説明

画像処理装置、画像表示システム、電子機器及び画像処理方法

【課題】できるだけ小さい規模で、画像にかかわらず、複数の画像が合成された合成画像の画質を向上させる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理部と、第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う画像合成部とを含み、前記画像処理部は、前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後の合成処理データ、又は前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替え出力可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示システム、電子機器及び画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置に代表される画像表示装置が表示する画像の高精細化が進み、オリジナルの画像データをそのまま適用しただけでは、高画質化の効果を十分得られない場合がある。その場合、この画像データに対して視環境に応じた画像処理を行うことで、より一層の高画質化が可能となる。その一方、このような画像表示装置が適用された電子機器においても、画面サイズの拡大等によって表示すべき画像のサイズや種類を多くして、表示すべき情報量が多くなっている。このため、画像表示装置に対して画像データを供給する画像処理装置は、表示すべき画像に対応した画像データに対して画像処理を行ったり、複数の画像の合成処理を行ったりする。
【0003】
このような画像処理装置における画像処理及び合成処理については、種々提案されている。例えば特許文献1には、複数の画像信号に対して画像信号毎に色空間の補正を行う色空間補正回路が設けられ、画像合成回路により各色空間補正回路の出力がそれぞれ主画面と副画面となるように1枚に画像に合成する処理を行うようにした画像出力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−86728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、画像信号毎に同じ構成を有する色空間補正回路を設ける必要があり、回路規模の増大を招くという問題がある。また、この特許文献1では、色空間補正回路による補正処理が、画像合成回路による合成処理の前段で行われているが、表示すべき画像によっては画像合成回路の後段で補正処理を行った方が画質を向上できる場合がある。即ち、画像によっては補正処理後に合成処理を行った方が画質を向上できる場合と、合成処理に補正処理後を行った方が画質を向上できる場合とがあり、特許文献1では、補正処理と合成処理の順番が固定されているため、画像によっては十分な効果が得られないこともあり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、できるだけ小さい規模で、画像にかかわらず、複数の画像が合成された合成画像の画質を向上させる画像処理装置、画像表示システム、電子機器及び画像処理方法等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、画像処理装置が、画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理部と、第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う画像合成部とを含み、前記画像処理部は、前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後の合成処理データ、又は前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替え出力可能に構成される。
【0008】
本態様によれば、画像に応じて画像処理の適用順序を変更して画像処理の効果を一部の画像領域、又は画面全体に適用することができるようになり、使い勝手のよい画像処理装置を提供できるようになる。
【0009】
(2)本発明の他の態様に係る画像処理装置では、前記画像処理部は、前記画像合成部の入力側の1つ、又は前記画像合成部の出力側のいずれかの位置に切り替え挿入可能に構成される。
【0010】
本態様によれば、1つの画像処理部を備え、該画像処理部の挿入位置を切り替えることで、構成を簡素化し、且つ、規模を大きくすることなく、上記の効果を得ることができるようになる。
【0011】
(3)本発明の他の態様に係る画像処理装置は、前記合成処理データ又は前記画像処理データを、前記画像処理装置が出力する画像データに対応した垂直同期信号に同期して切り替え出力可能に構成される。
【0012】
本態様によれば、画像データに基づく表示画像に、画像処理部による画像処理の挿入位置の切り替えに起因する影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【0013】
(4)本発明の他の態様に係る画像処理装置は、前記画像処理装置の制御データが設定される第1の制御レジスターと、前記第1の制御レジスターに設定される制御データが、前記垂直同期信号に同期して設定される第2の制御レジスターと、前記第2の制御レジスターに設定される制御データをデコードして前記画像処理装置を制御するデコーダーとを含み、前記デコーダーが出力する制御信号に基づいて、前記合成処理データ又は前記画像処理データを切り替えて出力する。
【0014】
本態様によれば、簡素な構成で、画像処理装置の制御内容を垂直同期信号に同期して反映させて、上記の効果を得ることができるようになる。
【0015】
(5)本発明の他の態様に係る画像処理装置は、第1の切り替え制御信号に基づいて、前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータ、又は前記第1の画像データを所与の遅延量だけ遅延させた第1の遅延データを前記画像合成部に出力する第1の選択回路と、第2の切り替え制御信号に基づいて、前記第2の画像データに対する前記画像処理後のデータ、又は前記第2の画像データを前記遅延量だけ遅延させた第2の遅延データを前記画像合成部に出力する第2の選択回路と、第3の切り替え制御信号に基づいて、前記画像合成部の出力に対する前記画像処理後のデータ、又は前記画像合成部の出力を前記遅延量だけ遅延させた第3の遅延データを出力する第3の選択回路とを含み、前記第1の切り替え制御信号、前記第2の切り替え制御信号及び前記第3の切り替え制御信号が互いに同期して変化する。
