説明

画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラム

【課題】固定の閾値を基に黒核パターンまたは全白パターンのいずれを発生させるかを判断する発明に比べて、粒状性がよい画像を得られる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される注目画素の階調値を取得する階調値取得部12aと、注目画素の階調値に周辺画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定するパターン決定部12bとを備える。塗り潰しパターンには、網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンとが含まれ、パターン決定部12bは、補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて第1パターンまたは第3パターンのいずれかに決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データを、誤差拡散処理により、2階調の画素で表される出力画像データに変換する技術がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、2値化の閾値に閾値マトリクスを用い、印刷ドットを周期化する技術が記載されている。また、原画の濃度データが低いほど閾値マトリクスのサイズを大きくし、これによりハイライト部での周期性を強くし、ハイライト部における粒状性ノイズを防止する旨が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、入力画像データを誤差拡散処理により低値化データに変換し、当該低値化データを、予め定められた周波数のドット配列の印字を行うための印字データに変更する技術が記載されている。また、入力画像データに予め定められた周波数を付与して周波数付与データに変更し、当該周波数付与データを誤差拡散処理により低値化データに変換する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、多値で表される入力画像データを、誤差拡散処理を行いながら複数個の微画素の2値データで階調表現する画像処理方法が記載されている。この画像処理方法では、ドット再現開始の基点となるドット(コアドット)が所定のサイズ以上となるように規制しながら誤差拡散法で2値化処理を進め、さらに、コアドットの生成状況や画像データの濃度に応じて、コアドットに隣接する画素に最小単位のドット(サブドット)を配置することでドットの面積変調を行う。
【0006】
【特許文献1】特開平1−270456号公報
【特許文献2】特開2000−236444号公報
【特許文献3】特開2003−348347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
網点で階調を表現する場合、固定の閾値を基に黒核パターンまたは全白パターンのいずれを発生させるかを判断する発明に比べて、網点の配置に周期性を持ち、低濃度で粒状性がよい画像を得られる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する階調値取得手段と、前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定するパターン決定手段と、を備え、前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、前記パターン決定手段は、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記塗り潰しパターンには、前記補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰され前記第1パターンとともに網点を構成する第2パターンが含まれ、前記パターン決定手段は、前記注目画素に隣接する所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在する場合に、前記第2パターンに決定し、前記所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在しない場合に、前記補正階調値と前記所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する。
【0010】
上記態様における一態様では、前記第1パターンにおける所定の複数個の個数および前記第2パターンにおける補正階調値に応じた個数のうち少なくとも一方は、低濃度になるほど少なくなるように、前記注目画素の階調値に応じて変化する。
【0011】
上記態様における一態様では、少なくとも前記第1パターンにおける所定の複数個の個数が前記注目画素の階調値に応じて変化する場合、前記所定の複数個の個数は、前記注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では固定値である。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データを取得する画像データ取得手段と、前記入力画像データを2階調の画素で表される出力画像データに変換する画像処理手段と、前記出力画像データに基づく画像を記録媒体上に形成する画像形成手段と、を有し、前記画像処理手段は、前記入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する階調値取得手段と、前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定するパターン決定手段と、を備え、前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、前記パターン決定手段は、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する手順と、前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定する手順と、を実行させ、前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、前記パターンを決定する手順では、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様では、前記塗り潰しパターンには、前記補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰され前記第1パターンとともに網点を構成する第2パターンが含まれ、前記パターンを決定する手順では、前記注目画素に隣接する所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在する場合に、前記第2パターンに決定し、前記所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在しない場合に、前記補正階調値と前記所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する。
