画像処理装置および画像処理方法
【課題】文字・線画と絵柄が混在した入力画像に対して最適な画像処理を行う。
【解決手段】エッジ量算出部105、106は、KとLkのデータからエッジ量を算出し、エッジ量合成部107で合成される。エッジ量合成部107では、Kのエッジ量とLkのエッジ量の内、最大値を選択して出力する。エッジ量が大きい場合には、第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、エッジ量が小さい場合には第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように階調処理部111、112を制御する。
【解決手段】エッジ量算出部105、106は、KとLkのデータからエッジ量を算出し、エッジ量合成部107で合成される。エッジ量合成部107では、Kのエッジ量とLkのエッジ量の内、最大値を選択して出力する。エッジ量が大きい場合には、第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、エッジ量が小さい場合には第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように階調処理部111、112を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカラー複写機、カラーレーザープリンタ、インクジェットプリンタなど、トナーまたはインク等の色材を用いて画像形成を行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式のプリンタにおいて、1色について濃淡2種類以上のトナーあるいはインクを用いて画像を形成する画像形成装置が考案されている。例えば、特許文献1には、電子写真方式で低濃度部の粒状性を向上させるために、濃淡トナーを用いて画像を形成する画像形成装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、CMYKインクと濃度の薄いCMKインク(Lc,Lm,Lk)の7色インクを用いたプリンタにおいて、Lc,Lm,LkについてはFMスクリーン(ドットの粗密で階調を表現する方式)で処理を行い、CMYKについてはAMスクリーン(網点の大きさで階調を表現する方式)で処理を行う方法が記載されている。
【0004】
図16は、ブラックについて濃淡2種類の色材(K,Lk)を用いて、CMYKLkの5色で画像を形成する場合の処理ブロックの一例を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部でCMYKLk各8bitのデータに変換される。そして、階調処理部では、CMYKLk各8bitのデータをCMYKLk各1bitのデータに変換するために、例えばディザ処理のような階調処理が行われる。
【0005】
ここで、一般的に入力画像データには文字・線画領域と絵柄領域が混在しており、画像領域毎に最適な画像処理を行うことが望まれる。例えば、文字・線画領域に対しては鮮鋭性を重視した階調処理、絵柄領域に対しては粒状性や階調性を重視した階調処理が望まれる。そこで、入力画像からエッジ量や文字領域などの画像特徴を抽出し、その画像特徴によって階調処理などの画像処理を切り替えることが必要になる。
【0006】
画像特徴を抽出して画像処理を制御するものとして、例えば、特許文献3には、画像のエッジ量に基づいて誤差拡散処理の閾値を変更する画像処理装置が記載されている。また、特許文献4には、各色毎に画像のエッジ部を検出し、エッジ部付近の画素では発光素子を微小発光させるように制御する画像処理装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−171252号公報
【特許文献2】特開2004−58390号公報
【特許文献3】特開2001−128004号公報
【特許文献4】特開平9−154020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ブラックについて濃淡2種類の色材を用いる場合、KとLkの各データから画像特徴を抽出しようとしても、入力画像の画像特徴が抽出できない場合がある。例えば、図5(a)に示したような低濃度の背景(丸付き数字1)上に中濃度の線画(丸付き数字2)がある画像データが入力された場合を考える(簡単のため、ブラックのみで画像形成するものとして、1次元の画像で説明する)。色変換によって、この入力画像データからKとLkのデータが生成されるが、例えば、画像の低濃度部ではLkのみを使用し、画像濃度が高くなるほど、Lkを減らしてKを増やすような色変換を行った場合には、Lkのデータは図5(b)、Kのデータは図5(c)のようになる。つまり、低濃度の背景(丸付き数字1)では、Lkのみが生成され、Kは生成されない。また、中濃度の線画(丸付き数字2)では、濃度が高くLkの生成割合が減るために、LkとKの両方が生成される。
【0009】
ここで、Kのデータの形状(凹凸)は、元の入力画像データの形状と似たような形状となるが、Lkのデータの形状は、入力画像データの形状とは全く異なる形状となる。よって、このLk信号からエッジ量や文字領域などの画像特徴を抽出しようとしても、本来の入力画像の画像特徴とは異なるものとなってしまい、そのような画像特徴によって階調処理などの画像処理を切り替えると、画質劣化を引き起こす可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、濃度の異なる複数の色材で画像を形成する画像形成装置において、文字・線画と絵柄が混在した入力画像に対して最適な画像処理を行う画像処理装置および画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡データから各々の画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段と、各画像特徴を合成する合成手段とを有し、合成された画像特徴に基づいて濃淡画像データに画像処理を施すことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、濃淡データから各々抽出された画像特徴を合成して、合成された画像特徴に基づいて濃淡データの画像処理を制御することにより、濃淡データに対して入力画像の画像特徴に応じた適切な画像処理を行うことができる(請求項1〜4、11)。