【0016】
本態様によれば、選択回路を設けることにより、画像処理部を画像合成部の入力側の1つ、又は出力側のいずれかに配置できるようになり、規模を大きくすることなく、画像に応じて画像処理の適用順序を変更して画像処理の効果を一部の画像領域、又は画面全体に適用することができるようになり、使い勝手のよい画像処理装置を提供できるようになる。
【0017】
(6)本発明の他の態様に係る画像処理装置では、前記遅延量が、前記画像処理部の遅延量となるように設定されている。
【0018】
本態様によれば、上記の効果に加えて、各部の出力データの出力タイミングが、別の位置に画像処理回路部が挿入された場合と同様となり、後段での遅延制御を不要にできるようになる。
【0019】
(7)本発明の他の態様は、画像表示システムが、上記のいずれか記載の画像処理装置と、前記画像処理装置によって供給された画像データに基づいて、画像表示を行う画像表示装置とを含む。
【0020】
本態様によれば、できるだけ小さい規模で、画像にかかわらず、複数の画像が合成された合成画像の画質を向上させる画像処理装置が適用された画像表示システムを提供できるようになる。
【0021】
(8)本発明の他の態様に係る画像表示システムは、前記画像処理装置に制御データを設定して前記画像処理装置を制御するホスト装置を含む。
【0022】
本態様によれば、ホスト装置を内蔵することで低コスト化に寄与し、且つ、できるだけ小さい規模で、画像にかかわらず、複数の画像が合成された合成画像の画質を向上させる画像処理装置が適用された画像表示システムを提供できるようになる。
【0023】
(9)本発明の他の態様は、電子機器が、上記のいずれか記載の画像処理装置を含む。
【0024】
本態様によれば、できるだけ小さい規模で、画像にかかわらず、複数の画像が合成された合成画像の画質を向上させる画像処理装置が適用された電子機器を提供できるようになる。
【0025】
(10)本発明の他の態様は、画像処理方法が、画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理ステップと、第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う画像合成ステップとを含み、前記画像処理ステップは、前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後の合成処理データ、又は前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替えて出力する。
【0026】
本態様によれば、画像に応じて画像処理の適用順序を変更して画像処理の効果を一部の画像領域、又は画面全体に適用することができるようになり、使い勝手のよい画像処理方法を提供できるようになる。
【0027】
(11)本発明の他の態様は、前記合成処理データ又は前記画像処理データを、前記画像処理装置が出力する画像データに対応した垂直同期信号に同期して切り替えて出力する。
【0028】
本態様によれば、画像データに基づく表示画像に、画像処理の挿入位置の切り替えに起因する影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る一実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の画像処理装置の構成の概要を示す図。
【図3】画像の合成処理の説明図。
【図4】図4(A)、図4(B)は本実施形態の比較例の説明図。
【図5】図2の画像合成処理部の構成例の説明図。
【図6】図5の画像合成処理部の構成例のブロック図。
【図7】図6のデコーダーの動作説明図。
【図8】図6の画像合成回路の構成例のブロック図。
【図9】図8の合成回路の構成例のブロック図。
【図10】本実施形態のLCDI/Fの構成例のブロック図。
【図11】画像処理回路の切り替えタイミングの説明図。
【図12】本実施形態における電子機器としての携帯電話機の構成例のブロック図。
【図13】図13(A)、図13(B)は本実施形態における画像処理装置又は画像表示システムが適用された電子機器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
【0031】
以下では、本発明に係る画像表示装置として液晶表示装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下では、画像処理装置における画像の合成処理において2つの画像を合成する例について説明する。
【0032】
1. 画像表示システム
図1に、本発明に係る一実施形態における画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0033】
本実施形態における画像表示システム10は、液晶表示装置(広義には、画像表示装置)20と、画像処理装置(表示コントローラー、画像処理コントローラー、画像供給装置)100と、ホスト装置200とを含む。ホスト装置200は、液晶表示装置20に表示する2つの画像に対応した画像データ(第1の画像データ、第2の画像データ)を生成し、画像処理装置100に対して出力する。画像処理装置100は、ホスト装置200からの2つの画像の少なくとも1つの画像に対して画像処理を行って、結果的に上記2つの画像を合成した合成画像を生成し、該合成画像の画像データを液晶表示装置20に供給する。液晶表示装置20は、画像処理装置100からの画像データに基づいて2つの画像が合成された合成画像の表示を行う。
【0034】
ホスト装置200は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:以下、CPU)及びメモリーを有し、該メモリーに記憶されたプログラムを読み込んだCPUが、該プログラムに対応した処理を実行することで、例えばコンテンツ画像に対応した画像データを生成する。例えばコンテンツ画像としては、動画や静止画、カメラで撮影した自然画、操作に必要なメニュー画面、アイコンなどの文字・図形情報等がある。また、ホスト装置200は、制御データを画像処理装置100の制御レジスターに設定することで、画像処理装置100を制御することができる。
【0035】
