説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】データ量の軽減を図りつつ、例えばゴールネット等を好適に表示できるようになる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】画像処理装置は、仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する。マッピング手段は3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングする。表示制御手段は、3次元モデルに対応する第1位置と、仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する(S201〜S203)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理装置が知られている。例えば、サッカーゲーム装置(画像処理装置)では、サッカーフィールドを表すオブジェクト、サッカーのゴールを表すオブジェクト、サッカー選手を表すオブジェクト、及びサッカーボールを表すオブジェクトが配置された仮想3次元空間を仮想カメラから見た様子を表す画像が生成され、ゲーム画面に表示される。
【特許文献1】特開2006−204671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、上記のようなサッカーゲーム装置では、ゴールネット(ゴールネットを表すオブジェクト)にマッピングされるテクスチャ画像の端部領域を半透明領域とすることによって、境目が滑らかに見えるようにする処理が行われている。このようなサッカーゲーム装置では、仮想カメラがゴールネットに近づいた場合にゴールネットがゲーム画面に大きく表示される。そこで、仮想カメラがゴールネットに近づいた場合にゴールネットを綺麗に表示するために、ゴールネットにマッピングされるテクスチャ画像の画素のアルファ値が、仮想カメラがゴールネットに近づいた状態に合わせて設定されている。しかしながら、このように設定した場合、仮想カメラがゴールネットから遠ざかると、画面解像度の関係でゴールネットが1ドットラインよりも細かくなってしまい、かすれたように表示されてしまう場合がある。
【0004】
上記のような不都合を解消するための方法としては、ゴールネットにマッピングするテクスチャ画像をあらかじめ複数用意しておき、仮想カメラとゴールネットとの間の距離に基づいて、ゴールネットにマッピングするテクスチャ画像をそれらの複数のテクスチャ画像のうちで切り替える方法が考えられる。しかしながら、この方法を採用する場合には複数のテクスチャ画像をあらかじめ用意しておかなければならないため、データ量(メモリの使用量)が増大してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、データ量の軽減を図りつつ、例えばゴールネット等を好適に表示できるようになる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理装置において、前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピング手段と、前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像処理方法は、仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理方法において、前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピングステップと、前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピング手段、及び、前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0009】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0010】
本発明によれば、データ量の軽減を図りつつ、例えばゴールネット等を好適に表示できるようになる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記表示制御手段は、前記テクスチャ画像の前記端部領域の画素を表示するか否かを、該画素のアルファ値と、基準値と、の比較結果に基づいて決定する手段と、前記第1位置と前記第2位置との間の前記距離に基づいて、前記基準値を制御する手段と、を含むようにしてもよい。
【0012】
また本発明の一態様では、前記3次元モデルは網目構造を有するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。ここでは、画像処理装置の一態様であるゲーム装置に本発明を適用した例について説明する。本実施形態に係るゲーム装置は、例えば家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、又はパーソナルコンピュータ等を用いて実現される。ここでは、本実施形態に係るゲーム装置を家庭用ゲーム機を用いて実現する場合について説明する。
