説明

画像合成装置および方法

【課題】ARの技術を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去することのできる画像合成装置を提供する。
【解決手段】画像合成装置1は、コピーマーカ2の位置を利用してサンプリング領域を設定し、サンプリング領域に含まれる画像からテクスチャを生成する。そして、画像合成装置1は、ペーストマーカ3の位置に合わせて、このテクスチャがシームレス化されて貼り付けられた仮想平面を実写画像に合成することで、対象物体4の画像を実写画像から仮想的に消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実写映像にコンピュータグラフィックスを合成する拡張現実感(Augmented Reality)技術に関し、更に詳しくは、拡張現実感の技術を利用して、コンピュータグラフィックスを合成するときに邪魔になる物体の画像を、実写画像から仮想的に消去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実感(AR: Augmented Reality)とは、実写画像にコンピュータグラフィックス(CG: Computer Graphics)を合成することによって、人の知覚を補助したり、臨場感ある画像体験を実現したりするのに用いられる技術である。
【0003】
非特許文献1および非特許文献2などに記載されているように、拡張現実感を実施する一般的なコンピュータ装置では、模様が印刷されたマーカを含むように実写画像をカメラで撮影し、コンピュータ装置が、マーカの模様からマーカの位置や傾きを演算し、マーカの位置とマーカの傾きに合わせてカメラが撮影した実写画像にCGを合成する。
【0004】
しかし、マーカに対してCGのサイズが小さいと、CGを合成した後に実写画像において、マーカがCGからはみ出して見えてしまうため、特許文献1では、マーカを消去するためのマーカ隠蔽用画像を予め用意しておき、カメラが撮影画像中のマーカ位置にCGを合成する際に、マーカ隠蔽用画像を撮影画像のマーカ位置に合成した上にCGを合成することで、マーカがCGからはみ出して見えてしまうことを防止する発明が開示されている。
【0005】
しかしながら、CGからはみ出して見えて困る画像はマーカだけではなく、実写画像に含まれる物体(例えば、机)の代わりにCGを合成させたいとき、実写画像に撮影されている物体の画像がCGからはみ出して見えてしまうことがある。
【0006】
例えば、拡張現実感を利用して、何もない広い床面に机のCGを合成した場合、机のCGは床面に自然に合成されて見えるが、マーカ付近に実物の机や椅子など実在する物体が存在している場合、机のCGを合成した後の画像に実在する物体の画像の一部が残ってしまうと、不自然な印象を与えてしまう。
【0007】
実物の机や椅子などの物体を移動させることができれば問題ないが、実在する物体を移動させることは困難な場合も多くあるため、実写画像にCGを合成するときには、CGを合成するときに邪魔になる物体の画像を仮想的に実写画像から消去できることが望ましい。
【0008】
【非特許文献1】Kato, H., Billinghurst, M. (1999)Marker Tracking and HMD Calibration for a video-based Augmented Reality Conferencing System.In Proceedings of the 2nd International Workshop on Augmented Reality (IWAR 99). October, San Francisco, USA.
【非特許文献2】Kato, H., Billinghurst, M., Poupyrev, I., Imamoto, K., Tachibana, K. (2000)Virtual Object Manipulation on a Table-Top AR Environment.In proceedings of the International Symposium on Augmented Reality, pp.111-119, (ISAR 2000),Munich, Germany.
