説明

画像処理装置

【課題】所望のテクスチャを生成して画像に付加する。
【解決手段】実施形態に係る画像処理装置15は、テクスチャ画像108における処理対象画素の近傍の処理済み画素領域に類似する画素領域をサンプルテクスチャ画像107において処理対象画素に対応する位置の近傍領域から探索し、処理済み画素領域と処理対象画素との間の位置関係に応じて類似する画素領域の近傍の画素値を処理対象画素に割り当てることにより、テクスチャ画像108を生成する生成部1505を含む。生成部1505は、近傍領域内の画素領域の画素値と処理済み画素領域の画素値との間の類似度と、近傍領域の各画素が処理対象画素と同じ物体を表現しているか否かの判定結果とに基づいて、類似する画素領域を探索する。画像処理装置15は、土台画像105と、テクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する合成部104を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル方式のテレビジョン放送によれば、従来のアナログ方式のテレビジョン放送に比べて高解像度かつ高品質な画像を再生することができる。更に、係る画像の品質を更に向上させるために様々な手法が試みられている。
【0003】
テクスチャ表現は、画質に影響を与える一要因である。例えば、画像の拡大変換などに伴ってテクスチャが劣化または消失すれば、画質は損なわれる。故に、所望のテクスチャを生成して画像に付加する処理が、画質向上に有効である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Li-Yi Wei, Marc Levoy, "Fast Texture Synthesis using Tree-structured Vector Quantization," Proc. SIGGRAPH 2000, pp.479-488, 2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、所望のテクスチャを生成して画像に付加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る画像処理装置は、変換対象画像のテクスチャ成分を保持するサンプルテクスチャ画像を生成する第1の生成部を含む。画像処理装置は、サンプルテクスチャ画像よりも大きいテクスチャ画像における処理対象画素の近傍の処理済み画素領域に類似する画素領域をサンプルテクスチャ画像において処理対象画素に対応する位置の近傍領域から探索し、処理済み画素領域と処理対象画素との間の位置関係に応じて類似する画素領域の近傍の画素値を処理対象画素に割り当てることにより、テクスチャ画像を生成する第2の生成部を含む。第2の生成部は、近傍領域内の画素領域の画素値と処理済み画素領域の画素値との間の第1の類似度と、近傍領域の各画素が処理対象画素と同じ物体を表現しているか否かの判定結果とに基づいて、類似する画素領域を探索する。画像処理装置は、変換対象画像の非テクスチャ成分を保持し、かつ、テクスチャ画像と同じ大きさの土台画像と、テクスチャ画像とを合成し、合成画像を生成する合成部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図2】図1の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図3A】陰影成分−テクスチャ成分を分離する前の画像の輝度値分布を例示するグラフ。
【図3B】Center/Surround Retinex法により図3Aの画像から分離される陰影成分の輝度値分布を例示するグラフ。
【図3C】Center/Surround Retinex法により図3Aの画像から分離されるテクスチャ成分の輝度値分布を例示するグラフ。
【図3D】骨格/テクスチャ分離法により図3Aの画像から分離される陰影成分の輝度値分布を例示するグラフ。
【図3E】骨格/テクスチャ分離法により図3Aの画像から分離されるテクスチャ成分の輝度値分布を例示するグラフ。
【図4】探索範囲の説明図。
【図5】テンプレート領域の説明図。
【図6】第1の実施形態におけるテクスチャ画像の生成手法の説明図。
【図7】第2の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図8】図7の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図9】第3の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図10】図9の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図11】第4の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図12】図11の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図13】第5の実施形態に係る画像処理装置におけるサンプルテクスチャ画像生成部を例示するブロック図。
【図14】第5の実施形態に係る画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図15】第6の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図16】図15の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図17】第6の実施形態におけるテクスチャ画像の生成手法の説明図。
【図18】第7の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図19】図18の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図20】第8の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図21】図20の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図22】第9の実施形態に係る画像処理装置を例示するブロック図。
【図23】図22の画像処理装置の動作を例示するフローチャート。
【図24】第9の実施形態におけるテクスチャ画像の生成手法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以降の説明では、各実施形態において同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。また、各実施形態において、「画像」とは1画素あたりに1以上の成分を持つデジタル画像を指す。簡単化のために、各実施形態では輝度値に対する処理を例示するが、他の種類の成分(例えば、色差成分、RGBフォーマットの各成分)に対する処理に適宜置き換えることができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る画像処理装置1は、図1に示されるように、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部102及び画像合成部104を含む。画像処理装置1には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置1は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。
【0009】
土台画像105は、変換対象画像106よりも大きなサイズを持つ。また、土台画像105は、合成画像110と同じサイズを持つ。土台画像105は、変換対象画像106における陰影を保持する画像である。ここで、陰影は、輝度値のなだらかな変化パターンを指す。具体的には、土台画像105は、変換対象画像106の拡大画像であってもよいし、係る拡大画像における輝度値の大まかな変化パターンを保持する画像(非テクスチャ画像)であってもよい。本実施形態では、係る土台画像105が予め用意され、画像処理装置1に入力される。
【0010】
例えば、土台画像105は、変換対象画像106の拡大画像からテクスチャ成分を除去することにより生成されてもよい。画像からテクスチャ成分及び陰影成分(非テクスチャ成分)を分離する手法として、骨格/テクスチャ分離法、Center/Surround Retinex法、ε−フィルタなどが知られている。
【0011】
図3Aに示される画像にCenter/Surround Retinex法を適用して得られる陰影成分及びテクスチャ成分を図3B及び図3Cに夫々示す。また、図3Aに示される画像に骨格/テクスチャ分離法を適用して得られる陰影成分及びテクスチャ成分を図3D及び図3Eに夫々示す。尚、図3A乃至図3Eは、簡単化のために一次元の輝度値分布を示している。図3A乃至図3Eにおいて、横軸は座標を表し、縦軸は輝度値を表す。骨格/テクスチャ分離法によれば、強度の大きなエッジは陰影成分として保存される。一方、Center/Surround Retinex法によれば、輝度差の大きなエッジはテクスチャ成分として保存される。
【0012】
以下、数式を用いて骨格/テクスチャ分離法について簡単に説明する。
骨格/テクスチャ分離法は、被写体の大まかな構造を表す骨格成分(非テクスチャ成分Uに相当)と、被写体の表面における微小な振動を表すテクスチャ成分(テクスチャ成分Vに相当)とに、入力画像Iを分離する手法である。骨格/テクスチャ分離法は、下記の数式(1)によって表現される加算分離型と、下記の数式(2)によって表現される乗算分離型とに大別される。
【数1】

