説明

画像形成システム及び画像形成システム用プログラム並びに画像形成システム用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】ユーザーが操作前に予め操作手順情報を設定しておくことなく、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができ、これによりユーザーの入力操作を簡素化できる画像形成システム、画像形成システム用プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像形成システム100において、画像形成装置20は、ログインしたユーザーの識別情報41及び操作手順情報42をサーバー10に送信し、サーバー10は、識別情報41に基づきユーザーを認識し、操作手順情報42を識別情報41に関連付けて操作履歴データベース4に蓄積保存し、該操作履歴データベース4に保存された操作手順情報42から識別情報41に合致する過去の操作手順情報42を抽出して画像形成装置20に送信し、画像形成装置20は、過去の操作手順情報42を表示部22に操作手順選択用操作部23に対応させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成システム用プログラム並びに画像形成システム用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタや複合機等の従来の画像形成装置においては、一般的に、特定の処理を行う際に、コピー機能やスキャン機能等のジョブの種類や、片面・両面印刷或いは画像の拡大・縮小等の入力パラメータを含むジョブの操作手順情報がユーザーの入力操作によって操作部材(例えば操作パネル)から入力される。即ち、特定の処理を実行するためには、操作部材における単一又は複数の操作部(例えば操作ボタン)が操作され、1又は複数の段階の操作ステップを経て所望の処理(例えば各種コピー動作等の処理)が実行される。
【0003】
このような従来の画像形成装置では、過去に設定した操作手順情報で処理を実行したい場合において、操作手順情報を記憶する機能を有していない場合には、過去に設定したことのある同じジョブを再設定する必要がある。この問題は、頻繁に処理が行われるジョブを設定する場合に特に顕著となる。この問題を回避するために、例えば、操作手順情報の履歴や操作頻度を予め記憶しておき、必要な時にその操作手順情報の履歴を呼び出すように構成された画像形成装置がある。
【0004】
この画像形成装置のように操作手順情報の履歴や操作頻度を記憶しておく場合には、該操作手順情報の履歴や操作頻度を記憶させるためのメモリ等の記憶装置を画像形成装置に備える必要がある。従って、操作手順情報の履歴や操作頻度を記憶装置に大量に保存しておくと、該画像形成装置に大容量の記憶装置が必要となり、コストアップにつながる。
【0005】
これに対し、下記特許文献1には、画像形成装置がネットワークを介して接続されたサーバーに操作手順情報を記憶する記憶部が設けられ、該画像形成装置がサーバーから送信された操作手順情報を表示部に表示する画像形成システムが記載されている。
【特許文献1】特開2003−303061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1に記載の画像形成システムでは、ユーザーが操作前に予め操作手順情報を設定しておく必要があり、ユーザーの手間がかかっていた。さらに、画像形成装置において、集約コピー等のコピー動作を行う各種の応用機能を有していたり、或いは、ステイプル等のオプション動作を行う各種のオプション装置が装着されていたりすると、操作手順情報の種類が多くなり、それだけユーザーの入力操作の手間が増大する。
【0007】
そこで、本発明では、ユーザーが操作前に予め操作手順情報を設定しておくことなく、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができ、これによりユーザーの入力操作を簡素化できる画像形成システム及び画像形成システム用プログラム並びに記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、次の画像形成システム及び画像形成システム用プログラム並びに記録媒体を提供する。
(1)画像形成システム
ユーザーのログインを行うことが可能な1又は複数の画像形成装置と、前記1又は複数の画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーとを備えた画像形成システムであって、前記1又は複数の画像形成装置は、ログインしたユーザーの識別情報と該ユーザーによって入力操作された操作手順情報とを、前記ネットワークを介して前記サーバーへ送信し、前記サーバーは、ユーザーがログインした画像形成装置から前記ネットワークを介して受信した該ユーザーの操作手順情報を該ユーザーに対応する識別情報に関連付けて操作履歴データベースに蓄積して保存する操作履歴保管手段と、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から前記ユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報を抽出する操作履歴抽出手段と、前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報を前記ユーザーがログインした画像形成装置に前記ネットワークを介して送信する送信手段とを備えるように構成され、前記画像形成装置は、表示部と、人為入力操作可能な操作手順選択用操作部とを備え、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信した過去の操作手順情報を前記表示部に前記操作手順選択用操作部に対応させて表示することを特徴とする画像形成システム。