【特許文献1】特開2005−234757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、拡張現実感(AR: Augmented Reality)の技術を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去することのできる画像合成装置および画像合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1の発明は、拡張現実感(AR: Augmented Reality)で利用されるマーカの模様を記憶し、マーカの模様を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる前記マーカを認識するマーカ認識手段と、前記マーカ認識手段が認識したマーカの模様から、前記マーカ認識手段が認識したマーカのマーカ座標系を演算し、それぞれのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を演算する変換行列演算手段と、コピー元の画像を指定する前記マーカ(コピーマーカ)の位置と定められたオフセット値を利用して、前記コピーマーカのマーカ座標系のXY平面に所定サイズのサンプリング領域を設定し、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記サンプリング領域に含まれる前記実写画像の画素から、定められたサイズのテクスチャを生成するテクスチャ生成手段と、ペースト先を指定する前記マーカ(ペーストマーカ)の座標原点を利用して、前記実写画像に合成する仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点を演算する配置座標演算手段と、前記配置座標演算手段が演算した座標点を中心点とし、前記テクスチャ生成手段が生成した前記テクスチャを貼り付けた所定サイズの仮想平面を形成する仮想平面形成手段と、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記仮想平面形成手段が形成した前記仮想平面を前記実写画像に合成する画像合成手段と、を備えたことを特徴とする画像合成装置である。
【0011】
第1の発明によれば、前記実写画像から仮想的に消去する対象物体(例えば、机)の上などに前記ペーストマーカを置き、対象物体の画像を仮想的に消去するときに利用する物体(例えば、床面)に前記コピーマーカを置けば、前記コピーマーカ近傍の画像(例えば、床面の画像)から生成される前記テクスチャが貼り付けられた前記仮想平面が、前記ペーストマーカ近辺に合成されるため、対象物体(例えば、机)の画像を前記実写画像から仮想的に消去することが可能になる。
【0012】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載の画像合成装置であって、前記配置座標演算手段は、前記仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点として、前記ペーストマーカの座標原点と前記カメラの座標原点を通過する直線が前記コピーマーカのXY座標面面と同一平面と交差する点を演算することを特徴とする画像合成装置である。
【0013】
第2の発明によれば、前記ペーストマーカの座標原点と前記カメラの座標原点を通過する直線が前記コピーマーカのXY座標面面と同一平面と交差する点を、前記仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点とすることで、仮想平面を実写映像に合成したとき、実写映像に対する仮想平面の奥行きを合わせることができるようになる。
【0014】
例えば、前記コピーマーカが床面に置かれているとき、前記コピーマーカのマーカ座標系におけるXY平面は床面になるため、カメラの視点からペーストマーカの中心点に向かう延長線が、前記コピーマーカのマーカ座標系のXY平面と交差する点を中心に仮想平面を形成すれば、前記カメラの視点から奥行き感が調整された位置に前記仮想平面が形成されることになる。
【0015】
更に、第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の画像合成装置であって、前記変換行列演算手段は、前記マーカ認識手段が認識した前記マーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列に加え、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を演算・記憶し、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系間の変換行列を演算・記憶した後に、前記マーカ認識手段が、前記コピーマーカ或いは前記ペーストマーカのいずれ一つしか前記実写画像から検出できないとき、前記変換行列演算手段は、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を用いて、前記実写画像から検出できなかった前記マーカに係わる変換行列を演算することを特徴とする画像合成装置である。
【0016】
第3の発明によれば、例えば、前記画像合成装置が映像を処理するとき、人影などで、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのいずれか一つが前記実写画像に含まれていなくとも、処理を実行することができるようになる。
【0017】
