説明

画像処理方法、画像処理装置および画像形成装置

【課題】バースト転送可能なメモリを用いて回転処理時のデータ転送を効率的に行う。
【解決手段】同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能なメモリと、画素毎に複数Lチャンネルの画像データを前記メモリに書き込み、前記メモリ上で回転させる記憶制御部とを備え、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込み、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた前記画像データを前記メモリから連続して読み出し、前記メモリから読み出された各チャンネルN×N画素単位の画像データをそれぞれ90°回転させ、回転されたN×N画素単位のLチャンネル分の画像データをメモリに対して同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法、画像処理装置および画像形成装置に関し、特に、効率よく画像回転を行える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置や画像形成装置において、画像を90度回転させる画像回転処理が要求されることがある。
たとえば、原稿と記録紙の縦横の向きが異なる場合には、スキャナで得た画像データを画像回転処理してからプリンタで画像形成している。また、原稿と記録紙の縦横の向きが同じであっても、2in1処理を伴う画像形成を実行する場合には、スキャナで得た画像データを画像回転処理したうえで2in1の合成を行ってからプリンタで画像形成している。
【0003】
なお、このような画像回転処理は、高速処理が要求されるため、半導体メモリを使用した画像メモリ上で実行されることが多い。
なお、半導体メモリを用いた画像処理装置における画像回転処理の改善については、以下の特許文献などに提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−119397号公報
【特許文献2】特開平5−342339号公報
【特許文献3】特開平10−210251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の特許文献1では、カラー画像処理の際にRGBあるいはYMCKといった複数のチャンネルについて、画像メモリのバンクを切り替えることで連続した高速処理を実現しようとしている。しかし、バンク数とチャンネル数とが一致しない場合には、画像メモリに無駄な使用されない領域が生じることで、使用可能なメモリ領域が限定されてしまうことがある。
【0006】
また、以上の特許文献2では、バースト転送が可能なDDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリを使用することで、一度に転送できるメモリ量を増大させ、高速化を図ろうとしている。
【0007】
ここで、このDDR SDRAMを用いてバースト転送を行いつつ、画像回転処理を実行する場合について説明する。
なお、DDR SDRAMとしては、DDR,DDR2,DDR3などのように、バースト転送できるデータ量(バースト転送長B)がSDRAMと比較して、2倍,4倍,8倍と、増大する方向に進歩している。
【0008】
図5(a)は回転前の画像データであり、1−8の8つのブロックに分けて処理される。ここで、各ブロックは図5(b)に示されるよう、8×8画素(N×N画素)の集合体である。
【0009】
なお、この場合、バースト転送長Bにおいて、B=8として、8バースト(Bバースト)転送が可能な画像メモリを使用した場合を想定して説明する。ここでバースト転送長Bとは、一度のバースト転送を行う際のデータ量を意味する。
【0010】
ここでは、図5(a)(b)のように行方向8画素(N画素)を列方向に8列バースト(B=8として、Bバースト)転送により連続して読み出し、図5(c)のように画素の並べ替えにより90°回転させた上で、再び図5(c)(d)のように、行方向8画素を列方向に8列バースト転送により連続して画像メモリに書き込むようにする。
【0011】
ところで、バースト転送できるデータ量を更に大きくして高速化を図る場合について、図6を用いて説明する。
この場合、各ブロックは図6(b)に示されるよう、8×8画素(N×N画素)の集合体である。この場合に、16バースト(B=8として、2Bバースト)転送が可能な画像メモリを使用した場合を想定して説明する。
【0012】
ここでは、図6(a)のように行方向8画素を列方向に16列バースト(2Bバースト)転送により連続して読み出し、図6(b)のように画素の並べ替えにより90°回転させる。ただし、図6(c)に示すごとく、画像回転後のブロック1,2の位置が回転前と異なるため、行方向8画素を列方向に8列バースト転送の書き込みを、2回に分けて画像メモリに書き込むようにする。この場合、回転後の行アドレスが異なるため、連続して一度に書き込むことができなくなり、バースト転送量を大きくしたにもかかわらず、高速な処理を実現することができない状態になる。
【0013】
なお、この様子を図7に示す。ここでは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)、A(タグデータ)の5チャンネルで構成された画像データの一例を示す。