(2)画像形成システム用プログラム
本発明に係る画像形成システムにおいて、前記サーバーを、前記各手段として機能させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
(3)記録媒体
本発明に係る画像形成システム用プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0009】
本発明によれば、前記サーバーにおいて、ユーザーがログインした画像形成装置から前記ネットワークを介して受信した識別情報に基づき該ユーザーを認識し、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から該ユーザーの過去の操作手順情報を抽出し、該抽出した過去の操作手順情報を該ユーザーがログインした画像形成装置に前記ネットワークを介して送信し、前記画像形成装置において、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信した過去の操作手順情報を前記表示部に前記操作手順選択用操作部に対応させて表示するので、ユーザーが操作前に予め操作手順情報を設定しておくことなく、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができ、これによりユーザーの入力操作を簡素化することができる。
【0010】
本発明では、前記サーバーは、前記画像形成装置で実行される複数処理(例えば各種コピー動作等の処理)にそれぞれ対応する操作手順情報に関連付けて該複数処理を該画像形成装置でそれぞれ実行するための複数の操作コマンドを予め保存した操作ガイドデータベースに保存された該複数の操作コマンドから前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報に合致する操作コマンドを抽出する操作コマンド抽出手段と、前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報に基づき該操作手順情報を階層的なツリー形式で表示させるためのユーザーインターフェイス情報を生成するユーザーインターフェイス情報生成手段とをさらに備えるように構成され、前記送信手段は、前記ユーザーインターフェイス情報生成手段にて生成したユーザーインターフェイス情報を前記操作コマンド抽出手段にて抽出した操作コマンドに関連付けてユーザーがログインした画像形成装置へ前記ネットワークを介して送信し、前記画像形成装置は、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信した操作コマンドを前記操作手順選択用操作部に対応させ、且つ、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信したユーザーインターフェイス情報に基づき過去の操作手順情報を階層的なツリー形式で前記表示部に表示することが好ましい。
【0011】
また、本発明では、前記サーバーは、ユーザーがログインした画像形成装置から前記ネットワークを介して受信した該ユーザーの識別情報に基づき該ユーザーが過去に該画像形成装置の入力操作を行ったことがあるか否かを認識するユーザー認識手段をさらに備えるように構成され、該サーバーにおいて、前記操作履歴抽出手段は、前記ユーザー認識手段にて認識したユーザーが該画像形成装置を初めて入力操作するユーザーである場合には、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から、該ユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する初回ユーザー用抽出手段を含む態様を例示できる。この態様では、前記画像形成装置でユーザーの入力操作が初回の場合に、前記画像形成装置を過去に利用した他のユーザーの操作手順情報のうちの利用頻度の高い操作手順情報を前記画像形成装置の前記表示部に表示することができ、これにより、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明では、前記サーバーにおいて、前記操作履歴保管手段は、ユーザーのログイン直後からの操作手順情報の変化に基づき、前記操作履歴データベースに保存されている操作手順情報を更新し、前記画像形成装置において、前記表示部に表示される操作手順情報を動的に変更する態様を例示できる。この態様では、前記画像形成装置でユーザーのログイン直後から操作手順情報が変化した場合に、前記サーバーにおいて、前記操作履歴データベースに保存されている操作手順情報を更新すると共に、前記画像形成装置において、前記表示部に表示される操作手順情報を動的に変更するので、最新の前記操作手順情報を得るための操作要求手順を簡略化することができる。