画像処理装置100は、合成処理の前又は後に画像処理を切り替えて実施可能に構成されており、ホスト装置200からの第1の画像データに対する画像処理後のデータと第2の画像データとを用いた合成処理後の合成処理データ、又は第1の画像データと第2の画像データとを用いた合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替え出力可能に構成される。即ち、画像処理ステップとして、画像データに対して所与の画像処理を行い、画像合成ステップとして、第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う場合に、画像処理ステップは、第1の画像データに対する画像処理後のデータと第2の画像データとを用いた合成処理後の合成処理データ、又は第1の画像データと第2の画像データとを用いた合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替えて出力する。また、画像処理装置100は、画像データ、水平同期信号、垂直同期信号、画素クロックを生成し、液晶表示装置20に対して出力する。
【0036】
液晶表示装置20は、液晶表示パネル30と、液晶駆動回路40とを含む。液晶表示パネル30は、第1のガラス基板及び第2のガラス基板の間に液晶を封入したものである。第1のガラス基板は例えばアクティブマトリクス基板であり、各画素にアクティブ素子である薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:以下、TFT)が設けられている。各画素のTFTのドレイン端子に透明画素電極が、ソース端子にデータ線であるソース線が、ゲート端子に走査線であるゲート線がそれぞれ接続されている。第1のガラス基板と対向する第2のガラス基板には透明電極が設けられている。第2のガラス基板上には、第1のガラス基板の短辺に沿って、液晶表示パネル30を駆動する液晶駆動回路40がCOG実装されている。液晶駆動回路40は、液晶表示パネル30のゲート線に走査信号を、ソース線にデータ信号を供給して液晶表示パネル30を表示駆動する。
【0037】
このような構成において、画像処理装置100では、ホスト装置200が生成する画像に応じて、1つの画像に対する画像処理後に合成処理を行った合成画像の画像データ、又は合成処理後にまとめて画像処理を行った画像データを生成し、液晶表示装置20は、これらのいずれかの画像データに基づいて合成画像の表示を行うことができる。これにより、1つの画像処理回路を備えるのみで、回路規模を大きくすることなく、画像に応じて画像処理の適用順序を変更して画像処理の効果を一部の画像領域、又は画面全体に適用することができるようになり、使い勝手のよい画像処理装置を提供できるようになる。
【0038】
2. 画像処理装置
図2に、図1の画像処理装置100の構成の概要を示す。
【0039】
画像処理装置100は、ホストインターフェース(InterFace:以下、I/F)110、メモリー120、画像合成処理部130、LCDI/F160、制御レジスター部180を含む。ホストI/F110は、ホスト装置200に接続されたバスを介して入力される画像データ又は制御データに対応する信号の受信インターフェース処理を行う。メモリー120は、ホストI/F110を介してホスト装置200から入力された2つの画像の画像データをそれぞれ別の領域に保存する。メモリー120は、画像毎に別個に設けられたメモリー素子により構成されていてもよいし、1つのメモリー素子内に2つの画像の画像データを独立に保存するようにしてもよい。
【0040】
画像合成処理部130は、メモリー120に保存された2つの画像の画像データの読み出し制御を行い、それぞれ第1の画像データIMG1、第2の画像データIMG2として取り込む。そして、画像合成処理部130は、第1の画像データIMG1に対する画像処理後のデータと第2の画像データIMG2とを用いた合成処理後の合成処理データ、又は第1の画像データIMG1と第2の画像データIMG2とを用いた合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替えて出力する。この切り替え制御は、制御レジスター部180に設定された制御データに基づいて行われる。画像合成処理部130から出力される画像データは、出力画像データIMGOとしてLCDI/F160に出力される。
【0041】
LCDI/F160は、液晶駆動回路40に接続されたバスを介して入出力される信号の送信インターフェース処理を行う。また、LCDI/F160は、液晶表示装置20における表示タイミング制御信号を生成し、画像処理装置100の各部及び液晶表示装置20に対して出力する。この表示タイミング制御信号としては、表示用の垂直同期信号VSYNC、表示用の水平同期信号HSYNC、表示用の画素クロックDCLKがあり、LCDI/F160は、上記の表示タイミング制御信号と、該表示タイミング制御信号に同期した送信インターフェース処理後の画像データDを液晶表示装置20に対して出力する。
【0042】
制御レジスター部180は、画像処理装置100を制御する複数の制御レジスターを含み、ホストI/F110を介してホスト装置200からの制御データが、対応する制御レジスターに設定される。そして、制御レジスターに設定される制御データに基づいて、画像合成処理部130における画像処理及び合成処理の順序が変更される。更に、本実施形態では、ホスト装置200によって設定される制御データが、LCDI/F160によって生成される表示用の垂直同期信号VSYNCに同期して、対応する制御レジスターに設定される。これにより、垂直同期信号VSYNCに同期して、ホスト装置200からの制御データに基づく画像処理装置100の制御が反映されることになる。
【0043】
ここで、本実施形態における画像の合成処理について説明する。
【0044】
図3に、画像の合成処理の説明図を示す。
【0045】
図3では、第1の画像データIMG1が写真画像の画像データであり、第2の画像データIMG2がテキスト画像の画像データであるものとする。第1の画像データIMG1の写真画像を背景画像として、第2の画像データIMG2のテキスト画像を合成する場合、第2の画像データIMG2の背景領域をキーカラーとして、該キーカラーに一致する領域に第1の画像データIMG1の画像データが設定されるように1枚の画像の画像データが生成される。
【0046】
このような合成処理を行う際に、画像処理を行う必要がある場合、次のようなケースが考えられる。
【0047】
図4(A)、図4(B)に、本実施形態の比較例の説明図を示す。図4(A)は、画像の合成処理の前段で第1の画像データIMG1に対する画像処理が行われる例を表す。図4(B)は、合成処理の後段で、合成画像の画像データに対する画像処理が行われる例を表す。なお、図4(A)では、第1の画像データIMG1に対してのみ画像処理を行う例を説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