【0014】
ここで、図7(a)は回転前と回転後の画像データが格納される画像メモリの様子を模式的に示しており、C1,C2,…はシアンCについての8×8画素のブロックであり、M1,M2,…はマゼンタMについての8×8画素のブロックであり、A1,A2,…はタグデータAについての8×8画素のブロックである。
【0015】
この図7では、図5同様に、シアンCのブロックC1についての回転処理の様子を示している。この図7で明らかなように、回転前のC1にはC2が隣接しているが、回転後のC1にはC38が隣接している。
【0016】
すなわち、8×8画素(N×N画素)のブロックの場合には、行方向8画素(N画素)を列方向に8列バースト(B=8としてBバースト)転送により連続して扱うことは可能であるが、バースト転送のBをNより大きくしても、効率が良くならない問題がある。
【0017】
なお、以上の場合に、1つのブロックを構成するNそのものを大きくすると、一度に扱えるデータ量が大きくなるが、画像回転処理に必要な内部メモリが大量に必要になり、実用的ではない。
【0018】
本発明は、バースト転送が可能な画像メモリを用いた場合に画像回転処理実行時のデータ転送を効率的に行える画像処理方法および画像処理装置ならびに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決する本願発明は、以下に述べる通りである。
本発明は、同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能なメモリと、画素毎に複数の色もしくは属性の複数Lチャンネルの画像データを前記メモリに書き込むと共に、前記メモリ上で回転させる記憶制御部と、を備え、前記記憶制御部は、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込み、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた前記画像データを、前記メモリから連続して読み出し、前記メモリから読み出された、各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データを、それぞれ90°あるいは270°回転させ、前記回転された、N×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む、ことを特徴とする。
【0020】
なお、記憶制御部は、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して書き込む際に、バースト転送長をBとして、列アドレス方向の空き容量がB×L以上であるかを確認し、列アドレス方向の空き容量がB×Lより小さくなった時点で、次の行アドレスにて前記メモリに対して書き込む、ことを特徴とする。
【0021】
この場合、1アドレスのデータ量としてデータバス幅をi、バースト転送長Bを幾つ連続させるかを意味するバースト数をjとすると、N×N=i×j×Bが成り立つ。すなわち、N×N画素単位のLチャンネル分のデータを、i×j×B×L単位でバースト転送しつつ高速に扱うことを意味している。
【発明の効果】
【0022】
以上の発明では、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込んでおき、N×N画素単位のLチャンネル分の同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた画像データをメモリから連続して読み出し、メモリから読み出された各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データをそれぞれ回転させ、回転されたN×N画素単位のLチャンネル分の画像データをメモリに対して同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに連続して書き込むようにしているため、バースト転送長であるB毎にB×Lバースト転送による連続した読み書きが可能になり、バースト転送が可能な画像メモリを用いた場合に画像回転処理実行時のデータ転送を効率的に行える画像処理方法および画像処理装置ならびに画像形成装置を実現できる。
【0023】
また、この発明によれば、連続した効率的な読み書きが可能になるため、処理回路を従来より低クロックで動作させても結果として十分な処理が可能になり、低電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態の概略構成を示す構成図である
【図2】本発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態のデータ処理の様子を示す説明図である
【図4】本発明の実施形態のデータ処理の様子を示す説明図である
【図5】従来のデータ処理の様子を示す説明図である
【図6】従来のデータ処理の様子を示す説明図である
【図7】従来のデータ処理の様子を示す説明図である
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。ここでは、画像処理装置を含む画像形成装置、画像処理方法を実行する画像処理装置を含む画像形成装置を具体例にして、実施形態の説明を行う。
【0026】
〔画像形成装置の構成〕
