説明

画像形成装置、及び冷却装置

【課題】層規制部を効率的に冷却することができる冷却装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体を給紙する給紙部と、現像ローラ303に供給された現像剤の層厚を規制する層規制部300と、層規制部を気流により冷却する冷却部と、冷却部から送られる気流の気流路309を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部を支持する層規制部支持部と、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、及び冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像ローラ表面に付着した現像剤の層を規制するために、現像ローラ表面の現像剤の層厚を適正に保つ層規制部を備える画像形成装置が知られている。現像剤を層規制部で規制するたびに、摩擦熱により層規制部が熱くなるため、層規制部を冷却しなければならない。しかしながら、現像ユニットの構成において、層規制部の効率的な冷却が難しいという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−266249公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、層規制部を効率的に冷却することができる画像形成装置、及び冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における画像形成装置は、記録媒体を給紙する給紙部と、現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、前記層規制部を気流により冷却する冷却部と、前記冷却部から送られる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する前記層規制部を支持する層規制部支持部と、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第一の実施形態における、画像形成装置の構成図である。
【図2】第一の実施形態における、冷却装置の構成図である。
【図3】第一の実施形態における、現像器の斜視図である。
【図4】第一の実施形態における、現像器の断面図を示す図である。
【図5】第二の実施形態における、現像器の断面図を示す図である。
【図6】第三の実施形態における、現像器の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態の画像形成装置を説明する。
(第一の実施形態)
【0008】
第一の実施形態の画像形成装置は、現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、規制部を気流により冷却する冷却部と、冷却部から送られる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部を現像容器を介して支持する層規制部支持部とを備え、記録媒体に画像を形成する画像形成部を有する。層規制部は、ドクターブレードとも呼ばれる。
【0009】
図1は、第一の実施形態の画像形成装置を示す構成図である。図1において、画像形成装置100は、例えば複合機であるMFP(Multi-Function Peripherals)や、プリンタ、複写機等である。以下の説明ではMFPを例に説明する。
【0010】
画像形成装置100は、スキャナ部10、画像形成部20、給紙カセット(給紙部)30、排紙部40、及び制御部90を備える。スキャナ部10は、原稿面を光学的に走査することにより原稿上の画像を画像データとして読取る。給紙カセット30は、記録媒体Pを収容する。排紙部40は、画像形成され、排出された記録媒体Pを収容する。スキャナ部10は、印刷原稿の入力部の一例であり、この他に、例えば、外部端末としてPC(Personal Computer)で作成した原稿をこの入力部で受け入れ、画像データとして印刷することも可能である。
【0011】
画像形成部20は、トナーカートリッジ50Y、50M、50C、50K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4組の画像形成ステーション60Y、60M、60C、及び60Kを備える画像形成ステーション、及び現像器70Y、70M、70C、及び70Kを有する。各色のトナーカートリッジのうち、ブラック(K)のカートリッジ50Kのみ、その容量が大きくなっている。これは、通常の画像形成においては、ブラックのトナーの消費量が一番多いためである。
【0012】
画像形成部20は、画像データに基づく画像を記録媒体Pに形成する。画像形成部20は、中間転写ベルト11の下側に沿って並列に配置される。ここでは、カラーの画像形成装置で説明しているが、モノクロの画像形成装置であっても良い。
【0013】
各画像形成ステーション60Y、60M、60C、及び60Kは同様の構成である。従って、イエロー用の画像形成ステーション60Yについてその構成及び動作を説明し、他の画像形成ステーションには、対応する符号を付し、その説明は省略する。
【0014】
画像形成ステーション60Yは、現像剤カートリッジ50Y、現像器70Y、及び像担持体である感光体ドラム80Yを有する。現像剤カートリッジ50Yは、キャリア及びトナーの二成分現像剤(以下、現像剤とする)を収容する容器であり、着脱可能である。
【0015】
画像形成ステーション60Yは、感光体ドラム80Yの周囲に、回転方向に沿って帯電チャージャ、現像器70Y、1次転写ローラ12Y、クリーナ、ブレードを配置する。感光体ドラム80Yの露光位置には、レーザ露光装置75からイエローに対応する画像データで変調されたレーザビームを照射し、感光体ドラム80Y上に静電潜像を形成する。
【0016】
画像形成ステーション60Yの帯電チャージャは、感光体ドラム22Yの表面を一様に全面帯電する。この帯電した感光体ドラムの表面に前述のレーザビームを照射して静電潜像を形成する。現像器70Yは、現像バイアスが印加される現像ローラによりイエローのトナー及びキャリアにより構成される2成分現像剤を収容する。現像器70Yは、感光体ドラム80Y上の静電潜像にイエローのトナーを供給する。供給される現像剤により感光体ドラム80Yの静電潜像が現像され可視像であるトナー像となる。後述する転写工程を経て、クリーナは、ブレードを用いて感光体ドラム80Yの表面の残留トナーを除去する。
