説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】特定光源下での被写体と出力画像との高精度なマッチングを保ちつつ、任意の光源下における被写体と出力画像のメタメリズムを低減することができる画像処理装置及び画像処理方法等を提供する。
【解決手段】画像処理装置には、分光画像データを取得する画像データ取得部103と、前記分光画像データから注目画素の基本刺激値及び分光補助係数を算出する入力分光反射特性算出部104と、前記注目画素の基本刺激値に対応し、複数の色材を用いて形成される再現色の基本刺激値を算出すると共に、当該再現色の分光補助係数を算出する出力分光反射特性算出部105と、前記注目画素の分光補助係数と前記再現色の分光補助係数との間の誤差を算出する分光補助係数誤差算出107と、前記誤差を前記注目画素の周囲の画素に拡散する拡散108と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の光源下での被写体と出力画像との間のマッチングの向上を図った画像処理装置及び画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
色情報を再現するためのカラーマッチング技術として、特定の光源下で被写体を観察する場合を想定し、その光源下の三刺激値が一致するように色再現を行う測色的色再現と呼ばれる色再現方法が知られている。測色的色再現では、特定光源下で高精度に色が一致するが、照明光源に大きく依存し、想定した照明光源と異なる特性の光源下で観察した場合、正確な色再現は保障されない。
そこで、被写体の色をより正確に再現するための技術として、分光的色再現技術が注目されている。分光的色再現技術は物体の分光反射率そのものを再現することで、あらゆる光源下において被写体との色を一致させる技術であり、メタメリズム(特定光源では同じ色と知覚される色が、光源が変わると異なった色と知覚される条件等色性のこと)を低減することができる。このような分光情報を扱う画像処理に関し、従来のRGB3バンドカメラよりもバンド数が多い例えば6バンドのマルチバンドカメラが登場している。また、CMYK4色に加えて特色インクを搭載したカラー出力機器が登場している。このように、入出力製品の多バンド化が進展し、分光画像処理システムが構築しやすくなってきている。このような分光画像処理システムでは、マルチバンドカメラから入力される分光情報に対して、カラー出力機器の出力色を分光誤差が小さくなるように制御することが好ましい。
しかし、被写体の分光反射率を可視光領域の全波長域にわたって完全に一致させることは現実的に困難である。そこで、人間の視覚特性で感度の高い波長域を優先的に一致させる方法(例えば等色関数等の波長関数を分光反射率に重み付けする方法)、及び分光的ハーフトーン処理によって任意の光源下のメタメリズムを低減する方法(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−47188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間の視覚特性で感度の高い波長域を優先的に一致させる方法では、メタメリズムを低減する一方で、特定光源下で三刺激値を一致させる精度が劣るため特定光源下において高精度なマッチングが得られない。また、特許文献1に記載の処理はドット単位で分光誤差を周囲に拡散させる分光的ハーフトーン処理であり、任意の光源下でのメタメリズムを低減することができるが、三刺激値又は三刺激値から派生する色彩値によって色を制御することができない。このため、特定光源下のマッチング精度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、特定光源下での被写体と出力画像との高精度なマッチングを保ちつつ、任意の光源下における被写体と出力画像のメタメリズムを低減することができる画像処理装置及び画像処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、分光画像データを取得する画像データ取得手段と、前記分光画像データから注目画素の基本刺激値及び分光補助係数を算出する入力分光反射特性算出手段と、前記注目画素の基本刺激値に対応し、複数の色材を用いて形成される再現色の基本刺激値を算出すると共に、当該再現色の分光補助係数を算出する出力分光反射特性算出手段と、前記注目画素の分光補助係数と前記再現色の分光補助係数との間の誤差を算出する分光補助係数誤差算出手段と、前記誤差を前記注目画素の周囲の画素に拡散する拡散手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基本刺激値が保持されながら、分光補助係数の誤差が注目画素の周囲の画素に拡散されるため、特定光源下での被写体と出力画像との高精度なマッチングを保ちつつ、任意の光源下における被写体と出力画像のメタメリズムを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置101の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】分光反射率データの一例を示す図である。
