという効果を有する。
【実施例6】
【0100】
図16を用いて本発明の実施例6に係る画像信号処理方法について説明する。
【0101】
実施例6は、実施例5に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。本実施例の画像信号処理方法を行う画像処理装置は実施例2と同様の図18に示す画像処理装置であるので説明を省略する。
【0102】
図16に、本実施例の動作のフローチャートの一例を示す。同図に示した処理ステップの動作は、図9(d)に示したように位相差θが0のときに係数C1、C3が不定になることや、位相差θが0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になることを防ぐために、実施例4において説明した図15の各ステップをベースとして、位相差θが0あるいは0近傍になったときにステップ(1606)の処理結果をフレームバッファ#3に出力するように構成したものである。すなわち、ステップ(1601)にて位相差θをもとに係数C0、C1、C4を決定し、ステップ(1602)にてフレームバッファ#1の中の対象の画素データとその近傍の画素データを用いて一般的な補間ローパスフィルタ処理を行ったのちに、ステップ(1603)にて係数C4を乗算して、ステップ(1604)にてステップ(1511)(1513)の出力と加算してフレームバッファ#3に出力する。
【0103】
これら以外のステップは、実施例4において説明した図15の処理ステップと同一であるため、説明を省略する。なお、ステップ(1601)での係数決定の動作は、図13に示した動作と同一であるため、説明を省略する。また、ステップ(1602)での補間ローパスフィルタの動作は、図12に示した動作と同一であるため、説明を省略する。
【0104】
なお、実施例6に係る画像信号処理方法についても、図17を用いて、上記従来技術の動作の相違を確認することができるが、その結果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0105】
なお、実施例6に係る画像信号処理方法についても、垂直方向や斜め方向の高解像度化に適用することが可能である。
【0106】
以上説明した実施例6に係る画像信号処理方法は、実施例4に係る画像信号処理方法の効果に加えて、実施例4に係る画像処理方法よりも、位相差θ(102)が0あるいは0近傍になったとき(すなわち静止、あるいはほぼ静止)やフレーム#1上の処理対象の画素に対応した画素がフレーム#2上にないと判定された場合にも処理結果が不定になることなく、安定した出力画像を得ることが可能であるという効果を有する。
【実施例7】
【0107】
図20に、本発明の実施例7に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの動画像のフレーム列が入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを水平・垂直方向を組み合わせた2次元の高解像度化するための解像度変換部(4)と、更にこの解像度変換部(4)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)とを備えている。
【0108】
この解像度変換部(4)では、水平方向および垂直方向のそれぞれに解像度変換処理を行い、それぞれの結果のうち解像度向上効果が大きい成分を選択的に、もしくは混合させて出力することにより、2次元の高解像度化を実現する。以下、解像度変換部(4)の詳細について説明する。
【0109】
図20において、入力部(1)に入力されたフレーム#1(2010)とフレーム#2(2013)をもとに、水平解像度変換部(2001)と垂直解像度変換部(2005)を用いて、水平方向の画素数を増加させたフレーム(2011)と垂直方向の画素数を増加させたフレーム(2014)をそれぞれ生成する。
【0110】
ここで、各解像度変換部(2001)(2005)は、図1に示す本発明の実施例1に係る画像信号処理装置の解像度変換部(2)の構成をそのまま用いて、水平方向および垂直方向の信号処理をそれぞれ行う。この際、水平解像度変換部(2001)では、図1に示したアップレート器(103)(104)、遅延器(105)(107)、π/2位相シフト器(106)(108)は、それぞれ水平方向のアップレート、遅延、π/2位相シフトを行うように構成する。
【0111】
同様に、垂直解像度変換部(2005)では、図1に示したアップレート器(103)(104)、遅延器(105)(107)、π/2位相シフト器(106)(108)は、それぞれ垂直方向のアップレート、遅延、π/2位相シフトを行うように構成する。これらは、図5〜図8に示した動作と従来技術等とを用いて実施可能である。
【0112】
なお、各解像度変換部(2001)(2005)には、本発明の実施例1に係る画像信号処理装置の解像度変換部の構成の代わりに、本発明の実施例3に係る画像信号処理装置の解像度変換部、本発明の実施例5に係る画像信号処理装置の解像度変換部を用いても実現することが可能である。以下の説明については、本発明の実施例1に係る画像信号処理装置の解像度変換部の構成を用いたものとして説明する。
【0113】
本実施例では、被写体が水平・垂直方向の2次元的に移動したことを想定し、図1および図2に示した動作を2次元に拡張する。すなわち、水平解像度変換部(2001)の中の位置推定部(図1中の(101))および動き補償・アップレート部(図1中の(115))では、フレーム#1上の被写体を基準としてフレーム#2上の被写体を2次元的に動き補償するとともに、各フレームの画素のサンプリング位相差のうち、水平位相差θHを折返し成分除去部(図1中の(117))の係数決定に用いる。
【0114】
同様に、垂直解像度変換部(2005)の中の位置推定部(図1中の(101))および動き補償・アップレート部(図1中の(115))では、フレーム#1上の被写体(2016)を基準としてフレーム#2上の被写体(2017)を2次元的に動き補償するとともに、各フレームの画素のサンプリング位相差のうち、垂直位相差θVを折返し成分除去部(図1中の(117))の係数決定に用いる。折返し成分除去部(図1中の(117))の係数決定は、図9に示した動作をそのまま用いればよい。
【0115】
被写体が斜め方向に移動した場合を想定すると、水平解像度変換部(2001) によって水平方向の画素数を増加させたフレーム(2011)には斜め方向の歪が含まれることになるが、もともとの入力信号の垂直周波数が低い成分(縦線など)では、この歪が無視できる程度に小さい。同様に、垂直解像度変換部(2005) によって垂直方向の画素数を増加させたフレーム(2014)には斜め方向の歪が含まれることになるが、もともとの入力信号の水平周波数が低い成分(横線など)では、この歪が無視できる程度に小さい。
【0116】
この特性を利用し、上記の信号処理に従って水平方向の画素数を増加させたフレーム(2011)は、垂直アップレート器(2002)および画素補間器(2003)からなる垂直補間部(2004)によりフレーム(2012)を生成し、SR(水平)信号とする。ここで画素補間器(2003)は、補間したい画素の上下の画素データの平均値を出力するような、一般的な垂直ローパスフィルタを用いればよい。同様に、垂直方向の画素数を増加させたフレーム(2014)は、水平アップレート器(2006)および画素補間器(2007)からなる水平補間部(2008)により、フレーム(2015)を生成しSR(垂直)信号とする。ここで、画素補間器(2007)は、補間したい画素の左右の画素データの平均値を出力するような、一般的な水平ローパスフィルタを用いればよい。
【0117】
このように、画素補間器(2003)(2007)を用いて、処理対象の方向と直交する方向の高周波成分を除去して低周波成分だけを抽出すれば、上述した斜め方向に移動した際に発生する歪の影響を無視できる程度に小さくすることができる。上記の処理によって生成したSR(水平)信号とSR(垂直)信号を混合器(2009)によって混合して出力信号とし、表示部(3)にて表示する。
【0118】
ここで、混合器(2009)の詳細な構成および動作について説明する。混合器(2009)は以下に示す3つの構成例のいずれかを用いればよい。
【0119】
図22に、混合器(2009)の第1の構成例を示す。同図において、加算器(2201)と乗算器(2202)を用いて、混合器(2009)に入力されたSR(水平)とSR(垂直)の各信号の平均値を生成して出力する。同図に示す構成は、水平・垂直の各解像度向上効果もそれぞれ1/2になってしまうが、混合器(2009)を最も簡単な構成である為、低コストに実現できる。
【0120】
図23に、混合器(2009)の第2の構成例を示す。同図において、混合器(2009)に入力されたSR(水平)とSR(垂直)の各信号に対し、乗算器(2303)および乗算器(2304)を用いて係数K(水平)と係数K(垂直)をそれぞれ乗じ、加算器(2305)で両者を加算して出力とする。係数K(水平)と係数K(垂直)は、それぞれ係数決定器(2301)(2302)にて生成する。以下、この係数決定器(2301)(2302)の動作について説明する。
【0121】
図21に示した折返し成分除去部(2108)(2109)は、同図に示す位相差θH(2102)および位相差θV(2103)をもとに、図1に示す係数決定器(109)にて図9に示す係数C0〜C3を発生して折返し成分除去の演算を行う。このとき、位相差θH(2102)、θV(2103)が0のときに係数C1およびC3が不定になることや、位相差θH(2102)、θV(2103)が0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になることを防ぐために、図13に示す係数C4(0≦C4≦1)を導入して、図11に示す構成のように補助的画素補間を行うのが好ましい。逆に言えば、係数C4の値が0.0のときは解像度向上の効果があるが、係数C4の値が1.0に近づくにつれて、解像度向上の効果が小さくなることになる。
【0122】
この性質を利用し、水平位相差θH(2102)が0近傍(すなわち、係数C4(水平)が1.0近傍)のときは垂直解像度変換結果のSR(垂直)が強く反映され、垂直位相差θV(2103)が0近傍(すなわち、係数C4(垂直)が1.0近傍)のときは水平解像度変換結果のSR(水平)が強く反映されるように、水平・垂直方向それぞれの係数C4の値を用いて係数K(水平)と係数K(垂直)を決定する。この動作を実現するため、例えば図23に示す係数決定器(2301)ではK(水平)=C4(水平)+(1-C4(垂直))/2の演算を行ってK(水平)を決定し、係数決定器(2303)ではK(垂直)=C4(垂直)+(1-C4(水平))/2の演算を行ってK(垂直)を決定している。
【0123】
図24に、係数C4(水平)および係数C4(垂直)をそれぞれ変化させたときの係数決定器(2301)(2302)の出力(係数K(水平)および係数K(垂直))の一例をまとめて示す。同図に示すように、係数C4(水平)が大きくなると係数K(水平)が小さくなるとともに係数K(垂直)が大きくなり、係数C4(垂直)が大きくなると係数K(水平)が大きくなるとともに係数K(垂直)が小さくなるように動作する。
【0124】
係数C4(水平)と係数C4(垂直)の値が等しいときには、係数K(水平)と係数K(垂直)がそれぞれ0.5となる。このように水平・垂直で独立して変化する係数C4に対して、係数K(水平)と係数K(垂直)を足してちょうど1.0になるように係数Kを決定して、SR(水平)とSR(垂直)を混合する。
【0125】
図25および図26を用いて、混合器(2009)の第3の動作および構成例をそれぞれ説明する。図25は、水平周波数をμ、垂直周波数をνとして表した2次元周波数領域である。もとの入力画像の水平サンプリング周波数をμs、垂直サンプリング周波数をνsとすると、図20および図21に示した解像度変換部(4)の出力は、水平周波数μが-μs〜μsの範囲、垂直周波数νが-νs〜νsの範囲の信号となる。
【0126】
水平・垂直の各解像度変換により高周波成分が再生されるようになるが、高周波成分はもともと信号レベルが小さいため、水平解像度変換による効果が大きいのは(μ,ν)=(±μs/2, 0)の近傍の周波数領域(2501)の成分(特に(μ,ν)=(+μs/2, 0)を含み、μ>0となる周波数の領域と、(μ,ν)=(-μs/2, 0)を含み、μ<0となる周波数の領域の成分)となり、垂直解像度変換による効果が大きいのは(μ,ν)=(0, ±νs/2)の近傍の周波数領域(2502)の成分(特に(μ,ν)=(0, +νs/2)を含み、ν>0となる周波数の領域と、(μ,ν)=(0, -νs/2)を含み、ν<0となる周波数の領域の成分)となる。
【0127】
従って、これらの周波数成分(2501)(2502)を2次元フィルタで抽出して混合すると、解像度向上効果が大きい成分を選択的に出力することができる。
【0128】
図26に、水平・垂直の各解像度変換による効果が大きい成分を抽出する混合器(2009)の構成例を示す。同図において、2次元フィルタ(2601)を用いて、混合器(2009)に入力されたSR(水平)の解像度向上効果が大きい周波数領域(2501)の成分を抽出する。同様に、2次元フィルタ(2602)を用いて、混合器(2009)に入力されたSR(垂直)の解像度向上効果が大きい周波数領域(2502)の成分を抽出する。
【0129】
周波数領域(2501)(2502)以外の成分として、加算器(2603)と乗算器(2604)を用いてSR(水平)とSR(垂直)の平均の信号を作り、2次元フィルタ(2605)を用いて、2次元フィルタ(2601)(2602)の各通過帯域以外の成分(すなわち、残りの成分)を抽出する。2次元フィルタ(2601)(2602)(2605)の各出力信号を加算器(2606)で加算し、混合器(2009)の出力とする。
【0130】
なお、同図中に示す2次元フィルタ(2601)(2602)(2605)の中の丸で囲まれた数字はそれぞれのフィルタのタップ係数の一例を示している。(各フィルタの係数は説明の簡略化のため、整数にて表記している。本来の係数値は丸で囲まれた数字とその右部に示された「×1/16」等に示される演算の積である。例えば、2次元フィルタ(2601)では丸で囲まれた各数字にそれぞれ1/16を乗算したのが本来の係数値である。以下の実施例に示される2次元フィルタの係数において同じ。)
2次元フィルタ(2601)は±μs/2を通過帯域の中心周波数とする水平バンドパスフィルタと垂直ローパスフィルタの積とし、2次元フィルタ(2602)は±νs/2を通過帯域の中心周波数とする垂直バンドパスフィルタと水平ローパスフィルタの積とし、2次元フィルタ(2605)は全帯域から2次元フィルタ(2601)と2次元フィルタ(2602)の通過帯域を減じた特性とすればよい。
【0131】
次に、図34を用いて、実施例7に係る画像信号処理装置における処理と上記従来技術の動作の違いを説明する。同図(a)は、解像度変換部(4)に入力されたフレーム#1(3401)、フレーム#2(3402)、フレーム#3(3403)、フレーム#4(3404)、フレーム#5(3405)を示し、同図(b)は解像度変換部(4)から出力された各フレームを示す。各フレームにて、被写体が1/4画素ずつ右回りに移動し、4フレームで1周するように意図的に被写体を移動させる。この動きをフレーム#6以降も同様に連続させる。
【0132】
特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術では、上述したよう、水平・垂直の2次元の入力信号に対して高解像度化する場合、折返しが縦横2方向から来るので、原信号の帯域が縦横共に2倍に広がると、3つの折返し成分が重なり、それらを打ち消すためには2M+1=7個のデジタルデータ(=7枚のフレーム画像の信号)を必要としていた。従って、図34(a)に示すような4フレームで一巡するような信号を入力した場合、どの7フレームを選択しても独立したデータが得られないため、高解像度化処理による解が不定となり求められない。
【0133】
一方、本実施例を用いれば、例えば隣接する2フレーム(例えば、フレーム#1(3401)とフレーム#2(3402)、(あるいはフレーム#2(3402)とフレーム#3(3403)))を用いて、同図(b)に示すように水平方向(あるいは垂直方向)の折返し成分を除去して高解像度化を実現できる。すなわち、同図(a)の入力画像をテストパターンとして用いることにより、本実施例の動作状況を確認することができる。このテストパターンの絵柄として、一般的によく知られている円形ゾーンプレート(CZP:Circular Zone Plate)を用いれば、解像度変換の効果を表示部(3)にて直視できるようになる。すなわち、円形ゾーンプレートをフレームごとに左右に移動させれば水平方向の解像度が向上した画像が表示され、上下(あるいは斜め)に移動させれば垂直方向(あるいは斜め方向)の解像度が向上した画像が表示されるなど、テストパターンの移動方向に応じた解像度向上の効果を確認することができる。
【0134】
以上説明した実施例7に係る画像信号処理装置によれば、2枚の入力画像フレームの各画像信号に対して位相シフト行い、各画像信号からぞれぞれ2つの信号を生成する。これにより、2枚の入力画像フレームの画像信号から4つの信号を生成する。ここで、2枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該4つの信号の各信号について、当該4つの信号の折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成する画像のそれぞれの画素について、上記4つの信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。これを生成画像の各画素について行うことにより、入力画像フレームよりも1次元方向に高解像度化した画像を生成する。
【0135】
これを水平方向と垂直方向のそれぞれに行い、水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像を生成する。当該水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像とについて、それぞれ、垂直方向、水平方向にアップレート処理を行ったのち、両者を混合する。
【0136】
これにより、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームの各画像信号から、垂直方向と水平方向との両方向に高解像度化した高解像度画像を生成することができる。すなわち、2次元高解像度画像を生成することができる。
【0137】
また、実施例7に係る画像信号処理装置は、従来例よりも少ない2枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量を従来例より低減できる。これにより、折り返し成分が少なく、垂直方向と水平方向との両方向について入力画像よりも高解像度な高解像度画像を生成する画像信号処理装置を、従来例よりも低コストに実現することが可能である。
【0138】
なお、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術により、3フレームを用いて水平方向や垂直方向などの1次元の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図20に示す混合器(2009)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。この場合、図20に示したように2フレームのみを用いて2次元の解像度変換を行う構成よりもフレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模が大きくなるが、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されているように、少なくとも7フレームの信号を用いるよりも、フレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模を小さくできる。
【0139】
また、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術に限定されず、その他従来の高解像度化技術を適用して、水平方向や垂直方向などの1次元の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図20に示す混合器(2009)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。
【0140】
また、図20では、フレーム#1とフレーム#2の入力信号の組を用いてフレーム#1の解像度を変換する場合を例に挙げて説明したが、これ以外にも例えば、フレーム#1とフレーム#3、フレーム#1とフレーム#4などの複数の組を用いてそれぞれでフレーム#1の解像度を変換し、それらの結果を混合して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0141】