【0017】
中間転写ベルト11は、無端状であり、循環的に移動する。中間転写ベルト11は、それぞれの感光体ドラム80Yに対向し接触する。中間転写ベルト11の感光体ドラム80Yに対向する位置には、トナー像を中間転写ベルト11に1次転写するための、1次転写ローラ12Yが設けられる。各1次転写ローラ12により、各感光体ドラムに形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト11の移動に伴って中間転写ベルト11に順次転写される。中間転写ベルト11の2次転写部には、2次転写ローラ13が配置される。
【0018】
制御部90は、画像形成装置100の全体の動作を制御する。制御部90は、CPU、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部90は、冷却部の駆動を制御する。
【0019】
制御部90は、記録媒体Pを中間転写ベルト11と2次転写ローラ13間に挟持し、搬送するよう制御する。この中間転写ベルト110と2次転写ローラ13により挟持した記録媒体Pの搬送時、転写電圧が中間転写ベルト11と2次転写ローラ13間に加えられ、中間転写ベルト11上のトナー像を記録媒体Pに2次転写する。記録媒体Pの搬送方向に沿って、2次転写ローラ13の下流に、定着装置14が位置する。制御部90は、給紙カセット30から給紙される記録媒体Pが搬送経路に沿って、2次転写ローラ13を経て、定着装置14に搬送されるよう制御する。制御部90は、定着装置14で画像を定着後、排紙部40に画像を定着した記録媒体Pを排出するよう制御する。
【0020】
また、給紙カセット30から2次転写ローラ13に至る間には、給紙カセット30内の用紙Pを取り出すピックアップローラ、及び搬送ローラ、レジストローラを有し、2次転写ローラ13の下流には定着装置14を有する。
【0021】
定着装置14の下流には排紙部40と反転搬送路41を有する。排紙部40には、定着装置14によりトナー像が定着された用紙Pが排出される。反転搬送路41は、用紙Pを反転させて2次転写ローラ34の方向に導くもので、両面印刷を行う際に使用する。
【0022】
図2は、冷却装置200の構成図である。冷却装置200は、現像器70Yに備えられる現像ローラ303に供給された現像剤の層厚を規制する層規制部300と、層規制部300を気流により冷却する冷却部201と、冷却部201が発生させる気流の気流路309を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部300を支持する層規制部支持部302を備える。層規制部300及び層規制部支持部302については後述する。
【0023】
冷却部201は、例えばファンである。冷却部201で発生された気流は、冷却ダクトフロント202から、現像器70Y(層規制部支持部302)を矢印X方向に通過し、冷却ダクトリア203側に抜ける。冷却部201で発生する気流が現像器70Yを通過する際に、層規制部300を冷却する。図2では説明の都合上、イエローの現像器70Yのみを記載しているが、イエローの現像器70Yの隣に、マゼンタ、シアン、ブラックの現像器70M、70C、70Kが配置される。
【0024】
現像装置70は、現像器70Y、70M、70C、70Kを含むが、それぞれの現像器は同様の構成であるため、以下の説明ではY、M、C、Kの符号を省略する。感光体ドラム80は、感光体ドラム80Y、80M、80C、80Kを含むが、それぞれの感光体ドラムは同様の構成であるため、以下の説明ではY、M、C、Kの符号を省略する。
【0025】
図3は、現像器70Yの斜視図である。図3では説明の便宜上、層規制部300を取り外して記載する。現像容器301は、穴があけられており、層規制部300は、ネジ等で現像容器301に取り付けられ、現像容器301の穴をふさぐ。
【0026】
図4は、現像器の断面図である。現像器70は現像容器301を備えている。現像容器301は、感光体ドラム80の軸方向に沿って略平行に配置され、現像器70は回転自在の現像ローラ303を有する。
【0027】
現像ローラ303は、内部にマグネットを有し、マグネットローラとも呼ばれ、感光体ドラム80に対向して近接配置される。現像ローラ303の表面上には内部のマグネットによりキャリアとトナーが担持され、現像ローラ303の回転によりトナーを感光体ドラム80に供給する。
【0028】
現像容301は、仕切板306によって2つの空間307、308に仕切られており、一方の空間307には、2成分の現像剤、つまりトナー及びキャリアが補給される。空間307に補給されたトナーおよびキャリアは、空間308に供給されるようになっている。
【0029】
現像容器301の一方の空間307には、第1のミキサーを構成する攪拌ローラ304を有し、現像ローラ303が設けられた他方の空間308には、第2のミキサーを構成する攪拌ローラ305を有する。攪拌ローラ304、305は、それぞれ現像容器301内の現像剤(キャリアとトナー)を攪拌して現像ローラ303に供給するとともに、空間307と空間308内で現像剤を循環させる。
【0030】
現像器70は、空間307にトナー比濃度センサを有し、攪拌ローラ304によって攪拌、搬送される現像剤のトナー比濃度を検出する。トナー比濃度センサによって検出されたトナー比濃度が予め設定した閾値以下になると、トナーが補給される。
【0031】
現像容器301にあけられた穴は点線で示しており、層規制部300は、現像容器301に取り付けられ、現像容器301の穴をふさぐ。層規制部支持部302は、冷却部201から送られる気流の気流路309を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部300を、現像容器301を介して支持する。
【0032】
層規制部300は、現像ローラ表面に適正な隙間をとる位置に配置し、現像ローラ303表面に付着した現像剤の層を規制する。現像剤を層規制部300で規制するたびに摩擦熱が発生するが、層規制部300が、気流路面の一部を形成するため、冷却部201からの気流を直接受ける。すなわち、現像容器301の穴をふさいだ層規制部300の一部が気流路面を形成し、層規制部300の現像容器301の穴をふさいだ箇所が、冷却201からの気流を直接受け、層規制部300が効率的に冷える。