更に、第4の発明は、拡張現実感(AR: Augmented Reality)を利用した画像合成方法であって、コンピュータ装置画、拡張現実感で利用されるマーカに印刷された模様を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる前記マーカを認識するステップaと、前記コンピュータ装置が、認識したマーカの模様から、前記マーカ認識手段が認識したマーカのマーカ座標系を演算し、それぞれのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を演算するステップbと、前記コンピュータ装置が、コピー元の画像を指定する前記マーカ(コピーマーカ)の位置と定められたオフセット値を利用して、前記コピーマーカのマーカ座標系のXY平面に所定サイズのサンプリング領域を設定し、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記サンプリング領域に含まれる前記実写画像の画素から、定められたサイズのテクスチャを生成するステップcと、前記コンピュータ装置が、ペースト先を指定する前記マーカ(ペーストマーカ)の座標原点を利用して、前記実写画像に合成する仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点を演算するステップdと、前記コンピュータ装置が、前記ステップdで演算した座標点を中心点とし、前記テクスチャ生成手段が生成した前記テクスチャを貼り付けた所定サイズの仮想平面を形成するステップeと、前記コンピュータ装置が、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記仮想平面形成手段が形成した前記仮想平面を前記実写画像に合成するステップfと、を備えたことを特徴とする画像合成方法である。
【0018】
更に、第5の発明は、第4の発明に記載の画像合成方法であって、前記ステップdにおいて、前記コンピュータ装置は、前記仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点として、前記ペーストマーカの座標原点と前記カメラの座標原点を通過する直線が前記コピーマーカのXY座標面面と同一平面と交差する点を演算することを特徴とする画像合成方法である。
【0019】
更に、第6の発明は、第4の発明または第5の発明に記載の画像合成方法であって、前記ステップbにおいて、前記コンピュータ装置は、前記マーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列に加え、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を演算・記憶し、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系間の変換行列を演算・記憶した後に、前記ステップaにおいて、前記コピーマーカ或いは前記ペーストマーカのいずれ一つしか前記実写画像から検出できないとき、前記コンピュータ装置は、前記ステップbにおいて、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を用いて、前記実写画像から検出できなかった前記マーカに係わる変換行列を演算することを特徴とする画像合成方法である。
【0020】
上述した第4の発明から第6の発明によれば、第1の発明から第3の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明によれば、ARの技術を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去することのできる画像合成装置および画像合成方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ここから、本発明に係わる画像合成装置1および画像合成方法について、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係わる画像合成装置1の利用形態を説明する図である。
【0023】
図1で図示したように、パーソナルコンピュータやサーバなどのコンピュータ装置で実現される画像合成装置1には、実写画像を撮影するカメラ1aが接続され、画像合成装置1には、コンピュータプログラムとして、カメラ1aで撮影された画像の中から、特殊な模様が印刷されたマーカを検出し、検出したマーカの位置にマーカの向きに合わせて、予め用意された3次元コンピュータグラッフィクス(3DGC: 3 Dimensional Computer Graphics)を合成する一般的な拡張現実感(AR: Augmented Reality)の機能を実現するコンピュータプログラムに加え、3DCGを合成するときに邪魔になる対象物体4(図1では机)の画像を、AR技術を利用して実写画像から仮想的に消去する機能を実現させるためのコンピュータプログラムが実装されている。
【0024】
本実施形態において、画像合成装置1は、実写画像の一部の領域であるサンプリング領域に含まれる画像からテクスチャを生成し、このテクスチャがシームレス化されて貼り付けられた仮想平面を形成し、形成した仮想平面を実写画像の指定された位置に合成することで、対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去する。
【0025】
対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去するときに利用されるマーカは、コピーマーカ2とペーストマーカ3の2つのマーカで、コピーマーカ2は、サンプリング領域を指定するために利用されるマーカで、ペーストマーカ3は、仮想平面の合成する位置を指定するために利用されるマーカである。コピーマーカ2とペーストマーカ3は、それぞれAR技術で利用される一般的なマーカで、特別な技術的な特徴を有するものではないが、それぞれのマーカを画像合成装置1が認識できる様に、コピーマーカ2とペーストマーカ3に印刷されている模様は異なっている。
【0026】
図1に図示したように、カメラ1a、コピーマーカ2およびペーストマーカ3はそれぞれ3次元の座標系(Coordinate)を有し、今後、カメラ1aの座標系をカメラ座標系と記し、コピーマーカ2の座標系をコピーマーカ座標系と記し、ペーストマーカ3の座標系をペーストマーカ座標系と記す。
