画像形成システム
【課題】用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合も、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】第1印刷装置1のマーク形成手段は、副走査方向の長さが主走査方向の位置に応じて異なる形状の第1マーク部と、第1マーク部の副走査方向に平行な辺を除くいずれかの辺に対して所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部とを含むマーク41を用紙Wに形成する。第2印刷装置2のマークセンサ31は、マーク41を検出し、第1マーク部と第2マーク部との間の区間が検出位置を通過する時間である第1通過時間と、第1マーク部が検出位置を通過している時間である第2通過時間とを出力する。算出手段は、第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する。
【解決手段】第1印刷装置1のマーク形成手段は、副走査方向の長さが主走査方向の位置に応じて異なる形状の第1マーク部と、第1マーク部の副走査方向に平行な辺を除くいずれかの辺に対して所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部とを含むマーク41を用紙Wに形成する。第2印刷装置2のマークセンサ31は、マーク41を検出し、第1マーク部と第2マーク部との間の区間が検出位置を通過する時間である第1通過時間と、第1マーク部が検出位置を通過している時間である第2通過時間とを出力する。算出手段は、第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台の画像形成装置により用紙の両面に画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される用紙の両面に画像を形成する画像形成システムとして、2台の画像形成装置を用紙の搬送経路に沿って直列に配置した画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成システムは、用紙の搬送経路の前段に配置した第1画像形成装置により、搬送方向に長い長尺の用紙の第1面に画像を形成し、第1印刷装置から排出された用紙を反転装置によって表裏反転させた後、後段に配置した第2画像形成装置により、用紙のもう一方の面である第2面に画像を形成する。
【0003】
上記の画像形成システムにおいては、例えば、第1画像形成装置が電子写真方式で画像を形成する画像形成装置であった場合、用紙上に転写されたトナー像を用紙に溶融定着させるための熱定着工程での用紙に対する熱作用により、用紙が伸縮することがある。用紙が伸縮した場合、第2画像形成装置に送り込まれたときの用紙の長さが当初の長さから変化するため、用紙の第1面のページ長と第2面のページ長とが異なってしまう。その結果、用紙の第1面に形成された画像の位置と第2面に形成された画像の位置とが揃わなくなるという問題が生じる。
【0004】
また、第1画像形成装置がインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置であった場合、インクが吹き付けられた後の乾燥工程での用紙に対する熱作用により、用紙が伸縮することがある。このため、第1画像形成装置がインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置であった場合でも、第1画像形成装置が電子写真方式で画像を形成する画像形成装置であった場合と同様に、上述した問題が生じる。
【0005】
上述した問題を解消するため、第1画像形成装置により、用紙の規定された位置(例えば、ページの先頭位置等)に位置合わせマークを形成し、第2印刷装置により、用紙上の位置合わせマークの間隔を計測、または位置合わせマークの検出のタイミングを計測し、その計測結果から用紙の搬送速度を変化させることによって、用紙の第1面に形成された画像の位置と第2面に形成された画像の位置とを揃えるようにした画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、画像の位置合わせのために用紙に形成するマークとしては、様々な形状のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の技術では、用紙の搬送方向に沿った方向(以下、「副走査方向」という。)に対する画像の位置合わせは可能であるが、用紙の搬送方向に垂直な方向(以下、「主走査方向」という。)に対する画像の位置合わせはできない。すなわち、用紙に対する熱作用によって発生する用紙の伸縮は、用紙の種類によっては、副走査方向だけでなく主走査方向にも生じうる。ここで用紙の種類とは、例えば、用紙の厚さ、用紙の幅(主走査方向の長さ)、用紙の材質などの他、用紙上に形成するページの長さや用紙上に形成する位置合わせマークの間隔等の要件が異なるものも含む。そして、このように用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合には、上記のような従来の技術では、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることはできないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合も、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送される用紙の第1面に、第1画像形成装置により画像を形成した後、前記第1面の反対面である第2面に、第2画像形成装置により画像を形成する画像形成システムにおいて、前記第1画像形成装置は、前記第1面に、前記用紙の搬送方向に沿った方向である第1方向の長さが、前記搬送方向に垂直な方向である第2方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、前記第1マーク部の前記第1方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部と、を含むマークを形成するマーク形成手段を備え、前記第2画像形成装置は、前記用紙の搬送経路の所定位置を通過する前記マークを検出し、前記第1マーク部と前記第2マーク部との間の前記所定距離の区間が前記所定位置を通過している時間である第1通過時間と、前記第1マーク部が前記所定位置を通過している時間である第2通過時間と、を出力するマーク検出手段と、前記第1通過時間および前記第2通過時間に基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2画像形成装置が用紙の第1方向(副走査方向)の伸縮率と用紙の第2方向(主走査方向)の伸縮率とを算出するので、用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合であっても、算出した伸縮率を用いて用紙の第2面の画像の位置を調整することで、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態の印刷システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、第1印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第2印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1印刷装置によってマークが形成された用紙の説明図である。
【図5】図5は、マークの具体例を示す図である。
【図6】図6は、図5(a)に例示した構成のマークとマークセンサとの位置関係を説明する図である。
【図7】図7は、第2印刷装置の制御部が用紙の副走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。
【図8】図8は、第2印刷装置の制御部が用紙の主走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。
【図9】図9は、第2印刷装置の制御部が用紙の蛇行量を算出する処理を説明する図である。
【図10】図10は、第1印刷装置における濃度センサの配置の具体例を説明する図である。
【図11】図11は、第1印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第2印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成を示す図である。この印刷システムは、図1に示すように、2台の電子写真式の印刷装置である第1印刷装置1(特許請求の範囲に記載の「第1画像形成装置」に相当)および第2印刷装置2(特許請求の範囲に記載の「第2画像形成装置」に相当)と、反転装置3とを備える。第1印刷装置1と第2印刷装置2は、用紙Wの搬送経路に沿って直列に配置される。第1印刷装置1は、用紙Wの搬送経路の前段に配置され、搬送される用紙Wの表面(以下、用紙Wの表面を「第1面」という。)に画像を形成する。第2印刷装置2は、用紙Wの搬送経路の後段に配置され、第1印刷装置1によって第1面に画像が形成された用紙Wの裏面(以下、用紙Wの裏面を「第2面」という。)に画像を形成する。用紙Wの搬送経路は、第1印刷装置1と第2印刷装置2の間で進路がほぼ直角に曲がるL字型の経路である。反転装置3は、第1印刷装置1と第2印刷装置2との間に配置され、用紙Wの表裏(第1面の向きと第2面の向き)を反転させる。印刷システムは、第1印刷装置1と第2印刷装置2と反転装置3とを協働させて、長尺の用紙Wの両面に画像を形成する。
【0014】
長尺の用紙には、連続シート状の用紙、帯状の用紙、ページ単位毎に仕切りやミシン目や折り目が入った連続した用紙などがある。本実施形態に係る印刷システムは、いずれのタイプの長尺の用紙も使用できる。以下、本実施形態に係る印刷システムで使用する長尺の用紙を単に「用紙」と呼ぶ。
【0015】
第1印刷装置1は、例えば、プリンタ、複写機、複合機などの印刷機能を備えた画像形成装置である。第1印刷装置1は、制御部10と、画像形成部を有する。第1印刷装置1の画像形成部は、感光体16と、感光体16の周囲に設けられた帯電手段、露光手段、現像手段、除電手段、クリーニング手段、転写手段などの各手段(図示を省略する)と、加熱ローラ17と、加圧ローラ18と、送り出しローラ19を含む。第1印刷装置1の画像形成部は、制御部10の制御により、感光体16上にトナー像を形成して、このトナー像を、搬送経路に沿って搬送される用紙Wの第1面に転写し、用紙Wの第1面に画像を形成する。
【0016】
また、第1印刷装置1の画像形成部は、制御部10の制御により、用紙Wの第1面に対して画像を形成するのと同時に、用紙Wの第1面の予め指定した位置に、少なくとも用紙Wの副走査方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」に相当)の伸縮率(以下、「副走査伸縮率」という。)と主走査方向(特許請求の範囲に記載の「第2方向」に相当)の伸縮率(以下、「主走査伸縮率」という。)とを算出するためのマーク41を形成する。予め指定した位置とは、例えば、用紙Wのページ先頭端を含む等間隔の位置であり、用紙Wの搬送方向に平行な縁部である。
【0017】
マーク41は、第1マーク部と、第2マーク部とを含む。第1マーク部は、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する。第2マーク部は、第1マーク部の副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である。なお、マーク41の具体例については、詳細を後述する。
【0018】
また、第1印刷装置1の画像形成部は、加熱ローラ17と加圧ローラ18とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第1面上の画像およびマーク41のトナー像を溶融定着させる。そして、第1印刷装置1の画像形成部は、送り出しローラ19によって、第1面に画像およびマーク41が形成された用紙Wを、反転装置3へ送り出す。
【0019】
反転装置3は、第1印刷装置1から送り出された用紙Wの進行方向をほぼ直角に転換させるとともに、用紙Wの表裏を反転させて第2印刷装置2へ送り出す。したがって、例えば、用紙Wが第1画像形成装置1により画像およびマーク41が形成された第1面を上にした状態で、第1印刷装置1から反転装置3へ送り出された場合、この用紙Wは、第2画像形成装置2により画像が形成される第2面を上にした状態で、反転装置3から第2印刷装置2へ送り出されることになる。
【0020】
第2印刷装置2は、第1印刷装置1と同じく、例えば、プリンタ、複写機、複合機などの印刷機能を備えた画像形成装置である。第2印刷装置2は、マークセンサ31(特許請求の範囲に記載の「マーク検出手段」に相当)と、制御部20と、画像形成部を有する。第2印刷装置2の画像形成部は、感光体27と、感光体27の周囲に設けられた帯電手段、露光手段、現像手段、除電手段、クリーニング手段、転写手段などの各手段(図示を省略する)と、加熱ローラ28と、加圧ローラ29と、送り出しローラ30を含む。
【0021】
マークセンサ31は、用紙Wの搬送経路の画像形成部よりも前段の所定位置(以下、「マーク検出位置」という。)に、検出面が、搬送経路に沿って搬送される用紙Wの第1面と対向するように配置される。そして、マークセンサ31は、用紙Wの搬送に伴って、第1印刷装置1により用紙Wの第1面に形成されたマーク41がマーク検出位置を通過する際に、このマーク41を検出する。そして、マークセンサ31は、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部がマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。
【0022】
第2印刷装置2の画像形成部は、制御部20の制御により、搬送される用紙Wの第2面に対して、電子写真方式により画像を形成する。このとき、制御部20は、マークセンサ31から入力した第1通過時間と第2通過時間とに基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する(具体的な算出方法については詳細を後述する)。そして、制御部20は、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて、用紙Wの第2面に形成される画像の位置が、用紙Wの第1面に形成された画像の位置に合うように、画像形成部の動作を制御する。具体的には、制御部20は、例えば、用紙Wの副走査伸縮率に基づいて用紙Wの搬送速度を制御して、用紙Wの第2面に形成される画像の副走査方向の倍率を調整する。また、制御部20は、例えば、用紙Wの主走査伸縮率に基づいて画像のドット間隔を可変させることにより、用紙Wの第2面に形成される画像の主走査方向の倍率を調整する。そして、制御部20は、このような用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じた副走査方向および主走査方向の画像の調整により、用紙Wの第2面に形成される画像の位置を、用紙Wの第1面に形成された位置に合わせるようにする。
【0023】
また、第2印刷装置2の画像形成部は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第2面上の画像のトナー像を溶融定着させる。そして、第2印刷装置2の画像形成部は、送り出しローラ30によって、第2面に画像が形成された用紙Wを第2印刷装置2内部の排紙トレイ(図示を省略)に送り出す。これにより、第1印刷装置1と第2印刷装置2により両面に画像が形成された用紙Wが、第2印刷装置2の排紙トレイ内に蓄積される。
【0024】
このように、本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1が用紙Wの第1面に画像とともにマーク41を形成する。そして、第2印刷装置2が、用紙Wの第1面に形成されたマーク41をマークセンサ31で検出し、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する。そして、第2印刷装置2が、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整しながら、用紙Wの第2面に画像を形成する。したがって、用紙Wの第1面に対する画像形成時の熱作用により用紙Wが副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮したとしても、それに合わせて用紙Wの第2面に対する画像の位置を調整することができ、用紙Wの第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる。
【0025】
本実施形態に係る印刷システムでは、第2印刷装置2が備えるマークセンサ31が、副走査方向における位置が同じで主走査方向における位置が異なる2つのマーク検出位置でマーク41を検出する2つの検出部(以下、これら2つの検出部の一方を「第1マークセンサ31a」といい、他方を「第2マークセンサ31b」という。)を有することが望ましい。この場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間が一方のマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部が一方のマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間が他方のマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部が他方のマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。
【0026】
このように、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bからそれぞれ第1通過時間と第2通過時間とが出力されると、制御部20は、第1マークセンサ31aから入力した第1通過時間および第2通過時間と、第2マークセンサ31bから入力した第1通過時間および第2通過時間とに基づいて、用紙Wの副走査伸縮率と主走査伸縮率だけでなく、用紙Wの主走査方向における蛇行量(以下、単に「蛇行量」という。)も算出することができる。また、制御部20は、この蛇行量の影響による誤差のない正確な主走査伸縮率を算出することができる(具体的な算出方法については詳細を後述する)。
【0027】
本実施形態に係る印刷システムへの用紙Wのセット方法としては、例えば、オペレータが第1印刷装置1の給紙部(図示省略)に用紙Wをセットした後、操作パネルに設けられたフィードスイッチを押し、反転装置3を通して第2印刷装置2へ到達するのに足りる長さの用紙Wを繰り出して、繰り出した用紙Wを手動で第2印刷装置2にセットする方法がある。ただし、この方法は一例であり、その他、公知のセット方法を用いても構わない。
【0028】
また、本実施形態に係る印刷システムにおいて、用紙Wの片面のみに画像を形成する場合には、第1印刷装置1がその画像の形成を担当し、第2印刷装置2では画像の形成を行わないようにするとよい。ただし、この場合も、片面に画像が形成された用紙Wは第2印刷装置2まで搬送され、第2印刷装置2の排紙トレイ内に蓄積される。なお、この印刷システムは、反転装置3を用いないようにし、第1印刷装置1と第2印刷装置2とで同一面上に画像を形成する(例えば、第1印刷装置1と第2印刷装置2が異なるページにそれぞれ画像を形成する)こともできる。
【0029】
