説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】潜像画像としてのイメージ画像の画像補正処理を簡単に行えること。
【解決手段】CPUは選択されたイメージ画像と背景画像を用いて地紋画像を生成し、地紋画像設定画面上のプレビュー画面に表示させる。地紋画像設定画面に表示されているイメージ画像補正ボタンが選択されると、CPUは補正内容設定画面を表示させる。そしてユーザによって所望の画像補正の種類が選択されると、CPUは選択された画像補正をイメージ画像に対して行う。CPUは画像補正を行ったイメージ画像と選択された背景画像を用いて再度地紋画像を生成し、プレビュー画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背景画像に複写時に顕在化する潜像画像を埋め込んだ地紋画像を生成する画像処理装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機密書類等の複写を抑止する方法として、コピー機でその機密文書の複写を行うと警告文字が浮かび上がる地紋画像を用いる方法が知られている。このような地紋画像が印刷された機密文書をコピー機で複写すると、複写物に「禁複写」等の警告文字が浮き出て印刷されるため、不正複写に対する心理的な抑止効果があると共に、原本と複写物を区別することが可能となる。
【0003】
図15は地紋画像を施した印刷物の一例を示した図であり、図15(a)は原本、図15(b)は原本の複写物を示している。図15(a)において911を潜像画像、912を背景画像という。原本における潜像画像及び背景画像は、肉眼による見かけの濃度はほぼ同じになるように印刷される。また図15(a)の図中に示す領域Pを拡大した図が図16である。図16に示すように、背景画像は大きなドットを比較的疎に配置して構成され、潜像画像は小さなドットを比較的密に配置して構成される。
【0004】
図15(a)に示す原本をコピー機で複写すると、背景画像を構成するドットはコピー機で解像できる大きさと濃度を持っているために、忠実に印刷される。しかし潜像画像を構成するドットは、コピー機で解像できない大きさであるために印刷されない。従って、複写物には原本に印刷されていた文書と共に背景画像が印刷され、潜像画像は白抜き文字として浮き出て表現されることとなる。これにより不正複写を抑制することができると同時に、原本と複写物との区別をすることができる。
【0005】
このような地紋画像を用いた機密文書については、以前は偽造防止用紙と呼ばれる予め地紋画像の印刷が施された用紙を用いて作成していた。しかし、偽造防止用紙に予め印刷されている潜像画像しか複写によって浮かび上がらせることができないためにその用紙の用途が限られる点や、偽造防止用紙の値段が汎用の印刷用紙に比べて高い点など、不便な点が多かった。
【0006】
一方、文書の作成・印刷の段階においてデジタル化が急速に進み、プリンタの性能も飛躍的に向上する中、従来用いていた偽造防止用紙と同様の印刷を汎用のコンピュータとプリンタを用いて行うことが可能となった。これにより、警告文字として任意のテキスト文字を採用したり、好みの背景画像を採用したりすることが可能となるなど、ユーザの自由度を高めることができた。更に、特許文献1には、テキスト文字の他に、潜像画像として会社のロゴマークや特殊なフォントで描かれた文字等の任意のイメージ画像を用いて地紋画像を生成可能とした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−115874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ユーザ所望のイメージ画像を潜像画像とした地紋画像を文書と共に印刷し、その印刷物(原本)をコピー機で複写してイメージ画像(潜像画像)を浮き出たせた場合、必ずしもユーザの意図した通りにイメージ画像が表現されるとは限らない。その場合、ユーザは画像作成ソフト等を用いてイメージ画像に画像補正を施したり、再度作成しなおす等の作業が必要となり、印刷作業の中断を余儀なくされていた。