【0013】
本発明は、濃淡データを合成した信号から画像特徴を抽出して、抽出された画像特徴に基づいて濃淡データの画像処理を制御することにより、濃淡データに対して入力画像の画像特徴に応じた適切な画像処理を行うことができる。さらに、画像特徴を抽出するための回路を減らせるので、回路規模を小さくすることができる(請求項5〜9、12)。
【0014】
本発明は、ドットの目立ちにくい淡画像データに対しては画像特徴によらない均一の画像処理を行うことにより、回路規模を小さくすることができる(請求項10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。以下の実施例では、ブラックについて濃淡2種類の色材で画像形成する場合について説明するが、濃淡3種類以上の色材を用いる場合や、ブラック以外の色についても濃度の異なる複数の色材で画像形成する場合でも同様である。
【0016】
実施例1:
図1は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、各データ(CMYKLk)からエッジ量算出部102〜106はエッジ量を算出する。エッジ量の算出は図2に示すようなエッジ抽出フィルタを用いて行う。
【0017】
KとLkのデータから算出されたエッジ量はエッジ量合成部107において合成される。このエッジ量合成部107については後述する。
【0018】
階調処理部108〜112では、CMYKLk各8bitのデータをCMYKLk各1bit(プリンタの出力階調数)のデータに変換するために、算出されたエッジ量に基づいた階調処理が各色毎に行われる。なお、KとLkについては、エッジ量合成部107から出力される合成エッジ量に基づいた階調処理が行われる。
【0019】
図3は、階調処理部の処理ブロック図を示す。第1階調処理部201は鮮鋭性を重視した階調処理を行うものであり、例えば、200線以上の高線数のディザ処理や誤差拡散処理が行われる。一方、第2階調処理部202は粒状性や階調性を重視した階調処理を行うものであり、例えば、150線程度で階調数を十分に持っているディザ処理が行われる。そして、第1階調処理部201と第2階調処理部202からの出力がエッジ量の大小によってセレクタ203で選択される。エッジ量が所定閾値以上であれば第1階調処理部201の出力が選択され、エッジ量が所定閾値以下であれば第2階調処理部202の出力が選択される。これにより、画像のエッジ部では鮮鋭性を重視した階調処理が行われ、非エッジ部では粒状性や階調性を重視した階調処理が行われることになり、文字や絵柄が混在した入力画像に対して、鮮鋭性と粒状性、階調性が両立した画像を形成することが可能となる。
【0020】
ここで、本実施例におけるエッジ量合成部107について説明する。エッジ量合成部107では、図4に示すように、Kのエッジ量とLkのエッジ量の内、最も大きい方(最大値)を選択して出力する。図5(a)のような入力画像の場合、入力画像に大きなエッジがあるにもかかわらず、Lkのデータ(図5(b))から算出されるエッジ量は小さくなる。よって、Lkの階調処理部112をLkのエッジ量のみで制御すると、エッジ部において鮮鋭性を重視した処理が行われないことになる。一方、Kのデータ(図5(c))から算出されるエッジ量は比較的大きな値となる。そこで、LkとKのエッジ量の最大値をとってエッジ量を合成し、その合成されたエッジ量でLkとKの両方の階調処理部111、112を制御することにより、Lkに対しても画像中のエッジ部に対しては鮮鋭性を重視した処理を行うことが可能となる。つまり、図3のように、合成されたエッジ量(2つのエッジ量のうちの大きい方のエッジ量)によって、第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)と第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)を切り替える。エッジ量が大きい場合には第1階調処理201、エッジ量が小さい場合には第2階調処理202となるように制御する。
【0021】
以上、説明したように、生成されたLkまたはKのデータの形状が元の入力画像データの形状と異なっている場合でも、合成したエッジ量によって階調処理を制御することにより、入力画像の画像特徴に応じた適切な階調処理を行うことが可能となる。
【0022】
実施例1の変形:
エッジ量合成部の別の構成例を図6に示す。Kのエッジ量とLkのエッジ量に対して、それぞれ定数α、βを乗算し、その乗算結果を加算することで合成エッジ量とする。
【0023】
このようにKのエッジ量とLkのエッジ量の重み付け加算を行うことにより、入力画像のエッジ部で、KとLkのどちらか一方のエッジ量しか大きな値にならない場合でも、合成エッジ量は大きな値として出力される。さらに、KとLkのどちらも小さいエッジ量しかとれない場合でも、その2つを加算することによって、合成エッジ量は比較的大きな値として出力されるので、画像中のエッジ部に対して鮮鋭性を重視した階調処理を行うことが可能となる。
【0024】
実施例1では、合成エッジ量として2つのエッジ量の最大値を選択するようにしているが、この場合には、KとLkのエッジ量が両方ともそれほど大きな値でない場合には、合成エッジ量は(最大値をとるだけなので)それほど大きくない値のままになり、エッジと判定されない場合がある。
【0025】
しかし、実施例1の変形例のように、KとLkのエッジ量の(重み付け)加算を行って合成エッジ量を算出することにより、そのような場合でも比較的大きな合成エッジ量を得ることができる。これが加算を行う理由である。
【0026】
なお、定数α、βはKのエッジ量とLkのエッジ量の重みであり、定数αと定数βの比率は任意に設定可能である。例えば、図5(b)に示したように、Lkのデータは低濃度で大きな値をとるので、低濃度部ではLkのエッジ量が大きくなる。よって、定数αと定数βをほぼ等しい値に設定しておけば、低濃度部で合成エッジ量を大きくすることができる。逆に、高濃度部で合成エッジ量を大きくしたい場合には定数αを定数βよりも大きく設定しておけば良い。低濃度部での合成エッジ量を大きくすることができるということは、例えば、画像中の低濃度文字において大きなエッジ量を得ることができる。それにより、低濃度文字の鮮鋭性を向上させることができる。
