画像処理装置および画像処理プログラム
【課題】画像の特性に応じた圧縮により画質劣化を抑制しつつ高圧縮化を図ること。
【解決手段】本発明は、画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段(第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2)と、画像情報を表す色空間において画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮手段(第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2)のいずれかを選択する圧縮切替部22とを有する画像処理装置である。
【解決手段】本発明は、画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段(第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2)と、画像情報を表す色空間において画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮手段(第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2)のいずれかを選択する圧縮切替部22とを有する画像処理装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、画像データを二値化処理後、文字領域を抽出して、文字領域が黒色単色ならMMR(Modified Modified Read)圧縮、文字領域が多色ならZIP圧縮、文字領域外をJPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−244447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像の特性に応じた圧縮により画質劣化を抑制しつつ高圧縮化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段と、前記画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じて前記複数の圧縮手段のいずれかを選択する切替手段とを有する画像処理装置である。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、前記複数の圧縮手段として、非可逆圧縮方式である第1の圧縮手段と、可逆圧縮方式である第2の圧縮手段とを有し、前記切替手段が、前記前記抽出した複数の色情報の色相角が予め設定された閾値の範囲内にある場合は前記第1の圧縮手段を選択する請求項1記載の画像処理装置である。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の1ページ分を所定数に分割した領域ごと前記複数の圧縮手段のいずれかの選択を行う請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0008】
本願請求項4に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報の頻度を計数し、計数した頻度から前記複数の色情報を抽出する請求項1から3のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0009】
本願請求項5に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の色空間内の色域に応じて異なる前記閾値を用いる請求項1から4のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0010】
本願請求項6に係る発明は、前記切替手段が、前記複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0011】
本願請求項7に係る発明は、前記切替手段が、前記複数の圧縮手段のうち選択した1つへ前記画像情報を入力する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0012】
本願請求項8に係る発明は、画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出するステップと、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じ、異なる圧縮方式で画像情報を圧縮する複数の圧縮手段のうちいずれかを選択するステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本願請求項1に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて選択された圧縮方式で圧縮を行うことが可能となる。
【0014】
本願請求項2に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて非可逆圧縮方式と可逆圧縮方式とを選択して圧縮を行うことが可能となる。
【0015】
本願請求項3に係る発明によれば、画像情報の1ページ分より小さい領域で圧縮方式を切り替えることが可能となる。
【0016】
本願請求項4に係る発明によれば、画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報を抽出することが可能となる。
【0017】
本願請求項5に係る発明によれば、画像情報の色空間内の色域ごとに異なる閾値を用いて圧縮方式を切り替えることが可能となる。
【0018】
本願請求項6に係る発明によれば、複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択して出力することが可能となる。
【0019】
本願請求項7に係る発明によれば、複数の圧縮手段のうち選択した1つへ画像情報を入力することが可能となる。
【0020】
本願請求項8に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて選択された圧縮方式で圧縮を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図2】圧縮切替部(その1)の構成例を説明するブロック図である。
【図3】切替部の構成例を説明するブロック図である。
【図4】色空間の領域分割について説明する模式図である。
【図5】色相角比較部で行う処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図6】色相角のなす角θの求め方を説明する模式図である。
【図7】色空間の例としてRGB色空間上での閾値の設定を説明する模式図である。
【図8】圧縮切替部(その2)の構成例を説明するブロック図である。
【図9】圧縮切替部(その3)の構成例を説明するブロック図である。
【図10】画像処理プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】圧縮切替部に対応したプログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図12】圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その1)である。
【図13】圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像処理装置の全体構成
2.圧縮切替部(その1)の構成例
3.圧縮切替部(その2)の構成例
4.圧縮切替部(その3)の構成例
5.画像処理プログラム
【0023】
<1.画像処理装置の全体構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。なお、本実施形態では、画像処理装置としてデジタル複合機を例とした説明を行うが、対象を限定しているわけではなく、例えば、デジタルカメラによる撮影(例えば、ホワイトボードモード)など、他の機器にも適用される。
【0024】
画像処理装置は、画像入力部11、入力階調補正部12、拡大縮小部13、空間フィルタ部14、色空間変換部15、出力階調補正部16、ページメモリ17、圧縮部18、第1記憶部M1、カラー白黒判定部19、伸長部21、圧縮切替部22、第2記憶部M2を備えている。
【0025】