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、任意のイメージ画像を潜像画像として地紋画像を生成する画像処理装置及びプログラムにおいて、地紋画像の画像補正を簡単に行える画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の画像処理装置は、前記背景画像を記憶する背景画像記憶手段と、複写時に顕在化する潜像画像として用いるイメージ画像を記憶するイメージ画像記憶手段と、前記イメージ画像記憶手段に記憶されているイメージ画像の中からユーザ所望のイメージ画像の選択入力を受け付ける画像受付手段と、前記背景画像に前記画像受付手段が受け付けた前記イメージ画像を埋め込んだ地紋画像を生成する地紋生成手段と、前記地紋画像を表示画面に表示する表示制御手段と、前記地紋画像に対して画像補正を施す指示入力を受け付ける補正指示受付手段と、前記補正指示受付手段が受け付けた指示入力に応じて、前記地紋画像に対して画像補正を施す地紋画像補正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この請求項1に記載の発明によれば、潜像画像として会社のロゴマーク等の任意のイメージ画像を用いて生成された地紋画像に対して、ユーザは画像補正を指示・実行させることができる。これにより、ユーザの意図した通りに潜像画像が形成されなかった場合でも、画像補正を実行させることによって、想像通りの地紋画像の生成を簡単に行わせることができる。更に、意図した通りに潜像画像が形成されるようにするために、ユーザは別途画像作成ソフト等を起動させてイメージ画像を作り直す又は画像補正処理を行うなどの余計な作業を行わなくてすみ、印刷作業をスムーズに行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記地紋画像補正手段は、前記イメージ画像に対して画像補正を施すものであり、前記イメージ画像記憶手段は、前記画像補正前のオリジナルイメージ画像と、該オリジナルイメージ画像と関連付けて前記地紋画像補正手段によって前記画像補正が施された補正イメージ画像を記憶するものであることを特徴としている。
【0012】
この請求項2に記載の発明によれば、後に地紋画像を生成する際に、ユーザがオリジナルイメージ画像又は補正イメージ画像を選択することを可能にでき、選択肢を広げることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記画像受付手段が前記イメージ画像記憶手段に記憶されている前記オリジナルイメージ画像の選択入力を受け付けたとき、前記地紋生成手段は該オリジナルイメージ画像と関連付けて記憶されている前記補正イメージ画像を用いて前記地紋画像を生成することを特徴としている。
【0014】
この請求項3に記載の発明によれば、オリジナルイメージ画像が選択された場合、画像補正の施された補正イメージ画像に替えて地紋画像が生成されるため、ユーザは再度画像補正の指示を行わなくてすみ、手間を省くことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記背景画像記憶手段は、パターンの異なる複数の前記背景画像を記憶するものであり、前記イメージ画像記憶手段は、前記補正イメージ画像に、該補正イメージ画像を用いて地紋画像が生成されたときに用いられた前記背景画像を関連付けて記憶するものであり、前記背景画像記憶手段に記憶されている背景画像の中からユーザ所望の背景画像の選択入力を受け付ける背景画像受付手段を更に備え、前記背景画像受付手段が前記背景画像の選択入力を受け付け、前記画像受付手段が前記オリジナルイメージ画像の選択入力を受け付けた場合、前記イメージ画像記憶手段に該オリジナルイメージ画像と関連付けて記憶されている前記補正イメージ画像が記憶されており該補正イメージ画像と該背景画像が関連付けられて記憶されているときは、前記地紋生成手段は該補正イメージ画像と該背景画像を用いて前記地紋画像を生成することを特徴としている。
【0016】
この請求項4に記載の発明によれば、補正イメージ画像に関連付けて記憶されているオリジナルイメージ画像及び背景画像が選択された場合は、既に画像補正の施された補正イメージ画像を用いて地紋画像が生成されることにより、ユーザは再度画像補正の指示を行わなくてすみ、手間を省くことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置であって、前記地紋生成手段によって生成された地紋画像を記憶する地紋画像記憶手段を更に備えることを特徴としている。
【0018】
この請求項5に記載の発明によれば、例えば、再度イメージ画像と背景画像を選択して地紋画像を生成しなくても、地紋画像記憶手段に記憶されている地紋画像用いて印刷処理を行うことが可能となり、印刷作業をスムーズに行うことができる。
【0019】
請求項6に記載の発明のプログラムは、コンピュータを、複写時に顕在化する潜像画像として使用するユーザ所望のイメージ画像の選択入力を受け付ける画像受付手段、背景画像に前記画像受付手段が受け付けた前記イメージ画像を埋め込んで地紋画像を生成する地紋生成手段、前記地紋画像を表示画面に表示する表示制御手段、前記地紋画像に対して画像補正を施す指示入力を受け付ける補正指示受付手段、前記補正指示受付手段が受け付けた指示入力に応じて、前記地紋画像に対して画像補正を施す地紋画像補正手段、として機能させることを特徴としている。
