画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成方法
【課題】原稿を複写する際のコストを抑制しつつ、かつ、オペレータの負担を軽減する。
【解決手段】予め記憶装置に原稿9aを表現した原稿データと、当該原稿9aを識別するための識別データとを関連付けて記憶しておくとともに、原稿9aを用紙に印刷する際には、原稿9aを識別する画像部分として画像92を、原稿9aの表紙90に識別データに基づいて印刷しておく。画像92としてはQRコードを表現した画像が好ましい。原稿9aを複写する場合は、原稿9aの表紙90(画像91および画像92)をスキャナで読み取り、画像92に基づいて検索データを作成する。そして、作成した検索データによって記憶装置を検索し、該当する識別データに関連付けられている原稿データを取得して、当該原稿データに基づいて印刷を行う。
【解決手段】予め記憶装置に原稿9aを表現した原稿データと、当該原稿9aを識別するための識別データとを関連付けて記憶しておくとともに、原稿9aを用紙に印刷する際には、原稿9aを識別する画像部分として画像92を、原稿9aの表紙90に識別データに基づいて印刷しておく。画像92としてはQRコードを表現した画像が好ましい。原稿9aを複写する場合は、原稿9aの表紙90(画像91および画像92)をスキャナで読み取り、画像92に基づいて検索データを作成する。そして、作成した検索データによって記憶装置を検索し、該当する識別データに関連付けられている原稿データを取得して、当該原稿データに基づいて印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿に基づいて画像を形成する技術に関する。すなわち、原稿を複写する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿を表現した原稿データを識別データと関連付けて記憶しておき、ある識別情報が入力されたときに、入力された識別情報に基づいて原稿データを特定する技術が提案されている。このような技術が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1では、原稿をスキャナ等で読み取った読取画像データ(原稿データ)と、当該原稿に存在する無線タグからICタグリーダライタによって読み取った識別情報とを関連付けて記憶する。そして、別途、操作部から入力された識別情報に基づいて、読取画像データを特定する。
【0004】
【特許文献1】特開平09−037004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、無線タグに識別情報を記憶させることによって、原稿に識別情報を貼付しているため、原稿を読み取る構成(スキャナ)と、識別情報を読み取る構成(ICタグリーダライタ)とを両方備える必要があり、装置コストが増大するという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、原稿データを後に特定する場合、オペレータが操作部を操作して、識別情報を入力しており、オペレータに負担がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、コストを抑制しつつ、かつ、オペレータの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する記憶手段と、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する形成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置であって、前記形成手段は、前記特定手段により特定された印刷データと、前記印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る画像形成装置であって、前記特定手段は、前記抽出手段により生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記入力データを印刷データとして特定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る画像形成装置であって、前記記憶手段は、前記特定手段により入力データが印刷データとして特定された場合において、前記印刷データに識別データを付与するとともに、前記印刷データを原稿データとして前記識別データに関連付けて記憶することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る画像形成装置であって、前記画像部分はQRコードを表現した画像を含み、前記抽出手段は、前記QRコードを表現した画像を解析することにより検索データを生成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する文書管理サーバと、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、前記文書管理サーバにネットワークを介して接続され、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶装置に記憶する工程と、原稿の少なくとも一部分の画像を入力データとして読み取る工程と、前記入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する工程と、前記検索データに基づいて前記記憶装置を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶装置に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する工程と、前記印刷データに基づいて画像を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし7に記載の発明では、原稿を表現した原稿データと原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶し、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取ることにより生成された入力データに基づいて原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した画像部分に基づいて生成された検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データを印刷データとして特定し、特定された印刷データに基づいて画像を形成することにより、原稿を読み取ることによって生成された入力データではなく、記憶されている原稿データに基づいて画像を形成するので、複写による画像の劣化がない。また、原稿の全部を読み取る必要がないので、例えば、最初の1頁(表紙)を読み取るだけでよい。
【0016】
請求項2に記載の発明では、特定された印刷データと、印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することにより、予め印刷データに識別データが含まれていなくても、識別データを画像として形成することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが記憶手段に記憶されていない場合、入力データを印刷データとして特定することにより、読取手段を識別データを読み取るためと、原稿を読み取るためとに兼用することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、入力データが印刷データとして特定された場合において、印刷データに識別データを付与するとともに、印刷データを原稿データとして識別データに関連付けて記憶することにより、対応する原稿データが保存されていなかった場合でも、新たに原稿データとして保存することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る画像形成システム1を示す図である。画像形成システム1は、文書管理サーバ2、画像形成装置3およびコンピュータ4を備えており、これらがネットワーク8を介して互いに接続されている。
【0021】
なお、ネットワーク8としては、例えば、LANやインターネットが想定されるが、公衆電話回線網等であってもよいし、有線による通信を行うネットワークではなく、無線による通信を行うネットワークであってもよい。また、図1では、画像形成装置3およびコンピュータ4を2台ずつ図示しているが、いずれも2台に限定されるものではなく、これらの構成のうち、少なくとも1台の画像形成装置3を備えていればよい。
【0022】
図2は、文書管理サーバ2の構成を示す図である。
【0023】
文書管理サーバ2は、CPU20、CPU20の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAM21、主にプログラムを記憶する読み出し専用のROM22、比較的大容量のデータ(データベース230)を記憶するハードディスク23を備え、一般的なコンピュータとして機能する。また、文書管理サーバ2は、オペレータが指示を入力するために使用する操作部24、オペレータに各種データを表示する表示部25および文書管理サーバ2をネットワーク8に接続する通信部26を備える。
【0024】
CPU20は、例えばROM22に格納されているプログラムに従って動作しつつ適宜RAM21を参照することにより、各種データの演算を行うとともに、文書管理サーバ2が備える各構成を制御する。
【0025】
図3は、文書管理サーバ2の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図3に示す、登録部200および検索部201は、主にCPU20が先述のプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0026】
登録部200は、通信部26が受信した印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録する機能を有する。なお、詳細は後述するが、印刷データ312とは、画像形成装置3によって作成されるデータであって、画像形成装置3から文書管理サーバ2に送信されるデータである。
【0027】
登録部200は、印刷データ312を原稿データ232として登録する場合において、他の原稿データ232と当該新しい原稿データ232とを識別するための識別データ231を付与して、付与した識別データ231と当該原稿データ232とを関連付けて記憶させる。すなわち、登録部200は、データベース230を構築(更新)する機能を有する。
【0028】
また、登録部200は、印刷データ312を新たな原稿データ232として登録した場合、当該原稿データ232に付与した新たな識別データ231を通信部26に通知する。これにより、原稿データ232(印刷データ312)に割り当てられた識別データ231が、画像形成装置3に向けて送信される。
【0029】
検索部201は、通信部26が受信した検索データ311を検索キーとしてデータベース230(ハードディスク23)を検索し、検索結果に応じて、結果データ210を作成する。
【0030】
すなわち、検索データ311に一致する識別データ231がデータベース230に存在している場合、当該識別データ231と当該識別データ231に関連付けられている原稿データ232とをデータベース230から取得して、当該識別データ231と当該原稿データ232とを結果データ210に含める。一方、検索データ311に一致する識別データ231がデータベース230に存在していない場合、該当する原稿データ232が存在しない旨を示すデータを結果データ210に含める。なお、詳細は後述するが、検索データ311は画像形成装置3によって生成されるデータであって、画像形成装置3から文書管理サーバ2に送信される。
【0031】
