説明

画像処理装置、画像処理システム、省電力モード移行制御方法、コンピュータが読み取り可能な記録媒体およびコンピュータプログラム

【課題】クライアント機器と画像処理装置との間の位置関係を考慮して、画像処理装置を適切に省電力モードに移行させること。
【解決手段】位置情報記憶部23Bが、各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶し、監視対象抽出部24が、少なくとも位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出し、状態確認部25が、監視対象抽出部24によって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認し、省電力モード移行判断部26が、状態確認部25による確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断し、電源制御部27が、省電力モード移行判断部26による判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置、複数のクライアント機器および当該複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置から構成される画像処理システム、複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する省電力モード移行制御方法、省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、および、省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムに関し、ネットワーク接続された複写機、プリンタ、デジタル複合機等への適用に好適な画像処理装置、画像処理システム、省電力モード移行制御方法、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像処理装置において、クライアント機器から所定の期間、印刷要求がない場合に、適宜省電力モードに移行することが一般的に行われている。このような発明として、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
具体的には、特許文献1には、ネットワークを介して接続されたクライアント機器の中で、使用量が一定の量以上である特定のクライアント機器に対して応答要求信号を送信し、当該クライアント機器から所定期間後に応答要求信号に対する応答がないと判断した場合に省電力モードに移行する画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−45860公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の画像処理装置によれば、単に使用量が所定の閾値以上である特定のクライアント機器に対して応答要求信号を送信することとしているため、過去に一時的に使用量が多かったクライアント機器があるような場合に適切に省電力モードに移行することが難しいという問題があった。
【0006】
具体的には、画像処理装置との物理的な距離が離れているクライアント機器がその画像処理装置にジョブを依頼してくる可能性は一般に低いと考えられるが、過去に一時的にそのようなクライアント機器の使用量が多かった時期があり、それによって使用量が所定の閾値以上となっている場合には、そのクライアント機器に対しても応答要求信号が送信されてしまう。
【0007】
そして、そのクライアント機器がオンラインの状態にあれば、応答要求信号に対する応答が通常なされるので、たとえ現時点あるいは将来において画像処理装置にジョブを依頼してくる可能性が低いといえども、当該クライアントでの過去の一時的な使用量の増加により画像処理装置が省電力モードに移行することができなくなる。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、クライアント機器との位置関係を考慮して、適切に省電力モードに移行することができる画像処理装置、画像処理システム、省電力モード移行制御方法、省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、および、省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置において、各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶部と、少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出部と、前記監視対象抽出部によって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認部と、前記状態確認部による確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断部と、前記省電力モード移行判断部による判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御部と、を備えることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、各クライアント機器の使用履歴の情報を記憶する履歴記憶部をさらに備え、前記監視対象抽出部は、前記位置関係の情報および前記使用履歴の情報に基づいて、各クライアント機器の中から監視対象となるクライアント機器を抽出することを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記使用履歴の情報は、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報を含むことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記監視対象抽出部は、ネットワークを介して接続された他の画像処理装置との間で、監視の対象となるクライアント機器の情報を共有することを特徴としたものである。
【0013】
本発明の第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記監視対象抽出部は、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴としたものである。
【0014】
本発明の第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記監視対象抽出部は、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、各クライアント機器と画像処理装置との間の位置関係の情報、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報に基づいて、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴としたものである。
【0015】
本発明の第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1つの技術手段において、前記電源制御部は、当該画像処理装置の装置構成の情報に基づいて、当該画像処理装置を構成する各要素に対する電源の供給及び切断を制御することにより省電力モードへの移行を制御することを特徴としたものである。
