説明

画像処理装置、画像処理システムおよび処理プログラム

【課題】セキュリティ性を向上させることのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの情報を格納する格納手段(USBメモリ110)を着脱自在に装着する装着手段(USBポート108)と、画像処理を行う画像処理手段(プリンタ部300、スキャナ部200)と、装着手段を介して格納手段に格納されている情報または画像処理手段による処理結果を記憶する記憶手段(ハードディスク装置152)と、外部から入力され、画像処理手段に対する処理を指示する処理情報を判別する判別手段(処理情報判別部153)と、判別結果に応じて、格納手段に格納されている情報または記憶手段に格納されている画像処理手段による処理結果の転送処理を制御する制御手段(制御部150)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システムおよび処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、外部記憶装置の一種としてのUSB(Universal Serial Bus)メモリの普及により、USBメモリに文書データや画像データ等を保存して携帯する場合が増えている。
【0003】
このような状況に対応させるために画像処理装置の一例としての複合機やカラープリンタ等では、USBメモリ内に格納されたデータを直接印刷するいわゆるUSBメモリプリント(メディアプリントなどとも称される)機能および紙媒体の資料をスキャナで電子化したデータをUSBメモリに保存するいわゆるUSBメモリスキャン(スキャントゥーメディアなどとも称される)機能を搭載したものが開発されている。
【0004】
このような外部記憶装置を接続して画像処理を行う画像処理装置に関する技術は種々提案されている。
【0005】
例えば、特開2006−11807号公報には、外部記憶装置が接続された際に、格納された処理内容に応じてジョブを実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−11807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、セキュリティ性を向上させることのできる画像処理装置、画像処理システムおよび処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理装置は、少なくとも一つの情報を格納する格納手段を着脱自在に装着する装着手段と、画像処理を行う画像処理手段と、前記装着手段を介して前記格納手段に格納されている前記情報または前記画像処理手段による処理結果を記憶する記憶手段と、外部から入力され、前記画像処理手段に対する処理を指示する処理情報を判別する判別手段と、該判別手段の判別結果に応じて、前記格納手段に格納されている前記情報または前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果の転送処理を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記制御手段は、前記判別手段により、前記処理情報が前記格納手段から前記画像処理手段に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、前記格納手段に格納されている前記情報を前記記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記格納手段に格納される情報は、当該格納手段を識別する識別情報を含み、前記制御手段は、前記判別手段により、前記処理情報が前記格納手段から前記画像処理手段に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、前記格納手段に格納されている前記情報を前記記憶手段に記憶させると共に、前記識別情報を除く他の情報を削除し、前記格納手段が前記装着手段から外された後、前記装着手段に再度装着された場合に、前記記憶手段に記憶されている識別情報と、前記格納手段に格納されている識別情報とが一致した場合にのみ前記記憶手段に格納されている前記情報を前記格納手段に書き戻すように制御することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記制御手段は、前記判別手段により、前記処理情報が前記画像処理手段から前記格納手段に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させるように制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明に係る画像処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記格納手段に格納される情報は、当該格納手段を識別する識別情報を含み、前記制御手段は、前記判別手段により、前記処理情報が前記画像処理手段から前記格納手段に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、前記識別情報を前記記憶手段に記憶させ、前記格納手段が前記装着手段から外された後、前記装着手段に再度装着された場合に、前記記憶手段に記憶されている識別情報と、前記格納手段に格納されている識別情報とが一致した場合にのみ前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させるように制御することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明に係る画像処理装置は、請求項4または請求項5の何れかに記載の発明について、前記制御手段は、前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させた後、当該情報を前記記憶手段から削除するように制御することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明に係る画像処理装置は、請求項1から請求項6の何れかに記載の発明について、前記格納手段からの前記情報の読み出し状況または前記格納手段に対する前記処理結果の書き込み状況を監視する監視手段と、該監視手段による監視結果に応じて、前記格納手段を前記装着手段から外してもよいか否かを報知する報知手