画像処理装置及び画像処理方法
【課題】出力制限の対象となる資料を読み取って出力する場合に、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させる。
【解決手段】画像処理装置は、原稿画像を読み取ると、その読み取った原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する。そして、画像処理装置は、読み取った原稿画像と、その原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データとを比較して差分画像を抽出する。また、画像処理装置は、読み取った原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可する。そして、画像処理装置は、抽出した差分画像を所定の出力態様で出力する。
【解決手段】画像処理装置は、原稿画像を読み取ると、その読み取った原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する。そして、画像処理装置は、読み取った原稿画像と、その原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データとを比較して差分画像を抽出する。また、画像処理装置は、読み取った原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可する。そして、画像処理装置は、抽出した差分画像を所定の出力態様で出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に、出力制限を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば機密文書など機密性の高い文書の複製が安易に行われないように出力を制限する画像形成装置がある。例えば、特許文献1に開示された画像形成装置は、出力制限を行うための認証情報が付された原稿画像を読み取ると、ユーザに対して出力制限を解除するためのパスワードを要求する。画像形成装置は、ユーザからパスワードの入力を受付けると、入力されたパスワードに基づき認証処理を行う。そして、画像形成装置は、認証が成功すると、原稿画像を所定の出力態様で出力する。これにより、安易に機密文書が複製されないのでセキュリティが担保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−4126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、1人のユーザが、出力制限の対象となる複数の資料を複製する場合がある。例えば、ある会議を欠席したユーザが、その会議に参加した複数のユーザのそれぞれから資料を拝借して、各資料に書き込まれているメモを取得するために、各資料をコピーする場合である。これにより、会議を欠席したユーザは、他人のメモを手書きで書き写す必要がなくなるので作業効率が良くなる。
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置は、以下のような問題がある。すなわち、従来の画像形成装置は、認証情報が付された資料を複製する場合、常にパスワードの入力をユーザに対して求めるようになっている。そのため、ユーザは、認証情報が付された複数の資料を複製する場合、それら複数の資料の読み取りを指示する毎にパスワードを入力しなくてはならない。特に認証情報が付された資料が多いとその分ユーザの作業負担も大きくなる。また、パスワードは、各ユーザに対応して資料毎に異なって設定されていることも多い。その場合、ユーザは、例えば1部の資料を複製する場合であっても、その資料が他人のものである場合には、その他人特有のパスワードでなければ拝借した資料を複製できないので、その他人からパスワードを取得するための手間もかかってしまう。
【0006】
その一方で、仮に認証情報が付された資料の複製を安易に許可してしまうと、ユーザの作業負担は軽減されるものの機密文書の漏洩するリスクが高くなる。このように、従来の画像形成装置においては、認証情報が付された資料を複製することに伴うユーザの作業負担が大きい一方で、ユーザの作業負担を軽減させようとすると情報漏洩のリスクが高くなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するため、出力制限の対象となる資料を読み取って出力する場合に、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることのできる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像処理装置であって、原稿画像を読み取る読取手段と、読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別する判別手段と、前記読取手段によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する取得手段と、前記読取手段によって読み取られた原稿画像と、前記取得手段によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出する差分抽出手段と、前記判別手段による判別結果に基づき出力制限を解除するための解除操作をユーザに対して要求すると共に、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する認証手段と、前記認証手段による認証結果に基づき出力対象となる画像を出力する出力制御手段と、を備え、前記認証手段は、前記判別手段によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することを特徴とする構成である。
【0009】
このような構成によれば、差分画像を出力する際、原稿画像に制限情報が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像が出力されるので、例えばメモなど機密性の低い部分のみをパスワードによる認証無しに出力することが可能である。これによりユーザの作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データが機密性の高いものであるとしても、その画像データに含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記認証手段は、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可するか否かを、予め設定された条件に基づいて判断することを特徴とする構成である。
【0011】
このような構成によれば、例えば、管理者などが許可する条件に基づいて差分画像を出力することができる。例えば、画像処理装置は、電子媒体で差分画像を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求する一方で、紙媒体で差分画像を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求しないことが可能である。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記差分抽出手段は、前記読取手段によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像を抽出するものであり、前記出力制御手段は、前記差分抽出手段によって抽出された複数の差分画像を合成した出力画像を生成し、その出力画像を出力することを特徴とする構成である。
【0013】
このような構成によれば、複数の差分画像が合成して出力されるので、ユーザは、例えば、複数のユーザが各々の原稿に書き込んだメモなどをまとめて確認することができる。
【0014】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記出力制御手段は、複数の差分画像を合成する場合に、それら複数の差分画像が重ならないように配置した出力画像を生成することを特徴とする構成である。
【0015】
このような構成によれば、複数の差分画像が重ならないように配置されるので、ユーザは、各差分画像を識別可能になる。
【0016】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理装置において、前記取得手段は、複数の原稿画像が前記読取手段によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データとして取得するものであり、前記差分抽出手段は、前記画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像を抽出することを特徴とする構成である。
【0017】
このような構成によれば、先に読み取られる原稿画像に基づき得られる画像データがオリジナルの画像データとして取得されるので、例えば、予め画像処理装置にオリジナルの画像データを記憶しておく必要が無くなる。これにより画像処理装置の記憶資源を節約することができる。また、予め画像データを記憶しておく必要がないので、その画像データが漏洩してしまうリスクを軽減することができる。
【0018】
請求項6にかかる発明は、画像処理方法であって、(a)原稿画像を読み取るステップと、(b)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別するステップと、(c)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得するステップと、(d)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像と、前記ステップ(c)によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出するステップと、(e)前記ステップ(b)によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記ステップ(d)によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することにより認証を行うステップと、(f)前記ステップ(e)による認証結果に基づき差分画像を出力するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0019】
このような構成によれば、差分画像を出力する際、原稿画像に制限情報が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像が出力されるので、例えばメモなど機密性の低い部分のみをパスワードによる認証無しに出力することが可能である。これによりユーザの作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データが機密性の高いものであるとしても、その画像データに含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、出力制限の対象となる資料を読み取って出力する場合に、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態における画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】画像処理装置によって差分画像が出力される場合の処理の一例を模式的に示す図である・
【図3】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】画像処理装置における制御部の機能構成の一例を示す図である。
【図5】画像処理装置に表示される条件設定画面の一例を示す図である。
【図6】画像処理装置によって記録される条件情報の一例を示す図である。
【図7】画像処理装置に表示される操作案内画面の一例を示す図である。
【図8】画像処理装置によって記録される対応テーブルの一例を示す図である。
【図9】画像処理装置において行われる全体的な処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】画像処理装置において行われる基準画像データ取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】画像処理装置において行われる認証処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】画像処理装置において行われる差分抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置において行われる差分画像出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である画像処理システムの概略構成を示す図である。画像処理システムは、管理サーバ6と、画像処理装置1とがネットワーク5を介して相互にデータ通信可能な構成である。ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などを含んで構成される複合的な通信ネットワークである。図例では、管理サーバ6には、ネットワーク5を介して1つの画像処理装置1が接続されている例を示しているが、これに限られない。例えば、複数の画像処理装置やパーソナルコンピュータなどがネットワーク5に接続される構成でも良い。
【0024】
管理サーバ6は、ハードディスク装置などの記憶装置6aを備えており、その記憶装置6aに例えば機密文書などの画像データ13を保存して管理する。画像データ13には、出力制限を行うための制限情報が関連づけられている。制限情報には、画像データ13を識別するための画像データ識別情報(以下「原稿ID」と称する)や、出力制限を解除するための情報として例えばパスワードなどが含まれている。例えばパスワードは、画像データ13に対応するユーザ毎に個別に割当てられるものであっても良い。これにより本人以外にその画像データ13を複製させることができなくなるのでセキュリティが担保される。
【0025】
画像処理装置1は、例えば複合機であり、コピー機能、スキャン機能、FAX機能及び印刷機能など各種機能を備えている。画像処理装置1は、ユーザによる各種操作を受け付ける操作パネル2と、原稿画像を読み取る読取部3と、印刷出力を行う印刷処理部4とを備えている。画像処理装置1は、読取部3によって原稿画像が読み取られることで得られる画像データを、ネットワーク5を介して管理サーバ6に記憶させることが可能である。また、画像処理装置1は、管理サーバ6に記憶されている画像データを、ネットワーク5を介して取得することも可能に構成される。
【0026】
画像処理装置1は、制限情報が関連づけられた画像データ13を管理サーバ6から取得して出力する場合、その制限情報に基づいてユーザに対して出力制限を解除するためのパスワードを要求する。例えば、画像処理装置1は、パスワードを入力させる入力画面を操作パネル2に表示する。画像処理装置1は、入力画面に入力されたパスワードに基づき認証を行い、認証が成功すると画像データ13を印刷出力など所定の出力態様で出力する。但し認証に用いる手法は、パスワードに限られず、例えば生体認証など各種の手法で行なうことができる。
【0027】
図2は、画像処理装置1によって行われる処理を模式的に示す図である。まず原稿画像D1,D2について説明する。原稿画像D1,D2は、何れも図1に示した画像データ13に基づき印刷出力された印刷物である。つまり画像データ13は、原稿画像D1,D2の複製元となるオリジナルの画像データである。画像データ13が機密文書などのデータである場合、その画像データ13に基づいて印刷出力が行われるときには、印刷物が第三者によって複製されてしまうことを防止するため、コピー制限などの出力制限を課すための情報が印刷物に付加される。図2に示す原稿画像D1,D2は、例えば機密文書であり制限情報10が付されている。制限情報10は、例えば2次元バーコードなどであり、原稿画像D1,D2の原稿IDや、出力制限を解除するための認証情報などが画像に埋め込まれている。制限情報10に含まれる原稿IDは、オリジナルである画像データ13の原稿IDと同一である。また、制限情報10に含まれている認証情報は、例えばパスワードである。
【0028】
図2に示すように原稿画像D1には、メモ12aが付されている。このメモ12aは、例えば、その原稿画像D1の持ち主によって会議中などに手書きで書き込まれたものである。同様に、原稿画像D2には、その原稿画像D2の持ち主によって上記会議中などに手書きで書き込まれたメモ12bが付されている。このように原稿画像D1,D2のそれぞれには、メモ12a,12bが付されている。例えば、会議を欠席したユーザは、メモ12a,12bを取得したいと希望する場合、原稿画像D1,D2を持ち主から拝借してコピーすることが考えられる。また、会議を欠席したユーザが原稿画像D1,D2と同じ原稿を所持しているような場合には、他のユーザが会議中に書き込んだメモ12a,12bの部分だけを自身の原稿や白紙の用紙などに転記したいと思うケースもある。
【0029】
本実施形態の画像処理装置1は、上記のようなケースにおいて、原稿画像D1,D2からメモ12a,12bの部分だけを抽出した画像を出力することができるように構成される。このような画像出力が行われるときには、原稿画像D1,D2に含まれる機密情報は出力されない。そのため、画像処理装置1は、そのような画像出力が行われるときには、原稿画像D1,D2に制限情報10が付加されている場合でも、ユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求しないように構成される。
【0030】
