説明

画像処理装置、画像処理手順およびプログラム

【課題】フレーム画像における被写体の動きを考慮して、最適な軌跡合成画像の表示を行う。
【解決手段】入力制御部546は入力画像を軌跡生成部200および被写体状態検出部300に供給する。軌跡生成部200は供給された入力画像について軌跡合成画像を生成する。被写体状態検出部300は入力画像における被写体の状態を検出する。入力制御部546は被写体状態検出部300において被写体が動いている状態であることが検出されている場合に入力画像を軌跡生成部200に供給するよう制御することができる。再生速度生成部547は検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する。出力制御部548は再生速度生成部547によって生成された再生速度に従って、軌跡生成部200によって生成された軌跡合成画像を再生表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に時系列に撮像された撮像画像における軌跡を表示する画像処理装置、および、その画像処理方法ならびに当該方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
時系列に撮像された複数の撮像画像(以下、フレーム画像という。)から動被写体の軌跡を示す画像(以下、軌跡合成画像という。)を生成する方法として、映像データから複数のフレーム画像を抽出し、輝度値に応じた重みを付けて一枚の静止画像を合成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−290450号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来技術では、各フレーム画像における同一位置の画素において、輝度値の平均値からの距離が輝度値の分散以上離れている画素には大きい重みを付けて、輝度値の平均値からの距離が輝度値の分散以下に収まっている画素には小さい重みを付けて合成が行われ、その結果が出力画像の同一位置の画素として出力される。
【0004】
しかしながら、従来技術では、軌跡合成画像を生成するためには、その対象となる画像を予め選択する必要がある。選択された画像の範囲が広過ぎて被写体が動かない部分を多く含んでしまうと、生成すべき軌跡も検出されず、その生成処理が無駄になるとともに、再生の際も間延びした状態になってしまう。一方、選択された画像の範囲が狭すぎると、本来必要とされる軌跡が生成されなくなるおそれがある。軌跡を生成する範囲を正確に指定することはユーザにとって煩雑である。
【0005】
また、軌跡合成画像の再生速度を一定とした場合、再生表示される軌跡の数は被写体の動く速度に依存する。したがって、被写体の動く速度が速いと十分な数の軌跡が表示されず、一方、被写体の動く速度が遅いと軌跡同士が密になり過ぎるおそれがある。軌跡を再生する速度を正確に指定することはユーザにとって煩雑である。
【0006】
そこで、本発明は、フレーム画像における被写体の動きを考慮して、最適な軌跡合成画像の表示を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、時系列に入力される入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手段と、上記検出された被写体の状態に応じて上記入力画像の供給を制御する入力制御手段と、上記入力制御手段から供給された入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手段とを具備することを特徴とする画像処理装置である。これにより、被写体の状態に応じて合成対象となる入力画像の供給を制御させるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記出力画像は上記被写体の軌跡を示す画像とすることができる。
【0009】
また、この第1の側面において、上記画像合成手段は、背景画像の画素値を保持する背景画像保持手段と、出力画像の画素値を保持する出力画像保持手段と、上記背景画像保持手段に保持される上記背景画像の画素値を上記入力画像の対応する画素位置の画素値によって所定の比率に基づいて更新する背景生成手段と、上記入力画像の画素値が上記背景生成手段によって更新された上記背景画像の対応する画素位置の画素値と相違する程度を示す相違度を生成する相違度生成手段と、上記出力画像の画素値について上記相違度に応じて上記入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して新たな出力画像の画素値として上記出力画像保持手段に保持させる出力画像合成手段とを具備してもよい。これにより、時系列に入力される入力画像によって背景画像を更新し、入力画像の画素値との間の相違度に応じて出力画像の画素値を生成させるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記被写体状態検出手段が、上記被写体の状態として上記被写体の動きを検出し、上記入力制御手段が、上記被写体が動いている状態であれば上記入力画像を供給し、上記被写体が静止している状態であれば上記入力画像の供給を停止してもよい。これにより、被写体が動いている状態に限り入力画像を供給させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記入力画像における上記合成の開始位置の指定を検出する開始検出手段をさらに具備し、上記入力制御手段が、上記入力画像の上記開始位置以降において、上記被写体が動いている状態であれば上記入力画像を供給し、上記被写体が静止している状態であれば上記入力画像の供給を停止してもよい。これにより、指定された開始位置以降において、被写体が動いている状態に限り入力画像を供給させるという作用をもたらす。この場合において、上記入力画像における上記合成の終了位置の指定を検出する終了検出手段をさらに具備し、上記入力制御手段が、上記入力画像の上記開始位置と上記終了位置との間において、上記被写体が動いている状態であれば上記入力画像を供給し、上記被写体が静止している状態であれば上記入力画像の供給を停止してもよい。これにより、指定された開始位置と終了位置との間において、被写体が動いている状態に限り入力画像を供給させるという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記入力画像における上記合成の終了位置の指定を検出する終了検出手段をさらに具備し、上記入力制御手段が、上記終了位置から遡って上記被写体が動いている状態から静止している状態に遷移する変化点を検索し、上記変化点を開始位置として上記入力画像の上記開始位置以降において、上記被写体が動いている状態であれば上記入力画像を供給し、上記被写体が静止している状態であれば上記入力画像の供給を停止してもよい。これにより、指定された終了位置に至るまでの間、被写体が動いている状態に限り入力画像を供給させるという作用をもたらす。