【0027】
また、αとβを乗算する(重み付けをする)理由は、上記したように、低濃度部でのエッジ量を大きくとりたい、あるいは、高濃度部でのエッジ量を大きくとりたい、というような調整が可能であるからである。このような重み付けをせずに単純な加算にしてしまうと、そのような調整ができなくなる。
【0028】
実施例1の変形:
図1では、合成エッジ量によりKの階調処理とLkの階調処理の両方を制御している。しかし、Lkの色材濃度が薄くドットが知覚され難い場合には、Lkに関しては必ずしも画像特徴によって階調処理を制御する必要はない。
【0029】
つまり、Lkの色材濃度が薄くてドットが目立たなければ、鮮鋭性の良い・悪いも分からない(目立たない)ので、階調処理を切り替えずに、粒状性や階調性を重視した階調処理を全体に行っても構わない(悪さが目立たない)。
【0030】
合成エッジ量でKの階調処理を切り替える方法は、実施例1と同様である。エッジ量が大きい場合には第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、エッジ量が小さい場合には第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように制御する。よって図7に示したように、合成エッジ量でKの階調処理111のみを切り替える構成としても良い。
【0031】
実施例2:
図8は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。CMYの各データからはエッジ量算出部102〜104によってエッジ量が算出され、算出されたエッジ量に基づいた階調処理が各色毎に階調処理部108〜110で行われる。一方、KとLkのデータに対しては、まず信号合成部113で合成信号を生成し、その合成信号からエッジ量算出部114によってエッジ量を算出する。そして、算出されたエッジ量に基づいてKとLkの階調処理部111、112を制御する。
【0032】
信号合成部113の処理ブロック図を図9に示す。Lkのデータに定数εを乗算し、Kのデータと加算する。この定数εはLkの色材濃度とKの色材濃度の比率で設定する。例えば、Lkの色材濃度がKの色材濃度の1/2であれば、定数ε=1/2とする。なお、LkとKの色材濃度は、それぞれLkベタ画像とKベタ画像の濃度を測定するなどして、あらかじめ設定しておく。
【0033】
これにより、合成信号はブラック(LkとKの色材で表現される色)の階調を表現する信号となるので、入力画像データの形状と似たような形状の信号となる。図10は図5(b)と図5(c)を合成したものであり、入力信号である図5(a)と似た形状となっていることが分かる。
【0034】
よって、この合成信号からエッジ量を算出することで、入力画像の画像特徴を抽出することが可能となり、KとLkのデータに対しても入力画像の画像特徴に応じた適切な階調処理を行うことが可能となる。
【0035】
なお、定数εは必ずしもLkの色材濃度とKの色材濃度の比率に等しくする必要はないが、合成された信号がLkとKの色材で表現される色の階調を表現する信号とすることが望ましい。
【0036】
本実施例の特徴として、エッジ量算出部が4つで済むということが挙げられる。エッジ量算出は積和演算を多く含み、図2のような単一のエッジ量算出フィルタだけでなく、複数のエッジ量算出フィルタを用いる場合もある。よって、エッジ量算出部が4つで済むということは、回路規模の増大を防ぐという効果がある。特に、濃度の異なる色材を3種類以上に増やしたり、ブラック以外にシアンやマゼンタも濃度の異なる複数の色材を用いたりした場合でも、エッジ量算出部の数は4つのままであるため、その効果は非常に大きくなる。
【0037】
実施例2の変形:
信号合成部の別の構成例を図11に示す。図9の構成と異なるのは、Lkのデータに定数εを乗算してKのデータと加算した後に、ルックアップテーブル(LUT)によりその信号特性を変換することである。LUTは例えば、図12に示したようなものであり、明度リニアあるいは濃度リニアな信号に変換する。これにより、合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換することが可能となる。
【0038】
このようにLUTで変換するのは、「合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換すること」が目的であるが、特にこのようにする必要はなく、例えば、低濃度文字のエッジ量を大きくとりたい場合や、逆に、低濃度文字のエッジ量はあまり取りたくないといったような狙いがある場合に、そのようなエッジ量がとりやすくなるように合成信号の信号特性を変えればよい。実施例2の場合には、合成信号はLk及びKの信号の線形加算なので、その特性は基本的にLk及びKの信号と同じになるので、LUTによる変換が必要になる。
【0039】
実施例2の変形:
信号合成部の別の構成例を図13に示す。LkとKのデータに対して、それぞれルックアップテーブル(LUT)により信号特性を変換してから加算する。このような構成にすることにより、図11ではLkのデータに対して定数倍の変換しか行えなかったものが、非線形の変換を行うことができる。さらに、Kのデータに対しても非線形の変換を行ってから、LkとKのデータを加算するので、合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換することが可能となる。
【0040】
実施例3:
図14は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、LkとKのデータの各々から文字領域を抽出する。
【0041】
文字領域抽出部115、116は、例えば特許第2968277号公報に記載されているような方法により、画像の文字領域を抽出する。特許第2968277号公報では、信号を黒画素/白画素に二値化し、パターンマッチングにより黒画素および白画素の連結を検出する。そして、M×M画素領域内に連結した黒画素および白画素が共に一定数以上存在するとき、当該領域の中心画素(注目画素)を文字部境界の画素と判定し、N×N画素領域内(N>M)に上記文字部境界の画素が一定数以上存在するとき、当該領域の中心画素(注目画素)を文字部画素と判定することにより、文字領域を抽出する。この方法以外にも公知の文字領域抽出方法を用いることが可能である。