画像入力部11は、処理対象となる画像の電子データを取得する。例えば、原稿から画像の電子データを取得するスキャナであったり、ネットワークを介して外部のコンピュータ等から送信された電子データを取得する部分であったりする。
【0026】
入力階調補正部12は、画像入力部11で取得した画像の電子データにおける階調を補正する部分である。例えば、所定のトーンカーブによる階調補正を施す。
【0027】
拡大縮小部13は、画像の電子データを所定の拡大、縮小率に応じて拡大、縮小する処理を行う。空間フィルタ部14は、所定の空間フィルタを用いて画像の電子データのフィルタリングを行う。例えば、画像の電子データに対して所定の空間フィルタを適用し、空間フィルタの特性に応じたMTF(Modulation Transfer Function)補正などの処理(例えば、ノイズ除去、平滑化処理、強調処理)を施す。
【0028】
色空間変換部15は、画像の電子データ(画素値)を表す色空間の変換を行う部分である。例えば、RGB色空間をYCbCr色空間に変換する処理である。出力階調補正部16は、出力機器の特性に合わせた階調補正を行う部分である。ページメモリ17は、ページ単位で画像の電子データを一時保存する部分である。
【0029】
圧縮部18は、画像の電子データを所定の圧縮方式(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group))で圧縮する部分である。第1記憶部M1は、圧縮された画像データを保存する部分である。第1記憶部M1は、例えばハードディスクドライブが用いられる。
【0030】
カラー白黒判定部19は、画像入力部11で取得した画像の電子データに基づき、カラー画像であるか、白黒(単色)であるかの判定を行う部分である。判定の結果は、空間フィルタ部14、色空間変換部15、出力階調補正部16に反映される。
【0031】
伸長部21は、第1記憶部M1に記憶された圧縮画像データを伸長する処理を行う。圧縮切替部22は、伸長部21で伸長された画像の電子データに対して特定の色に減色する処理を行う。圧縮切替部22は本実施形態の画像処理装置の特徴部分の一つであり、後段にて詳細に説明する。
【0032】
第2記憶部M2は、所定のデータ形式にまとめられた画像データを記憶する部分である。第1記憶部M1は、例えばハードディスクドライブが用いられる。第2記憶部M2は、第1記憶部M1と共用であってもよい。第2記憶部M2に記憶された減色処理済み画像データはネットワーク等を介して外部に送出される。
【0033】
<2.圧縮切替部(その1)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図2は、圧縮切替部(その1)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、切替部222、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0034】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0035】
切替部22は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。すなわち、切替部222は、画像入力部221から入力された画像データを表す色空間において画像データを構成する複数の色情報を抽出し、その抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮器のいずれかを選択する制御を行う。切替部22は、上記選択に基づき第1の圧縮器CM1で圧縮した画像データか第2の圧縮器CM2で圧縮した画像データのいずれかを選択して、画像出力部223へ出力する。切替部222の詳細は後述する。
【0036】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0037】
このような画像処理装置により、画像データの色相に応じて圧縮方式が切り替わることになる。したがって、画像データの要素(文字や写真)を判別して分離することなく、圧縮方式の切り替えが行われる。従来では、画像データの要素を判別しているが、正確に判別されるとは限らない。このため、文字領域(高周波部分)であるにもかかわらずJPEG圧縮されてしまうと、モスキートノイズにより画質の劣化が発生する。本実施形態では、代表色の色相角に応じた圧縮方式の切り替えで、擬似輪郭のない滑らかな圧縮画像データを得ることになる。
【0038】
[切替部の構成]
図3は、切替部の構成例を説明するブロック図である。切替部222は、ヒストグラム生成部2221、代表色抽出部2222、色相角比較部2223を備えている。
【0039】
ヒストグラム生成部2221は、入力された画像データについて、画素値の出現頻度(ヒストグラム)を計数する処理を行う。ここで、ヒストグラム生成部2221による画素値の出現頻度の計数について説明する。図4は、色空間の領域分割について説明する模式図である。ヒストグラム生成部2221は、画像データからヒストグラムを生成するにあたり、画像データにおける3次元色空間を所定の領域に分割し、各分割領域ごとの頻度を計数する。
【0040】
図4に示すように、例えば、RGB色空間における取り得る階調値が0から255であった場合、RGB各階調値を32階調ごとに8等分する。これにより、RGB色空間は、8×8×8=512の領域に分割される。ヒストグラム生成部2221は、この512の分割された領域ごとに頻度を計数する。なお、分割単位は一例であり、適宜設定されるものである。
【0041】
図3に示す代表色抽出部2222は、ヒストグラム生成部で生成したヒストグラムのピークの中から、特定の色(代表色)を抽出する処理を行う。具体的には、ヒストグラム生成部2221で生成した分割領域ごとのヒストグラムについて、所定の頻度を超えるものだけを抽出し、抽出されたヒストグラムのピークの中から、予め設定された彩度より低い色を排除する。次に、残ったピーク色を代表色として抽出する。
【0042】
色相角比較部2223は、代表色抽出部2222で抽出された代表色の各々について色相角の比較を行う。すなわち、抽出された代表色のうち2つを選択する全ての組み合わせについて、各々の色相角の比較を行う。色相角比較部2223は、この色相角の比較の結果に応じて、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかを選択するかの指示を出力する。
【0043】
[色相角の比較例]
図5は、色相角比較部で行う処理の流れについて説明するフローチャートである。先ず、色相角比較部2223(図3参照)は、代表色抽出部2222(図3参照)で抽出された代表色のうち2つを選択し、これらの色相角のなす角θを算出する(ステップS101)。
【0044】
ここで、色相角のなす角θは次のように求める。図6は、色相角のなす角θの求め方を説明する模式図である。図6は、所定の色空間における画素値のヒストグラムから抽出された代表色を丸印で示したものである。これらの代表色のうち、白色と黒色とを結ぶ線がグレー軸(無彩色軸)となり、これを設定する。
【0045】
次に、色空間上の各代表色の位置からグレー軸に垂線をおろす。例えば、2つの代表色C1、C2についてグレー軸におろした垂線をそれぞれL1、L2とする。これらの垂線L1、L2のなす角が色相角のなす角θとなる。
【0046】
垂線L1、L2のなす角は、垂線L1、L2の内積を利用して求める。例えば、RGB色空間において、代表色C1の座標を(r1,g1,b1)、代表色C2の座標を(r12,g2,b2)、垂線L1の距離を|L1|、垂線L2の距離を|L2|、色相角のなす角をθとした場合、垂線L1、L2の内積は次のように表される。
(L1,L2)=r1・r2+g1・g2+b1・b2=|L1|・|L2|・COSθ
【0047】
したがって、垂線L1、L2の距離|L1|、|L2|と代表色C1、C2の座標から上記内積の関係より垂線L1、L2のなす角θを得られることになる。
【0048】
次に、図5のフローチャートに戻り、求めた色相角のなす角θと、予め設定した2つの閾値a、b(a>b)との比較を行う(ステップS102、ステップS103)。
【0049】
先ず、色相角のなす角θが閾値a以内であるか否かを判断する(ステップS102)。色相角のなす角θが閾値a以内でなければ第2の圧縮器(可逆圧縮)を選択する指示を与える(ステップS104)。
【0050】
