説明

画像処理システムおよび画像処理装置

【課題】 認証されたユーザが操作したとき、操作の手間を省けるようにして、画像処理システムの利便性を向上させる。
【解決手段】画像処理装置において、ユーザがユーザ情報を入力すると、認証が行われる。認証ユーザであることが確認されると、画像処理装置は、管理装置に認証ユーザの印刷データがあるか確認する。印刷データがあると、画像処理装置は、管理装置から印刷データを受け取り、自動的に印刷を開始する。印刷終了後、画像処理装置は、自動的に認証ユーザのログアウトを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置が管理装置に保存されている画像データに対して印刷等の処理を実行する画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント、コピー、ファクシミリ通信、スキャン等の処理を行う画像処理装置とサーバ等の管理装置とが通信可能に接続された画像処理システムにおいて、管理装置は、入力された画像データを保存して管理する。画像処理装置は、ユーザの操作にしたがって、管理装置にアクセスして、管理装置から送信された画像データを受け取り、印刷等の処理を実行する。
【0003】
ここで、システムのセキュリティの面から、ユーザの認証が行われ、認証ユーザがこのシステムを利用可能とされる。例えば、特許文献1に記載されたプリントシステムでは、画像処理装置は、ユーザが認証されてログインしたとき、印刷管理サーバから認証ユーザの画像データの一覧を受信し、一覧を操作部の画面に表示する。この一覧からユーザにより画像データが選択され、印刷指示が行われると、画像処理装置は、プリントサーバから画像データを受け取り、画像データを印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−99714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像処理システムでは、ユーザが認証された後、画像処理装置に操作画面が表示される。ユーザは、印刷等の処理を行いたい場合、操作画面に表示された画像データを選択して、実行ボタンを操作する。このように、認証されたユーザが所望する処理を実行させるには、複数の操作を行わなければならず、ユーザに手間をかけることになる。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、認証されたユーザに対する操作性を向上させることにより、ユーザが使いやすい画像処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザの操作にしたがって画像データを処理する画像処理装置と、認証された認証ユーザの画像データを管理する管理装置とが通信可能に接続された画像処理システムであって、画像処理装置は、操作したユーザが認証されたとき、管理装置から当該認証ユーザの画像データを受け取り、自動的に画像データを処理する。
【0008】
ユーザが画像処理装置を操作したとき、このユーザの認証が行われる。認証されたユーザは画像処理装置にログインが許可され、画像処理装置は、管理装置にこの認証ユーザに関係する画像データがあるかを確認し、画像データを要求する。管理装置は、認証ユーザの画像データがあるとき、画像処理装置に送信する。画像処理装置は、画像データを受け取ると、画像データの自動処理を実行する。そして、画像処理装置は、自動処理が終了すると、認証ユーザに対するログアウトを行う。したがって、認証ユーザは、画像処理装置にログインできれば、何も操作をしなくても、自己の画像データに対して所望の処理を実行させることができる。
【0009】
画像処理装置は、認証ユーザが認証されたときの認証時間と認証ユーザの画像データが管理装置に保存されたときの保存時間とに基づいて、画像データの自動処理を実行するかを決める。保存時間から認証時間までの経過時間が所定時間を越えているとき、画像処理装置は、自動処理の実行を中止する。経過時間が所定時間以下のとき、自動処理が実行される。
【0010】
ユーザによって入力された画像データは、管理装置において保存される。入力後、ユーザは画像処理装置において操作して、ユーザの認証が行われる。ユーザがすぐに処理された画像データを手に入れたい場合、入力してからすぐに画像処理装置まで行くので、この間の経過時間が短くなる。このとき、自動処理が行われるので、ユーザはより早く画像データを入手できる。また、ユーザが至急に画像データを手に入れる必要がない場合、経過時間が長くなる。この場合、自動処理は行われず、通常の操作によって画像データが処理される。
【0011】
画像処理装置は、認証ユーザの画像データが1つの場合、自動処理を実行し、画像データが複数の場合、複数の画像データの一覧を提示して、選択された画像データを処理する。認証ユーザの画像データが複数ある場合、画像データの一覧が表示、音声等により提示されるので、認証ユーザは画像データを確認することができる。したがって、必要な画像データだけを手に入れることができ、不要な画像データは処理されない。