【0027】
ここから、画像合成装置1が、カメラ1aが撮影した実写画像から対象物体の画像を仮想的に消去する処理について詳細に説明する。図2は、対象物体を画像から仮想的に消去するときの処理を説明するときのフロー図で、この説明は、本発明に関わる画像合成方法の説明も兼ねている。
【0028】
画像合成装置1は、まず、カメラ1aが撮影した実写画像から対象物体4の画像を仮想的に消去する処理を実施するときに必要なパラメータを取得する(図2のS1)。画像合成装置1がパラメータを取得する手法は任意でよく、キーボード類による入力、ファイルからの読み込み、その併用などが挙げられる。
【0029】
図3は、画像合成装置1が、カメラ1aが撮影した実写画像から対象物体4の画像を仮想的に消去する処理を実施するときに必要なパラメータの一例を説明する図である。
【0030】
図3において、画像合成装置1が取得するパラメータには、テクスチャに係わる項目として、画像合成装置1が生成するテクスチャのサイズ、テクスチャとなる画像を取得するサンプリング領域の大きさ(ここでは、半径r1)、コピーマーカ2の中心からサンプリング領域の中心までのオフセット値、テクスチャをシームレス化処理するための重なりサイズが含まれる。
【0031】
更に、図3において、画像合成装置1が取得するパラメータには、仮想平面に係わる項目として、仮想平面のサイズが含まれる。仮想平面のサイズは、仮想平面の形状に依存し、仮想平面の形状が一意に決定付けられるように記述される。例えば、仮想平面の形状が長方形ならば、長方形のサイズを決定付けるデータとして、長方形の縦横サイズ(単位はピクセル)が記述されるが、ここでは、仮想平面の形状は円形で、円形のサイズを決定付けるデータとして、画像合成装置1は、仮想平面の半径r2(単位は、ピクセル)を取得する。
【0032】
なお、図3は、画像合成装置1が取得するパラメータの一例示にしか過ぎず、当然のことながら、画像合成装置1の実現内容によって異なる。
【0033】
画像合成装置1は、カメラ1aが撮影した実写画像から対象物体4の画像を仮想的に消去する処理を実施するときに必要なパラメータを取得すると、カメラが撮影している実写画像をリアルタイムで読み込んだり、カメラ1aが撮影した実写画像が記憶されているファイルを読み込みなどして、画像合成装置1は、処理対象となる実写画像を取得する(図2のS2)。
【0034】
図4は、実写画像の一例を説明する図である。図4で図示した実写画像には、消去対象となる対象物体4の画像(ここでは、机の画像)に加え、コピーマーカ2とペーストマーカ3が含まれ、図4では、ペーストマーカ3は机の上に置かれ、コピーマーカ2は机が設置されている床面に置かれている。
【0035】
図5は、コピーマーカ2とペーストマーカ3を説明する図で、図5(a)はコピーマーカ2で、図5(b)はペーストマーカ3である。図5に図示したように、コピーマーカ2およびペーストマーカ3で印刷される模様は異なり、図5(a)に図示したように、コピーマーカ2の模様を文字「C」を囲む四角枠とし、図5(b)に図示したように、ペーストマーカ3の模様を文字「P」を囲む四角枠としている。画像合成装置1は、コピーマーカ2およびペーストマーカ3で印刷される模様を予め記憶し、これらの模様を利用して実写画像を解析し、実写画像に含まれるマーカを認識する。
【0036】
画像合成装置1は、実写画像を取得すると、初期化処理が実施済みであるか確認し、初期化処理が実施済みであるか否かによって処理を分岐させる(図2のS3)。まず、初期化処理を実施するときの流れについて説明する。図2のS3で、初期化処理が未実施と判断した場合、図2のS10に進み、画像合成装置1は初期化処理を実施開始する。
【0037】
本実施形態において、画像合成装置1は初期化処理として、コピーマーカ2とペーストマーカ3の相対位置関係を演算・記憶する処理と、テクスチャを生成・記憶する処理を実施する。後述するように、対象物体の画像を実写画像から仮想的に消去するためには、コピーマーカ2およびペースマーカの2つが必要になるが、コピーマーカ2とペーストマーカ3の相対位置関係が既知であれば、コピーマーカ2或いはペーストマーカ3のいずれが実写画像に含まれていれば、対象物体の画像を仮想的に消去する処理が可能になる。
【0038】
図2のS3で、初期化処理が未実施と判断した場合、画像合成装置1は、コピーマーカ2とペーストマーカ3の2つが共に実写画像に含まれているか確認し、確認した内容によって処理を分岐させる(図2のS10)。
【0039】
画像合成装置1が、コピーマーカ2とペーストマーカ3の2つが同時に存在するか確認する手法は、AR技術で利用されている一般的な手法で、画像合成装置1は、例えば、図5(a)、(b)で図示した四角枠を利用して、実写画像に含まれるマーカを認識し、更に、この四角枠内に含まれる文字(ここでは、「P」或いは「C」)から、実写画像に含まれるマーカの種別を認識する。
【0040】
コピーマーカ2とペーストマーカ3の2つが共に実写画像に存在する場合は、画像合成装置1は初期化処理の実施が可能と判断し、図2のS11に進む。また、コピーマーカ2とペーストマーカ3の2つが共に存在しない場合は、画像合成装置1は初期化処理の実施が不可能と判断し、図2のS2に戻る。
【0041】
初期化処理として、まず、画像合成装置1は、コピーマーカ2とペーストマーカ3の相対位置関係を示す情報として、コピーマーカ座標系からペーストマーカ座標系への変換行列Tcpおよびペーストマーカ座標系からコピー座標系への変換行列Tpcを演算し、演算した変換行列Tcp、Tpcを記憶する(図2のS11)。
【0042】
図6は、図2のS11の処理を説明するためのフロー図で、変換行列Tcpと変換行列Tpcを算出する処理のフロー図である。画像合成装置1は、変換行列Tcpと変換行列Tpcを算出するために、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceと、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tpeを演算する(図6のS40)。
