説明

画像処理装置及び直流モータ制御方法

【課題】画像処理装置の転写ベルトの逆回転の移動距離を制御して、クリーナに溜まった紙粉を取り除く。
【解決手段】直流モータを転写ベルトの駆動用モータとして使用する画像形成装置において、感光体から転写ベルトに特定のパターン画像を直接描写するステップと、センサによりパターン画像を検出した検出結果に基づいて転写ベルトの移動量を計測し、直流モータの逆回転駆動を制御するステップと、を備える。これにより、転写ベルトを所定量だけ逆回転させるよう直流モータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の転写ベルトを駆動する直流モータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を利用した画像形成装置は、シート供給手段から送り出されたシート(紙、プラスチックシート等)に感光体上のトナー画像を転写デバイスで転写し、その後、トナーが転写されたシートを定着デバイスで加熱・加圧して、トナーをシートに定着させるようになっている。この転写デバイスは、駆動ローラ及び従動ローラ等に巻き掛けられた転写ベルトにより構成されるが、転写ベルト表面にはトナーや紙粉が付着するため、これらを除去するためのクリーニング機構が使用されている。
【0003】
このとき、トナーの除去には、回転するファーブラシを用いたブラシクリーニングが使用され、また、紙粉の除去には、板状のクリーナを転写ベルトに摺接させて紙粉を掻き出すブレードクリーニングが使用されている。なお、特許文献1には、ブラシクリーニングによるトナー除去技術について記載されている。
【特許文献1】特開2000−39824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙粉を除去するためのブレードクリーニングでは、印刷を繰り返すと転写ベルトとクリーナの間に紙紛が溜まり、クリーナの性能が劣化することが知られている。そして、このクリーナに溜まった紙紛を除去するためには、クリーナを転写ベルトから離して溜まった紙粉を落とす手法や、転写ベルトを逆回転させて紙粉を取り除く手法などが想定されるが、通常の画像形成装置には、クリーナを移動させて転写ベルトから離す機構が設けられていないことに加え、仮にそのような機構を設けると、画像形成装置のコスト増、及び、メカ機構の増加による故障増につながるため、前者の手法は望ましくない。
【0005】
そこで、クリーナに溜まった紙粉を取り除くには、後者の手法、すなわち、転写ベルトを逆回転させる手法を採用することが望ましいと考えられるが、転写ベルトと感光体を同一のDCモータ(直流モータ)で駆動するタイプの画像形成装置の場合、転写ベルトを逆回転させると、感光体も同時に逆回転してしまうため、感光体のクリーナ部から廃トナーが逆流して装置内を汚してしまったり、廃トナーが帯電部まで逆流すると画像欠陥の原因になったりするなど不都合が生じる。そのため、転写ベルトを逆回転させる距離をできるだけ少なく、廃トナーが逆流しない程度に制御しなければならない。
【0006】
しかしながら、駆動モータがDCモータのため、モータの回転速度が所定の回転数になるまでは正確な移動距離を測ることができず、転写ベルトの逆回転制御を確実に行うことができない。また、移動距離を計測するためのエンコーダをDCモータに付けることも考えられるが、コスト増につながり望ましくない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、転写ベルトの逆回転の移動距離を制御して、クリーナに溜まった紙粉を取り除くことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。特に、新たな機構を付加することなく、既存の機構を活用してコスト増を抑えつつ、DCモータの逆回転の移動距離を制御しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による直流モータ制御方法は、直流モータを転写ベルトの駆動用モータとして使用する画像形成装置において、転写ベルトを所定量だけ逆回転させるよう直流モータを制御する方法であって、感光体から転写ベルトに特定のパターン画像を直接描写する描画ステップと、センサによりパターン画像を検出した検出結果に基づいて転写ベルトの移動量を計測し、直流モータの逆回転駆動を制御する制御ステップと、を備える。かかる発明によれば、エンコーダなど新たな機構を追加することなく、画像処理装置が備える既存の機構を用いて、転写ベルトを所望の移動量だけ回転させるよう直流モータの駆動を制御できるようになる。