【0016】
本発明の第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1つの技術手段において、現在の時刻を計測する計測部をさらに備え、前記監視対象抽出部は前記計測部により計測された時刻の情報に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出する条件を変更し、変更した条件に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出することを特徴としたものである。
【0017】
本発明の第9の技術手段は、第1〜第8のいずれか1つの技術手段において、前記省電力モード移行判断部は、前記監視対象抽出部により抽出されたクライアント機器の稼働率に基づいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断することを特徴としたものである。
【0018】
本発明の第10の技術手段は、第9の技術手段において、省電力モードに移行するまでの予め定められた時間を記憶する省電力モード移行時間記憶部をさらに備え、前記省電力モード移行判断部は、前記稼働率が予め設定した閾値以下となった場合に、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断し、前記電源制御部は、前記省電力モード移行判断部が当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断した場合に、前記省電力モード移行時間記憶部に記憶された時間を経過していない場合であっても、当該画像処理装置を省電力モードに移行するよう制御することを特徴としたものである。
【0019】
本発明の第11の技術手段は、複数のクライアント機器および当該複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置から構成される画像処理システムにおいて、前記画像処理装置は、各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶部と、少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出部と、前記監視対象抽出部によって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認部と、前記状態確認部による確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断部と、前記省電力モード移行判断部による判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御部と、を備えることを特徴としたものである。
【0020】
本発明の第12の技術手段は、複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する省電力モード移行制御方法において、各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶ステップと、少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出ステップと、前記監視対象抽出ステップによって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認ステップと、前記状態確認ステップにおける確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断ステップと、前記省電力モード移行判断ステップによる判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御ステップと、を含むことを特徴としたものである。
【0021】
本発明の第13の技術手段は、第12の技術手段において、各クライアント機器の使用履歴の情報を記憶する履歴記憶ステップをさらに含み、前記監視対象抽出ステップでは、前記位置関係に係る情報および前記使用履歴の情報に基づいて、各クライアント機器の中から監視対象となるクライアント機器を抽出することを特徴としたものである。
【0022】
本発明の第14の技術手段は、第13の技術手段において、前記使用履歴の情報は、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報を含むことを特徴としたものである。
【0023】
本発明の第15の技術手段は、第14の技術手段において、前記監視対象抽出ステップでは、ネットワークを介して接続された他の画像処理装置との間で、監視の対象となるクライアント機器の情報を共有することを特徴としたものである。
【0024】
本発明の第16の技術手段は、第15の技術手段において、前記監視対象抽出ステップでは、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴としたものである。
【0025】
本発明の第17の技術手段は、第16の技術手段において、前記監視対象抽出ステップでは、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、各クライアント機器と画像処理装置との間の位置関係の情報、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報に基づいて、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴としたものである。
【0026】
本発明の第18の技術手段は、第12〜第17のいずれか1つの技術手段において、前記電源制御ステップでは、当該画像処理装置の装置構成の情報に基づいて、当該画像処理装置を構成する各要素に対する電源の供給及び切断を制御することにより省電力モードへの移行を制御することを特徴としたものである。
【0027】
本発明の第19の技術手段は、第12〜第18のいずれか1つの技術手段において、現在の時刻を計測する計測ステップをさらに含み、前記監視対象抽出ステップでは前記計測ステップにおいて計測された時刻の情報に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出する条件を変更し、変更した条件に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出することを特徴としたものである。
【0028】
本発明の第20の技術手段は、第12〜第19のいずれか1つの技術手段において、前記省電力モード移行判断ステップでは、前記監視対象抽出ステップにおいて抽出されたクライアント機器の稼働率に基づいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断することを特徴としたものである。
【0029】