ハードディスク23は、先述のように、データベース230を記憶するための記憶装置である。ハードディスク23はデータベース230を記憶することにより、原稿を表現した原稿データ232と、当該原稿を識別する識別データ231とを関連付けて記憶する。データベース230への新たなレコード(原稿データ232)の登録は、先述のように、登録部200によって行われる。
【0032】
図4は、画像形成装置3の構成を示す図である。
【0033】
画像形成装置3は、CPU30、各種データの読み書きが可能なメモリ31、主にプログラムを記憶する読み出し専用のROM32を備える。また、画像形成装置3は、原稿の少なくとも一部分を読み取るスキャナ部33、オペレータが指示を入力するために使用する操作部34、オペレータに各種データを表示する表示部35、画像形成装置3をネットワーク8に接続する通信部36、および、用紙に画像を形成するプリンタ部37を備える。
【0034】
なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態における画像形成装置3は、例えば、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能およびコピー機能等を有するMFP装置(複合機)として構成されている。
【0035】
CPU30は、例えばROM32に格納されているプログラムに従って動作しつつ適宜メモリ31を参照することにより、各種データの演算を行うとともに、画像形成装置3が備える各構成を制御する。言い換えれば、CPU30、メモリ31およびROM32は、画像形成装置3の制御装置を構成する。
【0036】
図5は、画像形成装置3の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す、抽出部300および特定部301は、主にCPU30が先述のプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0037】
抽出部300は、スキャナ部33によって作成された入力データ310に画像処理を施して、検索データ311を抽出し作成する。具体的には、入力データ310に表現されている画像から、QRコードを形成する画像部分を認識するとともに、当該画像部分を解析して、検索データ311を作成する。すなわち、抽出部300は、スキャナ部33によって生成された入力データ310に基づいて、原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した画像部分に基づいて検索データ311を生成する。
【0038】
また、抽出部300は、入力データ310に検索データ311が含まれておらず、検索データ311を作成できなかった場合、その旨を特定部301に伝達する。
【0039】
特定部301は、通信部36が受信した結果データ210に基づいて、印刷データ312を特定する。具体的には、結果データ210に原稿データ232が含まれている場合、特定部301は、当該原稿データ232を印刷データ312とする。このとき、原稿データ232とともに含まれている識別データ231をメモリ31に転送する。
【0040】
一方、結果データ210に原稿データ232が含まれていない場合、特定部301は、入力データ310を印刷データ312とする。また、この場合、特定部301は識別データ231を作成しない。
【0041】
図4に戻って、スキャナ部33は、図示しないCCDラインセンサにより原稿の表面に形成されている画像を読み取り、当該原稿を表現した入力データ310を生成する。スキャナ部33は、ADF(Automatic Document Feeder)方式又はFBS(Flat Bed Scanner)方式により原稿を読み取る。
【0042】
プリンタ部37は、電子写真方式により、画像データにかかる画像を記録紙等の記録媒体上に形成する。本実施の形態のプリンタ部37では、画像データとして、印刷データ312および識別データ231を用いることが可能とされている。
【0043】
なお、プリンタ部37は、識別データ231に基づいて、QRコードを表現した画像を形成する。すなわち、画像形成システム1によって作成される原稿には、識別データ231に基づいてQRコードが印刷される。
【0044】
また、図5では簡易的に図示しているが、プリンタ部37は、必要に応じてメモリ31を介して通信部36との間でデータのやり取りを行う。この機能および動作については、後述する。
【0045】
図1に戻って、コンピュータ4は、主に原稿の元となる原稿元データを生成する。オペレータは、コンピュータ4のアプリケーションソフトウェア(エディタやワープロソフトウェア等)を用いて、原稿元データを生成する。生成された原稿元データは、ネットワーク8を介して、画像形成装置3に送信されるが、詳細は後述する。
【0046】
以上が、本実施の形態における画像形成システム1の構成および機能の説明である。次に、画像形成システム1の動作について、文書管理サーバ2および画像形成装置3の動作を中心に説明する。
【0047】
<1−2. 文書管理サーバ2の動作>
図6は、文書管理サーバ2の動作を示す流れ図である。
【0048】
<1−2−1. 登録処理>
文書管理サーバ2の通信部26が画像形成装置3から印刷データ312を受信すると、文書管理サーバ2のCPU20は、ステップS10においてYesと判定する。
【0049】
次に、登録部200は、受信した印刷データ312に識別データ231が添付されているか否かを判定する(ステップS11)。
【0050】
印刷データ312とともに識別データ231を受信していない場合(ステップS11においてNo)、登録部200は、識別データ231を新たに付与し(ステップS12)、付与した識別データ231を画像形成装置3に送信する(ステップS13)。そして、受信した印刷データ312を原稿データ232として、ステップS12において付与した識別データ231と関連付けて、データベース230に登録する(ステップS14)。なお、識別データ231の送信先は、ステップS10において受信した印刷データ312の送信元の画像形成装置3である。
【0051】
一方、印刷データ312とともに識別データ231を受信した場合(ステップS11においてYes)、登録部200は、ステップS12,S13をスキップして、受信した識別データ231と関連付けて、受信した印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録する(ステップS14)。
【0052】
<1−2−2. 検索処理>
文書管理サーバ2の通信部26が画像形成装置3から検索データ311を受信すると、文書管理サーバ2のCPU20は、ステップS15においてYesと判定する。
【0053】
次に、検索部201が受信した検索データ311を検索キーとして、データベース230を検索し、格納されている複数の識別データ231に、検索データ311と一致する識別データ231が存在するか否かを判定する(ステップS16)。
【0054】
検索データ311と識別データ231とが一致した場合(ステップS16においてYes)、検索部201は、検索データ311と一致した識別データ231と、当該識別データ231に関連付けられている原稿データ232とを結果データ210とする(ステップS17)。
【0055】
一方、データベース230に格納されている全ての識別データ231についてステップS16を実行したにもかかわらず、検索データ311と一致する識別データ231が存在しない場合(ステップS16においてNo)、検索部201は、検索データ311を結果データ210とする(ステップS18)。
【0056】
ステップS17またはステップS18が実行されることにより、検索部201によって結果データ210が作成されると、通信部26が作成された結果データ210を画像形成装置3に送信する(ステップS19)。なお、結果データ210の送信先は、ステップS15において受信した検索データ311の送信元の画像形成装置3である。
【0057】
以上説明したように、文書管理サーバ2は印刷データ312を受信した場合には、ステップS11ないしS14の処理を行うことにより、当該印刷データ312を送信した画像形成装置3からの要求に基づいて、文書管理サーバ2(データベース230)への登録処理を行う。その一方で、文書管理サーバ2は検索データ311を受信すると、ステップS16ないしS19の処理を行うことによって、当該検索データ311を送信した画像形成装置3からの要求に基づいて、文書管理サーバ2(データベース230)の検索処理を行う。
【0058】
<1−3. 画像形成装置3の動作>
図7は、画像形成装置3の動作を示す流れ図である。また、図8は、原稿の内容を表現した画像91が形成された複数の記録用紙で構成される一般的な原稿9を例示する図である。さらに、図9は、原稿を識別する画像部分である画像92が形成された複数の記録用紙で構成される原稿9aを例示する図である。
【0059】
画像91は原稿9の全内容を表現した画像である。したがって、原稿9が複数ページから構成されている場合、画像91は複数ページにわたる画像となる。また、画像92は、識別データ231を表現した画像であり、本実施の形態では図9に示すように、QRコードを表現した画像となっている。以下の説明では、原稿9aにおける画像91と画像92とを合わせた画像(原稿9aの全内容を表現した画像)を、画像93と称する。
【0060】
<1−3−1. 印刷処理>
コンピュータ4から原稿元データを受信すると、画像形成装置3のCPU30は、ステップS20においてYesと判定し、通信部36は原稿元データをプリンタ部37に伝達する。これにより、プリンタ部37は、通信部36から伝達された原稿元データに基づいて印刷データ312を作成する(ステップS21)。
【0061】
原稿元データとは、コンピュータ4において作成されるデータであって、原稿の実質的な内容を表現したデータである。図8および図9に示す例では、原稿元データは、画像91を形成するためのデータである。すなわち、画像形成装置3がコンピュータ4から原稿元データを受信した場合とは、コンピュータ4から当該原稿元データを印刷するように要求された場合に相当する。
【0062】
原稿元データに基づいて印刷データ312が生成されると、CPU30は、当該印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録するか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22における判定は、適宜オペレータからの指示に基づいて行ってもよいし、予め設定データ等により選択されていてもよい。
【0063】
データベース230に登録しない場合(ステップS22においてNo)、プリンタ部37は、生成した印刷データ312に基づいて印刷を行う(ステップS23)。すなわち、印刷データ312に基づいて、記録用紙に画像91が形成され、図8に示すような一般的な原稿9が作成される。このように、画像形成システム1では、識別データ231を用いない、通常の印刷処理も可能である。したがって、オペレータの要求に応じて、柔軟に対応することができる。
【0064】
一方、データベース230に登録する場合(ステップS22においてYes)、プリンタ部37は、生成した印刷データ312を通信部36に伝達する。これにより、通信部36は、プリンタ部37から伝達された印刷データ312を文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS24)。そして、画像形成装置3は文書管理サーバ2から識別データ231を受信するまで待機する(ステップS25)。
【0065】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS24において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されていない。したがって、文書管理サーバ2では、図6に示すステップS12,S13が実行され、登録の際に当該印刷データ312(原稿データ232)に付与された識別データ231が画像形成装置3に送信される。
【0066】
