説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】解像度に影響されることなく、高品質の画像を形成できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】記憶部109には解像度がそれぞれ異なる集中型ディザスクリーンA〜Cが予め格納され、ディザスクリーン最適化処理時には、階調再現処理部108は、入力画像データに対して集中型ディザスクリーンA〜Cを使用して階調再現処理を行なって第1〜第3の出力画像データを生成し、粒状度算出部110は、第1〜第3の出力画像データに基づいて出力画像データ毎の粒状度データを作成し、ディザスクリーン最適化部111は、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、集中型ディザスクリーンA〜Cを合成して最適化ディザスクリーンを生成する。通常の印刷処理時には、階調再現処理部108は、入力画像データに対して最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なって印刷用画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理の技術に関し、特に、画像品質を向上させるための画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフトーン(網点)画像の画像品質を決定する重要な因子として、階調及びディテール(細部)等の再現性とともに、粒状性が挙げられる。例えば、後掲の非特許文献1には、ハードコピー画像におけるノイズ(粒状)の評価法について開示されている。
【0003】
電子写真方式等を採用するMFP(Multifunction Printer)等の画像形成装置は、ハーフトーン画像を含む画像を形成する際に、疑似中間調を再現するための階調再現処理を行なう。例えば、後掲の特許文献1に開示される画像形成装置は、低濃度領域又は高濃度領域に含まれると判定された画素値の画像データに対し、FM(Frequency Modulation)スクリーン法に基づく処理を行ない、中濃度領域に含まれると判定された画素値の画像データに対し、誤差拡散法に基づく処理を行なうことで階調再現処理を行なう。特許文献1に開示される技術では、各画素データの画像濃度に基づいた適切な階調再現処理を施すことができるので、高品質の画像を得ることができる。しかしながら、視覚によって認識され易い粒状性を向上させるための技術については開示されておらず、充分な高画質化を達成できていない。
【0004】
また、集中型ディザ法を使用して階調再現処理を行なう画像形成装置がある。このような画像形成装置によって形成される画像の画像品質は、スクリーン解像度に影響され易い。すなわち、スクリーン解像度が低く設定される場合には、粒状性及び階調再現性に優れるものの、ディテール(細部)の再現性に劣った画像が形成される。反対に、スクリーン解像度が高く設定される場合には、ディテールの再現性に優れるものの、粒状性及び階調再現性に劣った画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−33643号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】井上進、日野真、鎰谷賢治、「ハーフトーンカラー画像のノイズ評価法」、Ricoh Technical Report、株式会社リコー、1997年9月、第23巻、p.53−59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、解像度に影響されることなく、高品質の画像を形成できる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係る画像処理装置は、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する記憶手段と、入力画像データに対して複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第1の階調再現処理手段と、複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、出力画像データ毎に作成する粒状度算出手段と、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成するディザスクリーン最適化手段と、入力画像データに対して最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、印刷用画像データを生成する第2の階調再現処理手段と、を含む。
【0009】
このように、入力画像データに対して、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで複数の出力画像データを生成し、生成した複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成するので、出力画像データ毎の粒状度データから、解像度、粒状度及び画像濃度の関係を知ることができる。したがって、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで生成された最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことによって、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。
【0010】
好ましくは、記憶手段は、出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔が、他の出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔の整数倍となるように設定される、複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する。これにより、解像度が異なる複数の集中型ディザスクリーンをより一層容易に作成することができるので、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層容易に行なうことができる。
【0011】
より好ましくは、ディザスクリーン最適化手段は、粒状度の大きい画像濃度領域には低解像度の集中型ディザスクリーンを使用し、粒状度の小さい画像濃度領域には、高解像度の集中型ディザスクリーンを使用するように、複数の集中型ディザスクリーンを合成する。これにより、解像度及び画像濃度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層確実に行なうことができる。
【0012】
本発明の第2の局面に係る画像形成装置は、上記の画像処理装置と、入力画像データを作成し、作成した入力画像データを画像処理装置に対して入力する入力手段と、画像処理装置から出力される印刷用画像データに基づく画像を出力する出力手段と、を含む。このように、画像形成装置は、上記の画像処理装置を含むので、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成することができる。また、装置のコストを上げることなく、容易に高品質の画像を形成することができる。
【0013】
本発明の第3の局面に係る画像処理方法は、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する第1のステップと、入力画像データに対して複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第2のステップと、複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、出力画像データ毎に作成する第3のステップと、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する第4のステップと、入力画像データに対して最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、印刷用画像データを生成する第5のステップと、を含む。
【0014】
このように、入力画像データに対して、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで複数の出力画像データを生成し、生成した複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成するので、出力画像データ毎の粒状度データから、解像度、粒状度及び画像濃度の関係を知ることができる。したがって、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで生成された最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことによって、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。
【0015】
好ましくは、第2のステップ〜第4のステップは、キャリブレーション時に行なわれる。これにより、上記の画像処理方法の実行時の環境及び使用状況等を考慮して、第2のステップ〜第4のステップを行なうことができるので、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層確実に行なうことができる。