【0048】
即ち、図4(A)では、第1の画像データIMG1に対して画像処理回路500が画像処理を行った画像処理後データが、画像合成回路510に入力される。そして、画像合成回路510は、画像処理回路500による画像処理後データと第2の画像データIMG2とを合成した合成画像データを出力画像データIMGOとして出力する。
【0049】
これに対し、図4(B)では、画像合成回路520が、第1の画像データIMG1と第2の画像データIMG2とを合成した合成画像データIMG3を生成する。そして、画像処理回路530は、この合成画像データIMG3に対して画像処理を行い、画像処理後の画像データを出力画像データIMGOとして出力する。
【0050】
ところが、回路規模の縮小等を目的として画像処理回路が1つの構成を採用した場合、図4(A)のケースでは、第1の画像データIMG1の画像である写真画像に対してのみ画像処理の効果が現れ、第2の画像データIMG2の画像であるテキスト画像には画像処理の効果が現れることがない。一方、図4(B)のケースでは、第1の画像データIMG1の画像である写真画像と第2の画像データIMG2の画像であるテキスト画像との両方に、画像処理の効果が現れることになる。そのため、図4(A)、図4(B)のそれぞれのケースに固定されてしまい、合成対象の画像の組み合わせによっては、別のケースで画像の合成を行った方が合成画像の画質を向上させることができる場合がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、合成処理の前又は後に画像処理を切り替えて実施可能とする構成を採用し、合成対象の画像に応じて画像処理の効果を画面の一部又は全部に適用できるようにしている。
【0052】
図5に、図2の画像合成処理部130の構成例の説明図を示す。図5において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図5では、LCDI/F160の他に、図2において図示しない切り替え制御回路140もあわせて示している。
【0053】
画像合成処理部130は、画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理回路(広義には、画像処理部。図5では図示せず)132と、第1の画像データIMG1及び第2の画像データIMG2を用いて画像の合成処理を行う画像合成回路134とを含む。ここで、画像処理回路132が行う画像処理としては、画像の拡大処理及び縮小処理、シャープネス処理、色補正処理等があり、公知の処理を採用できる。そして、画像合成処理部130は、画像処理回路132を、画像合成回路134の入力側の1つ(図5の位置132又は位置132)、又は画像合成回路134の出力側(図5の位置132)のいずれかの位置に切り替え挿入可能に構成されることで、第1の画像データIMG1に対する画像処理後のデータと第2の画像データIMG2とを用いた合成処理後の合成処理データ、又は第1の画像データIMG1と第2の画像データIMG2とを用いた合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替えて出力する。
【0054】
このとき、切り替え制御回路140は、図2の制御レジスター部180の一部の機能も有し、LCDI/F160からの表示用に垂直同期信号VSYNCに同期して、画像処理回路132を、画像合成回路134の入力側の1つ(132又は132)、又は画像合成回路134の出力側(132)のいずれかの位置に切り替え挿入できるようにしている。このため、液晶表示装置20が表示する画像に、画像処理回路132の挿入位置の切り替えに起因する影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【0055】
次に、本実施形態における画像処理装置100の構成の要部について説明する。
【0056】
図6に、図5の画像合成処理部130の構成例のブロック図を示す。図6において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。また、図6には、図2の制御レジスター部180と、図5では図示しないデコーダーもあわせて図示している。
【0057】
画像合成処理部130は、画像処理回路132、画像合成回路134の他に、第1のマルチプレクサーMUL1(第1の選択回路)、第2マルチプレクサーMUL2(第2の選択回路)、第3のマルチプレクサーMUL3(第3の選択回路)、第4のマルチプレクサーMUL4(第4の選択回路)、デマルチプレクサーDMUL(分配回路)、第1の遅延回路DL1、第2の遅延回路DL2、第3の遅延回路DL3を含む。第1のマルチプレクサーMUL1、第2のマルチプレクサーMUL2、及び第3のマルチプレクサーMUL3は、2入力1出力の選択回路であり、それぞれ切り替え制御信号S1(第1の切り替え制御信号)、S2(第2の切り替え制御信号)、S3(第3の切り替え制御信号)により切り替え制御が行われる。第4のマルチプレクサーMUL4は、3入力1出力の選択回路であり、切り替え制御信号S4により切り替え制御が行われる。デマルチプレクサーDMULは、1入力3出力の分配回路であり、切り替え制御信号S5により切り替え制御が行われる。第1の遅延回路DL1、第2の遅延回路DL2、及び第3の遅延回路DL3は、それぞれ同様の構成を有し、同じ遅延量(遅延時間)だけ入力信号を遅延させて出力信号を出力する。各遅延回路の遅延量は、画像処理回路132の遅延量dtである。
【0058】
第1のマルチプレクサーMUL1には、デマルチプレクサーDMULの出力aと第1の遅延回路DL1の出力とが入力され、その出力データが画像合成回路134に入力される。第2のマルチプレクサーMUL2には、デマルチプレクサーDMULの出力bと第2の遅延回路DL2の出力とが入力され、その出力データが画像合成回路134に入力される。第3のマルチプレクサーMUL3には、デマルチプレクサーDMULの出力cと第3の遅延回路DL3の出力とが入力され、その出力データが出力画像データIMGOとしてLCDI/F160に対して出力される。
【0059】
第4のマルチプレクサーMUL4には、第1の画像データIMG1と第2の画像データIMG2と画像合成回路134が出力する合成画像データIMG3とが入力され、その出力データが画像処理回路132に入力される。デマルチプレクサーDMULには、画像処理回路132の出力データが入力され、出力aからの出力データが第1のマルチプレクサーMUL1の入力a、出力bからの出力データが第2のマルチプレクサーMUL2の入力a、出力cからの出力データが第3のマルチプレクサーMUL3の入力aにそれぞれ入力される。
