説明

画像処理装置及び電子装置

【課題】照度むらを抑制して、肌領域を精度良く検出する。
【解決手段】光源部13−1及び13−2は、それぞれ、第1の波長の光を発光する第1のLED、及び第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2のLEDを有し、撮像部15は、第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像を生成するとともに、第2の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第2の画像を生成し、検出手段は、生成された第1及び第2の画像に基づいて、肌領域を検出する。なお、光源部13−1及び13−2は、第1のLEDどうし、及び第2のLEDどうしが点対称となるように配置されている。本発明は、例えば、撮像した画像から人間の肌を表す肌領域を検出する検出装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び電子装置に関し、特に、撮影した画像に基づいて、例えば人の手等の肌が露出している部分を検出できるようにした画像処理装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人物を撮像して得られる撮像画像上から、顔や手などのように肌が露出している領域(以下、肌領域という)を検出する肌検出技術が存在する(例えば、特許文献1乃至4を参照)。
【0003】
この肌検出技術では、波長λ1の光を出力するLED(light emitting diode)によって照射された状態の被写体(人物)を撮像した第1の画像と、波長λ1とは異なる波長λ2の光を出力するLEDによって照射された状態の被写体を撮像した第2の画像とを取得する。そして、第1の画像と第2の画像との輝度値の差分が所定の閾値よりも大きな領域を肌領域として検出する。
【0004】
なお、波長λ1,λ2は、人間の肌の反射特性に依存して決定される。すなわち、波長λ1,λ2は、人の肌に照射したときの反射率が異なり、かつ、人の肌以外(例えば、髪の毛、衣服など)に照射したときの反射率がほぼ等しいものに決定されている。具体的には、例えば、波長λ1は850nm、波長λ2は970nmとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−47067号公報
【特許文献2】特開平06−123700号公報
【特許文献3】特開平05−329163号公報
【特許文献4】特開2008−27242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
肌検出技術では、波長λ1の光が照射された状態の第1の画像と、波長λ2の光が照射された状態の第2の画像との差分が、所定の閾値よりも大きな領域を肌領域として検出する。
【0007】
したがって、肌検出技術では、その差分が、被写体における反射率の差に対応するものとなるように、被写体に対する波長λ1の光の照度P1と、被写体に対する波長λ2の光の照度P2とが一定の関係を満たす必要がある。
【0008】
具体的には、例えば、照度P1と照度P2との差分を所定の値で除算(正規化)して得られる照度差ΔEが一定値a以下であるという関係を満たさなければならない。なお、一定値aは、LEDの光学特性や被写体の撮像を行なう撮像部の受光特性等に応じて決定される。
【0009】
この関係が満たされない場合、波長λ1の光が照射された状態の第1の画像と、波長λ2の光が照射された状態の第2の画像との差分が、被写体における反射率の差によるものなのか、それとも、波長λ1の光を照射するLEDと、波長λ2の光を照射するLEDとの照度の差によるものなのかを区別できなくなってしまい、肌領域を精度良く検出できなくなってしまう。
【0010】
また、例えば、肌検出に用いる検出装置を、比較的、小型の電子装置(例えば、携帯電話機等)に内蔵するようにして肌検出を行なう場合、検出装置を小型化する必要がある。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、波長が異なる複数の光を用いた肌検出技術において、肌検出に用いる検出装置を小型化しつつ、波長が異なる複数の光による照度差のばらつきを抑制して、肌領域を精度良く検出できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面の画像処理装置は、画像上から人間の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置であって、第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段と、前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像を生成するとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像を生成する撮像生成手段と、生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域を検出する検出手段とを含み、前記複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される画像処理装置である。
【0013】
前記照射手段が2個である場合、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称となるように配置し、前記照射手段が4個以上である場合、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも、点対称又は線対称の一方となるように配置するようにすることができる。
【0014】
前記撮像生成手段は、所定の撮像範囲で前記被写体を撮像することにより、前記第1及び第2の画像を生成するものであり、前記第1及び第2の発光部から照射される光の指向特性を変化させて、前記所定の撮像範囲内に光を照射させる指向特性変化手段をさらに設けることができる。
【0015】
前記指向特性変化手段は、アナモルフィックレンズとすることができる。
【0016】
前記複数の照射手段は、前記撮像生成手段を基準として、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置することができる。
【0017】