本発明の第21の技術手段は、第20の技術手段において、省電力モードに移行するまでの予め定められた時間を記憶する省電力モード移行時間記憶ステップをさらに含み、前記省電力モード移行判断ステップでは、前記稼働率が予め設定した閾値以下となった場合に、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断し、前記電源制御ステップでは、前記省電力モード移行判断ステップにおいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断した場合に、前記省電力モード移行時間記憶ステップにおいて記憶された時間を経過していない場合であっても、当該画像処理装置を省電力モードに移行するよう制御することを特徴としたものである。
【0030】
本発明の第22の技術手段は、第12〜第21のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【0031】
本発明の第23の技術手段は、第12〜第21のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶し、少なくとも当該位置関係に係る情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出し、抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認し、当該確認結果に基づいて、画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断し、当該判断結果に基づいて、画像処理装置の省電力モードへの移行を制御するので、画像処理装置と物理的な距離が離れていてほとんどジョブを依頼してくる可能性がないクライアント機器がネットワークを介して画像処理装置に接続され、そのクライアント機器がオンラインの状態にあったとしても、適切に画像処理装置を省電力モードに移行できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】クライアント機器(PC1〜PC15)およびクライアント機器(PC1〜PC15)とLANを介して接続される画像処理装置(2A、2B)から構成される画像処理システムを模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図3】監視対象PC管理リスト31の一例について説明する図である。
【図4】各画像処理装置(2A、2B)を基準としたクライアント機器(PC1〜PC15)の位置のエリア分けについて説明する図である。
【図5】画像処理装置2Bの監視対象PC管理リストの一例を示す図である。
【図6】画像処理装置の動作フローについて説明するフローチャートである。
【図7】図6に示した監視対象抽出処理の詳細について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、画像処理装置として、複写機、プリンタ、デジタル複合機等を例に挙げて説明する。ただし、画像処理装置はこれに限定されるものではなく、他の装置であってもよい。
【0035】
まず、図1を用いて本発明の実施形態に係る画像処理システムについて説明する。図1は、クライアント機器1(PC1〜PC15)およびクライアント機器1(PC1〜PC15)とLAN(Local Area Network)3を介して接続される画像処理装置2(2A,2B)から構成される画像処理システムを示す図である。
【0036】
図1に示すように、画像処理装置2(2A、2B)は、LAN3を介して複数のクライアント機器1(PC1〜PC15)と接続される。なお、以下では何れの画像処理装置であるかを区別しない場合には、「画像処理装置2(2A、2B)」を、「画像処理装置2」と総称する。さらに、何れのクライアント機器であるかを区別しない場合も、「クライアント機器1(PC1〜PC15)」を「クライアント機器1」と総称する。そして、画像処理装置2は、各クライアント機器1から送信された画像データに基づき画像を印刷する。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置2の機能ブロック図である。画像処理装置2は、通信部21、タイマカウント部22、記憶部23、監視対象抽出部24、状態確認部25、省電力モード移行判断部26、電源制御部27、画像処理部28を備える。記憶部23はさらに、履歴記憶部23A、位置情報記憶部23B、省電力モード移行時間記憶部23C、オプション装着情報記憶部23Dを備える。
【0038】
通信部21は、LAN3を介して、クライアント機器1とTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に準拠したパケットにより通信を行う。さらに、通信部21は、クライアント機器1から送信された画像データを受信した場合、そのデータを画像処理部28に送信する。また、通信部21は、監視対象抽出部24からの要求に伴い、他の画像処理装置の監視対象PC管理リスト31の取得を行う。監視対象PC管理リスト31については後に詳述する。また、通信部21は、状態確認部25からの要求に応じて、特定のクライアント機器1に対して応答要求信号を送信する。
【0039】
タイマカウント部22は、時間を計測する処理を行う。また、タイマカウント部22は、省電力モード移行までの時間を経過したか否かを判定する。この時間はユーザにより予め設定される。そして、省電力モード移行までの時間を経過した場合、タイマカウント部22は、当該時間が経過したことを監視対象抽出部24と電源制御部27とに通知する。
【0040】
記憶部23は、各種情報を記憶するメモリやハードディスクドライブ等の記憶手段である。この記憶部23は、履歴記憶部23A、位置情報記憶部23B、省電力モード移行時間記憶部23C、オプション装着情報記憶部23Dを備える。
【0041】
履歴記憶部23Aは、画像処理装置2に対して依頼されたジョブの履歴の情報を記憶する。位置情報記憶部23Bは、画像処理装置2に対してジョブを依頼したクライアント機器と画像処理装置2との間の物理的な距離の情報を記憶する。具体的には、履歴記憶部23A、位置情報記憶部23Bは、各情報をクライアント機器1の名称、IPアドレスと対応付けて、図3に一例を示す監視対象PC管理リスト31として記憶する。なお、監視対象PC管理リスト31は、1つのファイルとして記憶されてもよいし、複数のファイルに分割された状態で記憶されてもよい。
【0042】
省電力モード移行時間記憶部23Cは、省電力モードに移行するまでの時間を記憶する。省電力モードに移行するまでの時間はユーザにより予め設定される。オプション装着情報記憶部23Dは、画像処理装置2に装着されているオプションのうち、常時電源をオンにしておかなければならないオプション(例えば、FAXユニット等)の情報を記憶する。
【0043】
ここで、図3を用いて監視対象PC管理リスト31について説明する。図3は、監視対象PC管理リスト31の一例について説明する図である。監視対象PC管理リスト31は、クライアント機器名称32と、クライアント機器のIPアドレス33と、クライアント機器との間の相互の位置関係を示す相互位置情報34と、クライアント機器から最後にジョブを受信した日時を示す最終ジョブ受信日時情報35と、クライアント機器からジョブを受信した累積の回数を示す累積ジョブ受信回数情報36と、監視対象か否かを“○”(監視対象である)または“×”(監視対象ではない)で示した監視対象情報37と、監視対象のクライアント機器がオンラインか否かを“●”(オンラインである)または“−”(オフラインである、あるいは、電源がオフになっている)で示したオンライン情報38の各情報を含む。
