説明

画像形成システム、画像形成装置、およびプログラム

【課題】通信手段を介して構成された画像形成システム全体としての消費電力を低減する。
【解決手段】信号の通信を行うネットワーク4と、ネットワーク4に接続され、ネットワーク4を介して受信した画像形成命令に基づき画像を形成する複数の画像形成装置3(3A〜3E)とを備え、複数の画像形成装置3の中の一の画像形成装置3は、複数の画像形成装置3の中の他の画像形成装置3を代理装置として設定し、ネットワーク4を介して自装置に対して送信される信号に含まれる画像形成命令以外の役務の提供を他の画像形成装置3に代理させ、自装置は稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク等の通信手段に接続されたプリンタ等の画像形成装置では、通常、例えば通信手段から送られる画像形成命令の受信状況等に応じて、消費電力を低く抑える省電力状態が設定される。しかし、画像形成装置は、省電力状態が設定されても、通信手段から自装置宛の信号を受信することにより省電力状態から復帰する。そのため、通信環境によっては画像形成装置に無駄な消費電力が生じる場合がある。
例えば、特許文献1には、代理サーバが画像形成装置に代わって画像形成装置の通信機能を代行することで、画像形成装置の消費電力を低減する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−334792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワーク等の通信手段に例えば画像形成装置の機能を代行する固定的な装置を備えた場合には、この装置を常時稼動状態に維持する必要がある。そのために、通信手段を介して構成された画像形成システム全体として消費される電力が低減されない場合がある。
本発明は、通信手段を介して構成された画像形成システム全体としての消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、信号の通信を行う通信手段と、前記通信手段に接続され、当該通信手段を介して受信した画像形成命令に基づき画像を形成する複数の画像形成装置とを備え、前記複数の画像形成装置の中の一の画像形成装置は、当該複数の画像形成装置の中の他の画像形成装置を代理装置として設定し、前記通信手段を介して自装置に対して送信される信号に含まれる画像形成命令以外の役務の提供を当該他の画像形成装置に代理させ、自装置は稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態に移行することを特徴とする画像形成システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記一の画像形成装置は、前記代理装置として設定する前記他の画像形成装置に対し、代理して提供させる前記役務を指定することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
請求項3に記載の発明は、前記一の画像形成装置は、前記代理装置として設定する前記他の画像形成装置に対し、代理させる役務を要求する信号を特定する特定情報と、当該役務の要求に応じて提供させる提供内容とを対応付けて送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
請求項4に記載の発明は、前記代理装置として設定された前記他の画像形成装置は、省電力状態に移行するに際して前記代理装置として他の画像形成装置を設定する場合に、当該他の画像形成装置に対し、自装置および自装置を代理装置として設定した画像形成装置に関する前記特定情報と前記提供内容とを対応付けて送信することを特徴とする請求項3記載の画像形成システムである。
請求項5に記載の発明は、前記代理装置として設定された前記他の画像形成装置は、省電力状態に移行するに際して前記代理装置とする他の画像形成装置が設定できない場合に、省電力状態に移行せず稼動状態を維持することを特徴とする請求項1記載の画像形成システムである。
【0007】
請求項6に記載の発明は、外部装置から画像形成命令および各種の役務の提供を要求する信号を取得する取得手段と、前記取得手段にて取得された前記信号にて要求された役務を前記外部装置に提供する役務提供手段と、稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とが設定され、当該稼動状態にて前記取得手段にて取得された前記画像形成命令に基づき用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段に前記省電力状態が設定される場合に、自装置に対して送信される信号が要求する画像形成命令以外の役務を代理して提供する代理装置を外部に設定する設定手段と、自装置が前記代理装置として設定された場合に、自装置を当該代理装置として設定した他の装置に送信された信号が要求する画像形成命令以外の役務を当該他の装置に代理して提供する代理提供手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項7に記載の発明は、前記代理提供手段は、前記他の装置により指定された前記役務を当該他の装置に代理して提供することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記代理提供手段が前記役務を代理して提供する際に用いる代理する役務を要求する信号を特定する特定情報と当該役務の要求に応じて提供させる提供内容とを対応付けて記憶する記憶手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記設定手段が前記代理装置を設定する場合に、自装置および自装置を代理装置として設定した前記他の装置に関する前記特定情報と前記提供内容とを対応付けて送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、外部装置から画像形成命令および各種の役務の提供を要求する信号を取得する機能と、取得された前記信号にて要求された役務を前記外部装置に提供する機能