【0016】
本発明の第4の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されると、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する第1のステップと、入力画像データに対して複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第2のステップと、複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、出力画像データ毎に作成する第3のステップと、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する第4のステップと、入力画像データに対して最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なう第5のステップと、を含む画像処理方法を実行するように当該コンピュータを動作させる。
【0017】
このようなコンピュータプログラムを実行させることによって、コンピュータは、入力画像データに対して、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで複数の出力画像データを生成し、生成した複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成するように動作するので、出力画像データ毎の粒状度データから、解像度、粒状度及び画像濃度の関係を知ることができる。したがって、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで生成された最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうように動作することによって、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。また、上記画像処理方法を汎用的なものとすることができる。
【0018】
本発明の第5の局面に係る記録媒体は、上記のコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体である。なお、上記記録媒体としては、例えば、コンピュータ内部の主記憶又は補助記憶を構成するRAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、及び、補助記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD(Hard Disk Drive))等がある。
【0019】
また、コンピュータの外部記憶装置としてプログラム読取装置が設けられ、この装置に挿入することで読取可能な記録媒体であってもよい。通常は、CPU(Central Processing Unit)が主記憶以外の記録媒体からコンピュータプログラムを読出し、この読出されたコンピュータプログラムを主記憶装置にロードして実行する。CPUは、インストールされたコンピュータプログラムに従って所定の処理を行なうようにコンピュータの各部を統括的に制御する。プログラム読取装置で読取可能な記録媒体としては、(1)磁気テープ及びカセットテープ等のテープ系、(2)フレキシブルディスク(FD)及びハードディスク(HD)等の磁気ディスク、若しくは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、MO(Magneto Optical Disk)、MD(Mini Disk)及びDVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクといったディスク系、(3)メモリカードを含むIC(Integrated Circuit)カード及び光カード等のカード系、又は、(4)マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリを含めた固定的にプログラムを記録する媒体等を例示することができる。これにより、上記の画像処理方法を記憶した記録媒体を自在に持ち運ぶことができる。
【0020】
さらに、コンピュータを、インターネットを含む通信ネットワークに接続可能な構成とし、通信ネットワークからコンピュータプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。このように通信ネットワークからコンピュータプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めコンピュータに格納しておけばよい。また、他の記録媒体からインストールされてもよい。なお、本発明は、上記コンピュータプログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、入力画像データに対して、解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで複数の出力画像データを生成し、生成した複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成するので、出力画像データ毎の粒状度データから、解像度、粒状度及び画像濃度の関係を知ることができる。したがって、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することで生成された最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことによって、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る印刷システムの構成を示す図である。
【図2】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理の流れを示すブロック図である。
【図4】集中型ディザスクリーンA〜Cを使用することで得られる網点画像をそれぞれ示す図である。
【図5】ディザスクリーン最適化処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。
【図6】第1出力画像データに基づく網点画像を示す図である。
【図7】第2出力画像データに基づく網点画像を示す図である。
【図8】第3出力画像データに基づく網点画像を示す図である。
【図9】網点面積率に対して粒状度(gs)をプロットすることで得られる、第1粒状度データ〜第3粒状度データに対応するグラフをそれぞれ示す図である。
【図10】最適化ディザスクリーンを使用することで得られる網点画像を示す図である。
【図11】最適化ディザスクリーンに基づく出力画像データに対応する粒状度データのグラフを示す図である。
【図12】情報処理装置によって実行される画像処理の流れの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明をその都度繰返すことはしない。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態に係る印刷システム10の構成を示す図である。図1を参照して、印刷システム10は、デジタルカラー複写機(以下、単に「複写機」と記す。)22と、情報処理装置12とを含む。複写機22及び情報処理装置12は、LAN(Local Area Network)回線等からなるネットワーク20を介して互いに接続され、画像データを含む各種データを相互に送受できる。印刷システム10は、全体として画像形成装置として機能する。
【0025】
情報処理装置12は、複写機22を利用するために一般のユーザによって操作される、例えば、PC(Personal Computer)等の端末装置である。なお、図1には情報処理装置12を1つのみ図示するが、実際には多数存在する。
【0026】
印刷システム10において、情報処理装置12から複写機22に対して印刷処理の実行を命令する印刷指示信号と、印刷対象となる画像データとが送信されると、複写機22はその印刷指示信号に応答して、印刷処理を実行する。
【0027】
〈ハードウェア構成〉
[複写機22]
複写機22は、制御部24、スキャナ部30、画像処理装置32、プリンタ部34、操作パネル36、NIC(Network Interface Card)38、及び、電源制御部39を含む。
【0028】
制御部24は、実質的にコンピュータであって、CPU40、ROM42、RAM44及びHDD46を含む。CPU40には、BUSライン26が接続されており、このBUSライン26には、ROM42、RAM44及びHDD46が電気的に接続される。CPU40は、操作パネル36及び外部装置である情報処理装置12等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、複写機22の各部の動作及び情報処理装置12との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM42又はHDD46に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM42又はHDD46から読出されてRAM44に転送される。CPU40は、CPU40内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM44内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU40はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM44、HDD46及びCPU40内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0029】
