画像形成装置、トナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法
【課題】多色カラープリンタなどの画像形成装置におけるトナー濃度やトナー位置検知制御において、トナーの消費量低減に加えて、光学センサを低消費電流で使用できるようにする。
【解決手段】中間転写体上に形成されたテストパターンにおけるトナー濃度やトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサを、主方向に対向配列された3個以上の発光部と3個以上の受光部で構成する。そして、前記反射型光学センサを制御し、該センサの検知結果に基づき画像形成プロセス条件を決定する制御手段は、中間転写体で反射された光が各受光部で所定値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、較正された電流値に基づいてトナー濃度やトナー位置を検知するのに使用する発光部を選択する手段を備え、選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成するようにする。
【解決手段】中間転写体上に形成されたテストパターンにおけるトナー濃度やトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサを、主方向に対向配列された3個以上の発光部と3個以上の受光部で構成する。そして、前記反射型光学センサを制御し、該センサの検知結果に基づき画像形成プロセス条件を決定する制御手段は、中間転写体で反射された光が各受光部で所定値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、較正された電流値に基づいてトナー濃度やトナー位置を検知するのに使用する発光部を選択する手段を備え、選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。詳しくは、画像形成装置のトナー濃度および/またはトナー位置検知のための反射型光学センサの駆動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として電子写真方式を用いた画像形成プロセスでは、常に安定した画像濃度が得られるようにするため、次の如き「トナー濃度制御」が行われる。即ち、感光体や転写ベルトに「露光強度や帯電バイアス電位、現像バイアス電位等の作像条件」を異ならせて、トナー濃度の異なる複数の「トナー濃度検知用のパッチ」によるテストパターンを形成する。この形成されたテストパターンに光を照射し、反射光を検知し、検知量に対して所定のアルゴリズムによる演算を施して「各パッチのトナー濃度」を求める。このようにして求められた「各パッチのトナー濃度」と、このパッチを形成した作像条件における現像ポテンシャルとの関係に基づき、現像γと現像開始電圧Vkを求める。「現像γ」は、現像ポテンシャルを横軸、トナー濃度を横軸とする「現像ポテンシャル・トナー濃度座表面」上における現像ポテンシャルとトナー濃度の関係を表す「γ曲線」の傾きであり、「現像開始電圧」は、上記現像ポテンシャル・トナー濃度におけるγ曲線の「横軸切片」である。求められた「現像γ」に基づき、トナー濃度が適正となる現像ポテンシャルが実現されるように、露光強度、帯電バイアス電位、現像バイアス電位などの作像条件を調整する。
【0003】
また、画像形成装置として電子写真方式を用いた画像形成プロセスでは、常に適正な画像が得られるようにするため、トナー画像の位置を正確に制御している(トナー位置制御)。トナー画像の位置が適切に調整できないと、画像書き出し位置がずれてしまうレジストずれ、トナー画像の長さ誤差となる倍率ずれ、さらにこれらが各色のトナー画像間で相対的にずれる色ずれなど、様々な異常画像を生じる原因となる。そのため、感光体や転写ベルトに、互いに色の異なる複数のトナー位置検知用のマークによるテストパターンを形成する。トナー濃度制御と同様に、形成されたテストパターンに光を照射し、反射光を検知し、検知量に対して所定のアルゴリズムによる演算を施して、相互の色間のトナー位置ずれを求める。求められたトナー位置ずれに基づき、トナー画像の位置が適切になるように、書込タイミング、書込位置などの作像条件を調整する。
【0004】
画像形成装置において、このようなトナー濃度制御やトナー位置制御を正確に行うためには、トナー濃度検知用のパッチのトナー濃度やトナー位置検知用のマークのトナー位置を正しく知る必要がある。
【0005】
中間転写ベルト等に形成されたテストパターンに光を照射して、トナー濃度検知用のパッチやトナー位置検知用のマークの反射光を検知するのに用いられる反射型光学センサは、従来から種々のタイプのものが提案されている。例えば、特許文献1には、正反射光検知方式或いは拡散反射光検知方式の反射型光学センサが開示されている。これは、LDやLEDからなる1つの光源と、検知方式に応じて光源との配置関係や受光部の構成が変更される受光センサとから構成されている。また、特許文献2には、発光部として1個のLEDを用い、このLEDからの光をパッチに照射し、反射光を2個のフォトダイオードからなる受光部で受光する、正反射光/拡散反射光検知方式の反射型光学センサが開示されている。
【0006】
このタイプの反射型光学センサでは、テストパターンを照射する光スポットの大きさは2〜3mmが通常である。一方、形成される1つのトナー濃度検知用のパッチの大きさは、そのテストパターンの移動方向(例えば中間転写ベルトの移動方向;副方向)に直交する方向(主方向)に一般に15mm以上ある。なお、副方向の大きさも一般に15mm以上である。また、形成される1つのトナー位置検知用のマークの長さ(大きさ)も同様であり、そのテストパターンの移動方向に直交する方向(主方向)に一般に15mm以上ある。なお、副方向の幅(大きさ)は1mm程度が一般的である。
【0007】
テストパターンの主方向の大きさを光スポットの同方向の大きさより大きくしているのは、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差(光スポットの主方向の照射位置誤差(反射型光学センサの取り付け誤差や、発光部の取り付け誤差による光の照射方向ずれなどによって発生)や、テストパターンの主方向の位置誤差(テストパターン形成位置ずれや、感光体や中間転写ベルトの蛇行などによって発生))があっても、光スポットによりテストパターンを適正に照射することを意図したものである。
【0008】
テストパターンを形成するトナーは、本来の画像形成に寄与しない不寄与トナーとして消費される。このため、パッチやマークの面積が大きくなれば、それに比例して不寄与トナーの消費量も大きくなる。したがって、このパッチやマークの面積を小さくすることは、トナー消費の観点から、画像形成に係るランニングコストの低減につながる。
【0009】
不寄与トナーの消費量を低減するためには、テストパターンを構成する各パッチや各マークの面積を小さくすればよいが、上述のように、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差があっても光スポットによりテストパターンを適正に照射できるように、テストパターンの主方向の大きさを光スポットより大きくする必要があるため、トナーパッチやトナーマークを小さくすることには限度がある。換言すれば、光スポットとの位置誤差に対する余裕度を持たせるという考え方がトナーマークの小面積化を阻害しているといえる。
【0010】
そのため、例えば、特許文献3では、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサを用い、従来のものよりも小さいテストパターンに対してトナー位置検知を行うことを提案している。これは、テストパターンの移動方向に直交する方向に直列的に並んだ光スポットの列を通過させることにより、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差があってもテストパターンを確実に補足することができる、という技術思想に基づくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
トナー濃度検知用のパッチやトナー位置検知用のマークの反射光検知に用いられる反射型光学センサは、上述したようにトナー濃度制御やトナー位置制御を行うために、LED等の発光部を発光させている。特許文献1や特許文献2に示す従来型の反射型光学センサでは、発光部は1個であり、副方向に移動するテストパターンに照射されている。このような反射型光学センサを長期間使用すれば発光部の劣化による発光出力が低下していってしまう。そのため、トナー濃度制御やトナー位置制御を行う前に、発光部の駆動電流を増加させることにより、発光部の光量を増やし受光部の出力が所定の値になるような調整を行っている。しかしながら、長時間使用するにつれ、劣化によって消費電流が徐々に増えていってしまうという問題がある。また、発光部は1個のため、トナーパッチやトナーマークを小さくすることには限界があり、トナー消費の観点からも問題がある。特許文献3では、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサを用いるため、テストパターンのサイズを小さくでき、不寄与トナーの消費量を軽減できるが、3個以上の発光゛を順次駆動する方式であり、消費電流が増加する問題は解消されない。
【0012】
本発明の課題は、上述の複数の発光部が主方向へ配列された反射型光学センサを用いることで、トナーパターンの大きさを小さくし、不寄与トナーの消費量を低減できることに加え、反射型光学センサを低消費電流で使用でき、安定したトナー濃度および/またはトナー位置検知制御を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成するテストパターン形成手段と、前記中間転写体上に形成されて副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサと、前記トナー濃度および/またはトナー位置の検知のために前記反射型光学センサを制御し、前記反射型光学センサの検知結果に基づき、画像形成プロセス条件を決定する制御手段とを有し、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成であって、
前記制御手段は、前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択する選択手段とを備え、
前記テストパターン形成手段は、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成することを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサについて、発光部の駆動電流値に基づいてトナー濃度および/またはトナー位置検知に使用する発光部を選択し、該選択された発光部の位置にテストパターンを形成するようにするため、不寄与トナーの消費量低減に加え、最適な消費量電流で反射型光学センサを動作し、安定したトナー濃度および/またはトナー位置検知を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタの概略図である。
【図2】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図3】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図4】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図5】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図6】反射型光学センサと中間転写ベルト上のテストパターンとの対応関係を示す図である。
【図7】反射型光学センサの一実施形態の概略構成図である。
【図8】反射型光学センサの一実施形態の発光部と受光部の対応関係を示す図である。
【図9】反射型光学センサによる中間転写ベルト上の照射の状態を示す図である。
【図10】反射型光学センサの回路構成を示す図である。
【図11】発光部選択値と発光部の対応関係を示す図である。
【図12】実施形態のカラープリンタの電気的回路構成を示す図である。
【図13】実施形態の画像プロセス制御の処理フローチャートである。
【図14】トナー位置検知用テストパターンを取得する様子を示す図である。
【図15】テストパターン通過と反射型光学センサの発光部、受光部の動作タイミングを示す図である。
【図16】反射型光学センサによるトナー位置検知用テストパターン検知の説明図である。
【図17】反射型光学センサによるトナー位置検知用テストパターンの出力信号を示す図である。
【図18】トナー位置検知の説明図である。
【図19】トナー濃度検知用テストパターンを取得する様子を示す図である。
【図20】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図21】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターンの出力信号を示す図である。
【図22】中間転写ベルト上のスポット光の照射領域を示す図である。
【図23】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図24】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図25】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図26】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図27】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図28】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図29】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図30】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図31】実施形態の画像プロセス制御におけるセンサ出力信号較正の処理フローチャートである。
【図32】実施形態の画像プロセス制御における発光部選択を説明する図である。
【図33】別の実施形態の中間転写ベルト上のテストパターンを示す図である。
【図34】別の実施形態の反射型光学センサの発光部と受光部の対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
先ず、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタの概略を図1を参照して説明する。カラープリンタ2000は、ブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。
【0017】
カラープリンタ2000は、光走査装置2010、像担持体としての4つの感光体ドラム2030a、2030b、2030c、2030d、4つのクリーニングユニット2031a、2031b、2031c、2031d、4つの帯電装置2032a、2032b、2032c、2032d、4つの現像ローラ2033a、2033b、2033c、2033d、4つのトナーカートリッジ2034a、2034b、2034c、2034d、中間転写体としての中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、センサ装置2245、通信制御装置2080、及び、各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。後述するように、プリンタ制御装置2090は画像形成プロセス制御手段及びトナー濃度/位置検知制御手段としても機能する。通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0018】
以下においては、図1に示すように、XYZの3次元直交座標系を想定し、各感光体ドラムの長手方向(軸方向)に沿った方向をY方向(図1の図面に直交する方向)、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX方向として説明する。
【0019】
ドラム状に形成された光導電性の感光体である感光体ドラム2030a〜2030dは何れも、表面に感光層が形成され、その表面が光走査装置2010による光走査の被走査面となっている。感光体ドラム2030a〜2030dは、図示されない回転駆動機構により、図1の面内で矢印方向(時計回り)に回転する。
【0020】
感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが、感光体ドラム2030aを取り囲むように配置されている。
【0021】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、ブラック画像を形成する画像形成ステーション(以下「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0022】
感光体ドラム2030bと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030bを取り囲むように配置された、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、シアン画像を形成する画像形成ステーション(以下「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0023】
感光体ドラム2030cと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030cを取り囲むように配置された、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、マゼンタ画像を形成する画像形成ステーション(以下「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030dと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030dを取り囲むように配置された、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0025】
帯電装置2032a〜2032dは、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面をそれぞれ均一に帯電させ、光走査装置2010とともに静電潜像形成手段を構成する。
【0026】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づき、色画像情報毎に変調された光束により、対応する感光体ドラムの表面を、Y方向に光走査する。これにより、各感光体ドラム2030a〜2030dにそれぞれ、各色画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂ネガ潜像であり、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの側に移動する。光走査装置2010についての詳細は後述する。
【0027】
現像ローラ2033a〜2033dが回転し、対応するトナーカートリッジからの各色トナーが表面に薄く均一に塗布される。各現像ローラ表面に塗布されたトナーは、対応する感光体ドラム表面に形成されている静電潜像をネガ現像し、トナー画像として可視化する。感光体ドラムごとに形成され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、感光体ドラムの回転に伴って移動する。そして、これらの各色トナー画像は、感光体ドラム2030a〜2030dから、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、互いに重ね合わされてカラー画像を形成する。
【0028】
本実施形態においては、中間転写ベルト2040の回転に伴いトナー画像の移動する方向が「副方向」であり、副方向に直交する方向(Y方向)が「主方向」である。
【0029】
給紙トレイ2060に格納されたシート状記録媒体としての記録紙は、給紙コロ2054により給紙トレイ2060から1枚ずつ給紙され、レジストローラ対2056により、所定のタイミングで中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間に向けて送られる。転写ローラ2042により中間転写ローラ2042上のカラー画像が記録紙表面に転写される。
【0030】
カラー画像を転写された記録紙は、定着ローラ2050により熱と圧力を加えられてカラー画像を定着される。カラー画像を定着された記録紙は、排紙ローラ対2058を介して排紙トレイ2070上に排紙されて順次スタックされる。
【0031】
トナー画像転写後の各感光体ドラム表面の残留トナーは、クリーニングユニット2031a〜2031dにより除去される。
【0032】
次に、光走査装置20の具体的構成について図2乃至図5を用いて説明する。光走査装置20は、図2乃至図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2200b、2200c、2200d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検出用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300の所定位置に組み付けられている。
【0033】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副方向」と略述する。
【0034】
また、便宜上、カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w1方向」、光源2200a及び光源2200bにおける主方向を「m1方向」とする。さらに、カップリングレンズ2201c及びカップリング2201dの光軸に沿った方向を「w2方向」、光源2200c及び光源200dにおける主方向を「m2方向」とする。なお、光源2200a及び光源2200bにおける副方向、光源2200c及び光源2200dにおける副方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
【0035】
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
【0036】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0037】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
【0038】
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0039】
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、偏向走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0040】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0041】
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズbは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズdは1段目の4面鏡に対向している。
【0042】
シリンドリカルレンズ2204aからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030a上に光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030aを長手方向(Y方向)に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aに対する副走査方向である。
【0043】
