説明

画像形成装置、画像形成システム及び文書一覧情報提供方法

【課題】 省電力動作を続ける画像形成装置が蓄積する文書の一覧情報を外部機器側で確認する際、画像形成装置側の電力消費が生じることなく行えるようにする。
【解決手段】 複合機100が省電力モードへ移行する時に、複合機100内で管理する蓄積文書一覧情報を外部機器200へ同報配信する(S302)。蓄積文書一覧情報を受信する外部機器側では、受信した蓄積文書一覧情報を保管し(S312)、保管した蓄積文書一覧情報をもとに、外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求に対応する。省電力モードの間、上記の対応をするが、通常モードで行われる蓄積文書確認要求には、複合機100が対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器からネットワーク経由で受け取るプリント出力等を要求するジョブを処理し、該ジョブがないアイドル時に省電力消費モード(以下「省電力モード」という)の動作を行う画像形成装置(複写機、プリンタ、MFP:複合機等)に関し、より詳しくは、画像形成装置に再出力用に蓄積された文書の一覧データを省電力モード時に外部機器で利用できるようにした画像形成装置、画像形成システム及び文書一覧情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、或いはコピー、プリンタ、ファクシミリ(FAX)等の機能を複合させて持ついわゆるデジタル複合機等の画像形成装置では、近年、ネットワーク化や省電力消費化の要求が高まっている。
ネットワーク化は、LAN(Local Area Network)等のネットワークでPC(Personal Computer)、同種の画像形成装置等の外部機器と接続し、PCの場合、ホストとしてのPCが要求するジョブを処理し、同種の画像形成装置の場合、相互に要求するジョブを処理するという形態でシステムを構成することにより実現する。
【0003】
また、省電力消費化は、供給電源の無駄な消費をなくすために、電源の停止制御を中心にする機能を装備することにより実現する。
具体的には、ジョブのないときに、一部必要な電源を除き、電子写真方式におけるトナー画像の定着に用いるヒータ等の画像形成に消費される部分に供給される電源を停止する省電力モードの動作を行うことがこれまでの在り様である。
省電力モードの動作は、機器のステータスからジョブがなく、動作モードを移行しても不都合のないタイミングであること等を条件として、この条件を満たすことを確認した結果に従って、通常モードから省電力モードへの移行を実行し、その後、操作部へのユーザーの入力、ネットワークからのジョブの処理要求等の復帰要因の発生等の条件を満たすことを確認して、省電力モードから通常モードへ復帰させる。
【0004】
ところで、上記ネットワーク化と省電力消費化を実施する際、これまでネットワークからのジョブの処理要求等を復帰要因として行う復帰動作において、普通に採用される方法は、要求がどのような種類の処理であるかを条件としていない。よって、ネットワーク経由でPC等から複合機が再出力用に管理下のHDD(Hard Disk Drive)に蓄積しておいた蓄積文書の内容を確認するために、文書の一覧情報(書誌情報)を閲覧することを要求する場合にも、通常モードへの復帰が行われ、機器の電力を消費することなしには蓄積文書の確認ができなかった。
【0005】
この問題に対し、省電力モードにおいても複合機の蓄積文書をPCからネットワークを介して確認を可能にする目的で、複合機のメインシステムとは独立に動作し得る、ネットワークI/F及び記憶装置よりなるサブシステムを持つ複合機が提案されている(特許文献1、参照)。この複合機は、省電力モードではメインシステムの電源を切断する一方、サブシステムに電源を供給し、サブシステムの記憶装置に蓄積した文書のカタログ情報(蓄積文書のサムネイルおよび書誌情報)を、PCの要求に応じて送信する動作を行うものである。つまり、蓄積文書のカタログ情報を取得するPCの要求に対して、メインシステムを待機モードに移行させず、省電力モードのまま、要求に応じた動作を行えるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、サブシステムにカタログ情報を記憶する記憶装置を装備する必要があることから、サブシステムの回路規模が大きくなってしまう。また、PCが蓄積文書の書誌情報等の送信要求を行った時点における複合機側の機器状態や通信状態の影響を受けることが避けられず、状況によっては、正常に動作せず、復旧するまでに時間が掛かるという問題が生じる可能性がある。
本発明は、プリント出力等の処理を要求するジョブがないアイドル時に省電力モードの動作を行う画像形成装置における上記従来技術の問題を解決すべくなされたもので、その目的は、省電力動作を続ける画像形成装置がその時点で蓄積する文書の一覧情報を外部機器側で確認する際、画像形成装置側の電力消費が生じることなく行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像出力処理の要求を含め、ジョブの処理要求を受付ける入力インターフェースと、ジョブに指示される条件に従って画像出力処理を行う画像処理手段と、画像出力に用いた画像を再出力用に蓄積する画像蓄積手段と、処理対象のジョブがないアイドル時に前記画像処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行し、省電力モードの間、電源供給が持続されている前記入力インターフェースを介して処理対象のジョブを受付けたときに通常モードに復帰するように、電力を使用する動作部への供給電源を制御する供給電源制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記入力インターフェースとして機能するとともに、外部機器とネットワークを介してジョブ及び情報を交換するためのネットワークインターフェースと、前記ネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像蓄積手段によって蓄積された画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を送信する蓄積画像情報送信手段を備え、省電力モード移行時に、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、蓄積画像一覧情報を外部機器へ送信することを特徴とする。
本発明は、画像出力処理の要求を含め、ジョブの処理要求を受付ける入力インターフェースと、ジョブに指示される条件に従って画像出力処理を行う画像処理手段と、画像出力に用いた画像を再出力用に蓄積する画像蓄積手段と、処理対象のジョブがないアイドル時に前記画像処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行し、省電力モードの間、電源供給が持続されている前記入力インターフェースを介して処理対象のジョブを受付けたときに通常モードに復帰するように、電力を使用する動作部への供給電源を制御する供給電源制御手段と、を有する画像形成装置であって、前記入力インターフェースとして機能するとともに、外部機器とネットワークを介してジョブ及び情報を交換するためのネットワークインターフェースと、前記ネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像蓄積手段によって蓄積された画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を送信する蓄積画像情報送信手段を備え、通常モードの間、外部機器からの要求に応えて、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該外部機器へ蓄積画像一覧情報を送信する一方、省電力モードの間、外部機器からの要求に応えて行う蓄積画像一覧情報を送信する応答動作を画像形成装置に代わって行う代理応答機として特定の外部機器を選定し、省電力モード移行時に、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信することを特徴とする。
本発明は、画像出力処理を求めるジョブがないアイドル時に、通常モードから画像出力処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行する画像形成装置からネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像形成装置に蓄積された再出力用の画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を提供する文書一覧情報提供方法であって、省電力モード移行時に、前記画像形成装置からネットワークインターフェースを介して蓄積画像一覧情報を前記外部機器へ送信する工程と、前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報を前記外部機器で受信する工程と、前記外部機器で受信した蓄積画像一覧情報を保管する工程と、前記画像形成装置が省電力モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対し、前記保管工程において保管された蓄積画像一覧情報を用いて表示を行う工程とを有することを特徴とする。
本発明は、画像出力処理を求めるジョブがないアイドル時に、通常モードから画像出力処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行する画像形成装置からネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像形成装置に蓄積された再出力用の画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を提供する文書一覧情報提供方法であって、通常モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対し、当該画像形成装置からネットワークインターフェースを介して蓄積画像一覧情報を当該外部機器へ送信する工程と、省電力モード移行時に、前記画像形成装置から当該画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対する応答動作を当該画像形成装置に代わって行う代理応答機として選定される特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信する工程と、前記代理応答機として働く特定の外部機器で前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報と代理応答に必要な情報を受信する工程と、前記代理応答機として働く特定の外部機器で受信した蓄積画像一覧情報と代理応答に必要な情報を保管する工程と、前記画像形成装置が省電力モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に応えて、前記代理応答機として働く外部機器が、表示要求を行った外部機器へ前記保管工程で保管された蓄積画像一覧情報を送信する工程と、画像一覧情報の表示要求を行った外部機器において、前記代理応答機として働く外部機器から前記送信工程を経て受信した蓄積画像一覧情報を用いて表示を行う工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、省電力動作を続ける画像形成装置がその時点で蓄積する文書(画像)の一覧情報を外部ホスト機側で確認する際、従来技術による場合に生じた画像形成装置側の電力消費が生じることがないので、画像形成装置における省電力効果を高めることができ、また、画像形成装置側において省電力モードで働くネットワークインターフェースの機能を増やすことやその回路規模を大きくすることなく、当該一覧情報の確認機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システム(実施形態1)の構成を示す図である。
【図2】本発明の画像形成システム(実施形態1)に係る画像形成装置(複合機)の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置における通常モードと省電力モードの遷移を説明する概念図である。
【図4】本発明の画像形成システム(実施形態1)の要素として画像形成装置とLANで接続される外部機器の概略構成を示す図である。