【0044】
ここで、相互位置情報34は、当該画像処理装置からクライアント機器までの物理的な距離を近い方から順にA、B、Cとエリア分けして、クライアント機器の位置を特定する情報である。相互位置情報34は、当該画像処理装置からクライアント機器までの物理的な距離に基づいて予めユーザにより設定される。図4(A)は、画像処理装置2Aを基準としたクライアント機器1(PC1〜PC15)の位置のエリア分けについて説明する図である。図4(B)は、画像処理装置2Bを基準としたクライアント機器1(PC1〜PC15)の位置のエリア分けについて説明する図である。
【0045】
図4(A)に示すように、画像処理装置2Aを基準として物理的な距離が近いエリアAには、クライアント機器PC1、PC2、PC3、PC6、PC7、PC8が属し、エリアBには、クライアント機器PC4、PC5、PC9、PC10、PC11、PC12、PC13が属し、エリアCには、クライアント機器PC14、PC15が属する。
【0046】
エリア分けは、どの画像処理装置を基準とするかによって変化する。図4(B)に示すように、画像処理装置2Bを基準とした場合、物理的な距離が近いエリアAには、クライアント機器PC8、PC9、PC10、PC13、PC14、PC15が属し、エリアBには、クライアント機器PC3、PC4、PC5、PC6、PC7、PC11、PC12が属し、エリアCには、クライアント機器PC1、PC2が属することとなる。
【0047】
本願では、説明しやすいようにエリアをA、B、Cの3通りとしたが、実施例ではさらにエリアを細分化しても構わない。なお、後述するが、このエリア分けされた情報は、当該クライアント機器PC1〜PC15から画像処理装置2A、2Bがジョブを受信する可能性を示す監視対象ポイントを算出するために使用される。
【0048】
最終ジョブ受信日時情報35は、当該画像処理装置がクライアント機器1から最後にジョブを受信した日時の情報である。この最終ジョブ受信日時は、画像処理部28が画像データを受信する度に画像処理部28により更新される。
【0049】
なお、後述するが、最終ジョブ受信日時情報35はタイマカウント部22から取得される現在の日時と比較され、最後にジョブを受信した日時と現在の日時との差が予め設定した時間以上経過しているか否かで、今後当該クライアント機器からジョブを受信する可能性が高いか否かが判定される。そして、当該可能性が高い方からa、b、cにランク付けされる。このランク付けされた情報は、当該クライアント機器からジョブを受信する可能性を示す監視対象ポイントを算出するために使用される。
【0050】
累積ジョブ受信回数情報36は、当該画像処理装置がクライアント機器1から過去に受信したジョブの累積回数の情報である。この累積ジョブ受信回数情報36は、画像処理部28が画像データを受信する度に画像処理部28により更新される。なお、後述するが、当該累積ジョブ受信回数情報36が予め設定した回数以上か否かで、今後当該クライアント機器からジョブを受信する可能性が高いか否かが判定される。そして、当該可能性が高い方からα、β、γにランク付けされる。このランク付けされた情報は、当該クライアント機器からジョブを受信する可能性を示す監視対象ポイントを算出するために使用される。
【0051】
監視対象37は、該当するクライアント機器がオンラインであるか否かを画像処理装置が監視するか否かを示した情報である。監視対象とするクライアント機器の欄は“○”に設定され、監視対象外とするクライアント機器の欄は“×”に設定される。
【0052】
オンライン情報38は、当該画像処理装置が監視対象とするクライアント機器がオンラインであるか否かを示した情報である。監視対象とするクライアント機器がオンラインである場合は“●”に設定され、オフラインもしくは電源がオフになっている場合は“―”に設定される。
【0053】
なお、後述するが、当該画像処理装置の省電力モード移行条件は、稼働率が予め設定した基準以下か否かで決定される。ここで、稼働率とは、
(稼働率)
=(監視対象とするクライアント機器のうちオンラインであるクライアント機器の総台数)/(監視対象とするクライアント機器の総台数)
=(オンライン情報38において“●”を記したクライアント機器の総台数)/(監視対象37において“○”を記したクライアント機器の総台数)
である。
【0054】
図2の説明に戻ると、監視対象抽出部24は、記憶部23に記憶されている監視対象PC管理リスト31のジョブ受信履歴情報(最終ジョブ受信日時35、累積ジョブ受信回数情報36)および相互位置情報34を用いて、監視対象とするクライアント機器1を抽出する。
【0055】
具体的には、監視対象抽出部24は、監視対象PC管理リスト31の相互位置情報34と、最終ジョブ受信日時情報35と、累積ジョブ受信回数情報36を用いてクライアント機器からジョブを受信する可能性のランク付けを行う。そして、監視対象抽出部24は、各ランクを点数化することにより得られた監視対象ポイントを用いて、監視対象とするクライアント機器を抽出する。その後、監視対象抽出部24は、監視対象とするクライアント機器の監視対象37の欄を“○”に設定し、監視対象外とするクライアント機器の監視対象37の欄を“×”に設定する。
【0056】
以下に、監視対象ポイントの算出方法の一例を示す。ここでは、監視対象PC管理リスト31の相互位置情報34については、エリアA、エリアB、エリアCの3つのエリアに区分する。この場合、例えばエリアAに属するクライアント機器には1点、エリアBに属するクライアント機器には0.5点、エリアCに属するクライアント機器には0.1点を付与するものとする。
【0057】
また、監視対象PC管理リスト31の最終ジョブ受信日時情報35を用いたランク付けについては、例えば以下の条件によりクライアント機器からジョブを受信する可能性の高さがa、b、cのいずれかにランク付けされるものとする。
ランクa:(最終ジョブ受信日時)− (現在の日時)=12時間未満
ランクb:(最終ジョブ受信日時)− (現在の日時)=12時間以上24時間未満
ランクc:(最終ジョブ受信日時)− (現在の日時)=24時間以上
そして、ランクaには1点、ランクbには0.5点、ランクcには0.1点を付与するものとする。
【0058】
さらに、監視対象PC管理リスト31の累積ジョブ受信回数情報36を用いたランク付けについては、例えば以下の条件によりクライアント機器からジョブを受信する可能性の高さがα、β、γのいずれかにランク付けされるものとする。
ランクα:(累積ジョブ受信回数)=50回以上
ランクβ:(累積ジョブ受信回数)=10回以上50回未満
ランクγ:(累積ジョブ受信回数)=10回未満
そして、ランクαには1点、ランクβには0.5点、ランクγには0.1点を付与するものとする。
【0059】
監視対象抽出部24は、以上の条件にて、各々の要素で付与されたポイントの総和が1点を超えるクライアント機器を監視対象に設定する。例えば、図3に示した監視対象PC管理リスト31のクライアント機器PC1についてポイントの総和を算出すると、
1点(エリアA) + 1点(12時間未満) + 1点(50回以上)
= 3点
となる。なお、現在の日時は2010年5月17日18時00分とする。このポイントの総和は1を超えているので、クライアント機器PC1は監視対象として設定される。クライアント機器PC5についてポイントの総和を算出すると、