このような処理手順の概要を説明すると、まずユーザは、操作パネル2に対して、読み取る原稿画像D1,D2に基づき差分画像14を抽出して出力するメモ出力を行うべき操作指示を入力する。画像処理装置1は、その操作指示を受付けると、原稿画像D1がセットされていることを条件として、読取部3を起動して原稿画像D1を読み取る。画像処理装置1は、読み取った原稿画像D1の複製元となるオリジナルの画像データ13を原稿IDに基づき管理サーバ6から取得する。そして、その画像データ13と、読み取った原稿画像D1とを比較することで差分画像14aを抽出する。上述したように、画像データ13は、読み取った原稿画像D1に対してオリジナルとなるものであるので、両者を比較することでメモ12aが差分画像14aとして抽出される。画像処理装置1は、原稿画像D2についても上記と同様の処理を行うことで、メモ12bに対応する差分画像14bを抽出する。
【0031】
画像処理装置1は、次に、抽出された差分画像14を所定の出力態様で出力する。このとき、画像処理装置1は、差分画像14a,14bのみを出力し、原稿画像D1,D2に含まれる差分画像14a,14b以外の部分を出力しない。これにより、読み取られた原稿画像に機密情報が含まれる場合であっても、その機密情報は出力されず、差分画像14a,14bのみが出力されるので、セキュリティが担保される。
【0032】
また、画像処理装置1は、制限情報10が付された原稿画像D1,D2を読み取る際、上記のようなメモ出力ではなく通常のコピー出力などを行うときにはユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求し、メモ出力を行うときにはユーザに対して解除操作を要求しない構成である。これにより、ユーザは、例えば図2に示すように、制限情報10が付された複数の原稿画像D1,D2からメモ部分だけを抽出した画像出力を行う場合、パスワードを逐一入力する手間が省けるので、作業負担が軽減される。そして、画像処理装置1は、メモ12a,12bに対応する差分画像14a,14bを付した出力画像D3を例えば印刷出力する。これにより、ユーザは、メモ12a,12bを取得することができる。
【0033】
このように、画像処理装置1は、制限情報10が付された原稿画像を読み取って出力する場合、メモ出力を行うときにはユーザに対して解除操作を要求しないので、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることが可能である。以下、上記のように動作する画像処理装置1の具体的な構成について説明する。
【0034】
図3は、画像処理装置1が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理装置1は、制御部15と、読取部3と、ネットワークインターフェース17と、印刷処理部4と、操作パネル2と、記憶装置18とを備え、それらがバス25を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
【0035】
制御部15は、CPU15aとメモリ15bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU15aは、記憶装置18に記憶されているプログラム19を読み出して実行する。ここで、プログラム19は、制御部15を後述する各処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ15bは、CPU15aがプログラム19を実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0036】
読取部3は、原稿画像を読み取って画像データを出力する処理部である。例えば、読取部3は、原稿載置台に載置された複数の原稿を先頭から1枚ずつ搬送する原稿搬送部や、読み取った原稿画像を画像データに変換して出力する画像データ出力部などを備えている。
【0037】
ネットワークインターフェース17は、画像処理装置1を、ネットワーク5に接続するためのものである。これにより制御部15は、このネットワークインターフェース17を介して、例えば管理サーバ6と通信可能に接続される。
【0038】
印刷処理部4は、画像データに基づき印刷処理を実行することで印刷物を出力する処理部である。例えば、印刷処理部4は、図示しないが、1枚ずつ給紙された用紙に対して、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を排出する印刷物搬送部などを備えている。
【0039】
操作パネル2は、いわゆるタッチ式パネルで構成された操作入力部2aと、液晶パネルなどで構成され各種情報を表示する表示部2bとが一体的に構成されている。操作パネル2は、ユーザが画像処理装置1を操作する際のユーザインタフェースとなるものである。操作入力部2aは、表示部2bに表示された操作ボタンなどがユーザによって操作されることで、各種操作指示を入力するように構成される。
【0040】
記憶装置18は、例えばハードディスク装置であって各種情報を記憶する。この記憶装置18は、上述したプログラム19の他に、ユーザに対して解除操作を要求するか否かの判断基準となる条件情報20、管理サーバ6から取得するオリジナルの画像データ13、原稿画像を読み取ることに伴い生成される差分画像14及び対応テーブル23を記憶する。各情報の詳細については後述する。
【0041】
図4は、制御部15における機能構成の一例を示すブロック図である。制御部15は、上述したCPU15aがプログラム19を実行することにより、パネル制御部31、読取制御部33、画像解析部34及び出力制御部39として機能する。パネル制御部31は、記録部32を備え、また、画像解析部34は、判別部35と、取得部36と、認証部37と、抽出部38とを備えている。尚、画像処理装置1においては、差分画像14が生成されることに伴い、記憶装置18には対応テーブル23と差分画像14とが管理情報22として記憶される。
【0042】
制御部15は、まず記憶装置18に記憶されている条件情報20に各種情報を記録するため以下の処理を行う。この処理はメモ出力を行う事前の準備処理として行われる処理であり、例えば、画像処理装置1を管理する管理者などによって行われる。この処理が開始されると、まず制御部15においてパネル制御部31が機能する。
【0043】
パネル制御部31は、操作パネル2を制御する処理部である。パネル制御部31は、操作入力部2aに入力される各種指示操作を受付けたり、各種表示画面を生成して表示部2bに表示させたりする。パネル制御部31は、操作入力部2aを介して条件情報20を設定するための操作指示を受け付けると、条件設定画面を生成して表示部2bに表示させる。条件設定画面では、後にメモ出力が行われる際にユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断するための各種条件が設定される。
【0044】
図5は、パネル制御部31によって生成される条件設定画面45の一例を示す図である。図例に示すように、条件設定画面45では、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」、「コピー」、「FAX」の3つのうち何れか1つが選択可能になっており、更に各機能に対応して詳細条件が設定できるようになっている。
【0045】
詳細条件のうち「常に許可」は、選択された機能によってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様にかかわらず常にメモ出力を許可する条件である。例えば、条件設定画面45において、「スキャン」に対して「常に許可」が設定されると、スキャンによりメモ出力を行う際、ユーザに対して解除操作が要求されることはない。これによりユーザの作業負担を軽減することができる。
【0046】
また、詳細条件のうち「BOX保存」、「PC送信」は、差分画像14の出力態様に応じてユーザに解除操作を要求する条件である。例えば、条件設定画面45において、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」が選択され、更に、詳細条件として「BOX保存」が設定されると、スキャンによってメモ出力を行う際に、差分画像14の出力態様がBOX保存である場合にユーザに対して解除操作が要求されることになる。またこの場合、スキャンによってメモ出力を行う際に、差分画像14の出力態様がBOX保存以外である場合には、ユーザに対して解除操作は要求されない。したがって、「BOX保存」が設定されている場合に、BOX保存以外の出力態様でメモ出力を行うと、出力制限を解除するための解除操作が要求されなくなるので、ユーザは、操作負担が軽減される。尚、BOX保存とは、抽出された差分画像14を記憶装置18の図示しない記憶領域に格納する出力態様である。
【0047】
同様に、条件設定画面45において、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」が選択され、更に、詳細条件として「PC送信」が設定されると、スキャンによってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様がパーソナルコンピュータへの直接送信である場合に解除操作が要求されることになる。この場合、スキャンによってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様がパーソナルコンピュータへの直接送信以外の出力態様である場合には、解除操作は要求されない。したがって、「PC送信」が設定されている場合にはユーザがPC送信以外の出力態様でメモ出力を行うと、出力制限を解除するための解除操作が要求されなくなるので、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0048】
また、図5に示す条件設定画面45の例では、「最初の1回のみ」が設定可能になっている。この条件は、複数の原稿画像を読み取る際、例えばユーザが外部者でないことを確認するため、最初に原稿画像を読み取る時に1回だけユーザに対して解除操作を要求する条件である。例えば、図2の例で説明すると、原稿画像D1,D2に基づき差分画像14a,14bを抽出する際、上記のように「最初の1回のみ」が設定されていると、制御部15は、最初に読み取る原稿画像D1に基づき差分画像14aを抽出するときには、ユーザに対して解除操作を要求する。これに対して、制御部15は、次に読み取る原稿画像D2に基づき差分画像14bを抽出するときには、ユーザに対して解除操作を要求しない。これにより、ユーザは、1回のみパスワードを入力すれば良いので作業負担が軽減される。また、外部者に差分画像14が漏洩してしまうことを防止できるので、セキュリティが担保される。
【0049】
ここで、図例では詳細条件が1つのみ設定されているが、複数の詳細条件を組み合わせて設定できるように構成しても良い。また、設定される詳細条件は、図示するものに限られない。例えば、差分画像14の出力態様として電子メール送信が設定できるように構成されても構わない。また、メモ出力を行う際に常にユーザに対して解除操作を要求する条件を設定することも可能である。但し、この場合、ユーザは、原稿画像を読み取る度に逐一解除操作を行わなければならないため、ユーザの操作負担を軽減することはできない。
【0050】
図例では、条件設定画面45では「スキャン」の場合を例示しているが、「コピー」と「FAX」のそれぞれについても詳細条件が設定される。このようにして、条件設定画面45において、ユーザに解除操作を行わせるか否かを判断するための条件が設定される。
【0051】
パネル制御部31は、上記のようにして条件設定がなされ実行ボタン45aが押下されると、設定された条件を記憶装置18に記憶されている条件情報20に記録する。このとき、図4に示すパネル制御部31に含まれる記録部32が機能する。記録部32は、条件設定画面45において設定された条件を条件情報20に記録する処理部である。記録部32は、条件設定画面45において実行ボタン35aが押下されると、条件設定画面45において設定された条件を記憶装置18に記憶されている条件情報20に記録する。
【0052】
図6は、記録部32によって記録される条件情報20の一例を示す図である。条件情報20は、条件設定画面45における設定結果が反映されて記録される。例えば、図5に示す条件設定画面45において「スキャン」に対して「BOX保存」が設定されると、図6に示す条件情報20においては、その設定結果が反映されて、「スキャン」に対応して「BOX保存」が記録される。また、条件情報20に記録されている「FAX」など、1つの機能に対して複数の条件が記録されることもある。記録部32による条件情報20への記録が終了すると、メモ出力を行うための事前準備が整ったことになる。
【0053】
次に、再び図4を参照して、メモ出力を行うための処理について説明する。まずパネル制御部31は、ユーザによるメモ出力を実行すべき操作指示を受付けると、操作案内画面を生成して表示部2bに表示させる。操作案内画面は、メモ出力の出力態様を選択するための画面である。
【0054】
図7は、パネル制御部31によって生成される操作案内画面46の一例を示す図である。この操作案内画面46は、例えば、表示部2bに表示されるメニュー画面から呼び出すことが可能である。図7に示すように、操作案内画面46では、メモ出力を行うことが可能な機能の種別と、それら機能毎に差分画像14の出力態様が選択できるようになっている。図例では、メモ出力を行うことが可能な機能としてコピーの場合が例示されている。また、操作案内画面46においては、差分画像14の出力態様として、印刷出力を行うか、又は印刷出力とBOX保存とを共に行うかを選択できるようになっている。例えば後者のように複数の出力態様をまとめて選択できるように構成することも可能である。これによりメモ出力を行う際の操作性が良くなる。操作案内画面46において、メモ出力を行う機能と差分画像14の出力態様とが選択された後、スタートボタン46aが押下されると、その操作情報は、操作入力部2aを介してパネル制御部31に受け付けられる。
【0055】
図4に示すパネル制御部31は、操作案内画面46においてスタートボタン46aが押下されたことによる操作情報を受付けると、読取制御部33に対して原稿画像を読み取るように指示する。例えば、このときパネル制御部31は、原稿画像をセットするように案内する案内画面を表示部2bに表示させても良い。また、このときパネル制御部31は、受け付けた操作情報を後述する画像解析部34に出力する。これにより画像解析部34が出力態様を特定することができる。
【0056】
読取制御部33は、読取部3を制御して原稿画像を読み取らせ、その読み取らせた原稿画像を取得する処理部である。読取制御部33は、パネル制御部31による指示に従って読取部3に原稿画像を読み取らせる。読取部3は、原稿画像がセットされたことを条件としてその原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像を読取制御部33に出力する。読取制御部33は、読取部3から原稿画像を受け取ると、その原稿画像を画像解析部34に出力する。
【0057】
画像解析部34は、読取制御部33から受け取った原稿画像を解析して各種処理を行う処理部である。画像解析部34が原稿画像を受け取ると、次に、画像解析部34に含まれる判別部35が機能する。判別部35は、受け取った原稿画像を解析して、その原稿画像に制限情報10が付されているか否かを判別する処理部である。判別部35は、原稿画像に制限情報10が付されている場合、その制限情報10から原稿IDと、例えばパスワードなど出力制限を解除するための認証情報とを抽出する。判別部35は、原稿IDと認証情報とを抽出すると、それら原稿IDと認証情報とを取得部36に出力する。
【0058】
取得部36は、読取制御部33から受け取った原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データ13を取得する処理部である。取得部36は、ネットワーク5を介して管理サーバ6と通信可能に接続されており、その管理サーバ6と互いに情報の入出力をすることが可能に構成されている。取得部36は、管理サーバ6に対して、判別部35から受け取った原稿IDに対応する画像データ13を要求する。そして、管理サーバ6から送信される画像データ13を受け取ると、取得部36は、その画像データ13を記憶装置18に格納すると共に、その画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録する。
【0059】
図8は、取得部36によって記録される対応テーブル23の一例を示す図である。対応テーブル23は、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、その画像データ13に基づき抽出された差分画像14の差分画像識別情報(以下「差分画像ID」と称する)とが記録される。これにより、オリジナルの画像データ13と、その画像データ13に基づき抽出された差分画像14とが関連づけられる。また、例えば、図例に示すように、対応テーブル23には、過去にメモ出力が行われたことに伴って取得された画像データの原稿IDと、その画像データに基づき抽出された差分画像IDとの履歴を記録しておくように構成しても良い。これにより、過去に抽出された差分画像14を原稿IDに基づき出力させることができるので利便性が高まる。
【0060】
取得部36は、原稿IDを対応テーブル23に記録する際、新たに通し番号を付与して、その通し番号に対応するように原稿IDを記録する。但し、この段階では、取得した画像データ13に対応する差分画像14が未だ抽出されていないので、例えば、図8に示す原稿ID「010」のように、その原稿IDに対応する差分画像IDはブランクになっている状態である。
【0061】
図4に戻って取得部36は、上記のようにしてオリジナルの画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録すると、上述した判別部35から受け取った、出力制限を解除するための認証情報を認証部37に出力する。
【0062】
