画像処理装置
【解決手段】画像データを形成する画素データの色調は、基準値テーブルに設定された基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値、ならびに目標値テーブルに設定された目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値に基づいて、画質調整回路28によって補正される。色調補正を施された画像データに基づく画像は、ビデオエンコーダ30によってLCDモニタ34に表示される。一方、キャラクタジェネレータ36は、カーソルをLCDモニタ34にOSD表示する。セットキー56が操作されると、CPU46は、カーソルが指向する画素の色相を検出する。CPU46はまた、検出された色相を挟む色相を有する2つの基準H成分値に割り当てられた基準値番号を特定し、特定された基準値番号と同じ目標値番号に割り当てられた2つの目標C成分値を“0”に設定する。
【効果】操作性が向上する。
【効果】操作性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特にたとえばディジタルカメラに適用され、表示画像の色調を補正する、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の画像処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、イメージセンサによって撮影された画像データの色調を複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準値および複数の目標値を用いて補正しようとするものである。ここで、複数の代表色のいずれか1つが選択され、かつダイヤルキーが操作されると、選択された代表色に対応する目標値が変更される。これによって、好みに応じた色調補正が実現される。
【特許文献1】特開2003−9161号公報[H04N 1/46,1/60,9/04,9/68,G06T 1/00]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術では、予め用意された代表色の目標値のいずれか1つをメニュー上で選択する操作が必要であるため、操作性に欠けるという問題がある。また、予め用意された代表色の目標値しか変更できないため、オペレータの好みの色の色調を補正できるとは限らない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、操作性を向上させることができる、画像処理装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、所望の色の色調を補正することができる、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に従う画像処理装置は、画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、選択操作によって選択された画素の色相を検出する検出手段、検出手段によって検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定する特定手段、および特定手段によって特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する更新手段を備える。
【0007】
画像を形成する複数の画素の各々の色調は、複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて、補正手段によって補正される。補正された画像は、第1表示手段によって表示される。受付手段は、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける。検出手段は、選択操作によって選択された画素の色相を検出する。特定手段は、検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定し、更新手段は、特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。
【0008】
選択操作によって選択された任意の画素の色相に関連する2つの代表色に割り当てられた色調補正係数が更新される。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。つまり、表示画像に向けられた簡単な操作で、表示画像の色調が変化する。これによって、操作性を向上させることができる。
【0009】
請求項2の発明に従う画像処理装置は、請求項1に従属し、色調は色相,彩度および明度によって規定され、色調補正係数は色相,彩度および明度の少なくとも1つを補正する係数である。
【0010】
請求項3の発明に従う画像処理装置は、請求項1または2に従属し、第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、検出手段は第1操作を受け付けたとき前記ポインタによって指向される画素の色相を検出し、第1表示手段によって表示される画像は静止画像であり、第2表示手段は第2操作を受け付けたとき前記ポインタを任意の方向に移動させる。この場合、第2操作とその後の第1操作とによって、所望の色調補正が実現される。
【0011】
請求項4の発明に従う画像処理装置は、請求項1ないし3のいずれかに従属し、補正手段は、注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色調補正係数を用いて注目画素の色調を補正する。
【0012】
請求項5の発明に従う画像処理装置は、請求項1ないし4のいずれかに従属し、複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、補正手段の補正量は記憶手段によって記憶された複数の基準係数と複数の色調補正係数との差分に従う。
【0013】
請求項6の発明に従う画像処理装置は、画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて新規の代表色を規定する規定手段、および規定手段によって規定された代表色に新規の色調補正係数を割り当てる割り当て手段を備える。
【0014】
画像を形成する複数の画素の各々の色調は、複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて、補正手段によって補正される。補正された画像は、第1表示手段によって表示される。表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作が受付手段によって受け付けられると、規定手段は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて新規の代表色を規定する。割り当て手段は、規定手段によって規定された代表色に新規の色調補正係数を割り当てる。
【0015】
つまり、新規の代表色は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて規定され、新規の色調補正係数は、こうして規定された代表色に割り当てられる。表示画像の色調は、かかる新規の色調補正係数に基づいて補正される。これによって、所望の色について色調補正を行うことができる。
【0016】
請求項7の発明に従う画像処理装置は、請求項6に従属し、第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、任意の画素はポインタによって指向される画素である。これによって、操作性が向上する。
【0017】
請求項8の発明に従う画像処理装置は、請求項6または7に従属し、複数の色調補正係数の各々は色相補正係数および彩度補正係数を含み、割り当て手段は、色相に関して新規の代表色を挟む2つの代表色を特定する特定手段、および特定手段によって特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色相補正係数に線形補間を施して新規の色相補正係数を形成する色調補正係数を作成する第1作成手段を含む。これによって、新規の色相補正係数の値が周囲の色相補性係数の値から大きく外れることはない。
【0018】
請求項9の発明に従う画像処理装置は、請求項8に従属し、割り当て手段は、新規の色調補正係数を形成するかつ所定値を示す彩度補正係数を作成する第2作成手段をさらに含む。選択された画素の彩度は、所定値を示す彩度補正係数によって所定方向に補正される。
【0019】
請求項10の発明に従う画像処理装置は、請求項8または9に従属し、補正手段は、注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色相補正係数および2つの彩度補正係数を用いて注目画素の色調を補正する。
【0020】
請求項11の発明に従う画像処理装置は、請求項6ないし10のいずれかに従属し、複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、補正手段の補正量は記憶手段によって記憶された複数の基準係数と複数の色調補正係数との差分に従う。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、選択操作によって選択された任意の画素の色相に関連する2つの代表色に割り当てられた色調補正係数が更新される。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。つまり、表示画像に向けられた簡単な操作で、表示画像の色調が変化する。これによって、操作性を向上させることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、新規の代表色は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて規定され、新規の色調補正係数は、こうして規定された代表色に割り当てられる。表示画像の色調は、かかる新規の色調補正係数に基づいて補正される。これによって、所望の色について色調補正を行うことができる。
【0023】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、フォーカスレンズ12を含む。被写体の光学像は、このフォーカスレンズ12を経てイメージセンサ14の受光面に入射される。受光面では、入射された光学像に対応する電荷(生画像信号)が光電変換によって生成される。なお、受光面は、原色ベイヤ配列の色フィルタ(図示せず)によって覆われ、カメラ信号を形成する各々の画素信号は、R(Red),G(Green)およびB(Blue)のいずれか1つの色情報のみを持つ。
【0025】