ここで、第一実施形態の電子写真方式の画像形成装置100の構成を、図1に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置100として既知であって、本実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0027】
図1に示す画像形成装置100は、各部を制御する全体制御部101、操作者が各種操作入力を行うと共に各種表示を行う操作表示部105、外部からの画像データの供給を受けるプリンタコントローラ110、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナ120、入力画像データに対して入力画像処理を施す入力画像処理部130、画像データや各種データを記憶する記憶部140、記憶部140で記憶された画像データに対して出力画像処理を施す出力画像処理部150、画像データに基づいて記録紙上に画像を形成するプリントエンジン160、を備えて構成されている。
【0028】
ここで、全体制御部101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ここで、CPUは、RAMの所定領域をワークエリアとし、ROMに記憶されている各種プログラムを実行して、画像形成装置100の各部を統括的に制御する。
【0029】
ここで、操作表示部105は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスを備え、入力される各種指示信号を全体制御部101に送信する。また、操作表示部105は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示手段を備え、全体制御部101から入力される各種画像データを表示する。なお、この操作表示部は操作部と表示部が別であってもよいが、表示されたアイコンあるいはキー(以下、「キー」と呼ぶ)を押下するタッチパネルであってもよい。
【0030】
入力画像処理部130は、スキャナ120で得られた入力画像データに対して、シェーディング補正、変倍処理、傾き補正処理、色変換(RGB→YMCK)などの入力画像処理を施す。なお、入力画像処理部130は、プリンタコントローラ110経由で得られた入力画像データに対しても、必要に応じて入力画像処理を施す。
【0031】
出力画像処理部150は、記憶部140で記憶された画像データに対して、画像形成に必要なプリンタガンマ変換、誤差拡散処理、微笑変倍処理などの出力画像処理を施す。
プリントエンジン160は、電子写真方式や各種方式の画像形成部や印刷装置であり、複写機やプリンタやファクシミリ装置などにおいて所定の記録紙上に画像を形成して出力するものである。
【0032】
また、記憶部140は、記憶に関する各種制御を実行する記憶制御部141、バースト転送が可能なDDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリを使用して一度に転送できるメモリ量を増大させた状態で画像データを記憶する画像メモリ142、画像データなどを不揮発性記憶するHDD(Hard Disc Drive)143、を備えて構成される。なお、画像回転処理については、記憶制御部141が画像メモリ142上の画像データについて、ブロックごとに画素の並べ替えを行うことで実現される。
【0033】
なお、この実施形態において、バースト転送長Bとは、一度のバースト転送を行う際のデータ量を意味する。
〔画像処理装置、画像形成装置の動作〕
ここで、第一実施形態の画像形成装置100の動作(画像処理方法)について説明する。
【0034】
ここでは、画素毎に複数の色もしくは属性の複数Lチャンネルの画像データを、同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能な画像メモリ142を用いて画像処理する場合について説明する。
【0035】
操作部105でのユーザの操作、もしくはプリンタコントローラ110経由で図外の端末から画像回転処理の要求が発生したとする(図2中のステップS101)。または、画像形成の際の原稿と記録紙との関係、2in1処理などによる画像回転処理の必要性を、全体制御部が判断したとする(図2中のステップS101)。
【0036】
なお、この画像回転処理は、HDD143に格納されている画像データを画像形成する際に必要になる場合について想定する。
これを受けた全体制御部101は、記憶部140内の記憶制御部141に画像回転処理の指示を与える。
【0037】
記憶制御部141は、HDD143から該当する画像データを読み出し、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位(ブロック単位)の、CMYKAの合計Lチャンネル分の画像データを、画像メモリ142に対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む(図2中のステップS102)。
【0038】
ここでは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)、A(タグデータ)の場合、すなわち、チャネル数L=5を具体例とする。さらに、ブロックの画素数N=8として、8×8画素のブロック単位の画像データを具体例とする。また、バースト転送長B=8を具体例にして説明を行う。