と、前記画像形成命令に基づき用紙に画像を形成する画像形成手段に稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態が設定される場合に、自装置に対して送信される信号が提供を要求する画像形成命令以外の役務を代理して提供する代理装置を外部に設定する機能と、自装置が前記代理装置として設定された場合に、自装置を当該代理装置として設定した他の装置に対して送信された信号が要求する画像形成命令以外の役務を当該他の装置に代理して提供する機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、通信手段を介して構成された画像形成システム全体としての消費電力を低減することができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、指定した特定の役務を代理する専用の代理装置を設置する必要がなくなり、専用の代理装置を設置した際に常時必要となる電力消費を削減することができる。
請求項3の発明によれば、代理装置がその後変更されても、変更後の代理装置においても自装置が指定した役務に関して代理処理を行わせることができる。
請求項4の発明によれば、変更前の代理装置が依頼元の画像形成装置から受け取っていた特定情報と提供内容とを引き取るため、画像形成装置が改めて代理装置を選択するために稼動状態に復帰する必要がなくなる。
請求項5の発明によれば、画像形成システム内に代理装置としての機能を有する画像形成装置を継続して存在させることができる。
【0011】
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、複数の画像形成装置で構成された画像形成システム全体としての消費電力を低減することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、複数の画像形成装置で構成された画像形成システムにおいて、画像形成装置にて指定された特定の役務を代理する専用の代理装置を設置する必要がなくなり、専用の代理装置を設置した際に常時必要となる電力消費を削減することができる。
請求項8の発明によれば、代理装置がその後変更されても、変更後の代理装置においても自装置が指定した役務に関して代理処理を行わせることができる。
請求項9の発明によれば、変更前の代理装置が依頼元の画像形成装置から受け取っていた特定情報と提供内容とを引き取るため、画像形成装置が改めて代理装置を選択するために稼動状態に復帰する必要がなくなる。
請求項10の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、複数の画像形成装置で構成された画像形成システム全体としての消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態の端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】本実施の形態の画像形成装置にて設定される動作モードを説明する図である。
【図5】応答情報記憶部に記憶された応答情報の一例を示した図である。
【図6】画像形成装置がスリープモードに移行する際に制御部が行う処理の内容の一例を示したフローチャートの前半部分である。
【図7】画像形成装置がスリープモードに移行する際に制御部が行う処理の内容の一例を示したフローチャートの後半部分である。
【図8】代理装置として設定された画像形成装置の通信部がネットワークから受信したパケットに関して行う処理の内容の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成システムの説明>
図1は、本実施の形態の画像形成システム1の構成例を示す図である。図1に例示した画像形成システム1では、例えばユーザ(操作者、作業者)の作業スペース(例えば、デスク)等に設置された外部装置の一例としての端末装置2と、端末装置2からの画像形成命令に基づき用紙上に画像を形成する画像形成装置の一例としての画像形成装置3A〜3E(以下、「画像形成装置3」とも総称する)とが、通信回線により構成されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等といった通信手段の一例としてのネットワーク4を介して双方向に通信可能に接続されている。通信回線としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等を含んでもよい。
なお、ネットワーク4上には通常、複数の端末装置2と複数の画像形成装置3とが接続可能であるが、図1では、その一例として、それぞれ1台の端末装置2と5台の画像形成装置3とが接続された構成を示している。
【0014】
<端末装置の説明>
まず、端末装置2について説明する。
ネットワーク4に接続される端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられ、文書や図形、グラフィック、写真等からなる画像データを作成/記憶する。
図2は、本実施の形態の端末装置2の構成を説明するブロック図である。図2に示したように、端末装置2は、端末装置2全体の動作制御や各種の情報処理を行う制御部20、予め定めたアプリケーションソフトに従って画像データを作成する画像データ作成部21、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部22を備えている。また、端末装置2は、プログラムや各種データ等が記憶される外部記憶部23、ネットワーク4との通信を行い、例えば画像データに関する画像形成命令を画像形成装置3に送信する通信部24を備えている。さらに、端末装置2は、端末装置2の各構成部に対して電力を供給する電力供給部25を備えている。
この制御部20、画像データ作成部21、UI部22、外部記憶部23、通信部24、および電力供給部25は、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス26に接続され、相互に信号や情報の送受信を行う。
【0015】