前記第1の波長λ1及び前記第2の波長λ2は、以下の関係式を満たす
640nm≦λ1≦1000nm
900nm≦λ2≦1100nm
ようにすることができる。
【0018】
前記第1の波長の光を照射したときの照度P1と、前記第2の波長の光を照射したときの照度P2との差分絶対値を所定の値で除算して得られる照度差ΔE、及び前記第1及び第2の波長それぞれに対する反射率が同一である被写体に対して得られる前記第1及び第2の画像の輝度値が同一となるときの照度差aは、以下の関係式を満たす
|ΔE-a| ≦ 10
ようにすることができる。
【0019】
本発明の第1の側面によれば、前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像が生成されるとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像が生成され、生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域が検出される。なお、第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される。
【0020】
本発明の第2の側面の電子装置は、画像上から人間の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置を内蔵する電子装置であって、前記画像処理装置は、第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段と、前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像を生成するとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像を生成する撮像生成手段と、生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域を検出する検出手段とを含み、前記複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される電子装置である。
【0021】
本発明の第2の側面によれば、電子装置に内蔵される画像処理装置により、前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像が生成されるとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像が生成され、生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域が検出される。なお、第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、肌領域の検出に用いる構成を小型化しつつ、肌領域を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】光源部の構成例を示す図である。
【図3】人間の肌に対する反射特性の一例を示す図である。
【図4】アナモルフィックレンズの外観例を示す図である。
【図5】照度差による肌領域の検出精度の低下を説明するための図である。
【図6】拡大撮像範囲の照度分布の一例を示す第1の図である。
【図7】撮像範囲の照度分布の一例を示す第1の図である。
【図8】撮像範囲における対角線上の照度分布の一例を示す第1の図である。
【図9】光源部が2個である場合において点対称となるように配置することを示す図である。
【図10】光源部が2個である場合に、実験により試した配置の一例を示す図である。
【図11】2個の光源部を撮像部に対して線対称に配置した場合の一例を示す図である。
【図12】拡大撮像範囲の照度分布の一例を示す第2の図である。
【図13】撮像範囲の照度分布の一例を示す第2の図である。
【図14】撮像範囲における対角線上の照度分布の一例を示す第2の図である。
【図15】2個の光源部を撮像部に対して点対称に配置した場合の一例を示す図である。
【図16】拡大撮像範囲の照度分布の一例を示す第3の図である。
【図17】撮像範囲の照度分布の一例を示す第3の図である。
【図18】撮像範囲における対角線上の照度分布の一例を示す第3の図である。
【図19】光源部が4個である場合において点対称又は線対称のいずれかとなるように配置することを示す図である。
【図20】光源部が4個である場合に、実験により試した配置の一例を示す図である。
【図21】4個の光源部を撮像部に対して線対称に配置した場合の一例を示す図である。
【図22】拡大撮像範囲の照度分布の一例を示す第4の図である。
【図23】撮像範囲の照度分布の一例を示す第4の図である。
【図24】撮像範囲における対角線上の照度分布の一例を示す第4の図である。
【図25】4個の光源部を撮像部に対して点対称に配置した場合の一例を示す図である。
【図26】拡大撮像範囲の照度分布の一例を示す第5の図である。
【図27】撮像範囲の照度分布の一例を示す第5の図である。
【図28】撮像範囲における対角線上の照度分布の一例を示す第5の図である
【図29】点対称について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(2個の光源部を点対称に配置する場合の一例)
2.第2の実施の形態(4個の光源部を点対称又は線対称のいずれかに配置する場合の一例)
3.変形例
【0025】
<1.第1の実施の形態>
[検出装置の構成例]
図1は、第1の実施の形態である検出装置の構成例を示している。この検出装置1は、撮像した画像から検出対象物21となる人の肌領域(例えば、顔、手など)を検出するものである。また、2個の光源部13−1及び13−2の配置を工夫することにより、光源部13−1及び13−2からの照射光による照度むらを抑制するものである。
【0026】
検出装置1は、制御部11、LED制御部12、光源部13−1及び13−2、光学フィルタ14、撮像部15、撮像制御部16、並びに画像処理部17から構成される。
【0027】
制御部11は、検出装置1の各部の動作を統括して制御する。LED制御部12は、制御部11からの制御に従い、光源部13−1及び13−2の点灯タイミング、消灯タイミング、出力レベルを制御する。
【0028】
光源部13−1は、LED制御部12の制御に従い、発光スペクトルのピーク波長がλ1である光(以下、波長λ1の光という)を発光(照射)する。また、光源部13−1は、LED制御部12の制御に従い、発光スペクトルのピーク波長がλ2である光(以下、波長λ2の光という)を発光する。
