画像形成装置、画像形成システム、画像形成プログラム
【課題】省電力の効果を維持しつつ、ストレージ印刷機能を使用して印刷要求をしたユーザがスリープモードを解除するのに待たされる不都合を抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、印刷ジョブを受信する受信部と、該受信部で受信された印刷ジョブが、印刷指示の入力まで印刷が保留されるストレージ印刷ジョブか、直ぐに印刷される通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、該印刷部を制御する制御部を備える。制御部は、印刷ジョブを受信してから待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部をスリープモードに設定する。制御部は、ジョブ判断部の判断結果に基づいて、受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで当該印刷ジョブの印刷を保留しつつ、待機時間を通常印刷ジョブである場合の待機時間に比して、長い時間に設定させる。
【解決手段】画像形成装置は、印刷ジョブを受信する受信部と、該受信部で受信された印刷ジョブが、印刷指示の入力まで印刷が保留されるストレージ印刷ジョブか、直ぐに印刷される通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、該印刷部を制御する制御部を備える。制御部は、印刷ジョブを受信してから待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部をスリープモードに設定する。制御部は、ジョブ判断部の判断結果に基づいて、受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで当該印刷ジョブの印刷を保留しつつ、待機時間を通常印刷ジョブである場合の待機時間に比して、長い時間に設定させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、パーソナルコンピュータのようなデータ処理装置から送信された画像データにかかる画像を記録媒体に形成する画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータのようなデータ処理装置と通信可能に接続されて、該データ処理装置から送信された画像データを記録媒体に印刷するプリンタやファクシミリ等の画像形成装置が従来から存在する。このような画像形成装置には、データ処理装置から該画像形成装置に送信された画像データの印刷実行を保留し、ユーザが該画像形成装置にて印刷実行を指示することで、印刷の実行がなされるもの(印刷実行や印刷データを保留する意味よりストレージ印刷などと呼ばれる)がある。1例を挙げると、認証印刷機能を備えた画像形成装置が該当し(例えば、特許文献1参照)、この認証印刷機能とは、印刷可能と認定され且つ印刷要求をしたユーザが画像形成装置にて印刷ジョブの認証作業を行い、該認証作業が正しいと認められれば該印刷ジョブの印刷を許可する機能である。
具体的には、ユーザはデータ処理装置にて認証条件(例えば、IDやパスワード)を指定して印刷要求をする。画像形成装置では、該印刷要求が認証条件を含むことを検知して、該印刷要求を認証条件付の印刷ジョブ(認証印刷ジョブ)として登録する。印刷要求をしたユーザは、画像形成装置に出向き、認証条件を入力する。認証条件が正しく入力されれば、画像形成装置は該認証印刷ジョブの印刷を許可する。この認証印刷機能は、主に機密性の高い内容を印刷する際に実行する機能である。
他にも、データ処理装置から該画像形成装置に送信された画像データを該画像形成装置内などに保存しておき、ユーザが該画像形成装置にて該画像データについて記録媒体への印刷実行を指示することで印刷の実行がなされるものがある。この場合、認証機能は有さないとしても複数のユーザが該画像形成装置内で保存された該画像データをいつでも印刷できるというメリットを有する。
また、画像形成装置にて、該装置の電源をオンとし、印刷を直ぐに開始できる状態に常時待機しておくと、印刷を行わないにもかかわらず、待機に必要な電力を消費する。この電力を節約すべく、所定の待機時間内に、次の印刷ジョブが到達せず、又は画像形成装置がユーザによって操作されないと、該待機時間経過後に一部の回路や装置への給電を停止する又は減じる省電力モード(以下、「スリープモード」とする)ことが行われている(例えば、特許文献2参照)。画像形成装置の省電力化の要請が高まるに伴い、15秒程度の短時間内に画像形成装置が操作されないと、スリープモードに移行する装置もある。スリープモードを解除するには、次の印刷ジョブが到達するか、ユーザが画像形成装置に何らかの操作を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―152520号
【特許文献2】特開平8―150764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の画像形成装置では、所定の待機時間内に次の印刷ジョブが到達しないと、画像形成装置がユーザによって操作されない限り、スリープモードに入る。即ち、特許文献1に記載されたような認証条件の入力のようなユーザの操作が待機時間内にされないと、スリープモードに入る。ところが、一般にストレージ印刷機能を使用した印刷においては、データ処理装置などから印刷要求を画像形成装置に送信してから実際に印刷実行を該画像形成装置に入力するまでの時間が短く、この場合に既に該画像形成装置がスリープモードに入っていると、ユーザが画像形成装置の前で待たされることになる。
例えば、認証印刷機能を使用した場合、ユーザがデータ処理装置から画像形成装置に向かう間に時間が掛かると、スリープモードに入ってしまい、認証条件を指定して印刷要求をしたユーザが、スリープモードを解除するまで待たされる不都合がある。逆に、スリープモードに設定されるまでの時間が長いとユーザが待たされる不都合は解消されるが、省電力の効果は少ない。なお、認証印刷機能を使用しないストレージ印刷の場合であっても、印刷ジョブを該画像形成装置に保存したユーザについては、該印刷ジョブを保存してからすぐに印刷実行をさせる可能性が高いので同じ結果となる。
本発明の目的は、省電力の効果を維持しつつ、ストレージ印刷機能を使用して印刷要求をしたユーザがスリープモードを解除するのに待たされる不都合を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【0006】
本発明に係る画像形成システムは、データ処理装置と該データ処理装置から送信される印刷ジョブを受信可能な画像形成装置を備え、該画像形成装置は、前記データ処理装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【0007】
本発明に係る画像形成プログラムは、外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部とを有する画像形成装置に、
前記受信部で受信した前記印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断する工程と、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせる工程と、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させる工程を実行させる。
【0008】
本発明に係る別の画像形成システムは、データ処理装置と、該データ処理装置から送信される印刷指令及び印刷データを受信可能なサーバ装置及び該サーバ装置から転送される前記印刷指令及び前記印刷データを受信可能な画像形成装置を備え、
前記サーバ装置は、前記データ処理装置から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部と、前記サーバ側受信部において受信した前記印刷指令及び前記印刷データの少なくとも何れかを前記画像形成装置に転送する転送部と、少なくとも前記印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部と、前記サーバ側受信部で受信された前記印刷データについて、前記画像形成装置からの転送要求があるまで前記サーバ側記憶部に前記印刷データが記憶されるストレージ印刷データか、前記画像形成装置からの転送要求を待たずに前記画像形成装置に前記印刷データを転送する通常印刷データかを判断するサーバ側ジョブ判断部と、前記画像形成装置から送信される前記印刷データの転送要求を受信する転送要求受信部と、前記転送部及び前記記憶部を制御するサーバ側制御部とを有し、
前記サーバ側制御部は、前記サーバ側ジョブ判断部の判断結果に基づき、前記印刷データが通常印刷データと判断された場合、前記印刷指令及び前記印刷データを前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、前記印刷データがストレージ印刷データと判断された場合、前記印刷指令を前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、且つ前記印刷データを前記サーバ側記憶部に記憶させるよう前記サーバ側記憶部を制御し、その後、前記サーバ側記憶部に記憶された前記印刷データについて前記転送要求受信部により前記転送要求を受信した場合に当該印刷データを前記画像形成装置に転送させるように前記転送部を制御し、
前記画像形成装置は、前記サーバ装置から転送された前記印刷指令及び前記印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷指令が記憶される記憶部と、ユーザにより前記印刷指令の実行指示が入力される入力部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部、前記記憶部、前記送信部及び前記電源部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信した場合は、前記入力部に入力される前記印刷指令の実行を待たずに前記印刷部により前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷させるよう前記印刷部を制御し、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合は、前記記憶部に受信した当該印刷指令を記憶させ、且つ、前記入力部に当該記憶させた印刷指令の実行要求が入力された時に前記サーバ装置に当該印刷指令に対応する前記印刷ジョブの転送を要求させるよう前記送信部を制御し、当該転送要求に応じて前記転送部より転送された前記当該印刷ジョブを前記受信部により受信すると、当該印刷ジョブを印刷させるように前記印刷部を制御し、
前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合には前記入力部への当該印刷指令の実行指示の入力まで前記待機時間を前記所定の待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、省電力の効果を維持しつつ、ストレージ印刷機能を使用して印刷要求をしたユーザがスリープモードを解除するのに待たされる不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置とデータ処理装置を備えた画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】印刷ジョブのフォーマットを示す図である。
【図3】1の実施形態に係る画像形成装置のスリープモード設定動作手順を示すフローチャートである。
【図4】別の実施形態に係る画像形成装置のスリープモード設定動作手順を示すフローチャートである。
【図5】スリープモード設定後の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】スリープモードを解除する際の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【図8】別の実施形態の工程を示す説明図である。
【図9】別の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【図10】別の画像形成システムの概略図である。
【図11】図10に示す画像形成システムに用いるサーバ装置のブロック図である。
【図12】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置のブロック図である。
【図13】図10に示す画像形成システムに用いるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
図1は、画像形成装置2とデータ処理装置5を備えた画像形成システム1の構成を示すブロック図である。該画像形成装置2はインターネットやLANなどのネットワーク10を介して複数のデータ処理装置5に接続されている。即ち、該画像形成システム1は、データ処理装置5を使用する複数のユーザが1台の画像形成装置2を共有して使用することを想定している。ネットワーク10は有線と無線の何れでもよい。
データ処理装置5は、例えばパーソナルコンピュータであって、OSや、印刷用の文字、画像データを作成可能なアプリケーションソフトが格納されたハードディスクドライブ50、画像データを表示する表示部51、該ハードディスクドライブ50からプログラムを呼び出してデータ処理装置顔全体の動作を司る制御部52、キーボードやタッチパネルを有する操作部53、前記ネットワーク10に接続されるインターフェイス部54を備える。
【0012】
画像形成装置2は所謂複合機タイプのプリンタであって、画像形成装置2に出向いたユーザが印刷物のコピーを行う際に操作するコピー部26やファクシミリ送受信部27が設けられている。しかし、以下の記載ではデータ処理装置からの印刷ジョブを受信して画像等を印刷する機能に係る部分を重点的に説明する。
【0013】
本実施形態に係る画像形成装置2による印刷形態には、以下の4通りがある。
(1) パブリックプリント
(2) プライベートプリント
(3) セキュアプリント
(4) 通常プリント
(1)のパブリックプリント、(2)のプライベートプリント、(3)のセキュアプリントは印刷要求をしたユーザが画像形成装置2に出向いて、該画像形成装置2に記録媒体への印刷指示を入力することを条件として印刷される印刷形態であり、印刷ジョブが一旦画像形成装置2に記憶される印刷形態である。(4)の通常プリントは、ユーザによって印刷要求がされると、ユーザの該画像形成装置2への印刷指示なくして直ぐに印刷される印刷形態である。
【0014】
また、(3)のセキュアプリントは、該画像形成装置2への印刷指示として、印刷要求をしたユーザによるユーザ認証と、印刷ジョブの認証を必要とするものであり、例えば給与明細のように印刷要求をしたユーザ以外には見られたくない機密文書を印刷する形態である。該ユーザ認証は例えば画像形成装置のカードリーダ(図示せず)にユーザがカードをかざすことによって行われる。また、印刷ジョブの認証は、画像形成装置2にユーザが認証コード、具体的にはパスワードを入力することにより行われる。
ユーザはセキュアプリントの印刷を行う場合は、印刷要求送信時にパスワードを設定し、印刷時には画像形成装置2に出向いて該パスワードを該画像形成装置に入力する。入力したパスワードが印刷要求送信時に設定されたパスワードと同じであれば印刷部30による印刷が開始され、誤ったパスワードを入力すれば印刷が許されない。
【0015】