認証部37は、読取部3によって読み取られた原稿画像に制限情報が付されている場合に、ユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断する処理部である。また、認証部37は、解除操作が行われる場合には、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する構成である。認証部37は、読取部3によって読み取られた原稿画像に制限情報が付されている場合に、メモ出力が行われないときには、常にユーザに対して解除操作を要求し、メモ出力が行われるときには、以下のように処理を行う。
【0063】
認証部37は、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照して、メモ出力による出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たすか否かを判断する。例えば、図6の例では、条件情報20には、「スキャン」に対して「BOX保存」と記録されている。この場合、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報がスキャンによるメモ出力であって、且つ差分画像14の出力態様がBOX保存である場合に条件情報20に記録されている条件が満たされると判断する。これに対し、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報がスキャンによるメモ出力であって、且つ差分画像14の出力態様がBOX保存以外であるときには、条件情報20に記録されている条件が満たされないと判断する。
【0064】
また、条件情報20の「コピー」に対しては「常に許可」と記録されている。この場合、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報が、コピーによるメモ出力である場合には、差分画像14の出力態様に関わらず、条件情報20に記録されている条件が満たされないと判断する。
【0065】
条件情報20の「FAX」に対しては、「送信」、「最初の1回のみ」と複数の条件が記録されている。この場合、認証部37は、複数の条件のうち何れか一方の条件が満たされることで全ての条件が満たされると判断しても良いし、複数の条件が共に満たされることで全ての条件が満たされると判断しても良い。
【0066】
図4に示す認証部37は、次に、上述した判断結果に基づき以下のように処理を行う。まず、条件情報20における条件が満たされる場合について説明する。認証部37は、ユーザにより指定されたメモ出力の出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たすと判断した場合には、パネル制御部31に対して、例えばパスワードなど認証情報を入力するための入力画面を表示するように指示する。パネル制御部31は、認証部37による指示に従って入力画面を表示部2bに表示させる。この入力画面に対して入力された認証情報は、操作入力部2aを介してパネル制御部31に受付けられる。パネル制御部31は、認証情報を受付けると、その認証情報を認証部37に出力する。
【0067】
認証部37は、パネル制御部31から入力する認証情報と、原稿画像に付されている認証情報とを比較して、出力制限を解除するか否かの認証処理を行う。例えば、認証部37は、パネル制御部31から入力する認証情報に含まれるパスワードと、原稿画像に付されている認証情報に含まれるパスワードとが一致するか否かを判断する。そして、認証部37は、2つのパスワードが一致した場合に認証が成功したと判断する。認証部37は、認証が成功するとメモ出力を許可し、認証が失敗するとメモ出力を許可しない。尚、メモ出力が許可されない場合、例えば、制御部15は、表示部2bにエラーメッセージなどを表示させて、再度、ユーザに認証情報を入力させるか又はメモ出力するための処理を終了する。
【0068】
次に、条件情報20における条件が満たされない場合について説明する。認証部37は、ユーザにより指定されたメモ出力の出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たさないと判断した場合には、上述した認証処理を行わずにメモ出力を許可する。すなわちこの場合、認証部37は、ユーザに対して解除操作を要求しないで認証処理が成功した場合と同様に処理を進める。これにより、ユーザは解除操作を行わずに済むので作業負担が軽減される。認証部37は、メモ出力を許可すると、抽出部38に対して差分画像14を抽出するための処理を開始するように指示する。
【0069】
抽出部38は、読取部3によって読み取られた原稿画像と、取得部36によって取得されたオリジナルの画像データ13とを比較することで、差分画像14を抽出する処理部である。抽出部38は、認証部37から指示を受け取ると、まず、画像データ13を記憶装置18から読出し、その画像データ13と、読取制御部33から受け取った原稿画像とを比較する。その画像データ13は、読取制御部33から受け取った原稿画像に対してオリジナルであるため、原稿画像にメモなどの付加情報が付されていれば、画像データ13と原稿画像とを比較することでそのメモは差分画像14となって抽出される。
【0070】
抽出部38は、差分画像14が抽出されると、その差分画像14に新たな差分画像IDを付与してその差分画像14を記憶装置18に記憶させる。また、抽出部38は、記憶装置18に記憶されている対応テーブル23にその差分画像IDを記録する。抽出部38は、差分画像IDを対応テーブル23に記録する際、比較対象となった画像データ13の原稿IDに対応するように差分画像IDを記録する。
【0071】
また、1つの画像データ13と、その画像データ13に対応する複数の原稿画像とを比較することに伴って複数の差分画像14が抽出されることもある。抽出部38は、そのような場合、例えば図8の原稿ID「009」のように、抽出される複数の差分画像IDを1つの原稿IDに対応させて記録する。画像解析部34は、上記のようにして差分画像IDを対応テーブル23に記録すると、読取部3によって読み取られた原稿画像をこのタイミングで削除する。これにより画像処理装置1に原稿画像が残らないのでセキュリティが担保される。また、画像解析部34は、原稿画像の削除が終了すると、パネル制御部31に対して差分画像14の抽出が完了したことを通知する。
【0072】
パネル制御部31は、画像解析部34から完了通知を受け取ると、ユーザに対して更に原稿画像を読み取るか、又は、原稿画像を読み取る処理を終了して差分画像14の出力を行う処理に移行するかを選択させる選択画面を生成して表示部2bに表示させる。選択画面において更に原稿画像を読み取ることが選択されると、制御部15は、更なる原稿画像を読み取って上記と同様の処理を行う。そして、制御部15は、選択画面において、ユーザにより差分画像14の出力を行うことが選択されるまで、上記と同様にして原稿画像を読み取って差分画像14を抽出する処理を繰り返し行う。
【0073】
一方、パネル制御部31は、選択画面において差分画像14の出力を行うことが選択されると、その操作情報を出力制御部39に出力する。
【0074】
図4に示す出力制御部39は、差分画像14を所定の出力先に振り分けて出力する処理部である。出力制御部39は、パネル制御部31から操作情報を受け取ると、記憶装置18に記憶されているオリジナルの画像データ13の原稿IDを特定する。また、出力制御部39は、記憶装置18に記憶されている対応テーブル23を参照して、特定した原稿IDに対応する差分画像IDを特定する。このとき、出力制御部39は、特定した原稿画像D1に対応して複数の差分画像IDが対応テーブル23に記録されている場合には、それら複数の差分画像IDを全て特定する。そして、出力制御部39は、特定した差分画像IDに基づき記憶装置18に記憶されている差分画像14を読出す。
【0075】
出力制御部39は、読出した差分画像14に基づき出力画像を生成する。また、出力制御部39は、複数の差分画像14を読出した場合には、それら複数の差分画像14を合成して1枚又は複数枚の白紙イメージに各差分画像14を配置することで出力画像を生成する。これにより、ユーザが複数の差分画像14をまとめて確認できると共に、出力態様が印刷出力である場合に印刷用紙を節約することができる。
【0076】
また、差分画像14を単に白紙イメージに配置すると、その差分画像14が例えば印刷物として出力されたときに、その差分画像14が原稿画像の何れに対応する記載であるのかが明確でない可能性もある。そこで、制御部15は、以下に説明するように、差分画像14が付されていたページや位置を出力画像に反映させても良い。
【0077】
画像解析部34は、差分画像14を抽出する際、抽出される差分画像14の原稿画像に対する位置情報を取得する。この位置情報には、差分画像14の対応ページも含まれる。そして、画像解析部34は、その差分画像14に位置情報を関連づけて記憶装置18に記憶させる。出力制御部39は、出力画像を生成する際、記憶装置18から差分画像14と、その差分画像14に関連づけられている位置情報とを読出して、その位置情報に基づき差分画像14を白紙イメージに合成する。これにより、例えば図2に示すように、画像処理装置1から出力される出力画像D3には、例えば、原稿画像D1,D2に対するメモ12a,12bの位置がそれぞれ反映されて差分画像14a,14bが付される。これにより、ユーザは、出力された差分画像14が原稿画像の何れに対応する記載であるかを認識できるので、差分画像14の内容を理解しやすくなる。また、印刷出力される印刷物には、差分画像14の位置が反映されるので、例えばユーザは、メモが付されていない原稿画像を印刷用紙として給紙することにより、その原稿画像にメモを反映させることができる。
【0078】
但し、複数の差分画像14の位置情報を反映させて出力画像を生成する際、差分画像14が重なって出力されてしまう可能性がある。例えば、複数の差分画像14のそれぞれに関連づけられている位置情報に同一の座標が含まれる場合である。この場合、出力制御部39は、以下のように処理を行う。
【0079】
出力制御部39は、複数の差分画像14を1枚の白紙イメージに配置する際、各差分画像14の位置情報に基づき同一の座標を含む複数の差分画像14が存在するか否かを検知する。そして、同一の座標を含む複数の差分画像14が存在する場合には、配置すべき複数の差分画像14に同一座標が含まれないように出力画像のレイアウトを修正する。これにより、出力画像には、差分画像14が重ならずに配置されるのでユーザが各差分画像14を識別可能になる。尚、複数の原稿画像を読み取ることに伴い複数の差分画像14が抽出される場合、出力画像に付される各差分画像14を各原稿画像に対応して色分けしても良い。これにより、例えば各原稿画像に対応するメモを識別することが可能になる。
【0080】
出力制御部39は、上記のようにして出力画像を生成すると、操作案内画面46において選択された出力態様に従って差分画像14の出力を行う。すなわち、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報に印刷出力を行うべき指示が含まれる場合には、生成された出力画像を印刷処理部4に出力する、これにより、印刷処理部4によって差分画像14が印刷出力される。また、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報にFAX送信、PC送信又は電子メール送信を行うべき指示が含まれている場合には、生成された出力画像を所定の送信宛先に出力する。また、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報にBOX保存を行うべき指示が含まれている場合には、生成された出力画像を記憶装置18の所定の記憶領域に記憶させる。
【0081】
出力制御部39は、差分画像14の出力が終了すると、その差分画像14に対応する画像データ13を記憶装置18から削除する。これにより画像データ13に機密情報が含まれる場合であっても、その機密情報は画像処理装置1に残らないのでセキュリティが担保される。
【0082】
以上の説明では、オリジナルの画像データ13を管理サーバ6から取得する構成を例示したが、これに限られない。例えば、以下に説明するように、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得しても良い。すなわち、読取制御部33は、パネル制御部31を介して、メモ出力を行うべき操作指示を受け付けると、原稿画像がセットされていることを条件として読取部3にその原稿画像を読み取らせる。そして、読取制御部33は、読取部3によって原稿画像が読み取られたことで得られる画像データを画像解析部34に出力する。画像解析部34の取得部36は、読取制御部33から初回の画像データを受け取ると、その画像データをオリジナルの画像データ13として記憶装置18に記憶させる。
【0083】
そして、抽出部38は、メモ出力を行う際、上記のようにして得られたオリジナルの画像データ13と、その後に読取部3によって読み取られる原稿画像とを比較することによって差分画像を抽出する。これにより、画像処理システムにおいて管理サーバ6が不要となるので、システム全体として構成が簡易になる。
【0084】
また、この場合、画像処理装置1は、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する構成と、読取部3によってオリジナルの画像データ13を取得する構成とを共に備えても良い。そして、制御部15は、操作パネル2においてオリジナルの画像データ13を管理サーバ6から取得するか、又は読取部3から取得するかをユーザに選択させても良い。尚、管理サーバ6に画像データ13を予め記憶させておく代わりに記憶装置18に画像データ13を予め記憶させておくことも可能である。
【0085】
図9は、画像処理装置1の制御部15において実行される全体的な処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ制御部15において実行される全体的な処理について説明する。尚、以下の説明は、管理者などによって既に条件情報20が記憶装置18に記憶されている状態で、メモ出力を行う場合の処理を例示する。
【0086】
まず、制御部15は、操作パネル2に対してメモ出力を行うべき操作指示を受付けると(ステップS1のYES)、操作案内画面46を表示部2bに表示させる(ステップS2)。次に、制御部15は、操作案内画面46においてスタートボタン46aが押下されると(ステップS3のYES)、基準画像データ取得処理を実行する(ステップS4)。制御部15は、基準画像データ取得処理が終了すると、次に、認証処理を実行する(ステップS5)。そして、制御部15は、認証処理が終了すると、次に差分抽出処理を実行する(ステップS6)。制御部15は、複数部の原稿画像を読み取る場合には、全ての原稿画像について差分画像14を抽出するまでステップS5,S6を繰り返し実行する(ステップS7のNO)。制御部15は、全ての原稿画像について差分画像14を抽出する処理が終了すると(ステップS7のYES)、差分画像出力処理を実行する(ステップS8)。以上のようにして画像処理装置1における全体的な処理は終了する。
【0087】
図10は、制御部15によって実行される基準画像データ取得処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、読取部3に原稿画像を読み取らせる(ステップS11)。制御部15は、読み取った原稿画像に付されている制限情報10を解析して原稿IDを取得する(ステップS12)。ここで、上述したように、オリジナルの画像データ13を取得する方法としては2通りある。すなわち、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のYES)と、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のNO)とである。
【0088】
制御部15は、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のYES)、制限情報10を解析して出力制限を解除するための認証情報を取得する(ステップS14)。制御部15は、次に、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照する(ステップS15)。制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たす場合には(ステップS16のYES)、出力制限を解除するための認証情報を入力する入力画面を表示部2bに表示させる(ステップS17)。そして、制御部15の認証部37は、入力された認証情報と、制限情報10を解析することで取得した認証情報とに基づき認証処理を行い、認証が成功すると(ステップS18のYES)、読取部3によって最初に読み取られた原稿画像をオリジナルの画像データ13であると判断する。このとき認証部37は、その判断結果を取得部36に通知する。取得部36は、認証部37から通知を受け取ると、読取制御部33から受け取った画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録する(ステップS19)と共に、その画像データ13を記憶装置18に記憶させる(ステップS20)。
【0089】
制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たさない場合には(ステップS16のNO)、ステップS17,S18をスキップする。これによりユーザに対して出力制限を解除するための操作が要求されないのでユーザの作業負担が軽減される。また、ステップS18において、認証が失敗した場合(ステップS18のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS26)。以上により、読取部3からオリジナルの画像データを取得する場合の処理は終了する。
【0090】