このときの混合方法として、各結果の平均値をとってもよいし、図23および図24に示したようにフレームごとの係数C4(フレーム)の値に応じて混合してもよい。この場合、係数C4(フレーム)として、フレームごとの係数C4(水平)と係数C4(垂直)のMAX値(小さくないほうの値)を用いてもよい。また、画素ごとにすべての組の係数C4(水平)、C4(垂直)を比較し、係数C4が最も小さい組(すなわち、最も解像度向上効果が大きい組)から得られる解像度変換結果を画素ごとに選択して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0142】
これにより、例えばフレーム#1を基準として、フレーム#2がフレーム#1よりも過去のフレームであり、フレーム#3がフレーム#1よりも未来のフレームの場合、フレーム#1の時点で被写体が「動き」から「静止」に変化した場合(動き終わり)はフレーム#1とフレーム#2により解像度変換処理が行われ、フレーム#1の時点で被写体が「静止」から「動き」に変換した場合(動き始め)はフレーム#1とフレーム#3により解像度変換処理が行われるように画素ごとに各処理結果が混合されるようになるため、被写体の動きを有効に利用でき、解像度向上効果を最も大きくすることができる。
【実施例8】
【0143】
図21に、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、上述した実施例7の構成を変形したものであり、図20に示した解像度変換部(2001)(2005)と補間部(2004)(2008)の処理順序を逆にして、補間処理を行ったのちに解像度変換を行うように構成したものである。これにより、解像度変換部(2001)(2005)の中にあるアップレート器(図1中の(103)(104))と、補間部(2004)(2008)の中にあるアップレート器(図20中の(2002)(2006))を共通化するとともに、水平解像度変換部(2001)と垂直解像度変換部(2005)の中にあるそれぞれの位置推定部(図1中の(101))を共通化できるため、より小さい回路規模および演算量で同様の信号処理を実現できるようになる。
【0144】
図21において、まず位置推定部(2101)により、入力部(1)に入力されたフレーム#1上の処理対象の画素のサンプリング位相(標本化位置)を基準として、フレーム#2上の対応する画素の位置を推定し、水平方向と垂直方向のそれぞれのサンプリング位相差θH(2102)、θV(2103)を求める。
【0145】
次に、動き補償・アップレート部(2110)のアップレート器(2104)(2105)により、位相差θH(2102)、θV(2103)の情報を用いてフレーム#2を動き補償してフレーム#1と位置を合わせるとともに、フレーム#1とフレーム#2の画素数をそれぞれ水平・垂直ともに2倍(合計4倍)に増して高密度化する。アップレート器(2104)(2105)は、図5および図6に示した動作・構成を水平・垂直方向の2次元に拡張したものである。位相シフト部(2111)では、この高密度化したデータの位相を一定量だけシフトする。
【0146】
このとき、水平位相シフト器(2106)は水平方向の位相シフトを行い、垂直位相シフト器(2107)は垂直方向の位相シフトを行うものであり、図1に示した遅延器(105)(107)およびπ/2位相シフト器(108)と図7および図8に示した動作・構成と同様に実施できる為、説明は省略する。
【0147】
位相シフトした各信号に対し、折返し成分除去部(2112)における水平方向の折返し成分除去部(2108)および垂直方向の折返し成分除去部(2109)にてそれぞれ水平・垂直方向の折返し成分を除去する。次に水平方向の折返し成分除去部(2108)の出力を画素補間器(2003)を用いて画素補間してSR(水平)信号ととし、垂直方向の折返し成分除去部(2109)の出力を画素補間器(2007)を用いて画素補間してSR(垂直)信号ととし、これらを混合器(2009)で両者を混合して出力とする。
【0148】
折返し成分除去部(2108)(2109)は、図1に示した折返し成分除去部(117)の構成をそのまま用いることができる。位相差θ(102)として、折返し成分除去部(2108)では水平位相差θH(2102)を用い、折返し成分除去部(2109)では水平位相差θH(2103)を用いて図9に示した動作を行うことにより、それぞれの方向の折返し成分を除去することができる。
【0149】
なお、以上の説明では、位相シフト部(2111)は、図1に示した遅延器(105)(107)およびπ/2位相シフト器(108)と図7および図8に示した動作・構成と同様に実施し、折返し成分除去部(2108)(2109)は、図1に示した折返し成分除去部(117)の構成をそのまま用いるとしたが、これにかえて、位相シフト部(2111)には、図10の位相シフト部(1009)をそれぞれ垂直方向、水平方向用に用い、折返し成分除去部(2108)(2109)は、図10の折り返し成分除去手段(1010)をそれぞれ用いてもよい。さらにこのとき、折返し成分除去部(2108)(2109)のそれぞれに図11の補助的画素補間部(1105)を図11と同様に備える構成としてもよい。
【0150】
なお、混合器(2009)については実施例7と同様であるので、説明を省略する。
【0151】
また、図34に示した入力フレームに対する動作も実施例7と同様であるので、説明を省略する。
【0152】
以上説明した実施例8に係る画像信号処理装置は、実施例7に係る画像信号処理装置の効果を有しながら、実施例7に係る画像信号処理装置に比べて一部の処理部を共通化することにより、実施例7に係る画像信号処理装置よりも小さい回路規模および演算量で同様の信号処理を実現することが可能であるという効果を有する。
【0153】
なお、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術により、3フレームを用いて水平方向や垂直方向などの1次元の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図21に示す混合器(2009)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。この場合、図21に示したように2フレームのみを用いて2次元の解像度変換を行う構成よりもフレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模が大きくなるが、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されているように、少なくとも7フレームの信号を用いるよりも、フレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模を小さくできる。
【0154】
また、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術に限定されず、その他の従来の高解像度化技術を適用して、水平方向や垂直方向などの1次元の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図21に示す混合器(2009)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。
【0155】
また、図21では、フレーム#1とフレーム#2の入力信号の組を用いてフレーム#1の解像度を変換する場合を例に挙げて説明したが、これ以外にも例えば、フレーム#1とフレーム#3、フレーム#1とフレーム#4などの複数の組を用いてそれぞれでフレーム#1の解像度を変換し、それらの結果を混合して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0156】
このときの混合方法として、各結果の平均値をとってもよいし、図23および図24に示したようにフレームごとの係数C4(フレーム)の値に応じて混合してもよい。この場合、係数C4(フレーム)として、フレームごとの係数C4(水平)と係数C4(垂直)のMAX値(小さくないほうの値)を用いてもよい。また、画素ごとにすべての組の係数C4(水平)、C4(垂直)を比較し、係数C4が最も小さい組(すなわち、最も解像度向上効果が大きい組)から得られる解像度変換結果を画素ごとに選択して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0157】
これにより、例えばフレーム#1を基準として、フレーム#2がフレーム#1よりも過去のフレームであり、フレーム#3がフレーム#1よりも未来のフレームの場合、フレーム#1の時点で被写体が「動き」から「静止」に変化した場合(動き終わり)はフレーム#1とフレーム#2により解像度変換処理が行われ、フレーム#1の時点で被写体が「静止」から「動き」に変換した場合(動き始め)はフレーム#1とフレーム#3により解像度変換処理が行われるように画素ごとに各処理結果が混合されるようになるため、被写体の動きを有効に利用でき、解像度向上効果を最も大きくすることができる。
【実施例9】
【0158】
図27に、本発明の実施例9に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、図21に示した構成例に、さらに右下および右上方向の斜め成分の高解像度変換部を加えた構成としている。すなわち、位相シフト部(2708)に斜め(右下)位相シフト部(2701)と斜め(右上)位相シフト部(2702)を追加するとともに、折返し成分除去部(2709)に折返し成分除去部(2705)(2706)を追加し、画素補間器(2710)(2711)をそれぞれ介したのちに、SR(水平)、SR(垂直)、SR(右上)、SR(右下)の各信号を混合部(2707)にて混合し、出力とする。ここで、画素補間器(2710)(2711)は、補間したい画素の上下左右の画素データの平均値を出力するような、一般的な2次元ローパスフィルタを用いればよい。
【0159】
位相差θとして斜め方向の位相差情報が必要であり、水平位相差θH(2102)と垂直位相差θV(2103)を加算器(2703)で加算した位相差(θH+θV)を折返し成分除去部(2705)に入力し、減算器(2704)で生成した位相差(-θH+θV)を折返し成分除去部(2706)に入力するように構成すればよい。なお、折返し成分除去部(2106)(2109)(2705)(2706)の構成および動作は、すべて共通である。
【0160】
図28(a)〜(d)に、2次元周波数領域における水平位相シフト部(2106)、垂直位相シフト部(2107)、斜め(右下)位相シフト部(2701)、斜め(右上)位相シフト部(2702)のそれぞれの動作を示す。図28(a)〜(d)は図25と同様に水平周波数をμ、垂直周波数をνとして表した2次元周波数領域である。これらの位相シフト部(2106)(2107)(2701)(2702)は、図1に示した位相シフト部(116)と同様の構成とし、その中のπ/2位相シフト器(106)(108)の「周波数-位相差」特性をそれぞれの方向に合わせて変更する。
【0161】
すなわち、同図(a)において、水平位相シフト部(2106)では、入力信号の水平周波数サンプリング周波数をμsとした場合に、図7に示した動作と同様に、-μs〜0の範囲の周波数成分の位相をπ/2だけシフトし、0〜μsの範囲の周波数成分の位相を-π/2だけシフトする。同様に、垂直位相シフト部(2107)では、入力信号の垂直周波数サンプリング周波数をνsとした場合に、-νs〜0の範囲の周波数成分の位相をπ/2だけシフトし、0〜νsの範囲の周波数成分の位相を-π/2だけシフトする。
【0162】
同様に、斜め(右下)位相シフト部(2701)および斜め(右上)位相シフト部(2702)では、同図(c)および同図(d)にそれぞれ示すように、信号の位相を-π/2あるいはπ/2だけシフトする。これらの「周波数-位相差」特性は、図8に示したタップ係数を、2次元のサンプリング点に合わせて水平、垂直、斜め(右下)、斜め(右上)のそれぞれの方向に配置することにより容易に実現できる。
【0163】
図29に、混合器(2707)の第1の構成例を示す。同図において、加算器(2901)と乗算器(2902)を用いて、混合器(2707)に入力されたSR(水平)、SR(垂直)、SR(右下)、SR(右上)の各信号の平均値を生成して出力する。同図に示す構成は、混合器(2707)を最も簡単に構成した例であるが、水平・垂直・右下・右上の各解像度向上効果もそれぞれ1/4になってしまう。
【0164】
図30に、混合器(2707)の第2の構成例を示す。同図において、混合器(2707)に入力されたSR(水平)、SR(垂直)、SR(右下)、SR(右上)の各信号に対し、乗算器(3005)、乗算器(3006)、 乗算器(3007)、乗算器(3008)を用いて、係数K(水平)、係数K(垂直)、係数K(右下)、係数K(右上)をそれぞれ乗じ、加算器(3009)でそれらの信号を加算して出力とする。係数K(水平)、係数K(垂直)、係数K(右下)、係数K(右上)は、それぞれ係数決定器(3001)(3002)(3003)(3004)にて生成する。以下、この係数決定器(3001)(3002)(3003)(3004)の動作について説明する。
【0165】
図27に示した折返し成分除去部(2108)(2109)(2705)(2706)は、同図に示す位相差θH(2102)、位相差θV(2103)、位相差(θH+θV)、位相差(-θH+θV)をもとに、図1に示す係数決定器(109)にて図9に示す係数C0〜C3を発生して折返し成分除去の演算を行う。このとき、位相差θH(2102)、θV(2103)、(θH+θV)、(-θH+θV)が0のときに係数C1およびC3が不定になることや、位相差θH(2102)、θV(2103)、(θH+θV)、(-θH+θV)が0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になることを防ぐために、図13に示す係数C4(0≦C4≦1)を導入して、図11に示す構成のように補助的画素補間を行うのが好ましい。逆に言えば、係数C4の値が0.0のときは解像度向上の効果があるが、係数C4の値が1.0に近づくにつれて、解像度向上の効果が小さくなることになる。この性質を利用し、水平位相差θH(2102)が0近傍(すなわち、係数C4(水平)が1.0近傍)のときは水平解像度変換結果のSR(水平)が弱くなり、水平位相差θH(2102)が0近傍でないとき(すなわち、係数C4(水平)が0.0近傍のとき)は水平解像度変換結果のSR(水平)が強くなるように、係数決定器(3001)にて係数K(水平)を決定する。
【0166】
この一例として、係数K(水平)=(1+C4(水平)*3-C4(垂直)-C4(右下)-C4(右上))/4とすればよい。同様に、係数決定器(3002)(3003)(3004)にて、それぞれ係数K(垂直)、K(右下)、K(右上)を決定する。このとき、独立して変化する係数C4(水平)、係数C4(垂直)、係数C4(右下)、係数C4(右上)に対して、係数K(水平)+係数K(垂直)+係数K(右下)+係数K(右上)=1.0となるよう係数Kを決定して、SR(水平)、SR(垂直)、SR(右下)、SR(右上)を混合する。
【0167】
図31および図32に、混合器(2707)の第3の動作および構成例をそれぞれ示す。図31は図25と同様に水平周波数をμ、垂直周波数をνとして表した2次元周波数領域である。図31において、もとの入力画像の水平サンプリング周波数をμs、垂直サンプリング周波数をνsとすると、図27に示した解像度変換部(4)の出力は、水平周波数μが-μs〜μsの範囲、垂直周波数νが-νs〜νsの範囲の信号となる。
【0168】
斜め(右上)の解像度変換による効果が大きいのは、図31に示すような(μ,ν)=(+μs/2, +νs/2)の近傍と(μ,ν)=(-μs/2, -νs/2)の近傍の周波数領域(3101)の成分(特に(μ,ν)=(+μs/2, +νs/2)を含み、μ>0, ν>0となる周波数の領域と、(μ,ν)=(-μs/2, -νs/2)を含み、μ<0, ν<0となる周波数の領域の成分)となる。
【0169】
斜め(右下)の解像度変換による効果が大きいのは、図31に示すような(μ,ν)=(+μs/2,-νs/2)の近傍と(μ,ν)=(-μs/2, +νs/2)の近傍の周波数領域(3102)の成分(特に(μ,ν)=(+μs/2, -νs/2)を含み、μ>0, ν<0となる周波数の領域と、(μ,ν)=(-μs/2, +νs/2)を含み、μ<0, ν>0となる周波数の領域の成分)となる。
【0170】
従って、これらの周波数成分(3101)(3102)を2次元フィルタで抽出し、図25に示した周波数成分(2501)(2502)も併せて混合すると、解像度向上効果が大きい成分を選択的に出力することができる。
【0171】
図32に、水平・垂直・斜め(右下)・斜め(右上)の各解像度変換による効果が大きい成分を抽出する混合器(2707)の構成例を示す。同図において、2次元フィルタ(3201)を用いて、混合器(2707)に入力されたSR(右下)の解像度向上効果が大きい周波数領域(3102)の成分を抽出する。同様に、2次元フィルタ(3202)を用いて、混合器(2707)に入力されたSR(右上)の解像度向上効果が大きい周波数領域(3101)の成分を抽出する。また、図26に示した2次元フィルタ(2601)(2602)により、それぞれSR(水平)およびSR(垂直)の解像度向上効果が大きい周波数領域(2501)(2502)の成分を抽出する。周波数領域(2501)(2502)(3101)(3102)以外の成分として、加算器(3203)と乗算器(3204)を用いてSR(水平)、SR(垂直)、SR(右下)、SR(右上)の平均の信号を作り、2次元フィルタ(3205)を用いて、2次元フィルタ(2601)(2602)(3201)(3202)の各通過帯域以外の成分を抽出する。2次元フィルタ(2601)(2602)(3201)(3202)(3205)の各出力信号を加算器(3206)で加算し、混合器(2707)の出力とする。
【0172】
なお、同図中に示す2次元フィルタ(2601)(2602)(3201)(3202)(3205)の中の丸で囲まれた数字は、それぞれのフィルタのタップ係数の一例を示す。
【0173】
以上説明した実施例9に係る画像信号処理装置によれば、水平方向と垂直方向に加えて、斜め方向をも高解像度化した高解像度画像を生成することができる。
【0174】
なお、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術により、3フレームを用いて1次元(水平・垂直・斜め(右下)・斜め(右上))の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図27に示す混合器(2707)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。この場合、図27に示したように2フレームのみを用いて2次元の解像度変換を行う構成よりもフレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模が大きくなるが、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されているように少なくとも7フレームの信号を用いるよりも、フレームメモリや動き推定部などの信号処理回路の規模を小さくできる。
【0175】
また、特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術に限定されず、その他の従来の高解像度化技術を適用して1次元(水平・垂直・斜め(右下)・斜め(右上))の高解像度化を複数方向に対して行い、それらの各結果を図27に示す混合器(2707)に入力して混合し、2次元の解像度変換結果として出力してもよい。
【0176】
また、図27では、フレーム#1とフレーム#2の入力信号の組を用いてフレーム#1の解像度を変換する場合を例に挙げて説明したが、これ以外にも例えば、フレーム#1とフレーム#3、フレーム#1とフレーム#4などの複数の組を用いてそれぞれでフレーム#1の解像度を変換し、それらの結果を混合して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0177】
このときの混合方法として、各結果の平均値をとってもよいし、図23および図24に示したようにフレームごとの係数C4(フレーム)の値に応じて混合してもよい。この場合、係数C4(フレーム)として、フレームごとの係数C4(水平)と係数C4(垂直)のMAX値(小さくないほうの値)を用いてもよい。また、画素ごとにすべての組の係数C4(水平)、C4(垂直)を比較し、係数C4が最も小さい組(すなわち、最も解像度向上効果が大きい組)から得られる解像度変換結果を画素ごとに選択して、フレーム#1の最終的な解像度変換結果としてもよい。
【0178】
これにより、例えばフレーム#1を基準として、フレーム#2がフレーム#1よりも過去のフレームであり、フレーム#3がフレーム#1よりも未来のフレームの場合、フレーム#1の時点で被写体が「動き」から「静止」に変化した場合(動き終わり)はフレーム#1とフレーム#2により解像度変換処理が行われ、フレーム#1の時点で被写体が「静止」から「動き」に変換した場合(動き始め)はフレーム#1とフレーム#3により解像度変換処理が行われるように画素ごとに各処理結果が混合されるようになるため、被写体の動きを有効に利用でき、解像度向上効果を最も大きくすることができる。
【実施例10】
【0179】
図33を用いて本発明の実施例10に係る画像信号処理方法について説明する。
【0180】