一方、(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントは、セキュアプリントに比して機密性が低く、印刷指示として、印刷ジョブの認証は不要であるが、ユーザ認証は必要である。(2)のプライベートプリントは、印刷可能なユーザが限定されているのに対し、(1)のパブリックプリントは、印刷可能なユーザが限定されていない、具体的には画像形成装置に繋がったデータ処理装置のユーザであれば印刷可能な印刷物を印刷する形態である。尚、コピー、スキャナを使用する際には、ユーザ認証を必要としてもよいし、必要としなくともよい。
上記のユーザ認証と印刷ジョブの認証の2つを、「認証条件」とする。即ち、(3)のセキュアプリントの認証条件は、ユーザ認証と印刷ジョブの認証の2つであり、(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントの認証条件はユーザ認証のみである。
【0016】
以下の記載では、(3)のセキュアプリントの為の印刷ジョブを前記の如く認証印刷ジョブ、該セキュアプリント以外の3種類の印刷形態の為の印刷ジョブを非認証印刷ジョブと呼ぶ。
また、(1)のパブリックプリント、(2)のプライベートプリント、(3)のセキュアプリントは、画像形成装置2への印刷指示の入力、具体的にはユーザ認証の入力を条件として印刷されるから、これらの為の印刷ジョブは、一旦後記の記憶部32に格納される。従って、該印刷ジョブをストレージ印刷ジョブと呼び、一方、ユーザの認証なくして印刷される(4)の通常プリントの為の印刷ジョブを通常印刷ジョブと呼ぶ。
認証印刷ジョブと通常印刷ジョブは印刷された後は、画像形成装置2内から自動的に削除される。一方、非認証印刷ジョブのうち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブは、該印刷ジョブに基づく印刷物が印刷された後に、別途該非認証印刷ジョブの削除を指示しないと、画像形成装置2内に残る。
【0017】
画像形成装置2は、図1に示すように、前記ネットワーク10に接続されるインターフェイス部20と、各データ処理装置5から送信される印刷ジョブを受信する受信部21と、画像形成装置2の印刷処理状態を表す表示部22と、ユーザが入力操作を行う液晶表示画面を設け、ユーザにより印刷ジョブの印刷指示又は印刷ジョブの削除が入力される入力部24と、動作プログラム等が格納され、且つ印刷ジョブ又は印刷ジョブに係る画像データが記憶可能なROM、RAM等からなる記憶部32と、画像形成装置2内の必要箇所に電力を供給する電源部23と、各ユーザの印刷履歴が格納可能な印刷履歴格納部25と、前記受信部21で受信された印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部33と、紙等の記録媒体に印刷処理を行う印刷部30と、少なくとも前記印刷部30と電源部23を制御するCPUである制御部3と、印刷ジョブからラスタデータ(ビットマップ画像)を作成するRIP(Raster Image Processor)処理を行う画像処理部31を備える。制御部3は、内部の動作クロックを分周してタイマーとして用いる。
前記のジョブ判断部33は、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合に、該認証印刷ジョブから識別情報を読み取るユーザ判別部34を備える。また、前記ジョブ判断部33は、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合に、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか非認証印刷ジョブ、即ち(1)のパブリックプリント又は(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブかを判断することもできる。
【0018】
図2は、印刷ジョブのフォーマットを示す図である。印刷ジョブはジョブ番号、ユーザが付することができるジョブ名称、認証印刷ジョブである場合にユーザが設定するパスワード、セキュリティレベル、即ち上記(1)〜(4)の何れのプリントであるかを示す情報、ユーザの識別情報、及び印刷データ(画像データ)を有している。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のジョブであれば、パスワードの箇所はヌル(ゼロ)となる。ジョブ名称、パスワード、セキュリティレベルは、データ処理装置5のユーザによって指定される。印刷ジョブにて、ジョブ番号からユーザの識別情報までを、印刷ジョブのヘッダー部分と呼ぶ。
【0019】
制御部3は前記の如く、タイマー機能を有しており、また印刷ジョブを受信してから次の印刷ジョブを受信しない場合に、スリープモードに移行すべき待機時間の値を記憶している。この値として時間L1と時間L2を有し、時間L1は時間L2よりも大きい。該制御部3は受信部21が印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブの受信から時間測定を開始する。時間測定の開始から待機時間内に、受信部21が印刷ジョブを受信しない場合、または受信部21が印刷ジョブを受信したけれども、その印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであって、且つユーザによる印刷指示の入力が無い場合は、制御部3は待機時間経過後に印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する。制御部3自体及び受信部21はスリープモードに設定されず、印刷ジョブの受信を検知する。これにより、画像形成装置2の省電力化を図る。なお、前述したスリープモードに移行すべき待機時間の値は、制御部3に含まれた小容量のROMや記憶部32の一部に記憶されていてもよい。
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る画像形成装置2のスリープモード設定動作手順をフローチャートを用いて説明する。当初は電源部23は画像形成装置2内の各部に電力供給している。
図3に示すように、受信部21にてデータ処理装置5からの印刷ジョブを受信すると、ジョブ判断部33がヘッダー部分を読む。制御部3はタイマー機能を作動させて、時間測定を開始する。ジョブ判断部33は、該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか否かを判断する(ステップS1)。該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブと判断すれば、制御部3は該印刷ジョブを記憶部32に記憶させる(ステップS2)。この場合、該印刷ジョブをRIP処理し、画像展開、即ち画像を形成してから、記憶部32に記憶させてもよい。一方、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブでない、即ち通常印刷ジョブと判断した場合は、制御部3は画像処理部31を作動させて該印刷ジョブをRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS6)。
【0021】
制御部3は、ステップS2の後に、待機時間を時間L1に設定し(ステップS3)、次にユーザにより該ストレージ印刷ジョブの印刷指示、即ち認証条件が入力部24に入力されたか否かを確認する(ステップS4)。印刷指示が入力されれば、該ストレージ印刷ジョブをRIP処理して印刷する(ステップS7)。印刷指示が入力されなければ、制御部3は、印刷指示の未入力時間がストレージ印刷ジョブの受信から時間L1だけ続くか否かを確認する。印刷指示の未入力時間が時間L1を越えれば(ステップS5)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS11)。
一方、先の印刷ジョブが通常印刷ジョブであった場合は、制御部3は印刷処理後に、受信部21が次の印刷ジョブを受信しているか否かを判断する(ステップS8)。受信部21が印刷ジョブを受信していれば、ステップS1に戻って印刷ジョブの種類を判断する。受信部21が印刷ジョブを受信していなければ、待機時間として時間L2に設定し(ステップS9)、印刷ジョブの未受信時間が時間L2だけ続くか否かを確認する。
【0022】
印刷ジョブの未受信時間が時間L2を越えれば(ステップS10)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS11)。前記の如く、時間L1は時間L2よりも大きな値である。即ち、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであれば、印刷ジョブが受信部21に受信されてからスリープモードに設定されるまでの時間が、通常印刷ジョブを受信した場合に比して長い。
印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合は、スリープモードへ移行するまでの待機時間を通常印刷ジョブより長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。また、通常印刷ジョブでは、ストレージ印刷ジョブよりも早くスリープモードに移行するので省電力の効果を維持できる。
上記工程では、ステップS7にて印刷ジョブをRIP処理して印刷するとしたが、既にRIP処理がされた印刷ジョブを印刷してもよい。
【0023】
(第2の実施形態)
本実施形態にあっては、制御部3は、スリープモードに移行するまでの待機時間の値として、第1の時間と該第1の時間よりも短い第2の時間の2つの値を有している。第2の時間は、前記時間L2よりも大きく、第1の時間は時間L1と同じでも異なっても良い。前記制御部3は、受信部21が受信した印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、待機時間を第1の時間に設定し、該印刷ジョブが非認証印刷ジョブである場合は、待機時間を第2の時間に設定する。以下に工程を説明する。
【0024】
図4に示すように、受信部21にてデータ処理装置5からの印刷ジョブを受信すると、ジョブ判断部33は、該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか否かを判断する(ステップS20)。制御部3はタイマー機能を作動させて、時間測定を開始する。
該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブならば、ジョブ判断部33は更に、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか否かを判断する(ステップS21)。該印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、制御部3は待機時間を第1の時間に設定する(ステップS22)。該印刷ジョブが非認証印刷ジョブであれば、制御部3は待機時間を第2の時間に設定する(ステップS23)。待機時間設定後は、制御部3はストレージ印刷ジョブを記憶部32に記憶させる(ステップS24)。
一方、ステップS20にて、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブでない、即ち通常印刷ジョブと判断されれば、制御部3は画像処理部31を作動させて該印刷ジョブをRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS29)。
ステップS24の後に、制御部3は入力部24にストレージ印刷ジョブの印刷指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(ステップS25)。印刷指示が入力部24に入力されていれば、制御部3は該ストレージ印刷ジョブを画像処理部31にてRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS26)。
【0025】
入力部24に印刷ジョブの印刷指示がユーザによって入力されなければ、制御部3は印刷ジョブが受信部21にて受信されてから、第1の時間又は第2の時間が経過したか否かを判断する(ステップS27)。第1の時間又は第2の時間が経過すれば、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS28)。
一方、先の印刷ジョブが通常印刷ジョブであった場合は、制御部3は該通常印刷ジョブの印刷処理後に、受信部21が次の印刷ジョブを受信しているか否かを判断する(ステップS30)。
受信部21が印刷ジョブを受信していれば、ステップS20に戻って印刷ジョブの種類を判断する。受信部21が印刷ジョブを受信していなければ、待機時間として時間L2を設定し(ステップS31)、印刷ジョブの未受信時間が時間L2だけ続くか否かを確認する。印刷ジョブの未受信時間が時間L2を越えれば(ステップS10)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS28)。尚、スリープモード設定中に、受信部21が非認証印刷ジョブを受信すれば、制御部3はスリープモードを解除して、当該非認証印刷ジョブの印刷動作を実行する。
一般に、認証印刷ジョブは非認証印刷ジョブに比して、ユーザが速く印刷することを欲する。従って、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、スリープモードに移行するまでの時間を長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。これにより、ユーザに画像形成装置の使い勝手が良くなる。
【0026】
第2の実施形態の変形例
ステップS21で、該印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、制御部3はステップS22で待機時間を第1の時間に設定するとした。但し、前記の如く、認証印刷ジョブのヘッダー部分にはユーザの識別情報が含まれている。ジョブ判断部33は印刷ジョブの種類を判断する際に、ユーザ判別部34を用いてヘッダー部分から識別情報を読み取り、制御部3に送信する。制御部3は識別情報に基づいて、ユーザごとに第1の時間を設定してもよい。
また、制御部3が識別情報に基づいて、認証印刷ジョブに係るユーザを判別した後に、印刷履歴格納部25から該ユーザの印刷履歴を読み出す。その後、制御部3は、各ユーザについて認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから印刷指示が入力されるまでの平均時間を求め、該平均時間に基づいて、第1の時間を設定してもよい。
ユーザが印刷ジョブを送信してから、ユーザが画像形成装置2に印刷指示を入力するまでの時間は、ユーザのデータ処理装置5から画像形成装置2までの距離等によってバラ付く。従って、ユーザに合わせた待機時間を設定することができる。
【0027】
上記工程では、ステップS26にて印刷ジョブをRIP処理して印刷するとした。しかし、第1の実施形態と同様に、既にRIP処理がされた印刷ジョブを印刷してもよい。
更に、ステップS24では、認証印刷ジョブを記憶部32に記憶させている。これに代えて、該認証印刷ジョブを一旦画像処理部31に送信し、RIP処理してから、記憶部32に格納してもよい。一方、非認証印刷ジョブはそのまま記憶部32に記憶させる。
このように予め認証印刷ジョブを画像展開しておくことにより印刷に要する時間を短くすることができる。また、画像展開後の画像は一般にデータ量が多いので、直ぐに印刷しない非認証印刷ジョブは画像展開せずに記憶しておくことで、記憶部32の容量を有効に用いることができる。画像展開した後であって、待機時間内に認証印刷ジョブを受信しなければ、該画像処理部31をスリープモードに移行する。画像処理部31は、一般に電力消費量が大きく、待機電力も大きいので、スリープモードに移行することにより省電力化を図ることができる。