【0012】
画像処理装置は、処理待機中の画像データが存在しても、自動処理を優先して実行する。これによって、認証ユーザは、自己の画像データをすばやく入手できる。
【0013】
画像処理装置は、認証ユーザの画像データが管理装置に保存されているとき、自動処理を実行するか画像データを確認してから処理を実行するかを選択可能とする。自動処理を実行しない場合、認証ユーザの画像データの一覧が提示される。ここで、認証ユーザは、画像データを確認して、必要なデータであるかを判断できる。必要であれば、画像データの処理が実行され、不要であれば、画像データの処理は行われない。
【0014】
上記の画像処理システムにおける画像処理装置は、画像データの処理を制御する制御部を備えている。制御部は、操作したユーザを認証したとき、管理装置から当該認証ユーザの画像データを受け取り、自動的に画像データの処理を実行する。また、制御部は、ユーザの認証後、管理装置に認証ユーザの画像データが保存されているかを確認し、画像データが保存されている場合、自動処理を実行するか、画像データを確認してから処理を実行するかを選択可能とする。さらに、制御部は、認証ユーザの画像データが管理装置に保存されたときの保存時間から認証ユーザが認証されたときの認証時間までの経過時間を確認し、経過時間が所定時間以下のとき、自動処理を実行し、経過時間が所定時間を越えているとき、自動処理の実行を禁止する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、認証ユーザのログイン後、ユーザは何も操作をしなくても、画像データの印刷等の処理を実行させることができる。これにより、ユーザの手間が少なくなって、画像処理装置の操作性をよくすることができ、使いやすい画像処理装置を実現でき、システム全体の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の画像処理システムの概略構成図
【図2】画像処理装置の概略構成を示すブロック図
【図3】従来の画像処理システムを利用した印刷時のフローチャート
【図4】認証ユーザが操作したときの印刷時のフローチャート
【図5】画像データが複数ある場合の印刷時のフローチャート
【図6】印刷データの保存からユーザの認証までの経過時間に応じて印刷を行うときのフローチャート
【図7】自動印刷か印刷データの一覧表示かの選択に応じて印刷するときのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の画像処理システムを図1に示す。画像処理システムは、画像データを処理する画像処理装置1と、画像データを保存して管理する管理装置2と、画像データを作成するクライアント装置3とを備え、各装置がLAN等のネットワークを通じて通信可能に接続されている。なお、画像処理装置1およびクライアント装置3は複数であってもよい。
【0018】
画像処理装置1は、MFPとされ、図2に示すように、制御部10、記憶部11、印刷12、操作部13、通信部14、スキャナ15、入力部16を有している。そして、画像処理装置1は、ユーザの操作にしたがって、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリ通信、データ送信、データファイリングといった各種の処理を行う。
【0019】
管理装置2は、管理サーバとされ、制御部20、記憶部21、表示部22、操作部23、通信部24等を備えた一般的なコンピュータである。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、表示部32、操作部33、通信部34等を備えている。
【0020】
クライアント装置3は、ワープロソフトや表計算ソフトなどによって画像データを作成する。そして、クライアント装置3の制御部30は、通信部34を通じて画像データを管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、クライアント装置3から画像データを受け取ると、画像データをHDD、SSD等からなる記憶部21に保存する。また、画像処理装置1は、スキャナ15により原稿から画像を読み取って、画像データを作成する。画像処理装置1の制御部10が通信部14を通じて画像データを管理装置2に送信すると、管理装置2の制御部20は、受信した画像データを記憶部21に保存する。管理装置2は、画像処理装置1やクライアント装置3から入力された画像データのジョブを管理するとともに、画像処理装置1の使用の状態も管理する。
【0021】
ジョブに応じて画像処理装置は、画像データを処理する。画像データを処理するとき、画像処理装置1は、管理装置2に画像データを要求し、管理装置2は、指定された画像データを画像処理装置1に送信する。画像処理装置1は、受け取った画像データに対して指示された処理を実行する。
【0022】