【0009】
このとき、描画ステップは、パターン画像として一の矩形画像を描写し、制御ステップは、転写ベルトが順方向に回転するよう、直流モータを順回転に駆動制御するステップと、センサにより矩形画像の後端を検出するステップと、矩形画像の後端を検出した後、転写ベルトが逆方向に回転するよう、直流モータを逆回転に駆動制御するステップと、センサにより矩形画像の前端を検出するステップと、矩形画像の前端を検出したとき、直流モータの駆動を停止するステップと、を備えることが好ましい。かかる発明によれば、転写ベルトに描写する矩形画像の幅によって転写ベルトの移動量を調整するよう直流モータの駆動を制御できるようになる。
【0010】
また、描画ステップは、パターン画像として複数の矩形画像を等間隔の縞模様状に描写し、制御ステップは、転写ベルトが順方向に回転するよう、直流モータを順回転に駆動制御するステップと、直流モータの駆動を停止するステップと、直流モータの駆動を停止した後、転写ベルトの惰性による回転が止まるまでの間の転写ベルトの移動量を、センサにより検出された矩形画像の数をもとに算出する算出ステップと、転写ベルトが逆方向に回転するよう、直流モータを逆回転に駆動制御するステップと、算出した惰性による移動量を加味して、直流モータの駆動を停止するステップと、を備えることも望ましい。かかる発明によれば、転写ベルトに描写する縞模様状の画像をあたかもエンコーダのように用いて、転写ベルトの移動量を調整するよう直流モータの駆動を制御できるようになる。
【0011】
さらに、上述の算出ステップに換えて、直流モータの駆動を開始した後、駆動を停止して転写ベルトの惰性による回転が止まるまでの間の転写ベルトの移動量を、センサにより検出された矩形画像の数をもとに算出する第2の算出ステップ、を備えるものであってもよい。かかる発明によれば、転写ベルトを微小量だけ移動させるよう直流モータの駆動を制御可能である。
【0012】
また、本直流モータ制御方法に基づいて転写ベルトを逆方向に回転させることにより、転写ベルトに摺接されるクリーナに溜まった紙粉を取り除くことが好適である。
【0013】
本発明による画像形成装置は、直流モータを転写ベルトの駆動用モータとして使用する画像形成装置において、感光体から転写ベルトに特定のパターン画像を直接描写する手段と、センサにより前記パターン画像を検出した検出結果に基づいて前記転写ベルトの移動量を計測し、前記転写ベルトを所定量だけ逆回転させるよう前記直流モータの逆回転駆動を制御するコントローラと、を備える。かかる発明によれば、既存の機構を用いて、転写ベルトを所望の移動量だけ回転させるよう直流モータの駆動を制御可能な画像処理装置を提供できるようになる。
【0014】
本発明のプログラムは、本発明の直流モータ制御方法の各処理ステップを画像処理装置の備えるコンピュータに実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0015】
なお、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明による画像形成装置の要部の概略構成を示す図である。図示しない給紙トレイ上に積載されたシートは、ピックアップローラ等の作用によって送り出され、感光体2上のトナー画像先端と転写デバイス4との間に送り込まれるようになっている。そして、感光体2と転写デバイス4との間に送り込まれたシートに、感光体2上のトナー画像が転写される。ここで、感光体2の周囲には、感光体クリーナ6、帯電部8、現像ローラ10、及び露光ユニット12が配置されている。
【0018】
トナー画像が転写されたシートは、定着デバイスにより加熱・加圧され、その結果、シートにトナー画像が定着する。そして、定着デバイスを通過したシートは、排出トレイ上に排出されるようになっている。
【0019】
ここで、転写デバイス4は、駆動ローラ14、従動ローラ16、転写ローラ18、図示しない一以上の支持ローラ、及びこれら各ローラに巻掛けられた弾性材製の転写ベルト20とで構成されている。そして、この転写デバイス4は、感光体2上のトナーと逆極性の電圧を転写ローラ18に印加し、転写ベルト20を介してシートにチャージを与えて転写を行うようになっている。