端末装置2の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、外部記憶部23に、端末装置2の各構成部を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト、さらには、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する画像形成装置3への画像形成命令(印刷命令:以下、「印刷ジョブ」)を生成するプリンタドライバプログラム等が記憶されている。そして、端末装置2の図示しない演算装置(CPU)が、これらのプログラムを外部記憶部23から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、制御部20、画像データ作成部21、および通信部24等の各構成部の機能を実現する処理を行う。
【0016】
<端末装置での印刷ジョブの生成/送信処理の説明>
端末装置2においてユーザによる印刷指示がUI部22に入力されると、制御部20は、外部記憶部23からプリンタドライバプログラムを読み込み、起動させる。それにより、制御部20はプリンタドライバプログラムに従って、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する印刷ジョブの生成処理を実行する。そして、制御部20は、生成した印刷ジョブを通信部24から画像形成装置3に送信する。
なお、「画像形成命令(印刷ジョブ)」とは、画像データに、例えば印刷部数、用紙サイズ、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、余白の大きさ等の印刷形式を指定する各種属性データが付加されたコマンドやデータからなる1まとまりの集合を意味する。
【0017】
<端末装置がネットワークを介して画像形成装置に要求するサービスの説明>
また、端末装置2において制御部20は、外部記憶部23から各種アプリケーションソフトを読み込んで起動させ、ネットワーク4に接続された画像形成装置3に対する各種サービス(役務)の提供を要求する信号(以下、パケット)を通信部24から送信する。
具体的には、端末装置2は、ネットワーク4を介して画像形成装置3に各種サービスの提供を要求する。例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて画像形成装置3内部のMIB(Management Information Base)にて設定/管理情報を参照し、その結果の返信を要求するサービス、WS−Discovery(Web Services Dynamic Discovery)を用いてIP(Internet Protocol)アドレスの通知を要求するサービス、Webブラウザを用いた画像形成装置3内部の設定/管理情報の参照要求に応答するサービス、NetWareを用いたプリントを要求するサービス等といった各種サービスの提供を画像形成装置3に要求する。
その場合に、制御部20は、画像形成装置3に対して要求するサービスを、画像形成装置3に送信するパケットに記述するプロトコル種別(TCP(Transmission Control Protocol)もしくはUDP(User Datagram Protocol))および送信先ポート番号により指定する。プロトコル種別はパケットのネットワーク層(IPヘッダ)で記述され、トランスポート層のプロトコル種別を特定するものであり、ポート番号はパケットのトランスポート層(TCPヘッダもしくはUDPヘッダ)で記述され、上位のプロトコルを特定するものである。プロトコル種別およびポート番号が指定されることで各種サービスを実行するプロトコルは一意に定まる。そのため、パケットにて指定したプロトコルおよびポート番号によって、画像形成装置3に対して要求するサービスが画像形成装置3にて特定され、提供されることとなる。
【0018】
<画像形成装置の説明>
次に、画像形成装置3について説明する。
本実施の形態の画像形成システム1を構成する画像形成装置3各々は、省電力状態に移行した他の画像形成装置3に代理して、端末装置2からマルチキャストまたはユニキャストで自身以外の他の画像形成装置3に送信されるパケットの処理を行う機能を備えている。すなわち、本実施の形態の画像形成装置3は、省電力状態に移行した他の画像形成装置3を送信先として例えば端末装置2から上記した各種サービスの提供を要求するパケットがネットワーク4を介し送信された場合に、この送信先となった省電力状態に移行した画像形成装置3に代理して、パケットにて要求されたサービスを提供する。
【0019】
図3は、本実施の形態の画像形成装置3の構成を説明するブロック図である。図3に示したように、画像形成装置3は、画像形成装置3全体の動作制御や画像処理を含む各種の情報処理を行う制御部30、ネットワーク4との通信を行って信号(パケット)を取得する取得手段の一例としての通信部31を備えている。制御部30は、動作制御や情報処理を実行する際の演算処理を行うCPU301、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM302、CPU301により実行されるプログラム等にて用いられる設定値やテーブル等のデータが格納されるROM303、各種のデータが記憶されるSRAM(Static Random Access Memory)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリ(NVM:Non-Volatile Memory)304を備えている。そして、これらはPCIバス305を介して相互に接続されている。
【0020】
また、画像形成装置3は、ユーザからの指示入力の受付やユーザへの各種情報の表示を行うユーザインタフェース(UI)部32、ネットワーク4を介して端末装置2から送信される印刷ジョブに従って用紙上に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像出力部33を備えている。画像出力部33としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。