【0042】
LkとKのデータから抽出された文字領域結果は領域信号合成部117で合成される。領域信号合成部117では、LkとKの文字領域結果のうち、少なくとも一方が文字領域であれば、文字領域として出力する。つまり、文字領域結果を表す信号の論理和演算を行うということである。
【0043】
そして、合成された文字領域結果によってKとLkの階調処理を制御する。文字領域では鮮鋭性を重視した階調処理を行い、非文字領域では粒状性や階調性を重視した階調処理を行うことにより、文字や絵柄が混在した入力画像に対して、鮮鋭性と粒状性、階調性が両立した画像を形成することが可能となる。
【0044】
実施例4:
図15は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、KとLkのデータを信号合成部118で合成し、その合成信号から文字領域抽出部119で文字領域を抽出する。文字領域の抽出方法は、実施例3と同様である。そして、文字領域抽出結果(文字領域であるか否か)によってKとLkの階調処理を制御する。文字領域結果を用いた制御方法は、文字領域では第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、非文字領域では第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように制御する。
【0045】
本実施例の構成では、入力画像データの形状に似た合成信号から文字領域を抽出することにより、文字領域の抽出が容易となり、KとLkのデータに対して文字領域では鮮鋭性を重視した階調処理を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施例の特徴として、文字領域抽出部119が1つで済むということが挙げられる。文字領域抽出部は複雑な処理を行うことが多く、例えば前掲した特許第2968277号公報ではパターンマッチングや計数処理が必要となる。よって、文字領域抽出部が1つで済むということは、回路規模の増大を防ぐという効果がある。
【0047】
以上の実施例では、画像特徴によって階調処理を切り替える例を説明したが、画像特徴によって制御される対象は階調処理に限定されるものではなく、その他の処理を制御する場合にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の処理ブロック図を示す。
【図2】エッジ抽出フィルタを示す。
【図3】階調処理部の処理ブロック図を示す。
【図4】エッジ量合成部の処理ブロック図を示す。
【図5】入力画像の例を示す。
【図6】エッジ量合成部の別の構成例を示す。
【図7】実施例1の変形例を示す。
【図8】実施例2の処理ブロック図を示す。
【図9】信号合成部の処理ブロック図を示す。
【図10】実施例2による合成信号を示す。
【図11】信号合成部の別の構成例を示す。
【図12】LUTの信号特性を示す。
【図13】信号合成部の別の構成例を示す。
【図14】実施例3の処理ブロック図を示す。
【図15】実施例4の処理ブロック図を示す。
【図16】CMYKLkの5色で画像を形成する従来の構成例を示す。
【符号の説明】
【0049】
101 色変換部
102〜106 エッジ量算出部
107 エッジ量合成部
108〜112 階調処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカラー複写機、カラーレーザープリンタ、インクジェットプリンタなど、トナーまたはインク等の色材を用いて画像形成を行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式のプリンタにおいて、1色について濃淡2種類以上のトナーあるいはインクを用いて画像を形成する画像形成装置が考案されている。例えば、特許文献1には、電子写真方式で低濃度部の粒状性を向上させるために、濃淡トナーを用いて画像を形成する画像形成装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、CMYKインクと濃度の薄いCMKインク(Lc,Lm,Lk)の7色インクを用いたプリンタにおいて、Lc,Lm,LkについてはFMスクリーン(ドットの粗密で階調を表現する方式)で処理を行い、CMYKについてはAMスクリーン(網点の大きさで階調を表現する方式)で処理を行う方法が記載されている。
【0004】
図16は、ブラックについて濃淡2種類の色材(K,Lk)を用いて、CMYKLkの5色で画像を形成する場合の処理ブロックの一例を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部でCMYKLk各8bitのデータに変換される。そして、階調処理部では、CMYKLk各8bitのデータをCMYKLk各1bitのデータに変換するために、例えばディザ処理のような階調処理が行われる。
【0005】
ここで、一般的に入力画像データには文字・線画領域と絵柄領域が混在しており、画像領域毎に最適な画像処理を行うことが望まれる。例えば、文字・線画領域に対しては鮮鋭性を重視した階調処理、絵柄領域に対しては粒状性や階調性を重視した階調処理が望まれる。そこで、入力画像からエッジ量や文字領域などの画像特徴を抽出し、その画像特徴によって階調処理などの画像処理を切り替えることが必要になる。
【0006】
画像特徴を抽出して画像処理を制御するものとして、例えば、特許文献3には、画像のエッジ量に基づいて誤差拡散処理の閾値を変更する画像処理装置が記載されている。また、特許文献4には、各色毎に画像のエッジ部を検出し、エッジ部付近の画素では発光素子を微小発光させるように制御する画像処理装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−171252号公報
【特許文献2】特開2004−58390号公報
【特許文献3】特開2001−128004号公報