次に、第1印刷装置1の制御部10および第2印刷装置2の制御部20について説明する。図2は、図1に示した第1印刷装置1の制御部10の主要な構成を示すブロック図であり、図3は、図1に示した第2印刷装置2の制御部20の主要な構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、第1印刷装置1の制御部10は、CPU11、ROM12、RAM13、および、画像形成制御部14を備える。これらCPU11、ROM12、RAM13、および、画像形成制御部14は、システムバス15によって接続されている。
【0031】
CPU11は、第1印刷装置1の全体の制御を司るとともに、用紙Wの第1面上にマーク41を形成する処理を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0032】
ROM12は、CPU11が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0033】
RAM13は、CPU11が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0034】
画像形成制御部14は、CPU11からの指示に基づいて、第1印刷装置1の内部の画像形成部に対する制御を司る。画像形成制御部14は、図1に示した感光体16上へのトナーによる画像(マーク41も含む)の形成と、加熱ローラ17の加熱と、感光体16、加熱ローラ17、加圧ローラ18、送り出しローラ19、および、図示を省略した帯電、露光、現像、除電、クリーニングなどの各手段の駆動制御を行う。
【0035】
第1印刷装置1においては、例えば、制御部10のCPU11がROM12に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部14に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙W上の第1面に画像とともにマーク41を形成するために必要な機能が実現される。つまり、第1印刷装置1においては、制御部10のCPU11と画像形成制御部14と画像形成部とが、特許請求の範囲に記載の「マーク形成手段」として機能する。
【0036】
第2印刷装置2の制御部20は、図3に示すように、CPU21、ROM22、RAM23、画像形成制御部24、および、入力制御部25を備える。これらCPU21、ROM22、RAM23、画像形成制御部24、および、入力制御部25は、システムバス26によって接続されている。
【0037】
CPU21は、第2印刷装置2の全体の制御を司るとともに、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理と、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整する処理(画像形成のタイミングを調整して画像の位置をずらすものも含む)を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0038】
ROM22は、CPU21が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0039】
RAM23は、CPU21が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0040】
画像形成制御部24は、CPU21からの指示に基づいて、第2印刷装置2の内部の画像形成部に対する制御を司り、図1に示した感光体27上へのトナーによる画像の形成と、上記加熱ローラ28の加熱と、上記感光体27と加熱ローラ28と上記加圧ローラ29と上記送り出しローラ30と、図示を省略した帯電、露光、現像、除電、クリーニングなどの各手段の各駆動制御を行う。
【0041】
入力制御部25は、マークセンサ31から出力される第1通過時間および第2通過時間の情報を入力し、その情報をCPU21へ送る。
【0042】
第2印刷装置2においては、例えば、制御部20のCPU21がROM22に記録されているプログラムを実行することにより、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理が実現される。また、第2印刷装置2においては、例えば、制御部20のCPU21がROM22に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部24に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙Wの第2面に形成される画像の位置を調整するために必要な機能が実現される。つまり、第2印刷装置2においては、制御部20のCPU21が特許請求の範囲に記載の「算出手段」として機能する。また、第2印刷装置2においては、制御部20のCPU21と画像形成制御部24と画像形成部とが、特許請求の範囲に記載の「画像調整手段」として機能する。
【0043】
次に、マーク41の用紙W上の形成位置について説明する。図4は、図1に示した第1印刷装置1によってマーク41が形成された用紙Wの説明図である。
【0044】
本実施形態に係る印刷システムで使用する用紙Wとしては、図4(a)に示すように、副走査方向に平行な縁部に送り孔40を設けたタイプと、図4(b)に示すように、送り孔を設けていないタイプとがある。本実施形態では、図4(b)に示したタイプの用紙Wを使用するものとして説明する。なお、図4(a)の送り孔40を設けたタイプの用紙Wを用いる場合、第1印刷装置1と第2印刷装置2には、用紙Wに設けた送り孔40にピンを挿入して係合させることによって用紙Wを搬送する搬送手段を設ける必要があるが、その搬送手段は公知技術なので、詳細な説明は省略する。
【0045】
マーク41は、用紙Wの送り孔40の有無に関わらず、第1印刷装置1により、画像データ(印刷データ)に基づく画像Imとともに、各ページの先頭端を含む等間隔の位置(例えば、ページ長L毎の位置)に形成される。上記等間隔の位置については、ページ長Lよりも短い等間隔にしてもよい。なお、本実施形態では、上述したように、第1印刷装置1の制御部10のCPU11がROM12に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部14に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙W上の第1面に画像Imとともにマーク41を形成するために必要な機能が実現される。ただし、マーク41を形成する手段は、画像Imを形成する手段とは独立させて別に設けるようにしてもよい。
【0046】
第1印刷装置1により第1面にマーク41が形成された用紙Wは、第1印刷装置1から排出され、反転装置3により表裏が反転された後、第2印刷装置2に送られる。これにより、第2印刷装置2においては、マーク41が形成された用紙Wの第1面が、マークセンサ31の検出面と対向するようになり、マークセンサ31によって用紙Wの第1面に形成されたマーク41を検出することが可能になる。
【0047】
次に、マーク41の具体例について説明する。マーク41は、上述したように、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、第1マーク部の副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部とを含む。図5は、上記の条件を満たすマーク41の具体例を示す図である。なお、図中の矢印の方向が用紙Wの搬送方向(副走査方向)である。
【0048】
図5(a)および図5(b)は、第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、第2マーク部41bを、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置したマーク41の例である。なお、図5(b)に示すマーク41は、図5(a)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。
【0049】
図5(c)および図5(d)は、第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、第2マーク部41bを、直角三角形の第1マーク部41aの長辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の前段に配置したマーク41の例である。なお、図5(d)に示すマーク41は、図5(c)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。
【0050】
なお、図5(a)〜図5(d)に示すマーク41は、直角三角形の第1マーク部41aの短辺が副走査方向に沿って配置され、長辺が主走査方向に沿って配置されるようにしているが、これとは逆に、直角三角形の第1マーク部41aの長辺が副走査方向に沿って配置され、短辺が主走査方向に沿って配置されるようにしてもよい。また、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を除く2辺の長さが等しい場合は、そのうちの一方の辺(第1辺)が副走査方向に沿って配置され、他方の辺(第2辺)が主走査方向に沿って配置されるようにすればよい。
【0051】
図5(e)および図5(f)は、第1マーク部41aを90度の内角を2つ持つ台形の形状とし、第2マーク部41bを、上記台形の第1マーク部41aの斜辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置したマーク41の例である。なお、図5(f)に示すマーク41は、図5(e)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。なお、図5(e)および図5(f)に示すマーク41は、第2マーク部41bを第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置しているが、これとは逆に、第2マーク部41bを第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の前段に配置してもよい。
【0052】
図5(g)は、図5(a)に示した直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えたマーク41の例である。また、図5(h)は、図5(e)に示した台形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えたマーク41の例である。なお、ここでは、図5(a)に示した直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えた例と、図5(e)に示した台形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えた例を例示するが、図5(a)と図5(e)以外で示した第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えるようにしてもよい。また、マーク41は、図5(a)〜図5(g)で例示した構成に限らず、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部41aと、第1マーク部41aの副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部41bとを含む構成であればよい。
【0053】
マーク41が上記のいずれの構成であっても、用紙Wの副走査伸縮率は、第1マーク部41aと第2マーク部42bとの間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と第1参照時間との比率により求めることができる。ここで第1参照時間とは、用紙Wの副走査方向の長さが変化していない状態(つまり副走査方向の伸縮が生じていない状態)の第1通過時間である。第1参照時間は、予め計測され、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。
【0054】
また、マーク41が上記のいずれの構成であっても、用紙Wの主走査伸縮率は、例えば、第1マーク部41aがマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間と第2参照時間との比率と、副走査伸縮率と、第1マーク部41aの主走査方向の位置に応じた副走査方向の長さの関係を表す関数とにより求めることができる。ここで第2参照時間とは、用紙Wの副走査方向および主走査方向の長さが変化していない状態(つまり副走査方向にも主走査方向にも伸縮が生じていない状態)の第2通過時間である。第2参照時間は、予め計測され、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。また、第1マーク部41aの主走査方向の位置に応じた副走査方向の長さの関係を表す関数は、第1マーク部41aの形状から一義的に導かれる関数であり、予め作成されて、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。
【0055】
なお、上記の主走査伸縮率の算出方法は、用紙Wが主走査方向に蛇行せずに搬送されていることを前提としており、用紙Wが主走査方向に蛇行しながら搬送されている場合は、その蛇行量に応じて算出結果に誤差が生じる。このような用紙Wの主走査方向の蛇行による影響を排除して主走査伸縮率を正確に算出するには、上述したように、マークセンサ41を、主走査方向における位置が異なる2つのマーク検出位置でマーク41を検出する第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bで構成し、2つのマーク検出位置での第2通過時間が得られるようにすることが望ましい。この場合、2つのマーク検出位置の位置関係と、2つのマーク検出位置での第2通過時間とを用いることで、用紙Wが主走査方向に蛇行していたとしても、蛇行の影響を排除した正確な主走査伸縮率が求められるとともに、その蛇行量も求めることができる。
【0056】
また、特に、マーク41の第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、直角三角形の斜辺を除く2つの辺のうち、主走査方向に沿って配置された辺(第2辺)を3等分する2つの位置で、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bがそれぞれマーク41を検出する構成とすれば、蛇行の影響を排除した主走査伸縮率および蛇行量を、簡単な幾何学計算により算出することが可能となる。以下、マーク41を図5(a)に例示した構成とし、直角三角形の第1マーク部41aの主走査方向に沿って配置された辺(第2辺)を3等分する2つの位置で、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bがそれぞれマーク41を検出する場合を例に挙げ、副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出する方法について、さらに詳しく説明する。
【0057】
図6は、図5(a)に例示した構成のマーク41とマークセンサ31との位置関係を説明する図である。なお、図中の矢印の方向が用紙Wの搬送方向(副走査方向)である。図6に示すように、マーク41は、直角三角形の形状を有する第1マーク部41aと、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺a1−a3に対して所定距離n(nは正の数)を存して平行に配置された直線a4−a5である第2マーク部41bとを含む。このマーク41は、用紙Wの第1面の搬送方向に平行な縁部に形成される。また、マーク41は、例えば、用紙Wのページ先頭端を含む等間隔の位置に複数形成される。
【0058】
直角三角形の第1マーク部41aは、短辺a2−a3が副走査方向に沿って配置され、長辺a1−a2が主走査方向に沿って配置されるように、用紙Wの第1面に形成される。また、第2マーク部41bは、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置されるように、用紙Wの第1面に形成される。以下、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さ(距離)をRとし、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さ(距離)をmとする。
【0059】
一方、マークセンサ31は、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bの2つの検出部を、主走査方向に沿って並べて配置した構成である。これら第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの長辺a1−a2を3分割する2箇所において、用紙Wの第1面に形成されたマークを検出する。すなわち、第1マークセンサ31aは、直角三角形の第1マーク部41aの頂点a1から頂点a2側にR/3だけシフトした位置でマーク41を検出できるように配置される。また、第2マークセンサ31bは、直角三角形の第1マーク部41aの頂点a2から頂点a1側にR/3だけシフトした位置でマーク41を検出できるように配置される。なお、図6では、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを1つの筐体内に配置した例を図示しているが、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bは、それぞれ個別の筐体内に配置されていてもよい。
【0060】
次に、図6に示した構成において、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出する処理の具体例について、さらに詳しく説明する。
【0061】
まず、副走査伸縮率を算出する処理について説明する。図7は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの副走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0062】
図7(a)は、用紙Wに熱作用による伸縮がない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図7(a)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点a1〜a3で示されており、点a2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点a4、a5で示されている。
【0063】
図7(a)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点a6から点a7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間T1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点a7から第2マーク部41bの点a8までの所定距離(図6に示したn)の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間T2を表すハイレベル信号を出力する。
【0064】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点a9から点a10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間T3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点a10から第2マーク部41bの点a11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間T2を表すハイレベル信号を出力する。