【0020】
このような転写デバイス4の構成において、転写ベルト20に付着した紙粉を除去する転写ベルトクリーナ22が従動ローラ16の近傍に配置されている。この転写ベルトクリーナ22は、ウレタンゴム等の板(ブレード)状のクリーナの先端が転写ベルト20に摺接し、転写ベルト20に付着した紙粉を除去するようになっている。しかし、転写ベルトクリーナ22は、転写ベルト20から離間する機構を備えていないため、印刷を繰り返すと転写ベルトクリーナ22に紙粉が溜まり、紙粉の除去性能が漸減する。転写ベルトを逆回転させるとこのクリーナ22に溜まった紙粉を除去することができる。
【0021】
また、従動ローラ16側の転写ベルト20の外表面に対向する位置に、転写ベルト20の外表面上の画像を読取ることのできるパッチセンサ24が配置されている。このパッチセンサ24は、その検知信号をコントローラ26に出力するようになっている。
【0022】
コントローラ26は、画像形成装置の各部の動作・処理を制御する。特に、シート搬送路に設置した図示しないシート検知センサからの検知信号、パッチセンサ24からの検知信号、及び、その他図示しない各種センサからの検知信号に基づいて、DCモータ28を駆動制御する。DCモータ28は一つのモータで感光体2(カラー画像形成装置の場合は、黒色トナーに対応する感光体)と転写ベルト20を同時に駆動するよう構成され、DCモータ28の回転が感光体2及び駆動ローラ14に伝達され、感光体2と転写ベルト20とが同時に回転するようになっている。このように、感光体2と転写ベルト20とを1つのモータで駆動することによって、印刷時(カラー印刷の場合はモノクロ印刷時)の電力消費を抑えることができる。
【0023】
通常、DCモータ28は順回転方向(矢印X1)に駆動制御されるが、紙粉の除去処理(以下、「紙粉クリーニング処理」という。)を実行する場合には逆回転方向に駆動制御される。ここで、紙粉クリーニング処理において、クリーナ22に溜まった紙粉を取り除くために必要な逆回転距離の最小移動量は、転写ベルト20とクリーナ22のブレード先端のニップ距離Y1(矢印Y1)である。このニップ距離を超えて逆回転させないと、クリーナ22に詰まった紙粉がニップ部に残ってしまう場合がある。また、逆回転可能な最大の移動量は、現像ローラ10から感光体クリーナ6間の距離Y2(矢印Y2)である。この最大移動量以上に逆回転させると、感光体廃トナーが現像ローラ10に到達してしまい、現像器のトナーと廃トナーが混ざってしまい画像欠陥の原因になってしまう。
【0024】
なお、紙粉クリーニング処理は、画像形成装置に電源を入れたとき、トナーカートリッジや感光体等の消耗品を交換したとき、紙ジャム等のエラーから復帰したとき、パッチ処理によるパッチパターンを印字するとき、などに実行することが好ましい。なお、パッチ処理とは、色評価判定用等のパッチパターンを印字出力する処理である。
【0025】
次に、紙粉クリーニング処理において、DCモータ28を逆回転駆動し、転写ベルト20を逆回転させる制御について説明する。以下では、(1)DCモータ28がブレーキ機能を備え、コントローラ26の指示により即時にDCモータ28の回転を停止可能な場合と、(2)DCモータ28にブレーキ機能がなく、モータの駆動を停止しても惰性で回転する場合とに分けて説明する。
【0026】
(1)DCモータ28がブレーキ機能を具備する場合
図2は、DCモータ28がブレーキ機能を具備する場合の、DCモータ制御処理フローを示す図である。図3は、この場合に転写ベルト20に描かれるパターン画像P1を示す図である。
【0027】
まず、コントローラ26の制御により、転写ベルト20に直接トナーを転写して、パターン画像P1を描く(S31)。このパターン画像P1は、転写ベルト20の回転方向(矢印X1、X2)に、紙粉クリーニング処理の逆回転に必要な距離分の画像幅Z1を有している。ここで、Y1<Z1<Y2である。例えば、逆回転で必要な移動距離が5mmであれば、副操作方向幅にZ1=5mmの画像を描くようにする。
【0028】
パターン画像P1を転写ベルト20に描写した後、コントローラ26はDCモータ28を順方向に駆動制御し、転写ベルト20を順方向(矢印X1)に回転させる。そして、パッチセンサ24がパターン画像P1の後端P1a、すなわち、画像信号がONになった後OFFになる位置を検出するまで、転写ベルト20を順方向に回転制御する(S32:NO)。