本実施の形態において、HDD46には、複写機22の一般的な動作を実現するためのコンピュータプログラムとともに、後述するディザスクリーン最適化処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶される。このコンピュータプログラムは、ネットワーク20及びNIC38を介して外部装置から提供される。なお、このコンピュータプログラムは、そのコンピュータプログラムが記録された、例えばDVD等の記録媒体によって提供されてもよい。すなわち、コンピュータプログラムの記録媒体としてのDVDが、複写機22内に内蔵されるDVDドライブ(図示せず。)に装着され、そのDVDからコンピュータプログラムが読出されてHDD46にインストールされてもよい。このコンピュータプログラムにおける、ディザスクリーン最適化処理を実現するためのプログラム構造については後述する。
【0030】
BUSライン26には、さらに、スキャナ部30、画像処理装置32、プリンタ部34、操作パネル36、NIC38、及び、電源制御部39が電気的に接続される。
【0031】
スキャナ部30は、原稿検知センサ及びCCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ(以上いずれも図示せず。)を含む。原稿検知センサは、ユーザによって手動で、又は、自動原稿搬送装置(図示せず。)によって、原稿載置台(図示せず。)上に載置された原稿の画像表面に対し光源(図示せず。)から光を照射することによって得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、結像された反射光像を順次光電変換して画像データとして画像処理装置32に対して出力する。すなわち、スキャナ部30は、原稿のコピー時又はスキャン時に、原稿載置台に載置される原稿から原稿検知センサによって画像情報を読取り、読取った画像情報をCCDラインセンサによって電気信号に変換して画像データとして画像処理装置32に対して出力する。本実施の形態において、スキャナ部30から出力される画像データは、RGB(R:赤、G:緑、B:青)の各色に対応するRGBアナログ信号である。
【0032】
画像処理装置32は、MPU(Micro Processing Unit、図示せず。)を含む。画像処理装置32は、スキャナ部30、又は、情報処理装置12から入力される画像データ(以下「入力画像データ」と記す場合がある。)に対して、領域分離処理及び階調再現処理等の各種画像処理を施して所定の階調の印刷用画像データを作成し、プリンタ部34に対して出力する。画像処理装置32の詳細な構成については後述する。
【0033】
プリンタ部34は、画像メモリ48及び印字部50を含む。画像メモリ48は、RAMを含み、画像データをページ単位で一時的に記憶する。画像メモリ48は、制御部24等からの指示に応じて、印字部50に送信するための、例えば、画像処理装置32から入力される印刷用画像データをページ単位で一時的に記憶し、記憶した印刷用画像データを印字部50による画像形成に同期して、印字部50に対して出力する。印字部50は、感光体ドラム、帯電器、LSU(Laser Scanning Unit)、現像装置、転写装置、クリーニング装置及び定着装置(以上いずれも図示せず。)、並びに、複写機22に着脱自在に装着されるトナーカートリッジを含む。印字部50は、さらに、複写機22に着脱自在に装着される、手差し給紙トレイ、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイ(以上いずれも図示せず。)を含む。これらの給紙トレイは、この順で上下に並ぶように設置され、記録用紙を保持し、用紙搬送部(図示せず。)に記録用紙を送給する。手差し給紙トレイは、ユーザが手動により所望の記録用紙を設置するためのトレイであり、第1給紙トレイ及び第2給紙トレイは、異なる大きさの記録用紙を保持するためのトレイである。印字部50は、制御部24等からの指示に応じて、上記給紙トレイのいずれかから用紙搬送部を介して搬送される記録用紙上に、画像メモリ48から送信される画像データに基づく画像を印刷する。
【0034】
操作パネル36は、液晶ディスプレイからなる表示出力部と、操作ボタン及びタッチパネル等からなる操作インターフェイス部とを含む。表示出力部は、複写機22の状態及び各種処理の状態に関する情報等の各種情報をユーザに提供する。操作インターフェイス部は、ユーザが複写機22を操作するためのインターフェイスを提供する。操作パネル36は、また、液晶ディスプレイとタッチパネルとを重ねて構成される、ユーザに対して対話的な操作インターフェイスを提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネルから複写機22全体の動作に対するユーザの指示を受付けて、その指示の内容を液晶ディスプレイに表示するとともに、その指示に応じた制御信号を制御部24又は画像処理装置32のMPUに対して出力する。操作パネル36は、電源オン指示及び電源オフ指示を入力するための電源ボタン、画質調整モードに対する指示を入力するための画質調整キー、印刷処理を開始させるための印刷スタートキー、並びに、ディザスクリーン最適化処理を開始させるためのディザスクリーン最適化キー等を含む。
【0035】
NIC38は、ネットワーク20とのインターフェイスをとる。複写機22は、このNIC38を介して、ネットワーク20上の情報処理装置12等の外部装置と、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を行なう。
【0036】
電源制御部39は、外部電源52と電気的に接続される。電源制御部39は、複写機22の各部の動作に必要な電力を外部電源52から取得し、取得した電力を複写機22の各部に供給する。
【0037】
複写機22は、上述した各部を動作させることによって、操作パネル36からのユーザの入力操作による指示又は情報処理装置12等からの指示に応じて、原稿画像を読取り記録用紙に画像を印刷するコピーモード、情報処理装置12等から送信される画像データを受信して記録用紙に画像を印刷するプリンタモード、及び、原稿画像を読取り情報処理装置12等に画像データを送信するスキャナモード等の各種のモードのいずれかを実行する。
【0038】
[情報処理装置12]
図2は、情報処理装置12の構成を示すブロック図である。図2を参照して、情報処理装置12は、制御部200、HDD212、操作部214、表示部216、及び、通信ポート218を含む。
【0039】
制御部200は、実質的にコンピュータであって、CPU222、ROM224及びRAM226を含む。CPU222には、BUSライン228が接続されており、このBUSライン228には、ROM224及びRAM226が電気的に接続される。CPU222は、複写機22等を含む外部装置又は操作部214等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、情報処理装置12の各部の動作及び外部装置との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM224又はHDD212に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM224又はHDD212から読出されてRAM226に転送される。CPU222は、CPU222内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM226内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU222はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM226,HDD212及びCPU222内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
【0040】
BUSライン228には、さらに、HDD212、操作部214、表示部216、及び、通信ポート218が電気的に接続される。HDD212は、磁気記憶媒体を備え、表示部216に各種画面を表示させるための画像データ等を含む各種データ、及び、通信ポート218を介したデータ通信を実行するための通信ポートドライバ等の各種コンピュータプログラムを記憶する。HDD212は、図形描画ツール及びワードプロセッサ等のアプリケーションソフトを記憶する。情報処理装置12は、このアプリケーションソフトを実行することによって、文字及び図形等を含む画像を出力するための画像データを作成できる。
【0041】
HDD212は、また、複写機22に対し、印刷処理を実行させるためのプリンタドライバプログラム(以下単に「プリンタドライバ」と記す。)を記憶する。情報処理装置12は、このプリンタドライバを実行することで、作成した画像データをプリンタ言語翻訳機能によってプリンタ記述言語に変換して入力画像データを作成し、作成した入力画像データを複写機22に対して出力できる。
【0042】