【0013】
また、本発明では、前記サーバーにおいて、前記操作履歴抽出手段は、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から、前記画像形成装置でログインしたユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する高利用頻度操作履歴抽出手段を含む態様を例示できる。この態様では、前記画像形成装置でログインしたユーザーは過去に入力操作したことがないが、その他のユーザーがよく利用している処理の操作手順情報について、必要なパラメータを設定することなく該処理の操作手順情報を前記表示部に表示することができ、これにより入力操作をさらに簡略化することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によると、ユーザーが操作前に予め操作手順情報を設定しておくことなく、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができ、これによりユーザーの入力操作を簡素化できる画像形成システム及び画像形成システム用プログラム並びに記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る画像形成システムのシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【0016】
図1に示す画像形成システム100は、サーバー10(サーバーコンピュータ)並びに1台又は複数台の画像形成装置20,…がネットワーク30を介して、相互に通信可能な状態で接続されている。
【0017】
画像形成装置20は、操作部材21と、表示部22とを備え、ユーザーのログインを行うことができるようになっている。
【0018】
画像形成装置20は、例えば、スキャナ、複写機、ファクシミリ装置及びプリンタの役目を果たすデジタル複合機であってもよい。デジタル複合機は、例えば、スキャナにより原稿画像を読み取るスキャナ機能と、スキャナにより原稿画像を読み取り、原稿画像の画像データを生成して、この画像データを印刷する複写機能と、スキャナにより原稿画像を読み取って、ファクシミリ通信により原稿画像の画像データを送信するファクシミリ送信機能と、ファクシミリ通信により画像データを受信して、この画像データを印刷するファクシミリ受信機能と、ネットワーク30に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部画像出力装置(図示省略)からの画像データを受信して、この画像データを印刷するプリンタ機能とを備えている。画像形成装置20は、複合機に限らず、複写機やプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置であってもよい。
【0019】
図2は、図1に示す画像形成装置20の操作部材21における操作手順選択用操作部23及び表示部22を示す概略図である。
【0020】
操作パネル等の操作部材21(以下、操作パネルという)は、操作ボタン等のユーザーによる人為操作可能な複数の操作手順選択用操作部(以下、操作手順選択用操作ボタンという)23を備えている。表示部22は、ここでは、操作部材21に設けられている。表示部22は、操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応した操作手順情報を表示するようになっている。表示部22は、ここでは、文字情報やイメージ情報等の情報を表示可能なディスプレイ装置とされている。
【0021】
図1に示す画像形成装置20は、操作部材21及び表示部22に加えて、通信部24及び制御部25を備えている。通信部24は、ネットワーク30に接続されており、該ネットワーク30を通じて、サーバー10との間でのデータ通信を行うようになっている。制御部25は、画像形成装置20を統括的に制御するものであり、画像データの印刷、ファクシミリ通信、サーバー10との間で行われるデータ通信や前記外部画像出力装置との間で行われるデータ通信の制御を行うように構成されている。
【0022】
そして、各画像形成装置20は、ログインしたユーザーの識別情報と該ユーザーによって操作ボタン23で入力操作された操作手順情報とを、ネットワーク30を介してサーバー10に送信するように構成されている。
【0023】
サーバー10は、操作履歴データベース4に接続されており、該操作履歴データベース4に対してアクセス可能とされている。図3は、図1に示す操作履歴データベース4のデータベース構造を模式的に示す概略図である。
【0024】
操作履歴データベース4は、図3に示すように、ユーザーに対応するユーザーの識別情報41に関連付けて該ユーザーによって入力操作された操作手順情報42が対応する識別情報41と共に保存されたものである。
【0025】
また、図1に示すサーバー10は、通信部11、制御部12及び記録媒体入力部13を備えている。通信部11は、ネットワーク30に接続されており、該ネットワーク30を通じて、画像形成装置20,…との間でのデータ通信を行うようになっている。
【0026】