【図5】蓄積文書確認要求の発生により起動する画像形成装置の処理フローを示す図である。
【図6】画像出力処理要求の発生により起動する画像形成装置の処理フローを示す図である。
【図7】蓄積文書と蓄積文書一覧データの関係を説明する図である。
【図8】画像形成装置の省電力モード移行時における画像形成システム(実施形態1)の蓄積文書一覧データの配信処理フローを示す図である。
【図9】画像形成システム(実施形態1)の外部機器における蓄積文書確認要求の発生により起動する処理フローを示す図である。
【図10】外部機器における蓄積文書一覧データの管理形態の1例を示す図である。
【図11】画像形成装置の通常モード復帰時における画像形成システム(実施形態1)の画像形成装置及び外部機器の復帰処理フローを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成システム(実施形態2)の構成を示す図である。
【図13】画像形成装置の省電力モード移行時、画像形成システム(実施形態2)の外部機器に代理応答機能に必要なデータを付加するために行う処理フローを示す図である。
【図14】画像形成装置の通常モード復帰時、画像形成システム(実施形態2)の外部機器に付加した代理応答機能に必要なデータを消去するために行う処理フローを示す図である。
【図15】本発明の画像形成システム(実施形態2)の外部機器における蓄積文書確認要求の発生により起動する処理フローを示す図である。
【図16】本発明の画像形成システム(実施形態2)の画像形成装置における代理応答機の選定処理の実行時に起動する処理フローを示す図である。
【図17】本発明の画像形成システム(実施形態3)に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図18】本発明の画像形成システム(実施形態3)の要素として画像形成装置とLANで接続される外部機器の概略構成を示す図である。
【図19】画像形成装置の省電力モード移行時における画像形成システム(実施形態3)の画像形成装置及び外部機器の処理フローを示す図である。
【図20】画像形成装置の通常モード復帰時における画像形成システム(実施形態3)の画像形成装置及び外部機器の処理フローを示す図である。
【図21】本発明の画像形成システム(実施形態3)の外部機器における蓄積文書確認要求の発生により起動する処理フローを示す図である。
【図22】本発明の実施形態に係る画像形成システム(実施形態4)の構成を示す図である。
【図23】画像形成装置の通常モード復帰時における画像形成システム(実施形態4)の画像形成装置及び外部機器の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置、画像形成システムの実施形態について、説明する。
本発明に係る画像形成装置として、以下の実施形態では、複合機を例にする。例示する複合機は、コピー、プリンタ、ファクシミリ(FAX)、スキャナ、等の機能を複合させて持ち、この種の画像形成装置が通常採用する、ページ単位で画像に変換できる文書ファイルの形式で画像を管理する。文書ファイルは、処理要求時に各機能の画像出力に用いた後、蓄積され、再処理に利用可能な形で管理される。なお、複合機の構成については、後記で図2等を参照してさらに説明する。
また、本実施形態の複合機は、処理対象のジョブがないアイドル時に、常時電源が必要な一部(例えば、ユーザーがジョブを入力する操作部、ネットワークI/F等)を除き、画像出力処理に消費される部分への電源供給を停止する省電力動作を行う。なお、この省電力動作については、後記で図3を参照してさらに説明する。
【0011】
また、本実施形態の複合機は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して外部機器に接続される。接続される外部機器は、PC、携帯端末であれば、画像形成装置に対してホストとして、また、同種の画像形成装置、即ち画像形成装置同士の接続であれば、相互にホスト・クライアントとして画像出力処理を求めるジョブを処理するネットワークシステム(以下、「画像形成システム」という)を構成する。なお、画像形成システムの構成については、後記で図1等を参照してさらに説明する。
【0012】
上記画像形成システムにおいて、画像形成装置が蓄積する画像(文書ファイル)を用いて再出力等をしようとする場合、まず蓄積文書ファイルのなかに求める画像(文書ファイル)があることを確認する。このため、蓄積文書ファイルを一覧できる情報(以下、「蓄積画像一覧情報」もしくは「蓄積文書一覧情報」という)をユーザーI/Fにより表示し、ユーザーの閲覧に供する。
こうした蓄積文書一覧情報の表示を行う蓄積文書確認要求が発生した場合、その時点に蓄積されている文書の当該情報をユーザーに直ぐ提供することが望ましい。
画像形成装置が通常モードで動作している場合、画像形成装置は蓄積文書ファイルの管理をしているので、蓄積文書確認要求に応じて、直ぐ蓄積文書一覧情報を自機の操作画面に表示することができ、また、この要求が外部機器からの場合、ネットワークI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求に対応して、当該情報のデータを送信できる。
【0013】
ただ、画像形成装置が省電力モードで動作している場合、上記の通常モードにおけるような動作で応答するためには、省電力モードから通常モードへの復帰が必要となり、従来においては、上記の通常モードに復帰させる方法で対応していた。
しかし、この従来法は、通常モードに復帰させて行うために、蓄積文書の確認だけでユーザーの使用が終了する場合には、不要な電源供給(例えば、定着ヒータの点灯)が行われ、省電力が損なわれる。また、この点を改善するために提案された、常時電源が供給されるサブシステムの記憶装置に蓄積した文書のカタログ情報(蓄積文書のサムネイルおよび書誌情報)により応答する方法によっても、上記[発明が解決しようとする課題]で述べたように問題が残る。
【0014】
そこで、本実施形態は、画像形成装置が省電力モードの動作を続ける間、当該画像形成装置は、外部機器からの蓄積文書確認要求に応答しなくても不都合が生じないで済ませる手法により対処することにより問題の解決を図る。
この手法は、次に示す「手法1」〜「手法3」による。
「手法1」:省電力モード移行時に、画像形成装置で管理する蓄積文書一覧情報を外部機器へ送信し、外部機器側では、当該画像形成装置が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報をもとに当該画像形成装置の蓄積文書確認要求に対応する。
「手法2」:省電力モードの間、外部機器からの要求に応えて行う蓄積文書一覧情報を送信する応答動作を画像形成装置に代わって行う代理応答機として特定の外部機器を選定し、省電力モード移行時に、代理応答機として働く特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信し、代理応答機として働く特定の外部機器側では、当該画像形成装置が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報及び代理応答に必要な情報をもとに当該画像形成装置の蓄積文書確認要求に対応する。
「手法3」:「手法2」において代理応答機として働く特定の外部機器が省電力モード移行時に、当該代理応答機に代わって働く復代理応答機を選定し、復代理応答機として働く特定の外部機器は、代理応答機と同様に当該画像形成装置が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報及び代理応答に必要な情報をもとに当該画像形成装置の蓄積文書確認要求に対応する。
【0015】
以下、省電力モードにある画像形成装置が外部機器からの蓄積文書確認要求に応答しなくても、外部機器で当該画像形成装置の蓄積文書一覧情報が確認できる機能を備えた画像形成システムに係る実施形態について、図面を参照して説明する。
以下には、画像形成システムに係る実施形態として、[実施形態1]〜[実施形態4]を示す。
[実施形態1]は、上記「手法1」を適用し、[実施形態2]及び[実施形態3]は、上記「手法2」を適用し、また[実施形態4]は、上記「手法3」を適用した画像形成システムである。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの構成を示す図である。
この実施形態の画像形成システムの構成要素は、複合機、外部機器及びネットワークよりなり、図1に示すように、LAN40に複数の複合機100,100と例えば、PC、携帯端末といった複数の外部機器200,200,200が接続されている。ただ、本実施形態では、複合機、外部機器いずれも複数である必要はなく、単数でもよい。
外部機器200,200,200は、複合機100,100に対してホストとして、各種ジョブの処理要求を行い、複合機100,100にプリント出力の形態で画像出力を行わせ、また、複合機100,100から蓄積文書ファイルの引取りやスキャナ配信等の形態で出力画像を受け取る。また、複合機100,100同士は、相互にホスト・クライアントとしてジョブを処理する。複合機及び外部機器については、下記“複合機の構成”及び“外部機器の構成”にてさらに説明する。
【0017】
“複合機の構成”
画像形成システム(図1)を構成する複合機は、コピー、プリンタ、ファクシミリ(FAX)、スキャナ、等の機能を複合させて持つ。
このため、入力側では、原稿画像についてはスキャナ入力し、PDL(ページ記述言語)で通常表される印刷データについてはデータ解析を必要とし、FAXデータについては復号を経て、それぞれ上記文書ファイルを作成し、出力側では、文書ファイルをもとにプリント出力、FAX出力、スキャナ配信等の出力用のデータ処理を経て、画像出力を行う。
また、画像出力に用いた文書ファイルを蓄積し、再出力に用いることを可能にする。このため、蓄積された文書ファイルは管理され、さらに、管理下にある蓄積文書ファイルをユーザーが閲覧できるユーザーI/F(インターフェース)が用意される。
【0018】
図2は、本実施形態の複合機の概略構成を示す図である。
同図に示すように、複合機100は、大きく分けると、コントローラ部10とエンジン部20よりなる。
コントローラ部10は、メインCPU(Central Processing
Unit)11、RAM(Random Access Memory)よりなる一次記憶装置12及びROM(Read Only Memory)やHDD(ハードディスクドライブ)等よりなる二次記憶装置13をバスで接続して構成するコンピュータをハードウェアとしてメイン制御システムを構成し、このメイン制御システムが全体を制御する。
【0019】
なお、上記のように、コンピュータをハードウェアに用いてメイン制御システムを構成する場合は、当該コンピュータをメイン制御システムとして機能させるためのプログラム(ソフトウェア)をメインCPU11によって駆動することにより、意図する制御機能を実現する。したがって、上記「手法1」における複合機の動作は、後記で図5,6,8,11を参照して説明する制御フローを実行するためのプログラムを二次記憶装置13に搭載し、コンピュータによって当該プログラムを駆動することで実現することが可能になる。
【0020】
上記メイン制御システムの制御下にバスコントローラ14、ユーザーI/Fコントローラ15及びサブシステム16が接続される。
エンジン部20は、原稿からの画像入力及び記録媒体(用紙)への画像出力を行うためのエンジンとして、スキャナ部21、プロッタ部22を有する。これらは、バスコントローラ14を介してメインシステムに接続されている。
サブシステム16は、サブCPU17とその制御下で動作するネットワークコントローラ18を有し、LAN40を介して行う画像形成システム(図1)の動作として、外部機器200からプリント出力を要求して送信されてくるPDLデータの受信、外部機器200とのデータ(情報)交換やデータ配信を行う。複合機100の電源ONの間、後述する省電力モードにおいても電源供給が行われ、稼動状態となる。また、ネットワークコントローラ18は、省電力モードの稼動時に、必要最小限のネットワーク応答(機器の状態の問い合わせ等)を可能とする機能を持つ。
【0021】
ユーザーI/Fコントローラ15を介して接続されるLCD(液晶表示器)タッチパネル30は、ユーザーと複合機100が情報を交換するユーザーI/Fとしての機能を提供するための手段を備える。