文書管理サーバ2から識別データ231を受信すると、当該識別データ231がメモリ31に転送される(ステップS26)。そして、プリンタ部37がステップS21において作成した印刷データ312と、ステップS25で受信した識別データ231とに基づいて印刷を行う(ステップS27)。すなわち、印刷データ312に基づいて形成される画像91と、識別データ231に基づいて形成される画像92とが記録用紙に形成され、図9に示すような原稿9aが作成される。
【0067】
このように、画像形成システム1では、印刷データ312によって形成される画像91とともに、当該印刷データ312(原稿データ232)と関連付けて記憶される識別データ231を画像92として印刷する。これにより、原稿の内容(画像91)と原稿を識別する情報(画像92)との関連付けが、原稿9aにおいて実現される。
【0068】
<1−3−2. 複写処理>
オペレータによってスキャナ部33が操作されると、画像形成装置3のCPU30は、ステップS28においてYesと判定し、画像形成装置3は複写処理を行う(ステップS29)。
【0069】
図10は、画像形成装置3における複写処理を示す流れ図である。
【0070】
画像形成装置3において複写処理が開始されると、まず、スキャナ部33がオペレータによってセットされた原稿を読み取って、入力データ310を生成する(ステップS31)。
【0071】
入力データ310が作成されると、抽出部300が入力データ310に対して画像処理を行い、検索データ311を抽出する(ステップS32)。
【0072】
本実施の形態における抽出部300は、QRコードを読み取る機能を有しており、入力データ310によって表現される画像からQRコードを表現している画像の部分を認識して抽出し、当該QRコードの画像92から検索データ311を生成する。すなわち、入力データ310は画素ごとのデータであるが、検索データ311はテキストデータである。
【0073】
次に、検索データ311を抽出できたか否かを判定し(ステップS33)、検索データ311を抽出できなかった場合、画像形成装置3は第1異常処理を実行する(ステップS40)。
【0074】
例えば、図8に示す原稿9が読み取られて入力データ310が生成された場合を考える。この場合、入力データ310は画像91を表現するデータであり、画像91には画像92が含まれていない。したがって、入力データ310から検索データ311を抽出することができず、ステップS40が実行される。なお、ステップS40の第1異常処理については後述する。
【0075】
一方、抽出部300が検索データ311を抽出できた場合(ステップS33においてYes)、通信部36は、作成された検索データ311を文書管理サーバ2に送信する(ステップS34)。
【0076】
先述のように、画像形成装置3が検索データ311を文書管理サーバ2に送信することは、当該画像形成装置3が文書管理サーバ2に検索要求することに相当する。すなわち、図9に示す原稿9aのようにQRコードが画像92として形成されていれば、入力データ310は画像93を表現するデータとなる。画像93は画像92を含むので、画像形成装置3は入力データ310から検索データ311を得ることができる。そして、この場合、画像形成装置3は当該検索データ311によってデータベース230を検索するのである。
【0077】
次に、画像形成装置3は、文書管理サーバ2から、検索結果を示す結果データ210を受信するまで待機する(ステップS35)。そして、通信部26が結果データ210を受信すると、受信した結果データ210に原稿データ232が含まれているか否かを特定部301が判定する(ステップS36)。
【0078】
文書管理サーバ2に対して検索を要求しても、文書管理サーバ2において、図6に示すステップS18が実行された場合、先述のように、画像形成装置3に送信される結果データ210には原稿データ232が含まれない。このような場合とは、例えば、既に該当する原稿データ232がデータベース230から削除されている場合や、他のシステムにおいて付与されたQRコードの画像が読み取られた場合、あるいは、原稿の記事としてQRコードが含まれていた場合等が想定される。
【0079】
受信した結果データ210に原稿データ232が含まれていない場合(ステップS36においてNo)、画像形成装置3は第2異常処理を実行する(ステップS41)。なお、ステップS41の第2異常処理については後述する。
【0080】
一方、受信した結果データ210に原稿データ232が含まれている場合(ステップS36においてYes)、特定部301は、当該結果データ210に含まれている原稿データ232を印刷データ312として特定する(ステップS37)。さらに、特定部301は、当該結果データ210に含まれている識別データ231をメモリ31に転送することにより、識別データ231を作成する(ステップS38)。
【0081】
特定部301によって印刷データ312と識別データ231とが作成されると、プリンタ部37は、これら印刷データ312と識別データ231とに基づいて印刷(画像の形成)を行う(ステップS39)。
【0082】
ステップS39における印刷に用いられる印刷データ312は、データベース230から取得された原稿データ232である。すなわち、ステップS39が実行されることにより複製される原稿9aの画像91は、複製元の原稿9aを読み取って生成された入力データ310ではなく、以前に(図7に示すステップS27)、複製元の原稿9aを作成するときに使用した原稿データ232に基づいて形成される。
【0083】
入力データ310はスキャナ部33によって光学的に読み取られたデータであるため、入力データ310に基づいて画像を形成すると、一般に、画像の劣化(複写劣化)が生じる。これに対して、原稿データ232は、データベース230に保存されているデータであり劣化することがない。
【0084】
このように、原稿9aの少なくとも一部分に識別データ231としてのQRコードを表現した画像92を印刷しておくとともに、当該識別データ231と関連付けて原稿データ232をデータベース230に記憶しておくことにより、当該原稿を複写しようとする場合において、原稿データ232に基づいて画像を形成することができる。したがって、複製を複製元と同一のデータで作成することにより、画像形成システム1は、複写処理における画像の劣化を抑制することができる。
【0085】
また、オペレータにとっては、所望の原稿9aを複製元としてスキャナ部33に読み取らせるという操作を行うだけで、プリンタ部37による画像93の形成が行われ、当該原稿の複製が作成される。すなわち、複製を作成する際のオペレータの操作が従来と同様なので、オペレータは新たな操作を覚える必要がなく、オペレータの負担が増大することはない。
【0086】
また、スキャナ部33が、原稿の内容を読み取るための構成と、識別データ231を読み取るための構成とに兼用されるので、装置コストが抑制される。
【0087】
さらに、データベース230に登録されている原稿データ232を特定するためには、QRコードを表現した画像92を読み取らせれば充分であり、原稿9aを表現する全ての画像93を読み取らせる必要はない。すなわち、オペレータは、画像92が印刷されている部分(図9に示す例では表紙90)のみをスキャナ部33に読み取らせればよいので、複数のページがステープラやクリップ、綴り紐等でまとめられている場合であっても、これらを外して読み取らせる必要がない。したがって、オペレータの手間が軽減される。
【0088】
<1−3−3. 第1異常処理>
次に、先ほど説明を省略したステップS40の第1異常処理について説明する。図11は、第1異常処理を示す流れ図である。先述のように、第1異常処理は、入力データ310から検索データ311を抽出することができなかった場合に実行される処理である。
【0089】
第1異常処理が開始されると、抽出部300は、検索データ311を抽出できなかったことを示す信号を特定部301に伝達する(ステップS51)。このように、検索データ311を特定できなかった場合、データベース230から原稿データ232を取得することは不可能なので、特定部301は、原稿9を読み取った入力データ310を印刷データ312として特定する(ステップS52)。
【0090】
次に、画像形成装置3のCPU30は、当該印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録するか否かを判定する(ステップS53)。
【0091】
ステップS53が実行される場合には、複製元の原稿にQRコードを表現した画像92が印刷されているにもかかわらず、抽出部300が検索データ311の抽出に失敗した場合も含まれる。すなわち、原稿9aを読み込ませた場合もステップS53が実行される可能性がある。
【0092】
このような場合において、オペレータはデータベース230に再度登録することを望まないこともあり得る。また、複製元の原稿9aにQRコードが印刷されていることを予め確認していたオペレータは、当該原稿9aの表紙90のみを読み込ませている可能性がある。このような場合、印刷データ312には表紙90を構成する画像を表現したデータしか含まれていないため、当該印刷データ312を原稿データ232として登録することは好ましくない。
【0093】
データベース230への登録を行わない場合(ステップS53においてNo)、CPU30は、印刷データ312として特定された入力データ310を印刷するか否かをさらに判定する(ステップS54)。
【0094】
先述のように、印刷データ312が、原稿9aの表紙90を構成する画像のみを表現したデータとなっている場合(原稿9aの一部のみを表現したデータとなっている場合)等において、オペレータは、一旦、複写処理を中止して、全てのページをスキャナ部33に読み込ませてから、印刷することを望む場合が想定される。なお、このようなやり直しを行う場合、オペレータは読み取れない状態となっているQRコード(画像92)を修正液等で原稿9aから削除することが好ましい。
【0095】
オペレータが印刷を望まない場合(ステップS54においてNo)、画像形成装置3は、画像の形成を行うことなく、図11に示す第1異常処理を終了するとともに、図10に示す複写処理を終了する。この場合は、新たな登録は行われず、かつ、複製も作成されない。
【0096】
印刷を望む場合(ステップS54においてYes)、プリンタ部37は、入力データ310に基づいて生成された印刷データ312に基づいて印刷を行う(ステップS55)。
【0097】
ステップS55が実行される場合とは、QRコードが抽出されず(ステップS33においてNo)、データベース230への登録を行わず(ステップS53においてNo)、かつ、スキャナ部33によって生成された入力データ310を印刷データ312として印刷する場合である。したがって、ステップS55における処理は、広く一般的に実施されている複写処理に相当する処理である。
【0098】
ステップS53に戻って、ステップS53が実行される場合とは、複製元の原稿にQRコードを表現した画像92が印刷されていない場合も当然あり得る。図8に示す原稿9は、QRコードが印刷されておらず、原稿データ232がデータベース230に登録されていないと考えられる。また、QRコードが印刷されていない原稿9について、オペレータが表紙90のみを読み取らせることは考えにくいため、この場合の入力データ310は画像91を表現したデータとなっていると思われる。したがって、このような場合、オペレータが画像91を表現したデータ(すなわち入力データ310)を、次回以降のために、データベース230に登録しておきたいと所望することはあり得る。
【0099】
そこで、印刷データ312を登録する場合(ステップS53においてYes)、ステップS52において特定された印刷データ312を、プリンタ部37が通信部36に伝達する。これにより、通信部36は、プリンタ部37から伝達された印刷データ312を文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS56)。そして、画像形成装置3は文書管理サーバ2から識別データ231を受信するまで待機する(ステップS57)。