【0020】
この請求項6に記載の発明によれば、潜像画像として会社のロゴマーク等の任意のイメージ画像を用いて生成された地紋画像に対して、ユーザは画像補正を指示・実行させることができる。これにより、ユーザの意図した通りに潜像画像が形成されなかった場合でも、画像補正を実行させることによってユーザは想像通りの地紋画像の生成を行わせることができる。従って、意図した通りに潜像画像が形成されるようにするために、ユーザは別途画像作成ソフト等を起動させてイメージ画像を作り直す又は画像補正処理を行うなどの余計な作業を行わなくてすみ、地紋画像を用いた印刷作業をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、潜像画像として会社のロゴマーク等の任意のイメージ画像を用いて生成された地紋画像に対して、ユーザは画像補正を指示・実行させることができる。これにより、ユーザの意図した通りに潜像画像が形成されなかった場合でも、画像補正を実行させることによってユーザは想像通りの地紋画像の生成を行わせることができる。従って、意図した通りに潜像画像が形成されるようにするために、ユーザは別途画像作成ソフト等を起動させてイメージ画像を作り直す又は画像補正処理を行うなどの余計な作業を行わなくてすみ、地紋画像を用いた印刷作業をスムーズに行うことができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、後に地紋画像を生成する際に、ユーザがオリジナルイメージ画像又は補正イメージ画像を選択することを可能にでき、選択肢を広げることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、既に画像補正の施された補正イメージ画像を用いて地紋画像が生成されるため、ユーザは再度画像補正の指示を行わなくてすみ、手間を省くことができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、補正イメージ画像に関連付けて記憶されているオリジナルイメージ画像及び背景画像が選択された場合は、既に画像補正の施された補正イメージ画像を用いて地紋画像が生成されることにより、ユーザは再度画像補正の指示を行わなくてすみ、手間を省くことができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、例えば、再度イメージ画像と背景画像を選択して地紋画像を生成しなくても、地紋画像記憶手段に記憶されている地紋画像用いて印刷処理を行うことが可能となり、印刷作業をスムーズに行うことができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、潜像画像として会社のロゴマーク等の任意のイメージ画像を用いて生成された地紋画像に対して、ユーザは画像補正を指示・実行させることができる。これにより、ユーザの意図した通りに潜像画像が形成されなかった場合でも、画像補正を実行させることによってユーザは想像通りの地紋画像の生成を行わせることができる。従って、意図した通りに潜像画像が形成されるようにするために、ユーザは別途画像作成ソフト等を起動させてイメージ画像を作り直す又は画像補正処理を行うなどの余計な作業を行わなくてすみ、地紋画像を用いた印刷作業をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置及びプログラムについて説明する。図1は画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置1はコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ、ホストコンピュータ等)により実現され、CPU(Central Processing Unit:地紋生成手段、表示制御手段、地紋画像補正手段)11、入力部(画像受付手段、補正指示受付手段、背景画像受付手段)12、表示部13、ハードディスク(HDD;Hard Disk Drive)14、RAM(Random Access Memory)15、通信部16及びROM(Read Only Memory)17を備えて構成される。
【0028】
CPU11は、入力される指示信号に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し