具体的には、複合機100の持つ複合機能を利用してユーザーが求める画像出力を行うために処理の対象となる画像(文書ファイル)を指定し、処理条件を指示する指令入力を行うための操作手段及び前記指令入力の操作に必要なユーザーへの情報を伝達する表示手段を持つ。
【0022】
また、本実施形態の複合機100は、画像出力に用いた文書ファイルを蓄積する手段を持つ。蓄積された文書ファイルは、管理され、再出力に用いることを可能にする。コピー機能やFAX送信機能の利用時にスキャナ部21を通して入力された画像データをもとに作成された文書ファイル、また、プリンタ機能やスキャナ配信等の利用時にネットワークコントローラ18を通して入力された画像データをもとに作成された文書ファイルを二次記憶装置13のHDDに蓄積する。蓄積文書ファイルは、再出力等に利用する際に、蓄積された文書ファイルのなかに求める文書ファイルがあることを確認する。このため、蓄積文書一覧情報の形でLCDタッチパネル30に表示し、ユーザーの閲覧に供する。なお、この蓄積文書一覧情報は、後述するように、外部機器200でも、ユーザーI/Fを通じてユーザーの閲覧に供する。
【0023】
本実施形態の複合機100は、省電力動作を行う。
複合機100の省電力動作は、消費電力節減のため、処理対象のジョブがないアイドル時に、常時電源が必要な一部(この実施形態では、ユーザーI/FとしてのLCDタッチパネル30、ネットワークコントローラを持つサブシステム16等)を除き、画像出力処理に消費される部分(この実施形態では、エンジン部20、コントローラ部10の出力処理部等)への電源供給を停止する省電力モードの動作を行う。
省電力動作は、機器のステータスからジョブがなく、動作モードを移行しても不都合のないタイミングであること等を条件として、この条件を満たすことを確認した結果に従って、通常モードから省電力モードへの移行を実行し、その後、操作部へのユーザーの入力、ネットワークからのジョブの処理要求等の復帰要因の発生等の条件を満たすことを確認して、省電力モードから通常モードへ復帰させる。
【0024】
図3は、複合機100が行う省電力動作について、説明する概念図である。
図3に示すように、電源オフ状態にある複合機100へ電源を投入し、機器を起動すると、通常モードに立ち上がる。その後、通常モードにある複合機100に対し、一定時間LCDタッチパネル30等のユーザーI/Fを通じて操作が発生せず、機器のステータスがアイドル状態となった場合に、電源供給を停止する動作部として予め決められたエンジン部20及びコントローラ部10の電源供給を停止し、省電力モード状態にする。ただし、サブシステム16(ネットワークI/Fとそのコントローラ)の電源供給は継続する。これは、ネットワーク経由の処理要求を受付けるほか、省電力モードにおいても必要最小限のネットワーク応答(機器の状態問い合わせ等)を可能とするためである。
省電力モード状態で、ネットワーク経由の処理要求やユーザーI/Fのボタン操作等の復帰要因の発生により、省電力モードから通常モードへ復帰し、要求された処理を実行する。
【0025】
“外部機器の構成”
画像形成システム(図1)を構成する外部機器は、複合機に対してホストとして働く機器であればよく、適用可能な機器は、例えば、PCや携帯端末(携帯端末の場合、当然無線ネットワークが介在する)が、の例である。
ホストとしての外部機器は、複合機に印刷データを送信することで、プリント出力を要求するための機能や、複合機に蓄積された文書ファイルを用いて行う画像出力、即ち、リモートプリント出力或いは文書ファイルの配信を要求するための機能を持つ。また、複合機の蓄積文書ファイルを利用する際に、蓄積文書ファイルの一覧情報をユーザーが閲覧できるようにするための機能が付随する。
【0026】
図4は、本実施形態の外部機器の概略構成を示す図である。
同図に示すように、外部機器200は、上記複合機100(図2)のコントローラ部10と同様のハードウェア構成を有する。つまり、メインCPU201、RAMよりなる一次記憶装置202及びROMやHDD等よりなる二次記憶装置203をバスで接続して構成するコンピュータにより制御される制御システムを有する。
このように、コンピュータをハードウェアに用いて制御システムを構成する場合は、当該コンピュータを制御システムとして機能させるためのプログラム(ソフトウェア)をメインCPU201によって駆動することにより、意図する制御機能を実現する。したがって、上記「手法1」における外部機器の動作は、後記で図8,9,11を参照して説明する制御フローを実行するためのプログラムを二次記憶装置203に搭載し、コンピュータによって当該プログラムを駆動することで実現することが可能になる。
【0027】
上記制御システムの制御下にバスコントローラ204、ユーザーI/Fコントローラ205及びサブシステム210が接続される。
サブシステム210は、サブCPU211とその制御下で動作するネットワークコントローラ212を有し、LAN40を介して行う画像形成システム(図1)の動作として、複合機100へプリント出力を要求するPDLデータの送信、複合機100とのデータ(情報)交換や蓄積文書ファイルを用いて行うリモートプリント出力要求、配信データの引取り等を行う。サブシステム210は、後述する省電力モードにおいても電源供給が行われ、稼動状態となる。また、ネットワークコントローラ212は、省電力モードの稼動時に、必要最小限のネットワーク応答(機器の状態の問い合わせ等)を可能とする機能を持つ。
【0028】
ユーザーI/Fコントローラ205を介して接続されるLCD(液晶表示器)ディスプレイ206及びキーボード・マウス207は、ユーザーと外部機器200が情報を交換するユーザーI/Fとしての機能を提供するための手段を備える。
このユーザーI/Fは、本実施形態では、複合機100に対するホストとして、ユーザーが求める画像出力を行うために処理の対象となるPDLデータの送信指示、また、蓄積文書ファイルを用いて行うリモートプリント出力要求、配信データの引取り等の処理を要求する際の手続きとして、蓄積文書の確認(蓄積文書一覧情報の取得)、画像(文書ファイル)を指定し、処理条件を指示する指令入力を行うための操作手段及び前記指令入力の操作に必要なユーザーへの情報を伝達する表示手段となる。
【0029】
本実施形態の外部機器200は、省電力動作を行う。
外部機器200の省電力動作は、消費電力節減のため、処理対象のジョブがないアイドル時に、常時電源が必要なキーボード・マウス207、ネットワークコントローラ212を持つサブシステム210等を除き、各種処理・動作部等への電源供給を停止する省電力モードの動作を行う。
省電力動作は、基本的に複合機100において行う動作(図3の説明、参照)と同様に行う。
【0030】
“蓄積文書の確認”
本実施形態は、複合機100が省電力モードの動作を続ける間に、外部機器200で発生する蓄積文書確認要求に対処する上記「手法1」に係るので、この点を主に当該画像形成システムの動作を説明する。
ユーザーが外部機器200から蓄積文書確認要求を行うときに、複合機100は、通常モード、省電力モードのいずれの場合もある。通常モードにある場合、基本的に従来技術の手法と変わらないが、念のため、まず〈通常モードにおける動作〉を説明し、次いで〈省電力モードにおける動作〉について説明する。
【0031】
〈通常モードにおける動作〉
図5は、蓄積文書確認要求の発生により起動する画像形成装置(複合機)の処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、外部機器200(図1の画像形成システムでは外部機器200,200,200のいずれかであるが、そのほか外部の複合機でもよい)においてユーザーI/Fを通じて蓄積文書確認要求の操作が行われ、送信されてくる当該要求をネットワークI/F経由で受け取り、蓄積文書確認要求の発生を認識し、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、二次記憶装置13に格納された蓄積文書をもとに蓄積文書一覧データ(情報)を作成する(ステップS101)。
【0032】
図7は、蓄積文書と蓄積文書一覧データの関係を説明する概念図である。
同図に示すような文書ファイル51〜53が、その書誌情報とともに二次記憶装置13に蓄積され、管理されている場合、文書ファイル51〜53のデータをもとに、各文書を特定可能な情報として、書誌情報及び文書のサムネイル画像51s〜53sにてこれを表し、これらを一覧できる形式のデータとしてまとめることで、蓄積文書一覧データ50を作成する。ここでは、文書を特定可能な内容に係る情報をサムネイル画像としているが、文書を特定できる情報であれば、サムネイル画像に限らない。なお、蓄積文書一覧データ50として示される書誌情報は、蓄積文書一覧データ50から選択される文書の画像出力をユーザーが要求するときの出力条件を設定する場合にも参照される。
また、蓄積文書一覧データは、この処理フローのように蓄積文書確認要求時に作成しても良いし、蓄積文書に変動が生じた時に逐次作成しても良い。
【0033】
図5の処理フローに戻ると、複合機100は、ステップS101で作成した蓄積文書一覧データをこの蓄積文書確認の要求元である外部機器200に送信することで、この要求に対して応答する(ステップS102)。
この応答を行った後、処理フローを終了する。
蓄積文書確認要求への応答として、蓄積文書一覧データを受信した外部機器200は、その外部機器が持つユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示する。
LCDディスプレイ206に表示された蓄積文書一覧を確認するユーザーは、表示された蓄積文書一覧に求める特定文書が確認でき、その文書の画像出力をしようとしていた場合、当該文書を選択し、複合機100でのプリント出力の実行や外部機器200へのデータ引取りを要求する画像出力処理要求の操作を表示画面で行う。
【0034】
図6は、画像出力処理要求の発生により起動する画像形成装置(複合機)の処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、外部機器200(外部の複合機でもよい)において上記のように、ユーザーI/Fを通じて画像出力処理要求の操作が行われ、送信されてくる当該要求をネットワークI/F経由で受け取り、画像出力処理要求の発生を認識し、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、当該処理要求に指示された文書のファイルを二次記憶装置13に格納された蓄積文書の中から処理対象の文書ファイルとして読み出し(ステップS201)、読み出した文書ファイルに対し当該処理要求に指示された出力条件に従って、プリント出力、外部機器200へのデータ配信等の出力処理を行う(ステップS202)。
この処理を行った後、処理フローを終了する。
【0035】
〈省電力モードにおける動作〉
外部機器200で発生する蓄積文書確認要求に対処する上記「手法1」に係る動作である。
この動作は、複合機100が省電力モードへ移行する時に、複合機100内で管理する蓄積文書一覧情報を外部機器200へ送信する。蓄積文書一覧情報を受信する外部機器側では、当該複合機100が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報を保管し、保管した蓄積文書一覧情報をもとに、外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求に対応する。
なお、蓄積文書一覧情報を外部機器200へ送信する動作は、図1の画像形成システムのように複数の200,200,200が接続されている場合には、同報配信とし、また、省電力モードを終了し、通常モードに復帰するときにも、同報配信で復帰を通知し、外部機器200における蓄積文書一覧情報の保管期限を切る。
【0036】
図8は、複合機の省電力モード移行時に起動する複合機100と外部機器200との間で行う蓄積文書一覧データの配信処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、省電力モードへの移行条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、二次記憶装置13に格納された蓄積文書をもとに蓄積文書一覧データ(図7にもとづく蓄積文書一覧データに関する説明、参照)を作成する(ステップS301)。
【0037】