【0029】
光源部13−2は、光源部13−1と同様に構成されており、LED制御部12の制御に従い、波長λ1の光、又は波長λ2の光を、光源部13−1と同一のタイミングで発光する。
【0030】
なお、詳細は図3を参照して後述するが、波長λ1の値は640nmから1000nm、波長λ1よりも長波長側の波長λ2の値は900nmから1100nmとされる。
【0031】
また、以下の説明において、光源部13−1及び13−2を区別する必要がない場合、単に、光源部13という。さらに、光源部13の詳細な構成については、図2及び図4を参照して後述する。
【0032】
光学フィルタ14は、撮像部15に入射する光を制限するよう撮像部15の前面に設けられており、その分光特性として第1の波長から第2の波長までの光を透過し、それ以外の光を吸収(遮断)するようになされている。
【0033】
なお、第1の波長及び第2の波長は、光学フィルタ14が、波長λ1の光及びλ2の光を透過できるように、波長λ1及びλ2の値に応じて決定される。
【0034】
撮像部15は、集光レンズと、CCD、CMOSなどの撮像素子とを内蔵しており、撮像制御部16からの制御に従い、光学フィルタ14を透過してきた光(被写体からの反射光)を受光して画像を生成する。なお、光源部13−1が波長λ1の光を発光しているときに生成される画像を第1の画像とし、光源部13−2が波長λ2の光を発光しているときに生成される画像を第2の画像とする。
【0035】
撮像制御部16は、制御部11からの制御に従い、撮像部15の撮像タイミング、輝度増幅のゲインなどを制御する。また、撮像制御部16は、撮像部15により生成された第1及び第2の画像を画像処理部17に出力する。
【0036】
画像処理部17は、第1の画像及び第2の画像に基づいて、被写体の肌領域を検出する。
【0037】
[光源部13の構成]
次に、図2乃至図4を参照して、光源部13の構成例について説明する。
【0038】
図2は、光源部13の構成例を示している。
【0039】
光源部13は、波長λ1の光を照射するLED41、波長λ2の光を照射するLED42、並びにLED41及び42を覆うアナモルフィックレンズ43により構成されている。
【0040】
LED41及び42は、アナモルフィックレンズ43の高さが最も高くなるレンズの位置を通る中心軸(図中、1点鎖線で示す)を中心として、隣接した状態で配置されている。なお、アナモルフィックレンズ43の詳細については、図4を参照して後述する。
【0041】
光源部13は、LED制御部12からの制御に従い、LED41とLED42とを交互に発光させる。すなわち、光源部13は、図2Aに示されるように、LED41のみを発光させる処理と、図2Bに示されるように、LED42のみを発光させる処理とを交互に行う。
【0042】
次に、図3を参照して、LED41が照射する光の波長λ1、及びLED42が照射する光の波長λ2について説明する。図3は、検出対象物21となる人の肌領域に対して想定されている反射特性を示している。
【0043】
図3に示されるように、人の肌領域は波長960nm付近に極小値が存在することが知られている。
【0044】
波長λ1における反射率から、波長λ2における反射率を差し引いて得られる差分が、肌領域以外のものと比較して、比較的大きくなるように、波長λ1の値は640nmから1000nm、波長λ1よりも長波長側の波長λ2の値は900nmから1100nmとされる。
【0045】
なお、以下において、λ1=850nm,λ2=970nmであるものとする。この場合、図3に示されるように、波長λ1のときの反射率は約46%となり、波長λ2のときの反射率は約35%となる。したがって、肌領域において、波長λ2の反射率は、波長λ1の反射率と比較して、約1.3倍(=46/35)程異なるものとなる。
【0046】
これに対して、肌領域以外の部分については、波長λ1及びλ2のいずれにおいても、反射率は殆ど変わらないものとなっている。
【0047】
したがって、検出装置1では、撮像により得られた画像上の全領域のうち、波長λ1及びλ2における反射率が大きく異なる領域を、肌領域として検出するようにしている。
【0048】
なお、第1及び第2の実施の形態では、光源部13は、撮像部15から0.6mmだけ離れた位置に配置されているものとする。また、光源部13のLED41及びLED42において、FWHM(full width at half maximum,半値全幅)は60度であり、発光面チップサイズは0.4×0.4(横×縦)mmであり、発光面チップサイズ(=0.4×0.4mm)における出射光量は1Wであるものとする。さらに、例えば、LED41及びLED42の発光面は、それぞれ、アナモルフィックレンズ43の中心軸から0.2mmだけ離れた位置に存在するものとする。なお、光源部13は、上述の構成に限定されない。
【0049】
次に、図4は、アナモルフィックレンズ43の外観例を示している。
【0050】
アナモルフィックレンズ43は、LED41及びLED42からの照射光を屈折させる(LED41及びLED42の指向特性を変化させる)ことにより、効率的に、照射光を撮像部15の撮像範囲内に照射させる。この場合、光源部13がアナモルフィックレンズ43を有さない場合と比較して、撮像部15の撮像範囲内に照射される照射光の光量が倍以上に増加することとなるので、撮像範囲内に照射される照射光の照射効率を高めることが可能となる。
【0051】
なお、第1及び第2の実施の形態では、アナモルフィックレンズ43は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)からなり、軸上厚(中心軸が通るレンズ部分の厚さ)は1.16mmであるものとする。また、アナモルフィックレンズ43において、S1面(LED41及びLED42が存在する内側の面)は、平坦な形状とされており、S2面(外側の面)はアナモルフィック非球面とされているものとする。なお、アナモルフィックレンズ43は、上述の構成に限定されない。
【0052】
アナモルフィックレンズ43のS2面におけるサグ量Zは、例えば次式(1)により表される。ここで、サグ量Zとは、アナモルフィックレンズ43の中心位置(中心軸が通り、高さが最高であるレンズ面の位置)から任意のアナモルフィックレンズ面までの深さを表す。
【0053】
【数1】

・・・(1)
【0054】