制御部12は、図示を省略したCPU及びメモリを備えている。前記メモリは、ROM及びRAMを含み、画像形成システム用プログラムを記憶することができるようになっている。記録媒体入力部13は、前記画像形成システム用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体Mからのプログラム情報を読み出すことができるようになっている。制御部12は、前記CPUによって、前記画像形成システム用プログラムを前記メモリから読み出し、該読み出した画像形成システム用プログラムを実行することで、サーバー10を統括的に制御するようになっている。
【0027】
前記画像形成システム用プログラムは、サーバー10を、操作履歴保管手段121と、操作履歴抽出手段122と、送信手段123とを含む手段として機能させるためのものである。
【0028】
操作履歴保管手段121は、ユーザーがログインした画像形成装置20からネットワーク30を介して受信した該ユーザーの操作手順情報42を該ユーザーに対応する識別情報41に関連付けて操作履歴データベース4に蓄積保存するものである。
【0029】
操作履歴抽出手段122は、操作履歴保管手段121にて操作履歴データベース4に保存された操作手順情報42から前記ユーザーの識別情報41に合致する過去の操作手順情報を抽出するものである。
【0030】
送信手段123は、操作履歴抽出手段122に抽出した過去の操作手順情報42を前記ユーザーがログインした画像形成装置20にネットワーク30を介して送信するものである。
【0031】
また、画像形成装置20は、サーバー10からネットワーク30を介して受信した過去の操作手順情報42を表示部22に、操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応させて表示するように構成されている(後述する図6参照)。
【0032】
本発明の実施に係る画像形成システム100によると、画像形成装置20の管理者等のユーザーが事前に設定を行うことなく、該ユーザーが操作した過去の操作手順情報42が画像形成装置30の表示部22に、操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応して表示されるため、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができると共にユーザーによる事前設定の労力を省くことができる。
【0033】
本実施の形態においては、サーバー10は、操作ガイドデータベース5に接続されており、該操作ガイドデータベース5に対してアクセス可能とされている。図4は、図1に示す操作ガイドデータベース5のデータベース構造を模式的に示す概略図である。
【0034】
操作ガイドデータベース5は、図4に示すように、画像形成装置20で実行される複数処理にそれぞれ対応する操作手順情報42に関連付けて該複数処理を該画像形成装置20でそれぞれ実行するための複数の操作コマンド43が予め保存されたものである。
【0035】
そして、前記画像形成システム用プログラムは、サーバー10を、操作コマンド抽出手段124と、ユーザーインターフェイス情報生成手段125とをさらに含む手段として機能させるようになっている。
【0036】
操作コマンド抽出手段124は、操作ガイドデータベース5に保存された複数の操作コマンド43から操作履歴抽出手段122にて操作履歴データベース4から抽出した過去の操作手順情報42に合致する操作コマンド43を抽出するものである。
【0037】
ユーザーインターフェイス情報生成手段125は、操作履歴抽出手段122にて操作履歴データベース4から抽出した過去の操作手順情報42に基づき、該操作手順情報42を階層的なツリー形式で表示させるためのユーザーインターフェイス情報44を生成するものである。
【0038】
図5は、ユーザーインターフェイス情報の一例のデータ構造を示す図である。本実施の形態では、図5に示すように、ユーザーインターフェイス情報生成手段125で生成されるユーザーインターフェイス情報44は、操作履歴抽出手段122にて操作履歴データベース4から抽出した過去の操作手順情報42を、階層構造をとるようにツリー形式で画像形成装置20の表示部22に複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応して表示させるためのリストデータとされている。
【0039】
また、送信手段123は、ユーザーインターフェイス情報生成手段125にて生成したユーザーインターフェイス情報44を操作コマンド抽出手段124にて抽出した操作コマンド43と関連付けてユーザーがログインした画像形成装置20にネットワーク30を介して送信するようになっている。
【0040】
そして、画像形成装置20は、サーバー10からネットワーク30を介して受信した操作コマンド43を複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応させることで、該操作コマンド43に対応する操作手順選択用操作ボタン23の入力操作によって該操作コマンド43が実行されるように構成される。
【0041】