【0013】
【数2】

【0014】
数式(1)及び数式(2)において、(x,y)は対象画素の位置(座標)を表す。以降、簡単化のために、乗算分離型の骨格/テクスチャ分離法を説明し、加算分離型の骨格/テクスチャ分離法の説明を省略する。乗算分離型の骨格/テクスチャ分離法は、下記の数式(3)によって表される最小化問題として扱うことができる。
【数3】

【0015】
数式(3)において、fは入力画像Iを対数変換して得られる対数入力画像関数を表し、u及びvは骨格成分U及びテクスチャ成分Vを対数変換して得られる対数骨格関数及び対数テクスチャ関数を夫々表す。また、μは対数テクスチャ関数vのGノルムの上限を調整するパラメータを表し、γは残差f−u−vの許容範囲を調整するパラメータを表す。Xは画像関数空間を表し、Gは有界変動関数空間の双対空間に近接する振動関数空間を表す。J(u)は、下記の数式(4)で定義されるTotal Variationエネルギーを表す。
【数4】

【0016】
数式(3)のエネルギー最小化問題は、下記の射影アルゴリズム[1]〜[3](数式(5)〜数式(7))により解くことができる。
【数5】

【0017】
【数6】

【0018】
射影アルゴリズム[2](数式(6))において、PGλ(h)は関数hの部分空間Gλへの正射影を表す。
【数7】

【0019】
上記射影アルゴリズムによって得られたu及びvを指数変換すると、下記の数式(8)及び(9)に示されるように、骨格成分U及びテクスチャ成分Vが得られる。
【数8】

【0020】
【数9】

【0021】
以上のように、乗算分離型の骨格/テクスチャ分離法が実現される。続いて、数式を用いてCenter/Surround Retinex法について簡単に説明する。Center/Surround Retinex法は、下記の数式(10)に示されるように、入力画像Iを照明成分(非テクスチャ成分Uに相当)と反射成分(テクスチャ成分Vに相当)とに分離する手法である。
【数10】

【0022】
照明成分Uは、下記の数式(11)によって推定される。
【数11】

【0023】
数式(11)において、G(x,y)はフィルタサイズM×Mのガウシアンフィルタを表し、*はコンボリューション積分を表す。ガウシアンフィルタG(x,y)は下記の数式(12)で表される。
【数12】

【0024】
数式(12)において、σは標準偏差を表し、Kは下記の数式(13)を満たす値である。
【数13】

【0025】
入力画像Iと、数式(11)により推定された照明成分Uとを用いて、反射成分Vは下記の数式(14)により推定される。
【数14】

【0026】
以上のように、Center/Surround Retinex法が実現される。
【0027】
サンプルテクスチャ画像生成部101は、変換対象画像106に基づいてサンプルテクスチャ画像107を生成する。具体的には、サンプルテクスチャ画像生成部101は、変換対象画像106から陰影成分を除去し、変換対象画像106のテクスチャ成分を得る。係るテクスチャ成分が、サンプルテクスチャ画像107に相当する。変換対象画像106からテクスチャ成分を分離するために、例えば前述の骨格/テクスチャ分離法、Center/Surround Retinex法などが利用可能である。尚、サンプルテクスチャ画像107は、変換対象画像106と同じサイズを持つ。即ち、サンプルテクスチャ画像107は、土台画像105及び合成画像110よりも小さなサイズを持つ。
【0028】
テクスチャ画像生成部102は、サンプルテクスチャ画像生成部101からのサンプルテクスチャ画像107に基づいてテクスチャ画像108を生成する。テクスチャ画像108は、土台画像105及び合成画像110と同じサイズを持つ。即ち、テクスチャ画像108は、サンプルテクスチャ画像107よりも大きなサイズを持つ。尚、テクスチャ画像生成部102の具体的な動作例は後述する。
【0029】
画像合成部104は、土台画像105と、テクスチャ画像生成部102からのテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する。尚、画像合成部104の具体的な動作例は後述する。
【0030】
以下、図2を用いて、画像処理装置1の動作例を説明する。
画像処理装置1は、土台画像105を読み込み(ステップS201)、変換対象画像106を読み込む(ステップS202)。尚、図2の動作例では、土台画像105はステップS206まで使用されないので、ステップS201はステップS206よりも前の任意のタイミングで実行されてもよい。画像処理装置1は、ステップS202において読み込んだ変換対象画像106をサンプルテクスチャ画像生成部101に入力する。
【0031】
サンプルテクスチャ画像生成部101は、ステップS202において読み込まれた変換対象画像106から陰影成分を除去し、サンプルテクスチャ画像107を生成する(ステップS203)。具体的には、サンプルテクスチャ画像生成部101は、前述の骨格/テクスチャ分離法、Center/Surround Retinex法などを変換対象画像106に適用してテクスチャ成分Vを分離することにより、サンプルテクスチャ画像107を生成できる。尚、画像中の局所領域において法線方向と照明条件が一定であれば、拡散反射成分に対して不変量を得ることができる。
【0032】
テクスチャ画像生成部102は、ステップS203において生成されたサンプルテクスチャ画像107に基づいて、テクスチャ画像108を構成する各画素を生成する(ステップS204及びステップS205のループ)。
【0033】
具体的には、(a)テクスチャ画像生成部102は、テクスチャ画像108を構成する各画素のうち未処理の(即ち、画素値を割り当てられていない)画素(以降、処理対象画素と称する)を選択する。(b)テクスチャ画像生成部102は、サンプルテクスチャ画像107において処理対象画素に対応する位置の近傍領域を探索範囲として定める。(c)テクスチャ画像生成部102は、処理対象画素の近傍における処理済みの(即ち、画素値を割り当てられた)画素領域(以降、テンプレート領域と称する)における画素値の変化パターンに類似する画素領域(以降、類似領域と称する)を探索範囲から探索する。(d)テクスチャ画像生成部102は、テンプレート領域と処理対象画素との間の位置関係に応じて類似領域の近傍の対応画素を探索し、この対応画素の画素値を処理対象画素に割り当てる。
【0034】
例えば、図4に示されるように、テクスチャ画像108における処理対象画素の位置(I,J)がサンプルテクスチャ画像107中の位置(i,j)に対応するならば、係る位置(i,j)の近傍領域が探索範囲として定められる。図4の例では、サンプルテクスチャ画像107のサイズはw×h[pixel]であり、テクスチャ画像108のサイズはW×H[pixel]である。位置(i,j)は、下記の数式(15)により導出できる。
【数15】

