説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】従来の基準に依存することなく、新たな基準に従って、ユーザが操作する機器の位置と画像が撮影された位置との位置関係を、画面上での表示に反映させる。
【解決手段】撮影時には、画像データに撮影位置を示す画像位置データを付加してメモリに記録する(ステップS110)。デジタルカメラの現在位置が変化した場合には、現在位置を始点して、各画像データの画像位置データが示す位置のベクトルを算出する(ステップS113)。この算出したベクトルのうち、表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域から突出するベクトルがあるか否かを判断する(ステップS117)。ある場合には、当該ベクトルを表示対象領域内に収まる長さに変更する(ステップS118)。これにより全てのサムネイル画像が表示対象領域内に収まるようにして、表示画面31の周部に設けられた周部表示領域311内の画像位置データが示す位置に表示させる(ステップS120)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面に画像データの内容を示す画像指標を表示する画像処理装置、及びこの画像処理装置に用いられるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されている技術においては、携帯電話での撮影による画像を記録する際に、当該撮影地点の位置を示す位置情報をも取得する。撮影により取得した画像をファイル化して記憶する際に、ファイル化した画像ファイルと位置情報とを関連付けて記憶する。
【0003】
また、表示に際しても、当該携帯電話の現在の位置を示す位置情報を取得し、この取得した位置情報により示される現在の位置を表示画面の中心とする。そして、この表示画面の中心とした現在の位置と、画像ファイルに関連付けられている位置情報が示す位置との相対的な位置関係に従って、表示画面上に各画像ファイルを示すアイコンを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−100353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、表示画面上に各画像ファイルのアイコンを表示させる際に、現在の携帯電話の位置と各画像ファイルに対応する位置情報が示す位置との関係をアイコンの表示位置に単にそのまま反映させているだけである。つまり、現在の位置と各画像ファイルに対応する位置情報が示す位置との位置関係のみを基準(以下、従来の基準という)として、表示画面上に各画像ファイルのアイコンを表示させるにすぎない。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、従来の基準に依存することなく、新たな基準に従って、ユーザが操作する機器の位置と画像が撮影された位置との位置関係を、画面上での表示に反映させることのできる画像処理装置及びこれに用いられるプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するため本発明に係る画像処理装置は、画像を表す画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データが表す画像を表示画面に表示する表示手段と、現在の時点における当該画像処理装置の位置を示す現在位置データを逐次取得する現在位置データ取得手段と、前記画像データ取得手段が前記画像データを取得したときに、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データを画像位置データとして取得する画像位置データ取得手段と、前記画像データと前記画像位置データとを対応させて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データが示す位置を始点とし、前記画像データに対応する前記画像位置データが示す位置を終点として、前記現在位置データが示す位置に対する前記画像位置データが示す位置の距離と方向とを示す第1の位置関係データを生成する第1の位置関係データ生成手段と、仮想平面上に設定された所定の区域における中心を前記始点とした前記第1の位置関係データが示す距離を、前記区域における一辺の長さと前記表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域における対応する一辺の長さとの比率を縮尺率として縮尺することにより第2の位置関係データを生成する第2の位置関係データ生成手段と、前記第2の位置関係データを、前記表示対象領域の中心を始点とする第3の位置関係データに変換することともに、変換した第3の位置関係データにおいて、終点が前記表示対象領域から外れる位置関係データがあるか否かを判断し、前記終点が表示対象領域から外れる位置関係データのみの距離を、当該終点が前記表示対象領域内に収まる距離に変更することにより前記第3の位置関係データを含む第4の位置関係データを生成するデータ処理手段と、前記第4の位置関係データが示す位置に基づいて、前記記憶手段に記憶されている画像データの内容を示す画像指標を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、画像を表す画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データが表す画像を表示画面に表示する表示手段と、現在の時点における当該画像処理装置の位置を示す現在位置データを逐次取得する位置データ取得手段とを備える装置が有するコンピュータを、前記画像データ取得手段が前記画像データを取得したときに、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データを画像位置データとして取得する画像位置データ取得手段と、前記画像データと前記画像位置データとを対応させて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データが示す位置を始点とし、前記画像データに対応する前記画像位置データが示す位置を終点として、前記現在位置データが示す位置に対する前記画像位置データが示す位置の距離と方向とを示す第1の位置関係データを生成する第1の位置関係データ生成手段と、仮想平面上に設定された所定の区域における中心を前記始点とした前記第1の位置関係データが示す距離を、前記区域における一辺の長さと前記表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域における対応する一辺の長さとの比率を縮尺率として縮尺することにより第2の位置関係データを生成する第2の位置関係データ生成手段と、前記第2の位置関係データを、前記表示対象領域の中心を始点とする第3の位置関係データに変換することともに、変換した第3の位置関係データにおいて、終点が前記表示対象領域から外れる位置関係データがあるか否かを判断し、前記終点が表示対象領域から外れる位置関係データのみの距離を、当該終点が前記表示対象領域内に収まる距離に変更することにより前記第3の位置関係データを含む第4の位置関係データを生成するデータ処理手段と、前記第4の位置関係データが示す位置に基づいて、前記記憶手段に記憶されている画像データの内容を示す画像指標を、前記表示画面に表示させる表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の基準に依存することなく、新たな基準に従って、ユーザが操作する機器の位置と画像が撮影された位置との位置関係を、画面上での表示に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の各実施の形態に共通するデジタルカメラの背面図である。