【0029】
パッチセンサ24がパターン画像P1の後端P1aを検出すると(S32:YES)、コントローラ26はDCモータ28にブレーキ信号を送りモータを停止させる(S33)。なお、図3(A)は、このときの停止位置を示している。続いて、DCモータを逆方向に駆動制御し、停止した位置から転写ベルト20を逆方向(矢印X2)に回転させる(S34)。そして、パッチセンサ24がパターン画像P1の前端P1b、すなわち、再び画像を読み画像信号がOFFになる位置を検出するまで、転写ベルト20を逆方向に回転制御する(S35:NO)。
【0030】
パッチセンサ24がパターン画像P1の前端P1bを検出すると(S35:YES)、その位置が必要な逆回転の移動量になるので、コントローラ26はDCモータ28にブレーキ信号を送りモータを停止させる(S36)。なお、図3(B)は、このときの停止位置を示している。
【0031】
こうして、DCモータ28がブレーキ機能を具備する場合、転写ベルト20に描画したパターン画像P1を利用して、紙粉クリーニング処理に必要な移動距離を逆回転させることができ、モータの回転数が定速に到達していなくても正確な移動量で停止させることが可能となる。
【0032】
(2)DCモータ28がブレーキ機能を具備しない場合
次に、DCモータ28がブレーキ機能を具備しない場合における、DCモータ制御処理について説明する。DCモータ28にブレーキがない場合には、DCモータ28の駆動、すなわち、電力供給を停止(以下「モータOFF」という。)しても惰性で回転してしまうため、上記(1)の方法では正確な移動距離を確保することができない。
【0033】
しかし、転写デバイス4の装置構成は、転写ベルト20を順方向に回転させる場合と逆方向に回転させる場合の負荷がほぼ同じであるので、モータOFF時の惰性での移動距離は順方向と逆方向のどちら側に回転させていてもほぼ同じになる。そこで転写ベルト20上に、画像有り無しが等間隔で縞模様のパターン画像P2を描いて、まず順方向で回転させて転写ベルト20の移動距離を測定し、この測定結果に基づいて逆方向の回転を制御するものとする。
【0034】
図4は、DCモータ28がブレーキ機能を具備しない場合の、DCモータ制御処理フローを示す図である。図5は、この場合に転写ベルト20に描かれるパターン画像P2を示す図である。
【0035】
まず、コントローラ26は、転写ベルト20上に直接トナーを転写してパターン画像P2を描く(S41)。ここで、パターン画像P2は、図4に示すように、転写ベルト20の回転方向(矢印X1)に幅Z2の間隔を空けて、幅Z2の矩形画像が等間隔の縞模様状に形成される。ここで、幅Z2は、紙粉クリーニング処理の逆回転に必要な距離と比べて小さいものであり、パッチセンサ24の反応速度に応じて適宜設定すればよく、例えば、Z2=1mmの画像を描くようにする。
【0036】
そして、パターン画像P2を描いた後、DCモータ28を順方向に駆動制御し、転写ベルト20を順方向(矢印X1)に回転させる。そして、DCモータ28の回転数が定速になり、転写ベルト20が定速で回転するようになった後、コントローラ26はDCモータ28への電力供給を停止(モータOFF)する。このとき、転写ベルト20を停止させる際に、モータOFFから惰性回転が停止するまでに通過する矩形画像のライン数をパッチセンサ24を用いて測定し、そのライン数から惰性での移動距離Z3を算出する(S42)。その移動量が逆回転時の惰性での移動量でも同等になる。
【0037】
図6は、DCモータ28の惰性回転での移動距離測定処理を説明するための図である。同図は、転写ベルト20とその上に描かれるパターン画像P2の概略図61と、転写ベルト20の回転の速さを示すグラフ62と、DCモータ28への電力供給のON/OFFを示すグラフ63により構成されている。グラフ62の横軸はパッチセンサ24が検出する転写ベルト20の位置を示しており、縦軸は当該位置における転写ベルト20の回転の速さを示している。また、グラフ63の横軸はパッチセンサ24が検出する転写ベルト20の位置を示しており、縦軸は当該位置におけるDCモータ28への電力供給の有無(上側がモータOFF、下側がモータON)を示している。なお、後述の図7、図8も同様である。
【0038】