一方、色相角のなす角θが閾値a以内であれば、θと閾値bとの比較を行う(ステップS103)。θが閾値b以上でなければ第2の圧縮器を選択する指示を与え(ステップS104)、閾値b以上であれば第1の圧縮器(非可逆圧縮)を選択する指示を与える(ステップS105)。
【0051】
[閾値の設定例]
ここで、閾値a、bの設定例について説明する。閾値a、bは2つの代表色の見た目の距離を判定するものであり、例えば実験結果によって決定される。具体的な一例として、閾値aを17.5°、閾値bを10°とする。
【0052】
色相角比較部は、先ず、2つの代表色の色相角のなす角θと閾値a(17.5°)とを比較する。なす角θが閾値a(17.5°)以内に収まらない場合、2つの代表色は見た目で離れた色(同系色ではない)として、可逆圧縮方式である第2の圧縮器による圧縮を選択する。
【0053】
一方、なす角θが閾値a(17.5°)以内である場合、色相角比較部は、なす角θと閾値b(10°)とを比較する。なす角θが閾値b(10°)以上離れていなければ、2つの代表色は見た目で同色であるとして、可逆圧縮方式である第2の圧縮器による圧縮を選択する。
【0054】
なす角θが閾値a(17.5°)以内であり、閾値b(10°)以上離れていれば、2つの代表色は見た目でグラデーションになっているとして、非可逆圧縮方式である第1の圧縮器による圧縮を選択する。
【0055】
つまり、第2の圧縮器による圧縮を選択する場合は、単色もしくは複数色の文字等の画像データである可能性が高い。一方、第1の圧縮器による圧縮を選択する場合は、グラデーションを含む多数色を用いた写真等の画像データである可能性が高い。このように、色相角のなす角θによって画像データの特性を判定し、特性に応じた圧縮方式を選択することになる。
【0056】
閾値a、bは、固定であっても、可変であってもよい。閾値a、bを可変させる場合、なす角θを求める代表色の色空間内での色域に応じた値に設定する例が挙げられる。図7は、色空間の例としてRGB色空間上での閾値の設定を説明する模式図である。先ず、RGB色空間を複数の領域(例えば、n個の領域)に分割する。そして、その分割された領域ごとに閾値a、bを設定する。例えば、1番目の領域の閾値a、bの組みをTh1(a1,b1)、2番目の領域の閾値a、bの組みをTh2(a2,b2)、…、n番目の領域の閾値a、bの組みをThn(an,bn)として設定し、記憶手段に記憶しておく。
【0057】
色相角比較部は、色相角のなす角θを算出する2つの代表色の属する領域に対応した閾値a、bの組みThを記憶手段から読み出し、これを用いて上記の比較を行う。ここで、2つの代表色が異なる領域に属する場合には、各領域の閾値の組みを読み出し、各閾値a、bを各々平均した値を閾値a、bとして用いる。
【0058】
[圧縮方式の選択の単位]
圧縮切替部(その1)では、上記第1の圧縮器および第2の圧縮器の選択を画像データの1ページごとに行っている。すなわち、画像データの1ページ分についてヒストグラムを生成し、代表色を抽出する。そして、1ページ分の抽出された代表色について2つの代表色の組みを選択し、各々の組みで色相角のなす角θを求め、閾値a、bによる比較で第1の圧縮器および第2の圧縮器の選択を行う。
【0059】
この際、第1の比較器および第2の比較器の選択の指示は、色相角のなす角θを求めた2つの代表色の組みごとに行われるが、1ページ分の画像データについて最終的にどの圧縮器を用いるかは、以下の判定例が考えられる。
(1)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、1つでも第1の圧縮器を選択するものがあれば、1ページ分の画像データの全てについて第1の圧縮器による圧縮画像を選択する。
(2)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、1つでも第2の圧縮器を選択するものがあれば、1ページ分の画像データの全てについて第2の圧縮器による圧縮画像を選択する。
(3)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、第1の圧縮器を選択するものと、第2の圧縮器を選択するものとで多い方の圧縮器を選択し、1ページ分の画像データの全てについてその圧縮器による圧縮画像を選択する。
【0060】
上記判定例のいずれを用いるかは、画像処理装置の設定や、ユーザによる設定が考えられる。例えば、画質を優先する場合は(1)、圧縮率を優先する場合は(2)、機動的な切り替えを優先する場合は(3)といった設定が考えられる。
【0061】
<3.圧縮切替部(その2)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図8は、圧縮切替部(その2)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、切替部222、メモリ224、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0062】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0063】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。すなわち、切替部222は、画像入力部221から入力された画像データを一旦メモリ224に蓄積する。そして、メモリ224から読み出した画像データについて、その画像データを表す色空間において画像データを構成する複数の色情報を抽出する。その後、その抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮器のいずれかを選択する制御を行う。
【0064】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のうち選択した1つへ画像データを入力する。切替部222の構成、切替部222で行う色相角の比較例、閾値の設定例、圧縮方式の選択の単位は上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0065】
第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0066】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0067】
圧縮切替部(その2)の構成例では、圧縮器へ画像データが送られる前に第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のうちいずれかの選択が行われ、選択された圧縮器のみへ画像データが入力されことになる。
【0068】
<4.圧縮切替部(その3)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図9は、圧縮切替部(その3)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、切替部222、メモリ224、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0069】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0070】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。ここで、切替部222は、ブロック化部2224、ヒストグラム生成部2221、代表色抽出部2222、色相角比較部2223、選択部2225を備えている。
【0071】
ブロック化部2224は、画像入力部221から入力された1ページ分の画像データを所定の領域(ブロック)単位に分割する部分である。ブロックの単位は、1ページ分を所定の幅ごとに分割したバンドであったり、所定の縦横領域ごとに分割した矩形領域であったりする。ブロック化部は、画像入力部221から入力されメモリに一旦蓄積された画像データをブロック単位に分割して読み出し、ヒストグラム生成部2221へ送る。
【0072】
ヒストグラム生成部2221は、ブロック化部で読み出されたブロック単位の画像データについて、画素値の出現頻度(ヒストグラム)を計数する処理を行う。ヒストグラムの生成については上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0073】
代表色抽出部2222は、ヒストグラム生成部2221で生成したブロック単位のヒストグラムのピークの中から、特定の色(代表色)を抽出する処理を行う。具体的な処理は上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0074】