操作部214は、ユーザの指示等に応じた各種入力及び文字入力等を行なうためのキーボード、及び、マウス等のポインティングデバイス等を含む入力装置である。操作部214は、インターフェイス(図示せず。)を介してBUSライン228と接続される。表示部216は、情報処理装置12の処理結果等を表示するための、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等からなる表示装置である。表示部216は、表示部216を駆動させるためのビデオ回路(図示せず。)を介してBUSライン228と接続される。
【0043】
情報処理装置12は、RS(Recommended Standard)232C等の通信ポート218を介してネットワーク20に接続されており、ネットワーク20上に接続される複写機22等を含む外部装置とのデータ通信が可能である。情報処理装置12は、通信ポート218を介して、印刷処理等の各種処理の実行を命令する命令信号を、複写機22に対して送信することができる。
【0044】
情報処理装置12の各部には電源(図示せず。)が接続され、この電源から電力が供給されることで、情報処理装置12の各部が動作する。
【0045】
〈画像処理系の構成〉
制御部24のCPU40及び画像処理装置32のMPUは、スキャナ部30、画像処理装置32及びプリンタ部34の動作を制御することで、以下のようにして、入力画像データの入力及び印刷用画像データの出力等を含む一連の画像処理を実行する。なお、ここでは、スキャナ部30を、画像処理装置32に対して入力画像データを入力する入力装置として説明するが、情報処理装置12が入力装置として機能してもよい。図3は、画像処理の流れを示すブロック図である。図3を参照して、複写機22において、スキャナ部30、画像処理装置32及びプリンタ部34は、画像処理を行なうための画像処理系として機能する。
【0046】
スキャナ部30は、上述したように、原稿のコピー時又はスキャン時に、原稿載置台に載置される原稿の画像情報を読取り、読取った画像情報を電気信号に変換して得られるRGBアナログ信号を、入力画像データとして画像処理装置32に対して出力する。
【0047】
画像処理装置32は、A/D(アナログ/デジタル)変換部100、シェーディング補正部101、入力階調補正部102、領域分離処理部103、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、出力階調補正部107、階調再現処理部108、記憶部109、粒状度算出部110、及び、ディザスクリーン最適化部111を含む。
【0048】
画像処理装置32は、制御部24のCPU40及び画像処理装置32のMPUによって制御される。画像処理装置32のMPUは、BUSライン26を介して制御部24と電気的に接続される。このMPUは、BUSライン26を介してROM42又はHDD46に記憶されるコンピュータプログラムを読出し、読出したコンピュータプログラムに従って、上述した画像処理装置32の各部を統括的に制御して各種処理を実行する。例えば、画像処理装置32は、スキャナ部30から入力されるRGBアナログ信号を、A/D変換部100、シェーディング補正部101、入力階調補正部102、領域分離処理部103、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、出力階調補正部107、及び、階調再現処理部108の順に送り、各部において一連の処理を施した後、印刷用画像データとしてプリンタ部34に対して出力する。本実施の形態において、画像処理装置32から出力される印刷用画像データは、CMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の各色に対応するCMYKデジタル信号である。画像処理装置32は、また、後述するディザスクリーン最適化処理を行なう。
【0049】
A/D変換部100は、スキャナ部30から画像処理装置32に入力されるRGBアナログ信号をRGBデジタル信号に変換する。シェーディング補正部101は、A/D変換部100から入力されるRGBデジタル信号に対して、スキャナ部30の照明系、結像系、及び、撮像系等で生じる各種の歪みを取り除くためのシェーディング補正処理を行なう。
【0050】
入力階調補正部102は、シェーディング補正部101から入力されるRGBデジタル信号(RGBの反射率信号)に対し、カラーバランスを整える画質調整処理を施すとともに、濃度信号等の、画像処理装置32に採用されている画像処理システムが扱いやすい信号に変換する処理を施す。上記した画質調整処理は、例えば、ユーザ等による操作パネル36の画質調整キーからの入力操作によって指示される画質調整モードにおける各設定内容に従って行なわれる。
【0051】
領域分離処理部103は、入力階調補正部102から入力されるRGBデジタル信号に対して、画像データ中の画素毎に文字エッジ領域、網点領域、及び、写真領域(連続階調領域)等の複数の領域に分離する領域分離処理を行なうとともに、領域分離処理の結果に基づいて、各画素がどの領域に属するのかを示す領域識別信号を、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、及び、階調再現処理部108に対して出力する。領域分離処理部103は、さらに、入力階調補正部102から入力されるRGBデジタル信号をそのまま色補正部104に対して出力する。
【0052】
色補正部104は、領域分離処理部103から入力されるRGBデジタル信号に対して、色を忠実に再現するために、不要吸収成分を含むトナー等のCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取除く色補正処理を行なう。この色補正処理によって、RGBデジタル信号は、CMYの各色に対応するCMYデジタル信号に変換される。色補正処理の方法としては、当該分野において一般的に使用される方法であれば特に限定されないが、入力されるRGBデジタル信号と出力されるCMYデジタル信号との対応関係をLUT(ルックアップテーブル)として格納しておく方法、又は、下記式(1)に示す変換行列を用いるカラーマスキング法等を使用できる。
【0053】
【数1】

【0054】
例えば、カラーマスキングを用いる場合には、あるCMYデータ(CMYデジタル信号)をプリンタ部34に与えた場合に出力される色のL* * * 値(CIE1976L* * * 信号(CIE(Commission International de l’Eclairage):国際照明委員会、L* :明度、a* ,b* :色度))と同じL* * * をもつカラーパッチを、スキャナ部30に読込ませたときのRGBデータ(RGBデジタル信号)とプリンタ部34に与えたCMYデータとの組合せとして多数用意し、それらの組合せから上記式(1)のa11からa33までの変換行列の係数を算出し、算出した係数を用いて色補正処理を行なう。より精度を高めたい場合は、二次以上の高次の項を加えればよい。
【0055】
黒生成下色除去部105は、色補正部104から入力される、色補正処理後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成処理を行なう一方、元のCMYデジタル信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMYデジタル信号を生成する下色除去処理を行なう。これらの黒生成処理及び下色除去処理の結果、CMYの3色信号はCMYKの4色信号(以下「CMYKデジタル信号」と記す。)に変換される。
【0056】
空間フィルタ処理部106は、黒生成下色除去部105から入力されるCMYKデジタル信号に対して、領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行なうことで、空間周波数特性を補正して出力画像のぼやけ及び粒状性劣化を防ぐ。空間フィルタ処理部106は、領域分離処理部103において、黒文字又は場合によっては色文字として抽出され文字エッジ領域と判別されたCMYKデジタル信号に対して鮮鋭度強調処理を施して高域周波数成分における強調量を大きくすることで、黒文字又は色文字の再現性を高める。また、網点領域と判別されたCMYKデジタル信号に対してローパス・フィルタ処理を施すことで、入力網点成分を除去する。
【0057】
出力階調補正部107は、空間フィルタ処理部106から入力されるCMYKデジタル信号に含まれる濃度信号等に対して、プリンタ部34の特性値である網点面積率を示す信号に変換する出力階調補正処理を行なう。この網点面積率は、原稿画像の画像濃度に相当する値である。
【0058】
階調再現処理部108は、出力階調補正部107から入力されるCMYKデジタル信号に対して、領域識別信号に基づいて最終的に画像を画素に分割してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成処理)を施して印刷用画像データを生成する。通常の印刷処理時において、階調再現処理部108は、領域分離処理部103において写真領域と判別されたCMYKデジタル信号に対して、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施す。また、文字エッジ領域と判別されたCMYKデジタル信号に対して、高周波数再現に適した高解像のスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施す。さらに、網点領域であると判別されたCMYKデジタル信号に対して、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性を重視した、後述する最適化ディザスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施す。階調再現処理が施された印刷用画像データは、プリンタ部34に対して出力される。