【0013】
また、本発明の第2の側面は、時系列に入力される入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手段と、上記検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する再生速度生成手段と、上記入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手段と、上記再生速度に基づいて上記出力画像を再生する出力制御手段とを具備することを特徴とする画像処理装置である。これにより、被写体の状態に応じて最適な再生速度で出力画像を再生させるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第2の側面において、上記被写体状態検出手段は、上記被写体の状態として上記被写体の動きを検出し、上記再生速度生成手段が、上記被写体の動く速度が速いほど上記再生速度が遅くなるようにしてもよい。これにより、被写体の動く速度が速いほど再生速度を遅くして、見易い速度で再生させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フレーム画像における被写体の動きを考慮して、最適な軌跡合成画像の表示を行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態における画像処理装置の一態様としての撮像装置の一構成例を示す図である。この撮像装置は、大別して光学系、信号処理系、記録系、表示系、および、制御系から構成される。
【0018】
光学系は、被写体の光画像を集光するレンズ11と、光画像の光量を調整する絞り12と、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換する撮像素子13とから構成される。撮像素子13は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサなどにより実現される。
【0019】
信号処理系は、撮像素子13からの電気信号をサンプリングするサンプリング回路21と、サンプリング回路21から供給されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路22と、A/D変換回路22から入力されるデジタル信号に所定の画像処理を施す画像処理回路23とから構成される。サンプリング回路21は、例えば、相関2重サンプリング回路(CDS:Correlated Double Sampling)によって実現される。これにより、撮像素子13で発生するノイズが軽減される。なお、画像処理回路23により実行される処理の詳細については後述する。
【0020】
記録系は、画像信号を記憶するメモリ32と、画像処理回路23によって処理された画像信号を符号化してメモリ32に記録し、また、メモリ32から画像信号を読み出して復号し、画像処理回路23に供給する符号化/復号器31とから構成される。
【0021】
表示系は、画像処理回路23によって処理された画像信号をアナログ化するD/A変換回路41と、アナログ化された画像信号を後段の表示部43に適合する形式のビデオ信号にエンコードするビデオエンコーダ42と、入力されるビデオ信号に対応する画像を表示する表示部43とから構成される。表示部43は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等により実現され、ファインダとしての機能も有する。
【0022】
制御系は、撮像素子13、サンプリング回路21、A/D変換回路22、および、画像処理回路23の動作タイミングを制御するタイミング生成器51と、ユーザによるシャッタ操作やその他のコマンド入力を受け付けるための操作入力受付部52と、周辺機器を接続するためのドライバ53と、撮像装置全体を制御する制御部54とから構成される。ドライバ53には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または、半導体メモリ等が接続される。制御部54は、これらに記憶されている制御用プログラムを、ドライバ53を介して読み出し、読み出した制御用プログラムや操作入力受付部52から入力されるユーザからのコマンド等に基づいて制御を行う。
【0023】
画像処理回路23、符号化/復号器31、メモリ32、タイミング生成器51、操作入力受付部52、および、制御部54は、バス59を介して相互に接続されている。
【0024】
この撮像装置において、被写体の光学画像(入射光)は、レンズ11および絞り12を介して撮像素子13に入射され、撮像素子13によって光電変換されて電気信号となる。得られた電気信号は、サンプリング回路21によってノイズ成分が除去され、A/D変換回路22によってデジタル化された後、画像処理回路23が内蔵する(図示しない)画像メモリに一時格納される。
【0025】
なお、通常の状態では、タイミング生成器51による信号処理系に対する制御により、画像処理回路23の内蔵する画像メモリには、一定のフレームレートで絶えず画像信号が上書きされるようになされている。画像処理回路23の内蔵する画像メモリの画像信号は、D/A変換回路41によってアナログ信号に変換され、ビデオエンコーダ42によってビデオ信号に変換されて対応する画像が表示部43に表示される。
【0026】
表示部43は、撮像装置のファインダとしての役割も担っている。ユーザが操作入力受付部52に含まれるシャッターボタンを押下した場合、制御部54は、タイミング生成器51に対して、シャッターボタンが押下された直後の画像信号を保持するように、すなわち、画像処理回路23の画像メモリに画像信号が上書きされないように、信号処理系を制御する。画像処理回路23の画像メモリに保持された画像データは、符号化/復号器31によって符号化されてメモリ32に記録される。以上のような撮像装置の動作によって、1枚の画像データの取込みが完了する。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態における撮像装置の制御部54の周辺の一構成例を示す図である。制御部54は、操作入力受付部52において受け付けられた操作入力に従って、A/D変換回路22または符号化/復号器31から出力された入力画像を画像処理回路23に供給し、その結果を後段のD/A変換回路41または符号化/復号器31に出力するものである。この制御部54は、入力検出部541と、入力制御部546と、再生速度生成部547と、出力制御部548とを備えている。また、操作入力受付部52は、ユーザからの撮影操作入力を受け付ける撮影操作受付部521を備えている。また、画像処理回路23は、軌跡合成画像を生成する軌跡生成部200と、被写体の状態を検出する被写体状態検出部300とを備えている。