すなわち、図6に示す例では、パッチセンサ24が転写ベルト上の位置71を検出している間、転写ベルト20が順方向(矢印X1)に定速で回転していたものが、位置72に来たときに、コントローラ26がDCモータの駆動を停止(モータOFF)し、その後しばらくの間(位置73)転写ベルト20が惰性で回転し、位置74で惰性回転が止まったことを示している。なお、同図に示す例では、モータOFFから惰性回転が停止するまでに矩形画像が3ライン分通過しているので、惰性での移動距離Z3は、Z2×2×3(例えば、Z2=1mmであればZ3=6mm)というように算出できる。
【0039】
このようにして、惰性での移動距離Z3を算出した後、モータONから定速回転するまでの間の移動距離に惰性での移動距離を加えた距離Z3(以下、「惰性での移動距離Z3」という。)が、紙粉クリーニング処理の逆回転に必要な移動量Z1よりも小さいか否かを判別する(S43)。
【0040】
惰性での移動距離Z3が逆回転に必要な移動量Z1よりも小さい場合(S43:YES)には、紙粉クリーニング処理において、転写ベルト20の逆回転を開始した後(S44)、パッチセンサ24を用いて通過する矩形画像のライン数を測定し、逆回転開始後の移動量を計測する。そして、この逆回転開始後の移動量が、紙粉クリーニング処理の逆回転に必要な移動量Z1から惰性での移動量Z3を引いた量に達したか否かを計測し(S45)、逆回転開始後の移動量がZ1−Z3に達したら(S45:YES)、モータの駆動を停止(モータOFF)する(S46)。
【0041】
なお、図7は、惰性での移動距離Z3が逆回転に必要な移動量Z1よりも小さい場合のDCモータ制御処理を示す図である。
【0042】
また、ステップS43において、惰性での移動量Z3が逆回転に必要な移動量Z1よりも大きい場合(S43:NO)については、上述したように逆回転が逆回転可能な最大距離Y2以上になると、装置内汚れや画像欠陥につながってしまう。そこで、この場合には、DCモータ28を順回転方向(矢印X1)に所定時間tだけ駆動(モータON)したときの移動量Z4、すなわち、モータの駆動を開始してから所定時間t後に駆動を停止して惰性による移動が止まるまでの移動量Z4を、パッチセンサ24を用いて測定する(S47)。そして、測定されたその移動量Z4が逆回転で必要な移動量Z1よりも小さいかどうかを判別する(S48)。
【0043】
なお、図8は、所定時間tだけモータを回転駆動したときの移動量Z4を示す図である。
【0044】
ここで、所定時間t駆動したときの移動量Z4が逆回転で必要な移動量Z1よりも小さい場合には(S48:YES)、紙粉クリーニング処理において、コントローラ26は、ステップS47で計測した所定時間tだけDCモータ28を逆回転に駆動させる(S49)。このとき、転写ベルト20の移動量をパッチセンサ24で読み取り、逆回転に必要な移動距離Z1を超えるまで、所定時間tのモータ逆回転駆動を繰り返す(S50)。そして、必要な移動距離Z1を超えたら、DCモータ28の逆回転制御を終了する(S51)。
【0045】
また、ステップS48において、所定時間t駆動したときの移動量Z4が逆回転で必要な移動量Z1よりも大きい場合には(S48:NO)、DCモータ28の駆動時間tをさらに短く設定して(S52)、再度、移動量Z4の測定を行い、移動量Z4が逆回転で必要な移動量Z1よりも小さくなるまで、ステップS52及びS47を繰り返す。
【0046】
こうして、1つのDCモータ28で転写ベルト20と感光体2を同時に駆動制御する場合であっても、紙粉クリーニング処理に適した逆回転の移動量の制御が可能になる。
【0047】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述の各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、1つのモータが感光体2及び駆動ローラ14の回転を制御するものとしたが、感光体2及び駆動ローラ14の回転を異なるモータにより駆動させるようにしてもよい。この場合は、逆回転可能な最大の移動量Y2を考慮する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】画像形成装置の要部の概略構成を示す図である。
【図2】ブレーキ機能を具備する場合のDCモータ制御処理フローを示す図である。
【図3】転写ベルト20に描かれるパターン画像P1を示す図である。