シリンドリカルレンズ2204bからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105b、折返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030bを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bに対する副走査方向である。
【0044】
シリンドリカルレンズ2204cからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105c、折返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cに対する副走査方向である。
【0045】
シリンドリカルレンズ2204dからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105d、折返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、折返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030dを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dに対する副走査方向である。
【0046】
個々の感光体ドラム203a〜203dにおいて画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は有効走査領域あるいは画像形成領域と呼ばれているが、ここでは有効画像領域とも呼ぶ。
【0047】
なお、各折返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致し、感光体ドラムへの光束の入射位置及び入射角が感光体ドラム間相互で等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0048】
また、fθレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、ポリゴンミラー2104の偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査対応方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は走査光学系とも呼ばれる。
【0049】
本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー2106a、2108aとによりKステーションの走査光学系が、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー2106b、2108bとによりCステーションの走査光学系がそれぞれ構成されている。同様に、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー2106c、2108cとによりMステーションの走査光学系が、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー2106d、2108dとによりYステーションの走査光学系がそれぞれ構成されている。
【0050】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0051】
光検知センサ2205a〜2205dは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。プリンタ制御装置2090は、各光検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを決定し、光走査装置2010は、決定されたタイミングで各感光体ドラムに対する光走査による画像書き込みを開始する。以下、プリンタ制御装置2090の制御下で、静電潜像の形成、現像、トナー画像の転写・定着を経て転写紙の排出に至る工程が実行される。
【0052】
本実施形態では、中間転写ベルト2040上にトナー画像としてテストパターンが形成され、中間転写ベルト2040の回転に伴い、副方向に移動する。この中間転写ベルト2040上に形成されて副方向へ移動するテストパターンにおけるトナー濃度とトナー位置をセンサ装置2245で検知する。
【0053】
図6は、中間転写ベルト2040上にテストパターンが形成された状態を説明図的に平面図として示したものである。説明図であるので、各部の相対的なサイズは、実際とは異なっている。図6において、図の下方が副方向であり、中間転写ベルト2040の表面は、ベルト回転により副方向へ移動する。
【0054】
図6における符号201L、201CT、201Rは、トナー位置検知用のテストパターンを示している。テストパターン201Lは、中間転写ベルト2040の主方向の左端部側のトナー位置検知に用いられ、テストパターン201CTは、中間転写ベルト2040の主方向の中央部のトナー位置検知に用いられ、テストパターン201Rは、中間転写ベルト2040の主方向の右端部側のトナー位置検知に用いられる。テストパターン201L等によるトナー位置検知については後述する。
【0055】
図6における符号201K、201M、201C、201Yは、トナー濃度検知用のテストパターンを示している。これらテストパターン201K〜201Yは、図の如く、中間転写ベルト2040の主方向(図の左右方向)の中央部付近に、副方向へ1列に形成される。
【0056】
テストパターン201Kはブラックトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターンであり、テストパターン201Mはマゼンタトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン、テストパターン201Cはシアントナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン、テストパターン201Yはイエロートナーのトナー濃度を検知するためのテストパターンである。これらテストパターン201K〜201Yは何れもトナー濃度による階調が、副方向に逆行する側へ低濃度から高濃度へ4段階に変化する4個のパッチにより構成される。各パッチは副方向に長い矩形形状である。
【0057】
図1に符号2245で示したセンサ装置は、図6に示すように、3つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245cにより構成されている。これら3個の反射型光学センサ2245a〜2245cのうち、反射型光学センサ2245bはテストパターン201Lによるトナー位置検知に用いられ、反射型光学センサ2245cはテストパターン201Rによるトナー位置検知に用いられる。反射型光学センサ2245aはテストパターン201による各色トナーのトナー濃度の検出およびテストパターン201CTによるトナー位置検知に用いられる。
【0058】
次に、図7乃至図10を参照して、反射型光学センサ2245aについて説明する。なお、ここでは反射型光学センサ2245bおよび2245cは2245aと同じものであるので、説明を省略する。
【0059】
図7は、反射型光学センサ2245aを主方向から見た状態(副走査断面)を概念的に示したものである。反射型光学センサ2245aは、11個の発光源E1〜E11を主方向へ等間隔に配列一体化した発光源アレイ、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を主方向に配列一体化した照射用マイクロレンズアレイ、11個の光源変換部D1〜D11を主方向へ配列一体化した光電変換部アレイ、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を主方向へ配列一体化した受光用マイクロレンズアレイ及び駆動回路(不図)を有している。駆動回路については図10にて後述する。
【0060】
発光源アレイは、例えばLEDアレイであり、11個の発光源L1〜L11は、主方向に所定のピッチ:Pで配列されている。照射用マイクロレンズアレイは、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで、且つ、発光源E1〜E11と対応するように配置されている。光電変換部アレイは、例えばPDアレイであり、11個の光電変換部D1〜D11が、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで主方向に配列されている。受光用マイクロレンズアレイは、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を、発光源のピッチ:Pと同一ピッチで主方向に配列されている。
【0061】
図8に、反射型光学センサ2245aの、発光源E1〜E11と、光電変換部D1〜D11の対応関係を示す。発光源の任意の1つを発光源Ei、照射用マイクロレンズの任意の1つを照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズの任意の1つをLDi、光電変換部の任意の一つをDiとすると、これらにおいてi=1〜11であり、LEiとLDiは対応するように配置されている。
【0062】
図9(a)は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して中間転写ベルト2040の表面を照射する状態を示している。図9(b)は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して、中間転写ベルト2040の表面に光スポットSi(i=1〜11)として照射される状態を示している。
【0063】
中間転写ベルト2040により反射された光は、図7に示すように、受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)を介して光電変換部Di(i=1〜11)に入射する。
【0064】
すなわち、図7〜図9に示すように、発光源Ei、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDi、光電変換部Diが、i=1〜11について、副方向において同位置にあり、これらがピッチ:Pで主方向に配列されている。従って、光スポットSi(i=1〜11)も、主方向にピッチ:Pで配列する。
【0065】
発光源Eiと照射用マイクロレンズLEiは反射型光学センサにおける発光部を構成し、これら発光部の全体が照射系を構成する。また、光電変換部Diと受光用マイクロレンズLDiは受光部を構成し、これら受光部の全体が受光系を構成している。受光用マイクロレンズLDiは、対応する光電変換部Diへの光の集光性を高めて検知精度を高めるのに有効であるが、原理的には省略することも可能である。
【0066】
図10は、反射型光学センサ2245aの駆動回路の構成例を示す図である。反射型光学センサ2245b,2245cの駆動回路も同様である。
【0067】
図10において、電流生成回路210は、電流値設定値、発光部選択値、発光部点灯信号を入力して、発光部点灯信号のレベルが所定の値以上の状態の時(H状態の時)、電流設定値に基づいた電流を、発光部選択値により選択した発光部(発光源)に流すようにする。発光部選択値Mと選択される発光源E1〜E11の関係は、例えば図11のようになっている。電流設定値と、発光源に流れる電流の大きさは比例関係になっており、電流設定値が大きくなれば、発光源に流れる電流も大きくなるようになっている。220は、電流電圧変換回路で、光電変換部D1〜D11に対応して11個のIV−AMP1〜IV−AMP11からなる。IV−AMPiは、光の受光により光電変換部Diから出力される電流を電圧に変換し、増幅して出力するようになっている。
【0068】
電流生成回路210の電流設定値、発光部選択値、発光部点灯信号はプリンタ制御装置2090から与えられ、IV−AMP1〜11の出力電圧信号はプリンタ制御装置2090の入力となる。図10の駆動回路の動作については後述する。
【0069】
以下に図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aの具体例を説明する。反射型光学センサ2245b,2245cも同様である。
【0070】
11個の発光源E1〜E11はLEDであり、主方向に沿ってピッチ:P=0.4mmで等間隔に配置されてLEDアレイとなっている。発光源Eiの大きさ(発光面の大きさ)は主・副方向とも0.04mmであり、中心発光波長は850nmである。照射用マイクロレンズLE1〜LE11は、それぞれ発光源E1〜E11に個別に対応し、主方向に沿ってピッチ:P=0.4mmで配列一体化されてマイクロレンズアレイを構成している。照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)は、対応する発光部Eiよりも受光部側(図7で左方)に配置され、発光部Eiから放射された光束を、中間転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
【0071】
なお、説明を簡単にするため、発光部Ei(i=1〜11)から放射された光は、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)のみを通過して集光されて検出用光となり光スポットSi(i=1〜11)として、中間転写ベルト2040を照射するものとする。
【0072】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは一体化され、一体化により、これらマイクロレンズアレイを検出センサに組み付ける際の作業性を向上させることができ、またマイクロレンズ間の配置精度を高めることができる。各マイクロレンズのレンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成できる。
【0073】
各照射用マイクロレンズ及び各受光用マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向と副方向のパワーが異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
【0074】
各光電変換部DiはPD(フォトダイオード)であり、受光面の大きさは主・副方向とも0.35mmで、受光感度のピーク波長は850nm付近にある。各光電変換部Diは受光量に応じた光電変換信号を出力する。
【0075】
発光源Eiの発光波長と、光電変換部Diのピーク感度波長を略一致させることにより、出力光電変換信号のレベルを最大限に高めることができる。
【0076】
図7〜図9に示した反射型光学センサに用いられている照射用マイクロレンズアレイを構成する11個の照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)はレンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一である。同様に、受光用マイクロレンズアレイを構成する11個の受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)もレンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一である。
【0077】
しかし、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiとでは、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚は全て異なる。本実施形態では、照射用マイクロレンズLEiでは、レンズ径:0.415mm、レンズ面曲率半径:0.430mm、レンズ厚:1.229mmであり、受光用マイクロレンズLDiでは、レンズ径:0.712mm、レンズ面曲率半径:0.380mm、レンズ厚:1.419mmである。
【0078】
図7に示したように、照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)の光軸は、発光源Eiからの検出用光の反射光を、有効に受光部に導くため、発光源Eiの中心を通り発光源Eiに垂直な軸に対して平行に、受光系側へΔd=0.035mmずれている。受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)の光軸は、より多くの反射光を受光するため、対応する光電変換部Di(i=1〜11)の受光面の中心を通り該受光面に垂直な軸に対して平行に照射系側へΔd’=0.020mmずれている。副方向における照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの間隔は、0.445mmである。また、発光源Eiと、それに対応する光電変換部Diの副方向における間隔は0.500mmである。発光源Eiから照射用マイクロレンズLEiまでの光軸方向の距離は0.800mmであり、この距離は以下に示す全ての例において当てはまる。また、マイクロレンズアレイの裏面から被検物までの光軸方向の距離は5mmである。
【0079】
上述のように、隣接する光スポットの中心間隔は発光源のピッチ:Pと同じく0.4mmである。すなわち、上述の光学レイアウトにおいて、各検出用光が中間転写ベルト2040の表面に形成する光スポットSi(i=1〜11)の大きさは、直径で0.4mm程度であり、発光源のピッチと同一である。
【0080】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ径を照射用マイクロレンズLEiのレンズ径より大きくすることで、光電変換部Diで反射光をより多く受光できるようにしている。また、受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を、照射用マイクロレンズLEiのレンズ面曲率半径に比して小さくすることにより、レンズ内部における全反射が増えるため光電変換部Diにおける正反射受光量を減らすことが可能であると考えられる。
【0081】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を小さくすることにより、点灯させる発光源Eiに対応する光電変換部Diに隣接する光電変換部Di±1に、対応する受光用マイクロレンズLDi±1を通過後の光線を大きく屈折させることが可能となり、後述するようにトナーマークからの拡散反射光を受光できる光電変換部が増えて、拡散反射受光量も増加することが期待できる。
【0082】
本実施形態では、上記の如く個々のマイクロレンズLEi、LDiは球面レンズで、図7に示すように平凸レンズであり、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ入射面が集光パワーを有し、射出面は集光パワーを有さない。各受光用マイクロレンズLDiは、レンズ入射面は集光パワーを有さず、射出面は集光パワーを有する。
【0083】
図12は、本実施形態に係るカラープリンタの電気的な回路構成のブロック図を示したものである。
図12において、破線で囲んだ部分が各部を統括的に制御するプリンタ制御部2090である。本プリンタ制御装置2090はコンピュータ構成であり、CPU401、RAM402、ROM403、及びA/D変換回路404などを有してする。CPU401は、ROM403に記憶されているプログラムを実行することで各種演算や各部の駆動制御を行う。本実施形態では、該CPU401が所定のプログラムを実行することで、画像プロセス制御手段やトナー濃度/トナー位置検知制御手段などとして機能する。RAM402は、CPU401での処理に必要な各種データや処理途中のデータなどを一時的に記憶するワークメモリとして機能する。ROM403は、各種プログラムや固定的データを予め記憶している。本実施形態では、該ROM403には、テストパターンを発生させるために必要なテストパターンの形成位置や濃度情報、テストパターンの階調を形成するためのバイアス条件、テストパターンのトナー濃度を推定するため反射型光学センサ出力の濃度変換情報が格納されている。A/D変換回路404は、各種のアナログ信号をデジタル信号(デジタルデータ)に変換する回路である。
【0084】
このプリンタ制御装置2090には、プリントコントローラ410が接続され、PC411やスキャナ412、FAX413等の上位装置からの画像情報をプリンタ制御装置2090に一元化した画像データとして送信する。
【0085】
また、プリンタ制御装置2090には、モータやクラッチ417を駆動する駆動回路415、画像形成に必要な電圧を発生する高圧発生装置416も接続されている。例えば、PC411からの画像情報のプリントを行う場合、PC411はプリンタドライバを用いて画像情報を送信する。プリントコントローラ410は、プリンタドライバからのプリント情報をCPU402に送り、CPU402は駆動回路415を介して駆動部の駆動を行い、画像形成ステーション418に信号を送り、画像形成ステーション418は前述の画像形成プロセスを実行する。
【0086】
また、プリンタ制御装置2090には、センサ装置2245や温湿度センサ414が接続されている。温湿度センサ414は当該カラープリンタ内の温度・想定温度を検知し、A/D変換回路404を通してCPU401に送る。センサ装置2245は、CPU401から前述の電流設定値、発光部選択値、発光部点灯信号を入力し、光の受光により電圧信号を出力し、A/D変換回路404を通してCPU401に送る。
【0087】
また、プリンタ制御装置2090には、テストパターン発生装置419が接続されている。テストパターン発生装置419は、CPU401の制御下で所定のテストパターンを発生して画像形成ステーション418に送り、画像形成ステーション418は中間転写ベルト上にトナーによるテストパターンを形成する。
【0088】
次に、プリンタ制御装置2090のCPU402がコンピュータプログラムに基づいて行う画像プロセス制御の詳細を説明する。図13は、画像プロセス制御全体の流れを示すフローチャートである。
【0089】
画像プロセス制御は、画像形成装置本体の電源スイッチがパワーオンされた時や、印刷が開始されたときに制御の必要の有無を判断し、必要であれば実行される(ステップ501,502)。
【0090】
パワーオン直後には、定着ヒーターの昇温時間や、プリントコントローラ410の準備時間が必要であり、かつはまた、それまで画像プロセス制御が実行されないままに放置された可能性や、使用環境が変化している可能性があるため、画像プロセス制御を実施することがある。また、印刷時(プリント時)にはトナーの補給や消費、感光体ドラムや中間転写ベルトの特性の変化が生じる可能性があり、画像プロセス制御を実施することがある。
【0091】
パワーオン直後は、感光体ドラムの回転停止時間が6時間以上あるか、または、装置内温度が10℃以上変化したか、さらには装置内の相対湿度が50%以上変化した場合に、画像プロセス制御を実行する。
【0092】
感光体ドラムの回転停止時間は、次のように求める。図12において、感光体ドラムの回転が停止したら、プリントコントローラ410の保持しているリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、RAM403に保存する。パワーオン時に同様にリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、その差分から感光体停止時間を求める。
【0093】
また、温度や湿度の変化は、感光体ドラム停止時に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得するとともに、パワーオン時にも同様に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得し、その差分から温度変化量、相対湿度変化量を求める。
【0094】
印刷時には、プリント枚数が所定の枚数に達したら印刷動作を中止して画像プロセス制御を実施する。この場合のプリント枚数は、予め実験等により求められるプロセス変動量によって決められる。またプリント枚数の他に、現像スリーブ305や中間転写ベルト105の走行距離等をしきい値にしてもよい。
【0095】
画像プロセス制御を必要と判断したら、センサ装置2245の各反射型光学センサの出力信号の較正処理(センサ出力信号較正処理)及び反射型光学センサの中で画像プロセス制御に使用する発光部を選択する選択処理(発光部選択処理)を実行する(ステップ503)。センサ出力信号較正処理では、反射型光学センサについて、中間転写ベルトにより反射された光が各受光部(光電変換部)で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する。発光部選択処理では、センサ出力信号較正処理の較正結果に基づいて、当該反射型光学センサ中で画像プロセス制御に使用する発光部(発光源)を選択する。例えば、最も駆動電流が小さい発光部を選択する。このセンサ出力信号較正処理及び発光部選択処理の詳細については後述する。