さらに、画像形成装置20は、サーバー10からネットワーク30を介して受信したユーザーインターフェイス情報44に基づき過去の操作手順情報42をツリー構造で表示部22に該操作手順情報42の操作手順選択用操作ボタン23に対応させて表示するように構成される。これにより、表示部22に表示される過去の操作手順情報42と、それに対応する操作コマンド43が実行される操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)とが関連付けられる。
【0042】
図6は、図1に示す画像形成装置20の操作パネル21に設けられた表示部22にログイン直後に表示された過去の操作手順情報42及びその操作手順情報42に対応する複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)を示す概略図である。
【0043】
図6の例では、複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)は、操作パネル21のαで示されるエリアに配置される。また、過去の操作手順情報42は、表示部22のβで示されるエリアに表示される。
【0044】
そして、βのエリアに表示されている過去の操作手順情報42は、操作手順を示すツリー形式の表記がなされている(β’参照)。過去の操作手順情報42は、それぞれγa,γb,γc,…で示されるID(識別情報A,B,C,…)にて定義される。このID(識別情報A,B,C,…)は、αで示されるエリアに位置する複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)にそれぞれ対応している。これにより、画像形成装置20において、複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)のいずれかが選択された場合に、該選択された操作手順選択用操作ボタン23に対応する操作コマンド43による操作手順情報42の処理が実行される。例えば、コピー、モノクロ、片面、倍率89%で印刷する場合には、γbで示されるID(B)に対応する操作手順選択用操作ボタン23(B)を選択することで、コピー、モノクロ、片面、倍率89%で印刷動作を実行することができる。
【0045】
なお、過去の操作手順情報42の数が複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)の数を超える場合には、表示部22に表示される過去の操作手順情報42をスクロール表示可能とし、該スクロール表示される過去の操作手順情報42毎に、γa,γb,γc,…で示されるID(A,B,C,…)と、複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)とが対応するように構成することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、操作手順選択用操作部23を操作ボタンとしたが、表示部22をタッチパネル構成とし、その表示部22の一部(例えば、γa,γb,γc,…で示される部分)を操作手順選択用操作部23(A,B,C,…)とすることもできる。
【0047】
本実施の形態においては、前記画像形成システム用プログラムは、サーバー10を、ユーザー認識手段126をさらに含む手段として機能させるようになっている。
【0048】
ユーザー認識手段126は、ユーザーがログインした画像形成装置20からネットワーク30を介して受信した該ユーザーの識別情報に基づき該ユーザーが過去に該画像形成装置20の入力操作を行ったことがあるか否かを認識するものである。
【0049】
次に、図7のフローチャートを参照しつつ、図1に示す画像形成システムの動作フローについて説明する。
【0050】
図7は、図1に示す画像形成システム100の処理例を示すフローチャートである。なお、図7では、サーバー10と1台の画像形成装置20とが通信する場合について説明するが、サーバー10と他の画像形成装置20とが通信する場合も同様である。
【0051】
図1に示す画像形成システム100では、画像形成装置20を利用するユーザーは、画像形成装置20にログインを行う。このとき、画像形成装置20では、ログインしたユーザーのユーザー識別情報(例えばユーザーアカウント)によって該ユーザーの識別を行い(ステップS1)、このユーザー識別情報を通信部24からネットワーク30を経由してサーバー10へ通知する(ステップS2)。
【0052】
サーバー10では、ここでは、ネットワーク30を経由して通信部11にて受信したユーザー識別情報に基づき、ユーザー認識手段126にて該ユーザーが過去に該画像形成装置20の入力操作を行ったことがあるかを検知する(ステップS3)。具体的には、該ユーザーの操作手順情報42が操作履歴データベース4に登録されているか否かを検知する。
【0053】
該ユーザーが該画像形成装置20の入力操作を行ったことがある場合には(ステップS3:YES)、該ユーザーの識別情報と、サーバー10からアクセス可能とされた操作履歴データベース4におけるユーザー識別情報41との照合を操作履歴抽出手段122にて実行し、該ユーザー識別情報41に一致する過去の操作手順情報42の取得を行う(ステップS4)。
【0054】
次に、操作履歴抽出手段122にて抽出した過去の操作手順情報42に基づき、操作コマンド抽出手段124にて、操作ガイドデータベース5に照会を行い、該操作手順情報42に合致する操作コマンド43を抽出することで、該操作手順情報42を画像形成装置20上で実行可能な操作コマンド43に変換する(ステップS5)。