加えて、画像形成装置3は、画像形成装置3の各構成部を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト等の各種のプログラムや、画像データ等の各種データが記憶される例えばハードディスク(HDD)で構成される外部記憶部34を備えている。
【0021】
また、画像形成装置3は、商用電源から供給される例えば100Vの交流電力または商用電源からの交流電力を予め定めた直流電圧(例えば、24V,12V,5V,3V)に変換して各構成部に供給する電力供給部35を備えている。そして、電力供給部35は、制御部30にて設定される画像形成装置3の動作モード(動作状態)に応じて、各構成部への駆動系電力や制御系電力の供給や停止を行う。一方、電力供給部35は、通信部31への制御系電力は動作モードに拘わらず常時供給する。
【0022】
画像形成装置3に配置された上記の制御部30、通信部31、UI部32、画像出力部33、外部記憶部34、および電力供給部35は、PCIバス36に接続され、相互に信号の送受信を行う。
また、画像形成装置3の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、制御部30のCPU301が、オペレーティングシステムやアプリケーションソフト等の各種プログラムを外部記憶部34から主記憶装置(RAM302)に読み込み、制御部30、通信部31、UI部32、画像出力部33、外部記憶部34、および電力供給部35等の各構成部の機能を実現させる処理、または各構成部に対する動作制御や情報処理等を実行する。
【0023】
なお、このオペレーティングシステムやアプリケーションソフト等の各種プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM303に格納された状態にて提供され、RAM302にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM303を備えている場合には、制御部30のCPU301がセッティングされた後に、プログラムだけがROM303にインストールされ、RAM302にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワーク4を介して制御部30にプログラムが伝送され、制御部30のROM303にインストールされて、RAM302にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM302にロードされる形態がある。
【0024】
<画像形成装置の制御部の機能の説明>
次に、画像形成装置3の制御部30の機能について説明する。
画像形成装置3の制御部30は、まず、例えば端末装置2からネットワーク4を介して画像形成装置3自身に向けて送信された印刷ジョブを処理する機能を有する。すなわち、制御部30は、ネットワーク4から送信された印刷ジョブに従って印刷ジョブに含まれる画像データに処理(画像処理)を施し、画像処理済みの画像データを画像出力部33に転送する。
【0025】
また、制御部30は、例えば端末装置2からの印刷ジョブの受信状況等に応じて画像形成装置3の動作モード(動作状態)を制御する機能を有する。図4は、本実施の形態の画像形成装置3にて設定される動作モードを説明する図である。図4に示したように、制御部30は、例えば動作モードとして、稼動状態の一例としての「画像形成動作モード」および「スタンバイモード」と、省電力状態の一例としての「スリープモード」とを選択的に設定する。
画像形成動作モードは、画像処理済みの画像データが画像出力部33に転送された場合に設定され、画像出力部33にて印刷ジョブに従った用紙上への画像形成動作を実行している動作状態である。また、スタンバイモードは、例えば端末装置2から印刷ジョブを取得した場合やUI部32にてユーザからの指示入力があった場合等に設定される。そしてスタンバイモードは、例えば制御部30にて印刷ジョブに含まれる画像データの全部または一部に関する画像処理が終了した際に直ちに画像形成動作モードに移行する動作状態である。さらにまた、スタンバイモードは、画像形成動作モードの終了後の予め定めた期間(待機時間T)においても設定される場合がある。画像形成動作モードやそれに準ずるスタンバイモードでは、電力供給部35から画像形成装置3内の画像形成に関する動作を行う構成部に駆動系電力が供給され、画像形成装置3内の制御/処理に関する動作を行う構成部に制御系電力が供給される。
【0026】
スリープモードは、例えば画像形成動作モードが終了しスタンバイモードが設定された後の予め定めた待機時間Tを経過しても、再び通信部31での印刷ジョブ等の信号の受信やUI部32でのユーザからの指示入力がない場合に設定される動作状態である。スリープモードでは、通信部31およびUI部32の操作入力部(不図示)だけが動作を継続し、制御部30を含めたそれ以外の構成部は動作を停止する。すなわち、スリープモードにおいては、電力供給部35から通信部31およびUI部32の操作入力部への制御系電力の供給は継続される。その一方で、電力供給部35から画像形成装置3内の画像形成に関する動作を行う構成部への駆動系電力が停止され、制御部30を含めた画像形成装置3内の制御/処理に関する動作を行う構成部への制御系電力が停止される。それにより、スリープモードによる画像形成装置3の省電力化が図られる。
【0027】
また、画像形成装置3の制御部30は、通信部31がネットワーク4から受信するパケット(信号)にて要求された各種サービスを提供する。すなわち、制御部30は、受信したパケットを解析して、パケットが画像形成装置3に対して要求するサービスをパケットに記述されたポート番号によって特定する。そして、ポート番号によって特定されたプロトコルに基づきサービスを提供する。さらには、必要に応じて、サービスの提供により生成された情報をパケットの送信元に通信部31を介して送信する。したがって、制御部30は、パケット(信号)にて指定されたサービス(役務)を提供する役務提供手段として機能する。
【0028】