更に、印刷ジョブを記載するのに用いられるプログラミング言語には、PCL(Page Description Language)やPS(Post Script)等がある。PCLは一般的に画像展開時間が短く、逆にPSは画像展開時間が長い。従って、認証印刷ジョブの言語がPSのような画像展開時間が長い言語で記載されている場合にのみ、該認証印刷ジョブを一旦画像処理部31に送信し、RIP処理してから、記憶部32に格納してもよい。これによっても、予め認証印刷ジョブを画像展開しておくことにより印刷時間を短くすることができる。なお、言語の識別は、ステップS20において、ジョブ判断部33にて行われる。
【0028】
(スリープモード設定後)
上記工程において、当初の印刷ジョブが認証印刷ジョブであって、制御部3が待機時間を第1の時間に設定した後に、スリープモードに設定され、その後も印刷指示が入力されない場合を考える。この場合は、ユーザが認証する意思が無い場合が考えられる。そのような場合にまで、待機時間をあまり長く設定する必要は無い。そこで、図5のフローチャートに示す制御動作を行う。
第1の時間が経過し、スリープモードが設定された状態にて(ステップS40、S41)、受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS42)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像展開する(ステップS43)。印刷ジョブが通常印刷ジョブならば、印刷部30にも通電して、該通常印刷ジョブを印刷する。即ち、少なくとも画像処理部31のスリープモードは解除される。
このとき、記憶部32に未だ印刷されていない認証印刷ジョブが残っていれば(ステップS44)、ユーザがもはや当分の間は認証する意思が無いことが考えられる。そこで、制御部3は待機時間を第1の時間から第2の時間に設定し直し(ステップS45)、該待機時間が経過すれば(ステップS47)、スリープモードに再設定される。ステップS44にて、記憶部32に認証印刷ジョブが残っていなければ、待機時間はステップS23にて設定された第2の時間又はステップS31で設定された時間L2であるから(ステップS46)、該待機時間が経過すれば(ステップS47)、スリープモードに再設定される。これにより、認証印刷機能を有さないストレージ印刷と同じ待機時間とすることで、待機時間を必要以上に長くせず、省電力効果を高めることができる。
【0029】
(スリープモードの解除)
上記の如く、スリープモード設定時には制御部3は、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する。該スリープモード設定時に受信部21が新たな印刷ジョブを受信すると、制御部3は以下の部分につき、スリープモードを解除する、即ち電源部23から電力を供給する。スリープモードを解除する際の制御動作を図6のフローチャートを用いて説明する。
スリープモード設定時に受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS50)、制御部3はジョブ判断部33を作動させて該印刷ジョブの種類を判断させる。ジョブ判断部33からの情報により、印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば(ステップS51)、制御部3は、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31のスリープモードを解除する(ステップS52)。印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば(ステップS53)、制御部3は、印刷部30及び画像処理部31のスリープモードを解除し、記憶部32のスリープモードは解除しない(ステップS54)。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のストレージ印刷ジョブであれば(ステップS53)、制御部3は記憶部32のスリープモードを解除し、印刷部30及び画像処理部31のスリープモードは解除しない(ステップS55)。
印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、ユーザの印刷指示を待たずに直ぐに印刷する可能性があるから、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31の全てのスリープモードを解除する。印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば、該通常印刷ジョブはユーザの印刷指示を待たずに直ぐに印刷されるから、記憶部32に記憶させる必要は無い。従って、記憶部32のスリープモードは解除しない。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のストレージ印刷ジョブ、即ち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブであれば、直ぐに印刷する可能性が認証印刷ジョブよりも低い。従って、取り敢えず記憶部32のスリープモードを解除して、該ストレージ印刷ジョブを記憶部32に記憶させる。このように、受信する印刷ジョブの種類に応じて、スリープモードを解除する部分を違えることにより、画像形成装置2の省電力化を図っている。
【0030】
(第3の実施形態)
前記の如く、一般的に、認証印刷ジョブはユーザが速く印刷することを求め、逆に通常印刷ジョブはユーザが速く印刷することをあまり求めない。従って、認証印刷ジョブが受信部21に受信されてから、スリープモードに移行するまでの待機時間は長く設定すればユーザがスリープモード解除に待たされることが少ない。ところが、認証印刷ジョブが受信部21に受信されてから、いつまでも印刷指示がユーザによって入力されない場合にまで、待機時間を長く設定する必要は無い。従って、図7のフローチャート、図8、及び図9のフローチャートに示す工程を実施する。
先ず、待機時間の値である前記の第1の時間として40秒、第2の時間として30秒、通常印刷ジョブを印刷処理後に設定される待機時間の値である時間L2として15秒を想定する。受信部21が印刷ジョブを受信後は、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか非認証印刷ジョブかによって待機時間を第1の時間と第2の時間に区分けして設定する点は、図4に示した工程のステップS20からステップS24までと同様である。従って、以下の説明は、図4のステップS24の工程から開始し、ストレージ印刷ジョブとして認証印刷ジョブを例示する。受信部21に受信されたのが認証印刷ジョブであるから、該受信から第1の時間である40秒後に印刷部30等がスリープモードに設定される。
【0031】
認証印刷ジョブが記憶部32に記憶された後に、受信部21が新たな通常印刷ジョブを受信したとする(ステップS60)。該通常印刷ジョブはユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに印刷される(ステップS61)。しかし、記憶部32には未だ印刷指示、即ち認証条件が入力されない認証印刷ジョブが残っている。制御部3は自らのタイマー機能に基づき、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから現在までの経過時間を算出する(ステップS62)。具体的には図8に時点A1で示すように、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから20秒経過したとする。印刷指示、即ち認証条件はユーザによって未だ入力部24に入力されていない。制御部3は、認証条件がユーザによって暫く入力されない場合を想定し、第1の時間を時間L2に近づけるように短い値に設定する、具体的には印刷ジョブが受信部21に受信されてから30秒に設定する(ステップS63)。
図8に時点A2で示すように、時点A1から更に10秒経過した、即ち認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから30秒経過したとする。そしてさらに受信部21が新たな通常印刷ジョブを受信したとする(ステップS60)。該通常印刷ジョブはユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに印刷される(ステップS61)。この通常印刷の完了が時点A2であったとする。認証条件はユーザによって未だ入力部24に入力されていない。制御部3は、認証条件がユーザによってもはや当分の間は入力されない場合を想定し、第1の時間を時間L2に近づけるように更に短い値に設定する、具体的には印刷ジョブが受信部21に受信されてから25秒に設定する(ステップS63)。
【0032】
時点A3で示すように、時点A2から25秒経過、即ち認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから55秒経過しても、ユーザによって認証条件が入力されないと(ステップS64)、もはやユーザには当分の間は認証印刷ジョブの印刷をする意思がないことが想定される。認証印刷ジョブが受信されてから、設定された待機時間が経過したから、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS55)。なお、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから40秒経過したときにスリープモードに設定せず、55秒経過したときにスリープモードを設定するのは認証印刷ジョブが受信されてから設定された待機時間中に行われた通常印刷のユーザにより認証条件の入力が妨げられる(通常印刷のユーザが通常印刷の印刷物を回収しにきた場合など)のを考慮して若干の待機時間を付加するものである。
上記の制御は設定されたスリープモードを解除した後にも行われる。スリープモード設定中に、受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS70)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像展開する(ステップS71)。印刷ジョブが通常印刷ジョブならば、印刷部30にも通電して、該通常印刷ジョブを印刷する。即ち、少なくとも画像処理部31のスリープモードは解除される。
このとき、記憶部32に未だ印刷されていないストレージ印刷ジョブが残っていれば(ステップS72)、制御部3は該ストレージ印刷ジョブが受信部21に受信されてからの経過時間を算出する(ステップS73)。上記の如く、該経過時間に応じてスリープモードに設定するまでの待機時間を短くし(ステップS74)、待機時間の経過を待つ(ステップS75)。ストレージ印刷ジョブが印刷指示されずに、待機時間が経過すれば、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに再度設定する。ステップS72にて、記憶部32にストレージ印刷ジョブが無かった場合は、制御部3はスリープモードへの移行時間として、通常印刷ジョブの印刷処理後に設定される時間L2に設定し(ステップS76)、該時間L2が経過すれば(ステップS75)、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに再度設定する。
上記の如く、ユーザが長時間に亘って認証印刷ジョブの印刷を行わないのは、ユーザがもはや該認証印刷ジョブの印刷を行う意思がない場合が考えられる。このような場合には、認証印刷ジョブを受信部21にて受信してからの経過時間に応じてスリープモードへの移行時間を通常印刷ジョブを印刷処理後に設定される時間L2に近づけることにより、省電力効果を高めることができる。
尚、本実施形態では認証印刷ジョブが長時間に亘って認証されない場合を例示したが、同様の制御を他のストレージ印刷ジョブの印刷指示が長時間に亘って入力されない場合に行ってもよい。
【0033】
(印刷終了又は印刷ジョブ削除時)
ユーザは、ストレージ印刷ジョブを画像形成装置2に送信後に、該画像形成装置2に出向いて、入力部24に該ストレージ印刷ジョブの削除を入力して、記憶部32内のストレージ印刷ジョブを削除することができる。また、記憶部32内の全ての認証印刷ジョブが印刷され、更に印刷をすべき認証印刷ジョブが記憶部32内に無い場合がある。この場合、以降の待機時間は、制御部3にて以下の如く設定される。
先ず記憶部32に記憶された認証印刷ジョブの印刷が終了した場合は、前記の如く、認証印刷ジョブは記憶部32から削除される。また、非認証印刷ジョブのうち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブは、該印刷ジョブに基づく印刷物が印刷された後に、別途該印刷ジョブの削除を指示しないと、記憶部32内に残る。しかし、該(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントが更に続けて再度印刷される可能性は極めて低い。従って、制御部3は待機時間が第1の時間又は第2の時間に設定されていても、その後の該待機時間を通常印刷ジョブ印刷後の時間L2、つまり第2の時間よりも短い時間に設定する。これにより、省電力化を図っている。記憶部32に記憶された全ての認証印刷ジョブ及び非認証印刷ジョブがユーザによって削除された場合も同様である。
記憶部32に認証印刷ジョブは無いが、非認証印刷ジョブが残っている場合は、該非認証印刷ジョブが印刷指示される可能性がある。制御部3は待機時間を第2の時間に設定し、該非認証印刷ジョブの印刷に備える。
【0034】
(画像形成システムの別の実施形態)
上記構成では、画像形成装置2はネットワーク10を介して複数のデータ処理装置5、5に接続されている。しかし、これに代えて、図10に示すように、画像形成装置2aはサーバ装置6を介してネットワーク経由でデータ処理装置5と繋がっていてもよい。サーバ装置6は画像形成装置2aに向かって印刷ジョブのヘッダー部分と印刷データを別々に送信することができ、本実施形態では、該ヘッダー部分を印刷指令と呼ぶ。換言すれば、印刷指令と印刷データが合わさって、印刷ジョブとなる。
また、ストレージ印刷ジョブの印刷データをストレージ印刷データ、通常印刷ジョブの印刷データを通常印刷データと呼ぶ。また、画像形成装置2aはサーバ装置6に向かって印刷データの転送要求を送信することができ、この転送要求はユーザが画像形成装置2aに印刷指示を入力することにより送信される。更に、ストレージ印刷データは画像形成装置2aから転送要求があるまでサーバ装置6に記憶される。一方、通常印刷データは画像形成装置2aからの転送要求を待たずに、印刷指令と共に画像形成装置2aに転送される。即ち、印刷指令と印刷データが一緒にサーバ装置6から画像形成装置2aに転送されれば、それは通常印刷ジョブに係る印刷ジョブである。
【0035】
サーバ装置6の構成は、図11に示すように、データ処理装置5から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部60と、該サーバ側受信部60にて受信した印刷指令及び印刷データの少なくとも一方を画像形成装置2aに転送する転送部61と、印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部62と、前記サーバ側受信部60で受信された印刷データが、ストレージ印刷データか、通常印刷データかを印刷指令に基づいて判断するサーバ側ジョブ判断部63と、画像形成装置2aからの転送要求を受信する転送要求受信部64と、前記転送部61とサーバ側記憶部62を制御するサーバ側制御部65を有する。
また、画像形成装置2aは、図1に示す構成に加え、図12に示すように、サーバ装置6にストレージ印刷データの転送要求を送信する送信部39を有する。更に、記憶部32は印刷指令を記憶することができ、入力部24にはユーザにより印刷指令の実行指示が入力される。
【0036】