次に、複合機100は、ステップS301で作成した蓄積文書一覧データをホストとして振舞う外部機器200(外部の複合機でもよい)に伝えるために同報配信する(ステップS302)。同報配信は、特定の機器のアドレスに送る方法ではなく、ブロードキャストで送る方法による。ブロードキャストで同報配信をすることで、動作が簡略になり、次ステップで行う省電力モードへ直ちに移行することができる。
蓄積文書一覧データの配信を終えた後、複合機100は、省電力モードに移行し(ステップS303)、この処理フローを終了する。
【0038】
蓄積文書一覧データを受信する外部機器側では、受信した蓄積文書一覧データの処理を行う処理フローを当該データの受信によって起動する。なお、この処理フローは、同報配信を受けた各外部機器200で行う。
外部機器200は、この処理フローを起動すると、まず、蓄積文書一覧データの配信元の複合機100を特定する(ステップS311)。LANで接続されたこの画像形成システムの通信は、パケット通信によるので、この通信を行う場合にパケットに付加される送信元のIP(Internet Protocol)アドレスを確認することにより、受信した蓄積文書一覧データの配信元を知ることができる。
次に、受信した蓄積文書一覧データを保管する(ステップS312)。このデータは、この外部機器200において、ユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求に応じて、蓄積文書一覧をLCDディスプレイ206に表示するときに用いることを可能にする形態で保管される。例えば、処理要求を行える画像形成システム内の各複合機の状態を示すテーブルにリンクした形式で管理することが有効な方法である。
【0039】
図10は、外部機器200に保管する蓄積文書一覧データの管理形態の1例を示す図である。
同図に示すように、画像形成システム内の各複合機の状態を示す管理テーブル(以下、「複合機状態管理テーブル」という)に蓄積文書一覧データに関する項目を設ける。即ち、複合機を識別する「複合機ID」、その複合機の「IPアドレス」、その複合機の供給電力が通常モード/省電力モードのどちらであるかを示す「電力状態」、蓄積文書一覧データへのリンクがあるか否かを示す「蓄積文書一覧データへのリンク」の各項目のもとに、それぞれのデータを書き込む。
この複合機状態管理テーブルの「蓄積文書一覧データへのリンク」には、リンクがある場合に、蓄積文書一覧データ50の保管先である記憶装置のアドレスを記載する。蓄積文書一覧データ50は、複合機が省電力モードの状態である場合だけに用いるデータであるから、通常モードである場合には、このリンクは、同図中に示すように「なし」となる。
【0040】
上記のような保管方法で受信した蓄積文書一覧データを扱うので、この処理フローにおける手順としては、ステップS312で蓄積文書一覧データを二次記憶装置203に記憶し、蓄積文書確認要求に応じて、読み出すことができるように管理すると同時に、各複合機の状態を示す上述の複合機状態管理テーブル(図10)のデータを更新する(ステップS313)。即ち、この複合機状態管理テーブルにおける該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」とするデータ更新を行い、かつ「蓄積文書一覧データへのリンク」において蓄積文書一覧データへのリンクを示すデータ(蓄積文書一覧データを記憶した二次記憶装置203のアドレス)の更新をする。
この処理を行った後、この処理フローを終了する。
【0041】
上記のようにして、複合機100の省電力モードへの移行時に、外部機器側では、その複合機から配信された蓄積文書一覧データにより複合機状態管理テーブルのデータを更新し、ユーザーI/Fを通じて行われる複合機100の蓄積文書確認に応じる。
次に、外部機器200でユーザーI/Fを通じて行われる複合機100の蓄積文書確認処理について、説明する。以下に示す処理は、ここまでに説明した外部機器200の構成及び動作を前提に行われる。
【0042】
図9は、蓄積文書確認要求の発生により起動する外部機器の処理フローを示す図である。
外部機器200は、機器内のユーザーI/F(キーボード・マウス207)の操作を通じて蓄積文書確認要求の発生を認識し、この処理フローを起動する。なお、蓄積文書の確認を要求する操作によって、確認対象の複合機100が指定される。
この処理フローの起動後、外部機器200は、まず、操作により入力された確認対象の複合機が省電力モード状態であるか否かを確認する(ステップS401)。この確認は、上述の複合機状態管理テーブル(図10)の当該複合機の電力状態を参照することにより行う。
【0043】
ステップS401で確認対象の複合機が省電力モード状態である場合(ステップS401-Yes)、機器内で保管しておいた蓄積文書一覧データを読み出す(ステップS402)。蓄積文書一覧データをこのステップの動作により取得するので、複合機に対し蓄積文書確認要求を発行することなく、従って複合機側も応答が不要となり、省電力モードを維持することができる。
ステップS402の手順をより詳しく述べると、省電力モード状態にある当該複合機について、さらに複合機状態管理テーブル(図10)における「蓄積文書一覧データへのリンク」を参照し、そこに示される蓄積文書一覧データへのリンクを示すデータ、即ち、蓄積文書一覧データを記憶した二次記憶装置203のアドレスを用いて、蓄積文書一覧データの読み出しを行う。
この後、読み出した蓄積文書一覧データを用いて機器内のユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示し(ステップS404)、この処理フローを終了する。
【0044】
他方、ステップS401で確認対象の複合機が省電力モード状態ではない場合(ステップS401-No)、この複合機に対し蓄積文書確認要求をネットワークI/F経由で行い、この要求に応答して複合機100から返信されてくる蓄積文書一覧データを受け取る(ステップS403)。なお、蓄積文書確認要求に対する複合機100側の動作は、先に図5に基づいて説明したとおりである。
この後、蓄積文書確認要求への応答として、蓄積文書一覧データを受信した外部機器200は、機器内のユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示し(ステップS404)、この処理フローを終了する。
【0045】
上記の動作で、複合機100は、省電力モード状態にあるとき、蓄積文書確認要求に対する応答をすることなくこの状態を維持し、当該複合機の蓄積文書一覧データを外部機器側で用いることが可能になる。ただ、省電力モードから通常モードへ復帰したときには、稼動により蓄積文書も変動するので、蓄積文書確認要求に対する応答についても変動する蓄積文書に適応する必要がある。つまり、通常モードへの復帰と同時に、これまで各外部機器で管理している複合機状態管理テーブル(図10)を更新し、また、保管していた蓄積文書一覧データを破棄する必要がある。
次に、この通常モードへの復帰時に行う処理について説明する。
【0046】
図11は、複合機の通常モード復帰時における画像形成システムの複合機及び外部機器で行う復帰処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、省電力モードから通常モードへの復帰条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、省電力モードから通常モードへの移行、即ち、停止していた電源の供給を復帰させ、メイン制御システムを含め複合機100が処理を実行できる状態にする(ステップS501)。
通常モードへの移行後、複合機100は、自機が通常モードに復帰したことを、LANI/Fを通してホストとして振舞う外部機器200(外部の複合機でもよい)に同報配信によって通知する(ステップS502)。この同報配信は、ブロードキャストで送信する。
複合機100は、通常モードへの復帰通知の配信を終えた後、この処理フローを終了する。
【0047】
通常モードへの復帰通知を受信する外部機器側では、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等を行う処理フローを当該復帰通知の受信によって起動する。なお、この処理フローは、同報配信の通知を受けた各外部機器200で行う。
外部機器200は、この処理フローの起動後、直ちに通常モードへの復帰通知の配信元の複合機100を特定し(復帰通知を行うパケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより知ることができる)、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等の処理を行う(ステップS511)。具体的には、複合機状態管理テーブル(図10)の該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」から「通常モード」に、また「蓄積文書一覧データへのリンク」を「なし」に更新するとともに、省電力モード移行時点に作成され、保管している蓄積文書一覧データを破棄する。
外部機器200は、この複合機状態管理テーブルの更新処理等を終えた後、この処理フローを終了する。
図11の処理を行ってから以後、この複合機への蓄積文書一覧確認要求は再び省電力モードに入らない限り、この複合機に送信され、送信時点で作成された蓄積文書一覧データの応答をこの複合機が行う。
【0048】
上記のように、この実施形態によれば、複合機100が省電力モードの間、複合機100への蓄積文書一覧確認要求を発行せず、外部機器200において保管している、省電力モード移行時点に作成され、保管している蓄積文書一覧データを表示する。この動作により、複合機100が省電力モードの間、外部機器200からの蓄積文書確認要求に応答しなくても不都合が生じることがなく、複合機100へこの要求が送られることはないので、複合機100は省電力モードを維持することができる。このため、複合機100における省電力効果を高めることができ、また、従来技術におけるように、複合機側において省電力モードで働くネットワークインターフェースの機能を増やすことやその回路規模を大きくすることなく、省電力モードの間、利用できる蓄積文書一覧データの確認機能を実現することができる。
【0049】
[実施形態2]
上記[実施形態1]では、複合機100が省電力モードへ移行するときに、その時点の蓄積文書一覧データを画像形成システム内の外部機器200に配信している。外部機器200は、配信された蓄積文書一覧データを保管し、外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書一覧データの確認要求に対応する。
ただ、複合機100の省電力モードへの移行は、移行条件が満たされれば、随時行われるので、外部機器200が電源OFFのときにもこのモード移行が起き得る。こうした外部機器200の電源がその後ONとなって、省電力モードの複合機に対し蓄積文書一覧データの確認が要求されても、この外部機器200は、蓄積文書一覧データの配信を受けていないので、上記[実施形態1]の動作ができない。このような外部機器200で生じる蓄積文書一覧データの確認要求に応じようとすると、異なる動作で対応することになって、2つの方法が並存して制御が複雑になる。また、画像形成システムに複数の外部機器200が接続されている場合、それぞれ蓄積文書一覧データの保管が必要になり、画像形成システム全体のデータ量の増加を招く。
【0050】
そこで、上記「手法2」の動作を画像形成システムで行うようにする。即ち、外部機器からの要求に応えて行う蓄積文書一覧情報を送信する応答動作を、複合機が省電力モードの間、その複合機に代わって行う代理応答機として特定の外部機器を選定し、省電力モード移行時に、代理応答機として働く特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信する。代理応答機として働く特定の外部機器側では、複合機が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報及び代理応答に必要な情報をもとに当該複合機への蓄積文書確認要求に対応する。以下、この手法により代理応答を実行するシステムを「代理応答システム」、またこのシステムの持つ機能を「代理応答機能」という。
【0051】
“画像形成システム及びシステム要素の構成”
本実施形態に係る画像形成システム及び当該システムを構成する複合機、外部機器は、代理応答機能を実現するためのプログラム(ソフトウェア)を、代理応答システムを築こうとする複合機と外部機器に搭載するという点の違いを除けば、上記[実施形態1]の構成と基本的に異ならない。