さらにまた、制御部30は、画像形成装置3の動作モードをスリープモードに移行させる場合、およびスリープモードから復帰させる場合には、通信部31からネットワーク4に接続された端末装置2および他の画像形成装置3に対して、スリープモードへ移行する旨の通知、またはスリープモードから復帰する旨の通知(動作モード移行通知)を行う。
【0029】
加えて、制御部30は、動作モードをスリープモードに移行させる際には、自身に送信されたパケットに応答して提供するサービスの中の1または複数のサービスに関して代理処理(代理提供、代理応答)を行う他の画像形成装置3をネットワーク4上にて設定する。ここでの制御部30は、代理装置を設定する設定手段として機能する。
具体的には、ネットワーク4上に既にサービスの代理提供を行う他の画像形成装置3が設定されていれば、その画像形成装置3を自身の代理装置として選択する。また、ネットワーク4上にサービスの代理提供を行う他の画像形成装置3が設定されていなければ、稼動状態(画像形成動作モードまたはスタンバイモード)にある他の画像形成装置3を検索する。そして、稼動状態にある他の画像形成装置3の中から一の画像形成装置3を代理装置として選択する。代理装置とする一の画像形成装置3を選択した場合には、選択した画像形成装置3に対して、通信部31を介し代理装置に指定する旨の通知(代理指定通知)を行う。
【0030】
また、その場合に、制御部30は、代理指定通知とともに、自身のMAC(Media Access Control)アドレスやIP(Internet Protocol)アドレス、UUID(Universally Unique Identifier)等といった画像形成装置3自身を識別する識別情報と、代理提供の対象となるサービスを要求するパケットか否かを判断する際に用いる例えばプロトコル種別、ポート番号の指定等といったパケット(信号)を特定する特定情報からなる応答条件と、応答条件に合致するパケットに対する応答内容(パケットによるサービスの要求に応じて提供される内容)とから構成される応答情報を作成する。そして、制御部30は、作成した応答情報を、通信部31から代理装置として選択した画像形成装置3に送信する。ここでの応答内容の一例としては、画像形成装置3に設定されている用紙のサイズや種類、現像剤の残量に関する情報等といった画像形成を行うに際して必要となる画像形成装置3での設定/管理状態を示すステータス情報がある。なお、ステータス情報は、画像形成装置3にて設定/管理されるすべての状態に関する情報であってもよいし、必要に応じた一部の状態に関する情報であってもよい。
【0031】
さらに、スリープモードに移行するに際して、画像形成装置3自身が他の画像形成装置3の代理装置として機能していた場合には、制御部30は、自身の応答情報に加えて、自身を代理装置として指定した他の画像形成装置3(以下、「依頼元画像形成装置3」)の応答情報を、代理装置として新たに選択された画像形成装置3に送信する。
【0032】
<画像形成装置の通信部の説明>
続いて、画像形成装置3の通信部31について説明する。
画像形成装置3の通信部31は、ネットワーク4との間でデータ通信を行う。通信部31は、上記の図3に示したように、制御部30とネットワーク4との間のデータ通信を制御する通信制御部311、通信制御部311とPCIバス36との間のデータの送受信を行うPCIインターフェース(PCI_I/F)部312、通信制御部311とネットワーク4との間のデータの送受信を行うネットワークインターフェース(NET_I/F)部313を備えている。
また、通信部31は、ネットワーク4から受信したパケットの宛先を判定するパケット判定部314、自身が他の画像形成装置(依頼元画像形成装置)3の代理装置として機能している場合にこの他の画像形成装置3を送信先とするパケットに対して代理処理を行う代理応答処理部315、代理応答処理部315にて代理処理を行う際の応答情報を記憶する応答情報記憶部316とを備えている。
【0033】
パケット判定部314は、通信制御部311がNET_I/F部313から取得したパケットの宛先アドレスが自身のものか否かを判定する機能を有する。パケットが自身宛のものであった場合には、通信制御部311に通知する。それにより、通信制御部311は、画像形成装置3が稼動状態(画像形成動作モードまたはスタンバイモード)にある場合には、取得したパケットを制御部30に転送する。また、画像形成装置3が省電力状態(スリープモード)にある場合には、通信制御部311は、取得したパケットが印刷ジョブであるか、代理装置に代理処理を依頼しているパケット以外のパケットである場合に、制御部30を復帰させる起動信号を制御部30に送るとともに、取得したパケットを制御部30に転送する。その一方で、取得したパケットが代理装置に代理処理を依頼しているパケットである場合には、そのパケットは代理装置が代理処理するので、通信制御部311は、そのパケットを廃棄する。
【0034】
さらに、自身が依頼元画像形成装置3の代理装置として機能している場合には、パケット判定部314は、通信制御部311がNET_I/F部313から取得したパケットの宛先アドレスが依頼元画像形成装置3のものか否かを、応答情報記憶部316に記憶された応答情報(依頼元画像形成装置3の識別情報)に基づき判定する機能を有する。パケットが依頼元画像形成装置3宛のものであった場合には、通信制御部311に通知する。それにより、通信制御部311は、パケットを代理応答処理部315に転送する。代理応答処理部315にて代理処理が行われた場合には、通信制御部311は、代理応答処理部315から転送された応答内容をNET_I/F部313から送信する。
【0035】
代理応答処理部315は、通信制御部311がNET_I/F部313から取得したパケットが依頼元画像形成装置3宛のものであった場合には、応答情報記憶部316に記憶された応答情報(応答条件)に基づき、代理処理の必要があるパケットか否かを判定する機能を有する。判定の結果、代理処理の必要があるパケットであった場合には、代理応答処理部315は、依頼元画像形成装置3に代理してパケットにて要求されたサービスを提供し、応答情報記憶部316に記憶された応答情報(応答内容)に基づき応答に必要な応答内容を生成する。そして、生成した応答内容を通信制御部311に転送する。ここでの代理応答処理部315および通信制御部311は、役務を依頼元画像形成装置3に代理して提供する代理提供手段として機能する。