【0096】
次に、中間転写ベルト上の所定の位置にテストパターンを形成する(ステップ504)。すなわち、CPU401によりテストパターン発生装置419を制御するとともに、画像形成ステーション418を制御して、各反射型光学センサについて、上記選択された発光部の位置にくるようにテストパターンを形成する。
【0097】
上述の如くして、図6に示したようなテストパターンが中間転写ベルト上に形成される。すなわち、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rは、中間転写ベルト2040の主方向における有効画像領域内の中央部および両端付近の所定位置に形成される。また、その移動方向上流側には、濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yが、中間転写ベルト2040の主方向における有効画像領域内の中央部付近の所定位置に形成される。
【0098】
画像プロセス制御には、トナー画像の位置を合わせるためのトナー位置制御、画像濃度を維持するための画像濃度制御(現像ポテンシャル制御や階調制御)などがあり、どの制御を行うかによって、テストパターンの形成条件は異なる。
【0099】
トナー画像の位置を合わせるためのトナー位置制御は、トナー位置検知結果に基づいて行われる。このための位置検知用のテストパターンは、図6のテストパターン201CT、201L、201Rであるが、これらは以下に述べる同一の作像条件で、中間転写ベルト2040の有効画像領域内の中央部と両端付近の所定位置に形成される。
【0100】
位置検知用のテストパターン201CT等は高濃度であることが検知精度の観点から望ましい。例えば、後述の現像ポテンシャル制御で得られる、ベタ濃度が得られる作像条件で形成するのがよい。
【0101】
テストパターンは、1以上のトナーマークにより構成されるが、その主方向の大きさが、光スポットの主方向の大きさ:SDと発光部のピッチ:Pの和より大きいので、トナーマークに照射される光スポットはトナーマークを確実に照射できる。このため、トナーマーク検出の際の光の利用効率が高く、高精度のトナー位置検知が可能である。
【0102】
位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rは、何れも同一パターンであり、主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさを持つライン状のトナーマークと、同様のものを副方向に45°傾けた斜めライン状のトナーマークをK(ブラック)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)の順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。
【0103】
このように、トナーパターンの主方向の大きさ(1.0mm)は、反射型光学センサの主方向の発光部ピッチ(P=0.4mm)と中間転写ベルト2040上に照射される光スポットの主方向の大きさ(SD=0.4mm)との和(0.8mm)よりも大きくなっている。トナーパターンの主方向の大きさを1.0mmとしたことにより、従来のトナーパターンの大きさ15mm以上に比べて、1/15の不寄与トナー消費量低減が可能である。
【0104】
画像濃度を維持するためのトナー濃度制御は、トナー濃度検知結果に基づいて行われる。現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を維持するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。
【0105】
テストパターン201を検知して得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より現像γと現像開始電圧:Vkを求める。すなわち、必要な現像ポテンシャルを「−kV」単位で、所望の画像濃度(トナー濃度)および現像ガンマを共に「mg/cm2」単位で、現像開始電圧:Vkを「−kV」単位でそれぞれ表し、次式:
[必要な現像ポテンシャル]=[所望の画像濃度/現像γ]+[現像開始電圧:Vk]
を用い、所望の画像濃度を確保するのに必要な現像ポテンシャルを決定し、これに基づき作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定する。
【0106】
トナー帯電量と現像ポテンシャルが一定であれば、現像γはほぼ維持されるが、温湿度変化のある環境ではトナー帯電量の変化が避けられず、中間調領域の階調性が変化する。これを補正するために階調制御が行われる。階調制御も現像ポテンシャル制御と同等のテストパターンを用いることができる。
【0107】
光走査の光源が半導体レーザ(LD)である場合には、LDパワーを固定しておき、発光デューティを可変とすることで、テストパターン内のパッチ毎のトナー濃度を異ならせることができる。
【0108】
階調制御では、得られた階調性と目標とする階調性との偏差がなくなるように階調補正用ルックアップテーブル(LUT)が適宜変更される。具体的には、その都度新しいLUTに書き換える方法や、予め用意した複数のLUTから最適なものを選択して切り換える方法などがある。
【0109】
トナー濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yの各パッチは、主方向:1mm、副方向:2mmの大きさの長方形に形成される。副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。
【0110】
テストパターン201K、201M、201C、201Yの各パッチの副方向の大きさは、後述するように受光部出力を取得する平均化回数に応じて決定されるが、上記のように2mmに設定するなら、副方向も含めた小パッチ化により、合わせて1/100程度の不寄与トナー消費量低減が可能となる。
【0111】
上記のように、中間転写ベルト上にトナー位置検知用および濃度検知用のテストパターンが形成されたら、センサ装置2245を構成する反射型光学センサ2245a〜2245cを用い、まず、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rのトナー位置検知を行う(ステップ505)。トナー位置検知では、反射型光学センサ2245a〜2245cの受光部出力からテストパターン201の各パッチのトナー位置を算出する。反射型光学センサ2245a〜2245cを用いるトナー位置検知の詳細は後述する。
【0112】
次に、反射型光学センサ2245aを用いて、濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yによるトナー濃度検知を行う(ステップ506)。トナー濃度検知の詳細についても後述する。
【0113】
次に、トナー位置検知及びトナー濃度検知の結果から、画像形成ステーションの各特性値を求めるための演算処理が実行される(ステップ507)。演算処理では、算出されたトナー位置により画像位置補正に関する演算処理が実行される。すなわち、各色のレジストずれや走査線傾き、色ズレなどの補正である。色ズレは、ある色(例えばK:ブラック)を基準としたときの、それ以外の色(説明中の例でM:マゼンタ、C:シアン、Y:イエロー)のズレとして定義される。また、各パッチのトナー濃度の算出結果から、前述の現像γや現像開始電圧Vkを決定するための演算が実行される。これらを求めるための直線近似には「最小2乗法」が適用できる。また、ルックアップテーブル(LUT)を変更するための演算処理も実行される。
【0114】
演算処理の後、作像条件、LUT、および画像位置補正量などの画像プロセス条件が決定される(ステップ508)。
【0115】
ここで、図13に示した画像プロセス制御おけるトナー位置検知の処理について詳しく説明する。トナー位置検知は、反射型光学センサ2245a〜2245cを用いて、図6に示した位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rを使って行われる。以下では、反射型光学センサ2245aとテストパターン201CTとによるトナー位置検知の場合を例にとって説明する。なお、反射型光学センサ2245bおよび2245cによる場合も同様である。
【0116】
図14は、図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aを用いて、図6に示した位置検知用のテストパターン201CTを取得する様子を示している。図の上下方向が主方向で、左右方向の左向きが副方向である。照射系の発光源E1〜E11と、受光系の光電変換部D1〜D11とは主方向において同じ位置に位置し、光電変換部D1〜D11の配列ピッチは、発光源E1〜E11の配列ピッチと等しい。
【0117】
先に、図6を参照して説明したように、位置検知用のテストパターン201CTは主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさのライン状トナーマークと、同様のものを45°傾けた斜めライン状トナーマークを、マゼンタ、ブラック、シアン、イエローの順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。なお、各ライン状トナーマークの主方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部のピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。発光部ピッチ:Pと、光スポットの主方向の大きさ:SDは略同じである。
【0118】
テストパターン201CTにおいては、副方向(図の左右方向)の下流側(反射型光学センサ側)から上流側へ向かって、主方向に平行なライン状トナーパターンLPM1、LPK1、LPC1、LPY1が等間隔に形成され、その上流側には主方向に対して45度傾いた斜めライン状トナーパターンLPM2、LPK2、LPC2、LPY2が等間隔に形成されている。ライン状トナーパターンLPM1と斜めライン状トナーパターンLPM2とはマゼンタトナーにより、ライン状トナーパターンLPK1と斜めライン状トナーパターンLPK2とはブラックトナーにより、ライン状トナーパターンLPC1と斜めライン状トナーパターンLPC2とはシアントナーにより、ライン状トナーパターンLPKYと斜めライン状トナーパターンLPKYとはイエロートナーにより、それぞれ形成される。
【0119】
図14では、テストパターン201CTは、ライン状トナーマークLPK1等の主方向の中心位置が、反射型光学センサ2245aの発光源E3の中心位置に合致するように、中間転写ベルト上に形成されているものとする。すなわち、発光部選択処理において、反射型光学センサ2245aについては発光部(発光源)E3が選択されたとする。
【0120】
テストパターン201CTの主方向の位置は「発光源E3の位置である」ので、反射型光学センサ2245aの発光部はE3のみをパルス発光させる。受光部出力の取得は光電変換部D1〜D5の5つで行うこととし、受光部出力取得のタイミングは、図14に示すように、テストパターンが光スポット位置を通過するタイミングにあわせて、発光源E3をパルス発光させ、それに合わせて光電変換部D1〜D5でのサンプリングを行って受光部出力を取得するものとする。
【0121】
図14において、ライン状トナーマークLPM1は、中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポット照射領域に近づいていく。ライン状トナーマークLPM1が形成されるタイミングは既知であるので、形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光源E3のパルス発光を開始する。
【0122】
まず、ライン状トナーマークLPM1に先立って、発光源E3がパルス発光して中間ベルトの表面を照射し、そのタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5がサンプリングされ受光部出力を取得する。
【0123】
中間転写ベルトの表面は滑らかであり、発光源E3からベルト表面に照射される光スポットの中間転写ベルト表面での反射は略正反射と見なすことができ、発光源E3に対応する光電変換部D3と、これに隣接する光電変換部D2、D4の計3個で受光される。残りの光電変換部D1及びD5では反射光は受光されない。
【0124】
すなわち、発光源Eiからの光スポットが中間転写ベルト表面に照射されてベルト表面により正反射されるときは、反射光は、発光源Eiに対応する光電変換部Diとこれに隣接する光電変換部Di±1でのみ受光される。このときの光電変換部D1〜D5の受光部出力分布を図16(a)に示す。図の横軸のD(ALL)は5個の光電変換部D1〜D5の出力和を表し、縦軸は光電変換部D3の受光部出力を1に規格化した値である。
【0125】
テストパターン201CTが副方向に移動し、最初のライン状トナーマークLPM1が光スポット位置を通過する間も発光源E3がパルス発光し、光電変換部D1〜D5がサンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0126】
中間転写ベルト上に形成されたベタのライン状トナーマークLPM1に照射された光スポットの反射光は、ライン状トナーマークLPM1を構成するマゼンタトナーにより表面反射された正反射光と、散乱された拡散反射光からなり、光電変換部D1〜D5の計5個で受光された。このときの受光部出力分布を図27(b)に示す。ライン状トナーマークLPM1では、中間転写ベルト上にトナーが存在するため受光部出力分布は、図16(a)の受光部出力分布(中間転写ベルトでの反射による)と異なる。すなわち、図16(b)の受光部出力分布は、ライン状トナーパターンLPM1を構成するトナーによる正反射光が発生することによるものである。
【0127】
テストパターン201CTがさらに副方向に移動し、ライン状トナーマークLPK1が光スポット位置を通過する間も受光部D1〜D5はサンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0128】
ライン状トナーマークLPK1に照射された光スポットの反射光は、ライン状トナーマークLPM1に対してトナーの色が異なるためライン状トナーマークLPM1を構成するマゼンタトナーにより拡散された拡散反射光がないため、光電変換部D2〜D4の計3個で受光される。その結果、受光部出力分布は図16(c)に示す如くになる。
【0129】
同様にして、ライン状トナーパターンLPC1、LPY1、LPM2、LPK2、LPC2、LPY2に対して受光部出力分布を取得する。
【0130】
このようにして、テストパターン201CTからの反射光、すなわち受光部出力分布を取得できる。得られた受光部出力を用いて、トナー位置演算を行う。
【0131】
この演算を行うにあたり、中間転写ベルトおよびトナーパターンからの正反射光を用いる方式と拡散反射光を用いる方式があるが、正反射光を用いる方式が一般的であるので、本実施形態においても、この方式で説明する。
【0132】
また、図16(a)に示したように、発光源E3に対して、正反射光は光電変換部D2、D3、D4で受光されているが、ここでは演算の簡略化のため、発光源E3に対向する光電変換部D3のみを用いて演算する。被検物が中間転写ベルトであってもトナーパターンであっても、正反射光に着目すれば、光電変換部D2の受光部出力は、光電変換部D3の受光部出力の定数倍となるため、光電変換部D3のみでも十分である。
【0133】
トナー位置演算では、受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割して得られる分割出力のいずれか(本実施形態では上記のように正反射光の分割出力)、に基づきトナー位置を演算的に求める。受光部出力を正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分割する手法は、後述するトナー濃度の演算における場合と同様であるので、ここでは省略する。
【0134】
プリンタ制御装置2090(CPU401)は、発光源E3に対応する受光部の光電変換部D3の出力信号を時間的に追跡する。発光源E3がパルス発光し、光電変換部D3でサンプリングされて得られた受光部出力を、図17に示す。
【0135】
発光源E3の発光出力は中間転写ベルト検知時にほぼ4Vとなるように発光出力が調整されており、発光源に供給する電流値で制御している。光電変換部D3の出力信号は、中間転写ベルトを検知しているときは出力が高く、テストパターン(ライン状トナーパターン、斜めライン状トナーパターン)を検知しているときには出力が低くなる。また、ブラックトナーによる出力はカラートナーによる出力よりも低下が大きくなり、斜めライン状トナーパターンはライン状トナーパターンよりもプロファイルの幅が大きくなる。中間転写ベルトを検知しているときの信号出力をVsgと呼ぶことにする。中間転写ベルトおよびトナーパターンの出力信号からトナー位置を算出する。
【0136】
プリンタ制御装置2090は、光スポットがライン状トナーパターンLPM1を照射してから次のライン状トナーパターンLPK1を照射するまでの時間:Tkm、光スポットがライン状トナーパターンLPK1を照射してからライン状トナーパターンLPC1を照射するまでの時間:Tkc、光スポットがライン状トナーパターンLPK1を照射してからライン状トナーパターンLPY1を照射するまでの時間:Tkyを検出する。
【0137】
プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm1、Tkc1、Tky1が、これらに対して予め設定されている基準時間と同じであれば、トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正であると判断する。
【0138】
時間:Tkm1、Tkc1、Tky1が基準時間と異なる場合は、トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがあると判断する。この場合、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm1、Tkc1、Tky1の基準値からの時間差から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量を光走査装置に通知する。光走査装置は上記ずれ量が0となるように、対応するステーションにおける光走査開始のタイミングを調整する。
【0139】
図18(a)は、テストパターン201CTのライン状トナーパターンLPK1とLPC1との関係において、ライン状トナーパターンLPC1が副方向に距離:ΔS1だけずれた場合の出力信号の様子を示す。この場合、時間:Tkcは、基準時間に対し、中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS1から求められる時間:ΔT1(=ΔS1/V)だけ大きくなる。
【0140】
次に、プリンタ制御装置2090は、光スポット光が斜めライン状トナーパターンLPM2を照射してから斜めライン状トナーパターンLPK2を照射するまでの時間:Tkm2、斜めラインパターンLPC2を照射するまでの時間:Tkc2、斜めライン状トナーパターンLPY2を照射するまでの時間:Tky2を検出する。
【0141】
そして、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2を、これらに対して予め設定されている基準時間と比較する。時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がいずれも、設定されたそれらの基準時間と同じであれば、トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正であると判断し、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がそれぞれの基準時間と異なれば、トナー画像相互の主方向に関する位置関係にずれがあると判断する。
【0142】
図18(b)は、斜めライン状トナーパターンLPK2に対して、斜めライン状トナーパターンLPC2が主方向に距離:ΔS2だけずれた場合の出力信号の様子を示す。この場合、時間:Tkc2は、基準時間よりも、中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS2から求められる時間:ΔT2だけ大きくなる。
【0143】
このとき、プリンタ制御装置2090は、次の(1)式を用い、マゼンタトナー画像の主方向に関する位置ずれ量:ΔS2を求める。
ΔS2=V・ΔT2・cot45° ・・・(1)
位置ずれ量;ΔS2は、光走査装置に通知される。光走査装置は位置ずれ量:ΔS2が0となるようにCステーションを制御する。
【0144】
以上の説明と全く同様にして、図6に示す反射型光学センサ2245b、2245cとテストパターン201L、201Rを使って、中間転写ベルト2040の主方向の有効画像領域の両端部近傍での位置ずれを検知できる。
【0145】
次に、図13に示した画像形成プロセス制御におけるトナー濃度検知の処理について説明する。トナー濃度検知は、トナー位置検知に続いて、反射型光センサ45aを用いて行なわれる。
【0146】
図19は、図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aを用いて、図6に示したマゼンタトナーによる濃度検知用のテストパターン201Mを構成する5個のパッチM1〜M5からの反射光を取得する様子を示している。なお、図6ではパッチ数を4個に省略している。
【0147】
先に、図6を参照して説明したように、トナー濃度検知用のテストパターンはそれぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色トナーにより形成されるが、図19に示すテストパターン201Mはマゼンタトナーにより構成されたものを示している。このテストパターン201Mは、濃度を5階調に変化させた5個の矩形状パッチM−1〜M−5を副方向に形成したものである。
【0148】
テストパターン201Mは、濃度階調の異なる5個の矩形状パッチの集合であるが、これら濃度階調の異なる矩形状パッチは光走査の光源に用いられる半導体レーザの発光デューティの調整によって形成できる。また面積階調法によって濃度を変えることもできる。
【0149】
テストパターン201Mを構成する5個の矩形状パッチの濃度は、矩形状パッチM−1が最も低く、M−2、M−3、M−4、M−5の順に濃度が高くなる。また、テストパターン201Mの前方(下流側)に、パッチのない中間転写ベルトからの反射光を受光するための領域「BELT」を持つ。
【0150】
各矩形状パッチは主方向に1mm、副方向に2mmの大きさに形成される。副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。なお、各矩形状パッチの主方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部のピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。
【0151】
ここでも、テストパターン201Mの主方向の位置は「発光源E3の位置である」とし、反射型光学センサ2245aの発光部はE3のみをパルス発光するとする。受光部出力の取得は光電変換部D1〜D5の5つで行うこととし、受光部出力取得のタイミングは、テストパターンが光スポット位置を通過するタイミングにあわせて、発光源E3をパルス発光させ、それに合わせて光電変換部D1〜D5でのサンプリングを行って受光部出力を取得するものとする。
【0152】
図19において、テストパターン201Mは、中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポット照射領域に近づいていく。テストパターン201Mが形成されるタイミングは既知であり、該テストパターン201Mが形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光源E3のパルス発光を開始する。
【0153】