色相角比較部2223は、代表色抽出部2222で抽出されたブロック単位の代表色の各々について色相角の比較を行う。すなわち、抽出された代表色のうち2つを選択する全ての組み合わせについて、各々の色相角の比較を行う。色相角比較部2223は、この色相角の比較の結果に応じて、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかを選択するかの指示を選択器へ送る。
【0075】
選択器2225は、色相角比較部2223から送られた指示に基づき第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかの出力(圧縮画像データ)を選択し、画像出力部223へ送る切り替えを行う。
【0076】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0077】
圧縮切替部(その3)の構成例では、1ページ分の画像データについてブロック単位でヒストグラム生成および圧縮器の切り替えが行われ、ブロック単位で圧縮画像の層構造データを得られることになる。
【0078】
<5.画像処理プログラム>
次に、本実施形態に係る画像処理プログラムを説明する。本実施形態に係る画像処理プログラムはコンピュータに実行させるステップを有している。コンピュータは本実施形態に係る画像処理プログラムを実行する演算部、プログラムや各種データを格納する記憶部、入出力部を備えている。コンピュータはパーソナルコンピュータ等の電子計算機のほか、映像記録再生装置、携帯端末等の情報を取り扱うことのできる電子機器に組み込まれているものでもよい。また、本実施形態の情報処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されていたり、ネットワークを介して配信されるものでもある。
【0079】
[ハードウェア構成]
図10は、画像処理プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータのハードウェア構成としては、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、HDD(Hard Disk Drive)4、HDDコントローラ5、マウス6、キーボード7、ディスプレイ8、入出力コントローラ9およびネットワークコントローラ10がバス11によって接続された構成となっている。
【0080】
後述する本実施形態の画像処理プログラムは、上記ハードウェア構成のうちHDD4に格納されており、実行にあたりRAM3に読み出され、CPU1によって実行される。
【0081】
[フローチャート:圧縮切替部に対応したプログラム]
図11は、圧縮切替部に対応したプログラムの流れを説明するフローチャートである。先ず、入力画像の画素値を1画素分読み込み(ステップS201)、頻度計数を行う(ステップS202)。この処理を入力画像の全ての画素について行う(ステップS203)。
【0082】
次に、ヒストグラムから頻度がある色を読み出し(ステップS204)、頻度の高い順にソートする処理をおこなう(ステップS205)。この頻度がある色の読み出し、およびソート処理を頻度がある全ての色で繰り返す(ステップS206)。
【0083】
次に、ソート処理の結果から、頻度の高い順に色を読み出し(ステップS207)、代表色として登録する(ステップS208)。次に、代表色の登録数が色数制限以上であるか否かを判断する(ステップS209)。色数制限以上でない場合には色の読み出し(ステップS207)および代表色の登録(ステップS208)を繰り返す。
【0084】
その後、登録された代表色の色相角のなす角に応じて圧縮器の選択および画像データの出力を行う(ステップS210)。このうち、代表色の色相角のなす角の算出および圧縮器の選択は、図5のフローチャートに沿って行う。
【0085】
図12は、圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その1)である。図12に示すフローチャートは、図2および図9に示す圧縮切替部22での処理となっている。先ず、画像データの読み込みを行う(ステップS301)。ここで、図2に示す圧縮切替部22では、1ページ分の画像データを読み込む。また、図9に示す圧縮切替部22では、1ページ分の画像データをメモリに蓄積した後、メモリからブロック単位で画像データを読み込む。
【0086】
次に、読み込んだ画像データを第1の圧縮器および第2の圧縮器に入力し、各々の圧縮方式で画像データの圧縮を行う(ステップS302)。次に、圧縮器の指定を判断する(ステップS303)。圧縮器の指定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。その結果、第1の圧縮器が指定された場合、第1の圧縮器で圧縮した画像データを選択し(ステップS304)、第2の圧縮器が指定された場合、第2の圧縮器で圧縮した画像データを選択する(ステップS305)。その後、圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて1ファイルとし、出力する(ステップS306)。
【0087】
図13は、圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その2)である。図13に示すフローチャートは、図8に示す圧縮切替部22での処理となっている。先ず、画像データの読み込みを行う(ステップS401)。ここで、画像データの読み込みは、1ページ分もしくはブロック単位で行う。
【0088】
次に、圧縮器の指定を判断する(ステップS402)。圧縮器の指定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。その結果、第1の圧縮器が指定された場合、第1の圧縮器へ画像データを入力して圧縮を行い(ステップS403)、第2の圧縮器が指定された場合、第2の圧縮器へ画像データを入力して圧縮を行う(ステップS404)。その後、圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて1ファイルとし、出力する(ステップS405)。
【符号の説明】
【0089】
11…画像入力部、12…入力階調補正部、13…拡大縮小部、14…空間フィルタ部、15…色空間変換部、16…出力階調補正部、17…ページメモリ、18…圧縮部、19…白黒判定部、21…伸長部、22…圧縮切替部、222…切替部、2221…ヒストグラム生成部、2222…代表色抽出部、2223…色相角比較部、CM1…第1の圧縮器、CM2…第2の圧縮器
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、画像データを二値化処理後、文字領域を抽出して、文字領域が黒色単色ならMMR(Modified Modified Read)圧縮、文字領域が多色ならZIP圧縮、文字領域外をJPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−244447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像の特性に応じた圧縮により画質劣化を抑制しつつ高圧縮化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段と、前記画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じて前記複数の圧縮手段のいずれかを選択する切替手段とを有する画像処理装置である。
【0006】
本願請求項2に係る発明は、前記複数の圧縮手段として、非可逆圧縮方式である第1の圧縮手段と、可逆圧縮方式である第2の圧縮手段とを有し、前記切替手段が、前記前記抽出した複数の色情報の色相角が予め設定された閾値の範囲内にある場合は前記第1の圧縮手段を選択する請求項1記載の画像処理装置である。
【0007】
本願請求項3に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の1ページ分を所定数に分割した領域ごと前記複数の圧縮手段のいずれかの選択を行う請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0008】