図13は、サーバ装置6の動作を示すフローチャートである。サーバ装置6がデータ処理装置5から印刷ジョブを受信すると、サーバ側ジョブ判断部33にて該印刷ジョブが通常印刷ジョブか否かを判断する(ステップS80)。該印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば、サーバ側制御部3は転送部61を作動して、印刷データと印刷指令(即ち、通常印刷ジョブ)を画像形成装置2aに転送する(ステップS85)。印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであれば、転送部61は印刷指令のみを画像形成装置2aに転送し(ステップS81)、印刷データをサーバ側記憶部62に記憶させる(ステップS82)。転送要求受信部64にて画像形成装置2aからの転送要求を受信すると(ステップS83)、転送部61は印刷データを画像形成装置2aに送信する。
【0037】
図14及び図15は、画像形成装置2aの動作を示すフローチャートである。
画像形成装置2aの受信部21がサーバ装置6から印刷ジョブ、即ち印刷指令と印刷データを受信すると(ステップS90)、この印刷ジョブは通常印刷ジョブであるからユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに該印刷ジョブを印刷する(ステップS91)。ステップS90にて、受信部21が印刷指令のみを受信すると、これはストレージ印刷ジョブの印刷指令であるから、制御部3は記憶部32に印刷指令を記憶させる(ステップS92)。次に、制御部3は待機時間を時間L1に設定する(ステップS93)。
ユーザによって印刷指示が入力部24に入力されると(ステップS94)、送信部39はサーバ装置6に印刷データの転送を要求する(ステップS95)。ステップS94にて印刷指示が入力部24に入力されなければ、印刷指令の受信から時間L1の経過を待つ(ステップS99)。ステップS99にて時間L1が経過するまで印刷指示が入力されなければ、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS100)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまで印刷指示が入力されれば、印刷データの転送を要求する(ステップS95)。
【0038】
受信部21がサーバ装置6から印刷データを受信すると(ステップS96)、制御部3は記憶部32に記憶された印刷指令と印刷データを合わせた印刷ジョブを印刷部30に印刷させる(ステップS97)。
印刷終了後に受信部21が次に印刷ジョブを受信すると(ステップS98)、これは通常印刷ジョブであるから、ステップS91にて該印刷ジョブの印刷を実行する。受信部21が印刷指令のみを受信した場合は(ステップS101)、これはストレージ印刷ジョブの印刷指令であるから、制御部3は待機時間を時間L1に設定する(ステップS102)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまでに、ユーザの印刷指示の入力により、受信部21が印刷データを受信すると(ステップS103)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像を印刷する(ステップS105)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまでに、ユーザが印刷指示を入力せず、受信部21が印刷データを受信しなければ、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS108)。
【0039】
ステップS101で、受信部21が印刷指令を受信しなかった場合、即ちサーバ装置6から何も転送されなかった場合は、制御部3は待機時間を時間L2に設定する(ステップS106)。そのまま時間L2が経過すると(ステップS107)、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS108)。
本実施形態の画像形成システムにあっても、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合は、スリープモードへ移行するまでの待機時間を長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。また、通常印刷ジョブでは、ストレージ印刷ジョブよりも早くスリープモードに移行するので省電力の効果を維持できる。
【0040】
前記の実施形態に於ける具体的な数字はこれに限定されない。例えば、第1の時間、第2の時間、時間L2の具体的な値は単なる例示であり、他の値が適宜選択可能である。
【0041】
前述した印刷部30は、レーザプリンタの印刷装置又はインクジェットプリンタの印刷装置であってもよい。また、画像形成装置2は複合機タイプのプリンタでなくてもよい。つまり、コピーやファックス機能を有さないインクジェットプリンタ又はレーザプリンタであってもよい。
【0042】
また、前述の実施形態では、認証印刷ジョブは印刷された後に画像形成装置2内から自動的に削除される構成であるが、ユーザによる印刷ジョブの印刷指示の際、認証印刷ジョブを印刷後に削除するか、画像形成装置2内に残すかを選択できるようにしてもよい。
パブリックプリントとプライベートプリントに係る印刷ジョブについても、ユーザによる印刷ジョブの印刷指示の際、認証印刷ジョブを印刷後に削除するか、画像形成装置2内に残すかを選択できるようにしてもよい。
【0043】
また、前述の実施形態では、図5のステップS45において、制御部3が待機時間を第1の時間から第2の時間に設定し直しているが、この第2の時間は認証印刷ジョブでないストレージ印刷に設定される待機時間と同一でなくてもよい。つまり第2の時間は第1の時間と待機時間L2の間の時間であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、スリープモードを有する画像形成装置、該画像形成装置を用いる画像形成システムおよび画像形成プログラムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 制御部
5 データ処理装置
6 サーバ装置
30 印刷部
31 画像処理部
32 記憶部
【技術分野】
【0001】
本願は、パーソナルコンピュータのようなデータ処理装置から送信された画像データにかかる画像を記録媒体に形成する画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータのようなデータ処理装置と通信可能に接続されて、該データ処理装置から送信された画像データを記録媒体に印刷するプリンタやファクシミリ等の画像形成装置が従来から存在する。このような画像形成装置には、データ処理装置から該画像形成装置に送信された画像データの印刷実行を保留し、ユーザが該画像形成装置にて印刷実行を指示することで、印刷の実行がなされるもの(印刷実行や印刷データを保留する意味よりストレージ印刷などと呼ばれる)がある。1例を挙げると、認証印刷機能を備えた画像形成装置が該当し(例えば、特許文献1参照)、この認証印刷機能とは、印刷可能と認定され且つ印刷要求をしたユーザが画像形成装置にて印刷ジョブの認証作業を行い、該認証作業が正しいと認められれば該印刷ジョブの印刷を許可する機能である。
具体的には、ユーザはデータ処理装置にて認証条件(例えば、IDやパスワード)を指定して印刷要求をする。画像形成装置では、該印刷要求が認証条件を含むことを検知して、該印刷要求を認証条件付の印刷ジョブ(認証印刷ジョブ)として登録する。印刷要求をしたユーザは、画像形成装置に出向き、認証条件を入力する。認証条件が正しく入力されれば、画像形成装置は該認証印刷ジョブの印刷を許可する。この認証印刷機能は、主に機密性の高い内容を印刷する際に実行する機能である。
他にも、データ処理装置から該画像形成装置に送信された画像データを該画像形成装置内などに保存しておき、ユーザが該画像形成装置にて該画像データについて記録媒体への印刷実行を指示することで印刷の実行がなされるものがある。この場合、認証機能は有さないとしても複数のユーザが該画像形成装置内で保存された該画像データをいつでも印刷できるというメリットを有する。
また、画像形成装置にて、該装置の電源をオンとし、印刷を直ぐに開始できる状態に常時待機しておくと、印刷を行わないにもかかわらず、待機に必要な電力を消費する。この電力を節約すべく、所定の待機時間内に、次の印刷ジョブが到達せず、又は画像形成装置がユーザによって操作されないと、該待機時間経過後に一部の回路や装置への給電を停止する又は減じる省電力モード(以下、「スリープモード」とする)ことが行われている(例えば、特許文献2参照)。画像形成装置の省電力化の要請が高まるに伴い、15秒程度の短時間内に画像形成装置が操作されないと、スリープモードに移行する装置もある。スリープモードを解除するには、次の印刷ジョブが到達するか、ユーザが画像形成装置に何らかの操作を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―152520号
【特許文献2】特開平8―150764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の画像形成装置では、所定の待機時間内に次の印刷ジョブが到達しないと、画像形成装置がユーザによって操作されない限り、スリープモードに入る。即ち、特許文献1に記載されたような認証条件の入力のようなユーザの操作が待機時間内にされないと、スリープモードに入る。ところが、一般にストレージ印刷機能を使用した印刷においては、データ処理装置などから印刷要求を画像形成装置に送信してから実際に印刷実行を該画像形成装置に入力するまでの時間が短く、この場合に既に該画像形成装置がスリープモードに入っていると、ユーザが画像形成装置の前で待たされることになる。
例えば、認証印刷機能を使用した場合、ユーザがデータ処理装置から画像形成装置に向かう間に時間が掛かると、スリープモードに入ってしまい、認証条件を指定して印刷要求をしたユーザが、スリープモードを解除するまで待たされる不都合がある。逆に、スリープモードに設定されるまでの時間が長いとユーザが待たされる不都合は解消されるが、省電力の効果は少ない。なお、認証印刷機能を使用しないストレージ印刷の場合であっても、印刷ジョブを該画像形成装置に保存したユーザについては、該印刷ジョブを保存してからすぐに印刷実行をさせる可能性が高いので同じ結果となる。
本発明の目的は、省電力の効果を維持しつつ、ストレージ印刷機能を使用して印刷要求をしたユーザがスリープモードを解除するのに待たされる不都合を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像形成装置は、外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【0006】
本発明に係る画像形成システムは、データ処理装置と該データ処理装置から送信される印刷ジョブを受信可能な画像形成装置を備え、該画像形成装置は、前記データ処理装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【0007】
本発明に係る画像形成プログラムは、外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部とを有する画像形成装置に、
前記受信部で受信した前記印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断する工程と、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせる工程と、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させる工程を実行させる。
【0008】
本発明に係る別の画像形成システムは、データ処理装置と、該データ処理装置から送信される印刷指令及び印刷データを受信可能なサーバ装置及び該サーバ装置から転送される前記印刷指令及び前記印刷データを受信可能な画像形成装置を備え、
前記サーバ装置は、前記データ処理装置から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部と、前記サーバ側受信部において受信した前記印刷指令及び前記印刷データの少なくとも何れかを前記画像形成装置に転送する転送部と、少なくとも前記印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部と、前記サーバ側受信部で受信された前記印刷データについて、前記画像形成装置からの転送要求があるまで前記サーバ側記憶部に前記印刷データが記憶されるストレージ印刷データか、前記画像形成装置からの転送要求を待たずに前記画像形成装置に前記印刷データを転送する通常印刷データかを判断するサーバ側ジョブ判断部と、前記画像形成装置から送信される前記印刷データの転送要求を受信する転送要求受信部と、前記転送部及び前記記憶部を制御するサーバ側制御部とを有し、
前記サーバ側制御部は、前記サーバ側ジョブ判断部の判断結果に基づき、前記印刷データが通常印刷データと判断された場合、前記印刷指令及び前記印刷データを前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、前記印刷データがストレージ印刷データと判断された場合、前記印刷指令を前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、且つ前記印刷データを前記サーバ側記憶部に記憶させるよう前記サーバ側記憶部を制御し、その後、前記サーバ側記憶部に記憶された前記印刷データについて前記転送要求受信部により前記転送要求を受信した場合に当該印刷データを前記画像形成装置に転送させるように前記転送部を制御し、
前記画像形成装置は、前記サーバ装置から転送された前記印刷指令及び前記印刷データを受信する受信部と、前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、前記印刷指令が記憶される記憶部と、ユーザにより前記印刷指令の実行指示が入力される入力部と、少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、前記印刷部、前記記憶部、前記送信部及び前記電源部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信した場合は、前記入力部に入力される前記印刷指令の実行を待たずに前記印刷部により前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷させるよう前記印刷部を制御し、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合は、前記記憶部に受信した当該印刷指令を記憶させ、且つ、前記入力部に当該記憶させた印刷指令の実行要求が入力された時に前記サーバ装置に当該印刷指令に対応する前記印刷ジョブの転送を要求させるよう前記送信部を制御し、当該転送要求に応じて前記転送部より転送された前記当該印刷ジョブを前記受信部により受信すると、当該印刷ジョブを印刷させるように前記印刷部を制御し、
前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合には前記入力部への当該印刷指令の実行指示の入力まで前記待機時間を前記所定の待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、省電力の効果を維持しつつ、ストレージ印刷機能を使用して印刷要求をしたユーザがスリープモードを解除するのに待たされる不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置とデータ処理装置を備えた画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】印刷ジョブのフォーマットを示す図である。
