説明

画像処理装置及び画像撮像装置

【課題】安価なメモリ(フレームメモリ)でも原画像の自由な変形や歪補正等を行い、高画質な映像を容易に得られる画像処理装置を提供する。
【解決手段】メモリ220から画像データを読み出す際に座標変換により、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する手段230、入力された画像データをメモリ220に書込み、読出しアドレスに基づいてメモリ220から画像データを読み出す手段210、メモリ220から読み出される画像データの主走査方向の画素数を、出力画面の主走査方向の画素数に対して小さくなるように制限する手段212、出力画面の主走査方向の画素数に対して主走査方向の画素数が小さくメモリ220から読み出された画像データを、出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張する手段240を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラなどのカメラシステムに用いられる画像処理装置及びそれを備えた画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、魚眼レンズのような広角レンズを用いた車載カメラなどのカメラシステムにおいては、撮像された歪みを持つ画像を信号処理により補正する画像処理装置を用いることが提案されている。一般に画像処理装置では、撮像素子を含むセンサユニットから、レンズにより集光した光情報を光電変換して得られたアナログ信号をデジタル信号に変換したRGBやYUVなどの形式の画像データを入力し、該画像データをSRAMやDRAMなどのメモリに格納し、該メモリの所定のアドレスをアクセスして画像データを読出すことにより、歪みを持った原画像について補正および自由な変形を行っている。
【0003】
従来、このような画像処理装置において、メモリに格納されたデータの読出しに際し、必要なアドレスにアクセスするための方法として、例えば特許文献1に記載されているように、水平方向に伸縮させるための水平補正パラメータや垂直方向に伸縮させるための垂直補正パラメータの情報を、信号処理部外部の補正パラメータエンコーダ部などのブロックに予め格納しておき、必要に応じてそれらの情報を信号処理部内部に読み込むことにより、必要なアドレス値を計算することによって歪みを持った原画像の補正を実現させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像を自由に変形するためには、メモリからランダムアクセスで画像データを読出す必要がある。一方、装置の低コスト化のためには、出来る限り安価なDRAMなどを使用する必要がある。しかしながら、安価なDRAMでは駆動周波数があまり速くないことからランダムアクセスのスピードが遅く、正規のNTSC出力のためには、必要なアドレス値を計算して、主走査線方向の720ピクセルを読出すためには時間的に間に合わないことが課題であった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、安価なメモリでも原画像の自由な変形や歪補正等を行ない、高画質な映像を容易に得られる画像処理装置及びそれを備えた画像撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、1画面以上の画像データを格納するメモリと、前記メモリから画像データを読み出す際に座標変換により画像の変形を行うため、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する読出しアドレス計算手段と、入力された画像データを前記メモリに書込み、前記読出しアドレス計算手段で計算された読出しアドレスに基づいて前記メモリから画像データを読み出すメモリインターフェース手段と、前記メモリから読み出される画像データの主走査方向の画素数を、出力画面の主走査方向の画素数に対して小さくなるように制限するメモリアクセス制限手段と、前記出力画面の主走査方向の画素数に対して主走査方向の画素数が小さく前記メモリから読み出された画像データを、前記出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張する画像伸張手段と、前記画像伸張手段で伸張された画像データを出力画面として適切な形式にエンコードして出力する画像出力手段とを有する画像処理装置を特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記メモリアクセス制限手段は、前記メモリからの読み出される画像データの主走査方向の画素数をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら前記メモリから当該主走査方向の画像データの読出しを抑止することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記メモリアクセス制限手段は、前記読出しアドレス計算部から送出される主走査方向の読出しアドレスの数をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら前記読出しアドレス計算手段から当該主走査方向の読出しアドレスの送出を抑止することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記メモリインターフェース手段が前記メモリアクセス制限手段を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置前記メモリは少なくとも2画面分の画像データを格納可能なDRAMで構成され、 