先ず、テストパターン201Mの前方の矩形状パッチがない中間転写ベルト位置「BELT」で、発光源E3がパルス発光し、そのタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ受光部出力を取得する。
【0154】
中間転写ベルトの表面は滑らかであり、発光源E3からベルト表面に照射される光スポットの中間転写ベルト表面での反射は略正反射と見なすことができ、発光源E3に対応する光電変換部D3と、これに隣接する光電変換部D2、D4の計3個で受光された。残りの光電変換部D1及びD5では反射光は受光されない。
【0155】
すなわち、発光源Eiからの光スポットが中間転写ベルト表面に照射されてベルト表面により正反射されるときは、反射光は、発光源Eiに対応する光電変換部Diとこれに隣接する光電変換部Di±1でのみ受光される。このときの光電変換部D1〜D5の受光部出力分布を図20(a)に示す。図の横軸のD(ALL)は、5個の光電変換部D1〜D5の出力和を表し、縦軸は、光電変換部D3の受光部出力を1に規格化した値である。
【0156】
テストパターン201Mが副方向に移動し、最初の矩形状パッチM−1が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチM−1の副方向中央付近が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0157】
中間転写ベルト上に形成された矩形状パッチM−1に照射された光スポットの反射光は、矩形状パッチを構成するトナーにより散乱された拡散反射光と、中間転写ベルト表面で反射された正反射光とからなり、光電変換部D1〜D5の計5個で受光される。このときの受光部出力分布を図20(b)に示す。矩形状パッチM−1では、中間転写ベルト上にトナーが存在するため受光部出力分布は、図20(a)の受光部出力分布(中間転写ベルトでの反射による)と異なる。図20(b)の受光部出力分布は、矩形状パッチM−1を構成するトナーによる拡散反射光が発生するとともに、中間転写ベルト表面からの正反射光が減ることによるものである。
【0158】
テストパターン201Mがさらに副方向に移動し、矩形状パッチM−2が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチM−2の副方向の中央付近がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて受光部D1〜D5は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0159】
矩形状パッチM−2は、矩形状パッチDP1−1に対してトナー濃度がより高濃度であるため、矩形状パッチM−1におけるよりもトナーによる拡散反射光が増え、中間転写ベルト表面からの正反射光がさらに減少する。その結果、受光部出力分布は図20(c)に示す如くになる。
【0160】
同様にして、矩形状パッチM−3〜M−5に対して取得された受光部出力分布を図20(d)〜(f)に示す。
【0161】
このようにして、中間転写ベルト部分(「BELT」)、及び5階調の矩形状パッチM−1〜M−5からなるテストパターン201Mからの反射光、すなわち受光部出力分布を取得できる。
【0162】
プリンタ制御装置2090(CPU401)は、発光源E3に対応する受光部の光電変換部D1〜D5の出力信号、を時間的に追跡する。発光源E3がパルス発光し、光電変換部D1〜D5でサンプリングされて受光部出力が得られる。例として、得られる光電変換部D3の受光部出力信号を図21に示す。この出力信号から、トナー濃度を求める。
【0163】
以下に、矩形状パッチM−1の場合を例に取り、トナー濃度の演算方法を説明する。
中間転写ベルト上にテストパターンが存在しない場合、図22(a)に模式図として示すように、中間転写ベルトに照射されるスポット光は、中間転写ベルト表面で略全ての光が正反射する。
【0164】
発光源E3からの検出用光の中間転写ベルト表面による反射光を5つの光電変換部D1〜D5で受光すると、3つの光電変換部D2〜D4における受光部出力は0でないが光電変換部D1とD5における受光部出力は0となっている。これは、中間転写ベルトからの正反射光が、反射型光学センサ2245aの受光用マイクロレンズアレイ上において、光電変換部D2〜D4に対応する受光用マイクロレンズLD2〜LD4に入射するビームサイズを有しているからである。すなわち、上記正反射光は主方向に広がりつつ、受光用マイクロレンズLD3とその両隣の受光用マイクロレンズLD2、LD4に入射し、光電変換部D2〜D4に入射するが他の受光用マイクロレンズには実施的に入射せず、他の光電変換部に入射しない。
【0165】
中間転写ベルト上にテストパターン(矩形状パッチ201M)が存在する場合、図22(b)の模式図に示すように、中間転写ベルトおよびトナーに照射される光スポット、は中間転写ベルト表面から正反射される光と、少なくとも1回はトナーで反射・屈折されることにより散乱される散乱光に大別される。後者の散乱光は、中間転写ベルト表面から正反射される方向と同一方向に散乱されるものも含むが、その光量は少なく、中間転写ベルト表面から正反射される光と区別できないので無視して考えられる。
【0166】
中間転写ベルトに起因する反射光を正反射寄与分、トナーに起因する反射光を拡散反射寄与分とする。このように、中間転写ベルト及びトナーからの反射光は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とを含むので、5つの光電変換部D1〜D5の受光部出力は何れも0にならない。これは拡散反射された光が、反射型光学センサの受光用マイクロレンズアレイ上において、光電変換部D1〜D5に対応する受光用マイクロレンズLD1〜LD5に入射するビームサイズを有しているからである。
【0167】
発光源E3が発光したとき、光電変換部D3は正反射光しか受光しないため、その受光部主力は正反射光寄与分のみを含んでいるが、受光部D3を除く他の4つの受光部D1、D2、D4、D5における受光部出力は全て拡散反射寄与分を含んでいる。
【0168】
2つの光電変換部D1とD5における受光部出力は拡散反射寄与分のみを含む。これは、光スポットが中間転写ベルトのみを照射するとき、中間転写ベルトによる正反射光が3つの光電変換部D2〜D4のみで受光される結果である。
【0169】
したがって、2つの光電変換部D2とD4での受光部出力は、発光源E3からの光スポットにより照射された矩形状パッチM−1による正反射寄与分と拡散反射寄与分とが混在したものとなる。すなわち、図23のように、得られた受光部出力は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分割することが可能である。
【0170】
正反射寄与分と拡散反射寄与分とが混在した光電変換部D2とD4において、その混在比率を求める方法を説明する。
中間転写ベルトに対する受光部出力分布は正反射寄与分そのものであり、図20(a)に示されるように既知である。そこで、図20(b)に示された矩形状パッチM−1に対する受光部出力分布から、図20(a)に示された中間転写ベルトに対する受光部出力分布を定数倍して差し引くことにより、矩形状パッチM−1での反射光の光電変換部D2、D4の受光部出力から拡散反射寄与分のみを抽出できる。この定数をα1とすると、これは以下のように決定される。
【0171】
発光源E3の発光による矩形状パッチM−1に対する光電変換部D3の受光部出力は正反射寄与分であるから、図20(b)における光電変換部D3の受光部出力と、図20(a)の光電変換部D3の受光部出力の定数:α1倍とが等しくなるように、定数:α1を求めればよい。
【0172】
このようにして、図20(a)の受光部出力分布を定数:α1倍した正反射寄与分と、図20(b)の受光部出力分布から図20(a)の出力分布を定数:α1倍した正反射寄与分を差し引いた拡散反射寄与分とに分割できる。
【0173】
すなわち、図20(a)における光電変換部D3の受光部出力をAとし、図20(b)における光電変換部D3の受光部出力をA1とすると、Aは正反射寄与分のみ、A1は、正反射寄与分:Aとなるべき部分から矩形状パッチM−1中のトナーによる拡散反射により減少した部分である。
そこで、α1・A=A1
とすると、拡散反射寄与分は、
A−α1・A=(1−α1)A
となる。
【0174】
従って、発光源E3からの光スポットが矩形状パッチM−1を照射しているときの正反射寄与分はA1すなわちα1・Aとなり、拡散反射寄与分は(1−α1)Aとなり、両寄与分を分離できる。
【0175】
同様に、図20(c)〜(f)の各濃度のパッチM−2〜M−5についても、図24〜図27に示すように、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分離できる。このときは、上記定数:α1に代えて、各々定数:α2〜α5(上記と同様にして定められる。)を用いれば良い。
【0176】
矩形状パッチM−1〜M−5の個々に対し、上記のように分割した正反射寄与分と拡散反射寄与分について、各光電変換部の受光部出力:Di(便宜上、光電変換部の符号を記号として用いる。)の和をD(ALL)=D1+D2+D3+D4+D5とするとき、各矩形状パッチに対してD(ALL)をプロットしたのが図28である。
【0177】
正反射寄与分の和:D(正)については光電変換部D1の受光部出力:D1、光電変換部D5の受光部出力:D5が、ともに0であるから、
D(ALL)≡D(正)=D3+(D2とD4の正反射寄与分)
となる。
拡散反射寄与分の和:D(拡)については、光電変換部D3の受光部出力:D3が0であるから、
D(ALL)≡D(拡)=D1+(D2とD4の拡散反射寄与分)+D5
となる。
【0178】
図28(a)に示す正反射寄与分の和:D(正)は、矩形状パッチM−1〜M−5の順に、トナー濃度が高くなるにつれて減少している。これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度とD(正)は1対1対応している。換言すれば、演算されたD(正)に対応するトナー濃度が求められる。
【0179】
これに対し、図28(b)に示す拡散反射寄与分の和:D(拡)は、矩形状パッチM−2に対して極大となっており、単調な関数になっていない。従って、図28(b)に示すD(拡)から、トナー濃度とD(拡)との関係を得ることは可能ではあるが必ずしも容易ではない。
【0180】
直感的に考えると、D(拡)は矩形状パッチを構成するトナーの濃度が高くなるに従い、付着トナーが多くなるので、拡散反射光の増加により増大するように思われるが、図28(b)ではそのようになっていない。これは、前述した定数:α1〜α5を用いて受光部出力結果を差し引き演算していることに起因している。
D(拡)/D(正)を求めた結果が図29である。ここで、縦軸:D(拡)/D(正)は、矩形状パッチをなすトナーの濃度が、パッチM−1〜M−5の順に高くなるにつれて増加する単調な関数になっている。従って、このD(拡)/D(正)を演算すれば、各矩形状パッチ(図30の横軸)に対応したトナー濃度が求められる。
【0181】
図30(a)に、図28(a)に示す正反射寄与分を基準値(ここでは中間転写ベルト表面による正反射寄与分)で規格化した相対正反射率を示す。また、図33(b)に、図29に示したD(拡)/D(正)を基準値(ここでは最大濃度での拡散反射寄与分)で規格化した値を示す。
【0182】
このように拡散反射寄与分の和:D(拡)を正反射寄与分の和:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を用いて新たな値を求め、これからトナー濃度を求めても良い。
【0183】
上記のような算出アルゴリズムを用い、上記D(正)や、D(拡)/D(正)を算出し、これからトナー濃度:[mg/cm2]を得ることができる。
【0184】
上述したトナー位置演算において、図14のテストパターン201CTに対する受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割する場合にも上記手法を同様に適用し、正反射光のみ又は拡散反射光のみについての受光部出力を取得すればよい。
【0185】
また受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割する方法については上述した方法に限定されているものではない。
【0186】
次に、図13に示した画像プロセス制御におけるセンサ出力信号較正処理及び発光部選択処理(ステップ503)について説明する。
【0187】
センサ出力信号較正処理では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、中間転写ベルトで反射された光を受光した各受光部(光電変換部)が所定の電圧値(例えば4V)を出力するように較正する。
【0188】
図31に、センサ出力信号較正信号処理の一実施形態のフローチャートを示す。ここでは、図10に示した反射型光学センサ2245aを例にセンサ出力信号較正処理を詳述する。
【0189】
まず、発光源E1を選択するように発光部選択値Mを1に設定し(ステップ601)、発光源E1を選択する(ステップ602)。次に、電流設定値に初期電流値を設定し(ステップ603)、発光部点灯信号を“H”状態にして、発光源E1を点灯させる(ステップ604)。発光源E1による光は中間転写ベルトで反射され、光電変換部で受光される。いま、発光源がE1であるので、それに正対している光電変換部D1の出力電圧Vd1のレベルを検出し(ステップ605)、そのレベルが所定のレベル(例えば4V)かどうかを判定する(ステップ606)。もし所定のレベルに達していない時は、電流値の変更を行う(ステップ607)。電流値変更では、出力電圧が所定のレベルより低い時は発光源の駆動電流を大きくし光量を上げるようにする。出力電圧が所定のレベルより高い時は発光源の駆動電流を小さくし光量を下げるようにする。電流値変更の後、再び光電変換部の出力電圧Vd1のレベルの検出を行い(ステップ605)、そのレベルが所定のレベル(例えば4V)かどうかを判定する(ステップ606)。所定のレベルに達していない時は、再び発光源E1の駆動電流を変更する。これを所定のレベルに達するまで繰返し行う。所定のレベルに達したら、その時の駆動電流値を保存し(ステップ608)、発光源E1を消灯する(ステップ609)。同様の較正処理を発光源E2〜発光源E11に順次実施する(ステップ610,611)。
【0190】
これにより、反射型光学センサ2245aについて、中間転写ベルトで反射された光を受光したときの光電変換部D1〜D11の出力電圧を所定のレベルにするための発光源E1〜E11の駆動電流を取得することができる。
【0191】
図32に、反射型光学センサ2245aの発光源E1〜E11について上述した較正処理により得られた駆動電流値の一例を示す。
【0192】
反射型光学センサ2245b,2245cについても、同様にして、中間転写ベルトで反射された光を受講した時の各受光部(光電変換部)の出力電圧を所定のレベルにするための各発光光源の駆動電流を取得することができる。
【0193】
発光部選択処理では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、トナー位置検知および/またはトナー濃度検知で使用する発光部(発光源)を選択する。発光源の選択は、上述した較正処理で得られた駆動電流値で最も小さい値の発光源を選択するようにする。例えば反射型光学センサ2245aの場合、図32(a)では、発光源E4の電流値が最も小さいので、発光源E4を選択するようにする。反射型光学センサ2245b,2245cについても、同様にして、電流値が最も小さい発光源を選択するようにする。
【0194】
先に述べたように、図13のテストパターン作成処理(ステップ505)では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、上述の発光部選択処理で選択された発光部(発光源)の位置にテストパターンが来るように、中間転写ベルト上にテストパターンを形成する。例えば、反射型光学センサ2245aについては、は光源E4の位置に来るように、トナー位置検知用とトナー濃度検知用のテストパターンを形成する。反射型光学センサ2245b,2245cについては、選択された発光源の位置に来るように、トナー位置検知用のテストパターンを形成する。
【0195】
上述のセンサ出力信号較正及び発光部選択の機能により、トナー位置検知や、トナー濃度検知を最も駆動電流が小さい発光源を使用して行うことができるので、反射型光学センサを低消費電流で使用することができる。
【0196】
なお、図7〜図9に示す反射型光学センサ2245aにおいて、トナー位置検知、トナー濃度検知を発光源1つに対して光電変換部を5つ使用して行う場合には発光源E3〜発光源E9の中で最も駆動電流が小さい発光源を選択するようにすればよい。同様に、トナー位置検知、トナー濃度検知を発光源1つに対して光電変換部を3つ使用して行う場合には発光源E2〜発光源E10の中で最も駆動電流が小さい発光源を選択するようにすればよい。これは、反射型光学センサ2245b,2245cでも同様である。
【0197】
次に、センサ出力信号較正処理の別の実施形態について説明する。
上述の実施形態では、図31に示すように、画像プロセス制御が必要となる都度、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、発光源E1〜E11を全て順次点灯して、光電変換部D1〜D11の出力電圧が所定のレベルになるように発光源E1〜E11の駆動電流を較正していた。
【0198】
これに対し、本実施形態では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、一度、上述のように発光源E1〜E11の駆動電流を較正した後、再び画像プロセス制御が必要になった場合には、前に選択された発光源についてのみ駆動電流の較正を行い、その時に得られた駆動電流値で前に保存してある駆動電流値を書き替えるようにする。
【0199】
発光部選択処理は先の実施形態と同様である。すなわち、新たに書き替えられた駆動電流値とそれ以外の既に較正済みの駆動電流値の中で最も小さい値の発光源を選択するようにする。
【0200】
本実施形態によれば、較正時間を短くすることができる。また、較正のために他の発光源を点灯させることがないので、他の発光源は較正のための点灯による劣化はなくなる。そのため、反射型光学センサの寿命を長くすることができる。
【0201】
例えば、反射型光学センサ2245aでは、上述のように、始めは発光源E4が最も駆動電流が小さいので発光源E4が選択され、発光源E4を用いてトナー位置検知、トナー濃度検知が行われる。そして、画像プロセス制御が必要になる度に、発光源E4の駆動電流を較正し、その値が最小の間は、発光源E4を用いてトナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し行う。トナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し行っていくと発光源E4は徐々に劣化し、同じ電流に対する光量が下がっていく。較正により光電変換部の出力電圧が所定レベルになるように駆動電流を調整するが、その駆動電流が徐々に増えていく。
【0202】
図32(b)は発光源E4を使用してトナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し実施した後の駆動電流値の例である。図32(b)に示すように発光源E4の電流値は図32(a)のときより増えている。そして、図32(a)で2番目に電流が少ない発光源E7よりも大きくなっている。発部選択処理では、電流値が最も小さい発光源を選択するようにしているので、図32(b)の場合、発光源E7が選択されるようになる。
【0203】
以上のように、発光部(発光源)が劣化していって駆動電流が増えても、別の発光部に切り替えるで、駆動電流を少なくすることができるので、反射型光学センサーを低消費電流で使用することができる。
【0204】
以上、実施形態では、反射型光学センサは説明の簡単のため、発光部および受光部が11個の場合を説明したが、発光部数も受光部数もこれに限るものではなく、さまざまな組み合わせが可能である。また、表面が滑らかな転写ベルト(表面での反射が正反射のみ)の場合を説明したが、表面が滑らかでない転写ベルト(表面での反射が拡散反射も含む)についても適用できる。すなわち、適宜の手段を用いて正反射体による検知出力分布を測定できれば、それを用いて正反射寄与分と拡散反射寄与分に分離することが可能である。
【0205】
また、図33に示すように、2個の反射型光学センサ2245a,2245a’を中間転写ベルトの両端のような有効画像領域外に配置し、そこにテストパターンを作成し、トナー濃度検知、トナー位置検知を行う場合においても適用することが可能である。
【0206】
また、これまでの実施形態では、反射型光学センサは発光部と受光部の数が同じ場合について説明したが、図34に示すように発光部と受光部の数が異なる場合にも適用できる。図34においては発光源E1と光電変換部D3、発光源E2と光電変換部D6、発光源E3と光電変換部D9と正対するものどうしで較正を行うようにする。
【符号の説明】
【0207】
2010 光走査装置
2030a〜2030d 感光体ドラム
2040 中間転写ベルト
2090 プリンタ制御装置
2245 センサ装置
419 テストパターン発生装置
2245a〜2245c 反射型光学センサ
E1〜E11 発光部(発光源)
D1〜D11 受光部(光電変換部)
201L,201CT,201R トナー位置検知用テストパターン
201K,201M,201C,201Y トナー濃度検知用テストパターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】
【特許文献1】特開2007−286176号
【特許文献2】特開2009−216930号
【特許文献3】特開2010−039460号
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。詳しくは、画像形成装置のトナー濃度および/またはトナー位置検知のための反射型光学センサの駆動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として電子写真方式を用いた画像形成プロセスでは、常に安定した画像濃度が得られるようにするため、次の如き「トナー濃度制御」が行われる。即ち、感光体や転写ベルトに「露光強度や帯電バイアス電位、現像バイアス電位等の作像条件」を異ならせて、トナー濃度の異なる複数の「トナー濃度検知用のパッチ」によるテストパターンを形成する。この形成されたテストパターンに光を照射し、反射光を検知し、検知量に対して所定のアルゴリズムによる演算を施して「各パッチのトナー濃度」を求める。このようにして求められた「各パッチのトナー濃度」と、このパッチを形成した作像条件における現像ポテンシャルとの関係に基づき、現像γと現像開始電圧Vkを求める。「現像γ」は、現像ポテンシャルを横軸、トナー濃度を横軸とする「現像ポテンシャル・トナー濃度座表面」上における現像ポテンシャルとトナー濃度の関係を表す「γ曲線」の傾きであり、「現像開始電圧」は、上記現像ポテンシャル・トナー濃度におけるγ曲線の「横軸切片」である。求められた「現像γ」に基づき、トナー濃度が適正となる現像ポテンシャルが実現されるように、露光強度、帯電バイアス電位、現像バイアス電位などの作像条件を調整する。
【0003】
また、画像形成装置として電子写真方式を用いた画像形成プロセスでは、常に適正な画像が得られるようにするため、トナー画像の位置を正確に制御している(トナー位置制御)。トナー画像の位置が適切に調整できないと、画像書き出し位置がずれてしまうレジストずれ、トナー画像の長さ誤差となる倍率ずれ、さらにこれらが各色のトナー画像間で相対的にずれる色ずれなど、様々な異常画像を生じる原因となる。そのため、感光体や転写ベルトに、互いに色の異なる複数のトナー位置検知用のマークによるテストパターンを形成する。トナー濃度制御と同様に、形成されたテストパターンに光を照射し、反射光を検知し、検知量に対して所定のアルゴリズムによる演算を施して、相互の色間のトナー位置ずれを求める。求められたトナー位置ずれに基づき、トナー画像の位置が適切になるように、書込タイミング、書込位置などの作像条件を調整する。
【0004】
画像形成装置において、このようなトナー濃度制御やトナー位置制御を正確に行うためには、トナー濃度検知用のパッチのトナー濃度やトナー位置検知用のマークのトナー位置を正しく知る必要がある。
