画像形成システムおよび画像形成装置
【課題】ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、画像形成装置の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム10は、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能なマルチファンクションプリンタ16を有する。また、画像形成システム10は、パソコン14、およびサーバ12を備える。サーバ12は、省電力モード時において、時刻情報、パソコン14に対するユーザのログイン状態、およびマルチファンクションプリンタ16の過去の使用履歴に基づいて、複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させる機能ユニットを設定する。
【解決手段】 画像形成システム10は、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能なマルチファンクションプリンタ16を有する。また、画像形成システム10は、パソコン14、およびサーバ12を備える。サーバ12は、省電力モード時において、時刻情報、パソコン14に対するユーザのログイン状態、およびマルチファンクションプリンタ16の過去の使用履歴に基づいて、複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させる機能ユニットを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を含む画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中には、画像形成ユニット、スキャナユニット、ファックスユニット、操作パネル等の複数の機能ユニットを備えたマルチファンクションプリンタが存在する。
【0003】
このようなマルチファンクションプリンタの中には、一定期間ジョブの入力がされない場合に、待機中の消費電力を減らすために省電力モードに移行するように構成されるものがある。
【0004】
そして、そのようなマルチファンクションプリンタの中には、さらに省電力効果を高めるために、各機能ユニットを設定された順序で省電力モードに移行させるように構成されるもの(例えば、特許文献1参照。)や、省電力モード時にジョブがある場合に必要な機能ユニットのみに通電を開始するように構成されるもの(例えば、特許文献2参照。)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−203704号公報
【特許文献2】特開2008−205714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、省電力モードに移行することにより待機中の消費電力が減少する一方で、必要以上に省電力モードに移行させるとジョブの入力時に待ち時間が発生する等ユーザの利便性が損なわれる虞がある。例えば、高確率で使用されることが予想されている機能ユニットを省電力モードに移行させた場合、ユーザからのジョブが入力された際に通常モードに復帰させるための待ち時間が発生し、ユーザの利便性を損ねてしまう可能性が高くなる。
【0007】
その一方で、高確率で使用されない機能ユニットを省電力モードに移行させない場合、無駄な消費電力が発生し、その結果、モード切換を行うことによって得られる省電力効果が低下してしまう可能性が高い。このため、待機中の省電力効果およびユーザの利便性の両方を考慮して省電力モードへの移行制御を行うことが好ましいと言える。
【0008】
この発明の目的は、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、画像形成装置の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能な画像形成システムおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成システムは、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を有する。この画像形成システムは、操作端末装置、操作手段、履歴情報記録部、状態管理部、および電力供給制御部を備える。
【0010】
操作端末装置は、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能に構成される。操作端末装置の例としては、パソコンが挙げられる。また、操作端末装置は、原則として、複数設けられるものであるが、操作端末装置が単一の場合であっても本発明の技術的思想を利用することが可能である。
【0011】
操作手段は、画像形成装置に設けられる。この操作手段は、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能に構成される。
【0012】
履歴情報記録部は、複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録するように構成される。状態管理部は、操作端末装置におけるログイン状態を管理するように構成される。
【0013】
電力供給制御部は、時刻情報、ログイン状態、および履歴情報記録部の記録内容に基づいて、複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させるべき機能ユニットを設定する。例えば、電力供給制御部は、同じ時間帯における、ログイン中のユーザに係る複数日分のジョブ履歴に基づいて、当該時間帯におけるジョブ数の平均値が所定値に満たない機能ユニットごとを省電力モードに移行させるような制御を行う。
【0014】
この構成においては、現在ログインしているユーザの過去の画像形成装置の使用履歴に基づいて、高確率で使用されることが予想される機能ユニットについては省電力モードに移行させない一方で、高確率で使用されないことが予想される機能ユニットを省電力モードに移行させるような制御を行うことが可能になる。
【0015】
このため、ユーザが使用しようとする機能ユニットが省電力モードに移行していることでタイムロスが発生するという不都合や、ユーザが使用していない機能ユニットが省電力モードに移行することなく放置されるという不都合が多発することを確実に防止することが可能になる。
【0016】
上述の操作端末装置と通信可能な通信手段、上記操作手段、上記履歴情報記録部、上記状態管理部、および上記電力供給制御部によって画像形成装置を構成する場合であっても、上述の画像形成システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、画像形成装置の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
【図2】画像形成システムの概略を示すブロック図である。
【図3】マルチファンクションプリンタの概略を示すブロック図である。
【図4】通常モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】サーバが記録する使用履歴情報の一例を示す図である。
【図6】省電力モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】参照する使用履歴情報の一例を示す図である。
【図8】各機能のオンオフ制御の一例を示す図である。
【図9】各機能ユニットのオンオフ制御の一例を示す図である。
【図10】省電力モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図11】画像形成システムの他の例の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および図2を用いて、本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略を説明する。