各機能部への指示やデータ転送を行う等、画像処理装置1全体を制御する。具体的には、CPU11は、入力部12から入力される操作信号に応じてHDD14やROM17に記憶されたプログラムを読み出し、そのプログラムに従って処理を実行する。そしてCPU11は、処理結果を表示するための表示制御信号を表示部13に対して出力し、処理結果に応じた情報を表示させる。
【0029】
入力部12は、文字/英数字入力キー、カーソルキー及び各種機能キー等を備えたキーボードや、タッチパッドやマウス等のポインティングデバイスを備えて構成されており、キーボードで押下されたキーの操作信号や、ポインティングデバイスの操作信号をCPU11へ出力する。
【0030】
表示部13は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備え、CPU11から出力される表示制御信号に従って文字や画像等の表示を行う。
【0031】
HDD17は、画像処理装置1の補助記憶装置として用いられる大容量記憶装置であり、画像処理装置1の備える種々の機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。本実施の形態では地紋画像生成プログラム141、背景画像記憶部(背景画像記憶手段)142及びイメージ画像記憶部(イメージ画像記憶手段)143を記憶している。地紋画像生成プログラム141は、ユーザが選択したイメージ画像を潜像画像として地紋画像を生成するためのプログラムである。
【0032】
背景画像記憶部142は背景画像を記憶する。図2は背景画像記憶部142のデータ構成を示す図である。背景画像記憶部142は、地紋画像の背景画像として用いられる画像データを記憶し、画像データに関連付けてファイル名、画像の名称を記憶する。尚、背景画像は画像処理装置1の工場出荷時に予め設定されて記憶されてもよいし、ユーザが任意の画像を背景画像記憶部142に記憶させるようにしてもよい。
【0033】
イメージ画像記憶部143は潜像画像として使用するイメージ画像を記憶するものであり、具体的にはユーザが画像作成ソフト等を用いて作成したイメージ画像(オリジナルイメージ画像)、画像補正の施されたイメージ画像(補正イメージ画像)を記憶する。図3はイメージ画像記憶部143のデータ構成を示す図である。
【0034】
ここで、画像補正の施されていないオリジナルイメージ画像(原図)である画像31を用いた地紋画像と、補正イメージ画像である画像32を用いた地紋画像を図4に示す。何れも複写後の地紋画像を示す。図4(a)に示す画像31を用いた地紋画像は、白抜きで表されている潜像画像が不鮮明であり、ロゴマークが効果的に表現されていないことが分かる。これは、画像31を構成する各画素の画素値が例えば階調レベル0〜255(8ビット)の値で表現されている場合、画素値=255(黒画素)に近い画素は潜像画像として認識されるが、中間調の画素値を持つ画素(白黒画像の場合はグレーの部分)は二値化処理によって白画素として認識され、潜像画像を構成する画素として認識されない。即ち、中間調の値を持つ画素は、本来は潜像画像を構成する画素となるべきにも関わらず、背景画像として網点処理が施されるため、複写によって潜像画像を顕在化させた際に本来の潜像画像に比べて一部欠けた画像となり不鮮明に印刷される可能性がある。
【0035】
そこで、本実施の形態の画像処理装置1では、複写後に潜像画像が鮮明に且つユーザの意図したように表現されるよう、潜像画像として用いるイメージ画像に対する画像補正を簡単に行えることを可能とした。画像補正の内容としては、中間調の画素が二値化処理によって黒画素として認識されるよう、イメージ画像を構成する画素のうち、中間調の画素を黒画素(画素値=255)とする又は黒画素に近い値に変更する。この画像補正によりグレーの画素が黒画素となるため、この画像補正の処理を以下「塗りつぶし」と表記する。この塗りつぶし処理を行うことにより、潜像画像としてのイメージ画像が複写後に鮮明に表現される。このような処理の他に、中間調の画素が黒画素に変換されるよう、二値化処理の際に用いる閾値を変更する方法も考えられる。
【0036】
この他の画像補正として、スムージング処理等を用いた輪郭補正処理が挙げられる。これによりイメージ画像のジャギーが低減され、ユーザの想像通りにイメージ画像を顕在化させることができる。尚、画像補正の処理内容は上述の内容に限らない。
【0037】
図3に戻る。イメージ画像記憶部143は、各イメージ画像に関連付けて、ファイル名、補正イメージ画像の場合は原図であるオリジナルイメージ画像のファイル名及び画像補正がなされたときに用いられていた背景画像のファイル名等を記憶する。つまり、画像31には、ファイル名が関連付けられて記憶され、画像32には、ファイル名と画像31のファイル名及び画像補正を行ったときの地紋画像に用いられていた背景画像のファイル名とが関連付けて記憶される。
【0038】