【0035】
探索範囲は、典型的には、位置(i,j)を中心とする画素領域である。例えば、探索範囲は、20×20[pixel]、40×40[pixel]の矩形領域である。尚、探索範囲の形状及びサイズは特に限定されない。
【0036】
テクスチャ画像生成部102は、例えばラスタスキャン順でテクスチャ画像108の画素を順次生成する。ラスタスキャン順の場合には、任意の処理対象画素に関して、処理対象画素よりも上側を占める画素及び同じ水平ライン上で処理対象画素よりも左側を占める画素が処理済みである。テンプレート領域は、図5の斜線付きの画素領域で示されるように、処理対象画素を中心とするN×N[pixel]の矩形領域に含まれる処理済み画素によって構成される。
【0037】
テクスチャ画像生成部102は、図6に示されるように、テンプレート領域における画素値の変化パターンに類似する画素領域を探索範囲から探索する。テンプレート領域との間の類似度は、例えば二乗誤差和(SSD)によって評価できる。即ち、テクスチャ画像生成部102は、テンプレート領域との間のSSDが最小となる画素領域を探索範囲から探索する。そして、テクスチャ画像生成部102は、テンプレート領域と処理対象画素との間の位置関係に応じて類似領域の近傍の対応画素(図6の例では、斜線付きの画素)を探索し、この対応画素の画素値(輝度値)を処理対象画素に割り当てる。
【0038】
尚、サンプルテクスチャ画像107から高解像度のテクスチャ画像108を生成する手法として、バイリニア補間法、キュービック補間法などの拡大変換も知られている。しかしながら、係る拡大変換によりテクスチャ画像108を生成すると、サンプルテクスチャ画像107が備える高周波なテクスチャ成分が劣化または消失するおそれがある。即ち、係る拡大変換により生成されたテクスチャ画像108を土台画像105に合成したとしても高精細な合成画像110を得ることが困難である。故に、本実施形態は、上述の手法を採用し、サンプルテクスチャ画像107が備える高周波なテクスチャ成分を保持するテクスチャ画像108を生成する。
【0039】
画像合成部104は、ステップS201において読み込まれた土台画像105と、ステップS204及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。具体的には、画像合成部104は、下記の数式(16)または数式(17)に従って、合成画像110を生成する。
【数16】