【0059】
また、ディザスクリーン最適化処理時において、階調再現処理部108は、記憶部109に格納される、後述する複数の集中型ディザスクリーンを1つずつ順に読出し、入力されたCMYKデジタル信号に対し、読出した集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なう。ディザスクリーン最適化処理時において入力されるCMYKデジタル信号は、ディザスクリーン最適化用原稿の画像情報に基づくものである。このディザスクリーン最適化用原稿は、網点面積率毎の粒状度の算出が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、画像濃度がそれぞれ異なる複数の画像を含む原稿を使用できる。階調再現処理後に階調再現処理部108から出力される複数の出力画像データは、対応する集中型ディザスクリーンに関連付けられてそれぞれ記憶部109に格納される。この出力画像データには、空間周波数に相当するドットの繰返し周期(後述する一定間隔d1〜d4)等の情報が含まれる。
【0060】
記憶部109は、RAMを含むメモリからなる。記憶部109は、ディザスクリーン最適化処理時に使用される、解像度が異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め格納する。本実施の形態では、記憶部109には、3つの集中型ディザスクリーンA〜Cが予め格納される。図4は、集中型ディザスクリーンA〜Cを使用することで得られる網点画像300,310,320をそれぞれ示す図である。図4において、紙面左右方向は主走査方向であり、紙面上下方向は副走査方向であるものとする。図4を参照して、網点画像300,310,320は、同一の入力画像データに対し、集中型ディザスクリーンA〜Cをそれぞれ使用した際に得られる出力画像であって、異なるドットパターンを有する。すなわち、集中型ディザスクリーンAを使用することで得られる網点画像300は、4個のドットからなる。この4個のドットは、主走査方向及び副走査方向に対してそれぞれ45度をとる2方向に、予め定める一定間隔d1を有するように配列されるドットパターンの一部である。この4個のドットは、主走査方向及び副走査方向に一定間隔d2を有して配列されている。集中型ディザスクリーンBを使用することで得られる網点画像310は、9個のドットからなる。この9個のドットは、主走査方向及び副走査方向に、一定間隔d2の2分の1の距離である一定間隔d3を有するように配列されるドットパターンの一部である。この9個のドットは、主走査方向及び副走査方向に対してそれぞれ45度をとる2方向に、一定間隔d1を有して配列されている。集中型ディザスクリーンCを使用することで得られる網点画像320は、18個のドットからなる。この18個のドットは、主走査方向及び副走査方向に対してそれぞれ45度をとる2方向に、一定間隔d1の2分の1の距離である一定間隔d4を有するように配列されるドットパターンの一部である。この18個のドットは、主走査方向及び副走査方向に一定間隔d3を有して配列されている。このように、記憶部109に記憶される複数の集中型ディザスクリーンは、これらのうちの1つを使用することで得られる網点画像におけるドットの配置間隔が、他の1つを使用することで得られる網点画像におけるドットの配置間隔の整数倍となるように設定されている。また、網点画像300〜320におけるドットサイズは、この順に小さくなる。すなわち、集中型ディザスクリーンA〜Cは、この順に解像度が高くなるように設定されている。
【0061】
記憶部109は、さらに、粒状度データ及び最適化ディザスクリーンを記憶する。粒状度データ及び最適化ディザスクリーンについては後述する。
【0062】
粒状度算出部110は、ディザスクリーン最適化処理時において、記憶部109に格納される複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づく網点画像のドットパターンの粒状度(gs)を算出することで、網点面積率毎の粒状度を出力画像データ毎に算出するとともに、算出した粒状度と対応する網点面積率との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成する。粒状度データは、例えば、グラフ形式で記憶部109に格納される。
【0063】
粒状度(gs)の算出方法としては、当該分野において一般的に使用される方法であれば特に限定されないが、例えば、下記式(2)に示す、Dooley及びShaw(以上いずれもXerox社)の評価式を使用できる。
【0064】
【数2】

【0065】
上記式(2)において、exp(−1.8D)は、濃度と人の知覚する明るさとの差を補正するための、平均濃度(D)を変数とした関数である。また、ws(u)は、空間周波数(u)に対するウィナースペクトラムを示し、VTF(u)は、空間周波数(u)に対する視覚特性(Visual Transfer Function)を示す。このように、Dooley及びShawの評価式を使用することで、客観的な評価値である粒状度(gs)は、当該分野において一般的に使用されるVTF関数を用いて算出することができる。
【0066】
ディザスクリーン最適化部111は、ディザスクリーン最適化処理時において、記憶部109に出力画像データ毎に格納される複数の粒状度データに基づいて、以下のようにして最適化ディザスクリーンを生成する。すなわち、ディザスクリーン最適化部111は、まず、粒状度データ毎に、粒状性が良好な画像濃度領域(網点面積率の範囲)のデータを抽出する。ディザスクリーン最適化部111は、さらに、抽出したデータの中から、各画像濃度領域における、最も解像度の高い集中型ディザスクリーンに基づくデータを抽出する。ディザスクリーン最適化部111は、上記のようにして抽出されたデータに基づいて、記憶部109に格納される複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する。
【0067】
〈ソフトウェア構成〉
図5は、ディザスクリーン最適化処理を実現するためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す図である。上述したように、HDD46に記憶されるコンピュータプログラムは、ディザスクリーン最適化処理を実行するようにプログラミングされている。このプログラムは、制御部24を実質的に構成するCPU40を含むコンピュータが、上記コンピュータプログラムに従って、複写機22の各部の動作を制御することによって、ハードウェアとコンピュータプログラムとの協働により実現する、階調再現処理機能、粒状度算出機能、及び、最適化ディザスクリーン生成機能等によって実行される。なお、階調再現処理機能とは、入力画像データに対して複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことによって、複数の出力画像データを生成する機能であり、粒状度算出機能とは、複数の出力画像データに基づいて、出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成する機能であり、最適化ディザスクリーン生成機能とは、出力画像データ毎に記憶される複数の粒状度データに基づいて、複数の集中型ディザスクリーンを合成することによって、最適化ディザスクリーンを生成する機能である。
【0068】
ディザスクリーン最適化処理を実現するためのプログラムは、ユーザによって、操作パネル36のディザスクリーン最適化キーが押下されることによって起動される。図5を参照して、このプログラムは、スキャナ部30に対し、原稿載置台に載置されるディザスクリーン最適化用原稿から画像情報を読取らせるとともに、読取った画像情報に基づくRGBアナログ信号を入力画像データとして画像処理装置32に対して出力させるステップS100と、画像処理装置32のMPUに対し、スキャナ部30から入力されたRGBアナログ信号を、A/D変換部100、シェーディング補正部101、入力階調補正部102、領域分離処理部103、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、及び、出力階調補正部107の順に送ることで、各部において一連の画像処理を行なわせるとともに、生成したCMYKデジタル信号を階調再現処理部108に対して出力させるステップS101とを含む。
【0069】
このプログラムはさらに、階調再現処理部108に対し、記憶部109に格納される複数の集中型ディザスクリーンから、対応する出力画像データが関連付けて格納されていないものを1つ読出させるとともに、入力されたCMYKデジタル信号に対して、読出した集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なわせるステップS102と、階調再現処理部108から出力される出力画像データを、対応する集中型ディザスクリーンに関連付けて記憶部109に格納するステップS103とを含む。
【0070】