【0028】
被写体状態検出部300は、入力制御部546から供給された入力画像における被写体の状態を検出するものである。この被写体状態検出部300は、被写体の動き(方向および量)を表すベクトル(動きベクトル:Optical Flow)を算出する。この動きベクトルを求めるにあたっては、連続するフレームから画像データ中の移動物体がどの向きにどれ位の速さで移動したかを計算することになる。その代表的な方法として知られるブロックマッチングでは、あるフレームにおける画素点が次フレームのどの位置に移動したかを探索することにより動きベクトルが得られる。この場合の画素点としては、探索のし易さ等の観点から特徴点が用いられることが多い。この被写体状態検出部300によって検出された被写体の状態は、入力制御部546および再生速度生成部547に供給される。
【0029】
制御部54において、入力検出部541は、操作入力受付部52において受け付けられた操作入力の内容を検出するものであり、再生方向検出部542と、開始位置検出部543と、終了位置検出部544と、基準速度検出部545とを備えている。再生方向検出部542は、軌跡合成画像の再生方向が順方向または逆方向の何れであるかを検出するものである。開始位置検出部543は、軌跡合成画像の生成開始位置を検出するものである。終了位置検出部544は、軌跡合成画像の生成終了位置を検出するものである。基準速度検出部545は、軌跡合成画像を再生する際の基準となる速度(以下、「基準速度」という。)の指定を検出するものである。
【0030】
入力制御部546は、A/D変換回路22または符号化/復号器31から出力された入力画像の画像処理回路23への供給を制御するものである。この入力制御部546は、開始位置検出部543によって検出された生成開始位置から終了位置検出部544によって検出された生成終了位置に至るまでの間、再生方向検出部542によって検出された再生方向に従って、入力画像を画像処理回路23に供給する。このとき、入力制御部546は、被写体状態検出部300によって検出された被写体の状態に応じて入力画像の供給を制御することができる。例えば、被写体が動いている状態にあることを被写体状態検出部300が検出している間に限って、入力画像を画像処理回路23に供給するようにしてもよい。
【0031】
再生速度生成部547は、画像処理回路23において生成された軌跡合成画像を出力する際の再生速度を生成するものである。この再生速度生成部547は、被写体状態検出部300によって検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する。その際、再生速度生成部547は、基準速度検出部545によって検出された基準速度を基準として用いることができる。
【0032】
出力制御部548は、画像処理回路23において生成された軌跡合成画像の出力を制御するものである。この出力制御部548は、再生速度生成部547によって生成された再生速度によって軌跡合成画像を出力するよう制御する。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態における軌跡生成例を示す図である。ここでは、時刻t−1および時刻tにおける物体の軌跡が示されている。ベクトルvは、時刻t−1から時刻tに至る際の動被写体の動きベクトルを表している。この動きベクトルは、被写体状態検出部300によって検出される。
【0034】
図3(a)における動きベクトルを基準とすると、同図(b)のように、動きベクトルの大きさが大きい場合には、被写体の動きが速いということを意味する。この場合、軌跡合成画像を出力する際には、同図(a)の場合よりも遅くした方が、ユーザにとって見易くなると考えられる。通常の場合、軌跡合成画像はスロー再生されることが多いが、被写体の動きが速いときには、さらに遅めのスロー再生とすることが視認性を高める上で効果的である。
【0035】
一方、同図(c)のように、動きベクトルの大きさが小さい場合には、被写体の動きが遅いということを意味する。この場合、軌跡合成画像を出力する際には、同図(a)の場合よりも速くした方が、ユーザにとって見易くなると考えられる。したがって、被写体の動きが遅いときには、通常よりも速めのスロー再生とすることが視認性を高める上で効果的である。
【0036】
これらを前提として、再生速度生成部547は、被写体の動く速度が速いほど再生速度が遅くなるように、また、被写体の動く速度が遅いほど再生速度が速くなるように、再生速度を生成する。
【0037】
ここで、例えば、1秒当り30フレームの再生速度を標準的な速度と想定して、再生速度S=1と定めると、再生速度生成部547によって生成される再生速度Sは次式により求めることができる。但し、|v|は被写体状態検出部300において検出された動被写体の動きベクトルの大きさであり、|v|は基準速度検出部545において検出された基準速度である。
=|v|/(|v|×30)
【0038】
|v|および|v|の単位は、ともに[ピクセル/秒]である。例えば、動被写体が画像を左から右に横切るようなシーンの場合、画像の横幅を3秒で通過するような再生速度にしたければ、ユーザは基準速度|v|として「画像の横幅のピクセル数/3秒」の値を設定することになる。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態における撮像装置の画像処理回路23の一構成例を示す図である。この画像処理回路23は、フレーム選択部220と、背景生成部230と、背景画像保持部260と、相違度生成部240と、軌跡合成部250と、軌跡合成画像保持部270とを備えている。ここでは、入力画像210に対して、例えば図9や図10のように動被写体の移動する途中の状態を複数枚の軌跡合成画像290として表示することを想定している。
【0040】
フレーム選択部220は、入力画像210から時系列順にp×q画素からなる画像Iをフレームとして順次選択するものである。選択されたフレームは、信号線228を介して、相違度生成部240および軌跡合成部250に順次供給されていく。また、選択されたフレームは、信号線229を介して、背景生成部230に供給される。なお、背景生成部230に対しては、画像Iだけでなく、複数の画像に基づいてフレームを背景生成部230に供給するようにしてもよい。例えば、画像Iを中心とした前後の画像It−i乃至It+iに基づいて、それらの頻度から暫定的な背景画像を求めて、その暫定的な背景画像を背景生成部230に供給することができる。これにより、背景生成部230において精度の高い背景生成を実現することが期待できる。
【0041】