【0020】
画像形成システム10は、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク)100、および、このネットワーク100にそれぞれ接続されたサーバ12、複数のパソコン14、およびマルチファンクションプリンタ16を備えている。
【0021】
サーバ12は、画像形成システム10に対するユーザのログイン状態を管理するように構成される。また、サーバ12は、ログインしたユーザが画像形成システム10においてどのようなジョブを実行したかを示す履歴情報を記録するように構成される。
【0022】
具体的には、サーバ12は、CPU122、ROM124、RAM126、ネットワークコントローラ128、およびハードディスク等の記録部130を備える。記録部130は、使用履歴情報132、制御用情報生成プログラム134、およびログイン情報管理プログラム136を格納している。
【0023】
使用履歴情報132は、各ユーザの過去の所定日間の使用履歴に関する情報であり、どのユーザが、いつ、どの機能ユニットに対して、どの程度の量のジョブを実行させたのかを示している。サーバ12は、通常、パソコン14およびマルチファンクションプリンタ16から供給される使用履歴情報をユーザ毎に対応づけて記録部130に記録している。
【0024】
制御用情報生成プログラム134は、使用履歴情報の中から、そのときの時間帯およびログイン状態に関連する使用履歴情報を取り出して、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットのオンオフ制御用の情報を生成するためのものである。ログイン情報管理プログラム136は、画像形成システム10のどのユーザがマルチファンクションプリンタ16を使う可能性があるのかを判断するために、各パソコン14のログイン情報を監視するためのものである。サーバ12では、CPU122が、ROM124および記録部130に格納された複数のプログラムやデータを読み取ることによって、統括的な制御が行われている。
【0025】
パソコン14は、画像形成システム10におけるクライアントコンピュータとして機能する。パソコン14は、CPU140、ROM142、RAM144、操作部145、表示部146、ネットワークコントローラ148、およびハードディスク等の記録部150を備える。
【0026】
記録部150は、認証プログラム152、ジョブ送信プログラム154、および通知プログラム156を備える。認証プログラム152は、パソコン14に、認証機能を持たせるためのものである。ジョブ送信プログラム154は、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいてマルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力させる機能をパソコンに持たせるためのものである。通知プログラム156は、ユーザがログインまたはログアウトしたときに、その旨をサーバ12に通知するとともに、パソコン14からマルチファンクションプリンタ16に対するジョブ送信(プリントジョブ)がされたときに、その使用履歴(ジョブ実行に係るユーザ名、ジョブの種類、時間、利用枚数、利用ファイル等)の情報をサーバ12に送信するためのものである。
【0027】
マルチファンクションプリンタ16は、メイン制御部20、ROM30、RAM28、操作パネル38、ネットワークコントローラ24、およびハードディスク等の記録部26を備える。記録部26には、上述の認証プログラム152および通知プログラム156と同様の認証プログラム262および通知プログラム264が格納される。
【0028】
マルチファンクションプリンタ16においては、認証を経てログインが許可されたユーザのみがコピー、ファックス(送信、受信プリント)、スキャンの動作を行うことが許可されており、また、その使用履歴(ジョブ実行に係るユーザ名、ジョブの種類、時間、利用枚数、利用ファイル等)の情報がサーバ12に送信される。
【0029】
マルチファンクションプリンタ16は、図3に示すように、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、ファックスユニット44、電源装置34、電力供給制御部36、メイン制御部20、およびサブ制御部22を備える。
【0030】
操作パネル38は、本発明の操作手段に対応するものであり、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて各機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力するように構成される。操作パネル38は、表示部384、操作部386、およびコントローラ382を備える。表示部384は、ユーザに対する指示および警告等を表示したり、印刷される画像データを表示したりするように構成される。操作部386は、ユーザからのジョブ入力操作やジョブ設定操作の入力を受け付けるように構成される。また、操作部386は、マルチファンクションプリンタ16を直接操作するユーザの認証情報を受けつけるように構成される。ユーザの認証情報を受けつける手段としては、ユーザのICカードを読み取り可能なカードリーダや、ユーザIDやパスワードの入力を受け付ける操作キーが挙げられる。コントローラ382は、操作パネル38の動作を制御するように構成される。
【0031】
画像形成ユニット40は、感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、および搬送機構等を備えており、用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を実行するように構成される。また、画像形成ユニット40は、各部の動作を制御するように構成されたコントローラ402を備える。
【0032】
スキャナユニット42は、原稿自動搬送装置および原稿読取装置を備えるとともに、これらの動作を制御するように構成されたコントローラ422を備える。
【0033】
ファックスユニット44は、電話回線に接続されるとともに、ファックス通信機能を備える。ファックスユニット44は、着呼検知ユニット444、および各部の動作を制御するためのコントローラ442を備える。
【0034】
電源装置34は、電力供給制御部36を介して、マルチファンクションプリンタ16の各部に電力を供給するように構成されている。電力供給制御部36は、マルチファンクションプリンタ16の各部への通電状態を制御するように構成される。
【0035】
電力供給制御部36は、複数のスイッチ360、362、364、366、および368を備える。スイッチ360、362、364、366、および368の例としては、電界効果型のトランジスタが挙げられるが、その他の種類のトランジスタや、その他の回路要素を用いてスイッチ360、362、364、366、および368を構成することが可能である。
【0036】
メイン制御部20は、ハードディスク26、RAM28、およびROM30に接続されており、ROM30に格納されたプログラムに基づいてマルチファンクションプリンタ16の動作を統括的に制御するように構成される。この実施形態では、省電力モード時には、メイン制御部20は動作を停止するように設定されている。
【0037】
サブ制御部22は、ROM30およびRAM32に接続されており、通常モード時にはメイン制御部20と協働してマルチファンクションプリンタ16の動作を制御し、省電力モード時には単独でマルチファンクションプリンタ16の動作を制御するように構成される。サブ制御部22は、ネットワーク100上の他の機器との通信を制御するように構成されたネットワークコントローラ24に接続されている。