【0065】
ここで、マーク41の第2マーク部41aは、直角三角形の第1マーク部41bの斜辺に対して平行に配置されているため、第1マークセンサ31aから出力される第1通過時間T2と、第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間T2は、同じ値である。制御部20のCPU21は、この図7(a)の例のように、熱作用による伸縮がない用紙Wを搬送したときに、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間T2を、第1参照時間tbとして、ROM22などの記憶部に格納する。
【0066】
図7(b)は、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wが副走査方向に収縮している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図7(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点b1〜b3で示されており、点b2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点b4、b5で示されている。この図7(b)に示すマーク41では、直角三角形の第1マーク部41aの短辺b2−b3が、伸縮のない図7(a)の例の短辺a2−a3よりも短くなっている。また、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺b1−b3と第2マーク部41bとの距離も、伸縮のない図7(a)の例と比較して狭くなっている。
【0067】
図7(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点b6から点b7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点b7から第2マーク部41bの点b8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0068】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点b9から点b10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点b10から第2マーク部41bの点b11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0069】
ここで、マーク41の第2マーク部41aは、直角三角形の第1マーク部41bの斜辺に対して平行に配置されているため、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じていたとしても、第1マークセンサ31aから出力される第1通過時間t2と、第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2は、同じ値である。制御部20のCPU21は、これら第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。
【0070】
用紙Wの副走査伸縮率は、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じた場合の第1通過時間と、用紙Wに伸縮が生じていない場合の第1通過時間との比率により算出できる。つまり、副走査伸縮率αは、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、下記式(1)により算出できる。
α=ta/tb ・・・(1)
制御部20のCPU21は、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0071】
次に、主走査伸縮率を算出する処理について説明する。図8は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの主走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0072】
図8(a)は、用紙Wに熱作用による伸縮がない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。なお、図8(a)は、先に示した図7(a)と共通なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
図8(b)は、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wが主走査方向に収縮している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図8(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点c1〜c3で示されており、点c2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点c4、c5で示されている。この図8(b)に示すマーク41では、直角三角形の第1マーク部41aの長辺c1−c2が、伸縮のない図8(a)の例の長辺a1−a2よりも短くなっている。
【0074】
図8(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点c6から点c7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点c7から第2マーク部41bの点c8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0075】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点c9から点c10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点c10から第2マーク部41bの点c11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0076】
制御部20のCPU21は、まず、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0077】
さらに、制御部20のCPU21は、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tcとして使用する。また、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tdとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、下記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出する。
β=(1/3)×(α×(m/v))/(td−tc) ・・・(2)
【0078】
主走査伸縮率βは、伸縮のない場合の第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRと、伸縮のあった場合の第1マーク部41aの長辺c1−c2の長さyとに基づいて、β=y/Rから算出することができる。また、伸縮のあった場合の第1マーク部41aの長辺c1−c2の長さyについては、直角三角形の相似関係に基いて求めることができる。
【0079】
図8(b)に示すように、c1〜c3を頂点とする直角三角形の第1マーク部41aと、c12〜c14を頂点とする直角三角形とは、2つの内角が等しいので相似関係にあり、2辺の長さの比が互いに等しくなる。すなわち、辺c1−c2の長さ(=y)と辺c2−c3の長さ(副走査方向に伸縮のない状態の短辺a2−a3の長さmに副走査伸縮率αを乗算した値)の比と、辺c12−c13の長さ(=R/3)と辺c13−c14の長さの比とが等しくなる。
【0080】
ここで、辺c13−c14の長さに、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3と第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1との差分(t3−t1)を対応させると、y:R/3=(α×m/v):(t3−t1)から、y/R=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))が得られる。したがって、β=y/Rと、y/R=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))とから、β=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))が得られる。ここで、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1をtc、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3をtdに置き換えると、上記式(2)が得られる。
【0081】
したがって、制御部20のCPU21は、マークセンサ31から出力される2つの第2通過時間tc,tdと、用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、上記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出することができる。なお、用紙Wが主走査方向にのみ伸縮している場合は、α=1となる。
【0082】
次に、蛇行量を算出する処理について説明する。図9は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの蛇行量を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0083】
図9(a)は、用紙Wが蛇行していない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。なお、図9(a)は、先に示した図7(a)および図8(a)と共通なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
図9(b)は、用紙Wが主走査方向に蛇行している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図9(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点d1〜d3で示されており、点d2が直角である。
【0085】
図9(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点d6から点d7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点d7から第2マーク部41bの点d8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0086】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点d9から点d10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点d10から第2マーク部41bの点d11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0087】
制御部20のCPU21は、まず、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0088】
また、制御部20のCPU21は、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tcとして使用する。また、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tdとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、上記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出する。
【0089】
さらに、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの主走査伸縮率βと、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRから、下記式(3)に基づく演算処理によって、用紙Wの蛇行量Sを算出する。
S=R/3×[tc/(td−tc)−1]×β ・・・(3)
【0090】
図9(a)と図9(b)を比較すると分かるように、図9(b)に示す第1マーク部41aの点d1から点d6までの長さxは、図9(a)に示す第1マーク部41aの点a1から点a6までの長さR/3に対して、主走査方向の伸縮と蛇行が加わった長さである。つまり、x=(S+R/3)×βとなる。
【0091】
また、図9(b)に示すように、d1、d6、d7を頂点とする直角三角形と、d7、d12、d10を頂点とする直角三角形とは2つの内角が等しいので相似関係にあり、2辺の長さの比が互いに等しくなる。すなわち、辺d1−d6の長さ(=x)と辺d6−d7の長さの比と、辺d7−d12の長さ(=R/3)と辺c12−c10の長さの比とが等しくなる。
【0092】
ここで、辺d6−d7の長さに第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を対応させ、辺d9−d10の長さに第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を対応させると、x:R/3=t1:(t3−t1)となり、x=((R/3)×t1)/(t3−t1)が得られる。したがって、x=(S+R/3)×βと、x=((R/3)×t1)/(t3−t1)とから、S=(R/3)×((t1/(t3−t1))−1)×βが得られる。ここで、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1をtc、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3をtdに置き換えると、上記式(3)が得られる。
【0093】
したがって、制御部20のCPU21は、マークセンサ31から出力される2つの第2通過時間tc,tdと、用紙Wの主走査伸縮率βと、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRから、上記式(3)に基づく演算処理によって、用紙Wの蛇行量Sを算出することができる。なお、この蛇行量Sは、図9中の白抜き矢印で示すように、+方向に蛇行した場合はS>0であり、−方向に蛇行した場合はS<0であり、蛇行していない場合はS=0である。
【0094】
以上のように算出した蛇行量Sは、その値が、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRの1/3以下の場合に有効値とする。算出した蛇行量SがR/3を超えている場合は、上記式(3)で算出される蛇行量Sとして適正でない。このため、R/3を超えた値として算出された蛇行量Sを無効とし、R/3以下の場合のみ有効値とすることで、算出結果の信頼性を確保できる。
【0095】
また、マークセンサ31がマーク41を検出中に用紙Wが蛇行した場合、上記式(3)に基づく演算処理では正確な蛇行量Sを算出できない。このため、蛇行量Sを算出する際は、用紙Wの第1面に形成された複数のマーク41をマーク31が検出するたびに算出される複数の蛇行量Sの平均値を求め、これを有効な蛇行量として用いることが望ましい。これにより、マーク検出中の蛇行などに起因する誤差を抑制することができる。
【0096】
以上のように算出された蛇行量Sは、例えば、第2印刷装置2において実行される蛇行補正処理における補正データとして使用することができる。なお、長尺の用紙Wの主走査方向の蛇行を補正する蛇行補正処理は公知の技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0097】
また、上記の副走査伸縮率および主走査伸縮率は、用紙Wの第2面に形成する画像の位置を、第1面に形成された画像の位置に合わせるためのデータとして使用できる。すなわち、用紙Wの副走査方向については、算出された副走査伸縮率に応じて、例えば、用紙Wを搬送する搬送モータ(図示を省略する)の回転数または感光体27を回転させる感光体モータ(図示を省略する)を制御して、用紙Wの第2面に形成する画像の副走査方向の倍率を調整することで、第1面に形成された画像に対して、第2面に形成する画像の副走査方向における位置を合わせることができる。また、主走査方向については、算出された主走査伸縮率に応じて、例えば、用紙Wの第2面に形成する画像のドット周波数を制御して、用紙Wの第2面に形成する画像の主走査方向の倍率を調整することで、第1面に形成された画像に対して、第2面に形成する画像の主走査方向における位置を合わせることができる。
【0098】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る印刷システムによれば、第1印刷装置1が用紙Wにマーク41を形成し、第2印刷装置2がこのマーク41をマークセンサ31で検出して、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出するようにしているので、第1印刷装置1による用紙Wの第1面への画像形成時における熱作用により用紙Wが副走査方向だけでなく主走査方向に伸縮した場合であっても、算出した副走査伸縮率および副走査伸縮率に応じて、第2印刷装置2が用紙Wの第2面に形成する画像を調整することで、用紙Wの第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる。
【0099】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マークセンサ31が第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bの2つの検知部を持ち、これら第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bが、主走査方向の位置が異なる2つのマーク検出位置でそれぞれマーク41を検出する構成とすることにより、用紙Wが主走査方向に蛇行している場合であっても主走査伸縮率を正しく算出できるとともに、その蛇行量も算出することができる。つまり、長尺の用紙Wの両面に画像を形成する場合、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wの副走査方向および主走査方向の伸縮と用紙Wの主走査方向の蛇行とが同時に発生することも考えられるが、本実施形態に係る印刷システムによれば、用紙Wの副走査方向の伸縮、主走査方向の伸縮、および、主走査方向の蛇行の組み合わせのうち、どの組み合わせが発生したとしても、副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量をそれぞれ適切に算出することができる。したがって、用紙Wの第1面と第2面の画像の位置合わせを適切に実施できるとともに、蛇行補正処理も適切に行うことができ、用紙Wの第1面と第2面に形成される画像の品位を高めることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、単一のマーク41を用いて用紙Wが熱作用によって伸縮した場合の副走査伸縮率および主走査伸縮率と、用紙Wの伸縮による主走査方向の蛇行量がそれぞれ算出可能であるため、用途別のマークを予め準備する必要がない。したがって、用紙Wの印刷領域の拡大に繋がり、また、用紙の蛇行を検出する蛇行センサを別途設けなくても済むことから、印刷システムを安価に構成することができる。