【図2】同デジタルカメラのハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【図3】サムネイル画像表示サイズテーブルを示す図である。
【図4】同デジタルカメラの機能の要部を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、仮想平面を示す図であり、(b)は、表示対象領域を示す図である。
【図7】(a)は、表示画面区分処理が実行される前の表示画面を示す図であり、(b)は、表示画面区分処理が実行された状態の表示画面を示す図である。
【図8】ステップS113におけるベクトル算出の一例を示す図である。
【図9】位置関係データを有する画像データを示す画像を、位置関係データが示す位置関係に従い配置した概念的な図である。
【図10】(a)は、ステップS113で算出されるベクトルの一例を示す図であり、(b)は、ステップS116で算出されるベクトルの一例を示す図である。
【図11】全てのベクトルが表示対象領域内に収まった状態を示す図である。
【図12】第1の実施の形態における表示画面の表示例を示す図である。
【図13】ユーザの移動例を示す図である。
【図14】第1の実施の形態における画面遷移例を示す図である。
【図15】ステップS113で算出されるベクトルの角度が変化する状態を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図17】同実施の形態における表示画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本発明の各実施の形態に共通するデジタルカメラ1の外部構成を示す背面図である。このデジタルカメラ1の上面部にはシャッターキー2が設けられている。
【0012】
また、デジタルカメラ1の背面部には、液晶表示部3が設けられている。液晶表示部3は、横縦比が4:3の表示画面31を有している。本実施の形態において、表示画面31の横寸法W1は80mm、縦寸法L1は60mmである。無論、表示画面31の横縦比、横寸法、縦寸法はこれに限るものではない。
【0013】
表示画面31の側部には、撮影モードボタン4、再生モードボタン5、ページ送り・戻しキー6、メニューボタン7、その他の機能ボタン8が設けられている。ページ送り・戻しキー6の中心部に決定キー9が設けられている。
【0014】
撮影モードボタン4は、撮影モードを設定する際に操作されるボタンである。再生モードボタン5は、再生モードを設定する際に操作されるボタンである。これら、撮影モードボタン4と再生モードボタン5とは、電源ON/OFFキーとしての機能も兼ねる。
【0015】
ページ送り・戻しキー6は、シーソー式のキーであって左右端部に対する操作に応じて、ページ戻し指示とページ送り指示とを発生するキーである。また、ページ送り・戻しキー6は、上下端部に対する操作に応じて表示画面31に表示される「↑」「↓」に対応する指示を発生するキーである。
【0016】
メニューボタン7は、表示画面31に複数の選択肢からなるメニューをカーソルとともに表示させる際に操作されるボタンである。このメニューボタン7の操作により表示画面31に選択肢とともに表示されたカーソルは、ページ送り・戻しキー6の上下端部に対する操作に応じて移動させることができる。ユーザは、カーソルを所望の選択肢に合致させた状態で、決定キー9を操作することにより、所望のメニューを選択することができる。
【0017】
図2は、各実施の形態に共通するデジタルカメラ1のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【0018】
デジタルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)10によってシステムの全体を制御される構成である。デジタルカメラ1は、フォーカスレンズを含む光学系とメカニカルシャッターからなるレンズブロック11を有している。また、レンズブロック11内における光学系、メカニカルシャッターをそれぞれ駆動するためのモータ等のアクチュエータ12を有している。アクチュエータ12を駆動するための各種のドライバにより構成されるドライバブロック13がバス24を介してCPU10接続されている。
【0019】
また、デジタルカメラ1は、被写体を撮像するための固体撮像素子としてCCD(Charge Coupled Device)14を有している。CCD14は、公知の電荷転送型の固体撮像素子である。
【0020】
ドライバ15は、TG(Timing Generator)16が生成した垂直CCD駆動タイミング信号と、水平CCD駆動タイミング信号、及び電子シャッタタイミング信号に従い、CCD駆動信号を生成する。そして、ドライバ15は、生成したCCD駆動信号をCCD14へ供給してCCD14を駆動する。
【0021】
TG16は、前述の垂直CCD駆動タイミング信号と、水平CCD駆動タイミング信号、及び電子シャッタタイミング信号からなる駆動タイミング信号を、CPU10により設定された駆動モードに応じて生成する。すなわち、TG16は、CCD14の駆動モードの種類を示す設定値を記憶するレジスタを内部に有している。設定値が、CPU10により設定されることにより、TG16は、各々の駆動モードに応じた駆動タイミング信号(垂直CCD駆動タイミング信号、水平CCD駆動タイミング信号、電子シャッタタイミング信号)を生成する。
【0022】
CCD14は、ドライバ15によって駆動されることにより、レンズブロック11の光学系において結像された被写体の光学像(被写体像)を光電変換することによって、被写体像を表すアナログの撮像信号をユニット回路17に供給する。
【0023】
ユニット回路17は、CDS(Correllated Double Sampling)回路とAGC(Auto Gain Control)回路、及びA/D(analogue/digital)変換部で構成されている。CDS回路は、CCD14から供給されたアナログの撮像信号に含まれるノイズを相関二重サンプリングによって除去する。AGC回路は、ノイズ除去後の撮像信号を増幅し、増幅後の撮像信号をA/D変換部に供給する。A/D変換部は、増幅後の撮像信号をデジタルの撮像信号に変換し、変換後におけるデジタルの撮像信号をDSP(Digital Signal Processor)18へ出力する。