実施例10は、実施例9に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。本実施例の画像信号処理方法を行う画像処理装置は実施例2と同様の図18に示す画像処理装置であるので説明を省略する。
【0181】
図33に、本実施例の動作のフローチャートの一例を示す。図33のフローチャートは、ステップ(3301)から開始し、ステップ(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)にてそれぞれ水平、垂直、斜め(右下)、斜め(右上)の高解像度化を行う。ここで、各ステップ(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)では、図14乃至図16に示した処理ステップ(5)、あるいは後述する図42乃至図44に示す処理ステップ(5)のいずれか、水平、垂直、斜め(右下)、斜め(右上)の各方向に実行すればよい。すなわち、π/2位相シフト(1407)(1408)、ヒルベルト変換(1510)などの「周波数-位相」特性を、図28に示すようにそれぞれの方向に応じて変更するとともに、位相差θをθH、θV、(θH+θV)、(-θH+θV)にそれぞれ置き換えて処理すればよい。各ステップ(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)の処理結果は、図14乃至図16を用いて説明したように、それぞれのフレームバッファ#3に書き込まれる。続くステップ(3302-1)(3302-2)(3302-3) (3302-4)では、それぞれ垂直、水平、斜め方向の画素補間を行い、出力するフレームの水平・垂直の画素数と同じになるように、2次元フレームバッファ#3の全画素を生成する。続くステップ(3303)では、図29、図30、図32を用いて説明した方法に従って各フレームバッファ#3のデータを画素ごとに混合して、出力用のフレームバッファ#4に出力する。なお、上記第8乃至実施例9の動作をソフトウェアプログラムにより実現する場合には、斜め方向の処理を行うステップ(5-3)(5-4)、それらの結果に対して画素補間を行うステップ(3302-3)(3302-4)は不要である。また、ステップ(3303)の混合方法として、図22、図23、図26を用いて説明した方法に従って、データを混合する。
【0182】
以上説明した実施例10に係る画像信号処理方法によれば、水平方向と垂直方向に加えて、斜め方向をも高解像度化した高解像度画像を生成することができる。
【実施例11】
【0183】
図38に、本発明の実施例11に係る画像処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの動画像のフレーム列が入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力された4枚のフレームを用いて、水平方向に2倍、垂直方向にそれぞれ2倍の高解像度化を行うための解像度変換部(8)と、更にこの解像度変換部(8)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)とを備えている。この解像度変換部(8)では、入力された4枚のフレームの各画像信号に対して、水平方向、垂直方向および水平・垂直方向のそれぞれに位相シフトを行うことによって、2次元周波数領域における折返し成分を除去して、2次元の高解像度化を実現する。以下、解像度変換部(8)の詳細について説明する。
【0184】
図38において、まず位置推定部(3806-2)(3806-3)(3806-4)により、入力部(1)から入力されたフレーム#1上の処理対象の画素の2次元的なサンプリング位置(標本化位置)を基準として、フレーム#2、フレーム#3、フレーム#4の上のそれぞれの対応する画像の2次元的な位置を推定し、水平位相差θH2(3807-2)、θH3(3807-3)、θH4(3807-4)、および垂直位相差θV2(3808-2)、θV3(3808-3)、θV4(3808-4)を求める。次に、動き補償・アップレート部(3810)の水平・垂直アップレート器(3801-1)(3801-2)(3801-3)(3801-4)により、上記位相差θH2(3807-2)、θH3(3807-3)、θH4(3807-4)、θV2(3808-2)、θV3(3808-3)、θV4(3808-4)の各情報を用いて、フレーム#2、フレーム#3、フレーム#4を動き補償してフレーム#1と位置を合わせるとともに、各フレームの画素数をそれぞれ水平2倍化、垂直2倍化して、合計4倍に高密度化する。位相シフト部(3811)では、この高密度化したデータの位相を、水平位相シフト器(3803-1)(3803-2)(3803-3)(3803-4)、垂直位相シフト器(3804-1)(3804-2)(3804-3)(3804-4)、水平・垂直位相シフト器(3805-1)(3805-2)(3805-3)(3805-4)を用いて、水平方向、垂直方向、水平・垂直方向にそれぞれ一定量だけシフトする。ここで、データの位相を一定量だけシフトする手段とし
て、上述したヒルベルト変換器などのπ/2位相シフト器を用いることができる。折返し成分除去部(3809)では、上述した位相シフト部(3811)からの合計16個の信号と、位相推定部(3812)からの合計6個の位相差信号を用いて、水平・垂直のそれぞれの方向の折返し成分を除去し、出力を得る。この出力は、表示部3に供給される。なお、位置推定部(3806-2)(3806-3)(3806-4)は、上記従来技術をそのまま用いて実現することができる。水平・垂直アップレート器(3801-1)(3801-2)(3801-3)(3801-4)は、図5および図6に示した動作・構成を水平・垂直方向の2次元に拡張したものである。位相シフト部(3811)、折返し成分除去部(3809)の各詳細については後述する。
【0185】
図39に、水平・垂直位相シフト器(3805-1)(3805-2)(3805-3)(3805-4)の構成例を示す。画像信号の水平方向の位相と垂直方向の位相は互いに独立なため、水平・垂直位相シフト器(3805)は、垂直位相シフト器(3804)と水平位相シフト器(3803)を同図のように直列に組み合わせて実現できる。また、接続順序を逆にし、水平位相シフト器(3803)を垂直位相シフト器(3804)の前に配置しても同一の動作となることは明らかである。
【0186】
図40に、上述した位相シフト部(3811)、折返し成分除去部(3809)の各詳細な動作を示す。同図(a)は、水平周波数をμ、垂直周波数をνとして表した2次元周波数領域である
。もとの入力画像の水平サンプリング周波数をμs、垂直サンプリング周波数をνsとすると、同図(a)の原点(すなわち(μ,ν)=(0, 0))の近傍の信号を原成分として、(μ,ν)=(μs, 0)、(μ,ν)=(0,νs)、(μ,ν)=(μs,νs)の位置に折返し成分が生じることがよく知られている。なお、これらの原点対称の位置(すなわち、(μ,ν)=(-μs, 0)、(μ,ν)=(0, -νs)、(μ,ν)=(-μs,-νs))にも折返し成分が生じるが、これらは周波数の対称性により、(μ,ν)=(μs, 0)、(μ,ν)=(0,νs)、(μ,ν)=(μs,νs)の位置の折返し成分とそれぞれ等価である。図38に示した解像度変換部(8)にて、水平方向に2倍、垂直方向にそれぞれ2倍の高解像度化を行うには、動き補償・アップレート部(3810)にて水平方向、垂直方向のそれぞれに2倍のアップレート(0挿入)を行って画素数を4倍にしたのちに、図40(a)に示した(μ,ν)=(μs, 0)、(μ,ν)=(0,νs)、(μ,ν)=(μs,νs)の位置に生じた折返し成分を除去すればよい。以下、その動作について説明する。
【0187】
図40(b)に、(μ,ν)=(0, 0) 、(μ,ν)=(μs, 0)、(μ,ν)=(0,νs)、(μ,ν)=(μs,νs)の位置における各成分の水平位相回転と垂直位相回転の様子を示す。図4に示したように、サンプリング位相が異なる複数のフレーム間では、原成分の位相回転は生じず、折返し成分のみがサンプリング位相差に応じて位相回転する。そこで、原成分の位相を基準(Re軸)とし、図38に示した位相シフト部(3811)によって水平、垂直、水平・垂直方向に位相直交軸(Im軸)の成分が発生することを考えると、図40(b)に示すように、原成分である(μ,ν)=(0, 0)(すなわち、#1)の水平Re軸(=水平方向の位相回転なし)かつ垂直Re軸(垂直方向の位相回転なし)の成分の値(各位相シフト後の信号の合計値)だけを「1」とし、他の成分(すなわち、#2〜#16)の値を「0」とすれば、折返し成分をキャンセルして、原成分だけを抽出することができる。
【0188】
図40(c)に、上記図40(b)に示した位相関係を実現するためのマトリクス演算式を示す。同図において、Mは16×16の要素を持つマトリクスであり、水平、垂直、水平・垂直の各位相回転を示す演算である。このマトリクスMの詳細については、後述する。また、同図の左辺は図40(b)の「値」を示し、右辺のC1ReRe乃至C4ImImは図38に示した折返し成分除去部(3809)にて位相シフト部(3811)の各出力信号に乗じる係数を示す。すなわち、図38に示すフレーム#1については、遅延器(3802-1)の出力信号に係数C1ReReを乗じ、水平位相シフト器(3803-1)の出力信号に係数C1ImReを乗じ、垂直位相シフト器(3804-1)の出力信号に係数C1ReImを乗じ、水平・垂直位相シフト器(3805-1)の出力信号に係数C1ImImを乗じる。以下同様に、フレーム#2については、遅延器(3802-2)の出力信号に係数C2ReReを乗じ、水平位相シフト器(3803-2)の出力信号に係数C2ImReを乗じ、垂直位相シフト器(3804-2)の出力信号に係数C2ReImを乗じ、水平・垂直位相シフト器(3805-2)の出力信号に係数C2ImImを乗じる。フレーム#3については、遅延器(3802-3)の出力信号に係数C1ReReを乗じ、水平位相シフト器(3803-3)の出力信号に係数C3ImReを乗じ、垂直位相シフト器(3804-3)の出力信号に係数C3ReImを乗じ、水平・垂直位相シフト器(3805-3)の出力信号に係数C3ImImを乗じる。フレーム#4については、遅延器(3802-4)の出力信号に係数C4ReReを乗じ、水平位相シフト器(3803-4)の出力信号に係数C4ImReを乗じ、垂直位相シフト器(3804-4)の出力信号に係数C4ReImを乗じ、水平・垂直位相シフト器(3805-4)の出力信号に係数C4ImImを乗じる。後述する折返し成分除去部(3809)にて、上記の係数を乗じた合計16の信号をすべて加算したときに、図40(c)の関係が常に成り立つように上記係数C1ReRe乃至C4ImImを定めれば、折返し成分をキャンセルして、原成分だけを抽出することができる。
【0189】
図40(d)に、マトリクスMの詳細を示す。マトリクスMは、上述したように16×16の要素を持つマトリクスであり、mij(ただし、行番号iと列番号jは、1≦i≦4、1≦j≦4を満たす整数)で表される4×4の要素を持つ部分マトリクスから構成される。この部分マトリクスmijは、行番号iに応じて同図(e)(f)(g)(h)のように分類される。
【0190】
図40(e)に、行番号i=1のときの部分マトリクスm1j(すなわち、m11、m12、m13、m14)の各要素を示す。この部分マトリクスm1jは、周波数(μ,ν)=(0, 0)の成分に作用する要素であり、フレーム間のサンプリング位相差にかかわらず水平・垂直の位相回転は生じないため、単位マトリクス(すなわち、右下がりの対角線上にある要素がすべて1で、残りの要素がすべて0のマトリクス)となる。
【0191】
図40(f)に、行番号i=2のときの部分マトリクスm2j(すなわち、m21、m22、m23、m24)の各要素を示す。この部分マトリクスm2jは、(μ,ν)=(μs, 0)の成分に作用する要素であり、サンプリングの水平位相差θHj(ただし、jは1≦j≦4を満たす整数)に応じて、水平方向の位相を回転させる回転マトリクスとなる。すなわち、垂直位相軸が共通の図40(b)に示す#5と#6、および#7と#8をそれぞれペアとして、水平周波数軸を中心にθHjだけ位相回転させる回転マトリクスとなる。なお、j=1のときの水平位相差θH1は図38に示されていないが、これはフレーム#1(基準)とフレーム#1(処理対象=基準と同一)との間の位相差(=0)と解釈し、θH1=0として扱えばよい。以下、垂直位相差θV1についても同様にθV1=0として扱う。
【0192】
図40(g)に、行番号i=3のときの部分マトリクスm3j(すなわち、m31、m32、m33、m34)の各要素を示す。この部分マトリクスm3jは、(μ,ν)=(0,νs)の成分に作用する要素であり、サンプリングの垂直位相差θVj(ただし、jは1≦j≦4を満たす整数)に応じて、垂直方向の位相を回転させる回転マトリクスとなる。すなわち、水平位相軸が共通の図40(b)に示す#9と#11、および#10と#12をそれぞれペアとして、垂直周波数軸を中心にθVjだけ位相回転させる回転マトリクスとなる。
【0193】
図40(h)に、行番号i=4のときの部分マトリクスm4j(すなわち、m41、m42、m43、m44)の各要素を示す。この部分マトリクスm4jは、(μ,ν)=(μs,νs)の成分に作用する要素であり、サンプリングの水平位相差θHjと垂直位相差θVj(ただし、jは1≦j≦4を満たす整数)の両方に応じて、水平方向、垂直方向ともに位相を回転させる回転マトリクスとなる。すなわち、上記m2jとm3jの積となる。
【0194】
別の見方をすると、m1j、m2j、m3jについても、m4jのように水平方向、垂直方向ともに位相を回転させる回転マトリクスとし、m1jの場合はθHj=θVj=0、m2jの場合はθVj=0、m3jの場合はθHj=0、に設定したと考えても、上記説明と同一の部分マトリクスとなる。
【0195】
このように、各サンプリング位相差(θHj、θVj)をもとにマトリクスMを決定し、図40(c)に示す等式が常に成り立つように、合計16個の係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定する。この際、マトリクスMに対する逆マトリクスM-1を予め求めておき、図40(i)に示す演算によって係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定すればよい。逆マトリクスM-1を求める方法として、余因子行列を使う方法、Gauss-Jordanの掃き出し法を使う方法、三角行列にわけて計算する方法などがよく知られているため、ここでは図示を省略する。
【0196】
図41に、図38に示した折返し成分除去部(3809)の詳細な構成例を示す。同図において、係数決定部(4101)では、図38に示した位置推定部(3812)から出力される水平位相差(θH2、θH3、θH4)および垂直位相差(θV2、θV3、θV4)に基づき、図40(i)に示した逆マトリクス演算によって、各係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を生成する。これらの係数を、位相シフト部(3811)から出力された各フレームの信号と乗算器(4102)によって掛け合わせ、加算器(4103)により全加算して、折返し成分除去部(3809)の出力信号(すなわち、解像度変換部(8)の出力信号)とする。なお、水平位相差(θH2、θH3、θH4)および垂直位相差(θV2、θV3、θV4)は入力フレーム上の画素ごとに値が異なることが一般的なため、画素ごとに上述の逆マトリクス演算を行う必要がある。このとき、水平位相差(θH2、θH3、θH4)および垂直位相差(θV2、θV3、θV4)を代表的な位相差(例えば、図9(d)に示したようなπ/8の整数倍など)として予め各係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を生成しておき、ROM(Read Only Memory)などを用いてテーブル化しておいてもよい。これは、一般的なテーブル参照方式としてよく知られているため、図示は省略する。
【0197】
図42に、図38に示した折返し成分除去部(3809)の他の構成例を示す。上述の説明では、図40(c)に示す等式が常に成り立つように、合計16個の係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定する際に、マトリクスMに対する逆マトリクスM-1を予め求めておき、図40(i)に示す演算によって係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定しようとしたが、水平位相差(θH2、θH3、θH4)および垂直位相差(θV2、θV3、θV4)の値によっては逆マトリクスM-1が存在せず、係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定できない場合がある。逆マトリクスM-1が存在するかどうかは、係数決定部(4101)にて逆マトリクスM-1を算出する際に、余因子行列を使う方法、Gauss-Jordanの掃き出し法を使う方法、三角行列にわけて計算する方法などの演算過程で容易に判定可能であり、逆マトリクスM-1が存在しない場合は、上述した図21などに示した解像度変換部(4)によってフレーム#1とフレーム#2を用いて出力信号を得るように、出力信号を切り替えればよい。すなわち、図42に示す水平方向の折返し成分除去部(2108)、垂直方向の折返し成分除去部(2109)、画素補間器(2003)(2007)、混合器(2009)を用い、位相シフト部(3811)から出力されたフレーム#1とフレーム#2、および、位置推定部から出力された水平位相差θH2(3807-2)と垂直位相差θV2(3808-2)をもとに、解像度変換結果を生成し、切替器(4201)を用いて上述した加算器(4103)の結果と切り替えて、出力信号とすればよい。なお、切替器(4201)を用いて2値的に切り替えるのではなく、加算器(4103)の出力と混合器(2009)の出力とを連続的に混合(すなわち加重加算)するように構成し、例えば逆マトリクスM-1が存在しない画素の近傍は混合器(2009)の出力の混合比を増やすように構成してもよい。
【0198】
以上説明した折返し成分の除去処理により、図40(a)に示す2次元周波数領域において、水平方向については中心から(μ,ν)=(μs, 0)まで解像度向上効果が図れる。また、垂直方向については中心から(μ,ν)=(0,νs)まで解像度向上効果が図れる。また、斜め方向については中心から(μ,ν)=(μs,νs) まで解像度向上効果が図れる。
【0199】
ここで、実施例7に係る画像信号処理装置及び画像信号処理方法においても、水平方向と垂直方向に加えて、斜め方向をも高解像度化を行っているが、その斜め方向の解像度向上効果は、図31に示すように、(μ,ν)=(μs,νs) までは及ばない。
【0200】
よって、図38に示す画像信号処理装置は、実施例7に係る画像信号処理装置よりも斜め方向において高周波成分まで解像度向上が可能となるという効果を有する。
【0201】
次に、図44を用いて、本発明の実施例11に係る画像信号処理装置と従来技術の動作の違いを説明する。同図(a)は、図38に示した解像度変換部(8)に入力されたフレーム#1(4401)、フレーム#2(4402)、フレーム#3(4403)、フレーム#4(4404)、フレーム#5(4405)を示し、同図(b)は解像度変換部(8)から出力された各フレームを示す。各フレームにて、被写体が1/4画素ずつ右回りに移動し、4フレームで1周するように意図的に被写体を移動させる。この動きをフレーム#5以降も同様に連続させる。
【0202】
特許文献1、特許文献2、非特許文献1に記載されている従来技術では、上述したよう
に、水平・垂直の2次元の入力信号に対して高解像度化する場合、折返しが縦横2方向から
来るので、原信号の帯域が縦横共に2倍に広がると、3つの折返し成分が重なり、それらを
打ち消すためには2M+1=7個のデジタルデータ(=7枚のフレーム画像の信号)を必要としてい
た。従って、図34(a)に示すような4フレームで一巡するような信号を入力した場合、ど
の7フレームを選択しても独立したデータが得られないため、高解像度化処理による解が
不定となり求められない。
【0203】
一方、実施例11を用いれば、例えば隣接する4フレーム(フレーム#1(4401)とフレーム#2(4402)、フレーム#3(4403)、フレーム#4(4404))を用いて、同図(b)に示すように水平方向、垂直方向、水平・垂直方向の折返し成分を除去して高解像度化を実現できる。すなわち、同図(a)の入力画像をテストパターンとして用いることにより、本実施例の動作状況を確認することができる。このテストパターンの絵柄として、一般的によく知られている円形ゾーンプレート(CZP:Circular Zone Plate)を用いれば、解像度変換の効果を表示部(3)にて直視できるようになる。すなわち、円形ゾーンプレートを図44(a)に示すように4フレームで1周するように移動させれば、つねに水平方向の解像度と垂直方向の解像度が向上した画像が表示されて、解像度向上の効果を確認することができる。
【0204】