次に、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のNO)、制御部15は、ステップS12において取得した原稿IDと同一の原稿IDを有する画像データ13が管理サーバ6に記憶されているか否かを管理サーバ6に問い合せる(ステップS21)。問い合わせにかかる画像データ13が管理サーバ6に記憶されている場合(ステップS22のYES)、制御部15は、その画像データ13を受信して取得する(ステップS23)。次に、制御部15は、取得した画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録すると共に(ステップS24)、その画像データ13を記憶装置18に記憶させる(ステップS25)。一方、制御部15は、管理サーバ6に、問い合せにかかる画像データ13がない場合(ステップS22のNO)、エラー情報を生成する(ステップS26)。以上により、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合における処理は終了する。また、以上で、基準画像データ取得処理は全て終了する。
【0091】
図11は、制御部15において実行される認証処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、エラー情報が生成されてないことを条件として(ステップS31のNO)、以下の処理を行う。制御部15は、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得した場合、この認証処理が開始された段階でその画像データ13の保存が既に完了しており、更なる原稿画像を読み取るために待機している状態である。制御部15は、そのように更なる原稿画像が読取可能な場合(ステップS32のYES)、更なる原稿画像がセットされたことを条件として、その原稿画像を読取部3に読み取らせる(ステップS33)。そして、制御部15は、その原稿画像の原稿IDを取得する(ステップS34)と共に、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとを比較する(ステップS35)。オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一である場合(ステップS35のYES)、制御部15は、ステップS36に進む。一方、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一でない場合(ステップS35のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS41)。
【0092】
制御部15は、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得した場合、図10のステップS11で読み取られた原稿画像の処理が未だ完了していないので、更なる原稿画像を読み取ることができないと判断する。すなわち、図10のステップS11で読み取られた原稿画像がオリジナルの画像データとの比較対象となる。制御部15は、更なる原稿画像を読み取ることができない場合(ステップS32のNO)、その原稿画像を処理するためステップS33〜S35をスキップする。但し、ステップS32でNOとなる場合は、オリジナルの画像データ13が記憶装置18に記憶されていない状態で原稿画像を読み取る場合のみである。例えば、図9で示した全体処理においてステップS5〜S7をループするような場合には、既にオリジナルの画像データ13は記憶装置18に記憶されているので、ステップS32において原稿画像は読取可能となる。
【0093】
制御部15は、原稿画像が読取可能な状態でない場合(ステップS32のNO)又は、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一である場合(ステップS35のYES)、以下のように処理する。制御部15は、読み取った原稿画像から抽出した制限情報10を解析して認証情報を取得する(ステップS36)。次に、制御部15は、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照する(ステップS37)。制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たす場合には(ステップS38のYES)、認証情報をユーザに入力させるための入力画面を表示部2bに表示させる(ステップS39)。そして、制御部15は、入力された認証情報と、制限情報10を解析することで得られた認証情報とに基づき認証を行い、認証が成功すると(ステップS40のYES)、この認証処理を終了する。
【0094】
制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たさない場合には(ステップS38のNO)、ステップS39,S40をスキップする。これによりユーザに対して出力制限を解除するための操作が要求されないのでユーザの作業負担が軽減される。また、ステップS40において、認証が失敗した場合(ステップS40のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS41)。以上により、認証処理は全て終了する。
【0095】
次に、制御部15によって実行される差分抽出処理について説明する。この処理が開始されると、エラー情報が生成されていないことを条件として(ステップS51のNO)、制御部15は、記憶装置18からオリジナルの画像データ13を読み出す(ステップS52)。制御部15は、読み出した画像データ13と、読取部3によって読み取られた原稿画像とを比較する(ステップS53)。そして、制御部15は、読み出した画像データ13と、読取部3によって読み取られた原稿画像との差分を抽出する処理を開始する(ステップS54)。制御部15は、差分が検知された場合(ステップS54のYES)、差分画像14を抽出する(ステップS55)。
【0096】
次に、制御部15は、抽出された差分画像14を記憶装置18に記憶させると共に(ステップS56)、その差分画像14の差分画像IDを対応テーブルに記録する(ステップS57)。そして、制御部15は、読み取った原稿画像を削除する(ステップS58)。一方、ステップS54において差分が検知されない場合(ステップS54のNO)、制御部15は、エラー情報を生成し(ステップS59)、読み取った原稿画像を削除する(ステップS58)。また、既にエラー情報が生成されている場合にも(図10のステップS26,図11のステップS41)、制御部15は、読み取った原稿画像を削除する(ステップS59)。以上のようにして差分抽出処理は終了する。
【0097】
図13は、制御部15において実行される差分画像出力処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、エラー情報が生成されていないことを条件として(ステップS60のNO)、記憶装置18に記憶されている画像データ13の原稿IDに基づき記憶装置18から差分画像14を読み出す(ステップS61)。制御部15は、読み出した差分画像14に基づき出力画像を生成する(ステップS62)。そして、制御部15は、生成した出力画像を所定の出力態様で出力する(ステップS63)。制御部15は、出力画像を出力すると記憶装置18に記憶されている画像データ13を削除する(ステップS64)。また、エラー情報が生成されている場合、(ステップS60のYES)、画像データ13が記憶装置18に記憶されているときには、制御部15は、その画像データ13を削除する(ステップS64)。以上により差分画像出力処理は終了する。
【0098】
以上のように、本実施形態では、画像処理装置1は、制限情報10が付されている原稿画像を読み取って出力する場合、メモ出力を行わないときには、ユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求し、メモ出力を行うときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに画像出力を行うことができる構成である。
【0099】
このような構成によれば、原稿画像に制限情報10が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像14が出力されるので、ユーザは、逐一パスワードを入力しなくて済み作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データ13が機密性の高いものであるとしても、その画像データ13に含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【0100】
また、本実施形態では、メモ出力を行う際にユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断するための条件情報20が予め記憶装置18に記憶されている。そして、画像処理装置1は、メモ出力を行う際、その条件情報20に記録されている条件に基づきユーザに対して解除操作を要求する構成である。
【0101】
このような構成によれば、例えば、管理者などが許可する条件に基づいて差分画像14を出力することができる。例えば、画像処理装置1は、電子媒体で差分画像14を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求する一方で、紙媒体で差分画像14を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求しないことが可能である。
【0102】
また、本実施形態では、読取部3によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像14が抽出される。そして、画像処理装置1は、画像解析部34によって抽出された複数の差分画像14を合成した出力画像を生成して出力する構成である。このような構成によれば、複数の差分画像14が合成して出力されるので、例えば、ユーザは、複数のユーザが各々の原稿画像に書き込んだメモなどをまとめて確認することができる。
【0103】
更に、本実施形態では、画像処理装置1は、複数の差分画像14を合成する場合に、それら複数の差分画像14が重ならないように配置した出力画像を生成する構成である。このような構成によれば、複数の差分画像14が重ならないように配置されるので、ユーザは、各差分画像14を識別可能になる。
【0104】
また、本実施形態では、画像処理装置1は、複数の原稿画像が読取部3によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データ13として取得する。そして、画像処理装置1は、上記のようにして取得されたオリジナルの画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像14を抽出する構成である。
【0105】
このような構成によれば、先に読み取られる原稿画像に基づき得られる画像データがオリジナルの画像データ13として取得されるので、例えば、管理サーバ6が不要となりシステム全体として構成が簡易になる。また、予め画像データ13を記憶しておく必要がないので、その画像データ13が漏洩してしまうリスクを軽減することができる。
【0106】
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0107】
例えば、上記説明においては、読取部3によって原稿画像が読み取られると、その一連の処理として差分画像14が出力される場合を例示した。但し、これに限られず、例えば、読取部3によって原稿画像が読み取られる処理と、差分画像14を出力する処理とを独立して行うように構成しても良い。例えば、操作案内画面46において、更に差分画像14をリアルタイムで出力するか否かを決定するための決定ボタンを設ける。そして、この決定ボタンが押下されると、制御部15は、差分画像14を記憶装置18に記憶させた段階で処理を一旦終了する。そして、パネル制御部31は、原稿IDを入力するための原稿ID入力画面を表示部2bに表示させる。例えば、この原稿ID入力画面は、メニュー画面から呼出可能である。出力制御部39は、パネル制御部31を介して、ユーザにより入力された原稿IDを受け取ると、対応テーブル23を参照して、その原稿IDに対応する差分画像14を特定する。そして、出力制御部39は、その差分画像14を記憶装置18から読出して所定の出力態様で出力する。このような構成によれば、ユーザの都合に合わせて差分画像14を出力することができるので利便性が向上する。
【0108】
また、差分画像14を印刷出力する際、その差分画像14を印刷するための印刷用紙が必要となるが、その印刷用紙を節約するため以下のように構成することも可能である。上述したように、画像処理装置1は、差分画像14に関連づけられている位置情報を反映させて出力画像を生成することが可能である。そこで画像処理装置1は、例えば、上記のようにして差分画像14を記憶装置18に記憶させた段階で処理を一旦終了し、後にメモが付されていない原稿画像を印刷用紙として画像処理装置1に給紙することにより、その原稿画像に直接差分画像14を印刷する。この場合、差分画像14は、メモが付されていた位置が反映されるので、印刷用紙となる原稿画像の例えば余白などに付されることになる。これにより、ユーザは、自己の原稿画像と差分画像14が付された印刷物とを別々に管理する必要が無くなるので利便性が高まる。また、差分画像14が付される位置は、メモが付されていた位置が反映されるので、原稿画像の内容に対応した位置に差分画像14が付されることになり、ユーザが差分画像14の内容を理解しやすくなる。
【0109】
更にこの場合、印刷用紙を給紙するための給紙口において、原稿画像の制限情報10を読み取るためのバーコードリーダーなどが設けられても良い。この場合、画像解析部34は、バーコードリーダーで読み取られた制限情報10を解析することで原稿IDを取得し、更に対応テーブル23を参照して、その原稿IDに対応する差分画像14を記憶装置18から読出す。そして、画像処理装置1は、印刷用紙としてセットされた原稿画像を順次搬送してその原稿画像に差分画像14の位置情報を反映させて印刷する。このような構成により、ユーザは原稿IDとパスワードとの何れも入力することなく出力画像を得ることができると共に印刷用紙も節約できるので利便性が更に向上する。
【0110】
また、上述した実施形態では、制御部15は、オリジナルの画像データ13を取得すると、その画像データ13を記憶装置18に記憶するように構成されているが、これに限られない。すなわち本実施形態では、画像データ13が一時的に記憶できれば良いので、例えば、制御部15は、取得したオリジナルの画像データ13をメモリ15bに記憶しても良い。これにより画像処理装置1に画像データ13を記憶するための記憶領域が十分にない場合であっても上記処理を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 画像処理装置
3 読取部(読取手段)
13 画像データ
14 差分画像
35 判別部(判別手段)
36 取得部(取得手段)
37 認証部(認証手段)
38 抽出部(差分抽出手段)
39 出力制御部(出力制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に、出力制限を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば機密文書など機密性の高い文書の複製が安易に行われないように出力を制限する画像形成装置がある。例えば、特許文献1に開示された画像形成装置は、出力制限を行うための認証情報が付された原稿画像を読み取ると、ユーザに対して出力制限を解除するためのパスワードを要求する。画像形成装置は、ユーザからパスワードの入力を受付けると、入力されたパスワードに基づき認証処理を行う。そして、画像形成装置は、認証が成功すると、原稿画像を所定の出力態様で出力する。これにより、安易に機密文書が複製されないのでセキュリティが担保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−4126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、1人のユーザが、出力制限の対象となる複数の資料を複製する場合がある。例えば、ある会議を欠席したユーザが、その会議に参加した複数のユーザのそれぞれから資料を拝借して、各資料に書き込まれているメモを取得するために、各資料をコピーする場合である。これにより、会議を欠席したユーザは、他人のメモを手書きで書き写す必要がなくなるので作業効率が良くなる。
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置は、以下のような問題がある。すなわち、従来の画像形成装置は、認証情報が付された資料を複製する場合、常にパスワードの入力をユーザに対して求めるようになっている。そのため、ユーザは、認証情報が付された複数の資料を複製する場合、それら複数の資料の読み取りを指示する毎にパスワードを入力しなくてはならない。特に認証情報が付された資料が多いとその分ユーザの作業負担も大きくなる。また、パスワードは、各ユーザに対応して資料毎に異なって設定されていることも多い。その場合、ユーザは、例えば1部の資料を複製する場合であっても、その資料が他人のものである場合には、その他人特有のパスワードでなければ拝借した資料を複製できないので、その他人からパスワードを取得するための手間もかかってしまう。
【0006】