【0043】
画像合成装置1は、一般的なAR技術を利用して、コピーマーカ2に印刷された模様(ここでは、四角枠)から、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceと、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tpeを演算する。
【0044】
なお、本実施形態において、画像合成装置1は、一般的な3DCGを扱うときと同様に、3次元座標系値の次元を一つ繰り上げ4次元として取り扱うため、変換行列Tceおよび変換行列Tpeは4行4列の行列となる。例えば、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換式は数式1で表記される。
【数1】

【0045】
次に、画像合成装置1は、逆行列の演算を用いて、カメラ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tecとカメラ座標系からペーストマーカ座標系への変換行列Tepを、数式2に従い演算する(図6のS41)。
【数2】

【0046】
そして、画像合成装置1は、これまで演算した変換行列を用い、数式3に従い、コピーマーカ座標系からペーストマーカ座標系への変換行列Tcpとペーストマーカ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tpcを演算し、変換行列Tcpと変換行列Tpcを記憶する(図6のS42)。
【数3】

【0047】
ここから、図2の説明に戻る。画像合成装置1は、コピーマーカ2とペーストマーカ3の相対位置関係を示す情報として、コピーマーカ座標系からペーストマーカ座標系への変換行列Tcpと、ペーストマーカ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tpcを演算し記憶すると、次に、画像合成装置1は、仮想平面に貼り付けるテクスチャを生成する(図2のS12)。
【0048】
画像合成装置1が、仮想領域に貼り付けるテクスチャを生成するときに、図2のS1で取得したパラメータが用いられる。画像合成装置1は、コピーマーカ座標の原点から、パラメータに含まれるオフセット値だけずれた点を中心とし、半径r1内の領域をサンプリング領域としてコピーマーカ座標系に設定する。
【0049】
そして、画像合成装置1は、変換行列Tceを用いて、サンプリング領域から抽出した実写画像の画素から、パラメータのテクスチャサイズと重なりサイズを用いて、コンピュータ分野において広く知られる既知技術によってシームレス化したテクスチャを生成する。
【0050】
画像合成装置1は、テクスチャを生成すると、初期化処理済みであることを示すフラグを記憶し(図2のS13)、初期化処理を終了する。
【0051】
画像合成装置1は、初期化処理を実施すると、コピーマーカ座標系における仮想平面の中心点となる座標点を演算する(図2のS30)。コピーマーカ座標系における仮想平面の中心点は任意の座標点でよいが、ここでは、画像合成装置1は、カメラの視点からペーストマーカ3の中心を通過する線が、コピーマーカ座標系におけるXY平面と交差する点を、仮想平面の中心点となる座標点して求める。コピーマーカ座標系におけるXY平面上に仮想平面を形成することで、仮想平面を実写映像に合成したとき、実写映像に対する仮想平面の奥行きを合わせることができるようになる。
【0052】
例えば、図4では、コピーマーカ2が床面に置かれているため、コピーマーカ座標系におけるXY平面は床面になる。よって、カメラの視点からペーストマーカ3の中心点に向かう延長線が、コピーマーカ座標系のXY平面と交差する点を中心に仮想平面を形成すれば、カメラの視点から奥行き感が調整された位置に仮想平面が形成されることになる。
【0053】
図7は、仮想平面の中心点となるコピーマーカ座標系の座標点を演算する内容を説明するためのフロー図である。画像合成装置1は、ペーストマーカ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tpcから、ARの技術分野で良く知られた理論を用いて、コピーマーカ座標系におけるペーストマーカ座標系の原点座標Vp〔px、py、pz〕を数式4に従い抽出する(図7のS50)。
【数4】

【0054】
次に、画像合成装置1は、カメラ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tecから、ARの技術分野で良く知られた理論を用いて、コピーマーカ座標系におけるカメラ座標系の原点座標Ve〔ex、ey、ez〕を数式5に従い抽出する(図7のS51)。
【数5】

【0055】
そして、コピーマーカ座標系におけるペーストマーカ座標系の原点座標Vp〔px、py、pz〕とコピーマーカ座標系におけるカメラ座標系の原点座標Ve〔ex、ey、ez〕から、画像合成装置1は、仮想平面を配置するコピーマーカ座標系による座標Vf〔fx、fy、fz〕を数式6に従い演算する(図7のS52)。
【数6】

【0056】
図2の説明に戻る。画像合成装置1は、仮想平面の中心点となるコピーマーカ座標系における座標点を演算すると、コピーマーカ座標系のXY平面に仮想平面を生成する(図2のS31)。例えば、画像合成装置1は、中心点が座標Vf、図2のS1で取得した半径r2の領域内に、テクスチャをシームレス化処理して貼り付けることで、画像合成装置1は、コピーマーカ座標系のXY平面に仮想平面を生成する。
【0057】
そして、画像合成装置1は、仮想平面を生成すると、コピーマーカ座標系のXY平面に形成した仮想平面に含まれる座標点を、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列 Tceを用いて、カメラ座標系の座標点に変換することで、実写画像に仮想平面をレンダリングし、仮想平面を合成した実写画像を画像合成装置1のディスプレイに出力する(図2のS32)。