背景画像保持部260は、p×q画素からなる背景画像を保持するものである。この背景画像保持部260に保持された背景画像は、信号線269を介して背景生成部230に供給される。背景生成部230は、信号線269を介して背景生成部230から供給された背景画像Bt−1の画素値および信号線229を介してフレーム選択部220から供給されたフレームIの画素値に基づいて新たな背景画像Bを生成するものである。すなわち、背景生成部230は、背景画像保持部260に保持される背景画像を新たなフレームによって更新していくことによって、背景画像保持部260にその時点の背景画像を保持させる。生成された背景画像は、信号線239を介して、相違度生成部240および背景画像保持部260に供給される。
【0042】
相違度生成部240は、信号線239を介して背景生成部230から供給された背景画像の画素値と、信号線228を介してフレーム選択部220から供給されたフレームの画素値との画素位置毎の相違度を生成するものである。すなわち、相違度生成部240は、p×q組の対応する画素値同士の距離を算出して、p×q組分の相違度を生成する。
【0043】
軌跡合成画像保持部270は、p×q画素からなる軌跡合成画像を保持するものである。この軌跡合成画像保持部270に保持された軌跡合成画像は、信号線279を介して軌跡合成部250に供給される。軌跡合成部250は、信号線279を介して軌跡合成画像保持部270から供給された軌跡合成画像St−1の画素値と、信号線228を介してフレーム選択部220から供給されたフレームIの画素値とを合成して新たな軌跡合成画像S(290)を生成するものである。すなわち、軌跡合成部250は、軌跡合成画像保持部270に保持される軌跡合成画像を新たなフレームによって更新していくことによって、軌跡合成画像保持部270にその時点の軌跡合成画像を保持させる。
【0044】
図5は、本発明の実施の形態における画像処理回路23の背景生成部230の一構成例を示す図である。この背景生成部230は、背景合成比率生成部232と、背景画像更新部233とを備えている。
【0045】
背景合成比率生成部232は、信号線229を介してフレーム選択部220から供給されたフレームと、信号線269を介して背景画像保持部260から供給された背景画像とから背景画像の合成比率(背景合成比率α)を生成するものである。背景合成比率αの具体的な算出方法としては、例えば、フレームIの画素値と背景画像Bt−1の画素値との間の相違度が小さい場合にはフレームIの画素値の寄与度が大きくなるように背景合成比率を決定し、または、時間的に近傍の相違度の分散が小さければフレームIの画素値の寄与度を大きくするなど、相違度に基づいて動的に合成比率を決定する方法が考えられる。また、予め固定値として背景合成比率αを定めておいてもよい。
【0046】
背景画像更新部233は、背景合成比率生成部232によって生成された背景合成比率αに応じて、信号線269を介して背景画像保持部260から供給された背景画像を、信号線229を介してフレーム選択部220から供給されたフレームによって更新するものである。
【0047】
ここで、座標(x,y)におけるフレームIの画素値をI(x,y,t)、同じく背景画像Bt−1の画素値をB(x,y,t−1)とすると、新たな背景画像Bの画素値B(x,y,t)は、次式により得られる。
B(x,y,t)=α×I(x,y,t)+(1−α)×B(x,y,t−1)
【0048】
背景画像更新部233は、上式の処理を全ての画素に対して行う。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態における画像処理回路23の相違度生成部240の一構成例を示す図である。この相違度生成部240は、距離算出部241と、距離閾値設定部202と、相違度算出部242とを備えている。
【0050】
距離算出部241は、信号線239を介して背景生成部230から供給された背景値と、信号線228を介してフレーム選択部220から供給された画素値との間の距離を算出するものである。なお、この場合の距離は、例えば色空間上の距離などを意味する。
【0051】
相違度算出部242は、距離算出部241によって算出された距離に応じて、背景値と入力画像の画素値との相違度を算出するものである。すなわち、この相違度算出部242は、入力画像において動被写体と背景とを区別して、両者が異なるものであることを相違度として示すものである。相違度は、例えば、動被写体に対して「1」、背景に対して「0」が付与されるように算出するものであるが、両者を完全には区別できない場合には、その中間値をとることもある。
【0052】
相違度を算出する際、相違度算出部242は、画像の品質による誤差を考慮して、背景と動被写体とを区別するための距離の閾値(距離閾値)を想定する。すなわち、背景値と入力画像の画素値との間の距離が距離閾値以内であれば両者を完全には区別できないものとして扱い、距離閾値を越える場合には両者は完全に区別できるものとして扱う。その結果、例えば、背景値と入力画像の画素値との間の距離が距離閾値を越える場合には相違度として最大値の「1」が算出され、距離閾値以内の場合には距離に比例するように相違度が算出される。なお、距離閾値は、距離閾値設定部202に予め設定される。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態における画像処理回路23の軌跡合成部250の一構成例を示す図である。この軌跡合成部250は、軌跡合成比率算出部251と、軌跡合成値更新部252とを備えている。
【0054】
軌跡合成比率算出部251は、信号線249を介して相違度生成部240から供給された相違度に基づいて軌跡合成の合成比率(軌跡合成比率β)を生成するものである。軌跡合成比率βの具体的な算出方法としては、例えば、フレームIの画素値と背景画像Bt−1との相違度が大きい場合には、フレームIの画素値の寄与度が大きくなるような軌跡合成比率を決定することが考えられる。これにより、背景と異なる領域ほど軌跡合成値への寄与率が高くなり、よりはっきりとした動被写体の軌跡を得ることができる。
【0055】
軌跡合成値更新部252は、軌跡合成比率算出部251によって生成された軌跡合成比率βに応じて、信号線279を介して軌跡合成画像保持部270から供給された軌跡合成画像を、信号線228を介してフレーム選択部220から供給されたフレームによって更新するものである。
【0056】
ここで、座標(x,y)におけるフレームIの画素値をI(x,y,t)、同じく軌跡合成画像St−1の画素値をS(x,y,t−1)とすると、新たな軌跡合成画像Sの画素値S(x,y,t)は、次式により得られる。
S(x,y,t)=β×I(x,y,t)+(1−β)×S(x,y,t−1)
【0057】
軌跡合成値更新部252は、上式の処理を全ての画素に対して行う。
【0058】
また、他の軌跡合成の手法として、相違度に基づいて2種類の算出規則を用いて軌跡合成比率を算出することが考えられる。すなわち、相違度が小さい背景領域における軌跡合成比率の算出規則を、相違度が大きい動被写体領域の算出規則とは別にして、相違度が小さくてもある程度の軌跡合成比率を与える。これにより、動被写体軌跡領域が古くなればなるほど背景の寄与率が高くなり、動被写体の軌跡がフェードアウトされたように見せることができる。つまり、新しい時刻の軌跡ははっきりしているが、時間が経つにつれて軌跡が背景に溶け込んでフェードアウトしていくようにすることが可能となる。