【0024】
DSP18は、入力した撮像信号に対しペデスタルクランプ等の処理を施してRGBデータに変換し、さらにRGBデータを輝度(Y)成分及び色差(UV)成分からなる画像データに変換する。また、DSP18は、画像データにオートホワイトバランス、輪郭強調、画素補間などの画品質向上のためのデジタル信号処理を施し、順次SDRAM19に記憶させる。
【0025】
撮影モードでは、SDRAM19に1フレーム分(1画面分)の画像データが蓄積される毎に、画像データが液晶表示部3へ送られてライブビュー画像として表示画面31に表示される。また、シャッターキー2が押下された撮影時には、CPU10がSDRAM19に一時記憶される画像データを圧縮し、所定のフォーマットの画像ファイルとして外部メモリ20に記録する。外部メモリ20は、図示しないカードインターフェイスを介してカメラ本体に接続された着脱自在なメモリカードである。
【0026】
なお、本実施の形態においては、EXIF(Exchangeable Image File Format)で画像ファイルを外部メモリ20に記録するものとする。無論、他のフォーマットで記録するようにしても構わない。
【0027】
再生モードにおいてCPU10は、外部メモリ20に記録された画像ファイルをユーザの選択操作に応じて読み出す。さらに、CPU10は、この読み出した画像ファイルを伸張し、画像データをSDRAM19に展開した後、液晶表示部3に表示させる。
【0028】
フラッシュメモリ21は、CPU10にカメラ全体を制御させるための複数種のプログラムやデータが記憶されているメモリである。フラッシュメモリ21に記憶されているプログラムには、レンズブロック11の光学系を、公知のコントラスト検出方式によって被写体にピントが合うフォーカス位置へ自動制御するAF(auto focus)制御を行うためのAF制御プログラムが含まれる。
【0029】
さらに、CPU10にはキー入力部22が接続されているとともに、GPS(Global Positioning System)モジュール23が接続されている。キー入力部22は、図1に示したシャッターキー2から決定キー9までの各種キーやボタン、及びその他のスイッチ類を有している。CPU10は、キー入力部22におけるスイッチ類の操作状態を定常的にスキャンし、ユーザによるスイッチ操作の内容に応じた操作信号を取得する。
【0030】
GPSモジュール23は、L1帯(1.57542GHz)のC/Aコード(Coarse/Acquisition code)を受信して復調・解読し、現在のデジタルカメラ1の位置である現在位置の緯度・経度を逐次割り出す。つまり、GPSモジュール23は、割り出した緯度・経度を示すデータである現在位置データを取得するものであり、逐次取得される現在位置データは、CPU10に取り込まれる。
【0031】
図3は、フラッシュメモリ21に格納されているサムネイル画像表示サイズテーブル121を示す図である。このサムネイル画像表示サイズテーブル121には、距離区分122、サイズ区分123、及び比率区分124が設けられている。
【0032】
距離区分122には、距離「0m以上、10m未満」、「10m以上、20m未満」、「20m以上、30m未満」、「30m以上」が記憶されている。これら距離区分122に記憶された距離は、後述するように、GPSモジュール23により取得された現在位置データが示す位置と、外部メモリ20に記録されている画像データにEXIF情報として埋め込まれている画像位置データが示す位置との距離を示す。
【0033】
サイズ区分123には、距離区分122の各距離データに対応して、サイズ「8×6mm」、「6.4×4.8mm」、「4.8×3.6mm」、「3.2×2.4mm」が記憶されている。これらサイズ区分123に記憶されたサイズは、後述するように表示画面31の周部に表示するサムネイル画像の縦×横サイズ、又は横×縦サイズを示す。
【0034】
比率区分124には、サイズ区分123の各サイズに対応して、比率「1.0」、「0.8」、「0.6」、「0.4」が記憶されている。これら比率区分124に記憶された比率は、「8×6mm」のサムネイル画像サイズを基本サイズとして、該基本サイズに対するサムネイル画像の大きさの比率を示す。
【0035】
図4は、各実施の形態に共通するデジタルカメラ1の機能の要部を示す機能ブロック図である。撮影部51は、画像を撮影して、撮影した画像を表す画像データを取得するものある。撮影部51は、図2の回路図において、CCD14、ユニット回路17、及びDSP18により実現される。
【0036】
表示部52は、撮影部51が取得した画像データが表す画像等を表示する表示画面を有するものである。この表示部52は、図2の回路図において、液晶表示部3により実現される。
【0037】
現在位置データ取得部53は、現在の時点におけるデジタルカメラ1の位置を示す現在位置データを逐次取得するものである。この現在位置データ取得部53は、図2の回路図において、GPSモジュール23により実現される。
【0038】
画像位置データ取得部54は、撮影部51が撮影を行って、画像データを取得したときに、現在位置データ取得部53が取得した現在位置データを画像位置データとして取得するものである。この画像位置データ取得部54は、図2の回路図において、CPU10により実現される。
【0039】
記憶制御部55は、撮影部51が撮影により取得した画像データと、画像位置データ取得部54が取得した画像位置データとを対応させて、二次記憶部56に記憶させるものである。記憶制御部55は、図2の回路図において、CPU10により実現される。また、二次記憶部56は、外部メモリ20により実現される。
【0040】
第1位置関係データ生成部57は、現在位置データ取得部53が取得した現在位置データが示す位置を始点とし、二次記憶部56に記憶されている画像データに対応する画像位置データが示す位置を終点として、現在位置データが示す位置に対する画像位置データが示す位置の距離と方向とを示す第1の位置関係データを生成するものである。この第1位置関係データ生成部57は、図2の回路図において、CPU10により実現される。
【0041】
第2位置関係データ生成部62は、仮想平面上に設定された所定の区域おける前記現在位置データが示す位置を中心とした第1の位置関係データが示す距離を、区域における一辺の長さと表示部52の表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域における対応する一辺の長さとの比率を縮尺率として縮尺することにより、第2の位置関係データを生成するものである。この第2位置関係データ生成部62は、図2の回路図において、CPU10により実現される。
【0042】