【0060】
第1の遅延回路DL1は、第1の画像データIMG1を、画像処理回路132の遅延量dtだけ遅延させた第1の遅延データを生成し、第1の遅延データを第1のマルチプレクサーMUL2の入力bに対して出力する。画像処理回路132が所与のクロックに同期して動作する場合、第1の遅延回路DL1は、遅延量dtに相当するクロック数だけ第1の画像データIMG1を遅延させる。
【0061】
第2の遅延回路DL2は、第2の画像データIMG2を、画像処理回路132の遅延量dtだけ遅延させた第2の遅延データを生成し、第2の遅延データを第2のマルチプレクサーMUL2の入力bに対して出力する。画像処理回路132が所与のクロックに同期して動作する場合、第2の遅延回路DL2は、遅延量dtに相当するクロック数だけ第2の画像データIMG2を遅延させる。
【0062】
第3の遅延回路DL3は、画像合成回路134が出力する合成画像データIMG3を、画像処理回路132の遅延量dtだけ遅延させた第3の遅延データを生成し、第3の遅延データを第3のマルチプレクサーMUL3の入力bに対して出力する。画像処理回路132が所与のクロックに同期して動作する場合、第3の遅延回路DL3は、遅延量dtに相当するクロック数だけ合成画像データIMG3を遅延させる。
【0063】
図6において、デコーダー142は、図5の切り替え制御回路140の機能を有し、ホスト装置200によって制御レジスター部180に設定された制御データに基づいて、切り替え制御信号S1、S2、S3、S4、S5を出力する。
【0064】
図7に、図6のデコーダー142の動作説明図を示す。図7は、画像処理回路132により第1の画像データIMG1に対して画像処理を行う場合にデコーダー142が出力する切り替え制御信号S1〜S5、画像処理回路132により第2の画像データIMG2に対して画像処理を行う場合にデコーダー142が出力する切り替え制御信号S1〜S5、画像処理回路132により画像合成回路134の出力データに対して画像処理を行う場合にデコーダー142が出力する切り替え制御信号S1〜S5を表す。
【0065】
第1の画像データIMG1に対して画像処理回路132による画像処理を行う場合、第4のマルチプレクサーMUL4が入力a、デマルチプレクサーDMULが出力a、第1のマルチプレクサーMUL1が入力a、第2のマルチプレクサーMUL2が入力b、第3のマルチプレクサーMUL3が入力bをそれぞれ選択するように、デコーダー142は、切り替え制御信号S1〜S5を生成する。これにより、第1のマルチプレクサーMUL1は、画像処理回路132による画像処理後の画像データを選択出力し、第2のマルチプレクサーMUL2及び第3のマルチプレクサーMUL3は、それぞれ遅延データを選択出力し、第1の画像データIMG1に対する画像処理後のデータと第2の画像データIMG2とを合成した画像の画像データが出力画像データIMGOとして出力される。
【0066】
このとき、第2のマルチプレクサーMUL2及び第3のマルチプレクサーMUL3が、それぞれ遅延データを選択出力するため、出力画像データIMGOの出力タイミングは図6の別の位置に画像処理回路132が挿入された場合と同様となり、後段での遅延制御を不要にできる。
【0067】
第2の画像データIMG2に対して画像処理回路132による画像処理を行う場合、第4のマルチプレクサーMUL4が入力b、デマルチプレクサーDMULが出力b、第1のマルチプレクサーMUL1が入力b、第2のマルチプレクサーMUL2が入力a、第3のマルチプレクサーMUL3が入力bをそれぞれ選択するように、デコーダー142は、切り替え制御信号S1〜S5を生成する。これにより、第2のマルチプレクサーMUL2は、画像処理回路132による画像処理後の画像データを選択出力し、第1のマルチプレクサーMUL1及び第3のマルチプレクサーMUL3は、それぞれ遅延データを選択出力し、第2の画像データIMG2に対する画像処理後のデータと第1の画像データIMG1とを合成した画像の画像データが出力画像データIMGOとして出力される。
【0068】
このとき、第1のマルチプレクサーMUL1及び第3のマルチプレクサーMUL3が、それぞれ遅延データを選択出力するため、出力画像データIMGOの出力タイミングは図6の別の位置に画像処理回路132が挿入された場合と同様となり、後段での遅延制御を不要にできる。
【0069】
画像合成回路134が出力する合成画像データIMG3に対して画像処理回路132による画像処理を行う場合、第4のマルチプレクサーMUL4が入力c、デマルチプレクサーDMULが出力c、第1のマルチプレクサーMUL1が入力b、第2のマルチプレクサーMUL2が入力b、第3のマルチプレクサーMUL3が入力aをそれぞれ選択するように、デコーダー142は、切り替え制御信号S1〜S5を生成する。これにより、第3のマルチプレクサーMUL3は、画像処理回路132による画像処理後の画像データを選択出力し、第1のマルチプレクサーMUL1及び第2のマルチプレクサーMUL2は、それぞれ遅延データを選択出力し、第1の画像データIMG1と第2の画像データIMG2とを合成した画像の画像データに対して画像処理を行ったデータが出力画像データIMGOとして出力される。
【0070】
このとき、第1のマルチプレクサーMUL1及び第2のマルチプレクサーMUL2が、それぞれ遅延データを選択出力するため、出力画像データIMGOの出力タイミングは図6の別の位置に画像処理回路132が挿入された場合と同様となり、後段での遅延制御を不要にできる。
【0071】
次に、図6の画像合成回路134について説明する。
【0072】
図8に、図6の画像合成回路134の構成例のブロック図を示す。なお、画像合成回路134の構成は図8に示すものに限定されるものではない。なお、図8では、例えば制御レジスター部180が内蔵するキーカラーレジスター186もあわせて図示ししている。
【0073】
画像合成回路134は、キーカラー比較回路190、合成回路192を含む。制御レジスター部180が内蔵するキーカラーレジスター186には、ホスト装置200によってキーカラー187及び透過率188が設定される。キーカラー187は、例えば背景画像に設定する階調値に対応した画素値として設定される。キーカラー比較回路190は、キーカラーレジスター186に設定されたキーカラー187と第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データとを画素単位で比較し、その結果を一致検出信号として画素毎に合成回路192に対して出力する。
【0074】