【0055】
さらに、ユーザーインターフェイス情報生成手段125において、操作履歴抽出手段122にて抽出した過去の操作手順情報42のツリー表示を表示部22に行うためのリストデータを含むユーザーインターフェイス情報44を生成する(ステップS6)。
【0056】
そして、ユーザーインターフェイス情報生成手段125にて生成したユーザーインターフェイス情報44を操作コマンド抽出手段124にて抽出した操作コマンド43と関連付けて、ネットワーク30を経由して画像形成装置20へ送信する(ステップS7)。
【0057】
前記画像形成装置20において、図6に示す如く、サーバー10からネットワーク30を介して受信したユーザーインターフェイス情報44に基づき過去の操作手順情報42をツリー形式で表示部22に複数の操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に対応させて表示する(ステップS8)。
【0058】
このように、画像形成システム100では、ユーザが過去に操作した操作手順情報42がその操作コマンド43を実行する操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)に関連付けられた状態で画像形成装置20上の表示部22にツリー形式で表示されるため、管理者等のユーザーが事前に設定を行うことなく、少ない操作手順で所望の処理を実行させることができ、たとえ各種の応用機能やオプション装置が備えられることで操作手順情報42の種類が多くなったとしても、操作手順情報42の容易な入力操作を実現することができる。
【0059】
また、前記ステップS8にて、表示部22にツリー形式で表示された過去の操作手順情報42が表示された後、ユーザーが操作手順選択用操作ボタン23(A,B,C,…)の何れかを入力操作した場合には(ステップS10:NO)、ステップS13において、該入力操作した操作手順選択用操作ボタン23に対応する操作コマンド43を画像形成装置20における制御部25にて実行する。即ち、画像形成装置20において、入力操作した操作手順選択用操作ボタン23に対応する操作コマンド43に基づき、画像形成装置20に対して、実行対象の操作及び該対象の操作で入力が必要なパラメータの各種設定を行い、該操作コマンド43によるジョブ処理を実行する。
【0060】
図1に示す画像形成システム100では、サーバー10は、前記操作履歴データベース4に保存された操作手順情報42を操作頻度順に並び替える頻度順処理手段を備えるように構成されていてもよい。即ち、前記画像形成システム用プログラムは、サーバー10を、前記頻度順処理手段をさらに含む手段として機能させるためのものであってもよい。この場合、操作履歴抽出手段122は、ユーザー認識手段126にて認識したユーザーがログインした画像形成装置20の入力操作を過去に行ったことがないユーザーである場合には、前記頻度順処理手段にて操作頻度順に並び替えられた操作履歴データベース4の操作手順情報42から、ユーザー認識手段126にて認識したユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザー識別情報41に合致する過去の操作手順情報42のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する初回ユーザー用抽出手段127を含んでいてもよい。
【0061】
画像形成装置20を利用する際に、ユーザーが該画像形成装置20の入力操作を行ったことがない場合には、該ユーザーの操作履歴は、操作履歴データベース4には登録されていない。この場合、サーバー10は、ユーザー認識手段126にて識別され、画像形成装置20から取得したユーザー識別情報に基づき、ステップS3にて、操作履歴データベース4に初めてのユーザーに関する操作履歴が登録されていないことを検知し(ステップS3:No)、ステップS9に移行する。ステップS9では、初回ユーザー用抽出手段127にて本ユーザー以外の全てのユーザーの操作手順情報42から、利用頻度の高い操作手順を抽出し、前記ステップS5に移行する。
【0062】
かかる構成を備えた画像形成システム100よると、ユーザーの入力操作が初回の場合には、本画像形成システム100を利用しているその他のユーザーにおいて利用頻度の高い操作手順を実行可能な操作手順選択用操作ボタン23を提供でき、これによりユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
【0063】
また、図1に示す画像形成システム100では、サーバー10において、操作履歴保管手段121は、ユーザーのログイン直後からの操作手順情報42の変化に基づき、操作履歴データベース4に保存されている操作手順情報42を更新するようになっていると共に、画像形成装置20において、表示部22に表示される操作手順情報42を動的に変更するようになっていてもよい。
【0064】
図8は、図6に示す表示部22の状態から操作手順情報42が変化した状態を示す概略図である。
【0065】
次に、図6に示す表示部22の状態において、ユーザーが過去の操作手順情報42の操作手順以外の操作を実行した場合、例えば、操作パネル21上の操作手順選択用操作ボタン23ではない別の操作ボタン(図示省略)を操作した場合について説明する。ここでは、別の操作ボタンはFAX(ファクシミリ)送信を行うための操作ボタンと仮定する。