【0059】
例えば、図8のような5枚のフレームを合成する際、軌跡をはっきり残したい場合には、軌跡合成比率βとして、相違度が大きい動被写体領域には「1」、相違度が小さい背景領域には「0」を与えれば、図9のような結果を得ることができる。一方、軌跡をフェードアウトさせたい場合には、軌跡合成比率βとして、動被写体領域には「1」、背景領域には「0.3」乃至「0.5」程度を与えれば、図10のような結果を得ることができる。
【0060】
図11は、本発明の実施の形態における軌跡生成部200による軌跡生成範囲の例を示す図である。この図では、再生方向が順方向の場合、すなわち、撮像時の時間方向と同じ方向に再生する場合の例を示している。なお、軌跡生成開始位置は開始位置検出部543によって検出されたものであり、軌跡生成終了位置は終了位置検出部544によって検出されたものである。
【0061】
図11(a)では、軌跡生成開始位置だけが指定されており、軌跡生成終了位置は指定されていない。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成開始位置から入力画像の供給を順方向(図中の再生方向)に行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を開始する。
【0062】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0063】
すなわち、同図(a)の場合、軌跡生成開始位置以降において、被写体が動いている状態に限って入力画像を軌跡生成部200に供給させることができる。
【0064】
図11(b)では、軌跡生成開始位置および軌跡生成終了位置の両者が指定されている。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成開始位置から入力画像の供給を順方向(図中の再生方向)に行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を開始する。
【0065】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。但し、それ以前に軌跡生成終了位置に至った場合には、その時点で入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0066】
すなわち、同図(b)の場合、軌跡生成開始位置と軌跡生成終了位置との間において、被写体が動いている状態に限って入力画像を軌跡生成部200に供給させることができる。
【0067】
図11(c)では、軌跡生成終了位置だけが指定されており、軌跡生成開始位置は指定されていない。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成終了位置から逆方向(図中の検索方向)に入力画像の供給を行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態から静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を順方向(図中の再生方向)に開始する。
【0068】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。但し、それ以前に軌跡生成終了位置に至った場合には、その時点で入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0069】
すなわち、同図(c)の場合、軌跡生成終了位置から遡って被写体が動いている状態から静止している状態に遷移する変化点が検索され、その変化点を開始位置として入力画像の軌跡生成開始位置以降において、被写体が動いている状態であれば入力画像を軌跡生成部200に供給させ、被写体が静止している状態であればその供給を停止させることができる。
【0070】
図12は、本発明の実施の形態における軌跡生成部200による軌跡生成範囲の他の例を示す図である。この図では、再生方向が逆方向の場合、すなわち、撮像時の時間方向と反対の方向に再生する場合の例を示している。
【0071】
図12(a)では、軌跡生成開始位置だけが指定されており、軌跡生成終了位置は指定されていない。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成開始位置から入力画像の供給を逆方向(図中の再生方向)に行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を開始する。
【0072】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0073】
すなわち、同図(a)の場合、軌跡生成開始位置以降において、被写体が動いている状態に限って入力画像を軌跡生成部200に供給させることができる。
【0074】
図12(b)では、軌跡生成開始位置および軌跡生成終了位置の両者が指定されている。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成開始位置から入力画像の供給を逆方向(図中の再生方向)に行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を開始する。
【0075】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。但し、それ以前に軌跡生成終了位置に至った場合には、その時点で入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0076】
すなわち、同図(b)の場合、軌跡生成開始位置と軌跡生成終了位置との間において、被写体が動いている状態に限って入力画像を軌跡生成部200に供給させることができる。
【0077】
図12(c)では、軌跡生成終了位置だけが指定されており、軌跡生成開始位置は指定されていない。この場合、入力制御部546は被写体状態検出部300に対して、軌跡生成終了位置から順方向(図中の検索方向)に入力画像の供給を行う。被写体状態検出部300は、被写体が動いている状態から静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を逆方向(図中の再生方向)に開始する。
【0078】
その後、被写体状態検出部300は、被写体が静止している状態に遷移したことを検出すると、その旨を入力制御部546に伝達する。これにより、入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。但し、それ以前に軌跡生成終了位置に至った場合には、その時点で入力制御部546は軌跡生成部200に対して入力画像の供給を終了する。