ここで、式(1)の左辺におけるサグ量Zは、アナモルフィックレンズ43上の位置(x,y)におけるサグ量を表している。なお、位置(x,y)は、アナモルフィックレンズ43の中心位置を原点(0,0)として、原点において互いに直交するX軸及びY軸により定義される。
【0055】
式(1)の右辺において、変数Nは例えば6であり、定数cx,cy224466は、それぞれ、cx<0,cy<0,0≦α2,0≦β24≦0,β4≦0,α6≦0,β6≦0という条件を満たす。また、α2は2次のべき条項x2の非球面係数、α4は4次のべき条項x4の非球面係数、α6は6次のべき条項x6の非球面係数を表す。さらに、β2は2次のべき乗項y2の非球面係数、β4は4次のべき乗項y4の非球面係数、β6は6次のべき乗項y6の非球面係数を表す。
【0056】
また、アナモルフィックレンズ43の光束出射面におけるX軸方向の曲率半径をRxとするとcx=1/Rxとなり、アナモルフィックレンズ43の光束出射面におけるY軸方向の曲率半径をRyとするとcy=1/Ryとなる。
【0057】
さらに、式(1)の右辺において、kxはX方向のコーニック定数を表し、kyはY方向のコーニック定数を表している。なお、第1及び第2の実施の形態では、例えば、Rx=-1.2,Ry=-1.6,α2=0.15,α4=-0.15625,α6=0,β2=0,β4=-0.3125,β6=0であるものとする。
【0058】
[検出装置の動作]
初めに、光源部13−1及び13−2のLED41により波長λ1の光を被写体に照射する。この照射光は外光とともに被写体により反射され、光学フィルタ14を介して撮像部15に入射される。撮像部15は、入射された光を光電変換することにより第1の画像を生成し、撮像制御部16に供給する。
【0059】
次に、光源部13−1及び13−2のLED42により波長λ2の光を被写体に照射する。この照射光は外光とともに被写体により反射され、光学フィルタ14を介して撮像部15に入射される。撮像部15は、入射された光を光電変換することにより第2の画像を生成し、撮像制御部16に供給する。
【0060】
撮像制御部16は、撮像部15からの第1及び第2の画像を、画像処理部17に供給する。
【0061】
画像処理部17は、撮像制御部16からの第1の画像と第2の画像との対応する画素の輝度値Y1,Y2の差分である差分S=Y1−Y2を算出し、差分Sを所定の閾値と比較することにより2値化し、2値の一方の領域(所定の閾値以上となる差分に対応する領域)を肌領域として検出する。
【0062】
[照度分布のばらつき]
画像処理部17が、差分Sに基づいて、肌領域を精度良く検出できるようにするためには、差分Sが、被写体における反射率の差に対応するものとなるようにする必要がある。
【0063】
ここで、差分Sが、被写体における反射率の差に対応するものとなる(例えば、波長λ1及びλ2それぞれに対する反射率が同一の物体に光を照射したときに得られる輝度値Y1及びY2が同一の値になる)ようにするには、次式(2)に示される照度差ΔEが一定値aであるという一定の関係を満たす必要がある。
【0064】
【数2】

・・・(2)
【0065】
なお、式(2)において、ABS(P1-P2)は、被写体に対する波長λ1の光の照度P1と、被写体に対する波長λ2の光の照度P2との差分絶対値を表し、ABS(P1)は、照度P1の絶対値を表す。
【0066】
検出装置1では、照度差ΔEが一定値aとなるように、光源部13を配置する必要がある。ところで、照度差ΔEが一定値aから大きく異なる値となった場合には、肌領域の検出精度が著しく低下することが、予め行なわれた実験によりわかっている。
【0067】
次に、図5は、照度差ΔEが一定値aから大きく異なる値となった場合に、肌領域の検出精度が低下することを示している。
【0068】
なお、図5において、横軸は、撮像部15の撮像範囲における対角線上の位置を表し、縦軸は、横軸が示す位置における照度差ΔEを表している。
【0069】
図5に示されるように、本発明者が行なった実験に基づく経験則によれば、照度差ΔEがa-Δaからa+Δaの範囲内に収まらなくなった場合には、急激に検出精度が低下することがわかっている。
【0070】
なお、ΔE,a-Δa及びa+Δaの単位は、いずれもパーセンテージ(%)である。また、aは、光源部13のLED41及び42の光学特性や、撮像部15の受光特性に応じて決定される。
【0071】
さらに、Δaは、光源部13のLED41及びLED42として、比較的、発光スペクトル幅の広いLEDを想定するとともに、図3に示されるような、肌に対する反射率の分光反射率スペクトルが人によって異なることを想定して求められる。具体的には、例えば、Δaは約10%程度とされる。
【0072】
図5に示されるように、肌領域を精度良く検出するためには、照度差ΔEがa-Δaからa+Δaの範囲内に収まるようにしなければならない。すなわち、|ΔE-a|≦Δaを満たす必要がある。
【0073】
ところで、第1の実施の形態によれば、図2に示されたように、LED41及び42を1つの光源部13として構成するようにしたので、LED41及び42をそれぞれ別々に構成する場合と比較して、検出装置1を小型化することが可能となる。よって、比較的、小型の電子装置(例えば、携帯電話機、PDA(personal digital assistant)、及び小型ゲーム機等)に、検出装置1を内蔵することが可能となる。
【0074】
また、第1の実施の形態によれば、図4に示されたように、撮像範囲内に照射される照射光の照射光率を向上させて、肌検出可能な検出距離(肌検出可能な被写体までの距離)を延ばすことができるように、LED41及び42に、アナモルフィックレンズ43を設けて光源部13を構成するようにしている。
【0075】
しかしながら、この場合、撮像範囲内の照度分布が偏ってしまい(|ΔE-a|≦Δaを満たさなくなってしまい)、肌検出を行なうことができなくなってしまう。
【0076】
そこで、第1の実施の形態では、|ΔE-a|≦Δaを満たすように、光源部13の個数や配置を工夫して、肌検出を精度良く行なえるようにしている。
【0077】
以下、|ΔE-a|≦Δaを満たすような、光源部13の個数や配置について説明する。
【0078】
以下では、説明を簡単にするために、例えば、a=0,Δa=10として|ΔE|≦10を満たす場合に、肌領域を精度良く検出できるものとして、光源部13の個数や配置について考えるものとする。
【0079】
[光源部13が1個である場合]