【0015】
上記一態様における一態様では、前記第1パターンにおける所定の複数個の個数および前記第2パターンにおける補正階調値に応じた個数のうち少なくとも一方は、低濃度になるほど少なくなるように、前記注目画素の階調値に応じて変化する。
【0016】
上記一態様における一態様では、少なくとも前記第1パターンにおける所定の複数個の個数が前記注目画素の階調値に応じて変化する場合、前記所定の複数個の個数は、前記注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では固定値である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、固定の閾値を基に黒核パターンまたは全白パターンのいずれを発生させるかを判断する発明に比べて、粒状性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、塗り潰しパターンに第2パターンが含まれない発明に比べて、階調再現性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、粒状性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、階調再現性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、固定の閾値を基に黒核パターンまたは全白パターンのいずれを発生させるかを判断する発明に比べて、粒状性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、固定の閾値を基に黒核パターンまたは全白パターンのいずれを発生させるかを判断する発明に比べて、粒状性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、塗り潰しパターンに第2パターンが含まれない発明に比べて、階調再現性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、粒状性の良好な画像を得ることが可能となる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、階調再現性の良好な画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。この画像処理装置10は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データを、2階調の画素で表される出力画像データに変換するものである。
【0028】
画像処理装置10は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。例えば、画像処理装置10は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)1と、ROM(Read Only Memory)等の記録媒体2と、メインメモリ3とを有する。画像処理装置10の機能は、記録媒体2に記録された画像処理プログラムがメインメモリ3に読み出されてCPU1により実行されることによって実現される。上記画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。また、別の態様では、画像処理装置10は、ハードウェアのみにより実現される。
【0029】
図1において、画像処理装置10は、受付部11、変換部12、および出力部13を有する。
【0030】
受付部11は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データの入力を受け付ける。具体的には、入力画像データは、それぞれM値の階調値を持つ複数の画素を含む。入力画像データは、多値で表される画像データとも呼ばれる。受付部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)などを用いて入力画像データを受け付ける。
【0031】
変換部12は、受付部11により受け付けられた入力画像データに対して所定の変換処理を施して、当該入力画像データを2階調の画素で表される出力画像データに変換する。
【0032】
出力部13は、変換部12により得られた出力画像データを外部(他の装置やソフトウェアモジュールなど)に出力する。例えば、出力部13は、出力画像データをRAMに出力する。
【0033】
以下、上記変換部12の上記所定の変換処理について説明する。
【0034】
変換部12は、階調値取得部12aとパターン決定部12bとを含む。
【0035】
階調値取得部12aは、入力画像データから2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する。
【0036】
上記「注目画素」は、例えば、主走査方向および副走査方向に沿ってマトリクス状に画素が配列された入力画像データから、主走査方向および副走査方向に沿って所定の順序で選択される。
【0037】
パターン決定部12bは、階調値取得部12aにより取得された注目画素の階調値に注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定する。
【0038】
上記「注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値」は、誤差拡散処理における拡散誤差であり、具体的な一例では、注目画素の周辺の画素(以下、「周辺画素」と称す)の誤差値を所定の誤差拡散係数で重み付けして得られる誤差値である。ここで、「周辺画素の誤差値」は、当該周辺画素の補正階調値と、当該周辺画素に対して決定された塗り潰しパターンで表される階調値との誤差値である。例えば、周辺画素の誤差値は、当該周辺画素が注目画素とされている際、塗り潰しパターンの決定後に算出されて誤差値記憶部21に記憶される。「誤差拡散係数」は、注目画素と周辺画素との相対位置に基づいて設定される係数であり、一つの態様では、注目画素に近いほど重みが大きくなるように設定される。誤差拡散係数は、例えば、画像の階調再現性等を考慮して決められればよい。誤差拡散係数は、例えば、誤差拡散係数記憶部22に予め記憶される。
