説明

画像形成装置、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、情報処理装置制御方法、画像形成システム制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】圧縮した印刷ジョブをスプールした場合においても、スプールしたジョブをキャンセルすることが可能な画像形成装置、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、情報処理装置制御方法、画像形成システム制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮されたジョブをスプールした時点で、キャンセルなどに必要な情報を圧縮データ伸張部14でプレ展開し、JOBスプールリスト管理部13が保持するので、スプールしているジョブが圧縮されていても、キャンセル、一時停止及び再開をすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプールしたジョブをキャンセルする画像形成装置、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、情報処理装置制御方法、画像形成システム制御方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティニーズの高まりによりセキュアなデスクトップ環境を実現したいといった要望から、シンクライアントシステムが注目されている。シンクライアントシステムとは、クライアント端末には最低限の機能しか持たせず、サーバ側でアプリケーションやファイルなどの資源を管理するシステムの総称である。
【0003】
このシンクライアントシステムでは、全てのリソースをサーバ側で管理しているため、何かデータを印刷する際にはネットワークを介し、サーバ側からプリンタ側へ印刷データを転送し印刷することになる。その際、ネットワークトラフィックを軽減するため印刷データを圧縮しデータサイズを縮小させてプリンタに転送し、プリンタ側で圧縮データを伸張し印刷を行うソリューションが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−297331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図15は、特許文献1の発明に係る画像形成装置の各機能を示すブロック図である。図15に示されるように、上記特許文献1では、圧縮したジョブをスプールした場合の処理については記載されていない。ジョブをキャンセルするには、キャンセルするジョブの識別子を命令解釈部17に通知する必要がある。しかし、圧縮したジョブをスプールするとジョブ識別子が読み込めないため、ジョブのキャンセル、一時停止、再開することができないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、圧縮した印刷ジョブをスプールした場合においても、スプールしたジョブをキャンセルすることが可能な画像形成装置、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、情報処理装置制御方法、画像形成システム制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、情報処理装置から送信された送信データを記憶する送信データ記憶手段と、送信データ記憶手段により記憶された送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データを伸張する伸張手段と、伸張手段により伸張された伸張データを記憶する伸張データ記憶手段と、送信データ又は伸張データを展開する命令解釈手段と、送信データが圧縮されているか否かを判定する圧縮データ判定手段と、圧縮データ判定手段の判定に基づいて送信データ記憶手段により記憶された送信データを伸張手段又は命令解釈手段のいずれかに伝送することを決定する伝送路決定手段と、送信データをスプールする記憶手段と、送信データをスプールするか否かを判定するスプール判定手段と、記憶手段によりスプールされた送信データを管理するスプール管理手段と、送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張するプレ展開手段と、プレ展開手段により伸張された伸張データに基づいて、スプール管理手段を制御するスプール管理制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、スプール管理手段は、送信データのPJLから得られる情報を保持することを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、記憶手段によりスプールされた送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の情報処理装置は、画像形成装置の記憶手段によりスプールされた送信データを管理するスプール管理手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の情報処理装置は、記憶手段によりスプールされた送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成システムは、情報処理装置と画像形成装置を備える画像形成システムであって、情報処理装置は、画像形成装置の記憶手段によりスプールされた送信データを管理するスプール管理手段を備え、画像形成装置はスプール管理手段により管理されているスプールされた送信データを情報処理装置に送信するスプール情報送信手