そして、後にユーザが例えばオリジナルイメージ画像である画像31と、画像31に対して画像補正を行って画像32を生成したときに用いられていた背景画像(図3では、ファイル名=ABC.JPG)を選択し、地紋画像を生成する指示入力を画像処理装置1に対して行ったとき、画像処理装置1は画像31ではなく画像32を用いて地紋画像を生成する。これにより、ユーザは再度画像補正を指示する必要がなくなり、手間を省くことができる。
【0039】
尚、図2に示した背景画像をJPGファイル、図3に示したイメージ画像をbmpファイルとして各ファイル名を図示しているが、これ以外にDIB、PNG、TIFF、EMF、PDF、SVG等のグラフィック情報を保持した画像データであればよい。
【0040】
図1に戻る。RAM15は、CPU11によってHDD14やROM17から読み出された各種プログラムやデータを展開すると共に、入力部12より入力された入力指示、入力データ、各種プログラムの実行により生じる処理結果等のデータを一時的に保持するなど、作業用メモリとして機能する。
【0041】
通信部16は、LANボード等の通信モジュールから構成され、通信部16と接続されたネットワーク91を介して種々のデータを送受信する。具体的には、CPU11がHDD17に記憶された地紋生成プログラム141を読み出して実行し、ユーザが入力部12を介して各種設定を入力することにより、地紋画像が生成される。CPU11はその地紋画像と文書作成ソフト(不図示)によって作成された文書データを通信部16へ出力し、通信部16はネットワーク91を介してプリンタ92へ出力する。プリンタ92は送信された地紋画像と文書データに基づいて印刷を行う。ROM17は、画像処理装置1の基本動作を実現するためのシステムプログラムやデータ等を記憶する。
【0042】
図5〜10は、CPU11が地紋画像生成プログラム141に従って処理を実行したときに表示部13に表示される画面例と、処理の流れを示すフローチャートである。図5〜10を用いて本実施の形態における地紋画像生成処理について詳しく説明する。
【0043】
表示部13に表示される印刷設定画面(不図示)等を介してユーザが地紋画像の生成指示を入力したら、CPU11は図5に示す地紋画像設定画面400を表示部13に表示させる。図5において、ラジオボタン41及び42は潜像画像としてイメージ画像又はテキスト文字の何れを用いるかを選択するためのボタンであり、ユーザはマウス等を用いて何れかのラジオボタンを選択する。ユーザによってラジオボタン41が選択され、ファイル名欄43にイメージ画像が保存されているフォルダ名とイメージ画像のファイル名が直接入力されると、CPU11は入力されたフォルダからイメージ画像を読み出し、RAM15に格納する。または、ユーザによって参照ボタン44が選択されると、CPU11は図6に示すようなファイル参照画面500を表示させる。このファイル参照画面500にはイメージ画像記憶部143に記憶されているイメージ画像のファイル名がリスト表示される。ファイル参照画面500上にてユーザによってファイル名が選択され、OKボタン51が選択されると、CPU11は選択されたファイル名のイメージ画像をイメージ画像記憶部143から読み出し、RAM15に格納する。
【0044】
図5に戻る。プルダウンリスト45には背景画像記憶部142に記憶されている背景画像の名称が選択可能なように表示される。プルダウンリスト45からユーザによって背景画像の名称が選択されると、CPU11は選択された名称の背景画像を背景画像記憶部142から読み出し、RAM15に格納する(図10のステップS11)。
【0045】
ここで、チェックボックス46は複写後の潜像画像を白抜きとするか否かを選択するためのボタンである。チェックボックス46がチェック状態の場合、潜像画像の領域にはコピー機で解像できない比較的小さなドットが配置され、背景画像の領域にはコピー機で解像できる比較的大きなドットが配置される。このため、複写によって背景画像のみ印刷され、潜像画像は印刷されず白抜きで浮き出て表現される。チェックボックス46が非チェック状態の場合、潜像画像の領域にはコピー機で解像できる比較的大きなドットが配置され、背景画像の領域にはコピー機で解像できない比較的小さなドットが配置される。このため、複写によって背景画像は消失し、潜像画像のみ顕在化して印刷される。
【0046】