【0058】
仮想平面を合成した実写画像を画像合成装置1のディスプレイに出力した後、次の処理を実施するか確認し、次の処理を実施するときは図2のS2に戻り、次の処理を実施しないときは、図2で図示したフローを終了する(図2のS33)。
【0059】
ここから、初期化処理が実施済みのとき処理について説明する。図2のステップS3において、画像合成装置1が、初期化処理が実施済みであると判断した場合、すなわち、初期化処理済みのフラグが立っている場合、画像合成装置1は、コピーマーカ2に印刷された模様を利用して、実写画像にコピーマーカ2が含まれているかどうかを判定する(図2のS20)。
【0060】
実写画像にコピーマーカ2が含まれている場合、画像合成装置1は、コピーマーカ2に印刷された模様から、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceを演算する(図2のS21)。
【0061】
また、実写画像にコピーマーカ2が含まれていないと判定した場合、画像合成装置1は、ペーストマーカ3に印刷された模様を利用して、実写画像にペーストマーカ3が含まれているか判定し(図2のS22)、実写画像にペーストマーカ3が含まれていない場合は、図2のステップS2に戻る。
【0062】
実写画像にペーストマーカ3が含まれている場合、画像合成装置1は、初期化処理で生成・記憶している変換行列Tpcを利用して、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceを算出する(図2のS23)。
【0063】
図8は、図2のS22の詳細内容を説明するフロー図である。初期化処理で生成・記憶している変換行列Tpcを利用して、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceを算出するとき、まず、画像合成装置1は、ペーストマーカ3に印刷された模様から、ペーストマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tpeを算出する(図8のS60)。
【0064】
そして、初期化処理によって演算・記憶したペーストマーカ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tpcを利用してコピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列TTceを数式7に従い演算する(図8のS61)。
【数7】

【0065】
図2のS21或いは図2のS23を実施した後、画像合成装置1は、図2のS30に進み、仮想平面を形成した後、実写画像に仮想平面を合成する。
【0066】
次に、本発明に係わる画像合成装置1に備えられた機能について説明する。図9は、画像合成装置1のハードウェアブロック図で、図10は、画像合成装置1の機能ブロック図である。画像合成装置1は、パーソナルコンピュータやサーバなどのコンピュータ装置で実現され、図9に図示したように、画像合成装置1は、画像合成装置1全体を制御するCPU10と、メインメモリであるRAM11と、大容量のデータ記憶装置であるハードディスク12と、カメラ1aから取得した実写画像を処理するための画像処理ボード13を備え、カメラ1a、キーボード1bおよびディプレイ1cなどが接続されている。
【0067】
図10に図示したように、3DCGを合成するときに邪魔になる対象物体4の画像を、ARの技術を利用して実写画像から仮想的に消去するために、画像合成装置1は、対象物体4の画像を仮想的に実写映像から消去するときに利用するパラメータを取得するパラメータ取得手段101と、実写画像を取得する実写画像取得手段102と、拡張現実感で利用されるマーカの模様を記憶し、マーカの模様を利用して、カメラ1aで撮影された実写画像に含まれるマーカを認識するマーカ認識手段103と、マーカ認識手段103が認識したマーカの模様から、マーカ認識手段103が認識したマーカのマーカ座標系を演算し、それぞれのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を演算する変換行列演算手段104と、コピー元の画像を指定するコピーマーカ2の位置と定められたオフセット値を利用して、コピーマーカ2のマーカ座標系のXY平面に所定サイズのサンプリング領域を設定し、コピーマーカ2のマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、サンプリング領域に含まれる実写画像の画素から、定められたサイズのテクスチャを生成するテクスチャ生成手段105と、ペースト先を指定するペーストマーカ3の座標原点を利用して、実写画像に合成する仮想平面を配置するコピーマーカのマーカ座標系上の座標点を演算する配置座標演算手段106と、配置座標演算手段106が演算した座標点を中心点とし、テクスチャ生成手段105が生成したテクスチャを貼り付けた所定サイズの仮想平面を形成する仮想平面形成手段107と、コピーマーカ2のマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、仮想平面形成手段107が形成した仮想平面を実写画像に合成する画像合成手段108と、これらの手段を制御し、図2で図示した手順を実行する制御手段100を備えている。
【0068】
画像合成装置1のパラメータ取得手段101は、図2のS1を実行するための手段で、画像合成装置1のパラメータ取得手段101は様々な形態で実現可能である。例えば、ディスプレイ1cにパラメータを入力するための画面を表示させ、キーボード1bから入力されたデータを取得する形態や、ディスプレイ1cにファイル名を入力するための画面を表示させ、ハードディスク12に記憶されたファイルの中から、ファイル名で特定されるファイルからデータを読み込む形態などで実現される。
【0069】