【特許文献4】特開平9−154020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ブラックについて濃淡2種類の色材を用いる場合、KとLkの各データから画像特徴を抽出しようとしても、入力画像の画像特徴が抽出できない場合がある。例えば、図5(a)に示したような低濃度の背景(丸付き数字1)上に中濃度の線画(丸付き数字2)がある画像データが入力された場合を考える(簡単のため、ブラックのみで画像形成するものとして、1次元の画像で説明する)。色変換によって、この入力画像データからKとLkのデータが生成されるが、例えば、画像の低濃度部ではLkのみを使用し、画像濃度が高くなるほど、Lkを減らしてKを増やすような色変換を行った場合には、Lkのデータは図5(b)、Kのデータは図5(c)のようになる。つまり、低濃度の背景(丸付き数字1)では、Lkのみが生成され、Kは生成されない。また、中濃度の線画(丸付き数字2)では、濃度が高くLkの生成割合が減るために、LkとKの両方が生成される。
【0009】
ここで、Kのデータの形状(凹凸)は、元の入力画像データの形状と似たような形状となるが、Lkのデータの形状は、入力画像データの形状とは全く異なる形状となる。よって、このLk信号からエッジ量や文字領域などの画像特徴を抽出しようとしても、本来の入力画像の画像特徴とは異なるものとなってしまい、そのような画像特徴によって階調処理などの画像処理を切り替えると、画質劣化を引き起こす可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、濃度の異なる複数の色材で画像を形成する画像形成装置において、文字・線画と絵柄が混在した入力画像に対して最適な画像処理を行う画像処理装置および画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡データから各々の画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段と、各画像特徴を合成する合成手段とを有し、合成された画像特徴に基づいて濃淡画像データに画像処理を施すことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、濃淡データから各々抽出された画像特徴を合成して、合成された画像特徴に基づいて濃淡データの画像処理を制御することにより、濃淡データに対して入力画像の画像特徴に応じた適切な画像処理を行うことができる(請求項1〜4、11)。
【0013】
本発明は、濃淡データを合成した信号から画像特徴を抽出して、抽出された画像特徴に基づいて濃淡データの画像処理を制御することにより、濃淡データに対して入力画像の画像特徴に応じた適切な画像処理を行うことができる。さらに、画像特徴を抽出するための回路を減らせるので、回路規模を小さくすることができる(請求項5〜9、12)。
【0014】
本発明は、ドットの目立ちにくい淡画像データに対しては画像特徴によらない均一の画像処理を行うことにより、回路規模を小さくすることができる(請求項10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。以下の実施例では、ブラックについて濃淡2種類の色材で画像形成する場合について説明するが、濃淡3種類以上の色材を用いる場合や、ブラック以外の色についても濃度の異なる複数の色材で画像形成する場合でも同様である。
【0016】
実施例1:
図1は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、各データ(CMYKLk)からエッジ量算出部102〜106はエッジ量を算出する。エッジ量の算出は図2に示すようなエッジ抽出フィルタを用いて行う。
【0017】
KとLkのデータから算出されたエッジ量はエッジ量合成部107において合成される。このエッジ量合成部107については後述する。
【0018】
階調処理部108〜112では、CMYKLk各8bitのデータをCMYKLk各1bit(プリンタの出力階調数)のデータに変換するために、算出されたエッジ量に基づいた階調処理が各色毎に行われる。なお、KとLkについては、エッジ量合成部107から出力される合成エッジ量に基づいた階調処理が行われる。
【0019】
図3は、階調処理部の処理ブロック図を示す。第1階調処理部201は鮮鋭性を重視した階調処理を行うものであり、例えば、200線以上の高線数のディザ処理や誤差拡散処理が行われる。一方、第2階調処理部202は粒状性や階調性を重視した階調処理を行うものであり、例えば、150線程度で階調数を十分に持っているディザ処理が行われる。そして、第1階調処理部201と第2階調処理部202からの出力がエッジ量の大小によってセレクタ203で選択される。エッジ量が所定閾値以上であれば第1階調処理部201の出力が選択され、エッジ量が所定閾値以下であれば第2階調処理部202の出力が選択される。これにより、画像のエッジ部では鮮鋭性を重視した階調処理が行われ、非エッジ部では粒状性や階調性を重視した階調処理が行われることになり、文字や絵柄が混在した入力画像に対して、鮮鋭性と粒状性、階調性が両立した画像を形成することが可能となる。
【0020】
ここで、本実施例におけるエッジ量合成部107について説明する。エッジ量合成部107では、図4に示すように、Kのエッジ量とLkのエッジ量の内、最も大きい方(最大値)を選択して出力する。図5(a)のような入力画像の場合、入力画像に大きなエッジがあるにもかかわらず、Lkのデータ(図5(b))から算出されるエッジ量は小さくなる。よって、Lkの階調処理部112をLkのエッジ量のみで制御すると、エッジ部において鮮鋭性を重視した処理が行われないことになる。一方、Kのデータ(図5(c))から算出されるエッジ量は比較的大きな値となる。そこで、LkとKのエッジ量の最大値をとってエッジ量を合成し、その合成されたエッジ量でLkとKの両方の階調処理部111、112を制御することにより、Lkに対しても画像中のエッジ部に対しては鮮鋭性を重視した処理を行うことが可能となる。つまり、図3のように、合成されたエッジ量(2つのエッジ量のうちの大きい方のエッジ量)によって、第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)と第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)を切り替える。エッジ量が大きい場合には第1階調処理201、エッジ量が小さい場合には第2階調処理202となるように制御する。