本願請求項4に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報の頻度を計数し、計数した頻度から前記複数の色情報を抽出する請求項1から3のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0009】
本願請求項5に係る発明は、前記切替手段が、前記画像情報の色空間内の色域に応じて異なる前記閾値を用いる請求項1から4のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0010】
本願請求項6に係る発明は、前記切替手段が、前記複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0011】
本願請求項7に係る発明は、前記切替手段が、前記複数の圧縮手段のうち選択した1つへ前記画像情報を入力する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0012】
本願請求項8に係る発明は、画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出するステップと、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じ、異なる圧縮方式で画像情報を圧縮する複数の圧縮手段のうちいずれかを選択するステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本願請求項1に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて選択された圧縮方式で圧縮を行うことが可能となる。
【0014】
本願請求項2に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて非可逆圧縮方式と可逆圧縮方式とを選択して圧縮を行うことが可能となる。
【0015】
本願請求項3に係る発明によれば、画像情報の1ページ分より小さい領域で圧縮方式を切り替えることが可能となる。
【0016】
本願請求項4に係る発明によれば、画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報を抽出することが可能となる。
【0017】
本願請求項5に係る発明によれば、画像情報の色空間内の色域ごとに異なる閾値を用いて圧縮方式を切り替えることが可能となる。
【0018】
本願請求項6に係る発明によれば、複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択して出力することが可能となる。
【0019】
本願請求項7に係る発明によれば、複数の圧縮手段のうち選択した1つへ画像情報を入力することが可能となる。
【0020】
本願請求項8に係る発明によれば、画像情報を構成する複数の色情報の色相角に応じて選択された圧縮方式で圧縮を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図2】圧縮切替部(その1)の構成例を説明するブロック図である。
【図3】切替部の構成例を説明するブロック図である。
【図4】色空間の領域分割について説明する模式図である。
【図5】色相角比較部で行う処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図6】色相角のなす角θの求め方を説明する模式図である。
【図7】色空間の例としてRGB色空間上での閾値の設定を説明する模式図である。
【図8】圧縮切替部(その2)の構成例を説明するブロック図である。
【図9】圧縮切替部(その3)の構成例を説明するブロック図である。
【図10】画像処理プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図11】圧縮切替部に対応したプログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図12】圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その1)である。
【図13】圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像処理装置の全体構成
2.圧縮切替部(その1)の構成例
3.圧縮切替部(その2)の構成例
4.圧縮切替部(その3)の構成例
5.画像処理プログラム
【0023】
<1.画像処理装置の全体構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。なお、本実施形態では、画像処理装置としてデジタル複合機を例とした説明を行うが、対象を限定しているわけではなく、例えば、デジタルカメラによる撮影(例えば、ホワイトボードモード)など、他の機器にも適用される。
【0024】
画像処理装置は、画像入力部11、入力階調補正部12、拡大縮小部13、空間フィルタ部14、色空間変換部15、出力階調補正部16、ページメモリ17、圧縮部18、第1記憶部M1、カラー白黒判定部19、伸長部21、圧縮切替部22、第2記憶部M2を備えている。
【0025】
画像入力部11は、処理対象となる画像の電子データを取得する。例えば、原稿から画像の電子データを取得するスキャナであったり、ネットワークを介して外部のコンピュータ等から送信された電子データを取得する部分であったりする。
【0026】
入力階調補正部12は、画像入力部11で取得した画像の電子データにおける階調を補正する部分である。例えば、所定のトーンカーブによる階調補正を施す。
【0027】
拡大縮小部13は、画像の電子データを所定の拡大、縮小率に応じて拡大、縮小する処理を行う。空間フィルタ部14は、所定の空間フィルタを用いて画像の電子データのフィルタリングを行う。例えば、画像の電子データに対して所定の空間フィルタを適用し、空間フィルタの特性に応じたMTF(Modulation Transfer Function)補正などの処理(例えば、ノイズ除去、平滑化処理、強調処理)を施す。
【0028】
色空間変換部15は、画像の電子データ(画素値)を表す色空間の変換を行う部分である。例えば、RGB色空間をYCbCr色空間に変換する処理である。出力階調補正部16は、出力機器の特性に合わせた階調補正を行う部分である。ページメモリ17は、ページ単位で画像の電子データを一時保存する部分である。
【0029】
圧縮部18は、画像の電子データを所定の圧縮方式(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group))で圧縮する部分である。第1記憶部M1は、圧縮された画像データを保存する部分である。第1記憶部M1は、例えばハードディスクドライブが用いられる。
【0030】
カラー白黒判定部19は、画像入力部11で取得した画像の電子データに基づき、カラー画像であるか、白黒(単色)であるかの判定を行う部分である。判定の結果は、空間フィルタ部14、色空間変換部15、出力階調補正部16に反映される。
【0031】
伸長部21は、第1記憶部M1に記憶された圧縮画像データを伸長する処理を行う。圧縮切替部22は、伸長部21で伸長された画像の電子データに対して特定の色に減色する処理を行う。圧縮切替部22は本実施形態の画像処理装置の特徴部分の一つであり、後段にて詳細に説明する。
【0032】
第2記憶部M2は、所定のデータ形式にまとめられた画像データを記憶する部分である。第1記憶部M1は、例えばハードディスクドライブが用いられる。第2記憶部M2は、第1記憶部M1と共用であってもよい。第2記憶部M2に記憶された減色処理済み画像データはネットワーク等を介して外部に送出される。
【0033】
<2.圧縮切替部(その1)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図2は、圧縮切替部(その1)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、切替部222、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0034】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0035】