【0100】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS56において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されていない。したがって、文書管理サーバ2では、図6に示すステップS12,S13が実行され、登録の際に当該印刷データ312(原稿データ232)に付与された識別データ231が画像形成装置3に送信される。
【0101】
文書管理サーバ2から識別データ231を受信すると、当該識別データ231がプリンタ部37に転送され、ステップS52において特定された印刷データ312と、ステップS57で受信した識別データ231とに基づいてプリンタ部37が印刷を行う(ステップS58)。すなわち、印刷データ312に基づいて形成される画像91と、識別データ231に基づいて形成される画像92とが記録用紙に形成され、図9に示すような原稿9aが作成される。
【0102】
このように、画像形成システム1では、例えば原稿9のように、QRコードを表現した画像92が形成されていない原稿についても、新たにデータベース230に登録可能であるとともに、画像92を付加した原稿9aとして複写可能である。すなわち、画像形成システム1は、データベース230に登録する原稿データ232として、原稿元データだけでなく、入力データ310も利用可能である。
【0103】
<1−3−4. 第2異常処理>
次に、先ほど説明を省略したステップS41の第2異常処理について説明する。図12は、第2異常処理を示す流れ図である。先述のように、第2異常処理は、入力データ310から検索データ311を抽出することはできたものの、当該検索データ311に該当する原稿データ232がデータベース230に登録されていなかった場合に実行される処理である。
【0104】
第2異常処理が開始されると、特定部301が入力データ310を印刷データ312として特定するとともに(ステップS61)、検索データ311を当該印刷データ312を識別するための識別データ231とする(ステップS62)。
【0105】
次に、CPU30が当該印刷データ312をデータベース230に登録するか否かを判定し(ステップS63)、登録しない場合はステップS64をスキップする。
【0106】
ステップS63が実行される場合とは、図10に示すステップS33においてYesと判定されており、検索データ311が抽出されている。すなわち、印刷データ312には画像92(QRコードの画像)を表現したデータが含まれており、印刷データ312をデータベース230に原稿データ232として登録すると、当該原稿データ232は画像92を表現したデータが含まれてしまう。
【0107】
あるいは、QRコードを表現した画像92を予め確認したオペレータは、スキャナ部33に原稿9aの表紙90しか読み込ませていない場合もあり得る。このような場合には、印刷データ312は原稿9aの画像91の一部しか含んでいないため、原稿データ232として登録することは好ましくない。
【0108】
したがって、画像形成システム1は、状況に応じてオペレータがステップS63において、「登録しない」旨を選択すれば、ステップS64を実行しないように指示することが可能に構成されている。
【0109】
一方、登録する場合(ステップS63においてYes)、ステップS62において作成された識別データ231と、ステップS61において作成された印刷データ312とを通信部36が文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS64)。
【0110】
なお、このときCPU30が送信される印刷データ312に対して画像処理を行い、識別データ231(QRコード)を表現した画像92に相当する画素値を操作して、当該印刷データ312から画像92に相当する部分を削除してもよい。
【0111】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS64において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されている。したがって、文書管理サーバ2は、図6に示すステップS12,S13を実行せずに、添付されている識別データ231に関連付けて原稿データ232(印刷データ312)の登録を行う。
【0112】
次に、CPU30が当該印刷データ312を印刷するか否かを判定し(ステップS65)、印刷を行わない場合は第2異常処理を終了するとともに、図10に示す複写処理を終了して、図7に示す処理に戻る。この場合、原稿9aの複製は作成されない。
【0113】
一方、印刷を行う場合(ステップS65においてYes)、プリンタ部37は印刷データ312に基づいて印刷を行い(ステップS66)、複写処理を終了して、図7に示す処理に戻る。このときの印刷データ312には、画像92を表現したデータが含まれているので、印刷データ312を印刷するだけで、QRコードを表現した画像92が印刷される。すなわち、ステップS66の処理は、QRコード(画像92)が形成されている原稿9aを、スキャナ部33が読み取った入力データ310に基づいて複写(印刷)する処理に相当する。
【0114】
以上のように、本実施の形態における画像形成システム1は、識別データ231と原稿データ232とをデータベース230に関連付けて記憶する。そして、複写処理を実行するときには、複写元の原稿から画像で表現された検索データ311を、原稿の内容を表現する画像とともに読み取って、読み取った検索データ311と同一の識別データ231に関連付けられている原稿データ232に基づいて印刷を行うことにより複製を作成する。これにより、画像の複写劣化を抑制するとともに、原稿データ232を識別するための識別データ231を読み取る構成と、原稿を読み取る構成とを別途設ける必要がなく、装置コストを抑制できる。
【0115】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、原稿データ232を格納するデータベース230が文書管理サーバ2に記憶されており、画像形成装置3がネットワークを介してデータベース230にアクセスする形態であった。しかし、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0116】
すなわち、メモリ31が大容量のデータを記憶できる場合には、データベース230がメモリ31に記憶されていてもよい。すなわち、画像形成装置3が文書管理サーバ2としての機能を有していてもよい。
【0117】
このような場合として、例えば、画像形成装置3が、メモリ31の記憶容量を増設するためのメモリユニットを内蔵する形態や、専用ケーブルで記憶装置を外部接続する形態、あるいはカードスロット等にメモリカードを装着する形態等が想定される。
【0118】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0119】
例えば、識別データ231を表現した画像92を印刷する位置は、表紙90に限定されるものではなく、原稿9aのどこかに印刷されていればよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、原稿9aにおいて画像91の一部と画像92とが共に表紙90に印刷されている例で説明したが、画像91と画像92とは区別されたページに印刷されていてもよい。すなわち、画像92が専用のページに印刷されていてもよい。この場合、画像91と画像92との関連づけが低下する代わりに、画像92によって原稿データ232を特定できなかった場合に、オペレータは画像91だけを読み込ませることが可能となる。
【0121】
また、上記実施の形態では、識別データ231を表現した画像92として、QRコードを表現した画像の例で説明したが、これに限定されるわけではない。例えば、データ・マトリクス、PDF417、ベリコード、マキシコード等の2次元コードであってもよい。あるいは、情報量が少なくてもよい場合には1次元バーコードでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る画像形成システムを示す図である。
【図2】文書管理サーバの構成を示す図である。
【図3】文書管理サーバの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図4】画像形成装置の構成を示す図である。
【図5】画像形成装置の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図6】文書管理サーバの動作を示す流れ図である。
【図7】画像形成装置の動作を示す流れ図である。
【図8】原稿の内容を表現した画像が形成された複数の記録用紙で構成される一般的な原稿を例示する図である。
【図9】原稿を識別する画像部分である画像が形成された複数の記録用紙で構成される原稿を例示する図である。
【図10】画像形成装置における複写処理を示す流れ図である。
【図11】第1異常処理を示す流れ図である。
【図12】第2異常処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0123】
1 画像形成システム
2 文書管理サーバ
20,30 CPU
200 登録部
201 検索部
210 結果データ
23 ハードディスク
230 データベース
231 識別データ
232 原稿データ
24 操作部
25 表示部
26 通信部
3 画像形成装置
300 抽出部
301 特定部
31 メモリ
310 入力データ
311 検索データ
312 印刷データ
33 スキャナ部
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 プリンタ部
4 コンピュータ
8 ネットワーク
9,9a 原稿
90 表紙
91,92,93 画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿に基づいて画像を形成する技術に関する。すなわち、原稿を複写する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿を表現した原稿データを識別データと関連付けて記憶しておき、ある識別情報が入力されたときに、入力された識別情報に基づいて原稿データを特定する技術が提案されている。このような技術が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1では、原稿をスキャナ等で読み取った読取画像データ(原稿データ)と、当該原稿に存在する無線タグからICタグリーダライタによって読み取った識別情報とを関連付けて記憶する。そして、別途、操作部から入力された識別情報に基づいて、読取画像データを特定する。
【0004】