【0033】
上述のような冷却装置200、画像形成装置100により、層規制部300を効率的に冷却することができ、機体内温度上昇による印字性能低下を防止することができる。
(第二の実施形態)
【0034】
第二の実施形態の画像形成装置は、現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、規制部を気流により冷却する冷却部と、冷却部から送られる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部を支持する層規制部支持部が一体であり、記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える。第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。
【0035】
図5は、第二の実施形態における現像器70の断面図である。層規制部400は、現像容器301に取り付けられる。層規制部400は、第一の実施形態で説明した、層規制部300及び層規制部支持部301を一体としたものである。すなわち、層規制部400は、冷却部201から送られる気流の気流路309を形成し、気流路面を形成する。
【0036】
層規制部400は、現像ローラ表面に適正な隙間をとる位置に配置し、現像ローラ303表面に付着した現像剤の層を規制する。現像剤を層規制部400で規制するたびに摩擦熱が発生するが、層規制部400が、気流路面を形成するため、冷却部201からの気流を直接受け、層規制部300が効率的に冷える。また、第一の実施形態で説明した、層規制部300及び層規制部支持部301を一体とした層規制部400とすることで、部品を簡素化することができる。
【0037】
上述のような冷却装置200、画像形成装置100により、層規制部300を効率的に冷却することができ、機体内温度上昇による印字性能低下を防止することができる。また、部品を簡素化することができる。
(第三の実施形態)
【0038】
第三の実施形態の画像形成装置は、現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、規制部を気流により冷却する冷却部と、冷却部から送られる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する層規制部を支持する層規制部支持部が一体であり、放熱部を備える。第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。
【0039】
図6は、第三の実施形態における現像器70の断面図である。層規制部500は、現像容器301に取り付けられる。層規制部500は、第一の実施形態で説明した、層規制部300及び層規制部支持部301を一体としたものである。すなわち、層規制部500は、冷却部201から送られる気流の気流路309を形成し、気流路面を形成する。層規制部500は、放熱部(ヒートシンク)501を備える。放熱部501は、熱を逃がしやすい形状をとる。放熱部501は、表面積を広くするため、例えば複数の突起形状とする。
【0040】
層規制部500は、現像ローラ表面に適正な隙間をとる位置に配置し、現像ローラ303表面に付着した現像剤の層を規制する。現像剤を層規制部500で規制するたびに摩擦熱が発生するが、層規制部400が、気流路面を形成するため、冷却部201からの気流を直接受け、層規制部300が効率的に冷える。また、第一の実施形態で説明した、層規制部300及び層規制部支持部301を一体とした層規制部500とすることで、部品を簡素化することができる。層規制部500に放熱部501を備えるため、さらに効率的に層規制部500を冷やすことができる。
【0041】
上述のような冷却装置200、画像形成装置100により、層規制部を効率的に冷却することができ、機体内温度上昇による印字性能低下を防止することができる。また、製造工程を簡素化することができる。層規制部500に放熱部501を備えるため、さらに効率的に層規制部500を冷やすことができる。
【0042】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 スキャナ部
20 画像形成部
30 給紙部
40 排紙部
50 トナーカートリッジ
60 画像形成ステーション
70 現像器
80 感光体ドラム
90 制御部
100 画像形成装置
200 冷却装置
201 冷却部
300 層規制部
301 現像容器
302 層規制部支持部
303 現像ローラ
304、305 撹拌ローラ
309 気流路
501 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を給紙する給紙部と、
現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、前記層規制部を気流により冷却する冷却部と、前記冷却部から送られる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する前記層規制部を支持する層規制部支持部と、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記層規制部及び前記層規制部支持部が一体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記層規制部及び前記層規制部支持部が一体とし、放熱部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する層規制部と、
前記規制部を気流により冷却する冷却部と、
前記冷却部が発生させる気流の気流路を形成し、気流路面の一部を形成する前記層規制部を支持する層規制部支持部と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
前記層規制部及び前記層規制部支持部が一体であることを特徴とする請求項4記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47801(P2013−47801A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187273(P2012−187273)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】