切替部22は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。すなわち、切替部222は、画像入力部221から入力された画像データを表す色空間において画像データを構成する複数の色情報を抽出し、その抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮器のいずれかを選択する制御を行う。切替部22は、上記選択に基づき第1の圧縮器CM1で圧縮した画像データか第2の圧縮器CM2で圧縮した画像データのいずれかを選択して、画像出力部223へ出力する。切替部222の詳細は後述する。
【0036】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0037】
このような画像処理装置により、画像データの色相に応じて圧縮方式が切り替わることになる。したがって、画像データの要素(文字や写真)を判別して分離することなく、圧縮方式の切り替えが行われる。従来では、画像データの要素を判別しているが、正確に判別されるとは限らない。このため、文字領域(高周波部分)であるにもかかわらずJPEG圧縮されてしまうと、モスキートノイズにより画質の劣化が発生する。本実施形態では、代表色の色相角に応じた圧縮方式の切り替えで、擬似輪郭のない滑らかな圧縮画像データを得ることになる。
【0038】
[切替部の構成]
図3は、切替部の構成例を説明するブロック図である。切替部222は、ヒストグラム生成部2221、代表色抽出部2222、色相角比較部2223を備えている。
【0039】
ヒストグラム生成部2221は、入力された画像データについて、画素値の出現頻度(ヒストグラム)を計数する処理を行う。ここで、ヒストグラム生成部2221による画素値の出現頻度の計数について説明する。図4は、色空間の領域分割について説明する模式図である。ヒストグラム生成部2221は、画像データからヒストグラムを生成するにあたり、画像データにおける3次元色空間を所定の領域に分割し、各分割領域ごとの頻度を計数する。
【0040】
図4に示すように、例えば、RGB色空間における取り得る階調値が0から255であった場合、RGB各階調値を32階調ごとに8等分する。これにより、RGB色空間は、8×8×8=512の領域に分割される。ヒストグラム生成部2221は、この512の分割された領域ごとに頻度を計数する。なお、分割単位は一例であり、適宜設定されるものである。
【0041】
図3に示す代表色抽出部2222は、ヒストグラム生成部で生成したヒストグラムのピークの中から、特定の色(代表色)を抽出する処理を行う。具体的には、ヒストグラム生成部2221で生成した分割領域ごとのヒストグラムについて、所定の頻度を超えるものだけを抽出し、抽出されたヒストグラムのピークの中から、予め設定された彩度より低い色を排除する。次に、残ったピーク色を代表色として抽出する。
【0042】
色相角比較部2223は、代表色抽出部2222で抽出された代表色の各々について色相角の比較を行う。すなわち、抽出された代表色のうち2つを選択する全ての組み合わせについて、各々の色相角の比較を行う。色相角比較部2223は、この色相角の比較の結果に応じて、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかを選択するかの指示を出力する。
【0043】
[色相角の比較例]
図5は、色相角比較部で行う処理の流れについて説明するフローチャートである。先ず、色相角比較部2223(図3参照)は、代表色抽出部2222(図3参照)で抽出された代表色のうち2つを選択し、これらの色相角のなす角θを算出する(ステップS101)。
【0044】
ここで、色相角のなす角θは次のように求める。図6は、色相角のなす角θの求め方を説明する模式図である。図6は、所定の色空間における画素値のヒストグラムから抽出された代表色を丸印で示したものである。これらの代表色のうち、白色と黒色とを結ぶ線がグレー軸(無彩色軸)となり、これを設定する。
【0045】
次に、色空間上の各代表色の位置からグレー軸に垂線をおろす。例えば、2つの代表色C1、C2についてグレー軸におろした垂線をそれぞれL1、L2とする。これらの垂線L1、L2のなす角が色相角のなす角θとなる。
【0046】
垂線L1、L2のなす角は、垂線L1、L2の内積を利用して求める。例えば、RGB色空間において、代表色C1の座標を(r1,g1,b1)、代表色C2の座標を(r12,g2,b2)、垂線L1の距離を|L1|、垂線L2の距離を|L2|、色相角のなす角をθとした場合、垂線L1、L2の内積は次のように表される。
(L1,L2)=r1・r2+g1・g2+b1・b2=|L1|・|L2|・COSθ
【0047】
したがって、垂線L1、L2の距離|L1|、|L2|と代表色C1、C2の座標から上記内積の関係より垂線L1、L2のなす角θを得られることになる。
【0048】
次に、図5のフローチャートに戻り、求めた色相角のなす角θと、予め設定した2つの閾値a、b(a>b)との比較を行う(ステップS102、ステップS103)。
【0049】
先ず、色相角のなす角θが閾値a以内であるか否かを判断する(ステップS102)。色相角のなす角θが閾値a以内でなければ第2の圧縮器(可逆圧縮)を選択する指示を与える(ステップS104)。
【0050】
一方、色相角のなす角θが閾値a以内であれば、θと閾値bとの比較を行う(ステップS103)。θが閾値b以上でなければ第2の圧縮器を選択する指示を与え(ステップS104)、閾値b以上であれば第1の圧縮器(非可逆圧縮)を選択する指示を与える(ステップS105)。
【0051】
[閾値の設定例]
ここで、閾値a、bの設定例について説明する。閾値a、bは2つの代表色の見た目の距離を判定するものであり、例えば実験結果によって決定される。具体的な一例として、閾値aを17.5°、閾値bを10°とする。
【0052】
色相角比較部は、先ず、2つの代表色の色相角のなす角θと閾値a(17.5°)とを比較する。なす角θが閾値a(17.5°)以内に収まらない場合、2つの代表色は見た目で離れた色(同系色ではない)として、可逆圧縮方式である第2の圧縮器による圧縮を選択する。
【0053】
一方、なす角θが閾値a(17.5°)以内である場合、色相角比較部は、なす角θと閾値b(10°)とを比較する。なす角θが閾値b(10°)以上離れていなければ、2つの代表色は見た目で同色であるとして、可逆圧縮方式である第2の圧縮器による圧縮を選択する。
【0054】
なす角θが閾値a(17.5°)以内であり、閾値b(10°)以上離れていれば、2つの代表色は見た目でグラデーションになっているとして、非可逆圧縮方式である第1の圧縮器による圧縮を選択する。
【0055】
つまり、第2の圧縮器による圧縮を選択する場合は、単色もしくは複数色の文字等の画像データである可能性が高い。一方、第1の圧縮器による圧縮を選択する場合は、グラデーションを含む多数色を用いた写真等の画像データである可能性が高い。このように、色相角のなす角θによって画像データの特性を判定し、特性に応じた圧縮方式を選択することになる。
【0056】
閾値a、bは、固定であっても、可変であってもよい。閾値a、bを可変させる場合、なす角θを求める代表色の色空間内での色域に応じた値に設定する例が挙げられる。図7は、色空間の例としてRGB色空間上での閾値の設定を説明する模式図である。先ず、RGB色空間を複数の領域(例えば、n個の領域)に分割する。そして、その分割された領域ごとに閾値a、bを設定する。例えば、1番目の領域の閾値a、bの組みをTh1(a1,b1)、2番目の領域の閾値a、bの組みをTh2(a2,b2)、…、n番目の領域の閾値a、bの組みをThn(an,bn)として設定し、記憶手段に記憶しておく。
【0057】
色相角比較部は、色相角のなす角θを算出する2つの代表色の属する領域に対応した閾値a、bの組みThを記憶手段から読み出し、これを用いて上記の比較を行う。ここで、2つの代表色が異なる領域に属する場合には、各領域の閾値の組みを読み出し、各閾値a、bを各々平均した値を閾値a、bとして用いる。
【0058】
[圧縮方式の選択の単位]
圧縮切替部(その1)では、上記第1の圧縮器および第2の圧縮器の選択を画像データの1ページごとに行っている。すなわち、画像データの1ページ分についてヒストグラムを生成し、代表色を抽出する。そして、1ページ分の抽出された代表色について2つの代表色の組みを選択し、各々の組みで色相角のなす角θを求め、閾値a、bによる比較で第1の圧縮器および第2の圧縮器の選択を行う。
【0059】
この際、第1の比較器および第2の比較器の選択の指示は、色相角のなす角θを求めた2つの代表色の組みごとに行われるが、1ページ分の画像データについて最終的にどの圧縮器を用いるかは、以下の判定例が考えられる。