【0038】
ここで、図4を用いて、マルチファンクションプリンタ16の通常モード時におけるメイン制御部20の動作手順の一例を説明する。図4に示すように、通常モード時には、メイン制御部20は、ジョブの入力がされるまで待機している(S1)。
【0039】
S1の待機ステップにおいて、ジョブの入力があった場合には、メイン制御部20は、ジョブの内容を解析し(S4)、解析結果に基づき必要な機能ユニットを用いてジョブを実行する(S5)。
【0040】
その後、メイン制御部20は、ジョブが終了したか否かを判断し(S6)、まだ終了していない場合にはS5のステップに戻る。これに対して、S6の判断ステップにおいて、ジョブが終了している場合には、今回のジョブに関する情報(ユーザ名、ジョブ開始日時・時刻および終了日時・時刻、ジョブの種類、ジョブ枚数等)を使用履歴情報に追加することによって使用履歴情報を更新し(S7)、その後S1の待機ステップに移行する。
【0041】
ここで、図5を用いて、使用履歴情報を簡単に説明する。使用履歴情報は、各ユーザが、予め設定された時間帯において、マルチファンクションプリンタ16の各機能(コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファックス機能)をどの程度利用したのかを示している。この実施形態では、一日を8時〜10時、10時〜12時、12時〜14時、14時〜16時、16時〜18時、18時以降翌朝8時までの6つの時間帯に分けて、各時間帯において、ユーザがコピー機能(C)、プリント機能(P)、スキャナ機能(S)、およびファックス機能(F)を何回利用(何枚処理)したのか記録するようにしている。
【0042】
例えば、4月21日の午前8時から10時までの間に、ユーザAによって、コピー機能(C)が0回、プリント機能(P)が5回、スキャナ機能(S)が1回、およびファックス機能(F)が0回使用されたことが分かる。同様に、同じ時間帯において、ユーザBによって、コピー機能(C)が1回、プリント機能(P)が15回、スキャナ機能(S)が3回、およびファックス機能(F)が0回使用されたことが分かる。
【0043】
上述のS1の待機ステップにおいて、ジョブの入力がない場合には、メイン制御部20は、所定時間が経過したか否かを判断する(S2)。S2の判断ステップにおいて、所定時間が経過していない場合には、再びS1の待機ステップに戻る一方で、所定時間が経過している場合には、省電力モードに移行する(S3)。なお、省電力モードに移行する際には、メイン制御部20への通電が停止するとともに、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行する旨がサブ制御部22からサーバ12に通知される。
【0044】
続いて、図6を用いて、サーバ12のCPU122の動作手順の一例を説明する。CPU122は、マルチファンクションプリンタ16から省電力モードに移行する旨の通知があるまで待機している(S11)。
【0045】
S11の待機ステップにおいて、マルチファンクションプリンタ16から省電力モードに移行する旨の通知があると、CPU122は、内蔵するクロックに基づいて日時および時刻の情報を取得する(S12)。
【0046】
続いて、CPU122は、現在のログイン状態を示す情報を取得する(S13)。続いて、CPU122は、現在の日時、時刻、ログイン中のユーザに関連する使用履歴情報を取得する(S14)。
【0047】
S14の使用履歴情報参照ステップにおいて、CPU122は、図7(A)に示すように、前日から所定日前(例えば、10日前)の期間で、かつ、現在の時刻が含まれる時間帯において、現在ログイン中のユーザによって操作されたジョブに関連する使用履歴情報を取得する。図7(A)では、4月23日の午前10時30分においてユーザA、C、E、F、およびGがログインしている状態において取得される使用履歴情報が示されている。
【0048】
ただし、使用履歴情報の取得手法はこれに限定されるものではなく、その他の取得手法をユーザの設定によって選択できるようにしても良い。例えば、図7(B)に示すように、4月23日の午前10時30分においてユーザA、C、E、F、およびGがログインしている状態において、1週間前から所定週間前(例えば、10週間前)の期間で、かつ、午前10時〜12時の時間帯においてユーザA、C、E、F、およびGによって操作されたジョブに関連する使用履歴情報を取得するようにしても良い。例えば、曜日ごとによって異なるジョブ傾向がある場合には図7(B)に示す取得手法を選択すると良い。
【0049】
続いて、CPU122は、取得した使用履歴情報に基づいて、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44に適用すべき給電制御情報を生成する(S15)。
【0050】
S15の給電制御情報生成ステップにおいて、CPU122は、取得した使用履歴情報から各機能のジョブについて過去の平均枚数を算出し、この平均枚数が平均枚数閾値以上の場合には省電力モード時において該当する機能をオンにする。
【0051】
ここで、過去の平均枚数は、同じ時間帯の過去X日分のデータ(または、同じ曜日でかつ同じ時間帯の過去X週間分のデータ)に基づいて算出される。取得したX個データについて、そのときにログインしているユーザについて、マルチファンクションプリンタの各機能を使用した回数の総和を算出し、この総和をXで割った値を過去の平均枚数として使用する。
【0052】
図8に示す例では、平均枚数閾値が、コピー機能10枚、スキャナ機能15枚、プリント機能30枚、およびファックス機能5枚にそれぞれ設定されているため、過去の平均枚数がこの閾値以上となる時間帯においては、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行しても、該当する機能はオン状態を維持するような給電制御情報が生成される。
【0053】
これに対して、算出された平均枚数が平均枚数閾値未満の場合には、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行する時において、該当する機能をオフになるようにするような給電制御情報が生成される。
【0054】
例えば、4月23日の午前10時30分においては、コピー機能およびスキャナ機能については過去平均枚数が平均枚数閾値以上であるためオンにされ、プリント機能およびファックス機能については過去平均枚数が平均枚数閾値未満であるためオフにされる。
【0055】
S15の給電制御情報生成ステップにおいて給電制御情報が生成されると、CPU122は、生成した給電制御情報をマルチファンクションプリンタ16に対して送信する(S16)。
【0056】
その後、CPU122は、マルチファンクションプリンタ16から通常モードに復帰した旨の通知を受けるまでS12〜S16のステップを繰り返し、マルチファンクションプリンタ16から通常モードに復帰した旨の通知を受けたときには省電力時の給電制御処理を停止する(S17)。
【0057】
一方、マルチファンクションプリンタ16では、サブ制御部22が、サーバ12から受信した給電制御情報に基づいて電力供給制御部36を制御することにより、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44に対する給電制御を実行する。このとき、サブ制御部22は、図9に示すような給電制御情報と操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44のオンオフ切換設定との対応関係を示すルックアップテーブル等を参照するようにすると良い。
【0058】