【0005】
中間転写ベルト等に形成されたテストパターンに光を照射して、トナー濃度検知用のパッチやトナー位置検知用のマークの反射光を検知するのに用いられる反射型光学センサは、従来から種々のタイプのものが提案されている。例えば、特許文献1には、正反射光検知方式或いは拡散反射光検知方式の反射型光学センサが開示されている。これは、LDやLEDからなる1つの光源と、検知方式に応じて光源との配置関係や受光部の構成が変更される受光センサとから構成されている。また、特許文献2には、発光部として1個のLEDを用い、このLEDからの光をパッチに照射し、反射光を2個のフォトダイオードからなる受光部で受光する、正反射光/拡散反射光検知方式の反射型光学センサが開示されている。
【0006】
このタイプの反射型光学センサでは、テストパターンを照射する光スポットの大きさは2〜3mmが通常である。一方、形成される1つのトナー濃度検知用のパッチの大きさは、そのテストパターンの移動方向(例えば中間転写ベルトの移動方向;副方向)に直交する方向(主方向)に一般に15mm以上ある。なお、副方向の大きさも一般に15mm以上である。また、形成される1つのトナー位置検知用のマークの長さ(大きさ)も同様であり、そのテストパターンの移動方向に直交する方向(主方向)に一般に15mm以上ある。なお、副方向の幅(大きさ)は1mm程度が一般的である。
【0007】
テストパターンの主方向の大きさを光スポットの同方向の大きさより大きくしているのは、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差(光スポットの主方向の照射位置誤差(反射型光学センサの取り付け誤差や、発光部の取り付け誤差による光の照射方向ずれなどによって発生)や、テストパターンの主方向の位置誤差(テストパターン形成位置ずれや、感光体や中間転写ベルトの蛇行などによって発生))があっても、光スポットによりテストパターンを適正に照射することを意図したものである。
【0008】
テストパターンを形成するトナーは、本来の画像形成に寄与しない不寄与トナーとして消費される。このため、パッチやマークの面積が大きくなれば、それに比例して不寄与トナーの消費量も大きくなる。したがって、このパッチやマークの面積を小さくすることは、トナー消費の観点から、画像形成に係るランニングコストの低減につながる。
【0009】
不寄与トナーの消費量を低減するためには、テストパターンを構成する各パッチや各マークの面積を小さくすればよいが、上述のように、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差があっても光スポットによりテストパターンを適正に照射できるように、テストパターンの主方向の大きさを光スポットより大きくする必要があるため、トナーパッチやトナーマークを小さくすることには限度がある。換言すれば、光スポットとの位置誤差に対する余裕度を持たせるという考え方がトナーマークの小面積化を阻害しているといえる。
【0010】
そのため、例えば、特許文献3では、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサを用い、従来のものよりも小さいテストパターンに対してトナー位置検知を行うことを提案している。これは、テストパターンの移動方向に直交する方向に直列的に並んだ光スポットの列を通過させることにより、テストパターンと光スポットに相対的な位置誤差があってもテストパターンを確実に補足することができる、という技術思想に基づくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
トナー濃度検知用のパッチやトナー位置検知用のマークの反射光検知に用いられる反射型光学センサは、上述したようにトナー濃度制御やトナー位置制御を行うために、LED等の発光部を発光させている。特許文献1や特許文献2に示す従来型の反射型光学センサでは、発光部は1個であり、副方向に移動するテストパターンに照射されている。このような反射型光学センサを長期間使用すれば発光部の劣化による発光出力が低下していってしまう。そのため、トナー濃度制御やトナー位置制御を行う前に、発光部の駆動電流を増加させることにより、発光部の光量を増やし受光部の出力が所定の値になるような調整を行っている。しかしながら、長時間使用するにつれ、劣化によって消費電流が徐々に増えていってしまうという問題がある。また、発光部は1個のため、トナーパッチやトナーマークを小さくすることには限界があり、トナー消費の観点からも問題がある。特許文献3では、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサを用いるため、テストパターンのサイズを小さくでき、不寄与トナーの消費量を軽減できるが、3個以上の発光゛を順次駆動する方式であり、消費電流が増加する問題は解消されない。
【0012】
本発明の課題は、上述の複数の発光部が主方向へ配列された反射型光学センサを用いることで、トナーパターンの大きさを小さくし、不寄与トナーの消費量を低減できることに加え、反射型光学センサを低消費電流で使用でき、安定したトナー濃度および/またはトナー位置検知制御を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成するテストパターン形成手段と、前記中間転写体上に形成されて副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサと、前記トナー濃度および/またはトナー位置の検知のために前記反射型光学センサを制御し、前記反射型光学センサの検知結果に基づき、画像形成プロセス条件を決定する制御手段とを有し、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成であって、
前記制御手段は、前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択する選択手段とを備え、
前記テストパターン形成手段は、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成することを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、3個以上の発光部と3個以上の受光部を有する反射型光学センサについて、発光部の駆動電流値に基づいてトナー濃度および/またはトナー位置検知に使用する発光部を選択し、該選択された発光部の位置にテストパターンを形成するようにするため、不寄与トナーの消費量低減に加え、最適な消費量電流で反射型光学センサを動作し、安定したトナー濃度および/またはトナー位置検知を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタの概略図である。
【図2】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図3】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図4】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図5】光走査装置の実施形態の構成図である。
【図6】反射型光学センサと中間転写ベルト上のテストパターンとの対応関係を示す図である。
【図7】反射型光学センサの一実施形態の概略構成図である。
【図8】反射型光学センサの一実施形態の発光部と受光部の対応関係を示す図である。
【図9】反射型光学センサによる中間転写ベルト上の照射の状態を示す図である。
【図10】反射型光学センサの回路構成を示す図である。
【図11】発光部選択値と発光部の対応関係を示す図である。
【図12】実施形態のカラープリンタの電気的回路構成を示す図である。
【図13】実施形態の画像プロセス制御の処理フローチャートである。
【図14】トナー位置検知用テストパターンを取得する様子を示す図である。
【図15】テストパターン通過と反射型光学センサの発光部、受光部の動作タイミングを示す図である。
【図16】反射型光学センサによるトナー位置検知用テストパターン検知の説明図である。
【図17】反射型光学センサによるトナー位置検知用テストパターンの出力信号を示す図である。
【図18】トナー位置検知の説明図である。
【図19】トナー濃度検知用テストパターンを取得する様子を示す図である。
【図20】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図21】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターンの出力信号を示す図である。
【図22】中間転写ベルト上のスポット光の照射領域を示す図である。
【図23】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図24】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図25】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図26】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図27】反射型光学センサによるトナー濃度検知の説明図である。
【図28】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図29】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図30】反射型光学センサによるトナー濃度検知用テストパターン検知の説明図である。
【図31】実施形態の画像プロセス制御におけるセンサ出力信号較正の処理フローチャートである。
【図32】実施形態の画像プロセス制御における発光部選択を説明する図である。
【図33】別の実施形態の中間転写ベルト上のテストパターンを示す図である。
【図34】別の実施形態の反射型光学センサの発光部と受光部の対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
先ず、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタの概略を図1を参照して説明する。カラープリンタ2000は、ブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。
【0017】
カラープリンタ2000は、光走査装置2010、像担持体としての4つの感光体ドラム2030a、2030b、2030c、2030d、4つのクリーニングユニット2031a、2031b、2031c、2031d、4つの帯電装置2032a、2032b、2032c、2032d、4つの現像ローラ2033a、2033b、2033c、2033d、4つのトナーカートリッジ2034a、2034b、2034c、2034d、中間転写体としての中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、センサ装置2245、通信制御装置2080、及び、各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。後述するように、プリンタ制御装置2090は画像形成プロセス制御手段及びトナー濃度/位置検知制御手段としても機能する。通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0018】
以下においては、図1に示すように、XYZの3次元直交座標系を想定し、各感光体ドラムの長手方向(軸方向)に沿った方向をY方向(図1の図面に直交する方向)、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX方向として説明する。
【0019】
ドラム状に形成された光導電性の感光体である感光体ドラム2030a〜2030dは何れも、表面に感光層が形成され、その表面が光走査装置2010による光走査の被走査面となっている。感光体ドラム2030a〜2030dは、図示されない回転駆動機構により、図1の面内で矢印方向(時計回り)に回転する。
【0020】
感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが、感光体ドラム2030aを取り囲むように配置されている。
【0021】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、ブラック画像を形成する画像形成ステーション(以下「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0022】
感光体ドラム2030bと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030bを取り囲むように配置された、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、シアン画像を形成する画像形成ステーション(以下「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0023】
感光体ドラム2030cと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030cを取り囲むように配置された、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、マゼンタ画像を形成する画像形成ステーション(以下「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0024】
感光体ドラム2030dと、その回転方向に沿って感光体ドラム2030dを取り囲むように配置された、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0025】
帯電装置2032a〜2032dは、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面をそれぞれ均一に帯電させ、光走査装置2010とともに静電潜像形成手段を構成する。
【0026】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づき、色画像情報毎に変調された光束により、対応する感光体ドラムの表面を、Y方向に光走査する。これにより、各感光体ドラム2030a〜2030dにそれぞれ、各色画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂ネガ潜像であり、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの側に移動する。光走査装置2010についての詳細は後述する。
【0027】
現像ローラ2033a〜2033dが回転し、対応するトナーカートリッジからの各色トナーが表面に薄く均一に塗布される。各現像ローラ表面に塗布されたトナーは、対応する感光体ドラム表面に形成されている静電潜像をネガ現像し、トナー画像として可視化する。感光体ドラムごとに形成され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、感光体ドラムの回転に伴って移動する。そして、これらの各色トナー画像は、感光体ドラム2030a〜2030dから、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、互いに重ね合わされてカラー画像を形成する。
【0028】
本実施形態においては、中間転写ベルト2040の回転に伴いトナー画像の移動する方向が「副方向」であり、副方向に直交する方向(Y方向)が「主方向」である。
【0029】
給紙トレイ2060に格納されたシート状記録媒体としての記録紙は、給紙コロ2054により給紙トレイ2060から1枚ずつ給紙され、レジストローラ対2056により、所定のタイミングで中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間に向けて送られる。転写ローラ2042により中間転写ローラ2042上のカラー画像が記録紙表面に転写される。
【0030】
カラー画像を転写された記録紙は、定着ローラ2050により熱と圧力を加えられてカラー画像を定着される。カラー画像を定着された記録紙は、排紙ローラ対2058を介して排紙トレイ2070上に排紙されて順次スタックされる。
【0031】
トナー画像転写後の各感光体ドラム表面の残留トナーは、クリーニングユニット2031a〜2031dにより除去される。
【0032】
次に、光走査装置20の具体的構成について図2乃至図5を用いて説明する。光走査装置20は、図2乃至図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2200b、2200c、2200d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検出用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300の所定位置に組み付けられている。
【0033】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副方向」と略述する。
【0034】
また、便宜上、カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w1方向」、光源2200a及び光源2200bにおける主方向を「m1方向」とする。さらに、カップリングレンズ2201c及びカップリング2201dの光軸に沿った方向を「w2方向」、光源2200c及び光源200dにおける主方向を「m2方向」とする。なお、光源2200a及び光源2200bにおける副方向、光源2200c及び光源2200dにおける副方向は、いずれもZ軸方向と同じ方向である。
【0035】
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。そして、光源2200aは光源2200bの−Z側に配置されている。また、光源2200dは光源2200cの−Z側に配置されている。
【0036】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0037】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
【0038】
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0039】
ポリゴンミラー2104は、2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、偏向走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0040】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0041】
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズbは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズdは1段目の4面鏡に対向している。
【0042】
シリンドリカルレンズ2204aからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030a上に光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030aを長手方向(Y方向)に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aに対する副走査方向である。
【0043】
シリンドリカルレンズ2204bからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105b、折返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030bを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bに対する副走査方向である。
【0044】
シリンドリカルレンズ2204cからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105c、折返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cに対する副走査方向である。
【0045】
シリンドリカルレンズ2204dからの光束は、ポリゴンミラー2104で偏向され、fθレンズ2105d、折返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、折返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに光スポットを形成し、光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴い、感光体ドラム2030dを長手方向に光走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dに対する主走査方向であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dに対する副走査方向である。
【0046】
個々の感光体ドラム203a〜203dにおいて画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は有効走査領域あるいは画像形成領域と呼ばれているが、ここでは有効画像領域とも呼ぶ。
【0047】
なお、各折返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致し、感光体ドラムへの光束の入射位置及び入射角が感光体ドラム間相互で等しくなるように、それぞれ配置されている。
【0048】
また、fθレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、ポリゴンミラー2104の偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査対応方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は走査光学系とも呼ばれる。
【0049】
本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー2106a、2108aとによりKステーションの走査光学系が、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー2106b、2108bとによりCステーションの走査光学系がそれぞれ構成されている。同様に、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー2106c、2108cとによりMステーションの走査光学系が、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー2106d、2108dとによりYステーションの走査光学系がそれぞれ構成されている。
【0050】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち、書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0051】
光検知センサ2205a〜2205dは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。プリンタ制御装置2090は、各光検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを決定し、光走査装置2010は、決定されたタイミングで各感光体ドラムに対する光走査による画像書き込みを開始する。以下、プリンタ制御装置2090の制御下で、静電潜像の形成、現像、トナー画像の転写・定着を経て転写紙の排出に至る工程が実行される。
【0052】
本実施形態では、中間転写ベルト2040上にトナー画像としてテストパターンが形成され、中間転写ベルト2040の回転に伴い、副方向に移動する。この中間転写ベルト2040上に形成されて副方向へ移動するテストパターンにおけるトナー濃度とトナー位置をセンサ装置2245で検知する。
【0053】