【0079】
すなわち、同図(c)の場合、軌跡生成終了位置から遡って被写体が動いている状態から静止している状態に遷移する変化点が検索され、その変化点を開始位置として入力画像の軌跡生成開始位置以降において、被写体が動いている状態であれば入力画像を軌跡生成部200に供給させ、被写体が静止している状態であればその供給を停止させることができる。
【0080】
図13は、本発明の実施の形態におけるユーザインターフェース(GUI)画面の一例を示す図である。ここでは、既存のコンテンツの一部について軌跡合成画像を生成するための画面例が示されている。コンテンツは、ユーザによって撮影されたものであってもよく、また、テレビ番組などを録画したものであってもよい。コンテンツの全体の長さは時間軸661に示されている。再生位置662は、時間軸661における現在の再生位置を示している。
【0081】
表示部663は、再生位置662におけるコンテンツの再生画面を表示するものである。操作ボタン664乃至666は、通常の再生操作の指示を受け取るものである。順方向再生ボタン665が押下されると、コンテンツが順方向に再生される。逆方向再生ボタン666が押下されると、コンテンツが逆方向に再生される。停止ボタン664が押下されると、コンテンツの再生が停止される。再生の進行に伴い、再生位置662が更新される。なお、再生位置662を操作することにより、コンテンツの再生位置を直接移動することもできる。
【0082】
軌跡生成開始位置指定ボタン667は、軌跡生成開始位置の指定を受け付けるためのボタンである。この軌跡生成開始位置指定ボタン667が押下されると、押下時の再生位置662が軌跡生成開始位置として設定される。この軌跡生成開始位置は、開始位置検出部543によって検出される。
【0083】
また、軌跡生成終了位置指定ボタン668は、軌跡生成終了位置の指定を受け付けるためのボタンである。この軌跡生成終了位置指定ボタン668が押下されると、押下時の再生位置662が軌跡生成終了位置として設定される。この軌跡生成終了位置は、終了位置検出部544によって検出される。
【0084】
再生方向指定ボタン671は、軌跡生成の際の再生方向の指定を受け付けるためのボタンである。この再生方向指定ボタン671は、ラジオボタンになっており、順方向または逆方向の何れか一方のみを受け付ける。この再生方向指定ボタン671において指定された再生方向は、再生方向検出部542によって検出される。
【0085】
動き連動編集ボタン672は、軌跡生成の際に開始または終了を被写体の状態と連動させるか否かを受け付けるためのボタンである。動き連動編集ボタン672が選択された場合には、被写体状態検出部300によって被写体が動いている状態であることが検出されている間に限って、入力制御部546は軌跡生成部200に入力画像を供給する。一方、動き連動編集ボタン672が選択されていない場合には、入力制御部546は、被写体の状態とは無関係に、軌跡生成開始位置指定ボタン667および軌跡生成終了位置指定ボタン668の指定に従って、軌跡生成部200に入力画像を供給する。
【0086】
軌跡再生開始ボタン681は、軌跡合成画像の生成開始の指示を受け付けるためのボタンである。この軌跡再生開始ボタン681が押下されると、入力制御部546は、軌跡合成画像の再生表示のための上述の動作を開始する。
【0087】
基準速度設定部682は、軌跡合成画像の再生の際の、基準速度の設定を受け付けるためのものである。この基準速度設定部682が速い方(図中、上部)に設定されると、軌跡合成画像の再生速度は速くなる。一方、基準速度設定部682が遅い方(図中、下部)に設定されると、軌跡合成画像の再生速度は遅くなる。この基準速度設定部682によって設定された基準速度は、基準速度検出部545によって検出される。
【0088】
図14は、本発明の実施の形態における画面表示例を示す図である。ここでは、コンテンツの通常の(軌跡合成画像以外の)再生画面を通常再生画面、軌跡合成画像の再生画面を軌跡再生画面とそれぞれ呼称する。
【0089】
図14(a)では、通常再生画面611の中にピクチャ・イン・ピクチャの形式で軌跡再生画面613が表示されている。この場合、通常再生画面611および軌跡再生画面613を同期させることにより、通常再生と軌跡再生を同一タイミングで表示することができる。また、通常再生画面611および軌跡再生画面613を同期させない場合には、通常再生を行っている一方で、軌跡再生をスロー再生により表示することができる。なお、同図(a)の場合、通常再生画面611および軌跡再生画面613の組み合わせは逆の関係であってもよい。
【0090】
図14(b)では、画面621中に通常再生画面622および軌跡再生画面623が画面分割されて表示されている。この場合においても、通常再生画面622および軌跡再生画面623は、同期して表示させてもよく、同期せずに表示させることもできる。また、通常再生画面622および軌跡再生画面623の組み合わせも逆の関係にすることができる。
【0091】
図14(c)では、通常再生画面A(631)の中に通常再生画面B(632)および軌跡再生画面633が表示されている。この場合、通常再生画面B(632)および軌跡再生画面633は同期されて、同一タイミングで表示する。一方、通常再生画面A(631)は、これらとは同期せずに、通常の再生表示を行う。これにより、例えば、ユーザがある映像を見ている時にスロー再生したいと考えた場合、通常再生画面B(632)に通常のスロー再生を表示させ、軌跡再生画面633にスロー軌跡再生を表示させる一方で、通常再生画面A(631)にはそれまでユーザが見ていた映像をそのまま表示させる、といった処理を実現することができる。
【0092】
次に本発明の実施の形態における画像処理装置の動作について図面を参照して説明する。
【0093】
図15は、本発明の実施の形態における画像処理方法の処理手順の一例を示す図である。例えば軌跡再生開始ボタン681が押下されることにより、軌跡再生の開始が検出されると(ステップS911)、再生方向検出部542、開始位置検出部543および終了位置検出部544によって、再生方向、軌跡生成開始位置および軌跡生成終了位置がそれぞれ取得される(ステップS912)。なお、軌跡生成開始位置および軌跡生成終了位置は、何れか一方だけでもよい。
【0094】
軌跡生成開始位置が取得されなかった場合には(ステップS913)、被写体状態検出部300によって再生方向とは反対方向に被写体の状態が探索される(ステップS914)。例えば、被写体が動いている状態から静止している状態に遷移した位置を軌跡生成開始位置とする。
【0095】