モードキー60によってカメラモードが選択されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられる。CPU46は、スルー画像表示処理が実行するべく、TG(Timing Generator)16,信号処理回路22およびビデオエンコーダ30に処理命令を与える。
【0026】
イメージセンサ14はTG16によって駆動され、これによって生画像信号がイメージセンサ14から繰り返し読み出される。読み出された各フレームの生画像信号は、CDS/AGC回路18における周知のノイズ除去およびレベル調整を経て、A/D変換器20でディジタル信号に変換される。
【0027】
信号処理回路22は、A/D変換器20から出力された各フレームの生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの信号処理を施し、YUV形式の画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ制御回路24によってSDRAM26に書き込まれる。
【0028】
ビデオエンコーダ30は、SDRAM26に格納された画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された各フレームの画像データをNTSCフォーマットのコンポジットビデオ信号にエンコードする。エンコードされたコンポジットビデオ信号は、加算器32を通してLCDモニタ34に供給される。モニタ画面には、被写体のリアルタイム動画像が表示される。
【0029】
なお、加算器32は、キャラクタジェネレータ36からキャラクタ信号が出力されるとき、このキャラクタ信号をコンポジットビデオ信号に加算する。これによって、所望のキャラクタが画面にOSD態様で表示される。
【0030】
オペレータによってシャッタボタン50が押されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって圧縮/記録処理が実行される。CPU46はまず、JPEGコーデック38に向けて圧縮命令を発行する。JPEGコーデック38は、SDRAM26に格納された1フレームの画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データにJPEG圧縮を施し、そして圧縮画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0031】
CPU52はその後、メモリ制御回路24を通してSDRAM26から圧縮画像データを読み出し、読み出した圧縮画像データ含む画像ファイルをI/F回路40を通してメモリカード42に記録する。なお、メモリカード42は着脱自在な不揮発性の記録媒体であり、スロット(図示せず)に装着されたときにCPU46によってアクセス可能となる。
【0032】
モードキー60によって再生モードが選択されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって再生処理が実行される。
【0033】
CPU46はまず、メモリカード42内の画像ファイルに格納された圧縮画像データをI/F回路40を通して読み出し、読み出された圧縮画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。CPU46はさらに、JPEGコーデック38に伸長命令を与え、ビデオエンコーダ30に処理命令を与える。
【0034】
JPEGコーデック38は、SDRAM26に格納された圧縮画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データにJPEG伸長を施し、そして伸長された画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0035】
ビデオエンコーダ30は、SDRAM26に格納された画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データをNTSCフォーマットのコンポジットビデオ信号にエンコードし、そしてエンコードされたコンポジットビデオ信号を加算器32を通してモニタ34に供給する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0036】
また、スルー画像あるいは再生画像がLCDモニタ34に表示されている状態で画質調整キー52が操作されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって画質調整処理が実行される。
【0037】
現時点のモードがカメラモードであれば、CPU46は、TG16および信号処理回路22を不能化する。LCDモニタ34の表示は、スルー画像からフリーズ画像に遷移する。つまり、画質調整キー52が操作されると、フリーズ画像や再生画像のような静止画像が、たとえば図13に示す要領でモニタ画面に表示される。
【0038】
CPU46は次に、キャラクタジェネレータ36にキャラクタ信号の出力を命令する。キャラクタジェネレータ36から出力されたキャラクタ信号は加算器32を経てLCDモニタ34に与えられる。この結果、十字状のカーソルCSが図13に示すようにモニタ画面にOSD表示される。
【0039】
ここで十字キー54が操作されると、対応する状態信号がCPU46に与えられる。CPU46は、カーソル移動命令をキャラクタジェネレータ36に命令する。キャラクタジェネレータ36はキャラクタ信号の発生タイミングを変更し、この結果、カーソルCSの表示位置が所望の方向に移動する。
【0040】
セットキー56が操作されると、対応する状態信号がCPU46に与えられる。CPU46は、後述する目標値テーブル28jに設定された12個の目標C成分値のうち、カーソルCSが指向する画素の色相を挟む2つの目標C成分値を“0”に設定する。かかる目標値テーブル28jの変更が完了すると、画質調整回路28に向けて処理命令を発行する。
【0041】
画質調整回路28は、SDRAM26に格納された画像データ(フリーズ画像または再生画像に対応)をメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データに色調補正を施す。色調が補正された画像データは、その後メモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0042】
ビデオエンコーダ30は、こうして画質が調整された画像データをSDRAM26から読み出す。この結果、LCDモニタ34に表示されるフリーズ画像または再生静止画像の画質が変化する。具体的には、カーソルCSが指向する色が消去される。図13に示す草花の画像について、カーソルCSが緑色の葉を指向する状態でセットキー56が操作されたときは、緑色が画面上から消去される。
【0043】
こうして画質が変化した後にシャッタボタン50が操作されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって圧縮/記録処理が実行される。この結果、画質が変化した画像データが圧縮状態でメモリカード42に記録される。
【0044】
画質調整回路28は、図2に示すように構成される。SDRAM26から読み出された画像データの信号形式は、LCH変換回路28aによってYUV形式からLCH形式に変換される。変換された画像データを形成するL成分(明度成分),C成分(彩度成分)およびH成分(色相成分)は、L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dにそれぞれ与えられる。L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dはそれぞれ、入力されたL成分,C成分およびH成分に所定の演算を施し、補正L成分,補正C成分および補正H成分を求める。求められた補正H成分,補正C成分および補正L成分からなる画像データはその後、YUV変換回路28eによってYUV形式の画像データに戻され、かかるYUV形式の画像データがSDRAM26に書き込まれる。
【0045】
LCH変換回路28aから出力されたH成分は、領域判別回路28fにも与えられる。領域判別回路28fは、フラッシュメモリ28hに形成された基準値テーブル28iを参照して、LCH変換回路28aから与えられたH成分の属する領域を判別する。領域判別回路28fはまた、判別結果に対応する2つの基準値および2つの目標値を基準値テーブル28iおよび目標値テーブル28jから読み出す。L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dによる演算は、読み出された基準値および目標値に基づいて行われる。
【0046】
図3を参照して、基準値テーブル28iには、12個の基準H成分値,12個の基準C成分値および12個の基準L成分値が書き込まれている。H,CおよびLはそれぞれ色相,彩度および明度を意味し、いずれも色調整のためのパラメータである。互いに関連する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値には同じ基準値番号N(0〜11)が割り当てられ、基準値番号が共通する3つの成分値(基準H成分値,基準C成分値,基準L成分値)によって基準値が規定される。かかる12個の基準値は、図5および図6に示すようにYUV空間に分布する。なお、図6には基準値番号が“9”の基準値のみを示している。
【0047】
一方、目標値テーブル28jは、図4に示すように形成される。図3に示す基準値テーブル28iと同様、色相(H),彩度(C)および明度(L)の各々に関する12個の目標H成分値,12個の目標C成分値および12個の目標L成分値が設定され、同じ目標値番号N(=0〜11)に割り当てられた目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値によって目標値が規定される。目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値が図4に示す数値を示すとき、12個の目標値は図5および図6に示すようにYUV空間に分布する。なお、図6には目標値番号が“9”の目標値のみを示している。
【0048】
図5から分かるように、N=2の基準値は“Magenta”に対応し、N=3の基準値は“Red”に対応し、N=5の基準値は“Yellow”に対応し、N=8の基準値は“Green”に対応し、N=10の基準値は“Cyan”に対応し、そしてN=11の基準値は“Blue”に対応する。また、N=0,1,4,6,7および9の基準値は、上述の色以外の色に対応する。なお、この実施例では、基準値テーブル28iに設定された基準値によって規定される色を“代表色”と定義する。
【0049】