その一方、通信制御部311がNET_I/F部313から取得したパケットが依頼元画像形成装置3宛のものであったが、代理処理の必要がないパケットであった場合には、代理応答処理部315は、そのパケットを破棄する。
【0036】
応答情報記憶部316は、記憶手段の一例であって、依頼元画像形成装置3から送られた応答情報を記憶する。
ここで、図5は、応答情報記憶部316に記憶された応答情報の一例を示した図である。図5に示したように、応答情報記憶部316には、依頼元画像形成装置3から送られた応答情報がテーブルとして記憶されている。図5に例示した応答情報のテーブルでは、代理装置が例えば画像形成装置3Aであり、依頼元画像形成装置3が、画像形成装置3B,3C,3Dであるものとしている。そして、応答情報として、依頼元画像形成装置3B,3C,3Dの識別情報であるMACアドレスとIPアドレスとUUID、応答条件である代理提供の対象となるサービスを指定するプロトコル、ポート番号、応答内容であるデータを格納したファイル名がそれぞれ対応付けられて記述されている。
【0037】
例えば、図5に示した応答情報において、依頼元画像形成装置3Bは、応答条件としてSNMPのポート番号であるUDP161番ポートを指定している。そして、UDP161番ポートを指定した依頼元画像形成装置3B宛のパケットに対して、ファイル名¥data¥id003Bのファイルに記憶されたデータ(例えば、ステータス情報)を応答するサービスの代理提供を依頼している。また、依頼元画像形成装置3Cは、応答条件としてWS−Discoveryのポート番号であるUDP3702番ポートを指定している。そして、UDP3702番ポートを指定した依頼元画像形成装置3C宛のパケットに対して、UUIDに対応するIPアドレスを応答するサービスの代理提供を依頼している。また、依頼元画像形成装置3Dは、応答条件としてHTTP(Hypertext Transfer Protocol)のポート番号であるTCP80番ポートを指定している。そして、TCP80番ポートを指定した依頼元画像形成装置3D宛のパケットに対して、ファイル名¥data¥id003Dのファイルに記憶されたデータ(例えば、ステータス情報)を応答するサービスの代理提供を依頼している。
【0038】
代理応答処理部315は、応答情報記憶部316に記憶された例えば図5に示した応答情報の応答条件に基づき、取得した依頼元画像形成装置3宛のパケットが代理処理の必要があるパケットか否かを判定する。その結果、代理処理の必要があるパケットであった場合には、代理応答処理部315は、依頼元画像形成装置3に代理して応答条件に合致したサービスを提供する。具体的には、代理応答処理部315は、依頼元画像形成装置3宛のパケットが応答条件に合致した場合には、応答情報記憶部316に記憶された例えば図5に示した応答情報の応答内容に基づき、応答に必要な応答内容を生成して、生成した応答内容を通信制御部311に転送する。この場合に、生成する応答内容は、例えば図5に示した応答情報の応答内容に基づき新たに生成するものであってもよい。
通信制御部311は、パケットの送信元に対して、代理応答処理部315から転送された応答内容をNET_I/F部313から送信する。
【0039】
<スリープモードに移行する際の処理の説明>
続いて、画像形成装置3がスリープモードに移行する際に制御部30が行う処理について説明する。
図6および図7は、画像形成装置3がスリープモードに移行する際に制御部30が行う処理の内容の一例を示したフローチャートである。
まず図6のフローチャートに示したように、制御部30は、通信部31での印刷ジョブ等の信号の受信およびUI部32でのユーザからの指示入力を監視する(S101)。
そして、スタンバイモードの設定から予め定めた待機時間Tを経過しても信号の受信およびユーザからの指示入力がない場合には(S101でNo、S102でYes)、制御部30は、ネットワーク4上にて代理装置を検索する(S103)。この場合に、制御部30は、例えば、通信部31から代理装置を検索する検索パケットをネットワーク4上にマルチキャストで送信し、応答パケットが返信されるか否かにより、ネットワーク4上に代理装置として設定された他の画像形成装置3が存在するか否かを判断する。
一方、待機時間Tを経過する前に信号の受信またはユーザからの指示入力があった場合(S101でYes)、または、スタンバイモードの設定から待機時間Tを経過するまでは(S102でNo)、制御部30は、通信部31での信号の受信およびUI部32でのユーザからの指示入力の監視を継続する。
【0040】
代理装置の検索の結果、ネットワーク4上に既に代理装置となる他の画像形成装置3が存在すれば(S104でYes)、その画像形成装置3を自身の代理装置として選択する(S105)。
また、ネットワーク4上にサービスの代理提供を行う他の画像形成装置3が存在しなければ(S104でNo)、稼動状態(画像形成動作モードまたはスタンバイモード)にある他の画像形成装置3を検索する(S106)。そして、稼動状態にある他の画像形成装置3が存在すれば(S107でYes)、稼動状態にある他の画像形成装置3の中から一の画像形成装置3を代理装置として選択する(S108)。
ここで、稼動状態にある一の画像形成装置3を代理装置として選択する場合に、予め定められた優先順位に従って選択してもよい。その場合に、スリープモードへの移行による省電力効果が比較的高い画像形成装置3がスリープモードに移行し、スリープモードへの移行による省電力効果が比較的低い画像形成装置3が稼動状態にあって代理装置として機能すれば、画像形成システム1全体としての省電力効果は高まる。そこで、代理装置を選択するに際して、例えばスリープモードに移行させても制御部30がオフされず省電力効果の比較的低い画像形成装置3の順位が高く設定された優先順位を用いてもよい。また、例えば稼動率の高い画像形成装置3順に設定された優先順位や、ユーザが設定した優先順位等を用いてもよい。
【0041】