前記メモリインターフェース手段は、ダブルバッファ方式で前記DRAMに対する画像データの書込み読出しを行うことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記読出しアドレス計算手段は、画像変形の種別毎の複数の座標変換テーブルを備え、外部からの指示に応じていずれかの座標変換テーブルを用いて所定の画像変形を反映した読出しアドレスを計算することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記画像伸張手段は、前記メモリから読出された主走査方向の画像データを所定の画素数毎に区分し、該区分した画像データセット単位に所定数の画像データを補間して、出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、被写体を撮影して画像データを取得するセンサユニットと、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置とを具備してなる画像撮像装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる画像処理装置によれば、メモリから読み出す主走査方向の画像データの画素数を制限すると共に、該画像データを出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張することで、安価なメモリでも原画像の自由な変形および補正を行なうことができるため、高画質な映像を容易に得ることができる。また、本発明の画像処理装置を備えた画像撮像装置によれば、高品質な映像を維持しつつ、低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像処理装置を備えた画像撮像装置の全体構成図である。
【図2】図1中のセンサユニットの構成例を示す図である。
【図3】ダブルバッファ方式を説明する図である。
【図4】座標変換による画像の回転変形を説明する図である。
【図5】出力画像のブロック分割と頂点画素の関係を示す図である。
【図6】図1中の画像伸張部での伸張処理を説明する図である。
【図7】本発明の画像処理装置の具体的構成例を示す図である。
【図8】画像表示装置の輝度信号の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の画像処理装置を備えた画像処理装置の一実施形態の全体構成図を示す。図1において、100は撮像素子を含むセンサユニット、200は該センサユニット100から出力される画像データを処理する画像処理装置である。例えば、車載カメラシステムの場合、センサユニット100と画像処理装置200は筐体内に一体に収納され、車載カメラ装置として車の後方等に取り付けて使用される。画像処理装置20には表示装置(モニタ)などが接続されるが、図1では省略してある。
【0017】
センサユニット100は、被写体を撮影してアナログ信号を取得し、それをデジタル変換して画像データとして出力する。同時に、センサユニット100は水平・垂直の同期信号を出力する。
【0018】
図2はセンサユニット100の構成例を示す。センサユニット100はレンズ光学系110、撮像素子120、オートゲインコントロール回路(AGC)130、オートホワイトバランス回路(AWB)140、アナログ−デジタル変換器(ADC)150などで構成される。
【0019】
光学系110により撮像素子120に光を効率よく集光させる。車載カメラでは、一般に光学系110に広角で歪曲収差の大きいレンズが用いられる。撮像素子120は、CCDやCMOSなどで構成され、光学系110により集光された光学像を、その光強度に応じて強弱を持った電気信号(アナログ信号)に変換する。
【0020】
撮像素子120で取得された撮像画像のアナログ信号は、オートゲインコントロール回路(AGC)130、オートホワイトバランス回路(AWB)140を経て、アナログ−デジタル変換器(ADC)150によりデジタルデータに変換される。AGC130は、後述のNTSCエンコーダの入力に必要なレベルの信号を出力するための回路である。すなわち、被写体が明るい場合はアンプのゲインを下げ、暗い場合には所定のレベルになるようにアンプのゲインを上げる。なお、ゲインを上げると、ノイズも増加するため、信号のS/N比を下げるようにする。AWB140は、白色の被写体を撮像した際に各色それぞれの信号強度が全て等しくなるように各色対応の各チャンネルのゲインを調整する。ADC150は、アナログ信号の各色それぞれの信号をデジタルデータに変換する。デジタルデータは、例えば、各色それぞれ8ビットで構成される。以下、まとめて画像データと称す。
【0021】
図2では省略したが、センサユニット100は同期信号発生器を内蔵して、各部の処理を同期信号に同期して行い、画像データと共に該同期信号を出力する。なお、同期信号発生器は、別途独立に設けて、それからセンサユニット100及び画像処理装置200に与えるようにしてもよい。
【0022】
図1に戻り、画像処理装置200は、メモリインターフェース部210、メモリ220、読出しアドレス計算部230、画像伸張部240、画像出力部250などで構成される。また、メモリインターフェース部210はメモリアクセス制限部212を備えている。画像処理装置200は、他に色空間変換部、MTF補正部、ガンマ補正部などを備えているが、簡単化のため図1では省略してある。
【0023】
センサユニット100から出力された画像データは、メモリインターフェース部210を介し、一旦メモリ(フレームバッファ)220に格納された後、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する読出しアドレス計算部230からの読出しアドレスに基づいて該メモリ220から読出される。メモリ220は、安価なDRAMなどでよく、1画面(フレーム)以上の画像データが格納される。