【0039】
上記「補正階調値」は、注目画素の階調値に周辺画素から拡散される誤差値を加算して得られる値であり、例えば次のように求められる。注目画素Pの階調値をCinとし、N(N≧1)個の周辺画素Pn(n=1,2,・・・,N)の誤差値をEn(n=1,2,・・・,N)とし、周辺画素Pnに対応する誤差拡散係数をDn(n=1,2,・・・,N)とした場合、補正階調値Caは、下記式(1)により得られる。
【0040】
【数1】

【0041】
例えば、変換部12は、誤差値記憶部21から周辺画素の誤差値Enを読み出し、誤差拡散係数記憶部22から誤差拡散係数Dnを読み出して、補正階調値Caを算出する。
【0042】
なお、補正階調値は、上記誤差値の加算以外の補正を含んでもよい。例えば、補正階調値は、注目画素の階調値に周辺画素から拡散される誤差値および乱数を加算して得られる値であってもよい。
【0043】
上記「画素群」は、入力画像データの1個の画素に対応する複数個の画素の集合であり、例えばマトリクス状に配列された複数個の画素である。
【0044】
上記「画素群の塗り潰しパターン」は、画素群の各画素を塗り潰すか否かにより表現されるパターンである。ここで、塗り潰される画素は、着色される画素、ONの画素、点灯画素、黒の画素などとも呼ばれ、例えば階調値が「1」の画素である。一方、塗り潰されない画素は、着色されない画素、OFFの画素、消灯画素、白の画素などとも呼ばれ、例えば階調値が「0」の画素である。以下の説明では、塗り潰された状態を「黒」と称し、塗り潰されない状態を「白」と称する。
【0045】
塗り潰しパターンには、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰され上記第1パターンとともに網点を構成する第2パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれる。
【0046】
上記第1パターンは、黒の網点の核を構成するものであり、以下の説明では、当該第1パターンを「黒核パターン」と称する。具体的には、黒核パターンは、所定位置の所定個数の画素が塗り潰され、他の画素が塗り潰されないパターンである。黒核パターンにおける塗り潰される画素の個数は、黒の網点の最小サイズを規定するものであり、例えば階調再現性などを考慮して設定されればよい。
【0047】
上記第2パターンは、黒の網点を成長させるものであり、以下の説明では、当該第2パターンを「黒成長パターン」と称する。具体的には、黒成長パターンは、黒の網点の大きさが増大するように、補正階調値に応じた1個以上の画素が塗り潰され、他の画素が塗り潰されないパターンである。
【0048】
上記第3パターンは、全体的に白いパターンであり、以下の説明では、当該第3パターンを「全白パターン」と称する。具体的には、全白パターンは、全ての画素が塗り潰されないパターンである。ただし、全白パターンは、実質的に全ての画素が塗り潰されないパターンであればよく、画像上影響を及ぼさない程度に少数の画素が塗り潰されるパターンであってもよい。
【0049】
高濃度域において良好な処理を行う観点より、塗り潰しパターンには、白の網点の核を構成する白核パターンと、白の網点を成長させる白成長パターンとが含まれてもよい。ここで、白核パターンは、所定の複数個の画素が塗り潰されないパターンであり、具体的には、所定位置の所定個数の画素が塗り潰されず、他の画素が塗り潰されるパターンである。白成長パターンは、補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰されない、上記白核パターンとともに白の網点を構成するパターンであり、具体的には、白の網点の大きさが増大するように、補正階調値に応じた1個以上の画素が塗り潰されず、他の画素が塗り潰されるパターンである。
【0050】
また、高濃度域において良好な処理を行う観点より、塗り潰しパターンには、実質的に全ての画素が塗り潰される全黒パターンが含まれてもよい。
【0051】
なお、黒核パターンの黒の画素と黒成長パターンの黒の画素との集まり、および白核パターンの白の画素と白成長パターンの白の画素との集まりは、それぞれ黒の網点および白の網点を構成するが、上記集まりはクラスタとも呼ばれる。
【0052】
上記パターン決定部12bは、以下のように塗り潰しパターンを決定する。
【0053】
パターン決定部12bは、注目画素に隣接する所定の画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在する場合に、黒成長パターンに決定する。ここで、注目画素に隣接する所定の画素(以下、「参照画素」と称す)は、1つ以上の処理済みの画素であり、注目画素に対してどの位置の隣接画素を参照画素とするかは、黒核パターンによる黒の網点の核が黒成長パターンによって成長するように決められればよい。
【0054】
パターン決定部12bは、上記参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在しない場合に、補正階調値と所定の閾値との大小関係に応じて黒核パターンまたは全白パターンのいずれかに決定する。具体的には、パターン決定部12bは、補正階調値が所定の閾値未満であるとき、全白パターンに決定し、補正階調値が所定の閾値以上であるとき、黒核パターンに決定する。
【0055】
上記参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在するか否かの判断は、例えば次のように行われる。
【0056】
一つの態様では、パターン決定部12bは、出力画像データの画素の画素値を参照し、上記参照画素に対応する画素群の中に黒核パターンの画素群が存在する場合、参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在すると判断し、黒核パターンの画素群が存在しない場合、参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在しないと判断する。
【0057】
別の態様では、パターン決定部12bは、入力画像データの各画素に対応付けて、当該画素に対して決定された塗り潰しパターンの種類を決定結果として記録しておき、当該決定結果を参照することにより、参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在するか否かを判断する。