データ処理部58は、第2の位置関係データを、表示対象領域の中心を始点とする第3の位置関係データに変換する。そして、この変換した第3の位置関係データにおいて、終点が前記表示対象領域から外れる位置関係データがあるか否かを判断し、終点が表示対象領域から外れる位置関係データのみの距離を、当該終点が前記表示対象領域内に収まる距離に変更することにより第3の位置関係データを含む第4の位置関係データを生成するものである。このデータ処理部58は、図2の回路図において、CPU10により実現される。
【0043】
表示制御部59は、第4の位置関係データが示す位置に基づいて、二次記憶部56に記憶されている画像データの内容を示す画像指標を表示部52の表示画面に表示させるものである。この表示制御部59は、図2の回路図において、CPU10により実現される。
【0044】
また、表示制御部59は、データ処理部58により生成されて変更された第2の位置関係データが示す距離と方向とに従って、画像指標を表示させる。
【0045】
また、表示制御部59は、表示部52の表示画面を、当該表示画面の周部において全周に亙る帯状の領域からなる周部表示領域と、この周部表示領域によって囲繞される中央部表示領域とに区分する。そして、周部表示領域に画像指標を表示させる。
【0046】
また、表示制御部59は、中央部表示領域に撮影部が現在取得している画像データが表す画像であるライブビュー画像を表示させる。
【0047】
さらに、表示制御部59は、現在位置データ取得部53が取得した現在位置データが示す位置と、画像データに対応する画像位置データが示す位置との距離に応じた大きさで、画像指標を表示させる。
【0048】
このとき、表示制御部59は、画像指標を表示させる際に重なる画像指標があるか否かを判断し、重なる画像指標があると判断した場合、当該画像指標を重ならない位置に表示させる。
【0049】
画像指標は、例えば画像データにより表される画像の縮小画像であるサムネイル画像である。
【0050】
なお、一次記憶部61は、画像位置データ取得部54、記憶制御部55、第1位置関係データ生成部57、第2位置関係データ生成部62、データ処理部58、及び表示制御部59が各機能を実現するための処理を実行するに際して、必要となるデータを一時的に記憶する作業領域として使用されるものである。この一次記憶部61は、図2の回路図において、SDRAM19により実現される。
【0051】
したがって、図4の機能ブロック図における制御部60は、図2の回路図において、CPU10とSDRAM19とにより実現される。
【0052】
(第1の実施の形態)
【0053】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作について、図5のフローチャートに従って説明する。例えば「GPS撮影モード」と称する、撮影モードにおける特定のモードを設定すると、制御部60は、このフローチャートに示す処理を開始する。具体的には、CPU10が、フラッシュメモリ21に記憶されているプログラムに従って、このフローチャートに示す処理を開始する。
【0054】
先ず、制御部60のデータ処理部58は、仮想的な平面である仮想平面を設定する(ステップS101)。具体的には、CPU10がSDRAM19内において、例えば図6(a)に示すように、区域321を有する仮想平面32を生成する。この区域321は、表示画面31の横縦比(4:3)と同一の横縦比であるが、長さは異なり、横長さW2が80m、縦長さL2が60mであるものとする。つまり、区域321は、横辺が80m、縦辺が60mであると仮定した長方形である。但し、仮想平面32は、この区域321よりも広い平面である。
【0055】
引き続き、制御部60のデータ処理部58は、表示対象領域を設定する(ステップS102)。具体的には、CPU10がSDRAM19内において、例えば図6(b)に示す表示対象領域33を生成する。表示対象領域33は、液晶表示部3の表示画面31と同一の大きさであり、横長W2が80mm、縦長L2が60mmである。つまり、表示対象領域33は、横辺が80mm、縦辺が60mmであると仮定した長方形であり、区域321と相似形である。また、表示対象領域33は、区域321に対して、距離比で1/1,000の大きさである。
【0056】
区域321を有する仮想平面32と表示対象領域33は、SDRAM19内の異なるメモリ空間に生成される別個独立した仮想的な面である。
【0057】
なお、図6に示した仮想平面32の区域321及び表示対象領域33の大きさは、一例であって、このサイズに限るものではない。
【0058】
次に、表示制御部59は、表示画面区分処理を実行する(ステップS103)。
【0059】
図7は、この表示区分処理の内容を示す図である。図7において、(a)は、表示画面区分処理が実行される前の表示画面31を示し、この状態では表示画面31の全域をライブビュー画像を表示させる画面として機能させる。しかし、表示画面区分処理が実行されると表示画面31は、図7(b)に示すように、周部表示領域311と中央部表示領域312とに区分される。
【0060】
周部表示領域311は、表示画面31の周部において全周に亙る帯状の領域からなる。この周部表示領域311の生成に際して、CPU10は、図3に示したサムネイル画像表示サイズテーブル121を参照する。そして、このサムネイル画像表示サイズテーブル121に記憶されているサムネイル画像の基本サイズ「8×6mm」に基づき、周部表示領域311の幅を設定する。具体的には、基本サイズのサムネイル画像「8×6mm」が収まる幅であって、かつ可及的に中央部表示領域312を大きくとれるように、周部表示領域311の幅を設定する。したがって、周部表示領域311の幅は、例えば9mmである。
【0061】
無論、この周部表示領域311の幅9mmも一例であって、サムネイル画像の基本サイズに応じて幅が設定されることになる。
【0062】
次に、表示制御部59は、撮影部51により取得された画像データに基づく、中央部表示領域312にてのライブビュー画像の表示を開始する(ステップS104)。つまり、レンズブロック11における光学系より受光面に結像された画像に応じてCCD14が出力した信号から生成された画像データに基づき、CPU10が液晶表示部3を制御する。これにより、中央部表示領域312には、CCD14に逐次結像される画像の液晶表示画像であるライブビュー画像が表示される。
【0063】
引き続き、制御部60は、緯度・経度を逐次割り出して現在位置データを取得している現在位置データ取得部53から現在位置データを読み込む(ステップS105)。具体的には、CPU10が、現在位置の緯度・経度を逐次割り出して現在位置データを取得しているGPSモジュール23から、現在位置データを読み込む。
【0064】
制御部60は、この今回読み込んだ今回の現在位置データと、前回のステップS105での処理により読み込んだ前回の現在位置データとを比較することにより、デジタルカメラ1の現在の位置に変化があったか否かを判断する(ステップS106)。
【0065】
このとき、デジタルカメラ1を所持しているユーザが、例えば撮影のために立ち止まっている等により、デジタルカメラ1の現在の位置に変化がない場合には、ステップS106での判断がNOとなる。したがって、制御部60は、ステップS106からステップS107に処理を進めて、シャッターキー2の押下が検出されたか否かを判断する(ステップS107)。