【0066】
この場合、画像形成装置20において、ステップS8の処理後、操作手順選択用操作ボタン23ではない操作ボタン(ここではFAX送信を行うことを指示する操作ボタン)が操作されたことを検知し(ステップS10:YES)、制御部25にて該操作手順情報の処理が実行された後、サーバー10へその操作手順情報をユーザー識別情報41と共に送信する(ステップS11)。
【0067】
サーバー10において、ユーザーがログインした画像形成装置20からネットワーク30を介して受信した操作手順情報42を、操作履歴保管手段121において、該ユーザーに対応するユーザー識別情報41に関連付けて操作履歴データベース4に蓄積保存して操作履歴データベース4の操作履歴を更新する(ステップS12)。そして、前記ステップS4に移行した後、前記ステップS12にて更新された操作履歴に基づき、新たに操作手順情報42に対応する操作コマンド43を抽出し(ステップS5)、さらに、前記ステップS6,S7の処理を行うことで、ユーザーインターフェイス情報44を新たに形成して対応する操作コマンド43と共に画像形成装置20へ送信する。そして、前記ステップS8の処理を行うことで、図8のβ”に例示するように、FAX(ファクシミリ)を行うコマンドを始点としたFAX送信の操作手順ツリーの表示する。
【0068】
かかる構成を備えた画像形成システム100よると、ユーザーが本画像形成システム100により提供された操作手順選択用操作ボタン23を操作する以外の操作を実行した際に、その操作内容に応じて操作手順情報42を更新すると共に、表示部2に表示される操作手順情報42を動的に変更できるので、最新の操作手順情報42を得るための操作要求手順を簡略化することが可能となる。
【0069】
また、図1に示す画像形成システム100では、操作履歴抽出手段122は、前記頻度順処理手段にて操作頻度順に並び替えられた操作履歴データベース4の操作手順情報42から、ログインしたユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザー識別情報41に合致する過去の操作手順情報のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する高利用頻度操作履歴抽出手段128を含んでいてもよい。
【0070】
即ち、図7に示すフローチャートでは、前記ステップS4において、ログインしているユーザー以外の全てのユーザーの操作手順情報42から、利用頻度の高い操作手順を抽出する前記ステップ9の処理を設けてもよい。こうすることで、ログインしているユーザーの操作履歴にとどまらず、前述した表示内容に加えて、その他のユーザーの利用履歴を参照し、該その他のユーザーの操作手順を画像形成装置20の表示部22上に表示することができる。
【0071】
かかる構成を備えた画像形成システム100よると、ログインしたユーザーは過去に実行したことがないが、その他のユーザーがよく利用している機能について、過去の操作手順情報42を選択することで、必要なパラメータを設定することなく、該操作手順情報42の処理を実行することが可能であり、これにより入力操作をさらに簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る画像形成システムのシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の操作部材における操作手順選択用操作部及び表示部を示す概略図である。
【図3】図1に示す操作履歴データベースのデータベース構造を模式的に示す概略図である。
【図4】図1に示す操作ガイドデータベースのデータベース構造を模式的に示す概略図である。
【図5】ユーザーインターフェイス情報の一例のデータ構造を示す図である。
【図6】図1に示す画像形成装置の操作パネルに設けられた表示部にログイン直後に表示された過去の操作手順情報及びその操作手順情報に対応する複数の操作手順選択用操作ボタンを示す概略図である。
【図7】図1に示す画像形成システムの処理例を示すフローチャートである。
【図8】図6に示す表示部の状態から操作手順情報が変化した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0073】
4 操作履歴データベース
5 操作ガイドデータベース
10 サーバー
20 画像形成装置
21 操作部材
22 表示部
23 操作手順選択用操作部
30 ネットワーク
41 ユーザーの識別情報
42 操作手順情報
43 操作コマンド
44 ユーザーインターフェイス情報
100 画像形成システム
121 操作履歴保管手段
122 操作履歴抽出手段
123 送信手段
124 操作コマンド抽出手段
125 ユーザーインターフェイス情報生成手段
126 ユーザー認識手段
127 初回ユーザー用抽出手段
128 高利用頻度操作履歴抽出手段
M 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーのログインを行うことが可能な1又は複数の画像形成装置と、前記1又は複数の画像形成装置にネットワークを介して接続されるサーバーとを備えた画像形成システムであって、