次に、図6乃至図8を参照して、光源部13が1個である場合について考える。
【0080】
光源部13が1個のみにより構成されている場合、アナモルフィックレンズ43の中心軸からLED41及び42をオフセットして配置したことに起因して、LED41から波長λ1の光を照射した場合と、LED42から波長λ2の光を照射した場合とで、撮像部15の撮像範囲内に大きな照度むらが生じ得る。
【0081】
次に、図6乃至図8を参照して、1個の光源部13により、波長λ1の光を照射した場合の照度分布、及び波長λ2の光を照射した場合の照度分布について説明する。
【0082】
図6は、撮像部15の画角θを1.5倍にした場合に得られる拡大撮像範囲の照度分布を示している。
【0083】
なお、撮像部15の画角θは、対角方向の画角、すなわち、撮像部15から、図6において点線で示される対角線の両端にそれぞれ延ばした2本の線分が成す角度を表している。いまの場合、画角θは65度とされている。また、図6に示される照度分布は、撮像部15から10cmだけ離れた位置における照度の分布を表している。
【0084】
図6Aは、1個の光源部13におけるLED41が、波長λ1の光を照射している場合に得られた照度分布の一例を示している。また、図6Bは、1個の光源部13におけるLED42が、波長λ2の光を照射している場合に得られた照度分布の一例を示している。
【0085】
図6A及び図6Bに示される照度分布では、照度が高い程に濃い色(黒色)で示されている。このことは、後述する図7についても同様である。
【0086】
また、図6A及び図6Bに示される矩形(黒色の太線で示す)は、撮像部15の撮像範囲を示している。
【0087】
図7は、撮像部15の画角θにおける撮像範囲の照度分布を示している。
【0088】
図7Aは、波長λ1の光が照射されている場合の、撮像部15の撮像範囲における照度分布を示しており、図7Bは、波長λ2の光が照射されている場合の、撮像部15の撮像範囲における照度分布を示している。
【0089】
図8は、図7に示される撮像範囲の対角線上(図7A及び図7Bにおいて点線で示す)の位置における照度分布を示している。
【0090】
なお、図8A及び図8Bにおいて、横軸は、対角線上の位置を示しており、縦軸は照度を示している。また、縦軸が示す照度は、光源部13から照射される波長λ1及びλ2それぞれの出射総和光量を1[W]とした場合に得られる照度を示している。
【0091】
光源部13が波長λ1の光を照射している場合(いまの場合、照射される波長λ1の光の出射総和光量は1[W]である)、図8Aに示されるように、撮像範囲内の最大照度は11.5[W/m2]となり、最小照度は4.3[W/m2]となる。また、光源部13が波長λ1の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0092】
なお、照射効率とは、光源部13から照射される照射光の光束(単位面積を単位時間内に通過する光のエネルギー)を100%とした場合に、撮像範囲内に到達する照射光の光束を表す。
【0093】
光源部13が波長λ2の光を照射している場合(いまの場合、照射される波長λ2の光の出射総和光量は1[W]である)、図8Bに示されるように、撮像範囲内の最大照度は11.7[W/m2]となり、最小照度は4.1[W/m2]となる。また、光源部13が波長λ2の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0094】
さらに、図8において、|ΔE|は最大50%となり、|ΔE| ≦ 10を満たさないため、肌領域の検出精度が著しく低下するものとなる。
【0095】
[光源部13が2個である場合]
次に、図9乃至図18を参照して、光源部13が2個である場合について考える。
【0096】
光源部13を2個により構成する場合、図9に示されるように、光源部13のLED41及び42を、それぞれ、撮像部15に対して点対称となるように配置した場合、最も照度むらを抑制することが、本発明者が予め行なった実験によりわかっている。
【0097】
すなわち、例えば、本発明者は、図10Aに示されるように、光源部13−1と光源部13−2について、LED41及び42を、撮像部15に対してそれぞれ非対称に配置した場合、図10Bに示されるように、LED41及び42をそれぞれ線対称に配置した場合、図10Cに示されるように、LED41及び42をそれぞれ線対称且つ点対称に配置した場合、図10Dに示されるように、LED41及び42をそれぞれ点対称に配置した場合等について、実験を行なった結果、図10Dに示されるように、点対称に配置した場合に、最も照度むらを抑制できるとの実験結果を得ている。
【0098】
なお、図10において、黒色の矩形は、LED41を示しており、灰色の矩形はLED42を示している。このことは、後述する図面においても同様である。
【0099】
[2個の光源部13を線対称に配置した場合]
次に、図11乃至図14を参照して、線対称に配置した場合に得られた実験結果について説明する。
【0100】
図11は、光源部13−1及び13−2のLED41及び42を、撮像部15(のレンズ面の中心)に対して線対称に配置した場合の一例を示している。
【0101】
図11Aは、光源部13−1及び13−2、並びに撮像部15の正面図を示している。また、図11Bは、光源部13−1及び13−2、並びに撮像部15の上面図を示している。
【0102】
光源部13−1及び13−2それぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合、LED41を発光させたときに得られる、波長λ1の光の照度分布は、図12A乃至図14Aに示されるような照度分布となる。
【0103】
また、光源部13−1及び13−2それぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合、LED42を発光させたときに得られる、波長λ2の光の照度分布は、図12B乃至図14Bに示されるような照度分布となる。
【0104】
なお、図14A及び図14Bにおいて、縦軸が示す照度は、光源部13−1及び13−2から照射される波長λ1及びλ2それぞれの出射総和光量を1[W]とした場合に得られる照度を示している。それ以外については、図12乃至図14は、それぞれ、上述の図6乃至図8と同様に構成されているため、それらの説明は適宜省略している。
【0105】