0.5点(エリアB) + 0.1点(24時間以上) + 0.1点(10回未満)
= 0.7点
となる。よって、このポイントの総和が1を超えていないので、クライアント機器PC5は監視対象から除外される。
【0060】
このように、監視対象抽出部24が、クライアント機器が属するエリアの情報に加え、最終ジョブ受信日時および累積ジョブ受信回数の情報を用いてポイントの総和を算出し、算出した結果に基づいて監視対象となるクライアント機器を設定することにより、再度ジョブを依頼してくる可能性が高いクライアント機器をさらに適切に抽出することができる。
【0061】
さらに、監視対象PC管理リスト31の最終ジョブ受信日時情報35を用いたランク付けにおいて、最終ジョブ受信日時と現在の日時との時間差により監視対象となるクライアント機器を抽出する条件を変更し、変更した条件に基づいて監視対象となるクライアント機器を抽出することにより、再度ジョブを依頼してくる可能性が高いクライアント機器をさらに適切に抽出することができる。
【0062】
なお、画像処理装置2が接続されているネットワークに当該画像処理装置と同様の機能を有する他の画像処理装置が接続されている場合には、監視対象抽出部24は、他の画像処理装置の監視対象PC管理リスト31を取得し、自装置と他の画像処理装置とが同一のクライアント機器を監視対象としているか否かを判定する。そして、同一のクライアント機器を監視対象としていると判定した場合、監視対象ポイントの低い方の画像処理装置の監視対象抽出部24は、当該クライアント機器を監視対象から除外する処理を行う。
【0063】
図5は、画像処理装置2Bの監視対象PC管理リスト41の一例を示す図である。ここでは、具体例として、図3に示した画像処理装置2Aの監視対象PC管理リスト31と、図5に示した画像処理装置2B(他の画像処理装置に対応する)の監視対象PC管理リスト41を用いて、監視対象となるクライアント機器の除外処理について説明する。
【0064】
図5に示した画像処理装置2Bの監視対象PC管理リスト41に登録されているクライアント機器名称42、IPアドレス43、相互位置情報44、最終ジョブ受信日時情報45、累積ジョブ受信回数情報46、監視対象47、オンライン情報48の各情報は、図3に示した監視対象PC管理リスト31に登録されているクライアント機器名称32、IPアドレス33、相互位置情報34、最終ジョブ受信日時情報35、累積ジョブ受信回数情報36、監視対象37、オンライン情報38の各情報とそれぞれ同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
この例では、クライアント機器PC1はいずれの画像処理装置2A、2Bも監視対象としている。この場合、前述の点数付与の条件および図3の監視対象PC管理リスト31を用いて、画像処理装置2Aにおけるクライアント機器PC1の監視対象ポイントを計算すると、
1点(エリアA) + 1点(12時間未満) + 1点(50回以上)
= 3点
となる。なお、現在の日時は2010年5月17日18時00分とする。
【0066】
また、前述の点数付与の条件および図5の監視対象PC管理リスト41を用いて、画像処理装置2Bのクライアント機器PC1の監視対象ポイントを計算すると、
0.1点(エリアC) + 1点(12時間未満) + 0.5点(10回以上50回未満)
= 1.6点
となる。
【0067】
よって、画像処理装置2Bのクライアント機器PC1の監視対象ポイントが画像処理装置2Aのクライアント機器PC1の監視対象ポイントよりも小さいため、画像処理装置2Bの監視対象抽出部24は、監視対象からクライアント機器PC1を外す処理を行う。逆に、画像処理装置2Aのクライアント機器PC1の監視対象ポイントが画像処理装置2Bのクライアント機器PC1の監視対象ポイントよりも小さくなった場合は、画像処理装置2Aの監視対象抽出部24は、監視対象からクライアント機器PC1を外す処理を行う。
【0068】
なお、自装置2Aが監視の対象としているクライアント機器の監視対象ポイントが他の画像処理装置2Bが監視の対象としているクライアント機器の監視対象ポイントと同じ場合には、自装置2Aの監視対象抽出部24および他の画像処理装置2Bの監視対象抽出部24は、監視対象からクライアント機器PC1を外す処理を行わないこととしてもよいし、自装置2Aの監視対象抽出部24または他の画像処理装置2Bの監視対象抽出部24のいずれかが何らかの基準で監視対象からクライアント機器PC1を外すこととしてもよい。この基準は、例えば、画像処理装置2のIPアドレスを示す数字の小さい方を選ぶというものであってもよい。
【0069】
このように、監視対象抽出部24が、他の画像処理装置2Bの監視対象PC管理リスト41を取得し、自装置2Aと同等の機能を有する他の画像処理装置2Bも自装置2Aの監視対象PC管理リスト31を取得して監視の対象となるクライアント機器の情報を他の画像処理装置2Bと共有するので、自装置2Aと他の画像処理装置2Bとが同一のクライアント機器を監視対象としているか否かを容易に判定することができる。
【0070】
また、監視対象抽出部24が、自装置2Aが監視の対象としているクライアント機器と他の画像処理装置2Bが監視の対象としているクライアント機器とが重複しており、自装置2Aが監視の対象としているクライアント機器の監視対象ポイントが他の画像処理装置2Bが監視の対象としているクライアント機器の監視対象ポイントよりも小さい場合に、自装置2Aが監視の対象としているクライアント機器を監視対象から除外するので、効果的に当該クライアント機器を監視対象から除外し、自装置2Aが省電力モードに適切に移行することができる。
【0071】
すなわち、従来の技術では、当該クライアント機器が立ち上がっている状態にあれば、各々の画像処理装置2A、2Bが送信した応答要求信号に対して当該クライアント機器は応答信号を送信するが、自装置2Aは応答信号を受信すると、たとえ当該クライアント機器が他の画像処理装置2Bを主に使用していて自装置2Aをほとんど使用していていない場合でも当該クライアント機器からジョブの実行依頼を受け付ける可能性があると判断してしまうので、稼働率を上げることにつながり、結果として自装置2Aは省電力モードに移行できないケースが考えられる。しかし、上述したように自装置2Aが監視の対象としているクライアント機器を監視対象から除外するので、自装置2Aが省電力モードに適切に移行することができるようになる。
【0072】
図2の説明に戻ると、状態確認部25は、監視対象抽出部24にて監視対象として抽出されたクライアント機器1に対して応答要求信号を送信し、応答要求信号に対する応答信号の有無を確認する。具体的には、状態確認部25は、特定のクライアント機器に対するPING応答の有無を確認する。なお、応答信号の有無の確認はこの方法に限定されず、他の方法を用いてもよい。
【0073】
状態確認部25は、クライアント機器1から応答信号を受信した場合に当該クライアント機器がオンラインの状態にあると判定する。応答信号を所定の時間内に受信しなかった場合には、状態確認部25は、当該クライアント機器がオフラインあるいは電源オフの状態にあると判定する。
【0074】