【0024】
ここでは、メモリ220の書込み読出し動作はダブルバッファ方式をとるとする。ダブルバッファ方式とは、2画面分の画像データをメモリアドレス空間の各領域(A、Bと呼ぶこととする)に格納することができる場合、領域Aからデータを読出すと同時に、もう1画面分の領域Bにセンサユニットからのデータを格納し、領域A、Bそれぞれにおいて全アドレスにアクセスが終了したら、AとBの書き込みと読出しの役割を交換するのを繰り返す方式である。図3にダブルバッファ方式の概要を示す。図3に示すように、読出しと書き込みの速度が同じ場合(図3では共に30fps)は、1フレーム毎に役割を交換すればよい。しかし、例えば読出しが30fpsで書き込みが15fpsであるような場合には、書き込みが終わらないうちに読出しが追いついてしまうため、画面に残像が出るという不具合が生じる。そのため、書き込み途中の領域で書き込みが終わるまでもう一方の領域をもう一度読む必要がある。また、読出しをインターレースで行なう場合は、1ライン置きにデータを読出していき(第1フィールド)、読み飛ばしたラインをあとから読出す(第2フィールド)方式をとる必要がある。インターレースにより画面表示させると、映像のちらつきを防ぐことができるため都合が良い。
【0025】
メモリアクセス制限部212は、メモリ220から読出される画像データの主走査方向の読出し画素数が出力画面の主走査方向の画素数より小さくなるように、メモリ220の読出し動作を制御する。これについては後述する。
【0026】
読出しアドレス計算部230は、メモリインターフェース部210によりメモリ220から画像データを読出す際に、座標変換により画像の変形を行うために、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する。具体的には、出力画像の各画素に対応する入力画像の座標を計算する。
【0027】
図4に読出しアドレス計算部230の処理イメージを示す。これは、入力画像を90°回転変形した画像を出力する例を示したものである。ここで、図4(a)は、ある二つの画素の変換前と変換後の座標上の位置関係を示し、図4(b)は、メモリ210に記憶された入力画像と出力画像上の対応する画素の位置関係を示す。
【0028】
読出しアドレス計算部230では、メモリ220からの画像データの読出しの際に、出力画像上の座標(X1,Y1)の画素として、入力画像上の座標(x1,y1)の画素の画素データが読出されるように、読出しアドレスを計算する。また、出力画像の座標(X2,Y2)の画素としては、入力画像上の座標(x2,y2)の画素の画像データが読出されるように読出しアドレスを計算する。この読出しアドレスに基づき、メモリ220の対応するアドレスから画像データを読出すことにより、出力画像として、入力画像を90°回転変形した画像を得ることができる。
【0029】
読出しアドレス計算部230は、通常、LSIとして実装される。車載カメラシステムでは、歪み補正や回転補正や見下ろし補正やその他、利用状況などに応じて多種多様の画像変形が必要とされており、全ての種類の画像変形処理に対応するLSIを実装するのは、開発コストおよび回路規模の制限がある場合、実現困難である。そのため、LSIでは、画像変形処理のタイプに依存しない双線形補完処理のみを行うようにし、別途ソフトウェアなどで、各画像変形処理のタイプ対応に、双線形補間に利用する複数種類の座標変換テーブル(LUT)を作成して、PROMなどに記録しておく。
【0030】
一実施例として、読出しアドレス計算部230は、複数種類の座標変換テーブルが記録されたPROMと、必要な座標変換テーブルを使用して、双線形補間処理を行うLSI(座標変換部)で構成される。
【0031】
座標変換テーブルには、出力画像を複数ブロックに区切り、各ブロックの頂点画素ごとに、該頂点画素に対応する入力画像上の座標変換元の座標値を保持するようにする。図5は、出力画像を720×480画素(ピクセル)とし、60×32画素を1ブロックとして12×15=180ブロックに分割した例を示したものである。図5中、0〜205は各ブロックの頂点画素に割り当てた番号(頂点画素番号)を示している。座標変換テーブルでは、各頂点画素番号毎に、その頂点画素に対応する入力画素上の座標値を保持している。LSI(座標変換部)は、同期信号を基に出力画像の各画素の座標値を計算し、該座標値の出力画素が頂点画素と一致する場合、座標変換テーブルの当該頂点番号のエントリから対応する入力画像の座標値を得て読出しアドレスとする。一方、出力画素が頂点画素と一致しない場合には、座標変換テーブルから該出力画素周囲の複数の頂点画素(参照画素)に対応する入力画像の複数の座標値を得、該複数の座標値を基に双線形補間処理により、出力画素に対応する入力画像の座標値を計算して読出しアドレスとする。このような双線形補間処理については、例えば、特許文献2に記載されている。
【0032】
なお、読出しアドレス計算部230の構成としては、特許文献2に記載の方法に限られず、特許文献1やその他、従来の周知の種々の方法が適用可能である。要は、座標変換により所望の画像変形が実現できればよい。
【0033】
メモリインターフェース部210は、同期信号の制御下で、読出しアドレス計算部230から読出しアドレスを順次受け取り、メモリ200から当該アドレスの画像データを順次読出していく。この時、メモリアクセス制限部212では、このメモリ220から読出される画像データの主走査方向(x方向)の読出し画素数(ピクセル数)が出力画面の主走査方向の画素数(ピクセル)より小さくなるように、メモリ220の読出し動作を制御する。具体的には、メモリアクセス制限部212は、各行毎に、メモリ200から読出される画像データの画素数をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら当該行の読出し動作を抑止するようにする。