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明に係る画像処理装置は、前記画像処理手段は、前記情報に基づいて記録媒体に画像形成を行う画像形成装置または文書を読み取って画像情報を生成する画像読取装置の何れか一つを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項8の何れかに記載の少なくとも1の画像処理装置と、通信手段を介して前記画像処理装置と接続される少なくとも1の情報処理装置とから構成されることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明に係る処理プログラムは、装着手段を介して着脱自在に装着される格納手段に格納されている情報または前記画像処理手段による処理結果を記憶する記憶過程と、前記画像処理手段に対する処理を指示する処理情報を判別する判別過程と、判別過程の判別結果に応じて、前記格納手段に格納されている前記情報または前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果の転送処理を制御する制御過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0019】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティ性を向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、入力処理を指示すると判別された場合に格納手段に格納されている情報を記憶手段に記憶させてセキュリティ性を向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティ性をより向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、出力処理を指示すると判別された場合に記憶手段に格納されている画像処理手段による処理結果を格納手段に格納させてセキュリティ性を向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティ性を一層向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、記憶手段に格納されている画像処理手段による処理結果を格納手段に格納させた後に当該情報を記憶手段から削除させてセキュリティ性をより向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、監視結果に応じて、格納手段を装着手段から外してもよいか否かを報知してセキュリティ性を一層向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷処理または読取処理についてセキュリティ性を一層向上させた画像処理装置を提供することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティ性を向上させた画像処理システムを提供することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、セキュリティ性を向上させた処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係る画像処理装置PR1の概略構成を示す外観図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理装置PR1の機能構成を示す機能ブロックである。
【図3】実施の形態に係る画像処理装置PR1における処理の流れの例を示す説明図である。
【図4】実施の形態に係る画像処理装置PR1における処理の流れの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0031】
図1から図4を参照して、本発明についての実施の形態に係る画像処理装置PR1について説明する。
【0032】
なお、本実施の形態に係る画像処理装置PR1は、プリンタ機能およびスキャナ機能等を備えるいわゆる複合機であるものとする。
【0033】
図1に示すように、画像処理装置の本体100の上部に原稿台102および各種表示および操作を行う報知部103(報知手段の一例)が設けられ、その原稿台102上に自動原稿送り装置104が設けられている。
【0034】
報知部103は、例えば液晶タッチパネル等で構成され、スタートキー、テンキー、コピーキー、スキャンキー、プリントキー、ファクシミリキー、表示画面などを備えている。
【0035】
本体100の下部には、各種サイズの印刷用紙が収容された複数の収容カセット105が設けられている。
【0036】
また、本体100の側部に、プリントされた用紙の排出を受ける排紙ユニット(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0037】
また、本体100の他方の側面には、電源スイッチ107、USBポート(ホスト用USBポート108a,108b:装着手段の一例)が設けられている。
【0038】
ホスト用USBポート108a,108bには、少なくとも一つの情報を格納する格納手段としてのUSBメモリ110やUSB接続されるハードディスクドライブ(図示せず)などが接続される。
【0039】
本体100の主要な機能としては、スキャナ機能やUSBメモリプリント機能がある。 スキャナ機能は、本体100が備えるスキャナ部200(画像読取手段の一例:図2参照)でスキャンした画像データを本体100内のハードディスク装置152(記憶手段の一例)に記憶または外部機器に記憶させる所謂スキャントゥーファイル機能と、本体100でスキャンした画像データを電子メールの形で外部機器に送る所謂スキャントゥメール機能と、本体100でスキャンした画像データをUSBメモリ110に記憶させる所謂USBメモリスキャン機能などがある。
【0040】
USBメモリプリント機能は、USBメモリ110から本体100に送られる画像データを本体100が備えるプリンタ部300(画像処理手段:図2参照)でプリントする機能である。
【0041】
ここで、USBメモリについて、簡単に説明する。
【0042】
USBメモリとは、USBポート(USBコネクタ)に接続して使用する不揮発性メモリの一種としてのフラッシュメモリを内蔵した小型の記憶装置である。
【0043】