【0040】
【数17】

【0041】
サンプルテクスチャ画像生成部101が加算分離型の手法(例えば、加算型骨格/テクスチャ分離法、ε−フィルタなど)を利用してサンプルテクスチャ画像107を生成する場合には、画像合成部104は数式(16)に従って合成画像110を生成する。一方、サンプルテクスチャ画像生成部101が乗算分離型の手法(例えば、乗算型骨格/テクスチャ分離法、Center/Surround Retinex法)を利用してサンプルテクスチャ画像107を生成する場合には、画像合成部104は数式(17)に従って合成画像110を生成する。
【0042】
画像処理装置1がステップS206において生成された合成画像110を図示しない表示デバイスなどに出力し(ステップS207)、処理は終了する。
【0043】
以上説明したように、第1の実施形態に係る画像処理装置は、変換対象画像の陰影(非テクスチャ成分)を保持する土台画像を用いるので、合成画像において変換対象画像の陰影が維持される。また、本実施形態に係る画像処理装置は、変換対象画像の局所的なテクスチャの方向情報を保持するサンプルテクスチャ画像に基づいて生成したテクスチャ画像を用いるので、合成画像において変換対処画像のテクスチャの方向性が維持される。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、高精細なテクスチャ持つ合成画像が得られる。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る画像処理装置7は、図7に示されるように、土台画像生成部701、画像縮小部702、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部102及び画像合成部104を含む。画像処理装置7には、変換対象画像106が入力される。画像処理装置7は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。尚、本実施形態において、変換対象画像106は、土台画像105、テクスチャ画像108及び合成画像110と同じサイズを持つ。
【0045】
土台画像生成部701は、変換対象画像106に基づいて土台画像105を生成する。例えば、土台画像生成部701は、変換対象画像106から非テクスチャ成分を分離(即ち、テクスチャ成分を除去)し、土台画像105を生成する。非テクスチャ成分の分離には、前述の各種手法が利用可能である。或いは、土台画像生成部701は、変換対象画像106をそのまま土台画像105として生成してもよい。この場合には、土台画像生成部701は不要である。
【0046】
画像縮小部702は、変換対象画像106に縮小変換を行い、縮小画像109を生成する。変換対象画像106のサイズをK倍(Kは、0<K<1.0を満たす任意の実数)すると、変換対象画像106の保持するテクスチャパターンの周波数が1/K倍となる。当然ながら、縮小画像109は、変換対象画像106よりも小さいサイズを持つ。
【0047】
サンプルテクスチャ画像生成部101は、縮小画像109に基づいてサンプルテクスチャ画像107を生成する。本実施形態において、サンプルテクスチャ画像107は、縮小画像109と同じサイズを持つ。
【0048】
以下、図8を用いて、画像処理装置7の動作例を説明する。
画像処理装置7は、変換対象画像106を読み込む(ステップS801)。画像処理装置7は、ステップS801において読み込んだ変換対象画像106を土台画像生成部701及び画像縮小部702に入力する。
【0049】
土台画像生成部701は、ステップS801において読み込まれた変換対象画像106に基づいて土台画像105を生成する(ステップS802)。尚、図8の動作例では、土台画像105はステップS806まで使用されないので、ステップS802はステップS806よりも前の任意のタイミングで実行されてもよい。
【0050】
画像縮小部702は、ステップS801において読み込まれた変換対象画像106に縮小変換を行い、縮小画像109を生成する(ステップS803)。サンプルテクスチャ画像生成部101は、ステップS803において生成された縮小画像109から陰影成分を除去し、サンプルテクスチャ画像107を生成する(ステップS203)。
【0051】
画像合成部104は、ステップS802において生成された土台画像105と、ステップS204及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。
【0052】
以上説明したように、第2の実施形態に係る画像処理装置は、変換対象画像の縮小画像に基づいてテクスチャ画像を生成する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、変換対象画像の保持するテクスチャパターンと類似し、かつ、より高周波なテクスチャパターンを持つ合成画像を得ることができる。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、高精細なテクスチャを持つ合成画像が得られる。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る画像処理装置9は、図9に示されるように、画像拡大部901、土台画像生成部701、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部102及び画像合成部104を含む。画像処理装置9には、変換対象画像106が入力される。画像処理装置9は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。尚、本実施形態において、変換対象画像106及びサンプルテクスチャ画像107は、同じサイズを持つ。
【0054】
画像拡大部901は、変換対象画像106に拡大変換を行い、拡大画像111を生成する。拡大画像111は、土台画像105、テクスチャ画像108及び合成画像110と同じサイズを持つ。土台画像生成部701は、拡大画像111に基づいて土台画像105を生成する。
【0055】
拡大変換は、例えば最近傍補間法(或いは、ニアレストネイバー法)、線形補間法、キュービックコンボリューション法(バイキュービック補間法)などで実現される。合成画像110の画質劣化を抑えるためには、ぼけの少ない拡大画像111を生成できるような拡大変換を採用することが望ましい。
【0056】
以下、図10を用いて、画像処理装置9の動作例を説明する。
画像拡大部901は、ステップS202において読み込まれた変換対象画像106に拡大変換を行い、拡大画像111を生成する(ステップS1001)。土台画像生成部701は、ステップS1001において生成された拡大画像111に基づいて土台画像105を生成する(ステップS802)。
【0057】
尚、図10の動作例では、土台画像105はステップS206まで使用されないので、ステップS1001及びステップS802はステップS206よりも前の任意のタイミングで実行されてもよい。
【0058】
画像合成部104は、ステップS802において生成された土台画像105と、ステップS204及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。
【0059】
以上説明したように、第3の実施形態に係る画像処理装置は、変換対象画像の拡大画像に基づいて土台画像を生成する。変換対象画像は、拡大画像に比べて高周波なテクスチャパターンを保持する。故に、本実施形態に係る画像処理装置によれば、拡大画像のテクスチャパターンと類似し、かつ、より高周波なテクスチャパターンを持つ合成画像を得ることができる。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、高精細なテクスチャを持つ合成画像が得られる。
【0060】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る画像処理装置11は、図11に示されるように、画像鮮鋭化部1101、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部102及び画像合成部104を含む。画像処理装置11には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置11は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。尚、本実施形態において、変換対象画像106及びサンプルテクスチャ画像107は、同じサイズを持つ。
【0061】
画像鮮鋭化部1101は、土台画像105を鮮鋭化し、鮮鋭化土台画像1102を生成する。鮮鋭化土台画像1102は、土台画像105、テクスチャ画像108及び合成画像110と同じサイズを持つ。画像鮮鋭化には、例えばアンシャープマスキング法などの任意の鮮鋭化手法を利用可能である。画像合成部104は、画像鮮鋭化部1101からの鮮鋭化土台画像1102と、テクスチャ画像生成部102からのテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する。
【0062】
以下、図12を用いて、画像処理装置11の動作例を説明する。
画像鮮鋭化部1101は、ステップS201において読み込まれた土台画像105を鮮鋭化し、鮮鋭化土台画像1102を生成する(ステップS1201)。尚、図12の動作例では、鮮鋭化土台画像1102はステップS206まで使用されないので、ステップS201及びステップS1201はステップS206よりも前の任意のタイミングで実行されてもよい。
【0063】
画像合成部104は、ステップS1201において生成された鮮鋭化土台画像1102と、ステップS204及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。
【0064】
以上説明したように、第4の実施形態に係る画像処理装置は、テクスチャ画像と鮮鋭化された土台画像とを合成することにより合成画像を生成する。故に、本実施形態に係る画像処理装置によれば、合成画像におけるテクスチャ及びエッジの鮮鋭さを向上させることができる。
【0065】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る画像処理装置は、前述の各実施形態に係る画像処理装置においてサンプルテクスチャ画像生成部101を、サンプルテクスチャ画像生成部1301に置き換えた構成に相当する。簡単化のために、第1の実施形態に係る画像処理装置1においてサンプルテクスチャ画像生成部101をサンプルテクスチャ画像生成部1301に置き換えた場合を説明する。サンプルテクスチャ画像生成部1301は、図13に示されるように、陰影除去部1302及び振幅調整部1303を含む。
【0066】
陰影除去部1302は、サンプルテクスチャ画像生成部101と同様に、変換対象画像106から陰影成分を除去し、変換対象画像106のテクスチャ成分(以降、陰影除去画像と称する)を得る。陰影除去部1302は、陰影除去画像を振幅調整部1303に入力する。
【0067】
振幅調整部1303は、陰影除去部1302からの陰影除去画像の振幅を調整し、サンプルテクスチャ画像107を生成する。例えば、振幅調整部1303は、陰影除去画像の輝度振幅を減衰させる。具体的には、振幅調整部1303は、下記の数式(18)または数式(19)に従って、陰影除去画像の振幅を調整する。
【数18】