【特許文献1】特開平09−037004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、無線タグに識別情報を記憶させることによって、原稿に識別情報を貼付しているため、原稿を読み取る構成(スキャナ)と、識別情報を読み取る構成(ICタグリーダライタ)とを両方備える必要があり、装置コストが増大するという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、原稿データを後に特定する場合、オペレータが操作部を操作して、識別情報を入力しており、オペレータに負担がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、コストを抑制しつつ、かつ、オペレータの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する記憶手段と、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する形成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置であって、前記形成手段は、前記特定手段により特定された印刷データと、前記印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る画像形成装置であって、前記特定手段は、前記抽出手段により生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記入力データを印刷データとして特定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る画像形成装置であって、前記記憶手段は、前記特定手段により入力データが印刷データとして特定された場合において、前記印刷データに識別データを付与するとともに、前記印刷データを原稿データとして前記識別データに関連付けて記憶することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る画像形成装置であって、前記画像部分はQRコードを表現した画像を含み、前記抽出手段は、前記QRコードを表現した画像を解析することにより検索データを生成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する文書管理サーバと、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、前記文書管理サーバにネットワークを介して接続され、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶装置に記憶する工程と、原稿の少なくとも一部分の画像を入力データとして読み取る工程と、前記入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する工程と、前記検索データに基づいて前記記憶装置を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶装置に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する工程と、前記印刷データに基づいて画像を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし7に記載の発明では、原稿を表現した原稿データと原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶し、原稿の少なくとも一部分の画像を読み取ることにより生成された入力データに基づいて原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した画像部分に基づいて生成された検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データを印刷データとして特定し、特定された印刷データに基づいて画像を形成することにより、原稿を読み取ることによって生成された入力データではなく、記憶されている原稿データに基づいて画像を形成するので、複写による画像の劣化がない。また、原稿の全部を読み取る必要がないので、例えば、最初の1頁(表紙)を読み取るだけでよい。
【0016】
請求項2に記載の発明では、特定された印刷データと、印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することにより、予め印刷データに識別データが含まれていなくても、識別データを画像として形成することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが記憶手段に記憶されていない場合、入力データを印刷データとして特定することにより、読取手段を識別データを読み取るためと、原稿を読み取るためとに兼用することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、入力データが印刷データとして特定された場合において、印刷データに識別データを付与するとともに、印刷データを原稿データとして識別データに関連付けて記憶することにより、対応する原稿データが保存されていなかった場合でも、新たに原稿データとして保存することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る画像形成システム1を示す図である。画像形成システム1は、文書管理サーバ2、画像形成装置3およびコンピュータ4を備えており、これらがネットワーク8を介して互いに接続されている。
【0021】
なお、ネットワーク8としては、例えば、LANやインターネットが想定されるが、公衆電話回線網等であってもよいし、有線による通信を行うネットワークではなく、無線による通信を行うネットワークであってもよい。また、図1では、画像形成装置3およびコンピュータ4を2台ずつ図示しているが、いずれも2台に限定されるものではなく、これらの構成のうち、少なくとも1台の画像形成装置3を備えていればよい。
【0022】
図2は、文書管理サーバ2の構成を示す図である。
【0023】
文書管理サーバ2は、CPU20、CPU20の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAM21、主にプログラムを記憶する読み出し専用のROM22、比較的大容量のデータ(データベース230)を記憶するハードディスク23を備え、一般的なコンピュータとして機能する。また、文書管理サーバ2は、オペレータが指示を入力するために使用する操作部24、オペレータに各種データを表示する表示部25および文書管理サーバ2をネットワーク8に接続する通信部26を備える。
【0024】
CPU20は、例えばROM22に格納されているプログラムに従って動作しつつ適宜RAM21を参照することにより、各種データの演算を行うとともに、文書管理サーバ2が備える各構成を制御する。
【0025】
図3は、文書管理サーバ2の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図3に示す、登録部200および検索部201は、主にCPU20が先述のプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0026】
登録部200は、通信部26が受信した印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録する機能を有する。なお、詳細は後述するが、印刷データ312とは、画像形成装置3によって作成されるデータであって、画像形成装置3から文書管理サーバ2に送信されるデータである。
【0027】
登録部200は、印刷データ312を原稿データ232として登録する場合において、他の原稿データ232と当該新しい原稿データ232とを識別するための識別データ231を付与して、付与した識別データ231と当該原稿データ232とを関連付けて記憶させる。すなわち、登録部200は、データベース230を構築(更新)する機能を有する。
【0028】
また、登録部200は、印刷データ312を新たな原稿データ232として登録した場合、当該原稿データ232に付与した新たな識別データ231を通信部26に通知する。これにより、原稿データ232(印刷データ312)に割り当てられた識別データ231が、画像形成装置3に向けて送信される。
【0029】
検索部201は、通信部26が受信した検索データ311を検索キーとしてデータベース230(ハードディスク23)を検索し、検索結果に応じて、結果データ210を作成する。
【0030】
すなわち、検索データ311に一致する識別データ231がデータベース230に存在している場合、当該識別データ231と当該識別データ231に関連付けられている原稿データ232とをデータベース230から取得して、当該識別データ231と当該原稿データ232とを結果データ210に含める。一方、検索データ311に一致する識別データ231がデータベース230に存在していない場合、該当する原稿データ232が存在しない旨を示すデータを結果データ210に含める。なお、詳細は後述するが、検索データ311は画像形成装置3によって生成されるデータであって、画像形成装置3から文書管理サーバ2に送信される。
【0031】
ハードディスク23は、先述のように、データベース230を記憶するための記憶装置である。ハードディスク23はデータベース230を記憶することにより、原稿を表現した原稿データ232と、当該原稿を識別する識別データ231とを関連付けて記憶する。データベース230への新たなレコード(原稿データ232)の登録は、先述のように、登録部200によって行われる。
【0032】
図4は、画像形成装置3の構成を示す図である。
【0033】
画像形成装置3は、CPU30、各種データの読み書きが可能なメモリ31、主にプログラムを記憶する読み出し専用のROM32を備える。また、画像形成装置3は、原稿の少なくとも一部分を読み取るスキャナ部33、オペレータが指示を入力するために使用する操作部34、オペレータに各種データを表示する表示部35、画像形成装置3をネットワーク8に接続する通信部36、および、用紙に画像を形成するプリンタ部37を備える。
【0034】
なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態における画像形成装置3は、例えば、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能およびコピー機能等を有するMFP装置(複合機)として構成されている。
【0035】
CPU30は、例えばROM32に格納されているプログラムに従って動作しつつ適宜メモリ31を参照することにより、各種データの演算を行うとともに、画像形成装置3が備える各構成を制御する。言い換えれば、CPU30、メモリ31およびROM32は、画像形成装置3の制御装置を構成する。
【0036】
図5は、画像形成装置3の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す、抽出部300および特定部301は、主にCPU30が先述のプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0037】
抽出部300は、スキャナ部33によって作成された入力データ310に画像処理を施して、検索データ311を抽出し作成する。具体的には、入力データ310に表現されている画像から、QRコードを形成する画像部分を認識するとともに、当該画像部分を解析して、検索データ311を作成する。すなわち、抽出部300は、スキャナ部33によって生成された入力データ310に基づいて、原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した画像部分に基づいて検索データ311を生成する。
【0038】
また、抽出部300は、入力データ310に検索データ311が含まれておらず、検索データ311を作成できなかった場合、その旨を特定部301に伝達する。
【0039】
特定部301は、通信部36が受信した結果データ210に基づいて、印刷データ312を特定する。具体的には、結果データ210に原稿データ232が含まれている場合、特定部301は、当該原稿データ232を印刷データ312とする。このとき、原稿データ232とともに含まれている識別データ231をメモリ31に転送する。
【0040】
一方、結果データ210に原稿データ232が含まれていない場合、特定部301は、入力データ310を印刷データ312とする。また、この場合、特定部301は識別データ231を作成しない。
【0041】
図4に戻って、スキャナ部33は、図示しないCCDラインセンサにより原稿の表面に形成されている画像を読み取り、当該原稿を表現した入力データ310を生成する。スキャナ部33は、ADF(Automatic Document Feeder)方式又はFBS(Flat Bed Scanner)方式により原稿を読み取る。
【0042】
プリンタ部37は、電子写真方式により、画像データにかかる画像を記録紙等の記録媒体上に形成する。本実施の形態のプリンタ部37では、画像データとして、印刷データ312および識別データ231を用いることが可能とされている。