【0066】
シャッターキー2の押下が検出されたならば、記憶制御部55は、撮影部51が取得した画像データを二次記憶部56に記憶させる撮影処理を実行する(ステップS108)。具体的には、CPU10は、シャッターキー2の押下時点でSDRAM19に記憶されている画像データを圧縮し、圧縮した画像データを静止画ファイルとして外部メモリ20に記録する。
【0067】
また、画像位置データ取得部54は、この撮影時点における現在位置データを現在位置データ取得部53から画像位置データとして取得し、一次記憶部61に記憶する(ステップS109)。具体的には、CPU10が逐次現在位置データを取得しているGPSモジュール23から現在位置データを読み込んで、画像位置データとしてSDRAM19に一時的に記憶する。したがって、画像位置データは、撮影時点におけるデジタルカメラ1の位置を示すデータである。
【0068】
すると、記憶制御部55が、ステップS109で画像位置データ取得部54が得た画像位置データを、ステップS108で二次記憶部56(外部メモリ20)に記録した画像データのEXIF情報として記録する(ステップS110)。したがって、「GPS撮影モード」で撮影されて外部メモリ20に記録された画像データには、画像位置データがEXIF情報として記録されている。
【0069】
他方、制御部60は、ステップS106でデジタルカメラ1の現在の位置に変化があったと判断した場合には、ステップS111に処理を進め、第1位置関係データ生成部57を動作させる。すなわち、第1位置関係データ生成部57は、「GPS撮影モード」で撮影されて二次記憶部56(外部メモリ20)に記録された画像データを順次処理するために、カウント値Nをリセットして「0」を設定する(ステップS111)。次に、第1位置関係データ生成部57は、このカウント値Nをインクリメントする(ステップS112)。
【0070】
さらに、第1位置関係データ生成部57は、現在位置を始点とし、N番目の画像データの画像位置データが示す位置を終点とするベクトルを算出する(ステップS113)。
【0071】
ベクトルは、周知のように「始点から終点に向かう有向線分」と定義されている。したがって、ステップS113では、このベクトルの定義に従って、現在位置を始点とし、N番目の画像データの画像位置データが示す位置を終点とし、これら始点から終点に向かう有向線分であるベクトルを算出する。
【0072】
つまり、外部メモリ20に記録された画像データのうち、「GPS撮影モード」で撮影された画像データであるか、通常の撮影モードで撮影された画像データであるかは、EXIF情報として画像位置データがあるか否かにより識別することができる。したがって、第1位置関係データ生成部57は、外部メモリ20において、EXIF情報として画像位置データを有する画像データを他の画像データから選別する。
【0073】
そして、この選別した画像データに、例えば最先に記録された順序である時系列順序で連続的な番号Nを付加し、連続的な番号Nを付加した画像データを以下の説明においてはN番目の画像データと呼ぶこととする。したがって、現時点が「N=1」であるとすると、ステップS113では、先ず1番目の画像データが有する画像位置データが示す位置を終点とし、現在位置を始点とするベクトルを算出する
【0074】
図8は、ステップS113におけるベクトル算出の一例を示す図である。図8に示す例においては、緯度を「x」、経度を「y」で表す。そして、現在位置を区域321の中心に設定し、この現在位置の緯度・経度を(x0,y0)と表記する。また、1番目の画像データが有する画像位置データが示す位置の緯度・経度を(x1,y1)と表記すると、図8に示す例においてはステップS113で、始点を(x0,y0)とし、終点を(x1,y1)とするベクトルV1が算出されることとなる。
【0075】
このようにして、ベクトルを算出したならば、第1位置関係データ生成部57(CPU10)は、当該算出したベクトルを示す情報であるベクトル情報を一次記憶部61(SDRAM19)に記憶する(ステップS114)。
【0076】
次に、第1位置関係データ生成部57は、カウント値Nの値がNmaxとなったか否かを判断する(ステップS115)。ここで、Nmaxは、外部メモリ20に記録された画像データのうち、「GPS撮影モード」で撮影された画像データの総数である。したがって、N=Nmaxとなるまで、つまり「GPS撮影モード」で撮影された全ての画像データに対して、ステップS113及びステップS114の処理が完了するまで、ステップS112からの処理が繰り返される。
【0077】
したがって、ステップS113とステップS114の処理はNmax回繰り返される。
【0078】
図9は、位置関係データを有する画像データを示す画像を、位置関係データが示す位置関係に従い配置した概念的な図である。図9に示した例は、ユーザがデジタルカメラ1の「GPS撮影モード」で撮影を行いながら、商品の展示会場70を巡り、展示会場の各位置で「画像データA」から「画像データM」までの13枚の撮影を行った場合を示している。したがって、「画像データA」から「画像データM」の各配置位置は、展示会場での当該画像データの撮影位置であり、画像位置データにより示される位置である。
【0079】
つまり、図9に示した例においては、外部メモリ20に、画像位置データを有する画像データが「画像データA」から「画像データM」までの13枚分記憶されている。よって、この例ではステップS113とステップS114の処理が13回繰り返される。
【0080】
これにより、図10(a)に例示するように、現在位置(x0,y0)を始点とし、「画像データA」〜「画像データM」の画像位置データが示す位置を終点とするベクトルVA〜VMが算出され、これらベクトルVA〜VMを示す情報からなる第1位置関係データがSDRAM19に記憶される。
【0081】
次に、第2位置関係データ生成部62は、ステップS113で算出された各ベクトルを1/1,000倍に変換した第2の位置関係データを生成し、生成された第2の位置関係データをデータ処理部58が記憶させる(ステップS116)。具体的には、CPU10が、SDRAM19に記憶されているベクトルを1/1,000倍に変換し、ステップS102で設定した表示対象領域33に書き込む。
【0082】
つまり、前述のように、本実施の形態においては、表示対象領域33(横×縦=80mm×60mm)は、仮想平面32の区域321(横×縦=80m×60m)に対して、対応する一辺の長さの比で1/1,000の大きさであり、相似形である。したがって、次のステップS117で表示対象領域から突出するベクトルがあるか否かを判断する為に、1/1,000を縮尺率として、ステップS114の処理で記憶されているベクトルにおける長さ(距離)を千分の1に縮尺する。
【0083】