領域判別回路28fは、画像データを形成する各画素について領域判別と判別結果に応じた基準値および目標値の選択とを行うべく、図7に示すフロー図に従う処理を1画素毎に実行する。まずステップS1でカウンタ28nのカウント値Nを“0”に設定し、ステップS3でカウント値Nに対応する基準H成分値を基準値テーブル28iから読み出す。ステップS5では、LCH変換回路28aから入力した現画素のH成分値(現画素H成分値)を基準値テーブル28iから読み出された基準H成分値と比較する。
【0050】
ステップS5で基準H成分値>現画素H成分値と判断されると、ステップS11でカウント値Nを“0”と比較する。ここでN=0であればステップS13〜S19を処理するが、N>1であればステップS21〜S27を処理する。一方、基準H成分値≦現画素H成分値であれば、ステップS7でカウンタ22sをインクリメントし、続くステップS9で更新後のカウント値Nを最大値Nmaxと比較する。そして、N≦NmaxであればステップS3に戻るが、N>NmaxであればステップS21〜S27を処理する。なお、最大値Nmaxは、基準値番号または目標値番号の最大値であり、この実施例では常に“11”である。
【0051】
ステップS13では、現時点のカウント値Nに対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr1,Cr1およびLr1として基準値テーブル28iから選択し、ステップS15では、現時点のカウント値Nに対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt1,Ct1およびLt1として目標値テーブル28jから選択する。また、ステップS17では、カウント値N−1に対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr2,Cr2もよびLr2として基準値テーブル28iから選択し、ステップS19では、カウント値N−1に対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt2,Ct2およびLt2として目標値テーブル28jから選択する。
【0052】
一方、ステップS21では、カウント値N=0に対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr1,Cr1およびLr1として基準値テーブル28iから選択し、ステップS23では、カウント値N=0に対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt1,Ct1およびLt1として目標値テーブル28jから選択する。また、ステップS25では、カウント値N=Nmaxに対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr2,Cr2およびLr2として基準値テーブル28iから選択し、ステップS27では、カウント値N=Nmaxに対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt2,Ct2およびLt2として目標値テーブル28jから選択する。
【0053】
このようにして、色相に関して現画素値を挟む2つの基準値と、この2つの基準値に対応する2つの目標値とが検出される。
【0054】
基準H成分値Hr1およびHr2ならびに目標H成分値Ht1およびHt2はH調整回路28dに与えられる。また、基準C成分値Cr1およびCr2ならびに目標C成分値Ct1およびCt2はC調整回路28cに与えられる。さらに、基準L成分値Lr1およびLr2ならびに目標L成分値Lt1およびLt2はL調整回路28bに与えられる。
【0055】
H調整回路28dは、LCH変換回路28aから現画素H成分値Hinを取り込み、数1に従って補正H成分値Houtを算出する。算出された補正H成分値Houtは、図8に破線で示す角度にシフトする。
【0056】
【数1】
【0057】
H調整回路28dはまた、角度データα(=|Hr2−Hin|)およびβ(=|Hr1−Hin|)をC調整回路28cおよびL調整回路28bに出力するとともに、角度データγ(=|Ht2−Hout|)およびδ=(|Ht1−Hout|)をL調整回路28bに出力する。
【0058】
C調整回路28cは、LCH変換回路28aから取り込んだ現画素C成分値Cinに数2に示す演算を施し、図9に示す補正C成分値Coutを算出する。
【0059】
【数2】
【0060】
C調整回路28cはまた、数3を演算して、CH系の座標(0,0)および(Cin,Hin)を結ぶ直線と座標(Cr1,Hr1)および(Cr2,Hr2)を結ぶ直線との交点座標におけるC成分値Cr3、ならびにCH系の座標(0,0)および(Cout,Hout)を結ぶ直線と座標(Ct1,Ht1)および(Ct2,Ht2)を結ぶ直線との交点座標におけるC成分値Ct3を算出する。そして、算出したC成分値Cr3およびCt3を上述の現画素C成分値Cinおよび補正C成分値CoutとともにL調整回路28bに出力する。
【0061】
【数3】
【0062】
L調整回路28bは、LCH変換回路28aから現画素L成分値Linを取り込み、数4に従って図10に示す補正L成分値Loutを求める。図10に示すLmaxおよびLminはそれぞれ、再現できるL(明度)の最大値および最小値である。現画素値(入力画素値)は、LCH系の座標(Lmax,0,0)、(Lmin,0,0)および(Lr3,Cr3,Hin)によって形成される面(YUV空間を色相Hinで切り出した面)上に存在する。一方、補正画素値は、LCH系の座標(Lmax,0,0)、(Lmin,0,0)および(Lt3,Ct3,Hout)によって形成される面(YUV空間を色相Houtで切り出した面)上に存在する。
【0063】
【数4】
【0064】
このようにして求められた補正H成分値Hout,補正C成分値Coutおよび補正L成分値Loutによって、補正画素値が規定される。なお、現画素値は、LCH変換回路28aから出力された現画素H成分値Hin,現画素C成分値Cinおよび現画素L成分値Linによって規定される。
【0065】
CPU46は、画質調整キー52が操作されたとき、図11に示すフロー図に従う画質調整処理を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ62に記憶される。
【0066】
まずステップS31で現時点のモードがカメラモードであるか否か判別する。ここでNOであれば直接ステップS35に進むが、YESであれば、ステップS33でTG16および信号処理回路22を不能化してからステップS35に進む。
【0067】
ステップS35では、カーソルCSを示すキャラクタ信号の出力をキャラクタジェネレータ36に命令する。この結果、カーソルCSがモニタ画面に表示される。
【0068】
ステップS37ではセットキー56が操作されたか否かを判別し、ステップS43では十字キー54が操作されたか否かを判別する。また、ステップS47ではシャッタボタン50が操作されたか否か判別し、ステップS51ではキャンセルキー58が操作されたか否か判別する。
【0069】
セットキー56が操作されたときは、ステップS37でYESと判断し、ステップS39でテーブル更新処理を実行する。ステップS41では画質調整回路28に向けて処理命令を発行する。画質調整回路28は、基準値テーブル28iとステップS39によって更新された目標値テーブル28jとを参照して色調補正を実行する。この結果、LCDモニタ34に表示されたフリーズ画像または再生画像から、カーソルCSが指向する色が消去される。
【0070】
十字キー54が操作されたときはステップS43でYESと判断し、ステップS45でカーソルCSの移動命令をキャラクタジェネレータ36に向けて発行する。キャラクタジェネレータ36は、キャラクタ信号の出力タイミングを変更する。これによって、カーソルCSの表示位置が所望の方向に移動する。
【0071】
シャッタボタン50が操作されたときは、ステップS47でYESと判断し、ステップS49で圧縮/記録処理を実行する。この結果、画質が調整された画像データが圧縮状態でメモリカード42に記録される。キャンセルキー58が操作されたときは、ステップS43でYESと判断し、上階層のルーチンに復帰する。
【0072】
ステップS39のテーブル更新処理は、図12に示すサブルーチンに従って実行される。まずステップS61で、カーソルCSが指向する画素の色相を検出する。具体的には、注目する画素データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26から読み出し、読み出された画素データにLCH変換を施し、そしてH成分値を検出する。ステップS63では検出されたH成分値を挟む2つの基準H成分値を基準値テーブル28iから特定し、ステップS65では特定された2つの基準H成分値にそれぞれ対応する2つの基準値番号を検出する。ステップS67では、検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号にそれぞれ割り当てられた2つの目標C成分値を“0”に設定する。ステップS67の処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0073】
以上の説明から分かるように、画像データを形成する画素データの色調は、基準値テーブル28iに設定された基準値(基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値)、ならびに目標値テーブル28jに設定された目標値(目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値)に基づいて、画質調整回路28によって補正される。
【0074】
ここで、基準値テーブル28iに設定された複数の基準値の各々が代表色を規定する。目標値テーブル28jに設定された目標値は、各々の代表色に割り当てられる。なお、目標H成分値が色相補正係数であり、目標C成分値が彩度補正係数である。
【0075】
色調補正を施された画像データに基づく画像は、ビデオエンコーダ30によってLCDモニタ34に表示される。一方、キャラクタジェネレータ36は、ポインタであるカーソルCSをLCDモニタ34にOSD表示する。
【0076】
セットキー56が操作されると、CPU46は、カーソルCSが指向する画素の色相を検出する(S61)。CPU46はまた、検出された色相を挟む色相を有する2つの基準H成分値に割り当てられた基準値番号を特定し(S63, S65)、特定された基準値番号と同じ目標値番号に割り当てられた2つの目標C成分値を所定値である“0”に設定する(S65)。
【0077】