【0039】
なお、DDR SDRAMとしては、DDR,DDR2,DDR3などのように、バースト転送できるデータ量(バースト転送長B)がSDRAMと比較して、2倍,4倍,8倍と、増大する方向に進歩しているが、ここではB=8として説明を行う。
【0040】
また、1アドレスのデータ量としてデータバス幅をi、バースト転送長Bを幾つ連続させるかを意味するバースト数をjとすると、N×N=i×j×Bが成り立つ。ここでは、i=8,j=1を具体例とするが、N,i,jの数値はこれに限定されるものではない。
【0041】
この場合、図示されないラインメモリ等を用いて、画像データの副走査方向の8画素を1つにパッキングする。そして、パッキングした状態の画素群を更に8個まとめてひとかたまりのブロックとする。ここで、行アドレスをセットし、先頭の列アドレスをセットして、シアンCの8×8画素を8バースト転送により画像メモリ142に書き込む。次に8アドレス進んだ列アドレスをセットして、マゼンダMの8×8画素を8バースト転送により画像メモリ142に書き込む。この次に8アドレス進んだ列アドレスをセットして、イエローYの8×8画素を8バースト転送により画像メモリ142に書き込む。またこの次に8アドレス進んだ列アドレスをセットして、黒Kの8×8画素を8バースト転送により画像メモリ142に書き込む。更にこの次に8アドレス進んだ列アドレスをセットして、タグデータAの8×8画素を8画素・8バースト転送により画像メモリ142に書き込む。このようにして、L=5チャンネル分の8×8画素の画像データを、画像メモリ14342において同一行アドレスの隣接する列アドレスに書き込む。
【0042】
また、ここで、図3(a)は回転前と回転後の画像データが格納される画像メモリ142の様子を模式的に示しており、C1はシアンCについての8×8画素のブロックであり(図3(c)参照)、M1はマゼンタCについての前記C1と同一画素位置の8×8画素のブロックであり、Y1はイエローYについての前記C1,M1と同一画素位置の8×8画素のブロックであり、K1は黒Kについての前記C1,M1,Y1と同一画素位置の8×8画素のブロックであり、A1はタグデータAについての前記C1,M1,Y1,K1と同一画素位置の8×8画素のブロックである。
【0043】
このように、本実施形態では、同一画素位置である、C1,M1,Y1,K1,A1の8×8画素のブロックについて、L=5チャンネル分の画像データを、画像メモリ142に対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む。
【0044】
したがって、次の8×8画素のブロックC2,M2,Y2,K2,A2、また、それ以降の画素についても同様である。
なお、記憶制御部141は、N×N画素単位のLチャンネル分の画像データを画像メモリ142に対して書き込む際に、バースト転送長をBとして、列アドレス方向の空き容量がB×L以上であるかを確認し、列アドレス方向の空き容量がB×Lより小さくなった時点で、次の行アドレスに移行して画像メモリ142に対して書き込みを続行する。たとえば、列アドレスが10ビットの場合、1024画素分の容量を有するが、L=5チャンネル分の画像データを画像メモリ142上の同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む、という観点から、1000画素分の書き込みが完了した時点で、次の書き込みの容量が足りないと、記憶制御部141が判断する。これにより、記憶制御部141は、行アドレスを変更し、列アドレスをリセットして0から開始する。
【0045】
画像を90°あるいは270°回転させる場合、さきほど書き込みを行った画像メモリ142の先頭位置からL=5チャンネル分の8×8画素を、記憶制御部141の指示により8画素・8×5バースト転送により読み出す(図2中のステップS103)。読み出した画像データを、記憶制御部141内の内部メモリ上で各チャンネルごとに画素並べ替えを行って、各8×8画素内で回転を行う(図2中のステップS104,図3(b)(c)(d)(e))。
【0046】
そして、記憶制御部141は、並べ替えを行ったN×N画素単位(ブロック単位)のLチャンネル分の画像データを、画像メモリ142に対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む(図3中のステップS105)。この際は、さきほど読み出した画像メモリ142の領域(回転前画像領域)とは異なる領域(回転後画像領域)に書き込む。
【0047】
この書き込みの際には、画像メモリ142の先頭アドレス位置、画像サイズ、画像メモリのアドレス長などから判断し、回転後画像領域の先頭から順に読み出しを行った場合に回転画像が得られる位置に書き込みを行うよう、記憶制御部141が制御している。
【0048】
また、このとき、CMYKAのLチャンネル分の画像データについては、画像メモリ142に対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込むため、効率が落ちることはない(図3(e)(a))。
【0049】