キーカラーレジスター186に設定された透過率188は、合成回路192に入力される。合成回路192は、一致検出信号に基づいて一致が検出された画素については透過率188に基づいて第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データと第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データとを合成し、出力画像データIMGOとして出力する。また、合成回路192は、一致検出信号に基づいて不一致が検出された画素については、予め決められた上書き順序に従って、第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データと第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データとを合成し、出力画像データIMGOとして出力する。
【0075】
図9に、図8の合成回路192の構成例のブロック図を示す。なお、合成回路192の構成は図9に示すものに限定されるものではない。なお、図9では、例えば制御レジスター部180が内蔵するキーカラーレジスター186もあわせて図示ししている。
【0076】
合成回路192は、第1の乗算器194、第2の乗算器196、加算器198を含む。第1の乗算器194には、第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データ、一致検出信号、及びキーカラーレジスター186に設定された透過率gが入力される。そして、第1の乗算器194は、一致検出信号により一致が検出されたときには、透過率を第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データに乗算して、その乗算結果を出力する。また、第1の乗算器194は、一致検出信号により一致が検出されたときには、透過率を「0」に設定して、その透過率を第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データに乗算して、その乗算結果を出力する。
【0077】
同様に、第2の乗算器196には、第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データ、一致検出信号、及びキーカラーレジスター186に設定された透過率gが入力される。そして、第2の乗算器196は、一致検出信号により一致が検出されたときには、透過率を(1−g)とし、その透過率を第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データに乗算して、その乗算結果を出力する。また、第2の乗算器196は、一致検出信号により一致が検出されたときには、透過率を「1」に設定して、その透過率を第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データに乗算して、その乗算結果を出力する。
【0078】
加算器198は、第1の乗算器194の乗算結果と第2の乗算器196の乗算結果とを加算し、加算結果を出力画像データIMGOとして出力する。
【0079】
これにより、合成回路192は、第1のマルチプレクサーMUL1の選択出力データをD1、第2のマルチプレクサーMUL2の選択出力データをD2とすると、次のような式により画素単位で合成画像の出力画像データIMGOを生成することができる。
IMGO=D1×g+D2×(1−g)
【0080】
また、本実施形態において、制御レジスター部180は、第1の制御レジスター182と、第2の制御レジスター184とを含む。第1の制御レジスター182には、ホスト装置200からの制御データが、ホストI/F110を介して設定される。第2の制御レジスター184は、第1の制御レジスター182に設定される制御データが、表示用の垂直同期信号VSYNCに同期して設定される。そして、デコーダー142は、第2の制御レジスター184に設定される制御データをデコードして切り替え制御信号S1〜S5を生成する。
【0081】
図10に、制御レジスター部180に表示用の垂直同期信号VSYNCを出力するLCDI/F160の構成例のブロック図を示す。
【0082】
LCDI/F160は、タイミング生成回路162、垂直同期信号生成回路164、水平同期信号生成回路166、画素クロック生成回路168、画像データI/F回路170を含む。タイミング生成回路162は、表示タイミング制御信号を生成するための基本クロックBCLKを生成する。垂直同期信号生成回路164は、基本クロックBCLKに基づいて垂直同期信号VSYNCを生成する。水平同期信号生成回路166は、基本クロックBCLKに基づいて水平同期信号HSYNCを生成する。画素クロック生成回路168は、基本クロックBCLKに基づいて画素クロックDCLKを生成する。画像データI/F回路170は、画像合成処理部130からの出力画像データIMGOに対して画素クロックDCLKで同期化して液晶表示装置20への送信インターフェース処理を行う。
【0083】
例えば図10に示す垂直同期信号VSYNC、水平同期信号HSYNC、及び画素クロックDCLKが、表示タイミング制御信号として液晶表示装置20に対して出力される。
【0084】
ところで、図10の垂直同期信号生成回路164によって生成された垂直同期信号VSYNCが、制御レジスター部180の第2の制御レジスター184に入力される。このため、デコーダー142は、垂直同期信号VSYNCに同期して、切り替え制御信号S1〜S5を変化させることになる。
【0085】
図11に、画像処理回路132の切り替えタイミングの説明図を示す。図11は、横軸を時間軸とし、表示用の垂直同期信号VSYNC、第1の制御レジスター182の設定内容、第2の制御レジスター184の設定内容、画像処理回路132の挿入位置を模式的に表す。
【0086】
例えば、表示用の垂直同期信号VSYNCにより規定される第1の垂直走査期間V1にまたがってホスト装置200が第1の制御レジスター182に制御データを設定していても、直ぐに第2の制御レジスター184に反映されず、次の垂直同期信号VSYNCに同期して反映される。デコーダー142は、第2の制御レジスター184に設定される制御データに基づいて切り替え制御信号S1〜S5を生成するため、切り替え制御信号S1〜S5は、第1の垂直走査期間V1の次の第2の垂直走査期間V2(或いは、回路構成上、次の第3の垂直走査期間V3)に変化する。従って、画像表示期間中であっても、例えば第1の垂直走査期間V1において、画像処理回路132が図5の位置132に挿入されている場合、第2の垂直走査期間V2(又は第3の垂直走査期間V3)において画像処理回路132が図5の位置132に切り替えられる。