【図3】1の実施形態に係る画像形成装置のスリープモード設定動作手順を示すフローチャートである。
【図4】別の実施形態に係る画像形成装置のスリープモード設定動作手順を示すフローチャートである。
【図5】スリープモード設定後の制御動作を示すフローチャートである。
【図6】スリープモードを解除する際の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【図8】別の実施形態の工程を示す説明図である。
【図9】別の実施形態の工程を示すフローチャートである。
【図10】別の画像形成システムの概略図である。
【図11】図10に示す画像形成システムに用いるサーバ装置のブロック図である。
【図12】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置のブロック図である。
【図13】図10に示す画像形成システムに用いるサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】図10に示す画像形成システムに用いる画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
図1は、画像形成装置2とデータ処理装置5を備えた画像形成システム1の構成を示すブロック図である。該画像形成装置2はインターネットやLANなどのネットワーク10を介して複数のデータ処理装置5に接続されている。即ち、該画像形成システム1は、データ処理装置5を使用する複数のユーザが1台の画像形成装置2を共有して使用することを想定している。ネットワーク10は有線と無線の何れでもよい。
データ処理装置5は、例えばパーソナルコンピュータであって、OSや、印刷用の文字、画像データを作成可能なアプリケーションソフトが格納されたハードディスクドライブ50、画像データを表示する表示部51、該ハードディスクドライブ50からプログラムを呼び出してデータ処理装置顔全体の動作を司る制御部52、キーボードやタッチパネルを有する操作部53、前記ネットワーク10に接続されるインターフェイス部54を備える。
【0012】
画像形成装置2は所謂複合機タイプのプリンタであって、画像形成装置2に出向いたユーザが印刷物のコピーを行う際に操作するコピー部26やファクシミリ送受信部27が設けられている。しかし、以下の記載ではデータ処理装置からの印刷ジョブを受信して画像等を印刷する機能に係る部分を重点的に説明する。
【0013】
本実施形態に係る画像形成装置2による印刷形態には、以下の4通りがある。
(1) パブリックプリント
(2) プライベートプリント
(3) セキュアプリント
(4) 通常プリント
(1)のパブリックプリント、(2)のプライベートプリント、(3)のセキュアプリントは印刷要求をしたユーザが画像形成装置2に出向いて、該画像形成装置2に記録媒体への印刷指示を入力することを条件として印刷される印刷形態であり、印刷ジョブが一旦画像形成装置2に記憶される印刷形態である。(4)の通常プリントは、ユーザによって印刷要求がされると、ユーザの該画像形成装置2への印刷指示なくして直ぐに印刷される印刷形態である。
【0014】
また、(3)のセキュアプリントは、該画像形成装置2への印刷指示として、印刷要求をしたユーザによるユーザ認証と、印刷ジョブの認証を必要とするものであり、例えば給与明細のように印刷要求をしたユーザ以外には見られたくない機密文書を印刷する形態である。該ユーザ認証は例えば画像形成装置のカードリーダ(図示せず)にユーザがカードをかざすことによって行われる。また、印刷ジョブの認証は、画像形成装置2にユーザが認証コード、具体的にはパスワードを入力することにより行われる。
ユーザはセキュアプリントの印刷を行う場合は、印刷要求送信時にパスワードを設定し、印刷時には画像形成装置2に出向いて該パスワードを該画像形成装置に入力する。入力したパスワードが印刷要求送信時に設定されたパスワードと同じであれば印刷部30による印刷が開始され、誤ったパスワードを入力すれば印刷が許されない。
【0015】
一方、(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントは、セキュアプリントに比して機密性が低く、印刷指示として、印刷ジョブの認証は不要であるが、ユーザ認証は必要である。(2)のプライベートプリントは、印刷可能なユーザが限定されているのに対し、(1)のパブリックプリントは、印刷可能なユーザが限定されていない、具体的には画像形成装置に繋がったデータ処理装置のユーザであれば印刷可能な印刷物を印刷する形態である。尚、コピー、スキャナを使用する際には、ユーザ認証を必要としてもよいし、必要としなくともよい。
上記のユーザ認証と印刷ジョブの認証の2つを、「認証条件」とする。即ち、(3)のセキュアプリントの認証条件は、ユーザ認証と印刷ジョブの認証の2つであり、(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントの認証条件はユーザ認証のみである。
【0016】
以下の記載では、(3)のセキュアプリントの為の印刷ジョブを前記の如く認証印刷ジョブ、該セキュアプリント以外の3種類の印刷形態の為の印刷ジョブを非認証印刷ジョブと呼ぶ。
また、(1)のパブリックプリント、(2)のプライベートプリント、(3)のセキュアプリントは、画像形成装置2への印刷指示の入力、具体的にはユーザ認証の入力を条件として印刷されるから、これらの為の印刷ジョブは、一旦後記の記憶部32に格納される。従って、該印刷ジョブをストレージ印刷ジョブと呼び、一方、ユーザの認証なくして印刷される(4)の通常プリントの為の印刷ジョブを通常印刷ジョブと呼ぶ。
認証印刷ジョブと通常印刷ジョブは印刷された後は、画像形成装置2内から自動的に削除される。一方、非認証印刷ジョブのうち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブは、該印刷ジョブに基づく印刷物が印刷された後に、別途該非認証印刷ジョブの削除を指示しないと、画像形成装置2内に残る。
【0017】
画像形成装置2は、図1に示すように、前記ネットワーク10に接続されるインターフェイス部20と、各データ処理装置5から送信される印刷ジョブを受信する受信部21と、画像形成装置2の印刷処理状態を表す表示部22と、ユーザが入力操作を行う液晶表示画面を設け、ユーザにより印刷ジョブの印刷指示又は印刷ジョブの削除が入力される入力部24と、動作プログラム等が格納され、且つ印刷ジョブ又は印刷ジョブに係る画像データが記憶可能なROM、RAM等からなる記憶部32と、画像形成装置2内の必要箇所に電力を供給する電源部23と、各ユーザの印刷履歴が格納可能な印刷履歴格納部25と、前記受信部21で受信された印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部33と、紙等の記録媒体に印刷処理を行う印刷部30と、少なくとも前記印刷部30と電源部23を制御するCPUである制御部3と、印刷ジョブからラスタデータ(ビットマップ画像)を作成するRIP(Raster Image Processor)処理を行う画像処理部31を備える。制御部3は、内部の動作クロックを分周してタイマーとして用いる。
前記のジョブ判断部33は、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合に、該認証印刷ジョブから識別情報を読み取るユーザ判別部34を備える。また、前記ジョブ判断部33は、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合に、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか非認証印刷ジョブ、即ち(1)のパブリックプリント又は(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブかを判断することもできる。
【0018】
図2は、印刷ジョブのフォーマットを示す図である。印刷ジョブはジョブ番号、ユーザが付することができるジョブ名称、認証印刷ジョブである場合にユーザが設定するパスワード、セキュリティレベル、即ち上記(1)〜(4)の何れのプリントであるかを示す情報、ユーザの識別情報、及び印刷データ(画像データ)を有している。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のジョブであれば、パスワードの箇所はヌル(ゼロ)となる。ジョブ名称、パスワード、セキュリティレベルは、データ処理装置5のユーザによって指定される。印刷ジョブにて、ジョブ番号からユーザの識別情報までを、印刷ジョブのヘッダー部分と呼ぶ。
【0019】
制御部3は前記の如く、タイマー機能を有しており、また印刷ジョブを受信してから次の印刷ジョブを受信しない場合に、スリープモードに移行すべき待機時間の値を記憶している。この値として時間L1と時間L2を有し、時間L1は時間L2よりも大きい。該制御部3は受信部21が印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブの受信から時間測定を開始する。時間測定の開始から待機時間内に、受信部21が印刷ジョブを受信しない場合、または受信部21が印刷ジョブを受信したけれども、その印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであって、且つユーザによる印刷指示の入力が無い場合は、制御部3は待機時間経過後に印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する。制御部3自体及び受信部21はスリープモードに設定されず、印刷ジョブの受信を検知する。これにより、画像形成装置2の省電力化を図る。なお、前述したスリープモードに移行すべき待機時間の値は、制御部3に含まれた小容量のROMや記憶部32の一部に記憶されていてもよい。
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る画像形成装置2のスリープモード設定動作手順をフローチャートを用いて説明する。当初は電源部23は画像形成装置2内の各部に電力供給している。
図3に示すように、受信部21にてデータ処理装置5からの印刷ジョブを受信すると、ジョブ判断部33がヘッダー部分を読む。制御部3はタイマー機能を作動させて、時間測定を開始する。ジョブ判断部33は、該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか否かを判断する(ステップS1)。該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブと判断すれば、制御部3は該印刷ジョブを記憶部32に記憶させる(ステップS2)。この場合、該印刷ジョブをRIP処理し、画像展開、即ち画像を形成してから、記憶部32に記憶させてもよい。一方、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブでない、即ち通常印刷ジョブと判断した場合は、制御部3は画像処理部31を作動させて該印刷ジョブをRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS6)。
【0021】
制御部3は、ステップS2の後に、待機時間を時間L1に設定し(ステップS3)、次にユーザにより該ストレージ印刷ジョブの印刷指示、即ち認証条件が入力部24に入力されたか否かを確認する(ステップS4)。印刷指示が入力されれば、該ストレージ印刷ジョブをRIP処理して印刷する(ステップS7)。印刷指示が入力されなければ、制御部3は、印刷指示の未入力時間がストレージ印刷ジョブの受信から時間L1だけ続くか否かを確認する。印刷指示の未入力時間が時間L1を越えれば(ステップS5)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS11)。
一方、先の印刷ジョブが通常印刷ジョブであった場合は、制御部3は印刷処理後に、受信部21が次の印刷ジョブを受信しているか否かを判断する(ステップS8)。受信部21が印刷ジョブを受信していれば、ステップS1に戻って印刷ジョブの種類を判断する。受信部21が印刷ジョブを受信していなければ、待機時間として時間L2に設定し(ステップS9)、印刷ジョブの未受信時間が時間L2だけ続くか否かを確認する。
【0022】
印刷ジョブの未受信時間が時間L2を越えれば(ステップS10)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS11)。前記の如く、時間L1は時間L2よりも大きな値である。即ち、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであれば、印刷ジョブが受信部21に受信されてからスリープモードに設定されるまでの時間が、通常印刷ジョブを受信した場合に比して長い。
印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合は、スリープモードへ移行するまでの待機時間を通常印刷ジョブより長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。また、通常印刷ジョブでは、ストレージ印刷ジョブよりも早くスリープモードに移行するので省電力の効果を維持できる。
上記工程では、ステップS7にて印刷ジョブをRIP処理して印刷するとしたが、既にRIP処理がされた印刷ジョブを印刷してもよい。
【0023】
(第2の実施形態)
本実施形態にあっては、制御部3は、スリープモードに移行するまでの待機時間の値として、第1の時間と該第1の時間よりも短い第2の時間の2つの値を有している。第2の時間は、前記時間L2よりも大きく、第1の時間は時間L1と同じでも異なっても良い。前記制御部3は、受信部21が受信した印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、待機時間を第1の時間に設定し、該印刷ジョブが非認証印刷ジョブである場合は、待機時間を第2の時間に設定する。以下に工程を説明する。
【0024】
図4に示すように、受信部21にてデータ処理装置5からの印刷ジョブを受信すると、ジョブ判断部33は、該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか否かを判断する(ステップS20)。制御部3はタイマー機能を作動させて、時間測定を開始する。
該印刷ジョブがストレージ印刷ジョブならば、ジョブ判断部33は更に、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか否かを判断する(ステップS21)。該印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、制御部3は待機時間を第1の時間に設定する(ステップS22)。該印刷ジョブが非認証印刷ジョブであれば、制御部3は待機時間を第2の時間に設定する(ステップS23)。待機時間設定後は、制御部3はストレージ印刷ジョブを記憶部32に記憶させる(ステップS24)。
一方、ステップS20にて、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブでない、即ち通常印刷ジョブと判断されれば、制御部3は画像処理部31を作動させて該印刷ジョブをRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS29)。