つまり、複合機は、先に図2に示したハードウェア構成を有し、また、代理応答機として選定された外部機器及び代理応答機能を利用する外部機器も、先に図4に示したハードウェア構成を有し、これらをシステム要素とし、先に図1に示した画像形成システムを構成する。なお、本実施形態の下記の説明では、複合機と外部機器の構成は、図2及び図4をそのまま参照する。
【0052】
図12は、このようにして構築される画像形成システムを示す図である。同図では、1台の外部機器が、複合機100もしくは複合機100の代理応答機200aとなる。なお、代理応答機200aの選定方法については、後記“代理応答機の選定”で詳述する。
また、この実施形態において、代理応答機能は、次の手段により実現する。即ち、図2に示したハードウェア構成を有する複合機100及び図4に示したハードウェア構成を有する外部機器200は、この代理応答機能を実現する手段として、それぞれの制御システムを構成するコンピュータに代理応答に必要なプログラム(後記で図13〜16を参照して説明する制御フローを実行するためのプログラム)をコンピュータに搭載し、CPUによってこのプログラムを駆動することによって、意図する機能を実現する。
【0053】
“代理応答システムの構築/解消”
複合機が省電力モードに移行するときに構築し、通常モードへ復帰するときに取り除く代理応答システムの構築/解消に係る動作について、説明する。なお、代理応答機能を利用する外部機器(代理応答システムの1要素である)については、後記“蓄積文書の確認”で説明する。
【0054】
まず、代理応答システムの構築に係る動作について説明する。
図13は、複合機の省電力モード移行時、本実施形態の画像形成システムにおける外部機器に代理応答機能に必要なデータを付加するために行う処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、省電力モードへの移行条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、画像形成システム内の外部機器200(外部の複合機でもよい)の中から代理応答機を一つ選定する(ステップS601)。代理応答機の選定については、後記“代理応答機の選定”で、サブシーケンスとともに詳述する。
【0055】
次いで、二次記憶装置13に格納された蓄積文書をもとに蓄積文書一覧データ(図7にもとづく蓄積文書一覧データに関する説明、参照)を作成する(ステップS602)。
この後、複合機100は、ステップS602で作成した蓄積文書一覧データを代理応答機として選定された外部機器200に送信する(ステップS603)。
蓄積文書一覧データの送信後、複合機100は、省電力モードに移行し(ステップS604)、この処理フローを終了する。
【0056】
蓄積文書一覧データを受信する代理応答機としての外部機器200側では、受信した蓄積文書一覧データの処理を行う処理フローを当該データの受信によって起動する。
代理応答機としての外部機器200は、この処理フローを起動すると、まず、蓄積文書一覧データの配信元の複合機100を特定する(ステップS611)。LANで接続されたこの画像形成システムの通信は、パケット通信によるので、この通信を行う場合にパケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより、受信した蓄積文書一覧データの配信元を知ることができる。
次に、受信した蓄積文書一覧データを保管する(ステップS612)。このデータは、代理応答機としての外部機器200において、自機及び他の外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求(後記“蓄積文書の確認”における図15の説明、参照)に応じて、蓄積文書一覧をLCDディスプレイ206に表示するときに用いることを可能にする形態で保管される。例えば、処理要求を行える画像形成システム内の各複合機の状態を示すテーブルにリンクした形式で管理することが有効な方法で、上記[実施形態1]において示した「複合機状態管理テーブル」(図10)と同じ形式でよい。
【0057】
上記のような保管方法で受信した蓄積文書一覧データを扱うので、この処理フローにおける手順としては、ステップS612で蓄積文書一覧データを二次記憶装置203に記憶し、蓄積文書確認要求に応じて、読み出すことができるように管理すると同時に、各複合機の状態を示す上述の複合機状態管理テーブル(図10)のデータを更新する(ステップS613)。即ち、この複合機状態管理テーブルにおける該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」とするデータ更新を行い、かつ「蓄積文書一覧データへのリンク」において蓄積文書一覧データへのリンクを示すデータ(蓄積文書一覧データを記憶した二次記憶装置203のアドレス)の更新をする。
この処理を行った後、この処理フローを終了する。
【0058】
次に、代理応答システムの解消に係る動作について説明する。
図14は、複合機の通常モード復帰時、本実施形態の画像形成システムにおける外部機器に付加した代理応答機能に必要なデータを消去するために行う処理フローを示す図である。
複合機100は、省電力モードから通常モードへの復帰条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、省電力モードから通常モードへの移行、即ち、停止していた電源の供給を復帰させ、メイン制御システムを含め複合機100が処理を実行できる状態にする(ステップS701)。
通常モードへの移行後、複合機100は、自機が通常モードに復帰したことを、LANI/Fを通して代理応答機としての外部機器200に通知する(ステップS702)。
複合機100は、通常モードへの復帰通知の送信を終えた後、この処理フローを終了する。
【0059】
通常モードへの復帰通知を受信する代理応答機としての外部機器200側では、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等を行う処理フローを当該復帰通知の受信によって起動する。
代理応答機としての外部機器200は、この処理フローの起動後、直ちに通常モード復帰通知の送信元の複合機100を特定し(復帰通知を行うパケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより知ることができる)、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理を行う(ステップS711)。具体的には、複合機状態管理テーブル(図10)の該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」から「通常モード」に、また「蓄積文書一覧データへのリンク」を「なし」に更新する。
また、同時に、省電力モード移行時点に作成され、保管している該当する複合機の蓄積文書一覧データを破棄する(ステップS712)。
外部機器200は、この複合機状態管理テーブルの更新処理及び蓄積文書一覧データの破棄処理を終え、この処理フローを終了する。
図14の処理を行ってから以後、代理応答機能は失われ、この複合機への蓄積文書一覧確認要求は再び省電力モードに入らない限り、この複合機自身に送信され、送信時点で作成された蓄積文書一覧データの応答をこの複合機自身で行う。
【0060】
“蓄積文書の確認”
ここでは、代理応答の動作に必要な上記“代理応答システムの構築/解消”を前提として、省電力モードの動作を続ける複合機100への蓄積文書確認要求に代理応答機としての外部機器200が対応できるようにした本実施形態の蓄積文書確認要求時の画像形成システムの動作を説明する。
図15は、外部機器における蓄積文書確認要求の発生により起動する本実施形態の画像形成システムの処理フローを示す図である。
外部機器200は、機器内のユーザーI/F(キーボード・マウス207)の操作を通じて蓄積文書確認要求の発生を認識し、この処理フローを起動する。なお、蓄積文書の確認を要求する操作によって、確認対象の複合機100が指定される。また、この処理フローでは、蓄積文書確認要求が発生する外部機器200が代理応答機ではない場合である。
この処理フローの起動後、外部機器200は、まず、操作により入力された確認対象の複合機の電力状態が省電力モード状態であるか否かを、確認対象の複合機100に問い合わせる(ステップS801)。
【0061】
この電力状態の問い合わせを受けた複合機100は、省電力モード状態であるか又は通常モード状態であるか、機器のステータスを示すデータを返信することで応答する(ステップS811)。なお、この動作は、省電力モード状態であっても、常時電源供給を受けるネットワークI/F(サブシステム16)により応答可能であり、サブシステム16のネットワークコントローラ18は、この応答を行った後、直ちに処理を終了する。
【0062】
省電力モード状態の問い合わせへの応答を受け取る外部機器200は、複合機100の電力状態によって処理を分岐するので、応答結果が省電力モード状態であったか否かを確認する(ステップS802)。
ここで、外部機器200が省電力モード状態ではなかった場合(ステップS802-No)、この複合機に対し蓄積文書確認要求をネットワークI/F経由で行い、この要求に応答して複合機100から返信されてくる蓄積文書一覧データを受け取る(ステップS805)。なお、蓄積文書確認要求に対する複合機100側の動作は、先に図5に基づいて説明した動作を行う。
この後、蓄積文書確認要求への応答として、蓄積文書一覧データを受信した外部機器200は、機器内のユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示し(ステップS806)、この処理フローを終了する。
【0063】
他方、外部機器200が省電力モード状態ではあった場合(ステップS802-Yes)、代理応答機としての外部機器200へアクセスするために、どの外部機器200が代理応答機であるかを問い合わせ、その返信を受け取る(ステップS803)。この問い合わせをする際、代理応答機としての外部機器200は未知であるから、画像形成システム内の他の外部機器200に問い合わせをブロードキャストにより同報で送る。なお、ステップS803は、この実施形態における代理応答システムを構成するための要件となる。
代理応答機の問い合わせを受け取る当該代理応答機としての外部機器200は、送信元の外部機器200に代理応答機であることを知らせる返信をする(ステップS821)。
この返信パケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより、代理応答機としての外部機器200を特定することができる。
代理応答機としての外部機器200は、返信後、直ちにこの処理を終了する。
【0064】
代理応答機の問い合わせに対する返信を受け取る外部機器200は、代理応答機としての外部機器200を特定できるので、そのアドレスにネットワークI/Fを通じて蓄積文書確認要求を発行し、それに応答して返信されてくるデータを受け取る(ステップS804)。なお、ステップS804は、ステップS803と同様、この実施形態における代理応答システムを構成するための要件となる。
蓄積文書確認要求を受け取る代理応答機としての外部機器200は、保管している蓄積文書一覧データ(図13のフローで代理応答機として複合機100から渡された蓄積文書一覧データ)を要求元の外部機器200に返信する(ステップS831)。
この後、外部機器200は、代理応答機としての外部機器200から受け取った蓄積文書一覧データをもとに、機器内のユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示し(ステップS806)、この処理フローを終了する。
【0065】
“代理応答機の選定”
代理応答機は、画像形成システムの構成上、当該システムを構成する外部機器200(代理を依頼する複合機100以外の複合機100でもよい)のどれでも選定できるが、システムの安定性を考慮すると、できるだけ代理応答動作が中断しないことが望ましく、この観点で選定をする。各外部機器200は、それぞれ履歴データを持っているので、そのデータを利用することにより稼動実績のある外部機器200を選ぶことができる。
本実施形態では、選定時直近で最も長時間の稼動実績がある、即ち比較的起動している確率の高い外部機器200を代理応答機として選定する。
【0066】