図6は、中間転写ベルト2040上にテストパターンが形成された状態を説明図的に平面図として示したものである。説明図であるので、各部の相対的なサイズは、実際とは異なっている。図6において、図の下方が副方向であり、中間転写ベルト2040の表面は、ベルト回転により副方向へ移動する。
【0054】
図6における符号201L、201CT、201Rは、トナー位置検知用のテストパターンを示している。テストパターン201Lは、中間転写ベルト2040の主方向の左端部側のトナー位置検知に用いられ、テストパターン201CTは、中間転写ベルト2040の主方向の中央部のトナー位置検知に用いられ、テストパターン201Rは、中間転写ベルト2040の主方向の右端部側のトナー位置検知に用いられる。テストパターン201L等によるトナー位置検知については後述する。
【0055】
図6における符号201K、201M、201C、201Yは、トナー濃度検知用のテストパターンを示している。これらテストパターン201K〜201Yは、図の如く、中間転写ベルト2040の主方向(図の左右方向)の中央部付近に、副方向へ1列に形成される。
【0056】
テストパターン201Kはブラックトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターンであり、テストパターン201Mはマゼンタトナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン、テストパターン201Cはシアントナーのトナー濃度を検知するためのテストパターン、テストパターン201Yはイエロートナーのトナー濃度を検知するためのテストパターンである。これらテストパターン201K〜201Yは何れもトナー濃度による階調が、副方向に逆行する側へ低濃度から高濃度へ4段階に変化する4個のパッチにより構成される。各パッチは副方向に長い矩形形状である。
【0057】
図1に符号2245で示したセンサ装置は、図6に示すように、3つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245cにより構成されている。これら3個の反射型光学センサ2245a〜2245cのうち、反射型光学センサ2245bはテストパターン201Lによるトナー位置検知に用いられ、反射型光学センサ2245cはテストパターン201Rによるトナー位置検知に用いられる。反射型光学センサ2245aはテストパターン201による各色トナーのトナー濃度の検出およびテストパターン201CTによるトナー位置検知に用いられる。
【0058】
次に、図7乃至図10を参照して、反射型光学センサ2245aについて説明する。なお、ここでは反射型光学センサ2245bおよび2245cは2245aと同じものであるので、説明を省略する。
【0059】
図7は、反射型光学センサ2245aを主方向から見た状態(副走査断面)を概念的に示したものである。反射型光学センサ2245aは、11個の発光源E1〜E11を主方向へ等間隔に配列一体化した発光源アレイ、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を主方向に配列一体化した照射用マイクロレンズアレイ、11個の光源変換部D1〜D11を主方向へ配列一体化した光電変換部アレイ、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を主方向へ配列一体化した受光用マイクロレンズアレイ及び駆動回路(不図)を有している。駆動回路については図10にて後述する。
【0060】
発光源アレイは、例えばLEDアレイであり、11個の発光源L1〜L11は、主方向に所定のピッチ:Pで配列されている。照射用マイクロレンズアレイは、11個の照射用マイクロレンズLE1〜LE11を、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで、且つ、発光源E1〜E11と対応するように配置されている。光電変換部アレイは、例えばPDアレイであり、11個の光電変換部D1〜D11が、発光源のピッチ:Pと同一のピッチで主方向に配列されている。受光用マイクロレンズアレイは、11個の受光用マイクロレンズLD1〜LD11を、発光源のピッチ:Pと同一ピッチで主方向に配列されている。
【0061】
図8に、反射型光学センサ2245aの、発光源E1〜E11と、光電変換部D1〜D11の対応関係を示す。発光源の任意の1つを発光源Ei、照射用マイクロレンズの任意の1つを照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズの任意の1つをLDi、光電変換部の任意の一つをDiとすると、これらにおいてi=1〜11であり、LEiとLDiは対応するように配置されている。
【0062】
図9(a)は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して中間転写ベルト2040の表面を照射する状態を示している。図9(b)は、発光源Ei(i=1〜11)から放射された光が対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)を介して、中間転写ベルト2040の表面に光スポットSi(i=1〜11)として照射される状態を示している。
【0063】
中間転写ベルト2040により反射された光は、図7に示すように、受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)を介して光電変換部Di(i=1〜11)に入射する。
【0064】
すなわち、図7〜図9に示すように、発光源Ei、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDi、光電変換部Diが、i=1〜11について、副方向において同位置にあり、これらがピッチ:Pで主方向に配列されている。従って、光スポットSi(i=1〜11)も、主方向にピッチ:Pで配列する。
【0065】
発光源Eiと照射用マイクロレンズLEiは反射型光学センサにおける発光部を構成し、これら発光部の全体が照射系を構成する。また、光電変換部Diと受光用マイクロレンズLDiは受光部を構成し、これら受光部の全体が受光系を構成している。受光用マイクロレンズLDiは、対応する光電変換部Diへの光の集光性を高めて検知精度を高めるのに有効であるが、原理的には省略することも可能である。
【0066】
図10は、反射型光学センサ2245aの駆動回路の構成例を示す図である。反射型光学センサ2245b,2245cの駆動回路も同様である。
【0067】
図10において、電流生成回路210は、電流値設定値、発光部選択値、発光部点灯信号を入力して、発光部点灯信号のレベルが所定の値以上の状態の時(H状態の時)、電流設定値に基づいた電流を、発光部選択値により選択した発光部(発光源)に流すようにする。発光部選択値Mと選択される発光源E1〜E11の関係は、例えば図11のようになっている。電流設定値と、発光源に流れる電流の大きさは比例関係になっており、電流設定値が大きくなれば、発光源に流れる電流も大きくなるようになっている。220は、電流電圧変換回路で、光電変換部D1〜D11に対応して11個のIV−AMP1〜IV−AMP11からなる。IV−AMPiは、光の受光により光電変換部Diから出力される電流を電圧に変換し、増幅して出力するようになっている。
【0068】
電流生成回路210の電流設定値、発光部選択値、発光部点灯信号はプリンタ制御装置2090から与えられ、IV−AMP1〜11の出力電圧信号はプリンタ制御装置2090の入力となる。図10の駆動回路の動作については後述する。
【0069】
以下に図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aの具体例を説明する。反射型光学センサ2245b,2245cも同様である。
【0070】
11個の発光源E1〜E11はLEDであり、主方向に沿ってピッチ:P=0.4mmで等間隔に配置されてLEDアレイとなっている。発光源Eiの大きさ(発光面の大きさ)は主・副方向とも0.04mmであり、中心発光波長は850nmである。照射用マイクロレンズLE1〜LE11は、それぞれ発光源E1〜E11に個別に対応し、主方向に沿ってピッチ:P=0.4mmで配列一体化されてマイクロレンズアレイを構成している。照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)は、対応する発光部Eiよりも受光部側(図7で左方)に配置され、発光部Eiから放射された光束を、中間転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
【0071】
なお、説明を簡単にするため、発光部Ei(i=1〜11)から放射された光は、対応する照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)のみを通過して集光されて検出用光となり光スポットSi(i=1〜11)として、中間転写ベルト2040を照射するものとする。
【0072】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは一体化され、一体化により、これらマイクロレンズアレイを検出センサに組み付ける際の作業性を向上させることができ、またマイクロレンズ間の配置精度を高めることができる。各マイクロレンズのレンズ面は、フォトリソグラフィやモールド成形などの加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成できる。
【0073】
各照射用マイクロレンズ及び各受光用マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、副方向に正のパワーを持つシリンドリカルレンズ、主方向と副方向のパワーが異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
【0074】
各光電変換部DiはPD(フォトダイオード)であり、受光面の大きさは主・副方向とも0.35mmで、受光感度のピーク波長は850nm付近にある。各光電変換部Diは受光量に応じた光電変換信号を出力する。
【0075】
発光源Eiの発光波長と、光電変換部Diのピーク感度波長を略一致させることにより、出力光電変換信号のレベルを最大限に高めることができる。
【0076】
図7〜図9に示した反射型光学センサに用いられている照射用マイクロレンズアレイを構成する11個の照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)はレンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一である。同様に、受光用マイクロレンズアレイを構成する11個の受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)もレンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が同一である。
【0077】
しかし、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiとでは、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚は全て異なる。本実施形態では、照射用マイクロレンズLEiでは、レンズ径:0.415mm、レンズ面曲率半径:0.430mm、レンズ厚:1.229mmであり、受光用マイクロレンズLDiでは、レンズ径:0.712mm、レンズ面曲率半径:0.380mm、レンズ厚:1.419mmである。
【0078】
図7に示したように、照射用マイクロレンズLEi(i=1〜11)の光軸は、発光源Eiからの検出用光の反射光を、有効に受光部に導くため、発光源Eiの中心を通り発光源Eiに垂直な軸に対して平行に、受光系側へΔd=0.035mmずれている。受光用マイクロレンズLDi(i=1〜11)の光軸は、より多くの反射光を受光するため、対応する光電変換部Di(i=1〜11)の受光面の中心を通り該受光面に垂直な軸に対して平行に照射系側へΔd’=0.020mmずれている。副方向における照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの間隔は、0.445mmである。また、発光源Eiと、それに対応する光電変換部Diの副方向における間隔は0.500mmである。発光源Eiから照射用マイクロレンズLEiまでの光軸方向の距離は0.800mmであり、この距離は以下に示す全ての例において当てはまる。また、マイクロレンズアレイの裏面から被検物までの光軸方向の距離は5mmである。
【0079】
上述のように、隣接する光スポットの中心間隔は発光源のピッチ:Pと同じく0.4mmである。すなわち、上述の光学レイアウトにおいて、各検出用光が中間転写ベルト2040の表面に形成する光スポットSi(i=1〜11)の大きさは、直径で0.4mm程度であり、発光源のピッチと同一である。
【0080】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ径を照射用マイクロレンズLEiのレンズ径より大きくすることで、光電変換部Diで反射光をより多く受光できるようにしている。また、受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を、照射用マイクロレンズLEiのレンズ面曲率半径に比して小さくすることにより、レンズ内部における全反射が増えるため光電変換部Diにおける正反射受光量を減らすことが可能であると考えられる。
【0081】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を小さくすることにより、点灯させる発光源Eiに対応する光電変換部Diに隣接する光電変換部Di±1に、対応する受光用マイクロレンズLDi±1を通過後の光線を大きく屈折させることが可能となり、後述するようにトナーマークからの拡散反射光を受光できる光電変換部が増えて、拡散反射受光量も増加することが期待できる。
【0082】
本実施形態では、上記の如く個々のマイクロレンズLEi、LDiは球面レンズで、図7に示すように平凸レンズであり、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ入射面が集光パワーを有し、射出面は集光パワーを有さない。各受光用マイクロレンズLDiは、レンズ入射面は集光パワーを有さず、射出面は集光パワーを有する。
【0083】
図12は、本実施形態に係るカラープリンタの電気的な回路構成のブロック図を示したものである。
図12において、破線で囲んだ部分が各部を統括的に制御するプリンタ制御部2090である。本プリンタ制御装置2090はコンピュータ構成であり、CPU401、RAM402、ROM403、及びA/D変換回路404などを有してする。CPU401は、ROM403に記憶されているプログラムを実行することで各種演算や各部の駆動制御を行う。本実施形態では、該CPU401が所定のプログラムを実行することで、画像プロセス制御手段やトナー濃度/トナー位置検知制御手段などとして機能する。RAM402は、CPU401での処理に必要な各種データや処理途中のデータなどを一時的に記憶するワークメモリとして機能する。ROM403は、各種プログラムや固定的データを予め記憶している。本実施形態では、該ROM403には、テストパターンを発生させるために必要なテストパターンの形成位置や濃度情報、テストパターンの階調を形成するためのバイアス条件、テストパターンのトナー濃度を推定するため反射型光学センサ出力の濃度変換情報が格納されている。A/D変換回路404は、各種のアナログ信号をデジタル信号(デジタルデータ)に変換する回路である。
【0084】
このプリンタ制御装置2090には、プリントコントローラ410が接続され、PC411やスキャナ412、FAX413等の上位装置からの画像情報をプリンタ制御装置2090に一元化した画像データとして送信する。
【0085】
また、プリンタ制御装置2090には、モータやクラッチ417を駆動する駆動回路415、画像形成に必要な電圧を発生する高圧発生装置416も接続されている。例えば、PC411からの画像情報のプリントを行う場合、PC411はプリンタドライバを用いて画像情報を送信する。プリントコントローラ410は、プリンタドライバからのプリント情報をCPU402に送り、CPU402は駆動回路415を介して駆動部の駆動を行い、画像形成ステーション418に信号を送り、画像形成ステーション418は前述の画像形成プロセスを実行する。
【0086】
また、プリンタ制御装置2090には、センサ装置2245や温湿度センサ414が接続されている。温湿度センサ414は当該カラープリンタ内の温度・想定温度を検知し、A/D変換回路404を通してCPU401に送る。センサ装置2245は、CPU401から前述の電流設定値、発光部選択値、発光部点灯信号を入力し、光の受光により電圧信号を出力し、A/D変換回路404を通してCPU401に送る。
【0087】
また、プリンタ制御装置2090には、テストパターン発生装置419が接続されている。テストパターン発生装置419は、CPU401の制御下で所定のテストパターンを発生して画像形成ステーション418に送り、画像形成ステーション418は中間転写ベルト上にトナーによるテストパターンを形成する。
【0088】
次に、プリンタ制御装置2090のCPU402がコンピュータプログラムに基づいて行う画像プロセス制御の詳細を説明する。図13は、画像プロセス制御全体の流れを示すフローチャートである。
【0089】
画像プロセス制御は、画像形成装置本体の電源スイッチがパワーオンされた時や、印刷が開始されたときに制御の必要の有無を判断し、必要であれば実行される(ステップ501,502)。
【0090】
パワーオン直後には、定着ヒーターの昇温時間や、プリントコントローラ410の準備時間が必要であり、かつはまた、それまで画像プロセス制御が実行されないままに放置された可能性や、使用環境が変化している可能性があるため、画像プロセス制御を実施することがある。また、印刷時(プリント時)にはトナーの補給や消費、感光体ドラムや中間転写ベルトの特性の変化が生じる可能性があり、画像プロセス制御を実施することがある。
【0091】
パワーオン直後は、感光体ドラムの回転停止時間が6時間以上あるか、または、装置内温度が10℃以上変化したか、さらには装置内の相対湿度が50%以上変化した場合に、画像プロセス制御を実行する。
【0092】
感光体ドラムの回転停止時間は、次のように求める。図12において、感光体ドラムの回転が停止したら、プリントコントローラ410の保持しているリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、RAM403に保存する。パワーオン時に同様にリアルタイムクロックから時刻情報を取得し、その差分から感光体停止時間を求める。
【0093】
また、温度や湿度の変化は、感光体ドラム停止時に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得するとともに、パワーオン時にも同様に温湿度センサ414から温度情報・相対湿度情報を取得し、その差分から温度変化量、相対湿度変化量を求める。
【0094】
印刷時には、プリント枚数が所定の枚数に達したら印刷動作を中止して画像プロセス制御を実施する。この場合のプリント枚数は、予め実験等により求められるプロセス変動量によって決められる。またプリント枚数の他に、現像スリーブ305や中間転写ベルト105の走行距離等をしきい値にしてもよい。
【0095】
画像プロセス制御を必要と判断したら、センサ装置2245の各反射型光学センサの出力信号の較正処理(センサ出力信号較正処理)及び反射型光学センサの中で画像プロセス制御に使用する発光部を選択する選択処理(発光部選択処理)を実行する(ステップ503)。センサ出力信号較正処理では、反射型光学センサについて、中間転写ベルトにより反射された光が各受光部(光電変換部)で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する。発光部選択処理では、センサ出力信号較正処理の較正結果に基づいて、当該反射型光学センサ中で画像プロセス制御に使用する発光部(発光源)を選択する。例えば、最も駆動電流が小さい発光部を選択する。このセンサ出力信号較正処理及び発光部選択処理の詳細については後述する。
【0096】
次に、中間転写ベルト上の所定の位置にテストパターンを形成する(ステップ504)。すなわち、CPU401によりテストパターン発生装置419を制御するとともに、画像形成ステーション418を制御して、各反射型光学センサについて、上記選択された発光部の位置にくるようにテストパターンを形成する。
【0097】
上述の如くして、図6に示したようなテストパターンが中間転写ベルト上に形成される。すなわち、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rは、中間転写ベルト2040の主方向における有効画像領域内の中央部および両端付近の所定位置に形成される。また、その移動方向上流側には、濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yが、中間転写ベルト2040の主方向における有効画像領域内の中央部付近の所定位置に形成される。
【0098】
画像プロセス制御には、トナー画像の位置を合わせるためのトナー位置制御、画像濃度を維持するための画像濃度制御(現像ポテンシャル制御や階調制御)などがあり、どの制御を行うかによって、テストパターンの形成条件は異なる。
【0099】
トナー画像の位置を合わせるためのトナー位置制御は、トナー位置検知結果に基づいて行われる。このための位置検知用のテストパターンは、図6のテストパターン201CT、201L、201Rであるが、これらは以下に述べる同一の作像条件で、中間転写ベルト2040の有効画像領域内の中央部と両端付近の所定位置に形成される。
【0100】
位置検知用のテストパターン201CT等は高濃度であることが検知精度の観点から望ましい。例えば、後述の現像ポテンシャル制御で得られる、ベタ濃度が得られる作像条件で形成するのがよい。
【0101】
テストパターンは、1以上のトナーマークにより構成されるが、その主方向の大きさが、光スポットの主方向の大きさ:SDと発光部のピッチ:Pの和より大きいので、トナーマークに照射される光スポットはトナーマークを確実に照射できる。このため、トナーマーク検出の際の光の利用効率が高く、高精度のトナー位置検知が可能である。
【0102】
位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rは、何れも同一パターンであり、主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさを持つライン状のトナーマークと、同様のものを副方向に45°傾けた斜めライン状のトナーマークをK(ブラック)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)の順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。
【0103】
このように、トナーパターンの主方向の大きさ(1.0mm)は、反射型光学センサの主方向の発光部ピッチ(P=0.4mm)と中間転写ベルト2040上に照射される光スポットの主方向の大きさ(SD=0.4mm)との和(0.8mm)よりも大きくなっている。トナーパターンの主方向の大きさを1.0mmとしたことにより、従来のトナーパターンの大きさ15mm以上に比べて、1/15の不寄与トナー消費量低減が可能である。
【0104】
画像濃度を維持するためのトナー濃度制御は、トナー濃度検知結果に基づいて行われる。現像ポテンシャル制御では、所望の画像濃度(例えばベタ濃度)を維持するために、現像ポテンシャル(現像バイアス−ベタ露光電位)の制御を行う。
【0105】
テストパターン201を検知して得られたトナー濃度と現像ポテンシャルとの関係より現像γと現像開始電圧:Vkを求める。すなわち、必要な現像ポテンシャルを「−kV」単位で、所望の画像濃度(トナー濃度)および現像ガンマを共に「mg/cm2」単位で、現像開始電圧:Vkを「−kV」単位でそれぞれ表し、次式:
[必要な現像ポテンシャル]=[所望の画像濃度/現像γ]+[現像開始電圧:Vk]
を用い、所望の画像濃度を確保するのに必要な現像ポテンシャルを決定し、これに基づき作像条件(露光パワー、帯電バイアス、現像バイアス)を決定する。
【0106】