【0043】
なお、プリンタ部37は、識別データ231に基づいて、QRコードを表現した画像を形成する。すなわち、画像形成システム1によって作成される原稿には、識別データ231に基づいてQRコードが印刷される。
【0044】
また、図5では簡易的に図示しているが、プリンタ部37は、必要に応じてメモリ31を介して通信部36との間でデータのやり取りを行う。この機能および動作については、後述する。
【0045】
図1に戻って、コンピュータ4は、主に原稿の元となる原稿元データを生成する。オペレータは、コンピュータ4のアプリケーションソフトウェア(エディタやワープロソフトウェア等)を用いて、原稿元データを生成する。生成された原稿元データは、ネットワーク8を介して、画像形成装置3に送信されるが、詳細は後述する。
【0046】
以上が、本実施の形態における画像形成システム1の構成および機能の説明である。次に、画像形成システム1の動作について、文書管理サーバ2および画像形成装置3の動作を中心に説明する。
【0047】
<1−2. 文書管理サーバ2の動作>
図6は、文書管理サーバ2の動作を示す流れ図である。
【0048】
<1−2−1. 登録処理>
文書管理サーバ2の通信部26が画像形成装置3から印刷データ312を受信すると、文書管理サーバ2のCPU20は、ステップS10においてYesと判定する。
【0049】
次に、登録部200は、受信した印刷データ312に識別データ231が添付されているか否かを判定する(ステップS11)。
【0050】
印刷データ312とともに識別データ231を受信していない場合(ステップS11においてNo)、登録部200は、識別データ231を新たに付与し(ステップS12)、付与した識別データ231を画像形成装置3に送信する(ステップS13)。そして、受信した印刷データ312を原稿データ232として、ステップS12において付与した識別データ231と関連付けて、データベース230に登録する(ステップS14)。なお、識別データ231の送信先は、ステップS10において受信した印刷データ312の送信元の画像形成装置3である。
【0051】
一方、印刷データ312とともに識別データ231を受信した場合(ステップS11においてYes)、登録部200は、ステップS12,S13をスキップして、受信した識別データ231と関連付けて、受信した印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録する(ステップS14)。
【0052】
<1−2−2. 検索処理>
文書管理サーバ2の通信部26が画像形成装置3から検索データ311を受信すると、文書管理サーバ2のCPU20は、ステップS15においてYesと判定する。
【0053】
次に、検索部201が受信した検索データ311を検索キーとして、データベース230を検索し、格納されている複数の識別データ231に、検索データ311と一致する識別データ231が存在するか否かを判定する(ステップS16)。
【0054】
検索データ311と識別データ231とが一致した場合(ステップS16においてYes)、検索部201は、検索データ311と一致した識別データ231と、当該識別データ231に関連付けられている原稿データ232とを結果データ210とする(ステップS17)。
【0055】
一方、データベース230に格納されている全ての識別データ231についてステップS16を実行したにもかかわらず、検索データ311と一致する識別データ231が存在しない場合(ステップS16においてNo)、検索部201は、検索データ311を結果データ210とする(ステップS18)。
【0056】
ステップS17またはステップS18が実行されることにより、検索部201によって結果データ210が作成されると、通信部26が作成された結果データ210を画像形成装置3に送信する(ステップS19)。なお、結果データ210の送信先は、ステップS15において受信した検索データ311の送信元の画像形成装置3である。
【0057】
以上説明したように、文書管理サーバ2は印刷データ312を受信した場合には、ステップS11ないしS14の処理を行うことにより、当該印刷データ312を送信した画像形成装置3からの要求に基づいて、文書管理サーバ2(データベース230)への登録処理を行う。その一方で、文書管理サーバ2は検索データ311を受信すると、ステップS16ないしS19の処理を行うことによって、当該検索データ311を送信した画像形成装置3からの要求に基づいて、文書管理サーバ2(データベース230)の検索処理を行う。
【0058】
<1−3. 画像形成装置3の動作>
図7は、画像形成装置3の動作を示す流れ図である。また、図8は、原稿の内容を表現した画像91が形成された複数の記録用紙で構成される一般的な原稿9を例示する図である。さらに、図9は、原稿を識別する画像部分である画像92が形成された複数の記録用紙で構成される原稿9aを例示する図である。
【0059】
画像91は原稿9の全内容を表現した画像である。したがって、原稿9が複数ページから構成されている場合、画像91は複数ページにわたる画像となる。また、画像92は、識別データ231を表現した画像であり、本実施の形態では図9に示すように、QRコードを表現した画像となっている。以下の説明では、原稿9aにおける画像91と画像92とを合わせた画像(原稿9aの全内容を表現した画像)を、画像93と称する。
【0060】
<1−3−1. 印刷処理>
コンピュータ4から原稿元データを受信すると、画像形成装置3のCPU30は、ステップS20においてYesと判定し、通信部36は原稿元データをプリンタ部37に伝達する。これにより、プリンタ部37は、通信部36から伝達された原稿元データに基づいて印刷データ312を作成する(ステップS21)。
【0061】
原稿元データとは、コンピュータ4において作成されるデータであって、原稿の実質的な内容を表現したデータである。図8および図9に示す例では、原稿元データは、画像91を形成するためのデータである。すなわち、画像形成装置3がコンピュータ4から原稿元データを受信した場合とは、コンピュータ4から当該原稿元データを印刷するように要求された場合に相当する。
【0062】
原稿元データに基づいて印刷データ312が生成されると、CPU30は、当該印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録するか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22における判定は、適宜オペレータからの指示に基づいて行ってもよいし、予め設定データ等により選択されていてもよい。
【0063】
データベース230に登録しない場合(ステップS22においてNo)、プリンタ部37は、生成した印刷データ312に基づいて印刷を行う(ステップS23)。すなわち、印刷データ312に基づいて、記録用紙に画像91が形成され、図8に示すような一般的な原稿9が作成される。このように、画像形成システム1では、識別データ231を用いない、通常の印刷処理も可能である。したがって、オペレータの要求に応じて、柔軟に対応することができる。
【0064】
一方、データベース230に登録する場合(ステップS22においてYes)、プリンタ部37は、生成した印刷データ312を通信部36に伝達する。これにより、通信部36は、プリンタ部37から伝達された印刷データ312を文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS24)。そして、画像形成装置3は文書管理サーバ2から識別データ231を受信するまで待機する(ステップS25)。
【0065】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS24において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されていない。したがって、文書管理サーバ2では、図6に示すステップS12,S13が実行され、登録の際に当該印刷データ312(原稿データ232)に付与された識別データ231が画像形成装置3に送信される。
【0066】
文書管理サーバ2から識別データ231を受信すると、当該識別データ231がメモリ31に転送される(ステップS26)。そして、プリンタ部37がステップS21において作成した印刷データ312と、ステップS25で受信した識別データ231とに基づいて印刷を行う(ステップS27)。すなわち、印刷データ312に基づいて形成される画像91と、識別データ231に基づいて形成される画像92とが記録用紙に形成され、図9に示すような原稿9aが作成される。
【0067】
このように、画像形成システム1では、印刷データ312によって形成される画像91とともに、当該印刷データ312(原稿データ232)と関連付けて記憶される識別データ231を画像92として印刷する。これにより、原稿の内容(画像91)と原稿を識別する情報(画像92)との関連付けが、原稿9aにおいて実現される。
【0068】
<1−3−2. 複写処理>
オペレータによってスキャナ部33が操作されると、画像形成装置3のCPU30は、ステップS28においてYesと判定し、画像形成装置3は複写処理を行う(ステップS29)。
【0069】
図10は、画像形成装置3における複写処理を示す流れ図である。
【0070】
画像形成装置3において複写処理が開始されると、まず、スキャナ部33がオペレータによってセットされた原稿を読み取って、入力データ310を生成する(ステップS31)。
【0071】
入力データ310が作成されると、抽出部300が入力データ310に対して画像処理を行い、検索データ311を抽出する(ステップS32)。
【0072】
本実施の形態における抽出部300は、QRコードを読み取る機能を有しており、入力データ310によって表現される画像からQRコードを表現している画像の部分を認識して抽出し、当該QRコードの画像92から検索データ311を生成する。すなわち、入力データ310は画素ごとのデータであるが、検索データ311はテキストデータである。
【0073】
次に、検索データ311を抽出できたか否かを判定し(ステップS33)、検索データ311を抽出できなかった場合、画像形成装置3は第1異常処理を実行する(ステップS40)。
【0074】
例えば、図8に示す原稿9が読み取られて入力データ310が生成された場合を考える。この場合、入力データ310は画像91を表現するデータであり、画像91には画像92が含まれていない。したがって、入力データ310から検索データ311を抽出することができず、ステップS40が実行される。なお、ステップS40の第1異常処理については後述する。
【0075】
一方、抽出部300が検索データ311を抽出できた場合(ステップS33においてYes)、通信部36は、作成された検索データ311を文書管理サーバ2に送信する(ステップS34)。
【0076】
先述のように、画像形成装置3が検索データ311を文書管理サーバ2に送信することは、当該画像形成装置3が文書管理サーバ2に検索要求することに相当する。すなわち、図9に示す原稿9aのようにQRコードが画像92として形成されていれば、入力データ310は画像93を表現するデータとなる。画像93は画像92を含むので、画像形成装置3は入力データ310から検索データ311を得ることができる。そして、この場合、画像形成装置3は当該検索データ311によってデータベース230を検索するのである。
【0077】
次に、画像形成装置3は、文書管理サーバ2から、検索結果を示す結果データ210を受信するまで待機する(ステップS35)。そして、通信部26が結果データ210を受信すると、受信した結果データ210に原稿データ232が含まれているか否かを特定部301が判定する(ステップS36)。
【0078】