このプログラムはさらに、記憶部109に格納される全ての集中型ディザスクリーンに対し、対応する出力画像データが関連付けて格納されたか否かを判定するステップS104を含む。ステップS104において、対応する全ての出力画像データが格納されていないと判定された場合(NOの場合)には、制御はステップS102に戻る。
【0071】
このプログラムはさらに、ステップS104において、対応する全ての出力画像データが格納されたと判定された場合(YESの場合)に実行され、粒状度算出部110に対し、記憶部109に格納された複数の出力画像データに基づいて、網点面積率毎の粒状度を出力画像データ毎に算出させるとともに、算出した粒状度と対応する網点面積率との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成させるステップS105と、作成した粒状度データを、対応する集中型ディザスクリーンに関連付けて記憶部109に格納するステップS106とを含む。
【0072】
このプログラムはさらに、ディザスクリーン最適化部111に対し、記憶部109に出力画像データ毎に格納される複数の粒状度データに基づいて、最適化ディザスクリーンを生成させるステップS107と、生成した最適化ディザスクリーンを記憶部109に格納するステップS108とを含む。
【0073】
〈動作〉
図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る印刷システム10の複写機22は、ディザスクリーン最適化処理時及び通常の印刷処理時において、以下のように動作する。なお、ディザスクリーン最適化処理時及び通常の印刷処理時における動作を除いた複写機22の動作は、従来の複写機の動作と同じである。
【0074】
(ディザスクリーン最適化処理時における動作)
ユーザは、例えば、キャリブレーション時において、スキャナ部30の原稿載置台にディザスクリーン最適化用原稿を載置し、操作パネル36のディザスクリーン最適化キーを押下する。本実施の形態において、ディザスクリーン最適化用原稿は、画像濃度がそれぞれ異なる5つの画像を含む原稿である。また、キャリブレーションとは、サービスマンメンテナンス時等において行なわれる、階調を正確かつ安定して再現するための調整を示す。
【0075】
ディザスクリーン最適化キーが押下されると、スキャナ部30は、原稿載置台に載置されたディザスクリーン最適化用原稿から画像情報を読取り、読取った画像情報に基づくRGBアナログ信号を入力画像データとして画像処理装置32に対して出力する(S100)。画像処理装置32のMPUは、スキャナ部30から入力されたRGBアナログ信号を、A/D変換部100、シェーディング補正部101、入力階調補正部102、領域分離処理部103、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、及び、出力階調補正部107の順に送ることで、各部において一連の画像処理を行なわせるとともに、生成したCMYKデジタル信号を階調再現処理部108に対して出力する(S101)。
【0076】
階調再現処理部108は、記憶部109から集中型ディザスクリーンAを読出し、入力されたCMYKデジタル信号に対して、読出した集中型ディザスクリーンAを使用して階調再現処理を行なう(S102)。階調再現処理後に階調再現処理部108から出力される出力画像データ(以下「第1出力画像データ」と記す。)は、集中型ディザスクリーンAに関連付けて記憶部109に格納される(S103)。図6は、第1出力画像データに基づく網点画像300a〜300eを示す図である。以下、画像濃度に対応する個々の網点画像を区別する場合には、アルファベットa〜eを参照符号の末尾にそれぞれ付し、総称する場合は参照符号のみで表す。図6を参照して、網点画像300a〜300eは、ディザスクリーン最適化用原稿に基づく入力画像データに対し、集中型ディザスクリーンAを使用した際に得られる出力画像である。網点画像300a〜300eは、ディザスクリーン最適化用原稿に含まれる5つの画像にそれぞれ対応しており、この順に、対応する画像の画像濃度が大きくなるように配置されている。網点画像300a〜300eにおけるドットパターンのドットサイズは、対応する画像濃度が大きくなるにつれて大きくなる。
【0077】
画像処理装置32のMPUは、記憶部109に格納される全ての集中型ディザスクリーンA〜Cに対し、対応する出力画像データが関連付けて格納されていないと判定する(S104にてNO)。上記判定がなされると、階調再現処理部108は、記憶部109から、対応する出力画像データが関連付けて格納されていない集中型ディザスクリーンBを読出し、入力されたCMYKデジタル信号に対して、読出した集中型ディザスクリーンBに基づく階調再現処理を行なう(S102)。階調再現処理後に階調再現処理部108から出力される出力画像データ(以下「第2出力画像データ」と記す。)は、集中型ディザスクリーンBに関連付けて記憶部109に格納される(S103)。図7は、第2出力画像データに基づく網点画像310a〜310eを示す図である。図7を参照して、網点画像310a〜310eは、ディザスクリーン最適化用原稿に基づく入力画像データに対し、集中型ディザスクリーンBを使用した際に得られる出力画像である。網点画像310a〜310eは、ディザスクリーン最適化用原稿に含まれる5つの画像にそれぞれ対応しており、この順に、対応する画像の画像濃度が大きくなるように配置されている。網点画像310a〜310eにおけるドットパターンのドットサイズは、対応する画像濃度が大きくなるにつれて大きくなる。
【0078】
画像処理装置32のMPUは、記憶部109に格納される全ての集中型ディザスクリーンA〜Cに対し、対応する出力画像データが関連付けて格納されていないと判定する(S104にてNO)。上記判定がなされると、階調再現処理部108は、記憶部109から、対応する出力画像データが関連付けて格納されていない集中型ディザスクリーンCを読出し、入力されたCMYKデジタル信号に対して、読出した集中型ディザスクリーンCに基づく階調再現処理を行なう(S102)。階調再現処理後に階調再現処理部108から出力される出力画像データ(以下「第3出力画像データ」と記す。)は、集中型ディザスクリーンCに関連付けて記憶部109に格納される(S103)。図8は、第3出力画像データに基づく網点画像320a〜320eを示す図である。図8を参照して、網点画像320a〜320eは、ディザスクリーン最適化用原稿に基づく入力画像データに対し、集中型ディザスクリーンCを使用した際に得られる出力画像である。網点画像320a〜320eは、ディザスクリーン最適化用原稿に含まれる5つの画像にそれぞれ対応しており、この順に、対応する画像の画像濃度が大きくなるように配置されている。網点画像320a〜320eにおけるドットパターンのドットのサイズは、対応する画像濃度が大きくなるにつれて大きくなる。
【0079】
画像処理装置32のMPUは、記憶部109に格納される全ての集中型ディザスクリーンA〜Cに対し、対応する出力画像データが関連付けて格納されたと判定する(S104にてYES)。上記判定がなされると、粒状度算出部110は、記憶部109に格納された第1出力画像データ〜第3出力画像データに基づいて、網点画像300a〜300e,310a〜310e,320a〜320eにおけるドットパターンの粒状度をそれぞれ算出することで、網点面積率毎の粒状度を出力画像データ毎に算出するとともに、算出した粒状度と対応する網点面積率との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成する(S105)。以下、第1出力画像データ〜第3出力画像データに対応する粒状度データを、それぞれ第1粒状度データ〜第3の粒状度データと記す。粒状度算出部110によって作成された第1粒状度データ〜第3の粒状度データは、それぞれ対応する集中型ディザスクリーンA〜Cに関連付けて記憶部109に格納される(S106)。
【0080】
第1粒状度データ〜第3粒状度データは、図9に示すようなグラフ形式で格納される。図9(A)〜図9(C)は、網点面積率に対して粒状度(gs)をプロットすることで得られる、第1粒状度データ〜第3粒状度データに対応するグラフをそれぞれ示す。図9(A)〜図9(C)に示す粒状度許容ラインL1は、粒状性が良好であるか否かを判断するためのしきい値を示すラインである。粒状度が粒状度許容ラインL1以下である場合、粒状性は良好であると判断できる。図9(A)を参照して、第1粒状度データにおける粒状度は、全ての画像濃度領域(網点面積率の範囲)A〜Cにおいて粒状度許容ラインL1以下であるので、良好な粒状性を示す。図9(B)を参照して、第2粒状度データにおける粒状度は、画像濃度領域Aを除いた画像濃度領域B,Cにおいては粒状度許容ラインL1以下であるため良好な粒状性を示すが、網点面積率の小さい画像濃度領域Aにおいては粒状度許容ラインL1を超えており、粒状性の悪化が見られる。図9(C)を参照して、第3粒状度データにおける粒状度は、網点面積率の大きい画像濃度領域Cにおいては粒状度許容ラインL1以下であるため良好な粒状性を示すが、画像濃度領域Cを除いた画像濃度領域A,Bにおいては粒状度許容ラインL1を超えており、粒状性の悪化が見られる。
【0081】