【0034】
例えば、メモリ220に記憶される入力画像を640×480ピクセル、出力画像を720×480ピクセルとした場合、メモリアクセス制限部212では、各行(主走査線)について、メモリ220から例えば504ピクセルの画像データが読出されたなら当該行の以降の読出し動作を抑止するようにする。
【0035】
なお、メモリアクセス制限部212は、各行について、読出しアドレス計算部230から受け取る読出しアドレスの数をカウントし、該カウント値が所定の値を達したなら、読出しアドレス計算部230に対して当該行の以降のアドレス計算のスキップを指示することも可能である。このような構成でも同様の作用効果が得られる。
【0036】
画像伸張部240は、メモリインターフェース部210にてメモリ220から読出される画像データを受け取り、該画像データを画面主走査方向に対して最終的に出力するのに必要な画素数(ピクセル数)に伸張する。伸張処理には補間を利用する。
【0037】
図6に画像伸張部240での具体的処理イメージを示す。これは、画面主走査方向に対して最終的に出力するのに必要なピクセル数は720ピクセル、メモリ220から読出される画像データの主走査方向のピクセル数は504ピクセルとした場合を示している。
【0038】
画像伸張部240は、メモリ220から読出された1ライン当たり504ピクセルの画像データを例えばFIFOメモリに書込み、それを読出す。このFIFOメモリから読出すためのリードイネーブル信号を14クロック分HIGH、6クロック分LOWとして、14ピクセル分ずつ読出し、これを36回繰り返して、1ライン当たり504ピクセルの画像データを読出す。図6(a)は、FIFOメモリから読出される1回当たりの画像データセットを示す。この画像データセットを図6(b)のように補間処理して伸張する。これを36回繰り返すことで、1ライン当たり504ピクセルの画像データは720ピクセルの画像データに伸張される。
【0039】
なお、図6は一例にすぎず、画面主走査方向に対して最終的に出力するのに必要なピクセル数が得られればよく、一般に伸張のやり方は種々の方法が考えられる。
【0040】
画像出力部250は、画像伸張部240から出力される画像データを入力し、それを出力画面として適切な形式にエンコードする。ここでは、NTSC方式の映像信号に変換し、図示しない表示装置(モニタ)に表示する。
【0041】
図7に、本発明の画像処理装置の一実施形態の具体的構成例を示す。本画像処理装置は、例えば車載カメラの筐体内に内蔵して使用される。図7において、図1と同一部分には同一の符号が付されている。
【0042】
センサユニット100は、車の後方等を撮像して得られる画像データを出力する。ここでは、画像データはYUV422形式(8ビット)とする。センサユニット100は、例えば27MHzのクロックで、Y,U,Y,V,Y,U,Y,V,・・・の順番に出力する。有効画像データは640×480ピクセル、フレームレートは30fpsである。また、最終の出力画像は720×480ピクセルとする。
【0043】
センサユニット100から出力された画像データは、メモリインターフェース部210を介し、メモリ220に格納される。メモリ220にはDRAMを使用し、2画面分の画像データを格納できるとする。ここでは、DRAMは1M×16bitのデータを格納できるとし、各アドレスに、例えば上位8ビットは輝度信号8ビット、下位8ビットは色差信号8ビットの状態で格納する。DRAMへの書込み及び読出しはダブルバッファ方式とし(図3)、書込みはプログレッシブ、読出しはインターレースで、共に30fpsとする。
【0044】
読出しアドレス計算部230は、メモリインターフェース210においてメモリ(DRAM)220から画像データを読出す際に、座標変換により画像の変形を行なうために、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する。ここで、PROM234は、プログレシッブ・インターレース変換(PI変換)、歪み補正、回転補正、見下ろし補正など、各画像変形毎に、出力画像の頂点画素に対応する入力画像の座標値をあらかじめ計算した座標変換テーブルを保持している。座標変換部222は、PROM234内の所望の座標変換テーブルを用いて、出力画像の各画素に対応する入力画像の座標値を双線形補間により計算し、画像の変形を反映した読出しアドレスをメモリインターフェース210に送出する。PROM234内のどの座標変換テーブルを使用するかは、必要に応じて外部から指示する。
【0045】
メモリインターフェース部210は、座標変換部232から送出される読出しアドレスに基づいて、メモリ(DRAM)220から画像データを読出す。メモリアクセス制限部212は、各行毎に、メモリ220から読出される画像データの画素数(ピクセル数)をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら当該行(ライン)の以降の読出し動作を抑止する。ここでは、メモリ220から読出される画像データは、1ライン当たり504ピクセルとする。
【0046】
画像伸張部240は、メモリ(DRAM)220から読出される画像データを入力し、YUV444変換部242でYUV444形式に変換した後、伸張部244で1ライン当たり504ピクセルの画像データを画面主走査方向に対して720ピクセルに伸張し、それをYUV422変換部246でYUV422形式に戻す。ここで、伸張部244では先に述べたように、例えば1ライン当たり504ピクセルの画像データをFIFOメモリ等に書込み、それを読出す際、14ピクセルずつ読出し、それを20ピクセルに伸張する処理を36回繰り返すことで、画面主走査方向に対して720ピクセルに伸張する。