【0101】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、用紙Wの副走査伸縮率については、予め用紙Wに伸縮のない状態で算出された第1通過時間(第1マーク部41aと第2マーク部41bとの間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間)を第1参照時間として記憶部(RAM22等)に記憶させておくことで、その後、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じた場合に得られる第1通過時間と第1参照時間との比率を求めるといった簡単な方法(上記式(1)による演算)で、副走査伸縮率を算出することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マーク41の第1マーク部41aを直角三角形の形状とすることで、用紙Wの蛇行の影響を排除した主走査伸縮率および蛇行量を、簡単な幾何学計算により算出することが可能となる。具体的には、上記式(2)により、用紙Wの蛇行の影響を排除した主走査伸縮率を適切に算出できるとともに、式(3)により、用紙Wの蛇行量を適切に算出することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マーク41を、第1マーク部41aの主走査方向に沿う辺が用紙Wの第1面に対する画像の書き出し位置に配置されるように、用紙Wの第1面に形成し、第1マーク部41aの主走査方向に沿う辺が検出されるタイミングに基づいて、用紙Wの第2面に対する画像の書き出し位置を調整することで、用紙Wの第1面と第2面とで画像の書き出し位置を合わせることもできる。
【0104】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る印刷システムは、第1印刷装置1にマーク41の濃度を検出する濃度センサを設け、この濃度センサにより検出されたマーク41の濃度に応じて、第2印刷装置2のマークセンサ31の感度を調整するようにしたものである。なお、その他の構成は第1の実施形態と共通であるため、以下、第1の実施形態と共通の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、本実施形態に特有の構成についてのみ説明する。
【0105】
図10は、第1印刷装置1における濃度センサ50の配置の具体例を説明する図である。なお、図中の白抜き矢印は用紙Wの搬送方向を示している。本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1に濃度センサ50が設けられている。濃度センサ50は、用紙Wの第1面に形成されたマーク41の濃度を検出するものである。なお、濃度センサ50は、第2印刷装置2のマークセンサ31と同じ構成のセンサを利用することができる。濃度センサ50として、マークセンサ31と同じ構成のセンサを利用するようにすれば、部品の共通化によるコスト低減が期待できる。
【0106】
マーク41は、上述したように、感光体16に形成されたマーク41のトナー像を転写手段51によって用紙Wの第1面に転写し、その後、加熱ローラ17と加圧ローラ18とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第1面上にマーク41のトナー像を溶融定着させることで形成される。濃度センサ41は、この過程のいずれの段階におけるマーク41を濃度検出の対象としてもよい。
【0107】
図10(a)で示す例は、濃度センサ50を、感光体16の周面と対向するように配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、感光体16の周面に形成され、転写手段51により用紙Wの第1面に転写される前の段階のマーク41のトナー像の濃度を検出する。
【0108】
図10(b)に示す例は、濃度センサ50を、用紙Wの搬送経路の転写手段51と定着ローラとの間に配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、感光体16から用紙Wの第1面に転写され、定着ローラにより溶融定着される前の段階のマーク41のトナー像の濃度を検出する。この例のように、用紙Wの第1面に転写された後のマーク41のトナー像を濃度検出の対象とすれば、転写効率の影響によりマーク41の濃度が変化したとしても、変化後の濃度を検出できるため、図10(a)に示した例よりも正確にマーク41の濃度を検出することができる。
【0109】
図10(c)に示す例は、濃度センサ50を、用紙Wの搬送経路の定着ローラよりも後段に配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、定着ローラにより溶融定着されたトナー像であるマーク41の濃度を検出する。この例のように、用紙Wの第1面に溶融定着されたトナー像であるマーク41を濃度検出の対象とすれば、定着効率の影響によりマーク41の濃度が変化したとしても、変化後の濃度を検出できるため、図10(a)や図10(b)に示した例よりも正確にマーク41の濃度を検出することができる。
【0110】
図11は、第1印刷装置1の制御部60の主要な構成を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1が、第1の実施形態で説明した制御部10に代えて、図11に示す制御部60を備える。濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度は、制御部60に入力される。
【0111】
第1印刷装置1の制御部60は、図11に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、画像形成制御部64、および、入出力制御部65を備える。これらCPU61、ROM62、RAM63、画像形成制御部64、および、入出力制御部65は、システムバス66によって接続されている。
【0112】
CPU61は、第1印刷装置1の全体の制御を司るとともに、用紙Wの第1面上にマーク41を形成する処理と、濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度を、第2印刷装置2の制御部70に送る処理を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0113】
ROM62は、CPU61が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0114】
RAM63は、CPU61が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0115】
画像形成制御部64は、CPU61からの指示に基づいて、第1印刷装置1の内部の画像形成部に対する制御を司る。
【0116】
入出力制御部65は、濃度センサ50から出力されるマーク41の濃度の情報を入力し、その情報をCPU61へ送る。また、入出力制御部65は、CPU61からの指示に基づいて、濃度センサ50が検出したマーク41の濃度の情報を、第2印刷装置2の制御部70へ送る。
【0117】
図12は、第2印刷装置1の制御部70の主要な構成を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷システムでは、第2印刷装置1が、第1の実施形態で説明した制御部20に代えて、図12に示す制御部70を備える。
【0118】
第2印刷装置2の制御部70は、図12に示すように、CPU71、ROM72、RAM73、画像形成制御部74、および、入出力制御部75を備える。これらCPU71、ROM72、RAM73、画像形成制御部74、および、入出力制御部75は、システムバス76によって接続されている。
【0119】
CPU71は、第2印刷装置2の全体の制御を司るとともに、マーク41の濃度に基づいてマークセンサ31の感度を調整する処理と、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理と、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整する処理(画像形成のタイミングを調整して画像の位置をずらすものも含む)と、を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0120】
ROM72は、CPU71が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0121】
RAM73は、CPU71が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0122】
画像形成制御部74は、CPU71からの指示に基づいて、第2印刷装置2の内部の画像形成部に対する制御を司る。
【0123】
入出力制御部75は、第1印刷装置1の制御部60から送られるマーク41の濃度の情報を入力し、その情報をCPU71へ送る。また、入出力制御部75は、マークセンサ31の感度を調整するための制御信号をCPU71から受け、この制御信号をマークセンサ31へ送る。また、入出力制御部75は、マークセンサ31から出力される第1通過時間および第2通過時間の情報を入力し、その情報をCPU21へ送る。
【0124】
第2印刷装置2においては、例えば、制御部70のCPU71がROM72に記録されているプログラムを実行することにより、第1印刷装置1の制御部60から入力したマーク41の濃度に基づいて、マークセンサ41の感度を調整する処理が実現される。このマークセンサ41の感度を調整する処理は、例えば、濃度センサ50の出力が基準値α[V]より低いβ[V]である場合(つまりマーク41の濃度が基準値よりも低い場合)に、マークセンサ31の出力感度を[×α/β]だけ上昇させるといった処理となる。制御部70のCPU71は、このようにマークセンサ31の感度を調整するための制御信号を、入出力制御部75を介してマークセンサ31に送ることで、濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度に応じてマークセンサ31の感度を調整する。つまり、第2印刷装置2においては、制御部70のCPU71が特許請求の範囲に記載の「感度調整手段」として機能する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態に係る印刷システムによれば、第1印刷装置1に濃度センサ41を用いてマーク41の濃度を検出し、第2印刷装置2が、第1印刷装置1において検出されたマーク41の濃度に応じて、このマーク41を検出するマークセンサ31の感度を調整するようにしているので、第1の実施形態の効果に加えて、例えば、画像形成時の濃度設定、感光体16の疲労等の影響、および、用紙Wの熱作用による伸縮等に起因して、用紙Wの第1面に形成されたマーク41の濃度が変動したとしても、その影響によるマーク41の誤検出を有効に回避できるといった効果が得られる。
【0126】
なお、以上説明した印刷システムでは、濃度センサ50により検出されるマーク41の濃度に基づいてマークセンサ31の感度を調整するようにしているが、これとは逆に、マークセンサ31の出力を基準値として、マークセンサ31がマーク41を正しく検出できるように、第1印刷装置1により形成されるマーク41の濃度を調整するようにしてもよい。この場合も、マークセンサ31がマーク41を正しく検出できるようになり、マーク41の誤検出を有効に回避することができる。なお、マーク41の濃度の調整は、例えば、現像手段による感光体16へのトナー供給量を調整することで実施してもよいし、露光手段による光源の光パワーを増減させることで実施してもよい。
【0127】
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。すなわち、上述した実施形態に係る通信システムの構成や動作はあくまで一例であり、用途や目的に応じて様々な変形が可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態の印刷システムにおいて、第1印刷装置1および第2印刷装置2に実行させるジョブを管理するジョブ管理装置(例えば、プリントサーバ)を設けるようにしてもよい。この場合、ジョブ管理装置は、ユーザの操作するパーソナルコンピュータ(PC)等の端末装置から受信したジョブについて、適当な実行順や実行タイミングを設定して、その順番およびタイミングで第1印刷装置1および第2印刷装置2に送信して実行させる。また、ジョブ管理装置と第1印刷装置1および第印刷装置2、あるいはユーザの操作する端末装置との接続は、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)を始め、有線無線を問わず、任意の規格の通信手段によって行うようにするとよい。
【0129】
また、上述した実施形態では、電子写真式の印刷装置を用いた印刷システムについて説明したが、他の印刷方式の印刷装置(例えば、インクジェット方式の印刷装置等)を用いた印刷システムにおいても、上述した実施形態と同様に、用紙の副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出して、算出した値に基づいて用紙の両面の画像位置を合わせることができるとともに、マークセンサによるマークの誤検出を回避することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 第1印刷装置
2 第2印刷装置
10、20、60、70 制御部
11、21、61、71 CPU
14、24、64、74 画像形成制御部
31 マークセンサ
31a 第1マークセンサ
31b 第2マークセンサ
41 マーク
41a 第1マーク部
41b 第2マーク部
50 濃度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開平7−237336号公報
【特許文献2】特開2002−187660号公報
【特許文献3】特開2004−062170号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台の画像形成装置により用紙の両面に画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される用紙の両面に画像を形成する画像形成システムとして、2台の画像形成装置を用紙の搬送経路に沿って直列に配置した画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成システムは、用紙の搬送経路の前段に配置した第1画像形成装置により、搬送方向に長い長尺の用紙の第1面に画像を形成し、第1印刷装置から排出された用紙を反転装置によって表裏反転させた後、後段に配置した第2画像形成装置により、用紙のもう一方の面である第2面に画像を形成する。
【0003】
上記の画像形成システムにおいては、例えば、第1画像形成装置が電子写真方式で画像を形成する画像形成装置であった場合、用紙上に転写されたトナー像を用紙に溶融定着させるための熱定着工程での用紙に対する熱作用により、用紙が伸縮することがある。用紙が伸縮した場合、第2画像形成装置に送り込まれたときの用紙の長さが当初の長さから変化するため、用紙の第1面のページ長と第2面のページ長とが異なってしまう。その結果、用紙の第1面に形成された画像の位置と第2面に形成された画像の位置とが揃わなくなるという問題が生じる。
【0004】
また、第1画像形成装置がインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置であった場合、インクが吹き付けられた後の乾燥工程での用紙に対する熱作用により、用紙が伸縮することがある。このため、第1画像形成装置がインクジェット方式で画像を形成する画像形成装置であった場合でも、第1画像形成装置が電子写真方式で画像を形成する画像形成装置であった場合と同様に、上述した問題が生じる。
【0005】
上述した問題を解消するため、第1画像形成装置により、用紙の規定された位置(例えば、ページの先頭位置等)に位置合わせマークを形成し、第2印刷装置により、用紙上の位置合わせマークの間隔を計測、または位置合わせマークの検出のタイミングを計測し、その計測結果から用紙の搬送速度を変化させることによって、用紙の第1面に形成された画像の位置と第2面に形成された画像の位置とを揃えるようにした画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、画像の位置合わせのために用紙に形成するマークとしては、様々な形状のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の技術では、用紙の搬送方向に沿った方向(以下、「副走査方向」という。)に対する画像の位置合わせは可能であるが、用紙の搬送方向に垂直な方向(以下、「主走査方向」という。)に対する画像の位置合わせはできない。すなわち、用紙に対する熱作用によって発生する用紙の伸縮は、用紙の種類によっては、副走査方向だけでなく主走査方向にも生じうる。ここで用紙の種類とは、例えば、用紙の厚さ、用紙の幅(主走査方向の長さ)、用紙の材質などの他、用紙上に形成するページの長さや用紙上に形成する位置合わせマークの間隔等の要件が異なるものも含む。そして、このように用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合には、上記のような従来の技術では、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることはできないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合も、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送される用紙の第1面に、第1画像形成装置により画像を形成した後、前記第1面の反対面である第2面に、第2画像形成装置により画像を形成する画像形成システムにおいて、前記第1画像形成装置は、前記第1面に、前記用紙の搬送方向に沿った方向である第1方向の長さが、前記搬送方向に垂直な方向である第2方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、前記第1マーク部の前記第1方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部と、を含むマークを形成するマーク形成手段を備え、前記第2画像形成装置は、前記用紙の搬送経路の所定位置を通過する前記マークを検出し、前記第1マーク部と前記第2マーク部との間の前記所定距離の区間が前記所定位置を通過している時間である第1通過時間と、前記第1マーク部が前記所定位置を通過している時間である第2通過時間と、を出力するマーク検出手段と、前記第1通過時間および前記第2通過時間に基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2画像形成装置が用紙の第1方向(副走査方向)の伸縮率と用紙の第2方向(主走査方向)の伸縮率とを算出するので、用紙が副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮した場合であっても、算出した伸縮率を用いて用紙の第2面の画像の位置を調整することで、用紙の第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態の印刷システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、第1印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第2印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1印刷装置によってマークが形成された用紙の説明図である。