以上のN×N画素単位のLチャンネル分の処理を画像データの全画素について実行する(図2中のステップS106)と、記憶制御部141は、プリントエンジン160側での水平方向画像有効領域信号と垂直方向画像有効領域信号とのタイミングに合わせて画像データを画像形成に使用できるように、画像メモリ142上の回転後画像領域の先頭位置から順番に読み出して図示されないラインバッファに書き込んでいく。そして、ラインバッファから1ラインずつ画像データを取り出して、水平方向画像有効領域信号と垂直方向画像有効領域信号とのタイミングに合わせて画像データをプリントエンジン160に供給する(図2中のステップS107)。
【0050】
以上の実施形態では、同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、画像メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込んでおき、N×N画素単位のLチャンネル分の同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた画像データをメモリから連続して読み出し、メモリから読み出された各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データをそれぞれ回転させ、回転されたN×N画素単位のLチャンネル分の画像データをメモリに対して同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに連続して書き込むようにしているため、バースト転送長であるB毎にB×Lバースト転送による連続した読み書きが可能になり、バースト転送が可能な画像メモリを用いた場合に画像回転処理実行時のデータ転送を効率的に行えるようになる。
【0051】
そして、この実施形態によれば、連続した効率的な読み書きが可能になるため、処理回路を従来より低クロックで動作させても結果として十分な処理が可能になり、低電力化を図ることができる。また、従来より低速な制御回路やメモリを使用することが可能になるため、装置の低価格化を実現することも可能になる。
【0052】
図4は、従来動作(図7参照)と本実施形態動作(図3参照)とにおける、クロックとコマンドとデータ転送の様子を模式的に示すタイムチャートである。
図4上段は従来動作(図7参照)におけるデータ転送の様子を示すタイムチャートであり、8画素・8バースト転送によるリードサイクルでの読み出しと、8画素・8バースト転送によるライトサイクルでの書き込みとが行える様子を示している。この場合、データ転送を実行している以外の期間が多く、改善の余地がある。
【0053】
これに対し、図4中段は本実施形態動作(図3参照)におけるデータ転送の様子を示すタイムチャートであり、8画素・8×5バースト転送によるリードサイクルでの読み出しが行える様子を示している。この場合、従来の場合と比較して、データ転送を連続して行える期間が長くなり、無駄時間が小さくなっている。同様に、図4下段は本実施形態動作(図3参照)におけるデータ転送の様子を示すタイムチャートであり、8画素・8×5バースト転送によるライトサイクルでの書き込みが行える様子を示している。この場合、従来の場合と比較して、データ転送を連続して行える期間が長くなり、無駄時間が小さくなっている。
【0054】
なお、以上の実施形態の説明では、N×N画素単位のLチャンネル分の同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた画像データをメモリから連続して読み出し、メモリから読み出された各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データをそれぞれ回転させ、回転されたN×N画素単位のLチャンネル分の画像データをメモリに対して同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに連続して書き込むようにしているため、バースト転送長であるB毎にB×Lバースト転送による連続した読み書きが可能である具体例で説明を行っていた。
【0055】
この場合、1アドレスのデータ量としてデータバス幅をi、バースト転送長Bを幾つ連続させるかを意味するバースト数をjとすると、N×N=i×j×Bが成り立つ。すなわち、N×N画素単位のLチャンネル分のデータを、i×j×B×L単位でバースト転送しつつ高速に扱うことを意味している。
【0056】
ここで、N=8として8×8単位,L=5のデータを、i=8,j=1,B=8,L=5の単位でバースト転送しつつ高速に扱うことが可能であり、同様にして、i=4,j=2,B=8,L=5の単位でバースト転送しつつ高速に扱うことも可能である。
【0057】
そして、このN,L,i,j,Bには各種の任意の数値を割り当てることが可能であり、本実施形態の条件を満たす範囲であれば、バースト転送が可能な画像メモリを用いた場合に画像回転処理実行時のデータ転送を効率的に行えるという良好な効果を得ることができる。
【0058】
〔その他の実施形態(1)〕
なお、以上の実施形態はスキャナやプリントエンジンを有する画像形成装置を具体例にして説明してきたが、これに限定されるものではない。たとえば、スキャナやプリントエンジンを備えず、バースト転送による効率の良い画像回転処理を実行する画像処理装置も本発明の実施形態の一態様である。
【0059】
〔その他の実施形態(2)〕