以上説明したように、実施例11に係る画像信号処理装置は、4枚の入力画像フレームの各画像信号に対し、方向の異なる複数種類の位相シフト(水平方向、垂直方向、水平・垂直方向)を行うことにより、各画像信号のそれぞれから4つの信号を生成する。これにより、4枚の入力画像フレームの画像信号から16個の信号を生成する。ここで、上記4枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該16個の信号の各信号について、当該16個の信号を折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成画像のそれぞれの画素について、上記16個の信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。
【0205】
これにより、実施例11に係る画像信号処理装置は、水平方向と垂直方向に加えて、右下方向および右上方向の斜め成分をも高解像度化した高解像度画像を生成することができる。
【0206】
また、実施例11に係る画像信号処理装置による解像度向上効果は、斜め方向において、実施例7に係る画像信号処理装置よりもさらに高周波成分まで解像度向上が可能であり、より高画質な高解像度画像を生成することができる。
【実施例12】
【0207】
図43及び図19を用いて本発明の実施例12に係る画像信号処理方法について説明する。
【0208】
実施例12は、実施例11に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。
【0209】
ここで、図19を用いて本実施例に係る画像信号処理方法を実現するための画像処理装置について説明する。図19に示す画像信号処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの画像信号が入力される入力部(1)と、入力部(1)から入力された信号を処理するためのソフトウェアを記憶する記憶部(11)と、記憶部(11)に記憶されるソフトウェアと協働して入力部(1)から入力された信号について画像信号処理を行う制御部(10)と、制御部(10)が当該画像信号処理においてデータのバッファに用いるフレームバッファ#1(31)、フレームバッファ#2(32)、フレームバッファ#3(33)、フレームバッファ#4(34)と、制御部(10)から出力部(3)に出力される画像信号処理後の信号を、フレームバッファするためのバッファ#5(35)とを備える。
【0210】
ここで、図19に示す画像信号処理装置が備える入力部(1)の数は、画像処理に用いるフレーム数である4と同じとしたが、入力部(1)を一つだけ備えて、4つフレームを連続して入力しても構わない。
【0211】
また、データのバッファに用いるフレームバッファ#1(31)、フレームバッファ#2(32)、フレームバッファ#3(33)、フレームバッファ#4(34)、およびソフトウェアを記憶する記憶部(11)は、それぞれが個別のメモリチップを用いて構成してもよいし、1個あるいは複数個のメモリチップを用い、各データアドレスを分割して使用する構成にしてもよい。
【0212】
本実施例において、入力部(1)から入力される画像信号について、制御部(10)が記憶部(11)に記憶されるソフトウェアと協働して画像信号処理を行い、表示部(3)に出力する。当該画像信号処理の詳細は図43を用いて説明する。
【0213】
図43のフローチャートは、ステップ(4301)から開始し、ステップ(4302-1)(4302-2)(4302-3)(4302-4)にて各フレームの画像データを水平・垂直ともにそれぞれ2倍にアップレートする。すなわち、ステップ(4302-1)にてフレーム#1の画像データをアップレートしてフレームバッファ#1に書込み、ステップ(4302-2)にてフレーム#2の画像データをアップレートしてフレームバッファ#2に書き込み、ステップ(4302-3)にてフレーム#3の画像データをアップレートしてフレームバッファ#3に書込み、ステップ(4302-4)にてフレーム#4の画像データをアップレートしてフレームバッファ#4に書き込む。ここで、アップレートとは、各フレームバッファの値を一旦0でクリアしたのちに、水平1画素おき、かつ垂直1画素おきにデータを書き込むことにより実現できる。
【0214】
次に、ステップ(4303)にて、フレームバッファ#1の最初の画素(例えば左上の画素)を処
理対象に設定して、以下、フレームバッファ#1に対するすべての画素データの処理が終わ
るまで、処理をループする。
【0215】
ステップ(4304-2)では、フレームバッファ#1の対象画素を基準にしてフレームバッファ#2の中の対応する画素の位置を推定し、水平位相差θH2と垂直位相差θV2を出力する。同様に、ステップ(4304-3)では、フレームバッファ#1の対象画素を基準にしてフレームバッファ#3の中の対応する画素の位置を推定し、水平位相差θH3と垂直位相差θV3を出力する。また、ステップ(4304-4)では、フレームバッファ#1の対象画素を基準にしてフレームバッファ#4の中の対応する画素の位置を推定し、水平位相差θH4と垂直位相差θV4を出力する。このとき、対応する画素の位置を推定する方法として、上記の従来技術をそのまま用いることができる。
【0216】
ステップ(4305-2)では、ステップ(4304-2)で求めた水平位相差θH2と垂直位相差θV2をもとに、フレームバッファ#2の中の対応する画素の近傍の画素を動き補償する。この動き補償の動作は、図5および図6を用いて説明した動作を、水平方向と垂直方向のそれぞれに対して同様に行えばよい。同様に、ステップ(4305-3)では、ステップ(4304-3)で求めた水平位相差θH3と垂直位相差θV3をもとに、フレームバッファ#3の中の対応する画素の近傍の画素を動き補償する。また、ステップ(4305-4)では、ステップ(4304-4)で求めた水平位相差θH4と垂直位相差θV4をもとに、フレームバッファ#4の中の対応する画素の近傍の画素を動き補償する。
【0217】
続いて、ステップ(4313)にて、フレームバッファ#1と動き補償したフレームバッファ#2、フレームバッファ#3、フレームバッファ#4に対して、ステップ(4306-1)(4306-2)(4306-3)(4306-4)により水平位相を一定量だけシフトし、ステップ(4307-1)(4307-2)(4307-3)(4307-4)により垂直位相を一定量だけシフトする。また、ステップ(4307-1)(4307-2)(4307-3)(4307-4)の結果に対して、さらにステップ(4308-1)(4308-2)(4308-3)(4308-4)によって水平位相を一定量だけシフトすることにより、水平と垂直の両方の位相を、一定量だけシフトする。すなわち、各フレームバッファの中の画素データを、水平方向および垂直方向にπ/2位相シフトする。
【0218】
続いて、ステップ(4309)にて、水平位相差(θH2、θH3、θH4)および垂直位相差(θV2、θV3、θV4)に基づいて図40に示した方法で全16個の各係数(C1ReRe乃至C4ImIm)を決定し、ステップ(4313)の各出力と上記各係数を乗算して加算(加重加算)することにより、フレームバッファ#1、フレームバッファ#2、フレームバッファ#3、フレームバッファ#4の画素データから折返し成分を除去し、フレームバッファ#5に出力する。この折返し成分除去の動作は、図41あるいは図42を用いて説明した動作と同一である。
【0219】
続いて、ステップ(4310)にて、フレームバッファ#1の全画素の処理が完了したかどうか
を判定し、完了していなければ、ステップ(4311)で次の画素(例えば右隣の画素)を処理の
対象に設定してステップ(4304-2)(4304-3)(4304-4)以降に戻り、完了していればステップ(4312)にて処理を終了する。
【0220】
以上のような処理を行うことにより、フレームバッファ#1、フレームバッファ#2、フレームバッファ#3、フレームバッファ#4の画素データを用いて、フレームバッファ#5に高解像度化した信号を出力することができる。動画に応用する場合は、ステップ(4301)からステップ(4312)に至る処理を、フレームごとに繰り返せばよい。
【0221】
なお、図38、図41、図42、図43にて、入力するフレームの枚数を4枚として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、n枚(ただし、nは4以上の整数)のフレームを入力とし、この中から上述の解像度変換処理に適した4枚のフレームを選択して使用するようにしてもよい。例えば、図40(i)に示した逆マトリクス演算を出力する際に、逆マトリクスM-1が存在しない画素ができるだけ少なくなるように、n枚のフレームの中から解像度変換処理に使用する4枚のフレームを選択し、画素ごとあるいは複数の画素からなる領域ごとに切り替える構成にしてもよい。
【0222】
よって、実施例12に係る画像信号処理方法は、斜め方向において実施例10に係る画像信号処理方法よりもさらに高周波成分まで解像度向上が可能となるという効果を有する。その効果の詳細は、実施例11にて説明した図38に示す画像信号処理装置の効果と同様であるため説明を省略する。
【0223】
以上説明したように、実施例12に係る画像信号処理方法は、4枚の入力画像フレームの各画像信号に対し、方向の異なる複数種類の位相シフト(水平方向、垂直方向、水平・垂直方向)を行うことにより、各画像信号のそれぞれから4つの信号を生成する。これにより、4枚の入力画像フレームの画像信号から16個の信号を生成する。ここで、上記4枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該16個の信号の各信号について、当該16個の信号を折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成画像のそれぞれの画素について、上記16個の信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。
【0224】
これにより、実施例12に係る画像信号処理方法は、水平方向と垂直方向に加えて、右下方向および右上方向の斜め成分をも高解像度化した高解像度画像を生成することができる。
【0225】
また、実施例12に係る画像信号処理方法による解像度向上効果は実施例10に係る画像信号処理方法よりも斜め方向において高周波成分まで解像度向上が可能であり、より高画質な高解像度画像を生成することができる。
【0226】
なお、上述した実施例1乃至実施例12に係る画像信号処理装置あるいは画像信号処理方法では、画像の解像度を向上させながら画素数を2倍に増加させる場合を例に挙げて説明したが、この画像信号処理装置あるいは画像信号処理方法を複数回もしくは多段的にに作用させることにより、例えば、画素数を2のべき乗倍(=2倍、4倍、8倍…)に増加させることも可能である。すなわち、2枚の入力画像フレームを用いて信号処理することにより、画素数を2倍に増加させて中間画像フレームとしたのちに、さらにこの中間画像フレームを2枚用いて、新たな入力画像フレームとして信号処理することにより、画素数をさらに2倍に増加させた出力画像フレームを得ることができる。この場合、入力画像フレームと比較して、4倍の画素数の出力画像フレームを得ることができる。同様に、信号処理をトータル3回繰り返せば、入力画像フレームと比較して、出力画像フレームの画素数は8倍になる。この際、1枚の出力画像フレームを得るために必要な入力画像フレームの枚数も、2のべき乗(=2枚、4枚、8枚…)となる。
【0227】
なお、最終的な出力画像に関しては、上記画像処理後に一般的な解像度変換処理をおこなうことにより、上記の2のべき乗倍(=2倍、4倍、8倍…)以外の画素数で出力することも可能である。
【実施例13】
【0228】
図35に、本発明の実施例13に係る画像表示装置を示す。本実施例に係る画像表示装置は、上述の実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理を行う構成とした画像表示装置である。
【0229】
同図において、画像表示装置3500は、例えば、テレビジョン信号などを含む放送波やネットワークなどを介して放送信号や映像コンテンツや画像コンテンツなどを入力する入力部3501と、入力部3501から入力されたコンテンツを録画もしくは再生する録画再生部3502と、録画再生部3502がコンテンツを記録するコンテンツ蓄積部3503と、録画再生部3502が再生した映像信号または画像信号に実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理装置である画像信号処理部3504と、画像信号処理部3504にて処理された映像信号または画像信号を表示する表示部3505と、録画再生部3502が再生した音声信号を出力する音声出力部3506と、画像表示装置3500の各構成部を制御する制御部3507と、ユーザーが画像表示装置3500の操作を行うユーザインターフェース部3508などを備える。
【0230】
画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例7または実施例8に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0231】
画像表示装置3500が実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理装置である画像信号処理部3504を備えることで、入力部3501に入力された映像信号または画像信号をより高解像度で高画質な映像信号または画像信号として表示部3505に表示することができる。よって、表示部3505の表示デバイスの解像度よりも、低解像度の信号が入力部3501から入力された場合も、再生信号を高解像度化しつつ高画質で高精細な表示を行うことが可能となる。
【0232】
また、コンテンツ蓄積部3503に蓄積された映像コンテンツまたは画像コンテンツを再生する際も、より高解像度で高画質な映像信号または画像信号に変換して表示部3505に表示することができる。
【0233】
また、画像信号処理部3504の画像処理をコンテンツ蓄積部3503に蓄積された映像コンテンツまたは画像コンテンツの再生後に行うことにより、コンテンツ蓄積部3503に蓄積されるデータは、表示部3505に表示される解像度のよりも相対的に低解像度である。よって相対的にコンテンツのデータ量を小さくして蓄積できるという効果がある。
【0234】
また、画像信号処理部3504を録画再生部3502に含め、録画時に上述の画像信号処理を行ってもよい。この場合は、再生時には上述の画像信号処理を行う必要が無いため、再生時の処理負荷を低減できるという効果がある。
【0235】
ここで、上述の画像信号処理は画像信号処理部3504にて行うと説明したが、制御部3507とソフトウェアで実現しても良い。この場合、実施例7または実施例8のいずれかの実施例に記載された方法で画像信号処理を行えばよい。
【0236】
本実施例において、録画再生部3502は、録画時は入力部3501から入力された映像などのコンテンツの状態に応じて、符号化を行ってからコンテンツ蓄積部3503に記録すればよい。
【0237】
また、本実施例において、録画再生部3502は、録画時は入力部3501から入力された映像などのコンテンツが符号化された状態であれば、復号化を行って再生すればよい。
【0238】
また、本実施例に係る画像表示装置において、コンテンツ蓄積部3503は必ずしも必要ない。この場合は、録画再生部3503は録画せず、入力部3501から入力された映像などのコンテンツの再生を行えばよい。
【0239】
この場合も、入力部3501に入力された映像信号または画像信号をより高解像度で高画質な映像信号または画像信号として表示部3505に表示することができる。
【0240】
また、画像表示装置3500は、例えば、プラズマテレビでも、液晶テレビでも、ブラウン管でも、プロジェクタでもよく、また他のデバイスを用いた装置でも良い。同様に、表示部3505は例えば、プラズマパネルモジュールでも、LCDモジュールでも、プロジェクタ用デバイスでもよい。また、コンテンツ蓄積部3503は例えば、ハードディスクドライブでも、フラッシュメモリでもよく、リムーバブルメディアディスクドライブでもよい。音声出力部3506は例えば、スピーカ等でもよい。また、入力部3501は、放送波を受信するチューナを備えたものでもよく、またネットワークと接続するLAN用コネクタを備えたものでもよく、USBコネクタを備えたものでもよい。さらに、映像信号や音声信号をデジタル入力する端子を備えたものでもよく、コンポジット端子やコンポーネント端子などのアナログ入力端子を備えたものでもよい。また、ワイヤレスにてデータを転送する受信部でも良い。
【0241】
以上説明した実施例13に係る画像表示装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号に対して位相シフト行い、各画像信号からぞれぞれ2つの信号を生成する。これにより、2枚の入力画像フレームの画像信号から4つの信号を生成する。ここで、2枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該4つの信号の各信号について、当該4つの信号の折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成する画像のそれぞれの画素について、上記4つの信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。これを生成画像の各画素について行うことにより、入力画像フレームよりも1次元方向に高解像度化した画像を生成する。
【0242】
これを水平方向と垂直方向のそれぞれに行い、水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像を生成する。当該水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像とについて、それぞれ、垂直方向、水平方向にアップレート処理を行ったのち、両者を混合する。
【0243】
これにより、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号から、垂直方向と水平方向との両方向に高解像度化した高解像度画像を生成することができる。すなわち2次元高解像度画像を生成することができ、これを表示部に表示することができる。
【0244】
また、また、実施例13に係る画像表示装置は、2枚の入力画像フレームを用いるため、少ない画像処理量で高解像度表示を実現することができる。これにより、折り返し成分が少なく、垂直方向と水平方向との両方向について高解像度な映像または画像を表示部に表示する画像表示装置を実現することが可能である。
【実施例14】
【0245】
本発明の実施例14に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例9に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0246】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例9に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0247】
実施例14に係る画像表示装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像よりも水平方向、垂直方向および斜め方向について高解像度化した高解像度画像を生成することが可能である。またこれを表示部に表示する画像表示装置を実現することができる。
【実施例15】
【0248】
本発明の実施例15に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例11に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0249】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例11に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0250】
実施例15に係る画像表示装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる4枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像よりも水平方向、垂直方向および斜め方向について高解像度化した高解像度画像を生成し、表示部に表示する画像表示装置を実現することができる。
【0251】
また、実施例15に係る画像表示装置による解像度向上効果は、実施例14に係る画像表示装置よりも斜め方向において高周波成分まで解像度向上が可能であり、より高画質な高解像度画像を表示することができる。
【実施例16】
【0252】
本発明の実施例16に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例1、実施例3若しくは実施例5の実施例のうち一の実施例に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0253】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例1、実施例3若しくは実施例5に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0254】