【0021】
以上、説明したように、生成されたLkまたはKのデータの形状が元の入力画像データの形状と異なっている場合でも、合成したエッジ量によって階調処理を制御することにより、入力画像の画像特徴に応じた適切な階調処理を行うことが可能となる。
【0022】
実施例1の変形:
エッジ量合成部の別の構成例を図6に示す。Kのエッジ量とLkのエッジ量に対して、それぞれ定数α、βを乗算し、その乗算結果を加算することで合成エッジ量とする。
【0023】
このようにKのエッジ量とLkのエッジ量の重み付け加算を行うことにより、入力画像のエッジ部で、KとLkのどちらか一方のエッジ量しか大きな値にならない場合でも、合成エッジ量は大きな値として出力される。さらに、KとLkのどちらも小さいエッジ量しかとれない場合でも、その2つを加算することによって、合成エッジ量は比較的大きな値として出力されるので、画像中のエッジ部に対して鮮鋭性を重視した階調処理を行うことが可能となる。
【0024】
実施例1では、合成エッジ量として2つのエッジ量の最大値を選択するようにしているが、この場合には、KとLkのエッジ量が両方ともそれほど大きな値でない場合には、合成エッジ量は(最大値をとるだけなので)それほど大きくない値のままになり、エッジと判定されない場合がある。
【0025】
しかし、実施例1の変形例のように、KとLkのエッジ量の(重み付け)加算を行って合成エッジ量を算出することにより、そのような場合でも比較的大きな合成エッジ量を得ることができる。これが加算を行う理由である。
【0026】
なお、定数α、βはKのエッジ量とLkのエッジ量の重みであり、定数αと定数βの比率は任意に設定可能である。例えば、図5(b)に示したように、Lkのデータは低濃度で大きな値をとるので、低濃度部ではLkのエッジ量が大きくなる。よって、定数αと定数βをほぼ等しい値に設定しておけば、低濃度部で合成エッジ量を大きくすることができる。逆に、高濃度部で合成エッジ量を大きくしたい場合には定数αを定数βよりも大きく設定しておけば良い。低濃度部での合成エッジ量を大きくすることができるということは、例えば、画像中の低濃度文字において大きなエッジ量を得ることができる。それにより、低濃度文字の鮮鋭性を向上させることができる。
【0027】
また、αとβを乗算する(重み付けをする)理由は、上記したように、低濃度部でのエッジ量を大きくとりたい、あるいは、高濃度部でのエッジ量を大きくとりたい、というような調整が可能であるからである。このような重み付けをせずに単純な加算にしてしまうと、そのような調整ができなくなる。
【0028】
実施例1の変形:
図1では、合成エッジ量によりKの階調処理とLkの階調処理の両方を制御している。しかし、Lkの色材濃度が薄くドットが知覚され難い場合には、Lkに関しては必ずしも画像特徴によって階調処理を制御する必要はない。
【0029】
つまり、Lkの色材濃度が薄くてドットが目立たなければ、鮮鋭性の良い・悪いも分からない(目立たない)ので、階調処理を切り替えずに、粒状性や階調性を重視した階調処理を全体に行っても構わない(悪さが目立たない)。
【0030】
合成エッジ量でKの階調処理を切り替える方法は、実施例1と同様である。エッジ量が大きい場合には第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、エッジ量が小さい場合には第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように制御する。よって図7に示したように、合成エッジ量でKの階調処理111のみを切り替える構成としても良い。
【0031】
実施例2:
図8は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。CMYの各データからはエッジ量算出部102〜104によってエッジ量が算出され、算出されたエッジ量に基づいた階調処理が各色毎に階調処理部108〜110で行われる。一方、KとLkのデータに対しては、まず信号合成部113で合成信号を生成し、その合成信号からエッジ量算出部114によってエッジ量を算出する。そして、算出されたエッジ量に基づいてKとLkの階調処理部111、112を制御する。
【0032】
信号合成部113の処理ブロック図を図9に示す。Lkのデータに定数εを乗算し、Kのデータと加算する。この定数εはLkの色材濃度とKの色材濃度の比率で設定する。例えば、Lkの色材濃度がKの色材濃度の1/2であれば、定数ε=1/2とする。なお、LkとKの色材濃度は、それぞれLkベタ画像とKベタ画像の濃度を測定するなどして、あらかじめ設定しておく。
【0033】
これにより、合成信号はブラック(LkとKの色材で表現される色)の階調を表現する信号となるので、入力画像データの形状と似たような形状の信号となる。図10は図5(b)と図5(c)を合成したものであり、入力信号である図5(a)と似た形状となっていることが分かる。
【0034】
よって、この合成信号からエッジ量を算出することで、入力画像の画像特徴を抽出することが可能となり、KとLkのデータに対しても入力画像の画像特徴に応じた適切な階調処理を行うことが可能となる。
【0035】
なお、定数εは必ずしもLkの色材濃度とKの色材濃度の比率に等しくする必要はないが、合成された信号がLkとKの色材で表現される色の階調を表現する信号とすることが望ましい。
【0036】
本実施例の特徴として、エッジ量算出部が4つで済むということが挙げられる。エッジ量算出は積和演算を多く含み、図2のような単一のエッジ量算出フィルタだけでなく、複数のエッジ量算出フィルタを用いる場合もある。よって、エッジ量算出部が4つで済むということは、回路規模の増大を防ぐという効果がある。特に、濃度の異なる色材を3種類以上に増やしたり、ブラック以外にシアンやマゼンタも濃度の異なる複数の色材を用いたりした場合でも、エッジ量算出部の数は4つのままであるため、その効果は非常に大きくなる。
【0037】
実施例2の変形:
信号合成部の別の構成例を図11に示す。図9の構成と異なるのは、Lkのデータに定数εを乗算してKのデータと加算した後に、ルックアップテーブル(LUT)によりその信号特性を変換することである。LUTは例えば、図12に示したようなものであり、明度リニアあるいは濃度リニアな信号に変換する。これにより、合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換することが可能となる。
【0038】
このようにLUTで変換するのは、「合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換すること」が目的であるが、特にこのようにする必要はなく、例えば、低濃度文字のエッジ量を大きくとりたい場合や、逆に、低濃度文字のエッジ量はあまり取りたくないといったような狙いがある場合に、そのようなエッジ量がとりやすくなるように合成信号の信号特性を変えればよい。実施例2の場合には、合成信号はLk及びKの信号の線形加算なので、その特性は基本的にLk及びKの信号と同じになるので、LUTによる変換が必要になる。
【0039】
実施例2の変形:
信号合成部の別の構成例を図13に示す。LkとKのデータに対して、それぞれルックアップテーブル(LUT)により信号特性を変換してから加算する。このような構成にすることにより、図11ではLkのデータに対して定数倍の変換しか行えなかったものが、非線形の変換を行うことができる。さらに、Kのデータに対しても非線形の変換を行ってから、LkとKのデータを加算するので、合成信号の特性を入力画像の画像特徴量を抽出しやすい信号特性に変換することが可能となる。
【0040】
実施例3:
図14は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、LkとKのデータの各々から文字領域を抽出する。
【0041】
文字領域抽出部115、116は、例えば特許第2968277号公報に記載されているような方法により、画像の文字領域を抽出する。特許第2968277号公報では、信号を黒画素/白画素に二値化し、パターンマッチングにより黒画素および白画素の連結を検出する。そして、M×M画素領域内に連結した黒画素および白画素が共に一定数以上存在するとき、当該領域の中心画素(注目画素)を文字部境界の画素と判定し、N×N画素領域内(N>M)に上記文字部境界の画素が一定数以上存在するとき、当該領域の中心画素(注目画素)を文字部画素と判定することにより、文字領域を抽出する。この方法以外にも公知の文字領域抽出方法を用いることが可能である。
【0042】
LkとKのデータから抽出された文字領域結果は領域信号合成部117で合成される。領域信号合成部117では、LkとKの文字領域結果のうち、少なくとも一方が文字領域であれば、文字領域として出力する。つまり、文字領域結果を表す信号の論理和演算を行うということである。
【0043】
そして、合成された文字領域結果によってKとLkの階調処理を制御する。文字領域では鮮鋭性を重視した階調処理を行い、非文字領域では粒状性や階調性を重視した階調処理を行うことにより、文字や絵柄が混在した入力画像に対して、鮮鋭性と粒状性、階調性が両立した画像を形成することが可能となる。
【0044】
実施例4:
図15は、本実施例の処理ブロック図を示す。まず、RGB各8bitの入力画像データが色変換部101でCMYKLk各8bitのデータに変換される。次に、KとLkのデータを信号合成部118で合成し、その合成信号から文字領域抽出部119で文字領域を抽出する。文字領域の抽出方法は、実施例3と同様である。そして、文字領域抽出結果(文字領域であるか否か)によってKとLkの階調処理を制御する。文字領域結果を用いた制御方法は、文字領域では第1階調処理(鮮鋭性を重視した階調処理)、非文字領域では第2階調処理(粒状性や階調性を重視した階調処理)となるように制御する。
【0045】
本実施例の構成では、入力画像データの形状に似た合成信号から文字領域を抽出することにより、文字領域の抽出が容易となり、KとLkのデータに対して文字領域では鮮鋭性を重視した階調処理を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施例の特徴として、文字領域抽出部119が1つで済むということが挙げられる。文字領域抽出部は複雑な処理を行うことが多く、例えば前掲した特許第2968277号公報ではパターンマッチングや計数処理が必要となる。よって、文字領域抽出部が1つで済むということは、回路規模の増大を防ぐという効果がある。
【0047】
以上の実施例では、画像特徴によって階調処理を切り替える例を説明したが、画像特徴によって制御される対象は階調処理に限定されるものではなく、その他の処理を制御する場合にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1の処理ブロック図を示す。
【図2】エッジ抽出フィルタを示す。
【図3】階調処理部の処理ブロック図を示す。
【図4】エッジ量合成部の処理ブロック図を示す。
【図5】入力画像の例を示す。
【図6】エッジ量合成部の別の構成例を示す。
【図7】実施例1の変形例を示す。
【図8】実施例2の処理ブロック図を示す。
【図9】信号合成部の処理ブロック図を示す。
【図10】実施例2による合成信号を示す。
【図11】信号合成部の別の構成例を示す。
【図12】LUTの信号特性を示す。
【図13】信号合成部の別の構成例を示す。
【図14】実施例3の処理ブロック図を示す。
【図15】実施例4の処理ブロック図を示す。
【図16】CMYKLkの5色で画像を形成する従来の構成例を示す。
【符号の説明】
【0049】
101 色変換部
102〜106 エッジ量算出部
107 エッジ量合成部