【図4】ブレーキ機能を具備しない場合のDCモータ制御処理フローを示す図である。
【図5】転写ベルト20に描かれるパターン画像P2を示す図である。
【図6】DCモータ28の惰性回転での移動距離測定処理を説明するための図である。
【図7】惰性での移動距離Z3が逆回転に必要な移動量Z1よりも小さい場合のDCモータ制御処理を示す図である。
【図8】所定時間tだけモータを回転駆動したときの移動量Z4を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2 感光体、4 転写デバイス、6 感光体クリーナ、8 帯電部、10 現像ローラ、12 露光ユニット、14 駆動ローラ、16 従動ローラ、18 転写ローラ、20 転写ベルト、22 転写ベルトクリーナ(クリーナ)、24 パッチセンサ、26 コントローラ、28 DCモータ、P1,P2 パターン画像、P1a 後端、P1b 前端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流モータを転写ベルトの駆動用モータとして使用する画像形成装置において、前記転写ベルトを所定量だけ逆回転させるよう前記直流モータを制御する方法であって、
感光体から転写ベルトに特定のパターン画像を直接描写する描画ステップと、
センサにより前記パターン画像を検出した検出結果に基づいて前記転写ベルトの移動量を計測し、前記直流モータの逆回転駆動を制御する制御ステップと、
を備える直流モータ制御方法。
【請求項2】
前記描画ステップは、前記パターン画像として一の矩形画像を描写し、
前記制御ステップは、
前記転写ベルトが順方向に回転するよう、前記直流モータを順回転に駆動制御するステップと、
前記センサにより前記矩形画像の後端を検出するステップと、
前記矩形画像の後端を検出した後、前記転写ベルトが逆方向に回転するよう、前記直流モータを逆回転に駆動制御するステップと、
前記センサにより前記矩形画像の前端を検出するステップと、
前記矩形画像の前端を検出したとき、前記直流モータの駆動を停止するステップと、
を備える請求項1記載の直流モータ制御方法。
【請求項3】
前記描画ステップは、前記パターン画像として複数の矩形画像を等間隔の縞模様状に描写し、
前記制御ステップは、
前記転写ベルトが順方向に回転するよう、前記直流モータを順回転に駆動制御するステップと、
前記直流モータの駆動を停止するステップと、
前記直流モータの駆動を停止した後、前記転写ベルトの惰性による回転が止まるまでの間の前記転写ベルトの移動量を、前記センサにより検出された矩形画像の数をもとに算出する算出ステップと、
前記転写ベルトが逆方向に回転するよう、前記直流モータを逆回転に駆動制御するステップと、
前記算出した惰性による移動量を加味して、前記直流モータの駆動を停止するステップと、
を備える請求項1記載の直流モータ制御方法。
【請求項4】
前記算出ステップに換えて、
前記直流モータの駆動を開始した後、駆動を停止して前記転写ベルトの惰性による回転が止まるまでの間の前記転写ベルトの移動量を、前記センサにより検出された矩形画像の数をもとに算出する第2の算出ステップ、
を備える前記請求項3記載の直流モータ制御方法。
【請求項5】
前記転写ベルトを逆方向に回転させることにより、前記転写ベルトに摺接されるクリーナに溜まった紙粉を取り除くこと、
を特徴とする前記請求項1乃至4のいずれかに記載の直流モータ制御方法。
【請求項6】
直流モータを転写ベルトの駆動用モータとして使用する画像形成装置において、
感光体から転写ベルトに特定のパターン画像を直接描写する手段と、
センサにより前記パターン画像を検出した検出結果に基づいて前記転写ベルトの移動量を計測し、前記転写ベルトを所定量だけ逆回転させるよう前記直流モータの逆回転駆動を制御するコントローラと、
を備え画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至5に記載の直流モータ制御方法を、画像形成装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−51965(P2008−51965A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226911(P2006−226911)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】