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成システムは、情報処理装置は、記憶手段によりスプールされた送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求手段を備え、画像形成装置は、記憶手段によりスプールされた送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、スプール管理手段は、送信データのプロトコルから得られる情報を保持することを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成方法は、情報処理装置から送信された送信データを記憶する送信データ記憶ステップと、送信データ記憶ステップにより記憶された送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データを伸張する伸張ステップと、伸張ステップにより伸張された伸張データを記憶する伸張データ記憶ステップと、送信データ又は前記伸張データを展開する命令解釈ステップと、送信データが圧縮されているか否かを判定する圧縮データ判定ステップと、圧縮データ判定ステップの判定に基づいて送信データ記憶ステップにより記憶された送信データを伸張ステップ又は命令解釈ステップのいずれかに伝送することを決定する伝送路決定ステップと、送信データをスプールする記憶ステップと、送信データをスプールするか否かを判定するスプール判定ステップと、記憶ステップによりスプールされた送信データを管理するスプール管理ステップと、送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張するプレ展開ステップと、プレ展開ステップにより伸張された伸張データに基づいて、スプール管理ステップを制御するスプール管理制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成方法は、記憶ステップによりスプールされた送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御ステップを備え、スプール管理ステップは、送信データのPJL及び送信データのプロトコルから得られる情報を保持することを特徴とする。
【0016】
本発明の情報処理装置を制御する方法は、画像形成方法の記憶ステップによりスプールされた送信データを管理するスプール管理ステップと、記憶ステップによりスプールされた送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成システムを制御する方法は、情報処理装置と画像形成装置を備える画像形成システムを制御する方法であって、情報処理装置は画像形成装置の記憶ステップによりスプールされた送信データを管理するスプール管理ステップを備え、画像形成装置は、スプール管理ステップにより管理されているスプールされた送信データを情報処理装置に送信するスプール情報送信ステップを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の画像形成システムを制御する方法は、情報処理装置は、記憶ステップによりスプールされた送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求ステップを備え、画像形成装置は記憶ステップによりスプールされた送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御ステップを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の画像形成装置制御プログラムは、情報処理装置から送信された送信データを記憶する処理と、送信データを記憶する処理により記憶された送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データを伸張する処理と、伸張する処理により伸張された伸張データを記憶する処理と、送信データ又は伸張データを展開する処理と、送信データが圧縮されているか否かを判定する処理と、判定する処理の判定に基づいて送信データを記憶する処理により記憶された送信データを伸張する処理又は展開する処理のいずれかに伝送することを決定する処理と、送信データをスプールする処理と、送信データをスプールするか否かを判定する処理と、スプールする処理によりスプールされた送信データを管理する処理と、送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張する処理と、一部を伸張する処理により伸張された伸張データに基づいて、管理する処理を制御する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0020】
本発明の画像形成装置制御プログラムは、スプールする処理によりスプールされた送信データの印刷処理をキャンセルする処理と、管理する処理に、送信データのPJL及び送信データのプロトコルから得られる情報を保持させる処理と、をコンピュータに実行させる。
【0021】
本発明の情報処理装置制御プログラムは、画像形成装置制御プログラムのスプールする処理によりスプールされた送信データを管理するスプール管理処理と、スプール処理によりスプールされた送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求処理と、をコンピュータに実行させる。