画像合成装置1の実写画像取得手段102は、図2のS2を実行するための手段で、画像合成装置1に接続されたカメラ1aから実写画像をリアルタイムでRAM11に読み込む形態や、ハードディスク12に記憶されている画像ファイルをRAM11に読み込む形態などで実現される。
【0070】
画像合成装置1のマーカ認識手段103は、図2のS10、S20およびS22を実行するための手段で、一般的なAR技術と同様に、図5(a)、(b)で図示したような四角枠を認識することで、実写画像に含まれるマーカを認識し、更に、この四角枠内に含まれる文字(ここでは、「P」或いは「C」)から、実写画像に含まれるマーカの種別を認識する手段である。
【0071】
画像合成装置1の変換行列演算手段104は、図2のS11、S21およびS23を実行するための手段で、図2のS11、S21およびS23を実行するとき、一般的なAR技術と同様に、マーカ認識手段が認識したマーカに印刷された模様(ここでは、四角枠)から、マーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceや変換行列Tpeを演算する。
【0072】
更に、変換行列演算手段104は、図2のS11を実行するときに、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tceと、ペーストマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列Tpeを用いて行列演算を行い、カメラ座標系からコピーマーカ座標系への変換行列Tecとカメラ座標系からペーストマーカ座標系への変換行列Tepを演算する。
【0073】
画像合成装置1のテクスチャ生成手段105は、図2のS12を実行する手段で、コピーマーカ座標の原点から、パラメータ取得手段101が取得したパラメータに含まれるオフセット値だけずれた点を中心とし、パラメータに含まれるサイズ(例えば、半径r1)の領域をサンプリング領域としてコピーマーカ座標系に設定し、変換行列Tceを用いて、サンプリング領域から抽出した実写画像の画素から、パラメータのテクスチャサイズと重なりサイズを用いて、コンピュータ分野において広く知られる既知技術によってシームレス化したテクスチャを生成する手段である。
【0074】
画像合成装置1の配置座標演算手段106は、図2のS30を実行する手段で、図7で示した手順に従い、コピーマーカ座標系のXY平面において、仮想平面の中心点となる座標点を演算する手段である。
【0075】
画像合成装置1の仮想平面形成手段107は、図2のS31を実行する手段で、テクスチャ生成手段107が生成したテクスチャをシームレス化処理して貼り付けることで、配置座標演算手段106が演算したコピーマーカ座標系のXY平面の座標点を中心に、定められたサイズの仮想平面を生成する手段である。
【0076】
画像合成装置1の画像合成手段108は、図2のS32を実行する手段で、コピーマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列 Tceを用いて、仮想平面形成手段107が形成した仮想平面を、カメラ座標系の座標点に変換することで、実写画像に仮想平面をレンダリングし、仮想平面を合成した実写画像を画像合成装置1のディスプレイに出力する手段である。
【0077】
画像合成装置1の制御手段100は、上述した手段を制御し、図2で図示した手順を実行するための手段である。
【0078】
画像合成装置1に備えられた各手段は、画像合成装置1を各手段として機能させるためのコンピュータプログラムで実現され、画像合成装置1のハードディスク12や画像処理ボード13には、このコンピュータプログラムのプログラムコードが実装されている。なお、画像合成装置1の制御手段100は、コンピュータプログラムのメインルーチンに相当し、制御手段100以外の手段は、メインルーチンから呼び出されるサブルーチンに相当する。
【0079】
これまで述べた様に、画像合成装置1が、3DCGを合成するときに邪魔になる対象物体4の画像を実写画像から仮想的に消去した後に、ARの技術を用いて3DCGを合成すれば、自然さを失うことなく3DCGを実写画像に合成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係わる画像合成装置の利用形態を説明する図。
【図2】対象物体を画像から仮想的に消去するときの処理を説明するときのフロー図。
【図3】画像合成装置が取得するパラメータの一例を説明する図。
【図4】実写画像の一例を説明する図。
【図5】コピーマーカとペーストマーカを説明する図。
【図6】図2のS11の処理を説明するためのフロー図。
【図7】仮想平面の中心点となるコピーマーカ座標系の座標点を演算するフロー図。
【図8】図2のS22の詳細内容を説明するフロー図。
【図9】画像合成装置のハードウェアブロック図。
【図10】画像合成装置の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0081】
1 画像合成装置
2 コピーマーカ
3 ペーストマーカ
4 対象物体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実感(AR: Augmented