【図5】図5は、マークの具体例を示す図である。
【図6】図6は、図5(a)に例示した構成のマークとマークセンサとの位置関係を説明する図である。
【図7】図7は、第2印刷装置の制御部が用紙の副走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。
【図8】図8は、第2印刷装置の制御部が用紙の主走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。
【図9】図9は、第2印刷装置の制御部が用紙の蛇行量を算出する処理を説明する図である。
【図10】図10は、第1印刷装置における濃度センサの配置の具体例を説明する図である。
【図11】図11は、第1印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第2印刷装置の制御部の主要な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成を示す図である。この印刷システムは、図1に示すように、2台の電子写真式の印刷装置である第1印刷装置1(特許請求の範囲に記載の「第1画像形成装置」に相当)および第2印刷装置2(特許請求の範囲に記載の「第2画像形成装置」に相当)と、反転装置3とを備える。第1印刷装置1と第2印刷装置2は、用紙Wの搬送経路に沿って直列に配置される。第1印刷装置1は、用紙Wの搬送経路の前段に配置され、搬送される用紙Wの表面(以下、用紙Wの表面を「第1面」という。)に画像を形成する。第2印刷装置2は、用紙Wの搬送経路の後段に配置され、第1印刷装置1によって第1面に画像が形成された用紙Wの裏面(以下、用紙Wの裏面を「第2面」という。)に画像を形成する。用紙Wの搬送経路は、第1印刷装置1と第2印刷装置2の間で進路がほぼ直角に曲がるL字型の経路である。反転装置3は、第1印刷装置1と第2印刷装置2との間に配置され、用紙Wの表裏(第1面の向きと第2面の向き)を反転させる。印刷システムは、第1印刷装置1と第2印刷装置2と反転装置3とを協働させて、長尺の用紙Wの両面に画像を形成する。
【0014】
長尺の用紙には、連続シート状の用紙、帯状の用紙、ページ単位毎に仕切りやミシン目や折り目が入った連続した用紙などがある。本実施形態に係る印刷システムは、いずれのタイプの長尺の用紙も使用できる。以下、本実施形態に係る印刷システムで使用する長尺の用紙を単に「用紙」と呼ぶ。
【0015】
第1印刷装置1は、例えば、プリンタ、複写機、複合機などの印刷機能を備えた画像形成装置である。第1印刷装置1は、制御部10と、画像形成部を有する。第1印刷装置1の画像形成部は、感光体16と、感光体16の周囲に設けられた帯電手段、露光手段、現像手段、除電手段、クリーニング手段、転写手段などの各手段(図示を省略する)と、加熱ローラ17と、加圧ローラ18と、送り出しローラ19を含む。第1印刷装置1の画像形成部は、制御部10の制御により、感光体16上にトナー像を形成して、このトナー像を、搬送経路に沿って搬送される用紙Wの第1面に転写し、用紙Wの第1面に画像を形成する。
【0016】
また、第1印刷装置1の画像形成部は、制御部10の制御により、用紙Wの第1面に対して画像を形成するのと同時に、用紙Wの第1面の予め指定した位置に、少なくとも用紙Wの副走査方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」に相当)の伸縮率(以下、「副走査伸縮率」という。)と主走査方向(特許請求の範囲に記載の「第2方向」に相当)の伸縮率(以下、「主走査伸縮率」という。)とを算出するためのマーク41を形成する。予め指定した位置とは、例えば、用紙Wのページ先頭端を含む等間隔の位置であり、用紙Wの搬送方向に平行な縁部である。
【0017】
マーク41は、第1マーク部と、第2マーク部とを含む。第1マーク部は、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する。第2マーク部は、第1マーク部の副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である。なお、マーク41の具体例については、詳細を後述する。
【0018】
また、第1印刷装置1の画像形成部は、加熱ローラ17と加圧ローラ18とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第1面上の画像およびマーク41のトナー像を溶融定着させる。そして、第1印刷装置1の画像形成部は、送り出しローラ19によって、第1面に画像およびマーク41が形成された用紙Wを、反転装置3へ送り出す。
【0019】
反転装置3は、第1印刷装置1から送り出された用紙Wの進行方向をほぼ直角に転換させるとともに、用紙Wの表裏を反転させて第2印刷装置2へ送り出す。したがって、例えば、用紙Wが第1画像形成装置1により画像およびマーク41が形成された第1面を上にした状態で、第1印刷装置1から反転装置3へ送り出された場合、この用紙Wは、第2画像形成装置2により画像が形成される第2面を上にした状態で、反転装置3から第2印刷装置2へ送り出されることになる。
【0020】
第2印刷装置2は、第1印刷装置1と同じく、例えば、プリンタ、複写機、複合機などの印刷機能を備えた画像形成装置である。第2印刷装置2は、マークセンサ31(特許請求の範囲に記載の「マーク検出手段」に相当)と、制御部20と、画像形成部を有する。第2印刷装置2の画像形成部は、感光体27と、感光体27の周囲に設けられた帯電手段、露光手段、現像手段、除電手段、クリーニング手段、転写手段などの各手段(図示を省略する)と、加熱ローラ28と、加圧ローラ29と、送り出しローラ30を含む。
【0021】
マークセンサ31は、用紙Wの搬送経路の画像形成部よりも前段の所定位置(以下、「マーク検出位置」という。)に、検出面が、搬送経路に沿って搬送される用紙Wの第1面と対向するように配置される。そして、マークセンサ31は、用紙Wの搬送に伴って、第1印刷装置1により用紙Wの第1面に形成されたマーク41がマーク検出位置を通過する際に、このマーク41を検出する。そして、マークセンサ31は、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部がマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。
【0022】
第2印刷装置2の画像形成部は、制御部20の制御により、搬送される用紙Wの第2面に対して、電子写真方式により画像を形成する。このとき、制御部20は、マークセンサ31から入力した第1通過時間と第2通過時間とに基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する(具体的な算出方法については詳細を後述する)。そして、制御部20は、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて、用紙Wの第2面に形成される画像の位置が、用紙Wの第1面に形成された画像の位置に合うように、画像形成部の動作を制御する。具体的には、制御部20は、例えば、用紙Wの副走査伸縮率に基づいて用紙Wの搬送速度を制御して、用紙Wの第2面に形成される画像の副走査方向の倍率を調整する。また、制御部20は、例えば、用紙Wの主走査伸縮率に基づいて画像のドット間隔を可変させることにより、用紙Wの第2面に形成される画像の主走査方向の倍率を調整する。そして、制御部20は、このような用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じた副走査方向および主走査方向の画像の調整により、用紙Wの第2面に形成される画像の位置を、用紙Wの第1面に形成された位置に合わせるようにする。
【0023】
また、第2印刷装置2の画像形成部は、加熱ローラ28と加圧ローラ29とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第2面上の画像のトナー像を溶融定着させる。そして、第2印刷装置2の画像形成部は、送り出しローラ30によって、第2面に画像が形成された用紙Wを第2印刷装置2内部の排紙トレイ(図示を省略)に送り出す。これにより、第1印刷装置1と第2印刷装置2により両面に画像が形成された用紙Wが、第2印刷装置2の排紙トレイ内に蓄積される。
【0024】
このように、本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1が用紙Wの第1面に画像とともにマーク41を形成する。そして、第2印刷装置2が、用紙Wの第1面に形成されたマーク41をマークセンサ31で検出し、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出する。そして、第2印刷装置2が、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整しながら、用紙Wの第2面に画像を形成する。したがって、用紙Wの第1面に対する画像形成時の熱作用により用紙Wが副走査方向だけでなく主走査方向にも伸縮したとしても、それに合わせて用紙Wの第2面に対する画像の位置を調整することができ、用紙Wの第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる。
【0025】
本実施形態に係る印刷システムでは、第2印刷装置2が備えるマークセンサ31が、副走査方向における位置が同じで主走査方向における位置が異なる2つのマーク検出位置でマーク41を検出する2つの検出部(以下、これら2つの検出部の一方を「第1マークセンサ31a」といい、他方を「第2マークセンサ31b」という。)を有することが望ましい。この場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間が一方のマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部が一方のマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部と第2マーク部との間の所定距離の区間が他方のマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と、マーク41の第1マーク部が他方のマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間とを制御部20に出力する。
【0026】
このように、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bからそれぞれ第1通過時間と第2通過時間とが出力されると、制御部20は、第1マークセンサ31aから入力した第1通過時間および第2通過時間と、第2マークセンサ31bから入力した第1通過時間および第2通過時間とに基づいて、用紙Wの副走査伸縮率と主走査伸縮率だけでなく、用紙Wの主走査方向における蛇行量(以下、単に「蛇行量」という。)も算出することができる。また、制御部20は、この蛇行量の影響による誤差のない正確な主走査伸縮率を算出することができる(具体的な算出方法については詳細を後述する)。
【0027】
本実施形態に係る印刷システムへの用紙Wのセット方法としては、例えば、オペレータが第1印刷装置1の給紙部(図示省略)に用紙Wをセットした後、操作パネルに設けられたフィードスイッチを押し、反転装置3を通して第2印刷装置2へ到達するのに足りる長さの用紙Wを繰り出して、繰り出した用紙Wを手動で第2印刷装置2にセットする方法がある。ただし、この方法は一例であり、その他、公知のセット方法を用いても構わない。
【0028】
また、本実施形態に係る印刷システムにおいて、用紙Wの片面のみに画像を形成する場合には、第1印刷装置1がその画像の形成を担当し、第2印刷装置2では画像の形成を行わないようにするとよい。ただし、この場合も、片面に画像が形成された用紙Wは第2印刷装置2まで搬送され、第2印刷装置2の排紙トレイ内に蓄積される。なお、この印刷システムは、反転装置3を用いないようにし、第1印刷装置1と第2印刷装置2とで同一面上に画像を形成する(例えば、第1印刷装置1と第2印刷装置2が異なるページにそれぞれ画像を形成する)こともできる。
【0029】
次に、第1印刷装置1の制御部10および第2印刷装置2の制御部20について説明する。図2は、図1に示した第1印刷装置1の制御部10の主要な構成を示すブロック図であり、図3は、図1に示した第2印刷装置2の制御部20の主要な構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、第1印刷装置1の制御部10は、CPU11、ROM12、RAM13、および、画像形成制御部14を備える。これらCPU11、ROM12、RAM13、および、画像形成制御部14は、システムバス15によって接続されている。
【0031】
CPU11は、第1印刷装置1の全体の制御を司るとともに、用紙Wの第1面上にマーク41を形成する処理を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0032】
ROM12は、CPU11が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0033】
RAM13は、CPU11が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0034】
画像形成制御部14は、CPU11からの指示に基づいて、第1印刷装置1の内部の画像形成部に対する制御を司る。画像形成制御部14は、図1に示した感光体16上へのトナーによる画像(マーク41も含む)の形成と、加熱ローラ17の加熱と、感光体16、加熱ローラ17、加圧ローラ18、送り出しローラ19、および、図示を省略した帯電、露光、現像、除電、クリーニングなどの各手段の駆動制御を行う。
【0035】
第1印刷装置1においては、例えば、制御部10のCPU11がROM12に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部14に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙W上の第1面に画像とともにマーク41を形成するために必要な機能が実現される。つまり、第1印刷装置1においては、制御部10のCPU11と画像形成制御部14と画像形成部とが、特許請求の範囲に記載の「マーク形成手段」として機能する。
【0036】
第2印刷装置2の制御部20は、図3に示すように、CPU21、ROM22、RAM23、画像形成制御部24、および、入力制御部25を備える。これらCPU21、ROM22、RAM23、画像形成制御部24、および、入力制御部25は、システムバス26によって接続されている。
【0037】
CPU21は、第2印刷装置2の全体の制御を司るとともに、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理と、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整する処理(画像形成のタイミングを調整して画像の位置をずらすものも含む)を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0038】
ROM22は、CPU21が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0039】
RAM23は、CPU21が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0040】
画像形成制御部24は、CPU21からの指示に基づいて、第2印刷装置2の内部の画像形成部に対する制御を司り、図1に示した感光体27上へのトナーによる画像の形成と、上記加熱ローラ28の加熱と、上記感光体27と加熱ローラ28と上記加圧ローラ29と上記送り出しローラ30と、図示を省略した帯電、露光、現像、除電、クリーニングなどの各手段の各駆動制御を行う。
【0041】
入力制御部25は、マークセンサ31から出力される第1通過時間および第2通過時間の情報を入力し、その情報をCPU21へ送る。
【0042】
第2印刷装置2においては、例えば、制御部20のCPU21がROM22に記録されているプログラムを実行することにより、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理が実現される。また、第2印刷装置2においては、例えば、制御部20のCPU21がROM22に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部24に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙Wの第2面に形成される画像の位置を調整するために必要な機能が実現される。つまり、第2印刷装置2においては、制御部20のCPU21が特許請求の範囲に記載の「算出手段」として機能する。また、第2印刷装置2においては、制御部20のCPU21と画像形成制御部24と画像形成部とが、特許請求の範囲に記載の「画像調整手段」として機能する。
【0043】
次に、マーク41の用紙W上の形成位置について説明する。図4は、図1に示した第1印刷装置1によってマーク41が形成された用紙Wの説明図である。
【0044】
本実施形態に係る印刷システムで使用する用紙Wとしては、図4(a)に示すように、副走査方向に平行な縁部に送り孔40を設けたタイプと、図4(b)に示すように、送り孔を設けていないタイプとがある。本実施形態では、図4(b)に示したタイプの用紙Wを使用するものとして説明する。なお、図4(a)の送り孔40を設けたタイプの用紙Wを用いる場合、第1印刷装置1と第2印刷装置2には、用紙Wに設けた送り孔40にピンを挿入して係合させることによって用紙Wを搬送する搬送手段を設ける必要があるが、その搬送手段は公知技術なので、詳細な説明は省略する。
【0045】
マーク41は、用紙Wの送り孔40の有無に関わらず、第1印刷装置1により、画像データ(印刷データ)に基づく画像Imとともに、各ページの先頭端を含む等間隔の位置(例えば、ページ長L毎の位置)に形成される。上記等間隔の位置については、ページ長Lよりも短い等間隔にしてもよい。なお、本実施形態では、上述したように、第1印刷装置1の制御部10のCPU11がROM12に記録されているプログラムを実行し、画像形成制御部14に対して指示を与えて画像形成部を制御することにより、用紙W上の第1面に画像Imとともにマーク41を形成するために必要な機能が実現される。ただし、マーク41を形成する手段は、画像Imを形成する手段とは独立させて別に設けるようにしてもよい。
【0046】
第1印刷装置1により第1面にマーク41が形成された用紙Wは、第1印刷装置1から排出され、反転装置3により表裏が反転された後、第2印刷装置2に送られる。これにより、第2印刷装置2においては、マーク41が形成された用紙Wの第1面が、マークセンサ31の検出面と対向するようになり、マークセンサ31によって用紙Wの第1面に形成されたマーク41を検出することが可能になる。
【0047】
次に、マーク41の具体例について説明する。マーク41は、上述したように、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、第1マーク部の副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部とを含む。図5は、上記の条件を満たすマーク41の具体例を示す図である。なお、図中の矢印の方向が用紙Wの搬送方向(副走査方向)である。