その一方で、仮に認証情報が付された資料の複製を安易に許可してしまうと、ユーザの作業負担は軽減されるものの機密文書の漏洩するリスクが高くなる。このように、従来の画像形成装置においては、認証情報が付された資料を複製することに伴うユーザの作業負担が大きい一方で、ユーザの作業負担を軽減させようとすると情報漏洩のリスクが高くなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するため、出力制限の対象となる資料を読み取って出力する場合に、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることのできる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像処理装置であって、原稿画像を読み取る読取手段と、読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別する判別手段と、前記読取手段によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する取得手段と、前記読取手段によって読み取られた原稿画像と、前記取得手段によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出する差分抽出手段と、前記判別手段による判別結果に基づき出力制限を解除するための解除操作をユーザに対して要求すると共に、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する認証手段と、前記認証手段による認証結果に基づき出力対象となる画像を出力する出力制御手段と、を備え、前記認証手段は、前記判別手段によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することを特徴とする構成である。
【0009】
このような構成によれば、差分画像を出力する際、原稿画像に制限情報が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像が出力されるので、例えばメモなど機密性の低い部分のみをパスワードによる認証無しに出力することが可能である。これによりユーザの作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データが機密性の高いものであるとしても、その画像データに含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記認証手段は、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可するか否かを、予め設定された条件に基づいて判断することを特徴とする構成である。
【0011】
このような構成によれば、例えば、管理者などが許可する条件に基づいて差分画像を出力することができる。例えば、画像処理装置は、電子媒体で差分画像を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求する一方で、紙媒体で差分画像を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求しないことが可能である。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記差分抽出手段は、前記読取手段によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像を抽出するものであり、前記出力制御手段は、前記差分抽出手段によって抽出された複数の差分画像を合成した出力画像を生成し、その出力画像を出力することを特徴とする構成である。
【0013】
このような構成によれば、複数の差分画像が合成して出力されるので、ユーザは、例えば、複数のユーザが各々の原稿に書き込んだメモなどをまとめて確認することができる。
【0014】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記出力制御手段は、複数の差分画像を合成する場合に、それら複数の差分画像が重ならないように配置した出力画像を生成することを特徴とする構成である。
【0015】
このような構成によれば、複数の差分画像が重ならないように配置されるので、ユーザは、各差分画像を識別可能になる。
【0016】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理装置において、前記取得手段は、複数の原稿画像が前記読取手段によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データとして取得するものであり、前記差分抽出手段は、前記画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像を抽出することを特徴とする構成である。
【0017】
このような構成によれば、先に読み取られる原稿画像に基づき得られる画像データがオリジナルの画像データとして取得されるので、例えば、予め画像処理装置にオリジナルの画像データを記憶しておく必要が無くなる。これにより画像処理装置の記憶資源を節約することができる。また、予め画像データを記憶しておく必要がないので、その画像データが漏洩してしまうリスクを軽減することができる。
【0018】
請求項6にかかる発明は、画像処理方法であって、(a)原稿画像を読み取るステップと、(b)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別するステップと、(c)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得するステップと、(d)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像と、前記ステップ(c)によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出するステップと、(e)前記ステップ(b)によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記ステップ(d)によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することにより認証を行うステップと、(f)前記ステップ(e)による認証結果に基づき差分画像を出力するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0019】
このような構成によれば、差分画像を出力する際、原稿画像に制限情報が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像が出力されるので、例えばメモなど機密性の低い部分のみをパスワードによる認証無しに出力することが可能である。これによりユーザの作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データが機密性の高いものであるとしても、その画像データに含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、出力制限の対象となる資料を読み取って出力する場合に、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態における画像処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】画像処理装置によって差分画像が出力される場合の処理の一例を模式的に示す図である・
【図3】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】画像処理装置における制御部の機能構成の一例を示す図である。
【図5】画像処理装置に表示される条件設定画面の一例を示す図である。
【図6】画像処理装置によって記録される条件情報の一例を示す図である。
【図7】画像処理装置に表示される操作案内画面の一例を示す図である。
【図8】画像処理装置によって記録される対応テーブルの一例を示す図である。
【図9】画像処理装置において行われる全体的な処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】画像処理装置において行われる基準画像データ取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】画像処理装置において行われる認証処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】画像処理装置において行われる差分抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置において行われる差分画像出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である画像処理システムの概略構成を示す図である。画像処理システムは、管理サーバ6と、画像処理装置1とがネットワーク5を介して相互にデータ通信可能な構成である。ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などを含んで構成される複合的な通信ネットワークである。図例では、管理サーバ6には、ネットワーク5を介して1つの画像処理装置1が接続されている例を示しているが、これに限られない。例えば、複数の画像処理装置やパーソナルコンピュータなどがネットワーク5に接続される構成でも良い。
【0024】
管理サーバ6は、ハードディスク装置などの記憶装置6aを備えており、その記憶装置6aに例えば機密文書などの画像データ13を保存して管理する。画像データ13には、出力制限を行うための制限情報が関連づけられている。制限情報には、画像データ13を識別するための画像データ識別情報(以下「原稿ID」と称する)や、出力制限を解除するための情報として例えばパスワードなどが含まれている。例えばパスワードは、画像データ13に対応するユーザ毎に個別に割当てられるものであっても良い。これにより本人以外にその画像データ13を複製させることができなくなるのでセキュリティが担保される。
【0025】
画像処理装置1は、例えば複合機であり、コピー機能、スキャン機能、FAX機能及び印刷機能など各種機能を備えている。画像処理装置1は、ユーザによる各種操作を受け付ける操作パネル2と、原稿画像を読み取る読取部3と、印刷出力を行う印刷処理部4とを備えている。画像処理装置1は、読取部3によって原稿画像が読み取られることで得られる画像データを、ネットワーク5を介して管理サーバ6に記憶させることが可能である。また、画像処理装置1は、管理サーバ6に記憶されている画像データを、ネットワーク5を介して取得することも可能に構成される。
【0026】
画像処理装置1は、制限情報が関連づけられた画像データ13を管理サーバ6から取得して出力する場合、その制限情報に基づいてユーザに対して出力制限を解除するためのパスワードを要求する。例えば、画像処理装置1は、パスワードを入力させる入力画面を操作パネル2に表示する。画像処理装置1は、入力画面に入力されたパスワードに基づき認証を行い、認証が成功すると画像データ13を印刷出力など所定の出力態様で出力する。但し認証に用いる手法は、パスワードに限られず、例えば生体認証など各種の手法で行なうことができる。
【0027】
図2は、画像処理装置1によって行われる処理を模式的に示す図である。まず原稿画像D1,D2について説明する。原稿画像D1,D2は、何れも図1に示した画像データ13に基づき印刷出力された印刷物である。つまり画像データ13は、原稿画像D1,D2の複製元となるオリジナルの画像データである。画像データ13が機密文書などのデータである場合、その画像データ13に基づいて印刷出力が行われるときには、印刷物が第三者によって複製されてしまうことを防止するため、コピー制限などの出力制限を課すための情報が印刷物に付加される。図2に示す原稿画像D1,D2は、例えば機密文書であり制限情報10が付されている。制限情報10は、例えば2次元バーコードなどであり、原稿画像D1,D2の原稿IDや、出力制限を解除するための認証情報などが画像に埋め込まれている。制限情報10に含まれる原稿IDは、オリジナルである画像データ13の原稿IDと同一である。また、制限情報10に含まれている認証情報は、例えばパスワードである。
【0028】
図2に示すように原稿画像D1には、メモ12aが付されている。このメモ12aは、例えば、その原稿画像D1の持ち主によって会議中などに手書きで書き込まれたものである。同様に、原稿画像D2には、その原稿画像D2の持ち主によって上記会議中などに手書きで書き込まれたメモ12bが付されている。このように原稿画像D1,D2のそれぞれには、メモ12a,12bが付されている。例えば、会議を欠席したユーザは、メモ12a,12bを取得したいと希望する場合、原稿画像D1,D2を持ち主から拝借してコピーすることが考えられる。また、会議を欠席したユーザが原稿画像D1,D2と同じ原稿を所持しているような場合には、他のユーザが会議中に書き込んだメモ12a,12bの部分だけを自身の原稿や白紙の用紙などに転記したいと思うケースもある。
【0029】
本実施形態の画像処理装置1は、上記のようなケースにおいて、原稿画像D1,D2からメモ12a,12bの部分だけを抽出した画像を出力することができるように構成される。このような画像出力が行われるときには、原稿画像D1,D2に含まれる機密情報は出力されない。そのため、画像処理装置1は、そのような画像出力が行われるときには、原稿画像D1,D2に制限情報10が付加されている場合でも、ユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求しないように構成される。
【0030】
このような処理手順の概要を説明すると、まずユーザは、操作パネル2に対して、読み取る原稿画像D1,D2に基づき差分画像14を抽出して出力するメモ出力を行うべき操作指示を入力する。画像処理装置1は、その操作指示を受付けると、原稿画像D1がセットされていることを条件として、読取部3を起動して原稿画像D1を読み取る。画像処理装置1は、読み取った原稿画像D1の複製元となるオリジナルの画像データ13を原稿IDに基づき管理サーバ6から取得する。そして、その画像データ13と、読み取った原稿画像D1とを比較することで差分画像14aを抽出する。上述したように、画像データ13は、読み取った原稿画像D1に対してオリジナルとなるものであるので、両者を比較することでメモ12aが差分画像14aとして抽出される。画像処理装置1は、原稿画像D2についても上記と同様の処理を行うことで、メモ12bに対応する差分画像14bを抽出する。
【0031】
画像処理装置1は、次に、抽出された差分画像14を所定の出力態様で出力する。このとき、画像処理装置1は、差分画像14a,14bのみを出力し、原稿画像D1,D2に含まれる差分画像14a,14b以外の部分を出力しない。これにより、読み取られた原稿画像に機密情報が含まれる場合であっても、その機密情報は出力されず、差分画像14a,14bのみが出力されるので、セキュリティが担保される。
【0032】
また、画像処理装置1は、制限情報10が付された原稿画像D1,D2を読み取る際、上記のようなメモ出力ではなく通常のコピー出力などを行うときにはユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求し、メモ出力を行うときにはユーザに対して解除操作を要求しない構成である。これにより、ユーザは、例えば図2に示すように、制限情報10が付された複数の原稿画像D1,D2からメモ部分だけを抽出した画像出力を行う場合、パスワードを逐一入力する手間が省けるので、作業負担が軽減される。そして、画像処理装置1は、メモ12a,12bに対応する差分画像14a,14bを付した出力画像D3を例えば印刷出力する。これにより、ユーザは、メモ12a,12bを取得することができる。
【0033】
このように、画像処理装置1は、制限情報10が付された原稿画像を読み取って出力する場合、メモ出力を行うときにはユーザに対して解除操作を要求しないので、情報漏洩のリスクを軽減させつつ、且つユーザの作業負担を軽減させることが可能である。以下、上記のように動作する画像処理装置1の具体的な構成について説明する。
【0034】
図3は、画像処理装置1が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理装置1は、制御部15と、読取部3と、ネットワークインターフェース17と、印刷処理部4と、操作パネル2と、記憶装置18とを備え、それらがバス25を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
【0035】
制御部15は、CPU15aとメモリ15bとを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU15aは、記憶装置18に記憶されているプログラム19を読み出して実行する。ここで、プログラム19は、制御部15を後述する各処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ15bは、CPU15aがプログラム19を実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
【0036】
読取部3は、原稿画像を読み取って画像データを出力する処理部である。例えば、読取部3は、原稿載置台に載置された複数の原稿を先頭から1枚ずつ搬送する原稿搬送部や、読み取った原稿画像を画像データに変換して出力する画像データ出力部などを備えている。
【0037】
ネットワークインターフェース17は、画像処理装置1を、ネットワーク5に接続するためのものである。これにより制御部15は、このネットワークインターフェース17を介して、例えば管理サーバ6と通信可能に接続される。
【0038】
印刷処理部4は、画像データに基づき印刷処理を実行することで印刷物を出力する処理部である。例えば、印刷処理部4は、図示しないが、1枚ずつ給紙された用紙に対して、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を排出する印刷物搬送部などを備えている。
【0039】