上記のような管理装置2を通じた画像データの処理は、登録されたユーザの操作にしたがって行われる。すなわち、画像処理装置1およびクライアント装置3は、ユーザ情報を入力する入力部16、35を備えている。ユーザ情報は、例えばIDとパスワード、メールアドレス、グループ名であったり、指紋、静脈等の生体情報である。したがって、入力部16、35として、キー入力可能な操作部、生体情報を読み取るカメラ、ユーザ情報を記憶したICカード等の記憶媒体を読み取る読取装置といったものが利用される。
【0023】
ユーザ情報は予め管理装置2の記憶部21に記憶されることにより、本システムを利用可能なユーザが登録される。管理装置2の制御部20は、画像処理装置1あるいはクライアント装置3の入力部16、35から入力されたユーザ情報に基づいてユーザの認証を行う。制御部20は、入力されたユーザ情報を記憶されているユーザ情報と照合して、認証されたユーザ、すなわち認証ユーザであるか否かを判断する。ユーザが認証されると、画像処理装置1あるいはクライアント装置3は、管理装置2にアクセス可能となり、認証ユーザの操作にしたがって画像データに対する処理を行う。ユーザが認証されなかった場合、管理装置2を通じた画像データの処理は禁止され、認証されなかったユーザは、画像処理装置1を使用できない。
【0024】
認証ユーザは、画像処理装置1あるいはクライアント装置3を操作して、画像データを入力すると、管理装置2の制御部20は、認証ユーザのユーザ情報を入力された画像データに関連付けて、画像データをユーザ毎に管理する。
【0025】
本システムの画像処理装置1を利用して、画像データを印刷するときの動作を説明する。まず、認証ユーザは、クライアント装置3により画像データを作成する。クライアント装置3の制御部30は、プリンタドライバにより画像データを印刷データに変換して、管理装置2に印刷データを送信する。このとき、制御部30は、入力されたユーザ情報も管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、送信されたユーザ情報により認証ユーザであることを確認すると、ユーザ情報を印刷データに関連付けて、画像データとして記憶部21に保存する。なお、ユーザがクライアント装置3を操作するときに、ユーザ情報を入力して、管理装置2がこのユーザ情報に基づいてユーザの認証を行ってもよい。管理装置2の制御部20は、認証ユーザによるシステムの利用を許容する。
【0026】
ユーザは、印刷したい画像処理装置1において操作を行う。図3に示すように、画像処理装置1は待機中の状態にあり、操作部13のタッチパネルモニタには、ログイン画面が表示されている(S1)。この画像処理装置1では、ユーザの認証をICカードにより行う。画像処理装置1の入力部16である読取装置がICカードからユーザ情報を読み取る(S2)。制御部10は、入力されたユーザ情報を管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、ユーザ情報をチェックして、認証ユーザであることを確認すると、認証ユーザのログインの許可を画像処理装置1に通知する。画像処理装置1の制御部10は、この通知により認証を完了する(S3)。
【0027】
画像処理装置1の制御部10は、画面の表示変更を行って、モニタに操作用のホーム画面を表示する(S4)。認証ユーザが印刷処理ボタンを操作すると、制御部10は、印刷用の操作画面に表示を切り替える(S5)。すなわち、制御部10は、管理装置2に認証ユーザに対する印刷データの一覧を要求する。管理装置2の制御部20は、認証ユーザに対する印刷データの一覧を作成して、一覧を画像処理装置1に送信する。画像処理装置1の制御部10は、受け取った一覧をモニタに表示する(S6)。認証ユーザがモニタ上の印刷データを選択して、OKボタンを操作する(S7)と、制御部10は、印刷を促すための印刷画面を表示する(S8)。認証ユーザが印刷ボタンを操作する(S9)と、制御部10は、印刷処理を開始する。
【0028】
制御部10は、管理装置2に印刷データを要求する。管理装置2は、指定された印刷データを記憶部21から読み出し、画像処理装置1に送信する。画像処理装置1の制御部10は、印刷データを受け取ると、印刷部12に印刷指示を行い、印刷部12は画像を印刷する。印刷処理が開始されると、制御部10は、モニタに印刷中の表示を行う(S10)。印刷が終了する(S11)と、制御部10は、モニタに印刷完了の表示を行う。認証ユーザがログアウトボタンを操作する(S12)と、制御部10は、認証ユーザに対するログアウトを行う。
【0029】
ところで、従来では、画像処理装置1において、ユーザは、ログインした後、印刷等の処理を開始するための操作を行わなければならない。認証ユーザの操作であっても、すぐに処理が行われない。そこで、本システムでは、ユーザの手間を省けるように、認証ユーザがログインしたとき、画像処理装置1は自動的に当該認証ユーザが指定した画像データの処理を実行する。
【0030】
画像処理装置1の制御部10は、操作したユーザが認証されたとき、管理装置2に当該認証ユーザの画像データが保存されているかを確認する。画像データがある場合、制御部10は、管理装置2から画像データを受け取り、画像データの自動処理を実行する。画像データがない場合、制御部10は、認証ユーザの操作によって指示された処理を実行する。