光源部13−1及び13−2が波長λ1の光を照射している場合、図14Aに示されるように、撮像範囲内の最大照度は21.5[W/m2]となり、最小照度は13.2[W/m2]となる。また、光源部13−1及び13−2が波長λ1の光を照射している場合、照射効率は約46%となる。
【0106】
光源部13−1及び13−2が波長λ2の光を照射している場合、図14Bに示されるように、撮像範囲内の最大照度は22.2[W/m2]となり、最小照度は8.8[W/m2]となる。また、光源部13−1及び13−2が波長λ2の光を照射している場合、照射効率は約43%となる。
【0107】
さらに、図14において、|ΔE|は最大38%となり、|ΔE| ≦ 10を満たさないため、肌領域の検出精度が著しく低下するものとなる。
【0108】
[2個の光源部13を点対称に配置した場合]
次に、図15乃至図18を参照して、点対称に配置した場合に得られた実験結果について説明する。
【0109】
図15は、光源部13−1及び13−2のLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合の一例を示している。
【0110】
図15Aは、光源部13−1及び13−2、並びに撮像部15の正面図を示している。また、図15Bは、光源部13−1及び13−2、並びに撮像部15の上面図を示している。
【0111】
光源部13−1及び13−2それぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合、LED41を発光させたときに得られる、波長λ1の光の照度分布は、図16A乃至図18Aに示されるような照度分布となる。
【0112】
また、光源部13−1及び13−2それぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合、LED42を発光させたときに得られる、波長λ2の光の照度分布は、図16B乃至図18Bに示されるような照度分布となる。
【0113】
なお、図18A及び図18Bにおいて、縦軸が示す照度は、光源部13−1及び13−2から照射される波長λ1及びλ2それぞれの出射総和光量を1[W]とした場合に得られる照度を示している。それ以外については、図16乃至図18は、それぞれ、上述の図6乃至図8と同様に構成されているため、それらの説明は適宜省略している。
【0114】
光源部13−1及び13−2が波長λ1の光を照射している場合、図18Aに示されるように、撮像範囲内の最大照度は22.9[W/m2]となり、最小照度は10.4[W/m2]となる。また、光源部13−1及び13−2が波長λ1の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0115】
光源部13−1及び13−2が波長λ2の光を照射している場合、図18Bに示されるように、撮像範囲内の最大照度は22.7[W/m2]となり、最小照度は10.6[W/m2]となる。また、光源部13−1及び13−2が波長λ2の光を照射している場合、照射効率は約44%となる。
【0116】
さらに、図18において、|ΔE|は最大9%となり、|ΔE| ≦ 10を満たすため、肌領域を精度良く検出できる。
【0117】
したがって、検出装置1では、光源部13を2個設ける場合、2個の光源部13それぞれにおけるLED41及びLED42を、点対称に配置するものとする。これにより、照度むら、すなわち、照度差|ΔE|が大きくなることを抑制して、肌領域を精度良く検出することが可能となる。
【0118】
なお、2個の光源部13は、撮像部15におけるレンズ中心に対して、点対称となるように配置する他、任意の点(例えば、撮像部15のレンズ中心から少しずれた位置等)に対して、点対称となるように配置するようにしてもよい。
【0119】
<2.第2の実施の形態>
[光源部13が4個である場合]
次に、図19乃至図28を参照して、光源部13が4個である場合について考える。
【0120】
光源部13を4個により構成する場合、図19に示されるように、光源部13のLED41及び42を、それぞれ、撮像部15に対して線対称又は点対称のいずれかとなるように配置した場合、最も照度むらを抑制することが、本発明者が予め行なった実験によりわかっている。
【0121】
すなわち、例えば、本発明者は、図20Aに示されるように、4個の光源部13−1a,13−1b,13−2a,13−2bについて、それぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合、図20Bに示されるように、それぞれのLED41及び42を点対称に配置した場合、図20Cに示されるように、それぞれのLED41及び42を線対称且つ点対称に配置した場合等について、実験を行なった結果、図20A及び図20Bに示されるように、線対称又は点対称のいずれかに配置した場合に、最も照度むらを抑制できるとの実験結果を得ている。
【0122】
なお、図20では、撮像部15に対して、LED41及び42を点対称又は線対称に配置するようにしているが、点対称又は線対称の基準は、撮像部15に限定されない。このことは、図29を参照して後述する。
【0123】
[4個の光源部13を線対称に配置した場合]
次に、図21乃至図24を参照して、線対称に配置した場合に得られた実験結果について説明する。
【0124】
図21は、4個の光源部13−1a乃至13−2bのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合の一例を示している。
【0125】
図21Aは、4個の光源部13−1a乃至13−2b、並びに撮像部15の正面図を示している。また、図21Bは、4個の光源部13−1a乃至13−2b、並びに撮像部15の上面図を示している。
【0126】
光源部13−1a乃至13−2bそれぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合、LED41を発光させたときに得られる、波長λ1の光の照度分布は、図22A乃至図24Aに示されるような照度分布となる。
【0127】
また、光源部13−1a乃至13−2bそれぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して線対称に配置した場合、LED42を発光させたときに得られる、波長λ2の光の照度分布は、図22B乃至図24Bに示されるような照度分布となる。
【0128】