文書管理サーバ2に対して検索を要求しても、文書管理サーバ2において、図6に示すステップS18が実行された場合、先述のように、画像形成装置3に送信される結果データ210には原稿データ232が含まれない。このような場合とは、例えば、既に該当する原稿データ232がデータベース230から削除されている場合や、他のシステムにおいて付与されたQRコードの画像が読み取られた場合、あるいは、原稿の記事としてQRコードが含まれていた場合等が想定される。
【0079】
受信した結果データ210に原稿データ232が含まれていない場合(ステップS36においてNo)、画像形成装置3は第2異常処理を実行する(ステップS41)。なお、ステップS41の第2異常処理については後述する。
【0080】
一方、受信した結果データ210に原稿データ232が含まれている場合(ステップS36においてYes)、特定部301は、当該結果データ210に含まれている原稿データ232を印刷データ312として特定する(ステップS37)。さらに、特定部301は、当該結果データ210に含まれている識別データ231をメモリ31に転送することにより、識別データ231を作成する(ステップS38)。
【0081】
特定部301によって印刷データ312と識別データ231とが作成されると、プリンタ部37は、これら印刷データ312と識別データ231とに基づいて印刷(画像の形成)を行う(ステップS39)。
【0082】
ステップS39における印刷に用いられる印刷データ312は、データベース230から取得された原稿データ232である。すなわち、ステップS39が実行されることにより複製される原稿9aの画像91は、複製元の原稿9aを読み取って生成された入力データ310ではなく、以前に(図7に示すステップS27)、複製元の原稿9aを作成するときに使用した原稿データ232に基づいて形成される。
【0083】
入力データ310はスキャナ部33によって光学的に読み取られたデータであるため、入力データ310に基づいて画像を形成すると、一般に、画像の劣化(複写劣化)が生じる。これに対して、原稿データ232は、データベース230に保存されているデータであり劣化することがない。
【0084】
このように、原稿9aの少なくとも一部分に識別データ231としてのQRコードを表現した画像92を印刷しておくとともに、当該識別データ231と関連付けて原稿データ232をデータベース230に記憶しておくことにより、当該原稿を複写しようとする場合において、原稿データ232に基づいて画像を形成することができる。したがって、複製を複製元と同一のデータで作成することにより、画像形成システム1は、複写処理における画像の劣化を抑制することができる。
【0085】
また、オペレータにとっては、所望の原稿9aを複製元としてスキャナ部33に読み取らせるという操作を行うだけで、プリンタ部37による画像93の形成が行われ、当該原稿の複製が作成される。すなわち、複製を作成する際のオペレータの操作が従来と同様なので、オペレータは新たな操作を覚える必要がなく、オペレータの負担が増大することはない。
【0086】
また、スキャナ部33が、原稿の内容を読み取るための構成と、識別データ231を読み取るための構成とに兼用されるので、装置コストが抑制される。
【0087】
さらに、データベース230に登録されている原稿データ232を特定するためには、QRコードを表現した画像92を読み取らせれば充分であり、原稿9aを表現する全ての画像93を読み取らせる必要はない。すなわち、オペレータは、画像92が印刷されている部分(図9に示す例では表紙90)のみをスキャナ部33に読み取らせればよいので、複数のページがステープラやクリップ、綴り紐等でまとめられている場合であっても、これらを外して読み取らせる必要がない。したがって、オペレータの手間が軽減される。
【0088】
<1−3−3. 第1異常処理>
次に、先ほど説明を省略したステップS40の第1異常処理について説明する。図11は、第1異常処理を示す流れ図である。先述のように、第1異常処理は、入力データ310から検索データ311を抽出することができなかった場合に実行される処理である。
【0089】
第1異常処理が開始されると、抽出部300は、検索データ311を抽出できなかったことを示す信号を特定部301に伝達する(ステップS51)。このように、検索データ311を特定できなかった場合、データベース230から原稿データ232を取得することは不可能なので、特定部301は、原稿9を読み取った入力データ310を印刷データ312として特定する(ステップS52)。
【0090】
次に、画像形成装置3のCPU30は、当該印刷データ312を原稿データ232としてデータベース230に登録するか否かを判定する(ステップS53)。
【0091】
ステップS53が実行される場合には、複製元の原稿にQRコードを表現した画像92が印刷されているにもかかわらず、抽出部300が検索データ311の抽出に失敗した場合も含まれる。すなわち、原稿9aを読み込ませた場合もステップS53が実行される可能性がある。
【0092】
このような場合において、オペレータはデータベース230に再度登録することを望まないこともあり得る。また、複製元の原稿9aにQRコードが印刷されていることを予め確認していたオペレータは、当該原稿9aの表紙90のみを読み込ませている可能性がある。このような場合、印刷データ312には表紙90を構成する画像を表現したデータしか含まれていないため、当該印刷データ312を原稿データ232として登録することは好ましくない。
【0093】
データベース230への登録を行わない場合(ステップS53においてNo)、CPU30は、印刷データ312として特定された入力データ310を印刷するか否かをさらに判定する(ステップS54)。
【0094】
先述のように、印刷データ312が、原稿9aの表紙90を構成する画像のみを表現したデータとなっている場合(原稿9aの一部のみを表現したデータとなっている場合)等において、オペレータは、一旦、複写処理を中止して、全てのページをスキャナ部33に読み込ませてから、印刷することを望む場合が想定される。なお、このようなやり直しを行う場合、オペレータは読み取れない状態となっているQRコード(画像92)を修正液等で原稿9aから削除することが好ましい。
【0095】
オペレータが印刷を望まない場合(ステップS54においてNo)、画像形成装置3は、画像の形成を行うことなく、図11に示す第1異常処理を終了するとともに、図10に示す複写処理を終了する。この場合は、新たな登録は行われず、かつ、複製も作成されない。
【0096】
印刷を望む場合(ステップS54においてYes)、プリンタ部37は、入力データ310に基づいて生成された印刷データ312に基づいて印刷を行う(ステップS55)。
【0097】
ステップS55が実行される場合とは、QRコードが抽出されず(ステップS33においてNo)、データベース230への登録を行わず(ステップS53においてNo)、かつ、スキャナ部33によって生成された入力データ310を印刷データ312として印刷する場合である。したがって、ステップS55における処理は、広く一般的に実施されている複写処理に相当する処理である。
【0098】
ステップS53に戻って、ステップS53が実行される場合とは、複製元の原稿にQRコードを表現した画像92が印刷されていない場合も当然あり得る。図8に示す原稿9は、QRコードが印刷されておらず、原稿データ232がデータベース230に登録されていないと考えられる。また、QRコードが印刷されていない原稿9について、オペレータが表紙90のみを読み取らせることは考えにくいため、この場合の入力データ310は画像91を表現したデータとなっていると思われる。したがって、このような場合、オペレータが画像91を表現したデータ(すなわち入力データ310)を、次回以降のために、データベース230に登録しておきたいと所望することはあり得る。
【0099】
そこで、印刷データ312を登録する場合(ステップS53においてYes)、ステップS52において特定された印刷データ312を、プリンタ部37が通信部36に伝達する。これにより、通信部36は、プリンタ部37から伝達された印刷データ312を文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS56)。そして、画像形成装置3は文書管理サーバ2から識別データ231を受信するまで待機する(ステップS57)。
【0100】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS56において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されていない。したがって、文書管理サーバ2では、図6に示すステップS12,S13が実行され、登録の際に当該印刷データ312(原稿データ232)に付与された識別データ231が画像形成装置3に送信される。
【0101】
文書管理サーバ2から識別データ231を受信すると、当該識別データ231がプリンタ部37に転送され、ステップS52において特定された印刷データ312と、ステップS57で受信した識別データ231とに基づいてプリンタ部37が印刷を行う(ステップS58)。すなわち、印刷データ312に基づいて形成される画像91と、識別データ231に基づいて形成される画像92とが記録用紙に形成され、図9に示すような原稿9aが作成される。
【0102】
このように、画像形成システム1では、例えば原稿9のように、QRコードを表現した画像92が形成されていない原稿についても、新たにデータベース230に登録可能であるとともに、画像92を付加した原稿9aとして複写可能である。すなわち、画像形成システム1は、データベース230に登録する原稿データ232として、原稿元データだけでなく、入力データ310も利用可能である。
【0103】
<1−3−4. 第2異常処理>
次に、先ほど説明を省略したステップS41の第2異常処理について説明する。図12は、第2異常処理を示す流れ図である。先述のように、第2異常処理は、入力データ310から検索データ311を抽出することはできたものの、当該検索データ311に該当する原稿データ232がデータベース230に登録されていなかった場合に実行される処理である。
【0104】
第2異常処理が開始されると、特定部301が入力データ310を印刷データ312として特定するとともに(ステップS61)、検索データ311を当該印刷データ312を識別するための識別データ231とする(ステップS62)。
【0105】
次に、CPU30が当該印刷データ312をデータベース230に登録するか否かを判定し(ステップS63)、登録しない場合はステップS64をスキップする。
【0106】
ステップS63が実行される場合とは、図10に示すステップS33においてYesと判定されており、検索データ311が抽出されている。すなわち、印刷データ312には画像92(QRコードの画像)を表現したデータが含まれており、印刷データ312をデータベース230に原稿データ232として登録すると、当該原稿データ232は画像92を表現したデータが含まれてしまう。
【0107】
あるいは、QRコードを表現した画像92を予め確認したオペレータは、スキャナ部33に原稿9aの表紙90しか読み込ませていない場合もあり得る。このような場合には、印刷データ312は原稿9aの画像91の一部しか含んでいないため、原稿データ232として登録することは好ましくない。
【0108】
したがって、画像形成システム1は、状況に応じてオペレータがステップS63において、「登録しない」旨を選択すれば、ステップS64を実行しないように指示することが可能に構成されている。
【0109】
一方、登録する場合(ステップS63においてYes)、ステップS62において作成された識別データ231と、ステップS61において作成された印刷データ312とを通信部36が文書管理サーバ2に向けて送信する(ステップS64)。
【0110】
なお、このときCPU30が送信される印刷データ312に対して画像処理を行い、識別データ231(QRコード)を表現した画像92に相当する画素値を操作して、当該印刷データ312から画像92に相当する部分を削除してもよい。
【0111】