トナー帯電量と現像ポテンシャルが一定であれば、現像γはほぼ維持されるが、温湿度変化のある環境ではトナー帯電量の変化が避けられず、中間調領域の階調性が変化する。これを補正するために階調制御が行われる。階調制御も現像ポテンシャル制御と同等のテストパターンを用いることができる。
【0107】
光走査の光源が半導体レーザ(LD)である場合には、LDパワーを固定しておき、発光デューティを可変とすることで、テストパターン内のパッチ毎のトナー濃度を異ならせることができる。
【0108】
階調制御では、得られた階調性と目標とする階調性との偏差がなくなるように階調補正用ルックアップテーブル(LUT)が適宜変更される。具体的には、その都度新しいLUTに書き換える方法や、予め用意した複数のLUTから最適なものを選択して切り換える方法などがある。
【0109】
トナー濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yの各パッチは、主方向:1mm、副方向:2mmの大きさの長方形に形成される。副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。
【0110】
テストパターン201K、201M、201C、201Yの各パッチの副方向の大きさは、後述するように受光部出力を取得する平均化回数に応じて決定されるが、上記のように2mmに設定するなら、副方向も含めた小パッチ化により、合わせて1/100程度の不寄与トナー消費量低減が可能となる。
【0111】
上記のように、中間転写ベルト上にトナー位置検知用および濃度検知用のテストパターンが形成されたら、センサ装置2245を構成する反射型光学センサ2245a〜2245cを用い、まず、位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rのトナー位置検知を行う(ステップ505)。トナー位置検知では、反射型光学センサ2245a〜2245cの受光部出力からテストパターン201の各パッチのトナー位置を算出する。反射型光学センサ2245a〜2245cを用いるトナー位置検知の詳細は後述する。
【0112】
次に、反射型光学センサ2245aを用いて、濃度検知用のテストパターン201K、201M、201C、201Yによるトナー濃度検知を行う(ステップ506)。トナー濃度検知の詳細についても後述する。
【0113】
次に、トナー位置検知及びトナー濃度検知の結果から、画像形成ステーションの各特性値を求めるための演算処理が実行される(ステップ507)。演算処理では、算出されたトナー位置により画像位置補正に関する演算処理が実行される。すなわち、各色のレジストずれや走査線傾き、色ズレなどの補正である。色ズレは、ある色(例えばK:ブラック)を基準としたときの、それ以外の色(説明中の例でM:マゼンタ、C:シアン、Y:イエロー)のズレとして定義される。また、各パッチのトナー濃度の算出結果から、前述の現像γや現像開始電圧Vkを決定するための演算が実行される。これらを求めるための直線近似には「最小2乗法」が適用できる。また、ルックアップテーブル(LUT)を変更するための演算処理も実行される。
【0114】
演算処理の後、作像条件、LUT、および画像位置補正量などの画像プロセス条件が決定される(ステップ508)。
【0115】
ここで、図13に示した画像プロセス制御おけるトナー位置検知の処理について詳しく説明する。トナー位置検知は、反射型光学センサ2245a〜2245cを用いて、図6に示した位置検知用のテストパターン201CT、201L、201Rを使って行われる。以下では、反射型光学センサ2245aとテストパターン201CTとによるトナー位置検知の場合を例にとって説明する。なお、反射型光学センサ2245bおよび2245cによる場合も同様である。
【0116】
図14は、図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aを用いて、図6に示した位置検知用のテストパターン201CTを取得する様子を示している。図の上下方向が主方向で、左右方向の左向きが副方向である。照射系の発光源E1〜E11と、受光系の光電変換部D1〜D11とは主方向において同じ位置に位置し、光電変換部D1〜D11の配列ピッチは、発光源E1〜E11の配列ピッチと等しい。
【0117】
先に、図6を参照して説明したように、位置検知用のテストパターン201CTは主方向に1.0mm、副方向に0.5mmの大きさのライン状トナーマークと、同様のものを45°傾けた斜めライン状トナーマークを、マゼンタ、ブラック、シアン、イエローの順に形成する。副方向のライン間隔は1mmである。なお、各ライン状トナーマークの主方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部のピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。発光部ピッチ:Pと、光スポットの主方向の大きさ:SDは略同じである。
【0118】
テストパターン201CTにおいては、副方向(図の左右方向)の下流側(反射型光学センサ側)から上流側へ向かって、主方向に平行なライン状トナーパターンLPM1、LPK1、LPC1、LPY1が等間隔に形成され、その上流側には主方向に対して45度傾いた斜めライン状トナーパターンLPM2、LPK2、LPC2、LPY2が等間隔に形成されている。ライン状トナーパターンLPM1と斜めライン状トナーパターンLPM2とはマゼンタトナーにより、ライン状トナーパターンLPK1と斜めライン状トナーパターンLPK2とはブラックトナーにより、ライン状トナーパターンLPC1と斜めライン状トナーパターンLPC2とはシアントナーにより、ライン状トナーパターンLPKYと斜めライン状トナーパターンLPKYとはイエロートナーにより、それぞれ形成される。
【0119】
図14では、テストパターン201CTは、ライン状トナーマークLPK1等の主方向の中心位置が、反射型光学センサ2245aの発光源E3の中心位置に合致するように、中間転写ベルト上に形成されているものとする。すなわち、発光部選択処理において、反射型光学センサ2245aについては発光部(発光源)E3が選択されたとする。
【0120】
テストパターン201CTの主方向の位置は「発光源E3の位置である」ので、反射型光学センサ2245aの発光部はE3のみをパルス発光させる。受光部出力の取得は光電変換部D1〜D5の5つで行うこととし、受光部出力取得のタイミングは、図14に示すように、テストパターンが光スポット位置を通過するタイミングにあわせて、発光源E3をパルス発光させ、それに合わせて光電変換部D1〜D5でのサンプリングを行って受光部出力を取得するものとする。
【0121】
図14において、ライン状トナーマークLPM1は、中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポット照射領域に近づいていく。ライン状トナーマークLPM1が形成されるタイミングは既知であるので、形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光源E3のパルス発光を開始する。
【0122】
まず、ライン状トナーマークLPM1に先立って、発光源E3がパルス発光して中間ベルトの表面を照射し、そのタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5がサンプリングされ受光部出力を取得する。
【0123】
中間転写ベルトの表面は滑らかであり、発光源E3からベルト表面に照射される光スポットの中間転写ベルト表面での反射は略正反射と見なすことができ、発光源E3に対応する光電変換部D3と、これに隣接する光電変換部D2、D4の計3個で受光される。残りの光電変換部D1及びD5では反射光は受光されない。
【0124】
すなわち、発光源Eiからの光スポットが中間転写ベルト表面に照射されてベルト表面により正反射されるときは、反射光は、発光源Eiに対応する光電変換部Diとこれに隣接する光電変換部Di±1でのみ受光される。このときの光電変換部D1〜D5の受光部出力分布を図16(a)に示す。図の横軸のD(ALL)は5個の光電変換部D1〜D5の出力和を表し、縦軸は光電変換部D3の受光部出力を1に規格化した値である。
【0125】
テストパターン201CTが副方向に移動し、最初のライン状トナーマークLPM1が光スポット位置を通過する間も発光源E3がパルス発光し、光電変換部D1〜D5がサンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0126】
中間転写ベルト上に形成されたベタのライン状トナーマークLPM1に照射された光スポットの反射光は、ライン状トナーマークLPM1を構成するマゼンタトナーにより表面反射された正反射光と、散乱された拡散反射光からなり、光電変換部D1〜D5の計5個で受光された。このときの受光部出力分布を図27(b)に示す。ライン状トナーマークLPM1では、中間転写ベルト上にトナーが存在するため受光部出力分布は、図16(a)の受光部出力分布(中間転写ベルトでの反射による)と異なる。すなわち、図16(b)の受光部出力分布は、ライン状トナーパターンLPM1を構成するトナーによる正反射光が発生することによるものである。
【0127】
テストパターン201CTがさらに副方向に移動し、ライン状トナーマークLPK1が光スポット位置を通過する間も受光部D1〜D5はサンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0128】
ライン状トナーマークLPK1に照射された光スポットの反射光は、ライン状トナーマークLPM1に対してトナーの色が異なるためライン状トナーマークLPM1を構成するマゼンタトナーにより拡散された拡散反射光がないため、光電変換部D2〜D4の計3個で受光される。その結果、受光部出力分布は図16(c)に示す如くになる。
【0129】
同様にして、ライン状トナーパターンLPC1、LPY1、LPM2、LPK2、LPC2、LPY2に対して受光部出力分布を取得する。
【0130】
このようにして、テストパターン201CTからの反射光、すなわち受光部出力分布を取得できる。得られた受光部出力を用いて、トナー位置演算を行う。
【0131】
この演算を行うにあたり、中間転写ベルトおよびトナーパターンからの正反射光を用いる方式と拡散反射光を用いる方式があるが、正反射光を用いる方式が一般的であるので、本実施形態においても、この方式で説明する。
【0132】
また、図16(a)に示したように、発光源E3に対して、正反射光は光電変換部D2、D3、D4で受光されているが、ここでは演算の簡略化のため、発光源E3に対向する光電変換部D3のみを用いて演算する。被検物が中間転写ベルトであってもトナーパターンであっても、正反射光に着目すれば、光電変換部D2の受光部出力は、光電変換部D3の受光部出力の定数倍となるため、光電変換部D3のみでも十分である。
【0133】
トナー位置演算では、受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割して得られる分割出力のいずれか(本実施形態では上記のように正反射光の分割出力)、に基づきトナー位置を演算的に求める。受光部出力を正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分割する手法は、後述するトナー濃度の演算における場合と同様であるので、ここでは省略する。
【0134】
プリンタ制御装置2090(CPU401)は、発光源E3に対応する受光部の光電変換部D3の出力信号を時間的に追跡する。発光源E3がパルス発光し、光電変換部D3でサンプリングされて得られた受光部出力を、図17に示す。
【0135】
発光源E3の発光出力は中間転写ベルト検知時にほぼ4Vとなるように発光出力が調整されており、発光源に供給する電流値で制御している。光電変換部D3の出力信号は、中間転写ベルトを検知しているときは出力が高く、テストパターン(ライン状トナーパターン、斜めライン状トナーパターン)を検知しているときには出力が低くなる。また、ブラックトナーによる出力はカラートナーによる出力よりも低下が大きくなり、斜めライン状トナーパターンはライン状トナーパターンよりもプロファイルの幅が大きくなる。中間転写ベルトを検知しているときの信号出力をVsgと呼ぶことにする。中間転写ベルトおよびトナーパターンの出力信号からトナー位置を算出する。
【0136】
プリンタ制御装置2090は、光スポットがライン状トナーパターンLPM1を照射してから次のライン状トナーパターンLPK1を照射するまでの時間:Tkm、光スポットがライン状トナーパターンLPK1を照射してからライン状トナーパターンLPC1を照射するまでの時間:Tkc、光スポットがライン状トナーパターンLPK1を照射してからライン状トナーパターンLPY1を照射するまでの時間:Tkyを検出する。
【0137】
プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm1、Tkc1、Tky1が、これらに対して予め設定されている基準時間と同じであれば、トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正であると判断する。
【0138】
時間:Tkm1、Tkc1、Tky1が基準時間と異なる場合は、トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがあると判断する。この場合、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm1、Tkc1、Tky1の基準値からの時間差から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量を光走査装置に通知する。光走査装置は上記ずれ量が0となるように、対応するステーションにおける光走査開始のタイミングを調整する。
【0139】
図18(a)は、テストパターン201CTのライン状トナーパターンLPK1とLPC1との関係において、ライン状トナーパターンLPC1が副方向に距離:ΔS1だけずれた場合の出力信号の様子を示す。この場合、時間:Tkcは、基準時間に対し、中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS1から求められる時間:ΔT1(=ΔS1/V)だけ大きくなる。
【0140】
次に、プリンタ制御装置2090は、光スポット光が斜めライン状トナーパターンLPM2を照射してから斜めライン状トナーパターンLPK2を照射するまでの時間:Tkm2、斜めラインパターンLPC2を照射するまでの時間:Tkc2、斜めライン状トナーパターンLPY2を照射するまでの時間:Tky2を検出する。
【0141】
そして、プリンタ制御装置2090は、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2を、これらに対して予め設定されている基準時間と比較する。時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がいずれも、設定されたそれらの基準時間と同じであれば、トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正であると判断し、時間:Tkm2、Tkc2、Tky2がそれぞれの基準時間と異なれば、トナー画像相互の主方向に関する位置関係にずれがあると判断する。
【0142】
図18(b)は、斜めライン状トナーパターンLPK2に対して、斜めライン状トナーパターンLPC2が主方向に距離:ΔS2だけずれた場合の出力信号の様子を示す。この場合、時間:Tkc2は、基準時間よりも、中間転写ベルトの副方向の移動速度:Vと距離:ΔS2から求められる時間:ΔT2だけ大きくなる。
【0143】
このとき、プリンタ制御装置2090は、次の(1)式を用い、マゼンタトナー画像の主方向に関する位置ずれ量:ΔS2を求める。
ΔS2=V・ΔT2・cot45° ・・・(1)
位置ずれ量;ΔS2は、光走査装置に通知される。光走査装置は位置ずれ量:ΔS2が0となるようにCステーションを制御する。
【0144】
以上の説明と全く同様にして、図6に示す反射型光学センサ2245b、2245cとテストパターン201L、201Rを使って、中間転写ベルト2040の主方向の有効画像領域の両端部近傍での位置ずれを検知できる。
【0145】
次に、図13に示した画像形成プロセス制御におけるトナー濃度検知の処理について説明する。トナー濃度検知は、トナー位置検知に続いて、反射型光センサ45aを用いて行なわれる。
【0146】
図19は、図7〜図9に示した反射型光学センサ2245aを用いて、図6に示したマゼンタトナーによる濃度検知用のテストパターン201Mを構成する5個のパッチM1〜M5からの反射光を取得する様子を示している。なお、図6ではパッチ数を4個に省略している。
【0147】
先に、図6を参照して説明したように、トナー濃度検知用のテストパターンはそれぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色トナーにより形成されるが、図19に示すテストパターン201Mはマゼンタトナーにより構成されたものを示している。このテストパターン201Mは、濃度を5階調に変化させた5個の矩形状パッチM−1〜M−5を副方向に形成したものである。
【0148】
テストパターン201Mは、濃度階調の異なる5個の矩形状パッチの集合であるが、これら濃度階調の異なる矩形状パッチは光走査の光源に用いられる半導体レーザの発光デューティの調整によって形成できる。また面積階調法によって濃度を変えることもできる。
【0149】
テストパターン201Mを構成する5個の矩形状パッチの濃度は、矩形状パッチM−1が最も低く、M−2、M−3、M−4、M−5の順に濃度が高くなる。また、テストパターン201Mの前方(下流側)に、パッチのない中間転写ベルトからの反射光を受光するための領域「BELT」を持つ。
【0150】
各矩形状パッチは主方向に1mm、副方向に2mmの大きさに形成される。副方向に並んだパッチの中心間隔は3mmである。なお、各矩形状パッチの主方向の大きさ:1.0mmは、反射型光学センサの主方向の発光部のピッチ:P=0.4mmと中間転写ベルト上に照射される光スポットの主方向の大きさ:SD=0.4mmとの和よりも大きくなっている。
【0151】
ここでも、テストパターン201Mの主方向の位置は「発光源E3の位置である」とし、反射型光学センサ2245aの発光部はE3のみをパルス発光するとする。受光部出力の取得は光電変換部D1〜D5の5つで行うこととし、受光部出力取得のタイミングは、テストパターンが光スポット位置を通過するタイミングにあわせて、発光源E3をパルス発光させ、それに合わせて光電変換部D1〜D5でのサンプリングを行って受光部出力を取得するものとする。
【0152】
図19において、テストパターン201Mは、中間転写ベルトの表面に形成されて副方向に移動し、反射型光学センサ2245aからの光スポット照射領域に近づいていく。テストパターン201Mが形成されるタイミングは既知であり、該テストパターン201Mが形成されてから照射領域に近づく適当なタイミングで発光源E3のパルス発光を開始する。
【0153】
先ず、テストパターン201Mの前方の矩形状パッチがない中間転写ベルト位置「BELT」で、発光源E3がパルス発光し、そのタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ受光部出力を取得する。
【0154】
中間転写ベルトの表面は滑らかであり、発光源E3からベルト表面に照射される光スポットの中間転写ベルト表面での反射は略正反射と見なすことができ、発光源E3に対応する光電変換部D3と、これに隣接する光電変換部D2、D4の計3個で受光された。残りの光電変換部D1及びD5では反射光は受光されない。
【0155】
すなわち、発光源Eiからの光スポットが中間転写ベルト表面に照射されてベルト表面により正反射されるときは、反射光は、発光源Eiに対応する光電変換部Diとこれに隣接する光電変換部Di±1でのみ受光される。このときの光電変換部D1〜D5の受光部出力分布を図20(a)に示す。図の横軸のD(ALL)は、5個の光電変換部D1〜D5の出力和を表し、縦軸は、光電変換部D3の受光部出力を1に規格化した値である。
【0156】
テストパターン201Mが副方向に移動し、最初の矩形状パッチM−1が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチM−1の副方向中央付近が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて光電変換部D1〜D5が1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0157】
中間転写ベルト上に形成された矩形状パッチM−1に照射された光スポットの反射光は、矩形状パッチを構成するトナーにより散乱された拡散反射光と、中間転写ベルト表面で反射された正反射光とからなり、光電変換部D1〜D5の計5個で受光される。このときの受光部出力分布を図20(b)に示す。矩形状パッチM−1では、中間転写ベルト上にトナーが存在するため受光部出力分布は、図20(a)の受光部出力分布(中間転写ベルトでの反射による)と異なる。図20(b)の受光部出力分布は、矩形状パッチM−1を構成するトナーによる拡散反射光が発生するとともに、中間転写ベルト表面からの正反射光が減ることによるものである。
【0158】
テストパターン201Mがさらに副方向に移動し、矩形状パッチM−2が光スポット位置を通過するタイミングに合わせて、発光源E3がパルス発光し、矩形状パッチM−2の副方向の中央付近がスポット光位置を通過するタイミングに合わせて受光部D1〜D5は1回サンプリングされ、受光部出力を取得する。
【0159】
矩形状パッチM−2は、矩形状パッチDP1−1に対してトナー濃度がより高濃度であるため、矩形状パッチM−1におけるよりもトナーによる拡散反射光が増え、中間転写ベルト表面からの正反射光がさらに減少する。その結果、受光部出力分布は図20(c)に示す如くになる。
【0160】
同様にして、矩形状パッチM−3〜M−5に対して取得された受光部出力分布を図20(d)〜(f)に示す。
【0161】
このようにして、中間転写ベルト部分(「BELT」)、及び5階調の矩形状パッチM−1〜M−5からなるテストパターン201Mからの反射光、すなわち受光部出力分布を取得できる。
【0162】
プリンタ制御装置2090(CPU401)は、発光源E3に対応する受光部の光電変換部D1〜D5の出力信号、を時間的に追跡する。発光源E3がパルス発光し、光電変換部D1〜D5でサンプリングされて受光部出力が得られる。例として、得られる光電変換部D3の受光部出力信号を図21に示す。この出力信号から、トナー濃度を求める。
【0163】
以下に、矩形状パッチM−1の場合を例に取り、トナー濃度の演算方法を説明する。
中間転写ベルト上にテストパターンが存在しない場合、図22(a)に模式図として示すように、中間転写ベルトに照射されるスポット光は、中間転写ベルト表面で略全ての光が正反射する。
【0164】
発光源E3からの検出用光の中間転写ベルト表面による反射光を5つの光電変換部D1〜D5で受光すると、3つの光電変換部D2〜D4における受光部出力は0でないが光電変換部D1とD5における受光部出力は0となっている。これは、中間転写ベルトからの正反射光が、反射型光学センサ2245aの受光用マイクロレンズアレイ上において、光電変換部D2〜D4に対応する受光用マイクロレンズLD2〜LD4に入射するビームサイズを有しているからである。すなわち、上記正反射光は主方向に広がりつつ、受光用マイクロレンズLD3とその両隣の受光用マイクロレンズLD2、LD4に入射し、光電変換部D2〜D4に入射するが他の受光用マイクロレンズには実施的に入射せず、他の光電変換部に入射しない。
【0165】
中間転写ベルト上にテストパターン(矩形状パッチ201M)が存在する場合、図22(b)の模式図に示すように、中間転写ベルトおよびトナーに照射される光スポット、は中間転写ベルト表面から正反射される光と、少なくとも1回はトナーで反射・屈折されることにより散乱される散乱光に大別される。後者の散乱光は、中間転写ベルト表面から正反射される方向と同一方向に散乱されるものも含むが、その光量は少なく、中間転写ベルト表面から正反射される光と区別できないので無視して考えられる。
【0166】