LCDモニタ34に表示される画像の色調は、かかる目標C成分値の更新によって変化する。具体的には、カーソルCSが指向する画素の色と同じ色が、画面上から消去される。このように表示画像の色調は表示画像に向けられた簡単な操作によって変化するため、操作性が向上する。
【0078】
なお、この実施例では、ステップS65で目標C成分値を“0”に変更するようにしているが、目標C成分値は“0”以外の数値に変更してもよい。また、この実施例では、目標C成分値を変更するようにしているが、これに代えて目標H成分値または目標L成分値を変更したり、目標C成分値,目標H成分値および目標L成分値の全てを変更するようにしてもよい。
【0079】
他の実施例のディジタルカメラは、CPU46が図12に示すサブルーチンに代えて図14に示すサブルーチンを実行する点を除き、上述の実施例と同じであるため、同じ部分に関する重複した説明は省略する。
【0080】
図14を参照して、ステップS71ではカーソルCSが指向する画素の色相(H成分値)をステップS61と同じ要領で検出し、検出されたH成分値を基準H成分値として基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。つまり、基準H成分値を基準値テーブル28iに新規に設定する。
【0081】
ステップS73では、ステップS71で検出されたH成分値を挟む2つの基準H成分値を特定し、ステップS75では特定された2つの基準H成分値に割り当てられた2つの基準値番号を検出する。
【0082】
ステップS77では、検出された2つの基準値番号に対応する2つの基準C成分値を基準値テーブル28iから読み出し、読み出された基準C成分値の線形補間によって新規の基準C成分値を作成し、そして作成された基準C成分値を基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。
【0083】
ステップS79では、ステップS75で検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号に割り当てられた2つの目標H成分値を目標値テーブル28jから読み出し、読み出された目標H成分値の線形補間によって新規の目標H成分値を作成し、そして作成された目標H成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。ステップS81では、“0”を示す目標H成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。
【0084】
ステップS83では、検出された2つの基準値番号に対応する2つの基準L成分値を基準値テーブル28iから読み出し、読み出された基準L成分値の線形補間によって新規の基準L成分値を作成し、そして作成された基準L成分値を基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。
【0085】
ステップS85では、ステップS75で検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号に割り当てられた2つの目標L成分値を目標値テーブル28jから読み出し、読み出された目標L成分値の線形補間によって新規の目標H成分値を作成し、そして作成された目標L成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。
【0086】
ステップS87では、基準値テーブル28iに設定された13個の基準値を基準H成分値が大きくなる順にソートし、さらに目標値テーブル28jに設定された13個の目標値を基準値テーブル28iとの対応関係が確保されるようにソートする。かかるソートが完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0087】
画質調整回路28は、基準値が追加された基準値テーブル28iおよび目標値が追加された目標値テーブル28jを参照して、色調補正を行う。領域判別回路28fの動作に必要な最大値Nmaxは、追加された基準値および目標値が1つであれば“12”となり、追加された基準値および目標値が2つであれば“13”となる。
【0088】
基準値テーブル28iに当初から設定されている12個の基準値、および目標値テーブル28jに当初から設定されている12個の目標値は、図15に示す要領でCH平面上に分布する。さらに、基準値番号“6”および“7”に対応する基準値、ならびに目標値番号“6”および“7”に対応する目標値は、図16に示す要領でCH平面上に分布する。
【0089】
カーソルCSが示す画素の色相がHrsであれば、“Hrs”を示す基準H成分値がステップS71で基準値テーブル28iに設定される。ステップS77の線形補間では、基準C成分値Cr6およびCr7が“Hr6−Hrs”および“Hr7−Hrs”との比率に従う重み付け加算を施される。これによって、基準C成分値Crsが求められる。ステップS79の線形補間では、目標H成分値Ht6およびHt7が“Hr6−Hrs”および“Hr7−Hrs”との比率に従う重み付け加算を施される。これによって、目標H成分値Htsが求められる。
【0090】
以上の説明から分かるように、画像データを形成する画素データの色調は、基準値テーブル28iに設定された基準値(基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値)、ならびに目標値テーブル28jに設定された目標値(目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値)に基づいて、画質調整回路28によって補正される。
【0091】
ここで、基準値テーブル28iに設定された複数の基準値が代表色を規定する。目標値テーブル28jに設定された目標値は、各々の代表色に割り当てられる。なお、目標H成分値が色相補正係数であり、目標C成分値が彩度補正係数である。
【0092】
色調補正を施された画像データに基づく画像は、ビデオエンコーダ30によってLCDモニタ34に表示される。一方、キャラクタジェネレータ36は、ポインタであるカーソルCSをLCDモニタ34にOSD表示する。
【0093】
セットキー56が操作されると、CPU46は、カーソルCSが指向する画素の色相を検出し、検出された色相を基準H成分値として新規の代表色に割り当てる(S71)。CPU46はまた、線形補間によって求めた基準C成分値および基準L成分値をこの新規の代表色に割り当てる(S77, S83)。
【0094】
CPU46はさらに、色相に関して新規の代表色を挟む2つの代表色を特定する(S75)。CPU46はまた、特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの目標H成分値に線形補間を施して新規の目標H成分値を作成し(S79)、特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの目標L成分値に線形補間を施して新規の目標L成分値を作成し(S85)、そして所定値であり“0”を示す目標C成分値を作成する。作成された新規の目標値は、新規の代表色に割り当てられる。LCDモニタ34に表示される画像の色調は、かかる新規の目標値に基づいて補正される。これによって、オペレータの好みの色について色調補正を行うことができる。
【0095】
なお、この実施例では、フリーズ画像または再生画像に色調補正を施すようにしているが、これに代えてスルー画像に色調補正を施すようにしてもよい。この場合、画質調整回路28は、信号処理回路22内に設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】画質調整回路の一例を示すブロック図である。
【図3】基準値テーブルを示す図解図である。
【図4】目標値テーブルを示す図解図である。
【図5】基準値および目標値の分布状態の一例を示す図解図である。
【図6】基準値および目標値の分布状態の他の一例を示す図解図である。
【図7】領域判別回路の動作の一部を示すフロー図である。
【図8】図1実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図9】図1実施例の動作の他の一部を示す図解図である。
【図10】図1実施例の動作のその他の一部を示す図解図である。
【図11】画質調整を行うときのCPUの動作を示すフロー図である。
【図12】画質調整を行うときのCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図1実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図14】この発明の他の実施例の動作の一部を示すフロー図である。
【図15】図14実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図16】図14実施例の動作のその他の一部を示す図解図である。
【符号の説明】
【0097】
10 …ディジタルカメラ
14 …イメージセンサ
26 …SDRAM
28 …画質調整回路
32 …LCDモニタ
48 …CPU
52 …画質調整キー
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特にたとえばディジタルカメラに適用され、表示画像の色調を補正する、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の画像処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、イメージセンサによって撮影された画像データの色調を複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準値および複数の目標値を用いて補正しようとするものである。ここで、複数の代表色のいずれか1つが選択され、かつダイヤルキーが操作されると、選択された代表色に対応する目標値が変更される。これによって、好みに応じた色調補正が実現される。
【特許文献1】特開2003−9161号公報[H04N 1/46,1/60,9/04,9/68,G06T 1/00]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術では、予め用意された代表色の目標値のいずれか1つをメニュー上で選択する操作が必要であるため、操作性に欠けるという問題がある。また、予め用意された代表色の目標値しか変更できないため、オペレータの好みの色の色調を補正できるとは限らない。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、操作性を向上させることができる、画像処理装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、所望の色の色調を補正することができる、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に従う画像処理装置は、画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、選択操作によって選択された画素の色相を検出する検出手段、検出手段によって検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定する特定手段、および特定手段によって特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する更新手段を備える。