【0014】
[1.ゲーム装置の構成]
図1は、本実施形態に係るゲーム装置10(画像処理装置)のハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、ゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11、モニタ32、スピーカ34、及び光ディスク36(情報記憶媒体)を含む。モニタ32及びスピーカ34は家庭用ゲーム機11に接続される。モニタ32としては例えば家庭用テレビ受像機が用いられ、スピーカ34としては例えば家庭用テレビ受像機に内蔵されたスピーカが用いられる。
【0015】
家庭用ゲーム機11はコンピュータゲームシステムであり、バス12、マイクロプロセッサ14、主記憶16、画像処理部18、入出力処理部20、音声処理部22、光ディスク読み取り部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30を含む。
【0016】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステムや、光ディスク36から読み出されるプログラムに基づいて、各種情報処理を実行する。主記憶16は例えばRAMを含み、光ディスク36から読み出されたプログラム及びデータが必要に応じて主記憶16に書き込まれる。主記憶16はマイクロプロセッサ14の作業用メモリとしても用いられる。バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするために用いられる。
【0017】
画像処理部18はVRAMを含み、マイクロプロセッサ14から供給される画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画する。VRAM上に描画されたゲーム画面はビデオ信号に変換され、所定のタイミングでモニタ32に出力される。
【0018】
入出力処理部20はマイクロプロセッサ14が音声処理部22、光ディスク読み取り部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30にアクセスするためのインタフェースである。音声処理部22はサウンドバッファを含み、光ディスク36からサウンドバッファに読み出された各種音声データ(例えばゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージなど)をスピーカ34から出力する。通信インタフェース28は、家庭用ゲーム機11を通信ネットワークに有線又は無線接続するためのインタフェースである。
【0019】
光ディスク読み取り部24は光ディスク36に記録されたプログラムやデータを読み取る。なお、ここではプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するために光ディスク36を用いるが、メモリカード等、他の情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、例えばインターネットなどの通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。ハードディスク26は一般的なハードディスク装置(補助記憶装置)である。光ディスク36に記憶されることとして説明するプログラム及びデータはハードディスク26に記憶されていてもよい。
【0020】
コントローラ30はユーザがゲーム操作を行うための操作手段である。複数のコントローラ30を家庭用ゲーム機11に接続することが可能である。入出力処理部20は一定周期毎(例えば1/60秒ごと)にコントローラ30の操作状態をスキャンし、そのスキャン結果を表す操作信号をバス12を介してマイクロプロセッサ14に渡す。マイクロプロセッサ14はその操作信号に基づいてユーザのゲーム操作を判定する。なお、コントローラ30は家庭用ゲーム機11に有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。
【0021】
ゲーム装置10では、例えば、ボール又はパックなどの移動物体を用いて行われるスポーツのゲームが実行される。ここでは、サッカーゲームがゲーム装置10で実行される場合を想定する。
【0022】
[2.仮想3次元空間]
ゲーム画面を生成するために仮想3次元空間が主記憶16に構築される。図2は仮想3次元空間の一例を示す。図2に示すように、仮想3次元空間40には各種のオブジェクト(3次元モデル)が配置される。例えば、仮想3次元空間40には、サッカーフィールドを表すオブジェクトであるフィールド42が配置される。フィールド42上には、例えばゴールライン43等が表される。また、フィールド42上には、サッカーのゴールを表すオブジェクトであるゴール44と、サッカー選手を表すオブジェクトである選手キャラクタ46と、サッカーボールを表すオブジェクトであるボール48と、が配置される。いずれか一方のチームに対応づけられたゴール44内にボール48が移動すると、他方のチームの得点イベントが発生する。図2では省略されているが、フィールド42上には22体の選手キャラクタ46が配置される。また図2では各オブジェクトが簡略化して表されている。