【0031】
自動的に印刷を実行するときの動作を説明する。ユーザは、クライアント装置3からユーザ情報を入力してログインすると、管理装置2は、クライアント装置3から送信されたユーザ情報に基づいてユーザを認証する。認証ユーザは、クライアント装置3を操作して、画像データを作成する。クライアント装置3の制御部30は、画像データから変換された印刷データをユーザ情報とともに管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、受信した印刷データをユーザ情報に関連付けて記憶部21に保存する。
【0032】
認証ユーザは、画像処理装置1においてユーザ情報を入力してログインする。図4に示すように、画像処理装置1の制御部10は、ユーザ情報が入力されると、認証処理を開始する(S20)。制御部10は、ユーザ情報を管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、ユーザ情報に基づいてユーザを認証すると、ユーザのログイン許可を画像処理装置1に通知する。画像処理装置1の制御部10は、認証ユーザであることを確認して、認証処理を完了する(S21)。
【0033】
画像処理装置1の制御部10は、認証ユーザの印刷データの有無を管理装置2に問い合わせる(S22)。管理装置2の制御部20は、該当するユーザの印刷データがあるとき、印刷データを画像処理装置1に送信する。画像処理装置1の制御部10は、印刷データを受け取ると、印刷を開始する(S23)。印刷が開始されると、制御部10は、モニタに印刷中であることを表示する(S24)。印刷が終了する(S25)と、制御部10は、認証ユーザのログアウトを自動的に行う(S26)。
【0034】
管理装置2に印刷データがない場合、画像処理装置1の制御部10は、操作画面の表示変更を行って、モニタに操作用のホーム画面を表示する(S27)。認証ユーザは、印刷以外の処理を実行させるために操作を行う(S28)。画像処理装置1の制御部10は、認証ユーザの操作にしたがって、指示された処理を実行する。処理が終了すると、制御部10は、認証ユーザのログアウトを自動的に行う(S26)。
【0035】
このように、認証ユーザがログインすることにより、不正な使用でないと判断できるので、自動処理の実行が許容される。認証ユーザは何も操作することなく、当該認証ユーザの画像データが自動的に印刷等の処理が行われる。したがって、ユーザの手間を省くことができ、画像処理装置1における操作性の向上を図ることができる。また、処理が終了すると、自動的にログアウトすることによっても、ユーザの操作を省略でき、操作性を向上できる。これによって、画像処理装置1を含む本システムの利便性を向上させることができる。
【0036】
ここで、上記では、管理装置2に1つの画像データが保存されている場合、この画像データが自動的に処理される。認証ユーザの画像データが複数保存されている場合、これらの画像データを自動処理してもよい。
【0037】
しかし、ユーザが所望の画像データを処理したい場合がある。そこで、ユーザが所望する画像データを処理できるようにするために、画像処理装置1の制御部10は、複数の画像データの一覧を提示して、選択された画像データを処理する。
【0038】
画像データが複数ある場合において、印刷するときの動作を図5にしたがって説明する。なお、図4に示した動作と同じものには、同じステップ番号を付し、その説明を省略する。画像処理装置1の制御部10は、ユーザの認証、印刷データの確認を行う。
【0039】
画像処理装置1の制御部10は、管理装置2からの返答により認証ユーザの印刷データが複数あるかを判断する(S30)。すなわち、管理装置2の制御部20は、画像処理装置1からの印刷データの有無の問い合わせに対して、認証ユーザに対する印刷データの一覧を作成して、一覧を画像処理装置1に送信する。画像処理装置1の制御部10は、受け取った一覧に基づいて印刷データが複数であるか否かを判断する。印刷データが1つの場合、制御部10は、自動的に印刷を実行する。
【0040】
印刷データが複数の場合、制御部10は、モニタに印刷データの一覧を表示して、認証ユーザに提示する(S31)。認証ユーザが複数の印刷データの中から1つの印刷データを選択する(S32)と、制御部10は、選択された印刷データの印刷を促すための印刷画面を表示する(S33)。認証ユーザが印刷ボタンを操作する(S34)と、制御部10は、印刷処理を開始する。印刷が終了すると、制御部10は、認証ユーザのログアウトを自動的に行う(S26)。
【0041】
印刷データが複数ある場合、自動印刷が行われると、ユーザが意図しない印刷データが印刷されるおそれがある。このように認証ユーザが印刷データの一覧から印刷データを選択できるようにすることにより、ユーザの所望する印刷データを確実に印刷することができる。
【0042】
なお、S32において、認証ユーザが複数の印刷データを選択したとき、制御部10は、選択された複数の印刷データの印刷を実行する。印刷の順序は、認証ユーザが選択した順とする。あるいは、印刷データが管理装置2に保存されたときの保存時間の新しい順あるいは古い順とする。