【図4】ステップS2の詳細を示すフローチャートである。
【図5】ステップS3の詳細を示すフローチャートである。
【図6】ステップS5の詳細を示すフローチャートである。
【図7】Floyd-Steinberg型の拡散係数の使用方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
この画像処理装置101には、画像データを取得する画像データ取得部103、入力分光反射特性を算出する入力分光反射特性算出部104、出力分光反射特性を算出する出力分光反射特性算出部105、及び画像を出力する画像出力部106が設けられている。更に、分光補助係数の誤差を算出する分光補助係数誤差算出部107、分光補助係数誤差を拡散する拡散部108、並びに画像データ及び演算処理を行うために一時的に演算結果を保存するバッファメモリ109も設けられている。そして、画像処理装置101には、画像データを保持する画像データ保持部102、及び画像を出力する画像出力装置110が通信可能に接続されている。
【0010】
<画像処理装置101の動作>
次に、画像処理装置101の動作について説明する。図2は、画像処理装置101の動作の一例を示すフローチャートである。
先ず、ステップS1において、画像データ取得部103が、画像データ保持部102に保存されている分光画像データを取得し、分光画像データをバッファメモリ109に保存する。なお、分光画像データは、各画素の値として、例えば400nmから700nmの波長域を10nm間隔でサンプリングした分光反射率が記録された画像データである。図3に分光画像データの各画素に記録される分光反射率データの一例を示す。
次いで、ステップS2において、入力分光反射特性算出部104が、バッファメモリ109に保存されている分光画像データから、分光反射率データを1画素分取得して、分光反射率データから分光反射特性として、入力分光反射率のLabPQR値を算出する。そして、入力分光反射特性算出部104は、入力分光反射率のLabPQR値をバッファメモリ109に保存する。なお、ステップS2の詳細については後述する。
その後、ステップS3において、出力分光反射特性算出部105が、バッファメモリ109に保存されている入力分光反射率のLabPQR値を取得し、これを再現可能なインク値のLabPQR値を画像出力装置110の機種に応じて算出する。そして、出力分光反射特性算出部105は、複数のインク(色材)を用いて形成される再現色のLabPQR値をバッファメモリ109に保存する。なお、ステップS3の詳細については後述する。
続いて、ステップS4において、分光補助係数誤差算出部107が、バッファメモリ109に保存されている入力分光反射率のLabPQR値及びインク値のLabPQR値を比較する。そして、分光補助係数誤差算出部107は、P値、Q値、及びR値の誤差成分ΔP、ΔQ、及びΔRを差分演算により算出し、これらをバッファメモリ109に保存する。
次いで、ステップS5において、拡散部108が、誤差成分ΔP、ΔQ、及びΔRを周囲の画素データに拡散する。なお、ステップS5の詳細については後述する。
その後、ステップS6において、入力分光反射特性算出部104が、バッファメモリ109に保存されている分光画像データの全ての分光反射率画素について処理を行ったかを判定する。そして、全ての分光反射率画素について処理が済んでいれば、ステップS7へ進み、そうでなければステップS2へ戻り、ステップS2〜S6の処理を行う。
ステップS7では、画像出力部106が、更新された全画素のLabPQR値について対応するインク値データを画像出力装置110の機種に応じて再算出し、インク値データを画像出力装置110に出力する。画像出力装置110は、このインク値データを用いて画像を出力する。
【0011】
<入力分光反射特性算出部104の動作>
次に、ステップS2(入力分光反射特性算出部104の動作)の詳細について説明する。図4は、ステップS2の詳細を示すフローチャートである。
先ず、ステップS21において、入力分光反射特性算出部104は、バッファメモリ109に保存されている分光画像データから入力分光反射率を1画素分取得する。