(1)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、1つでも第1の圧縮器を選択するものがあれば、1ページ分の画像データの全てについて第1の圧縮器による圧縮画像を選択する。
(2)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、1つでも第2の圧縮器を選択するものがあれば、1ページ分の画像データの全てについて第2の圧縮器による圧縮画像を選択する。
(3)1ページ分について2つの代表色の組みごとに行われた圧縮器の選択の指示のうち、第1の圧縮器を選択するものと、第2の圧縮器を選択するものとで多い方の圧縮器を選択し、1ページ分の画像データの全てについてその圧縮器による圧縮画像を選択する。
【0060】
上記判定例のいずれを用いるかは、画像処理装置の設定や、ユーザによる設定が考えられる。例えば、画質を優先する場合は(1)、圧縮率を優先する場合は(2)、機動的な切り替えを優先する場合は(3)といった設定が考えられる。
【0061】
<3.圧縮切替部(その2)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図8は、圧縮切替部(その2)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、切替部222、メモリ224、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0062】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0063】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。すなわち、切替部222は、画像入力部221から入力された画像データを一旦メモリ224に蓄積する。そして、メモリ224から読み出した画像データについて、その画像データを表す色空間において画像データを構成する複数の色情報を抽出する。その後、その抽出した複数の色情報の色相角に応じて複数の圧縮器のいずれかを選択する制御を行う。
【0064】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のうち選択した1つへ画像データを入力する。切替部222の構成、切替部222で行う色相角の比較例、閾値の設定例、圧縮方式の選択の単位は上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0065】
第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0066】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0067】
圧縮切替部(その2)の構成例では、圧縮器へ画像データが送られる前に第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のうちいずれかの選択が行われ、選択された圧縮器のみへ画像データが入力されことになる。
【0068】
<4.圧縮切替部(その3)の構成例>
[圧縮切替部の構成例]
図9は、圧縮切替部(その3)の構成例を説明するブロック図である。圧縮切替部22は、画像入力部221、切替部222、メモリ224、第1の圧縮器CM1、第2の圧縮器CM2、画像出力部223を備えている。なお、本実施形態では第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の2つの圧縮器を備える場合を例とするが、3つ以上の圧縮器を備えていてもよい。
【0069】
画像入力部221は、図1に示す伸長部21から伸長後の画像データを入力する部分である。第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器は、各々異なる圧縮方式による圧縮を行う部分である。本実施形態では、第1の圧縮器CM1として非可逆圧縮方式による圧縮を行うもの、第2の圧縮器CM2として可逆圧縮方式による圧縮を行うものを例とする。ここで、非可逆圧縮方式としては、例えばJPEG、可逆圧縮方式としては、例えばMMRやJBIG2が挙げられる。なお、他の圧縮方式であってもよい。
【0070】
切替部222は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器の切り替え制御を行う。ここで、切替部222は、ブロック化部2224、ヒストグラム生成部2221、代表色抽出部2222、色相角比較部2223、選択部2225を備えている。
【0071】
ブロック化部2224は、画像入力部221から入力された1ページ分の画像データを所定の領域(ブロック)単位に分割する部分である。ブロックの単位は、1ページ分を所定の幅ごとに分割したバンドであったり、所定の縦横領域ごとに分割した矩形領域であったりする。ブロック化部は、画像入力部221から入力されメモリに一旦蓄積された画像データをブロック単位に分割して読み出し、ヒストグラム生成部2221へ送る。
【0072】
ヒストグラム生成部2221は、ブロック化部で読み出されたブロック単位の画像データについて、画素値の出現頻度(ヒストグラム)を計数する処理を行う。ヒストグラムの生成については上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0073】
代表色抽出部2222は、ヒストグラム生成部2221で生成したブロック単位のヒストグラムのピークの中から、特定の色(代表色)を抽出する処理を行う。具体的な処理は上記圧縮切替部(その1)の例と同様である。
【0074】
色相角比較部2223は、代表色抽出部2222で抽出されたブロック単位の代表色の各々について色相角の比較を行う。すなわち、抽出された代表色のうち2つを選択する全ての組み合わせについて、各々の色相角の比較を行う。色相角比較部2223は、この色相角の比較の結果に応じて、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかを選択するかの指示を選択器へ送る。
【0075】
選択器2225は、色相角比較部2223から送られた指示に基づき第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかの出力(圧縮画像データ)を選択し、画像出力部223へ送る切り替えを行う。
【0076】
画像出力部223は、第1の圧縮器CM1および第2の圧縮器CM2の複数の圧縮器のいずれかで圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて出力する部分である。
【0077】
圧縮切替部(その3)の構成例では、1ページ分の画像データについてブロック単位でヒストグラム生成および圧縮器の切り替えが行われ、ブロック単位で圧縮画像の層構造データを得られることになる。
【0078】
<5.画像処理プログラム>
次に、本実施形態に係る画像処理プログラムを説明する。本実施形態に係る画像処理プログラムはコンピュータに実行させるステップを有している。コンピュータは本実施形態に係る画像処理プログラムを実行する演算部、プログラムや各種データを格納する記憶部、入出力部を備えている。コンピュータはパーソナルコンピュータ等の電子計算機のほか、映像記録再生装置、携帯端末等の情報を取り扱うことのできる電子機器に組み込まれているものでもよい。また、本実施形態の情報処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されていたり、ネットワークを介して配信されるものでもある。
【0079】
[ハードウェア構成]
図10は、画像処理プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータのハードウェア構成としては、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、HDD(Hard Disk Drive)4、HDDコントローラ5、マウス6、キーボード7、ディスプレイ8、入出力コントローラ9およびネットワークコントローラ10がバス11によって接続された構成となっている。
【0080】
後述する本実施形態の画像処理プログラムは、上記ハードウェア構成のうちHDD4に格納されており、実行にあたりRAM3に読み出され、CPU1によって実行される。