実施例16に係る画像表示装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像に比べて一次元方向に高解像度化した高解像度画像を生成し、表示部に表示する画像表示装置を実現することができる。
【実施例17】
【0255】
図36に、本発明の実施例17に係る録画再生装置を示す。本実施例に係る録画再生装置は、上述の実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理を行う構成とした録画再生装置である。
【0256】
同図において、録画再生装置3600は、例えば、例えば、テレビジョン信号などを含む放送波やネットワークなどを介して放送信号や映像コンテンツや画像コンテンツなどを入力する入力部3501と、入力部3501から入力されたコンテンツを録画もしくは再生する録画再生部3502と、録画再生部3502がコンテンツを記録するコンテンツ蓄積部3503と、録画再生部3502が再生した映像信号または画像信号に実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理装置である画像信号処理部3504と、画像信号処理部3504にて処理された映像信号または画像信号を他の装置などに出力する画像映像出力部3605と、録画再生部3502が再生した音声信号を他の装置などに出力する音声出力部3606と、録画再生装置3600の各構成部を制御する制御部3507と、ユーザーが録画再生装置3600の操作を行うユーザインターフェース部3508などを備える。
【0257】
録画再生装置3600が実施例7または実施例8のいずれか一の実施例に記載された画像信号処理装置である画像信号処理部3504を備えることで、入力部3501に入力された映像信号または画像信号をより高解像度で高画質な映像信号または画像信号として、他の装置などに出力するすることができる。よって、低解像度の映像信号または画像信号を高解像度化しつつ高画質で高精細な映像信号または画像信号に変換する高画質高解像度化信号変換装置が好適に実現できる。
【0258】
また、コンテンツ蓄積部3503に蓄積された映像コンテンツまたは画像コンテンツを再生する際も、より高解像度で高画質な映像信号または画像信号に変換して他の装置などに出力するすることができる。
【0259】
よって、低解像度の映像信号または画像信号を入力して蓄積しておき、再生・出力時には高解像度化しつつ高画質で高精細な映像信号または画像信号に変換して出力する録画再生装置が好適に実現できる。
【0260】
また、画像信号処理部3504の画像処理をコンテンツ蓄積部3503に蓄積された映像コンテンツまたは画像コンテンツの再生後に行うことにより、コンテンツ蓄積部3503に蓄積されるデータは、他の装置に出力する信号の解像度のよりも相対的に低解像度である。よって相対的にコンテンツのデータ量を小さくして蓄積できるという効果がある。
【0261】
また、画像信号処理部3504を録画再生部3502に含め、録画時に上述の画像信号処理を行ってもよい。この場合は、再生時には上述の画像信号処理を行う必要が無いため、再生時の処理負荷を低減できるという効果がある。
【0262】
ここで、上述の画像信号処理は画像信号処理部3504にて行うと説明したが、制御部3507とソフトウェアで実現しても良い。この場合、実施例7または実施例8のいずれかの実施例に記載された方法で画像信号処理を行えばよい。
【0263】
本実施例において、録画再生部3502は、録画時は入力部3501から入力された映像などのコンテンツの状態に応じて、符号化を行ってからコンテンツ蓄積部3503に記録すればよい。
【0264】
また、本実施例において、録画再生部3502は、録画時は入力部3501から入力された映像などのコンテンツが符号化された状態であれば、復号化を行って再生すればよい。
【0265】
また、本実施例に係る画像映像出力部3605と音声出力部3606は一体としても構わない。この場合は、映像信号と音声信号を一本のケーブルで出力するコネクタ形状などを用いることができる。
【0266】
また、録画再生装置3600は、例えば、HDDレコーダでも、DVDレコーダでも、また他の記憶装置デバイスを用いた装置でも良い。同様に、コンテンツ蓄積部3503は例えば、ハードディスクドライブでも、フラッシュメモリでもよく、リムーバブルメディアディスクドライブでもよい。
【0267】
また、入力部3501は、放送波を受信するチューナを備えたものでもよく、またネットワークと接続するLAN用コネクタを備えたものでもよく、USBコネクタを備えたものでもよい。さらに、映像信号や音声信号をデジタル入力する端子を備えたものでもよく、コンポジット端子やコンポーネント端子などのアナログ入力端子を備えたものでもよい。また、ワイヤレスでデータを転送する受信部でも良い。
【0268】
また、画像映像出力部3605は映像信号をデジタル出力する端子を備えたものでもよく、コンポジット端子やコンポーネント端子などのアナログ出力する端子を備えたものでもよい。またネットワークと接続するLAN用コネクタを備えたものでもよく、USBコネクタを備えたものでもよい。さらに、ワイヤレスでデータを転送する送信部でも良い。音声出力部3606に関しても、画像映像出力部3605と同様である。
【0269】
さらに、入力部3501は例えば、撮像光学系と受光素子を備えるものとしても良い。この場合、録画再生装置3600は例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ(監視カメラシステム)などに適用できる。このとき例えば入力部3501は、撮像光学系にて撮影対象を受光素子上に撮像し、受光素子にから出力される信号を元に画像データまたは映像データを生成し、録画再生部3502に出力すればよい。
【0270】
録画再生装置3600が例えばデジタルカメラであれば、1回の撮影で時間的に異なる複数の画像を記録するようにし、この複数の画像データに画像信号処理部3504の画像信号処理を行えば、1枚の高画質な高解像度画像を得ることができる。尚、画像信号処理部3504の画像処理は、デジタルカメラからデータを出力する際に、コンテンツ蓄積部3503に記録される画像に対して行っても良い。また、録画再生部3502と画像信号処理部3504を一体とするなどして、コンテンツ蓄積部3503に記録するよりも前に、画像信号処理部3504の画像処理を行うようにしても良い。この場合、コンテンツ蓄積部3503には最終的にユーザーが取り扱いたい拡大画像のみを保存すればよく、後にユーザーが画像データを取り扱う際に管理が容易になる。
【0271】
以上説明したデジタルカメラによれば、デジタルカメラの受光素子の解像度を越えた解像度を有する高画質画像データを得ることができる。
【0272】
また、録画再生装置3600が例えばビデオカメラであれば、入力部3501の撮像光学系にて受光素子上に撮像した映像を映像データとして録画再生部3502に出力すればよい。録画再生部3502はコンテンツ蓄積部3503に映像データを記録し、画像信号処理部3504は記録された映像データから、高解像度化された映像データを生成すればよい。このようにすれば、ビデオカメラの受光素子の解像度を越えた解像度を有する高画質映像データを得ることができる。またこのとき、画像信号処理部3504は記録された映像データに含まれる複数のフレームのデータを用いて、一枚のスチル画像データを生成しても良い。このようにすれば、映像データから一枚の高画質画像データを得ることができる。また、上述したデジタルカメラの場合と同様に、画像信号処理部3504の画像処理はコンテンツ蓄積部3503への映像データの記録前でも、記録後でも構わない。
【0273】
以上説明したビデオカメラによれば、ビデオカメラの受光素子の解像度を越えた解像度を有する高画質映像データや、撮影した映像データを用いて高画質なスチル画像データを得ることができる。
【0274】
また、録画再生装置3600が例えば監視カメラ(監視カメラシステム)である場合も、上述したビデオカメラの場合と同様に監視カメラの受光素子の解像度を越えた解像度を有する高画質映像データや、撮影した映像データを用いて高画質なスチル画像データを得ることができる。このとき、例えば、撮像光学系と受光素子を備えた入力部3501と録画再生部3502との距離が離れており、ネットワークケーブル等で接続されている場合でも、録画再生部3502までは低解像度の映像データで送信し、その後の画像信号処理部3504の画像信号処理により、高解像度化することができる。これにより、撮像光学系と受光素子を備えた入力部3501からの送信ネットワークの帯域を効率よく利用しながら、高解像度の映像データを得ることができる。
【0275】
実施例13乃至実施例16に係る画像表示装置と、本実施例に係る録画再生装置は、両者の機能と各構成部を一体としても、また、本発明の一実施の形態となりうる。この場合は上述の画像信号処理を行った映像信号または画像信号を表示することも、他の装置に出力することもでき、表示装置、記録再生装置、出力装置のいずれの装置としても使用でき、ユーザーにとって使い勝手が良い。
【0276】
以上説明した実施例17に係る録画再生装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号に対して位相シフト行い、各画像信号からぞれぞれ2つの信号を生成する。これにより、2枚の入力画像フレームの画像信号から4つの信号を生成する。ここで、2枚の入力画像フレームの位相差に基づいて、当該4つの信号の各信号について、当該4つの信号の折り返し成分を打ち消して合成するための係数を画素ごとに算出する。生成する画像のそれぞれの画素について、上記4つの信号の各信号が有する対応画素の画素値に各係数を乗じた和を算出し、新たな高解像度画像の画素値を生成する。これを生成画像の各画素について行うことにより、入力画像フレームよりも1次元方向に高解像度化した画像を生成する。
【0277】
これを水平方向と垂直方向のそれぞれに行い、水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像を生成する。当該水平方向に高解像度化した画像と垂直方向に高解像度化した画像とについて、それぞれ、垂直方向、水平方向にアップレート処理を行ったのち、両者を混合する。
【0278】
これにより入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号から、垂直方向と水平方向との両方向に高解像度化した高解像度画像を生成することができる。すなわち2次元高解像度画像を生成することができ、これを出力することができる。
【0279】
また、入力映像信号または入力画像信号を記録部に記録しておき、その記録部からの再生時に、映像信号または画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号から、垂直方向と水平方向との両方向に高解像度化した2次元高解像度画像を生成することができ、これを出力することができる。
【0280】
また、また実施例17に係る録画再生装置は、2枚の入力画像フレームを用いるため、少ない画像処理量で高解像度画像の出力を実現することができる。これにより、折り返し成分が少なく、垂直方向と水平方向との両方向について高解像度な映像または画像を出力する録画再生装置を実現することが可能である。
【実施例18】
【0281】
本発明の実施例18に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例9に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0282】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例9に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0283】
実施例18に係る録画再生装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像よりも水平方向、垂直方向および斜め方向について高解像度化した2次元高解像度画像を生成し、これを出力することが可能である。
【0284】
また、入力映像信号または入力画像信号を記録部に記録しておき、その記録部からの再生時に、映像信号または画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号から、水平方向、垂直方向および斜め方向に高解像度化した2次元高解像度画像を生成することができ、これを出力することができる。
【実施例19】
【0285】
本発明の実施例19に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例11に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0286】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例11に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0287】
実施例19に係る録画再生装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる4枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像よりも水平方向、垂直方向および斜め方向について高解像度化した2次元高解像度画像を生成し、出力する録画再生装置を実現することができる。
【0288】
また、入力映像信号または入力画像信号を記録部に記録しておき、その記録部からの再生時に、映像信号または画像信号に含まれる4枚の入力画像フレームの各画像信号から、水平方向、垂直方向および斜め方向に高解像度化した2次元高解像度画像を生成することができ、これを出力することができる。
【0289】
また、実施例19に係る録画再生装置による解像度向上効果は、斜め方向において実施例18に係る録画再生装置よりもさらに高周波成分まで解像度向上が可能であり、より高画質な高解像度画像を出力することができる。
【実施例20】
【0290】
本発明の実施例20に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例1、実施例3若しくは実施例5の実施例のうち一の実施例に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0291】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例1、実施例3若しくは実施例5の実施例に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0292】
実施例20に係る録画再生装置によれば、入力映像信号または入力画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームをもちいて、入力映像または入力画像に比べて一次元方向に高解像度化した高解像度画像を生成し、出力する録画再生装置を実現することができる。
【0293】
また、入力映像信号または入力画像信号を記録部に記録しておき、その記録部からの再生時に、映像信号または画像信号に含まれる2枚の入力画像フレームの各画像信号から、一次元方向に高解像度化した高解像度画像を生成することができ、これを出力することができる。
【実施例21】
【0294】
図45に、本発明の実施例21に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの動画像のフレーム列が入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを水平・垂直方向を組み合わせた2次元の高解像度化するための解像度変換部(4)と、更にこの解像度変換部(4)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)と、上記解像度変換部(4)にて使用する位相差情報を変換する位相変換部(4501)とを備えている。ここで、本実施例の画像信号処理装置に用いる解像度変換部(4)は、本発明の実施例8と同様の図21に示す解像度変換部(4)であるので、説明は省略する。
【0295】
本発明の実施例21に係る画像信号処理装置では、上記位相変換部(4501)を用いることにより、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの情報(水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103))を、高解像度化に利用できる情報(水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503))に変換する。以下、位相変換部(4501)の詳細について説明する。
【0296】
図46に、位相変換部(4501)の動作原理を示す。同図(a)は、画像フレーム(4601)にて、被写体が右方向に動いた様子を示している。ここでは一例として、被写体の動き(4602)が水平方向の動きだけを含み、垂直方向の動きを含まないと仮定する。同図(b)は、同図(a)の画像の一部(4603)を拡大したものであり、被写体の動き(4602)に伴って、被写体の輪郭線(4610)が(4611)の位置に変化した様子を示している。
【0297】
ここで、画像フレーム(4601) の上の(x0,y0)の位置の画素(4607)は、1フレーム前の(x1,y1)の位置の画素(4606)が、被写体の動き(4602)に伴って移動してきたものである。このとき、図45に示した位置推定部(2101)が出力する垂直位相差θV(2103)は0となり、図9に示した計算式により、垂直方向の高解像度化に必要な係数C1(およびC3)が不定になってしまうため、垂直位相差θV(2103)をそのまま用いるだけでは、図45に示す折返し成分除去部(2109)では折返し成分を除去することはできなかった。
【0298】
一方、図46(b)に示すように、被写体の輪郭線(4610)の上の画素の輝度値(信号レベル)が同一ならば、画像フレーム(4601) の上の(x0,y0)の位置の画素(4607)は、1フレーム前の(x2,y2)の位置の画素(4608)が下方向(4604)に移動してきた、あるいは、1フレーム前の(x3,y3)の位置の画素(4609)が右上方向(4605)に移動してきた、と考えることもできる。すなわち、下方向(4604)あるいは右上方向(4605)の動き情報を用いれば、値が0でない垂直位相差θV’(4503)を求めることができ、図45に示す折返し成分除去部(2109)にて折返し成分を除去することができるようになる。そこで、被写体の本来の動き(4602)に対応する(x1,y1)の位置の画素(4606)の近傍で、同一輝度となる方向を推定すれば、高解像度化に利用できなかった被写体の動きの情報(水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103))を、高解像度化に利用できる情報(水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503))に変換することができる。
【0299】
図46(c)(d)(e)に、位相変換部(4501)の動作をまとめて示す。同図(c)は、本来の水平位相差θH(2102)と垂直位相差θV(2103)を示したものであり、それぞれ(x0-x1)および(y0-y1)の値となる。同図(d)は、同一輝度方向への位相変換の動作を示したものであり、被写体の本来の動き(4602)に対応する(x1,y1)の位置の画素(4606)を、被写体の輪郭線(4610)の上の(x2,y2)の位置の画素(4608)に変換した動作を示している。同図(e)は、同図(c)(d)の動作に基づき、位相変換後の水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)を求める動作を示したものであり、それぞれ(x0-x2)および(y0-y2)、すなわち、θH(2102)+(x1-x2)=θH+ΔθH、およびθV(2103)+(y1-y2)=θV+ΔθVとなる。図45に示した解像度変換部(4)にて、この位相変換後の水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)を用いて折返し成分除去を行えばよい。なお、図46(b)に示した画素(4606)(4608)(4609)は、実際の画素(実画素)だけでなく、近傍の実画素を用いて補間した画素(補間画素)でもよい。また、各画素(4606)(4607)(4608)(4609)は、被写体の輪郭線の上にある必要はなく、互いに同一の輝度値となるような対応関係にあればよい。
【0300】