USBの規格には元々、「USB Mass Storage Class」という、ハードディスクなどをリムーバブルドライブとして認識するための仕様が入っており、USBメモリの殆どはこの仕様に準拠している。
【0044】
次に、図2を参照して、画像処理装置PR1の機能構成について説明する。なお、図1に基づいて説明した構成については、同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
画像処理装置PR1は、画像処理を行う画像処理部160(画像処理手段の一例)と、USBポート108を介してUSBメモリ110に格納されている情報または画像処理部160による処理結果を記憶するハードディスク装置152(記憶手段の一例)と、外部から入力され、画像処理部160に対する処理を指示する処理情報を判別する処理情報判別部153(判別手段の一例)と、処理情報判別部153の判別結果に応じて、USBメモリ110に格納されている情報またはハードディスク装置152に格納されている画像処理部160による処理結果の転送処理を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部150(制御手段の一例)と、LANやインターネット等のネットワークNとの通信を行うネットワークインターフェイス等で構成される通信部154と、USBメモリ110が格納しているID(識別情報)を取得するID取得部155と、USBメモリ110からの情報の読み出し状況またはUSBメモリ110に対する処理結果の書き込み状況を監視する監視部151(監視手段の一例)と、監視部151による監視結果に応じて、USBメモリ110をUSBポート108から外してもよいか否かを報知する報知部103(報知手段の一例)とを備えている。
【0046】
画像処理部160は、上述のようにスキャナ部200とプリンタ部300とを備えている。
【0047】
また、報知部103は、上述のように液晶タッチパネル等で構成される操作部103aと表示部103bとを備えている。
【0048】
また、制御部150は、ID取得部155で取得されたIDを比較するID比較部150aを備えている。
【0049】
また、ハードディスク装置152内には、スキャナ部200で読み取られた画像情報や、USBメモリ110から入力された画像情報を記憶する画像記憶領域152aと、ID取得部155で取得されたIDを記憶するID記憶領域152bと、USBメモリ110から入力されたファイル情報を記憶するファイル記憶領域152cが少なくとも設けられている。
【0050】
ここで、USBメモリを含むUSBデバイスの識別情報(ID)について簡単に説明する。
【0051】
USBデバイスのシリアル番号 ”iSerialNumber”は、デバイス個々が持つDescriptorと呼ばれる詳細情報に格納されている。
【0052】
より具体的には、Device Descriptorに情報の有無、String Descriptorに情報の内容が格納されている。
【0053】
デバイスの識別情報としては他にiManufacturerと iProductがある。
【0054】
これらのiManufacturer, iProduct,iSerialNumberに基づいてUSBデバイスが識別される。
【0055】
そして、制御部150は、処理情報判別部153により、処理情報がUSBメモリ110から画像処理部160に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、USBメモリ110に格納されている情報をハードディスク装置152に記憶させるように制御するようにしてもよい。
【0056】
また、USBメモリ110に格納される情報は、このUSBメモリ110を識別する識別情報(ID)を含み、制御部150は、処理情報判別部153により、処理情報がUSBメモリ110から画像処理部160に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、USBメモリ110に格納されている情報をハードディスク装置152に記憶させると共に、識別情報(ID)を除く他の情報を削除し、ハードディスク装置152がUSBポート108から外された後、再度装着された場合に、ハードディスク装置152に記憶されている識別情報(ID)と、USBメモリ110に格納されている識別情報(ID)とが一致した場合にのみハードディスク装置152に格納されている情報をUSBメモリ110に書き戻すように制御するようにしてもよい。
【0057】
また、制御部150は、処理情報判別部153により、処理情報が画像処理部160からUSBメモリ110に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、ハードディスク装置152に格納されている画像処理部160による処理結果をUSBメモリ110に格納させるように制御するようにしてもよい。
【0058】
また、USBメモリ110に格納される情報は、このUSBメモリ110を識別する識別情報(ID)を含み、制御部150は、処理情報判別部153により、処理情報が画像処理部160からUSBメモリ110に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、識別情報(ID)をハードディスク装置152のID記憶領域152bに記憶させ、USBメモリ110がUSBポート108から外された後、再度装着された場合に、ハードディスク装置152に記憶されている識別情報(ID)と、USBメモリ110に格納されている識別情報とが一致した場合にのみハードディスク装置152に格納されている画像処理部160による処理結果をUSBメモリ110に格納させるように制御するようにしてもよい。
【0059】
また、制御部150は、ハードディスク装置152に格納されている画像処理部160による処理結果をUSBメモリ110に格納させた後、当該情報をハードディスク装置152から削除するように制御してもよい。
【0060】
また、監視部151による監視結果に応じて、USBメモリ110をUSBポート108から外してもよいか否かを報知部103の表示部103bのメッセージで報知するようにしてもよい。
【0061】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置PR1の処理の流れの例について説明する。
【0062】
まず、(イ)で、ユーザがUSBポート108にUSBメモリ110を装着し、操作部103aを操作して「メディアプリント」を指示する。このとき、ユーザはUSBメモリ110内のファイルを選択してジョブ起動を行う。