しかる後に、千分の1に縮尺したベクトルを、表示対象領域33の中心を現在位置として変換し、つまり千分の1に縮尺したベクトルの始点を表示対象領域33の中心に設定し、当該表示対象領域33内に書き込んでSDRAM19に記憶する。これにより、SDRAM19内には、表示対象領域33の中心を始点とし、ベクトルVA〜VMを千分の1に縮尺したベクトルからなる第3の位置関係データが生成されることとなる。
【0084】
したがって、このステップS116での処理により、図10(a)に示した80m×60mからなる仮想平面32上のベクトルVA〜VMに対して、図10(b)に示した1/1,000倍の長さであるベクトルVA1〜VM1、つまり第3の位置関係データが80mm×60mmからなるSDRAM19内の表示対象領域33上に書き込まれる。
【0085】
引き続き、データ処理部58は、表示対象領域33から突出したベクトルがあるか否かを判断する(ステップS117)。具体的には、CPU10は、SDRAM19に記憶したこれらベクトル(ベクトルVA1〜VM1)を示す情報に基づき、表示対象領域33よりも突出するベクトルがあるか否かを判断する。
【0086】
ここで、表示対象領域33よりも突出するベクトルとは、ベクトルの終点が表示対象領域33の外部に位置するベクトルである。
【0087】
そして、データ処理部58は、表示対象領域33よりも突出するベクトルがある場合には、当該ベクトルをその終点が表示対象領域33内に収まる長さに変更する(ステップS118)。
【0088】
図10(b)に示した例の場合、ベクトルVD1及びベクトルVK1は表示対象領域33よりも突出するベクトルであるから、ステップS117の判断はYESとなる。よって、この場合には、ステップS117からステップS118に進み、ベクトルVD1及びベクトルVK1の長さを、表示対象領域33内に収まる長さに変更する。
【0089】
つまり、図9に示した例の場合、画像データD(ベクトルVD1に対応する)と、画像データK(ベクトルVK1に対応する)は、表示対象領域33から外れる画像データである。したがって、この例の場合には、表示対象領域33から外れる画像データがあることにより、ステップS117の判断はYESとなる。よって、ステップS117からステップS118に進み、ベクトルVD1とベクトルVK1の長さを表示対象領域33に表示対象領域33に収まる長さであって最大長に書き換える。
【0090】
無論、このとき書き換えるのは、ベクトルの長さつまりベクトルの終点の位置のみであって、ベクトルの始点及び方向は書き換えない。
【0091】
したがって、このステップS118での処理により、図11に示すように、ベクトルVD1とベクトルVK1を含む全てのベクトルVA1〜VM1が表示対象領域33内に収まる長さとなった第4の位置関係データが生成されることとなる。
【0092】
次に、表示制御部59は、表示対象領域33内に存在する状態となった全てのベクトルに対応する画像データに基づき、サムネイル画像を生成する(ステップS119)。具体的には、CPU10がフラッシュメモリ21に格納されている図3に示すサムネイル画像表示サイズテーブル121を参照し、サイズ区分123からベクトルが示す距離に応じたサムネイル画像のサイズを読み出す。そして、この読み出したサイズに従って、各画像データに基づき対応するサムネイル画像を生成する。
【0093】
したがって、本実施の形態においては、サイズ区分123からベクトルVA〜VMが示す距離に応じたサムネイル画像のサイズを読み出され、この読み出された各画像データA〜Mに基づき対応するサムネイル画像が生成される。
【0094】
すなわち、ベクトルVA〜VMが示す距離が「0m以上、10m未満」である場合には、サイズ「8×6mm」のサムネイル画像が生成され、ベクトルVA〜VMが示す距離が「10m以上、20m未満」である場合には、サイズ「6.4×4.8mm」のサムネイル画像が生成される。また、ベクトルVA〜VMが示す距離が「20m以上、30m未満」である場合には、サイズ「4.8×3.6mm」のサムネイル画像が生成され、ベクトルVA〜VMが示す距離が「30m以上」である場合には、サイズ「3.2×2.4mm」のサムネイル画像が生成される。
【0095】
次に、表示制御部59は、生成したサムネイル画像をベクトルVA1〜VM1が示す方向であって、周部表示領域311内に表示させる(ステップS120)。
【0096】
これにより、図12(a)に示すように、周部表示領域311にはサムネイル画像A〜Mが表示される。
【0097】
なお、図においては、画像データA〜Mとこれに対応するサムネイル画像との対応関係を明瞭にするために、画像データA〜Mに基づき生成されたサムネイル画像についても、同一符号を用いてサムネイル画像A〜Mと表記するものとする。
【0098】
したがって、本実施の形態によれば、表示対象領域33から外れていた画像データに基づくサムネイル画像D、Kをも、他のサムネイル画像とともに表示することができる。よって、従来の基準に依存することなく、新たな基準に従って、ユーザが操作する機器の位置と画像が撮影された位置との位置関係を、画面上での表示に反映させることができる。
【0099】
しかも、本実施の形態においては、画像指標としてサムネイル画像を表示させることから、ユーザは、自己が巡っている展示会場70において、どのような画像を既に撮影したかを一見して明瞭に認識することができる。これにより、展示会場70において漏れなく出品物を観察し、あるいは撮影することができる。
【0100】
さらに、サムネイル画像A〜Mは、周部表示領域311に表示されることから、中央部表示領域312にライブビュー画像を表示することができる。
【0101】
したがって、表示画面31の全表示領域を有効に活用して、ライブビュー画像とサムネイル画像A〜Mとを共に明瞭に表示することができる。
【0102】
また、サムネイル画像A〜Mは、現在位置と距離に応じて、距離が大きいほど小さく表示されることから、ユーザは、現在位置と既に撮影した画像の撮影した位置との関係を把握することもできる。
【0103】
そして、ステップS120に続くステップS121で、表示制御部59は、ステップS120での表示により、重なるサムネイル画像があるか否かを判断する。重なるサムネイル画像がある場合、表示制御部59は、重なるサムネイル画像の表示位置を変更する(ステップS112)。より詳細には、重なるサムネイル画像のうち、その近傍に表示位置を変更可能な領域がより広く存在する一方のサムネイル画像を移動して表示する。
【0104】
すなわち、図12(a)に示す例においては、サムネイル画像Iとサムネイル画像Jとが重なる。したがって、ステップS121の判断はYESとなり、ステップS122の処理が行われることとなる。このステップS122の処理に際し、サムネイル画像Iの近傍に存在する領域αと、サムネイル画像Jの近傍に存在する領域βの広さを比較すると、α>βであって、領域αの方がより広い。よって、この場合には、その近傍により広い領域αが存在するサムネイル画像Iを移動して、当該領域α内に表示する。
【0105】