【0022】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ジョブをスプールした時点でキャンセルなどに必要な情報をスプール情報管理手段であるテーブル上に展開するので、スプールしているジョブが圧縮されていても、キャンセル、一時停止及び再開をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態の構成概略図である。図1は、クライアントPC(Personal Computer)1(シンクライアントPC2)、画像形成装置3、画像形成装置4、情報処理装置5、から構成される。クライアントPC1(シンクライアントPC2)、画像形成装置3、画像形成装置4、情報処理装置5はネットワークに接続され、クライアントPC1(シンクライアントPC2)はネットワークを介して情報処理装置5に印刷指示を送信する。シンクライアント環境では、この情報処理装置5と画像形成装置3、4の間のネットワークが非常に狭帯域であることが想定される。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置3の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置3はデータ受信部10、HDD(Hard Disk Drive)11、伝送路決定部12、JOBスプールリスト管理部13、圧縮データ伸張部14、受信バッファ(送信データ記憶手段)15、PDL(Page Discription Language)バッファ(伸張データ記憶手段)16、命令解釈部17を備え、情報処理装置5、情報処理装置6とネットワークを介して接続されている。
【0027】
情報処理装置(プリントサーバ)5は印刷データを画像形成装置3に送信し、画像形成装置3はデータ受信部10で印刷データを受信する。データ受信部10は、印刷データを受信し、印刷データのプロトコルの情報から、スプールするか判断し、スプールする場合はHDD(記憶手段)11に書込み、スプールした印刷データのファイル情報をJOBスプールリスト管理部13に通知する。スプールしない印刷データは、伝送路決定部12に送信する。
【0028】
JOBスプールリスト管理部13は、データ受信部10から受けたファイル情報からJOBスプールリストを作成する。印刷データファイルが圧縮されている場合は、圧縮データ伸張部14にプレ展開要求をし、圧縮データ伸張部14は圧縮データを展開する。ここでプレ展開とは、全て展開せず、圧縮データの一部を展開することを示す。
【0029】
伝送路決定部12は、受け取った印刷データが圧縮データか否かを判定し、圧縮データである場合は、圧縮データ伸張部14で圧縮データを伸張させ、PDLバッファ16に伸張データを書き込む。非圧縮データの場合は、受信バッファ15にデータを書き込む。
【0030】
圧縮データ伸張部14は、伝送路決定部12から受けた圧縮データを伸張する。プレ展開要求を受けた場合は、データの一部を展開する。命令解釈部17は、PDLを解釈する。情報処理装置6は、JOBスプールリスト情報などを取得し、表示するサービスである。データ受信部10は、情報処理装置6からのリクエストを受け、情報処理装置6のプロトコルにあわせて情報を送信する。
【0031】
図3は圧縮データを印刷する処理を示したタイミングチャートである。圧縮データを印刷する場合の処理の一例について、図3に示すタイミングチャートを用いて詳細に説明する。
【0032】
クライアントPC1/シンクライアントPC2は、ネットワークを介して情報処理装置5に印刷を指示する(フェーズF301)。この際、印刷を要求した印刷データを圧縮するか否かも指示する。
【0033】
情報処理装置5は、グラフィック、文字、PJL言語を含む印刷命令データを圧縮し(フェーズF302)、データ受信部10へ印刷命令データを送信する(フェーズF303)。データ受信部10は、上記F303で情報処理装置5から受信した印刷データが圧縮されているか否かを判定する(フェーズF304)。判定はプロトコルのスプール情報を基にして行う。
【0034】
データ受信部10は、印刷データを伝送路決定部12へ送信する(フェーズF305)。伝送走路決定部12は、受信したデータが圧縮されているのか否かの判定を行う(フェーズF306)。判定はデータのヘッダ内の圧縮形式を示すコード(マジックナンバ)を基に行う。圧縮データの判定方法については後述する。
【0035】
伝送路決定部12は、命令解釈部17に決定したバッファID(読込先のバッファID)を送信し(フェーズF307)、また圧縮データ伸張部14に決定したバッファID(読込先の受信バッファIDと書込み先のPDLバッファID)を送信する(フェーズF308)。
【0036】
伝送路決定部12は、受信バッファ15に印刷データを送信し(フェーズF309)、受信バッファ15に送信された印刷データが圧縮データである場合、圧縮データ伸張部14は受信バッファ15から印刷データを読み込む(フェーズF310)。圧縮データ伸張部14は、上記F310で読み込んだ圧縮されたデータを伸張し(フェーズF311)、伸張した印刷データをPDLバッファ16へ記憶させる。命令解釈部17は、PDLバッファ16から印刷命令データを読み出す。
【0037】
図4は、圧縮データをジョブスプールする処理を示したタイミングチャートである。圧縮データをジョブスプールする処理の一例について、図4に示すタイミングチャートを用いて詳細に説明する。
【0038】
情報処理装置5は、印刷データをデータ受信部10へ送信する(フェーズF401)。データ受信部10は、受信した印刷データが圧縮されているか否かを判定する(フェーズF402)。判定はプロトコルのスプール情報を基に行う。印刷データをスプールする場合には、データ受信部10はHDD11へ書込みを行い(フェーズF403)、かつスプールした情報(プロトコルの情報と保存したジョブファイル情報)をJOBスプールリスト管理部13へ通知する(フェーズF404)。