なお、上述のS1のステップにおいて、画像形成システム10のパソコン14に対してログイン中のユーザの数の増加に応じて、省電力モード移行制御を行うまでの待機時間を増加させるようにすると良い。
【0059】
以上の構成によれば、現在ログインしているユーザの過去のマルチファンクションプリンタ16の使用履歴に基づいて、高確率で使用されることが予想される機能ユニットについては省電力モードに移行させない一方で、高確率で使用されないことが予想される機能ユニットを省電力モードに移行させるような制御を行うことが可能になる。
【0060】
このため、ユーザが使用しようとする機能ユニットが省電力モードに移行していることでタイムロスが発生するという不都合や、ユーザが使用していない機能ユニットが省電力モードに移行することなく放置されるという不都合が多発することを確実に防止することが可能になる。その結果、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能になる。
【0061】
上述の実施形態においては、サーバ12が給電制御情報を生成する例を説明したが、サーバ12からの情報に基づいて、マルチファンクションプリンタ16のサブ制御部22が給電制御情報を生成するようにしても良い。
【0062】
ここで、図10を用いて、マルチファンクションプリンタ16のサブ制御部22が各機能ユニットに対する通電制御を行う例を簡単に説明する。まず、省電力モード時には、サブ制御部22は、内蔵されるタイマから時間情報(ここでは、日時および時刻)を取得する(S21)。続いて、サブ制御部22は、サーバ12から、使用履歴情報を取得する(S22)。その後、サブ制御部22は、サーバ12から、ログイン情報を取得する(S23)。
【0063】
そして、サブ制御部22は、上述のS15のステップと同様の手法にて、給電制御情報を生成し(S24)、生成した給電制御情報に基づいて、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対する給電制御を行う(S25)。
【0064】
S21〜S25のステップは、マルチファンクションプリンタ16に対してジョブの入力がされるまで繰り返される(S26)。S26の判断ステップにおいて、マルチファンクションプリンタ16に対してジョブの入力がされた場合には、サブ制御部22は、メイン制御部20を起動させ、マルチファンクションプリンタ16を通常モードに移行させる(S27)。
【0065】
上述の実施形態では、1つのローカルネットワークに1つのマルチファンクションプリンタ16が配置される例を説明したが、ネットワークに2つ以上のマルチファンクションプリンタ16が配置される場合であっても本発明の技術的思想を利用することが可能である。この場合、例えばサーバ12がマルチファンクションプリンタ16ごとに別々に使用履歴情報を記録しておくと良い。
【0066】
また、図11に示すように、ルータ50を介して接続された複数のネットワーク10、11にそれぞれマルチファンクションプリンタ16が配置される場合であっても、本発明の技術的思想を利用することが可能である。この場合、例えばサーバ12がネットワークごとに別々にユーザのログイン情報を管理するようにすると良い。
【0067】
上述の実施形態では、一日を6つの時間帯に分ける例を説明したが、時間帯を1時間単位、2時間単位、6時間単位、午前/午後単位等、他の分割手法を採用することも可能である。
【0068】
また、機能ユニットとして、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44を説明したが、ステープル装置等のフィニッシャや原稿自動搬送装置等の他の機能ユニットを独立して給電制御されるべき機能ユニットに追加することも可能である。
【0069】
また、各機能ユニットに対する給電のオン/オフを切り換える制御だけでなく、各機能ユニットに対する給電量を多段階的に制御するようにしても良い。
【0070】
上述の実施形態においては、パソコン14内の通知プログラム156によって、パソコン14からマルチファンクションプリンタ16に対するジョブ送信(プリントジョブ)がされると説明したが、ジョブ送信をサーバ12へ行っても良い。ジョブ送信をサーバ12へ行った後、マルチファンクションプリンタ16での認証プログラム262を用いてユーザ認証を行い、サーバ12からマルチファンクションプリンタ16へジョブデータを送信してプリントを行うか(プリントを行った際には、サーバ12に使用履歴を残しておく)、ジョブデータそのものを削除するかを選ぶことができる。
【0071】
また、ジョブ送信先はマルチファンクションプリンタ16でも良く、そこでプリントを行うか、ジョブデータそのものを削除するか選ぶということでも良い。プリントを行った際には、通知プログラム264を用いて使用履歴をサーバ12へ送信する。
【0072】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
10−画像形成システム
12−サーバ
14−パソコン
16−マルチファンクションプリンタ
20−メイン制御部
22−サブ制御部
34−電源装置
36−電力供給制御部
38−操作パネル
40−画像形成部
42−スキャナユニット
44−ファックスユニット
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を含む画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中には、画像形成ユニット、スキャナユニット、ファックスユニット、操作パネル等の複数の機能ユニットを備えたマルチファンクションプリンタが存在する。
【0003】
このようなマルチファンクションプリンタの中には、一定期間ジョブの入力がされない場合に、待機中の消費電力を減らすために省電力モードに移行するように構成されるものがある。
【0004】
そして、そのようなマルチファンクションプリンタの中には、さらに省電力効果を高めるために、各機能ユニットを設定された順序で省電力モードに移行させるように構成されるもの(例えば、特許文献1参照。)や、省電力モード時にジョブがある場合に必要な機能ユニットのみに通電を開始するように構成されるもの(例えば、特許文献2参照。)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−203704号公報
【特許文献2】特開2008−205714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、省電力モードに移行することにより待機中の消費電力が減少する一方で、必要以上に省電力モードに移行させるとジョブの入力時に待ち時間が発生する等ユーザの利便性が損なわれる虞がある。例えば、高確率で使用されることが予想されている機能ユニットを省電力モードに移行させた場合、ユーザからのジョブが入力された際に通常モードに復帰させるための待ち時間が発生し、ユーザの利便性を損ねてしまう可能性が高くなる。
【0007】
その一方で、高確率で使用されない機能ユニットを省電力モードに移行させない場合、無駄な消費電力が発生し、その結果、モード切換を行うことによって得られる省電力効果が低下してしまう可能性が高い。このため、待機中の省電力効果およびユーザの利便性の両方を考慮して省電力モードへの移行制御を行うことが好ましいと言える。
【0008】
この発明の目的は、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、画像形成装置の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能な画像形成システムおよび画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成システムは、複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を有する。この画像形成システムは、操作端末装置、操作手段、履歴情報記録部、状態管理部、および電力供給制御部を備える。