画像形成装置3から文書管理サーバ2に印刷データ312が送信されると、先述のように、登録部200によって、当該印刷データ312が原稿データ232として、データベース230に登録される(図6に示すステップS14)。なお、ステップS64において送信される印刷データ312には識別データ231が添付されている。したがって、文書管理サーバ2は、図6に示すステップS12,S13を実行せずに、添付されている識別データ231に関連付けて原稿データ232(印刷データ312)の登録を行う。
【0112】
次に、CPU30が当該印刷データ312を印刷するか否かを判定し(ステップS65)、印刷を行わない場合は第2異常処理を終了するとともに、図10に示す複写処理を終了して、図7に示す処理に戻る。この場合、原稿9aの複製は作成されない。
【0113】
一方、印刷を行う場合(ステップS65においてYes)、プリンタ部37は印刷データ312に基づいて印刷を行い(ステップS66)、複写処理を終了して、図7に示す処理に戻る。このときの印刷データ312には、画像92を表現したデータが含まれているので、印刷データ312を印刷するだけで、QRコードを表現した画像92が印刷される。すなわち、ステップS66の処理は、QRコード(画像92)が形成されている原稿9aを、スキャナ部33が読み取った入力データ310に基づいて複写(印刷)する処理に相当する。
【0114】
以上のように、本実施の形態における画像形成システム1は、識別データ231と原稿データ232とをデータベース230に関連付けて記憶する。そして、複写処理を実行するときには、複写元の原稿から画像で表現された検索データ311を、原稿の内容を表現する画像とともに読み取って、読み取った検索データ311と同一の識別データ231に関連付けられている原稿データ232に基づいて印刷を行うことにより複製を作成する。これにより、画像の複写劣化を抑制するとともに、原稿データ232を識別するための識別データ231を読み取る構成と、原稿を読み取る構成とを別途設ける必要がなく、装置コストを抑制できる。
【0115】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、原稿データ232を格納するデータベース230が文書管理サーバ2に記憶されており、画像形成装置3がネットワークを介してデータベース230にアクセスする形態であった。しかし、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0116】
すなわち、メモリ31が大容量のデータを記憶できる場合には、データベース230がメモリ31に記憶されていてもよい。すなわち、画像形成装置3が文書管理サーバ2としての機能を有していてもよい。
【0117】
このような場合として、例えば、画像形成装置3が、メモリ31の記憶容量を増設するためのメモリユニットを内蔵する形態や、専用ケーブルで記憶装置を外部接続する形態、あるいはカードスロット等にメモリカードを装着する形態等が想定される。
【0118】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0119】
例えば、識別データ231を表現した画像92を印刷する位置は、表紙90に限定されるものではなく、原稿9aのどこかに印刷されていればよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、原稿9aにおいて画像91の一部と画像92とが共に表紙90に印刷されている例で説明したが、画像91と画像92とは区別されたページに印刷されていてもよい。すなわち、画像92が専用のページに印刷されていてもよい。この場合、画像91と画像92との関連づけが低下する代わりに、画像92によって原稿データ232を特定できなかった場合に、オペレータは画像91だけを読み込ませることが可能となる。
【0121】
また、上記実施の形態では、識別データ231を表現した画像92として、QRコードを表現した画像の例で説明したが、これに限定されるわけではない。例えば、データ・マトリクス、PDF417、ベリコード、マキシコード等の2次元コードであってもよい。あるいは、情報量が少なくてもよい場合には1次元バーコードでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る画像形成システムを示す図である。
【図2】文書管理サーバの構成を示す図である。
【図3】文書管理サーバの機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図4】画像形成装置の構成を示す図である。
【図5】画像形成装置の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図6】文書管理サーバの動作を示す流れ図である。
【図7】画像形成装置の動作を示す流れ図である。
【図8】原稿の内容を表現した画像が形成された複数の記録用紙で構成される一般的な原稿を例示する図である。
【図9】原稿を識別する画像部分である画像が形成された複数の記録用紙で構成される原稿を例示する図である。
【図10】画像形成装置における複写処理を示す流れ図である。
【図11】第1異常処理を示す流れ図である。
【図12】第2異常処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0123】
1 画像形成システム
2 文書管理サーバ
20,30 CPU
200 登録部
201 検索部
210 結果データ
23 ハードディスク
230 データベース
231 識別データ
232 原稿データ
24 操作部
25 表示部
26 通信部
3 画像形成装置
300 抽出部
301 特定部
31 メモリ
310 入力データ
311 検索データ
312 印刷データ
33 スキャナ部
34 操作部
35 表示部
36 通信部
37 プリンタ部
4 コンピュータ
8 ネットワーク
9,9a 原稿
90 表紙
91,92,93 画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する記憶手段と、
原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、
前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記形成手段は、前記特定手段により特定された印刷データと、前記印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
前記特定手段は、前記抽出手段により生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記入力データを印刷データとして特定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記記憶手段は、前記特定手段により入力データが印刷データとして特定された場合において、前記印刷データに識別データを付与するとともに、前記印刷データを原稿データとして前記識別データに関連付けて記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記画像部分はQRコードを表現した画像を含み、
前記抽出手段は、前記QRコードを表現した画像を解析することにより検索データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する文書管理サーバと、
原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、
前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、
前記文書管理サーバにネットワークを介して接続され、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶装置に記憶する工程と、
原稿の少なくとも一部分の画像を入力データとして読み取る工程と、
前記入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する工程と、
前記検索データに基づいて前記記憶装置を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶装置に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する工程と、
前記印刷データに基づいて画像を形成する工程と、
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する記憶手段と、
原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、
前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記形成手段は、前記特定手段により特定された印刷データと、前記印刷データとして特定された原稿データに関連付けられている識別データとに基づいて画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置であって、
前記特定手段は、前記抽出手段により生成された検索データと一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記入力データを印刷データとして特定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記記憶手段は、前記特定手段により入力データが印刷データとして特定された場合において、前記印刷データに識別データを付与するとともに、前記印刷データを原稿データとして前記識別データに関連付けて記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記画像部分はQRコードを表現した画像を含み、
前記抽出手段は、前記QRコードを表現した画像を解析することにより検索データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶する文書管理サーバと、
原稿の少なくとも一部分の画像を読み取って入力データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する抽出手段と、
前記抽出手段により生成された検索データに基づいて前記記憶手段を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶手段に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する特定手段と、
前記文書管理サーバにネットワークを介して接続され、前記特定手段により特定された印刷データに基づいて画像を形成する画像形成装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
原稿を表現した原稿データと前記原稿を識別する識別データとを関連付けて記憶装置に記憶する工程と、
原稿の少なくとも一部分の画像を入力データとして読み取る工程と、
前記入力データに基づいて前記原稿を識別する画像部分を抽出し、抽出した前記画像部分に基づいて検索データを生成する工程と、
前記検索データに基づいて前記記憶装置を検索し、前記検索データに一致する識別データに関連付けられている原稿データが前記記憶装置に記憶されていた場合には、前記原稿データを印刷データとして特定する工程と、
前記印刷データに基づいて画像を形成する工程と、
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−263469(P2008−263469A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105481(P2007−105481)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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