ステップS24の後に、制御部3は入力部24にストレージ印刷ジョブの印刷指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(ステップS25)。印刷指示が入力部24に入力されていれば、制御部3は該ストレージ印刷ジョブを画像処理部31にてRIP処理し、印刷部30にて印刷する(ステップS26)。
【0025】
入力部24に印刷ジョブの印刷指示がユーザによって入力されなければ、制御部3は印刷ジョブが受信部21にて受信されてから、第1の時間又は第2の時間が経過したか否かを判断する(ステップS27)。第1の時間又は第2の時間が経過すれば、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS28)。
一方、先の印刷ジョブが通常印刷ジョブであった場合は、制御部3は該通常印刷ジョブの印刷処理後に、受信部21が次の印刷ジョブを受信しているか否かを判断する(ステップS30)。
受信部21が印刷ジョブを受信していれば、ステップS20に戻って印刷ジョブの種類を判断する。受信部21が印刷ジョブを受信していなければ、待機時間として時間L2を設定し(ステップS31)、印刷ジョブの未受信時間が時間L2だけ続くか否かを確認する。印刷ジョブの未受信時間が時間L2を越えれば(ステップS10)、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS28)。尚、スリープモード設定中に、受信部21が非認証印刷ジョブを受信すれば、制御部3はスリープモードを解除して、当該非認証印刷ジョブの印刷動作を実行する。
一般に、認証印刷ジョブは非認証印刷ジョブに比して、ユーザが速く印刷することを欲する。従って、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、スリープモードに移行するまでの時間を長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。これにより、ユーザに画像形成装置の使い勝手が良くなる。
【0026】
第2の実施形態の変形例
ステップS21で、該印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、制御部3はステップS22で待機時間を第1の時間に設定するとした。但し、前記の如く、認証印刷ジョブのヘッダー部分にはユーザの識別情報が含まれている。ジョブ判断部33は印刷ジョブの種類を判断する際に、ユーザ判別部34を用いてヘッダー部分から識別情報を読み取り、制御部3に送信する。制御部3は識別情報に基づいて、ユーザごとに第1の時間を設定してもよい。
また、制御部3が識別情報に基づいて、認証印刷ジョブに係るユーザを判別した後に、印刷履歴格納部25から該ユーザの印刷履歴を読み出す。その後、制御部3は、各ユーザについて認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから印刷指示が入力されるまでの平均時間を求め、該平均時間に基づいて、第1の時間を設定してもよい。
ユーザが印刷ジョブを送信してから、ユーザが画像形成装置2に印刷指示を入力するまでの時間は、ユーザのデータ処理装置5から画像形成装置2までの距離等によってバラ付く。従って、ユーザに合わせた待機時間を設定することができる。
【0027】
上記工程では、ステップS26にて印刷ジョブをRIP処理して印刷するとした。しかし、第1の実施形態と同様に、既にRIP処理がされた印刷ジョブを印刷してもよい。
更に、ステップS24では、認証印刷ジョブを記憶部32に記憶させている。これに代えて、該認証印刷ジョブを一旦画像処理部31に送信し、RIP処理してから、記憶部32に格納してもよい。一方、非認証印刷ジョブはそのまま記憶部32に記憶させる。
このように予め認証印刷ジョブを画像展開しておくことにより印刷に要する時間を短くすることができる。また、画像展開後の画像は一般にデータ量が多いので、直ぐに印刷しない非認証印刷ジョブは画像展開せずに記憶しておくことで、記憶部32の容量を有効に用いることができる。画像展開した後であって、待機時間内に認証印刷ジョブを受信しなければ、該画像処理部31をスリープモードに移行する。画像処理部31は、一般に電力消費量が大きく、待機電力も大きいので、スリープモードに移行することにより省電力化を図ることができる。
更に、印刷ジョブを記載するのに用いられるプログラミング言語には、PCL(Page Description Language)やPS(Post Script)等がある。PCLは一般的に画像展開時間が短く、逆にPSは画像展開時間が長い。従って、認証印刷ジョブの言語がPSのような画像展開時間が長い言語で記載されている場合にのみ、該認証印刷ジョブを一旦画像処理部31に送信し、RIP処理してから、記憶部32に格納してもよい。これによっても、予め認証印刷ジョブを画像展開しておくことにより印刷時間を短くすることができる。なお、言語の識別は、ステップS20において、ジョブ判断部33にて行われる。
【0028】
(スリープモード設定後)
上記工程において、当初の印刷ジョブが認証印刷ジョブであって、制御部3が待機時間を第1の時間に設定した後に、スリープモードに設定され、その後も印刷指示が入力されない場合を考える。この場合は、ユーザが認証する意思が無い場合が考えられる。そのような場合にまで、待機時間をあまり長く設定する必要は無い。そこで、図5のフローチャートに示す制御動作を行う。
第1の時間が経過し、スリープモードが設定された状態にて(ステップS40、S41)、受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS42)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像展開する(ステップS43)。印刷ジョブが通常印刷ジョブならば、印刷部30にも通電して、該通常印刷ジョブを印刷する。即ち、少なくとも画像処理部31のスリープモードは解除される。
このとき、記憶部32に未だ印刷されていない認証印刷ジョブが残っていれば(ステップS44)、ユーザがもはや当分の間は認証する意思が無いことが考えられる。そこで、制御部3は待機時間を第1の時間から第2の時間に設定し直し(ステップS45)、該待機時間が経過すれば(ステップS47)、スリープモードに再設定される。ステップS44にて、記憶部32に認証印刷ジョブが残っていなければ、待機時間はステップS23にて設定された第2の時間又はステップS31で設定された時間L2であるから(ステップS46)、該待機時間が経過すれば(ステップS47)、スリープモードに再設定される。これにより、認証印刷機能を有さないストレージ印刷と同じ待機時間とすることで、待機時間を必要以上に長くせず、省電力効果を高めることができる。
【0029】
(スリープモードの解除)
上記の如く、スリープモード設定時には制御部3は、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する。該スリープモード設定時に受信部21が新たな印刷ジョブを受信すると、制御部3は以下の部分につき、スリープモードを解除する、即ち電源部23から電力を供給する。スリープモードを解除する際の制御動作を図6のフローチャートを用いて説明する。
スリープモード設定時に受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS50)、制御部3はジョブ判断部33を作動させて該印刷ジョブの種類を判断させる。ジョブ判断部33からの情報により、印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば(ステップS51)、制御部3は、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31のスリープモードを解除する(ステップS52)。印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば(ステップS53)、制御部3は、印刷部30及び画像処理部31のスリープモードを解除し、記憶部32のスリープモードは解除しない(ステップS54)。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のストレージ印刷ジョブであれば(ステップS53)、制御部3は記憶部32のスリープモードを解除し、印刷部30及び画像処理部31のスリープモードは解除しない(ステップS55)。
印刷ジョブが認証印刷ジョブであれば、ユーザの印刷指示を待たずに直ぐに印刷する可能性があるから、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31の全てのスリープモードを解除する。印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば、該通常印刷ジョブはユーザの印刷指示を待たずに直ぐに印刷されるから、記憶部32に記憶させる必要は無い。従って、記憶部32のスリープモードは解除しない。印刷ジョブが認証印刷ジョブ以外のストレージ印刷ジョブ、即ち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブであれば、直ぐに印刷する可能性が認証印刷ジョブよりも低い。従って、取り敢えず記憶部32のスリープモードを解除して、該ストレージ印刷ジョブを記憶部32に記憶させる。このように、受信する印刷ジョブの種類に応じて、スリープモードを解除する部分を違えることにより、画像形成装置2の省電力化を図っている。
【0030】
(第3の実施形態)
前記の如く、一般的に、認証印刷ジョブはユーザが速く印刷することを求め、逆に通常印刷ジョブはユーザが速く印刷することをあまり求めない。従って、認証印刷ジョブが受信部21に受信されてから、スリープモードに移行するまでの待機時間は長く設定すればユーザがスリープモード解除に待たされることが少ない。ところが、認証印刷ジョブが受信部21に受信されてから、いつまでも印刷指示がユーザによって入力されない場合にまで、待機時間を長く設定する必要は無い。従って、図7のフローチャート、図8、及び図9のフローチャートに示す工程を実施する。
先ず、待機時間の値である前記の第1の時間として40秒、第2の時間として30秒、通常印刷ジョブを印刷処理後に設定される待機時間の値である時間L2として15秒を想定する。受信部21が印刷ジョブを受信後は、該印刷ジョブが認証印刷ジョブか非認証印刷ジョブかによって待機時間を第1の時間と第2の時間に区分けして設定する点は、図4に示した工程のステップS20からステップS24までと同様である。従って、以下の説明は、図4のステップS24の工程から開始し、ストレージ印刷ジョブとして認証印刷ジョブを例示する。受信部21に受信されたのが認証印刷ジョブであるから、該受信から第1の時間である40秒後に印刷部30等がスリープモードに設定される。
【0031】
認証印刷ジョブが記憶部32に記憶された後に、受信部21が新たな通常印刷ジョブを受信したとする(ステップS60)。該通常印刷ジョブはユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに印刷される(ステップS61)。しかし、記憶部32には未だ印刷指示、即ち認証条件が入力されない認証印刷ジョブが残っている。制御部3は自らのタイマー機能に基づき、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから現在までの経過時間を算出する(ステップS62)。具体的には図8に時点A1で示すように、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから20秒経過したとする。印刷指示、即ち認証条件はユーザによって未だ入力部24に入力されていない。制御部3は、認証条件がユーザによって暫く入力されない場合を想定し、第1の時間を時間L2に近づけるように短い値に設定する、具体的には印刷ジョブが受信部21に受信されてから30秒に設定する(ステップS63)。
図8に時点A2で示すように、時点A1から更に10秒経過した、即ち認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから30秒経過したとする。そしてさらに受信部21が新たな通常印刷ジョブを受信したとする(ステップS60)。該通常印刷ジョブはユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに印刷される(ステップS61)。この通常印刷の完了が時点A2であったとする。認証条件はユーザによって未だ入力部24に入力されていない。制御部3は、認証条件がユーザによってもはや当分の間は入力されない場合を想定し、第1の時間を時間L2に近づけるように更に短い値に設定する、具体的には印刷ジョブが受信部21に受信されてから25秒に設定する(ステップS63)。
【0032】
時点A3で示すように、時点A2から25秒経過、即ち認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから55秒経過しても、ユーザによって認証条件が入力されないと(ステップS64)、もはやユーザには当分の間は認証印刷ジョブの印刷をする意思がないことが想定される。認証印刷ジョブが受信されてから、設定された待機時間が経過したから、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS55)。なお、認証印刷ジョブが受信部21にて受信されてから40秒経過したときにスリープモードに設定せず、55秒経過したときにスリープモードを設定するのは認証印刷ジョブが受信されてから設定された待機時間中に行われた通常印刷のユーザにより認証条件の入力が妨げられる(通常印刷のユーザが通常印刷の印刷物を回収しにきた場合など)のを考慮して若干の待機時間を付加するものである。
上記の制御は設定されたスリープモードを解除した後にも行われる。スリープモード設定中に、受信部21が印刷ジョブを受信すると(ステップS70)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像展開する(ステップS71)。印刷ジョブが通常印刷ジョブならば、印刷部30にも通電して、該通常印刷ジョブを印刷する。即ち、少なくとも画像処理部31のスリープモードは解除される。
このとき、記憶部32に未だ印刷されていないストレージ印刷ジョブが残っていれば(ステップS72)、制御部3は該ストレージ印刷ジョブが受信部21に受信されてからの経過時間を算出する(ステップS73)。上記の如く、該経過時間に応じてスリープモードに設定するまでの待機時間を短くし(ステップS74)、待機時間の経過を待つ(ステップS75)。ストレージ印刷ジョブが印刷指示されずに、待機時間が経過すれば、制御部3は印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに再度設定する。ステップS72にて、記憶部32にストレージ印刷ジョブが無かった場合は、制御部3はスリープモードへの移行時間として、通常印刷ジョブの印刷処理後に設定される時間L2に設定し(ステップS76)、該時間L2が経過すれば(ステップS75)、印刷部30、記憶部32及び画像処理部31をスリープモードに再度設定する。
上記の如く、ユーザが長時間に亘って認証印刷ジョブの印刷を行わないのは、ユーザがもはや該認証印刷ジョブの印刷を行う意思がない場合が考えられる。このような場合には、認証印刷ジョブを受信部21にて受信してからの経過時間に応じてスリープモードへの移行時間を通常印刷ジョブを印刷処理後に設定される時間L2に近づけることにより、省電力効果を高めることができる。
尚、本実施形態では認証印刷ジョブが長時間に亘って認証されない場合を例示したが、同様の制御を他のストレージ印刷ジョブの印刷指示が長時間に亘って入力されない場合に行ってもよい。
【0033】
(印刷終了又は印刷ジョブ削除時)