前記1又は複数の画像形成装置は、ログインしたユーザーの識別情報と該ユーザーによって入力操作された操作手順情報とを、前記ネットワークを介して前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、
ユーザーがログインした画像形成装置から前記ネットワークを介して受信した該ユーザーの操作手順情報を該ユーザーに対応する識別情報に関連付けて操作履歴データベースに蓄積して保存する操作履歴保管手段と、
前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から前記ユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報を抽出する操作履歴抽出手段と、
前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報を前記ユーザーがログインした画像形成装置に前記ネットワークを介して送信する送信手段とを備えるように構成され、
前記画像形成装置は、表示部と、人為入力操作可能な操作手順選択用操作部とを備え、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信した過去の操作手順情報を前記表示部に前記操作手順選択用操作部に対応させて表示することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記サーバーは、
前記画像形成装置で実行される複数処理にそれぞれ対応する操作手順情報に関連付けて該複数処理を該画像形成装置でそれぞれ実行するための複数の操作コマンドを予め保存した操作ガイドデータベースに保存された該複数の操作コマンドから前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報に合致する操作コマンドを抽出する操作コマンド抽出手段と、
前記操作履歴抽出手段にて抽出した過去の操作手順情報に基づき該操作手順情報を階層的なツリー形式で表示させるためのユーザーインターフェイス情報を生成するユーザーインターフェイス情報生成手段とをさらに備えるように構成され、
前記送信手段は、前記ユーザーインターフェイス情報生成手段にて生成したユーザーインターフェイス情報を前記操作コマンド抽出手段にて抽出した操作コマンドに関連付けてユーザーがログインした画像形成装置へ前記ネットワークを介して送信し、
前記画像形成装置は、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信した操作コマンドを前記操作手順選択用操作部に対応させ、且つ、前記サーバーから前記ネットワークを介して受信したユーザーインターフェイス情報に基づき過去の操作手順情報を階層的なツリー形式で前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記サーバーは、ユーザーがログインした画像形成装置から前記ネットワークを介して受信した該ユーザーの識別情報に基づき該ユーザーが過去に該画像形成装置の入力操作を行ったことがあるか否かを認識するユーザー認識手段をさらに備えるように構成され、該サーバーにおいて、前記操作履歴抽出手段は、前記ユーザー認識手段にて認識したユーザーが該画像形成装置を初めて入力操作するユーザーである場合には、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から、該ユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する初回ユーザー用抽出手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記サーバーにおいて、前記操作履歴保管手段は、ユーザーのログイン直後からの操作手順情報の変化に基づき、前記操作履歴データベースに保存されている操作手順情報を更新し、
前記画像形成装置において、前記表示部に表示される操作手順情報を動的に変更することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記サーバーにおいて、前記操作履歴抽出手段は、前記操作履歴データベースに保存された操作手順情報から、前記画像形成装置でログインしたユーザー以外の他の利用実績のある全てのユーザーの識別情報に合致する過去の操作手順情報のうち利用頻度の高い操作手順情報を抽出する高利用頻度操作履歴抽出手段を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、前記サーバーを、前記各手段として機能させることを特徴とする画像形成システム用プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成システム用プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−299735(P2008−299735A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147082(P2007−147082)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】