【0007】
画像を形成する複数の画素の各々の色調は、複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて、補正手段によって補正される。補正された画像は、第1表示手段によって表示される。受付手段は、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける。検出手段は、選択操作によって選択された画素の色相を検出する。特定手段は、検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定し、更新手段は、特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。
【0008】
選択操作によって選択された任意の画素の色相に関連する2つの代表色に割り当てられた色調補正係数が更新される。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。つまり、表示画像に向けられた簡単な操作で、表示画像の色調が変化する。これによって、操作性を向上させることができる。
【0009】
請求項2の発明に従う画像処理装置は、請求項1に従属し、色調は色相,彩度および明度によって規定され、色調補正係数は色相,彩度および明度の少なくとも1つを補正する係数である。
【0010】
請求項3の発明に従う画像処理装置は、請求項1または2に従属し、第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、検出手段は第1操作を受け付けたとき前記ポインタによって指向される画素の色相を検出し、第1表示手段によって表示される画像は静止画像であり、第2表示手段は第2操作を受け付けたとき前記ポインタを任意の方向に移動させる。この場合、第2操作とその後の第1操作とによって、所望の色調補正が実現される。
【0011】
請求項4の発明に従う画像処理装置は、請求項1ないし3のいずれかに従属し、補正手段は、注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色調補正係数を用いて注目画素の色調を補正する。
【0012】
請求項5の発明に従う画像処理装置は、請求項1ないし4のいずれかに従属し、複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、補正手段の補正量は記憶手段によって記憶された複数の基準係数と複数の色調補正係数との差分に従う。
【0013】
請求項6の発明に従う画像処理装置は、画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて新規の代表色を規定する規定手段、および規定手段によって規定された代表色に新規の色調補正係数を割り当てる割り当て手段を備える。
【0014】
画像を形成する複数の画素の各々の色調は、複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて、補正手段によって補正される。補正された画像は、第1表示手段によって表示される。表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作が受付手段によって受け付けられると、規定手段は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて新規の代表色を規定する。割り当て手段は、規定手段によって規定された代表色に新規の色調補正係数を割り当てる。
【0015】
つまり、新規の代表色は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて規定され、新規の色調補正係数は、こうして規定された代表色に割り当てられる。表示画像の色調は、かかる新規の色調補正係数に基づいて補正される。これによって、所望の色について色調補正を行うことができる。
【0016】
請求項7の発明に従う画像処理装置は、請求項6に従属し、第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、任意の画素はポインタによって指向される画素である。これによって、操作性が向上する。
【0017】
請求項8の発明に従う画像処理装置は、請求項6または7に従属し、複数の色調補正係数の各々は色相補正係数および彩度補正係数を含み、割り当て手段は、色相に関して新規の代表色を挟む2つの代表色を特定する特定手段、および特定手段によって特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色相補正係数に線形補間を施して新規の色相補正係数を形成する色調補正係数を作成する第1作成手段を含む。これによって、新規の色相補正係数の値が周囲の色相補性係数の値から大きく外れることはない。
【0018】
請求項9の発明に従う画像処理装置は、請求項8に従属し、割り当て手段は、新規の色調補正係数を形成するかつ所定値を示す彩度補正係数を作成する第2作成手段をさらに含む。選択された画素の彩度は、所定値を示す彩度補正係数によって所定方向に補正される。
【0019】
請求項10の発明に従う画像処理装置は、請求項8または9に従属し、補正手段は、注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色相補正係数および2つの彩度補正係数を用いて注目画素の色調を補正する。
【0020】
請求項11の発明に従う画像処理装置は、請求項6ないし10のいずれかに従属し、複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、補正手段の補正量は記憶手段によって記憶された複数の基準係数と複数の色調補正係数との差分に従う。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、選択操作によって選択された任意の画素の色相に関連する2つの代表色に割り当てられた色調補正係数が更新される。第1表示手段によって表示される画像の色調は、色調補正係数の更新によって変化する。つまり、表示画像に向けられた簡単な操作で、表示画像の色調が変化する。これによって、操作性を向上させることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、新規の代表色は、選択操作によって選択された画素の色相に基づいて規定され、新規の色調補正係数は、こうして規定された代表色に割り当てられる。表示画像の色調は、かかる新規の色調補正係数に基づいて補正される。これによって、所望の色について色調補正を行うことができる。
【0023】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、フォーカスレンズ12を含む。被写体の光学像は、このフォーカスレンズ12を経てイメージセンサ14の受光面に入射される。受光面では、入射された光学像に対応する電荷(生画像信号)が光電変換によって生成される。なお、受光面は、原色ベイヤ配列の色フィルタ(図示せず)によって覆われ、カメラ信号を形成する各々の画素信号は、R(Red),G(Green)およびB(Blue)のいずれか1つの色情報のみを持つ。
【0025】
モードキー60によってカメラモードが選択されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられる。CPU46は、スルー画像表示処理が実行するべく、TG(Timing Generator)16,信号処理回路22およびビデオエンコーダ30に処理命令を与える。
【0026】
イメージセンサ14はTG16によって駆動され、これによって生画像信号がイメージセンサ14から繰り返し読み出される。読み出された各フレームの生画像信号は、CDS/AGC回路18における周知のノイズ除去およびレベル調整を経て、A/D変換器20でディジタル信号に変換される。
【0027】
信号処理回路22は、A/D変換器20から出力された各フレームの生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの信号処理を施し、YUV形式の画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ制御回路24によってSDRAM26に書き込まれる。
【0028】
ビデオエンコーダ30は、SDRAM26に格納された画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された各フレームの画像データをNTSCフォーマットのコンポジットビデオ信号にエンコードする。エンコードされたコンポジットビデオ信号は、加算器32を通してLCDモニタ34に供給される。モニタ画面には、被写体のリアルタイム動画像が表示される。
【0029】
なお、加算器32は、キャラクタジェネレータ36からキャラクタ信号が出力されるとき、このキャラクタ信号をコンポジットビデオ信号に加算する。これによって、所望のキャラクタが画面にOSD態様で表示される。
【0030】
オペレータによってシャッタボタン50が押されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって圧縮/記録処理が実行される。CPU46はまず、JPEGコーデック38に向けて圧縮命令を発行する。JPEGコーデック38は、SDRAM26に格納された1フレームの画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データにJPEG圧縮を施し、そして圧縮画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0031】
CPU52はその後、メモリ制御回路24を通してSDRAM26から圧縮画像データを読み出し、読み出した圧縮画像データ含む画像ファイルをI/F回路40を通してメモリカード42に記録する。なお、メモリカード42は着脱自在な不揮発性の記録媒体であり、スロット(図示せず)に装着されたときにCPU46によってアクセス可能となる。