【0010】
操作端末装置は、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能に構成される。操作端末装置の例としては、パソコンが挙げられる。また、操作端末装置は、原則として、複数設けられるものであるが、操作端末装置が単一の場合であっても本発明の技術的思想を利用することが可能である。
【0011】
操作手段は、画像形成装置に設けられる。この操作手段は、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能に構成される。
【0012】
履歴情報記録部は、複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録するように構成される。状態管理部は、操作端末装置におけるログイン状態を管理するように構成される。
【0013】
電力供給制御部は、時刻情報、ログイン状態、および履歴情報記録部の記録内容に基づいて、複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させるべき機能ユニットを設定する。例えば、電力供給制御部は、同じ時間帯における、ログイン中のユーザに係る複数日分のジョブ履歴に基づいて、当該時間帯におけるジョブ数の平均値が所定値に満たない機能ユニットごとを省電力モードに移行させるような制御を行う。
【0014】
この構成においては、現在ログインしているユーザの過去の画像形成装置の使用履歴に基づいて、高確率で使用されることが予想される機能ユニットについては省電力モードに移行させない一方で、高確率で使用されないことが予想される機能ユニットを省電力モードに移行させるような制御を行うことが可能になる。
【0015】
このため、ユーザが使用しようとする機能ユニットが省電力モードに移行していることでタイムロスが発生するという不都合や、ユーザが使用していない機能ユニットが省電力モードに移行することなく放置されるという不都合が多発することを確実に防止することが可能になる。
【0016】
上述の操作端末装置と通信可能な通信手段、上記操作手段、上記履歴情報記録部、上記状態管理部、および上記電力供給制御部によって画像形成装置を構成する場合であっても、上述の画像形成システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、画像形成装置の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
【図2】画像形成システムの概略を示すブロック図である。
【図3】マルチファンクションプリンタの概略を示すブロック図である。
【図4】通常モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】サーバが記録する使用履歴情報の一例を示す図である。
【図6】省電力モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】参照する使用履歴情報の一例を示す図である。
【図8】各機能のオンオフ制御の一例を示す図である。
【図9】各機能ユニットのオンオフ制御の一例を示す図である。
【図10】省電力モード時のマルチファンクションプリンタの動作手順の他の例を示すフローチャートである。
【図11】画像形成システムの他の例の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および図2を用いて、本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略を説明する。
【0020】
画像形成システム10は、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク)100、および、このネットワーク100にそれぞれ接続されたサーバ12、複数のパソコン14、およびマルチファンクションプリンタ16を備えている。
【0021】
サーバ12は、画像形成システム10に対するユーザのログイン状態を管理するように構成される。また、サーバ12は、ログインしたユーザが画像形成システム10においてどのようなジョブを実行したかを示す履歴情報を記録するように構成される。
【0022】
具体的には、サーバ12は、CPU122、ROM124、RAM126、ネットワークコントローラ128、およびハードディスク等の記録部130を備える。記録部130は、使用履歴情報132、制御用情報生成プログラム134、およびログイン情報管理プログラム136を格納している。
【0023】
使用履歴情報132は、各ユーザの過去の所定日間の使用履歴に関する情報であり、どのユーザが、いつ、どの機能ユニットに対して、どの程度の量のジョブを実行させたのかを示している。サーバ12は、通常、パソコン14およびマルチファンクションプリンタ16から供給される使用履歴情報をユーザ毎に対応づけて記録部130に記録している。
【0024】
制御用情報生成プログラム134は、使用履歴情報の中から、そのときの時間帯およびログイン状態に関連する使用履歴情報を取り出して、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットのオンオフ制御用の情報を生成するためのものである。ログイン情報管理プログラム136は、画像形成システム10のどのユーザがマルチファンクションプリンタ16を使う可能性があるのかを判断するために、各パソコン14のログイン情報を監視するためのものである。サーバ12では、CPU122が、ROM124および記録部130に格納された複数のプログラムやデータを読み取ることによって、統括的な制御が行われている。
【0025】
パソコン14は、画像形成システム10におけるクライアントコンピュータとして機能する。パソコン14は、CPU140、ROM142、RAM144、操作部145、表示部146、ネットワークコントローラ148、およびハードディスク等の記録部150を備える。
【0026】
記録部150は、認証プログラム152、ジョブ送信プログラム154、および通知プログラム156を備える。認証プログラム152は、パソコン14に、認証機能を持たせるためのものである。ジョブ送信プログラム154は、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいてマルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力させる機能をパソコンに持たせるためのものである。通知プログラム156は、ユーザがログインまたはログアウトしたときに、その旨をサーバ12に通知するとともに、パソコン14からマルチファンクションプリンタ16に対するジョブ送信(プリントジョブ)がされたときに、その使用履歴(ジョブ実行に係るユーザ名、ジョブの種類、時間、利用枚数、利用ファイル等)の情報をサーバ12に送信するためのものである。
【0027】
マルチファンクションプリンタ16は、メイン制御部20、ROM30、RAM28、操作パネル38、ネットワークコントローラ24、およびハードディスク等の記録部26を備える。記録部26には、上述の認証プログラム152および通知プログラム156と同様の認証プログラム262および通知プログラム264が格納される。
【0028】
マルチファンクションプリンタ16においては、認証を経てログインが許可されたユーザのみがコピー、ファックス(送信、受信プリント)、スキャンの動作を行うことが許可されており、また、その使用履歴(ジョブ実行に係るユーザ名、ジョブの種類、時間、利用枚数、利用ファイル等)の情報がサーバ12に送信される。
【0029】