【0047】
画像伸張部240の出力画像データは画像出力部250に入力される。画像出力部250では、BT656スケーリング部252にて輝度信号および色差信号のスケーリングを行った後、DAC(デジタル・アナログ変換器)においてNTSC方式の映像信号に変換して出力する。スケーリングは、DAC254の入力仕様がBT656に準拠しているため、輝度信号と色差信号をそれぞれ16〜235、16〜240の値域に変換してからDAC254に入力するように決められていることによる。
【0048】
画像出力部250には、図示しない画像表示装置が接続されており、DAC254から出力される映像信号が表示される。
【0049】
図8に画像表示装置の輝度信号の一般的な周波数特性を示す。ここで、画像出力部250から出力されるNTSC信号の水平解像度を計算すると、8.0MHz/30fps/525line=507本である。図8により、1ライン当たり720ピクセルの画像データをメモリ220から読出してたとしても、NTSCへの出力が律速となっており、500ピクセル程度でも劣化がほぼないことが分かる。
【0050】
以上、本発明の画像処理装置の具体的構成例について説明したが、本発明の画像処理装置は、このような構成に限定されるものでないことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
100 センサユニット
200 画像処理装置
210 メモリインターフェース部
212 メモリアクセス制限部
220 メモリ
230 読出しアドリス計算部
240 画像伸張部
250 画像出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2008−092602号公報
【特許文献2】特開2009−010730号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画面以上の画像データを格納するメモリと、
前記メモリから画像データを読み出す際に座標変換により画像の変形を行うため、画像の変形を反映した読出しアドレスを計算する読出しアドレス計算手段と、
入力された画像データを前記メモリに書込み、前記読出しアドレス計算手段で計算された読出しアドレスに基づいて前記メモリから画像データを読み出すメモリインターフェース手段と、
前記メモリから読み出される画像データの主走査方向の画素数を、出力画面の主走査方向の画素数に対して小さくなるように制限するメモリアクセス制限手段と、
前記出力画面の主走査方向の画素数に対して主走査方向の画素数が小さく前記メモリから読み出された画像データを、前記出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張する画像伸張手段と、
前記画像伸張手段で伸張された画像データを出力画面として適切な形式にエンコードして出力する画像出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記メモリアクセス制限手段は、前記メモリから読み出される画像データの主走査方向の画素数をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら前記メモリからの当該主走査方向の画像データの読出しを抑止することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記メモリアクセス制限手段は、前記読出しアドレス計算部から送出される主走査方向の読出しアドレスの数をカウントし、該カウント値が所定の値に達したなら前記読出しアドレス計算手段から当該主走査方向の読出しアドレスの送出を抑止することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記メモリインターフェース手段が前記メモリアクセス制限手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記メモリは少なくとも2画面分の画像データを格納可能なDRAMで構成され、
前記メモリインターフェース手段は、ダブルバッファ方式で前記DRAMに対する画像データの書込み読出しを行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記読出しアドレス計算手段は、画像変形の種別毎の複数の座標変換テーブルを備え、外部からの指示に応じていずれかの座標変換テーブルを用いて所定の画像変形を反映した読出しアドレスを計算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像伸張手段は、前記メモリから読出された主走査方向の画像データを所定の画素数毎に区分し、該区分した画像データセット単位に所定数の画像データを補間して、出力画面の主走査方向の画素数となるように伸張することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
被写体を撮影して画像データを取得するセンサユニットと、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置とを具備してなる画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−55367(P2011−55367A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204054(P2009−204054)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】