【0023】
図3はゴール44の一例を示す斜視図である。図3に示すように、ゴール44は、2本のゴールポスト52と、クロスバー54と、を含んで構成される枠体と、枠体に張られたゴールネット56と、を含んで構成される。ゴールネット56は、ある程度のたるみを持たせつつ、例えばゴールポスト52、クロスバー54、及びゴール44の後方の地面(フィールド42)に固定される。
【0024】
図4はゴールネット56について説明するための図である。図3ではゴールネット56の網目構造が精細に描かれていないが、図4に示すように、ゴールネット56は六角形の網目構造を有している。ゴールネット56の線部分、すなわち、網目(六角形)の各辺には、光ディスク36又はハードディスク26から読み出されたテクスチャ画像60がマッピングされる。
【0025】
テクスチャ画像60は中央部領域62と端部領域64l,64rとを含む。端部領域64lは左側の端66lから内側に向けて所定幅を有する領域であり、端部領域64rは右側の端66rから内側に向けて所定幅を有する領域である。テクスチャ画像60の各画素にはアルファ値が設定される。例えば、0から255までの整数値がアルファ値として設定され得る。例えば、アルファ値「0」は「完全に透明な状態」に対応し、アルファ値「255」は「完全に不透明な状態」に対応する。すなわち、アルファ値が大きくなるにつれて透過度(透明度)が減少する。
【0026】
例えば、中央部領域62に含まれる画素のアルファ値は255(完全不透明)に設定される。一方、端部領域64l,64rに含まれる画素のアルファ値は、中央部領域62に含まれる画素の透過度よりも高い透過度に対応する値に設定される。例えば、端部領域64l,64rに含まれる画素のアルファ値は0から128までの間の値に設定される。具体的には、端部領域64lの、中央部領域62と隣接する画素のアルファ値は128に設定され、左側の端66lと隣接する画素のアルファ値は0に設定される。そして、中央部領域62から左側の端66lに向かって、すなわち、図4に示すL方向に向かってアルファ値が徐々に小さくなるように各画素のアルファ値が設定される。つまり、端部領域64lの画素のアルファ値は、図4に示すL方向に向かって透過度が徐々に高くなるように設定される。同様に、端部領域64rの、中央部領域62と隣接する画素のアルファ値は128に設定され、右側の端66rと隣接する画素のアルファ値は0に設定される。そして、中央部領域62から右側の端66rに向かって、すなわち、図4に示すR方向に向かってアルファ値が徐々に小さくなるように各画素のアルファ値が設定される。つまり、端部領域64rの画素のアルファ値は、図4に示すR方向に向かって透過度が徐々に高くなるように設定される。
【0027】
また、仮想3次元空間40には仮想カメラ50(視点及び視線方向)が設定される。仮想3次元空間40を仮想カメラ50から見た様子を表すゲーム画面がモニタ32に表示される。例えば、ボール48がゲーム画面に表示されるように、仮想カメラ50はボール48の移動に基づいて移動する。
【0028】
[3.ゲーム装置が実行する処理]
ゲーム装置10が実行する処理について説明する。図5は、ゲーム装置10で所定時間(例えば1/60秒)ごとに実行される処理を示すフロー図である。
【0029】
図5に示すように、まず、マイクロプロセッサ14はゲーム環境処理を実行する(S101)。ゲーム環境処理では、仮想3次元空間40に配置される各オブジェクトの状態(位置、姿勢や移動方向等)が演算される。そして、主記憶16に記憶される各オブジェクトの状態を示すデータがその演算結果に基づいて更新される。またゲーム環境処理では仮想カメラ50の位置、向きや画角が決定され、視野範囲が算出される。視野範囲内に属しないオブジェクトは以降の処理の対象から外される。
【0030】
その後、マイクロプロセッサ14はジオメトリ処理を実行する(S102)。ジオメトリ処理ではワールド座標系から視点座標系への座標変換が行われる。ここで、ワールド座標系とは、図2に示すXw軸、Yw軸、Zw軸からなる座標系である。視点座標系は、仮想カメラ50の位置(視点)を原点とし、仮想カメラ50の正面方向(視線方向)をZ方向、水平方向をX方向、垂直方向をY方向とする座標系である。ジオメトリ処理ではクリッピング処理も行われる。
【0031】
その後、画像処理部18(マッピング手段及び表示制御手段)はレンダリング処理を実行する(S103)。レンダリング処理では、視野範囲内の各オブジェクトの各頂点の座標、色情報及びアルファ値や、視野範囲内の各オブジェクトの表面にマッピングされるテクスチャ画像等に基づいて、VRAM上にゲーム画面が描画される。VRAM上に描画されたゲーム画面は所与タイミングでモニタ32に表示出力される。
【0032】
レンダリング処理(S103)では、下記に説明するようにして、ゴール44(ゴールネット56)が描画される。図6はゴール44(ゴールネット56)の描画処理を示すフロー図である。
【0033】