【0087】
このように本実施形態では、垂直同期信号VSYNCに同期して画像処理回路132の挿入位置を画像表示中に切り替えることができ、液晶表示装置20が表示する画像に影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【0088】
3. 電子機器
本実施形態における画像処理装置100、又は画像処理装置100を含む画像表示システム10は、例えば次のような電子機器に適用することができる。
【0089】
図12に、本実施形態における電子機器としての携帯電話機の構成例のブロック図を示す。図12において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0090】
携帯電話機800は、カメラモジュール810を含む。カメラモジュール810は、CCDカメラを含み、CCDカメラで撮像した画像のデータを画像処理装置100に供給する。
【0091】
また、携帯電話機800は、液晶表示パネル30を含む。液晶表示パネル30は、液晶駆動回路40によって駆動される。液晶表示パネル30は、複数のゲート線、複数のソース線、複数の画素を含む。液晶駆動回路40は、ゲートドライバ42、ソースドライバ44及び電源回路46を含む。ゲートドライバ42は、液晶表示パネル30の複数のゲート線を走査する。ソースドライバ44は、液晶表示パネル30の複数のソース線を、画像データに基づいて駆動する。電源回路46は、ゲートドライバ42、ソースドライバ44及び液晶表示パネル30の電圧を生成する。電源回路46は、ソースドライバ44及びゲートドライバ42に接続され、各ドライバに対して、駆動用の電源電圧を供給する。また電源回路46は、液晶表示パネル30の対向電極に、対向電極電圧Vcomを供給する。
【0092】
画像処理装置100は、液晶駆動回路40に接続され、ソースドライバ44に対して上記の画像処理及び合成処理が行われたRGBフォーマットの画像データを供給する。
【0093】
ホスト装置200は、画像処理装置100に接続され、画像処理装置100を制御する。またホスト装置200は、アンテナ860を介して受信された画像データを、変復調部850で復調した後、画像処理装置100に供給できる。画像処理装置100は、この画像データに基づき、ソースドライバ44及びゲートドライバ42により液晶表示パネル30に表示させる。また、ホスト装置200は、カメラモジュール810で生成された画像データを変復調部850で変調した後、アンテナ860を介して他の通信装置への送信を指示できる。更に、ホスト装置200は、操作入力部870からの操作情報に基づいて画像データの送受信処理、カメラモジュール810の撮像、液晶表示パネル30の表示処理を行う。
【0094】
図13(A)、図13(B)に、本実施形態における画像処理装置100又は画像表示システム10が適用された電子機器の構成を示す斜視図を示す。図13(A)は、図12の携帯電話機の構成の斜視図を表す。図13(B)は、モバイル型のパーソナルコンピューターの構成の斜視図を表す。図13(A)において、図12と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0095】
図13(A)に示す携帯電話機800は、本体部880と、表示部890とを含む。表示部890として、本実施形態における画像表示システム10の液晶表示パネル30が実装される。本体部880は、画像表示システム10のうちホスト装置200を含み、この本体部880には操作入力部870としてキーボードが設けられる。即ち、携帯電話機800は、少なくとも上記の実施形態における画像処理装置100を含んで構成される。キーボードを介した操作情報がホスト装置200によって解析され、その操作情報に応じて表示部890に画像が表示される。本実施形態によれば、この表示部890の画質に影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【0096】
図13(B)に示すパーソナルコンピューター900は、本体部910と、表示部920とを含む。表示部920として、本実施形態における画像表示システム10の液晶表示パネル30が実装される。本体部910は、画像表示システム10のうちホスト装置200を含み、この本体部910にはキーボード930が設けられる。即ち、パーソナルコンピューター900は、少なくとも上記の実施形態における画像処理装置100を含んで構成される。キーボード930を介した操作情報がホスト装置200によって解析され、その操作情報に応じて表示部920に画像が表示される。本実施形態によれば、この表示部920の画質に影響を与えることなく、画像処理の効果を画面の一部又は全体に切り替えながら適用できるようになる。
【0097】
なお、本実施形態における画像処理装置100又は画像表示システム10が適用された電子機器として、図13(A)、図13(B)に示すものに限定されるものではなく、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0098】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示システム、電子機器及び画像処理方法等を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0099】
(1)本実施形態では、液晶表示装置に画像データを供給する画像処理装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態における画像処理装置が、有機EL表示装置やCRT(Cathode-Ray Tube)等の表示装置や画像投影装置に画像データを供給するようにしてもよい。
【0100】
(2)本実施形態では、画像処理装置100が液晶表示装置20及びホスト装置200の外部に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態における画像処理装置100が、液晶表示装置20又はホスト装置200に内蔵されていてもよい。
【0101】
(3)本実施形態では、画像処理装置における画像の合成処理において2つの画像を合成する例について説明するが、本発明は合成処理対象の画像数に限定されるものではなく、3以上の画像について合成処理を行う場合にも適用できる。
【0102】