以下には、選定する時点の稼動実績をもとに、最も長時間の稼動実績を持つ外部機器を選定する方法を採用する処理フローを、先に図13にて示した省電力モード移行処理フローのステップS601のサブシーケンスとして行う実施形態について図16を参照して説明する。
代理応答機選定処理を起動すると、まず、複合機100は、代理応答機となり得る外部機器200に現時点までの稼働時間を問い合わせ、その返信を受け取る(ステップS901)。この問い合わせをする際、送信先は代理応答機候補で特定の外部機器200ではないから、画像形成システム内の外部機器200にブロードキャストにより同報で送るとよい。
複合機100の問い合わせを受け取る代理応答機候補の外部機器200は、問い合わされた現時点までの稼働時間を送信元の外部機器200に知らせる返信をする(ステップS911)。
この返信パケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより、外部機器200を特定し、現時点までの稼働時間と当該機器とを関係付けることができる。
代理応答機としての外部機器200は、返信後、直ちにこの処理を終了する。
【0067】
複合機100は、問い合わせに対する応答を代理応答機候補の外部機器200から受け取ると、応答結果として受け取った各外部機器の現時点までの稼働時間をソートし(ステップS902)、その中から最も長時間の稼動実績がある外部機器200を代理応答機として選定する(ステップS903)。例えば、代理応答機候補の外部機器200の中に、常時起動状態にあるPCがあれば、このPCが選定される可能性が高い、一方、携帯端末のような稼働時間の短い外部機器は選定される可能性は低くなる。
代理応答機を選定した後、複合機100は、このサブシーケンスを抜け、図13にて示した省電力モード移行処理フローのステップS602に移行する。
【0068】
この実施形態によれば、複合機100が省電力モードの間、複合機100への蓄積文書一覧確認要求に対し、複合機100の代理応答機として働く外部機器200が応答し、代理応答機で保管している、省電力モード移行時点に作成され、保管している蓄積文書一覧データにより要求に応え、その表示を行えるようにする。この動作により、複合機100が省電力モードの間、外部機器200からの蓄積文書確認要求に応答しなくても不都合が生じることがなく、複合機100へこの要求が送られることはないので、複合機100は省電力モードを維持することができる。このため、複合機100における省電力効果を高めることができ、また、従来技術におけるように、複合機側において省電力モードで働くネットワークインターフェースの機能を増やすことやその回路規模を大きくすることなく、省電力モード状態の複合機の蓄積文書一覧データを確認することができる。
また、蓄積画像一覧データは代理応答機のみ保管していれば良く、ネットワークに接続された外部機器全体として保存されるデータ総量が低減できる。また、複合機が省電力モードに入る前に起動していた外部機器と省電力モードに入った後に起動した外部機器の蓄積文書確認要求に対する手続きを共通化できる。
【0069】
[実施形態3]
上記[実施形態2]では、複合機100が省電力モードへ移行するときに、その時点の蓄積文書一覧データを代理応答機として働く画像形成システム内の選定された特定の外部機器200に送り、省電力モードの間、代理応答機が蓄積文書一覧データを保管し、外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書一覧データの確認要求への対応を可能にしている。
ただ、蓄積文書一覧データの確認要求をする外部機器200は、当該要求発生時に、複合機100の電力状態を問い合わせ、省電力モードである場合、さらに代理応答機を問い合わせ、その結果、知り得る代理応答機へ要求を発行する、といった手順が必要となる。このため、システムの処理負担が大きくなり、迅速処理の妨げになる可能性がある。
【0070】
そこで、本実施形態では、上記「手法2」の代理応答動作、即ち、外部機器からの要求に応えて行う蓄積文書一覧データを送信する応答動作を、複合機が省電力モードの間、選定された代理応答機として働く特定の外部機器が、複合機から省電力モード移行時に受け取り、保管しておいた蓄積文書一覧データで対応する動作に基づくも、蓄積文書一覧データの確認要求を発行する外部機器は、通常モードの複合機に対して行う手続きを行うだけでよく、代理応答機の存在を意識する必要なく行える代理応答システムを構築する。
【0071】
“画像形成システム及びシステム要素の構成”
上記代理応答を行うために、本実施形態では、蓄積文書一覧データの確認を求められる複合機100、代理応答機として働く外部機器200それぞれのネットワークコントローラにパケットフィルタを設け、このフィルタによって、当該複合機100を送信先として発行される蓄積文書一覧データの確認要求を代理応答機として働く外部機器200で受け取ることができるようにする。
ここで用いるパケットフィルタは、複合機100を送信先とする蓄積文書一覧データの確認要求パケットを受理する(通過させる)か、破棄するかのいずれかを設定可能なフィルタであり、このフィルタの設定を、複合機100の電力状態によって変更することで、意図した動作を行わせる。
【0072】
即ち、複合機100が通常モードの状態にあれば、複合機100のフィルタは当該確認パケットを複合機100で処理すべきパケットとして受理する設定であるのに対し、代理応答機として働く外部機器200のフィルタは当該確認パケットを代理応答機で処理すべきではないパケットとして破棄する設定とする。
他方、複合機100が省電力モードの状態にあれば、複合機100のフィルタは当該確認パケットを複合機100で処理すべきではないパケットとして破棄する設定であるのに対し、代理応答機として働く外部機器200のフィルタは当該確認パケットを代理応答機で処理すべきパケットとして受理する設定とする。
複合機100の電力状態によって複合機、代理応答機の各パケットフィルタを上記の設定とすることで、要求側では、複合機100の電力状態に係りなく、常に通常モードで行っている蓄積文書一覧データの確認要求を発行しさえすれば、要求に適うデータが取得できる。
【0073】
上記の手法により、意図する代理応答システムを構築することが可能となる。つまり、複合機、代理応答機それぞれのネットワークコントローラに上記パケットフィルタを設け、パケットフィルタの設定動作を制御する手段を設けることにより本実施形態の代理応答システムを構成することができる。
図17は、本実施形態の画像形成システムに係る複合機の概略構成を示す図である。
図18は、本実施形態の画像形成システムの要素として複合機とLANで接続される外部機器の概略構成を示す図である。
図17及び図18のいずれも、ネットワークI/Fとしてのサブシステム16,210内のネットワークコントローラ18,212にパケットフィルタ19,213を持ち、上記のように、所定送信先(複合機のアドレス)や所定パケット付加情報(蓄積文書一覧データの確認要求)を持つパケットの受理/破棄を制御する。
なお、ネットワークI/Fとしてのサブシステム16,210内にパケットフィルタ19,213を持つ点を除いて、複合機100及び外部機器200の構成、並びに画像形成システム(図1,図12)は、上記[実施形態1]、[実施形態2]にて示した構成と変わらない。したがって、先の説明を参照することとし、ここでは、説明を省略する。
【0074】
“代理応答システムの構築/解消”
複合機が省電力モードに移行するときに構築し、通常モードへ復帰するときに取り除く代理応答システムの構築/解消に係る動作について、説明する。なお、代理応答機能を利用する外部機器(代理応答システムの1要素である)については、後記“蓄積文書の確認”で説明する。
【0075】
まず、代理応答システムの構築に係る動作について説明する。
図19は、複合機の省電力モード移行時、本実施形態の画像形成システムにおける外部機器に代理応答機能に必要なデータを付加するために行う処理フローを示す図である。
複合機100(メイン制御システム)は、省電力モードへの移行条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、画像形成システム内の外部機器200(外部の複合機でもよい)の中から代理応答機を一つ選定する(ステップS1001)。代理応答機の選定については、[実施形態2]の“代理応答機の選定”を参照。
【0076】
次いで、二次記憶装置13に格納された蓄積文書をもとに蓄積文書一覧データ(図7にもとづく蓄積文書一覧データに関する説明、参照)を作成する(ステップS1002)。
この後、複合機100は、ステップS1002で作成した蓄積文書一覧データを代理応答機として選定された外部機器200に送信する(ステップS1003)。
蓄積文書一覧データの送信後、複合機100は、ネットワークI/Fのパケットフィルタの設定を変更する(ステップS1004)。この変更は、この複合機100自身を送信先として蓄積文書一覧データの確認を要求するパケットを受理していたこれまで(通常モード状態)の設定を、当該パケットを破棄する設定に変える処理である。
パケットフィルタの設定を変更した後、省電力モードに移行し(ステップS1005)、この処理フローを終了する。
【0077】
蓄積文書一覧データを受信する代理応答機としての外部機器200側では、受信した蓄積文書一覧データの処理を行う処理フローを当該データの受信によって起動する。
代理応答機としての外部機器200は、この処理フローを起動すると、まず、蓄積文書一覧データの配信元の複合機100を特定する(ステップS1011)。LANで接続されたこの画像形成システムの通信は、パケット通信によるので、この通信を行う場合にパケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより、受信した蓄積文書一覧データの配信元を知ることができる。
次に、受信した蓄積文書一覧データを保管する(ステップS1012)。このデータは、代理応答機としての外部機器200において、自機及び他の外部機器200のユーザーI/Fを通じて行われる蓄積文書確認要求(後記“蓄積文書の確認”における図21の説明、参照)に応じて、蓄積文書一覧をLCDディスプレイ206に表示するときに用いることを可能にする形態で保管される。例えば、処理要求を行える画像形成システム内の各複合機の状態を示すテーブルにリンクした形式で管理することが有効な方法で、上記[実施形態1]において示した「複合機状態管理テーブル」(図10)と同じ形式でよい。
【0078】
蓄積文書一覧データの保管後、外部機器200は、ネットワークI/Fのパケットフィルタの設定を変更する(ステップS1013)。この変更は、代理する複合機100を送信先として蓄積文書一覧データの確認を要求するパケットを破棄していたこれまで(通常モード状態)の設定を、当該パケットを受理する設定に変える処理である。
次に、ステップS1012で行った蓄積文書一覧データの保管処理に合わせる形で、各複合機の状態を示す上述の複合機状態管理テーブル(図10)のデータを更新する(ステップS1014)。即ち、この複合機状態管理テーブルにおける該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」とするデータ更新を行い、かつ「蓄積文書一覧データへのリンク」において蓄積文書一覧データへのリンクを示すデータ(蓄積文書一覧データを記憶した二次記憶装置203のアドレス)の更新をする。
この処理を行った後、この処理フローを終了する。
【0079】
次に、代理応答システムの解消に係る動作について説明する。
図20は、複合機の通常モード復帰時、本実施形態の画像形成システムにおける外部機器に付加した代理応答機能に必要なデータの消去、初期化をするために行う処理フローを示す図である。
複合機100は、省電力モードから通常モードへの復帰条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、省電力モードから通常モードへの移行、即ち、停止していた電源の供給を復帰させ、メイン制御システムを含め複合機100が処理を実行できる状態にする(ステップS1101)。
通常モードへの移行後、複合機100は、自機が通常モードに復帰したことを、LANI/Fを通して代理応答機としての外部機器200に通知する(ステップS1102)。
【0080】
また、ネットワークI/Fのパケットフィルタの設定を初期化する(ステップS1103)。この設定変更は、この複合機100自身を送信先として蓄積文書一覧データの確認を要求するパケットを破棄していた省電力モードにおける設定を、当該パケットを受理する通常モードにおける設定に変える、即ち初期化する処理である。