【0032】
モードキー60によって再生モードが選択されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって再生処理が実行される。
【0033】
CPU46はまず、メモリカード42内の画像ファイルに格納された圧縮画像データをI/F回路40を通して読み出し、読み出された圧縮画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。CPU46はさらに、JPEGコーデック38に伸長命令を与え、ビデオエンコーダ30に処理命令を与える。
【0034】
JPEGコーデック38は、SDRAM26に格納された圧縮画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データにJPEG伸長を施し、そして伸長された画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0035】
ビデオエンコーダ30は、SDRAM26に格納された画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データをNTSCフォーマットのコンポジットビデオ信号にエンコードし、そしてエンコードされたコンポジットビデオ信号を加算器32を通してモニタ34に供給する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0036】
また、スルー画像あるいは再生画像がLCDモニタ34に表示されている状態で画質調整キー52が操作されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって画質調整処理が実行される。
【0037】
現時点のモードがカメラモードであれば、CPU46は、TG16および信号処理回路22を不能化する。LCDモニタ34の表示は、スルー画像からフリーズ画像に遷移する。つまり、画質調整キー52が操作されると、フリーズ画像や再生画像のような静止画像が、たとえば図13に示す要領でモニタ画面に表示される。
【0038】
CPU46は次に、キャラクタジェネレータ36にキャラクタ信号の出力を命令する。キャラクタジェネレータ36から出力されたキャラクタ信号は加算器32を経てLCDモニタ34に与えられる。この結果、十字状のカーソルCSが図13に示すようにモニタ画面にOSD表示される。
【0039】
ここで十字キー54が操作されると、対応する状態信号がCPU46に与えられる。CPU46は、カーソル移動命令をキャラクタジェネレータ36に命令する。キャラクタジェネレータ36はキャラクタ信号の発生タイミングを変更し、この結果、カーソルCSの表示位置が所望の方向に移動する。
【0040】
セットキー56が操作されると、対応する状態信号がCPU46に与えられる。CPU46は、後述する目標値テーブル28jに設定された12個の目標C成分値のうち、カーソルCSが指向する画素の色相を挟む2つの目標C成分値を“0”に設定する。かかる目標値テーブル28jの変更が完了すると、画質調整回路28に向けて処理命令を発行する。
【0041】
画質調整回路28は、SDRAM26に格納された画像データ(フリーズ画像または再生画像に対応)をメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データに色調補正を施す。色調が補正された画像データは、その後メモリ制御回路24を通してSDRAM26に書き込む。
【0042】
ビデオエンコーダ30は、こうして画質が調整された画像データをSDRAM26から読み出す。この結果、LCDモニタ34に表示されるフリーズ画像または再生静止画像の画質が変化する。具体的には、カーソルCSが指向する色が消去される。図13に示す草花の画像について、カーソルCSが緑色の葉を指向する状態でセットキー56が操作されたときは、緑色が画面上から消去される。
【0043】
こうして画質が変化した後にシャッタボタン50が操作されると、対応する状態信号がシステムコントローラ48からCPU46に与えられ、CPU46によって圧縮/記録処理が実行される。この結果、画質が変化した画像データが圧縮状態でメモリカード42に記録される。
【0044】
画質調整回路28は、図2に示すように構成される。SDRAM26から読み出された画像データの信号形式は、LCH変換回路28aによってYUV形式からLCH形式に変換される。変換された画像データを形成するL成分(明度成分),C成分(彩度成分)およびH成分(色相成分)は、L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dにそれぞれ与えられる。L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dはそれぞれ、入力されたL成分,C成分およびH成分に所定の演算を施し、補正L成分,補正C成分および補正H成分を求める。求められた補正H成分,補正C成分および補正L成分からなる画像データはその後、YUV変換回路28eによってYUV形式の画像データに戻され、かかるYUV形式の画像データがSDRAM26に書き込まれる。
【0045】
LCH変換回路28aから出力されたH成分は、領域判別回路28fにも与えられる。領域判別回路28fは、フラッシュメモリ28hに形成された基準値テーブル28iを参照して、LCH変換回路28aから与えられたH成分の属する領域を判別する。領域判別回路28fはまた、判別結果に対応する2つの基準値および2つの目標値を基準値テーブル28iおよび目標値テーブル28jから読み出す。L調整回路28b,C調整回路28cおよびH調整回路28dによる演算は、読み出された基準値および目標値に基づいて行われる。
【0046】
図3を参照して、基準値テーブル28iには、12個の基準H成分値,12個の基準C成分値および12個の基準L成分値が書き込まれている。H,CおよびLはそれぞれ色相,彩度および明度を意味し、いずれも色調整のためのパラメータである。互いに関連する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値には同じ基準値番号N(0〜11)が割り当てられ、基準値番号が共通する3つの成分値(基準H成分値,基準C成分値,基準L成分値)によって基準値が規定される。かかる12個の基準値は、図5および図6に示すようにYUV空間に分布する。なお、図6には基準値番号が“9”の基準値のみを示している。
【0047】
一方、目標値テーブル28jは、図4に示すように形成される。図3に示す基準値テーブル28iと同様、色相(H),彩度(C)および明度(L)の各々に関する12個の目標H成分値,12個の目標C成分値および12個の目標L成分値が設定され、同じ目標値番号N(=0〜11)に割り当てられた目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値によって目標値が規定される。目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値が図4に示す数値を示すとき、12個の目標値は図5および図6に示すようにYUV空間に分布する。なお、図6には目標値番号が“9”の目標値のみを示している。
【0048】
図5から分かるように、N=2の基準値は“Magenta”に対応し、N=3の基準値は“Red”に対応し、N=5の基準値は“Yellow”に対応し、N=8の基準値は“Green”に対応し、N=10の基準値は“Cyan”に対応し、そしてN=11の基準値は“Blue”に対応する。また、N=0,1,4,6,7および9の基準値は、上述の色以外の色に対応する。なお、この実施例では、基準値テーブル28iに設定された基準値によって規定される色を“代表色”と定義する。
【0049】
領域判別回路28fは、画像データを形成する各画素について領域判別と判別結果に応じた基準値および目標値の選択とを行うべく、図7に示すフロー図に従う処理を1画素毎に実行する。まずステップS1でカウンタ28nのカウント値Nを“0”に設定し、ステップS3でカウント値Nに対応する基準H成分値を基準値テーブル28iから読み出す。ステップS5では、LCH変換回路28aから入力した現画素のH成分値(現画素H成分値)を基準値テーブル28iから読み出された基準H成分値と比較する。
【0050】
ステップS5で基準H成分値>現画素H成分値と判断されると、ステップS11でカウント値Nを“0”と比較する。ここでN=0であればステップS13〜S19を処理するが、N>1であればステップS21〜S27を処理する。一方、基準H成分値≦現画素H成分値であれば、ステップS7でカウンタ22sをインクリメントし、続くステップS9で更新後のカウント値Nを最大値Nmaxと比較する。そして、N≦NmaxであればステップS3に戻るが、N>NmaxであればステップS21〜S27を処理する。なお、最大値Nmaxは、基準値番号または目標値番号の最大値であり、この実施例では常に“11”である。
【0051】
ステップS13では、現時点のカウント値Nに対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr1,Cr1およびLr1として基準値テーブル28iから選択し、ステップS15では、現時点のカウント値Nに対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt1,Ct1およびLt1として目標値テーブル28jから選択する。また、ステップS17では、カウント値N−1に対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr2,Cr2もよびLr2として基準値テーブル28iから選択し、ステップS19では、カウント値N−1に対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt2,Ct2およびLt2として目標値テーブル28jから選択する。
【0052】
一方、ステップS21では、カウント値N=0に対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr1,Cr1およびLr1として基準値テーブル28iから選択し、ステップS23では、カウント値N=0に対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt1,Ct1およびLt1として目標値テーブル28jから選択する。また、ステップS25では、カウント値N=Nmaxに対応する基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値をHr2,Cr2およびLr2として基準値テーブル28iから選択し、ステップS27では、カウント値N=Nmaxに対応する目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値をHt2,Ct2およびLt2として目標値テーブル28jから選択する。