なお、図24A及び図24Bにおいて、縦軸が示す照度は、4個の光源部13−1a乃至13−2bから照射される波長λ1及びλ2それぞれの出射総和光量を1[W]とした場合に得られる照度を示している。それ以外については、図22乃至図24は、それぞれ、上述の図6乃至図8と同様に構成されているため、それらの説明は適宜省略している。
【0129】
4個の光源部13−1a乃至13−2bが波長λ1の光を照射している場合、図24Aに示されるように、撮像範囲内の最大照度は43.8[W/m2]となり、最小照度は22.0[W/m2]となる。また、光源部13−1a乃至13−2bが波長λ1の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0130】
光源部13−1a乃至13−2bが波長λ2の光を照射している場合、図24Bに示されるように、撮像範囲内の最大照度は43.1[W/m2]となり、最小照度は21.0[W/m2]となる。また、光源部13−1a乃至13−2bが波長λ2の光を照射している場合、照射効率は約44%となる。
【0131】
さらに、図24において、|ΔE|は最大7%となり、|ΔE| ≦ 10を満たすため、肌領域を精度良く検出できる。
【0132】
[4個の光源部13を点対称に配置した場合]
次に、図25乃至図28を参照して、点対称に配置した場合に得られた実験結果について説明する。
【0133】
図25は、4個の光源部13−1a乃至13−2bのLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合の一例を示している。
【0134】
図25Aは、4個の光源部13−1a乃至13−2b、並びに撮像部15の正面図を示している。また、図25Bは、4個の光源部13−1a乃至13−2b、並びに撮像部15の上面図を示している。
【0135】
4個の光源部13−1a乃至13−2bそれぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合、LED41を発光させたときに得られる、波長λ1の光の照度分布は、図26A乃至図28Aに示されるような照度分布となる。
【0136】
また、4個の光源部13−1a乃至13−2bそれぞれのLED41及び42を、撮像部15に対して点対称に配置した場合、LED42を発光させたときに得られる、波長λ2の光の照度分布は、図26B乃至図28Bに示されるような照度分布となる。
【0137】
なお、図28A及び図28Bにおいて、縦軸が示す照度は、4個の光源部13−1a乃至13−2bから照射される波長λ1及びλ2それぞれの出射総和光量を1[W]とした場合に得られる照度を示している。それ以外については、図26乃至図28は、それぞれ、上述の図6乃至図8と同様に構成されているため、それらの説明は適宜省略している。
【0138】
光源部13−1a乃至13−2bが波長λ1の光を照射している場合、図28Aに示されるように、撮像範囲内の最大照度は43.4[W/m2]となり、最小照度は21.8[W/m2]となる。また、光源部13−1a乃至13−2bが波長λ1の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0139】
光源部13−1a乃至13−2bが波長λ2の光を照射している場合、図28Bに示されるように、撮像範囲内の最大照度は43.1[W/m2]となり、最小照度は21.1[W/m2]となる。また、光源部13−1a乃至13−2bが波長λ2の光を照射している場合、照射効率は約45%となる。
【0140】
さらに、図24において、|ΔE|は最大3%となり、|ΔE| ≦ 10を満たすため、肌領域を精度良く検出できる。
【0141】
したがって、検出装置1では、光源部13を4個設ける場合、4個の光源部13それぞれにおけるLED41及びLED42を、点対称又は線対称のいずれかに配置するものとする。これにより、照度むら、すなわち、照度差|ΔE|が大きくなることを抑制して、肌領域を精度良く検出することが可能となる。
【0142】
なお、撮像部15を基準として、点対称及び線対称を決定するようにしたが、点対称及び線対称の基準は、撮像部15に限定されず、任意の位置を基準として、点対称及び線対称を決定することができる。
【0143】
具体的には、例えば、図29A及び図29Bに示されるように、撮像部15のレンズ中心(黒丸で示す)とは異なる位置に対して、点対称となるように配置するようにしてもよい。線対称についても同様である。
【0144】
<3.変形例>
第1及び第2の実施の形態では、光源部13が2個又は4個の場合について説明したが、その他、例えば、検出装置1に、光源部13を2×n個(nは3以上の自然数)だけ設けるようにして、点対称又は線対称のいずれかとなるように配置するようにしてもよい。この場合についても、光源部13が4個である場合と同様にして、照度差|ΔE|が大きくなることを抑制して、肌領域を精度良く検出することが可能となる。
【0145】
また、第1及び第2の実施の形態では、光源部13にアナモルフィックレンズ43を設けることにより、LED41及びLED42からの光が、撮像部15の撮像範囲内に収まるように、LED41及びLED42の指向特性を変化させて、照射効率を向上させるようにした。
【0146】
しかしながら、指向特性を変化させるために、光源部13に設けるものとしては、アナモルフィックレンズ43に限定されない。
【0147】
すなわち、例えば、光源部13において、アナモルフィックレンズ43に代えて、アナモルフィックレンズ43とは異なる球面レンズや非球面レンズを用いるようにして、照射効率を向上させるようしてもよい。
【0148】
さらに、例えば、アナモルフィックレンズ43に代えて、プリズムや偏光板を用いるようにしてもよい。すなわち、照射効率を向上させるためのものであれば、どのようなものを用いるようにしてもよいし、アナモルフィックレンズ43やプリズム等を任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0149】
上述した式(2)では、照度P1と照度P2との差分絶対値ABS(P1-P2)を、照度P1の絶対値ABS(P1)で正規化(除算)するようにしたが、その他、例えば、照度P2の絶対値ABS(P2)で正規化してもよい。すなわち、照度P1又は照度P2の少なくとも一方に基づく値であれば、どのような値で正規化するようにしてもよい。
【0150】