マルチファンクションプリンタ16は、図3に示すように、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、ファックスユニット44、電源装置34、電力供給制御部36、メイン制御部20、およびサブ制御部22を備える。
【0030】
操作パネル38は、本発明の操作手段に対応するものであり、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて各機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力するように構成される。操作パネル38は、表示部384、操作部386、およびコントローラ382を備える。表示部384は、ユーザに対する指示および警告等を表示したり、印刷される画像データを表示したりするように構成される。操作部386は、ユーザからのジョブ入力操作やジョブ設定操作の入力を受け付けるように構成される。また、操作部386は、マルチファンクションプリンタ16を直接操作するユーザの認証情報を受けつけるように構成される。ユーザの認証情報を受けつける手段としては、ユーザのICカードを読み取り可能なカードリーダや、ユーザIDやパスワードの入力を受け付ける操作キーが挙げられる。コントローラ382は、操作パネル38の動作を制御するように構成される。
【0031】
画像形成ユニット40は、感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、および搬送機構等を備えており、用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を実行するように構成される。また、画像形成ユニット40は、各部の動作を制御するように構成されたコントローラ402を備える。
【0032】
スキャナユニット42は、原稿自動搬送装置および原稿読取装置を備えるとともに、これらの動作を制御するように構成されたコントローラ422を備える。
【0033】
ファックスユニット44は、電話回線に接続されるとともに、ファックス通信機能を備える。ファックスユニット44は、着呼検知ユニット444、および各部の動作を制御するためのコントローラ442を備える。
【0034】
電源装置34は、電力供給制御部36を介して、マルチファンクションプリンタ16の各部に電力を供給するように構成されている。電力供給制御部36は、マルチファンクションプリンタ16の各部への通電状態を制御するように構成される。
【0035】
電力供給制御部36は、複数のスイッチ360、362、364、366、および368を備える。スイッチ360、362、364、366、および368の例としては、電界効果型のトランジスタが挙げられるが、その他の種類のトランジスタや、その他の回路要素を用いてスイッチ360、362、364、366、および368を構成することが可能である。
【0036】
メイン制御部20は、ハードディスク26、RAM28、およびROM30に接続されており、ROM30に格納されたプログラムに基づいてマルチファンクションプリンタ16の動作を統括的に制御するように構成される。この実施形態では、省電力モード時には、メイン制御部20は動作を停止するように設定されている。
【0037】
サブ制御部22は、ROM30およびRAM32に接続されており、通常モード時にはメイン制御部20と協働してマルチファンクションプリンタ16の動作を制御し、省電力モード時には単独でマルチファンクションプリンタ16の動作を制御するように構成される。サブ制御部22は、ネットワーク100上の他の機器との通信を制御するように構成されたネットワークコントローラ24に接続されている。
【0038】
ここで、図4を用いて、マルチファンクションプリンタ16の通常モード時におけるメイン制御部20の動作手順の一例を説明する。図4に示すように、通常モード時には、メイン制御部20は、ジョブの入力がされるまで待機している(S1)。
【0039】
S1の待機ステップにおいて、ジョブの入力があった場合には、メイン制御部20は、ジョブの内容を解析し(S4)、解析結果に基づき必要な機能ユニットを用いてジョブを実行する(S5)。
【0040】
その後、メイン制御部20は、ジョブが終了したか否かを判断し(S6)、まだ終了していない場合にはS5のステップに戻る。これに対して、S6の判断ステップにおいて、ジョブが終了している場合には、今回のジョブに関する情報(ユーザ名、ジョブ開始日時・時刻および終了日時・時刻、ジョブの種類、ジョブ枚数等)を使用履歴情報に追加することによって使用履歴情報を更新し(S7)、その後S1の待機ステップに移行する。
【0041】
ここで、図5を用いて、使用履歴情報を簡単に説明する。使用履歴情報は、各ユーザが、予め設定された時間帯において、マルチファンクションプリンタ16の各機能(コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファックス機能)をどの程度利用したのかを示している。この実施形態では、一日を8時〜10時、10時〜12時、12時〜14時、14時〜16時、16時〜18時、18時以降翌朝8時までの6つの時間帯に分けて、各時間帯において、ユーザがコピー機能(C)、プリント機能(P)、スキャナ機能(S)、およびファックス機能(F)を何回利用(何枚処理)したのか記録するようにしている。
【0042】
例えば、4月21日の午前8時から10時までの間に、ユーザAによって、コピー機能(C)が0回、プリント機能(P)が5回、スキャナ機能(S)が1回、およびファックス機能(F)が0回使用されたことが分かる。同様に、同じ時間帯において、ユーザBによって、コピー機能(C)が1回、プリント機能(P)が15回、スキャナ機能(S)が3回、およびファックス機能(F)が0回使用されたことが分かる。
【0043】
上述のS1の待機ステップにおいて、ジョブの入力がない場合には、メイン制御部20は、所定時間が経過したか否かを判断する(S2)。S2の判断ステップにおいて、所定時間が経過していない場合には、再びS1の待機ステップに戻る一方で、所定時間が経過している場合には、省電力モードに移行する(S3)。なお、省電力モードに移行する際には、メイン制御部20への通電が停止するとともに、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行する旨がサブ制御部22からサーバ12に通知される。
【0044】
続いて、図6を用いて、サーバ12のCPU122の動作手順の一例を説明する。CPU122は、マルチファンクションプリンタ16から省電力モードに移行する旨の通知があるまで待機している(S11)。
【0045】
S11の待機ステップにおいて、マルチファンクションプリンタ16から省電力モードに移行する旨の通知があると、CPU122は、内蔵するクロックに基づいて日時および時刻の情報を取得する(S12)。
【0046】
続いて、CPU122は、現在のログイン状態を示す情報を取得する(S13)。続いて、CPU122は、現在の日時、時刻、ログイン中のユーザに関連する使用履歴情報を取得する(S14)。
【0047】
S14の使用履歴情報参照ステップにおいて、CPU122は、図7(A)に示すように、前日から所定日前(例えば、10日前)の期間で、かつ、現在の時刻が含まれる時間帯において、現在ログイン中のユーザによって操作されたジョブに関連する使用履歴情報を取得する。図7(A)では、4月23日の午前10時30分においてユーザA、C、E、F、およびGがログインしている状態において取得される使用履歴情報が示されている。
【0048】