【0063】
ついで、(ロ)で、USBポート108を介して指定されたファイルを読み出し、ハードディスク装置152のファイル記憶領域152cへの記憶を開始する。この処理は主にデータの転送であるため、比較的高速に実行される。
【0064】
前記(ロ)の処理が開始されると画像処理部160は、ハードディスク装置152に記憶されたファイルを順次読み出し、1ページずつ処理を行う。
【0065】
画像処理部160により、ハードディスク装置152の画像記憶領域152aに記憶された画像データが読み出され(ハ)、プリンタ部300にて印刷される(ニ)。この処理は高度な演算処理を伴うため、比較的低速に実行される。
【0066】
次いで、(ロ)の読み出しが終了すると、表示部103bにUSBメモリ110の接続を解除して、USBポート108から外しても良い旨を表示する(ホ)。
【0067】
以後、ファイル記憶領域152cから未処理データがなくなるまで、上記の処理を繰り返して行う。
【0068】
これにより、「メディアプリント」を実行した際、全ての画像処理が終了する前にUSBメモリ110を画像処理装置PR1から外せるため、ユーザが画像処理装置PR1に装着された状態を監視する時間が短くて済み利便性が向上される。
【0069】
また、やむを得ず画像処理装置PR1を離れなければならない場合でもUSBメモリ110を放置しなくてよいため、本発明を適用しない場合と比較してセキュリティ性が向上される。
【0070】
即ち、比較対象としての従来の画像処理装置にあっては、ユーザは、大量の原稿についてUSBメモリスのキャン機能を実行する場合に、ジョブ完了前にその場を離れてしまう場合が考えられる。
【0071】
USBメモリスキャン機能を実行した場合に、大量の原稿のスキャン動作完了後、画像データをPDF等のフォーマットへ変換し、そしてUSBメモリへの書込動作を実行するため、大量の原稿の画像データの変換および書込動作の処理に時間がかかる場合があるからである。
【0072】
また、USBメモリプリント機能を実行したユーザが印刷出力した紙媒体のみを持ち帰り、USBメモリ自身を画像処理装置に装着したまま、その場から離れてしまう場合が考えられる。
【0073】
したがって、USBメモリスキャン機能あるいはUSBメモリプリント機能等のジョブは完了している際に、USBメモリの抜き取り忘れが発生する場合がある。
【0074】
即ち、USBメモリには秘匿情報も含め様々なデータが格納可能である一方、USBメモリを使用するジョブを開始すると、ジョブ終了までメモリを装着したままにしなければならないので、画像処理装置の傍を離れなければならなくなった場合にセキュリティ上の問題があった。
【0075】
本実施の形態に係る画像処理装置PR1によれば、上述のように、USBポート108から外しても良い旨の報知に従って、USBメモリ110を適当な時期に抜き取ることができるので、セキュリティ性が向上される。
【0076】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置PR1の処理の流れの他の例について説明する。
【0077】
まず、(a)で、ユーザがUSBポート108にUSBメモリ110を装着し、操作部103aを操作して「スキャントゥーメディア」を指示する。
【0078】
次いで、(b)で、ジョブが起動されると、ID取得部155がUSBポート108に接続されたUSBメモリ110から識別情報(ID)を取得し、ハードディスク装置152のID記憶領域152bに記憶する。
【0079】
そして、ID取得・記憶が終了すると、表示部103bにUSBメモリ110の接続を解除しても良い旨表示する(c)。
【0080】
次いで、スキャナ部200で原稿から画像を読み取り(d)、制御部150に渡す。 制御部150は読み取ったデータを処理して画像データを生成し、ハードディスク装置152の画像記憶領域152aに記憶する(e)。
【0081】
このとき、画像記憶領域152aはUSBメモリ110に画像データの出力が可能であれば画像データの転送を行う。
【0082】
もしUSBメモリ110の接続が解除されていた場合であっても、スキャナ部200における画像読み取りと制御部150における画像処理は継続して実行される。
【0083】
但し、この場合には画像記憶領域152aからUSBメモリ110への画像データ転送は行わない。
【0084】
次いで、再びUSBメモリ110がUSBポート108に接続されると、ID取得部155がUSBポート108に接続されたUSBメモリ110から識別情報(ID)を取得する(f)。
【0085】
そして、ID比較部150aは、ID記憶領域152bに記憶されたID、すなわち現在実行中のジョブが起動された際にUSBポート108に装着されていたUSBメモリのIDとの比較を行う(g)。
【0086】
比較の結果、IDの一致が検出されると、ID比較部105aは画像記憶領域152aに対しUSBポート108への画像データの転送を指示する(h)。
【0087】
一方、IDが不一致の場合にはこの指示は行われない。
【0088】
このように、「スキャントゥーメディア」を実行した際、すべての原稿読み取り処理および画像処理が終了する前にUSBメモリ110の接続が解されるため、やむを得ず画像処理装置PR1の傍を離れなければならない場合でもUSBメモリ110を放置しなくてよい。このため、本発明を適用しない形態と比較してセキュリティ性が向上される。
【0089】
また、ジョブ起動時に使用したUSBメモリ110を装着するだけで画像データの転送が行われるため、煩わしいデータの転送操作の必要がないので利便性が向上される。
【0090】
また、異なるUSBメモリに画像データがコピーされることによる情報漏えいが防止され、セキュリティ性が一層向上される。
【0091】
なお、画像データおよび識別情報(ID)は、画像処理装置PR1に内蔵されるハードディスク装置152に限らず、USBポート108や通信部154を介して接続される外部記憶装置やネットワークサーバに記憶するようにしてもよい。
【0092】
また、本実施の形態に係る画像処理装置PR1は、複合機について述べたが、これに限定されず、スキャナ装置単体、プリンタ装置単体、スキャナ装置とプリンタ装置の組み合わせなどに適用してもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、格納手段としてUSBメモリを例示したが、限定されるものではなく、一般的なUSBストレージクラスの各種デバイスやメモリカード類、非接触記憶媒体などにも適用される。