【0058】
本実施の形態では、網点の配置に周期性を持たせて粒状性の良い画像を得る観点より、上記所定の閾値は、空間的に周期的に変化する。すなわち、黒核パターンを生成するか否かの決定に用いられる閾値が、空間的に周期的に変化する。例えば、複数の閾値が配置された閾値マトリクスが予め用意され、当該閾値マトリクスの各閾値が順次に上記所定の閾値として用いられる。例えば、空間的に周期的に変化する閾値のパターン(例えば閾値マトリクス)が閾値記憶部23に予め格納されており、変換部12は、入力画像データにおける注目画素の位置に対応する閾値を閾値記憶部23から読み出して使用する。
【0059】
上記塗り潰しパターンを決定する処理の具体的な一態様では、以下のように塗り潰しパターンが決定される。
(1)参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在し、かつ補正階調値が第1の閾値Th1未満である場合、黒成長パターンに決定される。
(2)参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在せず、かつ補正階調値が第1の閾値Th1未満である場合、補正階調値が第2の閾値Th2(<Th1)未満であるとき、全白パターンに決定され、補正階調値が第2の閾値Th2以上であるとき、黒核パターンに決定される。
(3)参照画素の中に白核パターンに決定された画素が存在し、かつ補正階調値が第1の閾値Th1以上である場合、白成長パターンに決定される。
(4)参照画素の中に白核パターンに決定された画素が存在せず、かつ補正階調値が第1の閾値Th1以上である場合、補正階調値が第3の閾値Th3(>Th1)以上であるとき、全黒パターンに決定され、補正階調値が第3の閾値Th3未満であるとき、白核パターンに決定される。
【0060】
当該態様では、上記第2の閾値Th2が、空間的に周期的に変化する。上記第3の閾値Th3は、一つの態様では空間的に周期的に変化するが、固定値であってもよい。また、上記第1の閾値Th1は、例えば固定値であるが、変化してもよい。
【0061】
なお、高濃度域(例えば補正階調値が第1の閾値Th1以上である場合)については、上記の2値化手法に限られず、別の2値化手法が適用されても構わない。
【0062】
図3は、本実施の形態における変換処理の一例を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、変換処理の一例を説明する。
【0063】
本例では、入力画像データは、解像度が600×600dpiであり、1画素当たりの階調数が256(階調値0〜255)である画像データである。出力画像データは、解像度が2400×2400dpiであり、1画素当たりの階調数が2(階調値0〜1)である画像データである。入力画像データの1個の画素に対応する出力画像データの画素群は、4×4のマトリクス状の画素群であり、出力画像データは、600×600個の画素群を含む。
【0064】
図3において、変換部12は、入力画像データの注目画素の階調値Cinを取得する(S1)。
【0065】
ついで、変換部12は、注目画素に周辺画素から拡散される誤差値の合計値Aを算出する(S2)。例えば、注目画素Pの周辺の複数個の画素の誤差値が図4に示されるとおりであり、注目画素Pの周辺の複数個の画素の誤差拡散係数が図5に示されるとおりである場合、合計値Aは下記のとおりに算出される。
【0066】
A=10×2/64+2×3/64−30×6/64+2×3/64−20×2/64+20×3/64+30×6/64+5×12/64+10×6/64+10×3/64+10×6/64−40×12/64
【0067】
ついで、変換部12は、注目画素の階調値Cinに合計値Aを加算して、補正階調値Ca(=Cin+A)を算出する(S3)。
【0068】
ついで、変換部12は、補正階調値Caおよび参照画素のパターンに基づき、注目画素に対応する画素群の塗り潰しパターンを決定する(S4)。
【0069】
本例では、塗り潰しパターンは、全白パターン、黒核パターン、黒成長パターン、全黒パターン、白核パターン、白成長パターンのいずれかに決定される。黒核パターンは、図6に示されるように、画素群のうち右下隅の8個の画素が塗り潰されるパターンである。白核パターンは、図7に示されるように、画素群のうち右下隅の8個の画素が塗り潰されないパターンである。
【0070】
また、本例では、塗り潰しパターンは、図8に示される第1の判定マップと、図9に示される第2の判定マップとに基づいて決定される。
【0071】
また、本例では、参照画素は、注目画素に隣接する左、上、左上の処理済みの画素である。
【0072】
図10は、塗り潰しパターンを決定する処理の一例、すなわち図3のステップS4の処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
図10において、変換部12は、補正階調値Caが中央閾値Th_Center未満であるか否かを判断する(S40)。
【0074】
補正階調値Caが中央閾値Th_Center未満であると判断された場合(S40:YES)、変換部12は、注目画素に隣接する3個の参照画素に対応する出力画像データの画素群の中に黒核パターンの画素群が存在するか否かを判断する(S41)。
【0075】
黒核パターンの画素群が存在すると判断された場合(S41:YES)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを黒成長パターンに決定する(S42)。ここで、黒成長パターンにおいて塗り潰される黒の画素の個数は、図9の第2の判定マップに従って補正階調値Caに応じて決められ、補正階調値Caが大きいほど多くなる。なお、図11には、注目画素Pの左上の参照画素に対応する画素群が黒核パターンの画素群であった場合に、注目画素Pが黒成長パターンに変換されたときの一例が示されている。図11において、黒の網点は、黒核パターンの黒の画素と、黒核パターンに隣接する黒成長パターンの黒の画素とで構成されている。
【0076】
一方、黒核パターンの画素群が存在しないと判断された場合(S41:NO)、例えば図12に例示列挙されるように注目画素Pに隣接する3個の参照画素に対応する画素群の中に黒核パターンの画素群が存在しない場合、変換部12は、入力画像データにおける注目画素の位置に対応する下側閾値Th1_Lowを取得する(S43)。具体的には、閾値記憶部23には、図13に示される下側閾値用の閾値マトリクスが予め記憶されており、変換部12は、閾値記憶部23から、下側閾値用の閾値マトリクスを構成する閾値のうち注目画素の位置に対応する閾値を、下側閾値Th1_Lowとして読み出す。なお、図14には、入力画像データの画素と閾値との対応関係が示されている。図14において、各枡は画素を表し、各枡内の値は当該枡で表される画素に対応する閾値を表している。図14に示されるように、閾値マトリクスは入力画像データ上で繰り返し用いられる。