【0053】
このようにして、色相に関して現画素値を挟む2つの基準値と、この2つの基準値に対応する2つの目標値とが検出される。
【0054】
基準H成分値Hr1およびHr2ならびに目標H成分値Ht1およびHt2はH調整回路28dに与えられる。また、基準C成分値Cr1およびCr2ならびに目標C成分値Ct1およびCt2はC調整回路28cに与えられる。さらに、基準L成分値Lr1およびLr2ならびに目標L成分値Lt1およびLt2はL調整回路28bに与えられる。
【0055】
H調整回路28dは、LCH変換回路28aから現画素H成分値Hinを取り込み、数1に従って補正H成分値Houtを算出する。算出された補正H成分値Houtは、図8に破線で示す角度にシフトする。
【0056】
【数1】
【0057】
H調整回路28dはまた、角度データα(=|Hr2−Hin|)およびβ(=|Hr1−Hin|)をC調整回路28cおよびL調整回路28bに出力するとともに、角度データγ(=|Ht2−Hout|)およびδ=(|Ht1−Hout|)をL調整回路28bに出力する。
【0058】
C調整回路28cは、LCH変換回路28aから取り込んだ現画素C成分値Cinに数2に示す演算を施し、図9に示す補正C成分値Coutを算出する。
【0059】
【数2】
【0060】
C調整回路28cはまた、数3を演算して、CH系の座標(0,0)および(Cin,Hin)を結ぶ直線と座標(Cr1,Hr1)および(Cr2,Hr2)を結ぶ直線との交点座標におけるC成分値Cr3、ならびにCH系の座標(0,0)および(Cout,Hout)を結ぶ直線と座標(Ct1,Ht1)および(Ct2,Ht2)を結ぶ直線との交点座標におけるC成分値Ct3を算出する。そして、算出したC成分値Cr3およびCt3を上述の現画素C成分値Cinおよび補正C成分値CoutとともにL調整回路28bに出力する。
【0061】
【数3】
【0062】
L調整回路28bは、LCH変換回路28aから現画素L成分値Linを取り込み、数4に従って図10に示す補正L成分値Loutを求める。図10に示すLmaxおよびLminはそれぞれ、再現できるL(明度)の最大値および最小値である。現画素値(入力画素値)は、LCH系の座標(Lmax,0,0)、(Lmin,0,0)および(Lr3,Cr3,Hin)によって形成される面(YUV空間を色相Hinで切り出した面)上に存在する。一方、補正画素値は、LCH系の座標(Lmax,0,0)、(Lmin,0,0)および(Lt3,Ct3,Hout)によって形成される面(YUV空間を色相Houtで切り出した面)上に存在する。
【0063】
【数4】
【0064】
このようにして求められた補正H成分値Hout,補正C成分値Coutおよび補正L成分値Loutによって、補正画素値が規定される。なお、現画素値は、LCH変換回路28aから出力された現画素H成分値Hin,現画素C成分値Cinおよび現画素L成分値Linによって規定される。
【0065】
CPU46は、画質調整キー52が操作されたとき、図11に示すフロー図に従う画質調整処理を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ62に記憶される。
【0066】
まずステップS31で現時点のモードがカメラモードであるか否か判別する。ここでNOであれば直接ステップS35に進むが、YESであれば、ステップS33でTG16および信号処理回路22を不能化してからステップS35に進む。
【0067】
ステップS35では、カーソルCSを示すキャラクタ信号の出力をキャラクタジェネレータ36に命令する。この結果、カーソルCSがモニタ画面に表示される。
【0068】
ステップS37ではセットキー56が操作されたか否かを判別し、ステップS43では十字キー54が操作されたか否かを判別する。また、ステップS47ではシャッタボタン50が操作されたか否か判別し、ステップS51ではキャンセルキー58が操作されたか否か判別する。
【0069】
セットキー56が操作されたときは、ステップS37でYESと判断し、ステップS39でテーブル更新処理を実行する。ステップS41では画質調整回路28に向けて処理命令を発行する。画質調整回路28は、基準値テーブル28iとステップS39によって更新された目標値テーブル28jとを参照して色調補正を実行する。この結果、LCDモニタ34に表示されたフリーズ画像または再生画像から、カーソルCSが指向する色が消去される。
【0070】
十字キー54が操作されたときはステップS43でYESと判断し、ステップS45でカーソルCSの移動命令をキャラクタジェネレータ36に向けて発行する。キャラクタジェネレータ36は、キャラクタ信号の出力タイミングを変更する。これによって、カーソルCSの表示位置が所望の方向に移動する。
【0071】
シャッタボタン50が操作されたときは、ステップS47でYESと判断し、ステップS49で圧縮/記録処理を実行する。この結果、画質が調整された画像データが圧縮状態でメモリカード42に記録される。キャンセルキー58が操作されたときは、ステップS43でYESと判断し、上階層のルーチンに復帰する。
【0072】
ステップS39のテーブル更新処理は、図12に示すサブルーチンに従って実行される。まずステップS61で、カーソルCSが指向する画素の色相を検出する。具体的には、注目する画素データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26から読み出し、読み出された画素データにLCH変換を施し、そしてH成分値を検出する。ステップS63では検出されたH成分値を挟む2つの基準H成分値を基準値テーブル28iから特定し、ステップS65では特定された2つの基準H成分値にそれぞれ対応する2つの基準値番号を検出する。ステップS67では、検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号にそれぞれ割り当てられた2つの目標C成分値を“0”に設定する。ステップS67の処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0073】
以上の説明から分かるように、画像データを形成する画素データの色調は、基準値テーブル28iに設定された基準値(基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値)、ならびに目標値テーブル28jに設定された目標値(目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値)に基づいて、画質調整回路28によって補正される。
【0074】
ここで、基準値テーブル28iに設定された複数の基準値の各々が代表色を規定する。目標値テーブル28jに設定された目標値は、各々の代表色に割り当てられる。なお、目標H成分値が色相補正係数であり、目標C成分値が彩度補正係数である。
【0075】
色調補正を施された画像データに基づく画像は、ビデオエンコーダ30によってLCDモニタ34に表示される。一方、キャラクタジェネレータ36は、ポインタであるカーソルCSをLCDモニタ34にOSD表示する。
【0076】
セットキー56が操作されると、CPU46は、カーソルCSが指向する画素の色相を検出する(S61)。CPU46はまた、検出された色相を挟む色相を有する2つの基準H成分値に割り当てられた基準値番号を特定し(S63, S65)、特定された基準値番号と同じ目標値番号に割り当てられた2つの目標C成分値を所定値である“0”に設定する(S65)。
【0077】
LCDモニタ34に表示される画像の色調は、かかる目標C成分値の更新によって変化する。具体的には、カーソルCSが指向する画素の色と同じ色が、画面上から消去される。このように表示画像の色調は表示画像に向けられた簡単な操作によって変化するため、操作性が向上する。
【0078】
なお、この実施例では、ステップS65で目標C成分値を“0”に変更するようにしているが、目標C成分値は“0”以外の数値に変更してもよい。また、この実施例では、目標C成分値を変更するようにしているが、これに代えて目標H成分値または目標L成分値を変更したり、目標C成分値,目標H成分値および目標L成分値の全てを変更するようにしてもよい。
【0079】
他の実施例のディジタルカメラは、CPU46が図12に示すサブルーチンに代えて図14に示すサブルーチンを実行する点を除き、上述の実施例と同じであるため、同じ部分に関する重複した説明は省略する。
【0080】
図14を参照して、ステップS71ではカーソルCSが指向する画素の色相(H成分値)をステップS61と同じ要領で検出し、検出されたH成分値を基準H成分値として基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。つまり、基準H成分値を基準値テーブル28iに新規に設定する。
【0081】
ステップS73では、ステップS71で検出されたH成分値を挟む2つの基準H成分値を特定し、ステップS75では特定された2つの基準H成分値に割り当てられた2つの基準値番号を検出する。
【0082】
ステップS77では、検出された2つの基準値番号に対応する2つの基準C成分値を基準値テーブル28iから読み出し、読み出された基準C成分値の線形補間によって新規の基準C成分値を作成し、そして作成された基準C成分値を基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。
【0083】
ステップS79では、ステップS75で検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号に割り当てられた2つの目標H成分値を目標値テーブル28jから読み出し、読み出された目標H成分値の線形補間によって新規の目標H成分値を作成し、そして作成された目標H成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。ステップS81では、“0”を示す目標H成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。
【0084】
ステップS83では、検出された2つの基準値番号に対応する2つの基準L成分値を基準値テーブル28iから読み出し、読み出された基準L成分値の線形補間によって新規の基準L成分値を作成し、そして作成された基準L成分値を基準値テーブル28iの基準値番号“12”に割り当てる。
【0085】