複合機100は、通常モードへの復帰通知の送信を終えた後、この処理フローを終了する。
【0081】
通常モードへの復帰通知を受信する代理応答機としての外部機器200側では、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等を行う処理フローを当該復帰通知の受信によって起動する。
代理応答機としての外部機器200は、この処理フローの起動後、直ちに通常モード復帰通知の送信元の複合機100を特定し(復帰通知を行うパケットに付加される送信元のIPアドレスを確認することにより知ることができる)、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理を行う(ステップS1111)。具体的には、複合機状態管理テーブル(図10)の該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」から「通常モード」に、また「蓄積文書一覧データへのリンク」を「なし」に更新する。
同時に、省電力モード移行時点に作成され、保管している該当する複合機の蓄積文書一覧データを破棄する(ステップS1112)。
【0082】
また、ネットワークI/Fのパケットフィルタの設定を初期化する(ステップS1113)。この設定変更は、代理する複合機100を送信先として蓄積文書一覧データの確認を要求するパケットを受理していた省電力モードにおける設定を、当該パケットを破棄する通常モードにおける設定に変える、即ち初期化する処理である。
外部機器200は、この複合機状態管理テーブルの更新処理及び蓄積文書一覧データの破棄処理を終え、この処理フローを終了する。
図20の処理を行ってから以後、代理応答機能は失われ、この複合機への蓄積文書一覧確認要求は再び省電力モードに入らない限り、この複合機自身に送信され、送信時点で作成された蓄積文書一覧データの応答をこの複合機自身で行う。
【0083】
“蓄積文書の確認”
ここでは、代理応答の動作に必要な上記“代理応答システムの構築/解消”を前提として、省電力モードの動作を続ける複合機100への蓄積文書確認要求に代理応答機としての外部機器200が対応できるようにした本実施形態の蓄積文書確認要求時の画像形成システムの動作を説明する。
図21は、外部機器における蓄積文書確認要求の発生により起動する本実施形態の画像形成システムの処理フローを示す図である。
外部機器200は、機器内のユーザーI/F(キーボード・マウス207)の操作を通じて蓄積文書確認要求の発生を認識し、この処理フローを起動する。なお、蓄積文書の確認を要求する操作によって、確認対象の複合機100が指定される。また、この処理フローでは、蓄積文書確認要求が発生する外部機器200が代理応答機ではない場合である。
【0084】
この処理フローの起動後、外部機器200は、まず、指定された複合機を送信先とする蓄積文書確認要求をネットワークI/F経由で行う(ステップS1211)。この実施形態では、この蓄積文書確認要求は、省電力モードの複合機100及び代理応答機として働く外部機器200の両方で受信され、それぞれ蓄積文書確認要求時の受信処理フローを起動する。
複合機100側では、パケットフィルタの設定が、図19の省電力モードにおける複合機の処理フローに示す設定になっているので、蓄積文書確認要求パケットは破棄され(ステップS1201)、処理フローを終了する。
【0085】
他方、代理応答機として働く外部機器200側では、パケットフィルタの設定が、図19の省電力モードにおける外部機器(代理応答機)の処理フローに示す設定になっているので、蓄積文書確認要求は受理され(ステップS1221)この要求に応答して代理応答機として働く外部機器200は、保管している蓄積文書一覧データを要求元の外部機器200に返信する(ステップS1222)。
代理応答機としての外部機器200は、返信後、直ちにこの処理を終了する。
蓄積文書確認要求を発行した外部機器200は、代理応答機としての外部機器200から返信されてくる蓄積文書一覧データを受け取り、受け取った蓄積文書一覧データをもとに、機器内のユーザーI/Fの表示部(LCDディスプレイ206)に蓄積文書一覧を表示し(ステップS1212)、この処理フローを終了する。
【0086】
上記のように、この実施形態によれば、複合機100が省電力モードの間における外部機器200の代理応答により、要求した蓄積文書一覧データの確認ができるようになり、この省電力モードの間、複合機100へこの要求が送られることはないので、複合機100は省電力モードを維持することができる。このため、複合機100における省電力効果を高めることができ、また、従来技術におけるように、複合機側において省電力モードで働くネットワークインターフェースの機能を増やすことやその回路規模を大きくすることなく、省電力モード状態の複合機の蓄積文書一覧データを確認することができる。
また、蓄積画像一覧データは代理応答機のみ保管していれば良く、ネットワークに接続された外部機器全体として保存されるデータ総量が低減できる。また、複合機が省電力モードに入る前に起動していた外部機器と省電力モードに入った後に起動した外部機器の蓄積文書確認要求に対する手続きを共通化できる。
また、パケットフィルタにより蓄積文書一覧データの確認要求を発行する外部機器が通常モードにおいて複合機に対して確認要求を送信すると同様の手続きによって省電力モードの間複合機を代理する外部機器(代理応答機)が当該要求に応答するため、当該要求を発行する外部機器は、複合機の状態や代理応答機の存在を意識する必要が無くなり、処理を簡略化できる。
【0087】
[実施形態4]
上記[実施形態2]又は[実施形態3]では、代理応答機として選定される外部機器200は、最も長時間の稼動実績を持つ外部機器を選び、代理応答動作の停止を避けるようにしている。
ただ、選定される外部機器200も画像形成システムを構成する一つの機器として普通に使用しているので、省電力動作を行い、移行条件を満たすと省電力モード状態になる。
複合機100と、その代理をする代理応答機として働く外部機器200の両方が省電力モード状態になると、上記[実施形態2]又は[実施形態3]では代理応答機能が働かなくなってしまう。
【0088】
そこで、本実施形態では、代理応答機として働く特定の外部機器が省電力モード移行時に、この代理応答機に代わって働く復代理応答機を選定し、復代理応答機として働く特定の外部機器は、代理応答機と同様に、当該画像形成装置が省電力モードの間、受信した蓄積文書一覧情報及び代理応答に必要な情報をもとに当該画像形成装置の蓄積文書確認要求に対応する。
図22は、本実施形態に係る画像形成システムの構成を示す図である。
同図では、1台の外部機器が、複合機100もしくは複合機100を代理する代理応答機(1)200aとしての外部機器(3)と、これを復代理する代理応答機(2)200bとしての外部機器(2)よりなる。複合機100又は複合機100及び代理応答機(1)200aが省電力モードに入った状態で、復代理応答機としての代理応答機(2)200bが働く。なお、代理応答機を含んで構築される代理応答システムの構成については、先に[実施形態2]において、図12等に基づき説明したので、この説明を参照することとし、ここでは、説明を省略する。
【0089】
また、本実施形態の代理応答システムの動作についても、下記 “代理応答システムの構築/解消” で説明する点以外は、上記[実施形態2]及び[実施形態3]において各々の処理フローにもとづいて説明した動作と変わらない。ただし、[実施形態2]及び[実施形態3]の代理応答機を本実施形態の復代理応答機と読み替える必要がある。
したがって、代理応答システムの動作の説明も、上記[実施形態2]及び[実施形態3]の説明を参照することとし、ここでは説明を省略する。
【0090】
“代理応答システムの構築/解消”
複合機100から直接代理を受けた代理応答機(1)200aが省電力モードに移行するときに構築し、複合機100が通常モードへ復帰するときに取り除く代理応答システムの構築/解消に係る動作について、説明する。
まず、本実施形態の代理応答システムの構築、即ち、代理応答機(1)200aが省電力モードに移行する場合、復代理応答機としての代理応答機(2)200bによって応答動作を行うシステムの構築に係る動作についてである。
この場合、省電力モードに移行する代理応答機(1)200aは、上記[実施形態2]の複合機100(即ち、代理を依頼する複合機)が行ったと同様の手順で復代理する外部機器(2)を特定し、代理応答システムを構築する。なお、上記の代理応答システムの構築及び代理応答機の選定の詳細は、上記で図13,図16,図19の処理フローに基づく説明で述べたとおりである。
【0091】
なお、パケットフィルタを持つ代理応答機(上記[実施形態3]、参照)が省電力モードに移行する場合について説明を加えると、代理応答機(1)200aが省電力モードに入る際は、代理応答機(1)200aのパケットフィルタ設定を初期状態(フィルタ設定が無い状態)にし、またこれまでの代理応答機としての設定を、復代理応答機としての代理応答機(2)200bのパケットフィルタの設定に引継ぐ。このような設定にすることで、復代理応答機としての代理応答機(2)200bは、代理を依頼した複合機100を送信先として発行される蓄積文書確認要求への応答を代理して行うことができる。
【0092】
次に、本実施形態において構築した代理応答システムの解消、即ち、代理を依頼した複合機100が通常モードに復帰する場合、構築した代理応答システムを解消し、複合機100が蓄積文書一覧データの確認要求への応答を行う、本来のシステムへ復帰する動作について説明する。
本実施形態では、代理応答機(1)200aが一旦省電力モードに入ると、この機器が通常モードに復帰しても、再度代理応答機として振舞うことはなく、復代理応答機としての代理応答機(2)200bがそのまま継続して代理応答動作を行う。
代理を依頼した複合機100が省電力モードから復帰した場合、複合機100は復代理応答機の存在を知らないので、代理応答機(1)200aに復帰通知をする。この復帰通知を受信する代理応答機(1)200aは、復代理応答機としての代理応答機(2)200bに復帰通知を転送する、という手順で代理応答システムを解消する。
【0093】
図23は、複合機の通常モード復帰時における画像形成システムの複合機及び代理応答機、復代理応答機として働く外部機器の処理フローを示す図である。
複合機100は、省電力モードから通常モードへの復帰条件(図3にもとづく省電力動作に関する説明、参照)を満たす機器状態になったと判断したときに、この処理フローを起動する。
この処理フローの起動後、複合機100は、まず、省電力モードから通常モードへの移行、即ち、停止していた電源の供給を復帰させ、メイン制御システムを含め複合機100が処理を実行できる状態にする(ステップS1301)。
通常モードへの移行後、複合機100は、自機が通常モードに復帰したことを、LANI/Fを通して代理応答機(1)としての外部機器(3)200aに通知する(ステップS1302)。
複合機100は、通常モードへの復帰通知の送信を終えた後、この処理フローを終了する。
【0094】
通常モードへの復帰通知を受信する代理応答機(1)としての外部機器(3)200a側では、複合機100の通常モードへの復帰通知を代理応答機(2)としての外部機器(2)200bに転送する(ステップS1311)。なお外部機器(1)200aは、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等を行う処理フローを当該復帰通知の受信によって起動し、処理を行う。
外部機器(3)200aは、これらの処理を終え、この処理フローを終了する。
【0095】
また、転送される複合機100の通常モードへの復帰通知を受信する代理応答機(2)としての外部機器(2)200b側では、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理等を行う処理フローを当該復帰通知の受信によって起動する。
起動した処理フローに従い、複合機状態管理テーブル(図10)の更新処理を行う(ステップS1321)。具体的には、複合機状態管理テーブル(図10)の該当する複合機の「電力状態」を「省電力モード」から「通常モード」に、また「蓄積文書一覧データへのリンク」を「なし」に更新する。
同時に、省電力モード移行時点に作成され、保管している該当する複合機の蓄積文書一覧データを破棄する(ステップS1322)。