ディザスクリーン最適化部111は、記憶部109に格納される第1粒状度データ〜第3粒状度データ(図9参照)に基づいて、以下のようにして最適化ディザスクリーンを生成する(S107)。すなわち、ディザスクリーン最適化部111は、まず、第1粒状度データ〜第3粒状度データ毎に、粒状性が良好な画像濃度領域のデータを抽出する。これにより、第1粒状度データからは全ての画像濃度領域A〜Cのデータが抽出され、第2粒状度データからは画像濃度領域B,Cのデータが抽出され、第3粒状度データからは画像濃度領域Cのデータが抽出される。ディザスクリーン最適化部111は、さらに、抽出した画像濃度領域A〜Cのデータの中から、各画像濃度領域A〜Cにおける、最も解像度の高い集中型ディザスクリーンに基づくデータを抽出する。解像度は、集中型ディザスクリーンA〜Cの順に高くなるので、画像濃度領域Cにおいては集中型ディザスクリーンCに対応する第3粒状度データのデータが抽出され、画像濃度領域Bにおいては集中型ディザスクリーンBに対応する第2粒状度データのデータが抽出され、画像濃度領域Aにおいては集中型ディザスクリーンAに対応する第1粒状度データのデータが抽出される。ディザスクリーン最適化部111は、上記のようにして抽出された画像濃度領域毎のデータに基づいて集中型ディザスクリーンA〜Cを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する。生成された最適化ディザスクリーンは、記憶部109に格納される(S108)。
【0082】
図10は、最適化ディザスクリーンを使用することで得られる網点画像900a〜900eを示す図であり、図11は、最適化ディザスクリーンに基づく出力画像データに対応する粒状度データのグラフを示す図である。図10を参照して、網点画像900a〜900eは、ディザスクリーン最適化用原稿に基づく入力画像データに対し、最適化ディザスクリーンを使用した際に得られる出力画像である。網点画像900a〜900eは、ディザスクリーン最適化用原稿に含まれる5つの画像にそれぞれ対応しており、この順に、対応する画像の画像濃度が大きくなるように配置されている。網点画像900a〜900eにおけるドットパターンは、網点画像300a〜300e,310a〜310e,320a〜320eのドットパターンが組合わさったものである。図11を参照して、最適化ディザスクリーンに基づく出力画像データに対応する粒状度データにおける粒状度は、全ての画像濃度領域A〜Cにおいて粒状度許容ラインL1以下であり、良好な粒状性を示す。
【0083】
また、図10及び図11に示されるように、最適化ディザスクリーンは、粒状性の悪化し易い網点面積率の小さい領域(低画像濃度領域)には、良好な粒状性を得やすい低解像度の集中型ディザスクリーンを使用し、良好な粒状性を得やすい網点面積率の大きい領域(高画像濃度領域)には、良好な粒状性を比較的得にくい高解像度の集中型ディザスクリーンを使用するように、画像濃度の変化について解像度が段階的に移行するように合成されている。したがって、最適化ディザスクリーンを使用することによって、解像度及び画像濃度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。また、視覚的に滑らかに感じる階調再現が可能になる。
【0084】
(通常の印刷処理時における動作)
ユーザは、スキャナ部30の原稿載置台に所望の原稿を載置し、操作パネル36の印刷スタートキーを押下する。印刷スタートキーが押下されると、スキャナ部30は、原稿載置台に載置された原稿から画像情報を読取り、読取った画像情報に基づくRGBアナログ信号を入力画像データとして画像処理装置32に対して出力する。画像処理装置32のMPUは、スキャナ部30から入力されたRGBアナログ信号を、A/D変換部100、シェーディング補正部101、入力階調補正部102、領域分離処理部103、色補正部104、黒生成下色除去部105、空間フィルタ処理部106、出力階調補正部107、及び、階調再現処理部108の順に送ることで、各部において一連の画像処理を行なわせるとともに、生成した印刷用画像データをプリンタ部34に対して出力する。このとき、階調再現処理部108では、領域分離処理部103において写真領域と判別されたCMYKデジタル信号に対して、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施し、文字エッジ領域と判別されたCMYKデジタル信号に対して、高周波数再現に適した高解像のスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施す。また、網点領域であると判別されたCMYKデジタル信号に対して、階調及びディテールの再現性及び粒状性を重視した最適化ディザスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を施す。プリンタ部34は、用紙搬送部を介して搬送される記録用紙上に、印刷用画像データに基づく画像を印刷する。
【0085】
〈作用・効果〉
本実施の形態によれば、画像処理装置32において、記憶部109には解像度がそれぞれ異なる集中型ディザスクリーンA〜Cが予め格納されており、ディザスクリーン最適化処理時において、階調再現処理部108は、入力画像データに対して集中型ディザスクリーンA〜Cを使用して階調再現処理を行なうことで第1〜第3の出力画像データを生成し、粒状度算出部110は、第1〜第3の出力画像データに基づいて、各出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出するとともに、算出した粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成し、ディザスクリーン最適化部111は、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、集中型ディザスクリーンA〜Cを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する。また、通常の印刷処理時において、階調再現処理部108は、入力画像データに対して最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、印刷用画像データを生成する。
【0086】
このように、入力画像データに対して、解像度の異なる集中型ディザスクリーンA〜Cを使用して階調再現処理を行なうことで第1〜第3の出力画像データを生成し、生成した第1〜第3の出力画像データに基づいて、各出力画像データに基づくドットパターンの粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを出力画像データ毎に作成するので、出力画像データ毎の粒状度データから、解像度、粒状度及び画像濃度の関係を知ることができる。したがって、出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、集中型ディザスクリーンA〜Cを合成することで生成された最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことによって、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理を行なうことができる。
【0087】
また本実施の形態によれば、記憶部109は、出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔が、他の出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔の整数倍となるように設定される、集中型ディザスクリーンA〜Cを予め記憶する。これにより、解像度が異なる集中型ディザスクリーンA〜Cをより一層容易に作成することができるので、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層容易に行なうことができる。
【0088】
また本実施の形態によれば、ディザスクリーン最適化部111は、粒状度の大きい画像濃度領域には低解像度の集中型ディザスクリーンを使用し、粒状度の小さい画像濃度領域には、高解像度の集中型ディザスクリーンを使用するように、集中型ディザスクリーンA〜Cを合成する。これにより、解像度及び画像濃度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層確実に行なうことができる。
【0089】
また本実施の形態によれば、複写機22を含む印刷システム10は、上記の画像処理装置32と、入力画像データを作成し、作成した入力画像データを画像処理装置32に対して入力する入力装置であるスキャナ部30及び情報処理装置12と、画像処理装置32から出力される印刷用画像データに基づく画像を出力するプリンタ部34とを含む。このように、画像形成装置として機能する印刷システム10は、上記の画像処理装置32を含むので、解像度に影響されることなく、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成することができる。また、装置のコストを上げることなく、容易に高品質の画像を形成することができる。
【0090】
また本実施の形態によれば、ディザスクリーン最適化処理は、キャリブレーション時に行なわれる。これにより、画像処理の実行時の環境及び使用状況等を考慮して、ディザスクリーン最適化処理を行なうことができるので、階調及びディテールの再現性、並びに、粒状性に優れる高品質の画像を形成可能な階調再現処理をより一層確実に行なうことができる。
【0091】