ユーザは、ストレージ印刷ジョブを画像形成装置2に送信後に、該画像形成装置2に出向いて、入力部24に該ストレージ印刷ジョブの削除を入力して、記憶部32内のストレージ印刷ジョブを削除することができる。また、記憶部32内の全ての認証印刷ジョブが印刷され、更に印刷をすべき認証印刷ジョブが記憶部32内に無い場合がある。この場合、以降の待機時間は、制御部3にて以下の如く設定される。
先ず記憶部32に記憶された認証印刷ジョブの印刷が終了した場合は、前記の如く、認証印刷ジョブは記憶部32から削除される。また、非認証印刷ジョブのうち(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントに係る印刷ジョブは、該印刷ジョブに基づく印刷物が印刷された後に、別途該印刷ジョブの削除を指示しないと、記憶部32内に残る。しかし、該(1)のパブリックプリントと(2)のプライベートプリントが更に続けて再度印刷される可能性は極めて低い。従って、制御部3は待機時間が第1の時間又は第2の時間に設定されていても、その後の該待機時間を通常印刷ジョブ印刷後の時間L2、つまり第2の時間よりも短い時間に設定する。これにより、省電力化を図っている。記憶部32に記憶された全ての認証印刷ジョブ及び非認証印刷ジョブがユーザによって削除された場合も同様である。
記憶部32に認証印刷ジョブは無いが、非認証印刷ジョブが残っている場合は、該非認証印刷ジョブが印刷指示される可能性がある。制御部3は待機時間を第2の時間に設定し、該非認証印刷ジョブの印刷に備える。
【0034】
(画像形成システムの別の実施形態)
上記構成では、画像形成装置2はネットワーク10を介して複数のデータ処理装置5、5に接続されている。しかし、これに代えて、図10に示すように、画像形成装置2aはサーバ装置6を介してネットワーク経由でデータ処理装置5と繋がっていてもよい。サーバ装置6は画像形成装置2aに向かって印刷ジョブのヘッダー部分と印刷データを別々に送信することができ、本実施形態では、該ヘッダー部分を印刷指令と呼ぶ。換言すれば、印刷指令と印刷データが合わさって、印刷ジョブとなる。
また、ストレージ印刷ジョブの印刷データをストレージ印刷データ、通常印刷ジョブの印刷データを通常印刷データと呼ぶ。また、画像形成装置2aはサーバ装置6に向かって印刷データの転送要求を送信することができ、この転送要求はユーザが画像形成装置2aに印刷指示を入力することにより送信される。更に、ストレージ印刷データは画像形成装置2aから転送要求があるまでサーバ装置6に記憶される。一方、通常印刷データは画像形成装置2aからの転送要求を待たずに、印刷指令と共に画像形成装置2aに転送される。即ち、印刷指令と印刷データが一緒にサーバ装置6から画像形成装置2aに転送されれば、それは通常印刷ジョブに係る印刷ジョブである。
【0035】
サーバ装置6の構成は、図11に示すように、データ処理装置5から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部60と、該サーバ側受信部60にて受信した印刷指令及び印刷データの少なくとも一方を画像形成装置2aに転送する転送部61と、印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部62と、前記サーバ側受信部60で受信された印刷データが、ストレージ印刷データか、通常印刷データかを印刷指令に基づいて判断するサーバ側ジョブ判断部63と、画像形成装置2aからの転送要求を受信する転送要求受信部64と、前記転送部61とサーバ側記憶部62を制御するサーバ側制御部65を有する。
また、画像形成装置2aは、図1に示す構成に加え、図12に示すように、サーバ装置6にストレージ印刷データの転送要求を送信する送信部39を有する。更に、記憶部32は印刷指令を記憶することができ、入力部24にはユーザにより印刷指令の実行指示が入力される。
【0036】
図13は、サーバ装置6の動作を示すフローチャートである。サーバ装置6がデータ処理装置5から印刷ジョブを受信すると、サーバ側ジョブ判断部33にて該印刷ジョブが通常印刷ジョブか否かを判断する(ステップS80)。該印刷ジョブが通常印刷ジョブであれば、サーバ側制御部3は転送部61を作動して、印刷データと印刷指令(即ち、通常印刷ジョブ)を画像形成装置2aに転送する(ステップS85)。印刷ジョブがストレージ印刷ジョブであれば、転送部61は印刷指令のみを画像形成装置2aに転送し(ステップS81)、印刷データをサーバ側記憶部62に記憶させる(ステップS82)。転送要求受信部64にて画像形成装置2aからの転送要求を受信すると(ステップS83)、転送部61は印刷データを画像形成装置2aに送信する。
【0037】
図14及び図15は、画像形成装置2aの動作を示すフローチャートである。
画像形成装置2aの受信部21がサーバ装置6から印刷ジョブ、即ち印刷指令と印刷データを受信すると(ステップS90)、この印刷ジョブは通常印刷ジョブであるからユーザからの印刷指示を待たずに直ぐに該印刷ジョブを印刷する(ステップS91)。ステップS90にて、受信部21が印刷指令のみを受信すると、これはストレージ印刷ジョブの印刷指令であるから、制御部3は記憶部32に印刷指令を記憶させる(ステップS92)。次に、制御部3は待機時間を時間L1に設定する(ステップS93)。
ユーザによって印刷指示が入力部24に入力されると(ステップS94)、送信部39はサーバ装置6に印刷データの転送を要求する(ステップS95)。ステップS94にて印刷指示が入力部24に入力されなければ、印刷指令の受信から時間L1の経過を待つ(ステップS99)。ステップS99にて時間L1が経過するまで印刷指示が入力されなければ、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS100)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまで印刷指示が入力されれば、印刷データの転送を要求する(ステップS95)。
【0038】
受信部21がサーバ装置6から印刷データを受信すると(ステップS96)、制御部3は記憶部32に記憶された印刷指令と印刷データを合わせた印刷ジョブを印刷部30に印刷させる(ステップS97)。
印刷終了後に受信部21が次に印刷ジョブを受信すると(ステップS98)、これは通常印刷ジョブであるから、ステップS91にて該印刷ジョブの印刷を実行する。受信部21が印刷指令のみを受信した場合は(ステップS101)、これはストレージ印刷ジョブの印刷指令であるから、制御部3は待機時間を時間L1に設定する(ステップS102)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまでに、ユーザの印刷指示の入力により、受信部21が印刷データを受信すると(ステップS103)、制御部3は画像処理部31に電力を供給して、RIP処理し画像を印刷する(ステップS105)。印刷指令の受信から時間L1が経過するまでに、ユーザが印刷指示を入力せず、受信部21が印刷データを受信しなければ、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS108)。
【0039】
ステップS101で、受信部21が印刷指令を受信しなかった場合、即ちサーバ装置6から何も転送されなかった場合は、制御部3は待機時間を時間L2に設定する(ステップS106)。そのまま時間L2が経過すると(ステップS107)、制御部3は印刷部30と記憶部32と画像処理部31をスリープモードに設定する(ステップS108)。
本実施形態の画像形成システムにあっても、印刷ジョブがストレージ印刷ジョブである場合は、スリープモードへ移行するまでの待機時間を長く設定することにより、ユーザがスリープモード解除に待たされることが少なくなる。また、通常印刷ジョブでは、ストレージ印刷ジョブよりも早くスリープモードに移行するので省電力の効果を維持できる。
【0040】
前記の実施形態に於ける具体的な数字はこれに限定されない。例えば、第1の時間、第2の時間、時間L2の具体的な値は単なる例示であり、他の値が適宜選択可能である。
【0041】
前述した印刷部30は、レーザプリンタの印刷装置又はインクジェットプリンタの印刷装置であってもよい。また、画像形成装置2は複合機タイプのプリンタでなくてもよい。つまり、コピーやファックス機能を有さないインクジェットプリンタ又はレーザプリンタであってもよい。
【0042】
また、前述の実施形態では、認証印刷ジョブは印刷された後に画像形成装置2内から自動的に削除される構成であるが、ユーザによる印刷ジョブの印刷指示の際、認証印刷ジョブを印刷後に削除するか、画像形成装置2内に残すかを選択できるようにしてもよい。
パブリックプリントとプライベートプリントに係る印刷ジョブについても、ユーザによる印刷ジョブの印刷指示の際、認証印刷ジョブを印刷後に削除するか、画像形成装置2内に残すかを選択できるようにしてもよい。
【0043】
また、前述の実施形態では、図5のステップS45において、制御部3が待機時間を第1の時間から第2の時間に設定し直しているが、この第2の時間は認証印刷ジョブでないストレージ印刷に設定される待機時間と同一でなくてもよい。つまり第2の時間は第1の時間と待機時間L2の間の時間であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、スリープモードを有する画像形成装置、該画像形成装置を用いる画像形成システムおよび画像形成プログラムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 制御部
5 データ処理装置
6 サーバ装置
30 印刷部
31 画像処理部
32 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ判断部は、前記ストレージ印刷ジョブが、ユーザの前記入力部への認証条件の入力を要する認証印刷ジョブか、ユーザの前記入力部への認証条件の入力を不要とする非認証印刷ジョブかを判断することができ、
前記制御部は、ジョブ判断部の判断に基づいて、その印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合には、前記待機時間を第1の時間に設定し、非認証印刷ジョブである場合には前記待機時間を前記第1の時間よりも短い第2の時間に設定させるように前記電源部を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ストレージ印刷ジョブが前記受信部で受信されてからの経過時間が長くなるほど、前記第1の時間及び前記第2の時間を前記通常印刷ジョブの前記待機時間に近づける、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記認証印刷ジョブを前記受信部で受信してから前記第1の時間内に前記入力部に当該認証印刷ジョブの前記認証条件の入力がされなければ、その後の前記待機時間を第2の時間とさせるように前記電源部を制御する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記認証印刷ジョブには、ユーザを識別する識別情報が含まれ、
前記ジョブ判断部は、更に前記認証印刷ジョブから前記識別情報を読み取るユーザ判別部を備え、
前記制御部は、該ユーザ判別部に繋がって、該識別情報に基づいてユーザごとに前記第1の時間を設定する、請求項2乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
各ユーザの印刷履歴が格納可能な印刷履歴格納部を更に備え、
前記制御部は、前記各ユーザの印刷履歴から、前記認証印刷ジョブが前記受信部で受信されてから、前記入力部に当該認証印刷ジョブの認証条件が入力されるまでの平均時間をユーザごとに求め、該平均時間に基づいて前記第1の時間を設定する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブを印刷部の印刷に適した形式の前記画像データに変換する画像処理部を有し、前記制御部は当該画像処理部も制御し、
前記制御部は、前記ジョブ判断部の判断結果に基づき、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、ユーザが前記入力部に前記認証条件を入力する前に、前記印刷ジョブを前記画像データに変換して前記記憶部に格納させるように前記画像処理部を制御する、請求項2乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、認証印刷ジョブの言語が前記画像処理部における前記画像データへの変換に長時間を要する言語の場合にのみ、ユーザが前記入力部に前記認証条件を入力する前に、前記印刷ジョブを前記画像データに変換して前記記憶部に格納させるよう前記画像処理部を制御する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電源部は、前記画像処理部への電力供給も行い、
前記制御部は、前記画像処理部での前記変換後に、該画像処理部への電力供給を停止する又は減じることにより、該画像処理部をスリープモードに移行させるように前記電源部を制御する、請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電源部は、前記記憶部への電力供給も行い、
前記制御部は、前記記憶部への電力供給を停止する又は減じることにより、前記記憶部をスリープモードに移行可能であり、前記印刷部、前記画像処理部及び前記記憶部が前記スリープモードに移行している場合に、前記受信部により新たな認証印刷ジョブを受信すると、前記印刷部、前記画像処理部及び前記記憶部のスリープモードを解除させ、前記受信部により新たな非認証印刷ジョブを受信すると、前記記憶部のスリープモードを解除させ、前記受信部により新たな通常印刷ジョブを受信すると、前記印刷部、前記画像処理部のスリープモードを解除させるように前記電源部を制御する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された全ての前記認証印刷ジョブの印刷処理が終了し、又は印刷が完了していない前記認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除され、且つ、前記記憶部に記憶された全ての前記非認証印刷ジョブの印刷が終了し、又は印刷が完了していない前記非認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除された場合、前記第1の時間と前記第2の時間を前記通常印刷ジョブの所定の待機時間と同じ時間にさせるよう前記電源部を制御し、前記記憶部に記憶された全ての前記認証印刷ジョブの印刷が終了し、又は印刷が完了していない前記認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除され、且つ、前記記憶部に記憶された全ての前記非認証印刷ジョブの印刷が終了せず、又は印刷が完了していない前記非認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除されていない場合、前記第1の時間を前記第2の時間と同じ時間にさせるよう前記電源部を制御する、請求項2乃至10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
データ処理装置と該データ処理装置から送信される印刷ジョブを受信可能な画像形成装置を備えた画像形成システムであって、該画像形成装置は、
前記データ処理装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成システム。
【請求項13】
外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有する画像形成装置に、