ただし、使用履歴情報の取得手法はこれに限定されるものではなく、その他の取得手法をユーザの設定によって選択できるようにしても良い。例えば、図7(B)に示すように、4月23日の午前10時30分においてユーザA、C、E、F、およびGがログインしている状態において、1週間前から所定週間前(例えば、10週間前)の期間で、かつ、午前10時〜12時の時間帯においてユーザA、C、E、F、およびGによって操作されたジョブに関連する使用履歴情報を取得するようにしても良い。例えば、曜日ごとによって異なるジョブ傾向がある場合には図7(B)に示す取得手法を選択すると良い。
【0049】
続いて、CPU122は、取得した使用履歴情報に基づいて、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44に適用すべき給電制御情報を生成する(S15)。
【0050】
S15の給電制御情報生成ステップにおいて、CPU122は、取得した使用履歴情報から各機能のジョブについて過去の平均枚数を算出し、この平均枚数が平均枚数閾値以上の場合には省電力モード時において該当する機能をオンにする。
【0051】
ここで、過去の平均枚数は、同じ時間帯の過去X日分のデータ(または、同じ曜日でかつ同じ時間帯の過去X週間分のデータ)に基づいて算出される。取得したX個データについて、そのときにログインしているユーザについて、マルチファンクションプリンタの各機能を使用した回数の総和を算出し、この総和をXで割った値を過去の平均枚数として使用する。
【0052】
図8に示す例では、平均枚数閾値が、コピー機能10枚、スキャナ機能15枚、プリント機能30枚、およびファックス機能5枚にそれぞれ設定されているため、過去の平均枚数がこの閾値以上となる時間帯においては、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行しても、該当する機能はオン状態を維持するような給電制御情報が生成される。
【0053】
これに対して、算出された平均枚数が平均枚数閾値未満の場合には、マルチファンクションプリンタ16が省電力モードに移行する時において、該当する機能をオフになるようにするような給電制御情報が生成される。
【0054】
例えば、4月23日の午前10時30分においては、コピー機能およびスキャナ機能については過去平均枚数が平均枚数閾値以上であるためオンにされ、プリント機能およびファックス機能については過去平均枚数が平均枚数閾値未満であるためオフにされる。
【0055】
S15の給電制御情報生成ステップにおいて給電制御情報が生成されると、CPU122は、生成した給電制御情報をマルチファンクションプリンタ16に対して送信する(S16)。
【0056】
その後、CPU122は、マルチファンクションプリンタ16から通常モードに復帰した旨の通知を受けるまでS12〜S16のステップを繰り返し、マルチファンクションプリンタ16から通常モードに復帰した旨の通知を受けたときには省電力時の給電制御処理を停止する(S17)。
【0057】
一方、マルチファンクションプリンタ16では、サブ制御部22が、サーバ12から受信した給電制御情報に基づいて電力供給制御部36を制御することにより、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44に対する給電制御を実行する。このとき、サブ制御部22は、図9に示すような給電制御情報と操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44のオンオフ切換設定との対応関係を示すルックアップテーブル等を参照するようにすると良い。
【0058】
なお、上述のS1のステップにおいて、画像形成システム10のパソコン14に対してログイン中のユーザの数の増加に応じて、省電力モード移行制御を行うまでの待機時間を増加させるようにすると良い。
【0059】
以上の構成によれば、現在ログインしているユーザの過去のマルチファンクションプリンタ16の使用履歴に基づいて、高確率で使用されることが予想される機能ユニットについては省電力モードに移行させない一方で、高確率で使用されないことが予想される機能ユニットを省電力モードに移行させるような制御を行うことが可能になる。
【0060】
このため、ユーザが使用しようとする機能ユニットが省電力モードに移行していることでタイムロスが発生するという不都合や、ユーザが使用していない機能ユニットが省電力モードに移行することなく放置されるという不都合が多発することを確実に防止することが可能になる。その結果、ユーザの利便性および省電力効果を低下させることなく、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対する通電制御を行うことが可能になる。
【0061】
上述の実施形態においては、サーバ12が給電制御情報を生成する例を説明したが、サーバ12からの情報に基づいて、マルチファンクションプリンタ16のサブ制御部22が給電制御情報を生成するようにしても良い。
【0062】
ここで、図10を用いて、マルチファンクションプリンタ16のサブ制御部22が各機能ユニットに対する通電制御を行う例を簡単に説明する。まず、省電力モード時には、サブ制御部22は、内蔵されるタイマから時間情報(ここでは、日時および時刻)を取得する(S21)。続いて、サブ制御部22は、サーバ12から、使用履歴情報を取得する(S22)。その後、サブ制御部22は、サーバ12から、ログイン情報を取得する(S23)。
【0063】
そして、サブ制御部22は、上述のS15のステップと同様の手法にて、給電制御情報を生成し(S24)、生成した給電制御情報に基づいて、マルチファンクションプリンタ16の各機能ユニットに対する給電制御を行う(S25)。
【0064】
S21〜S25のステップは、マルチファンクションプリンタ16に対してジョブの入力がされるまで繰り返される(S26)。S26の判断ステップにおいて、マルチファンクションプリンタ16に対してジョブの入力がされた場合には、サブ制御部22は、メイン制御部20を起動させ、マルチファンクションプリンタ16を通常モードに移行させる(S27)。
【0065】
上述の実施形態では、1つのローカルネットワークに1つのマルチファンクションプリンタ16が配置される例を説明したが、ネットワークに2つ以上のマルチファンクションプリンタ16が配置される場合であっても本発明の技術的思想を利用することが可能である。この場合、例えばサーバ12がマルチファンクションプリンタ16ごとに別々に使用履歴情報を記録しておくと良い。
【0066】
また、図11に示すように、ルータ50を介して接続された複数のネットワーク10、11にそれぞれマルチファンクションプリンタ16が配置される場合であっても、本発明の技術的思想を利用することが可能である。この場合、例えばサーバ12がネットワークごとに別々にユーザのログイン情報を管理するようにすると良い。
【0067】
上述の実施形態では、一日を6つの時間帯に分ける例を説明したが、時間帯を1時間単位、2時間単位、6時間単位、午前/午後単位等、他の分割手法を採用することも可能である。
【0068】
また、機能ユニットとして、操作パネル38、画像形成ユニット40、スキャナユニット42、およびファックスユニット44を説明したが、ステープル装置等のフィニッシャや原稿自動搬送装置等の他の機能ユニットを独立して給電制御されるべき機能ユニットに追加することも可能である。
【0069】
また、各機能ユニットに対する給電のオン/オフを切り換える制御だけでなく、各機能ユニットに対する給電量を多段階的に制御するようにしても良い。
【0070】
上述の実施形態においては、パソコン14内の通知プログラム156によって、パソコン14からマルチファンクションプリンタ16に対するジョブ送信(プリントジョブ)がされると説明したが、ジョブ送信をサーバ12へ行っても良い。ジョブ送信をサーバ12へ行った後、マルチファンクションプリンタ16での認証プログラム262を用いてユーザ認証を行い、サーバ12からマルチファンクションプリンタ16へジョブデータを送信してプリントを行うか(プリントを行った際には、サーバ12に使用履歴を残しておく)、ジョブデータそのものを削除するかを選ぶことができる。