【0077】
ついで、変換部12は、補正階調値Caが下側閾値Th1_Low以上であるか否かを判断する(S44)。
【0078】
補正階調値Caが下側閾値Th1_Low以上であると判断された場合(S44:YES)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを黒核パターンに決定する(S45)。
【0079】
一方、補正階調値Caが下側閾値Th1_Low以上でないと判断された場合(S44:NO)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを全白パターンに決定する(S46)。
【0080】
ステップS40で補正階調値Caが中央閾値Th_Center未満でないと判断された場合(S40:NO)、変換部12は、注目画素に隣接する3個の参照画素に対応する出力画像データの画素群の中に白核パターンの画素群が存在するか否かを判断する(S51)。
【0081】
白核パターンの画素群が存在すると判断された場合(S51:YES)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを白成長パターンに決定する(S52)。ここで、白成長パターンにおいて塗り潰されない白の画素の個数は、図10の第2の判定マップに従って補正階調値Caに応じて決められ、補正階調値Caが小さいほど多くなる。なお、図15には、注目画素Pの左上の参照画素に対応する画素群が白核パターンの画素群であった場合に、注目画素Pが白成長パターンに変換されたときの一例が示されている。図15において、白の網点は、白核パターンの白の画素と、白核パターンに隣接する白成長パターンの白の画素とで構成されている。
【0082】
一方、白核パターンの画素群が存在しないと判断された場合(S51:NO)、例えば図16に例示されるように注目画素Pに隣接する3個の参照画素に対応する画素群の中に白核パターンの画素群が存在しない場合、変換部12は、入力画像データにおける注目画素の位置に対応する上側閾値Th1_Highを取得する(S53)。具体的には、閾値記憶部23には、上側閾値用の閾値マトリクスが予め記憶されており、変換部12は、閾値記憶部23から、上側閾値用の閾値マトリクスを構成する閾値のうち注目画素の位置に対応する閾値を、上側閾値Th1_Highとして読み出す。
【0083】
ついで、変換部12は、補正階調値Caが上側閾値Th1_High未満であるか否かを判断する(S54)。
【0084】
補正階調値Caが上側閾値Th1_High未満であると判断された場合(S54:YES)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを白核パターンに決定する(S55)。
【0085】
一方、補正階調値Caが上側閾値Th1_High未満でないと判断された場合(S54:NO)、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを全黒パターンに決定する(S56)。
【0086】
再び図3を参照すると、ステップS4で塗り潰しパターンが決定された後、変換部12は、注目画素の補正階調値Caから当該注目画素の塗り潰しパターンで表される階調値を減じた値を、当該注目画素の誤差値として算出する(S5)。上記塗り潰しパターンで表される階調値は、具体的には、画素群全体に対する黒の画素の面積率に基づく階調値である。例えば、注目画素の塗り潰しパターンにおける塗り潰し個数がk(0≦k≦16)個であったとすると、当該注目画素の誤差値Eは、E=Ca−16×kにより算出される。変換部12は、算出された誤差値を誤差値記憶部21に格納する。
【0087】
ついで、変換部12は、入力画像データの全画素について処理が終了したか否かを判断する(S6)。
【0088】
処理が終了していないと判断された場合(S6:NO)、変換部12は、注目画素を移動させ(S7)、処理をステップS1に戻す。
【0089】
一方、全画素について処理が終了したと判断された場合(S6:YES)、変換処理は終了する。
【0090】
以上のように、入力画像データの各画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンが決定され、当該塗り潰しパターンで規定される階調値パターンを持つ画素群の集合により構成される出力画像データが得られる。
【0091】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に係る画像処理装置について説明する。なお、本実施の形態に係る画像処理装置は、上記第1の実施の形態に係る画像処理装置と殆ど同じであるので、上記第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を用い、説明を省略する。
【0092】
本実施の形態では、良好な周期性を持つ網点画像を得る観点より、黒核パターンにおける所定の複数個の個数(すなわち塗り潰される画素の個数)および黒成長パターンにおける補正階調値に応じた個数(すなわち塗り潰される画素の個数)のうち少なくとも一方は、低濃度になるほど少なくなるように、注目画素の階調値に応じて変化する。
【0093】
具体的には、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを黒核パターンに決定する際、塗り潰される画素の個数を、注目画素の階調値に応じて決定する。例えば、階調値と塗り潰される画素の個数との対応関係を示すテーブルが予め用意され、変換部12は、当該テーブルから注目画素の階調値に対応する個数を読み出す。
【0094】
また、上記処理に加えて、または上記処理を行わずに、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを黒成長パターンに決定する際、塗り潰される画素の個数を、注目画素の階調値に応じて決定する。例えば、一つの態様では、階調値と補正個数との対応関係を示すテーブルが予め用意され、変換部12は、当該テーブルから注目画素の階調値に対応する補正個数を読み出し、第2の判定マップによって決まる個数に補正個数を加算して、塗り潰される画素の個数を得る。また、別の態様では、複数種類の第2の判定マップが予め用意され、変換部12は、注目画素の階調値に応じた第2の判定マップを選択し、当該選択された第2の判定マップに基づいて、塗り潰される画素の個数を決定する。