(4)本実施形態において、本発明を、画像処理装置、画像表示システム、電子機器及び画像処理方法等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の画像処理方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…画像表示システム、 20…液晶表示装置、 30…液晶表示パネル、
40…液晶駆動回路、 100…画像処理装置、 110…ホストI/F、
120…メモリー、 130…画像合成処理部、
132,500,530…画像処理回路、 134,510,520…画像合成回路、
140…切替制御回路、 142…デコーダー、 160…LCDI/F、
162…タイミング生成回路、 164…垂直同期信号生成回路、
166…水平同期信号生成回路、 168…画素クロック生成回路、
170…画像データI/F回路、 180…制御レジスター部、
182…第1の制御レジスター、 184…第2の制御レジスター、
186…キーカラーレジスター、 187…キーカラー、 188…透過率、
190…キーカラー比較回路、 192…合成回路、 194…第1の乗算器、
196…第2の乗算器、 198…加算器、 200…ホスト装置、
800…携帯電話機、 810…カメラモジュール、 850…変復調部、
860…アンテナ、 870…操作入力部、 880,910…本体部、
890,920…表示部、 900…パーソナルコンピューター、
930…キーボード、 DL1…第1の遅延回路、 DL2…第2の遅延回路、
DL3…第3の遅延回路、 DL4…第4の遅延回路、
DMUL…デマルチプレクサー、 IMG1…第1の画像データ、
IMG2…第2の画像データ、 IMGO…出力画像データ、
MUL1…第1のマルチプレクサー、 MUL2…第2のマルチプレクサー、
MUL3…第3のマルチプレクサー、 MUL4…第4のマルチプレクサー、
S1〜S5…切替制御信号、 VSYNC…垂直同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理部と、
第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う画像合成部とを含み、
前記画像処理部は、
前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後の合成処理データ、又は前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替え出力可能に構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画像処理部は、
前記画像合成部の入力側の1つ、又は前記画像合成部の出力側のいずれかの位置に切り替え挿入可能に構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記合成処理データ又は前記画像処理データを、前記画像処理装置が出力する画像データに対応した垂直同期信号に同期して切り替え出力可能に構成されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記画像処理装置の制御データが設定される第1の制御レジスターと、
前記第1の制御レジスターに設定される制御データが、前記垂直同期信号に同期して設定される第2の制御レジスターと、
前記第2の制御レジスターに設定される制御データをデコードして前記画像処理装置を制御するデコーダーとを含み、
前記デコーダーが出力する制御信号に基づいて、前記合成処理データ又は前記画像処理データを切り替えて出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
第1の切り替え制御信号に基づいて、前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータ、又は前記第1の画像データを所与の遅延量だけ遅延させた第1の遅延データを前記画像合成部に出力する第1の選択回路と、
第2の切り替え制御信号に基づいて、前記第2の画像データに対する前記画像処理後のデータ、又は前記第2の画像データを前記遅延量だけ遅延させた第2の遅延データを前記画像合成部に出力する第2の選択回路と、
第3の切り替え制御信号に基づいて、前記画像合成部の出力に対する前記画像処理後のデータ、又は前記画像合成部の出力を前記遅延量だけ遅延させた第3の遅延データを出力する第3の選択回路とを含み、
前記第1の切り替え制御信号、前記第2の切り替え制御信号及び前記第3の切り替え制御信号が互いに同期して変化することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記遅延量が、
前記画像処理部の遅延量となるように設定されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって供給された画像データに基づいて、画像表示を行う画像表示装置とを含むことを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記画像処理装置に制御データを設定して前記画像処理装置を制御するホスト装置を含むことを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像処理装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
画像データに対して所与の画像処理を行う画像処理ステップと、
第1の画像データ及び第2の画像データを用いて画像の合成処理を行う画像合成ステップとを含み、
前記画像処理ステップは、
前記第1の画像データに対する前記画像処理後のデータと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後の合成処理データ、又は前記第1の画像データと前記第2の画像データとを用いた前記合成処理後のデータに対する画像処理後の画像処理データを切り替えて出力することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記合成処理データ又は前記画像処理データを、前記画像処理装置が出力する画像データに対応した垂直同期信号に同期して切り替えて出力することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−48046(P2011−48046A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195129(P2009−195129)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】