なお、以上の実施形態はカラー画像形成を行う画像処理装置や画像形成装置を想定していたが、これに限定されるものではない。たとえば、モノクロの画像処理装置や画像形成装置であっても、画像データとタグデータとの2チャンネルについて、連続して読み出しと書き込みとがバースト転送により実現できる。すなわち、L=2として、バースト転送長であるB毎にB×Lバースト転送による連続した読み書きが可能になり、バースト転送が可能な画像メモリを用いた場合に画像回転処理実行時のデータ転送を効率的に行えるようになる。
【符号の説明】
【0060】
100 画像形成装置
101 全体制御部
105 操作部
110 プリントコントローラ
120 スキャナ
130 入力画像処理部
140 記憶部
141 記憶制御部
142 画像メモリ
143 HDD
150 出力画像処理部
160 プリントエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素毎に複数の色もしくは属性の複数Lチャンネルの画像データを、同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能なメモリを用いて画像処理する画像処理方法であって、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込み、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた前記画像データを、前記メモリから連続して読み出し、
前記メモリから読み出された、各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データを、それぞれ90°あるいは270°回転させ、
前記回転された、N×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して書き込む際に、バースト転送長をBとして、列アドレス方向の空き容量がB×L以上であるかを確認し、
列アドレス方向の空き容量がB×Lより小さくなった時点で、次の行アドレスにて前記メモリに対して書き込む、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能なメモリと、
画素毎に複数の色もしくは属性の複数Lチャンネルの画像データを前記メモリに書き込むと共に、前記メモリ上で回転させる記憶制御部と、を備え、
前記記憶制御部は、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込み、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた前記画像データを、前記メモリから連続して読み出し、
前記メモリから読み出された、各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データを、それぞれ90°あるいは270°回転させ、
前記回転された、N×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶制御部は、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して書き込む際に、バースト転送長をBとして、列アドレス方向の空き容量がB×L以上であるかを確認し、
列アドレス方向の空き容量がB×Lより小さくなった時点で、次の行アドレスにて前記メモリに対して書き込む、
ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
同一行アドレス内の列アドレス方向にバースト転送可能なメモリと、
画素毎に複数の色もしくは属性の複数Lチャンネルの画像データを前記メモリに書き込むと共に、前記メモリ上で回転させる記憶制御部と、
前記記憶制御部を介して前記メモリから読み出された画像データに基づいて画像形成を実行するプリントエンジンと、を備え、
前記記憶制御部は、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込み、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込まれた前記画像データを、前記メモリから連続して読み出し、
前記メモリから読み出された、各チャンネルあたりN×N画素単位の画像データを、それぞれ90°あるいは270°回転させ、
前記回転された、N×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して、同一行アドレスで隣接する異なる列アドレスに書き込む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶制御部は、
同一画素についての各チャンネルあたりN×N画素単位のLチャンネル分の画像データを、前記メモリに対して書き込む際に、バースト転送長をBとして、列アドレス方向の空き容量がB×L以上であるかを確認し、
列アドレス方向の空き容量がB×Lより小さくなった時点で、次の行アドレスにて前記メモリに対して書き込む、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−188050(P2011−188050A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48621(P2010−48621)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】