【0081】
[フローチャート:圧縮切替部に対応したプログラム]
図11は、圧縮切替部に対応したプログラムの流れを説明するフローチャートである。先ず、入力画像の画素値を1画素分読み込み(ステップS201)、頻度計数を行う(ステップS202)。この処理を入力画像の全ての画素について行う(ステップS203)。
【0082】
次に、ヒストグラムから頻度がある色を読み出し(ステップS204)、頻度の高い順にソートする処理をおこなう(ステップS205)。この頻度がある色の読み出し、およびソート処理を頻度がある全ての色で繰り返す(ステップS206)。
【0083】
次に、ソート処理の結果から、頻度の高い順に色を読み出し(ステップS207)、代表色として登録する(ステップS208)。次に、代表色の登録数が色数制限以上であるか否かを判断する(ステップS209)。色数制限以上でない場合には色の読み出し(ステップS207)および代表色の登録(ステップS208)を繰り返す。
【0084】
その後、登録された代表色の色相角のなす角に応じて圧縮器の選択および画像データの出力を行う(ステップS210)。このうち、代表色の色相角のなす角の算出および圧縮器の選択は、図5のフローチャートに沿って行う。
【0085】
図12は、圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その1)である。図12に示すフローチャートは、図2および図9に示す圧縮切替部22での処理となっている。先ず、画像データの読み込みを行う(ステップS301)。ここで、図2に示す圧縮切替部22では、1ページ分の画像データを読み込む。また、図9に示す圧縮切替部22では、1ページ分の画像データをメモリに蓄積した後、メモリからブロック単位で画像データを読み込む。
【0086】
次に、読み込んだ画像データを第1の圧縮器および第2の圧縮器に入力し、各々の圧縮方式で画像データの圧縮を行う(ステップS302)。次に、圧縮器の指定を判断する(ステップS303)。圧縮器の指定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。その結果、第1の圧縮器が指定された場合、第1の圧縮器で圧縮した画像データを選択し(ステップS304)、第2の圧縮器が指定された場合、第2の圧縮器で圧縮した画像データを選択する(ステップS305)。その後、圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて1ファイルとし、出力する(ステップS306)。
【0087】
図13は、圧縮器の選択および画像出力に対応したプログラムの流れを説明するフローチャート(その2)である。図13に示すフローチャートは、図8に示す圧縮切替部22での処理となっている。先ず、画像データの読み込みを行う(ステップS401)。ここで、画像データの読み込みは、1ページ分もしくはブロック単位で行う。
【0088】
次に、圧縮器の指定を判断する(ステップS402)。圧縮器の指定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。その結果、第1の圧縮器が指定された場合、第1の圧縮器へ画像データを入力して圧縮を行い(ステップS403)、第2の圧縮器が指定された場合、第2の圧縮器へ画像データを入力して圧縮を行う(ステップS404)。その後、圧縮された画像データを所定のデータ形式にまとめて1ファイルとし、出力する(ステップS405)。
【符号の説明】
【0089】
11…画像入力部、12…入力階調補正部、13…拡大縮小部、14…空間フィルタ部、15…色空間変換部、16…出力階調補正部、17…ページメモリ、18…圧縮部、19…白黒判定部、21…伸長部、22…圧縮切替部、222…切替部、2221…ヒストグラム生成部、2222…代表色抽出部、2223…色相角比較部、CM1…第1の圧縮器、CM2…第2の圧縮器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段と、
前記画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じて前記複数の圧縮手段のいずれかを選択する切替手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の圧縮手段として、非可逆圧縮方式である第1の圧縮手段と、可逆圧縮方式である第2の圧縮手段とを有し、
前記切替手段は、前記抽出した複数の色情報の色相角が予め設定された閾値の範囲内にある場合は前記第1の圧縮手段を選択する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記画像情報の1ページ分を所定数に分割した領域ごと前記複数の圧縮手段のいずれかの選択を行う
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報の頻度を計数し、計数した頻度から前記複数の色情報を抽出する
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記画像情報の色空間内の色域に応じて異なる前記閾値を用いる
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択する
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記複数の圧縮手段のうち選択した1つへ前記画像情報を入力する
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出するステップと、
前記抽出した複数の色情報の色相角に応じ、異なる圧縮方式で画像情報を圧縮する複数の圧縮手段のうちいずれかを選択するステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項1】
画像情報を異なる圧縮方式で圧縮する複数の圧縮手段と、
前記画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出し、前記抽出した複数の色情報の色相角に応じて前記複数の圧縮手段のいずれかを選択する切替手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の圧縮手段として、非可逆圧縮方式である第1の圧縮手段と、可逆圧縮方式である第2の圧縮手段とを有し、
前記切替手段は、前記抽出した複数の色情報の色相角が予め設定された閾値の範囲内にある場合は前記第1の圧縮手段を選択する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記画像情報の1ページ分を所定数に分割した領域ごと前記複数の圧縮手段のいずれかの選択を行う
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記画像情報の色空間を分割した領域ごとに色情報の頻度を計数し、計数した頻度から前記複数の色情報を抽出する
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記画像情報の色空間内の色域に応じて異なる前記閾値を用いる
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記複数の圧縮手段によって圧縮された複数の圧縮画像のうちいずれかを選択する
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記複数の圧縮手段のうち選択した1つへ前記画像情報を入力する
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像情報を表す色空間において前記画像情報を構成する複数の色情報を抽出するステップと、
前記抽出した複数の色情報の色相角に応じ、異なる圧縮方式で画像情報を圧縮する複数の圧縮手段のうちいずれかを選択するステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−232953(P2010−232953A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78040(P2009−78040)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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