省電力モード移行判断部26は、監視対象のクライアント機器について状態確認部25がオンラインか否かを判定した結果を用いて、監視対象のクライアント機器の稼働率を算出し、算出した稼働率が予め設定した閾値以下であれば、省電力モードに移行するとの判断を行う。
【0075】
例えば、省電力モード移行判断部26は、稼働率が20%以下であれば省電力モードに移行するとの判断を行う。そして、省電力モード移行判断部26は、省電力モードに移行するとの判断を行った場合に、電源制御部27に対して省電力モードに移行するよう要求する省電力モード移行要求信号を送信する。
【0076】
このように、省電力モード移行判断部26は、稼働率に基づいて画像処理装置2を省電力モードへ移行させるか否かを判断するので、オンラインとなっている監視対象のクライアント機器の比率に応じて省電力モードへ移行させるか否かの判断を適切に行うことができる。
【0077】
ここで、省電力モード移行判断部26は、たとえ省電力モード移行までの時間が経過していないとタイマカウント部22が判定しているとしても、稼働率が予め設定した閾値以下となった場合には、画像処理装置2を省電力モードへ移行させるべきであると判断する。これにより、画像処理装置2をより迅速に省電力モードに移行させることができる。
【0078】
電源制御部27は、省電力モード移行判断部26から省電力モード移行要求信号を受信した場合に、画像処理装置2を省電力モードに移行する処理を行う。さらに、電源制御部27は、省電力モード移行までの時間が経過したとの通知をタイマカウント部22から受信した場合に、画像処理装置2が省電力モードに移行するよう制御する。
【0079】
なお、画像処理装置2には、常時電源をオンにしておかなければならないオプション(例:FAXユニット等)が装着されているものもある。よって、当該オプションが画像処理装置2に装着されている場合には、電源制御部27は、仮に省電力モード移行判断部26の判断の結果、省電力モード移行要求信号を受信したとしても、当該オプションを除いて電源をオフにする。ここで、電源制御部27は、当該オプションが画像処理装置2に装着されているか否かの情報をオプション装着情報記憶部23Dから読み出すことにより、当該オプションの装着の有無を検出することができる。
【0080】
このように、画像処理装置2に常時電源をオンにしておかなければならないオプションが装着されている場合に、電源制御部27が当該オプションを除いて電源をオフにすることにより、画像処理装置2は安全に省電力モードに移行することができる。
【0081】
画像処理部28は、クライアント機器1から受信した画像データの処理(印刷等)を行う。また、画像処理部28は、クライアント機器1から画像データを受信した場合、かかる記録をジョブ受信履歴として記憶部23に記憶する。
【0082】
以下、画像処理装置2の動作フローについて、図6および図7を用いて詳細に説明する。図6は、画像処理装置2の動作フローについて説明するフローチャートである。図7は、図6に示した監視対象抽出処理の詳細について説明するフローチャートである。
【0083】
画像処理装置2の電源が投入され、一連の処理が開始すると、画像処理装置2の画像処理部28は、画像データを受信したか否かを判断する(ステップS101)。そして、画像データを受信したと判断した場合(ステップS101においてYESの場合)には、画像処理部28は、受信した画像データの処理(印刷など)をし(ステップS102)、監視対象PC管理リスト31におけるジョブの実行履歴を更新して再度ステップS101の処理を実行する(ステップS103)。
【0084】
一方、画像データを受信していないと判断した場合(ステップS101においてNOの場合)、画像処理部28は、タイマカウント部22に対して省電力モード移行までの時間を計測するタイマをスタートさせ(ステップS104)、その後現在の時刻の情報を取得する(ステップS105)。
【0085】
次に、監視対象抽出部24は、監視対象とするクライアント機器の抽出処理を行う(ステップS106)。監視対象とするクライアント機器の抽出処理について、図7を用いて説明する。
【0086】
監視対象抽出処理を開始したら、監視対象抽出部24は、記憶部23から監視対象PC管理リスト31を取得する処理を行う(ステップS201)。そして、監視対象抽出部24は、自装置2が接続されているネットワークに他の画像処理装置2が接続されているか否かを確認する(ステップS202)。
【0087】
例えば、監視対象抽出部24は、当該ネットワークに他の画像処理装置2が接続されているか否かの情報を予め記憶部23に記憶しておき、これを読み出すことにより他の画像処理装置2の有無を確認する。あるいは、監視対象抽出部24は、通信部21を介してネットワークパケットを送信し、他の画像処理装置2から応答があるか否かを調べることにより他の画像処理装置2の有無を確認する。
【0088】
当該ネットワークに他の画像処理装置2が接続されていない場合(ステップS202においてNOの場合)には、監視対象抽出部24は、監視対象抽出処理を終了する。一方、当該ネットワーク上に他の画像処理装置2が接続されている場合(ステップS202においてYESの場合)には、監視対象抽出部24は、他の画像処理装置2から監視対象PC管理リスト41を取得する処理を行う(ステップ203)。
【0089】
次に、取得した他の画像処理装置2の監視対象PC管理リスト41において監視対象とされているクライアント機器であって、自装置2の監視対象PC管理リスト31においても重複して監視対象とされているクライアント機器かあるか否かを判断する(ステップS204)。
【0090】
重複して監視対象とされているクライアント機器がない場合(ステップS204においてNOの場合)、監視対象抽出部24は、監視対象抽出処理を終了する。一方、重複して監視対象とされているクライアント機器がある場合(ステップS204においてYESの場合)、他の画像処理装置2の監視対象PC管理リスト41の該当するクライアント機器の監視対象ポイントと、自機の監視対象PC管理リスト31の該当するクライアント機器の監視対象ポイントとを算出する(ステップS205)。監視対象ポイントの算出は、監視対象となるクライアント機器の除外処理において例示したような方法で行う。
【0091】
続いて、監視対象抽出部24は、自装置の監視対象PC管理リスト31の該当するクライアント機器の監視対象ポイントが、他の画像処理装置2の監視対象PC管理リスト41の該当するクライアント機器の監視対象ポイントよりも小さいか否かを判断する(ステップS206)。
【0092】
そして、監視対象抽出部24は、自装置の監視対象PC管理リスト31の該当するクライアント機器の監視対象ポイントが小さくないと判断した場合(ステップS206においてNOの場合)、監視対象抽出処理を終了する。一方、監視対象抽出部24は、自装置の監視対象PC管理リスト31の該当するクライアント機器の監視対象ポイントが小さいと判断した場合(ステップS206においてYESの場合)、自装置の監視対象PC管理リスト31において該当するクライアント機器を監視対象から外す処理を行って(ステップS207)、監視対象抽出処理を終了する。
【0093】
ステップS106の監視対象抽出処理が終了したら、状態確認部24は、監視対象のクライアント機器1がオンラインか否かを確認する(ステップS107)。そして、省電力モード移行判断部26は、前述した稼働率が予め設定した省電力モード移行基準値以下か否かを判断する(ステップS108)。