【0043】
ここで、ユーザがクライアント装置3において画像データを作成すると、クライアント装置3の制御部30は、画像データを管理装置2に送信する。管理装置2の制御部20は、受信した画像データを保存する。制御部20は、保存したときの保存時間の情報を管理する。
【0044】
一方、ユーザが画像処理装置1において認証されてログインしたとき、画像処理装置1の制御部10は、ユーザを認証したときの認証時間を記憶する。画像データの保存からユーザの認証までの間には時間が経過している。ユーザが至急に画像データを処理したい場合、ユーザはすぐに画像処理装置1において操作を開始する。
【0045】
そこで、画像処理装置1の制御部10は、保存時間から認証時間までの経過時間に基づいて、自動処理の実行の要否を判断する。経過時間が所定時間以下のとき、自動処理を行い、経過時間が所定時間を越えているとき、自動処理の実行を中止し、通常の操作による処理を実行する。所定時間は、任意に設定された時間である。
【0046】
この経過時間に基づいて印刷するときの動作を図6にしたがって説明する。なお、図4に示した動作と同じものには、同じステップ番号を付し、その説明を省略する。画像処理装置1の制御部10は、管理装置2に印刷データの有無を問い合わせた後、管理装置2から印刷データを受け取ると、経過時間に基づいて印刷データの自動処理の可否を判断する(S40)。
【0047】
すなわち、制御部10は、印刷データに付加された保存時間の情報を管理装置2から取得し、ユーザが認証されたときの認証時間と保存時間とに基づいて経過時間を算出する。そして、経過時間が所定時間以下のとき、制御部10は、印刷データを自動的に印刷する。経過時間が所定時間を越えているとき、制御部10は、印刷データに対する自動処理を中止し、通常の操作を行えるようにモニタに操作用のホーム画面を表示して、認証ユーザの操作にしたがって指示された処理を実行する。
【0048】
なお、印刷データが複数ある場合、制御部10は、印刷データ毎に経過時間を算出して、経過時間が所定時間以下の印刷データに対して自動印刷を行う。経過時間が所定時間を越えている印刷データに対して、自動印刷を実行せず、印刷されなかった印刷データの一覧を表示する。認証ユーザが一覧から印刷データを選択したとき、制御部10は、選択された印刷データを印刷する。
【0049】
このように、保存から認証までの経過時間に応じて自動処理を実行することにより、ユーザはすぐに必要な画像データを手に入れることができる。一方、保存してから時間が経過した画像データに対しては、ユーザは急を要していないと判断できるので、自動処理が実行されない。そのため、不要な処理をなくすことができ、画像処理装置1の処理効率を向上できる。
【0050】
上記の各実施形態では、いずれも管理装置2に画像データがあるかを確認して、画像データがあれば自動処理が実行される。ユーザが処理される画像データを確認したい場合がある。そこで、画像処理装置1の制御部10は、自動処理を実行するか画像データを確認してから処理を実行するかを選択可能とする。
【0051】
自動印刷を選択するときの動作を図7にしたがって説明する。なお、図4に示した動作と同じものには、同じステップ番号を付し、その説明を省略する。画像処理装置1の制御部10は、認証ユーザの印刷データが管理装置2に保存されていることを確認すると、自動印刷するか否かを選択できるように、モニタに選択画面を表示する(S50)。
【0052】
認証ユーザが自動印刷を選択する(S51)と、制御部10は、印刷データの印刷を開始する。認証ユーザが印刷データの確認を選択したとき、制御部10は、モニタに印刷データの一覧を表示して、認証ユーザに提示する(S52)。認証ユーザが印刷データを1つあるいは複数選択する(S53)と、制御部10は、選択された印刷データの印刷を促すための印刷画面を表示する(S54)。認証ユーザが印刷ボタンを操作する(S55)と、制御部10は、印刷処理を開始する。印刷が終了すると、制御部10は、認証ユーザのログアウトを自動的に行う(S26)。
【0053】
このように、自動処理を実行するか否かを選択可能とすることにより、間違って画像データが処理されることを未然に防ぐことができ、必要な画像データの処理を確実に行うことができる。
【0054】
上記の自動印刷の選択の実行は予め設定され、画像処理装置1の制御部10は、設定されている場合、選択画面を表示する。設定されていない場合、制御部10は、自動処理を実行する。
【0055】
また、画像処理装置1は、複数のユーザの画像データの処理を行う。そのため、画像処理装置1に、処理待機中の画像データが存在する場合がある。しかし、認証ユーザに対する処理を優先して行うようにするために、画像処理装置1の制御部10は、処理待機中の画像データが存在していても、認証ユーザの画像データの自動処理を優先的に実行する。