操作パネル2は、いわゆるタッチ式パネルで構成された操作入力部2aと、液晶パネルなどで構成され各種情報を表示する表示部2bとが一体的に構成されている。操作パネル2は、ユーザが画像処理装置1を操作する際のユーザインタフェースとなるものである。操作入力部2aは、表示部2bに表示された操作ボタンなどがユーザによって操作されることで、各種操作指示を入力するように構成される。
【0040】
記憶装置18は、例えばハードディスク装置であって各種情報を記憶する。この記憶装置18は、上述したプログラム19の他に、ユーザに対して解除操作を要求するか否かの判断基準となる条件情報20、管理サーバ6から取得するオリジナルの画像データ13、原稿画像を読み取ることに伴い生成される差分画像14及び対応テーブル23を記憶する。各情報の詳細については後述する。
【0041】
図4は、制御部15における機能構成の一例を示すブロック図である。制御部15は、上述したCPU15aがプログラム19を実行することにより、パネル制御部31、読取制御部33、画像解析部34及び出力制御部39として機能する。パネル制御部31は、記録部32を備え、また、画像解析部34は、判別部35と、取得部36と、認証部37と、抽出部38とを備えている。尚、画像処理装置1においては、差分画像14が生成されることに伴い、記憶装置18には対応テーブル23と差分画像14とが管理情報22として記憶される。
【0042】
制御部15は、まず記憶装置18に記憶されている条件情報20に各種情報を記録するため以下の処理を行う。この処理はメモ出力を行う事前の準備処理として行われる処理であり、例えば、画像処理装置1を管理する管理者などによって行われる。この処理が開始されると、まず制御部15においてパネル制御部31が機能する。
【0043】
パネル制御部31は、操作パネル2を制御する処理部である。パネル制御部31は、操作入力部2aに入力される各種指示操作を受付けたり、各種表示画面を生成して表示部2bに表示させたりする。パネル制御部31は、操作入力部2aを介して条件情報20を設定するための操作指示を受け付けると、条件設定画面を生成して表示部2bに表示させる。条件設定画面では、後にメモ出力が行われる際にユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断するための各種条件が設定される。
【0044】
図5は、パネル制御部31によって生成される条件設定画面45の一例を示す図である。図例に示すように、条件設定画面45では、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」、「コピー」、「FAX」の3つのうち何れか1つが選択可能になっており、更に各機能に対応して詳細条件が設定できるようになっている。
【0045】
詳細条件のうち「常に許可」は、選択された機能によってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様にかかわらず常にメモ出力を許可する条件である。例えば、条件設定画面45において、「スキャン」に対して「常に許可」が設定されると、スキャンによりメモ出力を行う際、ユーザに対して解除操作が要求されることはない。これによりユーザの作業負担を軽減することができる。
【0046】
また、詳細条件のうち「BOX保存」、「PC送信」は、差分画像14の出力態様に応じてユーザに解除操作を要求する条件である。例えば、条件設定画面45において、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」が選択され、更に、詳細条件として「BOX保存」が設定されると、スキャンによってメモ出力を行う際に、差分画像14の出力態様がBOX保存である場合にユーザに対して解除操作が要求されることになる。またこの場合、スキャンによってメモ出力を行う際に、差分画像14の出力態様がBOX保存以外である場合には、ユーザに対して解除操作は要求されない。したがって、「BOX保存」が設定されている場合に、BOX保存以外の出力態様でメモ出力を行うと、出力制限を解除するための解除操作が要求されなくなるので、ユーザは、操作負担が軽減される。尚、BOX保存とは、抽出された差分画像14を記憶装置18の図示しない記憶領域に格納する出力態様である。
【0047】
同様に、条件設定画面45において、メモ出力を行うことが可能な機能として「スキャン」が選択され、更に、詳細条件として「PC送信」が設定されると、スキャンによってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様がパーソナルコンピュータへの直接送信である場合に解除操作が要求されることになる。この場合、スキャンによってメモ出力を行う際、差分画像14の出力態様がパーソナルコンピュータへの直接送信以外の出力態様である場合には、解除操作は要求されない。したがって、「PC送信」が設定されている場合にはユーザがPC送信以外の出力態様でメモ出力を行うと、出力制限を解除するための解除操作が要求されなくなるので、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0048】
また、図5に示す条件設定画面45の例では、「最初の1回のみ」が設定可能になっている。この条件は、複数の原稿画像を読み取る際、例えばユーザが外部者でないことを確認するため、最初に原稿画像を読み取る時に1回だけユーザに対して解除操作を要求する条件である。例えば、図2の例で説明すると、原稿画像D1,D2に基づき差分画像14a,14bを抽出する際、上記のように「最初の1回のみ」が設定されていると、制御部15は、最初に読み取る原稿画像D1に基づき差分画像14aを抽出するときには、ユーザに対して解除操作を要求する。これに対して、制御部15は、次に読み取る原稿画像D2に基づき差分画像14bを抽出するときには、ユーザに対して解除操作を要求しない。これにより、ユーザは、1回のみパスワードを入力すれば良いので作業負担が軽減される。また、外部者に差分画像14が漏洩してしまうことを防止できるので、セキュリティが担保される。
【0049】
ここで、図例では詳細条件が1つのみ設定されているが、複数の詳細条件を組み合わせて設定できるように構成しても良い。また、設定される詳細条件は、図示するものに限られない。例えば、差分画像14の出力態様として電子メール送信が設定できるように構成されても構わない。また、メモ出力を行う際に常にユーザに対して解除操作を要求する条件を設定することも可能である。但し、この場合、ユーザは、原稿画像を読み取る度に逐一解除操作を行わなければならないため、ユーザの操作負担を軽減することはできない。
【0050】
図例では、条件設定画面45では「スキャン」の場合を例示しているが、「コピー」と「FAX」のそれぞれについても詳細条件が設定される。このようにして、条件設定画面45において、ユーザに解除操作を行わせるか否かを判断するための条件が設定される。
【0051】
パネル制御部31は、上記のようにして条件設定がなされ実行ボタン45aが押下されると、設定された条件を記憶装置18に記憶されている条件情報20に記録する。このとき、図4に示すパネル制御部31に含まれる記録部32が機能する。記録部32は、条件設定画面45において設定された条件を条件情報20に記録する処理部である。記録部32は、条件設定画面45において実行ボタン35aが押下されると、条件設定画面45において設定された条件を記憶装置18に記憶されている条件情報20に記録する。
【0052】
図6は、記録部32によって記録される条件情報20の一例を示す図である。条件情報20は、条件設定画面45における設定結果が反映されて記録される。例えば、図5に示す条件設定画面45において「スキャン」に対して「BOX保存」が設定されると、図6に示す条件情報20においては、その設定結果が反映されて、「スキャン」に対応して「BOX保存」が記録される。また、条件情報20に記録されている「FAX」など、1つの機能に対して複数の条件が記録されることもある。記録部32による条件情報20への記録が終了すると、メモ出力を行うための事前準備が整ったことになる。
【0053】
次に、再び図4を参照して、メモ出力を行うための処理について説明する。まずパネル制御部31は、ユーザによるメモ出力を実行すべき操作指示を受付けると、操作案内画面を生成して表示部2bに表示させる。操作案内画面は、メモ出力の出力態様を選択するための画面である。
【0054】
図7は、パネル制御部31によって生成される操作案内画面46の一例を示す図である。この操作案内画面46は、例えば、表示部2bに表示されるメニュー画面から呼び出すことが可能である。図7に示すように、操作案内画面46では、メモ出力を行うことが可能な機能の種別と、それら機能毎に差分画像14の出力態様が選択できるようになっている。図例では、メモ出力を行うことが可能な機能としてコピーの場合が例示されている。また、操作案内画面46においては、差分画像14の出力態様として、印刷出力を行うか、又は印刷出力とBOX保存とを共に行うかを選択できるようになっている。例えば後者のように複数の出力態様をまとめて選択できるように構成することも可能である。これによりメモ出力を行う際の操作性が良くなる。操作案内画面46において、メモ出力を行う機能と差分画像14の出力態様とが選択された後、スタートボタン46aが押下されると、その操作情報は、操作入力部2aを介してパネル制御部31に受け付けられる。
【0055】
図4に示すパネル制御部31は、操作案内画面46においてスタートボタン46aが押下されたことによる操作情報を受付けると、読取制御部33に対して原稿画像を読み取るように指示する。例えば、このときパネル制御部31は、原稿画像をセットするように案内する案内画面を表示部2bに表示させても良い。また、このときパネル制御部31は、受け付けた操作情報を後述する画像解析部34に出力する。これにより画像解析部34が出力態様を特定することができる。
【0056】
読取制御部33は、読取部3を制御して原稿画像を読み取らせ、その読み取らせた原稿画像を取得する処理部である。読取制御部33は、パネル制御部31による指示に従って読取部3に原稿画像を読み取らせる。読取部3は、原稿画像がセットされたことを条件としてその原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像を読取制御部33に出力する。読取制御部33は、読取部3から原稿画像を受け取ると、その原稿画像を画像解析部34に出力する。
【0057】
画像解析部34は、読取制御部33から受け取った原稿画像を解析して各種処理を行う処理部である。画像解析部34が原稿画像を受け取ると、次に、画像解析部34に含まれる判別部35が機能する。判別部35は、受け取った原稿画像を解析して、その原稿画像に制限情報10が付されているか否かを判別する処理部である。判別部35は、原稿画像に制限情報10が付されている場合、その制限情報10から原稿IDと、例えばパスワードなど出力制限を解除するための認証情報とを抽出する。判別部35は、原稿IDと認証情報とを抽出すると、それら原稿IDと認証情報とを取得部36に出力する。
【0058】
取得部36は、読取制御部33から受け取った原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データ13を取得する処理部である。取得部36は、ネットワーク5を介して管理サーバ6と通信可能に接続されており、その管理サーバ6と互いに情報の入出力をすることが可能に構成されている。取得部36は、管理サーバ6に対して、判別部35から受け取った原稿IDに対応する画像データ13を要求する。そして、管理サーバ6から送信される画像データ13を受け取ると、取得部36は、その画像データ13を記憶装置18に格納すると共に、その画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録する。
【0059】
図8は、取得部36によって記録される対応テーブル23の一例を示す図である。対応テーブル23は、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、その画像データ13に基づき抽出された差分画像14の差分画像識別情報(以下「差分画像ID」と称する)とが記録される。これにより、オリジナルの画像データ13と、その画像データ13に基づき抽出された差分画像14とが関連づけられる。また、例えば、図例に示すように、対応テーブル23には、過去にメモ出力が行われたことに伴って取得された画像データの原稿IDと、その画像データに基づき抽出された差分画像IDとの履歴を記録しておくように構成しても良い。これにより、過去に抽出された差分画像14を原稿IDに基づき出力させることができるので利便性が高まる。
【0060】
取得部36は、原稿IDを対応テーブル23に記録する際、新たに通し番号を付与して、その通し番号に対応するように原稿IDを記録する。但し、この段階では、取得した画像データ13に対応する差分画像14が未だ抽出されていないので、例えば、図8に示す原稿ID「010」のように、その原稿IDに対応する差分画像IDはブランクになっている状態である。
【0061】
図4に戻って取得部36は、上記のようにしてオリジナルの画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録すると、上述した判別部35から受け取った、出力制限を解除するための認証情報を認証部37に出力する。
【0062】
認証部37は、読取部3によって読み取られた原稿画像に制限情報が付されている場合に、ユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断する処理部である。また、認証部37は、解除操作が行われる場合には、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する構成である。認証部37は、読取部3によって読み取られた原稿画像に制限情報が付されている場合に、メモ出力が行われないときには、常にユーザに対して解除操作を要求し、メモ出力が行われるときには、以下のように処理を行う。
【0063】
認証部37は、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照して、メモ出力による出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たすか否かを判断する。例えば、図6の例では、条件情報20には、「スキャン」に対して「BOX保存」と記録されている。この場合、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報がスキャンによるメモ出力であって、且つ差分画像14の出力態様がBOX保存である場合に条件情報20に記録されている条件が満たされると判断する。これに対し、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報がスキャンによるメモ出力であって、且つ差分画像14の出力態様がBOX保存以外であるときには、条件情報20に記録されている条件が満たされないと判断する。
【0064】
また、条件情報20の「コピー」に対しては「常に許可」と記録されている。この場合、認証部37は、パネル制御部31から受け取った操作情報が、コピーによるメモ出力である場合には、差分画像14の出力態様に関わらず、条件情報20に記録されている条件が満たされないと判断する。
【0065】
条件情報20の「FAX」に対しては、「送信」、「最初の1回のみ」と複数の条件が記録されている。この場合、認証部37は、複数の条件のうち何れか一方の条件が満たされることで全ての条件が満たされると判断しても良いし、複数の条件が共に満たされることで全ての条件が満たされると判断しても良い。
【0066】
図4に示す認証部37は、次に、上述した判断結果に基づき以下のように処理を行う。まず、条件情報20における条件が満たされる場合について説明する。認証部37は、ユーザにより指定されたメモ出力の出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たすと判断した場合には、パネル制御部31に対して、例えばパスワードなど認証情報を入力するための入力画面を表示するように指示する。パネル制御部31は、認証部37による指示に従って入力画面を表示部2bに表示させる。この入力画面に対して入力された認証情報は、操作入力部2aを介してパネル制御部31に受付けられる。パネル制御部31は、認証情報を受付けると、その認証情報を認証部37に出力する。
【0067】
認証部37は、パネル制御部31から入力する認証情報と、原稿画像に付されている認証情報とを比較して、出力制限を解除するか否かの認証処理を行う。例えば、認証部37は、パネル制御部31から入力する認証情報に含まれるパスワードと、原稿画像に付されている認証情報に含まれるパスワードとが一致するか否かを判断する。そして、認証部37は、2つのパスワードが一致した場合に認証が成功したと判断する。認証部37は、認証が成功するとメモ出力を許可し、認証が失敗するとメモ出力を許可しない。尚、メモ出力が許可されない場合、例えば、制御部15は、表示部2bにエラーメッセージなどを表示させて、再度、ユーザに認証情報を入力させるか又はメモ出力するための処理を終了する。
【0068】
次に、条件情報20における条件が満たされない場合について説明する。認証部37は、ユーザにより指定されたメモ出力の出力態様が条件情報20に記録されている条件を満たさないと判断した場合には、上述した認証処理を行わずにメモ出力を許可する。すなわちこの場合、認証部37は、ユーザに対して解除操作を要求しないで認証処理が成功した場合と同様に処理を進める。これにより、ユーザは解除操作を行わずに済むので作業負担が軽減される。認証部37は、メモ出力を許可すると、抽出部38に対して差分画像14を抽出するための処理を開始するように指示する。
【0069】