【0039】
JOBスプールリスト管理部13は、受信した印刷データが圧縮されているか否かを判定する(フェーズF405)。圧縮されていると判定した場合、JOBスプールリスト管理部13は圧縮データ伸張部14にプレ展開要求を行い、プレ展開の要求を受けた圧縮データ伸張部14は、指定されたデータがみつかるまで圧縮されたデータを伸張する(フェーズF406)。尚、プレ展開の処理の詳細については後述する。
【0040】
圧縮データ伸張部14は、伸張した内容をJOBスプールリスト管理部13へ通知する(フェーズF407)。JOBスプールリスト管理部13は、上記F407で圧縮データ伸張部14から通知された情報と上記F404でデータ受信部10から通知された情報を基にJOBスプールリストを作成する(フェーズF408)。
【0041】
図5は、クライアントPC1/シンクライアントPC2がJOBスプールリストを取得する処理を示したタイミングチャートである。図10は、クライアントPC1/シンクライアントPC2の画面上に表示されるスプールジョブ一覧の例を示した図である。クライアントPC1/シンクライアントPC2がスプールジョブ一覧を取得する処理の一例について、図5に示すタイミングチャート及び図10に示す図を用いて詳細に説明する。
【0042】
クライアントPC1/シンクライアントPC2は情報処理装置6にスプールジョブ一覧の取得を要求し(フェーズF501)、要求を受けた情報処理装置6は画像形成装置3のデータ受信部10にスプールジョブ一覧取得を要求する(フェーズF502)。データ受信部10は、JOBスプールリスト管理部13にJOBスプールリストを要求する(フェーズF503)。
【0043】
データ受信部10よりJOBスプールリスト要求を受けたJOBスプールリスト管理部13は、データ受信部10へJOBスプールリストを送信する(フェーズF504)。JOBスプールリスト受信したデータ受信部10は、情報処理装置6にスプールジョブ一覧を送信し(フェーズF505)、情報処理装置6は受信したスプールジョブ一覧をクライアントPC1/シンクライアントPC2に送信する(フェーズF506)。クライアントPC1/シンクライアントPC2の画面上には、図10に示すようなスプールジョブ一覧が表示される。
【0044】
図6は、スプール管理手段であるテーブルの一例を示した図である。図11は、情報処理装置5上でスプールジョブを管理するテーブルを示した図である。
【0045】
図6に示すように、スプールジョブ管理テーブルは以下に示すようにプロトコルとPJLの情報から構成されている。
ID:スプールジョブに割り当てられるID情報
ユーザ名:プロトコルから得られるユーザ名情報
文書名:プロトコルから得られる文書名情報
状態:ジョブの状態
サイズ:プロトコルから得られるデータサイズ情報
TRACKID:PJLのTRACKID(TRACKIDは、ジョブを識別するIDを示す)
JOBNANE:PJLのJOBNAME(JOBNEMEは、ジョブの名称を示す)
USERID:PJLのUSERID(USERIDは、ユーザを識別するIDを示す)
ここでは、PJLコマンドのTRACKIDを例としているが、PJLコマンドでジョブが一意に識別可能なものであれば何を用いてもよい。
【0046】
一方、図11に示すように情報処理装置5上でスプールジョブを管理するテーブルは、以下に示すプロトコルから得られる情報から構成されている。
ID:スプールジョブに割り当てられるID
ユーザ名:プロトコルから得られるユーザ名情報
文書名:プロトコルから得られる文書名情報
状態:ジョブの状態
サイズ:プロトコルから得られるデータサイズ情報
尚、必要であれば図6と同様にPJLの情報を保持することも可能である。ここでは、画像形成装置3と情報処理装置6間のデータ転送量を削減するために、最低限のデータを例としている。
【0047】
図7は、上記プレ展開の処理の流れを示したフローチャートである。図12は、PJLの一例を示した図である。プレ展開の処理の一例について、図7に示すフローチャート及び図12に示す図を用いて詳細に説明する。
【0048】
圧縮データ伸張部14は、圧縮データを受信し(ステップS701)、その圧縮データが1バイト(byte)ずつgzip(gun zip)形式で圧縮されている場合には、圧縮データを先頭から順に展開していく(ステップS702)。そして、展開した圧縮データが@PJL ENTER LANGUAGEであるか否か判断する(ステップS703)。
【0049】
@PJL ENTER LANGUAGEでない場合(ステップS703/NO)は、図12に示すように、PJLヘッダが先頭に付加されていて、そのPJLヘッダの@PJL ENTER LANGUAGEという情報が現れるまで展開を行う。上記S703において、@PJL ENTER LANGUAGEまで展開したと判断した場合(ステップS703/YES)は、展開を終了する。
【0050】
上述したプレ展開の処理の例では、@PJL ENTER LANGUAGEまで展開するとしているが、図6に示すスプール管理手段であるテーブルに必要な情報が得られるのであれば、別のPJLコマンドで展開を終了してもよい。例えば、@PJL SET TRCKIDで展開を終了することも可能である。
【0051】
図8は、ジョブのキャンセルのする処理の流れを示したタイミングチャートである。図9はキャンセルするTRACKIDを示すテーブルの例を示した図である。ジョブをキャンセルする処理の一例について、図8に示すタイミングチャート及び図9に示す図を用いて詳細に説明する。
【0052】