【0068】
【数19】

【0069】
陰影除去部1302が加算分離型の手法(例えば、加算型骨格/テクスチャ分離法、ε−フィルタなど)を利用して陰影除去画像を生成する場合には、振幅調整部1303は数式(19)に従ってサンプルテクスチャ画像107を生成する。一方、陰影除去部1302が乗算分離型の手法(例えば、乗算型骨格/テクスチャ分離法、Center/Surround Retinex法)を利用して陰影除去画像を生成する場合には、振幅調整部1303は数式(18)に従ってサンプルテクスチャ画像107を生成する。
【0070】
数式(18)及び数式(19)において、V(x,y)は陰影除去画像における位置(座標)(x,y)の画素値を表し、V’(x,y)はテクスチャ画像107における位置(x,y)の画素値を表す。また、aは振幅調整係数を表す。例えば、テクスチャ成分の振幅を1/2に減衰させる場合には、振幅調整係数a=0.5となる。
【0071】
振幅調整係数aは、手動で任意の値に設定されてもよいし、自動的に特定の値に設定されてもよい。振幅調整係数aを変換対象画像106と土台画像105とのサイズ比に応じて自動的に設定する場合には、下記の数式(20)を利用できる。
【数20】

【0072】
数式(20)において、Wは変換対象画像106の横サイズ[pixel]を表し、WV’は土台画像105の横サイズ[pixel]を表し、Hは変換対象画像106の縦サイズ[pixel]を表し、HV’は土台画像105の縦サイズ[pixel]を表す。
【0073】
以下、図14を用いて、本実施形態に係る画像処理装置の動作例を説明する。
陰影除去部1302は、ステップS202において読み込まれた変換対象画像106から陰影成分を除去し、陰影除去画像を生成する(ステップS203)。振幅調整部1303は、ステップS203において生成された陰影除去画像の振幅を調整し、サンプルテクスチャ画像107を生成する(ステップS1401)。
【0074】
テクスチャ画像生成部102は、ステップS1401において生成されたサンプルテクスチャ画像107に基づいて、テクスチャ画像108を構成する各画素を生成する(ステップS204及びステップS205のループ)。
【0075】
以上説明したように、第5の実施形態に係る画像処理装置は、変換対象画像のテクスチャ成分の振幅を調整してサンプルテクスチャ画像を生成する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、変換対象画像のテクスチャと同じ周波数を持つものの異なる印象を与えるテクスチャを持つ合成画像を得ることができる。
【0076】
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係る画像処理装置15は、図15に示されるように、骨格画像生成部1501、サンプルテクスチャ画像生成部1503、テクスチャ画像生成部1505及び画像合成部104を含む。画像処理装置15には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置15は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。
【0077】
骨格画像生成部1501は、土台画像105からテクスチャ成分を除去し、土台骨格画像1502を生成する。骨格画像生成部1501は、土台骨格画像1502をテクスチャ画像生成部1505に入力する。具体的には、骨格画像生成部1501は、前述の各手法を利用することにより、土台画像105からテクスチャ成分を除去できる。例えば、骨格画像生成部1501は、骨格/テクスチャ分離法の適用により得られる非テクスチャ成分Uを土台骨格画像1502として生成してもよいし、Center/Surround Retinex法の適用により得られる照明成分Uを土台骨格画像1502として生成してもよい。また、土台画像105が非テクスチャ画像である場合には、骨格画像生成部1501は土台画像105をそのまま土台骨格画像1502として生成してもよい。この場合には、骨格画像生成部1501は不要である。
【0078】
土台骨格画像1502は、後述するように、物体の同一性判定のために利用される。故に、土台骨格画像1502は、土台画像105の被写体表面のテクスチャを表現する細かな濃度パターンを含まないことが望ましい。また、土台骨格画像1502において、物体境界を表現するエッジは鮮鋭であることが望ましい。故に、骨格画像生成部1501は、土台画像105の代わりに前述の鮮鋭化土台画像1102に基づいて土台骨格画像1502を生成してもよい。
【0079】
サンプルテクスチャ画像生成部1503は、サンプルテクスチャ画像生成部101またはサンプルテクスチャ画像生成部1301と同様に、変換対象画像106に基づいてサンプルテクスチャ画像を生成する。更に、サンプルテクスチャ画像生成部1503は、変換対象画像106に基づいてサンプル骨格画像1504を生成する。サンプル骨格画像1504は、変換対象画像106の非テクスチャ成分に相当する。サンプルテクスチャ画像生成部1503は、サンプルテクスチャ画像107及びサンプル骨格画像1504をテクスチャ画像生成部1505に入力する。
【0080】
サンプル骨格画像1504は、土台骨格画像1502と同様に、物体の同一性判定のために利用される。故に、サンプル骨格画像1504は、変換対象画像106の被写体表面のテクスチャを表現する細かな濃度パターンを含まないことが望ましい。また、サンプル骨格画像1504において、物体境界を表現するエッジは鮮鋭であることが望ましい。故に、サンプルテクスチャ画像生成部1503は、変換対象画像106の代わりに変換対象画像106に鮮鋭化を施して得られる画像に基づいてサンプル骨格画像1504を生成してもよい。
【0081】
土台骨格画像1502及びサンプル骨格画像1504は、グレイスケール画像であってもよいし、複数の色成分を持つ画像であってもよい。例えば、RGB、YUV、L*a*b*などの表色系に関して、1つまたは2つの色成分を用いて骨格画像を生成してもよいし、3つ全ての色成分を用いて骨格画像を生成してもよい。複数の色成分を用いて骨格画像を生成する場合には、個々の色成分について、Center/Surround Retinex法、骨格/テクスチャ分離法などを適用すればよい。また、複数の色成分を持つ骨格画像において、画素間の類似度は、色空間における2点間の距離の二乗誤差または差の絶対値によって表現できる。
【0082】
テクスチャ画像生成部1505は、サンプルテクスチャ画像生成部1503からのサンプルテクスチャ画像107に基づいてテクスチャ画像108を生成する。後述するように、テクスチャ画像生成部1505は、骨格画像生成部1501からの土台骨格画像1502と、サンプルテクスチャ画像生成部1503からのサンプル骨格画像1504とに基づいて、物体の同一性判定を行う。テクスチャ画像生成部1505は、係る判定結果を利用してテクスチャ画像108を生成する。
【0083】
画像合成部104は、土台画像105と、テクスチャ画像生成部1505からのテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する。
【0084】
以下、図16を用いて、画像処理装置15の動作例を説明する。