前記受信部で受信した前記印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断する工程と、
前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせる工程と、
前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させる工程を実行させる、画像形成プログラム。
【請求項14】
データ処理装置と、該データ処理装置から送信される印刷指令及び印刷データを受信可能なサーバ装置及び該サーバ装置から転送される前記印刷指令及び前記印刷データを受信可能な画像形成装置を備えた画像形成システムであって、
前記サーバ装置は、
前記データ処理装置から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部と、
前記サーバ側受信部において受信した前記印刷指令及び前記印刷データの少なくとも何れかを前記画像形成装置に転送する転送部と、
少なくとも前記印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部と、
前記サーバ側受信部で受信された前記印刷データについて、前記画像形成装置からの転送要求があるまで前記サーバ側記憶部に前記印刷データが記憶されるストレージ印刷データか、前記画像形成装置からの転送要求を待たずに前記画像形成装置に前記印刷データを転送する通常印刷データかを判断するサーバ側ジョブ判断部と、
前記画像形成装置から送信される前記印刷データの転送要求を受信する転送要求受信部と、
前記転送部及び前記記憶部を制御するサーバ側制御部とを有し、
前記サーバ側制御部は、前記サーバ側ジョブ判断部の判断結果に基づき、前記印刷データが通常印刷データと判断された場合、前記印刷指令及び前記印刷データを前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、前記印刷データがストレージ印刷データと判断された場合、前記印刷指令を前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、且つ前記印刷データを前記サーバ側記憶部に記憶させるよう前記サーバ側記憶部を制御し、その後、前記サーバ側記憶部に記憶された前記印刷データについて前記転送要求受信部により前記転送要求を受信した場合に当該印刷データを前記画像形成装置に転送させるように前記転送部を制御し、
前記画像形成装置は、
前記サーバ装置から転送された前記印刷指令及び前記印刷データを受信する受信部と、
前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷指令が記憶される記憶部と、
ユーザにより前記印刷指令の実行指示が入力される入力部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部、前記記憶部、前記送信部及び前記電源部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信した場合は、前記入力部に入力される前記印刷指令の実行を待たずに前記印刷部により前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷させるよう前記印刷部を制御し、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合は、前記記憶部に受信した当該印刷指令を記憶させ、且つ、前記入力部に当該記憶させた印刷指令の実行要求が入力された時に前記サーバ装置に当該印刷指令に対応する前記印刷ジョブの転送を要求させるよう前記送信部を制御し、当該転送要求に応じて前記転送部より転送された前記当該印刷ジョブを前記受信部により受信すると、当該印刷ジョブを印刷させるように前記印刷部を制御し、
前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合には前記入力部への当該印刷指令の実行指示の入力まで前記待機時間を前記所定の待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成システム。
【請求項1】
外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有する画像形成装置であって、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ判断部は、前記ストレージ印刷ジョブが、ユーザの前記入力部への認証条件の入力を要する認証印刷ジョブか、ユーザの前記入力部への認証条件の入力を不要とする非認証印刷ジョブかを判断することができ、
前記制御部は、ジョブ判断部の判断に基づいて、その印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合には、前記待機時間を第1の時間に設定し、非認証印刷ジョブである場合には前記待機時間を前記第1の時間よりも短い第2の時間に設定させるように前記電源部を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ストレージ印刷ジョブが前記受信部で受信されてからの経過時間が長くなるほど、前記第1の時間及び前記第2の時間を前記通常印刷ジョブの前記待機時間に近づける、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記認証印刷ジョブを前記受信部で受信してから前記第1の時間内に前記入力部に当該認証印刷ジョブの前記認証条件の入力がされなければ、その後の前記待機時間を第2の時間とさせるように前記電源部を制御する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記認証印刷ジョブには、ユーザを識別する識別情報が含まれ、
前記ジョブ判断部は、更に前記認証印刷ジョブから前記識別情報を読み取るユーザ判別部を備え、
前記制御部は、該ユーザ判別部に繋がって、該識別情報に基づいてユーザごとに前記第1の時間を設定する、請求項2乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
各ユーザの印刷履歴が格納可能な印刷履歴格納部を更に備え、
前記制御部は、前記各ユーザの印刷履歴から、前記認証印刷ジョブが前記受信部で受信されてから、前記入力部に当該認証印刷ジョブの認証条件が入力されるまでの平均時間をユーザごとに求め、該平均時間に基づいて前記第1の時間を設定する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブを印刷部の印刷に適した形式の前記画像データに変換する画像処理部を有し、前記制御部は当該画像処理部も制御し、
前記制御部は、前記ジョブ判断部の判断結果に基づき、印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合は、ユーザが前記入力部に前記認証条件を入力する前に、前記印刷ジョブを前記画像データに変換して前記記憶部に格納させるように前記画像処理部を制御する、請求項2乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、認証印刷ジョブの言語が前記画像処理部における前記画像データへの変換に長時間を要する言語の場合にのみ、ユーザが前記入力部に前記認証条件を入力する前に、前記印刷ジョブを前記画像データに変換して前記記憶部に格納させるよう前記画像処理部を制御する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電源部は、前記画像処理部への電力供給も行い、
前記制御部は、前記画像処理部での前記変換後に、該画像処理部への電力供給を停止する又は減じることにより、該画像処理部をスリープモードに移行させるように前記電源部を制御する、請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電源部は、前記記憶部への電力供給も行い、
前記制御部は、前記記憶部への電力供給を停止する又は減じることにより、前記記憶部をスリープモードに移行可能であり、前記印刷部、前記画像処理部及び前記記憶部が前記スリープモードに移行している場合に、前記受信部により新たな認証印刷ジョブを受信すると、前記印刷部、前記画像処理部及び前記記憶部のスリープモードを解除させ、前記受信部により新たな非認証印刷ジョブを受信すると、前記記憶部のスリープモードを解除させ、前記受信部により新たな通常印刷ジョブを受信すると、前記印刷部、前記画像処理部のスリープモードを解除させるように前記電源部を制御する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された全ての前記認証印刷ジョブの印刷処理が終了し、又は印刷が完了していない前記認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除され、且つ、前記記憶部に記憶された全ての前記非認証印刷ジョブの印刷が終了し、又は印刷が完了していない前記非認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除された場合、前記第1の時間と前記第2の時間を前記通常印刷ジョブの所定の待機時間と同じ時間にさせるよう前記電源部を制御し、前記記憶部に記憶された全ての前記認証印刷ジョブの印刷が終了し、又は印刷が完了していない前記認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除され、且つ、前記記憶部に記憶された全ての前記非認証印刷ジョブの印刷が終了せず、又は印刷が完了していない前記非認証印刷ジョブの全てが前記記憶部から削除されていない場合、前記第1の時間を前記第2の時間と同じ時間にさせるよう前記電源部を制御する、請求項2乃至10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
データ処理装置と該データ処理装置から送信される印刷ジョブを受信可能な画像形成装置を備えた画像形成システムであって、該画像形成装置は、
前記データ処理装置から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記ジョブ判断部の判断結果に基づいて、前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成システム。
【請求項13】
外部から送信された印刷ジョブを受信する受信部と、
前記印刷ジョブに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶可能な記憶部と、
ユーザにより前記印刷ジョブの印刷指示が入力される入力部と、
前記受信部で受信された前記印刷ジョブについて、前記入力部への印刷指示の入力がなされるまで前記記憶部に前記印刷ジョブ又は前記印刷ジョブに係る画像データが記憶されるストレージ印刷ジョブか、前記入力部への印刷指示の入力を待たずに前記印刷部における印刷がなされる通常印刷ジョブかを判断するジョブ判断部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部及び前記電源部を制御する制御部と、を有する画像形成装置に、
前記受信部で受信した前記印刷ジョブがストレージ印刷ジョブか、通常印刷ジョブかを判断する工程と、
前記受信部で前記印刷ジョブを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせる工程と、
前記受信部で受信した印刷ジョブが前記ストレージ印刷ジョブである場合には、前記入力部への印刷指示の入力まで前記印刷部における当該印刷ジョブに係る画像の印刷を保留しつつ前記待機時間を、前記通常印刷ジョブである場合の前記待機時間に比して、長い時間に設定させる工程を実行させる、画像形成プログラム。
【請求項14】
データ処理装置と、該データ処理装置から送信される印刷指令及び印刷データを受信可能なサーバ装置及び該サーバ装置から転送される前記印刷指令及び前記印刷データを受信可能な画像形成装置を備えた画像形成システムであって、
前記サーバ装置は、
前記データ処理装置から送信された印刷指令及び印刷データを受信するサーバ側受信部と、
前記サーバ側受信部において受信した前記印刷指令及び前記印刷データの少なくとも何れかを前記画像形成装置に転送する転送部と、
少なくとも前記印刷データを記憶可能なサーバ側記憶部と、
前記サーバ側受信部で受信された前記印刷データについて、前記画像形成装置からの転送要求があるまで前記サーバ側記憶部に前記印刷データが記憶されるストレージ印刷データか、前記画像形成装置からの転送要求を待たずに前記画像形成装置に前記印刷データを転送する通常印刷データかを判断するサーバ側ジョブ判断部と、
前記画像形成装置から送信される前記印刷データの転送要求を受信する転送要求受信部と、
前記転送部及び前記記憶部を制御するサーバ側制御部とを有し、
前記サーバ側制御部は、前記サーバ側ジョブ判断部の判断結果に基づき、前記印刷データが通常印刷データと判断された場合、前記印刷指令及び前記印刷データを前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、前記印刷データがストレージ印刷データと判断された場合、前記印刷指令を前記画像形成装置に転送させるよう前記転送部を制御し、且つ前記印刷データを前記サーバ側記憶部に記憶させるよう前記サーバ側記憶部を制御し、その後、前記サーバ側記憶部に記憶された前記印刷データについて前記転送要求受信部により前記転送要求を受信した場合に当該印刷データを前記画像形成装置に転送させるように前記転送部を制御し、
前記画像形成装置は、
前記サーバ装置から転送された前記印刷指令及び前記印刷データを受信する受信部と、
前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷指令が記憶される記憶部と、
ユーザにより前記印刷指令の実行指示が入力される入力部と、
少なくとも前記印刷部への電力供給を行う電源部と、
前記印刷部、前記記憶部、前記送信部及び前記電源部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信した場合は、前記入力部に入力される前記印刷指令の実行を待たずに前記印刷部により前記印刷データに係る画像を記録媒体に印刷させるよう前記印刷部を制御し、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合は、前記記憶部に受信した当該印刷指令を記憶させ、且つ、前記入力部に当該記憶させた印刷指令の実行要求が入力された時に前記サーバ装置に当該印刷指令に対応する前記印刷ジョブの転送を要求させるよう前記送信部を制御し、当該転送要求に応じて前記転送部より転送された前記当該印刷ジョブを前記受信部により受信すると、当該印刷ジョブを印刷させるように前記印刷部を制御し、
前記受信部で前記印刷指令及び前記印刷データを受信してから所定の待機時間内に次の印刷ジョブを受信しなかった場合は、該印刷部への電力供給を停止させる又は減じさせるように前記電源部を制御し、且つ、前記受信部で前記印刷指令のみを受信した場合には前記入力部への当該印刷指令の実行指示の入力まで前記待機時間を前記所定の待機時間に比して、長い時間に設定させるように前記電源部を制御する、画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−49239(P2013−49239A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189570(P2011−189570)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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