図47に、図46(e)に示した位相変換の動作を実現する位相変換部(4501)の構成例を示す。同図において、まず、図45に示した入力部(1)から入力されたフレーム#2(4604)をもとに、同一輝度方向推定部(4702)にて水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)を生成し、図45に示した位相推定部(2101)から出力された水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103)と加算器(4703)(4704)にてそれぞれ加算して、切替器(4705)(4706)にそれぞれ入力する。これと並行して、水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103)を位相判定部(4701)に入力し、図45に示した解像度変換部(4)にてそのまま折返し成分除去に利用できるかどうかを判定し、「そのまま利用できる」と判定された場合は、切替器(4705)(4706)を上側に切替え、水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103)をそのまま位相変換後の水平位相差θH’(4602)および垂直位相差θV’(4603)として位相変換部(4501)から出力する。一方、位相判定部(4701)にて「そのまま利用できない」と判定された場合は、切替器(4705)(4706)を下側に切替え、加算器(4703)(4704)の各出力を位相変換後の水平位相差θH’(4602)および垂直位相差θV’(4603)として、位相変換部(4501)から出力する。
【0301】
図48に、位相判定部(4701)において、水平位相差θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)をそのまま利用できるかどうかを判定する方法を示す。同図において、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることが可能かどうかを判定し、水平位相差θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)のどちらか一方が0となって係数C1、C3が不定になる場合や、水平位相差θH(2102)θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)のどちらか一方が0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になる場合に、「水平位相差θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)は、そのまま利用できない」と判定する。
【0302】
ここで、図45に示す入力部(1)に入力される信号がインタレース走査の場合について説明する。
【0303】
まず、図37により、一般的なインタレース走査とプログレッシブ走査について説明する。図37(a)にインタレース走査(2:1インタレース)の走査線の位置関係を、同図(b)にプログレッシブ走査の走査線の位置関係を示す。それぞれ、図の水平軸は時間方向(フレーム方向)の位置(t)を表し、垂直軸は垂直位置(v)を表す。
【0304】
同図(b)にプログレッシブ走査では、フレーム(3705)における走査線は順次に走査される。これに対し、同図(a)のインタレース走査では、伝送あるいは表示される走査線(実走査線)(3701)と飛び越されて伝送される、もしくは表示されない走査線(3702)が交互に繰り返される形態でフィールド(3703)が形成されている。また、次のフィールドでは走査線(3701)と走査線(3702)の位置が逆(相補的)になり、2枚のフィールド(3703)(3704)を合わせて1枚のフレーム(3704)が形成される。
【0305】
このため本実施例において、図45に示す入力部(1)に入力される信号がインタレース走査の場合には、図48に示す各係数C0、C1、C2、C3を、位相差θ(θHあるいはθV)を(θ±π)に置き換えた値とする必要がある。
【0306】
したがって、位相差θが±πとなって係数C1、C3が不定になる場合や、位相差θが±πに近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になる場合に、「水平位相差θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)は、そのまま利用できない」と判定すればよい。
【0307】
図49を用いて、図47に示した同一輝度方向推定部(4702)の動作の一例を説明する。図49(a)において、格子状に並んだ実画素(4901)は、フレーム上にもともと存在する画素を表す。また、補間画素(4903)は、処理対象の画素(4902)を中心として円周上に配置された#1〜#NのN点(Nは正整数)を示しており、近傍の複数の実画素(4901)を用いて補間した画素である。なお、補間画素(4903)の位置は同図(a)に示した位置に限定されるわけではなく、例えば同図(b)に示すように、#1〜#NのN点の補間画素(4904)を、中心の画素(4902)の周囲に矩形状に配置してもよい。このように配置した補間画素(4903)あるいは(4904)の中から、中心の画素(4902)の輝度値との差が最も小さいものを選択し、中心の画素(4902)と、選択された補間画素(4903)あるいは(4904)を結んだ直線の方向から水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)を求める。
【0308】
図50に、同一輝度方向推定部(4702)の構成例を示す。同図において、まず、入力されたフレーム#2(4504)の信号に対して、水平ローパスフィルタ(以下、LPF)(5001)と垂直LPFフィルタ(5002)をかけて、中心の画素の値を得る。これらは、同一輝度方向を誤って推定してしまう原因となる折返し成分の影響を少なくするためのフィルタであり、入力信号のナイキスト周波数帯域の約1/2〜1/4の周波数を各LPFのカットオフ周波数とすればよい。続いて、画素補間器#1(5003-1)〜#N(5003-N)を用いて、図49(a)に示した補間画素(4903)、あるいは図49(b)に示した補間画素(4904)の位置の信号を生成する。この画素補間器#1(5003-1)〜#N(5003-N)は、上述したsinc関数を用いて中心の画素(4902)の近傍に位置する実画素(4901)の値から画素補間を行う一般的な補間LPFをそのまま用いることができるため、詳細の図示および説明は省略する。画素補間器#1(5003-1)〜#N(5003-N)の各出力は、減算器(5004-1)〜(5004-N)を用いて、画素補間前の信号(すなわち実画素=垂直LPF(5002)の出力)とのそれぞれ差信号を生成し、絶対値化器(5005-1)〜(5005-N)を用いて、補間画素#1〜#Nごとに輝度値の差の絶対値を求める。この値(輝度値の差の絶対値)が最小となるように、方向選択器(5006)にて補間画素を選択し、選択した補間画素の位置と中心の実画素の位置の水平方向および垂直方向の差分を、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)として出力する。なお、水平LPF(5001)と垂直LPF(5002)の各カットオフ周波数を低く設定すると(すなわち、通過帯域を狭くすると)、折返し成分は小さくなるが、同時に、本来の同一輝度方向を表す細かいテクスチャ(模様)の信号成分も減衰してしまう。逆に、カットオフ周波数を高く設定すると(すなわち、通過帯域を広くすると)、細かいテクスチャ(模様)の信号成分は残留するが、折返し成分の影響は大きくなる。従って、両者はトレードオフの関係になるため、水平LPF(5001)と垂直LPF(5002)の特性は、入力したフレーム(4504)の実際の画像と水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)の結果を確認しながら最適になるように設計するのが好ましい。
【0309】
なお、図49(a)(b)では、簡単のため、中心の画素(4902)を実画素と同じ位置に図示したが、実際には、図45に示す位置推定部(2101)によって、フレーム#1の上の処理対象の画素と対応するフレーム#2の上の画素の位置を求め、これを中心の画素(4902)の位置とする。従って、水平位相差θH(2102)あるいは垂直位相差θV(2103)の値が実画素の間隔の整数倍(0も含む)にならない場合は、中心の画素(4902)も実画素と同じ位置にならない。この場合、図50に示した水平LPF(5001)のタップ係数を水平位相差θH(2102)によりシフトするとともに、垂直LPF(5002)のタップ係数を垂直位相差θV(2103)によりシフトすればよい。具体的には、水平LPF(5001)のカットオフ周波数をfc(H)、ナイキスト周波数をfn(H)とした場合、水平LPF(5001)のタップ係数Ck(H)(ただし、kは整数)は一般的に知られているsinc関数となり、Ck(H)=2sin(π*fc(H)*k/fn(H)-θH)/(π*fc(H)*k/fn(H)-θH)とすればよい。垂直LPF(5002)のタップ係数Ck(V)も同様に、Ck(V)=2sin(π*fc(V)*k/fn(V)-θV)/(π*fc(V)*k/fn(V)-θV)とすればよい。
【0310】
また、図49(a)における中心の画素(4902)と補間画素(4903)の間隔(=円の半径)や、同図(b)における中心の画素(4902)と補間画素(4904)の間隔(=矩形の各辺の長さの1/2)は、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)の各値の大きさに対応するが、これらの間隔(円の半径や、矩形の各辺の長さの1/2)は、固定値としてもよいし、可変値としてもよい。すなわち、図46(e)に示した位相変換後の水平位相差θH’(4502)と垂直位相差θV’(4503)を用いて折返し歪除去を行う際に、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることが可能になるように、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)が実画素(4901)の間隔の約1/2となるようにしてもよいし、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)が指す同一輝度方向が変わらないように、ΔθH(4707)とΔθV(4708)の比率を一定に保ったまま、各値を適宜増減してもよい。
【0311】
また、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)が指す同一輝度方向が変わらないように、ΔθH(4707)とΔθV(4708)の比率を一定に保ったまま、各値を適宜増減しても、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることが可能にならない場合もある。例えば、図49(a)において、同一輝度方向が水平(#1)の場合、垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)は常に0になってしまい、位相変換後の垂直位相差θV’(4603)を用いても、垂直位相差θV(2103)をそのまま用いた場合と同様に、図45に示す折返し成分除去部(2109)にて垂直方向の折返し成分を除去することはできない。この場合は、本発明の実施例5に係る画像信号処理装置と同様に、折返し成分除去部(2108)(2109)の中に図11に示した一般的な補間ローパスフィルタ(1101)をバイパス経路として用意し、係数決定器(1103)にて上述した係数C0、C1のほかに新たにC4を生成して、乗算器(1102)にて補間ローパスフィルタ(1101)の出力と係数C4を乗算し、加算器(1104)で高解像度化した信号に加えて出力するように構成すればよい。なお、補間ローパスフィルタ(1101)、乗算器(1102)、係数決定器(1103)、加算器(1104)、補助的画素補間部(1105)以外の構成は、図10に示した実施例3の構成と同一であるため説明を省略する。また、補間ローパスフィルタ(1101)、乗算器(1102)、係数決定器(1103)、加算器(1104)、補助的画素補間部(1105)の動作および構成は、図12および図13に示した実施例5の動作および構成と同一であるため説明を省略する。
【0312】
また、図49(a)(b)に示した中心の画素(4902)と補間画素(4903)(4904)の信号値の差の最小値が予め定めた閾値よりも大きい場合には、同一輝度方向が推定できないと判定し、図50に示した同一輝度方向推定部(4702)の中の方向選択器(5006)にて位相補正値ΔθH(4707)およびΔθV(4708)の値をそれぞれ0にするなどして、図45に示した折返し成分除去部(2108)(2109)が誤動作しないようにすればよい。
【0313】
以上説明した実施例21に係る画像信号処理装置によれば、実施例8に係る画像信号処理装置の効果に加えて、実施例8に係る画像信号処理装置では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になるという効果がある。
【0314】
なお、本実施例に係る画像信号処理装置を説明した図45の構成は、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置を説明した図21の構成をベースにしているが、これに限定されるものではなく、本発明の他の実施例に係る画像信号処理装置に対して、図45に示す位相変換部(4501)を設けても、同様の効果が得られることは明らかであるので、説明を省略する。
【実施例22】
【0315】
実施例22は、実施例21に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。本実施例の画像信号処理方法を行う画像処理装置は実施例2と同様の図18に示す画像処理装置であるので説明を省略する。
【0316】
図51に、本実施例の動作のフローチャートの一例を示す。図51のフローチャートは、本発明の実施例2に係る図14に示したフローチャートにステップ(5103)を加えたものであり、ステップ(1401)〜ステップ(1420)については本発明の実施例2と同様の動作であるので説明を省略する。
【0317】
ステップ(5103)において、まずステップ(5101)では、ステップ(1405)にて求めた位相差θ(すなわち、水平位相差θHあるいは垂直位相差θV)をもとに、図9に示した計算式に基づいて決定される係数C1が適切かどうかを判定し、適切であればステップ(1406)とステップ(1409)に進み、適切でなければステップ(5102)に進む。ここで、係数C1が適切かどうかの判定の際に、位相差θが0となって係数C1が不定になる場合や、位相差θが0に近づくにつれて係数C1が大きくなることでノイズ等に脆弱になる場合に、「係数C1は適切ではない」と判定すればよい。
【0318】
なお、実施例21において説明したように、図18に示す入力部(1)に入力される信号がインタレース走査の場合は、図9に示す各係数C0、C1、C2、C3は、位相差θを(θ±π)に置き換えた値となるため、位相差θが±πとなって係数C1が不定になる場合や、位相差θが±πに近づくにつれて係数C1が大きくなることでノイズ等に脆弱になる場合に、「係数C1は適切ではない」と判定すればよい。
【0319】
ステップ(5102)では、図46乃至図50を用いて説明した動作と同様にして同一輝度方向を推定し、もともとの位相差θ(すなわち、水平位相差θHあるいは垂直位相差θV)に、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)あるいは垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)を加えて新たな位相差θに変換し、この新たな位相差θを用いてステップ(1406)とステップ(1409)に進む。
【0320】
以上のフローチャートに基づき、図51に示すステップ(1401)から処理を開始し、ステップ(1417)にて処理を終了すれば、図18に示すフレームバッファ#3にバッファされた信号は、フレーム単位若しくは画素単位にて表示部(3)に出力することができる。
【0321】
以上のような処理を行うことにより、フレームバッファ#1とフレームバッファ#2の画素データを用いて、フレームバッファ#3に高解像度化した信号を出力することができる。動画に応用する場合は、図51に示すステップ(1401)からステップ(1417)に至る処理を、フレームごとに繰り返せばよい。
【0322】
なお、本実施例に係る動作を説明した図51のフローチャートは、本発明の実施例2に係る図14に示したフローチャートにステップ(5103)を加えたものであるが、本発明の実施例4に係る図15に示したフローチャートに対してステップ(5103)を加えても同様の効果があることは明らかであるので、説明を省略する。
【0323】
また、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)が指す同一輝度方向が変わらないように、ΔθH(4707)とΔθV(4708)の比率を一定に保ったまま、各値を適宜増減しても、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることが可能にならない場合もある。例えば、図49(a)において、同一輝度方向が水平(#1)の場合、垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)は常に0になってしまい、位相変換後の垂直位相差θV’(4603)を用いても、垂直位相差θV(2103)をそのまま用いた場合と同様に、ステップ(1420)にて垂直方向の折返し成分を除去することはできない。この場合は、本発明の実施例6に係る画像信号処理方法と同様に、図16に示すステップ(1605)およびステップ(1606)を用意し、変換後の位相差θが0あるいは0近傍になったときにステップ(1606)の処理結果をフレームバッファ#3に出力するように構成すればよい。このステップ(1605)およびステップ(1606)は、実施例6の動作と同一であるため説明を省略する。
【0324】
以上説明した実施例22に係る画像信号処理方法によれば、実施例2に係る画像信号処理方法の効果に加えて、実施例2に係る画像信号処理方法では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になるという効果がある。すなわち、より多様な被写体の動きに対応する高解像度化処理を実現できる。
【実施例23】
【0325】
本発明の実施例23に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例21または実施例22に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0326】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例21または実施例22に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0327】
実施例23に係る画像表示装置によれば、実施例13に係る画像表示装置の効果に加えて、実施例13に係る画像表示装置では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になるという効果がある。またこの高解像度化処理により生成された画像を表示部に表示する画像表示装置を実現することができる。すなわち、より多様な被写体の動きに対応して高解像度画像を生成し、生成した高解像度画像を表示することができる。
【実施例24】
【0328】
本発明の実施例24に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例21または実施例22に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0329】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例21または実施例22に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0330】
実施例24に係る録画再生装置によれば、実施例17に係る録画再生装置の効果に加えて、実施例17に係る録画再生装置では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になるという効果がある。またこの高解像度化処理により生成された画像を出力することができる。すなわち、より多様な被写体の動きに対応して高解像度画像を生成し、生成した高解像度画像を出力することができる。
【実施例25】
【0331】
図52に、本発明の実施例25に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの画像フレームが入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを水平・垂直方向を組み合わせた2次元の高解像度化するための解像度変換部(9)と、更にこの解像度変換部(9)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)と、上記解像度変換部(9)にて使用する位相差情報を生成する同一輝度方向推定部(4702)とを備えている。ここで、本実施例の画像信号処理装置は、本発明の実施例21と同様の図45に示す画像信号処理装置から、フレーム#2の信号を入力する入力部(1)を除くとともに、位置推定部(2101)を同一輝度方向推定部(4702)に置き換えたものである。その他の構成および動作については、図45に示す画像信号処理装置と同一であるので、説明は省略する。
【0332】