【0095】
ここで、低濃度域(例えば濃度値が0%以上かつ50%未満の領域)において黒の網点に良好な周期性を持たせる観点では、黒の網点の理想的なサイズSBは、出力画像データの解像度D(dpi)と、閾値のパターン(例えば閾値マトリクス)により決まる網点の線数L(lpi)と、入力画像データの濃度値C(%)との関係により決定され、以下の式で表される。なお、図13の閾値マトリクスにより決まる網点の線数Lは、268lpiである。
【0096】
【数2】

【0097】
入力画像データに基づき変換処理によって得られる黒の網点のサイズと、上記理想的な黒の網点のサイズとがかけ離れると、網点の周期性が崩れる場合がある。
【0098】
そこで、具体的な一態様では、黒核パターンにおける塗り潰される画素の個数および黒成長パターンにおける塗り潰される画素の個数のうち少なくとも一方は、入力画像データに基づき変換処理によって得られる黒の網点のサイズが上記理想的な黒の網点のサイズに近くなるように、または同じあるいは略同じとなるように設定される。
【0099】
さらに、本実施の形態における一つの態様では、高濃度域において良好な周期性を持つ網点画像を得る観点より、白核パターンにおける所定の複数個の個数(すなわち塗り潰されない画素の個数)および白成長パターンにおける補正階調値に応じた個数(すなわち塗り潰されない画素の個数)のうち少なくとも一方は、高濃度になるほど少なくなるように、注目画素の階調値に応じて変化する。
【0100】
具体的には、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを白核パターンに決定する際、塗り潰されない画素の個数を、注目画素の階調値に応じて決定する。例えば、変換部12は、予め用意されたテーブルから、注目画素の階調値に対応する、塗り潰されない画素の個数を読み出す。
【0101】
また、上記処理に加えて、または上記処理を行わずに、変換部12は、注目画素の塗り潰しパターンを白成長パターンに決定する際、塗り潰されない画素の個数を、注目画素の階調値に応じて決定する。例えば、一つの態様では、変換部12は、予め用意されたテーブルから注目画素の階調値に応じた補正個数を読み出し、第2の判定マップによって決まる個数に補正個数を加算して、塗り潰されない画素の個数を得る。また、別の態様では、変換部12は、複数種類の第2の判定マップの中から注目画素の階調値に応じた第2の判定マップを選択し、当該選択された第2の判定マップに基づいて、塗り潰されない画素の個数を決定する。
【0102】
ここで、高濃度域(例えば濃度値が50%以上かつ100%以下の領域)において白の網点に良好な周期性を持たせる観点では、白の網点の理想的なサイズSWは、出力画像データの解像度D(dpi)と、閾値のパターン(例えば閾値マトリクス)により決まる網点の線数L(lpi)と、入力画像データの濃度値C(%)との関係により決定され、以下の式で表される。
【0103】
【数3】

【0104】
入力画像データに基づき変換処理によって得られる白の網点のサイズと、上記理想的な白の網点のサイズとがかけ離れると、網点の周期性が崩れる場合がある。
【0105】
そこで、具体的な一態様では、白核パターンにおける塗り潰されない画素の個数および白成長パターンにおける塗り潰されない画素の個数のうち少なくとも一方は、入力画像データに基づき変換処理によって得られる白の網点のサイズが上記理想的な白の網点のサイズに近くなるように、または同じあるいは略同じとなるように設定される。
【0106】
[第3の実施の形態]
以下、第3の実施の形態に係る画像処理装置について説明する。なお、本実施の形態に係る画像処理装置は、上記第2の実施の形態に係る画像処理装置と殆ど同じであるので、上記第2の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を用い、説明を省略する。
【0107】
本実施の形態では、良好な階調再現性を得る観点より、少なくとも黒核パターンにおける所定の複数個の個数が注目画素の階調値に応じて変化する場合、上記所定の複数個の個数は、注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では固定値である。
【0108】
ここで、上記固定値は、黒の網点の最小サイズを規定する値であり、良好な階調再現性を得る観点より設定されればよい。
【0109】
具体的には、本実施の形態では、黒核パターンにおける所定の複数個の個数(塗り潰される画素の個数)は、注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では、良好な階調再現性が得られるように固定値とされ、注目画素の階調値が上記所定値以上である濃度域では、良好な網点の周期性が得られるように注目画素の階調値に応じて変化させられる。
【0110】
図17は、注目画素の濃度値と、黒核パターンにおける黒の画素の個数または白核パターンにおける白の画素の個数との対応関係の設定例を示す図である。図17において、濃度値が0%以上かつ50%未満の濃度域では、黒核パターンにおける黒の画素の個数が規定されており、濃度値が50%以上かつ100%以下の濃度域では、白核パターンにおける白の画素の個数が規定されている。また、当該設定例は、出力解像度Dが2400dpiであり、閾値のパターンにより決まる網点の線数Lが268lpiである場合において、黒核パターンにおける黒の画素の個数および白核パターンにおける白の画素の個数を変化させることにより網点のサイズを調整する場合の例である。なお、注目画素の濃度値C(%)と注目画素の階調値G(0〜255)との関係は、例えば、C=G・(100/255)で表される。
【0111】
図13の閾値マトリクスおよび図17の設定を用いて、第3の実施の形態に係る画像変換処理により、濃度値が0%から50%まで徐々に変化するグラデーション画像を表す多値の入力画像データを2値化したところ、図18に示される出力画像データが得られた。
【0112】
比較例として、図13の閾値マトリクスを用い、黒核パターンにおける黒の画素の個数を変化させずに、第1の実施の形態に係る画像変換処理により、上記グラデーション画像を表す多値の入力画像データを2値化したところ、図19に示される出力画像データが得られた。
【0113】
図19の比較例による画像と比較して、図18の第3の実施の形態による画像では、良好な網点の周期性が得られている。