図6に示すように、ゴール44(ゴールネット56)を描画する場合には、まず、ゴール44(ゴールネット56)に対応する代表位置44a(第1位置)と、仮想カメラ50に対応する代表位置50a(第2位置)と、の間の距離lが算出される(S201)。ゴール44(ゴールネット56)の代表位置44aは、例えば、ゴールライン43上の位置であって、かつ、左右のゴールポスト52からの距離が等しい位置に設定される。
【0034】
その後、上記の距離lに基づいて、アルファテスト処理の基準値cが決定される(S202)。アルファテスト処理の基準値cを決定するためのデータ(以下「基準値データ」と呼ぶ。)が光ディスク36又はハードディスク26に記憶される。図7は基準値データの一例を示す。図7に示す基準値データは、上記の距離lと、アルファテスト処理の基準値cと、を対応づけてなるテーブル形式のデータである。なお、基準値データは数式形式のデータであってもよい。基準値データでは、上記の距離lが大きくなると基準値cが小さくなるように設定される。S202の処理では、上記の距離lに対応する基準値cが基準値データに基づいて取得される。
【0035】
その後、アルファテスト処理を有効としてゴール44(ゴールネット56)の描画処理が実行される(S203)。この場合、ゴールネット56にマッピングされるテクスチャ画像60の各画素を描画(表示)するか否かが、その画素のアルファ値と、S202で取得された基準値cと、の比較結果に基づいて決定される。例えば、画素のアルファ値が基準値c以上であるか否かが判定される。そして、画素のアルファ値が基準値c以上である場合にはその画素が描画され、画素のアルファ値が基準値c未満である場合にはその画素は描画されない。
【0036】
[4.まとめ]
ゲーム装置10によれば、仮想カメラ50とゴール44(ゴールネット56)との間の距離がどのような状態になっても、ゴールネット56が好適にゲーム画面に表示されるように図ることが可能になる。
【0037】
例えば、上記の距離lが0≦l<L1である場合、すなわち、仮想カメラ50がゴール44(ゴールネット56)に比較的近づいている場合、アルファテスト処理の基準値cが129に設定される(図7参照)。テクスチャ画像60の端部領域64l,64rの画素のアルファ値は128以下に設定されているため、この場合、端部領域64l,64rのすべての画素が描画されなくなり、端部領域64l,64rの表示が制限される。すなわち、端部領域64l,64rは完全透明の状態と等しい状態になり、中央部領域62のみが表示される。その結果、ゴールネット56がゲーム画面に比較的大きく表示されたとしても、ゴールネット56の線部分が太くなりすぎないように図ることが可能になり、ゴールネット56が好適にゲーム画面に表示されるようになる。
【0038】
また例えば、上記の距離lがL4≦lである場合、すなわち、仮想カメラ50がゴール44(ゴールネット56)から比較的離れている場合、アルファテスト処理の基準値cが0に設定される(図7参照)。テクスチャ画像60の端部領域64l,64rの画素のアルファ値は0以上に設定されているため、この場合、端部領域64l,64rのすべての画素が描画される。つまり、端部領域64l,64rは完全不透明の状態と等しい状態になり、テクスチャ画像60(中央部領域62及び端部領域64l,64r)全体が表示される。その結果、仮想カメラ50がゴール44(ゴールネット56)から比較的離れている場合であっても、ゴールネット56の線部分が細くなりすぎないように図ることが可能になり、ゴールネット56がかすれたように表示されてしまわないように図ることが可能になる。
【0039】
また、ゲーム装置10によれば、ゴールネット56にマッピングされるテクスチャ画像60を仮想カメラ50とゴール44(ゴールネット56)との間の距離に基づいて切り替える方法を採用する場合とは異なり、複数のテクスチャ画像60をあらかじめ用意しておく必要がないため、データ量(メモリの使用量)の軽減を図ることが可能になる。
【0040】
また、ゲーム装置10によれば、ゴールネット56を描画する際に、比較的処理負荷の重いアルファブレンディング処理を実行しないため、処理負荷の軽減も図ることが可能になる。
【0041】
さらに、ゲーム装置10は下記に説明するような効果も奏する。図8はこの効果を説明するための図である。アルファブレンディング処理を用いて3次元モデル(オブジェクト)を描画する場合には、正常に描画するために、描画順序を調整しなければならない場合がある。この点、複数の3次元モデルの間では描画順序を変えることができるため、描画順序を調整することが可能である。これに対して、一つの3次元モデル内では描画順序を変えることができないため、描画順序を調整することができない。ここで、例えば図8に示すように、一つの3次元モデル(ゴールネット56)の第1の面(正面部分56a)と第2の面(側面部分56b)とが仮想カメラ50の視線方向に存在している場合を想定する。このような状態において、アルファブレンディング処理を用いてゴールネット56を描画する場合には、ゴールネット56の正面部分56aと側面部分56bとの間の描画順序を調整する必要がある。しかしながら、ゴールネット56を複数の3次元モデル(例えば正面部分56a及び側面部分56b)に分割すると、ボール48がゴールネット56にぶつかった場合のゴールネット56の挙動制御が複雑になってしまうため、ゴールネット56は一つの3次元モデルでなければならない。