なお、上記実施の形態においては、入力装置として、スキャナ部30及び情報処理装置12が使用されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、フラッドベッドスキャナ、フィルムスキャナ、又は、デジタルカメラが使用されてもよい。また、印刷システム10の一部としてデジタルカラー複写機22が使用されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、プリンタ機能のみを有するプリンタ、又は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を併せ持つデジタル複合機が使用されてもよい。また、モノクロ画像を形成する複写機が使用されてもよい。
【0092】
また上記実施の形態によれば、ディザスクリーン最適化処理をキャリブレーション時に行なったが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、全ての印刷処理の開始前に行なってもよい。
【0093】
また上記実施の形態においては、網点領域であると判別されたCMYKデジタル信号に対して最適化ディザスクリーンを使用した階調再現処理が行なわれたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、写真領域又は文字エッジ領域であると判別されたCMYKデジタル信号に対して行なわれてもよい。
【0094】
また上記実施の形態においては、粒状度算出部110は、記憶部109に格納される第1〜第3出力画像データに基づいて粒状度を算出したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、プリンタ部34によって第1〜第3出力画像データに基づく印刷画像が形成され、複写機22に設けられる濃度計(図示せず。)によってそれら印刷画像における粒状度が測定され、その測定結果に基づいて粒状度を算出してもよい。
【0095】
また上記実施の形態においては、制御部24及び画像処理装置32のMPUが、ROM42又はHDD46に記憶されるコンピュータプログラムに従って画像処理装置32における一連の画像処理を実行したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、情報処理装置12のHDD212に記憶されるプリンタドライバの一部が一連の画像処理を実行するようにプログラミングされ、制御部200が上記プリンタドライバの一部に従って画像処理を実行してもよい。図12は、情報処理装置12によって実行される画像処理の流れの一例を示すブロック図である。図12を参照して、制御部200は、上記プリンタドライバ402の一部に従って情報処理装置12の各部の動作を制御することによって、色補正部104、黒生成下色除去部105、階調再現処理部108、及び、プリンタ言語翻訳部400としての機能を、ハードウェアとコンピュータプログラムとの協働により実現する。すなわち、情報処理装置12は、上記したプリンタドライバを実行することで、図形描画ツール及びワードプロセッサ等のアプリケーションソフトを実行することによって作成された画像データと、画像データにおける各画素がどの領域に属するのかを示す領域識別信号とを、色補正部104、黒生成下色除去部105、及び、階調再現処理部108の順に送ることで、各部において一連の画像処理を行なわせるとともに、生成したCMYKデジタル信号をプリンタ言語翻訳部400によってプリンタ記述言語に変換して入力画像データを作成する。作成された入力画像データは、通信ポートドライバ404の管理のもと通信ポート218を介して複写機22に対して出力される。
【0096】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0097】
10 印刷システム
12 情報処理装置
20 ネットワーク
22 デジタルカラー複写機
24,200 制御部
26,228 BUSライン
30 スキャナ部
32 画像処理装置
34 プリンタ部
36 操作パネル
38 NIC
39 電源制御部
100 A/D変換部
101 シェーディング補正部
102 入力階調補正部
103 領域分離処理部
104 色補正部
105 黒生成下色除去部
106 空間フィルタ処理部
107 出力階調補正部
108 階調再現処理部
109 記憶部
110 粒状度算出部
111 ディザスクリーン最適化部
212 HDD
214 操作部
216 表示部
218 通信ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する記憶手段と、
入力画像データに対して前記複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第1の階調再現処理手段と、
前記複数の出力画像データに基づいて、前記出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した前記粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、前記出力画像データ毎に作成する粒状度算出手段と、
前記出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、前記複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成するディザスクリーン最適化手段と、
入力画像データに対して前記最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、印刷用画像データを生成する第2の階調再現処理手段と、を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔が、他の前記出力画像データに基づくドットパターンにおけるドットの配置間隔の整数倍となるように設定される、前記複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ディザスクリーン最適化手段は、前記粒状度の大きい画像濃度領域には、低解像度の前記集中型ディザスクリーンを使用し、前記粒状度の小さい画像濃度領域には、高解像度の前記集中型ディザスクリーンを使用するように、前記複数の集中型ディザスクリーンを合成する、請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
入力画像データを作成し、作成した入力画像データを前記画像処理装置に対して入力する入力手段と、
前記画像処理装置から出力される印刷用画像データに基づく画像を出力する出力装置と、を含む、画像形成装置。
【請求項5】
解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する第1のステップと、
入力画像データに対して前記複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第2のステップと、
前記複数の出力画像データに基づいて、前記出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した前記粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、前記出力画像データ毎に作成する第3のステップと、
前記出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、前記複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する第4のステップと、
入力画像データに対して前記最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なう第5のステップと、を含む画像処理方法。
【請求項6】
前記第2のステップ〜前記第4のステップは、キャリブレーション時に行なわれる、請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータにより実行されると、
解像度の異なる複数の集中型ディザスクリーンを予め記憶する第1のステップと、
入力画像データに対して前記複数の集中型ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なうことで、複数の出力画像データを生成する第2のステップと、
前記複数の出力画像データに基づいて、前記出力画像データに基づくドットパターンの粒状度を算出し、算出した前記粒状度と画像濃度との関係を示す粒状度データを、前記出力画像データ毎に作成する第3のステップと、
前記出力画像データ毎の粒状度データに基づいて、前記複数の集中型ディザスクリーンを合成することで、最適化ディザスクリーンを生成する第4のステップと、
入力画像データに対して前記最適化ディザスクリーンを使用して階調再現処理を行なう第5のステップと、を含む画像処理方法を実行するように当該コンピュータを動作させる、コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムを記録した、コンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−213151(P2010−213151A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59166(P2009−59166)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】