【0048】
図5(a)および図5(b)は、第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、第2マーク部41bを、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置したマーク41の例である。なお、図5(b)に示すマーク41は、図5(a)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。
【0049】
図5(c)および図5(d)は、第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、第2マーク部41bを、直角三角形の第1マーク部41aの長辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の前段に配置したマーク41の例である。なお、図5(d)に示すマーク41は、図5(c)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。
【0050】
なお、図5(a)〜図5(d)に示すマーク41は、直角三角形の第1マーク部41aの短辺が副走査方向に沿って配置され、長辺が主走査方向に沿って配置されるようにしているが、これとは逆に、直角三角形の第1マーク部41aの長辺が副走査方向に沿って配置され、短辺が主走査方向に沿って配置されるようにしてもよい。また、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を除く2辺の長さが等しい場合は、そのうちの一方の辺(第1辺)が副走査方向に沿って配置され、他方の辺(第2辺)が主走査方向に沿って配置されるようにすればよい。
【0051】
図5(e)および図5(f)は、第1マーク部41aを90度の内角を2つ持つ台形の形状とし、第2マーク部41bを、上記台形の第1マーク部41aの斜辺に対して所定距離を存して平行となるように、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置したマーク41の例である。なお、図5(f)に示すマーク41は、図5(e)に示すマーク41を主走査方向に反転させた例である。なお、図5(e)および図5(f)に示すマーク41は、第2マーク部41bを第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置しているが、これとは逆に、第2マーク部41bを第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の前段に配置してもよい。
【0052】
図5(g)は、図5(a)に示した直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えたマーク41の例である。また、図5(h)は、図5(e)に示した台形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えたマーク41の例である。なお、ここでは、図5(a)に示した直角三角形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えた例と、図5(e)に示した台形の第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えた例を例示するが、図5(a)と図5(e)以外で示した第1マーク部41aの斜辺を2次曲線に置き換えるようにしてもよい。また、マーク41は、図5(a)〜図5(g)で例示した構成に限らず、副走査方向の長さが、主操作方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部41aと、第1マーク部41aの副走査方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部41bとを含む構成であればよい。
【0053】
マーク41が上記のいずれの構成であっても、用紙Wの副走査伸縮率は、第1マーク部41aと第2マーク部42bとの間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間である第1通過時間と第1参照時間との比率により求めることができる。ここで第1参照時間とは、用紙Wの副走査方向の長さが変化していない状態(つまり副走査方向の伸縮が生じていない状態)の第1通過時間である。第1参照時間は、予め計測され、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。
【0054】
また、マーク41が上記のいずれの構成であっても、用紙Wの主走査伸縮率は、例えば、第1マーク部41aがマーク検出位置を通過している時間である第2通過時間と第2参照時間との比率と、副走査伸縮率と、第1マーク部41aの主走査方向の位置に応じた副走査方向の長さの関係を表す関数とにより求めることができる。ここで第2参照時間とは、用紙Wの副走査方向および主走査方向の長さが変化していない状態(つまり副走査方向にも主走査方向にも伸縮が生じていない状態)の第2通過時間である。第2参照時間は、予め計測され、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。また、第1マーク部41aの主走査方向の位置に応じた副走査方向の長さの関係を表す関数は、第1マーク部41aの形状から一義的に導かれる関数であり、予め作成されて、第2画像形成装置2の制御部20内部のROM22あるいは別途設けた不揮発性メモリなどの記憶部に格納される。
【0055】
なお、上記の主走査伸縮率の算出方法は、用紙Wが主走査方向に蛇行せずに搬送されていることを前提としており、用紙Wが主走査方向に蛇行しながら搬送されている場合は、その蛇行量に応じて算出結果に誤差が生じる。このような用紙Wの主走査方向の蛇行による影響を排除して主走査伸縮率を正確に算出するには、上述したように、マークセンサ41を、主走査方向における位置が異なる2つのマーク検出位置でマーク41を検出する第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bで構成し、2つのマーク検出位置での第2通過時間が得られるようにすることが望ましい。この場合、2つのマーク検出位置の位置関係と、2つのマーク検出位置での第2通過時間とを用いることで、用紙Wが主走査方向に蛇行していたとしても、蛇行の影響を排除した正確な主走査伸縮率が求められるとともに、その蛇行量も求めることができる。
【0056】
また、特に、マーク41の第1マーク部41aを直角三角形の形状とし、直角三角形の斜辺を除く2つの辺のうち、主走査方向に沿って配置された辺(第2辺)を3等分する2つの位置で、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bがそれぞれマーク41を検出する構成とすれば、蛇行の影響を排除した主走査伸縮率および蛇行量を、簡単な幾何学計算により算出することが可能となる。以下、マーク41を図5(a)に例示した構成とし、直角三角形の第1マーク部41aの主走査方向に沿って配置された辺(第2辺)を3等分する2つの位置で、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bがそれぞれマーク41を検出する場合を例に挙げ、副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出する方法について、さらに詳しく説明する。
【0057】
図6は、図5(a)に例示した構成のマーク41とマークセンサ31との位置関係を説明する図である。なお、図中の矢印の方向が用紙Wの搬送方向(副走査方向)である。図6に示すように、マーク41は、直角三角形の形状を有する第1マーク部41aと、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺a1−a3に対して所定距離n(nは正の数)を存して平行に配置された直線a4−a5である第2マーク部41bとを含む。このマーク41は、用紙Wの第1面の搬送方向に平行な縁部に形成される。また、マーク41は、例えば、用紙Wのページ先頭端を含む等間隔の位置に複数形成される。
【0058】
直角三角形の第1マーク部41aは、短辺a2−a3が副走査方向に沿って配置され、長辺a1−a2が主走査方向に沿って配置されるように、用紙Wの第1面に形成される。また、第2マーク部41bは、第1マーク部41aよりも用紙Wの搬送方向の後段に配置されるように、用紙Wの第1面に形成される。以下、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さ(距離)をRとし、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さ(距離)をmとする。
【0059】
一方、マークセンサ31は、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bの2つの検出部を、主走査方向に沿って並べて配置した構成である。これら第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの長辺a1−a2を3分割する2箇所において、用紙Wの第1面に形成されたマークを検出する。すなわち、第1マークセンサ31aは、直角三角形の第1マーク部41aの頂点a1から頂点a2側にR/3だけシフトした位置でマーク41を検出できるように配置される。また、第2マークセンサ31bは、直角三角形の第1マーク部41aの頂点a2から頂点a1側にR/3だけシフトした位置でマーク41を検出できるように配置される。なお、図6では、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを1つの筐体内に配置した例を図示しているが、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bは、それぞれ個別の筐体内に配置されていてもよい。
【0060】
次に、図6に示した構成において、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出する処理の具体例について、さらに詳しく説明する。
【0061】
まず、副走査伸縮率を算出する処理について説明する。図7は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの副走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0062】
図7(a)は、用紙Wに熱作用による伸縮がない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図7(a)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点a1〜a3で示されており、点a2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点a4、a5で示されている。
【0063】
図7(a)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点a6から点a7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間T1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点a7から第2マーク部41bの点a8までの所定距離(図6に示したn)の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間T2を表すハイレベル信号を出力する。
【0064】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点a9から点a10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間T3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点a10から第2マーク部41bの点a11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間T2を表すハイレベル信号を出力する。
【0065】
ここで、マーク41の第2マーク部41aは、直角三角形の第1マーク部41bの斜辺に対して平行に配置されているため、第1マークセンサ31aから出力される第1通過時間T2と、第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間T2は、同じ値である。制御部20のCPU21は、この図7(a)の例のように、熱作用による伸縮がない用紙Wを搬送したときに、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間T2を、第1参照時間tbとして、ROM22などの記憶部に格納する。
【0066】
図7(b)は、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wが副走査方向に収縮している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図7(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点b1〜b3で示されており、点b2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点b4、b5で示されている。この図7(b)に示すマーク41では、直角三角形の第1マーク部41aの短辺b2−b3が、伸縮のない図7(a)の例の短辺a2−a3よりも短くなっている。また、直角三角形の第1マーク部41aの斜辺b1−b3と第2マーク部41bとの距離も、伸縮のない図7(a)の例と比較して狭くなっている。
【0067】
図7(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点b6から点b7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点b7から第2マーク部41bの点b8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0068】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点b9から点b10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点b10から第2マーク部41bの点b11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0069】
ここで、マーク41の第2マーク部41aは、直角三角形の第1マーク部41bの斜辺に対して平行に配置されているため、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じていたとしても、第1マークセンサ31aから出力される第1通過時間t2と、第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2は、同じ値である。制御部20のCPU21は、これら第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。
【0070】
用紙Wの副走査伸縮率は、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じた場合の第1通過時間と、用紙Wに伸縮が生じていない場合の第1通過時間との比率により算出できる。つまり、副走査伸縮率αは、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、下記式(1)により算出できる。
α=ta/tb ・・・(1)
制御部20のCPU21は、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0071】
次に、主走査伸縮率を算出する処理について説明する。図8は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの主走査伸縮率を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0072】
図8(a)は、用紙Wに熱作用による伸縮がない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。なお、図8(a)は、先に示した図7(a)と共通なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
図8(b)は、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wが主走査方向に収縮している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図8(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点c1〜c3で示されており、点c2が直角である。また、第2マーク部41bの両端は、それぞれ点c4、c5で示されている。この図8(b)に示すマーク41では、直角三角形の第1マーク部41aの長辺c1−c2が、伸縮のない図8(a)の例の長辺a1−a2よりも短くなっている。
【0074】
図8(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点c6から点c7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点c7から第2マーク部41bの点c8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0075】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点c9から点c10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点c10から第2マーク部41bの点c11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0076】
制御部20のCPU21は、まず、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0077】
さらに、制御部20のCPU21は、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tcとして使用する。また、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tdとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、下記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出する。
β=(1/3)×(α×(m/v))/(td−tc) ・・・(2)
【0078】
主走査伸縮率βは、伸縮のない場合の第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRと、伸縮のあった場合の第1マーク部41aの長辺c1−c2の長さyとに基づいて、β=y/Rから算出することができる。また、伸縮のあった場合の第1マーク部41aの長辺c1−c2の長さyについては、直角三角形の相似関係に基いて求めることができる。
【0079】