次いで、ステップS22において、入力分光反射特性算出部104は、入力分光反射率からLabPQR値を算出する。なお、ステップS22の詳細については後述する。
その後、ステップS23において、入力分光反射特性算出部104は、入力分光反射率のLabPQR値をバッファメモリ109に保存する。
【0012】
[分光反射率からのLabPQR値の算出方法]
ここで、ステップS22の詳細について説明する。
ステップS22では、入力分光反射特性算出部104は、先ず、次の数1を用いて入力分光反射率R(λ)から三刺激値CIE―XYZ値を算出し、数2を用いてCIE―Lab値を算出する。なお、入力分光反射率R(λ)は36行1列の行列である。
【0013】
【数1】

【0014】
【数2】

【0015】
次いで、入力分光反射特性算出部104は、次の式を用いて三刺激値CIE―XYZ値から分光基本刺激値N(λ)を算出する。
N(λ)=T×Nc
Nc=(X,Y,Z)T
ここで、N(λ)は36行1列の分光基本刺激値を表す行列である。Tは36行3列の分光基本刺激算出関数を表す行列である。分光基本刺激算出関数としては予め求めたものを用いる。この分光基本刺激算出関数を算出する方法の詳細については後述する。Ncは3行1列の三刺激値を表す行列である。なお、行列(X,Y,Z)Tは行列(X,Y,Z)の転置行列である。
その後、入力分光反射特性算出部104は、次の式を用いて入力分光反射率R(λ)と分光基本刺激値N(λ)との分光誤差行列B(λ)を算出する。
B(λ)=R(λ)−N(λ)
続いて、入力分光反射特性算出部104は、次の式を用いて分光誤差行列B(λ)から分光補助係数Npqrを算出する。
Npqr=VT×B(λ)
ここで、Vは36行3列の分光補助係数算出関数を表す行列であり、行列VTは行列Vの転置行列である。分光補助係数算出関数としては予め求めておいたものを用いる。この分光補助係数算出関数を算出する方法の詳細については後述する。そして、分光補助係数Npqrは、次のように、3つの要素を含む3行1列の行列である。
Npqr=(N1,N2,N3)T
これらの3つの要素が、入力分光反射率のP値、Q値、R値に相当する。なお、分光情報(入力分光反射率R(λ))に与える影響度の高さは、N1>N2>N3である。
これらの一連の処理により、分光反射率からLab値及びPQR値が算出される。
【0016】
[分光基本刺激算出関数、分光補助係数算出関数]
ここで、分光基本刺激算出関数を算出する方法、及び分光補助係数関数を算出する方法について説明する。
先ず、複数のサンプル色の分光反射率を含むデータ群を用意する。例えば、サンプル色として、画像出力装置110で形成され、CIE―LAB色空間にランダムに分布する729色の異なる色のプリントパッチを使用することができる。そして、分光反射率データとして、これらのパッチの測定値を測定することにより得られた分光反射率データを使用する。なお、サンプル色は、色空間内に分布するデータ群であれば、この限りではない。例えば、GretagMacbeth社製のColorChecker、ColorCheckerDC、又はMunsell Book of Color等を用いることもできる。
次いで、各プリントパッチの入力分光反射率Rから三刺激値Ncを算出する。
その後、三刺激値Ncから入力の分光反射率を推定するための擬似逆行列を算出し、これを分光基本刺激算出関数Tとしてバッファメモリ109に保存する。
T=R×pinv(Nc)
サンプル色として729色のプリントパッチを用いている場合、Rは行方向に分光反射率が並んだ36行729列の分光反射率群からなる行列であり、Ncは3行729列の三刺激値群から構成される行列である。また、pinv()は入力行列の擬似逆行列を求める関数である。従って、分光基本刺激算出関数Tは36行3列の行列となる。
このようにして、分光基本刺激算出関数Tを算出することができる。
そして、分光基本刺激算出関数T及び三刺激値Ncを使用することにより、入力の分光反射率を次式で推定することができる。
N(λ)=T×Nc
次いで、入力分光反射率R(λ)及び分光基本刺激N(λ)との分光誤差行列B(λ)を次式により算出する。
B(λ)=R(λ)−N(λ)
なお、行列Bには729色のプリントパッチの分光誤差が全て格納されており、行列Bは、36行729列の行列となる。
その後、分光誤差行列B(λ)の主成分ベクトルviを算出し、第1から第3までの低次の主成分ベクトルを、分光補助算出関数Vとして以下のように保存する。
V=(v1,v2,v3)
ここで、v1は第1主成分ベクトル、v2は第2主成分ベクトル、v3は第3主成分ベクトルである。各主成分ベクトルは36行1列の行列である。
主成分ベクトルは、次のようにして算出する。先ず、分光誤差行列B(λ)の共分散行列を次式から算出する。