Reality)で利用されるマーカの模様を記憶し、マーカの模様を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる前記マーカを認識するマーカ認識手段と、前記マーカ認識手段が認識したマーカの模様から、前記マーカ認識手段が認識したマーカのマーカ座標系を演算し、それぞれのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を演算する変換行列演算手段と、コピー元の画像を指定する前記マーカ(コピーマーカ)の位置と定められたオフセット値を利用して、前記コピーマーカのマーカ座標系のXY平面に所定サイズのサンプリング領域を設定し、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記サンプリング領域に含まれる前記実写画像の画素から、定められたサイズのテクスチャを生成するテクスチャ生成手段と、ペースト先を指定する前記マーカ(ペーストマーカ)の座標原点を利用して、前記実写画像に合成する仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点を演算する配置座標演算手段と、前記配置座標演算手段が演算した座標点を中心点とし、前記テクスチャ生成手段が生成した前記テクスチャを貼り付けた所定サイズの仮想平面を形成する仮想平面形成手段と、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記仮想平面形成手段が形成した前記仮想平面を前記実写画像に合成する画像合成手段と、を備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像合成装置であって、前記配置座標演算手段は、前記仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点として、前記ペーストマーカの座標原点と前記カメラの座標原点を通過する直線が前記コピーマーカのXY座標面面と同一平面と交差する点を演算することを特徴とする画像合成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像合成装置であって、前記変換行列演算手段は、前記マーカ認識手段が認識した前記マーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列に加え、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を演算・記憶し、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系間の変換行列を演算・記憶した後に、前記マーカ認識手段が、前記コピーマーカ或いは前記ペーストマーカのいずれ一つしか前記実写画像から検出できないとき、前記変換行列演算手段は、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を用いて、前記実写画像から検出できなかった前記マーカに係わる変換行列を演算することを特徴とする画像合成装置。
【請求項4】
拡張現実感(AR: Augmented Reality)を利用した画像合成方法であって、コンピュータ装置画、拡張現実感で利用されるマーカに印刷された模様を利用して、カメラで撮影された実写画像に含まれる前記マーカを認識するステップaと、前記コンピュータ装置が、認識したマーカの模様から、前記マーカ認識手段が認識したマーカのマーカ座標系を演算し、それぞれのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を演算するステップbと、前記コンピュータ装置が、コピー元の画像を指定する前記マーカ(コピーマーカ)の位置と定められたオフセット値を利用して、前記コピーマーカのマーカ座標系のXY平面に所定サイズのサンプリング領域を設定し、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記サンプリング領域に含まれる前記実写画像の画素から、定められたサイズのテクスチャを生成するステップcと、前記コンピュータ装置画、ペースト先を指定する前記マーカ(ペーストマーカ)の座標原点を利用して、前記実写画像に合成する仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点を演算するステップdと、前記コンピュータ装置が、前記ステップdで演算した座標点を中心点とし、前記テクスチャ生成手段が生成した前記テクスチャを貼り付けた所定サイズの仮想平面を形成するステップeと、前記コンピュータ装置が、前記コピーマーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列を利用して、前記仮想平面形成手段が形成した前記仮想平面を前記実写画像に合成するステップfと、を備えたことを特徴とする画像合成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像合成方法であって、前記ステップdにおいて、前記コンピュータ装置は、前記仮想平面を配置する前記コピーマーカのマーカ座標系上の座標点として、前記ペーストマーカの座標原点と前記カメラの座標原点を通過する直線が前記コピーマーカのXY座標面面と同一平面と交差する点を演算することを特徴とする画像合成方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の画像合成方法であって、前記ステップbにおいて、前記コンピュータ装置は、前記マーカのマーカ座標系からカメラ座標系への変換行列に加え、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を演算・記憶し、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系間の変換行列を演算・記憶した後に、前記ステップaにおいて、前記コピーマーカ或いは前記ペーストマーカのいずれ一つしか前記実写画像から検出できないとき、前記コンピュータ装置は、前記ステップbにおいて、前記コピーマーカと前記ペーストマーカのマーカ座標系相互間の変換行列を用いて、前記実写画像から検出できなかった前記マーカに係わる変換行列を演算することを特徴とする画像合成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−33397(P2010−33397A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195734(P2008−195734)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】