続いて、ネットワーク4上に稼動状態にある他の画像形成装置3が存在せず(S107でNo)、かつ、自身が他の画像形成装置3の代理装置として機能していない(選択されていない)場合には(S109でNo)、制御部30は、他の画像形成装置3を代理装置として選択せず、自身をそのままスリープモードに移行させる(S110)。それにより、スリープモードの設定による省電力を図るとともに、スリープモード設定中に受信したパケットは、必要に応じてスリープモードから復帰し、自身が処理する。
また、ネットワーク4上に稼動状態にある他の画像形成装置3が存在せず(S107でNo)、かつ、自身が他の画像形成装置3の代理装置として機能している場合には(S109でYes)、制御部30は、画像形成装置3をスタンバイモードに維持する(S111)。それにより、通常は省電力状態(スリープモード)に移行する状態においても稼動状態(スタンバイモード)を維持して、代理装置としての機能を継続して実行する。なお、この場合に、制御部30は、依頼元画像形成装置3にサービスの代理提供を終了する旨を通知し、自身をスリープモードに移行させるように設定してもよい。その場合には、依頼元画像形成装置3はスリープモードから復帰し、依頼元画像形成装置3自身宛のパケットを自らが処理することとなる。
【0042】
引き続き、図7のフローチャートに移り、ステップ105およびステップ108にて代理装置とする画像形成装置3を選択した場合であって、かつ、自身が他の画像形成装置3の代理装置として機能していない場合には(S112でNo)、制御部30は、代理装置として選択した画像形成装置3に対して、送信手段として機能する通信部31を介して代理指定通知と自身の応答情報とを送信する(S113)。
一方、自身が他の画像形成装置3の代理装置として機能している場合には(S112でYes)、制御部30は、代理装置として選択した画像形成装置3に対して、送信手段として機能する通信部31を介して代理指定通知と、自身の応答情報と、応答情報記憶部316に記憶されている依頼元画像形成装置3の応答情報とを送信する(S114)。
【0043】
代理装置に代理指定通知と応答情報とを送信した後、制御部30は、通信部31からネットワーク4に接続された端末装置2および他の画像形成装置3に対して、スリープモードへ移行する旨の通知を行う(S115)。
そして、代理装置から代理装置としての受付を開始した旨の通知(受付開始通知)を取得した後(S116)、制御部30は、画像形成装置3をスリープモードに移行させる(S117)。
【0044】
<スリープモードから復帰する際の処理の説明>
画像形成装置3がスリープモードから復帰する際には、制御部30は、通信部31からネットワーク4に接続された端末装置2、および代理装置として設定された画像形成装置3を含む他の画像形成装置3に対して、スリープモードから復帰する旨の通知を行う。それにより、代理装置として設定されていた画像形成装置3は、スリープモードから復帰した画像形成装置3に関するサービスの代理提供を停止する。その場合に、代理装置は、応答情報記憶部316に記憶されたスリープモードから復帰した画像形成装置3に関する応答情報を消去する。
【0045】
このように、本実施の形態の画像形成システム1では、代理装置として設定される画像形成装置3は、ネットワーク4上で稼動状態にある他の画像形成装置3が機動的に選定される。また、代理装置が変更される際には、新たに設定される代理装置は、前の代理装置が依頼元画像形成装置3から受け取っていた応答情報を引き取る。
なお、本実施の形態の画像形成システム1では、画像形成装置3を代理装置として設定される場合について説明したが、端末装置2も同様に代理装置として設定される構成としてもよい。
【0046】
<代理装置でのパケット処理の説明>
次に、代理装置として設定された画像形成装置3にて取得されたパケットの処理について説明する。
図8は、代理装置として設定された画像形成装置3の通信部31がネットワーク4から受信したパケットに関して行う処理の内容の一例を示したフローチャートである。
図8に示したように、通信部31では、通信制御部311がネットワーク4からマルチキャストまたはユニキャストで送信されるパケットがNET_I/F部313にて取得されるのを監視する(S201)。NET_I/F部313にてネットワーク4からパケットが取得されると(S201でYes)、通信制御部311は、パケット判定部314に対し取得したパケットの宛先アドレスを判定させる(S202)。
取得したパケットが自身宛のものであった場合には(S203でYes)、通信制御部311は、取得したパケットを制御部30に転送する(S204)。
また、取得したパケットが自身宛のものでなく、依頼元画像形成装置3宛のものであった場合には(S203でNo、S205でYes)、通信制御部311は、そのパケットを代理応答処理部315に転送する(S206)。
一方、取得したパケットが自身宛のものでなく、依頼元画像形成装置3宛のものでもない場合には(S203でNo、S205でNo)、通信制御部311は、そのパケットを廃棄する(S207)。
【0047】
通信制御部311からパケットが転送された代理応答処理部315は、応答情報記憶部316に記憶された応答情報(応答条件)に基づき、パケットが代理処理の必要があるパケットか否かを判定する(S208)。その結果、代理処理の必要があるパケットであった場合には(S208でYes)、代理応答処理部315は、依頼元画像形成装置3に代理してパケットにて要求されたサービスを提供し、応答情報記憶部316に記憶された応答情報(応答内容)に基づき応答に必要な応答内容を生成する(S209)。そして、生成した応答内容を通信制御部311に転送する(S210)。
その一方で、通信制御部311がNET_I/F部313から取得したパケットが依頼元画像形成装置3宛のものであったが、代理処理の必要がないパケットであった場合には(S208でNo)、代理応答処理部315は、そのパケットを破棄する(S211)。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成システム1においては、稼動状態が設定されている画像形成装置3が、省電力状態にある他の画像形成装置3の代理装置となる。そして、省電力状態にある他の画像形成装置3を送信先として、端末装置2から各種サービスの提供を要求するパケットがネットワーク4を介し送信された場合に、この送信先となった省電力状態にある画像形成装置3に代理してパケットにて要求されたサービスを提供する。また、代理装置が変更される際には、前の代理装置が依頼元画像形成装置3から受け取っていた応答情報を新たに設定される代理装置に転送する。