本発明の実施例25に係る画像信号処理装置は、入力部(1)から入力されるフレーム#1の信号だけを用いて高解像度化の処理を実現する解像度変換部(44)を備えている。以下、その詳細について説明する。
【0333】
前述した実施例21に係る画像信号処理装置では、図45に示した位相変換部(4501)を用いることにより、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置では高解像度化に利用できなかった被写体の動きの情報(水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103))を、高解像度化に利用できる情報(水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503))に変換した。
【0334】
一方、本発明の実施例25では、フレーム#2の信号がフレーム#1の信号と同一、すなわち、画像が完全に静止していると見なすことにより、図45に示した位相変換部(4501)に入力する画像信号をフレーム#1(5201)にするとともに、被写体の動きの情報(水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103))を強制的に0にし、図47に示した位相変換部(4501)の構成を同一輝度方向推定部(4702)だけに置き換える。以下、この動作について詳しく説明する。
【0335】
図53に、本実施例に係る画像信号処理装置における同一輝度方向推定部(4702)の動作原理を示す。同図(a)は、画像フレーム(5301)に、被写体が映っている様子を示している。なお、本実施例に係る画像信号処理装置では、図46(a)に示した画像フレーム(4601)とは異なり、1枚の画像フレーム(5301)の信号だけを扱う。同図(b)は、同図(a)の画像の一部(5302)を拡大したものであり、被写体の輪郭線(5303)の様子を示している。
【0336】
ここで、同図(b)に示すように、被写体の輪郭線(5303)の上の画素の輝度値(信号レベル)が同一ならば、(x1,y1)の位置の画素(5304)は、(x2,y2)の位置の画素(5305)が左下方向(5306)に移動してきた、と考えることもできる。すなわち、1枚の画像フレーム(5301)を仮想的な2枚の画像フレームと考え、画像フレーム(5301)の上の処理対象の画素(5304)ごとに、もう1枚の画像フレーム(5301)の上にある処理対象の近傍の同一輝度の画素(5305)との位置の差(サンプリング位相差)を動き情報と見なして水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)を生成すれば、前述した実施例21に係る画像信号処理装置と同様に、高解像度化を実現できるようになる。なお、同図(b)に示した画素(5304)(5305)は、実際の画素(実画素)だけでなく、近傍の実画素を用いて補間した画素(補間画素)でもよい。また、各画素(5304)(5305)は、被写体の輪郭線の上にある必要はなく、互いに同一の輝度値となるような対応関係にあればよい。
【0337】
図53(c)(d)(e)に、同一輝度方向推定部(4702)の動作をまとめて示す。同図(c)は、本来の水平位相差θH(2102)と垂直位相差θV(2103)を示したものであり、1枚の画像フレーム(5301)を静止した2枚の画像フレームと見なすため、本来の水平位相差θH(2102)=(x1-x1)=0、本来の垂直位相差θV(2103)=(y1-y1)=0となる。同図(d)は、同一輝度方向への位相変換の動作を示したものであり、(x1,y1)の位置の画素(5304)を、被写体の輪郭線(5303)の上の(x2,y2)の位置の画素(5305)に変換した動作を示している。同図(e)は、同図(c)(d)の動作に基づき、位相変換後の水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)を求める動作を示したものであり、位相変換後の水平位相差θH’(4502)=(x1-x2)=ΔθH、位相変換後の垂直位相差θV’(4503)=(y1-y2)=ΔθV、となる。
【0338】
ここで、図52に示した同一輝度方向推定部(4702)は、図50に示した同一輝度方向推定部(4702)と同一の構成および動作であり、図53(e)に示したΔθHおよびΔθVは、図50に示した同一輝度方向推定部(4702)から出力される水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)と同一である。
【0339】
図52に示した解像度変換部(9)では、同一輝度方向推定部(4702)にて生成された水平位相差θH’(4502)=ΔθH(4707)および垂直位相差θV’(4503)=ΔθV(4708)を用いて折返し成分除去を行えばよい。
【0340】
なお、水平方向の位相補正値ΔθH(4707)および垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)が指す同一輝度方向が変わらないように、ΔθH(4707)とΔθV(4708)の比率を一定に保ったまま、各値を適宜増減しても、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることが可能にならない場合もある。例えば、同一輝度方向が水平の場合、垂直方向の位相補正値ΔθV(4708)は常に0になってしまい、図52に示す折返し成分除去部(2109)にて垂直方向の折返し成分を除去することはできない。この場合は、本発明の実施例5に係る画像信号処理装置と同様に、折返し成分除去部(2108)(2109)の中に図11に示した一般的な補間ローパスフィルタ(1101)をバイパス経路として用意し、係数決定器(1103)にて上述した係数C0、C1のほかに新たにC4を生成して、乗算器(1102)にて補間ローパスフィルタ(1101)の出力と係数C4を乗算し、加算器(1104)で高解像度化した信号に加えて出力するように構成すればよい。なお、補間ローパスフィルタ(1101)、乗算器(1102)、係数決定器(1103)、加算器(1104)、補助的画素補間部(1105)以外の構成は、図10に示した実施例3の構成と同一であるため説明を省略する。また、補間ローパスフィルタ(1101)、乗算器(1102)、係数決定器(1103)、加算器(1104)、補助的画素補間部(1105)の動作および構成は、図12および図13に示した実施例5の動作および構成と同一であるため説明を省略する。
【0341】
以上説明した実施例25に係る画像信号処理装置によれば、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いて、折り返し成分が少なく、入力画像より高解像度な画像を生成することができる。従って、入力される画像フレームが1枚だけの場合、入力される画像フレームの全部あるいは一部分(一領域)が静止している場合の静止部分、被写体が激しく動くなどして前後のフレーム間で対応する画素が推定できない場合、連続フレーム列であるが1枚1枚まったく異なる内容の画像フレームのため前後のフレーム間で対応する画素が推定できない場合などでも、高解像度化を実現することが可能になるという効果がある。
【0342】
また、実施例25に係る画像信号処理装置は、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量を従来例より低減できるという効果がある。
【0343】
なお、本実施例に係る画像信号処理装置を説明した図52の構成は、本発明の実施例21に係る画像信号処理装置を説明した図45の構成をベースにしているが、これに限定されるものではなく、本発明の他の実施例に係る画像信号処理装置に対して、図52に示す同一輝度方向推定部(4702)を設けて、1枚のフレーム画像のみの入力としても、同様の効果が得られることは明らかであるので、説明を省略する。
【実施例26】
【0344】
実施例26は、実施例25に係る画像信号処理装置における画像信号処理と等価な処理を、ソフトウェアと協働する制御部により実現する画像信号処理方法に係るものである。本実施例の画像信号処理方法を行う画像処理装置は、図18に示す画像処理装置からフレーム#2を入力する入力部(1)とバッファ#2(22)を除いたものであり、その他は本発明の実施例2と同様の画像処理装置であるので説明を省略する。
【0345】
図55に、本実施例の動作のフローチャートの一例を示す。図55のフローチャートは、本発明の実施例2に係る図14に示したフローチャートからステップ(1403)(1405)(1406)(1418)を削除し、新たにステップ(5501)(5502)を加えたものである。以下、図14に示したフローチャートからの変更点について説明する。
【0346】
まず、本実施例に係る画像信号処理方法では、図18に示す画像処理装置の入力部(1)から入力されるフレーム#1の信号だけを用いて、高解像度化の処理を実現する。このため、図14に示したフローチャートにおけるフレーム#2およびフレームバッファ#2に関する処理ステップは必要ないため、ステップ(1403)(1405)(1406)(1418)を削除する。
【0347】
続いて、ステップ(1405)の替わりに設けたステップ(5501)にて、ステップ(1404)で設定した処理対象の画素に対して、図53を用いて説明した動作にて同一輝度方向を推定し、位相差θ(水平位相差θH’(4502)あるいは垂直位相差θV’(4503))を生成し、ステップ(5502)およびステップ(1409)に進む。ステップ(5502)では、ステップ(5501)にて生成した位相差θを動き情報と見なして、フレームバッファ#1の対象画素の近傍の画素を動き補償する。このとき、近傍の画素として、ステップ(1408)のπ/2位相シフトの処理で用いる画素データ、すなわち有限のタップ数が作用する範囲の画素データだけを動き補償すればよい。この動き補償の動作は、図5および図6を用いて説明した動作と同一である。
【0348】
その他のステップ(1401)(1402)、ステップ(1407)〜ステップ(1417)、およびステップ(1419)(1420)については、本発明の実施例2と同様の動作であるので説明を省略する。
【0349】
以上のような処理を行うことにより、フレームバッファ#1の画素データを用いて、フレームバッファ#3に高解像度化した信号を出力することができる。動画に応用する場合は、ステップ(1401)からステップ(1417)に至る処理を、フレームごとに繰り返せばよい。
【0350】
以上説明した実施例26に係る画像信号処理方法によれば、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いて、折り返し成分が少なく、入力画像より高解像度な画像を生成することができる。
【0351】
また、実施例26に係る画像信号処理方法は、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量を従来例より低減できるという効果がある。
【実施例27】
【0352】
図54に、本発明の実施例27に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの画像フレームが入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを水平・垂直方向を組み合わせた2次元の高解像度化するための解像度変換部(41)と、更にこの解像度変換部(41)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)とを備えている。
【0353】
同図に示す解像度変換部(41)では、入力されたフレーム画像の信号(5201)をもとに、前述した同一輝度方向推定部(4702)にて水平位相差θH’(4502)=ΔθH(4707)および垂直位相差θV’(4503)=ΔθV(4708)を生成し、これらの位相差情報を解像度変換部(9-1)に入力するとともに、乗算器(5401)(5402)を用いて各位相差情報の極性を反転して(すなわち、(-1)を乗じて)、解像度変換部(9-2)に入力する。各解像度変換部(9-1)(9-2)にて高解像度化の処理を行ったのちに、加算器(5403)と乗算器(5404)を用いて、各解像度変換部(9-1)(9-2)の各出力を平均化して出力する。なお、同一輝度方向推定部(4702)と解像度変換部(9-1)(9-2)の動作および構成については、前述した実施例25に係る同一輝度方向推定部(4702)および解像度変換部(9)と同一であるので、説明は省略する。
【0354】
同一輝度方向推定部(4702)では、前述した図53(b)に、処理対象の画素(5304)に対して同一輝度となる近傍の画素(5305)の方向を推定する様子を示した。一方、図49(a)(b)に示したように、処理対象となる中心の画素(4902)の近傍に着目すると、微小な領域では同一輝度となる方向を直線と見なすことができるため、処理対象の画素(4902)を中心として点対称となるようにこの直線を伸ばしてもよい。
【0355】
そこで、同一輝度方向推定部(4702)にて生成した水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)の値を、乗算器(5401)(5402)によって極性反転し、処理対象の画素(4902)を中心として点対称となるように各位相差の値を変換したのちに解像度変換部(9-2)に入力しても、水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)の値をそのまま用いた解像度変換部(9-1)と同様の出力結果が得られる。
【0356】
仮に、同一輝度方向推定部(4702)にて生成した水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)の値に誤差やノイズを含んでいた場合にも、その影響が解像度変換部(9-1)と解像度変換部(9-2)で反対極性となって現れるため、両者の出力を平均化することにより、誤差やノイズを低減することが可能になる。
【0357】
さらに解像度変換部(9)の個数を増やすとともに、乗算器(5401)(5402)における倍率を(-1)に限定せず、いろいろな倍率で水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)の値を変換して高解像度化処理を行ったのちに、各解像度変換部(9)の出力を平均化して出力してもよい。例えば、解像度変換部(9)の個数を図54に示す2個から6個にし、各解像度変換部(9)に入力する水平位相差θH’(4502)および垂直位相差θV’(4503)の倍率を図54に示す1倍および(-1)倍の2種類に0.5倍、(-0.5)倍、1.5倍、(-1.5)倍を追加して合計6種類とし、各解像度変換部(9)の出力をすべて合計して1/6倍することによって平均化して、出力信号としてもよい。このように解像度変換部(9)の個数を増やすことにより、同一輝度方向推定部(4702)にて発生した誤差やノイズを低減することが可能になる。
【0358】
以上説明した実施例27に係る画像信号処理装置によれば、実施例25に係る画像信号処理装置の効果に加えて、同一輝度方向推定部(4702)にて発生した誤差やノイズを低減することが可能になるという効果がある。
【実施例28】
【0359】
本発明の実施例28に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例25から実施例27に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0360】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例25から実施例27に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0361】
実施例28に係る画像表示装置によれば、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量をより低減できるという効果がある。
【実施例29】
【0362】
本発明の実施例29に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例25から実施例27に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0363】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例25から実施例27に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0364】
実施例29に係る録画再生装置によれば、従来例よりも少ない1枚の入力画像フレームを用いるため、必要な画像処理の量をより低減できるという効果がある。
【実施例30】
【0365】
図56に、本発明の実施例30に係る画像信号処理装置を示す。本実施例に係る画像処理装置は、例えばテレビジョン放送信号などの動画像のフレーム列が入力される入力部(1)と、この入力部(1)から入力されたフレームを水平・垂直方向を組み合わせた2次元の高解像度化するための解像度変換部(43)と、更にこの解像度変換部(43)によって高解像度化されたフレームに基づき画像を表示する表示部(3)とを備えている。
【0366】
本発明の実施例30に係る画像信号処理装置に備える解像度変換部(43)は、本発明の実施例25に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(44)と、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(4)と、その両者の出力信号を混合する混合部(5601)とを備えている。解像度変換部(44)および解像度変換部(4)は、それぞれ図52および図21に示す解像度変換部と同一であるため、説明は省略する。以下、解像度変換部(43)の動作と構成の詳細について説明する。
【0367】
まず、本発明の実施例25に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(44)は、入力部(1)から入力されるフレーム#1の信号だけを用いて高解像度化を実現することが可能である。その一方で、前述したように、解像度変換部(44)の中の同一輝度方向推定部(4702)にて生成された水平位相差θH’(4502)=ΔθH(4707)および垂直位相差θV’(4503)=ΔθV(4708)の値によっては、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることができず、高解像度化の効果が得られない場合がある。例えば、同一輝度方向が水平方向や垂直方向の場合は、高解像度化の効果が得られない。
【0368】
また、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(4)は、入力部(1)から入力されるフレーム#1とフレーム#2の信号の両方を用いて高解像度化を実現する。この際、前述したように、解像度変換部(4)の中の位置推定部(2101)にて生成された水平位相差θH(2102)および垂直位相差θV(2103)の値によっては、図9に示した計算式を用いて係数C1(および係数C3)を求めることができず、高解像度化の効果が得られない場合がある。例えば、入力画像がプログレッシブ走査信号の場合は、被写体が静止している領域や、被写体の動きがちょうど整数画素単位になる領域では、高解像度化の効果が得られない。また、入力画像がインタレース走査信号の場合は、フィールド間で画像の信号値が変化しない領域では、高解像度化の効果が得られない。
【0369】
従って、本発明の実施例30に係る画像信号処理装置に備える解像度変換部(43)では、解像度変換部(44)の出力信号(SR1(1フレーム型))と解像度変換部(4)の出力信号(SR2(2フレーム型))を混合器(5601)によって混合することにより、高解像度化の効果を高める。
【0370】
図57に、混合器(5601)の第1の構成例を示す。同図において、加算器(5701)と乗算器(5702)を用いて、混合器(5601)に入力されたSR1(1フレーム型)とSR2(2フレーム型)の各信号の平均値を生成して出力する。同図に示す構成は、SR1(1フレーム型)とSR2(2フレーム型)の各解像度向上効果もそれぞれ1/2になってしまうが、混合器(5601)が最も簡単な構成である為、低コストに実現できる。
【0371】
図58に、混合器(5601)の第2の構成例を示す。同図において、混合器(5601)に入力されたSR1(1フレーム型)とSR2(2フレーム型)の各信号に対し、乗算器(5803)および乗算器(5804)を用いて係数K(SR1)と係数K(SR2)をそれぞれ乗じ、加算器(5805)で両者を加算して出力とする。係数K(SR1)と係数K(SR2)は、それぞれ係数決定器(5801)(5802)にて生成する。以下、この係数決定器(5801)(5802)の動作について説明する。
【0372】
本発明の実施例7の動作で説明したように、図21に示した折返し成分除去部(2108)(2109)は、同図に示す位相差θH(2102)および位相差θV(2103)をもとに、図1に示す係数決定器(109)にて図9に示す係数C0〜C3を発生して折返し成分除去の演算を行う。このとき、位相差θH(2102)、θV(2103)が0のときに係数C1およびC3が不定になることや、位相差θH(2102)、θV(2103)が0に近づくにつれて係数C1、C3が大きくなることでノイズ等に脆弱になることを防ぐために、図13に示す係数C4(0≦C4≦1)を導入して、図11に示す構成のように補助的画素補間を行うのが好ましい。逆に言えば、係数C4の値が0.0のときは解像度向上の効果があるが、係数C4の値が1.0に近づくにつれて、解像度向上の効果が小さくなることになる。