骨格画像生成部1501は、ステップS201において読み込まれた土台画像105からテクスチャ成分を除去し、土台骨格画像1502を生成する(ステップS1601)。サンプルテクスチャ画像生成部1503は、ステップS202において読み込まれた変換対象画像106から陰影成分及びテクスチャ成分を分離し、サンプル骨格画像1504及びサンプルテクスチャ画像107を生成する(ステップS1602)。尚、ステップS201及びステップS1601における一連の処理と、ステップS202及びステップS1602における一連の処理とは、逆順に実行されてもよいし、並列に実行されてもよい。
【0085】
テクスチャ画像生成部1505は、ステップS1602において生成されたサンプルテクスチャ画像107に基づいて、テクスチャ画像108を構成する各画素を生成する(ステップS1603及びステップS205のループ)。
【0086】
テクスチャ画像生成部1505は、物体の同一性判定結果を利用して類似領域を探索する点でテクスチャ画像生成部102と異なる。
テクスチャ画像生成部1505は、図17に示されるように、土台骨格画像1502において処理対象画素に対応する位置の画素(以降、基準画素と称する)を基準に物体の同一性を判定する。
【0087】
例えば、テクスチャ画像生成部1505は、サンプル骨格画像1504において処理対象画素に対応する位置の近傍領域に含まれる各画素と、基準画素との間の類似度(例えば、画素値の二乗誤差または画素値の差の絶対値)が閾値Th以下であるか否かを判定する。基準画素との間の類似度が閾値Th以下であれば、テクスチャ画像生成部1505はサンプルテクスチャ画像108における対応画素が処理対象画素と同一の物体を表現していると判定する。一方、基準画素との間の類似度が閾値Thを超えれば、テクスチャ画像生成部1505はサンプルテクスチャ画像108における対応画素が処理対象画素と同一の物体を表現していないと判定する。
【0088】
骨格画像(土台骨格画像1502及びサンプル骨格画像1504)は輝度値の大まかな変化を保持しているので、異なる物体を表現する画素間で大きな差異が生じやすい傾向にある。
【0089】
テクスチャ画像生成部1505は、サンプルテクスチャ画像108において処理対象画素と同一物体を表現していると判定した画素に探索範囲を絞り込む。換言すれば、テクスチャ画像生成部1505は、サンプルテクスチャ画像108において処理対象画素と同一の物体を表現していないと判定した画素を探索範囲から排除する。
【0090】
また、物体の同一性判定結果(即ち、処理対象画素が表現する物体と近傍領域に含まれる各画素が表現する物体との間の類似度)は、2値(0または1)でなく多値(0以上1以下の実数)でも表現可能である。物体の同一性判定結果を多値で表現する場合に、テクスチャ画像生成部1505は、テンプレート領域との間のSSDと、同一性判定結果の総和との重み付き和が最小となる画素領域を探索範囲から探索すればよい。
【0091】
或いは、物体の同一性判定結果を多値で表現する場合に、テクスチャ画像生成部1505は、探索範囲内の各画素に判定結果に応じた重みを与えてもよい。即ち、テクスチャ画像生成部1505は、テンプレート領域との間の二乗誤差の重み付き和が最小となる画素領域を探索範囲から探索すればよい。
【0092】
画像合成部104は、ステップS201において読み込まれた土台画像105と、ステップS1603及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。
【0093】
以上説明したように、第6の実施形態に係る画像処理装置は、物体の同一性判定結果を利用して類似領域を探索する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、物体境界付近で処理対象画素に誤った物体のテクスチャが割り当てられるというエラーが生じにくくなり、係るエラーの伝播による合成画像のテクスチャの破綻を免れやすくなる。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、複数の物体を含む変換対象画像のテクスチャを正確に保存し、高精細な合成画像を得ることができる。
【0094】
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係る画像処理装置18は、図18に示されるように、骨格画像生成部1501、画像縮小部1801、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部1505及び画像合成部104を含む。画像処理装置18には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置18は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。
【0095】
骨格画像生成部1501は、土台画像105からテクスチャ成分を除去し、土台骨格画像1502を生成する。骨格画像生成部1501は、土台骨格画像1502をテクスチャ画像生成部1505及び画像縮小部1801に入力する。
【0096】
画像縮小部1801は、骨格画像生成部1501からの土台骨格画像1502に縮小変換を行い、サンプル骨格画像1504を生成する。画像縮小部1801は、サンプル骨格画像1504をテクスチャ画像生成部1505に入力する。
【0097】
縮小変換は、例えば最近傍補間法(或いは、ニアレストネイバー法)、線形補間法、キュービックコンボリューション法(バイキュービック補間法)などで実現される。物体の同一性の判定精度の劣化を防ぐためには、ぼけの少ないサンプル骨格画像1504を生成できるような縮小変換を採用することが望ましい。
【0098】
テクスチャ画像生成部1505は、骨格画像生成部1501からの土台骨格画像1502と、画像縮小部1801からのサンプル骨格画像1504とに基づいて前述の物体の同一性判定を行う。
【0099】
以下、図19を用いて、画像処理装置18の動作例を説明する。
画像縮小部1801は、ステップS1601において生成された土台骨格画像1502に縮小変換を行い、サンプル骨格画像1504を生成する(ステップS1901)。尚、ステップS201、ステップS1601及びステップS1901における一連の処理と、ステップS202及びステップS203における一連の処理とは、逆順に実行されてもよいし、並列に実行されてもよい。
【0100】
以上説明したように、第7の実施形態に係る画像処理装置は、土台骨格画像を縮小変換してサンプル骨格画像を生成する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、変換対象画像に基づいてサンプル骨格画像を生成する必要がないので、サンプルテクスチャ画像の精度向上を優先して変換対象画像のテクスチャ成分分離手法を選択することができる。
【0101】
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係る画像処理装置20は、図20に示されるように、サンプルテクスチャ画像生成部1503、画像拡大部2001、テクスチャ画像生成部1505及び画像合成部104を含む。画像処理装置20には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置20は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。