【0071】
また、ジョブ送信先はマルチファンクションプリンタ16でも良く、そこでプリントを行うか、ジョブデータそのものを削除するか選ぶということでも良い。プリントを行った際には、通知プログラム264を用いて使用履歴をサーバ12へ送信する。
【0072】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
10−画像形成システム
12−サーバ
14−パソコン
16−マルチファンクションプリンタ
20−メイン制御部
22−サブ制御部
34−電源装置
36−電力供給制御部
38−操作パネル
40−画像形成部
42−スキャナユニット
44−ファックスユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を含む画像形成システムであって、
認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な単一または複数の操作端末装置と、
前記画像形成装置に設けられた操作手段であって、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な操作手段と、
前記複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録する履歴情報記録部と、
前記操作端末装置におけるログイン状態を管理する状態管理部と、
時刻情報、前記ログイン状態、および前記履歴情報記録部の記録内容に基づいて、前記複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させるべき機能ユニットを設定する電力供給制御部と、
を備えた画像形成システム。
【請求項2】
前記電力供給制御部は、同じ時間帯における、ログイン中のユーザに係る過去の複数日分のジョブ履歴に基づいて、当該時間帯におけるジョブ数の平均値が所定値に満たない機能ユニットごとを省電力モードに移行させる請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置および前記操作端末装置のそれぞれとネットワークを介して接続されたサーバを備えており、
前記履歴情報記録部および前記状態管理部が前記サーバ内に設けられた請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記操作端末装置に対してログイン中のユーザの数の増加に応じて、省電力モード移行制御を行うまでの待機時間を増加させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置であって、
認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な単一または複数の操作端末装置と通信可能な通信手段と、
前記画像形成装置に設けられた操作手段であって、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な操作手段と、
前記複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録する履歴情報記録部と、
前記操作端末装置におけるログイン状態を管理する状態管理部と、
省電力モード時において、時刻情報、前記ログイン状態、および前記履歴情報記録部の記録内容に基づいて、前記複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させる機能ユニットを設定する電力供給制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項1】
複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置を含む画像形成システムであって、
認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な単一または複数の操作端末装置と、
前記画像形成装置に設けられた操作手段であって、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な操作手段と、
前記複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録する履歴情報記録部と、
前記操作端末装置におけるログイン状態を管理する状態管理部と、
時刻情報、前記ログイン状態、および前記履歴情報記録部の記録内容に基づいて、前記複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させるべき機能ユニットを設定する電力供給制御部と、
を備えた画像形成システム。
【請求項2】
前記電力供給制御部は、同じ時間帯における、ログイン中のユーザに係る過去の複数日分のジョブ履歴に基づいて、当該時間帯におけるジョブ数の平均値が所定値に満たない機能ユニットごとを省電力モードに移行させる請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置および前記操作端末装置のそれぞれとネットワークを介して接続されたサーバを備えており、
前記履歴情報記録部および前記状態管理部が前記サーバ内に設けられた請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記操作端末装置に対してログイン中のユーザの数の増加に応じて、省電力モード移行制御を行うまでの待機時間を増加させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
複数の機能ユニットを有するとともに省電力モード時に機能ユニットごとに省電力モード移行制御を行うことが可能な画像形成装置であって、
認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な単一または複数の操作端末装置と通信可能な通信手段と、
前記画像形成装置に設けられた操作手段であって、認証機能を有するとともに、認証を経てログインが許可されたユーザの操作に基づいて前記機能ユニットに対するジョブ実行コマンドを出力可能な操作手段と、
前記複数の機能ユニットのジョブ履歴を、ジョブ実行コマンドを出力させたユーザと対応づけて記録する履歴情報記録部と、
前記操作端末装置におけるログイン状態を管理する状態管理部と、
省電力モード時において、時刻情報、前記ログイン状態、および前記履歴情報記録部の記録内容に基づいて、前記複数の機能ユニットの中から省電力モードに移行させる機能ユニットを設定する電力供給制御部と、
を備えた画像形成装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1】
【図11】
【公開番号】特開2011−259271(P2011−259271A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132713(P2010−132713)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【特許番号】特許第4820911号(P4820911)
【特許公報発行日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【特許番号】特許第4820911号(P4820911)
【特許公報発行日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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