108〜112 階調処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡データから各々の画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段と、各画像特徴を合成する合成手段とを有し、合成された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であり、前記合成手段でエッジ量の最大値をとることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であり、前記合成手段でエッジ量の加算、または重み付き加算を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴は文字領域または文字・線画領域であるか否かであることを示す信号であり、前記合成手段で論理和をとることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡画像データを合成して1つのデータを生成する合成手段と、合成されたデータから画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段とを有し、画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置において、前記合成手段では、濃度の異なる複数の色材で記録される色の階調を表現するデータを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像処理装置において、前記合成手段では、濃淡画像データの重み付き加算を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5記載画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項5記載の画像処理装置において、前記画像特徴は文字領域または文字・線画領域であるか否かであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置において、淡画像データに対しては画像特徴によらない均一の画像処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理方法において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成し、濃淡データから各々の画像特徴を抽出し、該抽出された各画像特徴を合成し、該合成された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理方法において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成し、濃淡画像データを合成して1つのデータを生成し、該合成されたデータから画像特徴を抽出し、該抽出された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡データから各々の画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段と、各画像特徴を合成する合成手段とを有し、合成された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であり、前記合成手段でエッジ量の最大値をとることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であり、前記合成手段でエッジ量の加算、または重み付き加算を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置において、前記画像特徴は文字領域または文字・線画領域であるか否かであることを示す信号であり、前記合成手段で論理和をとることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理装置において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成する生成手段と、濃淡画像データを合成して1つのデータを生成する合成手段と、合成されたデータから画像特徴を抽出する画像特徴抽出手段とを有し、画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置において、前記合成手段では、濃度の異なる複数の色材で記録される色の階調を表現するデータを生成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像処理装置において、前記合成手段では、濃淡画像データの重み付き加算を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5記載画像処理装置において、前記画像特徴はエッジ量であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項5記載の画像処理装置において、前記画像特徴は文字領域または文字・線画領域であるか否かであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置において、淡画像データに対しては画像特徴によらない均一の画像処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理方法において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成し、濃淡データから各々の画像特徴を抽出し、該抽出された各画像特徴を合成し、該合成された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
少なくとも1色について濃度の異なる複数の色材で画像を記録するための画像データを生成する画像処理方法において、濃度の異なる複数の色材に関する濃淡画像データを生成し、濃淡画像データを合成して1つのデータを生成し、該合成されたデータから画像特徴を抽出し、該抽出された画像特徴に基づいて前記濃淡画像データに画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−231867(P2006−231867A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53498(P2005−53498)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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