【0094】
稼働率が省電力モード移行基準値以下でない場合(ステップS108においてNOの場合)、タイマカウント部22は、省電力モード移行までの予め設定した時間が経過したか否かを判定する(ステップS109)。そして、当該時間が経過していないと判定された場合(ステップS109においてNOの場合)、ステップS105の処理が実行される。
【0095】
省電力モード移行までの予め設定した時間が経過したと判定された場合(ステップS109においてYESの場合)、もしくは、稼働率が省電力モード移行基準値以下である場合(ステップS108においてYESの場合)、電源制御部27は、省電力モードに移行する処理を行う(ステップS110、ステップS111、ステップS112)。
【0096】
具体的には、電源制御部27は、常時電源をオンしておかなければならないオプション(例:FAXユニット等)が画像処理装置2にあるか否かを判定する(ステップS110)。当該オプションがない場合(ステップS110においてNOの場合)、電源制御部27は、電源を切断する(ステップS111)。当該オプションがない場合(ステップS112)、電源制御部27は、当該オプションを除く他の電源を切断する(ステップS111)。
【0097】
なお、これまで画像処理装置、画像処理システム、省電力移行制御方法の実施形態を中心に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、画像処理装置の機能あるいは画像処理システムの機能を実現させるためのコンピュータプログラムとしての形態、省電力移行制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとしての形態、さらには、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態としてもよい。
【0098】
ここで、記録媒体としては、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等のいずれの形態の記録媒体であってもよい。
【0099】
これら記録媒体に上述した本発明の画像処理装置の機能あるいは画像処理システムの機能を実現させるためのコンピュータプログラム、または、省電力移行制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを記録して流通させることにより、コストの低廉化、及び可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0100】
そして、コンピュータに上記記録媒体を装着してコンピュータにより記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出してメモリに格納し、コンピュータが備えるプロセッサ(CPU、Central Processing Unit)が当該コンピュータプログラムをメモリから読み出して実行することにより、本発明に係る画像処理装置あるいは画像処理システムの機能を実現し、省電力移行制御方法を実行することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…クライアント機器、2…画像処理装置、3…LAN、21…通信部、22…タイマカウント部、23…記憶部、23A…履歴記憶部、23B…位置情報記憶部、23C…省電力モード移行時間記憶部、23D…オプション装着情報記憶部、24…監視対象抽出部、25…状態確認部、26…省電力モード移行判断部、27…電力制御部、28…画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置において、
各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶部と、
少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出部と、
前記監視対象抽出部によって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認部と、
前記状態確認部による確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断部と、
前記省電力モード移行判断部による判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
各クライアント機器の使用履歴の情報を記憶する履歴記憶部をさらに備え、前記監視対象抽出部は、前記位置関係の情報および前記使用履歴の情報に基づいて、各クライアント機器の中から監視対象となるクライアント機器を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記使用履歴の情報は、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記監視対象抽出部は、ネットワークを介して接続された他の画像処理装置との間で、監視の対象となるクライアント機器の情報を共有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記監視対象抽出部は、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記監視対象抽出部は、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、各クライアント機器と画像処理装置との間の位置関係の情報、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報に基づいて、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記電源制御部は、当該画像処理装置の装置構成の情報に基づいて、当該画像処理装置を構成する各要素に対する電源の供給及び切断を制御することにより省電力モードへの移行を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
現在の時刻を計測する計測部をさらに備え、前記監視対象抽出部は前記計測部により計測された時刻の情報に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出する条件を変更し、変更した条件に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記省電力モード移行判断部は、前記監視対象抽出部により抽出されたクライアント機器の稼働率に基づいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
省電力モードに移行するまでの予め定められた時間を記憶する省電力モード移行時間記憶部をさらに備え、前記省電力モード移行判断部は、前記稼働率が予め設定した閾値以下となった場合に、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断し、前記電源制御部は、前記省電力モード移行判断部が当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断した場合に、前記省電力モード移行時間記憶部に記憶された時間を経過していない場合であっても、当該画像処理装置を省電力モードに移行するよう制御することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