【0102】
サンプルテクスチャ画像生成部1503は、変換対象画像106に基づいてサンプルテクスチャ画像107及びサンプル骨格画像1504を生成する。サンプルテクスチャ画像生成部1503は、サンプルテクスチャ画像107をテクスチャ画像生成部1505に入力する。サンプルテクスチャ画像生成部1503は、サンプル骨格画像1504を画像拡大部2001及びテクスチャ画像生成部1505に入力する。
【0103】
画像拡大部2001は、サンプルテクスチャ画像生成部1503からのサンプル骨格画像1504に拡大変換を行い、土台骨格画像1502を生成する。土台骨格画像1502は、土台画像105及び合成画像110と同じサイズを持つ。画像拡大部2001は、土台骨格画像1502をテクスチャ画像1503に入力する。尚、画像拡大部2001は、任意の拡大変換を行ってよい。
【0104】
テクスチャ画像生成部1505は、画像拡大部2001からの土台骨格画像1502と、サンプルテクスチャ画像生成部1503からのサンプル骨格画像1504とに基づいて前述の物体の同一性判定を行う。
【0105】
以下、図21を用いて、画像処理装置20の動作例を説明する。
画像拡大部2001は、ステップS1602において生成されたサンプル骨格画像1504に拡大変換を行い、土台骨格画像1502を生成する(ステップS2101)。
【0106】
以上説明したように、第8の実施形態に係る画像処理装置は、サンプル骨格画像を拡大変換して土台骨格画像を生成する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、計算量の比較的多いテクスチャ成分−非テクスチャ成分の分離処理が、変換対象画像に対して1度だけ適用される。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、短時間(低遅延)で合成画像を得ることができる。
【0107】
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係る画像処理装置22は、図22に示されるように、土台特徴量抽出部2201、サンプル特徴量抽出部2203、サンプルテクスチャ画像生成部101、テクスチャ画像生成部2205及び画像合成部104を含む。画像処理装置22には、土台画像105及び変換対象画像106が入力される。画像処理装置22は、変換対象画像106に画像処理を行って、合成画像110を出力する。
【0108】
土台特徴量抽出部2201は、土台画像105の局所領域毎の画像特徴量を抽出し、土台特徴量2202を得る。土台特徴量2202は、土台画像105の各局所領域の画素値の特徴が反映される。例えば、土台特徴量2202は、土台画像105の各局所領域の画素値のヒストグラムの平均または分散、各局所領域のテクスチャパターンを特徴付ける同時生起行列特徴などであってよい。土台特徴量抽出部2201は、土台特徴量2202をテクスチャ画像生成部2205に入力する。
【0109】
サンプル特徴量抽出部2203は、変換対象画像106の局所領域毎の画像特徴量を抽出し、サンプル特徴量2204を得る。サンプル特徴量2204は、変換対象画像106の各局所領域の画素値の特徴が反映される。尚、サンプル特徴量2204及び土台特徴量2202は、同じタイプの画像特徴量である。サンプル特徴量抽出部2203は、サンプル特徴量2204をテクスチャ画像生成部2205に入力する。
【0110】
テクスチャ画像生成部2205は、サンプルテクスチャ画像生成部101からのサンプルテクスチャ画像107に基づいてテクスチャ画像108を生成する。後述するように、テクスチャ画像生成部22205は、土台特徴量抽出部2201からの土台特徴量2202と、サンプル特徴量抽出部2202からのサンプル特徴量2204とに基づいて、物体の同一性判定を行う。テクスチャ画像生成部2205は、係る判定結果を利用してテクスチャ画像108を生成する。
【0111】
画像合成部104は、土台画像105と、テクスチャ画像生成部2205からのテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する。
【0112】
以下、図23を用いて、画像処理装置22の動作例を説明する。
土台特徴量抽出部2201は、ステップS201において読み込まれた土台画像104から画像特徴量を抽出し、土台特徴量2202を得る(ステップS2301)。サンプル特徴量抽出部2203は、ステップS203において生成されたサンプルテクスチャ画像107から画像特徴量を抽出し、サンプル特徴量2204を得る(ステップS2302)。尚、ステップS201及びステップS2301における一連の処理と、ステップS202、ステップS203及びステップS2302における一連の処理とは、逆順に実行されてもよいし、並列に実行されてもよい。
【0113】
テクスチャ画像生成部2205は、ステップS203において生成されたサンプルテクスチャ画像107に基づいて、テクスチャ画像108を構成する各画素を生成する(ステップS2303及びステップS205のループ)。
【0114】
テクスチャ画像生成部2205は、土台特徴量2202及びサンプル特徴量2204に基づいて物体の同一性判定を行う点でテクスチャ画像生成部1505と異なる。
テクスチャ画像生成部2205は、図24に示されるように、土台特徴量2202において処理対象画素に対応する位置の特徴量(以降、基準特徴量と称する)を基準に物体の同一性を判定する。
【0115】
例えば、テクスチャ画像生成部2205は、サンプル特徴量2204において処理対象画素に対応する位置の近傍領域に含まれる各特徴量と、基準特徴量との間の類似度(例えば、特徴量の二乗誤差または特徴量の差の絶対値)が閾値Th’以下であるか否かを判定する。基準特徴量との間の類似度が閾値Th’以下であれば、テクスチャ画像生成部2205はサンプルテクスチャ画像108における対応画素が処理対象画素と同一の物体を表現していると判定する。一方、基準特徴量との間の類似度が閾値Th’を超えれば、テクスチャ画像生成部2205はサンプルテクスチャ画像108における対応画素が処理対象画素と同一の物体を表現していないと判定する。
【0116】
画像特徴量(土台特徴量2202及びサンプル特徴量2204)は画像における各局所領域の画素値の特徴を反映しているので、異なる物体を表現する局所領域間で大きな差異が生じやすい傾向にある。
【0117】
テクスチャ画像生成部2205は、サンプルテクスチャ画像108において処理対象画素と同一物体を表現していると判定した画素に探索範囲を絞り込む。換言すれば、テクスチャ画像生成部2205は、サンプルテクスチャ画像108において処理対象画素と同一の物体を表現していないと判定した画素を探索範囲から排除する。
【0118】
また、物体の同一性判定結果(即ち、処理対象画素が表現する物体と近傍領域に含まれる各画素が表現する物体との間の類似度)は、2値(0または1)でなく多値(0以上1以下の実数)でも表現可能である。物体の同一性判定結果を多値で表現する場合に、テクスチャ画像生成部2205は、テンプレート領域との間のSSDと、同一性判定結果の総和との重み付き和が最小となる画素領域を探索範囲から探索すればよい。