そして、軌跡合成の対象となるフレームが入力制御部546から供給されて(ステップS915)、軌跡生成部200によって軌跡合成画像が生成される(ステップS920)。一方、被写体状態検出部300によって被写体の状態が検出され(ステップS931)、これに基づいて再生速度生成部547によって再生速度が生成される(ステップS932)。この生成された再生速度に従って、出力制御部548によって軌跡合成画像が再生表示される(ステップS933)。また、必要に応じて、図14に示されたような表示画面の合成が行われる(ステップS934)。
【0096】
再生のための終了条件が満たされるまで、ステップS915以降の処理が繰り返される(ステップS935)。終了条件としては、例えば、被写体が静止している状態に遷移した場合、または、軌跡生成終了位置に至った場合などが考えられる。
【0097】
図16は、本発明の実施の形態における軌跡合成画像処理(図15のステップS920に相当)の処理手順の一例を示す図である。
【0098】
軌跡合成の対象として選択されたフレームによって、背景画像保持部260における背景画像が更新される(ステップS921)。この処理は、背景生成部230によって行われる。
【0099】
次に、背景画像および入力画像から両者の相違度が生成される(ステップS922)。この処理は、相違度生成部240によって行われる。
【0100】
そして、相違度に基づいて軌跡合成画像が更新される(ステップS923)。この処理は、軌跡合成部250によって行われる。
【0101】
このように、本発明の実施の形態によれば、被写体状態検出部300において検出された被写体の状態を入力制御部546または出力制御部548に反映させることによって、最適な軌跡合成画像の表示を行うことができる。
【0102】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0103】
すなわち、請求項1において、被写体状態検出手段は例えば被写体状態検出部300に対応する。また、入力制御手段は例えば入力制御部546に対応する。また、画像合成手段は例えば軌跡生成部200に対応する。
【0104】
また、請求項3において、背景画像保持手段は例えば背景画像保持部260に対応する。また、出力画像保持手段は例えば軌跡合成画像保持部270に対応する。また、背景生成手段は例えば背景生成部230に対応する。また、相違度生成手段は例えば相違度生成部240に対応する。また、出力画像合成手段は例えば軌跡合成部250に対応する。
【0105】
また、請求項5において、開始検出手段は例えば開始位置検出部543に対応する。
【0106】
また、請求項6および7において、終了検出手段は例えば終了位置検出部544に対応する。
【0107】
また、請求項8において、被写体状態検出手段は例えば被写体状態検出部300に対応する。また、再生速度生成手段は例えば再生速度生成部547に対応する。また、出力画像合成手段は例えば軌跡合成部250に対応する。また、出力制御手段は例えば出力制御部548に対応する。
【0108】
また、請求項10および12において、入力制御手順は例えばステップS915に対応する。また、画像合成手順は例えばステップS920に対応する。また、被写体状態検出手順は例えばステップS931に対応する。また、繰り返す手順は例えばステップS935に対応する。
【0109】
また、請求項11および13において、画像合成手順は例えばステップS920に対応する。また、被写体状態検出手順は例えばステップS931に対応する。また、再生速度生成手順は例えばステップS932に対応する。また、出力制御手順は例えばステップS933に対応する。
【0110】
なお、本発明の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態における撮像装置の一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における撮像装置の制御部54の周辺の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における軌跡生成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における撮像装置の画像処理回路23の一構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における画像処理回路23の背景生成部230の一構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における画像処理回路23の相違度生成部240の一構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における画像処理回路23の軌跡合成部250の一構成例を示す図である。
【図8】入力画像の一例を示す図である。
【図9】軌跡合成動画における各フレームの一例を示す図である。
【図10】軌跡合成動画における各フレームの他の例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における軌跡生成部200による軌跡生成範囲の例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における軌跡生成部200による軌跡生成範囲の他の例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるユーザインターフェース(GUI)画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態における画面表示例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における画像処理方法の処理手順の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態における軌跡合成画像処理の処理手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
11 レンズ
12 絞り
13 撮像素子
21 サンプリング回路
22 A/D変換回路
23 画像処理回路
31 符号化/復号器
32 メモリ
41 D/A変換回路
42 ビデオエンコーダ
43 表示部
51 タイミング生成器
52 操作入力受付部
53 ドライバ
54 制御部
59 バス
200 軌跡生成部
202 距離閾値設定部
210 入力画像
220 フレーム選択部
230 背景生成部
232 背景合成比率生成部
233 背景画像更新部
240 相違度生成部
241 距離算出部
242 相違度算出部
250 軌跡合成部
251 軌跡合成比率算出部
252 軌跡合成値更新部
260 背景画像保持部
270 軌跡合成画像保持部
290 軌跡合成画像
300 被写体状態検出部
521 撮影操作受付部
541 入力検出部
542 再生方向検出部
543 開始位置検出部
544 終了位置検出部
545 基準速度検出部
546 入力制御部
547 再生速度生成部