これにより、図12(b)に示すように、サムネイル画像Iとサムネイル画像Jとが重ならない位置に表示されて、外部メモリ20に「GPS撮影モード」で記録した全ての画像データに基づくサムネイル画像A〜Mを、全て明瞭に表示することができる。
【0106】
また、ステップS122に続くステップS123では、この「GPS撮影モード」が変更が検出されたか、又は電源オフが検出されたかを判断する。そして、「GPS撮影モード」が変更が検出されるか、又は電源オフが検出されるまで、制御部60は、ステップS105からの処理を繰り返す。
【0107】
したがって、図13に示すように、デジタルカメラ1を所持しているユーザが、展示会場70において、地点P1から地点P2に移動したとすると、表示画面31は、図14(a)の表示状態から、図14(b)の表示状態に変化する。
【0108】
すなわち、図14(a)の表示状態は、前述した図12(b)の表示状態と同一であり、地点P1における表示状態である。しかし、図13に示すように、現在位置が地点P1から地点P2に変化すると、ステップS106の判断がYESとなって、前述したステップS111以降の処理が実行される。このとき、現在位置が地点P1から地点P2に変化することにより、図13に示すように、現在位置は(x0,y0)から(x0±α,y0±β)に変化する。
【0109】
この変化した現在位置(x0±α,y0±β)は、図15(a)における各ベクトルVA〜VMの始点の座標である。他方、各ベクトルVA〜VMの終点は、撮影位置データにより規定されることから、変化することなく固定的であるが、始点である現在位置が変化すれば、終点の現在位置との相対的な位置関係は変化する。したがって、図15(a)において、始点(x0,y0)の位置が変化すれば、終点が固定である各ベクトルVA〜VMは、唯一の例外を除いて、図15(b)に示すように、角度が変化する。
【0110】
ここで、唯一の例外とは、地点P1から地点P2への変化が特定のベクトルVA〜VM上、又はその延長線上であった場合であり、この場合、当該ベクトルは角度が変化しない。例えば、ユーザが図15(a)に示したベクトルVJの延長線上で、地点P1から地点P2に移動した場合、図15(b)に示すように、ベクトルVJは長さ(距離)が長くなるだけで、角度は変化しない。しかし、ベクトルVJを除く他のVA〜VMは、角度が変化している。
【0111】
そして、前述のように、ステップS120では、表示制御部59は、サムネイル画像をベクトルVA〜VMが示す方向であるベクトルVA1〜VM1が示す方向に、周部表示領域311内に表示させる。このため、サムネイル画像はユーザの移動に伴って、環状の周部表示領域311内において移動する。
【0112】
すなわち、図14(a)の状態であったサムネイル画像A〜Mは、例えばサムネイル画像A、Mに着目することにより明らかなように、図14(b)周部表示領域311において左方向に移動して、表示画面31の周部において移動する。したがって、ユーザの移動に伴ってサムネイル画像が表示画面31の周部において移動することにより、ユーザに視覚的な興趣性を付与することもできる。
【0113】
なお、図15(b)に示すように、現在位置が(x0±α,y0±β)に変化することにより、表示対象領域33から外れる画像データが新たに発生することとなる。しかし、ステップS118の処理も繰り返し実行されることから、周部表示領域311には、表示サイズの変化を伴いながら全てのサムネイル画像が表示された状態に維持されることとなる。
【0114】
(第2の実施の形態)
【0115】
図16は、本発明の第2の実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは異なり、表示画面31の全域にサムネイル画像を表示するものである。
【0116】
すなわち、前述した第1の実施の形態と同様に、例えば「GPS撮影モード」と称する、撮影モードにおける特定のモードを設定すると、制御部60は、ステップS201及びステップS202で、ステップS101及びステップS102と同様の処理を行って、区域321を有する仮想平面32、表示対象領域33を設定する。次に、表示制御部59は、表示画面31にてのライブビュー画像の表示を開始する(ステップS203)。
【0117】
したがって、この第2の実施の形態においては、表示画面31が周部表示領域311と中央部表示領域312とに区分されることなく、表示画面31の全域にライブビュー画像を表示が表示される。
【0118】
しかる後に、制御部60は、ステップS204〜S222において、ステップS219を除き、図5に示した第1の実施の形態におけるステップS105〜S123と同一の処理を実行する。
【0119】
そして、第1の実施の形態とは異なるステップS219で、表示制御部59は、生成したサムネイル画像を表示画面31のベクトルの終点が示す位置に表示させる。したがって、本実施の形態においては、表示画面31の全域であって、ベクトルVA1〜VM1の終点座標が示す位置に、サムネイル画像A〜Mが表示される
【0120】
図17は、本実施の形態におけるステップS219での処理による表示画面31の表示例を示す図である。なお、この図においては、ライブビュー画像の図示を省略したが、表示画面31のライブビュー画像上に、サムネイル画像A〜Mが表示されることとなる。これらサムネイル画像A〜Mの表示位置は、表示画面31の中心を現在位置とした場合に、各サムネイル画像A〜Mの元画像を撮影した撮影位置との位置関係に対応する。また、サムネイル画像A〜Mのサイズは、表示画面31の中心を現在位置とした場合に、各サムネイル画像A〜Mの元画像を撮影した撮影位置までの距離に対応する。
【0121】
したがって、サムネイル画像A〜Mを確認することにより、ユーザは自己の現在位置との関係においてどの辺で、どのような画像を撮影したかを一見して明瞭に認識することができる。これにより、展示会場70において漏れなく出品物を観察し、あるいは撮影することができる。
【0122】
また、前述のように現在位置が(x0,y0)から(x0±α,y0±β)に変化すれば、表示画面31の中心に対する各サムネイル画像A〜Mの位置、及び距離が相対的に変化する。したがって、サムネイル画像A〜Mの表示画面31上の位置及び表示サイズも変化し、これによりユーザに視覚的な興趣性を付与することもできる。
【0123】
なお、第2の実施の形態においては、ライブビュー画像上にサムネイル画像を重畳して表示するようにしたが、ユーザによるスイッチ操作によって、ライブビュー画像とサムネイル画像とを選択的に切り替えるようにしてもよい。このようにすれば、ライブビュー画像による妨げられることなく、サムネイル画像のみを明瞭に表示することができる。
【0124】
また、各実施の形態においては、外部メモリ20に記憶されている画像データの内容を示す画像指標として、サムネイル画像を用いた場合を示したが、これに限ることなくアイコン等であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 デジタルカメラ
2 シャッターキー
3 液晶表示部
4 撮影モードボタン
10 CPU
11 レンズブロック