【0094】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0095】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0096】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0097】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0098】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0099】
さらには、画像形成装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明による画像処理装置、画像処理システムおよび処理プログラムは、スキャナ装置を備えるプリンタや複合機等に適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
PR1 画像処理装置
100 本体
102 原稿台
103 報知部
103a 操作部
103b 表示部
104 自動原稿送り装置
105 収容カセット
105a 比較部
107 電源スイッチ
108 USBポート
110 USBメモリ
150 制御部
150a 比較部
151 監視部
152 ハードディスク装置
152a 画像記憶領域
152b ID記憶領域
152c ファイル記憶領域
153 処理情報判別部
154 通信部
155 取得部
160 画像処理部
200 スキャナ部
300 プリンタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの情報を格納する格納手段を着脱自在に装着する装着手段と、
画像処理を行う画像処理手段と、
前記装着手段を介して前記格納手段に格納されている前記情報または前記画像処理手段による処理結果を記憶する記憶手段と、
外部から入力され、前記画像処理手段に対する処理を指示する処理情報を判別する判別手段と、
該判別手段の判別結果に応じて、前記格納手段に格納されている前記情報または前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果の転送処理を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記判別手段により、前記処理情報が前記格納手段から前記画像処理手段に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、前記格納手段に格納されている前記情報を前記記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記格納手段に格納される情報は、当該格納手段を識別する識別情報を含み、
前記制御手段は、
前記判別手段により、前記処理情報が前記格納手段から前記画像処理手段に対する入力処理を指示するものであると判別された場合に、前記格納手段に格納されている前記情報を前記記憶手段に記憶させると共に、前記識別情報を除く他の情報を削除し、前記格納手段が前記装着手段から外された後、前記装着手段に再度装着された場合に、前記記憶手段に記憶されている識別情報と、前記格納手段に格納されている識別情報とが一致した場合にのみ前記記憶手段に格納されている前記情報を前記格納手段に書き戻すように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記判別手段により、前記処理情報が前記画像処理手段から前記格納手段に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記格納手段に格納される情報は、当該格納手段を識別する識別情報を含み、
前記制御手段は、
前記判別手段により、前記処理情報が前記画像処理手段から前記格納手段に対する出力処理を指示するものであると判別された場合に、前記識別情報を前記記憶手段に記憶させ、前記格納手段が前記装着手段から外された後、前記装着手段に再度装着された場合に、前記記憶手段に記憶されている識別情報と、前記格納手段に格納されている識別情報とが一致した場合にのみ前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果を前記格納手段に格納させた後、当該情報を前記記憶手段から削除するように制御することを特徴とする請求項4または請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記格納手段からの前記情報の読み出し状況または前記格納手段に対する前記処理結果の書き込み状況を監視する監視手段と、
該監視手段による監視結果に応じて、前記格納手段を前記装着手段から外してもよいか否かを報知する報知手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記情報に基づいて記録媒体に画像形成を行う画像形成装置または文書を読み取って画像情報を生成する画像読取装置の何れか一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の少なくとも1の画像処理装置と、
通信手段を介して前記画像処理装置と接続される少なくとも1の情報処理装置と、
から構成されることを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
装着手段を介して着脱自在に装着される格納手段に格納されている情報または前記画像処理手段による処理結果を記憶する記憶過程と、
前記画像処理手段に対する処理を指示する処理情報を判別する判別過程と、
判別過程の判別結果に応じて、前記格納手段に格納されている前記情報または前記記憶手段に格納されている前記画像処理手段による処理結果の転送処理を制御する制御過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−135169(P2011−135169A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290769(P2009−290769)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】