それにより、ネットワーク4上に専用の代理装置を設置する必要がない。また、代理装置が変更される際には、依頼元画像形成装置3が改めて代理装置を選択するために、稼動状態に復帰する必要もない。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成システム、2…端末装置、3(3A〜3E)…画像形成装置、4…ネットワーク、30…制御部、31…通信部、311…通信制御部、314…パケット判定部、315…代理応答処理部、316…応答情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の通信を行う通信手段と、
前記通信手段に接続され、当該通信手段を介して受信した画像形成命令に基づき画像を形成する複数の画像形成装置とを備え、
前記複数の画像形成装置の中の一の画像形成装置は、当該複数の画像形成装置の中の他の画像形成装置を代理装置として設定し、前記通信手段を介して自装置に対して送信される信号に含まれる画像形成命令以外の役務の提供を当該他の画像形成装置に代理させ、自装置は稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態に移行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記一の画像形成装置は、前記代理装置として設定する前記他の画像形成装置に対し、代理して提供させる前記役務を指定することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記一の画像形成装置は、前記代理装置として設定する前記他の画像形成装置に対し、代理させる役務を要求する信号を特定する特定情報と、当該役務の要求に応じて提供させる提供内容とを対応付けて送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記代理装置として設定された前記他の画像形成装置は、省電力状態に移行するに際して前記代理装置として他の画像形成装置を設定する場合に、当該他の画像形成装置に対し、自装置および自装置を代理装置として設定した画像形成装置に関する前記特定情報と前記提供内容とを対応付けて送信することを特徴とする請求項3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記代理装置として設定された前記他の画像形成装置は、省電力状態に移行するに際して前記代理装置とする他の画像形成装置が設定できない場合に、省電力状態に移行せず稼動状態を維持することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項6】
外部装置から画像形成命令および各種の役務の提供を要求する信号を取得する取得手段と、
前記取得手段にて取得された前記信号にて要求された役務を前記外部装置に提供する役務提供手段と、
稼動状態と当該稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態とが設定され、当該稼動状態にて前記取得手段にて取得された前記画像形成命令に基づき用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段に前記省電力状態が設定される場合に、自装置に対して送信される信号が要求する画像形成命令以外の役務を代理して提供する代理装置を外部に設定する設定手段と、
自装置が前記代理装置として設定された場合に、自装置を当該代理装置として設定した他の装置に送信された信号が要求する画像形成命令以外の役務を当該他の装置に代理して提供する代理提供手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記代理提供手段は、前記他の装置により指定された前記役務を当該他の装置に代理して提供することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記代理提供手段が前記役務を代理して提供する際に用いる代理する役務を要求する信号を特定する特定情報と当該役務の要求に応じて提供させる提供内容とを対応付けて記憶する記憶手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記設定手段が前記代理装置を設定する場合に、自装置および自装置を代理装置として設定した前記他の装置に関する前記特定情報と前記提供内容とを対応付けて送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータに、
外部装置から画像形成命令および各種の役務の提供を要求する信号を取得する機能と、
取得された前記信号にて要求された役務を前記外部装置に提供する機能と、
前記画像形成命令に基づき用紙に画像を形成する画像形成手段に稼動状態よりも消費電力が低い省電力状態が設定される場合に、自装置に対して送信される信号が提供を要求する画像形成命令以外の役務を代理して提供する代理装置を外部に設定する機能と、
自装置が前記代理装置として設定された場合に、自装置を当該代理装置として設定した他の装置に対して送信された信号が要求する画像形成命令以外の役務を当該他の装置に代理して提供する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−176424(P2010−176424A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18710(P2009−18710)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】