12 フラッシュメモリ
13 ドライバブロック
14 CCD
16 TG
17 ユニット回路
18 DSP
19 SDRAM
20 外部メモリ
21 フラッシュメモリ
22 キー入力部
23 GPSモジュール
31 表示画面
32 仮想平面
33 表示対象領域
121 サムネイル画像表示サイズテーブル
311 周部表示領域
312 中央部表示領域
321 区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表す画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段が取得した前記画像データが表す画像を表示画面に表示する表示手段と、
現在の時点における当該画像処理装置の位置を示す現在位置データを逐次取得する現在位置データ取得手段と、
前記画像データ取得手段が前記画像データを取得したときに、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データを画像位置データとして取得する画像位置データ取得手段と、
前記画像データと前記画像位置データとを対応させて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データが示す位置を始点とし、前記画像データに対応する前記画像位置データが示す位置を終点として、前記現在位置データが示す位置に対する前記画像位置データが示す位置の距離と方向とを示す第1の位置関係データを生成する第1の位置関係データ生成手段と、
仮想平面上に設定された所定の区域における中心を前記始点とした前記第1の位置関係データが示す距離を、前記区域における一辺の長さと前記表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域における対応する一辺の長さとの比率を縮尺率として縮尺することにより第2の位置関係データを生成する第2の位置関係データ生成手段と、
前記第2の位置関係データを、前記表示対象領域の中心を始点とする第3の位置関係データに変換することともに、変換した第3の位置関係データにおいて、終点が前記表示対象領域から外れる位置関係データがあるか否かを判断し、前記終点が表示対象領域から外れる位置関係データのみの距離を、当該終点が前記表示対象領域内に収まる距離に変更することにより前記第3の位置関係データを含む第4の位置関係データを生成するデータ処理手段と、
前記第4の位置関係データが示す位置に基づいて、前記記憶手段に記憶されている画像データの内容を示す画像指標を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像指標は、前記画像データにより表される画像である
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記第4の位置関係データが示す距離と方向とに従って、前記画像指標を表示させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記表示画面を、当該表示画面の周部において全周に亙る帯状の領域からなる周部表示領域と、
前記周部表示領域によって囲繞される中央部表示領域とに区分し、
前記周部表示領域に前記画像指標を表示させる
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記画像データ取得手段が現在取得している画像データが表す画像であるライブビュー画像を前記中央部表示領域に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記位置データ取得手段が取得した前記現在位置データが示す位置と、前記画像データに対応する前記画像位置データが示す位置との距離に応じた大きさで、前記画像指標を表示させる
ことを特徴とする請求項1から5に何れか記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記画像指標を表示させる際に重なる画像指標があるか否かを判断し、重なる画像指標があると判断した場合、当該画像指標を重ならない位置に表示させる
ことを特徴とする請求項1から6に何れか記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像を表す画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データが表す画像を表示画面に表示する表示手段と、現在の時点における当該画像処理装置の位置を示す現在位置データを逐次取得する位置データ取得手段とを備える装置が有するコンピュータを、
前記画像データ取得手段が前記画像データを取得したときに、前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データを画像位置データとして取得する画像位置データ取得手段と、
前記画像データと前記画像位置データとを対応させて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記現在位置データ取得手段が取得した前記現在位置データが示す位置を始点とし、前記画像データに対応する前記画像位置データが示す位置を終点として、前記現在位置データが示す位置に対する前記画像位置データが示す位置の距離と方向とを示す第1の位置関係データを生成する第1の位置関係データ生成手段と、
仮想平面上に設定された所定の区域における中心を前記始点とした前記第1の位置関係データが示す距離を、前記区域における一辺の長さと前記表示画面と同じ大きさからなる表示対象領域における対応する一辺の長さとの比率を縮尺率として縮尺することにより第2の位置関係データを生成する第2の位置関係データ生成手段と、
前記第2の位置関係データを、前記表示対象領域の中心を始点とする第3の位置関係データに変換することともに、変換した第3の位置関係データにおいて、終点が前記表示対象領域から外れる位置関係データがあるか否かを判断し、前記終点が表示対象領域から外れる位置関係データのみの距離を、当該終点が前記表示対象領域内に収まる距離に変更することにより前記第3の位置関係データを含む第4の位置関係データを生成するデータ処理手段と、
前記第4の位置関係データが示す位置に基づいて、前記記憶手段に記憶されている画像データの内容を示す画像指標を、前記表示画面に表示させる表示制御手段として機能させる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−208938(P2012−208938A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95466(P2012−95466)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2009−284829(P2009−284829)の分割
【原出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】