W=B×BT
次いで、次式を解くことによって該共分散行列の固有値λi、及び固有ベクトルvi(iはベクトルの次元数)を求める。そして、固有ベクトルを分光補助係数算出関数として用いる。
W×vi=λi×vi
このようにして、分光補助係数算出関数Vを算出することができる。
なお、三刺激値Nc及び分光補助係数Npqrから対応する分光反射率を再構築することも可能である。分光再構築に用いる変換式は次式の通りである。
Rr(λ)=T×Nc+V×Npqr
ここで、Rr(λ)は再構築された分光反射率である。
【0017】
<出力分光反射特性算出部105の動作>
次に、ステップS3(出力分光反射特性算出部105の動作)の詳細について説明する。図5は、ステップS3の詳細を示すフローチャートである。
先ず、ステップS31において、出力分光反射特性算出部105は、バッファメモリ109から入力分光反射率のLabPQR値を取得する。
次いで、ステップS32において、出力分光反射特性算出部105は、バッファメモリ109に保存されているインクデータベースより、インク値の初期値として、任意のインク値を初期値として設定する。インクデータベースには、予めインクの分光反射率データが保存されている。
その後、ステップS33において、出力分光反射特性算出部105は、例えば、ノイゲバウアの方程式又はクベルカ・ムンクの方程式等のプリンタ出力推定モデルを用いて、出力分光反射率を推定する。
続いて、ステップS34において、出力分光反射特性算出部105は、ステップS33で推定した出力分光反射率のLabPQR値を算出し、ステップS31で取得したLabPQR値との誤差を算出する。
次いで、ステップS35において、出力分光反射特性算出部105は、ステップS34で算出した誤差が最小であるかどうかを判断する。そして、最小であればステップS36に進み、最小でなければステップS37に進む。なお、終了条件としては、例えば、入力Lab値と出力Lab値との誤差、及び入力PQR値と出力PQR値との誤差が予め設定した閾値以下となっていることが挙げられる。
ステップS36では、出力分光反射特性算出部105は、現在のインク構成を最適インク構成とみなして更新する。そして、ステップ37に進む。
ステップS37では、出力分光反射特性算出部105は、終了条件を満たしているかを判断し、満たしていればステップ39に進み、満たしていなければステップS38に進む。
ステップS38では、出力分光反射特性算出部105は、インク値の構成を更新する。そして、ステップS33に戻る。
ステップS39では、出力分光反射特性算出部105は、ステップS36で最終的に更新された最適インク構成のLabPQR値を算出し、これをバッファメモリ109に保存する。
【0018】
<拡散部108の動作>
次に、ステップS5(拡散部108の動作)の詳細について説明する。図6は、ステップS5の詳細を示すフローチャートである。
先ず、ステップS51において、拡散部108は、バッファメモリ109からP値、Q値、及びR値の誤差成分ΔP、ΔQ、及びΔRを取得する。
次いで、ステップS52において、拡散部108は、バッファメモリ109から誤差拡散係数を取得する。誤差拡散係数としては、例えばFloyd-Steinberg型の拡散係数を用いることができる。図7にその使用方法の一例を示す。つまり、注目画素に隣接する画素のうちで、未処理の画素(それまでに注目画素となっていない画素)に誤差を拡散させる。Floyd-Steinberg型の拡散係数は、例えば「“An adaptive algorithm for spatial grayscale",SID International Symposium Digest of Technical Papers,vol 4.3,1975,pp.36-37」に記載されている。
その後、ステップS53において、拡散部108は、注目画素の誤差成分ΔP、ΔQ、及びΔRに拡散係数を乗じた値を周囲画素のLabPQR値のP、Q、及びRの各成分に拡散する。
続いて、ステップS54において、拡散部108は、ステップS53の処理で更新されたLabPQR値をバッファメモリ109に保存する。
【0019】
このように、本実施形態では、分光反射率データから基本刺激値及び分光補助係数を算出し、基本刺激値を保持しつつ、分光補助係数を周囲の画素に拡散している。このため、分光出力を行う際に特定光源下で測色的色再現と同等な色の一致を得ることができ、かつ、任意の光源下におけるメタメリズムを低減することができる。
【0020】
なお、基本刺激値はCIE−Lab値に限定されない。例えば、基本刺激値としてCIE−LUV値又はCIE−XYZ値等の三刺激値を用いてもよく、また、三刺激値から派生する色彩値として、例えば色の見えを考慮したCIECAM02等のカラーアピアランス空間における色彩値を用いることも可能である。