【0373】
この性質を利用し、本発明の実施例7では、水平位相差θH(2102)が0近傍(すなわち、係数C4(水平)が1.0近傍)のときは垂直解像度変換結果のSR(垂直)が強く反映され、垂直位相差θV(2103)が0近傍(すなわち、係数C4(垂直)が1.0近傍)のときは水平解像度変換結果のSR(水平)が強く反映されるように、水平・垂直方向それぞれの係数C4の値を用いて係数K(水平)と係数K(垂直)を決定する。この動作を実現するため、図23に示す係数決定器(2301)ではK(水平)=C4(水平)+(1-C4(垂直))/2の演算を行ってK(水平)を決定し、係数決定器(2303)ではK(垂直)=C4(垂直)+(1-C4(水平))/2の演算を行ってK(垂直)を決定した。
【0374】
これと同様に、本実施例では、解像度変換部(44)で利用する位相差θH’(4502)および位相差θV’(4503)をもとに係数C4(水平)とC4(垂直)を生成し、これらの平均値をC4(SR1)とする。また、解像度変換部(4)で利用する位相差θH(2102)および位相差θV(2103)をもとに係数C4(水平)とC4(垂直)を生成し、これらの平均値をC4(SR2)とする。すなわち、係数C4(SR1)とC4(SR2)は、解像度変換部(44)と解像度変換部(4)にて高解像度化の効果がそれぞれどの程度あるかを示す指標として使用することができる。
【0375】
そこで、図58に示す混合器(5601)において、係数決定器(5801)ではK(SR1)=C4(SR1)+(1-C4(SR2)/2の演算を行ってK(SR1)を決定し、係数決定器(5802)ではK(SR2)=C4(SR2)+(1-C4(SR1))/2の演算を行ってK(SR2)を決定したのちに、各係数K(SR1)およびK(SR2)に基づいて、解像度変換部(44)の出力(SR1)と解像度変換部(4)の出力(SR2)を加重加算して混合して出力すれば、出力信号において解像度変換部(44)と解像度変換部(4)の効果が大きいほうの信号が占める割合を高めることができ、高解像度化の効果を高めることが可能になる。
【0376】
以上説明した実施例30に係る画像信号処理装置によれば、実施例25および実施例8に係る画像信号処理装置の効果に加えて、実施例25および実施例8に係る画像信号処理装置では高解像度化に利用できなかった被写体の同一輝度方向および被写体動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になり、解像度向上効果をより大きくすることができるという効果がある。
【0377】
なお、本実施例に係る画像信号処理装置を説明した図56の構成は、本発明の実施例25に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(44)と、本発明の実施例8に係る画像信号処理装置と同様の解像度変換部(4)をベースにしているが、これに限定されるものではなく、本発明の他の実施例に係る1フレーム入力型の画像信号処理装置と2フレーム入力型の画像信号処理装置に対して、図56に示す混合部(5601)を設けても、同様の効果が得られることは明らかであるので、説明を省略する。
【実施例31】
【0378】
本発明の実施例31に係る画像表示装置は、実施例13に係る画像表示装置において、図35に示す画像信号処理部3504を実施例30に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例13に係る画像表示装置と同じである為、説明を省略する。
【0379】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例30に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0380】
実施例31に係る画像表示装置によれば、実施例28および実施例13に係る画像表示装置の効果に加えて、実施例28および実施例13に係る画像表示装置では高解像度化に利用できなかった被写体の同一輝度方向および被写体動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になり、解像度向上効果をより大きくすることができるという効果がある。
【実施例32】
【0381】
本発明の実施例32に係る録画再生装置は、実施例17に係る録画再生装置において、図36に示す画像信号処理部3504を実施例30に記載された画像信号処理装置に替えたものである。その他構成は、実施例17に係る録画再生装置と同じである為、説明を省略する。
【0382】
また、画像信号処理部3504の詳細な動作については、実施例30に記載したとおりであるので、説明を省略する。
【0383】
実施例32に係る録画再生装置によれば、実施例29及び実施例17に係る録画再生装置の効果に加えて、実施例29及び実施例17に係る録画再生装置では高解像度化に利用できなかった被写体の同一輝度方向および被写体動きの場合でも、高解像度化を実現することが可能になり、解像度向上効果をより大きくすることができるという効果がある。
【0384】
なお、本発明の各実施例は、上記実施例で説明した装置以外に、例えば、DVDプレーヤー、磁気ディスクプレーヤー、もしくは半導体メモリプレーヤーにも同様に適用できる。また例えば、1セグ放送を受信するための携帯画像表示端末(例えば携帯電話)にも適用できる。
【0385】
また画像フレームとしては、テレビジョン放送信号以外の信号の画像フレームを用いてもよい。また、例えば、インターネットを介して送信されるストリーミング画像や、DVDプレーヤーやHDDプレーヤーから再生された画像の画像フレームを用いてもよい。
【0386】
また、上述した各実施例ではフレーム単位での高解像度化を例に挙げて説明した。しかし高解像度化の対象は、必ずしもフレーム全体でなくとも良い。例えば、入力画像または入力映像のフレームの一部分を解像度化の対象としても良い。すなわち、入力映像のフレームの一部分の複数フレーム分を対象として上述した本発明の一の実施例の画像処理を実施すれば、入力画像または入力映像の一部分の高画質な拡大画像を得ることができる。これは、例えば、映像の一部分の拡大表示などに適用できる。
【0387】
また、本発明の各実施例は、輝度信号(Y)だけでなく、赤(R)、緑(G)、青(B)などの色信号や、一般的な色空間変換処理によってRGB信号から変換されたCb、Cr、Pb、Pr、U、Vなどの色差信号にも適用できる。この場合は、上記説明における「輝度」を、「色」あるいは「色差」と読み替えればよい。
【0388】
なお、上述した各実施例のいずれを組み合わせても、本発明の一実施の形態となりうる。
【0389】
上述した本発明の各実施例によれば、低解像度の画像を好適に拡大画像に変換する処理
を行うことができ、高画質な高解像度画像を好適に得ることができる。すなわち画像信号
を好適に高解像度化することができる。
【0390】
また、上述した本発明の各実施例によれば、高画質な高解像度画像を得るために必要な
画像のフレーム数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0391】
【図1】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図2】一般的な高解像度化画像信号処理の動作の一例を説明する図である
【図3】従来技術の動作を説明した図である。
【図4】本発明に係る実施例1の動作を説明した図である。
【図5】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図6】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図7】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図8】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図9】本発明に係る実施例1の説明図である。
【図10】本発明に係る実施例3の説明図である。
【図11】本発明に係る実施例5の説明図である。
【図12】本発明に係る実施例5の説明図である。
【図13】本発明に係る実施例5の説明図である。
【図14】本発明に係る実施例2の説明図である。
【図15】本発明に係る実施例4の説明図である。
【図16】本発明に係る実施例6の説明図である。
【図17】本発明の一実施の態様と従来技術の動作の違いを説明した図である。
【図18】本発明に係る実施例2の説明図である。
【図19】本発明に係る実施例12の説明図である。
【図20】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図21】本発明に係る実施例8の説明図である。
【図22】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図23】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図24】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図25】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図26】本発明に係る実施例7の説明図である。
【図27】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図28】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図29】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図30】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図31】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図32】本発明に係る実施例9の説明図である。
【図33】本発明に係る実施例10の説明図である。
【図34】本発明の一実施の態様と従来技術の動作の違いを説明した図である。
【図35】本発明に係る実施例13の説明図である。
【図36】本発明に係る実施例17の説明図である。
【図37】従来技術の動作を説明した図である。
【図38】本発明に係る第11の実施例の説明図である。
【図39】本発明に係る第11の実施例の説明図である。
【図40】本発明に係る第11の実施例の説明図である。
【図41】本発明に係る第11の実施例の説明図である。
【図42】本発明に係る第11の実施例の説明図である。
【図43】本発明に係る第12の実施例の説明図である。
【図44】本発明の一実施の態様と従来技術の動作の違いを説明した図である。
【図45】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図46】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図47】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図48】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図49】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図50】本発明に係る第21の実施例の説明図である。
【図51】本発明に係る第22の実施例の説明図である。
【図52】本発明に係る第25の実施例の説明図である。
【図53】本発明に係る第25の実施例の説明図である。
【図54】本発明に係る第27の実施例の説明図である。
【図55】本発明に係る第26の実施例の説明図である。
【図56】本発明に係る第30の実施例の説明図である。
【図57】本発明に係る第30の実施例の説明図である。
【図58】本発明に係る第30の実施例の説明図である。
【符号の説明】
【0392】
1…入力部;2,4,9,41,43,44,…解像度変換部;3…表示部;5,6,7…高解像度化タスク;10…制御部;11…記憶部;21,22,23,31,32,33,34,35…バッファ;101,1801,2101,3806,3812…位置推定部;102,211,1802…位相差θ;103,104,1803…アップレート器;105,107,1002,1804,3802…遅延器;106,108,1805…π/2位相シフト器;109,1007,1103,2301,2302,3001,3002,3003, 3004,4101,5801,5802…係数決定器;110,111,112,113,1003,1006,1102,2202,2303,2304,2604,2902,3005, 3006,3007,3008,4102,5401,5402,5404,5702,5803,5804…乗算器;114,1001,1008,1104,2201,2305,2603, 2606,2703,2901,3
009,4103,4703,4704,5403,5701,5805…加算器;115,1806,2110,3810…動き補償・アップレート部;116,1009,1807,2111,3811…位相シフト部;117,1010,1808,2108,2109,2112,2705,2706,3809…折返し成分除去部;201,202,203,20
6,1701, 1702,1703,1704,1705,2010,2011,2012,2013,2014,2015,3401,3402,3403,3404,34
05,4401,4402,4403,4404,4504,4601,5201,5301…フレーム;204…移動;205…水平線;207…動き補償;208,212,4606,4607,4608,4609,5304,5305…画素;209,210…サンプリング位相;301,302,303,401,402…原成分;304,305,306,405,406…折返し成分;403,404…π/2位相シフト後の原成分;407,408…π/2位相シフト後の折返し成分;1004,2704,5004…減算器;1005…ヒルベルト変換器;1101…補間ローパスフィルタ;1105…補助的画素補間部;2001…水平解像度変換部;2002…垂直アップレート器;2003,2007,2710,2711…画素補間器;2004…垂直補間部;2005…垂直解像度変換部;2006…水平アップレート器;2008…水平補間部;2009,2707,5601…混合器;2102,3807,4502…水平位相差θH;2103,3808,4503…垂直位相差θV;2104,2105,3801…水平・垂直アップレート器;2106,3803…水平位相シフト部;2107,3804…垂直位相シフト部;2501…水平解像度変換による効果が大きい周波数領域;2502…垂直解像度変換による効果が大きい周波数領域;2601,2602,2605…2次元フィルタ;2701…斜め(右下)位相シフト部;2702…斜め(右上)位相シフト部;3101…斜め(右上)解像度変換による効果が大きい周波数領域;3102…斜め(右下)解像度変換による効果が大きい周波数領域;3500…画像表示装置;3501…入力部;3502…録画再生部;3503…コンテンツ蓄積部; 3504…画像信号処理部; 3505…表示部; 3506…音声出力部; 3507…制御部;3508…ユーザインターフェース部;3600…録画再生装置;3605…画像映像出力部;3600…音声出力部;3701…実走査線;3702…補間走査線;3703…フィールド;3704,3705…フレーム;4201,4705,4706…切替器;5005…絶対値化器;3805…水平・垂直位相シフト部;4501…位相変換部;4602,4604,4605,5306…被写体の動き;4603,5302…画像の一部;4610,4611,5303…輪郭線;4701…位相判定部;4702…同一輝度方向推定部;4707,4708…位相補正値;4901…実画素;4902…中心の画素;4903,4904…補間画素;5001…水平ローパスフィルタ(LPF);5002…垂直ローパスフィルタ(LPF);5003…画素補間器;5006…方向選択器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像フレームが入力される入力部と、
前記入力された複数の画像フレームを合成することにより、画像フレームを構成する画素数を増加して出力画像フレームを得るための解像度変換部とを備え、
前記解像度変換部は、
基準となる前記入力画像フレーム上の画像データと他の入力画像フレーム上の対応する各画像データを用いてサンプリング位相差を推定する位置推定部と、
前記サンプリング位相差を変換し、変換後のサンプリング位相差を出力する位相変換部と、
前記変換後のサンプリング位相差の情報を用いて各入力画像フレームの画像データを動き補償するとともに画素数を増加する動き補償・アップレート部と、
前記画素数が増加された各画像フレームの画像データを所定量位相シフトする位相シフト部と、
前記位相シフトの前後の各画像データに、前記サンプリング位相差の情報を用いて決定した係数を乗じて加算することにより、折返し成分を除去して出力する折返し成分除去部とを有することを特徴とする画像信号処理装置。
【請求項2】
前記位相変換部は、
前記入力画像フレームにおける処理対象画素と同一の輝度方向を推定し、該推定結果をもとにして位相補正値を出力する同一輝度方向推定部を有し、
前記サンプリング位相差に前記位相補正値を加えて、前記変換後のサンプリング位相差とすることを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項3】
複数の画像フレームが入力される入力ステップと、
前記入力された複数の画像フレームを合成することにより、画像フレームを構成する画素数を増加して出力画像フレームを得るための解像度変換ステップを備え、
前記解像度変換ステップでは、
基準となる前記入力画像フレーム上の画像データと他の入力画像フレーム上の対応する各画像データを用いてサンプリング位相差を推定する位置推定処理をおこない、
前記サンプリング位相差を変換し、変換後のサンプリング位相差を出力する位相変換処理をおこない、
前記変換後のサンプリング位相差の情報を用いて各入力画像フレームの画像データを動き補償するとともに画素数を増加する動き補償・アップレート処理をおこない、
前記画素数が増加された各画像フレームの画像データを所定量位相シフトする位相シフト処理をおこない、
前記位相シフトの前後の各画像データに、前記サンプリング位相差の情報を用いて決定した係数を乗じて加算することにより、折返し成分を除去して出力する折返し成分除去処理をおこなうことを特徴とする画像信号処理方法。
【請求項4】
前記位相変換ステップは、
前記入力画像フレームにおける処理対象画素と同一の輝度方向を推定し、該推定結果をもとにして位相補正値を出力する同一輝度方向推定ステップと、
前記サンプリング位相差に前記位相補正値を加えて、前記変換後のサンプリング位相差とするステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の画像信号処理方法。
【請求項5】
複数の画像フレームが入力される入力部と、
前記入力された複数の画像フレームを合成することにより、画像フレームを構成する画素数を増加して出力画像フレームを得るための解像度変換部と、
前記解像度変換部が生成した画像を表示する表示部とを備え、
前記解像度変換部は、
基準となる前記入力画像フレーム上の画像データと他の入力画像フレーム上の対応する各画像データを用いてサンプリング位相差を推定する位置推定部と、
前記サンプリング位相差を変換し、変換後のサンプリング位相差を出力する位相変換部と、
前記変換後のサンプリング位相差の情報を用いて各入力画像フレームの画像データを動き補償するとともに画素数を増加する動き補償・アップレート部と、
前記画素数が増加された各画像フレームの画像データを所定量位相シフトする位相シフト部と、
前記位相シフトの前後の各画像データに、前記サンプリング位相差の情報を用いて決定した係数を乗じて加算することにより、折返し成分を除去して出力する折返し成分除去部と有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
前記位相変換部は、
前記入力画像フレームにおける処理対象画素と同一の輝度方向を推定し、該推定結果をもとにして位相補正値を出力する同一輝度方向推定部を有し、
前記サンプリング位相差に前記位相補正値を加えて、前記変換後のサンプリング位相差とすることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公開番号】特開2009−94593(P2009−94593A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260485(P2007−260485)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】