このため、ゴールネット56の正面部分56aと側面部分56bとの間で描画順序を調整することはできない。例えば、仮想カメラ50が位置70に位置している場合に合わせて正面部分56aと側面部分56bとの描画順序があらかじめ設定されている場合には、仮想カメラ50が位置72に位置した場合にはゴールネット56を正常に描画できなくなってしまう場合がある。逆に、仮想カメラ50が位置72に位置している場合に合わせて正面部分56aと側面部分56bとの描画順序があらかじめ設定されている場合には、仮想カメラ50が位置70に位置した場合にはゴールネット56を正常に描画できなくなってしまう場合がある。この点、ゲーム装置10では、アルファテスト処理を用いており、アルファブレンディング処理を用いていないため、描画順序の調整を考慮する必要がない。その結果、例えば、仮想カメラ50が位置70又は位置72のいずれに位置している場合にもゴールネット56を正常に描画できるようになる。
【0042】
[5.変形例]
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0043】
本発明はサッカーゲーム以外のゲームを実行するゲーム装置にも適用することができる。また、本発明はゲーム装置以外の画像処理装置にも適用することができる。
【0044】
さらに、本発明は、ゴールネット56以外の3次元モデルを表現する場合にも適用することができる。例えば、本発明は、網目構造を有する3次元モデルを仮想カメラ50から見た様子を表す画像を生成する場合に適用することができる。網目構造を有する3次元モデルの例としては、例えば、金網の3次元モデルや、東京タワーのように鉄骨が網目状に配置されている建築物の3次元モデル等がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】仮想3次元空間の一例を示す図である。
【図3】ゴールの一例を示す斜視図である。
【図4】ゴールネットについて説明するための図である。
【図5】ゲーム装置が実行する処理を示すフロー図である。
【図6】ゴール(ゴールネット)の描画処理を示すフロー図である。
【図7】基準値データを示す図である。
【図8】ゲーム装置が奏する効果のうちの一つを説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 主記憶、18 画像処理部、20 入出力処理部、22 音声処理部、24 光ディスク読み取り部、26 ハードディスク、28 通信インタフェース、30 コントローラ、32 モニタ、34 スピーカ、36 光ディスク、40 仮想3次元空間、42 フィールド、43 ゴールライン、44 ゴール、44a ゴールに対応する代表位置、46 選手キャラクタ、48 ボール、50 仮想カメラ、50a 仮想カメラに対応する代表位置、52 ゴールポスト、54 クロスバー、56 ゴールネット、56a 正面部分、56b 側面部分、60 テクスチャ画像、62 中央部領域、64l,64r 端部領域、66l,66r 端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理装置において、
前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピング手段と、
前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記表示制御手段は、
前記テクスチャ画像の前記端部領域の画素を表示するか否かを、該画素のアルファ値と、基準値と、の比較結果に基づいて決定する手段と、
前記第1位置と前記第2位置との間の前記距離に基づいて、前記基準値を制御する手段と、を含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記3次元モデルは網目構造を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理方法において、
前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピングステップと、
前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
仮想3次元空間に配置された3次元モデルを仮想カメラから見た様子を表す画像を生成する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記3次元モデルにテクスチャ画像をマッピングするマッピング手段、及び、
前記3次元モデルに対応する第1位置と、前記仮想カメラに対応する第2位置と、の間の距離に基づいて、前記テクスチャ画像の端部領域の表示を制限する表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−92130(P2010−92130A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259089(P2008−259089)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】