すなわち、制御部10は、認証されたユーザが操作したとき、この認証ユーザの画像データを管理装置2から受け取り、すぐに画像データの処理を実行する。例えば、画像データの自動処理を実行する、あるいは画像データが複数ある場合、画像データの一覧を表示して、選択された画像データを処理する。処理待機中の画像データは、認証ユーザの画像データに対する処理の終了後に処理が行われる。これにより、ユーザは緊急の処理をする必要がある場合であっても、すぐに画像データを処理でき、必要なデータを手に入れることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。上記の各実施形態では、処理としてプリントを対象にしたが、これ以外のファクシミリ送信、データ送信、データファイリングといった処理を対象としてもよい。また、ユーザの認証は、画像処理装置あるいはクライアント装置が行ってもよい。
【0057】
画像データが自動処理を実行するか否かの情報を有していてもよい。画像データが管理装置に保存されるとき、ユーザは自動処理の実行可あるいは実行不可の情報を付加する。画像処理装置の制御部は、画像データに付加された情報に基づいて、実行可であれば、自動処理を実行する。実行不可であれば、画像データの一覧を表示等で提示して、選択された画像データを処理する。
【符号の説明】
【0058】
1 画像処理装置
2 管理装置
3 クライアント装置
10 制御部
11 記憶部
12 印刷部
13 操作部
14 通信部
15 スキャナ
16 入力部
20 制御部
21 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作にしたがって画像データを処理する画像処理装置と、認証された認証ユーザの画像データを管理する管理装置とが通信可能に接続され、画像処理装置は、操作したユーザが認証されたとき、管理装置から当該認証ユーザの画像データを受け取り、自動的に画像データを処理することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
画像処理装置は、認証ユーザが認証されたときの認証時間と認証ユーザの画像データが管理装置に保存されたときの保存時間とに基づいて、画像データの自動処理を実行するかを決めることを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
画像処理装置は、保存時間から認証時間までの経過時間が所定時間を越えているとき、自動処理の実行を中止することを特徴とする請求項2記載の画像処理システム。
【請求項4】
画像処理装置は、認証ユーザの画像データが1つの場合、自動処理を実行し、画像データが複数の場合、複数の画像データの一覧を提示して、選択された画像データを処理することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理システム。
【請求項5】
画像処理装置は、処理待機中の画像データが存在しても、自動処理を優先して実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
画像処理装置は、認証ユーザの画像データが管理装置に保存されているとき、自動処理を実行するか画像データを確認してから処理を実行するかを選択可能とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項7】
画像処理装置は、自動処理が終了すると、認証ユーザに対するログアウトを行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項8】
認証された認証ユーザの画像データを管理する管理装置と通信可能に接続され、ユーザの操作にしたがって画像データを処理する画像処理装置であって、画像データの処理を制御する制御部が設けられ、制御部は、操作したユーザを認証したとき、管理装置から当該認証ユーザの画像データを受け取り、自動的に画像データの処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザの認証後、管理装置に認証ユーザの画像データが保存されているかを確認し、画像データが保存されている場合、自動処理を実行するか、画像データを確認してから処理を実行するかを選択可能とすることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、認証ユーザの画像データが管理装置に保存されたときの保存時間から認証ユーザが認証されたときの認証時間までの経過時間を確認し、経過時間が所定時間以下のとき、自動処理を実行し、経過時間が所定時間を越えているとき、自動処理の実行を禁止することを特徴とする請求項8または9記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−223180(P2011−223180A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88418(P2010−88418)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】