クライアントPC1/シンクライアントPC2は、アプリケーション上で、上述したスプールジョブ一覧を参照し、その中のジョブのキャンセル要求を送信する(フェーズF801)。情報処理装置5は、クライアントPC1/シンクライアントPC2から指定を受けたジョブのキャンセル要求を画像形成装置3に送信し、画像形成装置3は、データ受信部10でジョブのキャンセル要求を受信する(フェーズF802)。
【0053】
データ受信部10は、TRACKID情報をJOBスプールリスト管理部13に要求し(ステップS803)、JOBスプールリスト管理部13から、ジョブのTRACKIDを取得する(フェーズF804)。情報処理装置5側でTRACKIDの情報も保持している場合は、上記F803及びF804の処理は不要である。
【0054】
データ受信部10は、キャンセルするジョブのTRACKID(PJLのジョブ識別子)を命令解釈部17に通知する(フェーズF805)。命令解釈部17は、受信したTRACKIDをキャンセルするTRACKIDテーブルに保持する。命令解釈部17は、受信バッファ15(PDLバッファ16)から読み込んだジョブのTRACKIDが、図9に示すようなキャンセルするTRACKIDテーブルにあれば、ジョブをキャンセルし、TRACKIDテーブルからそのTRACKIDを消去する。尚、本実施形態ではTRACKIDを用いているが、PJLコマンドの別のジョブ識別子を用いることも可能である。
【0055】
図13は、上記圧縮データを判定する処理を示したフローチャートである。圧縮データであるか否かを判定する処理の流れの一例について図13に示すフローチャトートを用いて詳細説明する。
【0056】
データ圧縮判定は、まずデータを受信し(ステップS1301)、適当バイト数を読み出すことにより(ステップS1302)、該当するヘッダ内の圧縮形式を示すコード(マジックナンバ)があるか否かを判定する(ステップS1303)。該当するマジックナンバがある場合(ステップS1303/YES)は、データ圧縮形式が確定される(ステップS1304)。一方、該当するマジックナンバがない場合(ステップS1303/NO)は、非圧縮データであると確定される(ステップS1305)。
【0057】
ここで、圧縮アルゴリズムには、必ずデータがどの形式で圧縮されたのかを理解するためのマジックナンバが付加されている。該当するマジックナンバと合致すれば、そのマジックナンバが示す圧縮形式で圧縮されたデータであり、該当しなければ非圧縮データであることを示す。また、上記S1302で適当バイト読み出すと表現したのは、マジックナンバは圧縮形式によってバイト数が異なるためである。
【0058】
図14は、スプールジョブのジョブ順入れ替えの処理を示すタイミングチャートである。スプールジョブのジョブ順入れ替えの処理の一例について、図14に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0059】
クライアントPC1/シンクライアントPC2は、アプリケーション上で、スプールジョブ一覧を参照し、その中のジョブの順番入れ替え要求を情報処理装置5へ送信する(フェーズF1401)。情報処理装置5は、クライアントPC1/シンクライアントPC2から指定を受けたジョブの順番入れ替え要求を画像形成装置3に送信し、画像形成装置3はデータ受信部10でジョブの順番入れ替え要求を受ける(フェーズF1402)。
【0060】
データ受信部10は、JOBスプールリスト管理部13に、ジョブの順番入れ替え要求をする(フェーズF1403)。JOBスプールリスト管理部13は、JOBスプールリスト(スプールジョブ管理テーブル)の順番入れ替え要求を受けたジョブの順番を入れ替え、JOBスプールリストを作成する(フェーズF1404)。
【0061】
本実施形態により、ジョブをスプールした時点でジョブのキャンセルに必要な情報をテーブル上に展開するので、スプールしているジョブが圧縮されている場合であっても、ジョブのキャンセル、一時停止及び再開を行うことが可能となる。
【0062】
また、JOBスプールリストは、一部のデータ(PJLのヘッダ部分)をプレ展開した情報と最低限の印刷データの情報から作成されるので、画像形成装置3と情報処理装置6間の転送量を削減し、スムーズな印刷環境を提供することが可能となる。
【0063】
また、クライアントPC1/シンクライアントPC2は、スプールジョブ一覧を取得して画面上で参照することができるので、キャンセルすべきジョブを容易に選択し、スムーズにキャンセルすることが可能となる。
【0064】
また、クライアントPC1/シンクライアントPC2は、アプリケーション上でスプールジョブ一覧を参照し、その中のジョブの順番入れ替えについて情報処理装置5を介して画像形成装置3に要求することができるので、スプールジョブの順番の入れ替えをすべきジョブを容易に選択し、スムーズにスプールジョブの順番を入れ替えることが可能となる。
【0065】
尚、各図のタイミングチャート及びフローチャートに示す処理を、CPU(Central Processing Unit)が実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0066】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像形成装置、情報処理装置、画像形成システム、画像形成方法、情報処理装置制御方法、画像形成システム制御方法、プログラム、及び記録媒体に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置3の各機能を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る圧縮データを印刷する処理を示したタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る圧縮データをジョブスプールする処理を示したタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るクライアントPC1/シンクライアントPC2がJOBスプールリストを取得する処理を示したタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るスプール管理手段であるテーブルの例を示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプレ展開の処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るジョブのキャンセルのする処理の流れを示したタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るキャンセルするTRACKIDを示すテーブルの例を示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係るクライアントPC1/シンクライアントPC2の画面上に表示されるスプールジョブ一覧の例を示した図である。
【図11】本発明の実施形態に係る情報処理装置5上でスプールジョブを管理するテーブルの例を示した図である。
【図12】本発明の実施形態に係るPJLの例を示した図である。
【図13】本発明の実施形態に係る圧縮データを判定する処理を示したフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係るスプールジョブのジョブ順入れ替えの処理を示すタイミングチャートである。
【図15】従来の画像形成装置の各機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
1 クライアントPC
2 シンクライアントPC
3 画像形成装置
4 画像形成装置
5 情報処理装置
6 情報処理装置
10 データ受信部
11 HDD
12 伝送路決定部
13 JOBスプールリスト管理部
14 圧縮データ伸張部
15 受信バッファ
16 PDLバッファ
17 命令解釈部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から送信された送信データを記憶する送信データ記憶手段と、
前記送信データ記憶手段により記憶された前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、前記圧縮データを伸張する伸張手段と、
前記伸張手段により伸張された伸張データを記憶する伸張データ記憶手段と、
前記送信データ又は前記伸張データを展開する命令解釈手段と、
前記送信データが圧縮されているか否かを判定する圧縮データ判定手段と、
前記圧縮データ判定手段の判定に基づいて前記送信データ記憶手段により記憶された前記送信データを前記伸張手段又は前記命令解釈手段のいずれかに伝送することを決定する伝送路決定手段と、
前記送信データをスプールする記憶手段と、
前記送信データをスプールするか否かを判定するスプール判定手段と、
前記記憶手段によりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理手段と、
前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張するプレ展開手段と、
前記プレ展開手段により伸張された伸張データに基づいて、前記スプール管理手段を制御するスプール管理制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スプール管理手段は、前記送信データのPJLから得られる情報を保持することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段によりスプールされた前記送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置の記憶手段によりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理手段を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段によりスプールされた前記送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求手段をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項4記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置とネットワークを介して接続される請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、前記スプール管理手段により管理されているスプールされた前記送信データを前記情報処理装置に送信するスプール情報送信手段を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項4記載の情報処理装置と、
請求項3記載の画像形成装置と、を備える画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置の記憶手段によりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理手段を備えること特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
前記スプール管理手段は、前記送信データのプロトコルから得られる情報を保持することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項9】