【0119】
或いは、物体の同一性判定結果を多値で表現する場合に、テクスチャ画像生成部2205は、探索範囲内の各画素に判定結果に応じた重みを与えてもよい。即ち、テクスチャ画像生成部2205は、テンプレート領域との間の二乗誤差の重み付き和が最小となる画素領域を探索範囲から探索すればよい。
【0120】
画像合成部104は、ステップS201において読み込まれた土台画像105と、ステップS2303及びステップS205のループにおいて生成されたテクスチャ画像108とを合成し、合成画像110を生成する(ステップS206)。
【0121】
以上説明したように、第9の実施形態に係る画像処理装置は、物体の同一性判定結果を利用して類似領域を探索する。従って、本実施形態に係る画像処理装置によれば、物体境界付近で処理対象画素に誤った物体のテクスチャが割り当てられるというエラーが生じにくくなり、係るエラーの伝播による合成画像のテクスチャの破綻を免れやすくなる。即ち、本実施形態に係る画像処理装置によれば、複数の物体を含む変換対象画像のテクスチャを正確に保存し、高精細な合成画像を得ることができる。
【0122】
上記各実施形態の処理は、汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることで実現可能である。上記各実施形態の処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記憶媒体に記憶される。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなど、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、何れの形態であってもよい。また、上記各実施形態の処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1,7,9,11,15,18,20,22・・・画像処理装置
101,1301,1503・・・サンプルテクスチャ画像生成部
102,1505,2205・・・テクスチャ画像生成部
104・・・画像合成部
105・・・土台画像
106・・・変換対象画像
107・・・サンプルテクスチャ画像
108・・・テクスチャ画像
109・・・縮小画像
110・・・合成画像
111・・・拡大画像
701・・・土台画像生成部
702,1801・・・画像縮小部
901,2001・・・画像拡大部
1101・・・画像鮮鋭化部
1102・・・鮮鋭化土台画像
1302・・・陰影除去部
1303・・・振幅調整部
1501・・・骨格画像生成部
1502・・・土台骨格画像
1504・・・サンプル骨格画像
2201・・・土台特徴量抽出部
2202・・・土台特徴量
2203・・・サンプル特徴量抽出部
2204・・・サンプル特徴量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換対象画像のテクスチャ成分を保持するサンプルテクスチャ画像を生成する第1の生成部と、
前記サンプルテクスチャ画像よりも大きいテクスチャ画像における処理対象画素の近傍の処理済み画素領域に類似する画素領域を前記サンプルテクスチャ画像において前記処理対象画素に対応する位置の近傍領域から探索し、前記処理済み画素領域と前記処理対象画素との間の位置関係に応じて前記類似する画素領域の近傍の画素値を前記処理対象画素に割り当てることにより、前記テクスチャ画像を生成する第2の生成部と、
前記変換対象画像の非テクスチャ成分を保持し、かつ、前記テクスチャ画像と同じ大きさの土台画像と、前記テクスチャ画像とを合成し、合成画像を生成する合成部と
を具備し、
前記第2の生成部は、前記近傍領域内の画素領域の画素値と前記処理済み画素領域の画素値との間の第1の類似度と、前記近傍領域の各画素が前記処理対象画素と同じ物体を表現しているか否かの判定結果とに基づいて、前記類似する画素領域を探索する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の生成部は、前記土台画像の非テクスチャ成分を保持し、かつ、前記テクスチャ画像と同じ大きさの土台骨格画像において前記処理対象画素に対応する基準画素と、前記変換対象画像の非テクスチャ成分を保持し、かつ、前記サンプルテクスチャ画像と同じ大きさのサンプル骨格画像において前記近傍領域に対応する各画素との間の第2の類似度を評価することにより、前記近傍領域の各画素が前記処理対象画素と同じ物体を表現しているか否かを判定する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の生成部は、前記基準画素の画素値と、前記サンプル骨格画像において前記近傍領域に対応する各画素の画素値との間の距離を前記第2の類似度として算出する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の生成部は、前記処理対象画素と同じ物体を表現していないと判定した画素を前記類似する画素領域の探索範囲から排除する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の生成部は、前記第1の類似度と前記第2の類似度との重み付き和に基づいて前記類似する画素領域を探索する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記土台画像から非テクスチャ成分を分離し、前記土台骨格画像を生成する第3の生成部を更に具備する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の生成部は、前記変換対象画像からテクスチャ成分及び非テクスチャ成分を分離し、前記サンプルテクスチャ画像及び前記サンプル骨格画像を生成する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記土台骨格画像に縮小変換を行い、前記サンプル骨格画像を生成する縮小部を更に具備する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記サンプル骨格画像に拡大変換を行い、前記土台骨格画像を生成する拡大部を更に具備する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の生成部は、前記土台画像における各局所領域の画像特徴量のうち前記処理対象画素に対応する基準特徴量と、前記サンプルテクスチャ画像における各局所領域の画像特徴量のうち前記近傍領域に対応する各特徴量との間の第2の類似度を評価することにより、前記近傍領域の各画素が前記処理対象画素と同じ物体を表現しているか否かを判定する、請求項1記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−58773(P2012−58773A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198185(P2010−198185)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】