外部機器(2)200bは、この複合機状態管理テーブルの更新処理及び蓄積文書一覧データの破棄処理を終え、この処理フローを終了する。
【0096】
上記のように、この実施形態によれば、複合機から直接依頼された代理応答機としての外部機器が省電力モードに入っても、代理応答機から復代理応答機に代理応答動作をつなぎこの動作を継続することで、代理応答機能の停止を避けることができるようになり、当該機能の性能を向上できる。
【符号の説明】
【0097】
10・・コントローラ部、11・・メインCPU、12・・一次記憶装置、13・・二次記憶装置、15・・ユーザーI/Fコントローラ、16・・サブシステム、17・・サブCPU、18・・ネットワークコントローラ、19・・パケットフィルタ、20・・エンジン部、30・・LCDタッチパネル、40・・LAN、100,100,100・・複合機、200,200,200,200・・外部機器、200a,200b・・外部機器(代理応答機)、201・・メインCPU、202・・一次記憶装置、203・・二次記憶装置、205・・ユーザーI/Fコントローラ、206・・LCDディスプレイ、207・・キーボード・マウス、210・・サブシステム、211・・サブCPU、212・・ネットワークコントローラ、213・・パケットフィルタ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2007−267316号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力処理の要求を含め、ジョブの処理要求を受付ける入力インターフェースと、
ジョブに指示される条件に従って画像出力処理を行う画像処理手段と、
画像出力に用いた画像を再出力用に蓄積する画像蓄積手段と、
処理対象のジョブがないアイドル時に前記画像処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行し、省電力モードの間、電源供給が持続されている前記入力インターフェースを介して処理対象のジョブを受付けたときに通常モードに復帰するように、電力を使用する動作部への供給電源を制御する供給電源制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記入力インターフェースとして機能するとともに、外部機器とネットワークを介してジョブ及び情報を交換するためのネットワークインターフェースと、
前記ネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像蓄積手段によって蓄積された画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を送信する蓄積画像情報送信手段を備え、
省電力モード移行時に、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、蓄積画像一覧情報を外部機器へ送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記蓄積画像情報送信手段は、前記ネットワークインターフェースを介して接続された複数の外部機器へ同報通信によって前記蓄積画像一覧情報を送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置とネットワークを介して接続された外部機器よりなる画像形成システムであって、
前記外部機器は、前記画像形成装置に接続するためのネットワークインターフェースと、前記ネットワークインターフェースを介して取得した前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報を保管する手段と、保管された蓄積画像一覧情報を表示し、当該一覧情報に基づいて前記画像形成装置に画像出力を要求するジョブを受付けるユーザーインターフェースを有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
画像出力処理の要求を含め、ジョブの処理要求を受付ける入力インターフェースと、
ジョブに指示される条件に従って画像出力処理を行う画像処理手段と、
画像出力に用いた画像を再出力用に蓄積する画像蓄積手段と、
処理対象のジョブがないアイドル時に前記画像処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行し、省電力モードの間、電源供給が持続されている前記入力インターフェースを介して処理対象のジョブを受付けたときに通常モードに復帰するように、電力を使用する動作部への供給電源を制御する供給電源制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記入力インターフェースとして機能するとともに、外部機器とネットワークを介してジョブ及び情報を交換するためのネットワークインターフェースと、
前記ネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像蓄積手段によって蓄積された画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を送信する蓄積画像情報送信手段を備え、
通常モードの間、外部機器からの要求に応えて、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該外部機器へ蓄積画像一覧情報を送信する一方、
省電力モードの間、外部機器からの要求に応えて行う蓄積画像一覧情報を送信する応答動作を画像形成装置に代わって行う代理応答機として特定の外部機器を選定し、省電力モード移行時に、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
前記代理応答機とする特定の外部機器を、前記ネットワークインターフェースを介して接続された複数の外部機器のうち最も稼働時間の長いものを選定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された画像形成装置とネットワークを介して接続された外部機器よりなる画像形成システムであって、
前記特定の外部機器は、前記画像形成装置に接続するためのネットワークインターフェースと、前記ネットワークインターフェースを介して取得した前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報及び代理応答に必要な情報を保管する手段と、保管された蓄積画像一覧情報を表示し、当該一覧情報に基づいて前記画像形成装置に画像出力を要求するジョブを受付けるユーザーインターフェースと、前記画像形成装置の代理応答機として、保管した代理応答に必要な情報に基づいて外部機器からの要求に応えて、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該外部機器へ蓄積画像一覧情報を送信する手段を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項6に記載された画像形成システムであって、
前記画像形成装置及び前記特定の外部機器のネットワークインターフェースは、パケットフィルタ機能を持つパケット通信方式に適合するものであり、
前記パケットフィルタ機能は、設定によって所定パケットの破棄又は受理を可能として、省電力モードの間、前記画像形成装置への蓄積画像一覧情報の送信要求を画像形成装置側では破棄する一方で、代理応答機として働く特定の外部機器側では受理する設定で働くことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された画像形成システムであって、
前記代理応答機として働く特定の外部機器は、外部機器からの要求に応えて行う蓄積画像一覧情報を送信する代理応答動作をさらに代理して行う復代理応答機として特定の外部機器を選定し、自身の省電力モード移行時もしくは電源OFF時に、前記蓄積画像情報送信手段を動作させることによって、当該復代理応答機として働く特定の外部機器へ代理応答のために保管していた蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信する手段を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載された画像形成システムであって、
前記代理応答機として働く特定の外部機器及び前記復代理応答機として働く特定の外部機器のネットワークインターフェースは、パケットフィルタ機能を持つパケット通信方式に適合するものであり、
前記パケットフィルタ機能は、設定によって所定パケットの破棄又は受理を可能として、代理応答機として働く特定の外部機器が省電力モードもしくは電源OFFの間、前記画像形成装置への蓄積画像一覧情報の送信要求を代理応答機として働く特定の外部機器側では破棄する一方で、復代理応答機として働く特定の外部機器側では受理する設定で働くことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
画像出力処理を求めるジョブがないアイドル時に、通常モードから画像出力処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行する画像形成装置からネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像形成装置に蓄積された再出力用の画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を提供する文書一覧情報提供方法であって、
省電力モード移行時に、前記画像形成装置からネットワークインターフェースを介して蓄積画像一覧情報を前記外部機器へ送信する工程と、
前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報を前記外部機器で受信する工程と、
前記外部機器で受信した蓄積画像一覧情報を保管する工程と、
前記画像形成装置が省電力モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対し、前記保管工程において保管された蓄積画像一覧情報を用いて表示を行う工程と
を有することを特徴とする文書一覧情報提供方法。
【請求項11】
画像出力処理を求めるジョブがないアイドル時に、通常モードから画像出力処理手段への電源供給を停止する省電力モードへ移行する画像形成装置からネットワークインターフェースを介して接続された外部機器へ前記画像形成装置に蓄積された再出力用の画像を特定するための書誌情報を付した蓄積画像一覧情報を提供する文書一覧情報提供方法であって、
通常モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対し、当該画像形成装置からネットワークインターフェースを介して蓄積画像一覧情報を当該外部機器へ送信する工程と、
省電力モード移行時に、前記画像形成装置から当該画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に対する応答動作を当該画像形成装置に代わって行う代理応答機として選定される特定の外部機器へ蓄積画像一覧情報とともに代理応答に必要な情報を送信する工程と、
前記代理応答機として働く特定の外部機器で前記画像形成装置から送信されてくる蓄積画像一覧情報と代理応答に必要な情報を受信する工程と、
前記代理応答機として働く特定の外部機器で受信した蓄積画像一覧情報と代理応答に必要な情報を保管する工程と、
前記画像形成装置が省電力モードの間、前記外部機器でユーザーインターフェースを通じて行われる前記画像形成装置が蓄積する画像一覧情報の表示要求に応えて、前記代理応答機として働く外部機器が、表示要求を行った外部機器へ前記保管工程で保管された蓄積画像一覧情報を送信する工程と、
画像一覧情報の表示要求を行った外部機器において、前記代理応答機として働く外部機器から前記送信工程を経て受信した蓄積画像一覧情報を用いて表示を行う工程と
を有することを特徴とする文書一覧情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−124674(P2012−124674A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272816(P2010−272816)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】