抽出部38は、読取部3によって読み取られた原稿画像と、取得部36によって取得されたオリジナルの画像データ13とを比較することで、差分画像14を抽出する処理部である。抽出部38は、認証部37から指示を受け取ると、まず、画像データ13を記憶装置18から読出し、その画像データ13と、読取制御部33から受け取った原稿画像とを比較する。その画像データ13は、読取制御部33から受け取った原稿画像に対してオリジナルであるため、原稿画像にメモなどの付加情報が付されていれば、画像データ13と原稿画像とを比較することでそのメモは差分画像14となって抽出される。
【0070】
抽出部38は、差分画像14が抽出されると、その差分画像14に新たな差分画像IDを付与してその差分画像14を記憶装置18に記憶させる。また、抽出部38は、記憶装置18に記憶されている対応テーブル23にその差分画像IDを記録する。抽出部38は、差分画像IDを対応テーブル23に記録する際、比較対象となった画像データ13の原稿IDに対応するように差分画像IDを記録する。
【0071】
また、1つの画像データ13と、その画像データ13に対応する複数の原稿画像とを比較することに伴って複数の差分画像14が抽出されることもある。抽出部38は、そのような場合、例えば図8の原稿ID「009」のように、抽出される複数の差分画像IDを1つの原稿IDに対応させて記録する。画像解析部34は、上記のようにして差分画像IDを対応テーブル23に記録すると、読取部3によって読み取られた原稿画像をこのタイミングで削除する。これにより画像処理装置1に原稿画像が残らないのでセキュリティが担保される。また、画像解析部34は、原稿画像の削除が終了すると、パネル制御部31に対して差分画像14の抽出が完了したことを通知する。
【0072】
パネル制御部31は、画像解析部34から完了通知を受け取ると、ユーザに対して更に原稿画像を読み取るか、又は、原稿画像を読み取る処理を終了して差分画像14の出力を行う処理に移行するかを選択させる選択画面を生成して表示部2bに表示させる。選択画面において更に原稿画像を読み取ることが選択されると、制御部15は、更なる原稿画像を読み取って上記と同様の処理を行う。そして、制御部15は、選択画面において、ユーザにより差分画像14の出力を行うことが選択されるまで、上記と同様にして原稿画像を読み取って差分画像14を抽出する処理を繰り返し行う。
【0073】
一方、パネル制御部31は、選択画面において差分画像14の出力を行うことが選択されると、その操作情報を出力制御部39に出力する。
【0074】
図4に示す出力制御部39は、差分画像14を所定の出力先に振り分けて出力する処理部である。出力制御部39は、パネル制御部31から操作情報を受け取ると、記憶装置18に記憶されているオリジナルの画像データ13の原稿IDを特定する。また、出力制御部39は、記憶装置18に記憶されている対応テーブル23を参照して、特定した原稿IDに対応する差分画像IDを特定する。このとき、出力制御部39は、特定した原稿画像D1に対応して複数の差分画像IDが対応テーブル23に記録されている場合には、それら複数の差分画像IDを全て特定する。そして、出力制御部39は、特定した差分画像IDに基づき記憶装置18に記憶されている差分画像14を読出す。
【0075】
出力制御部39は、読出した差分画像14に基づき出力画像を生成する。また、出力制御部39は、複数の差分画像14を読出した場合には、それら複数の差分画像14を合成して1枚又は複数枚の白紙イメージに各差分画像14を配置することで出力画像を生成する。これにより、ユーザが複数の差分画像14をまとめて確認できると共に、出力態様が印刷出力である場合に印刷用紙を節約することができる。
【0076】
また、差分画像14を単に白紙イメージに配置すると、その差分画像14が例えば印刷物として出力されたときに、その差分画像14が原稿画像の何れに対応する記載であるのかが明確でない可能性もある。そこで、制御部15は、以下に説明するように、差分画像14が付されていたページや位置を出力画像に反映させても良い。
【0077】
画像解析部34は、差分画像14を抽出する際、抽出される差分画像14の原稿画像に対する位置情報を取得する。この位置情報には、差分画像14の対応ページも含まれる。そして、画像解析部34は、その差分画像14に位置情報を関連づけて記憶装置18に記憶させる。出力制御部39は、出力画像を生成する際、記憶装置18から差分画像14と、その差分画像14に関連づけられている位置情報とを読出して、その位置情報に基づき差分画像14を白紙イメージに合成する。これにより、例えば図2に示すように、画像処理装置1から出力される出力画像D3には、例えば、原稿画像D1,D2に対するメモ12a,12bの位置がそれぞれ反映されて差分画像14a,14bが付される。これにより、ユーザは、出力された差分画像14が原稿画像の何れに対応する記載であるかを認識できるので、差分画像14の内容を理解しやすくなる。また、印刷出力される印刷物には、差分画像14の位置が反映されるので、例えばユーザは、メモが付されていない原稿画像を印刷用紙として給紙することにより、その原稿画像にメモを反映させることができる。
【0078】
但し、複数の差分画像14の位置情報を反映させて出力画像を生成する際、差分画像14が重なって出力されてしまう可能性がある。例えば、複数の差分画像14のそれぞれに関連づけられている位置情報に同一の座標が含まれる場合である。この場合、出力制御部39は、以下のように処理を行う。
【0079】
出力制御部39は、複数の差分画像14を1枚の白紙イメージに配置する際、各差分画像14の位置情報に基づき同一の座標を含む複数の差分画像14が存在するか否かを検知する。そして、同一の座標を含む複数の差分画像14が存在する場合には、配置すべき複数の差分画像14に同一座標が含まれないように出力画像のレイアウトを修正する。これにより、出力画像には、差分画像14が重ならずに配置されるのでユーザが各差分画像14を識別可能になる。尚、複数の原稿画像を読み取ることに伴い複数の差分画像14が抽出される場合、出力画像に付される各差分画像14を各原稿画像に対応して色分けしても良い。これにより、例えば各原稿画像に対応するメモを識別することが可能になる。
【0080】
出力制御部39は、上記のようにして出力画像を生成すると、操作案内画面46において選択された出力態様に従って差分画像14の出力を行う。すなわち、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報に印刷出力を行うべき指示が含まれる場合には、生成された出力画像を印刷処理部4に出力する、これにより、印刷処理部4によって差分画像14が印刷出力される。また、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報にFAX送信、PC送信又は電子メール送信を行うべき指示が含まれている場合には、生成された出力画像を所定の送信宛先に出力する。また、出力制御部39は、パネル制御部31から受け取った操作情報にBOX保存を行うべき指示が含まれている場合には、生成された出力画像を記憶装置18の所定の記憶領域に記憶させる。
【0081】
出力制御部39は、差分画像14の出力が終了すると、その差分画像14に対応する画像データ13を記憶装置18から削除する。これにより画像データ13に機密情報が含まれる場合であっても、その機密情報は画像処理装置1に残らないのでセキュリティが担保される。
【0082】
以上の説明では、オリジナルの画像データ13を管理サーバ6から取得する構成を例示したが、これに限られない。例えば、以下に説明するように、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得しても良い。すなわち、読取制御部33は、パネル制御部31を介して、メモ出力を行うべき操作指示を受け付けると、原稿画像がセットされていることを条件として読取部3にその原稿画像を読み取らせる。そして、読取制御部33は、読取部3によって原稿画像が読み取られたことで得られる画像データを画像解析部34に出力する。画像解析部34の取得部36は、読取制御部33から初回の画像データを受け取ると、その画像データをオリジナルの画像データ13として記憶装置18に記憶させる。
【0083】
そして、抽出部38は、メモ出力を行う際、上記のようにして得られたオリジナルの画像データ13と、その後に読取部3によって読み取られる原稿画像とを比較することによって差分画像を抽出する。これにより、画像処理システムにおいて管理サーバ6が不要となるので、システム全体として構成が簡易になる。
【0084】
また、この場合、画像処理装置1は、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する構成と、読取部3によってオリジナルの画像データ13を取得する構成とを共に備えても良い。そして、制御部15は、操作パネル2においてオリジナルの画像データ13を管理サーバ6から取得するか、又は読取部3から取得するかをユーザに選択させても良い。尚、管理サーバ6に画像データ13を予め記憶させておく代わりに記憶装置18に画像データ13を予め記憶させておくことも可能である。
【0085】
図9は、画像処理装置1の制御部15において実行される全体的な処理を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ制御部15において実行される全体的な処理について説明する。尚、以下の説明は、管理者などによって既に条件情報20が記憶装置18に記憶されている状態で、メモ出力を行う場合の処理を例示する。
【0086】
まず、制御部15は、操作パネル2に対してメモ出力を行うべき操作指示を受付けると(ステップS1のYES)、操作案内画面46を表示部2bに表示させる(ステップS2)。次に、制御部15は、操作案内画面46においてスタートボタン46aが押下されると(ステップS3のYES)、基準画像データ取得処理を実行する(ステップS4)。制御部15は、基準画像データ取得処理が終了すると、次に、認証処理を実行する(ステップS5)。そして、制御部15は、認証処理が終了すると、次に差分抽出処理を実行する(ステップS6)。制御部15は、複数部の原稿画像を読み取る場合には、全ての原稿画像について差分画像14を抽出するまでステップS5,S6を繰り返し実行する(ステップS7のNO)。制御部15は、全ての原稿画像について差分画像14を抽出する処理が終了すると(ステップS7のYES)、差分画像出力処理を実行する(ステップS8)。以上のようにして画像処理装置1における全体的な処理は終了する。
【0087】
図10は、制御部15によって実行される基準画像データ取得処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、読取部3に原稿画像を読み取らせる(ステップS11)。制御部15は、読み取った原稿画像に付されている制限情報10を解析して原稿IDを取得する(ステップS12)。ここで、上述したように、オリジナルの画像データ13を取得する方法としては2通りある。すなわち、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のYES)と、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のNO)とである。
【0088】
制御部15は、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のYES)、制限情報10を解析して出力制限を解除するための認証情報を取得する(ステップS14)。制御部15は、次に、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照する(ステップS15)。制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たす場合には(ステップS16のYES)、出力制限を解除するための認証情報を入力する入力画面を表示部2bに表示させる(ステップS17)。そして、制御部15の認証部37は、入力された認証情報と、制限情報10を解析することで取得した認証情報とに基づき認証処理を行い、認証が成功すると(ステップS18のYES)、読取部3によって最初に読み取られた原稿画像をオリジナルの画像データ13であると判断する。このとき認証部37は、その判断結果を取得部36に通知する。取得部36は、認証部37から通知を受け取ると、読取制御部33から受け取った画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録する(ステップS19)と共に、その画像データ13を記憶装置18に記憶させる(ステップS20)。
【0089】
制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たさない場合には(ステップS16のNO)、ステップS17,S18をスキップする。これによりユーザに対して出力制限を解除するための操作が要求されないのでユーザの作業負担が軽減される。また、ステップS18において、認証が失敗した場合(ステップS18のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS26)。以上により、読取部3からオリジナルの画像データを取得する場合の処理は終了する。
【0090】
次に、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合(ステップS13のNO)、制御部15は、ステップS12において取得した原稿IDと同一の原稿IDを有する画像データ13が管理サーバ6に記憶されているか否かを管理サーバ6に問い合せる(ステップS21)。問い合わせにかかる画像データ13が管理サーバ6に記憶されている場合(ステップS22のYES)、制御部15は、その画像データ13を受信して取得する(ステップS23)。次に、制御部15は、取得した画像データ13の原稿IDを対応テーブル23に記録すると共に(ステップS24)、その画像データ13を記憶装置18に記憶させる(ステップS25)。一方、制御部15は、管理サーバ6に、問い合せにかかる画像データ13がない場合(ステップS22のNO)、エラー情報を生成する(ステップS26)。以上により、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得する場合における処理は終了する。また、以上で、基準画像データ取得処理は全て終了する。
【0091】
図11は、制御部15において実行される認証処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、エラー情報が生成されてないことを条件として(ステップS31のNO)、以下の処理を行う。制御部15は、読取部3からオリジナルの画像データ13を取得した場合、この認証処理が開始された段階でその画像データ13の保存が既に完了しており、更なる原稿画像を読み取るために待機している状態である。制御部15は、そのように更なる原稿画像が読取可能な場合(ステップS32のYES)、更なる原稿画像がセットされたことを条件として、その原稿画像を読取部3に読み取らせる(ステップS33)。そして、制御部15は、その原稿画像の原稿IDを取得する(ステップS34)と共に、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとを比較する(ステップS35)。オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一である場合(ステップS35のYES)、制御部15は、ステップS36に進む。一方、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一でない場合(ステップS35のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS41)。
【0092】
制御部15は、管理サーバ6からオリジナルの画像データ13を取得した場合、図10のステップS11で読み取られた原稿画像の処理が未だ完了していないので、更なる原稿画像を読み取ることができないと判断する。すなわち、図10のステップS11で読み取られた原稿画像がオリジナルの画像データとの比較対象となる。制御部15は、更なる原稿画像を読み取ることができない場合(ステップS32のNO)、その原稿画像を処理するためステップS33〜S35をスキップする。但し、ステップS32でNOとなる場合は、オリジナルの画像データ13が記憶装置18に記憶されていない状態で原稿画像を読み取る場合のみである。例えば、図9で示した全体処理においてステップS5〜S7をループするような場合には、既にオリジナルの画像データ13は記憶装置18に記憶されているので、ステップS32において原稿画像は読取可能となる。
【0093】
制御部15は、原稿画像が読取可能な状態でない場合(ステップS32のNO)又は、オリジナルの画像データ13の原稿IDと、更なる原稿画像の原稿IDとが同一である場合(ステップS35のYES)、以下のように処理する。制御部15は、読み取った原稿画像から抽出した制限情報10を解析して認証情報を取得する(ステップS36)。次に、制御部15は、記憶装置18に記憶されている条件情報20を参照する(ステップS37)。制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たす場合には(ステップS38のYES)、認証情報をユーザに入力させるための入力画面を表示部2bに表示させる(ステップS39)。そして、制御部15は、入力された認証情報と、制限情報10を解析することで得られた認証情報とに基づき認証を行い、認証が成功すると(ステップS40のYES)、この認証処理を終了する。
【0094】
制御部15は、操作案内画面46において選択された差分画像14の出力態様が、条件情報20に記録されている条件を満たさない場合には(ステップS38のNO)、ステップS39,S40をスキップする。これによりユーザに対して出力制限を解除するための操作が要求されないのでユーザの作業負担が軽減される。また、ステップS40において、認証が失敗した場合(ステップS40のNO)、制御部15は、エラー情報を生成する(ステップS41)。以上により、認証処理は全て終了する。