図8(b)に示すように、c1〜c3を頂点とする直角三角形の第1マーク部41aと、c12〜c14を頂点とする直角三角形とは、2つの内角が等しいので相似関係にあり、2辺の長さの比が互いに等しくなる。すなわち、辺c1−c2の長さ(=y)と辺c2−c3の長さ(副走査方向に伸縮のない状態の短辺a2−a3の長さmに副走査伸縮率αを乗算した値)の比と、辺c12−c13の長さ(=R/3)と辺c13−c14の長さの比とが等しくなる。
【0080】
ここで、辺c13−c14の長さに、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3と第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1との差分(t3−t1)を対応させると、y:R/3=(α×m/v):(t3−t1)から、y/R=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))が得られる。したがって、β=y/Rと、y/R=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))とから、β=(1/3)×(α×(m/v))×(1/(t3−t1))が得られる。ここで、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1をtc、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3をtdに置き換えると、上記式(2)が得られる。
【0081】
したがって、制御部20のCPU21は、マークセンサ31から出力される2つの第2通過時間tc,tdと、用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、上記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出することができる。なお、用紙Wが主走査方向にのみ伸縮している場合は、α=1となる。
【0082】
次に、蛇行量を算出する処理について説明する。図9は、第2印刷装置2の制御部20が、用紙Wの蛇行量を算出する処理を説明する図である。図中の一点鎖線で示したラインは、第1マークセンサ31aが配置された主走査方向の位置と、第2マークセンサ31bが配置された主走査方向の位置を示している。また、図中の矢印が用紙Wの搬送方向を示し、用紙Wの搬送速度をv(m/s)とする。
【0083】
図9(a)は、用紙Wが蛇行していない状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。なお、図9(a)は、先に示した図7(a)および図8(a)と共通なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
図9(b)は、用紙Wが主走査方向に蛇行している状態で、第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bがマーク41を検出する場合を示している。この図9(b)において、第1マーク部41aの3頂点はそれぞれ点d1〜d3で示されており、点d2が直角である。
【0085】
図9(b)に示す例の場合、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点d6から点d7までの区間が第1マークセンサ31aの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t1を表すローレベル信号を出力する。また、第1マークセンサ31aは、マーク41の第1マーク部41aの点d7から第2マーク部41bの点d8までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0086】
一方、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点d9から点d10までの区間が第2マークセンサ31bの位置(マーク検知位置)を通過している間、第2通過時間t3を表すローレベル信号を出力する。また、第2マークセンサ31bは、マーク41の第1マーク部41aの点d10から第2マーク部41bの点d11までの所定距離の区間がマーク検知位置を通過している間、第1通過時間t2を表すハイレベル信号を出力する。
【0087】
制御部20のCPU21は、まず、第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bから出力される第1通過時間t2を、副走査伸縮率を求めるための第1通過時間taとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、上記第1参照時間tbと第1通過時間taから、上記式(1)に基づく演算処理によって、用紙Wの副走査伸縮率αを算出する。
【0088】
また、制御部20のCPU21は、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tcとして使用する。また、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を、主走査伸縮率を求めるための第2通過時間tdとして使用する。そして、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの副走査伸縮率αと、第1マーク部41aの短辺a2−a3の長さmと、用紙Wの搬送速度vから、上記式(2)に基づく演算処理によって、用紙Wの主走査伸縮率βを算出する。
【0089】
さらに、制御部20のCPU21は、2つの第2通過時間tc,tdと、先に求めた用紙Wの主走査伸縮率βと、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRから、下記式(3)に基づく演算処理によって、用紙Wの蛇行量Sを算出する。
S=R/3×[tc/(td−tc)−1]×β ・・・(3)
【0090】
図9(a)と図9(b)を比較すると分かるように、図9(b)に示す第1マーク部41aの点d1から点d6までの長さxは、図9(a)に示す第1マーク部41aの点a1から点a6までの長さR/3に対して、主走査方向の伸縮と蛇行が加わった長さである。つまり、x=(S+R/3)×βとなる。
【0091】
また、図9(b)に示すように、d1、d6、d7を頂点とする直角三角形と、d7、d12、d10を頂点とする直角三角形とは2つの内角が等しいので相似関係にあり、2辺の長さの比が互いに等しくなる。すなわち、辺d1−d6の長さ(=x)と辺d6−d7の長さの比と、辺d7−d12の長さ(=R/3)と辺c12−c10の長さの比とが等しくなる。
【0092】
ここで、辺d6−d7の長さに第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1を対応させ、辺d9−d10の長さに第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3を対応させると、x:R/3=t1:(t3−t1)となり、x=((R/3)×t1)/(t3−t1)が得られる。したがって、x=(S+R/3)×βと、x=((R/3)×t1)/(t3−t1)とから、S=(R/3)×((t1/(t3−t1))−1)×βが得られる。ここで、第1マークセンサ31aから出力される第2通過時間t1をtc、第2マークセンサ31bから出力される第2通過時間t3をtdに置き換えると、上記式(3)が得られる。
【0093】
したがって、制御部20のCPU21は、マークセンサ31から出力される2つの第2通過時間tc,tdと、用紙Wの主走査伸縮率βと、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRから、上記式(3)に基づく演算処理によって、用紙Wの蛇行量Sを算出することができる。なお、この蛇行量Sは、図9中の白抜き矢印で示すように、+方向に蛇行した場合はS>0であり、−方向に蛇行した場合はS<0であり、蛇行していない場合はS=0である。
【0094】
以上のように算出した蛇行量Sは、その値が、第1マーク部41aの長辺a1−a2の長さRの1/3以下の場合に有効値とする。算出した蛇行量SがR/3を超えている場合は、上記式(3)で算出される蛇行量Sとして適正でない。このため、R/3を超えた値として算出された蛇行量Sを無効とし、R/3以下の場合のみ有効値とすることで、算出結果の信頼性を確保できる。
【0095】
また、マークセンサ31がマーク41を検出中に用紙Wが蛇行した場合、上記式(3)に基づく演算処理では正確な蛇行量Sを算出できない。このため、蛇行量Sを算出する際は、用紙Wの第1面に形成された複数のマーク41をマーク31が検出するたびに算出される複数の蛇行量Sの平均値を求め、これを有効な蛇行量として用いることが望ましい。これにより、マーク検出中の蛇行などに起因する誤差を抑制することができる。
【0096】
以上のように算出された蛇行量Sは、例えば、第2印刷装置2において実行される蛇行補正処理における補正データとして使用することができる。なお、長尺の用紙Wの主走査方向の蛇行を補正する蛇行補正処理は公知の技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0097】
また、上記の副走査伸縮率および主走査伸縮率は、用紙Wの第2面に形成する画像の位置を、第1面に形成された画像の位置に合わせるためのデータとして使用できる。すなわち、用紙Wの副走査方向については、算出された副走査伸縮率に応じて、例えば、用紙Wを搬送する搬送モータ(図示を省略する)の回転数または感光体27を回転させる感光体モータ(図示を省略する)を制御して、用紙Wの第2面に形成する画像の副走査方向の倍率を調整することで、第1面に形成された画像に対して、第2面に形成する画像の副走査方向における位置を合わせることができる。また、主走査方向については、算出された主走査伸縮率に応じて、例えば、用紙Wの第2面に形成する画像のドット周波数を制御して、用紙Wの第2面に形成する画像の主走査方向の倍率を調整することで、第1面に形成された画像に対して、第2面に形成する画像の主走査方向における位置を合わせることができる。
【0098】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る印刷システムによれば、第1印刷装置1が用紙Wにマーク41を形成し、第2印刷装置2がこのマーク41をマークセンサ31で検出して、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率を算出するようにしているので、第1印刷装置1による用紙Wの第1面への画像形成時における熱作用により用紙Wが副走査方向だけでなく主走査方向に伸縮した場合であっても、算出した副走査伸縮率および副走査伸縮率に応じて、第2印刷装置2が用紙Wの第2面に形成する画像を調整することで、用紙Wの第1面と第2面とで画像の位置を適切に揃えることができる。
【0099】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マークセンサ31が第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bの2つの検知部を持ち、これら第1マークセンサ31aおよび第2マークセンサ31bが、主走査方向の位置が異なる2つのマーク検出位置でそれぞれマーク41を検出する構成とすることにより、用紙Wが主走査方向に蛇行している場合であっても主走査伸縮率を正しく算出できるとともに、その蛇行量も算出することができる。つまり、長尺の用紙Wの両面に画像を形成する場合、第1面への画像形成時の熱作用により用紙Wの副走査方向および主走査方向の伸縮と用紙Wの主走査方向の蛇行とが同時に発生することも考えられるが、本実施形態に係る印刷システムによれば、用紙Wの副走査方向の伸縮、主走査方向の伸縮、および、主走査方向の蛇行の組み合わせのうち、どの組み合わせが発生したとしても、副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量をそれぞれ適切に算出することができる。したがって、用紙Wの第1面と第2面の画像の位置合わせを適切に実施できるとともに、蛇行補正処理も適切に行うことができ、用紙Wの第1面と第2面に形成される画像の品位を高めることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、単一のマーク41を用いて用紙Wが熱作用によって伸縮した場合の副走査伸縮率および主走査伸縮率と、用紙Wの伸縮による主走査方向の蛇行量がそれぞれ算出可能であるため、用途別のマークを予め準備する必要がない。したがって、用紙Wの印刷領域の拡大に繋がり、また、用紙の蛇行を検出する蛇行センサを別途設けなくても済むことから、印刷システムを安価に構成することができる。
【0101】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、用紙Wの副走査伸縮率については、予め用紙Wに伸縮のない状態で算出された第1通過時間(第1マーク部41aと第2マーク部41bとの間の所定距離の区間がマーク検出位置を通過している時間)を第1参照時間として記憶部(RAM22等)に記憶させておくことで、その後、用紙Wに副走査方向の伸縮が生じた場合に得られる第1通過時間と第1参照時間との比率を求めるといった簡単な方法(上記式(1)による演算)で、副走査伸縮率を算出することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マーク41の第1マーク部41aを直角三角形の形状とすることで、用紙Wの蛇行の影響を排除した主走査伸縮率および蛇行量を、簡単な幾何学計算により算出することが可能となる。具体的には、上記式(2)により、用紙Wの蛇行の影響を排除した主走査伸縮率を適切に算出できるとともに、式(3)により、用紙Wの蛇行量を適切に算出することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る印刷システムによれば、マーク41を、第1マーク部41aの主走査方向に沿う辺が用紙Wの第1面に対する画像の書き出し位置に配置されるように、用紙Wの第1面に形成し、第1マーク部41aの主走査方向に沿う辺が検出されるタイミングに基づいて、用紙Wの第2面に対する画像の書き出し位置を調整することで、用紙Wの第1面と第2面とで画像の書き出し位置を合わせることもできる。
【0104】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る印刷システムは、第1印刷装置1にマーク41の濃度を検出する濃度センサを設け、この濃度センサにより検出されたマーク41の濃度に応じて、第2印刷装置2のマークセンサ31の感度を調整するようにしたものである。なお、その他の構成は第1の実施形態と共通であるため、以下、第1の実施形態と共通の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、本実施形態に特有の構成についてのみ説明する。
【0105】
図10は、第1印刷装置1における濃度センサ50の配置の具体例を説明する図である。なお、図中の白抜き矢印は用紙Wの搬送方向を示している。本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1に濃度センサ50が設けられている。濃度センサ50は、用紙Wの第1面に形成されたマーク41の濃度を検出するものである。なお、濃度センサ50は、第2印刷装置2のマークセンサ31と同じ構成のセンサを利用することができる。濃度センサ50として、マークセンサ31と同じ構成のセンサを利用するようにすれば、部品の共通化によるコスト低減が期待できる。
【0106】
マーク41は、上述したように、感光体16に形成されたマーク41のトナー像を転写手段51によって用紙Wの第1面に転写し、その後、加熱ローラ17と加圧ローラ18とからなる一対の定着ローラで用紙Wを加熱加圧しながら挟持搬送することによって、用紙Wの第1面上にマーク41のトナー像を溶融定着させることで形成される。濃度センサ41は、この過程のいずれの段階におけるマーク41を濃度検出の対象としてもよい。
【0107】
図10(a)で示す例は、濃度センサ50を、感光体16の周面と対向するように配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、感光体16の周面に形成され、転写手段51により用紙Wの第1面に転写される前の段階のマーク41のトナー像の濃度を検出する。
【0108】
図10(b)に示す例は、濃度センサ50を、用紙Wの搬送経路の転写手段51と定着ローラとの間に配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、感光体16から用紙Wの第1面に転写され、定着ローラにより溶融定着される前の段階のマーク41のトナー像の濃度を検出する。この例のように、用紙Wの第1面に転写された後のマーク41のトナー像を濃度検出の対象とすれば、転写効率の影響によりマーク41の濃度が変化したとしても、変化後の濃度を検出できるため、図10(a)に示した例よりも正確にマーク41の濃度を検出することができる。
【0109】
図10(c)に示す例は、濃度センサ50を、用紙Wの搬送経路の定着ローラよりも後段に配置した例である。この例の場合、濃度センサ50は、定着ローラにより溶融定着されたトナー像であるマーク41の濃度を検出する。この例のように、用紙Wの第1面に溶融定着されたトナー像であるマーク41を濃度検出の対象とすれば、定着効率の影響によりマーク41の濃度が変化したとしても、変化後の濃度を検出できるため、図10(a)や図10(b)に示した例よりも正確にマーク41の濃度を検出することができる。
【0110】
図11は、第1印刷装置1の制御部60の主要な構成を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷システムでは、第1印刷装置1が、第1の実施形態で説明した制御部10に代えて、図11に示す制御部60を備える。濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度は、制御部60に入力される。
【0111】
第1印刷装置1の制御部60は、図11に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、画像形成制御部64、および、入出力制御部65を備える。これらCPU61、ROM62、RAM63、画像形成制御部64、および、入出力制御部65は、システムバス66によって接続されている。
【0112】
CPU61は、第1印刷装置1の全体の制御を司るとともに、用紙Wの第1面上にマーク41を形成する処理と、濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度を、第2印刷装置2の制御部70に送る処理を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0113】
ROM62は、CPU61が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0114】
RAM63は、CPU61が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0115】
画像形成制御部64は、CPU61からの指示に基づいて、第1印刷装置1の内部の画像形成部に対する制御を司る。
【0116】
入出力制御部65は、濃度センサ50から出力されるマーク41の濃度の情報を入力し、その情報をCPU61へ送る。また、入出力制御部65は、CPU61からの指示に基づいて、濃度センサ50が検出したマーク41の濃度の情報を、第2印刷装置2の制御部70へ送る。
【0117】