複数のクライアント機器および当該複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置から構成される画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、
各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶部と、
少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出部と、
前記監視対象抽出部によって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認部と、
前記状態確認部による確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断部と、
前記省電力モード移行判断部による判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項12】
複数のクライアント機器とネットワークを介して接続される画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する省電力モード移行制御方法において、
各クライアント機器と当該画像処理装置との間の位置関係の情報を記憶する位置情報記憶ステップと、
少なくとも前記位置関係の情報を含む情報に基づいて、オンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を各クライアント機器の中から抽出する監視対象抽出ステップと、
前記監視対象抽出ステップによって抽出されたクライアント機器がオンラインの状態にあるか否かを確認する状態確認ステップと、
前記状態確認ステップにおける確認結果に基づいて、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断する省電力モード移行判断ステップと、
前記省電力モード移行判断ステップによる判断結果に基づいて、当該画像処理装置の省電力モードへの移行を制御する電源制御ステップと、
を含むことを特徴とする省電力モード移行制御方法。
【請求項13】
各クライアント機器の使用履歴の情報を記憶する履歴記憶ステップをさらに含み、前記監視対象抽出ステップでは、前記位置関係に係る情報および前記使用履歴の情報に基づいて、各クライアント機器の中から監視対象となるクライアント機器を抽出することを特徴とする請求項12に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項14】
前記使用履歴の情報は、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報を含むことを特徴とする請求項13に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項15】
前記監視対象抽出ステップでは、ネットワークを介して接続された他の画像処理装置との間で、監視の対象となるクライアント機器の情報を共有することを特徴とする請求項14に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項16】
前記監視対象抽出ステップでは、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴とする請求項15に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項17】
前記監視対象抽出ステップでは、当該画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器と、他の画像処理装置が監視の対象としているクライアント機器とが重複する場合に、各クライアント機器と画像処理装置との間の位置関係の情報、各クライアント機器から最後に画像処理の依頼を受け付けた時刻の情報、および、各クライアント機器から画像処理の依頼を受け付けた回数の情報に基づいて、重複するクライアント機器を監視の対象から除外するか否かを判定することを特徴とする請求項16に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項18】
前記電源制御ステップでは、当該画像処理装置の装置構成の情報に基づいて、当該画像処理装置を構成する各要素に対する電源の供給及び切断を制御することにより省電力モードへの移行を制御することを特徴とする請求項12〜17のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項19】
現在の時刻を計測する計測ステップをさらに含み、前記監視対象抽出ステップでは前記計測ステップにおいて計測された時刻の情報に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出する条件を変更し、変更した条件に基づいてオンラインの状態にあるか否かの監視の対象となるクライアント機器を抽出することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項20】
前記省電力モード移行判断ステップでは、前記監視対象抽出ステップにおいて抽出されたクライアント機器の稼働率に基づいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるか否かを判断することを特徴とする請求項12〜19のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項21】
省電力モードに移行するまでの予め定められた時間を記憶する省電力モード移行時間記憶ステップをさらに含み、前記省電力モード移行判断ステップでは、前記稼働率が予め設定した閾値以下となった場合に、当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断し、前記電源制御ステップでは、前記省電力モード移行判断ステップにおいて当該画像処理装置を省電力モードへ移行させるべきと判断した場合に、前記省電力モード移行時間記憶ステップにおいて記憶された時間を経過していない場合であっても、当該画像処理装置を省電力モードに移行するよう制御することを特徴とする請求項20に記載の省電力モード移行制御方法。
【請求項22】
請求項12〜21のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法を実現するコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項23】
請求項12〜21のいずれか1つに記載の省電力モード移行制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−19453(P2012−19453A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156786(P2010−156786)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】