そして、ステップ11において選択されたイメージ画像がオリジナルイメージ画像であり、そのオリジナルイメージ画像に関連付けられて記憶されている補正イメージ画像がイメージ画像記憶部143に既に記憶されていて、その補正イメージ画像と選択された背景画像のファイル名とが関連付けられて記憶されている場合(ステップS12;YES、ステップS13;YES)、CPU11はその補正イメージ画像をイメージ画像記憶部14から読み出してRAM15に格納し、その補正イメージ画像と選択された背景画像を用いて地紋画像を生成する(ステップS14)。一方、選択されたイメージ画像が補正イメージ画像である場合(ステップS12;NO)、又はオリジナルイメージ画像であるが関連付けられて記憶されている補正イメージ画像がない、或いは補正イメージ画像と関連付けられて記憶されている背景画像が選択された背景画像でない場合(ステップS13;NO)、CPU11は選択された背景画像とイメージ画像で地紋画像を生成する(ステップS15)。
【0047】
CPU11は生成した地紋画像をプレビュー画面47に表示するよう表示部13に対して表示制御信号を出力する(ステップS16)。そしてユーザによってイメージ補正ボタン49が選択された、つまりプレビュー画面47に表示された地紋画像に対する画像補正が指示された場合(ステップS17;YES)、CPU11は図8に示すような補正内容設定画面600を表示部13に表示させる。ユーザは、補正内容設定画面600上で「塗りつぶし」、「輪郭補正」、「塗りつぶし及び輪郭補正」の3種類の画像補正の選択が可能であり、チェックボックス61、62及び63をマウス等によって選択してチェック状態にすることによって、所望の画像補正の種類を選択する。ユーザによって何れかのチェックボックスが選択され、OKボタン64が選択されると、CPU11は選択されたチェックボックスに対応する画像補正の処理をイメージ画像に対して行う(ステップS18)。各画像補正の具体的な処理内容については上述したため、ここでの説明は省略する。
【0048】
そしてCPU11は画像補正をしたイメージ画像と選択された背景画像で地紋画像を再生成し(ステップS19)、処理をステップS16へ移行する。尚、背景画像の濃度調整や、潜像画像としてテキスト文字を選択した場合にそのテキスト文字のコントラストを調整したい際は、パターン補正ボタン48を選択することにより実現可能であるが、周知技術であるため説明は省略する。
【0049】
一方、ユーザによってOKボタン50が選択された場合(ステップS17;NO、ステップS20;YES)、イメージ画像に対する画像補正が一度でもなされた場合は(ステップS21;YES)、CPU11は画像補正の施されたイメージ画像を補正イメージ画像としてイメージ画像記憶部143に記憶する(ステップS22)。この際、CPU11は補正イメージ画像の画像データに対して、ファイル名と、オリジナルイメージ画像のファイル名と、背景画像のファイル名とを関連付けて記憶する。そしてCPU11は生成した地紋画像を確定し(ステップS23)、処理を終了する。
【0050】
以上、説明したように、潜像画像として会社のロゴマーク等の任意のイメージ画像を用いた地紋画像を生成させ、更に生成された地紋画像をプレビュー画面47で確認しながらイメージ画像に対する画像補正の指示・実行を可能とすることにより、ユーザは想像通りの地紋画像の生成を行わせることができる。従って、意図した地紋画像を生成させるために、別途画像作成ソフト等を起動させてイメージ画像を作り直す又は画像補正処理を行うなどの余計な作業を行わなくてすみ、地紋画像を用いた印刷作業をスムーズに行うことができる。
【0051】
更に、画像補正の施された補正イメージ画像をイメージ画像記憶部143に記憶させる際に、オリジナルイメージ画像のファイル名と画像補正がなされたときに選択されていた背景画像のファイル名等を関連付けて記憶させることにより、ユーザが後に補正イメージ画像に関連付けて記憶されている背景画像と、その補正イメージ画像のオリジナルイメージ画像とを選択して地紋画像の生成を指示したときに、オリジナルイメージ画像に替えて補正イメージ画像を用いて地紋画像の生成を行わせることができる。これにより、ユーザは再度画像補正を指示する必要がなくなり、手間を省くことができる。
【0052】
尚、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、補正内容設定画面600で選択された画像補正をイメージ画像に対して行い、補正後のイメージ画像と選択された背景画像とを用いて再度地紋画像を生成することとして説明したが、直接地紋画像(特に潜像画像部分)に対して画像補正を行い、補正後の地紋画像をプリンタ出力に用いることとしてもよい。この場合、地紋画像の潜像画像部分に対して、塗りつぶし(潜像画像をより強調するための画像補正)や輪郭補正等の処理が行われると、同等の画像補正がイメージ画像に対して行われ、画像補正後のイメージ画像は補正イメージ画像としてイメージ画像記憶部143に記憶される。
【0053】