図12は、第2印刷装置1の制御部70の主要な構成を示すブロック図である。本実施形態に係る印刷システムでは、第2印刷装置1が、第1の実施形態で説明した制御部20に代えて、図12に示す制御部70を備える。
【0118】
第2印刷装置2の制御部70は、図12に示すように、CPU71、ROM72、RAM73、画像形成制御部74、および、入出力制御部75を備える。これらCPU71、ROM72、RAM73、画像形成制御部74、および、入出力制御部75は、システムバス76によって接続されている。
【0119】
CPU71は、第2印刷装置2の全体の制御を司るとともに、マーク41の濃度に基づいてマークセンサ31の感度を調整する処理と、マークセンサ31から入力した第1通過時間および第2通過時間に基づいて、用紙Wの副走査伸縮率および主走査伸縮率(マークセンサ31が第1マークセンサ31aと第2マークセンサ31bを有する場合はさらに蛇行量)を算出する処理と、算出した副走査伸縮率および主走査伸縮率に応じて用紙Wの第2面に形成する画像の位置を調整する処理(画像形成のタイミングを調整して画像の位置をずらすものも含む)と、を含む各種の処理を実行する中央処理装置である。
【0120】
ROM72は、CPU71が実行するプログラムを記憶している読み出し専用の記憶手段である。
【0121】
RAM73は、CPU71が実行するプログラムを展開し、各種処理を行う際の作業領域として使用する読み書き可能な記憶手段である。
【0122】
画像形成制御部74は、CPU71からの指示に基づいて、第2印刷装置2の内部の画像形成部に対する制御を司る。
【0123】
入出力制御部75は、第1印刷装置1の制御部60から送られるマーク41の濃度の情報を入力し、その情報をCPU71へ送る。また、入出力制御部75は、マークセンサ31の感度を調整するための制御信号をCPU71から受け、この制御信号をマークセンサ31へ送る。また、入出力制御部75は、マークセンサ31から出力される第1通過時間および第2通過時間の情報を入力し、その情報をCPU21へ送る。
【0124】
第2印刷装置2においては、例えば、制御部70のCPU71がROM72に記録されているプログラムを実行することにより、第1印刷装置1の制御部60から入力したマーク41の濃度に基づいて、マークセンサ41の感度を調整する処理が実現される。このマークセンサ41の感度を調整する処理は、例えば、濃度センサ50の出力が基準値α[V]より低いβ[V]である場合(つまりマーク41の濃度が基準値よりも低い場合)に、マークセンサ31の出力感度を[×α/β]だけ上昇させるといった処理となる。制御部70のCPU71は、このようにマークセンサ31の感度を調整するための制御信号を、入出力制御部75を介してマークセンサ31に送ることで、濃度センサ50により検出されたマーク41の濃度に応じてマークセンサ31の感度を調整する。つまり、第2印刷装置2においては、制御部70のCPU71が特許請求の範囲に記載の「感度調整手段」として機能する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態に係る印刷システムによれば、第1印刷装置1に濃度センサ41を用いてマーク41の濃度を検出し、第2印刷装置2が、第1印刷装置1において検出されたマーク41の濃度に応じて、このマーク41を検出するマークセンサ31の感度を調整するようにしているので、第1の実施形態の効果に加えて、例えば、画像形成時の濃度設定、感光体16の疲労等の影響、および、用紙Wの熱作用による伸縮等に起因して、用紙Wの第1面に形成されたマーク41の濃度が変動したとしても、その影響によるマーク41の誤検出を有効に回避できるといった効果が得られる。
【0126】
なお、以上説明した印刷システムでは、濃度センサ50により検出されるマーク41の濃度に基づいてマークセンサ31の感度を調整するようにしているが、これとは逆に、マークセンサ31の出力を基準値として、マークセンサ31がマーク41を正しく検出できるように、第1印刷装置1により形成されるマーク41の濃度を調整するようにしてもよい。この場合も、マークセンサ31がマーク41を正しく検出できるようになり、マーク41の誤検出を有効に回避することができる。なお、マーク41の濃度の調整は、例えば、現像手段による感光体16へのトナー供給量を調整することで実施してもよいし、露光手段による光源の光パワーを増減させることで実施してもよい。
【0127】
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。すなわち、上述した実施形態に係る通信システムの構成や動作はあくまで一例であり、用途や目的に応じて様々な変形が可能である。
【0128】
例えば、上述した実施形態の印刷システムにおいて、第1印刷装置1および第2印刷装置2に実行させるジョブを管理するジョブ管理装置(例えば、プリントサーバ)を設けるようにしてもよい。この場合、ジョブ管理装置は、ユーザの操作するパーソナルコンピュータ(PC)等の端末装置から受信したジョブについて、適当な実行順や実行タイミングを設定して、その順番およびタイミングで第1印刷装置1および第2印刷装置2に送信して実行させる。また、ジョブ管理装置と第1印刷装置1および第印刷装置2、あるいはユーザの操作する端末装置との接続は、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)を始め、有線無線を問わず、任意の規格の通信手段によって行うようにするとよい。
【0129】
また、上述した実施形態では、電子写真式の印刷装置を用いた印刷システムについて説明したが、他の印刷方式の印刷装置(例えば、インクジェット方式の印刷装置等)を用いた印刷システムにおいても、上述した実施形態と同様に、用紙の副走査伸縮率、主走査伸縮率、および、蛇行量を算出して、算出した値に基づいて用紙の両面の画像位置を合わせることができるとともに、マークセンサによるマークの誤検出を回避することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 第1印刷装置
2 第2印刷装置
10、20、60、70 制御部
11、21、61、71 CPU
14、24、64、74 画像形成制御部
31 マークセンサ
31a 第1マークセンサ
31b 第2マークセンサ
41 マーク
41a 第1マーク部
41b 第2マーク部
50 濃度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開平7−237336号公報
【特許文献2】特開2002−187660号公報
【特許文献3】特開2004−062170号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される用紙の第1面に、第1画像形成装置により画像を形成した後、前記第1面の反対面である第2面に、第2画像形成装置により画像を形成する画像形成システムにおいて、
前記第1画像形成装置は、
前記第1面に、前記用紙の搬送方向に沿った方向である第1方向の長さが、前記搬送方向に垂直な方向である第2方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、前記第1マーク部の前記第1方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部と、を含むマークを形成するマーク形成手段を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記用紙の搬送経路の所定位置を通過する前記マークを検出し、前記第1マーク部と前記第2マーク部との間の前記所定距離の区間が前記所定位置を通過している時間である第1通過時間と、前記第1マーク部が前記所定位置を通過している時間である第2通過時間と、を出力するマーク検出手段と、
前記第1通過時間および前記第2通過時間に基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記マーク検出手段は、前記第2方向の位置が異なる2つの前記所定位置で前記マークを検出する2つの検出部を有し、
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第1通過時間および前記第2通過時間と、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第1通過時間および前記第2通過時間とに基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の蛇行量とを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2画像形成装置は、前記用紙の前記第1方向の伸縮率に基づいて、前記第2面に形成する画像の前記第1方向の倍率を調整するとともに、前記用紙の前記第2方向の伸縮率に基づいて、前記第2面に形成する画像の前記第2方向の倍率を調整して、前記第2面に形成する画像の位置を前記第1面に形成された画像の位置に合わせる画像調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記用紙の前記第1方向の長さが変化していない状態の前記第1通過時間を参照時間として記憶する記憶部を備え、
前記算出手段は、前記第1通過時間をta、前記参照時間をtbとしたときに、前記用紙の前記第1方向の伸縮率αを、α=ta/tbにより算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1マーク部は、斜辺を除く2つの辺の一方である第1辺が前記第1方向に沿って配置され、他方である第2辺が前記第2方向に沿って配置された直角三角形の形状を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記マーク検出手段の2つの検出部は、前記第1マーク部の前記第2辺を3等分する2つの前記所定位置で前記マークを検出し、
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第2通過時間をtc、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第2通過時間をtd、前記用紙の前記第1方向の伸縮率をα、前記第1マーク部の前記第1辺の長さをm、前記用紙の搬送速度をvとしたときに、前記用紙の前記第2方向の伸縮率βを、β=(1/3)×(α×(m/v))/(td−tc)により算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第2通過時間をtc、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第2通過時間をtd、前記用紙の前記第2方向の伸縮率をβ、前記第1マーク部の前記第2辺の長さをRとしたときに、前記用紙の前記第2方向の蛇行量Sを、S=R/3×[tc/(td−tc)−1]×βにより算出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記蛇行量Sは、前記第1マーク部の前記第2辺の長さRの1/3以下の場合に有効値とすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記マーク形成手段は、前記マークを前記第1面の複数の位置に形成し、
前記算出手段は、複数の前記マークごとに算出した前記蛇行量Sの平均値を前記蛇行量とすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記マーク形成手段は、前記第1マーク部の前記第2辺が、前記第1面に形成する画像の書き出し位置に配置されるように前記マークを形成し、
前記第2画像形成装置は、前記マーク検出手段が前記第1マーク部の前記第2辺を検出したタイミングに基づいて、前記第2面に形成する画像の書き出し位置を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記第1画像形成装置は、前記マークの濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、
前記第2画像形成装置は、検出された前記マークの濃度に基づいて、前記マーク検出手段の感度を調整する感度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に転写される前の前記マークのトナー像の濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に転写され、溶融定着される前の前記マークのトナー像の濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に定着されたトナー像である前記マークの濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記第1画像形成装置は、前記マーク検出手段の出力に基づいて、前記マークの濃度を調整する濃度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項1】
搬送される用紙の第1面に、第1画像形成装置により画像を形成した後、前記第1面の反対面である第2面に、第2画像形成装置により画像を形成する画像形成システムにおいて、
前記第1画像形成装置は、
前記第1面に、前記用紙の搬送方向に沿った方向である第1方向の長さが、前記搬送方向に垂直な方向である第2方向の位置に応じて異なる形状を有する第1マーク部と、前記第1マーク部の前記第1方向と平行な辺を除くいずれかの辺に対して、所定距離を存して平行に配置される線である第2マーク部と、を含むマークを形成するマーク形成手段を備え、
前記第2画像形成装置は、
前記用紙の搬送経路の所定位置を通過する前記マークを検出し、前記第1マーク部と前記第2マーク部との間の前記所定距離の区間が前記所定位置を通過している時間である第1通過時間と、前記第1マーク部が前記所定位置を通過している時間である第2通過時間と、を出力するマーク検出手段と、
前記第1通過時間および前記第2通過時間に基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記マーク検出手段は、前記第2方向の位置が異なる2つの前記所定位置で前記マークを検出する2つの検出部を有し、
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第1通過時間および前記第2通過時間と、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第1通過時間および前記第2通過時間とに基づいて、前記用紙の前記第1方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の伸縮率と、前記用紙の前記第2方向の蛇行量とを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2画像形成装置は、前記用紙の前記第1方向の伸縮率に基づいて、前記第2面に形成する画像の前記第1方向の倍率を調整するとともに、前記用紙の前記第2方向の伸縮率に基づいて、前記第2面に形成する画像の前記第2方向の倍率を調整して、前記第2面に形成する画像の位置を前記第1面に形成された画像の位置に合わせる画像調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記用紙の前記第1方向の長さが変化していない状態の前記第1通過時間を参照時間として記憶する記憶部を備え、
前記算出手段は、前記第1通過時間をta、前記参照時間をtbとしたときに、前記用紙の前記第1方向の伸縮率αを、α=ta/tbにより算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1マーク部は、斜辺を除く2つの辺の一方である第1辺が前記第1方向に沿って配置され、他方である第2辺が前記第2方向に沿って配置された直角三角形の形状を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記マーク検出手段の2つの検出部は、前記第1マーク部の前記第2辺を3等分する2つの前記所定位置で前記マークを検出し、
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第2通過時間をtc、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第2通過時間をtd、前記用紙の前記第1方向の伸縮率をα、前記第1マーク部の前記第1辺の長さをm、前記用紙の搬送速度をvとしたときに、前記用紙の前記第2方向の伸縮率βを、β=(1/3)×(α×(m/v))/(td−tc)により算出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの一方が出力する前記第2通過時間をtc、前記マーク検出手段の2つの検出部のうちの他方が出力する前記第2通過時間をtd、前記用紙の前記第2方向の伸縮率をβ、前記第1マーク部の前記第2辺の長さをRとしたときに、前記用紙の前記第2方向の蛇行量Sを、S=R/3×[tc/(td−tc)−1]×βにより算出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記蛇行量Sは、前記第1マーク部の前記第2辺の長さRの1/3以下の場合に有効値とすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記マーク形成手段は、前記マークを前記第1面の複数の位置に形成し、
前記算出手段は、複数の前記マークごとに算出した前記蛇行量Sの平均値を前記蛇行量とすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記マーク形成手段は、前記第1マーク部の前記第2辺が、前記第1面に形成する画像の書き出し位置に配置されるように前記マークを形成し、
前記第2画像形成装置は、前記マーク検出手段が前記第1マーク部の前記第2辺を検出したタイミングに基づいて、前記第2面に形成する画像の書き出し位置を調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記第1画像形成装置は、前記マークの濃度を検出する濃度検出手段をさらに備え、
前記第2画像形成装置は、検出された前記マークの濃度に基づいて、前記マーク検出手段の感度を調整する感度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に転写される前の前記マークのトナー像の濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に転写され、溶融定着される前の前記マークのトナー像の濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記マーク形成手段は、前記マークのトナー像を像担持体上に形成し、該トナー像を前記第1面に転写して溶融定着させることで、前記第1面に前記マークを形成するものであり、
前記濃度検出手段は、前記第1面に定着されたトナー像である前記マークの濃度を検出することを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記第1画像形成装置は、前記マーク検出手段の出力に基づいて、前記マークの濃度を調整する濃度調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−108467(P2012−108467A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122364(P2011−122364)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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