【0114】
以上説明した第1〜第3の実施の形態に係る画像処理装置は、各種の用途に適用可能であるが、例えば画像形成装置(プリンタや複写機など)に適用される。
【0115】
図20は、実施の形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置100の構成を示す概略構成図である。この画像形成装置100は、電子写真方式により紙等の記録媒体上に画像を形成する装置である。画像形成装置100は、図20では多色の画像形成装置であるが、単色の画像形成装置であってもよい。
【0116】
図20において、画像形成装置100は、画像データ取得部50、画像処理部60Y,60M,60C,60K、および画像形成部70を有する。
【0117】
画像データ取得部50は、M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データを取得する。具体的には、画像データ取得部50は、外部の情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ等のクライアント装置)からのPDL(ページ記述言語:Page Description Language)データや、スキャナにより原稿から読み取られたスキャンデータの入力を受け付け、入力されたデータを4色(Y,M,C,K)の256階調のビットマップ画像データに変換する。そして、画像データ取得部50は、得られたY,M,C,K色の画像データを、それぞれ画像処理部60Y,60M,60C,60Kに出力する。
【0118】
画像処理部60Y,60M,60C,60Kは、それぞれ、上記実施の形態に係る画像処理装置と同様の構成を有し、画像データ取得部50から入力された256階調の入力画像データを、上記実施の形態に係る画像処理装置と同様に2値化して、2階調の出力画像データを生成する。
【0119】
画像形成部70は、画像処理部60Y,60M,60C,60Kにより得られた出力画像データに基づく画像を記録媒体上に形成する。
【0120】
具体的には、画像形成部70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の感光体71Y,71M,71C,71Kを有する。感光体71Y,71M,71C,71Kの周囲には、それぞれ、帯電部72Y,72M,72C,72K、露光部73Y,73M,73C,73K、現像部74Y,74M,74C,74Kが設けられている。4つの感光体71Y,71M,71C,71Kは、用紙搬送方向(図20の矢印X方向)に沿って並列配置されており、これらに接するように転写ベルト75が設けられている。また、4つの感光体の用紙搬送方向下流側には、定着部76が配置されている。
【0121】
帯電部72Y,72M,72C,72Kは、それぞれ感光体71Y,71M,71C,71Kの表面を一様に帯電させる。
【0122】
露光部73Y,73M,73C,73Kは、それぞれ、一様に帯電させられた感光体71Y,71M,71C,71Kの表面にレーザビームを照射して静電潜像を形成する。具体的には、露光部73Y,73M,73C,73Kは、それぞれ、画像処理部60Y,60M,60C,60Kから入力される上記2階調の出力画像データに基づいてレーザビームの照射のON/OFFを制御し、これにより出力画像データに対応する静電潜像を感光体上に形成する。
【0123】
現像部74Y,74M,74C,74Kは、それぞれ、感光体71Y,71M,71C,71Kに形成された静電潜像を、Y,M,C,K色のトナーで現像する。
【0124】
感光体71Y,71M,71C,71K上に形成されたY,M,C,K色のトナー像は、順次、転写ベルト75上を搬送される紙等の記録媒体上に転写される。そして、Y,M,C,K色のトナー像が転写された記録媒体は定着部76に搬送され、定着部76においてトナー像が記録媒体に定着される。
【0125】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【0126】
例えば、入力画像データが複数の色成分を含む場合、画像処理装置は、各色成分について、上述のとおり2値化してもよい。この場合、スクリーン同士の干渉による色むらを低減する観点より、出力画像データにおける網点の配列方向が色成分毎に異なるように、閾値のパターン(例えば閾値マトリクス)を設定してもよい。また、出力画像データにおける網点の配置の周期が色成分毎に異なるように、閾値のパターン(例えば閾値マトリクス)を設定してもよい。この場合、良好な周期性を得る観点より、色成分毎に、当該色成分の網点の周期に合わせて、黒核パターンや黒成長パターンにおける黒の画素の個数を設定してもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、塗り潰しパターンには第1〜第3パターンが含まれるが、第2パターンが省略された画像処理装置が提供されてもよい。すなわち、塗り潰しパターンとして少なくとも第1パターンと第3パターンとを有する画像処理装置が提供されてもよい。当該画像処理装置では、パターン決定部は、例えば、参照画素の中に黒核パターンに決定された画素が存在するか否かに関わらず、補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて第1パターンまたは第3パターンのいずれかに決定する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理装置の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態における変換処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】周辺画素の誤差値の一例を示す図である。
【図5】周辺画素に対応する拡散誤差係数の一例を示す図である。
【図6】黒核パターンの一例を示す図である。
【図7】白核パターンの一例を示す図である。
【図8】第1の判定マップを示す図である。
【図9】第2の判定マップを示す図である。
【図10】塗り潰しパターンを決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】注目画素の左上の参照画素に対応する画素群が黒核パターンの画素群であった場合に、注目画素が黒成長パターンに変換されたときの一例を示す図である。
【図12】注目画素に隣接する3個の参照画素に対応する画素群の中に黒核パターンの画素群が存在しない場合の例示列挙を示す図である。
【図13】閾値マトリクスの一例を示す図である。