情報処理装置から送信された送信データを記憶する送信データ記憶ステップと、
前記送信データ記憶ステップにより記憶された前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、前記圧縮データを伸張する伸張ステップと、
前記伸張ステップにより伸張された伸張データを記憶する伸張データ記憶ステップと、
前記送信データ又は前記伸張データを展開する命令解釈ステップと、
前記送信データが圧縮されているか否かを判定する圧縮データ判定ステップと、
前記圧縮データ判定ステップの判定に基づいて前記送信データ記憶ステップにより記憶された前記送信データを前記伸張ステップ又は前記命令解釈ステップのいずれかに伝送することを決定する伝送路決定ステップと、
前記送信データをスプールする記憶ステップと、
前記送信データをスプールするか否かを判定するスプール判定ステップと、
前記記憶ステップによりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理ステップと、
前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張するプレ展開ステップと、
前記プレ展開ステップにより伸張された伸張データに基づいて、前記スプール管理ステップを制御するスプール管理制御ステップと、を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記記憶ステップによりスプールされた前記送信データの印刷処理をキャンセルする印刷制御ステップを備え、
前記スプール管理ステップは、前記送信データのPJL及び前記送信データのプロトコルから得られる情報を保持することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の画像形成方法の記憶ステップによりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理ステップと、前記記憶ステップによりスプールされた前記送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求ステップと、を備えることを特徴とする情報処理装置を制御する方法。
【請求項12】
請求項4記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置とネットワークを介して接続される請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置と、を備える画像形成システムを制御する方法であって、
前記画像形成装置は、前記スプール管理ステップにより管理されているスプールされた前記送信データを前記情報処理装置に送信するスプール情報送信ステップを備えることを特徴とする画像形成システム制御方法。
【請求項13】
請求項4記載の情報処理装置と、
請求項3記載の画像形成装置と、を備える画像形成システムを制御する方法であって、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置の記憶ステップによりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理ステップを備えること特徴とする画像形成システム制御方法。
【請求項14】
情報処理装置から送信された送信データを記憶する処理と、
前記送信データを記憶する処理により記憶された前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、前記圧縮データを伸張する処理と、
前記伸張する処理により伸張された伸張データを記憶する処理と、
前記送信データ又は前記伸張データを展開する処理と、
前記送信データが圧縮されているか否かを判定する処理と、
前記判定する処理の判定に基づいて前記送信データを記憶する処理により記憶された前記送信データを前記伸張する処理又は前記展開する処理のいずれかに伝送することを決定する処理と、
前記送信データをスプールする処理と、
前記送信データをスプールするか否かを判定する処理と、
前記スプールする処理によりスプールされた前記送信データを管理する処理と、
前記送信データが圧縮された圧縮データである場合、圧縮データの一部を伸張する処理と、
前記一部を伸張する処理により伸張された伸張データに基づいて、前記管理する処理を制御する処理と、をコンピュータに実行させる画像形成装置制御プログラム。
【請求項15】
前記スプールする処理によりスプールされた前記送信データの印刷処理をキャンセルする処理と、
前記管理する処理に、前記送信データのPJL及び前記送信データのプロトコルから得られる情報を保持させる処理と、をコンピュータに実行させる請求項14記載のプログラム。
【請求項16】
請求項14又は15記載の画像形成装置制御プログラムのスプールする処理によりスプールされた前記送信データを管理するスプール管理処理と、前記スプールする処理によりスプールされた前記送信データのジョブのキャンセル要求を画像形成装置に送信するキャンセル要求処理と、をコンピュータに実行させる情報処理装置制御プログラム。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか1項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−187064(P2009−187064A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23200(P2008−23200)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】