548 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に入力される入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手段と、
前記検出された被写体の状態に応じて前記入力画像の供給を制御する入力制御手段と、
前記入力制御手段から供給された入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記出力画像は前記被写体の軌跡を示す画像であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像合成手段は、
背景画像の画素値を保持する背景画像保持手段と、
出力画像の画素値を保持する出力画像保持手段と、
前記背景画像保持手段に保持される前記背景画像の画素値を前記入力画像の対応する画素位置の画素値によって所定の比率に基づいて更新する背景生成手段と、
前記入力画像の画素値が前記背景生成手段によって更新された前記背景画像の対応する画素位置の画素値と相違する程度を示す相違度を生成する相違度生成手段と、
前記出力画像の画素値について前記相違度に応じて前記入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して新たな出力画像の画素値として前記出力画像保持手段に保持させる出力画像合成手段とを具備する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体状態検出手段は、前記被写体の状態として前記被写体の動きを検出し、
前記入力制御手段は、前記被写体が動いている状態であれば前記入力画像を供給し、前記被写体が静止している状態であれば前記入力画像の供給を停止する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記入力画像における前記合成の開始位置の指定を検出する開始検出手段をさらに具備し、
前記入力制御手段は、前記入力画像の前記開始位置以降において、前記被写体が動いている状態であれば前記入力画像を供給し、前記被写体が静止している状態であれば前記入力画像の供給を停止する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記入力画像における前記合成の終了位置の指定を検出する終了検出手段をさらに具備し、
前記入力制御手段は、前記入力画像の前記開始位置と前記終了位置との間において、前記被写体が動いている状態であれば前記入力画像を供給し、前記被写体が静止している状態であれば前記入力画像の供給を停止する
ことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記入力画像における前記合成の終了位置の指定を検出する終了検出手段をさらに具備し、
前記入力制御手段は、前記終了位置から遡って前記被写体が動いている状態から静止している状態に遷移する変化点を検索し、前記変化点を開始位置として前記入力画像の前記開始位置以降において、前記被写体が動いている状態であれば前記入力画像を供給し、前記被写体が静止している状態であれば前記入力画像の供給を停止する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
時系列に入力される入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手段と、
前記検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する再生速度生成手段と、
前記入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手段と、
前記再生速度に基づいて前記出力画像を再生する出力制御手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記被写体状態検出手段は、前記被写体の状態として前記被写体の動きを検出し、
前記再生速度生成手段は、前記被写体の動く速度が速いほど前記再生速度が遅くなるようにする
ことを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
時系列に入力される入力画像を供給する入力制御手順と、
前記供給された入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手順と、
前記入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手順と、
前記被写体の状態が所定の状態である限り前記入力制御手順、前記画像合成手順および前記被写体状態検出手順を繰り返す手順と
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
時系列に入力される入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手順と、
前記入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手順と、
前記検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する再生速度生成手順と、
前記再生速度に基づいて前記出力画像を再生する出力制御手順と
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
時系列に入力される入力画像を供給する入力制御手順と、
前記供給された入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手順と、
前記入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手順と、
前記被写体の状態が所定の状態である限り前記入力制御手順、前記画像合成手順および前記被写体状態検出手順を繰り返す手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
時系列に入力される入力画像の対応する画素位置の画素値を合成して出力画像として出力する画像合成手順と、
前記入力画像における被写体の状態を検出する被写体状態検出手順と、
前記検出された被写体の状態に応じて再生速度を生成する再生速度生成手順と、
前記再生速度に基づいて前記出力画像を再生する出力制御手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−21110(P2008−21110A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192037(P2006−192037)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】