中間転写ベルトに起因する反射光を正反射寄与分、トナーに起因する反射光を拡散反射寄与分とする。このように、中間転写ベルト及びトナーからの反射光は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とを含むので、5つの光電変換部D1〜D5の受光部出力は何れも0にならない。これは拡散反射された光が、反射型光学センサの受光用マイクロレンズアレイ上において、光電変換部D1〜D5に対応する受光用マイクロレンズLD1〜LD5に入射するビームサイズを有しているからである。
【0167】
発光源E3が発光したとき、光電変換部D3は正反射光しか受光しないため、その受光部主力は正反射光寄与分のみを含んでいるが、受光部D3を除く他の4つの受光部D1、D2、D4、D5における受光部出力は全て拡散反射寄与分を含んでいる。
【0168】
2つの光電変換部D1とD5における受光部出力は拡散反射寄与分のみを含む。これは、光スポットが中間転写ベルトのみを照射するとき、中間転写ベルトによる正反射光が3つの光電変換部D2〜D4のみで受光される結果である。
【0169】
したがって、2つの光電変換部D2とD4での受光部出力は、発光源E3からの光スポットにより照射された矩形状パッチM−1による正反射寄与分と拡散反射寄与分とが混在したものとなる。すなわち、図23のように、得られた受光部出力は、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分割することが可能である。
【0170】
正反射寄与分と拡散反射寄与分とが混在した光電変換部D2とD4において、その混在比率を求める方法を説明する。
中間転写ベルトに対する受光部出力分布は正反射寄与分そのものであり、図20(a)に示されるように既知である。そこで、図20(b)に示された矩形状パッチM−1に対する受光部出力分布から、図20(a)に示された中間転写ベルトに対する受光部出力分布を定数倍して差し引くことにより、矩形状パッチM−1での反射光の光電変換部D2、D4の受光部出力から拡散反射寄与分のみを抽出できる。この定数をα1とすると、これは以下のように決定される。
【0171】
発光源E3の発光による矩形状パッチM−1に対する光電変換部D3の受光部出力は正反射寄与分であるから、図20(b)における光電変換部D3の受光部出力と、図20(a)の光電変換部D3の受光部出力の定数:α1倍とが等しくなるように、定数:α1を求めればよい。
【0172】
このようにして、図20(a)の受光部出力分布を定数:α1倍した正反射寄与分と、図20(b)の受光部出力分布から図20(a)の出力分布を定数:α1倍した正反射寄与分を差し引いた拡散反射寄与分とに分割できる。
【0173】
すなわち、図20(a)における光電変換部D3の受光部出力をAとし、図20(b)における光電変換部D3の受光部出力をA1とすると、Aは正反射寄与分のみ、A1は、正反射寄与分:Aとなるべき部分から矩形状パッチM−1中のトナーによる拡散反射により減少した部分である。
そこで、α1・A=A1
とすると、拡散反射寄与分は、
A−α1・A=(1−α1)A
となる。
【0174】
従って、発光源E3からの光スポットが矩形状パッチM−1を照射しているときの正反射寄与分はA1すなわちα1・Aとなり、拡散反射寄与分は(1−α1)Aとなり、両寄与分を分離できる。
【0175】
同様に、図20(c)〜(f)の各濃度のパッチM−2〜M−5についても、図24〜図27に示すように、正反射寄与分と拡散反射寄与分とに分離できる。このときは、上記定数:α1に代えて、各々定数:α2〜α5(上記と同様にして定められる。)を用いれば良い。
【0176】
矩形状パッチM−1〜M−5の個々に対し、上記のように分割した正反射寄与分と拡散反射寄与分について、各光電変換部の受光部出力:Di(便宜上、光電変換部の符号を記号として用いる。)の和をD(ALL)=D1+D2+D3+D4+D5とするとき、各矩形状パッチに対してD(ALL)をプロットしたのが図28である。
【0177】
正反射寄与分の和:D(正)については光電変換部D1の受光部出力:D1、光電変換部D5の受光部出力:D5が、ともに0であるから、
D(ALL)≡D(正)=D3+(D2とD4の正反射寄与分)
となる。
拡散反射寄与分の和:D(拡)については、光電変換部D3の受光部出力:D3が0であるから、
D(ALL)≡D(拡)=D1+(D2とD4の拡散反射寄与分)+D5
となる。
【0178】
図28(a)に示す正反射寄与分の和:D(正)は、矩形状パッチM−1〜M−5の順に、トナー濃度が高くなるにつれて減少している。これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度とD(正)は1対1対応している。換言すれば、演算されたD(正)に対応するトナー濃度が求められる。
【0179】
これに対し、図28(b)に示す拡散反射寄与分の和:D(拡)は、矩形状パッチM−2に対して極大となっており、単調な関数になっていない。従って、図28(b)に示すD(拡)から、トナー濃度とD(拡)との関係を得ることは可能ではあるが必ずしも容易ではない。
【0180】
直感的に考えると、D(拡)は矩形状パッチを構成するトナーの濃度が高くなるに従い、付着トナーが多くなるので、拡散反射光の増加により増大するように思われるが、図28(b)ではそのようになっていない。これは、前述した定数:α1〜α5を用いて受光部出力結果を差し引き演算していることに起因している。
D(拡)/D(正)を求めた結果が図29である。ここで、縦軸:D(拡)/D(正)は、矩形状パッチをなすトナーの濃度が、パッチM−1〜M−5の順に高くなるにつれて増加する単調な関数になっている。従って、このD(拡)/D(正)を演算すれば、各矩形状パッチ(図30の横軸)に対応したトナー濃度が求められる。
【0181】
図30(a)に、図28(a)に示す正反射寄与分を基準値(ここでは中間転写ベルト表面による正反射寄与分)で規格化した相対正反射率を示す。また、図33(b)に、図29に示したD(拡)/D(正)を基準値(ここでは最大濃度での拡散反射寄与分)で規格化した値を示す。
【0182】
このように拡散反射寄与分の和:D(拡)を正反射寄与分の和:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を用いて新たな値を求め、これからトナー濃度を求めても良い。
【0183】
上記のような算出アルゴリズムを用い、上記D(正)や、D(拡)/D(正)を算出し、これからトナー濃度:[mg/cm2]を得ることができる。
【0184】
上述したトナー位置演算において、図14のテストパターン201CTに対する受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割する場合にも上記手法を同様に適用し、正反射光のみ又は拡散反射光のみについての受光部出力を取得すればよい。
【0185】
また受光部出力を、正反射光に起因する正反射寄与分と、拡散反射光に起因する拡散反射寄与分とに分割する方法については上述した方法に限定されているものではない。
【0186】
次に、図13に示した画像プロセス制御におけるセンサ出力信号較正処理及び発光部選択処理(ステップ503)について説明する。
【0187】
センサ出力信号較正処理では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、中間転写ベルトで反射された光を受光した各受光部(光電変換部)が所定の電圧値(例えば4V)を出力するように較正する。
【0188】
図31に、センサ出力信号較正信号処理の一実施形態のフローチャートを示す。ここでは、図10に示した反射型光学センサ2245aを例にセンサ出力信号較正処理を詳述する。
【0189】
まず、発光源E1を選択するように発光部選択値Mを1に設定し(ステップ601)、発光源E1を選択する(ステップ602)。次に、電流設定値に初期電流値を設定し(ステップ603)、発光部点灯信号を“H”状態にして、発光源E1を点灯させる(ステップ604)。発光源E1による光は中間転写ベルトで反射され、光電変換部で受光される。いま、発光源がE1であるので、それに正対している光電変換部D1の出力電圧Vd1のレベルを検出し(ステップ605)、そのレベルが所定のレベル(例えば4V)かどうかを判定する(ステップ606)。もし所定のレベルに達していない時は、電流値の変更を行う(ステップ607)。電流値変更では、出力電圧が所定のレベルより低い時は発光源の駆動電流を大きくし光量を上げるようにする。出力電圧が所定のレベルより高い時は発光源の駆動電流を小さくし光量を下げるようにする。電流値変更の後、再び光電変換部の出力電圧Vd1のレベルの検出を行い(ステップ605)、そのレベルが所定のレベル(例えば4V)かどうかを判定する(ステップ606)。所定のレベルに達していない時は、再び発光源E1の駆動電流を変更する。これを所定のレベルに達するまで繰返し行う。所定のレベルに達したら、その時の駆動電流値を保存し(ステップ608)、発光源E1を消灯する(ステップ609)。同様の較正処理を発光源E2〜発光源E11に順次実施する(ステップ610,611)。
【0190】
これにより、反射型光学センサ2245aについて、中間転写ベルトで反射された光を受光したときの光電変換部D1〜D11の出力電圧を所定のレベルにするための発光源E1〜E11の駆動電流を取得することができる。
【0191】
図32に、反射型光学センサ2245aの発光源E1〜E11について上述した較正処理により得られた駆動電流値の一例を示す。
【0192】
反射型光学センサ2245b,2245cについても、同様にして、中間転写ベルトで反射された光を受講した時の各受光部(光電変換部)の出力電圧を所定のレベルにするための各発光光源の駆動電流を取得することができる。
【0193】
発光部選択処理では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、トナー位置検知および/またはトナー濃度検知で使用する発光部(発光源)を選択する。発光源の選択は、上述した較正処理で得られた駆動電流値で最も小さい値の発光源を選択するようにする。例えば反射型光学センサ2245aの場合、図32(a)では、発光源E4の電流値が最も小さいので、発光源E4を選択するようにする。反射型光学センサ2245b,2245cについても、同様にして、電流値が最も小さい発光源を選択するようにする。
【0194】
先に述べたように、図13のテストパターン作成処理(ステップ505)では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、上述の発光部選択処理で選択された発光部(発光源)の位置にテストパターンが来るように、中間転写ベルト上にテストパターンを形成する。例えば、反射型光学センサ2245aについては、は光源E4の位置に来るように、トナー位置検知用とトナー濃度検知用のテストパターンを形成する。反射型光学センサ2245b,2245cについては、選択された発光源の位置に来るように、トナー位置検知用のテストパターンを形成する。
【0195】
上述のセンサ出力信号較正及び発光部選択の機能により、トナー位置検知や、トナー濃度検知を最も駆動電流が小さい発光源を使用して行うことができるので、反射型光学センサを低消費電流で使用することができる。
【0196】
なお、図7〜図9に示す反射型光学センサ2245aにおいて、トナー位置検知、トナー濃度検知を発光源1つに対して光電変換部を5つ使用して行う場合には発光源E3〜発光源E9の中で最も駆動電流が小さい発光源を選択するようにすればよい。同様に、トナー位置検知、トナー濃度検知を発光源1つに対して光電変換部を3つ使用して行う場合には発光源E2〜発光源E10の中で最も駆動電流が小さい発光源を選択するようにすればよい。これは、反射型光学センサ2245b,2245cでも同様である。
【0197】
次に、センサ出力信号較正処理の別の実施形態について説明する。
上述の実施形態では、図31に示すように、画像プロセス制御が必要となる都度、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、発光源E1〜E11を全て順次点灯して、光電変換部D1〜D11の出力電圧が所定のレベルになるように発光源E1〜E11の駆動電流を較正していた。
【0198】
これに対し、本実施形態では、反射型光学センサ2245a〜2245cについて、一度、上述のように発光源E1〜E11の駆動電流を較正した後、再び画像プロセス制御が必要になった場合には、前に選択された発光源についてのみ駆動電流の較正を行い、その時に得られた駆動電流値で前に保存してある駆動電流値を書き替えるようにする。
【0199】
発光部選択処理は先の実施形態と同様である。すなわち、新たに書き替えられた駆動電流値とそれ以外の既に較正済みの駆動電流値の中で最も小さい値の発光源を選択するようにする。
【0200】
本実施形態によれば、較正時間を短くすることができる。また、較正のために他の発光源を点灯させることがないので、他の発光源は較正のための点灯による劣化はなくなる。そのため、反射型光学センサの寿命を長くすることができる。
【0201】
例えば、反射型光学センサ2245aでは、上述のように、始めは発光源E4が最も駆動電流が小さいので発光源E4が選択され、発光源E4を用いてトナー位置検知、トナー濃度検知が行われる。そして、画像プロセス制御が必要になる度に、発光源E4の駆動電流を較正し、その値が最小の間は、発光源E4を用いてトナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し行う。トナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し行っていくと発光源E4は徐々に劣化し、同じ電流に対する光量が下がっていく。較正により光電変換部の出力電圧が所定レベルになるように駆動電流を調整するが、その駆動電流が徐々に増えていく。
【0202】
図32(b)は発光源E4を使用してトナー位置検知、トナー濃度検知を繰返し実施した後の駆動電流値の例である。図32(b)に示すように発光源E4の電流値は図32(a)のときより増えている。そして、図32(a)で2番目に電流が少ない発光源E7よりも大きくなっている。発部選択処理では、電流値が最も小さい発光源を選択するようにしているので、図32(b)の場合、発光源E7が選択されるようになる。
【0203】
以上のように、発光部(発光源)が劣化していって駆動電流が増えても、別の発光部に切り替えるで、駆動電流を少なくすることができるので、反射型光学センサーを低消費電流で使用することができる。
【0204】
以上、実施形態では、反射型光学センサは説明の簡単のため、発光部および受光部が11個の場合を説明したが、発光部数も受光部数もこれに限るものではなく、さまざまな組み合わせが可能である。また、表面が滑らかな転写ベルト(表面での反射が正反射のみ)の場合を説明したが、表面が滑らかでない転写ベルト(表面での反射が拡散反射も含む)についても適用できる。すなわち、適宜の手段を用いて正反射体による検知出力分布を測定できれば、それを用いて正反射寄与分と拡散反射寄与分に分離することが可能である。
【0205】
また、図33に示すように、2個の反射型光学センサ2245a,2245a’を中間転写ベルトの両端のような有効画像領域外に配置し、そこにテストパターンを作成し、トナー濃度検知、トナー位置検知を行う場合においても適用することが可能である。
【0206】
また、これまでの実施形態では、反射型光学センサは発光部と受光部の数が同じ場合について説明したが、図34に示すように発光部と受光部の数が異なる場合にも適用できる。図34においては発光源E1と光電変換部D3、発光源E2と光電変換部D6、発光源E3と光電変換部D9と正対するものどうしで較正を行うようにする。
【符号の説明】
【0207】
2010 光走査装置
2030a〜2030d 感光体ドラム
2040 中間転写ベルト
2090 プリンタ制御装置
2245 センサ装置
419 テストパターン発生装置
2245a〜2245c 反射型光学センサ
E1〜E11 発光部(発光源)
D1〜D11 受光部(光電変換部)
201L,201CT,201R トナー位置検知用テストパターン
201K,201M,201C,201Y トナー濃度検知用テストパターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】
【特許文献1】特開2007−286176号
【特許文献2】特開2009−216930号
【特許文献3】特開2010−039460号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成するテストパターン形成手段と、
前記中間転写体上に形成されて副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサと、
前記トナー濃度および/またはトナー位置の検知のために前記反射型光学センサを制御し、前記反射型光学センサの検知結果に基づき、画像形成プロセス条件を決定する制御手段とを有し、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成であって、
前記制御手段は、前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択する選択手段とを備え、
前記テストパターン形成手段は、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記反射型光学センサのM個の受光部は、少なくとも発光部に対向配置された受光部を有し、
前記較正手段は、前記発光部に対向配置された受光部の値を用いて発光部の駆動電流を較正する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値のうち、最も電流値が小さい発光部を選択する、
ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記較正手段は、一度、N(≧3)個の発光部全ての較正を行い、以後は前記選択手段で選択された発光部のみを較正する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成し、前記中間転写体上を副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を反射型光学センサにより検知するトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法であって、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成とし、
前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正し、前記較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択し、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成する、
ことを特徴とするトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【請求項6】
前記反射型光学センサについて、前記較正された駆動電流の電流値のうち、最も電流値が小さい発光部を選択する、
ことを特徴とする請求項5記載のトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【請求項7】
前記反射型光学センサについて、一度、N(≧3)個の発光部全ての較正を行い、以後は前記選択された発光部のみを較正する、
ことを特徴とする請求項5もしくは6記載のトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【請求項1】
画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成するテストパターン形成手段と、
前記中間転写体上に形成されて副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知する反射型光学センサと、
前記トナー濃度および/またはトナー位置の検知のために前記反射型光学センサを制御し、前記反射型光学センサの検知結果に基づき、画像形成プロセス条件を決定する制御手段とを有し、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成であって、
前記制御手段は、前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正する較正手段と、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択する選択手段とを備え、
前記テストパターン形成手段は、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記反射型光学センサのM個の受光部は、少なくとも発光部に対向配置された受光部を有し、
前記較正手段は、前記発光部に対向配置された受光部の値を用いて発光部の駆動電流を較正する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記較正手段で較正された駆動電流の電流値のうち、最も電流値が小さい発光部を選択する、
ことを特徴とする請求項1もしくは2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記較正手段は、一度、N(≧3)個の発光部全ての較正を行い、以後は前記選択手段で選択された発光部のみを較正する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像情報に基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、前記静電潜像をトナー画像として可視化し、前記トナー画像を中間転写体を介して記録媒体に転写し、定着して画像形成を行う画像形成装置において、
前記中間転写体上にトナーによるテストパターンを形成し、前記中間転写体上を副方向へ移動する前記テストパターンにおけるトナー濃度および/またはトナー位置を反射型光学センサにより検知するトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法であって、
前記反射型光学センサは、N(≧3)個の発光部が、前記中間転写体表面に平行で主方向へ配列され、各発光部からの光を前記中間転写体上に光スポットとして照射する照射系と、M(≧3)個の受光部が主方向に、前記N個の発光部と平行に配列された受光系とを備え、前記照射系から射出して前記中間転写体、前記テストパターンにより反射された光を前記受光系で受光する構成とし、
前記反射型光学センサについて、前記中間転写体により反射された光が各受光部で所定の値になるように各発光部の駆動電流を較正し、前記較正された駆動電流の電流値に基づいて、前記トナー濃度および/またはトナー位置を光学的に検知するために使用する発光部を選択し、前記中間転写体上の、前記選択された発光部の位置に前記テストパターンを形成する、
ことを特徴とするトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【請求項6】
前記反射型光学センサについて、前記較正された駆動電流の電流値のうち、最も電流値が小さい発光部を選択する、
ことを特徴とする請求項5記載のトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【請求項7】
前記反射型光学センサについて、一度、N(≧3)個の発光部全ての較正を行い、以後は前記選択された発光部のみを較正する、
ことを特徴とする請求項5もしくは6記載のトナー濃度および/またはトナー位置検知制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図34】
【図6】
【図9】
【図14】
【図18】
【図19】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図34】
【図6】
【図9】
【図14】
【図18】
【図19】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−57900(P2013−57900A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197478(P2011−197478)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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