更に、ユーザが補正イメージ画像に関連付けて記憶されている背景画像と、その補正イメージ画像のオリジナルイメージ画像とを選択して地紋画像の生成を指示したときに、CPU11はオリジナルイメージ画像に替えて補正イメージ画像を用いて地紋画像を生成することとしたが、オリジナルイメージ画像が選択された場合は、背景画像が何れであっても、CPU11は自動的に補正イメージ画像に替えて地紋画像を生成することとしてもよい。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、ユーザによって指示された画像補正をイメージ画像に対して行う画像処理装置1について説明した。第2の実施の形態では、指示された画像補正を地紋画像に対して行い、画像補正後の地紋画像を記憶可能な画像処理装置100について説明する。
【0055】
図11は本実施の形態における画像処理装置100の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態と同じ構成要素については同じ符号を付し、説明を省略する。HDD21は地紋画像生成プログラム211、背景画像記憶部142、イメージ画像記憶部143及び地紋画像記憶部212を有する。図12は地紋画像記憶部212のデータ構成を示した図である。地紋画像記憶部212は、CPU11による地紋画像生成プログラム211の実行によって生成された地紋画像を記憶するものであり、地紋画像の画像データに対応して、ファイル名と名称を記憶する。名称はユーザ任意の単語を登録可能であり、CPU11による地紋画像生成プログラム211の実行によって表示部13に表示される図5に示す地紋画像設定画面400上の名称入力欄71にて入力することができる。
【0056】
図13は、CPU11が地紋画像生成プログラム211に従って処理を実行したときの処理の流れを示すフローチャートである。第1の実施の形態において用いた画面例も交えて、本実施の形態における地紋画像生成処理について詳しく説明する。
【0057】
CPU11は、図5に示す地紋画像設定画面400を表示部13に表示させる。そしてCPU11はユーザによって選択されたイメージ画像と背景画像を用いて地紋画像を生成し、生成した地紋画像をプレビュー画面47に表示させる(ステップS41〜S43)。
【0058】
ユーザによってイメージ補正ボタン49が選択された場合(ステップS44;YES)、CPU11は図8に示すような補正内容設定画面600を表示部13に表示させる。そしてCPU11はユーザによって選択されたチェックボックスに対応する画像補正を地紋画像に対して行い(ステップS45)、ステップS43へ処理を移行する。
【0059】
画像補正の処理内容は第1の実施の形態において説明した内容の他に、地紋画像を生成する段階においてイメージ画像を構成する画素を画素値に応じて二値化する際の閾値を変化させてもよい。例えば通常は閾値=128とし、閾値以上の画素値は黒画素(つまり潜像画像として小さいドットが配置される)、閾値未満の画素値は白画素(つまり潜像画像として認識されず、背景画像として大きいドットが配置される)とする処理が行われている場合、塗りつぶし処理の実行により閾値を50程度に下げて二値化処理を行い、再度地紋画像を生成することにより、より多くの中間調の画素を黒画素として認識させることができる。これにより、潜像画像としてのイメージ画像を複写後に鮮明に顕在化させることができる。
【0060】
一方、ユーザによってOKボタン50が選択され、名称入力欄71に地紋画像の名称が入力されている場合(ステップS46;YES、ステップS47;YES)、CPU11は地紋画像と入力された名称とを関連付けて地紋画像記憶部212に記憶し(ステップS48)、処理を終了する。
【0061】
図14は、CPU11が図示しない印刷プログラムを実行した際に、印刷する文書に対して地紋画像の印刷を指定したときに表示される地紋画像指定画面700である。この地紋画像指定画面700のプルダウンリスト81には、地紋画像記憶部212に記憶されている地紋画像の名称がリスト表示される。ユーザは表示されたリストから所望の地紋画像を選択し、OKボタン82を選択することによって、選択された地紋画像を設定することができる。これにより、ユーザは過去に生成した地紋画像を簡単に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施の形態における画像処理装置の構成を示したブロック図。
【図2】背景画像記憶部のデータ構成を示した図。
【図3】イメージ画像記憶部のデータ構成を示した図。
【図4】画像補正前後の地紋画像を説明するための図。
【図5】地紋画像設定画面の一例を示した図。
【図6】ファイル参照画面の一例を示した図。
【図7】地紋画像設定画面の一例を示した図。
【図8】補正内容設定画面の一例を示した図。