【0095】
次に、制御部15によって実行される差分抽出処理について説明する。この処理が開始されると、エラー情報が生成されていないことを条件として(ステップS51のNO)、制御部15は、記憶装置18からオリジナルの画像データ13を読み出す(ステップS52)。制御部15は、読み出した画像データ13と、読取部3によって読み取られた原稿画像とを比較する(ステップS53)。そして、制御部15は、読み出した画像データ13と、読取部3によって読み取られた原稿画像との差分を抽出する処理を開始する(ステップS54)。制御部15は、差分が検知された場合(ステップS54のYES)、差分画像14を抽出する(ステップS55)。
【0096】
次に、制御部15は、抽出された差分画像14を記憶装置18に記憶させると共に(ステップS56)、その差分画像14の差分画像IDを対応テーブルに記録する(ステップS57)。そして、制御部15は、読み取った原稿画像を削除する(ステップS58)。一方、ステップS54において差分が検知されない場合(ステップS54のNO)、制御部15は、エラー情報を生成し(ステップS59)、読み取った原稿画像を削除する(ステップS58)。また、既にエラー情報が生成されている場合にも(図10のステップS26,図11のステップS41)、制御部15は、読み取った原稿画像を削除する(ステップS59)。以上のようにして差分抽出処理は終了する。
【0097】
図13は、制御部15において実行される差分画像出力処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理が開始されると、制御部15は、エラー情報が生成されていないことを条件として(ステップS60のNO)、記憶装置18に記憶されている画像データ13の原稿IDに基づき記憶装置18から差分画像14を読み出す(ステップS61)。制御部15は、読み出した差分画像14に基づき出力画像を生成する(ステップS62)。そして、制御部15は、生成した出力画像を所定の出力態様で出力する(ステップS63)。制御部15は、出力画像を出力すると記憶装置18に記憶されている画像データ13を削除する(ステップS64)。また、エラー情報が生成されている場合、(ステップS60のYES)、画像データ13が記憶装置18に記憶されているときには、制御部15は、その画像データ13を削除する(ステップS64)。以上により差分画像出力処理は終了する。
【0098】
以上のように、本実施形態では、画像処理装置1は、制限情報10が付されている原稿画像を読み取って出力する場合、メモ出力を行わないときには、ユーザに対して出力制限を解除するための解除操作を要求し、メモ出力を行うときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに画像出力を行うことができる構成である。
【0099】
このような構成によれば、原稿画像に制限情報10が付されている場合であっても、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像14が出力されるので、ユーザは、逐一パスワードを入力しなくて済み作業負担が軽減される。また、オリジナルの画像データ13が機密性の高いものであるとしても、その画像データ13に含まれる部分は出力されないのでセキュリティが担保される。
【0100】
また、本実施形態では、メモ出力を行う際にユーザに対して解除操作を要求するか否かを判断するための条件情報20が予め記憶装置18に記憶されている。そして、画像処理装置1は、メモ出力を行う際、その条件情報20に記録されている条件に基づきユーザに対して解除操作を要求する構成である。
【0101】
このような構成によれば、例えば、管理者などが許可する条件に基づいて差分画像14を出力することができる。例えば、画像処理装置1は、電子媒体で差分画像14を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求する一方で、紙媒体で差分画像14を出力する場合には、ユーザに対して解除操作を要求しないことが可能である。
【0102】
また、本実施形態では、読取部3によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像14が抽出される。そして、画像処理装置1は、画像解析部34によって抽出された複数の差分画像14を合成した出力画像を生成して出力する構成である。このような構成によれば、複数の差分画像14が合成して出力されるので、例えば、ユーザは、複数のユーザが各々の原稿画像に書き込んだメモなどをまとめて確認することができる。
【0103】
更に、本実施形態では、画像処理装置1は、複数の差分画像14を合成する場合に、それら複数の差分画像14が重ならないように配置した出力画像を生成する構成である。このような構成によれば、複数の差分画像14が重ならないように配置されるので、ユーザは、各差分画像14を識別可能になる。
【0104】
また、本実施形態では、画像処理装置1は、複数の原稿画像が読取部3によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データ13として取得する。そして、画像処理装置1は、上記のようにして取得されたオリジナルの画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像14を抽出する構成である。
【0105】
このような構成によれば、先に読み取られる原稿画像に基づき得られる画像データがオリジナルの画像データ13として取得されるので、例えば、管理サーバ6が不要となりシステム全体として構成が簡易になる。また、予め画像データ13を記憶しておく必要がないので、その画像データ13が漏洩してしまうリスクを軽減することができる。
【0106】
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0107】
例えば、上記説明においては、読取部3によって原稿画像が読み取られると、その一連の処理として差分画像14が出力される場合を例示した。但し、これに限られず、例えば、読取部3によって原稿画像が読み取られる処理と、差分画像14を出力する処理とを独立して行うように構成しても良い。例えば、操作案内画面46において、更に差分画像14をリアルタイムで出力するか否かを決定するための決定ボタンを設ける。そして、この決定ボタンが押下されると、制御部15は、差分画像14を記憶装置18に記憶させた段階で処理を一旦終了する。そして、パネル制御部31は、原稿IDを入力するための原稿ID入力画面を表示部2bに表示させる。例えば、この原稿ID入力画面は、メニュー画面から呼出可能である。出力制御部39は、パネル制御部31を介して、ユーザにより入力された原稿IDを受け取ると、対応テーブル23を参照して、その原稿IDに対応する差分画像14を特定する。そして、出力制御部39は、その差分画像14を記憶装置18から読出して所定の出力態様で出力する。このような構成によれば、ユーザの都合に合わせて差分画像14を出力することができるので利便性が向上する。
【0108】
また、差分画像14を印刷出力する際、その差分画像14を印刷するための印刷用紙が必要となるが、その印刷用紙を節約するため以下のように構成することも可能である。上述したように、画像処理装置1は、差分画像14に関連づけられている位置情報を反映させて出力画像を生成することが可能である。そこで画像処理装置1は、例えば、上記のようにして差分画像14を記憶装置18に記憶させた段階で処理を一旦終了し、後にメモが付されていない原稿画像を印刷用紙として画像処理装置1に給紙することにより、その原稿画像に直接差分画像14を印刷する。この場合、差分画像14は、メモが付されていた位置が反映されるので、印刷用紙となる原稿画像の例えば余白などに付されることになる。これにより、ユーザは、自己の原稿画像と差分画像14が付された印刷物とを別々に管理する必要が無くなるので利便性が高まる。また、差分画像14が付される位置は、メモが付されていた位置が反映されるので、原稿画像の内容に対応した位置に差分画像14が付されることになり、ユーザが差分画像14の内容を理解しやすくなる。
【0109】
更にこの場合、印刷用紙を給紙するための給紙口において、原稿画像の制限情報10を読み取るためのバーコードリーダーなどが設けられても良い。この場合、画像解析部34は、バーコードリーダーで読み取られた制限情報10を解析することで原稿IDを取得し、更に対応テーブル23を参照して、その原稿IDに対応する差分画像14を記憶装置18から読出す。そして、画像処理装置1は、印刷用紙としてセットされた原稿画像を順次搬送してその原稿画像に差分画像14の位置情報を反映させて印刷する。このような構成により、ユーザは原稿IDとパスワードとの何れも入力することなく出力画像を得ることができると共に印刷用紙も節約できるので利便性が更に向上する。
【0110】
また、上述した実施形態では、制御部15は、オリジナルの画像データ13を取得すると、その画像データ13を記憶装置18に記憶するように構成されているが、これに限られない。すなわち本実施形態では、画像データ13が一時的に記憶できれば良いので、例えば、制御部15は、取得したオリジナルの画像データ13をメモリ15bに記憶しても良い。これにより画像処理装置1に画像データ13を記憶するための記憶領域が十分にない場合であっても上記処理を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 画像処理装置
3 読取部(読取手段)
13 画像データ
14 差分画像
35 判別部(判別手段)
36 取得部(取得手段)
37 認証部(認証手段)
38 抽出部(差分抽出手段)
39 出力制御部(出力制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取る読取手段と、
読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別する判別手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する取得手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿画像と、前記取得手段によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出する差分抽出手段と、
前記判別手段による判別結果に基づき出力制限を解除するための解除操作をユーザに対して要求すると共に、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する認証手段と、
前記認証手段による認証結果に基づき出力対象となる画像を出力する出力制御手段と、
を備え、
前記認証手段は、前記判別手段によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出される差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記認証手段は、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出される差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可するか否かを、予め設定された条件に基づいて判断することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記差分抽出手段は、前記読取手段によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像を抽出するものであり、
前記出力制御手段は、前記差分抽出手段によって抽出された複数の差分画像を合成した出力画像を生成し、その出力画像を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、複数の差分画像を合成する場合に、それら複数の差分画像が重ならないように配置した出力画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、複数の原稿画像が前記読取手段によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データとして取得するものであり、
前記差分抽出手段は、前記画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像を抽出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
(a)原稿画像を読み取るステップと、
(b)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別するステップと、
(c)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得するステップと、
(d)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像と、前記ステップ(c)によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出するステップと、
(e)前記ステップ(b)によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記ステップ(d)によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することにより認証を行うステップと、
(f)前記ステップ(e)による認証結果に基づき差分画像を出力するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
原稿画像を読み取る読取手段と、
読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別する判別手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得する取得手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿画像と、前記取得手段によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出する差分抽出手段と、
前記判別手段による判別結果に基づき出力制限を解除するための解除操作をユーザに対して要求すると共に、その解除操作に基づき出力制限を解除して出力対象となる画像の出力を許可する認証手段と、
前記認証手段による認証結果に基づき出力対象となる画像を出力する出力制御手段と、
を備え、
前記認証手段は、前記判別手段によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出される差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記認証手段は、出力対象が前記差分抽出手段によって抽出される差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可するか否かを、予め設定された条件に基づいて判断することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記差分抽出手段は、前記読取手段によって複数の原稿画像が読み取られることに伴って複数の差分画像を抽出するものであり、
前記出力制御手段は、前記差分抽出手段によって抽出された複数の差分画像を合成した出力画像を生成し、その出力画像を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、複数の差分画像を合成する場合に、それら複数の差分画像が重ならないように配置した出力画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、複数の原稿画像が前記読取手段によって読み取られる場合、先に読み取られた原稿画像に基づき得られる画像データをオリジナルの画像データとして取得するものであり、
前記差分抽出手段は、前記画像データと、後に読み取られる原稿画像とを比較して差分画像を抽出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
(a)原稿画像を読み取るステップと、
(b)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像に出力制限を行うための制限情報が付されているか否かを判別するステップと、
(c)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像の複製元となるオリジナルの画像データを取得するステップと、
(d)前記ステップ(a)によって読み取られた原稿画像と、前記ステップ(c)によって取得された画像データとを比較して差分画像を抽出するステップと、
(e)前記ステップ(b)によって原稿画像に制限情報が付されていることが判別された場合において、出力対象が前記ステップ(d)によって抽出された差分画像であるときには、ユーザに対して解除操作を要求せずに差分画像の出力を許可することにより認証を行うステップと、
(f)前記ステップ(e)による認証結果に基づき差分画像を出力するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−16983(P2013−16983A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147515(P2011−147515)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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