また、上述の実施形態では、分光補助係数として、基本刺激値から目標の分光反射率を推定した際に生じる分光誤差データを主成分分析し、寄与率が大きい上位3つの主成分を分光補助係数として用いているが、次元数を3つに限定する必要はない。例えば、他の次元数で分光補助係数を算出してもよく、また、主成分分析による次元数圧縮なしで分光誤差データを分光補助係数として用いることも可能である。
また、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、ディスプレイ等)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、プロジェクタ等)に適用してもよい。
更に、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパーソナルコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0021】
101:画像処理装置 103:画像データ取得部 104:入力分光反射特性算出部 105:出力分光反射特性算出部 106:画像出力部 107:分光補助係数誤差算出部 108:拡散部 109:バッファメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記分光画像データから注目画素の基本刺激値及び分光補助係数を算出する入力分光反射特性算出手段と、
前記注目画素の基本刺激値に対応し、複数の色材を用いて形成される再現色の基本刺激値を算出すると共に、当該再現色の分光補助係数を算出する出力分光反射特性算出手段と、
前記注目画素の分光補助係数と前記再現色の分光補助係数との間の誤差を算出する分光補助係数誤差算出手段と、
前記誤差を前記注目画素の周囲の画素に拡散する拡散手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記基本刺激値は、特定の光源下における三刺激値又は前記三刺激値から派生する色彩値であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記分光補助係数は、前記基本刺激値から分光情報を推定した際の分光誤差に応じた値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記分光補助係数は、前記基本刺激値から分光情報を推定した際の分光誤差の主成分の係数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記拡散手段は、前記注目画素に隣接する画素のうちで、それまでに注目画素となっていない画素に前記誤差を拡散することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
分光画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記分光画像データから注目画素の基本刺激値及び分光補助係数を算出する入力分光反射特性算出ステップと、
前記注目画素の基本刺激値に対応し、複数の色材を用いて形成される再現色の基本刺激値を算出すると共に、当該再現色の分光補助係数を算出する出力分光反射特性算出ステップと、
前記注目画素の分光補助係数と前記再現色の分光補助係数との間の誤差を算出する分光補助係数誤差算出ステップと、
前記誤差を前記注目画素の周囲の画素に拡散する拡散ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
分光画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記分光画像データから注目画素の基本刺激値及び分光補助係数を算出する入力分光反射特性算出ステップと、
前記注目画素の基本刺激値に対応し、複数の色材を用いて形成される再現色の基本刺激値を算出すると共に、当該再現色の分光補助係数を算出する出力分光反射特性算出ステップと、
前記注目画素の分光補助係数と前記再現色の分光補助係数との間の誤差を算出する分光補助係数誤差算出ステップと、
前記誤差を前記注目画素の周囲の画素に拡散する拡散ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−97522(P2011−97522A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252151(P2009−252151)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】