【図14】入力画像データの画素と閾値との対応関係の一例を示す図である。
【図15】注目画素の左上の参照画素に対応する画素群が白核パターンの画素群であった場合に、注目画素が白成長パターンに変換されたときの一例を示す図である。
【図16】注目画素に隣接する3個の参照画素に対応する画素群の中に白核パターンの画素群が存在しない場合の一例を示す図である。
【図17】注目画素の濃度値と、黒核パターンにおける黒の画素の個数または白核パターンにおける白の画素の個数との対応関係の設定例を示す図である。
【図18】第3の実施の形態による2値化処理の結果の一例を示す図である。
【図19】比較例による2値化処理の結果の一例を示す図である。
【図20】実施の形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0129】
10 画像処理装置、11 受付部、12 変換部、12a 階調値取得部、12b パターン決定部、13 出力部、21 誤差値記憶部、22 誤差拡散係数記憶部、23 閾値記憶部、50 画像データ取得部、60Y,60M,60C,60K 画像処理部、70 画像形成部、100 画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する階調値取得手段と、
前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定するパターン決定手段と、
を備え、
前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、
前記パターン決定手段は、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記塗り潰しパターンには、前記補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰され前記第1パターンとともに網点を構成する第2パターンが含まれ、
前記パターン決定手段は、前記注目画素に隣接する所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在する場合に、前記第2パターンに決定し、前記所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在しない場合に、前記補正階調値と前記所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記第1パターンにおける所定の複数個の個数および前記第2パターンにおける補正階調値に応じた個数のうち少なくとも一方は、低濃度になるほど少なくなるように、前記注目画素の階調値に応じて変化する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
少なくとも前記第1パターンにおける所定の複数個の個数が前記注目画素の階調値に応じて変化する場合、前記所定の複数個の個数は、前記注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では固定値である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記入力画像データを2階調の画素で表される出力画像データに変換する画像処理手段と、
前記出力画像データに基づく画像を記録媒体上に形成する画像形成手段と、
を有し、
前記画像処理手段は、
前記入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する階調値取得手段と、
前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定するパターン決定手段と、
を備え、
前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、
前記パターン決定手段は、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
M(M≧3)階調の画素で表される入力画像データから、2値化処理の対象として順に選択される画素(以下、「注目画素」と称す)の階調値を取得する手順と、
前記注目画素の階調値に前記注目画素の周辺の画素から拡散される誤差値を加算して得られる補正階調値に応じて、前記注目画素に対応する出力画像データの画素群の塗り潰しパターンを決定する手順と、
を実行させ、
前記塗り潰しパターンには、少なくとも、所定の複数個の画素が塗り潰され網点の核を構成する第1パターンと、実質的に全ての画素が塗り潰されない第3パターンと、が含まれ、
前記パターンを決定する手順では、前記補正階調値と空間的に周期的に変化する所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理プログラムであって、
前記塗り潰しパターンには、前記補正階調値に応じた個数の画素が塗り潰され前記第1パターンとともに網点を構成する第2パターンが含まれ、
前記パターンを決定する手順では、前記注目画素に隣接する所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在する場合に、前記第2パターンに決定し、前記所定の画素の中に前記第1パターンに決定された画素が存在しない場合に、前記補正階調値と前記所定の閾値との大小関係に応じて前記第1パターンまたは前記第3パターンのいずれかに決定する、
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理プログラムであって、
前記第1パターンにおける所定の複数個の個数および前記第2パターンにおける補正階調値に応じた個数のうち少なくとも一方は、低濃度になるほど少なくなるように、前記注目画素の階調値に応じて変化する、
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理プログラムであって、
少なくとも前記第1パターンにおける所定の複数個の個数が前記注目画素の階調値に応じて変化する場合、前記所定の複数個の個数は、前記注目画素の階調値が所定値未満である低濃度域では固定値である、
ことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−60285(P2009−60285A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224729(P2007−224729)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】