ステップS85では、ステップS75で検出された2つの基準値番号と同じ2つの目標値番号に割り当てられた2つの目標L成分値を目標値テーブル28jから読み出し、読み出された目標L成分値の線形補間によって新規の目標H成分値を作成し、そして作成された目標L成分値を目標値テーブル28jの目標値番号“12”に割り当てる。
【0086】
ステップS87では、基準値テーブル28iに設定された13個の基準値を基準H成分値が大きくなる順にソートし、さらに目標値テーブル28jに設定された13個の目標値を基準値テーブル28iとの対応関係が確保されるようにソートする。かかるソートが完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0087】
画質調整回路28は、基準値が追加された基準値テーブル28iおよび目標値が追加された目標値テーブル28jを参照して、色調補正を行う。領域判別回路28fの動作に必要な最大値Nmaxは、追加された基準値および目標値が1つであれば“12”となり、追加された基準値および目標値が2つであれば“13”となる。
【0088】
基準値テーブル28iに当初から設定されている12個の基準値、および目標値テーブル28jに当初から設定されている12個の目標値は、図15に示す要領でCH平面上に分布する。さらに、基準値番号“6”および“7”に対応する基準値、ならびに目標値番号“6”および“7”に対応する目標値は、図16に示す要領でCH平面上に分布する。
【0089】
カーソルCSが示す画素の色相がHrsであれば、“Hrs”を示す基準H成分値がステップS71で基準値テーブル28iに設定される。ステップS77の線形補間では、基準C成分値Cr6およびCr7が“Hr6−Hrs”および“Hr7−Hrs”との比率に従う重み付け加算を施される。これによって、基準C成分値Crsが求められる。ステップS79の線形補間では、目標H成分値Ht6およびHt7が“Hr6−Hrs”および“Hr7−Hrs”との比率に従う重み付け加算を施される。これによって、目標H成分値Htsが求められる。
【0090】
以上の説明から分かるように、画像データを形成する画素データの色調は、基準値テーブル28iに設定された基準値(基準H成分値,基準C成分値および基準L成分値)、ならびに目標値テーブル28jに設定された目標値(目標H成分値,目標C成分値および目標L成分値)に基づいて、画質調整回路28によって補正される。
【0091】
ここで、基準値テーブル28iに設定された複数の基準値が代表色を規定する。目標値テーブル28jに設定された目標値は、各々の代表色に割り当てられる。なお、目標H成分値が色相補正係数であり、目標C成分値が彩度補正係数である。
【0092】
色調補正を施された画像データに基づく画像は、ビデオエンコーダ30によってLCDモニタ34に表示される。一方、キャラクタジェネレータ36は、ポインタであるカーソルCSをLCDモニタ34にOSD表示する。
【0093】
セットキー56が操作されると、CPU46は、カーソルCSが指向する画素の色相を検出し、検出された色相を基準H成分値として新規の代表色に割り当てる(S71)。CPU46はまた、線形補間によって求めた基準C成分値および基準L成分値をこの新規の代表色に割り当てる(S77, S83)。
【0094】
CPU46はさらに、色相に関して新規の代表色を挟む2つの代表色を特定する(S75)。CPU46はまた、特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの目標H成分値に線形補間を施して新規の目標H成分値を作成し(S79)、特定された2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの目標L成分値に線形補間を施して新規の目標L成分値を作成し(S85)、そして所定値であり“0”を示す目標C成分値を作成する。作成された新規の目標値は、新規の代表色に割り当てられる。LCDモニタ34に表示される画像の色調は、かかる新規の目標値に基づいて補正される。これによって、オペレータの好みの色について色調補正を行うことができる。
【0095】
なお、この実施例では、フリーズ画像または再生画像に色調補正を施すようにしているが、これに代えてスルー画像に色調補正を施すようにしてもよい。この場合、画質調整回路28は、信号処理回路22内に設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】画質調整回路の一例を示すブロック図である。
【図3】基準値テーブルを示す図解図である。
【図4】目標値テーブルを示す図解図である。
【図5】基準値および目標値の分布状態の一例を示す図解図である。
【図6】基準値および目標値の分布状態の他の一例を示す図解図である。
【図7】領域判別回路の動作の一部を示すフロー図である。
【図8】図1実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図9】図1実施例の動作の他の一部を示す図解図である。
【図10】図1実施例の動作のその他の一部を示す図解図である。
【図11】画質調整を行うときのCPUの動作を示すフロー図である。
【図12】画質調整を行うときのCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図1実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図14】この発明の他の実施例の動作の一部を示すフロー図である。
【図15】図14実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図16】図14実施例の動作のその他の一部を示す図解図である。
【符号の説明】
【0097】
10 …ディジタルカメラ
14 …イメージセンサ
26 …SDRAM
28 …画質調整回路
32 …LCDモニタ
48 …CPU
52 …画質調整キー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、
前記補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、
前記第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、
前記選択操作によって選択された画素の色相を検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定する特定手段、および
前記特定手段によって特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する更新手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記色調は色相,彩度および明度によって規定され、
前記色調補正係数は前記色相,前記彩度および前記明度の少なくとも1つを補正する係数である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、
前記検出手段は第1操作を受け付けたとき前記ポインタによって指向される画素の色相を検出し、
前記第1表示手段によって表示される画像は静止画像であり、
前記第2表示手段は第2操作を受け付けたとき前記ポインタを任意の方向に移動させる、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正手段は注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色調補正係数を用いて前記注目画素の色調を補正する、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記補正手段の補正量は前記記憶手段によって記憶された複数の基準係数と前記複数の色調補正係数との差分に従う、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項1】
画像を形成する複数の画素の各々の色調を複数の代表色にそれぞれ割り当てられた複数の色調補正係数に基づいて補正する補正手段、
前記補正手段によって補正された画像を表示する第1表示手段、
前記第1表示手段によって表示された画像上の任意の画素を選択する選択操作を受け付ける受付手段、
前記選択操作によって選択された画素の色相を検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された色相を挟む色相を有する2つの代表色を特定する特定手段、および
前記特定手段によって特定された2つの代表色に割り当てられた2つの色調補正係数を更新する更新手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記色調は色相,彩度および明度によって規定され、
前記色調補正係数は前記色相,前記彩度および前記明度の少なくとも1つを補正する係数である、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1表示手段によって表示された画像上にポインタを表示する第2表示手段をさらに備え、
前記検出手段は第1操作を受け付けたとき前記ポインタによって指向される画素の色相を検出し、
前記第1表示手段によって表示される画像は静止画像であり、
前記第2表示手段は第2操作を受け付けたとき前記ポインタを任意の方向に移動させる、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正手段は注目画素の色相を挟む色相を有する2つの代表色にそれぞれ割り当てられた2つの色調補正係数を用いて前記注目画素の色調を補正する、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の代表色にそれぞれ対応する複数の基準係数を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記補正手段の補正量は前記記憶手段によって記憶された複数の基準係数と前記複数の色調補正係数との差分に従う、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−30237(P2011−30237A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188710(P2010−188710)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2004−94866(P2004−94866)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2004−94866(P2004−94866)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]