また、上述した検出装置1は、例えば、LED41及び42を1つの光源部13として構成するようにしたので、LED41及び42を別々に構成する場合と比較して、検出装置1を小型化することができる。よって、検出装置1を、比較的、小型の電子装置(例えば、携帯電話機等)に内蔵するように構成することができる。この場合、小型の電子装置において、内蔵された検出装置1により肌領域が検出され、検出された肌領域の形状等に対応する処理が行われる。
【0151】
具体的には、例えば、ユーザが、検出装置1を内蔵した小型の携帯電話機に、いわゆるワンセグメント放送による放送信号を受信させて放送番組等を視聴している場合、ユーザが、チャンネルや音量の変更を指示するポスチャやジェスチャの動作を行なったときに、内蔵された検出装置1が、検出した肌領域に基づいて、ユーザのポスチャやジェスチャを検出し、その検出結果に対応して、チャンネルや音量の変更が制御される。
【0152】
なお、上述した照度分布における照度は、例えば、近赤外の波長域に感度を有するパワーメータを用いて、照射光を受光し、照射光を受光する受光部の面積と、受光部により受光された照射光の光とに基づいて算出することができる。
【0153】
また、受光した照射光を電気信号に変換する光電変換(O/E変換)を行なうディテクタ等とオシロスコープとを組み合わせることにより、電気的なレベルから、受光した照射光に対応する照度を算出することが可能である。
【0154】
ディレクタ等とオシロスコープとを組み合わせて照度を算出する場合には、ディテクタの受光感度から照射光の光量(照度)の絶対値を換算することにより、比較的正確な照度を算出できる。
【0155】
このような照度の算出方法を用いることにより、撮像部15の撮像範囲内の照度分布を算出することができる。
【0156】
なお、本実施の形態は、上述した第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0157】
1 検出装置, 11 制御部, 12 LED制御部, 13−1,13−2,13−1a,13−1b,13−2a,13−2b 光源部, 14 光学フィルタ, 15 撮像部, 16 撮像制御部, 17 画像処理部, 41,42 LED, 43 アナモルフィックレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像上から人間の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置において、
第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段と、
前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像を生成するとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像を生成する撮像生成手段と、
生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域を検出する検出手段と
を含み、
前記複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される
画像処理装置。
【請求項2】
前記照射手段が2個である場合、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称となるように配置され、
前記照射手段が4個以上である場合、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも、点対称又は線対称の一方となるように配置される
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像生成手段は、所定の撮像範囲で前記被写体を撮像することにより、前記第1及び第2の画像を生成するものであり、
前記第1及び第2の発光部から照射される光の指向特性を変化させて、前記所定の撮像範囲内に光を照射させる指向特性変化手段を
さらに含む請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記指向特性変化手段は、アナモルフィックレンズである
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の照射手段は、前記撮像生成手段を基準として、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の波長λ1及び前記第2の波長λ2は、以下の関係式を満たす
640nm≦λ1≦1000nm
900nm≦λ2≦1100nm
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の波長の光を照射したときの照度P1と、前記第2の波長の光を照射したときの照度P2との差分絶対値を所定の値で除算して得られる照度差ΔE、及び前記第1及び第2の波長それぞれに対する反射率が同一である被写体に対して得られる前記第1及び第2の画像の輝度値が同一となるときの照度差aは、以下の関係式を満たす
|ΔE-a| ≦ 10
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像上から人間の肌を表す肌領域を検出する画像処理装置を内蔵する電子装置において、
前記画像処理装置は、
第1の波長の光を発光する第1の発光部、及び前記第1の波長よりも長波長である第2の波長の光を発光する第2の発光部を有する複数の照射手段と、
前記第1の波長の光が発光しているときに入射される被写体からの反射光に基づいて第1の画像を生成するとともに、前記第2の波長の光が発光しているときに入射される前記被写体からの反射光に基づいて第2の画像を生成する撮像生成手段と、
生成された前記第1及び第2の画像に基づいて、前記肌領域を検出する検出手段と
を含み、
前記複数の照射手段は、前記照射手段それぞれにおける前記第1の発光部どうし、及び前記第2の発光部どうしがいずれも点対称又は線対称の一方となるように配置される
電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−58094(P2012−58094A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202041(P2010−202041)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】