【図9】地紋画像設定画面の一例を示した図。
【図10】第1の実施の形態における地紋画像生成処理の流れを示したフローチャート。
【図11】第2の実施の形態における画像処理装置の構成を示したブロック図。
【図12】地紋画像記憶部のデータ構成を示した図。
【図13】第1の実施の形態における地紋画像生成処理の流れを示したフローチャート。
【図14】地紋画像指定画面の一例を示した図。
【図15】従来の地紋画像を説明するための図。
【図16】従来の地紋画像を説明するための図。
【符号の説明】
【0063】
1、100 画像処理装置
11 CPU
12 入力部
13 表示部
14、21 HDD
141、211 地紋画像生成プログラム
142 背景画像記憶部
143 イメージ画像記憶部
212 地紋画像記憶部
15 RAM
16 通信部
17 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景画像を記憶する背景画像記憶手段と、
複写時に顕在化する潜像画像として用いるイメージ画像を記憶するイメージ画像記憶手段と、
前記イメージ画像記憶手段に記憶されているイメージ画像の中からユーザ所望のイメージ画像の選択入力を受け付ける画像受付手段と、
前記背景画像に前記画像受付手段が受け付けた前記イメージ画像を埋め込んだ地紋画像を生成する地紋生成手段と、
前記地紋画像を表示画面に表示する表示制御手段と、
前記地紋画像に対して画像補正を施す指示入力を受け付ける補正指示受付手段と、
前記補正指示受付手段が受け付けた指示入力に応じて、前記地紋画像に対して画像補正を施す地紋画像補正手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記地紋画像補正手段は、前記イメージ画像に対して画像補正を施すものであり、
前記イメージ画像記憶手段は、前記画像補正前のオリジナルイメージ画像と、該オリジナルイメージ画像と関連付けて前記地紋画像補正手段によって前記画像補正が施された補正イメージ画像を記憶するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像受付手段が前記イメージ画像記憶手段に記憶されている前記オリジナルイメージ画像の選択入力を受け付けたとき、前記地紋生成手段は該オリジナルイメージ画像と関連付けて記憶されている前記補正イメージ画像を用いて前記地紋画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記背景画像記憶手段は、パターンの異なる複数の前記背景画像を記憶するものであり、
前記イメージ画像記憶手段は、前記補正イメージ画像に、該補正イメージ画像を用いて地紋画像が生成されたときに用いられた前記背景画像を関連付けて記憶するものであり、
前記背景画像記憶手段に記憶されている背景画像の中からユーザ所望の背景画像の選択入力を受け付ける背景画像受付手段を更に備え、
前記背景画像受付手段が前記背景画像の選択入力を受け付け、前記画像受付手段が前記オリジナルイメージ画像の選択入力を受け付けた場合、前記イメージ画像記憶手段に該オリジナルイメージ画像と関連付けて記憶されている前記補正イメージ画像が記憶されており該補正イメージ画像と該背景画像が関連付けられて記憶されているときは、前記地紋生成手段は該補正イメージ画像と該背景画像を用いて前記地紋画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記地紋生成手段によって生成された地紋画像を記憶する地紋画像記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
複写時に顕在化する潜像画像として使用するユーザ所望のイメージ画像の選択入力を受け付ける画像受付手段、
背景画像に前記画像受付手段が受け付けた前記イメージ画像を埋め込んで地紋画像を生成する地紋生成手段、
前記地紋画像を表示画面に表示する表示制御手段、
前記地紋画像に対して画像補正を施す指示入力を受け付ける補正指示受付手段、
前記補正指示受付手段が受け付けた指示入力に応じて、前記地紋画像に対して画像補正を施す地紋画像補正手段、
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図16】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−111854(P2009−111854A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283718(P2007−283718)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】